(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】人工弁膜置換システム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517046
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2022121698
(87)【国際公開番号】W WO2023051521
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111164164.4
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524101087
【氏名又は名称】寧波健世科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呂 世文
(72)【発明者】
【氏名】陳 志
(72)【発明者】
【氏名】陳 進雄
(72)【発明者】
【氏名】張 善冬
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC05
4C097CC14
4C097SB02
(57)【要約】
人工弁膜置換システムであって、抱締材(3)は、少なくとも一部が弁挟み機構(21)に配置され、弁挟み固定装置(2)は、第1形態、及び第1形態の後に現れる第2形態を呈することが可能であるように構成され、弁挟み固定装置(2)が第1形態にある場合、弁挟み機構(21)は、自己弁尖を捕捉及び挟持可能であるように構成され、弁膜ステント(1)が径方向に拡張した後に、弁挟み固定装置(2)は第2形態にある。
【選択図】
図5i
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁膜ステントと、前記弁膜ステントと協同して操作する弁挟み固定装置とを備える人工弁膜置換システムであって、
前記弁挟み固定装置は、自己弁尖を挟持するための弁挟み機構及び少なくとも一部が前記弁挟み機構に配置される抱締材として構成され、
前記弁挟み固定装置は、第1形態、及び第1形態の後に現れる第2形態を呈することが可能であるように構成され、
前記弁挟み固定装置が第1形態にある場合、前記弁挟み機構は、前記自己弁尖を捕捉及び挟持可能であるように構成され、
前記弁膜ステントが径方向に拡張した後に、前記弁挟み固定装置は第2形態にあり、前記弁膜ステントの径方向の拡張により、前記抱締材が自己弁尖を上に転位するように動かして前記弁膜ステントを締め付ける、
ことを特徴とする人工弁膜置換システム。
【請求項2】
前記弁挟み機構の遠端は、取外可能に接続され、且つ、前記弁挟み固定装置は第1形態において、前記弁挟み機構の周辺の弁尖が、自律開閉を実現可能であり、前記弁膜ステントが前記弁挟み機構内に進入すると、前記弁挟み機構の遠端が取り外され、前記弁膜ステントが径方向に拡張した状態にあり、前記弁膜ステントの径方向の拡張により、前記抱締材が自己弁尖を上に転位するように動かして前記弁膜ステントを締め付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項3】
前記弁膜ステントの径方向の拡張は、前記弁挟み機構、前記抱締材、自己弁尖及び腱索を連動するように動かし、前記抱締材は、少なくとも一部が上に転位されて自己弁尖及び腱索を上に引き上げられるように動かし、且つ自己弁尖及び腱索組織のうちの少なくとも1つは、前記抱締材と前記弁膜ステントとの間に締められる、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項4】
前記第1形態において、前記弁挟み機構は、一部の自己弁尖を挟持し、前記第2形態において、前記弁挟み機構の周辺の自己弁尖は、前記抱締材により動かされて上に転位する、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項5】
内芯管をさらに備え、
前記内芯管の遠端と、前記弁挟み機構の遠端とは連携して取外可能に接続され、且つ、前記弁膜ステントは、前記内芯管に沿って前記弁挟み機構内に進入する、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項6】
前記抱締材及び前記弁挟み機構は少なくとも、高さが異なる2つの接続点を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項7】
前記弁挟み固定装置は、単一の弁挟み材と、心房支持セグメントと、心室セグメントと、前記弁挟み材及び心室セグメントにそれぞれ接続され、且つ前記弁挟み固定装置の中心軸線と平行である断面において傾斜形態を呈する抱締材とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項8】
前記弁挟み機構は、複数の挟持部材を備え、且つ、前記抱締材と各前記挟持部材との接続点の高さが異なるため、前記第2形態において、前記抱締材は波形状の形態を呈する、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項9】
前記弁挟み機構は、取外可能に接続されるか又は2つの互いに分離する独立部材であり、且つ異なる自己弁尖をそれぞれ捕捉して挟持するように構成される第1挟持半体及び第2挟持半体を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項10】
前記第1挟持半体及び第2挟持半体は、相補的な形状を有し、且つ前記弁挟み固定装置の拘束状態において前記内芯管により取外可能に係合接続される、
ことを特徴とする請求項9に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項11】
前記弁膜ステントには、さらに、心房内に位置決めされるべき位置決め輪が設けられることが可能であり、前記位置決め輪は、自己弁輪の生理的構造に適応する形態として構成され、且つ補助固定棒が設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【請求項12】
前記弁膜ステントには、固定クランプ材が設けられ、且つ、前記第2形態において、前記固定クランプ材は、自己弁尖を前記弁膜ステントと固定クランプ材との間に挟まれるようにクランプする、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁膜置換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年9月30日に出願された、特許出願番号が202111164164.4である特許出願を優先権として主張し、該出願に開示された内容はここで参照されて組み込まれる。
【0002】
本願は、医療機器の分野に関し、具体的には人工弁膜置換システムに関する。
【背景技術】
【0003】
心臓構造からみると、僧帽弁であれ、三尖弁であれ、特殊な生理的構造を有するため、製品の正確な位置決め及び固定が非常に困難である。特に、僧帽弁の心内における特定の解剖位置及びその複雑な解剖構造は、僧帽弁置換手術に極めて大きい挑戦をもたらしている。
【0004】
関連技術において、手術により僧帽弁/三尖弁のプロテーゼを心内にロックする技術は、ステントによる房室弁輪への径方向の支持力をよく利用している。このような技術の欠点は、弁輪の周囲組織に圧迫を与えやすく、且つステント及び圧迫された組織が流出路に影響を与えやすいことにある。置換弁膜の長期的な使用による影響からみると、手術後の患者の使用時間が経過するにつれて、逆流が減少し、心室、心房圧が降下し、心臓構造が再構築され、大きいサイズ規格のステントが弁輪のサイズの縮小に影響を与え、心臓の内部構造に影響を与え、これは明らかに望ましくない結果である。
【0005】
これ以外に、ロックの技術も、予め弁尖に1つのドッキング装置を植え込むことにより、ステントが該ドッキング装置の内部に広げられることで弁尖に固定されてもよい。特許CN109789019AにはEdwards Lifesciences社の心臓弁膜ドッキングコイル及びシステムが記載されている。該特許開示において、ドッキング装置を弁尖の外側に巻き付けることにより、弁尖とステントとをしっかりと一緒に締める。このようなステント固定の方式の優越性は際だっているが、前尖がステントに大きく締められ、左の流出路の血流への邪魔は解決されていない。
【0006】
以上のことから、僧帽弁置換プロテーゼには、現在、少なくとも、1.プロテーゼの置換後に、前弁尖が左室流出路を遮り、2.大規格のステントが径方向に自己弁輪を支持すると、心臓の内部構造に影響を与え、大量の合併症の発症をもたらす、といった技術的ペインポイントが存在し、業界内では、以上及び他の技術的課題を解決するために、新たな経カテーテル心臓弁膜置換システムが早急に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の各種の実施例によれば、本願は、人工弁膜置換システムを提供する。本願は、主に、関連技術のいくつかの課題及び不足を克服することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一側面によれば、弁膜ステントと、前記弁膜ステントと協同して操作する弁挟み固定装置とを備える人工弁膜置換システムを開示し、前記弁挟み固定装置は、自己弁尖を挟持するための弁挟み機構及び前記弁挟み機構に配置される抱締材として構成され、そのうち、前記弁挟み固定装置は、第1形態及び第1形態の後にある第2形態を呈することが可能であるように構成され、そのうち、前記弁挟み固定装置が第1形態にある場合、前記弁挟み機構は、前記自己弁尖を捕捉及び挟持可能であるように構成され、そのうち、前記弁膜ステントが径方向に拡張した後に、前記弁挟み固定装置は第2形態にあり、前記弁膜ステントの径方向の拡張により前記抱締材は自己弁尖を上に転位するように動かして前記弁膜ステントを締め付ける。
【0009】
一実施例によれば、前記弁挟み機構の遠端は、取外可能に接続され、且つ、前記弁挟み固定装置は第1形態において、前記弁挟み機構の周辺の弁尖が、自律開閉を実現可能であり、前記弁膜ステントが前記弁挟み機構内に進入すると、前記弁挟み機構の遠端が取り外され、前記弁膜ステントが径方向に拡張した状態にあり、前記弁膜ステントの径方向の拡張により前記抱締材が自己弁尖を上に転位するように動かして前記弁膜ステントを締め付ける。
【0010】
一実施例によれば、前記弁膜ステントが径方向に拡張した後に、そのうち、前記弁膜ステントの径方向の拡張は、前記弁挟み機構、前記抱締材、自己弁尖及び腱索を連動するように動かし、そのうち、前記抱締材は、少なくとも一部が上に転位されて自己弁尖及び腱索を上に引き上げられるように動かし、且つ前記抱締材は、前記弁膜ステントを締め付け、この時、前記弁挟み固定装置は第2形態にある。
【0011】
一実施例によれば、前記第1形態において、前記弁挟み機構は、一部の自己弁尖を挟持し、前記第2形態において、前記弁挟み機構の周辺の自己弁尖は、前記抱締材により動かされて上に転位する。
【0012】
一実施例によれば、前記抱締材は、閉ループ構造であり、前記抱締材は、前記弁挟み機構を通過する。
【0013】
他の一実施例によれば、前記抱締材は、前記弁挟み機構に接続されて閉ループ構造を形成し、前記抱締材は、2段の線又は糸であり、且つ両端が前記弁挟み機構に固定接続される。
【0014】
一実施例によれば、前記抱締材及び前記弁挟み機構は少なくとも、高さが異なる2つの接続点を備える。
【0015】
他の一実施例によれば、前記人工弁膜置換システムが僧帽弁弁膜の取替えに用いられる場合、前記抱締材の前記弁挟み機構における接続点の高さが異なり、具体的には、前記抱締材の前弁尖領域での高さが前記抱締材の後弁尖領域での高さよりも大きく、これは前弁尖を顕著に引き上げ、左室の流出路への邪魔を回避することもできるし、抱締材による後弁尖領域の腱索への過度な引張りを回避し、腱索組織を保護することもできる。
【0016】
他の一実施例によれば、前記弁挟み機構は、複数の挟持部材を備え、且つ、前記抱締材と各前記挟持部材との接続点の高さが異なるため、前記第2形態において、前記抱締材は波形状の形態を呈し、又は、前記第2形態において、前記抱締材の前弁尖領域での高さは抱締材の後弁尖領域での高さよりも高く、これは、前弁尖を高い位置に引き上げ、置換後に、前弁尖による左室流出路への邪魔を回避することができる。
【0017】
一実施例によれば、前記抱締材と前記弁挟み機構との接続点の位置は、高すぎてはならず、例えばその接続点の位置は自己弁尖の近端の3分の2の領域にあると、抱締材による腱索組織の過度な引張りを有効に回避できる。
【0018】
一実施例によれば、前記弁挟み固定装置が第2形態にある場合、前記抱締材は、腱索と自己弁尖との間にあり、且つ、前記弁膜ステントの径方向の拡張により、前記抱締材は、少なくとも一部が上に転位されて自己弁尖及び腱索を上に引き上げられるように動かす。
【0019】
一実施例によれば、前記弁挟み固定装置は第2形態において、前記抱締材が、張架された状態で前記弁挟み機構の外周に結ばれ、自己弁尖が前記抱締材により上に引き上げられた後に、前記自己弁尖が、自身が少なくとも部分的に重畳するように折り返される。
【0020】
一実施例によれば、前記第2形態において、前記抱締材は、さらに、前記弁挟み機構及び前記自己弁尖を周方向に沿って前記弁膜ステントの外周に締め付ける。
【0021】
一実施例によれば、前記弁挟み固定装置が第1形態から第2形態に変換する過程において、前記弁膜ステントは、径方向に拡張していない状態から次第に径方向に拡張し、且つ次第に前記弁挟み固定装置を、前記抱締材が緩み状態から徐々に展開して張架されるように広げ、これにより、腱索及び挟持された自己弁尖を徐々に引き上げ、前記弁膜ステント及び前記弁挟み機構を締め付ける。
【0022】
一実施例によれば、前記弁挟み機構が自己弁尖を捕捉及び挟持する過程において、前記弁挟み機構の心房方向への移動により、一部の自己弁尖及び腱索は、前記弁挟み機構により形成された弁尖収容キャビティ内及び/又は自己弁輪の下方と前記抱締材との間に折り返される。
【0023】
一実施例によれば、前記第1形態において、前記弁挟み機構の一端は、挟持された自己弁尖の根部に宛がわれる。
【0024】
一実施例によれば、前記弁挟み固定装置は、単一の弁挟み材、心房支持セグメント(弁挟み固定装置が所定の位置に取り付けられた後に、心房支持セグメントは、心房内に位置して支持力を提供する)、心室セグメント及び抱締材を備え、そのうち、前記抱締材は、それぞれ前記弁挟み材及び心室セグメントに接続され、且つ、前記弁挟み固定装置の中心軸線と平行である断面において、前記抱締材は傾斜形態を呈し、より具体的には、前記抱締材と前記弁挟み材との接続箇所の高さは抱締材の領域の部分の高さよりも高く、僧帽弁の治療に用いられる場合、前記弁挟み材は、前弁尖を挟持するために用いられ、且つ、抱締材は、前弁尖及び関連する腱索組織を顕著に引っ張ることができる。
【0025】
一実施例によれば、前記弁挟み機構は、取外可能に接続されるか又は2つの互いに分離する独立部材であり、且つ異なる自己弁尖をそれぞれ捕捉して挟持するように構成される第1挟持半体及び第2挟持半体を備え、且つ前記抱締材により形成された閉ループの周長は、所定の位置に径方向に拡張した弁膜ステントの周長よりもやや小さい。
【0026】
一実施例によれば、前記第1挟持半体及び第2挟持半体は前記弁挟み固定装置の拘束状態において一緒にほぼスリーブ状の構造を構成し、前記ほぼスリーブ状の構造は、前記内芯管に嵌められ且つ外周が前記外鞘管によって覆われる。
【0027】
一実施例によれば、前記第1挟持半体及び第2挟持半体は、相補的な形状を有し、且つ前記弁挟み固定装置の拘束状態において取外可能に係合接続される。
【0028】
一実施例によれば、前記第1挟持半体は、第1支持セグメント、前記第1支持セグメントから延伸する第1取外可能式連携セグメント、及び前記第1取外可能式連携セグメントからさらに延伸する第1挟持セグメントを有し、前記第1支持セグメントには、第1挟み爪が設けられ、且つ前記第2挟持半体は、第2支持セグメント、前記第2支持セグメントから延伸する第2取外可能式連携セグメント、及び前記第1取外可能式連携セグメントからさらに下に延伸する第2挟持セグメントを有し、前記第2支持セグメントには、第2挟み爪が設けられる。
【0029】
一実施例によれば、第1挟持半体及び第2挟持半体は、それぞれ弁尖捕捉材及び弁押圧材を備え、抱締材は、弁尖捕捉材の一端に接続される。
【0030】
一実施例によれば、前記第1挟み爪及び第2挟み爪にはいずれも、歯が設けられ、その歯は、第1挟持半体、第2挟持半体と自己弁尖との間の相対位置を限定可能であり、前記歯は、挟持された自己弁尖に噛み付き、挟持された自己弁尖を固定するためのものとして構成される。
【0031】
一実施例によれば、その歯は、その第1挟持半体及び第2挟持半体がしっかりと自己弁尖に噛み付けるように、逆刺又は他の弁尖にロック可能な構造であってもよい。
【0032】
他の一実施例によれば、その歯は、それぞれ第1挟持半体及び第2挟持半体の一端に設けられてもよく、歯は、自己弁尖を「打ち付ける」ことができ、これにより、第1挟持半体及び第2挟持半体が自己弁尖を挟持した後に滑脱の状況が現れることを防止する。
【0033】
一実施例によれば、前記第1挟持セグメントは、弾性片セグメントを介して前記第1取外可能式連携セグメントに繋がり、前記第1挟み爪は、弾性片セグメントを介して前記第1支持セグメントに繋がり、且つ前記第2挟持セグメントは、弾性片セグメントを介して前記第2取外可能式連携セグメントに繋がり、前記第2挟み爪は、弾性片セグメントを介して前記第2支持セグメントに繋がる。
【0034】
一実施例によれば、前記第1挟持半体は、一体的に成形され、且つ前記第2挟持半体は、一体的に成形される。
【0035】
一実施例によれば、前記第1挟持半体及び前記第2挟持半体は、いずれも形状記憶合金で構成される。
【0036】
一実施例によれば、前記第1挟持半体及び第2挟持半体はいずれも、各々弁尖収容キャビティを形成可能であるように構成され、前記第1挟持半体及び第2挟持半体が自己弁尖を捕捉して挟持する場合、一部の自己弁尖は、前記弁尖収容キャビティ内に折り返される。
【0037】
一実施例によれば、前記第1挟持半体及び第2挟持半体が開いて自己弁尖を捕捉する場合、自己弁尖は、第1挟持半体の開き角と第2挟持半体の開き角との間に位置し、この時、弁挟み固定装置全体が心房方向に上に移動して一部の自己弁尖が第1挟持半体と第2挟持半体との間に折り畳まれ、具体的に自己弁尖の先端部分が前記弁尖収容キャビティ内に折り畳まれるように搬送システムを操作することができ、このようにすることで自己弁尖の長さを有効に短縮し、それによる左室流出路への邪魔を回避することができる。
【0038】
一実施例によれば、前記弁膜ステントには、心房内に位置決めされるべき位置決め輪がさらに設けられてもよく、前記位置決め輪は、自己弁輪の生理的構造に適応する形態として構成され、且つ前記位置決め輪には、補助固定棒が設けられる。
【0039】
一実施例によれば、前記補助固定棒の数は、3本又は4本であり、強力な支持役割を果たせることもできるし、原生弁輪に対する過度な引張りを回避し、インプラントを減少させることもできる。
【0040】
一実施例によれば、前記位置決め輪には、可撓性の密封膜が設けられ、且つ弁膜ステントが所定の位置に取り付けられ後に、前記密封膜は心房組織に密着される。
【0041】
一実施例によれば、前記弁膜ステントには、補助的に固定するための逆刺が設けられ、且つ前記逆刺は、前記位置決め輪に設けられる。
【0042】
一実施例によれば、前記弁膜ステントには、固定クランプ材が設けられ、且つ、前記第2形態において、前記固定クランプ材は、自己弁尖を前記弁膜ステントと固定クランプ材との間に挟まれるようにクランプする。
【0043】
一実施例によれば、人工弁膜置換システムは、内芯管及び外鞘管をさらに備え、前記弁挟み固定装置は、前記外鞘管内に拘束され且つ前記内芯管と前記外鞘管との間にある拘束状態をさらに呈することが可能であるように構成され、且つ前記拘束状態において、前記弁挟み固定装置は、自己弁尖を挟持できない。
【0044】
一実施例によれば、内芯管をさらに備え、且つ、弁膜ステントは、内芯管に沿って弁挟み機構の中間領域に進入して到着することができる。
【0045】
一実施例によれば、第1挟持半体及び第2挟持半体は、取外可能に接続されたものであり、内芯管には、拡大端が設けられ、第1挟持半体には、第1取外可能式連携セグメントが設けられ、第2挟持半体には、第2取外可能式連携セグメントが設けられ、且つ、第1取外可能式連携セグメント及び第2取外可能式連携セグメントは、内芯管により取外可能な接続を実現し、且つ、拡大端はほぼ、円柱状構造を呈し、第1取外可能式連携セグメント及び第2取外可能式連携セグメントは、相互に嵌合して、係合と類似する接続を形成することができ、その後、拡大端は、第1取外可能式連携セグメントと第2取外可能式連携セグメントとの中間に挿入され、取外可能な接続を形成し、拡大端が第1取外可能式連携セグメントと第2取外可能式連携セグメントとの中間から撤退された後に、弁膜ステントは、第1挟持半体及び第2挟持半体に径方向の拡張力を提供して、取外し、分離を完成させる。
【0046】
一実施例によれば、弁膜ステントが弁挟み機構の中間領域にある場合、拡大端は、弁挟み機構に対して近端に撤退されて、弁挟み機構との取外し、分離を実現する。
【0047】
一実施例によれば、弁膜ステントは、バルーン拡張ステント又は自己拡張ステントであってもよい。
【0048】
一実施例によれば、抱締材はほぼ、条状、糸状又は麻縄状を呈する。
【0049】
一実施例によれば、抱締材の外周は被膜され、その被膜により、自己弁尖との間の摩擦力が増加可能となる。
【0050】
本願の他の一側面によれば、拘束状態において第1挟持半体及び第2挟持半体がほぼスリーブ状構造を構成する弁挟み機構、及び前記弁挟み機構の遠端に結ばれ且つ前記弁挟み機構を取り囲む閉ループをなす抱締材を備える弁挟み固定装置と、内芯管と、外鞘管と、径方向に拡張可能な管状の弁膜ステントとを備える人工弁膜置換システムをさらに提供し、そのうち、前記弁挟み固定装置の拘束状態において、前記弁挟み機構は、前記内芯管に嵌められ且つ前記外鞘管の中に拘束され、そのうち、前記弁挟み固定装置の第1形態において、前記第1挟持半体及び第2挟持半体は、前記外鞘管の中から露出し且つ各々が自己弁尖を挟持可能な構造に変形し、前記抱締材は、緩んだ状態にあり、そのうち、前記弁挟み固定装置の第2形態において、前記弁膜ステントは、径方向に拡張した状態にあり且つ前記第1挟持半体と第2挟持半体との間に位置決めされ、前記抱締材は、径方向に拡張した前記弁膜ステントにより張架されることで前記弁膜ステント及びそれに結ばれた前記第1挟持半体及び第2挟持半体を締め付ける。
【0051】
一実施例によれば、前記第1形態において、自己弁尖は、局所的に開閉する機能を保持し、且つ、前記第2形態において、少なくとも一部の自己弁尖は折り畳まれる。
【0052】
一実施例によれば、前記人工弁膜置換システムは、位置決め輪をさらに備え、前記位置決め輪は、自己弁輪の生理的構造に適応する形態を有するように構成される。
【0053】
一実施例によれば、前記位置決め輪及び前記弁挟み固定装置は、一体に集積される。
【0054】
本願の他の一側面によれば、前記人工弁膜置換システムの外鞘管を手術部位に進入するように操作することと、前記外鞘管を内芯管に対して徐々に近端に引き戻し、前記外鞘管内の拘束状態における弁挟み機構を次第に露出させ、前記外鞘管の引き戻しに伴って次第に前記弁挟み機構の形状記憶合金からなる第1挟持半体及び第2挟持半体を、各々が相応する自己弁尖を捕捉して挟持するものに徐々に変形するように解放することと、前記外鞘管を手術部位から完全に引き抜き、前記内芯管を原位置に残留させることと、管状の弁膜ステントが前記内芯管に沿って前記弁挟み機構の第1挟持半体と第2挟持半体との間に進入し、到達して介在するように弁膜ステント搬送装置を操作し、前記内芯管を引き抜くことと、前記弁膜ステントを径方向に拡張することで、前記弁挟み機構を径方向に拡張し、これにより、前記弁挟み機構の外周に結ばれた抱締材を展開して張架し、そのうち、前記抱締材の展開及び張架により、前記抱締材が前記弁膜ステント及び前記弁挟み機構を締め付け、最終的に自己弁尖の引上げ及び折返しを実現するまで、前記弁膜ステントの軸方向に沿って次第に腱索及び自己弁尖を引き上げることと、前記弁膜ステント搬送装置を引き抜くことと、を含む人工弁膜置換システムを操作する方法をさらに提供する。
【0055】
本願の一側面によれば、弁膜ステントと、弁挟み固定装置とを備える人工弁膜置換システムを提供し、弁挟み固定装置は、弁挟み機構及び弁挟み機構に配置される抱締材を備え、そのうち、弁挟み固定装置は、第1形態及び第2形態を有し、弁挟み固定装置が第1形態にある場合、弁挟み機構は、局所の自己弁尖を挟持する方式で予め自己弁膜の中間領域に固定されるように構成され、抱締材は緩み形態にあり、自己弁尖は、局所的に開閉する機能を保持することができ、弁挟み固定装置が第2形態にある場合、弁膜ステントは径方向に拡張して弁挟み機構及び抱締材を同期して展開するように動かし、抱締材は、腱索、自己弁尖及び隣接する組織を次第に引き上げ、最終的に自己弁尖の折返しを実現する。
【0056】
一実施例によれば、弁膜ステントが径方向に拡張して弁挟み機構及び抱締材を同期して展開するように動かす時、抱締材は、自己弁尖及び腱索を抱締材と弁挟み機構との接続点の方向に変位するように牽引して一部の自己弁尖を折り返されるように動かし、最終的に、抱締材は、一部の自己弁尖及び腱索、弁挟み機構を取り囲んで弁膜ステントの外周に固定する。
【0057】
一実施例によれば、弁挟み機構が自己弁尖を捕捉して挟持する過程において、弁挟み機構の心房方向への移動により、一部の自己弁尖及び腱索は、弁挟み機構内及び/又は自己弁輪の下方と抱締材との間に折り返され、このようにして弁尖の高さを引を上げ、左室流出路に対する阻隔を回避することができる。
【0058】
一実施例によれば、第1挟持半体及び第2挟持半体は、取外可能に接続され、且つ、第1挟持半体及び第2挟持半体はそれぞれ、異なる自己弁尖を捕捉して挟持することができる。
【0059】
他の一実施例によれば、第1挟持半体及び第2挟持半体は、2つの独立部材であり、且つ外鞘管内に軸方向に配列され、第1挟持半体及び第2挟持半体は、互いに独立して異なる自己弁尖を捕捉して挟持することができる。
【発明の効果】
【0060】
関連技術と比較し、本願の利点及び有益な技術的効果は、少なくとも以下に挙げられるものを含む。
【0061】
1.従来の弁膜プロテーゼは、植込み手術後に、自己弁輪に支持された径方向の支持力により弁膜プロテーゼをアンカー固定することが多く、そうすると、原生弁輪に圧迫を与え、長期使用に明らかに不利であり、そのアンカー固定の欠陥が明白であり、且つ、弁尖を利用してステントをアンカー固定する既存の方案は、左室流出路に阻隔する影響を解決することができず、本願の一実施例によれば、弁挟み機構を利用して自己弁尖を捕捉、挟持して「縁対縁」に似た修復を実現することで、弁膜の逆流を有効に減少することができ、同時に置換の弁膜ステントが植え込まれる前に、自己弁膜が依然として正常に作動でき、手術のために時間を稼ぎ、合併症を有効に低減させ、同時に、弁膜ステントが内芯管に沿って順調に弁挟み機構の中間領域に到着でき、位置決めが正確で且つ操作がより便利であり、弁膜ステントは径方向に拡張して弁挟み機構及び抱締材を同期して展開するように動かしている時、抱締材は、腱索及び自己弁尖を抱締材と弁挟み機構との接続点の方向に変位するように牽引して自己弁尖を上に引き上げられるように動かし、置換後に自己弁尖による左室流出路への邪魔が回避され、最終的に、抱締材は、一部の自己弁尖及び腱索、弁挟み機構を取り囲んで弁膜ステントの外周に固定し、そのアンカー方式は、径方向に自己弁輪を支持することを回避し、原生弁膜の形態に不利な影響を与えることを回避すると同時に、関連技術における僧帽弁置換術の治療に関する2つの大きな技術的ペインポイントを解決することができ、良い臨床意義を有する。
【0062】
2.関連技術において、抱締材は、弁膜ステントを固定する役割しか果たせず、自己弁尖による左室流出路への邪魔の影響を解決できず、関連技術との区別として、本願の一実施例において、弁挟み機構は、先に自己弁尖にアンカーされ、抱締材と弁挟み機構との接続点は自己弁尖の先端部分と腱索組織との接続箇所よりも高く、且つ、抱締材の長さは一定であり、弁膜ステントが径方向に拡張している時、抱締材は、弁挟み機構との接続点の位置に向かって上に移動し、この過程において、抱締材は、前記接続点を支点として腱索を引っ張って、さらに自己弁尖を上に引き上げられるように動かし、これにより、最終的に、抱締材が弁膜ステントを締め付け、その径方向における自己弁輪の支持を回避することができ、同時に自己弁尖による流出路への邪魔を有効に回避でき、良い臨床意義を有する。
【0063】
3.関連技術との区別として、本願の一実施例において、第1挟持半体の一端及び第2挟持半体の一端にはいずれも、弁尖収容キャビティが設けられ、これにより、弁挟み機構は弁尖を捕捉、挟持する時、一部の自己弁尖を弁尖収容キャビティ内に折り返すことができ、折り返された後の弁尖の長さが短縮され、このようにして左室流出路に対する阻隔が有効に回避され、原生弁尖組織が置換後に血流に与える影響が減少され、特に僧帽弁の置換に用いられる場合、僧帽弁前尖が長いという生理的特徴に対しては、非常に適しており、良い臨床意義を有する。
【0064】
4.関連技術との区別として、本願の一実施例において、位置決め輪は、弁挟み機構に弁輪又は心房でのロック力を提供し、これにより、第1挟持半体及び第2挟持半体が弁尖を捕捉して挟持した後且つ弁膜ステントがまだ解放位置に進入していない時、弁挟み機構は、心内の位置に良好に保持可能であり、弁挟み機構が滑り落ちることが回避される。
【0065】
5.関連技術との区別として、本願の一実施例において、内芯管は、弁挟み機構の取外接続を制御することもできるし、操作時間が大幅に短縮され且つ操作精度が高まることが可能となるように、弁膜ステントが弁挟み機構内に進入する案内路線とすることもでき、拡大端は第1取外可能式連携セグメントと第2取外可能式連携セグメントとの中間から撤退されればよく、その後、弁膜ステントは次第に径方向に拡張して機能形態に復帰する過程において第1挟持半体及び第2挟持半体に径方向の拡張力を提供して、それらに取外し、分離を完成させ、構造の組み立てが簡単で、取り外す操作も非常に便利であり、臨床手術の展開に有利であり、良い臨床意義を有する。
【0066】
6.関連技術との区別として、本願の一実施例において、抱締材の弁挟み機構における接続点の高さが異なり、具体的には、抱締材の前弁尖領域での高さは抱締材の後弁尖領域での高さよりも大きく、これは前弁尖を顕著に引き上げ、左室の流出路への邪魔を回避することもできるし、抱締材による後弁尖領域の腱索への過度な引張りを回避し、腱索組織を保護することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1a-1c】本願の一実施例による弁膜ステント、弁挟み固定装置及び抱締材の構造の模式図である。
【
図2a-2j】本願の一実施例による弁挟み固定装置の細部及び作動原理の模式図である。
【
図3a-3d】本願の他の一実施例による抱締材を示している。
【
図4a-4d】本願の一実施例による外鞘管が心臓に進入する過程の模式図である。
【
図5a-5k】本願の一実施例による弁挟み固定装置、抱締材と弁膜ステントとが連携して弁膜の置換を完成させる過程の模式図である。
【
図6a-6c】本願の一実施例による設けられた位置決め輪の実施形態を示している。
【
図7a-7h】本願の一実施例による位置決め輪の作動原理の模式図である。
【
図8a】本願の他の一実施例による位置決め輪を示している。
【
図9a-9d】本願の他の一実施例によるバルーン拡張ステントの模式図を示している。
【
図10a-10b】本願の他の一実施例による模式図を示している。
【
図11a-11b】本願の他の一実施例による模式図を示している。
【
図12a-12c】本願の他の一実施例による模式図を示している。
【
図13a-13b】本願の他の一実施例による模式図を示している。
【符号の説明】
【0068】
1・・・弁膜ステント、11・・・位置決め輪、2・・・弁挟み固定装置、21・・・弁挟み機構、211・・・第1挟持半体、2111・・・第1取外可能式連携セグメント、2112・・・第1支持セグメント、212・・・第2挟持半体、2121・・・第2取外可能式連携セグメント、2122・・・第2支持セグメント、213・・・歯、214・・・弁尖収容キャビティ、215・・・拡張可能通路、22・・・捕捉制御材、23・・・取外制御材、24・・・位置決め輪制御材、25・・・挟持部材、3・・・抱締材、4・・・内芯管、41・・・拡大端、5・・・位置決め輪、51・・・棒状支持材、52・・・スカート、53・・・自己弁輪適応セグメント、54・・・心房組織適応セグメント、55・・・骨格、56・・・膜、6・・・外鞘管、7・・・弁膜ステント搬送装置、8・・・接続構造、9・・・固定クランプ材、10・・・弁挟み材、101・・・心房支持セグメント、102・・・心室セグメント。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本願において、「近端」とは手術操作者に近い一端であり、「遠端」とは手術操作者から遠い一端である。
【0070】
実施例1
図1a~1c及び
図2a~2jに模式的に示すように、本願の一実施例によれば、人工弁膜置換システムを提供し、これは、弁膜ステント1及び弁膜ステント1とともに配置された弁挟み固定装置2を備えてもよい。
図1a~1bに示すように、弁挟み固定装置2は、弁挟み機構21及び弁挟み機構21に配置される抱締材3を備えてもよい。
【0071】
弁挟み機構21は、
図1a~1c及び
図2a~2jに示すように、形状記憶合金からなる2つの半体、即ち、第1挟持半体211及び第2挟持半体212で構成されてもよい。該第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、
図2eに示すように各々一体的に成形可能であり、且つ
図2a~2bに示すように、手術の前に、二者は、内芯管4(後文で詳述する)を囲むように、一緒に内芯管4に嵌められた全体的にスリーブ状に類似する構造を構成し、且つ外鞘管6により外からしっかりと覆われ且つ管6内に拘束されることが可能である。
【0072】
図1b及び2cに示すように、第1挟持半体211及び第2挟持半体212はそれぞれ、異なる自己弁尖を捕捉して挟持することができる。
【0073】
図2e~2gに示すように、第1挟持半体211及び第2挟持半体212にはいずれも、歯213が設けられ、その歯213は、自己弁尖に噛み付き、第1挟持半体211、第2挟持半体212と自己弁尖との間の相対位置を固定することができる。
【0074】
歯213は、その第1挟持半体211及び第2挟持半体212がしっかりと自己弁尖に噛み付けるように、尖歯、小柱、逆刺又は他の弁尖を固定可能な構造であってもよい。
【0075】
図1b及び2gに示すように、第1挟持半体211の一端及び第2挟持半体212の一端にはいずれも、弁尖収容キャビティ214が設けられ、第1挟持半体211及び第2挟持半体212が自己弁尖を捕捉して挟持する場合、一部の自己弁尖が弁尖収容キャビティ214内に折り返される。
【0076】
より具体的には、
図2eに示すように、第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、
図2eに示すように、相補的な、互いに連携(例えば嵌合)する形状を有し、且つ取外可能な接続を形成することができ、例えば力が加えられる時、例えば内芯管4の拡大端41によって連携部位から引き離される時且つ弁膜ステント1が連携(例えば嵌合)部位から広げられる時、互いに分離することができる。
【0077】
図2eに示すように、第1挟持半体211は、第1支持セグメント2112と、第1支持セグメント2112から延伸し且つそれと一体になる第1取外可能式連携セグメント2111と、第1取外可能式連携セグメント2111から一体的にさらに下に延伸する第1挟持セグメント2113とを有することができる。第1支持セグメント2112、例えば第1支持セグメント2112の主体の中には、レーザ切断により、依然として弾性片セグメント2131を介してそれと一体的に接続される例えば歯213を携帯可能な第1挟み爪2130が形成されてもよい。第1挟持セグメント2113は、類似的に弾性片セグメント2110を介して第1取外可能式連携セグメント2111と一体的に接続される。第1挟持半体211は、全体的に記憶合金で構成されてもよく、且つ弾性片セグメント2131、弾性片セグメント2110は、図面に示すように菱形波、S棒又は細い直線棒の構造を有するため、弾性変形しやすくなり、例えば手術前に外鞘管6内に入れるように真っ直ぐ伸びやすく(例えば、
図2b及び
図2eに示すように)、且つ手術時及び手術後に弁尖を折り返すように折れ曲がりやすくなる(
図2j~
図3dに示すように、且つ以下のように詳述する)。
【0078】
類似的には、
図2eに示すように、第2挟持半体212は、第2支持セグメント2122と、第2支持セグメント2122から延伸し且つそれと一体になる第2取外可能式連携セグメント2121と、第2取外可能式連携セグメント2121から一体的にさらに下に延伸する第2挟持セグメント2123とを有することができる。第2支持セグメント2122、例えば第2支持セグメント2122の主体の中には、レーザ切断により、依然として弾性片セグメント2132を介してそれと一体的に接続される例えば歯213を携帯可能な第2挟み爪2133が形成されてもよい。第2挟持セグメント2123は、類似的に弾性片セグメント2120を介して第2取外可能式連携セグメント2121と一体的に接続される。第2挟持半体212は、全体的に形状記憶合金で構成されてもよく、且つ弾性片セグメント2132、弾性片セグメント2120は、図面に示すように菱形波、S棒又は細い直線棒の構造を有するため、弾性変形しやすくなり、例えば手術前に外鞘管6内に入れるように真っ直ぐ伸びやすく(例えば、
図2b及び
図2eに示すように)、且つ手術時及び手術後に弁尖を折り返すように折れ曲がりやすくなる(
図2j~
図3dに示すように、且つ以下のように詳述する)。
【0079】
図2bに示すように、第1支持セグメント2112、第1取外可能式連携セグメント2111及び第1挟持セグメント2113で一体的に構成される第1挟持半体211と、第2支持セグメント2122、第2取外可能式連携セグメント2121及び第2挟持セグメント2123で一体的に構成される第2挟持半体212とは、スリーブ状の構造で内芯管4に嵌められて外鞘管6内に入れられ、そのうち、第1取外可能式連携セグメント2111の2つの凸部2115と第2取外可能式連携セグメント2121の2つの相補的形状となる凹部2125とは、対応して互いに一緒に係合(又は嵌合と称される)されることで固定されて、第1挟持半体211及び第2挟持半体212がスリーブ状をなす構造が保持され、この時、内芯管4の拡大端41は既に、該第1取外可能式連携セグメント2111及び第2取外可能式連携セグメント2121により形成されたスリーブ内に突き込んでいる(
図2a~2bに示すように)。
【0080】
手術中、外鞘管6内に入れられた上記弁挟み機構21が手術位置に到達すると、近端(即ち、
図2cに示す直線矢印に沿った方向)に外鞘管6を引き戻して、先に第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123と、第1取外可能式連携セグメント2111及び第2取外可能式連携セグメント2121とを露出(解放)させる。この時、
図2c~2dのように、第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123は、露出されて解放され、それら自体の形状記憶効果(弾性片セグメント)により、その前の真っ直ぐ伸びた、第1及び第2支持セグメント2112、2122とほぼ一直線である状態からそれぞれ上に向かって(
図2cにおける湾曲矢印に示すように)第1及び第2支持セグメント2112、2122に折れ曲がる。手術中、このような状態において、自己弁尖は既に、第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123に載せられて宛がわれている。
【0081】
その後、外鞘管6をさらに引き戻し、第1支持セグメント2112及びそれにおける第1挟み爪2130と、第2支持セグメント2122及びそれにおける第2挟み爪2133とを露出させる(
図2f)。第1挟み爪2130及び第2挟み爪2133は、各々がそれら自体の形状記憶効果(弾性片セグメント)によりその前のそれぞれ第1及び第2支持セグメント2112、2122内に嵌められ且つその全体形状に順応した状態からその弾性片セグメントを介して変形し、下に向かって(
図2fにおける湾曲矢印に示すように)折れ曲がり、
図2h~2iに示すように、対応する第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123に押し当てられる。
図2jに示すように、手術中、このような状態において、その前に第1挟持セグメント2113に載せられて宛がわれた自己弁尖は、第1挟み爪2130と第1挟持セグメント2113との間に挟まれ、第1挟み爪2130における歯213が噛み付いて固定し、その前に第2挟持セグメント2123に載せられて宛がわれた自己弁尖は、第2挟み爪2133と第2挟持セグメント2123との間に挟まれ、第2挟み爪2133における歯213が噛み付いて固定する。
【0082】
この時、弁挟み機構21は、捕捉状態にあり、第1支持セグメント2112と第2支持セグメント2122との間には、
図2jに示すように、後続で進入した弁膜ステント1が進入してその拡張の空間を用意するための拡張可能通路215が形成される。
【0083】
弁膜ステント1が弁膜ステント搬送装置7により載持されて(例えば
図5c)内芯管4の経路に沿って進入し、第1及び第2支持セグメント2112、2122に嵌められて拡張可能通路215に進入した後(
図5e)に、内芯管4の拡大端41は、引き戻されて弁挟み機構21から分離し(
図5f)、且つ弁膜ステント1は、解放されて径方向に拡張(膨張)して機能形態になり、第1挟持半体211及び第2挟持半体212のさらなる分離を促すことができる(
図5g~5h)。
【0084】
抱締材3は、一般的に線状又は条帯状の可撓材で構成され、例えば第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123の末端における穿孔(
図2c~2d)を通過して、解放後に第1挟持セグメント2113及び第2挟持セグメント2123の位置(即ち、径方向に拡張)を拘束可能な1つの閉鎖的な輪又はループを形成する。
【0085】
抱締材3の十分に展開した状態での周長は、一般的に十分に拡張(膨張)した後の弁膜ステント1の横断面の円形の円周よりも小さく設定される。このように、弁膜ステント1が径方向に拡張(膨張)した後に抱締材3により所定のプレストレスでしっかりと締められる(この時、
図2j及び
図5i~5jに示すように、抱締材3は、さらに自己弁輪を中間に挟んでしっかりと締める)ことを確保し、且つ弁膜ステント1を、過度に拡張して自己弁輪のサイズよりも大きくなって損傷を与えることを回避するように拘束することができる。一方、弁膜ステント1が所定の位置に径方向に拡張して機能形態に復帰する過程において、弁膜ステント1が、自己弁尖を挟む弁挟み機構21に結ばれた抱締材3によりしっかりと締められてその径方向の支持を受けているため、弁膜ステント1は、抱締材3により間接的に自己弁尖組織に固定される。
【0086】
抱締材3は、全体的に可撓性の輪又はループであってもよく、例えばほぼ、可撓性を呈する条状、糸状、線状、撚線又は縄状材からなる輪又はループであってもよい。抱締材3の外周は、例えば被膜されてもよく、被膜されると、自己弁尖との間の摩擦力が増加可能となる。
【0087】
抱締材3は、閉ループ構造であり、又は弁挟み機構21と連携して閉ループ構造を形成してもよい。弁挟み機構21が自己弁尖を捕捉した後に、抱締材3は、自己弁尖の外周にあって自己弁尖を取り囲む(
図2j及び
図5i~5jの通りである)。
【0088】
弁膜ステント1は、例えば自己拡張式の網状ステントであってもよく、その形状は例えば、到達した手術箇所で拡張して所定の位置に固定可能な筒状構造である。
【0089】
弁膜ステント1には、手術時に心房内に位置決めされる位置決め輪11がさらに設けられてもよく、位置決め輪11は、自己弁輪の生理的構造に適応可能な形態として構成される。位置決め輪11には、弁周囲漏出の発生を回避するように被膜されてもよい。
【0090】
以上のことから、弁挟み固定装置2は、第1形態及び第2形態を呈することが可能である。
【0091】
弁挟み固定装置2が第1形態にある場合、弁挟み機構21は、自己弁尖の局所を挟持する方式で予め自己弁膜の例えば中間領域に固定されるように構成され、この時、抱締材3は、弁膜ステント1を締めていない緩み形態にある。この時、自己弁尖は、局所的に開閉する機能を保持できる。
【0092】
弁挟み固定装置2が第2形態にある場合、弁膜ステント1は径方向に拡張して弁挟み機構21及び抱締材3を同期して広がるように動かし、最終的に抱締材3によりしっかりと締められ、この過程において、抱締材3は、自己弁尖と腱索組織との間に位置し、次第に自己弁尖及び隣接する組織を上に引き上げて(例えば
図5hの上向き矢印に示すように)締め、挟まれた自己弁尖を上に引き上げて次第に折り返すように動かす。
【0093】
一例によれば、弁膜ステント1が径方向に拡張して弁挟み機構21及び抱締材3を同期して展開するように動かす時、抱締材3は、締めている自己弁尖及び腱索を、抱締材3と弁挟み機構21との接続点の方向に変位するように上に牽引し、自己弁尖を折り返すように動かし、最終的に、例えば
図1cに示すように、抱締材3は、一部の自己弁尖及び腱索、弁挟み機構21を周方向において弁膜ステント1の外周に固定する。
【0094】
一例によれば、弁挟み機構21が自己弁尖を捕捉して挟持している時、弁挟み機構21は、心房方向に移動し、且つ、弁膜ステント1が径方向に拡張してプリセット形態に復帰している時、弁膜ステント1及び抱締材3は協働して一部の自己弁尖を折り返すと同時に上に引き上げ、弁尖の位置を上昇させ、左室流出路を阻隔することを回避する。対照的に、僧帽弁の前自己弁尖の長さが長いため、従来の置換術では、前自己弁尖による左室流出路への邪魔が非常に著しくなる。本案を使用することにより、原生の自己弁尖組織が置換後に血流に与える影響を有効に減少することができ、これは、自己弁尖組織は、一部が折り返されて阻流のリスクが軽減されただけでなく、弁膜ステント1の径方向の拡張によって上に引き上げられ、左室流出路の血流を阻害する可能性も減少されたからである。
【0095】
人工弁膜置換システムの操作
本実施例1の僧帽弁弁膜を修復するための1つの模範的な操作過程は、以下の通りである。
【0096】
1.
図4a~4dに示すように、外鞘管6を下大静脈から心臓に進入するように操作し、そして、外鞘管6を弁挟み機構21が心房中隔を通過するように操作し、引き続き外鞘管6を湾曲するように操作して、弁挟み機構21を僧帽弁の弁口に正対させ、
2.
図5a~5bに示すように、弁挟み機構21の第1挟持半体211及び第2挟持半体212がそれぞれ僧帽弁の前尖及び後尖を捕捉し、且つそれぞれ第1挟み爪2130及び第2挟み爪2133と一緒に対応する前尖及び後尖を挟持するように、外鞘管6を操作し、具体的なステップは、例えば
図2a~2gに示されて記載されたものを関連して参照することができ、弁挟み機構21による弁尖の挟持済後に、外鞘管6を体内から引き抜き、内芯管4を原位置に残留させ、
3.その後、
図5c~5eに示すように、弁膜ステント搬送装置7を進入するように操作し、内芯管4の経路に沿って心内に進入させ、
図5f及び5gに示すように、弁膜ステント1が弁挟み機構21の中間領域に進入すると、弁挟み機構21から取り外されて分離するように内芯管4を操作し(例えば後退させ)、その後、さらに弁膜ステント搬送装置7を操作して、弁膜ステント1を径方向に拡張して機能形態に復帰するように次第に解放し、
4.
図5h~5kに示すように、弁膜ステント1の径方向の拡張により、弁挟み機構21の第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、弁膜ステント1の外周に近づくか又はさらには、宛がわれるように、例えば
図3aの湾曲矢印に示す方向にさらに移動し、これにより、挟持された弁尖が部分的に折り返され、弁膜ステント1のさらなる径方向の拡張により、それは、外に拡張して弁膜ステント1の外周に締め付けている抱締材3に支持され、機能形態に復帰して心内にアンカー固定され、この時、自己弁尖は、抱締材3と弁膜ステント1との間に挟まれ、その後、弁膜ステント搬送装置7を体内から引き抜くことができる。
【0097】
実施例2
実施例2は、実施例1とほぼ同じであるが、該実施例における弁挟み機構21が位置決め輪5をさらに備える点で異なり、
図6a~6cに示すように、位置決め輪5は、弁挟み機構21に弁輪又は心房でのアンカー力を提供することができ、これにより、第1挟持半体211及び第2挟持半体212が弁尖を捕捉して挟持した後、且つ弁膜ステント1がまだ解放位置に進入していない時、弁挟み機構21は心内の位置に良好に保持可能であり、弁挟み機構21の脱落の発生が回避される。
【0098】
本実施例において、弁挟み固定装置2は、弁挟み機構21及び抱締材3を備えてもよく、且つ抱締材3は、弁挟み機構21に配置されてもよい。本実施例においては、位置決め輪5はさらに設けられ、位置決め輪5は、弁輪の生理的構造に適応する形態として構成可能であり、そのうち、弁挟み固定装置2は、第1形態及び第2形態を有することができ、弁挟み固定装置2が第1形態にある場合、弁挟み機構21は、局所の自己弁尖を挟持する方式で予め自己弁膜の例えば中間領域に固定されるように構成可能であり、抱締材3は緩み形態にあってもよく、自己弁尖は、局所的に開閉する機能を保持することができ、位置決め輪5は、心房内に位置し、弁挟み固定装置2が第2形態にある場合、弁膜ステント1は、径方向に拡張して弁挟み機構21及び抱締材3を同期して展開するように動かすことができ、抱締材3は、自己弁尖及び隣接する組織を次第に引き上げ、最終的に自己弁尖の折返しを実現することができる。
【0099】
より具体的には、本実施例において、
図6a~6cに示すように、位置決め輪5は、放射状の棒状支持材51からなってもよく、該棒状支持材51は、弁膜ステントの左右の揺れを有効に防止し、弁周囲漏出の発生を減少又は回避することに寄与することができる。棒状支持材51は、2つの主支持材511及び少なくとも1つの補助支持材512を備えてもよく、棒状支持材51の一端は、固定端として位置決め輪の本体に固定接続されてもよく、棒状支持材51の他端は、遊離端として遊離し、隣り合う棒状支持材51の間には、例えば可撓性のスカート52が設けられてもよく、例えば
図6cに示すように、位置決め輪5は完全に解放されると、自己適応して閉ループ構造、例えばD状構造となることが可能であり、主支持材511の遊離端の結び線は、D状構造を提供する直線セグメントをなしてもよく、補助支持材512の遊離端は、D状構造の弧線セグメントに位置してもよい。
【0100】
本実施例において、人工弁膜置換システムは、捕捉制御材22、取外制御材23及び位置決め輪制御材24をさらに備えてもよく、そのうち、取外制御材23は、第1挟持半体211及び第2挟持半体212の取外し、分離を制御することができる。
【0101】
本実施例において、予備組立時に、第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、互いに接合され、真っ直ぐに引かれた形態で外鞘管6内に入れられ、弁挟み固定装置2が自己弁膜の例えば中間領域にあり且つ自己弁尖を捕捉する必要がある時、外鞘管6の外鞘は、近端に撤退され、さらに捕捉制御材2を操縦することで、第1挟持半体211の遠端及び第2挟持半体212の遠端を解放させてプリセット形態に復帰させ、その弁挟み固定装置2を第1形態にさせることができる。
【0102】
本実施例において、第1挟持半体211及び第2挟持半体212が自己弁尖を捕捉して挟持した後に、外鞘管6の外鞘は弁挟み固定装置2がすべてむき出しになるように、引き続き近端に撤退され、位置決め輪制御材24を操縦することで、その位置決め輪5を解放させてプリセットされた形態に復帰させ、位置決め輪5は、患者自体の弁膜、弁輪の不均一な輪郭に順応可能であり且つ心房の収縮機能を制限しない。
【0103】
本実施例において、
図7eに示すように、第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、独立した2つの部材で、且つそれぞれ位置決め輪5に固定接続されてもよく、第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、例えばいずれも金属記憶合金材料、例えばニッケルチタン合金を採用して作られてもよい。
【0104】
本実施例において、位置決め輪5は、プリセットされた形態を有し、
図6bに示すように、位置決め輪5は、メッシュ状又は「Z」字型構造又は波形状構造を呈してもよく、このような構造により、位置決め輪5は、依然として弾性変形の範囲内にありながら、大規模のサイズ調整を行うことができる。
【0105】
本実施例において、位置決め輪5及び弁挟み機構21は、一体式構造であってもよく、
図8aに示すように、別体式構造であってもよい。
【0106】
本実施例において、位置決め輪5は、金属記憶合金材料、例えばニッケルチタン合金を採用して作られてもよく、且つ位置決め輪5は被膜されてもよい。
【0107】
本実施例2の僧帽弁弁膜を修復する1つの模範的な操作過程は、以下の通りである。
【0108】
1.
図4a~4dに示すように、外鞘管6を下大静脈から心臓に進入するように操作し、そして、外鞘管6を弁挟み機構21が心房中隔を通過するように操作し、引き続き外鞘管6を湾曲するように操作して、弁挟み機構21を僧帽弁の弁口に正対させる。
【0109】
2.
図7c~7gに示すように、外鞘管6の外鞘を操作して近端に撤退させ、さらに捕捉制御材2を操縦することにより、第1挟持半体211及び第2挟持半体212を、遠端が解放されてプリセット形態に復帰し、且つそれぞれ僧帽弁の前尖及び後尖を捕捉して挟持するようにでき、弁挟み機構21が弁尖を挟持した後に、引き続き外鞘管6の外鞘を弁挟み固定装置2がすべてむき出しになるように近端に撤退させ、位置決め輪制御材24を操縦することで、その位置決め輪5を解放させてプリセットされた形態に復帰させ、外鞘管6を体内から引き抜き、内芯管4を原位置に残留させる。
【0110】
3.
図7hに示すように、弁膜ステント搬送装置7を内芯管4の経路に沿って心内に進入するように操作し、弁膜ステント1が弁挟み機構21の中間領域に進入すると、取外制御材23を操縦してその第1挟持半体211及び第2挟持半体212を互いに分離させ、さらに、弁膜ステント搬送装置7を操作し、弁膜ステント1を径方向に拡張してプリセット形態に復帰するように次第に解放する。
【0111】
4.弁膜ステント1の径方向の拡張により、弁挟み機構21の第1挟持半体211及び第2挟持半体212は、弁膜ステント1の外周に宛がわれ、さらなる径方向の拡張により、それは、抱締材3を支持し、プリセット形態に復帰して心内にアンカー固定され、自己弁尖は、抱締材3と弁膜ステント1との間に挟まれ、そして、弁膜ステント搬送装置7を体内から引き抜く。
【0112】
これに関しては、実施例2の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0113】
実施例3
実施例3は、実施例1とほぼ同じであるが、該実施例における弁膜ステント1がバルーン拡張ステントである点で異なる。
【0114】
本実施例において、
図9a~9dに示すように、弁膜ステント1は、バルーン拡張弁膜であってもよい。弁挟み機構21が自己弁尖を捕捉して挟持している時、弁挟み機構21は、心房方向に移動する。弁膜ステント1が弁挟み機構21の例えば中間領域にある場合、弁膜ステント1を径方向に拡張して機能形態に復帰するように解放することができ、弁膜ステント1及び抱締材3は、協働して一部の自己弁尖を次第に、度合が増大するように折り返すことができ(
図3d及び
図5b~5jのように)、同時に、上に引き上げる(例えば
図5hの上向き矢印に示すように)とともに自己弁尖を上に引き上げて折り返すように動かすことができ、これにより、左室流出路がさらに広がり、自己弁尖が左室流出路を阻隔するリスクが小さくなる。それに比べて、僧帽弁の前自己弁尖の長さが長いため、従来の置換術では、前自己弁尖による左室流出路への邪魔が非常に著しくなり、一方、バルーン拡張ステントの軸方向の高さがより短く、ステントが植え込まれた後に、左室流出路の血流に与える影響をさらに小さくすることができる。本願のこの発明構想及び技術的効果は明らかに、業界内で長らく解決されていないこの技術的課題を解決した。
【0115】
これに関しては、実施例3の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0116】
実施例4
実施例4は、実施例3とほぼ同じであるが、
図10a及び10bに示すように、該実施例における抱締材3と弁挟み機構21との接続点の高さが異なるため、抱締材3が標的に自己弁尖を引き上げる点で異なる。
【0117】
本実施例において、該置換システムが僧帽弁弁膜の取替えに用いられる場合、抱締材3と弁挟み機構21との接続点の位置の高さが異なり、具体的には、前弁尖領域における抱締材3と弁挟み機構21との接続点が後弁尖領域の接続点よりも高い。このように設計する利点は、生理解剖構造から分かるように、前弁尖の長さが長く、且つ置換後に、前弁尖が左室流出路を遮りやすいため、抱締材3の前弁尖領域における弁挟み機構21との接続位置が高く、第2形態の場合、抱締材3は、前弁尖に対する引上げ幅のほうが大きく、前弁尖が左室流出路に影響を与えないことを確保し、一方、後弁尖領域において、抱締材3の引張り幅が小さく、これは、抱締材3による腱索組織への過度な引張りを回避でき、組織の保護に有利であることにある。
【0118】
これに関しては、実施例4の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0119】
実施例5
実施例5は、実施例1とほぼ同じであるが、
図11a及び
図11bに示すように、該実施例における弁挟み機構21が複数の挟持部材25を備え、且つ、前記抱締材3と各前記挟持部材25との接続点の高さが異なるため、前記第2形態において、前記抱締材3が波形状の形態を呈する点で異なる。
【0120】
本実施例において、前記弁挟み機構21は、複数の挟持部材25を備え、且つ、前記抱締材3と各前記挟持部材25との接続点の高さが異なるため、前記第2形態において、前記抱締材3は波形状の形態を呈する。
【0121】
本実施例において、前弁尖領域における挟持部材25と抱締材3との接続位置が後弁尖領域の挟持部材25と抱締材3との接続位置よりも高く、このように設計するのは、生理解剖構造から分かるように、前弁尖の長さが長く、且つ置換後に、前弁尖が左室流出路を遮りやすいため、抱締材3の前弁尖領域における弁挟み機構21との接続位置が高く、第2形態の場合、抱締材3は、前弁尖に対する引上げ幅のほうが大きく、前弁尖が左室流出路に影響を与えないことを確保し、一方、後弁尖領域において、抱締材3の引張り幅が小さく、これは、抱締材3による腱索組織への過度な引張りを回避でき、組織の保護に有利であることを目的としている。
【0122】
これに関しては、実施例5の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0123】
実施例6
実施例6は、実施例1とほぼ同じであるが、該実施例における弁膜ステント1に、自己弁尖を挟持するために用いられ、一定のアンカーの役割を果たすと同時に弁尖と弁膜ステント1との密着度を増加させ、良好な漏れ防止の役割を果たすこともできる固定クランプ材9が設けられる点で異なる。
【0124】
本実施例において、
図12a~12cに示すように、前記弁膜ステント1には、固定クランプ材9が設けられ、且つ、前記第2形態において、前記固定クランプ材9は、自己弁尖を前記弁膜ステント1と固定クランプ材9との間に挟まれるようにクランプする。
【0125】
本実施例において、前記固定クランプ材9の位置は弁挟み機構21と重畳しない。
【0126】
これに関しては、実施例6の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0127】
実施例7
実施例7は、実施例1とほぼ同じであるが、該実施例における弁挟み固定装置2が単一の弁挟み材10しか有せず、抱締材3の一側が弁挟み材10に接続され、抱締材3の他側が心室セグメント102に接続される点で異なる。
【0128】
本実施例において、
図13a及び13bに示すように、前記弁挟み固定装置2は、単一の弁挟み材10、心房支持セグメント101、心室セグメント102及び抱締材3を備え、そのうち、前記抱締材3は、それぞれ前記弁挟み材10及び心室セグメント102に接続され、且つ、前記弁挟み固定装置2の中心軸線と平行である断面において、前記抱締材3は傾斜形態を呈し、前記心房支持セグメント101は、心房内に位置して弁挟み固定装置2に支持力を提供し、前記弁挟み材10は、心室セグメント102に接続されて前弁尖側に位置し、前記抱締材3は、弁挟み材10に接続され、且つ前記抱締材3は、後弁尖領域に位置する心室セグメント102に固定接続され、これにより、前記弁挟み固定装置2の中心軸線と平行である断面において、前記抱締材3は傾斜形態を呈する。
【0129】
本実施例において、前記弁挟み材10は、前弁尖を挟持するために用いられ、且つ、前記抱締材3の弁挟み材10領域での高さは前記抱締材3の後弁尖領域での高さよりも高く、このように設計するのは、弁挟み固定装置2が所定の位置に取り付けられ後に、前弁尖及び関連する腱索組織を標的に上に引き上げ、左室流出路に影響を与えることを回避し、一方、後弁尖領域において、前記抱締材3は明らかに腱索及び後弁尖を引っ張ることなく、原生組織に対する影響を減少させることを目的としている。
【0130】
これに関しては、実施例7の関連構造及び構想は実施例1に類似するため、ここでは繰り返し説明しない。
【0131】
説明の目的のために、本願の例示的な実施例についての前文の説明を提出している。前文の説明は網羅的なものであることを意図せず、本願を開示された精確な配置及び/又は構成に限定するわけでもなく、上文の指導によれば、当業者であれば、本願から逸脱することなく多くの修正及び変形を行うことができることは明らかである。本願の範囲及び均等物は、添付された特許請求の範囲によって限定されることを意図している。
【国際調査報告】