(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】単結晶の安全な製造のためのPVTプロセスおよび装置
(51)【国際特許分類】
C30B 23/06 20060101AFI20240905BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C30B23/06
C23C14/24 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517075
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075759
(87)【国際公開番号】W WO2023041703
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021123991.5
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524102187
【氏名又は名称】ピー・ヴィ・エー テプラ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】PVA TEPLA AG
【住所又は居所原語表記】Im Westpark 10-12,35435 Wettenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ショーラー、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル、ローレンツ
(72)【発明者】
【氏名】フィーマン、カーステン
(72)【発明者】
【氏名】バウメッカー、トーマス
【テーマコード(参考)】
4G077
4K029
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BE08
4G077DA07
4G077EG18
4G077EG22
4G077HA12
4K029BA56
4K029CA01
4K029DA04
4K029DB05
4K029DB12
4K029DB19
(57)【要約】
単結晶の安全な製造のためのPVTプロセスおよび装置
PVTプロセス中でプロセスガスとして水素を使用するために、プロセスを安全に遂行することができることを保障するための特有の安全手段を確立する。PVTプロセスを遂行するための装置は、高度に加熱可能な成長セル(1)を有し、これがプロセスチャンバ(4)内に配置され、その壁が耐熱性の石英ガラスからなる。プロセスチャンバ(4)は、インレットバルブ(5)を介して水素で充填される。加熱デバイス(6)は、プロセスチャンバ(4)を成長セル(1)のレベルで取り囲む誘導コイル(7)からなると共に、成長セル(1)を、2,000℃を越え2,400℃まで加熱する。しかしながら、水素の使用は、このことは完全には排除できないが、もしもプロセスチャンバ(4)の石英ガラスが破損する場合、水素が周囲空気内の酸素と混合し、装置の熱い部分で直ちに着火することがある着火可能なガス混合物を生成する可能性がある。プロセスチャンバ(4)は、このために封入容器(8)により取り囲まれており、これに不活性ガスが充填される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内での単結晶のプロセス安全的な製造のためのPVT方法であって、前記装置は高度に加熱可能な成長セル(1)と、前記成長セル(1)が配置されるプロセスチャンバ(4)と、前記プロセスチャンバ(4)を取り囲み、前記成長セル(1)を加熱するための加熱デバイス(6)とを備え、膨張性の材料(2)と、シード(3)とが前記成長セル(1)に導入され、前記プロセスチャンバ(4)がプロセスガスで充填され、前記成長セル(1)が加熱されて、前記ソース材料(2)が昇華および前記シード(3)で再昇華されるものであり、前記プロセスガスが部分的にまたは完全に反応性ガスからなり、前記プロセスチャンバ(4)が封入容器(8)内に配置され、前記封入容器(8)の容器壁(9)と前記プロセスチャンバ(4)との間の中間チャンバ(12)が前記ソース材料(2)の昇華が開始される前にその内部に存在する空気を置換するために保護雰囲気が充満されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記反応性ガスは、水素を含むかまたは水素からなり、および/または前記保護雰囲気が不活性ガスを含むかまたは不活性ガスからなることを特徴とする、請求項1に記載のPVTプロセス。
【請求項3】
前記封入容器(8)は、それが外部へのガス損失を許容すると共に、不活性ガスがガス損失を補償するため、かつ前記封入容器(8)内の陽圧を維持するために供給されることを特徴とする、請求項1または2に記載のPVTプロセス。
【請求項4】
前記封入容器(8)を充満するために、最初に空気よりも重い不活性ガスをその下側領域に入ることを許容し、前記空気を上側に置換し、その目的のために前記封入容器(8)の上端の閉鎖可能なアウトレットを前記空気が脱出するまで開いておくことを特徴とする、請求項3に記載のPVTプロセス。
【請求項5】
前記最初の不活性ガスがアルゴンであることを特徴とする、請求項4に記載のPVTプロセス。
【請求項6】
前記封入容器(8)が前記第1の不活性ガスで一度または数度充満された後、それが例えば窒素といった第2の不活性ガスにより交換されることを特徴とする、請求項4または5に記載のPVTプロセス。
【請求項7】
前記封入容器(8)は前記反応性ガスを検出することができるガスセンサ(17)を有すると共に、前記プロセスチャンバ(4)への前記プロセスガスの供給を、前記ガスセンサ(17)が前記封入容器(8)内で前記反応性ガスを検出した場合に停止することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のPVTプロセス。
【請求項8】
PVTプロセスによる単結晶のプロセス安全的な製造のための装置であって、高度に加熱可能でソース材料(2)と、シード(3)とを収容する成長セル(1)と、前記成長セル(1)が配置され、それをプロセスガスで充填するためのガスソースへの接続を有するプロセスチャンバ(4)と、前記成長セル(1)を加熱するための加熱デバイス(6)とを有するものであって、前記装置が容器壁(9)を有し、その内部に前記プロセスチャンバ(4)が配置される封入容器(8)を有すると共に、前記封入容器(8)が前記PVTプロセスが遂行される前に前記封入容器(8)の前記容器壁(9)と、前記プロセスチャンバ(4)との間の中間チャンバ(12)を保護雰囲気で充満するための保護ガスソース(14、15)への接続を有することを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記封入容器(8)は、それが外部へのガス損失を許容するように構成され、それが圧力センサ(18)を有すると共に、前記圧力センサ(18)が制御デバイス(19)へと信号接続され、前記制御デバイス(19)が前記封入容器(8)内の陽圧を前記圧力センサの信号に基づいて設定するように設計されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の意図する設置に関連して、不活性ガス接続が前記封入容器(8)の下側領域に配置されると共に、閉鎖可能なアウトレットがその上部領域に配置されることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記封入容器は、2つの異なる不活性ガスのための2つの不活性ガス接続を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項12】
前記封入容器(8)は、反応性ガスに応答するガスセンサ(17)を含むことを特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記成長セル(1)は、シリコンカーバイドをソース材料(2)として搭載すると共に、前記プロセスチャンバ(4)は、反応性ガスとしての水素で充満されることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内における単結晶のプロセス的に安全な製造のためのPVTプロセスに関し、この装置は、高度に加熱可能な成長セルと、成長セルが配置されるプロセスチャンバと、成長セルを加熱するため、プロセスチャンバを取り囲む加熱デバイスとを有し、ソース材料と、シードとが成長セルに導入され、プロセスチャンバがプロセスガスで充填され、成長セルが加熱されてソース材料が昇華され、かつシード上で再昇華される。
【背景技術】
【0002】
工業的な環境においては、所謂物理的気相トランスポート法(PVT)プロセスは、単結晶のシリコンカーバイド結晶(SiC結晶)を製造するために標準的な方法として考えられている。ソース材料は、通常、多くの異なる結晶を含有する粉体である。バルク結晶の使用は、また可能である。高温の化学的気相堆積法(HT-CVD)プロセスは、代替的なプロセスとして知られている。PVTプロセスにおいては、結晶成長は典型的にグラファイトからなる成長セル内で、SiCソースの昇華、および2000℃を越える温度で所定のSiCシード上での結晶化を含んで発生する。結晶成長の駆動力は、加熱デバイスにより成長セルに対して加えられる温度勾配である。PVT装置を加熱するための共通の方法は、抵抗ヒータまたは誘導ヒータを使用する。誘導加熱においては、真空気密プロセスチャンバの成長セル(ホットゾーン)は、非導電性材料、典型的には(石英)ガラスにより取り囲まれており、他のものの中でも結晶成長に影響するように使用されるプロセスガスを含んでいる。プロセスチャンバは、単一または二重壁とすることができ、それぞれ空冷または水冷とすることができる。典型的に使用されるプロセスガスはアルゴン、ヘリウム、窒素、水素および意図するドーピングのための可能な他のガスである。プロセス圧は、真空条件から大気圧までにわたる。ドープされたSiC単結晶の製造のための共通するプロセスにおいて、水素無しまたはごく僅かの水素が使用される。
【0003】
SiC単結晶は、それらの大きなバンドギャップおよび高い熱導電性のため、半導体技術において種々の用途のために使用される。
【0004】
SiC単結晶を製造するための底流のプロセスは、したがってすでに多くの文献の対象とされてきた。例えば、US2011/0300323A1を参照する。
これによると、不活性ガスがプロセスガスとして使用され、これは安全性の観点から問題とならない。また、EP 0 811 708A2、US2012/0086001A1、GB 772、691、DE 60 2004 001 802 T2およびEP 3 760 765 A1を先行技術とすることができる。
【0005】
とりわけドーパント添加の意図する影響または未ドープのSiC単結晶の製造のために遂行されるプロセスを可能とすることは、概念的出発点であり、かつ本発明の課題のうちの1つである。この出発点に関し、本発明は、最新の技術におけるよりも、より良い結果で、かつまたコスト効果の良い、反応性ガス、すなわち燃焼性および/または反応性の(また毒性の可能性がある)ガス、例えばプロセスガスとして5%を超え100%にまで至る濃度の水素の使用を開発する。
【0006】
水素原子といった反応性ガスのガス分子は、それら自体が成長単結晶の表面に付着するが、それに続くソース材料の昇華された成分により直ちに置き換えられる。この場合、水原子といった反応性ガス分子は、短時間の場所取りとなり、このため結晶格子は欠陥が少ないかまたは欠陥なく形成されることができる。反応性ガス分子はまた、他のプロセスガス、ソース材料またはホットゾーン材料と反応することができ、プロセスガス雰囲気中に入り込み、少なくとも一時的に結晶に付着することができる他の気体種を形成する。シラン、メタン、プロパンなどの可能な反応性ガスは、他の中でもシリコンおよび炭素の元素を提供し、これらが結晶内に取り込まれる。反応性ガスの添加は、全体的な欠陥密度に影響することができる(所望するおよび/または所望しないにせよ)。しかしながら、正確な影響は、多くのパラメータおよびそれらの相互作用に依存する。反応性ガスの添加は、結晶成長に影響を及ぼすために意図される。
【0007】
本発明の課題は、したがって結晶成長を改善または修正することを可能とするデバイスおよび方法を提供することにおいて見られる。
【0008】
本発明の実際的な側面またはさらなる改善において、反応性ガスを結晶成長の改善のために使用するデバイスおよび方法を提供することを課題の側面として認識することができる。
【0009】
本発明にさらなる側面またはさらなる改善において、課題は、低コストすなわち低い出費で改善された結晶を提供することができるデバイスおよび方法を提供することであろう。
【0010】
しかしながら、水素または他の反応性元素を含む反応性ガスの使用は、プロセスを遂行する際に危険となる可能性を提示する。反応性ガスとは、例えば燃焼性または可燃性および/または毒性のあるものである。水素の例の場合には、酸水素反応は、空気中の酸素で発生し、これは本明細書において水素が反応性ガスとして参照される理由である。ここで現在論点とされる反応性ガスの他の例としては、水素に加え、炭素およびシリコンまたは炭化水素およびそれらの誘導体(例えば:シランまたはメタン、プロパンなど)を含む前駆体を挙げることができる。
【0011】
加えて、今日における従来のデバイスにおけるプロセスチャンバは、典型的には石英ガラス製であり、これは砕けやすい性質で、破損しがちである。しかしながら、現在では石英ガラスを使用することが好ましく、この理由は、それが成長セルの高温に耐えることができると共に、誘導コイルの電磁場または抵抗ヒータの輻射熱を遮蔽しないことにある。誘導および抵抗ヒータの組みあわせがまた提供される。例えば、追加的な床または天井ヒータを抵抗ヒータとして設計すると共に、メインヒータを誘導ヒータとして設計することができる。原理的には、しかしながら、安全性の要請はまた、少なくとも例えば石英ガラスにおいても同様の方法でプロセスチャンバを提供するための他の構成材料についても適用される。
【0012】
プロセスチャンバが損傷した場合またはリークした場合、例えば石英ガラスが破損した場合、水素は、環境内の酸素と混合し、酸水素ガスが生成され、これは加熱デバイスにより着火され(ホットゾーン内の熱い要素、典型的にはプロセスチャンバ内のグラファイト部分)、爆発する。反応性ガスが使用される場合、既知のデバイスではプロセスを安全に遂行することは不可能である。
【0013】
本明細書で述べる-水素といった-反応性ガスは、既知のドーピングガスとは同等のものではない。既知の典型的なドーピングガスは、ここで所望される濃度において使用されない、および/または本明細書において使用される意味において他の仕方において可燃性でも反応性でもない。ドーピングガスは、結晶の周りにフラッシュされ、そのためプロセスは、完全にプロセスチャンバ内で発生する。このコンテキストにおいて、例えば、プロセスチャンバはまた、PVTプロセスを直接修正するためにアルゴンといった不活性ガスでパージされることができる。通常、ドーピングガスは、例えば電気的導電性といった結晶の物理および/または化学的特性に影響を与えるため、結晶内または結晶構造内に導入される-それから用語“ドーピングガス”が導出される-ことを意図する。言い換えれば、ドーピングガスの分子または成分は、後に結晶に一体化される部分を形成する。ドーピングガスのそのような分子または成分は結晶内に滞留し、かつ結晶内でそれが存在することが事後的に実証される。
【0014】
対照的に、水素といった反応性ガスは、ガス雰囲気の反応性成分として結晶成長およびドーパント導入に影響を与えることができるが、ドーパントガスのように結晶の物理的および化学的特性に影響を与えるために結晶を取り込まれることを意図するものではない。反応性ガスの着火、燃焼、爆燃、または毒性の可能性といった危険性のため、反応性ガスは、これまで結晶成長を改善するための使用について考慮されて来なかったか、または少なくともこの環境内での反応性ガスの取り扱いの安全性の側面は上述したように、十分に考慮されて来なかった。さらに使用される反応性ガスは、正しい用語の意味においてソース材料ではない。典型的なPVTプロセスにおいて、ソース材料は、SiC粉末である。古典的なPVTプロセスの変形例、例えばHT-CVDにおいて、水素は、通常、気体状のC-またはSi含有前駆体である実際のソース材料を輸送するキャリアガスとして使用されることができる。ガスは、すなわち前駆体およびドーパントのためのキャリアガスすなわち輸送媒質として提供される。ドーパントは、典型的には窒素、リン、アルミニウム、ホウ素またはバナジウムを含む固体、液体または気体の元素または化合物である。
【0015】
さらにこの開発および改善の部分として、プロセスチャンバを取り囲む封入容器が本明細書で設計された。さらに、プロセスチャンバと容器壁との間の領域における不活性ガスといった保護雰囲気が探索された。封入容器の1つの特定の目的は、プロセスチャンバの破損といった損傷事象において爆発性気体混合物を避ける、または阻止することにある。
【0016】
プロセスを安全に遂行するために、プロセスを遂行するための装置は、真空セル内に配置されることであろう。しかしながら、そのようなセルは、絶対的に真空気密とされるべきであり、かつしたがって、製造するのが比較的に複雑であり、その理由は装置に電気、ガスおよび可能性としては冷却流体を供給するために大量のフィードスルーが必要とされるためであり、それらはそれぞれ真空気密に用意されなければならないことである。
【0017】
他方で、製造容易および/または安価な装置内で遂行することができる単結晶の安全な製造のためのPVTプロセスを提案することは有効であろう。
【0018】
この問題は、独立請求項に規定される本発明により解決される。従属請求項は、本発明のさらなる実施形態および好ましい実施形態を提供する。
【0019】
この問題を解決するために、本発明はプロセスガスが部分的または完全に反応性ガスからなること、およびプロセスチャンバが安全な容器内に配置されること、ここでソース材料の昇華が開始される前にその内部に含まれる空気を置換するために、安全容器の容器壁とプロセスチャンバとの間の中間空間が保護雰囲気、例えば不活性ガスで充満されることを提供する。
【0020】
封入容器は、その後に反応性ガスの着火の可能性がある高温が出現するためソース材料の昇華が行われる場合、最後に充満される。安全性の理由から、しかしながら封入容器の充満は反応性ガスがプロセスチャンバ内に導入される前に行われるべきである。
【0021】
もしもプロセスチャンバがこの配置で損傷する場合-例えばもしもそれが破損した場合-プロセスチャンバ内の反応性ガスは、封入体内の、例えば不活性ガスといった保護雰囲気と混合して非爆発性のガス混合物を形成するので、高温環境においてさえ爆発は発生することができない。
【0022】
この安全措置は、反応性ガスが水素のように可燃性であるか、または爆燃性である場合に特に重要である。
【0023】
封入容器は、外部へのガスの損失をとりわけ少量で許容する、すなわち近似的にだけ気密であるような仕方で構成される場合に特に実装し易い。これは、高密閉性を考慮する必要が無く、かつ反応性ガスの所望されない反応がプロセスチャンバの外部で発生しないこととするので、封入容器の設計をよりコスト効果的にする。例えば、封入体は、0 l/minよりも大きな許容リークレートを有することができる。コスト上の理由のため、例えば、設計上の選択および構造のため、0≦リークレート≦5 l/minの範囲、または0≦リークレート≦30 l/minの範囲のリークレートを許容することが効果的であり、かつ問題が生じないであろう。例えば、許容されるリークレートは、2 ml/mimよりも大きいことができ、5 ml/minよりも大きいことは余り好ましくなく、10 ml/minはさらに重大に好ましくなく、50 ml/minまたは100 ml/minではさらに好ましくない。一方で、経済的な理由および作業場所の安全性の理由の可能性のため、封入容器の過剰に高いリークレートを許容することは想定されない。例えば、リークレートを30 l/min以下、好ましくは10 l/min以下、より好ましくは4 l/min以下、さらにより好ましくは、1 l/min、さらにより好ましくは500 ml/min以下、そしてさらにより好ましくは、150 ml/min以下に制限することが好ましい。目的は、リークレートを2 ml/minから50 ml/min、好ましくは、10 ml/minから20 ml/minの範囲とすることである。
【0024】
不活性ガスは、保護雰囲気を維持するため、例えばガス損失を補うためおよび封入容器内の陽圧を形成および/または維持するために添加することができる。陽圧は、周囲の酸素が外部から封入容器に入ることを防止する。このため、相対的な陽圧は、封入容器内において圧力制御システム手段により、例えば周囲圧よりも1 mBar以上、より好ましくは3 mBar以上、好ましくは5 mBar以上、周囲圧よりも50 mBar以下、好ましくは30 mBarまたはそれより低い範囲に維持することができる。しかしながら、リークレートが0 ml/minまたはリークレートが測定可能でないようなリークレートの完全にガス気密性の封入容器はまた、これにより基本的に包含され、それにおいて陽圧はまた、封入容器内で維持されることができる。
【0025】
封入容器からの空気の完全に可能な置換を保証するために、本明細書は、さらに最初に不活性ガスを封入容器に充満するため、封入容器内に導入することを提供することができる。最初の不活性ガスは、空気よりも重いので、封入容器の下側領域へと導入され、空気を上に移動する。例えば、封入容器の上端の閉鎖可能なアウトレットを空気の脱出まで開いたままとすることができる。
【0026】
好ましくは、保護雰囲気は、アルゴンと言った不活性ガスを含む。アルゴンが高密度なため、封入容器の底部に集まり、そして空気と混合すること無く空気をゆっくりと移動する。現在市販に利用できる保護雰囲気の他の例は、キセノン、窒素および二酸化炭素を挙げることができる。原理的に、保護雰囲気は、単独または混合物であれ、いなかる流体を含むことができ、これはプロセスチャンバからの反応性ガスの過剰なまたは許容できない漏れの事態において反応性ガスを中立化させ、および/または爆燃といった負の影響を防止するという保護機能を提供することができる。保護雰囲気は、例えばまた、標準的な雰囲気の正常な状態の下で液体または固体状態において存在することができる。
【0027】
空気が最初に不活性ガスにより移動されると、例えば別の、より安価な不活性ガスにより置換することができる。本発明は、したがってさらに、封入容器が最初に不活性ガスで一度又は何度か充満された後で、窒素といった第2の不活性ガスにより置換されることを提供する。
【0028】
反応性ガスがプロセスチャンバの破裂の事態において装置内に供給されないことを保証するために、封入容器が封入容器内での反応性ガスの存在を検出可能なガスセンサを有することが意図される。さらに、ガスセンサが封入容器内で反応性ガスを検出する場合に、プロセスチャンバに対するプロセスガス供給を停止することが提供される。
【0029】
さらなる開発において、ガス供給は、さらに圧力センサまたは圧力スイッチを介して停止されることができ、これは石英ガラスの破壊といった損傷事態にあって低圧が検出される場合において、プロセスチャンバ内の圧力をモニタする。例えば、p≦980 mbarAbs、好ましくは、p≦950 mbarAbs、より好ましくはp≦920 mbarAbsへの絶対圧の低下が検出目的のため検出される。反応性ガスの供給は、したがってまたプロセスチャンバとそれを取り囲む冷却デバイスとの間での水素といった反応性ガスの検出とは独立して停止されることができる。
【0030】
プロセスチャンバの開口、例えば石英ガラスが破損した場合は、例えば以下の基準の1つにより検出または指示されることができる。反応性ガス/水素が、封入体内のガスセンサにより検出される。代替的に、または重畳的に封入体内の陽圧が検出でき、かつ陽圧(例えばp≦大気圧よりも約2 mbar高い)が消失した場合に、プロセス故障を結論することができる。
【0031】
さらに、プロセスチャンバ内の圧力を代替的にまたは重畳的に測定することができ、この圧力がp≦950 mbarAbs(または920または980)が維持されている限り、プロセス故障は検出されないが、圧力閾値を超えることがプロセス故障を指示することができる。代替的にまたは重畳的に、プロセスチャンバ内での急激な圧力サージ/圧力上昇(導入されるべきガスによる最大可能な圧力増加レートよりも大きい圧力増加レート)をまた検出することができ、かつ石英ガラスの破損といったプロセス故障を指示することができる。上述した基準は、それぞれ互いに効果的に独立しており、個別的にまたは互いに組み合わせにおいて、プロセスガスまたは水素の供給を停止するために使用することができる。
【0032】
封入容器は、効果的に冷却機能を提供することができる。冷却機能は例えば、水といった冷却媒体が封入容器を取り囲んでまたは通して循環するように設計されることができる。例えば、封入体は、冷却媒体がそれを通して流れる冷却媒体ラインを有することができる。冷却媒体ラインは、封入容器の容器壁に取り付けることができるか、またはいかなる場合でも可能であれば熱伝導性ペーストの支援により熱伝導する仕方において接続されることができる。例えば、冷却媒体ラインは、容器壁にハンダ付けすることができる。例えば、冷却媒体ラインは銅を含むことができ、これは、施工が容易であるおよび/または特に熱的に導電性である。
【0033】
封入体は、プロセス条件の温度制御を提供するために装備されることができる。例えば、定温-または同様の温度範囲-は、この方法で設計された封入容器の手段により、大きく変動する可能性のある周囲環境によらず、いつでも維持することができる。例えば、環境は、日常の温度曲線または季節的な温度変動を含む可能性があり、または付近で発生するいかなる熱的プロセスによりまた影響を受ける可能性があり、それにより効果的に設計された封入容器は、プロセスからこれらの周囲条件を切り離すことが可能である。代替的にまたは重畳的に、冷却機能はまた、成長プロセスの温度制御を達成するため、プロセスパラメータ、すなわちプロセスチャンバ内の温度に応答して影響を受ける可能性がある。例えば、少なくとも1つの冷却媒体ラインを通る冷却媒体のフローレートは、周囲条件および/または除熱量の変化のためのプロセスパラメータに応答して変化することができる。環境および/またはプロセス温度が熱い場合、例えば、より多くの冷却媒体が循環されることができ、および/またはより冷たい冷却媒体が使用されることができ、および/または代替的な冷却媒体が充填されることができる。
【0034】
冷却媒体ラインは、容器壁の外側、好ましくは容器壁に熱的導電的に接続されるか、またはいかなる場合でも容器壁の近くに配置されるように配置されることができる。冷却媒体ラインは、その後、容器壁を冷却し、熱が装置の直ぐそばに輻射しないが、温度制御デバイスにより運び去られることを保障する。外側に冷却媒体ラインを配置することの効果は、冷却流体が内部へと侵入しないように、保護雰囲気内または保護容器の内部でシールされるべきフィードスルーをより少なくすることにある。
【0035】
例えば、容器壁は、二重壁、すなわち内壁と外壁とを有することができ、これにより冷却媒体ラインが容器壁の内壁と外壁との間に配置されることができる。冷却媒体ラインおよび冷却媒体ラインの固定具は、その後隠されて見えなくされ、かつ機械的損傷から保護される。温度制御デバイスはプロセスチャンバからの熱出力の顕著な割合を消失させることができるので、容器壁の外壁はそれが熱くならず材料選択または接触防止という意味での制限はないか、または制限が少ない。
【0036】
本発明はまた、PVTプロセスを使用する単結晶のプロセス安全的な製造のための装置に関し、これはソース材料と、シードとを適応させるための高度に加熱可能な成長セルと、成長セルが配置されると共にプロセスガスでそれを充填するためのプロセスガスソースへの接続を有するプロセスチャンバと、成長セルを加熱するための加熱デバイスとを有する。
【0037】
プロセスガスとして反応性ガスを用いてプロセス安全的な操作を確実にするために、本発明は、装置が容器壁を有する封入容器を有し、その内部にプロセスチャンバが配置され、封入容器が封入容器の内側壁と、プロセスチャンバとの間の中間空間にPVTプロセスが遂行される前に不活性ガスを充満することを可能とするための不活性ガスソースへの接続を有する。
【0038】
封入体は、外部へのガスの損失を許容するような方法で構成されることができる。それは圧力センサを有することができ、それにより圧力センサが制御装置に接続され、かつ制御装置は、封入体内の陽圧(周囲または大気圧に比較して)が圧力センサ信号に基づいて設定されるような方法で設計される。
【0039】
圧力センサはまた、圧力スイッチを含むか、または圧力スイッチから形成することができる。例えば、圧力センサは封入体内の不活性化と、大気圧または環境との間の圧力差を測定する差圧式圧力スイッチにより形成することができる。必要であれば、圧力センサは、圧力が過剰または調節可能な圧力差を下回って低下すると、例えば安全回路またはシャットオフのため、その後回路をトリガすることができる。
【0040】
装置の意図する設置を考慮して、封入容器の下側領域に不活性ガス接続およびその上側領域にシール可能なアウトレットが存在する。この結果、封入体内の空気は、底部に流れる不活性ガスによりアウトレットへと上側に完全に移動され、そこで封入体から去る。
【0041】
封入容器は好ましくは2つの不活性ガスのための2つの不活性ガス接続を有する。第1の不活性ガスが封入容器から空気を移動させた後、第2の不活性ガス接続が第2の流体である窒素といったより安価な流体を充填し、かくして第1の不活性ガスを置換するために使用することができる。
【0042】
封入体は、好ましくは反応性ガスに応答するガスセンサを有する。この方法において、反応性ガス(例えば水素)が例えばプロセスチャンバの破損の事態において封入体内に侵入したことが判断される。
【0043】
上記に説明したように装置は、例えばPVTプロセスを使用してSiC単結晶を製造するために使用することができる。この目的のため成長セルは、ソース材料としてシリコンカーバイドを搭載し、プロセスチャンバは、他のプロセスガス(例えばアルゴン)に加えて反応性ガスとして水素が充満される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】
図2は、部分的に組み立てた封入容器の簡略化した斜視図である。
【
図3】
図3は、装置の実施形態の断面斜視図である。
【
図4】
図4は、封入容器の温度制御デバイスの接続の詳細である。
【
図5】
図5は、温度制御デバイスの一部を有する封入容器の容器壁のセグメントである。
【
図6】
図6は、温度制御デバイスを有する容器壁の例示的なセグメントの設計である。
【
図7】
図7は、封入体8の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下において、本発明を実施例の手段および図面を参照してより詳細に説明するが、それにより同一および類似の要素は時として同一の参照符号が提供され、かつ種々の実施形態の特徴は、互いに組み合わせることができる。
図1は、本発明の装置の断面図を示す。
【0046】
装置の中央において、スタンド上に立設されるものは基部と、中空シリンダの2つの端部を閉塞する蓋を有する中空シリンダからなる成長セル1である。成長セル1は、多孔質のグラファイトである。成長のための材料2が基部上に積層される。シード3は、蓋の下側に配置される。
【0047】
成長セル1は、プロセスチャンバ4内に配置されており、これは床または天井により両端が閉鎖された中空シリンダからなる。プロセスチャンバ4の円筒壁は、耐熱性の石英ガラスからなり、インレットバルブ5を有するプロセスガス接続を介してプロセスガスで充填される。成長セル1のグラファイトは多孔質なので、プロセスチャンバ4からのプロセスガスは、また成長セル1に入る。
【0048】
加熱デバイス6は、プロセスチャンバ4を成長セルのレベルで取り囲む誘導コイル7からなる。それを通して電流が流れる場合、それは成長セル1のグラファイト内に電流を誘導する電磁界を生成し、それは成長セル1を、2,000℃を越え、2,400℃まで加熱する。
【0049】
高温および誘導コイル7の電磁界について要求される透過性は、プロセスチャンバ4の少なくとも円筒壁を好適な耐熱性材料から製造することを要求する。通常、プロセスチャンバ4の円筒壁は、石英ガラス製であり、これは特に好適であり、かつ製造するのが安価であることが証明されている。
【0050】
SiC単結晶を製造するために、シリコンカーバイドが成長セル1内に配置され、プロセスチャンバ4が100%までの水素からなるプロセスガスで充満される。成長セル1が誘導コイル7を使用して加熱される場合、シリコンカーバイドは昇華し、それ自身がシード3へと層状に付着して、SiC単結晶が成長する。水素は、結晶内に結晶欠陥がまったく発生しないこと、または不純物原子がそれぞれの成長サイトに堆積されることを保証する。所望されない不純物原子の追加は、通常、導電性における変化をもたらし、これがまた局所的に発生し、そして品質のバラツキまたは低下としての不具合となり得る。プロセスガスの組成はまた、反応性ガスの使用を通じて他のプロセスガスまたはホットゾーン(グラファイト成分)との反応により影響を受ける可能性がある。変更されたプロセスガス組成は、次に結晶性、構造、結晶欠陥およびSiC結晶のドーピングに影響する可能性がある。
【0051】
例えば、プロセスガス内での5%またはそれ以上の水素量から有利な影響が達成され、それによりプロセスガス中の5%未満の水素といった低濃度は、典型的に例えば爆発に対する保護に関連する保護的手段が全く必要ではないことが示されてきた。特に好ましい結果は、5%の水素量と、約40%水素量との間で得られ、それにより結晶の向上した純度が、プロセスガス中の15%の水素量の範囲(好ましくは±5%付近)において得られた。原理的には、しかしながら、本発明の封入容器の使用はまた、低濃度でも有効である。
【0052】
しかしながら、上述したように、水素といった反応性ガスの使用は問題があり、これはプロセスチャンバ4の可能性のある壁の破壊の事態において、反応性ガスが-本発明の封入容器無しには-周囲空気と混合して、例えば装置の熱い部分で即時に着火するであろう着火性ガスが形成される可能性があるためである。
【0053】
ここに示す本実施形態の例におけるプロセスチャンバ4は、したがって封入容器8により取り囲まれており、これはプロセスチャンバ4の円筒壁を取り囲む円筒容器壁9を含み、これが基部上に立設し、かつ頂部で天井11によって閉塞されている。封入容器8の基部10および天井11は、プロセスチャンバ4の基部および天井に接続されている。
【0054】
封入容器8はまた、装置の冷却上の発想の部分とすることができる。言い換えれば、封入容器8は、装置の冷却上の発想と一体化されることができる。この目的のため、円筒容器壁9には冷却システムに接続された冷却チャネルを提供することができる。冷却上の発想は、したがって封入容器8について装置に冷却機能を提供することをもたらすことができる。例えば、水といった冷却媒体は、封入容器8を通して循環することができる。他方で、封入容器8内における安全な雰囲気(または保護雰囲気)が冷却機能を提供することができる。例えば、安全な雰囲気は、熱を消失するために循環される。全体として、封入体は、その冷却機能を有する封入体をプロセス条件の温度を制御するために使用することが可能となるので、一定温-または同様な温度範囲-が、大きく変動する可能性のある周囲条件によらず、常時維持されることができるような方法で構成されることができる。例えば、環境は、日常の温度曲線または季節的な温度変動を含むか、または付近で発生するいかなる熱的プロセスによってもまた、影響を受ける可能性がある。
【0055】
最後に、封入体8は、金属的に導電性であるような方法で構築されることができる。金属的に導電性の封入体8は、内部で発生するプロセスのため、ファラデイケージの仕方でシールドを提供するので、例えば交番的電磁界は、封入体8の容器壁9内で規定された終点を有し、かつ非対称的に無限の可能性で散逸しない。このことは、いくつかの装置が互いに次々にセットアップされ、それにより対応する交番電界が互いに影響してプロセス条件を阻害する可能性がある場合に効果的である。言い換えると、金属的に導電性の封入体8は、異なるタイプの可能性のあるいくつかのデバイスが互いに近接してセットアップした場合でさえ、互いにプロセスを阻害すること無く均一なプロセス条件を保証することができる。
【0056】
全体的に、封入容器8は、相乗的な仕方で、いくつかの課題を解決することが可能である。プロセスチャンバ内において反応性ガスの使用を可能とする上述した保護雰囲気を提供することを可能とするばかりではない。加えて、封入体8は、温度変動または電場および/または磁場変動といった周囲条件からプロセスチャンバをシールドすることを可能とすると共に、かくしてプロセスチャンバ内で行われるプロセスについて均一なプロセス条件を保証する。
【0057】
封入容器8の基部において、封入容器8の容器壁9と、プロセスチャンバ4との間の環状の中間空間12への1つまたはそれ以上の接続を有する環状ラインが存在する。この環状ラインは、シャトルバルブ13を介してアルゴンソース14および窒素ソースに接続される。
【0058】
閉鎖可能なアウトレットバルブ16が封入容器8の天井11に配置されている。ガスセンサ17(例えば、水素センサ)および圧力センサ18がまた、そこに提供される。
【0059】
破損しないプラスチックまたはシート金属性の被覆物20は、装置全体を覆って配置されることができ、これは封入容器8の基部上に設置する。
【0060】
さらに、制御デバイス19が提供され、これはセンサ17、18の両方に信号接続され、シャトルバルブ13、アウトレットバルブ16、および水素供給のためのインレットバルブ5を、制御ラインを介して制御する。
【0061】
制御デバイス19は、以下の手順を遂行することを可能とする:
安全容器8をプロセスチャンバ4が水素で充填される前に不活性ガスで充填する:
(1)アウトレットバルブ16を開く。
(2)シャトルバルブ13を切り替えて、アルゴンソース14からアルゴンガスをゆっくりと中間チャンバ12へと下から流して、中間チャンバ12を下からアルゴンガスで充填し、それにより存在する空気が開いたアウトレットバルブ16(または圧力逃がし弁など)により移動させる。
(3)アウトレットバルブ16およびシャトルバルブ13を閉じる。
(4)アルゴンガスからいかなる残りの空気でも頂部に移行することを許容するために充填休止を取る。
(5)必要な場合、ステップ(1)~(3)を一度または数度繰り返す。
(6)排気バルブ16を開く。
(7)シャトルバルブ13を切り替えて、窒素ガスを下から中間チャンバ12へとゆっくりと流し、それにより中間チャンバ12が下から窒素ソース15からの窒素ガスで充填され、存在するアルゴンガスが開いたアウトレットバルブ16を通して移動する。
(8)排気バルブ16を閉鎖する。
(9)シャトルバルブ13の開度を制御することにより、中間チャンバ12内の陽圧を設定すると共に維持して、封入容器内において存在し、かつ許容されるリークによらず、空気が中間チャンバ12内に流れないようにする。
【0062】
十分な陽圧とは近似的なものである。周囲よりも2 mbar高い。
【0063】
いかなる場合においても、ステップ(1)~(3)および(9)は、遂行されなければならない。ステップ(4)および(6)~(8)は任意である。
【0064】
中間空間12が十分に酸素フリーであるか否かをチェックすることを可能とするため、酸素センサをまた提供することができる。
【0065】
操作中にガラス壁が破損した事態における動作:
(1)ガスセンサ17を連続してモニタし、
(2)ガスセンサ17が中間空間12に水素を検出する場合、水素供給を停止する。
【0066】
図2を参照すると、部分的に組み立てられた封入容器8の簡略化した実施形態の斜視図が示されており、そのため取り付け部分およびプロセスチャンバ4は、明確化の理由のため示されていない。完結性の目的のため、
図2に示す実施形態は内部12の領域のシールについての詳細を有していないので、本実施形態で達成することができるリークレートは、比較的に高いものであることについてまた留意するべきである。シールが改善された封入容器8は、さらなる図面において提示される。
【0067】
図2において、封入容器8内には少なくとも部分に温度制御デバイス21が配置されており、それにより流体は接続片23を通して冷媒ライン22へと供給されることができる。冷媒ライン22は、封入容器8の内側壁44に、例えばロウ付け、ハンダ付け、溶接またはネジ止めによりそれに対して接続されている。プロセスチャンバ4から、熱的能力が主に輻射熱として内側壁44へと伝達され、そこから熱的能力を温度制御デバイス21の手段により効果的に消失させることができる。例えば、液体の水は、冷媒として使用することができる。温度制御デバイス21により消失されることができる熱量は、好ましくは調整可能とすることができる。例えば、消失されることができる熱量は、冷媒についての温度仕様および/または流速または速度を通して影響される可能性があり、すなわち温度制御を提供することができる。その後、周囲温度および/またはプロセス温度を測定するセンサ信号に応答して、プロセスチャンバ4の温度制御が温度制御により達成可能なので、プロセスチャンバ4内ではプロセスシーケンスの間、本質的に一定の温度が存在する。
【0068】
封入体8は、内部12の領域に橋渡しするための、のぞき窓32を有し、例えばプロセスをモニタする目的のためにプロセスチャンバ4を見ることを許容する。のぞき窓32は、直接的な熱輻射を最小とするために相対的に小さい。
図4はまた、ライン固定具22A、接続片23、転換片23Bおよび接続片固定具23Aを有する冷媒ライン22の詳細を示す。
【0069】
図3は、装置100の実施形態の断面図を示す。プロセスチャンバ4は、部分的に誘導コイル7に取り囲まれており、これに加熱デバイス6により電力が供給される。加熱デバイス6は、部分的に封入容器8の内側および外側に配置されており、それにより例えば電力エレクトロニクスが外側に配置されることができるので、シールされたフィードスルー62が提供され、ガスリークを低減する。エレクトロニクス部分を有する誘導コイル7は、内部12、すなわち保護雰囲気により占められた空間内に存在する。
【0070】
シールドガスは、内部12の外のシールドガスサプライ54を通して供給されることができる(いくつかのシールドガス供給ライン54が提供可能である)。アウトレットバルブ16は、例えば最初に封入容器8内に配置される外部空気(酸素を含有する)が、例えば空気よりも重い保護気体を内部に導入することにより封入容器8から追い出し可能とする手段により、上側11に配置される。続いて、接続ラインがアウトレットバルブ16(図示せず)に接続されている場合には、シールドガスの循環がまた、例えば封入容器8からの熱除去またはシールドガスの規則的な鋼管を保証するために提供される
【0071】
本明細書において示した場合において、温度制御デバイス21の冷媒ライン22は、容器壁9に配置され、これは二重壁である。
図3に示したプロセスチャンバ4を有する封入容器8の断面において、封入容器8の内部12は、保護雰囲気を調整するために、チャンバ壁41から、例えばプロセスチャンバ4を取り囲んで容器壁9まで延び、内部12は、内部12から環境へのガスのリークレートを低く維持するために、容器壁9に対してシールされる。
【0072】
さらに、
図3に示す実施形態は、プロセスチャンバ4がアダプタ46を搭載する特有の特徴を示す。示された実施形態において、アダプタ46は、2つの代替的な頂部カバー47、48を有しており、頂部カバー47またはさらに内側に配置された頂部カバー48は、所望するプロセス高さに応じて使用されることができる。カバー47、48は、かくして互いに互換的に使用されることができる。
【0073】
図5を参照すると、温度制御デバイス21を有するセグメント化された封入容器8の容器壁9の第1のセグメント91が示されており、そこにおいて、冷媒ライン22が容器壁9の中間領域122に配置されている。本明細書で示される場合、容器壁9は、内側壁98と、フレーム部分92、94と、温度制御デバイス21の冷媒ライン22とを含み、これが中間領域122に配置される。フレーム部分92、94は、固定手段97により第1のセグメント91に固定される。さらに固定手段96(例えばネジ穴)は、フレーム部分92、94上に規則的な間隔で配置されているので、中間領域122がそれらにより囲繞される。
【0074】
図6を参照すると、サンドイッチ構造を有する第1のセグメント91の実施形態がさらに図示される。温度制御デバイス21の冷媒ライン22は、内側壁98に配置されると共に接続手段23により外部へと接続されることができる。フレーム92、94は、セグメント91を円周方向に取り囲む、すなわち制限しており、それにより外側パネル99がフレーム92、94にネジ止めされることができる。外側カバー99は、冷媒ライン22と、固定手段97とを覆い、そのため、それらは一方でアクセスを防止すると共に、他方では損傷を防止する。外側カバー99はしたがって、直視およびアクセスからの技術的な遮蔽であり、装置100に対して好ましい外観を提供する。
【0075】
最後に
図7は、多重部分の容器壁9を有する基部上に設置された装置100を示しており、これは壁セクション91および91Aを含む。冷媒ライン22(
図5および6参照)は、外側パネル99の後ろに保護されて延びると共に、均衡化ベンド24手段により互いに接続されているので、冷媒-例えば水-は、温度制御デバイス21を通して流れることができる。プロセスチャンバ4(
図1または
図3参照)は、全側部で保護雰囲気により取り囲まれている-または実施形態に応じて全側部が基部の上で保護雰囲気により取り囲まれる。プロセスチャンバ4が破壊またはそうでなければ故障してプロセスガスが漏れる場合、プロセスガスは、内部12に保持された保護ガスと混合して危険性のない混合ガスを形成する。
【0076】
当業者によれば、上述した実施形態が例示的なものであると共に本発明はこれらに限定されず、請求項の保護範囲を逸脱すること無しに、多くの仕方において変更されることができることが明らかである。さらに、特徴が本明細書に開示されているか否かによらず、請求項、図面またはそれ以外はまた、それらが互いに他の特徴と共に説明されていなくとも、それぞれが本発明の本質的な要素を規定することは明らかである。すべての図面において、同一の参照符号は、同一の対象を表しているので、1つについてのみ述べ、または少なくともすべての図面についてのものではない対象の説明はまた、対象が明示的に明細書において説明されていないものについて、これらの図面および実施形態に移行させることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 成長セル
2 ソース材料
3 シード
4 プロセスチャンバ
5 インレットバルブ
6 加熱デバイス
7 誘導コイル
8 封入容器
9 容器壁
10 基部
11 天井
12 中間チャンバ
13 シャトルバルブ
14 アルゴンソース
15 窒素ソース
16 アウトレット(バルブ)
17 ガスセンサ
18 圧力センサ
19 制御ユニット
20 カバー
21 冷却または温度制御デバイス
22 冷媒ライン
22A ライン固定具
23 接続片
23A 接続ホルダ
23B 転換片
24 補償ベンド
30 環境
32 のぞき窓
41 プロセスチャンバ壁
44 封入容器の内側壁
46 アダプタ
47 プロセスチャンバの頂部カバー
48 プロセスチャンバの頂部カバー
51 プロセスガスサプライ
52 プロセスガスディスチャージ
54 保護ガスサプライ
62 シールブッシング
91 容器壁の部分
91A 容器壁のさらなる部分
92 フレーム部分
94 フレーム部分
96 固定要素
97 固定要素
98 内側壁
99 外側パネル
100 装置
122 中間領域
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内での単結晶のプロセス安全的な製造のためのPVT
プロセスであって、前記装置は高度に加熱可能な成長セル(1)と、前記成長セル(1)が配置されるプロセスチャンバ(4)と、前記プロセスチャンバ(4)を取り囲み、前記成長セル(1)を加熱するための加熱デバイス(6)とを備え、膨張性の材料(2)と、シード(3)とが前記成長セル(1)に導入され、前記プロセスチャンバ(4)がプロセスガスで充填され、前記成長セル(1)が加熱されて、前記ソース材料(2)が昇華および前記シード(3)で
結晶化されるものであり、前記プロセスガスが部分的にまたは完全に反応性ガスからなり、前記プロセスチャンバ(4)が封入容器(8)内に配置され、前記封入容器(8)の容器壁(9)と前記プロセスチャンバ(4)との間の中間チャンバ(12)が前記ソース材料(2)の昇華が開始される前にその内部に存在する空気を置換するために保護雰囲気が充満されることを特徴とする、PVT
プロセス。
【請求項2】
前記反応性ガスは、水素を含むかまたは水素からなり、および/または前記保護雰囲気が不活性ガスを含むかまたは不活性ガスからなることを特徴とする、請求項1に記載のPVTプロセス。
【請求項3】
前記封入容器(8)は、それが外部へのガス損失を許容すると共に、不活性ガスがガス損失を補償するため、かつ前記封入容器(8)内の陽圧を維持するために供給されることを特徴とする、請求項
1に記載のPVTプロセス。
【請求項4】
前記封入容器(8)を充満するために、最初に空気よりも重い不活性ガスをその下側領域に入ることを許容し、前記空気を上側に置換し、その目的のために前記封入容器(8)の上端の閉鎖可能なアウトレットを前記空気が脱出するまで開いておくことを特徴とする、請求項3に記載のPVTプロセス。
【請求項5】
前記最初の不活性ガスがアルゴンであることを特徴とする、請求項4に記載のPVTプロセス。
【請求項6】
前記封入容器(8)が前記第1の不活性ガスで一度または数度充満された後、それが例えば窒素といった第2の不活性ガスにより交換されることを特徴とする、請求項
4に記載のPVTプロセス。
【請求項7】
前記封入容器(8)は前記反応性ガスを検出することができるガスセンサ(17)を有すると共に、前記プロセスチャンバ(4)への前記プロセスガスの供給を、前記ガスセンサ(17)が前記封入容器(8)内で前記反応性ガスを検出した場合に停止することを特徴とする、請求項
1に記載のPVTプロセス。
【請求項8】
PVTプロセスによる単結晶のプロセス安全的な製造のための装置であって、高度に加熱可能でソース材料(2)と、シード(3)とを収容する成長セル(1)と、前記成長セル(1)が配置され、それをプロセスガスで充填するためのガスソースへの接続を有するプロセスチャンバ(4)と、前記成長セル(1)を加熱するための加熱デバイス(6)とを有するものであって、前記装置が容器壁(9)を有し、その内部に前記プロセスチャンバ(4)が配置される封入容器(8)を有すると共に、前記封入容器(8)が前記PVTプロセスが遂行される前に前記封入容器(8)の前記容器壁(9)と、前記プロセスチャンバ(4)との間の中間チャンバ(12)を保護雰囲気で充満するための保護ガスソース(14、15)への接続を有することを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記封入容器(8)は、それが外部へのガス損失を許容するように構成され、それが圧力センサ(18)を有すると共に、前記圧力センサ(18)が制御デバイス(19)へと信号接続され、前記制御デバイス(19)が前記封入容器(8)内の陽圧を前記圧力センサの信号に基づいて設定するように設計されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の意図する設置に関連して、不活性ガス接続が前記封入容器(8)の下側領域に配置されると共に、閉鎖可能なアウトレットがその上部領域に配置されることを特徴とする、請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
前記封入容器は、2つの異なる不活性ガスのための2つの不活性ガス接続を有することを特徴とする、請求項
8に記載の装置。
【請求項12】
前記封入容器(8)は、反応性ガスに応答するガスセンサ(17)を含むことを特徴とする、請求項
8に記載の装置。
【請求項13】
前記成長セル(1)は、シリコンカーバイドをソース材料(2)として搭載すると共に、前記プロセスチャンバ(4)は、反応性ガスとしての水素で充満されることを特徴とする、請求項
8に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、装置内における単結晶のプロセス的に安全な製造のためのPVTプロセスに関し、この装置は、高度に加熱可能な成長セルと、成長セルが配置されるプロセスチャンバと、成長セルを加熱するため、プロセスチャンバを取り囲む加熱デバイスとを有し、ソース材料と、シードとが成長セルに導入され、プロセスチャンバがプロセスガスで充填され、成長セルが加熱されてソース材料が昇華され、かつシード上で結晶化される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
封入容器8の基部において、封入容器8の容器壁9と、プロセスチャンバ4との間の環状の中間空間12への1つまたはそれ以上の接続を有する環状ラインが存在する。この環状ラインは、シャトルバルブ13を介してアルゴンソース14および窒素ソース15に接続される。
【国際調査報告】