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特表2024-533599板材のためのスペーサ、および構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】板材のためのスペーサ、および構造体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/663 20060101AFI20240905BHJP
   E06B 3/64 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E06B3/663 A
E06B3/663 E
E06B3/663 F
E06B3/663 H
E06B3/663 Z
E06B3/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517081
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022072910
(87)【国際公開番号】W WO2023041276
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021124102.2
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524094918
【氏名又は名称】キョウセラ ファインセラミックス ヨーロッパ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KYOCERA Fineceramics Europe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウイベル,クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】フィルツ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フェルテン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】デンクハウス,ザラ
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
(57)【要約】
2つの板材(2)の間に配置するための、特に、2重または多重にガラスを嵌めた窓またはドアの2つのガラス板の間に配置するための、スペーサ(1)は、それぞれ板材(2)と接触するために互いに軸方向で向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を含み、特にガラスにおける接触面の周辺での応力推移が全体として可能な限り均等な低い推移を示す、すなわち板材を損傷させかねない応力ピークが可能な限り低減または回避される、2つの板材の間の、特に2つのガラス板の間の、スペーサを有する構造体を提供するという課題の観点から、接触面(4)の間に、接触面(4)にドーム形状を付与するドーム形成手段が割り当てられた少なくとも1つの変形可能な変形ゾーン(5)が配置されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの板材(2)の間に配置するための、特に、2重または多重にガラスを嵌めた窓またはドアの2つのガラス板の間に配置するための、スペーサ(1)であって、それぞれ前記板材(2)と接触するために互いに軸方向で向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を含む、スペーサにおいて、
前記接触面(4)の間に、前記接触面(4)にドーム形状を付与するドーム形成手段が割り当てられた少なくとも1つの変形可能な変形ゾーン(5)が配置されることを特徴とする、スペーサ。
【請求項2】
前記手段は前記変形ゾーン(5)を少なくとも前記本体(3)の周囲の縁部(6)まで案内して、前記接触面(4)の前記ドーム形状を前記周囲の縁部(6)まで延長し、そのようにして前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)で少なくとも軸方向へ変形可能であり、または前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)から間隔をおくことを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記手段は前記接触面(4)の中心を通る軸(A)に関して対称および/または規則的に配置され、前記手段は前記軸(A)に関して直径上で向かい合う点(P1,P2)を形成し、前記点は球冠の表面の上に、または曲率半径(r)を有する円弧の上に、位置し、前記曲率半径は平均で0.5mm~100mm、好ましくは0.7mm~70mm、さらに好ましくは0.8mm~50mm、さらに好ましくは1mm~45mm、さらに好ましくは1.5mm~20mm、さらに好ましくは2mm~30mmまたは0.3mm~50mm、さらに好ましくは0.5mm~45mm、さらに好ましくは0.8mm~30mmまたは2mm~200mm、さらに好ましくは3m~100mm、および、特に好ましくは5mm~80mmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記手段は、変形可能性が比較的低い前記本体(3)のコア材料(7)に、および/または変形可能性が比較的高い前記コア材料(7)のコーティング(8)に、刻設された、段差エッジおよび/または段差面および/または曲率半径に追従する推移を含むことを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項5】
前記コーティングの平均の厚みは≦30μm、好ましくは≦20μm、さらに好ましくは≦15μm、さらに好ましくは≦10μm、さらに特に好ましくは≦5μmであるが、常に≧0.1μmであり、前記面にわたって変動していてよく、または前記コーティングは5μm±2.5μm、10μm±2.5μm、または15μm±2.5μmの平均の厚みを有することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペーサの最高点(GまたはKG)から前記スペーサ(1)の縁部領域の最高点までの高さ(h2)と、前記スペーサ(1)の全高(H)との商h2/Hは、都合よくは0~0.1の範囲内、好ましくは0~0.075の範囲内、さらに好ましくは0~0.05の範囲内、さらに好ましくは0~0.035の範囲内、さらに特別に好ましくは0~0.025の範囲内、さらに好ましくは0~0.02の範囲内にあることを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項7】
前記変形ゾーン(5)はコア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)に向かって段階的に幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項8】
前記変形ゾーン(5)はコア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)を形成する、曲率半径に追従するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項9】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)に向かって幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項10】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)を形成する、曲率半径に追従するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項11】
前記コーティング(8)は少なくとも1つまたは複数のコア材料区域を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項12】
前記手段は前記コア材料(7)の表面からその内部に延びる切欠き(9)を含み、前記切欠き(9)は前記コア材料(7)の上のコーティング(8)により少なくとも部分的に充填され、または前記接触面(4)への加圧によって充填可能であり、前記コーティング(8)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項13】
前記切欠き(9)は、線形、円形、方形、ジグザグ状、メアンダ状、螺旋状、渦巻状、ハニカム状、面状の形状を有する、ボア、止まり穴、窪み、キャビティとして、またはこれらの形状の区域として、または前掲の形状の混合形態として、構成されることを特徴とする、請求項12に記載のスペーサ。
【請求項14】
前記切欠き(9)の、および/またはその横方向拡張部の、深さおよび/または横方向の幅は、前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって増加または減少していき、または前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって曲率半径に追従する推移で存在することを特徴とする、請求項12または13に記載のスペーサ。
【請求項15】
コア材料(7)は有機材料を有し、コーティング(8)はマイクロポアおよび/またはナノポアの材料を有することを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項16】
コーティング(8)はそれ自体として、または内蔵された粒子により、着色、導電性または絶縁性、磁化可能、親水性、疎水性、両方の側で同一または異なる密度のもの、または粘着性であることを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項17】
前記変形ゾーン(5)の、および/または前記コア材料(7)の上のコーティング(8)の、容積減少は、平均で0.01~0.7、好ましくは0.02~0.6、さらに好ましくは0.03~0.5、さらに好ましくは0.05~0.45、さらに好ましくは0.05~0.4または0.01~0.4、さらに好ましくは0.02~0.3、さらに好ましくは0.035~0.25または0.01~0.3、さらに好ましくは0.02~0.25、および、特に好ましくは0.035~0.2の範囲内にあることを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項18】
もっとも広い円周での前記本体(3)の直径(2a)は、平均で0.05mm~1mm、好ましくは0.2mm~0.6mm、さらに好ましくは0.3mm~0.5mmまたは0.2mm~0.5mm、さらに好ましくは0.2mm~0.45mmまたは0.3mm~0.6mm、特に好ましくは0.35mm~0.6mmであることを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項19】
前記本体(3)は実質的に円筒状、柱状、および/または支柱状であり、および/または角柱として構成され、
a)接触面(4)が設けられており、コア材料(7)の上の変形可能なコーティング(8)の平均の層厚は中央領域において縁部領域よりも大きく、または、
b)中心領域に頂部(G,KG)を有する接触面(4)が設けられており、実質的に均一な層厚を有するコーティング(8)はコア材料(7)の上に配置され、または、
c)中心領域に頂部(G)を有する接触面(4)が設けられており、縁部領域で大きくなる層厚を有するコーティング(8)は前記コア材料(7)の上に配置されることを特徴とする、先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
【請求項20】
少なくとも2つの板材(2)、特にガラス板を含み、これらの間に、向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を有する、特に先行する請求項のうちいずれか一つに記載のスペーサ(1)が配置され、各々の接触面(4)が板材(2)に押圧のもとで当接する、構造体において、
各々の変形ゾーン(5)が圧縮および/または変形し、そのようにして各々の接触面(4)が凸面状に湾曲または平坦化し、そのようにしてこれに当接する前記板材(2)の湾曲に追従することを特徴とする、構造体。
【請求項21】
2つの板材(2)の間におけるスペーサ(1)の個数は、板材面1mあたり1000~4000、好ましくは1500~3000、さらに好ましくは1500~2500または300~3000、さらに好ましくは750~2500、さらに好ましくは1000~2000または1500~5000、さらに好ましくは1500~3500、および、特に好ましくは2000~3000であることを特徴とする、先行する請求項に記載の構造体。
【請求項22】
平均で≧1mm、好ましくは≧2mm、さらに好ましくは≧3mm、さらに特に好ましくは5mmであるが、常に≦50mm、特に好ましくは常に≦40mmである最終曲率半径(R)が圧力負荷のもとで構成されることを特徴とする、請求項20または21に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項に記載されている、板材のための、特に2重または多重にガラスを嵌めた窓またはドアのガラス板のための、スペーサに関し、ならびに、このような少なくとも1つのスペーサと、これに当接する2つの板材とを含む構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2018/0066469A1号明細書より、丸められた、または面取りされた角部と、溝の形態の段部とを有する板材のためのスペーサが公知である。この文献は、スペーサがセラミック製であってよく、機能性コーティングを有していてよいことも開示している。
【0003】
米国特許出願公開第2015/0079313A1号明細書は、このような背景のもとで、スペーサの本体に塗布されてその表面を平滑化する、変位可能である機能性コーティングを開示している。
【0004】
最後に米国特許第10,550,627B1号明細書は、段差のある表面を有するスペーサ、および表面の平滑化の効果、ならびに機能性コーティングによるガラス損傷の回避を示している。
【0005】
このような背景のもとで、従来技術より、2重または多重にガラスが嵌められた窓またはドアを製造することが知られている。それぞれのガラス板の間の中間スペースは、熱伝導率や防音性に関わる特定の設定を充足するために、ガスによって、好ましくは希ガスによって、充填することができる。しかしながら、それぞれのガラス板の間に真空が生じていると、熱伝導率や防音性の観点から特別に好ましい。
【0006】
それぞれのガラス板の間の真空は、ひいては大気圧に対する負圧をもたらし、この負圧がガラス板への著しい負荷につながる。ガラス板の面積が広いほど、大気圧がガラス板に対して及ぼす力も高くなる。特定の負荷を超えると、ガラス板が真空の方向へ、これが破断する程度にまで撓曲する。
【0007】
この問題に対処するために、従来技術より、ガラス板を相互に主として点状に支持するスペーサを、それぞれのガラス板の間に配置することが知られている。
【0008】
このときスペーサは、その一方の端部をもって接触面により一方のガラス板に当接するとともに、他方の端部をもって接触面により対向するガラス板に当接する。
【0009】
実際問題として、広面積の2つのガラス板の間に非常に多くのスペーサを配置することが必要になる可能性があり、その場合、各々のスペーサが大気圧によって圧着領域でガラス板に対して非常に強く押圧される。圧着領域では、特にスペーサのエッジ、先端、またはフレームなどの領域では、ガラスにもスペーサにも、特にガラス板の損傷につながりかねない応力ピークが発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0066469A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0079313A1号明細書
【特許文献3】米国特許第10,550,627B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明の課題は、特にガラスにおける接触面の周辺での応力推移が全体として可能な限り均等な低い推移を示す、すなわち板材を損傷させかねない応力ピークが可能な限り低減または回避される、2つの板材の間の、特に2つのガラス板の間の、スペーサを有する構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、独立請求項の構成要件によって、上述した課題を解決する。
【0013】
本発明によると、接触面は、押圧のもとでこれに当接する板材に可能な限り少ない負荷しかかけないために、可能な限り理想的なドーム形状を有するか、またはドーム形状をとらなくてはならないことが見出されている。
【0014】
好ましくはスペーサに板材が圧着されたときに初めて負荷軽減ジオメトリーとなるこのようなドーム形状によって、特に本体の縁部で、エッジや鋭利な材料突起に基づく応力ピークが低減され、またはさらに回避される。
【0015】
このことが成り立つ理由は、割り当てられた変形ゾーンに基づいて圧縮可能である、本体のドーム状の接触面にのみ、またはほぼ接触面にのみ、板材が当接するからである。
【0016】
接触面は、それ自体の、またはこれにより軸方向外側に向かって区切られる変形ゾーンの、適当な構成もしくは構造化によって、圧力のもとで変形することができ、それにより、スペーサの領域で圧縮応力のもとで発生する板材の湾曲が理想的にはスペーサのドームに当接し、板材のスペーサとの間で特別に好ましい押圧が生じ得ることもさらに見出されている。このような押圧のもとで、最大圧力または最大応力が本発明に基づいて最小化される。
【0017】
最後に本発明によると、スペーサは、実質的に回転対称の構造、または規則性によって形成される冠状の構造、もしくはそのようなレリーフを有さなくてはならないことが見出されており、これは、ないしこれらは、板材に当接することなくすでに接触面に理想的なドーム形状を付与するのでない場合には、少なくとも板材が接触面を圧力で負荷したときに、これをそのようなドーム形状へと移行させる。
【0018】
手段は、変形ゾーンを少なくとも本体の周囲の縁部まで案内することができ、接触面のドーム形状を周囲の縁部まで延長することができ、それにより、接触面およびこれに伴って本体がその周囲の縁部のところで軸方向に変形可能となる。それにより接触面は、その下に位置する比較的硬質でほぼ非圧縮性の材料の硬質の縁部に重なり合うことが可能であり、それにより、板材がこの硬質の材料と接触することがない。
【0019】
その代替として接触面は、板材が硬質の縁部と接触しないように、周囲の縁部から間隔をおいていてよい。間隔をおくために、段差が、好ましくは周回する段差が、縁部領域に設けられていてよい。
【0020】
手段は、軸に関して、特に接触面の中心を通る本体の長軸または対称軸に関して、対称および/または規則的に配置されていてよく、そのようにしてこの軸に関して直径上で向かい合う点を形成し、これらの点は、球冠の仮想または実際の表面の上に位置し、または曲率半径を有する円弧の上に位置し、この曲率半径は平均で0.5mm~100mm、好ましくは0.7mm~70mm、さらに好ましくは0.8mm~50mm、さらに好ましくは1mm~45mm、さらに好ましくは1.5mm~20mm、さらに好ましくは2mm~30mmまたは0.3mm~50mm、さらに好ましくは0.5mm~45mm、さらに好ましくは0.8mm~30mmまたは2mm~200mm、さらに好ましくは3m~100mm、特別に好ましくは5mm~80mmの範囲内にある。
【0021】
手段の回転対称性または横方向の規則性は、理想的な最終ジオメトリーの調整を可能にする。最終ジオメトリーは初期ジオメトリーを出発点として実現可能であり、この初期ジオメトリーは、スペーサの構造化を軸方向に区切る、包絡する、通過する、またはその重心を通過する球冠を、または断面で見て円弧を、一義的に規定する曲率半径によって定義可能または記述可能である。きわめて重要なのは、この曲率半径が、これよりも小さい、好ましくはこれよりも大きい、または同じままに保たれる、接触面の最終曲率半径へと移行可能な初期曲率半径であるということである。接触面は、板材がこれに圧着されたとき、好ましくは凸面状の平坦化を受けるからである。
【0022】
組み付けられた状態のときに圧力負荷のもとで生じる最終曲率半径は、平均で≧1mm、好ましくは≧2mm、さらに好ましくは≧3mm、さらに特別に好ましくは5mmである。上に挙げたすべてのケースにおいて、最終曲率半径は≦50mmまたは≦40mmである。半径の特徴は好ましくは回転対称であるが、回転対称と相違していてもよい。
【0023】
手段は、変形可能性が比較的低い本体のコア材料に、および/または変形可能性が比較的高いコア材料のコーティングに、刻設された、段差エッジおよび/または段差面および/またはドーム区域および/またはドームを含むことができる。段差によって、角錐状または円錐台状の、好ましくは球欠状の、隆起部を創出することができ、板材が圧着したときにこの隆起部がドームへと変形する。
【0024】
本体および/またはコーティングに刻設される構造は、平均で≧0.1μm、好ましくは≧0.2μmである高さ/深さを有する。上に挙げたすべてのケースにおいて、高さ/深さは≦20μm、好ましくは≦15μm、さらに特別に好ましくは≦10μmである。刻設される構造は、0.3μm±0.1μm、0.4μm±0.1μm、または0.5μm±0.1μmの平均の高さ/深さを有することができる。
【0025】
本体および/またはコーティングに刻設される構造は、平均で≧1μm、好ましくは≧5μmである幅/直径を有する。上に挙げたすべてのケースにおいて、幅/直径は≦300μm、好ましくは≦200μm、さらに特別に好ましくは≦100μmである。刻設される構造は、20μm±5μm、30μm±5μmの平均の幅/直径を有することもできる。
【0026】
コーティングおよび/またはコア材料の段差の数は、≧1、≧2、さらには≧3、さらには≧4である。上に挙げたすべてのケースにおいて、数は≦50である。接触面の降下または上昇は、特殊例では、曲率半径に追従する推移へと移行することができる。
【0027】
本体および/またはコーティングの構造化は、曲率半径に追従する接触面が、≧0.1μm、好ましくは≧0.2μm、さらに好ましくは≧1μm、さらに特別に好ましくは≧2μmの、スペーサの中央と縁部領域との間の平均の高低差をもって生じるような方式で行うこともできる。上に挙げたすべてのケースにおいて、高低差は≦20μm、好ましくは≦15μm、さらに特別に好ましくは≦10μmである。刻設される剥離部は、1μm±0.5μm、2μm±0.5μm、または3μm±0.5μmの、中央と縁部領域との間の平均の高低差を有することもできる。
【0028】
変形ゾーンは、コア材料よりも高い変形可能性を有するコーティングを含むことができ、手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部に向かって幅に関して段階的に先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域を含み、コーティングドームまたはコーティング頂部は、板材のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成する。このようなケースでは、コア材料の平坦な表面の上に載る隆起部が、コーティングから形成されていてよいのが好ましい。そのようにしてコア材料の表面を良好に全面的に被覆することができ、それにより、その硬質の縁部または縁点が板材によって接触可能でなくなる。
【0029】
変形ゾーンは、コア材料よりも高い変形可能性を有するコーティングを含むことができ、手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部に向かって幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、コア材料ドームまたはコア材料頂部は、板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティングはコア材料ドームまたはコア材料頂部を被覆および/または包囲する。この実施形態により、硬質のコア材料がすでにドーム形状を近似的に設定する。
【0030】
コーティングは、少なくとも1つまたは複数のコア材料区域を被覆および/または包囲することができる。そのようにして比較的薄いコーティングが、コア材料とは違ってさらに平坦化可能である、硬質のコア材の包絡線または包絡面を形成するだけでよく、それにより、板材の圧着のもとでの最終的なドーム形状が生じる。
【0031】
好ましくはこれまで説明したすべての実施形態において、ドームの最終曲率半径は板材の圧着のもとで形成される。コア材料の予備成形されたドームの上でコーティングの均等な層厚が生じる実施形態では、最終曲率半径がすでに完全に、またはほぼ完全に、形成されていてよい。このような特別な実施形態では、いわばコア材料の包絡面の段差が補償されるだけで、実質的に円形のドームが形成されることになる。
【0032】
手段は、コア材料の表面を起点としてその内部に延びる切欠きを含むことができ、切欠きはコア材料の上のコーティングにより少なくとも部分的に充填され、または接触面への圧力負荷によって充填可能であり、コーティングはコア材料よりも高い変形可能性を有する。規則的に、または対称性に追従するように、適切に配置される切欠きにより、またはそのような切欠きの集積ないしクラスタにより、板材が接触面に圧着されたときにコア材料との協同作用で接触面にドーム形状を付与する、コーティングの機能的な平均の層厚を生成することができる。
【0033】
このような切欠きは、線形、円形、方形、ジグザグ状、メアンダ状、螺旋状、渦巻状、ハニカム状の形状を有する、ボア、止まり穴、窪み、またはキャビティとして、またはこれらの形状の区域として、構成されていてよい。上記のような凹部の混合形態によって、または凹部の区域によって、切欠きが形成されることも考えられる。
【0034】
切欠きの、および/または区域的に任意選択として存在するその横方向拡張部の、深さおよび/または横方向の幅は、接触面の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって増加または減少していくことができる。切欠きの、および/または本体の縁部の方向への横方向拡張部の、深さおよび/または幅の増大が行われるのが好ましく、それにより、軸方向上側から板材がコーティングに向かって押圧されたときに、コーティングの材料が軸方向で下側に向かって、または横方向で外側に向かって、比較的大きい程度に変位することができる。そのようにして、接触面のドーム形状の形成を縁部領域で促進することができる。
【0035】
本体の熱伝導率は、軸方向で≦15W/mK、好ましくは≦5W/mK、さらに好ましくは≦3W/mK、さらに特別に好ましくは≦1W/mKである。上に挙げたすべての範囲において、熱伝導率は少なくとも0.01W/mKである。
【0036】
本体の内部に位置するコア材料は無機材料を、たとえば金属またはガラスまたはセラミックまたはガラスセラミックを、有することができる。ガラス、セラミック、またはガラスセラミックは、本体の比較的非圧縮性で硬質のコアを形成することができ、特に、向かい合う長手方向端部のところでコーティングにより少なくとも部分的に被覆される支柱を形成することができる。
【0037】
ガラス、セラミック、またはガラスセラミックは、金属よりもはるかに低い熱伝導率を有する。
【0038】
セラミックの本体の多孔度は、平均で≧1%、好ましくは≧2%、さらに好ましくは≧5%、さらに特別に好ましくは≧10%であるのがよい。上に挙げたすべてのケースにおいて、多孔度は≦50%、好ましくは≦40%、さらに特別に好ましくは≦30%である。多孔度は、平均で10%±5%、20%±5%、または30%±5%であってよい。
【0039】
切欠きは化学的な方式で、たとえばプラズマエッチングによって、または機械式の方式で、たとえば電磁放射または粒子放射の利用によって、生成可能である。
【0040】
レーザ加工が好ましい。それにより、微細構造を高い信頼度で、かつ明確に定義されたとおりに、刻設することができるからである。
【0041】
コーティングはマイクロポア材料を有することができ、特に、マイクロポアのあるセラミックの、さらには特にナノポアのあるガラスまたはガラスセラミックの、材料を有することができる。
【0042】
このような材料は、コーティング懸濁液としてコア材料に塗布されるのが好ましい:
-水やエタノールなどの分散媒中の粒子の形態で、または、
-ゾルゲル結合剤との混合物として、または、
-純粋なゾルゲル系として。
【0043】
粒子系は、<10μm、好ましくは<5μm、さらに好ましくは<2μm、特別に好ましくは<1μm、ただし好ましくは実質的に≧100nmの平均粒度を有する粒子と、分散媒とを含む。
【0044】
ゾルゲル系は、金属有機化合物の分子、または金属の塩、またはセラミックの前段階としてのナノ粒子、または粒度が100nmよりも小さいセラミックのナノ粒子、またはこれらの混合物を含む。
【0045】
ゾルゲル系は液体系であって、セラミック酸化物またはガラスの先駆物質の分子を含み、すなわち、金属有機化合物、またはセラミック酸化物もしくはガラス形成成分の先駆物質のナノ粒子、またはセラミック酸化物もしくはガラス形成成分のナノ粒子、または、
a)異なる先駆物質の分子からなる混合物、または、
b)異なる先駆物質のナノ粒子の混合物、または、
c)セラミックもしくはガラス形成成分のナノ粒子の混合物、
または、混合物態様a)およびb)からなる混合物、または混合物態様b)およびc)からなる混合物、または混合物態様a)およびc)からなる混合物、または混合物態様a),b)およびc)からなる混合物、を含む。
【0046】
ゾルゲル系は、水ベースまたは溶剤ベースで存在することができる。
【0047】
分子の先駆物質は、金属有機化合物(たとえばアルミニウムイソプロポキシドやオルトケイ酸テトラエチル)、またはすでに部分的に初期縮合されている商業的に入手できるゾルゲル系(たとえばinosil,Inomat GmbH、ノイキルヒェン、ドイツ)、または塩(たとえば酢酸ジルコニウム)、または金属(たとえばアルミニウム)の水酸化物および/またはオキシ水酸化物を含むことができる。先駆物質は、300℃以下の温度から始まって、および空気中で400℃以下の温度から始まって、温度処理中に酸化してセラミックとなる。
【0048】
粒子が混ぜ合わされた系または純粋なゾルゲル系が、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ナイフ塗布、スクリーン印刷、遠心分離、ドクターブレード、スロットダイ、電気泳動、またはその他の方法によってコア材料に塗布される。好ましい塗布態様はスプレー、スクリーン印刷、電気泳動、ナイフ塗布、スロットダイ、およびドクターブレードである。
【0049】
コーティング系が乾燥によって固化される。温度処理中に、コーティングがさらに固化されるのが好ましい。
【0050】
コーティングの温度処理は、>50℃、好ましくは>80℃、さらに好ましくは>100℃、さらに好ましくは>150℃、さらに好ましくは>200℃、さらに好ましくは>250℃、さらに好ましくは>300℃、さらに好ましくは>350℃のもとで、ただし1300℃未満、好ましくは1000℃未満、好ましくは800℃未満のもとで、焼き付けられるのがさらに好ましい。
【0051】
温度処理中にコーティングが固化し、それに伴って搬送可能になり、および/または好ましくは追加的に純粋に無機材料へと移行する。コーティングは、コア材料よりも大きく圧縮可能である。
【0052】
蒸着、CVD、PVDは、さほど好ましい方法ではない。
【0053】
コーティングは、コーティングの変形可能性、硬度、多孔度、または安定性を改質する、さらに別の有機または無機の粒子成分を含むことができる。そのような成分は、金属粒子、グラファイト、六角形窒化ホウ素、すす、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、タングステンまたは酸化タングステンなどであってよく、たとえばマイクロボール、不規則に成形された粒子、繊維、フレーク、または凝集物、またはこれらの混合物の形態をとる。
【0054】
このようにコーティングの材料は無機であってよく、ないしは実質的に無機であってよい。あるいはこれは有機、金属、またはガラスであってもよく、または混合形態として存在していてもよい。さらに、これは多孔性に構成されていても稠密に構成されていてもよく、あるいは多孔度に勾配を有するように構成されていてよい。
【0055】
コーティングの材料がスペーサの両方の側に配置され、構造が、特に段部が、スペーサに好ましくは鏡像対称に設けられる、以下に説明する実施形態が好ましい。ドーム形状を実現可能でさえあれば、厳密な対称性は必要ない。
【0056】
コーティングの材料はさらに別の特性を有することができ、スペーサの両方の側が同じ特性を有していなくてもよい。たとえばコーティングの材料はそれ自体として、または内蔵された粒子により、導電性または絶縁性、磁化可能、親水性、疎水性、両方の側で同一または相違する密度、または粘着性であってよい。スペーサの両方の側のコーティングの多孔度も、それぞれ相違していてよい。
【0057】
コーティングが機能化されることで、特に、板材の上でのスペーサの位置決めにポジティブな影響を及ぼすことができる。付着性向上のために、追加の一時的なコーティングを塗布直前に塗布することもできる(たとえば水、エタノール、シクロドデカン)。
【0058】
変形ゾーンの、および/またはコア材料の上のコーティングの、容積減少は、平均で0.01~0.7、好ましくは0.02~0.6、さらに好ましくは0.03~0.5、さらに好ましくは0.05~0.45、さらに好ましくは0.05~0.4または0.01~0.4、さらに好ましくは0.02~0.3、さらに好ましくは0.035~0.25または0.01~0.3、さらに好ましくは0.02~0.25、特別に好ましくは0.035~0.2の範囲内であってよい。このような容積減少は、ここで説明している種類のスペーサにガラス板が当て付けられたときであるのが好ましい。値0.01は、初期容積から最終容積へと1%だけ圧縮されることに相当する。
【0059】
もっとも広い円周のところでの本体の直径は、平均で0.05mm~1mm、好ましくは0.2mm~0.6mm、さらに好ましくは0.3mm~0.5mmまたは0.2mm~0.5mm、さらに好ましくは0.2mm~0.45mmまたは0.3mm~0.6mm、特別に好ましくは0.35mm~0.6mmの範囲内であってよい。このようなスペーサは十分に小型であり、それにより、2つの板材の間に位置したときに視覚的に邪魔にならない。それに加えて、スペーサが大きすぎる熱橋ないし冷橋を形成しないことが保証される。
【0060】
本体は、基本的に、円筒状、柱状、および/または支柱状であってよく、接触面が設けられ、コア材料の上での変形可能なコーティングの平均の層厚は、中心領域で縁部領域よりも大きい。そのようにして、鋭利なエッジとの接触から板材が保護される。
【0061】
その代替として、中心領域に頂部を有する接触面が設けられていてよく、コーティングは、実質的に均一な層厚をもってコア材料の上に配置される。たとえばコーティングは、ドーム状に、好ましくは球欠状に、予備成形されたコア材料の上に塗布されていてよい。
【0062】
さらに代替として、中心領域に頂部を有する接触面が設けられていてよく、コーティングは、縁部領域で大きくなる層厚をもってコア材料の上に配置される。それにより、前者の両方の代替案の利点がそれぞれ組み合わされる。接触面は、平坦に構成されるのが好ましい。
【0063】
コーティングの厚みは平均で≦30μm、好ましくは≦20μm、さらに好ましくは≦15μm、さらに好ましくは≦10μm、さらに特別に好ましくは≦5μmであるが、常に≧0.1μmであり、面にわたって変動していてよい。コーティングは、5μm±2.5μm、10μm±2.5μm、または15μm±2.5μmの平均の厚みを有することもできる。
【0064】
少なくとも2つの板材、特にガラス板を含み、これらの間に、向かい合う2つの接触面を有する本体を有するスペーサが配置され、各々の接触面が板材に押圧のもとで当接する構造体は、各々の変形ゾーンが圧縮および/または変形し、そのようにしてそれぞれの接触面が凸面状に湾曲または平坦化し、そのようにしてこれに当接する板材の湾曲に追従することを特徴とする。
【0065】
少なくとも2つの板材、特にガラス板を含み、これらの間に、向かい合う2つの接触面を有する本体を有するスペーサが配置され、各々の接触面が板材に押圧のもとで当接する上記の構造体は、特に、各々の変形ゾーンが圧縮および/または変形し、そのようにしてそれぞれの接触面が凸面状に湾曲し、または特に縁部で中央部よりも平坦化し、そのようにして板材の湾曲に追従するように、定義された曲率半径を有する球欠を形成するとともに、これに当接する板材における凹面状の凹部に追従することを特徴とする。したがって、スペーサの接触面で形成される凸面状の球欠は、真空絶縁ガラスの中に真空が生じている場合、圧縮応力のもとで変形して湾曲した板材でスペーサの接触面の領域に形成される凹面状の凹部の等価の曲率半径に匹敵する曲率半径を有する。
【0066】
接触面が有しているドーム形状によって、最善の圧着状況が生じる。板材で生じる、ヘルツの接触応力の最大応力が低くなることで、従来技術と比べて安全係数を落とすことなく、スペーサの数を明らかに減らすことができる。このことは、少ない数のスペーサによって、スペーサを通じての熱輸送も全体として低減できるという技術的な利点を有する。
【0067】
この意味において、板材が損傷する可能性がある応力ピークが可能な限り低減または回避される、2つの板材の間の、特に2つのガラス板の間の、スペーサを有する構造体が提供される。この構造体のスペーサは、本件明細書に開示されているような方式で構成されていてよい。
【0068】
この構造体は2つの板材の間に、板材面1mあたり1000~4000、好ましくは1500~3000、さらに好ましくは1500~2500または300~3000、さらに好ましくは750~2500、さらに好ましくは1000~2000または1500~5000、さらに好ましくは1500~3500、特別に好ましくは2000~3000の個数のスペーサを有することができる。それによって板材の最善の支持が、最善の熱的状況のもとで保証される。このような構造体では、単位面積あたりで比較的少ないスペーサを、板材の保全的な支持のために利用することができ、それにより、それぞれの板材の間で小さい熱橋しか生じない。
【0069】
ここで説明しているスペーサの高さは、平均で50μm~600μmの範囲内、好ましくは100μm~500μmの範囲内、さらに好ましくは100μm~300μmの範囲内、さらに好ましくは100μm~250μmの範囲内、さらに好ましくは50μm~500μmの範囲内、さらに好ましくは50μm~300μmの範囲内、特別に好ましくは50μm~250μmの範囲内にあるのが好ましい。
【0070】
スペーサの最高点(GまたはKG)からスペーサの縁部領域の最高点までの高さh2と、スペーサの全高Hとの商h2/Hは、0~0.1の範囲内、好ましくは0~0.075の範囲内、さらに好ましくは0~0.05の範囲内、さらに好ましくは0~0.035の範囲内、さらに特別に好ましくは0~0.025の範囲内、さらに好ましくは0~0.02の範囲内にあるのが好ましい。
【0071】
変形ゾーンおよび/またはコーティングおよび/またはコア材料の変形については、原則としてあらゆる可能な変形メカニズムが考えられ、すなわち、弾性的、可塑的、多孔性構造のコンパクト化ないし圧縮、ならびにこれらのメカニズムの同時の協同作用が考えられる。多孔性構造のコンパクト化または圧縮のメカニズムが好ましい。
【0072】
図面には次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、平坦な接触面を有する従来技術のスペーサの圧着領域に撓曲しながら当接するガラス板を示す模式的な断面図であり、接触面の鋭利な縁部のところで応力ピークが形成されている。
図2図2は、湾曲した接触面を有するスペーサを示す模式的な側面図である。
図3図3は、スペーサの上側の凸面状に湾曲した接触面に当接するガラス板を示す模式的な断面図であり、ガラス板は接触面のドームの頂部のところで、ヘルツの接触応力に基づく非常に高い最大応力による負荷のもとで接触面に押圧され、ガラス破損につながる可能性がある。
図4図4は、湾曲したガラス板を示す模式的な断面図であり、その湾曲はドーム状に湾曲した接触面に、これに密着しながら追従しており、ガラス板は接触面の最高点ないし頂部のところで、図3と比べて最小化された最大応力によってヘルツの接触応力のもとで負荷されており、このことは、スペーサ表面へのガラス板の理想的な当接に相当する。
図5図5は、図4に示す湾曲したガラス板がそれぞれ当接する、向かい合う2つの接触面を有するスペーサを有する構造体を示しており、図4に示す圧着状況が生じている。
図6図6は、接触面を有する変形ゾーンを有しているスペーサの上側部分を示す幾何学的に模式的な斜視図であり、表面の接触面は理想化された球冠に追従しており、球冠に帰属する仮想的な球は曲率半径rを有し、球冠は高さh1をもって、円筒状の本体の仮想的な上側の平面Eから突き出し、円筒状の本体はその最大の円周のところに2aの直径を有している。
図7図7は、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料はコーティングによってドーム状に被覆され、コーティングは変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図8図8は、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は平滑な面の上で部分領域でのみコーティングによって被覆され、コーティングは変形ゾーンに帰属し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図9図9は、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は段部のある平面の上で、軸方向外側に向かって平坦で段部のないコーティングによって完全に被覆され、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図10図10は、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は段部のある平面の上で、外側に向かって段部がなくコア材料ドームと同一平面上に並ぶコーティングによってコア材料の縁部領域でのみ被覆され、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図11図11は、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は軸方向外側の段部のある平面の上で、軸方向外側に向かって段部のあるコーティングによって完全に被覆され、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図12図12は、スペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は、コア材料の段部のない平面から軸方向内側に向かって延びる溝を備え、その深さは径方向外側に向かって増加していき、段部のない平面には、軸方向外側に向かって段部のない平坦なコーティングが塗布され、このコーティングは溝の中へその底面まですでに浸入しており、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図13図13は、スペーサを示す模式的な断面図であり、そのコア材料は、段部のない平面から軸方向内側に向かってそれぞれ同じ深さで延びる溝を備え、その間隔は径方向外側に向かって減少していき、段部のない平面には、軸方向外側に向かって平坦なコーティングが塗布され、このコーティングは溝の中へその底面まですでに浸入しており、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを構成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図14図14は、上側の図面では、コーティングの第1の層が挿入された周回する溝を有するセラミックプレートの断面図を示し、第1の層の上に、セラミックプレートの表面全体を実質的に被覆するコーティングの第2の層が塗布され、下側の図面では、構造に関して図9に示すものと類似する、セラミックプレートから切り出されたスペーサを示す。
図15図15は、構造に関して図11に示すものと類似するスペーサを示す。
図16図16は、一番上の図面では、溝が刻設されたセラミックプレートの平面図を模式的に示し、下側の図面では、溝を有するセラミックプレートの、溝を通る断面図を示す。
図17図17は、上側の図面では、溝が刻設されたセラミックプレートの平面図を模式的に示し、下側の図面ではセラミックプレートの平面図を示し、コーティングの第1の層が充填されている。
図18図18は、上側の図面では、コーティングで充填された溝を有するセラミックプレートの、溝を通る断面図を示し、下側の図面では、セラミックプレートから溝の外側円周に沿ってセラミックプレートから切り出されたブランクの断面図を示し、それによりブランクの縁部には、コーティングで充填された周回する段部が生じている。
図19図19は、上側の図面では、切欠きとしての同心的な溝がプレートの向かい合う面に刻設された、まだコーティングされていないセラミックプレートの平面図を示し、下側の図面では、セラミックプレートを通る断面図を示す。
図20図20は、上側の図面では、図19のセラミックプレートの平面図を示し、両方の面の溝がコーティングの第1の層で充填されており、下側の図面では、セラミックプレートを通る断面図を示す。
図21図21は、上側の図面では、図20に示すセラミックプレートおよびそのコーティングの第1の層の上に塗布されたコーティングの2つの平坦な第2の層を有する、図20のセラミックプレートの平面図を示し、下側の図面では、セラミックプレートを通る断面図を示す。
図22図22は、上側の図面では、図21に示すセラミックプレートから切り出された2つのスペーサの平面図を示し、下側の図面では、2つのスペーサを通る断面図を示す。
図23図23は、図22に示すスペーサが2つの板材の間に配置された構造体を示す。
図24a図24aは、別のスペーサの表面を示す模式的な平面図であり、さまざまなメアンダ状の切欠きまたは構造が刻設されており、たとえば、同じ直径上に位置して縁部に向かって数が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって直径が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって数が増えていく、断面で見て腎臓形、台形、または角柱形のそれぞれ異なる幅の溝、または上記の形態の混合形態であり、ガラス板がこれらに押し付けられたときに、これらの中へコーティングが接触面のドーム形状を形成するために変位することができる。
図24b図24bは、別のスペーサの表面を示す模式的な平面図であり、さまざまなメアンダ状の切欠きまたは構造が刻設されており、たとえば、同じ直径上に位置して縁部に向かって数が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって直径が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって数が増えていく、断面で見て腎臓形、台形、または角柱形のそれぞれ異なる幅の溝、または上記の形態の混合形態であり、ガラス板がこれらに押し付けられたときに、これらの中へコーティングが接触面のドーム形状を形成するために変位することができる。
図25図25は、コア材料が平滑な平面の上でコーティングにより被覆された、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、その厚みは軸方向外側に向かって減少していき、コーティングは変形ゾーンに帰属し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図26図26は、コア材料が、軸方向外側の、曲率半径に追従する、外方に向かって降下していく平面の上でコーティングにより完全に被覆された、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを形成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図27図27は、コア材料が、軸方向外側の、曲率半径に追従する、外方に向かって降下していく平面の上でコーティングによって完全に被覆された、全高Hを有するスペーサを示す模式的な断面図であり、その厚みは軸方向外側に向かって減少していき、コーティングはコア材料と共同で変形ゾーンを形成し、変形ゾーンは、実線で示す曲率半径rを有する仮想的な球冠を嵌め込み可能である構造を出発点として、破線で示す最終曲率半径Rを有する実際の球冠へと移行させることができる。
図28図28は、図11のスペーサの破線の領域を示す拡大断面図であり、そのコア材料は面取りされた段部を有する角部を有する。
図29図29は、図12のスペーサの破線の領域を示す拡大断面図であり、入口領域は特にレーザ構造化の場合に溝底面領域よりも幅広であり、面取りされた角部を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0074】
各図面に示す断面図は、回転対称に構成されたそれぞれのスペーサの長軸を通る断面である。スペーサの一方の側だけが図示されている場合、軸方向でこれと向かい合うスペーサの側は、任意選択として、図示されている側と同一に構成される。軸方向で向かい合う側は、いくつかの図面では、破線で互いに分けて図示されている。
【0075】
図1は、従来技術のスペーサ1’の圧着領域に撓曲しながら当接するガラス板2の模式的な断面図を示しており、向かい合う接触面4’の鋭利な縁部のところで応力ピークが形成されている。
【0076】
図2は、ドーム状に湾曲した、変形ゾーンのない接触面4”を有するスペーサ1”の模式的な側面図を示している。
【0077】
図3は、図3のスペーサ1”の上側の凸面状に湾曲した接触面4”に当接するガラス板2の模式的な断面図を示しており、ガラス板2は、ドームとして構成された接触面4”の最高点のところで、非常に高い最大応力による負荷のもとで接触面4”に押圧される。
【0078】
図4は、湾曲したガラス板2を示す模式的な断面図であり、その凹面状の湾曲は、ドーム状に凸面状に湾曲した接触面4に、これに密着しながら追従しており、ガラス板2は、ドームとして構成された接触面4の最高点のところで、図3と比べて最小化された最大応力によってヘルツの接触応力のもとで負荷されて、接触面4に対して押圧される。このことは、図4では圧着領域に位置する楕円が、図3の楕円に比べて明らかに平坦化されて図示されることによって表現されている。
【0079】
図4は、それぞれ板材2と接触するための、互いに軸方向で向かい合う2つの接触面4を有する本体3を含む、2つの板材2の間に配置するための、すなわち、2重または多重にガラスを嵌めた窓またはドアの2つのガラス板2の間に配置するための、スペーサ1を模式的に示している。接触面4は、ガラス板に作用する大気圧による圧力負荷のもとで形成される。図示した理想的なケースでは、接触面4はスペーサ1のドーム形状に呼応する。
【0080】
図5は、少なくとも2つの板材2を含む、すなわち、2つの向かい合う接触面4を有する本体3を有するスペーサ1が間に配置された2つのガラス板2を含む、構造体を示しており、各々の接触面4が板材2に押圧のもとで当接している。図示した理想的なケースでは、各々の接触面4はスペーサ1のドーム形状に呼応する。
【0081】
図6は、接触面4を有する変形ゾーン5を有するスペーサ1の数学的・幾何学的に模式的な斜視図を示しており、接触面4は理想化された球冠の表面に追従する。球冠はドーム形状を形成し、球冠に帰属する、破線で示す仮想的な球は、曲率半径rを有している。球冠は高さh1をもって、円筒状の本体3の仮想的な上側の内側平面Eから突き出しており、区域的に円筒状の本体3は、その最大の円周のところに直径2aを有している。
【0082】
点P3,P4は、スペーサ1の中心平面を起点としてもっとも高い縁部領域に位置している。この縁部領域から、スペーサ1のコーティング頂部Gが、高さh2をもって軸方向外側に向かって突き出している。
【0083】
接触面4にドーム形状を付与するドーム形成手段は、接触面4の中心を通る軸Aに関して対称かつ規則的に配置され、そのようにして、曲率半径rを有する球冠の表面に位置する、軸Aに関して直径上で向かい合う点P1,P2を形成する。
【0084】
曲率半径rは初期曲率半径として、接触面4が最終形状へと圧縮可能かつ変形可能であることを可能にする手段またはその機能点を通って延びる、仮定的な球冠を表す。接触面のドーム状の最終形状は、いくつかの図面に模式的に示す最終曲率半径Rを有する球冠によって記述することができる。
【0085】
図7から11および25から27は、少なくとも1つの変形可能な変形ゾーン5が形成され、これにドーム形成手段が付属し、このドーム形成手段が変形ゾーン5の接触面4にドーム形状を付与することを示している。接触面4は、その意味において変形ゾーン5の一部である。接触面4は、板材2と変形ゾーン5の内部との間の境界面である。
【0086】
各々の変形ゾーン5は圧縮、変形することができ、そのようにして、そのそれぞれの接触面4が凸面状に湾曲または平坦化し、そのようにして、これに当接する板材2の湾曲に追従する。各々の接触面4は、その意味において変形ゾーン5の一部である。
【0087】
手段は変形ゾーン5を少なくとも本体3の周囲の縁部6まで案内して、接触面4のドーム形状を、周回する周囲の縁部6まで延長し、そのようにして、深くに位置する硬質のコア材料7に基づいて縁部6がほぼ非圧縮性で鋭利なエッジである場合にも、接触面4が周囲の縁部6のところで軸方向へ変形可能である。このようにして、板材2が周囲の縁部6のところで応力ピークに暴露されることがない。
【0088】
さらに図7から11および25から27は、そのようなドーム形成手段が、比較的低い変形可能性を有する本体3のコア材料7に、および/または比較的高い変形可能性を有するコア材料7のコーティング8に、刻設された、段差エッジまたは段差面を含むことができることを示している。
【0089】
図7および8は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部Gに向かって段階的に幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域または層を含み、コーティングドームまたはコーティング頂部Gは、板材2のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成する。
【0090】
図7では、コア材料7の軸方向外側を向く平坦な表面がコーティング8によって完全に被覆され、図8では部分的にのみ被覆されているので、本体3ないしコア材料7の硬質の縁部6は被覆されていない。
【0091】
その意味において図7,8および25は、本体3が実質的に円筒状、柱状、および支柱状に構成されたスペーサ1を示しており、接触面4が設けられており、コア材料7の上の変形可能なコーティング8の平均の層厚は、スペーサ1の中央領域において縁部領域よりも大きくなっている。
【0092】
図9は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、これらはコア材料ドームまたはコア材料頂部KGへと向かって幅に関して先細になっていき、コア材料ドームまたはコア材料頂部KGは、板材2のほうを間接的に向くことが可能である、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティング8はコア材料ドームKGを被覆して包囲する。コーティング8は、軸方向外側に向かって平坦な表面を形成する。その意味において図9は、中心領域に頂部Gを有する接触面4を示しており、コーティング8は、縁部領域で大きくなる層厚をもってコア材料7の上に配置される。
【0093】
点P3,P4およびコーティング頂部Gは、1つの高さに位置している。このように高さh2は値0をとる。
【0094】
図10は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、これらはコア材料ドームまたはコア材料頂部KGに向かって幅に関して先細になっていき、コア材料ドームまたはコア材料頂部KGは、板材2のほうを直接的に向くことが可能である、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティング8はコア材料ドームKGを包囲してこれと同一平面上で並ぶだけであり、図9のようにこれを被覆するのではない。
【0095】
点P3,P4およびコア材料頂部KGは、1つの高さに位置している。このように高さh2は値0をとる。
【0096】
図11は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、これらはコア材料ドームまたはコア材料頂部KGに向かって幅に関して先細になっていき、コア材料ドームまたはコア材料頂部KGは、板材2のほうを間接的に向くことが可能である、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティング8はコア材料ドームKGを被覆して包囲し、そのようにして軸方向でもっとも外側のコーティング頂部Gを形成する。
【0097】
したがって図11は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことも示しており、手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部Gに向かって段階的に幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域を含み、コーティングドームまたはコーティング頂部Gは、板材2のほうをダイレクトかつ直接的に向くことが可能である、もっとも外側のコーティング区域を形成する。コーティング8は複数のコア材料区域を被覆するとともに、本体3ないしコア材料7の縁部6がコーティング8により被覆されるように、これを包囲する。その意味において、図11は中央領域に頂部Gを有する接触面4を示しており、コーティング8は、実質的に均等な層厚をもって、コア材料7の上に配置される。
【0098】
図26は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は、等しい厚みで曲率半径に追従して軸方向外側に向かって降下していくコア材料を含み、これはコア材料ドームまたはコア材料頂部KGに向かって幅に関して先細になっていき、コア材料ドームまたはコア材料頂部KGは、板材2のほうを間接的に向くことが可能である、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティング8はコア材料ドームKGを被覆して包囲し、そのようにして軸方向でもっとも外側のコーティング頂部Gを形成する。
【0099】
図27は、変形ゾーン5が、コア材料7よりも高い変形可能性を有するコーティング8を含むことを示しており、手段は、軸方向外側に向かって降下していく厚みのもとで、曲率半径に追従して軸方向外側に向かって降下していくコア材料を含み、これはコア材料ドームまたはコア材料頂部KGに向かって幅に関して先細になっていき、コア材料ドームまたはコア材料頂部KGは、板材2のほうを間接的に向くことが可能である、もっとも外側のコア材料区域を形成し、コーティング8はコア材料ドームKGを被覆して包囲し、そのようにして軸方向でもっとも外側のコーティング頂部Gを形成する。
【0100】
図12および13は、本体3に内在的に構成されたレリーフを用いて、手段が、コア材料7の実質的に平坦な表面を起点としてその内部へと溝として延びる切欠き9を含むことを示しており、切欠き9はコア材料7の上のコーティング8によって充填され、コーティング8はコア材料7よりも高い変形可能性を有する。
【0101】
図12は、切欠き9の深さが、接触面4の中心を起点として径方向および横方向で外側に向かって増えていくことを示している。
【0102】
図13は、切欠き9の深さが一定であるが、その間隔は、径方向および横方向で外側に向かって小さくなっていくことを示している。
【0103】
ここで説明している変形ゾーン5は、コーティング8単独によって、またはコア材料7との協同作用によって、形成されていてよい。
【0104】
ここで説明しているコア材料7はセラミックを有し、特に、酸化ジルコニウムを含むセラミックを有する。コーティング8はマイクロポア材料を有し、すなわち、マイクロポアのあるセラミックのゾルゲル材料を有する。
【0105】
図14は、たとえば図9に示されている躯体を製造するために考えられる1つの方法を示している。上側の図面では、コーティング8の第1の層13が挿入された周回する溝12を有するセラミックプレート11の断面図を示し、第1の層13の上に、セラミックプレート11の表面全体を実質的に被覆するコーティング8の第2の層14が塗布されている。図14は下側の図面では、構造に関して図9に示すものと類似する、セラミックプレート11から切り出されたスペーサ1の断面図を示す。図15は、構造に関して図11に示すものと類似するスペーサ1を示す。
【0106】
図16は、上側の図面では、溝12が刻設されたセラミックプレート11の平面図を模式的に示し、下側の図面では、溝12を有するセラミックプレート11の、溝12を通る断面図を示す。
【0107】
図17は、たとえば図10に示されている躯体を製造するために考えられる1つの方法を示す。上側の図面では、溝12が刻設されたセラミックプレート11の平面図を模式的に示し、下側の図面ではセラミックプレート11の平面図を示し、コーティング8の第1の層13が溝12に充填されている。
【0108】
図18は、上側の図面では、コーティング8で充填された溝12を有するセラミックプレート11の、溝12を通る断面図を示し、下側の図面では、セラミックプレート11から溝12の外側円周に沿ってセラミックプレート11から切り出されたブランクの断面図を示し、それにより躯体の縁部には、コーティング8で充填された周回する段部が生じている。このように、コア材料7の硬質の縁部6はコーティング8で被覆されている。
【0109】
図19は、上側の図面では、切欠きとしての同心的な溝12がプレート11の向かい合う面に刻設された、まだコーティングされていないセラミックプレートの11平面図を示し、下側の図面では、セラミックプレート11を通る断面図を示す。溝12の深さと幅を変更することもできる。同様に、同心的に配置された止まり穴によって、またはその他の種類の凹部またはこれらの混合形態溝によって、溝12を置き換えることができる。同様に、セラミックプレート11の上面と下面が、互いに鏡像対称の形態で構造化されていなくてもよい。
【0110】
図20は、上側の図面では、図19のセラミックプレート11の平面図を示し、両方の面の溝12がコーティング8の第1の層13で充填されており、下側の図面では、セラミックプレート11を通る断面図を示す。
【0111】
図21は、上側の図面では、図20に示すセラミックプレートおよびそのコーティング8の第1の層13に塗布されたコーティング8の2つの平坦な第2の層14を有する、図20のセラミックプレート11の平面図を示し、下側の図面では、セラミックプレート11を通る断面図を示す。
【0112】
図22は、上側の図面では、図21に示すセラミックプレート11から切り出された2つのスペーサ1の平面図を示し、下側の図面では、2つのスペーサ1を通る断面図を示す。
【0113】
図23は、図22に示すスペーサ1が2つの板材2の間に配置された構造体を示す。
【0114】
図24a,bは、別のスペーサ1の表面の模式的な平面図を示し、さまざまなメアンダ状の切欠きまたは構造が刻設されており、ガラス板がこれらに押し付けられたときに、これらの中へコーティングが接触面のドーム形状を形成するために変位することができる。これらの切欠きは、たとえば接触面で同じ直径上に位置して縁部に向かって数が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって直径が増えていく止まり穴、接触面に同心的に位置して縁部に向かって数が増えていく、腎臓形、台形、または角柱形のそれぞれ異なる幅の溝、または上記の形態の混合形態であってよい。
【0115】
図28および29は、段部と溝の拡大平面図を示している。面取りされた角部は、コア材料7での応力ピークの低減につながる。溝底面領域と比較して幅の広い溝切入口領域は、均一で隙間のないコーティングを容易にする。
【0116】
ここで説明している種類のスペーサ1は、例示として、以下の方法に基づいて製造することができる。
【0117】
この方法は、次の各ステップを含む:
-プレート11が、本例では具体的にはセラミックプレート11が、準備され、
-本例では具体的にはレーザ放射によってプレート11に少なくとも1つの溝12が刻設され、
-溝12が、および/または溝12で囲まれたプレート11の領域が、および/またはこれを覆う領域が、1つまたは複数のステップでコーティング8によりコーティングされ、
-スペーサ1の縁部領域で段部を形成するために、特に溝12の溝底面の周回する外側の縁部に沿ってプレート11からスペーサ1が切り出される。
【0118】
以下において、具体的に図19から22を参照しながら、この方法について詳細に説明する:
【0119】
図19は上側の図面で、スペーサ1の製造のためにプレート11が、本例では具体的には酸化ジルコニウムからなるセラミックプレート11が、準備されることを示している。
【0120】
このプレート11に両側でレーザ放射により、同心的に配置された複数の溝12が刻設される。次いで、図20に示すように、溝12がコーティング8の第1の層13によってコーティングされ、引き続き、充填された溝12が、ならびにそれまでにコーティングされていないプレート11の領域が、図21に示す次のステップでコーティング8の第2の層14によって覆われる。溝12の中の第1の層13のコーティング8と、第2の層14とは、互いに物質接合式に結合されて一連の材料を形成する。
【0121】
最後のステップとして、図22に示すように、溝12の溝底面の周回する外側の縁部に沿って、コーティングされたプレート11からレーザ放射によってスペーサ1の切り出しが行われる。その結果として回転対称のスペーサ1が得られる。
【0122】
以下において、スペーサを製造するための具体的な実施例を挙げる:
【0123】
スペーサの製造
実施例A1:
200μmの厚みと100mm×100mmの外側寸法とを有する、3Y TZP ZrOからなるセラミックフィルムを使用する。
【0124】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいてフィルム表面の構造化を行う。
【0125】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それによりセラミックフィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0126】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る(Monaco1035、Coherent社、270fs、15W、250kHz、2,100mm/s、400回通過、二重線)。
【0127】
実施例A2:
250μmの厚みと100mm×100mmの外側寸法とを有する、ZTA Alからなるセラミックフィルムを使用する。
【0128】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいてフィルム表面の構造化を行う。
【0129】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それによりセラミックフィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0130】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0131】
実施例A3:
200μmの厚みと100mm×100mmの外側寸法とを有する、ホウケイ酸塩からなるガラスフィルム(AF 32(登録商標)eco、Schott社)を使用する。
【0132】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいてフィルム表面の構造化を行う。
【0133】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それによりガラスフィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0134】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0135】
実施例A4:
250μmの厚みと100mm×100mmの外側寸法とを有する、Al(残留多孔度20%、平均粒度2μm)からなる多孔性のセラミックフィルムを使用する。
【0136】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいてフィルム表面の構造化を行う。
【0137】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それによりセラミックフィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0138】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0139】
実施例A5:
200μmの厚みと100mm×100mmの外側寸法とを有する、1.4301からなる特殊鋼フィルムを使用する。
【0140】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいてフィルム表面の構造化を行う。
【0141】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それにより特殊鋼フィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0142】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0143】
実施例A6:
実施例A(A1からA5より選択)に基づくフィルムを、両面で実施例O(O1からO7より選択)に基づいて構造化する。
【0144】
引き続いて、実施例B(B1からB6より選択)に基づいて両面でゾルゲルコーティングを塗布し、それによりセラミックフィルムの表面が構造化を含めてコーティングされる。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0145】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいて、コーティングされたフィルム表面の構造化を行う。
【0146】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0147】
実施例A7:
実施例A(A1からA5より選択)に基づくフィルムに、両面で実施例B(B1からB6より選択)に基づいてゾルゲルコーティングを塗布する。基本となるゾルの製作は、実施例S(S1からS7より選択)に記載されている。
【0148】
実施例O(O1からO7より選択)に基づいて、コーティングされたフィルム表面の構造化を行う。
【0149】
500μmの外径を有する円形のスペーサを、外径に沿って切り取る。
【0150】
表面構造の製作
実施例O1:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、2μmの深さと、25μmの幅と、250μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する(Monaco 1035、Coherent社、ZrOについて次のパラメータを適用した:270fs、4W、108kHz、500mm/s、1回通過、単線)。第1の環状溝の内部でセンタリングして、150μmの外側半径と、2μmの深さと、25μmの幅とを有する別の環状溝を刻設する。
【0151】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で環状溝が正確に向かい合う。
【0152】
実施例O2:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、3μmの深さと、25μmの幅と、200μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。第1の環状溝の内部でセンタリングして、100μmの外側半径と、2μmの深さと、25μmの幅とを有する別の環状溝を刻設する。第1の環状溝の内部でセンタリングして、1μmの深さと、25μmの直径とを有する止まり穴を刻設する。
【0153】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で溝が正確に向かい合う。
【0154】
実施例O3:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、1μmの深さと、30μmの幅と、265μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、レーザビームフォーミングにより漸次的な剥離を生成する。環状溝の中央には、外側領域よりも大きい厚みが残る。
【0155】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で環状溝が正確に向かい合う。
【0156】
実施例O4:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、1μmの深さと、30μmの幅と、265μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、レーザビームフォーミングにより漸次的な剥離を生成する。環状溝の中央には、外側領域よりも大きい厚みが残る。
【0157】
フィルムの裏面に、その前に刻設された環状溝の中央を起点として構造化を生成する。各々の環状溝の裏側に、2μmの深さと、25μmの幅と、250μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。この環状溝の内部でセンタリングして、150μmの外側半径と、2μmの深さと、25μmの幅とを有する別の環状溝を刻設する。
【0158】
実施例O5:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、1μmの深さと、30μmの幅と、265μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、200μmの外側半径上に位置するように、13μmの半径と2μmの深さとを有する35個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、150μmの外側半径上に位置するように、13μmの半径と2μmの深さとを有する別の26個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。
【0159】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で環状溝が正確に向かい合う。
【0160】
実施例O6:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、1μmの深さと、30μmの幅と、265μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、200μmの外側半径上に位置するように、13μmの半径と3μmの深さとを有する35個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、100μmの外側半径上に位置するように、13μmの半径と2μmの深さとを有する別の17個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、13μmの半径と1μmの深さとを有する別の止まり穴を刻設する。
【0161】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で環状溝が正確に向かい合う。
【0162】
実施例O7:
フィルムの中央で相並んで位置する10個所に、1μmの深さと、30μmの幅と、265μmの外側半径とを有する環状溝をレーザによって刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、200μmの外側半径上に位置するように、25μmの半径と2μmの深さとを有する20個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、100μmの外側半径上に位置するように、20μmの半径と2μmの深さとを有する別の12個の止まり穴を、相互に等しい間隔をおいて刻設する。環状溝の内部でセンタリングして、13μmの半径と2μmの深さとを有する別の止まり穴を刻設する。
【0163】
この工程を、正確に同じ位置でフィルムの裏面で反復し、それによりフィルムの上面と下面で環状溝が正確に向かい合う。
【0164】
ゾルの製作
実施例S1:
60gのベーマイト(PB 950、PIDC社、粒度5μm~15μm、結晶サイズ3nm~5nm)を400gのDI水と混合し、電気式の撹拌機で10分間撹拌する。次いで、懸濁液を85℃~90℃まで加熱し、その際に継続して引き続き撹拌する。懸濁液が所望の温度に達してから、全部で19gの65%HNO酸をピペットでゆっくりと添加して混ぜ入れる。HNOを添加することで、懸濁液がまず若干澄んでから粘性が増大し、混合物が強力にゲル化する。得られたゲルを空気中で室温になるまで冷却する。
【0165】
懸濁液が加熱されたとき、水の一部が蒸発する。加熱の前後に計量をすることで、蒸発した量を決定する。蒸発した水を追加してゲルに混ぜ入れる。
【0166】
ベーマイト質量に対して8:1の比率の酸化アルミニウム(CT 3000SG、Almatis社、平均粒度0.5μm)と、ベーマイトの個体質量全体に対して5%の量の有機結合剤(Optapix C95、Zschimmer und Schwarz社)と、Alとをゲルに添加して、アトライタミルで粉砕する。
【0167】
塗布前の必要な希釈はDI水を用いて行う。
【0168】
実施例S2:
60gのベーマイト(PB 950、PIDC社、粒度5μm~15μm、結晶サイズ3nm~5nm)を400gのDI水と混合し、電気式の撹拌機で10分間撹拌する。次いで、懸濁液を85℃~90℃まで加熱し、その際に継続して引き続き撹拌する。懸濁液が所望の温度に達してから、全部で19gの65%HNO酸をピペットでゆっくりと添加して混ぜ入れる。HNOを添加することで、懸濁液がまず若干澄んでから粘性が増大し、混合物が強力にゲル化する。得られたゲルを空気中で室温になるまで冷却する。
【0169】
懸濁液が加熱されたとき、水の一部が蒸発する。加熱の前後に計量をすることで、蒸発した量を決定する。蒸発した水を追加してゲルに混ぜ入れる。
【0170】
ベーマイト質量に対して1:1の比率の酸化アルミニウム(CT 3000SG、Almatis社、平均粒度0.5μm)と、ベーマイトの個体質量全体に対して5%の量の有機結合剤(Optapix C95、Zschimmer und Schwarz社)と、Alとをゲルに添加して、アトライタミルで粉砕する。
【0171】
塗布前の必要な希釈はDI水を用いて行う。
【0172】
実施例S3:
水ガラス(ケイ酸ナトリウム、Carl Roth社)に、酸化アルミニウム(CT 3000 SG、Almatis社)を質量に関して1:1の比率で添加して、アトライタミルで粉砕する。
【0173】
塗布前の必要な希釈はDI水を用いて行う。
【0174】
実施例S4:
使用準備の整ったゾルゲル結合剤(ino(登録商標)decor basis+、inomat社)を使用する。
【0175】
塗布前の必要な希釈はエタノールを用いて行う。
【0176】
実施例S5:
実施例S4の結合剤に、焼成シリカ(HDK N20、Wacker-Chemie社)を懸濁液質量に対して1:20の比率で添加し、撹拌装置を用いて混ぜ込み、引き続いてUltra Turrax(IKA社)を用いて分散させる。
【0177】
塗布前の必要な希釈はエタノールを用いて行う。
【0178】
実施例S6:
100gのテトラエトキシシラン(TEOS、ABCR社)を、20gのパーフルオロポリエーテル(PFPE、Fluorolink(登録商標)S10、Solvay Solexis)、40gのDI水、30gのイソプロパノール、および0.2gの塩化水素と混合し、電気式の撹拌装置で30分間撹拌する。生じた懸濁液を、引き続いて275gのイソプロパノールおよび75gのブチルアルコールで希釈し、あらためて30分間撹拌する。
【0179】
シリカゾル(DP5820、Nyacol社)を、TEOSおよびPFPEの個体質量全体に対して3%の量で懸濁液に追加して、混ぜ合わせる。
【0180】
塗布前の必要な希釈はエタノールを用いて行う。
【0181】
実施例S7:
実施例S2の結合剤に、懸濁液質量に対して10%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE、50TF 5070GZ、3M社)を追加し、撹拌装置で混ぜ込み、引き続いてUltra Turraxにより低い回転数のもとで分散させる。
【0182】
塗布前の必要な希釈はエタノールを用いて行う。
【0183】
ゾルゲルコーティングの製作
実施例B1:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0184】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0185】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0186】
焼き付けの後に強固に付着した層が得られ、これは外部からの圧力作用によって>20%の容積減少を生じることができる。
【0187】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【0188】
実施例B2:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0189】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0190】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0191】
懸濁液S6を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して片面に塗布する。
【0192】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって200℃のもとで2時間焼き付ける。
【0193】
この追加のコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0194】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【0195】
実施例B3:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0196】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0197】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0198】
懸濁液S7を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して片面に塗布する。
【0199】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、500K/hの加熱速度をもって300℃のもとで10分間焼き付ける。
【0200】
この追加のコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0201】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【0202】
実施例B4:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0203】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0204】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0205】
焼き付けた層に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、50TF 5070GZ、3M社、DI水で個体含有率2%まで希釈)を、生じた溶液への浸漬によって浸透させる。
【0206】
引き続き、浸透したコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日間乾燥させる。
【0207】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【0208】
実施例B5:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0209】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0210】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0211】
焼き付けた層に、煤溶液(Derussol(登録商標)345、Orion Engineered Carbons社、DI水で個体含有率2%まで希釈)を、浸漬によって浸透させる。このことは、スペーサの光学的な検知可能性を容易にする。
【0212】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間、窒素雰囲気の中で焼き付ける。
【0213】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【0214】
実施例B6:
懸濁液S(S1からS5より選択)を希釈することで、10%の個体質量含有率が生じる。これをエアブラシシステムへ注入し、1.7バールのスプレー圧と、コーティングされるべきフィルムとの10cmの間隔とをもって、0.5mmのスプレーノズルを通して両面に塗布する。
【0215】
引き続き、このコーティングを乾燥炉に入れて60℃のもとで1日から2日乾燥させる。乾燥した層を、100K/hの加熱速度をもって450℃のもとで1時間焼き付ける。
【0216】
このコーティングは約2μmの厚みを有する。
【0217】
一時的な付着性向上のために、シクロドデカン(ATTBIME(登録商標)AB24)の層を片面に塗布する。このことは、ガラス板の上でのスペーサの位置決めを容易にする。真空のもとでこれを完全に残らず昇華させる。
【0218】
幅1cmの周回する縁部を、以後の処理のために廃棄する。
【符号の説明】
【0219】
1 スペーサ
2 板材
3 本体
4 3の接触面
5 3の変形ゾーン
6 7の縁部
7 3のコア材料
8 3のコーティング
9 7の切欠き
11 プレート
12 11の溝
13 8の第1の層
14 8の第2の層
A 3の軸、長軸、対称軸
E 平面
G 8のコーティング頂部またはコーティングドーム
KG 7のコア材料頂部またはコア材料ドーム
2a 3の直径
P1、P2 ドーム状の接触面4の点
P3、P4 1の縁部領域の点
r 圧力負荷前の5の仮想的な曲率半径
R 圧力負荷後の5の実際の曲率半径
h1 Eに対する圧力負荷前の5の高さ
h2 点P3,P4に対する1(GまたはKG)の最高点の高さ
H 1の全高
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24a
図24b
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの板材(2)の間に配置するためのスペーサ(1)であって、それぞれ前記板材(2)と接触するために互いに軸方向で向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を含む、スペーサにおいて、
前記接触面(4)の間に、前記接触面(4)にドーム形状を付与するドーム形成手段が割り当てられた少なくとも1つの変形可能な変形ゾーン(5)が配置されることを特徴とする、スペーサ。
【請求項2】
前記手段は前記変形ゾーン(5)を少なくとも前記本体(3)の周囲の縁部(6)まで案内して、前記接触面(4)の前記ドーム形状を前記周囲の縁部(6)まで延長し、かつ、前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)で少なくとも軸方向へ変形可能であり、または前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)から間隔をおくことを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記手段は前記接触面(4)の中心を通る軸(A)に関して対称および/または規則的に配置され、前記手段は前記軸(A)に関して直径上で向かい合う点(P1,P2)を形成し、前記点は球冠の表面の上に、または曲率半径(r)を有する円弧の上に、位置し、前記曲率半径は平均で0.5mm~100mmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記手段は、前記本体(3)のコア材料(7)に、および/または前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有する前記コア材料(7)のコーティング(8)に、刻設された、段差エッジおよび/または段差面および/または曲率半径に追従する推移を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項5】
前記コーティングの平均の厚みは≦30μmであるが、前記コーティングの厚みは常に≧0.1μmであり、前記面にわたって変動していてよく、または前記コーティングは5μm±2.5μm、10μm±2.5μm、または15μm±2.5μmの平均の厚みを有することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペーサの最高点(GまたはKG)から前記スペーサ(1)の縁部領域の最高点までの高さ(h2)と、前記スペーサ(1)の全高(H)との商h2/Hは、0~0.1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項7】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)に向かって段階的に幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項8】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)を形成する、曲率半径に追従するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項9】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)に向かって幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項10】
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)を形成する、曲率半径に追従するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項11】
前記コーティング(8)は少なくとも1つまたは複数のコア材料区域を被覆および/または包囲することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項12】
前記手段は前記コア材料(7)の表面から前記コア材料(7)の内部に延びる切欠き(9)を含み、前記切欠き(9)は前記コア材料(7)の上のコーティング(8)により少なくとも部分的に充填され、または前記接触面(4)への加圧によって充填可能であり、前記コーティング(8)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項13】
前記切欠き(9)は、線形、円形、方形、ジグザグ状、メアンダ状、螺旋状、渦巻状、ハニカム状、または面状の形状を有する、ボア、止まり穴、窪み、またはキャビティとして、または前記形状の区域として、または前記形状の混合形態として、構成されることを特徴とする、請求項12に記載のスペーサ。
【請求項14】
前記切欠き(9)の、および/または前記切欠き(9)の横方向拡張部の、深さおよび/または横方向の幅は、前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって増加または減少していき、または前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって曲率半径に追従する推移で存在することを特徴とする、請求項12に記載のスペーサ。
【請求項15】
前記コア材料(7)は有機材料を有し、前記コーティング(8)はマイクロポアおよび/またはナノポアの材料を有することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項16】
前記コーティング(8)はそれ自体として、または内蔵された粒子により、着色、導電性または絶縁性、磁化可能、親水性、疎水性、両方の側で同一または異なる密度のもの、または粘着性であることを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項17】
前記変形ゾーン(5)の、および/または前記コア材料(7)の上のコーティング(8)の、容積減少は、平均で0.01~0.7の範囲内にあることを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項18】
もっとも広い円周での前記本体(3)の直径(2a)は、平均で0.05mm~1mmであることを特徴とする、請求項1に記載のスペーサ。
【請求項19】
前記本体(3)は円筒状、柱状、および/または支柱状であり、および/または角柱として構成され、
a)接触面(4)が設けられており、前記コア材料(7)の上の変形可能なコーティング(8)の平均の層厚は中央領域において縁部領域よりも大きく、または、
b)中心領域に頂部(G,KG)を有する接触面(4)が設けられており、均一な層厚を有するコーティング(8)は前記コア材料(7)の上に配置され、または、
c)中心領域に頂部(G)を有する接触面(4)が設けられており、縁部領域で大きくなる層厚を有するコーティング(8)は前記コア材料(7)の上に配置されることを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
【請求項20】
少なくとも2つの板材(2)を含み、前記2つの板材(2)の間に、向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を有するスペーサ(1)が配置され、各々の接触面(4)が前記板材(2)に押圧のもとで当接する、構造体において、
各々の変形ゾーン(5)が圧縮および/または変形し、各々の接触面(4)が凸面状に湾曲または平坦化し、各々の接触面(4)に当接する前記板材(2)の湾曲に追従することを特徴とする、構造体。
【請求項21】
前記2つの板材(2)の間におけるスペーサ(1)の個数は、板材面1mあたり1000~4000であることを特徴とする、請求項20に記載の構造体。
【請求項22】
平均で≧1mmであるが、常に≦50mmである最終曲率半径(R)が圧力負荷のもとで構成されることを特徴とする、請求項20に記載の構造体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
<付記>
付記(1):
2つの板材(2)の間に配置するための、特に、2重または多重にガラスを嵌めた窓またはドアの2つのガラス板の間に配置するための、スペーサ(1)であって、それぞれ前記板材(2)と接触するために互いに軸方向で向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を含む、スペーサにおいて、
前記接触面(4)の間に、前記接触面(4)にドーム形状を付与するドーム形成手段が割り当てられた少なくとも1つの変形可能な変形ゾーン(5)が配置されることを特徴とする、スペーサ。
付記(2):
前記手段は前記変形ゾーン(5)を少なくとも前記本体(3)の周囲の縁部(6)まで案内して、前記接触面(4)の前記ドーム形状を前記周囲の縁部(6)まで延長し、そのようにして前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)で少なくとも軸方向へ変形可能であり、または前記接触面(4)が前記周囲の縁部(6)から間隔をおくことを特徴とする、付記(1)に記載のスペーサ。
付記(3):
前記手段は前記接触面(4)の中心を通る軸(A)に関して対称および/または規則的に配置され、前記手段は前記軸(A)に関して直径上で向かい合う点(P1,P2)を形成し、前記点は球冠の表面の上に、または曲率半径(r)を有する円弧の上に、位置し、前記曲率半径は平均で0.5mm~100mm、好ましくは0.7mm~70mm、さらに好ましくは0.8mm~50mm、さらに好ましくは1mm~45mm、さらに好ましくは1.5mm~20mm、さらに好ましくは2mm~30mmまたは0.3mm~50mm、さらに好ましくは0.5mm~45mm、さらに好ましくは0.8mm~30mmまたは2mm~200mm、さらに好ましくは3m~100mm、および、特に好ましくは5mm~80mmの範囲内にあることを特徴とする、付記(1)または(2)に記載のスペーサ。
付記(4):
前記手段は、変形可能性が比較的低い前記本体(3)のコア材料(7)に、および/または変形可能性が比較的高い前記コア材料(7)のコーティング(8)に、刻設された、段差エッジおよび/または段差面および/または曲率半径に追従する推移を含むことを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(5):
前記コーティングの平均の厚みは≦30μm、好ましくは≦20μm、さらに好ましくは≦15μm、さらに好ましくは≦10μm、さらに特に好ましくは≦5μmであるが、常に≧0.1μmであり、前記面にわたって変動していてよく、または前記コーティングは5μm±2.5μm、10μm±2.5μm、または15μm±2.5μmの平均の厚みを有することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(6):
前記スペーサの最高点(GまたはKG)から前記スペーサ(1)の縁部領域の最高点までの高さ(h2)と、前記スペーサ(1)の全高(H)との商h2/Hは、都合よくは0~0.1の範囲内、好ましくは0~0.075の範囲内、さらに好ましくは0~0.05の範囲内、さらに好ましくは0~0.035の範囲内、さらに特別に好ましくは0~0.025の範囲内、さらに好ましくは0~0.02の範囲内にあることを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(7):
前記変形ゾーン(5)はコア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)に向かって段階的に幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(8):
前記変形ゾーン(5)はコア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コーティングドームまたはコーティング頂部(G)を形成する、曲率半径に追従するコーティング区域を含み、前記コーティングドームまたは前記コーティング頂部(G)は、前記板材(2)のほうを向くことが可能な、軸方向でもっとも外側のコーティング区域を形成することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(9):
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)に向かって幅に関して先細になっていく、階段状に互いに連続するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(10):
前記変形ゾーン(5)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有するコーティング(8)を含み、前記手段は、コア材料ドームまたはコア材料頂部(KG)を形成する、曲率半径に追従するコア材料区域を含み、前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)は、前記板材のほうを向くことが可能な、もっとも外側のコア材料区域を形成し、前記コーティングは前記コア材料ドームまたは前記コア材料頂部(KG)を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(11):
前記コーティング(8)は少なくとも1つまたは複数のコア材料区域を被覆および/または包囲することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(12):
前記手段は前記コア材料(7)の表面からその内部に延びる切欠き(9)を含み、前記切欠き(9)は前記コア材料(7)の上のコーティング(8)により少なくとも部分的に充填され、または前記接触面(4)への加圧によって充填可能であり、前記コーティング(8)は前記コア材料(7)よりも高い変形可能性を有することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(13):
前記切欠き(9)は、線形、円形、方形、ジグザグ状、メアンダ状、螺旋状、渦巻状、ハニカム状、面状の形状を有する、ボア、止まり穴、窪み、キャビティとして、またはこれらの形状の区域として、または前掲の形状の混合形態として、構成されることを特徴とする、付記(12)に記載のスペーサ。
付記(14):
前記切欠き(9)の、および/またはその横方向拡張部の、深さおよび/または横方向の幅は、前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって増加または減少していき、または前記接触面(4)の中央を起点として径方向および横方向で外側に向かって曲率半径に追従する推移で存在することを特徴とする、付記(12)または(13)に記載のスペーサ。
付記(15):
コア材料(7)は有機材料を有し、コーティング(8)はマイクロポアおよび/またはナノポアの材料を有することを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(16):
コーティング(8)はそれ自体として、または内蔵された粒子により、着色、導電性または絶縁性、磁化可能、親水性、疎水性、両方の側で同一または異なる密度のもの、または粘着性であることを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(17):
前記変形ゾーン(5)の、および/または前記コア材料(7)の上のコーティング(8)の、容積減少は、平均で0.01~0.7、好ましくは0.02~0.6、さらに好ましくは0.03~0.5、さらに好ましくは0.05~0.45、さらに好ましくは0.05~0.4または0.01~0.4、さらに好ましくは0.02~0.3、さらに好ましくは0.035~0.25または0.01~0.3、さらに好ましくは0.02~0.25、および、特に好ましくは0.035~0.2の範囲内にあることを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(18):
もっとも広い円周での前記本体(3)の直径(2a)は、平均で0.05mm~1mm、好ましくは0.2mm~0.6mm、さらに好ましくは0.3mm~0.5mmまたは0.2mm~0.5mm、さらに好ましくは0.2mm~0.45mmまたは0.3mm~0.6mm、特に好ましくは0.35mm~0.6mmであることを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(19):
前記本体(3)は実質的に円筒状、柱状、および/または支柱状であり、および/または角柱として構成され、
a)接触面(4)が設けられており、コア材料(7)の上の変形可能なコーティング(8)の平均の層厚は中央領域において縁部領域よりも大きく、または、
b)中心領域に頂部(G,KG)を有する接触面(4)が設けられており、実質的に均一な層厚を有するコーティング(8)はコア材料(7)の上に配置され、または、
c)中心領域に頂部(G)を有する接触面(4)が設けられており、縁部領域で大きくなる層厚を有するコーティング(8)は前記コア材料(7)の上に配置されることを特徴とする、先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ。
付記(20):
少なくとも2つの板材(2)、特にガラス板を含み、これらの間に、向かい合う2つの接触面(4)を有する本体(3)を有する、特に先行する付記のうちいずれか一つに記載のスペーサ(1)が配置され、各々の接触面(4)が板材(2)に押圧のもとで当接する、構造体において、
各々の変形ゾーン(5)が圧縮および/または変形し、そのようにして各々の接触面(4)が凸面状に湾曲または平坦化し、そのようにしてこれに当接する前記板材(2)の湾曲に追従することを特徴とする、構造体。
付記(21):
2つの板材(2)の間におけるスペーサ(1)の個数は、板材面1m あたり1000~4000、好ましくは1500~3000、さらに好ましくは1500~2500または300~3000、さらに好ましくは750~2500、さらに好ましくは1000~2000または1500~5000、さらに好ましくは1500~3500、および、特に好ましくは2000~3000であることを特徴とする、先行する付記に記載の構造体。
付記(22):
平均で≧1mm、好ましくは≧2mm、さらに好ましくは≧3mm、さらに特に好ましくは5mmであるが、常に≦50mm、特に好ましくは常に≦40mmである最終曲率半径(R)が圧力負荷のもとで構成されることを特徴とする、付記(20)または(21)に記載の構造体。
以下において、スペーサを製造するための具体的な実施例を挙げる:
【国際調査報告】