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特表2024-533601神経保護剤としての一酸化窒素放出プロスタミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】神経保護剤としての一酸化窒素放出プロスタミド
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5575 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240905BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/5575
A61K9/08
A61P27/06
A61P43/00 121
A61K31/19
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024517091
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2021075786
(87)【国際公開番号】W WO2023041182
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516217239
【氏名又は名称】ニコックス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】インパグナッティエッロ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】バスティア,エレナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD22Z
4C076DD26Z
4C076DD38D
4C076DD49
4C076EE23D
4C076FF14
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA02
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA58
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA02
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA78
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、正常眼圧緑内障、血管新生緑内障及び網膜症を伴う眼疾患に有効な化合物、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の処置方法に使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項2】
抗血管内皮増殖因子剤又はステロイドによる一次薬物療法を受けている被験者における眼疾患を処置する方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルであって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、補助療法として使用され、そして眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、未熟児網膜症、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症又は加齢黄斑変性症から選択される、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項3】
抗血管内皮増殖因子剤が、ベバシズマブ、ラニビズマブ又はアフリベルセプトから選択される、請求項2記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項4】
ステロイドが、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド留置用剤、又は徐放性デキサメタゾン留置用剤から選択される、請求項2記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項5】
眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫又は網膜静脈閉塞症である、請求項2~4のいずれか一項記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項6】
前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、一次薬物療法の処置中及び処置の間に投与される、請求項2~5のいずれか一項記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項7】
前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、眼科用製剤として投与される、請求項1~6のいずれか一項記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項8】
眼科用製剤が、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、等張化剤、緩衝剤、水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液である、請求項7記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項9】
等張化剤が、ソルビトール又はグリセロールである、請求項8記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項10】
眼科用製剤が、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ソルビトール又はグリセロール、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、及び水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液である、請求項7記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項11】
点眼水溶液が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する、請求項7~10のいずれか一項記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項12】
点眼水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸を更に含む、請求項8~11のいずれか一項記載の方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正常眼圧緑内障(NTG)、血管新生緑内障(NVG)の処置方法における、及び網膜症を伴う眼疾患の補助処置法における、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))は、下記式:
【0003】
【化1】
【0004】
で示される。
【0005】
上昇した眼圧(IOP)を下げる化合物(I)の効力は、開放隅角緑内障又は高眼圧症の患者433名を対象に1日1回27日間処置された第2相臨床試験で評価された。試験の結果は、0.065%の濃度で化合物(I)がIOPをベースラインから7.6~9.8mmHg下げることを実証した。同じ試験において、化合物(I)は良好な忍容性を示し、最も多い有害事象は、試験した最高用量で処置患者の16.8%に発生した結膜充血であった。
【0006】
EP 2 274 279は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの合成(実施例B-1)及び原発開放隅角緑内障(POAG)又は高眼圧症(OHT)の患者におけるIOP低下剤としてのその使用を開示している。
【0007】
正常眼圧(normal tension)緑内障は、眼圧が正常範囲を超えることなく視神経に損傷が生じる進行性緑内障性視神経症の一種であり;定義上、正常眼圧緑内障は、眼圧が常に21mmHg未満である点でPOAGとは異なる(Kamal & Hitchings, British Journal Ophthalmology 1998; 82(7):835-40)。正常眼圧緑内障はまた、低眼圧緑内障、正常眼圧(normal-pressure)緑内障又は正常眼圧(normotensive)緑内障とも呼ばれる。
【0008】
正常眼圧緑内障は、緑内障性視神経症及び進行性の視野欠損を特徴とする。
【0009】
幾つかの集団に基づく研究では、正常眼圧緑内障はアジア人集団でより頻繁に発生することが示されている。一部の研究では、国によって、全ての緑内障症例の平均52~92%が正常眼圧緑内障と診断されていることが示唆されている(Killer & Pircher A. Normal tension glaucoma: review of current understanding and mechanisms of the pathogenesis. 2018; 32(5):924-930. Sheybani et al, Open-Angle Glaucoma: Burden of Illness, Current Therapies, and the Management of Nocturnal IOP Variation. Ophthalmol Ther. 2020; 9(1):1-14)。
【0010】
幾つかの臨床試験で正常眼圧緑内障におけるIOPを下げることの価値が確認されたが、さまざまなIOP非依存性危険因子の相互作用がこの疾患の発症及び進行に関与している可能性があると考えられている。例えば、NTGにおける視神経乳頭への損傷は、視神経の一過性虚血性障害の発作を引き起こす異常な網膜血流の結果であると考えられている(Choi & Kook, Systemic and Ocular Hemodynamic Risk Factors in Glaucoma. Biomed Res Int. 2015; 2015:141905; Drance Br. J. Oph. 1972; 56:229-242)。最近、エンドセリン-1(ET-1)の房水及び血漿レベルの上昇が緑内障に関連しており、特にET-1の上方制御は、血管調節異常及びその他のIOP非依存性の機構が寄与していると考えられる、NTGの発症機序に関与している可能性がある(Choi & Kook, Systemic and Ocular Hemodynamic Risk Factors in Glaucoma. Biomed Res Int. 2015; 2015:141905)。
【0011】
IOP降下剤は、依然としてNTGの処置に有効性が証明された唯一の治療法である。正常眼圧緑内障共同研究では、IOPを30%下げると視野変化の長期リスクが35%から12%に減少することが実証された(Am J Ophthalmol 1998; 126: 498-505)。
【0012】
プロスタグランジン類似体は主力のIOP降下療法である;これらの薬物は、適切なIOPの日内制御を提供する最も効果的なIOP降下剤であることが実証されている(Cheng et al., Meta-analysis of medical intervention for normal tension glaucoma. Ophthalmology 2009, 116: 1243-1249)。
【0013】
頻繁に処方される別の種類のIOP降下剤には、β遮断薬が含まれる。プロスタグランジン類似体の導入前は、局所β遮断薬が第一選択のIOP降下剤と考えられていた。しかし、局所β遮断薬は、夜間全身性低血圧などの重大な全身性副作用を引き起こす可能性があり、NTGでは特に懸念される可能性がある。ドルゾラミド(2%)及びチモロール(0.5%)の一定量併用療法は、NTG患者における有効なIOP降下剤として報告された(J Glaucoma 2014; 23:239)。
【0014】
NTGの単剤療法におけるブリモニジン(0.2%)及びチモロール(0.5%)の効果を比較した研究の結果は、同等のIOP低下にもかかわらず、ブリモニジン処置患者はチモロール処置患者よりも進行性の視野欠損に遭遇する可能性が統計的に低いことを示した。この発見は、ブリモニジンが進行性の視野欠損を遅らせる、IOPに依存しない追加の神経保護効果を有する可能性を示唆した;しかし、ブリモニジン処置患者の多くは、主に眼アレルギーなどの有害事象に見舞われた(Am J Ophthalmol 2011; Vol. 151, N° 4: 671 - 681)。
【0015】
血管新生緑内障は、虹彩上の新生血管の出現と前房隅角での線維性血管組織の増殖を特徴とする、視力を脅かす続発性緑内障である。網膜虚血も一般的な推進要因であるが、幾つかの病態が最終的にNVGを引き起こす可能性があり、網膜中心静脈閉塞症、増殖性糖尿病性網膜症、及び眼虚血症候群は、最終的にNVGを引き起こす可能性がある最も一般的な併発疾患である。
【0016】
網膜の低酸素症及び虚血は、NVGの発症機序における重要な要因である。急な眼の痛み、視力低下、IOPの上昇、及び毛様体周囲血管の拡張は、NVGにおける最も一般的な症状である。網膜虚血がNVGの原因である場合は光凝固が現在選択されている処置法であるが、炭酸脱水酵素阻害剤(経口及び局所)、β遮断薬、及びα2アゴニスト、又はプロスタグランジン類似体などの典型的なIOP降下薬がNVG患者の、特にこの症状がIOP上昇に関連している場合には有効な処置法である。しかし、IOP降下剤単独では、NVG患者にしばしば観察される同時発生の眼炎症を悪化させる場合がある。
【0017】
神経保護剤は、緑内障の新たな治療法を表しており、例えば、ウノプロストン(Unoprostone)は、原発開放隅角緑内障及び高眼圧症のIOP低下に承認されているプロスタノイドである;この化合物は小柱網を介した房水の流出を増加させ、IOPを下げる。更に、前臨床研究では、ウノプロストンがIOPを下げる能力とは別に、神経細胞の生存を延長する可能性があることが示唆された;この効果は部分的には、細胞外シグナル調節キナーゼのET-1誘導性リン酸化の阻害による眼血流の改善に起因すると考えられる(Munemasa et al., Visual Neuroscience 2008;25:197-208)。ただし、臨床評価の前にこの化合物の神経保護特性を確認するには更なる研究が必要である。
【0018】
グルタミン酸は、CNS及び網膜の興奮性神経伝達物質であり、高い細胞外濃度で細胞毒性がある。緑内障の実験モデルでは、グルタミン酸興奮毒性が網膜神経節細胞死に関連していることが示されており、過剰なグルタミン酸放出の阻害又はその受容体であるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の遮断が、緑内障における神経保護の潜在的な治療標的として提案されている(Guo et al., Invest Ophthalmol vis Sci 2006;47: 626 - 633)。
【0019】
更に、眼血流に作用する薬物が試験されており、例えば、ニモジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬は、血管痙攣症状及び脈絡膜血流の増加を伴うNTG患者の網膜血流を正常化した。ただし、その利点は、適切に管理されたランダム化臨床試験での検証を依然として必要としている。
【0020】
一酸化窒素供与性プロスタグランジン誘導体は、緑内障又は高眼圧症の処置のためのIOP降下化合物として研究されている。WO 2018/087092は、正常眼圧緑内障の処置のためのラタノプロスト酸のニトロオキシアルキルエステル(ラタノプロステンブノド(Latanoprostene Bunod))の使用を開示している。WO 2018/087092は、白人被験者を対象とした2件の多施設第3相臨床研究及び日本人被験者を対象とした多施設第3相臨床研究の事後分析の結果を開示している;これらの研究は、開放隅角緑内障又は高眼圧症の被験者における、0.024% ラタノプロステンブノドの1日1回夕方のIOP降下作用(最長12か月間)を評価した。白人集団におけるベースラインで正常なIOP(≦21mmHg)を有する非試験(即ち、フェロー)の眼、及び日本人集団におけるベースラインで正常なIOP(≦19mmHg)を有する非試験(即ち、フェロー)の眼が特定され、IOPのアウトカムが分析された;その結果、ラタノプロステンブノドは白人集団及び日本人集団でそれぞれベースラインからIOPを4.2~4.9mmHg及び3.2~3.9mmHg下げたことが示された(Fingeret American Academy of Optometry, 2016)。ラタノプロステンブノドは、WO 2018/087092の化合物(1)に相当し、高眼圧の低下及び緑内障用に、Vyzulta(登録商標)というブランド名で販売されている。しかし、WO 2018/087092は、ラタノプロスト酸のニトロオキシアルキルエステルによる処置に関連する網膜及び/又は視神経乳頭に対する神経保護効果を開示していない。
【0021】
外科的介入は、IOPを低下させる薬物療法に反応し損なう患者の場合の次の段階である。正常眼圧緑内障の外科的管理には、線維柱帯切除術、線維柱帯形成術があり、そして最近では、選択的レーザービスコカナロストミーや深部強膜切除術を含む「非穿通性」緑内障手術が、IOPを下げるためのより侵襲的な術式に伴う合併症の一部を制限できる可能性があるため、関心を集めている。
【0022】
網膜症又は網膜血管疾患又は網膜機能不全は、視野欠損又は失明につながる可能性のある網膜の変性症状であり、種々の眼疾患、更には多数の全身疾患によって引き起こされる可能性がある。糖尿病性黄斑浮腫(DME)、未熟児網膜症(ROP)、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、加齢黄斑変性症(AMD)及び網膜静脈閉塞症(RVO)などの眼疾患は、網膜細胞の機能不全を特徴とする。
【0023】
糖尿病性網膜症は、糖尿病による網膜への損傷に起因する。未熟児網膜症は早期新生児で観察されることが多く、網膜血管における神経血管の成長を妨害する発作を伴う;高血圧性網膜症は、全身の高血圧が原因である。この疾患では、一部の血管が狭くなり、肥厚し、硬化して、火炎状出血及び網膜周囲の黄斑の腫れを伴い、乱視又は視力低下を引き起こす可能性がある。鎌状赤血球網膜症は、鎌状赤血球貧血を患っている患者でしばしば観察される;これらの患者には通常、疾患の初期には視覚症状はないが、後期段階では網膜血管新生が起こり、それによって失明を招く可能性がある。
【0024】
糖尿病性黄斑浮腫及び他の形態の網膜症に対する現在の薬物療法には、硝子体内投与のベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標))、ラニビズマブ(ルセンティス(Lucentis)(登録商標))及びアフリベルセプト(アイリーア(Eylea)(登録商標))などの抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)療法、並びに硝子体内投与のトリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド植込み型装置、及び徐放性デキサメタゾン留置用剤などのステロイドが含まれる。抗VEGF療法及びステロイドは、患者の視力及び全般的な生活の質を改善するのに有効であるが、発表された報告は、これらの処置によって生じる眼圧の大幅な上昇の可能性も強調している(Sudhalkar et al., Current intravitreal therapy and ocular hypertension: A review. Indian J Ophthalmol. 2021;69(2):236-243.; Razeghinejad & Katz Ophthalmic Res. 2012;47(2):66-80)。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、正常眼圧緑内障(NTG)、血管新生緑内障(NVG)及び網膜症を処置するための有効な治療法を提供することである。
【0026】
したがって、本発明は、正常眼圧緑内障、血管新生緑内障の処置方法に使用するための、及び望ましくない作用として眼圧を上昇させる一次療法により通常処置される網膜症を伴う眼疾患を処置するための補助療法として使用するための、化合物:ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))を提供する。
【0027】
本発明者らは、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、その実証されたIOP降下活性とは独立して、ウサギ眼へのエンドセリン-1(ET-1)の反復注射によって誘発される血行力学的変化を効果的に相殺することを見い出した。更には、化合物(I)はまた網膜細胞生理におけるET-1の変化も阻害した。これらの結果は、化合物(I)が、正常眼圧緑内障、血管新生緑内障又は網膜症を伴う他の眼疾患の進行に関与することが全て知られている、網膜細胞の生存、血管機能不全及び視神経乳頭損傷などのIOP非依存性危険因子を標的とすることを示唆している。
【0028】
本発明の治療方法におけるヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを使用する利点は以下のとおりである:化合物(I)は、IOP降下依存効果と、IOP降下に依存しない網膜及び視神経の神経保護効果とを併せ持つ;どちらの効果も、正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の患者の視覚障害又は失明から保護することになる。化合物(I)の血管保護効果は、眼内灌流を改善し、化合物(I)を眼疾患に関連する網膜機能不全の薬理学的管理における補助処置として使用するのに適したものにし、更に、化合物(I)のIOP降下効力は、硝子体内投与の抗VEGF剤又はステロイドによる処置によって頻繁に観察されるIOPの有害な上昇を相殺する。
【0029】
本発明の方法を使用して処置することができる網膜症を伴う眼疾患は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、未熟児網膜症(ROP)、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症(RVO)及び加齢黄斑変性症(AMD)を含むが、これらに限定されない。
【0030】
本発明の実施態様は、正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の処置における使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))を提供する。
【0031】
本発明の別の実施態様は、硝子体内投与の抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)剤又はステロイドによる一次薬物療法を受けている被験者における眼疾患を処置する方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))であって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、補助療法として使用され、そして眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、未熟児網膜症、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症又は加齢黄斑変性症から選択され;好ましくは、眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫又は網膜静脈閉塞症であり;好ましくは、抗血管内皮増殖因子剤が、ベバシズマブ(アバスチン)、ラニビズマブ(ルセンティス)又はアフリベルセプト(アイリーア)から選択され;好ましくは、ステロイドが、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド留置用剤、又は徐放性デキサメタゾン留置用剤から選択される、前記化合物(I)を提供する。
【0032】
本発明の実施態様において、化合物(I)を用いた補助療法は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))を抗VEGF剤又はステロイドによる一次薬物による処置中及び処置の間に投与することを含む。投与には、化合物(I)を1日1回又は1日2回、一次薬物療法の連続投与の前及び投与間隔中に投与することが含まれる。
【0033】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、医師の判断により投与され、各個人に特有である。適切な投与量は、約3μg/眼/回~300μg/眼/回;好ましくは約9μg/眼/回~約90μg/眼/回;より好ましくは、30μg/眼/回~約60μg/眼/回の範囲であろう。
【0034】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、眼科用製剤として投与され、好ましい眼科用製剤は点眼薬である。このような点眼薬は、水性点眼薬、非水性点眼薬、エマルジョン点眼薬、眼軟膏などであってよい;眼科用点眼水溶液が好ましい。
【0035】
この点眼薬は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含み、そして更に以下から選択される、眼科用組成物に使用される1種以上の従来の賦形剤を含む:等張化剤、キレート剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、pH調整剤、抗菌性保存剤又は酸化防止剤。本発明の眼科用液剤のpHは、好ましくは4~8、より好ましくは5~7である。
【0036】
本発明の実施態様は、正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の処置に使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))であって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、緩衝剤、等張化剤及び水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液として投与され;好ましくは、眼科用水溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wであり;任意選択で、眼科用水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記化合物(I)を提供する。
【0037】
好ましくは、等張化剤はソルビトール又はグリセロールである。
【0038】
本発明の別の実施態様は、正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の処置に使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))であって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ソルビトール又はグリセロール、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、及び水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液として投与され;好ましくは、水溶液が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有し;任意選択で、眼科用水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記化合物(I)を提供する。
【0039】
本発明の別の実施態様は、硝子体内投与の抗血管内皮増殖因子剤又はステロイドによる一次薬物療法を受けている被験者における眼疾患を処置する方法において使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))であって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、補助療法として投与され、そして前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、等張化剤、緩衝剤、水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液として投与され、そしてここで、眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、未熟児網膜症、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症又は加齢黄斑変性症から選択され;好ましくは、眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫又は網膜静脈閉塞症であり;好ましくは、眼科用水溶液が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有し;任意選択で、眼科用水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記化合物(I)を提供する。
【0040】
本発明の別の実施態様は、硝子体内投与の抗血管内皮増殖因子剤又はステロイドによる一次薬物療法を受けている被験者における眼疾患を処置するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))の使用であって、前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、補助療法として投与され、そして前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸、6-(ニトロオキシ),(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ソルビトール又はグリセロール、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、及び水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液として投与され、そして眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫、未熟児網膜症、高血圧性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜静脈閉塞症又は加齢黄斑変性症から選択され;好ましくは、眼疾患が、糖尿病性黄斑浮腫又は網膜静脈閉塞症であり;好ましくは、水溶液が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有し;任意選択で、眼科用水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を更に含む、前記化合物(I)の使用を提供する。
【0041】
本明細書に使用されるとき、「補助療法」、「補助処置」又は「補助処置法」という用語は、一次薬物療法に加えて行われる処置のことをいう。
【0042】
本明細書に使用されるとき、「一次薬物療法」という用語は、IOP上昇も誘発する可能性がある上記の眼網膜症を処置するために具体的に使用される治療法のことをいう。このような「一次薬物療法」は、ベバシズマブ(アバスチン)、ラニビズマブ(ルセンティス)及びアフリベルセプト(アイリーア)などの抗血管内皮増殖因子剤(抗VEGF)、又はトリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド留置用剤、徐放性デキサメタゾン留置用剤などのステロイドによる治療を含む。
【実施例
【0043】
この一連の実験は、眼の血管反応性、即ち、眼動脈抵抗指数(OA-RI)に対する化合物(I)の効果、ひいては、ウサギにおけるエンドセリン-1(ET-1)の球後注射によって誘発される視神経の明確に定義された虚血/再灌流損傷モデルにおける眼への反復局所投与後の網膜機能に対する化合物(I)の効果を決定するために行われた。
試験項目
ビヒクルに溶解した化合物(I)(Cpd(I))及びビヒクルを本研究において試験した。
Cpd(I):ビヒクルに溶解したヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(化合物(I))の0.1%溶液。
ビヒクル:1.0% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、0.016% w/w 塩化ベンザルコニウム、0.05% w/w エチレンジアミン四酢酸二水和物、2.76% w/w ソルビトール、1.33% w/w リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、0.5% w/w ホウ酸、水で100% w/wとし、pH5.5~6.5。
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを、WO 2019/162149に開示されたプロセスによって合成した。
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ]-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの0.1%溶液(Cpd(I))を、WO2020/011845に開示された方法によって調製した。
【0044】
方法及び処置
体重1.5~2.0kgの成熟オスニュージーランドホワイト(NZW)ウサギを使用した。動物を個別のケージに入れ、餌と水を自由に与えた。視神経の虚血/再灌流病変は、ケタミン(20mg/kg、Lobotor、ACME、100mg/ml)及びキシラジン(5mg/kg、Sedaxylan 2%、Dechra Veterinary Products S.r.l)の筋肉内投与により生じた麻酔下で涙管カニューレを使用して水中の250nM ET-1(Fluka、イスラエル)500μLを週に2回テノン嚢下注射することによって得られた。動物をET-1で6週間処置した。化合物(I)0.1%(1mg/mL)溶液又はビヒクルを、ET-1の最初の投与の2週間後から開始して実験の終わりまで、1日2回(午前10時頃及び午後4時頃)点眼薬(30μL/眼)として投与した。
眼動脈抵抗指数(OA-RI)は、ET-1処置前(ベースライン、時間0)、及びそこから研究終了まで毎週、エコーカラー(ecocolor)Doppler DynaView TM II SSD-1700(Aloka Holding Europe AG、Milan、Italy)を使用して推定された。2週目から4週目まで、試験時に実質的に薬物のない状態(最後の投与から16~18時間後)にするために、血行動態測定当日の試験品又はビヒクルの朝の投与は割愛した。眼動脈のPourcelot抵抗指数(OA-RI)は以下のとおり算出された:(PSV-EDV)/PSV、ここで、PSV及びEDVは、それぞれ収縮期最高速度(Peak Systolic Velocity)及び拡張末期速度(End Diastolic Velocity)のことをいう。
網膜電図(ERG)。局所麻酔は、0.2%塩酸オキシブプロカイン(4mg/ml)を1滴用いて適用した。次に、トロピカミド 1%を局所適用して眼を拡張し、コンタクトレンズ角膜電極を使用して両眼で標準的なERGを記録する前に、十分に安定して増幅された記録が得られるように、必要に応じて少なくとも2時間、暗順応させた。ERGシグナル[(振幅、マイクロボルト(μV)]は、Retimax(CSO、Florence、Italy)を使用し、現在の国際臨床視覚電気生理学会(International society for clinical electrophysiology of vision)(ISCEV)の指標により記録された;具体的には、暗順応0.01ERG(杆体応答)、暗順応3.0ERG(桿体錐体複合応答)、及び明順応3.0(錐体応答)が記録された。
a)暗順応0.01ERGではフラッシュ間の最小間隔2秒で、0.01明所視cd.s.m-2から0.025暗所視cd.s.m-2(カンデラ・秒/平方メートル)。
b)暗順応3.0ERGではフラッシュ間の最小間隔10秒で、3.0明所視cd.s.m-2から7.5暗所視cd.s.m-2
c)明順応3.0ERGではフラッシュ間の最小間隔0.5秒及び明順応強度30cd.s.m-2で、3.0明所視cd.s.m-2から7.5暗所視cd.s.m-2。全ての場合にERG記録は250ms続いた。
測定は、ET-1の初回投与前(ベースライン、時間0)、次いで2週目の終わり(ビヒクル又は化合物(I)の初日の初回投与前)及び6週目の終わり(ビヒクル又は化合物(I)の最終日の最終投与の36時間後)に行われた。
【0045】
結果
ベースライン眼動脈抵抗指数(OA-RI)
エンドセリン-1(ET-1)投与前、ビヒクル又は化合物(I)処置に無作為化された動物におけるOA-RI値は、それぞれ0.30±0.02及び0.30±0.02であった(表1)。ET-1を週2回2週間投与すると、OA-RIが上昇した。ビヒクルで処置した動物では、OA-RIはその後4週間にわたって増加し続けた。化合物(I)で処置した動物では、OA-RIは減少する傾向がある(5週目及び6週目にそれぞれ0.32±0.03及び0.33±0.02)(表1)が、恐らくET-1の効果に対する化合物(I)の補償効果の結果であろう。
【0046】
【表1】
【0047】
網膜電図(ERG)
網膜電図(ERG)応答を表2に報告する。ET-1処置により、ET-1注射の2週間後に網膜機能が顕著に低下し、ET-1で処置した眼で6週目に記録された低振幅が示すとおりその後も低下し続けた。しかし、化合物(I)で4週間処置した眼は、加えられた刺激(暗順応0.01、暗順応3.0及び明順応3.0)に関係なく、ビヒクルで処置した眼よりもERG波振幅の障害が有意に(p<0.05)少なかった。
【0048】
【表2】
【0049】
要約すると、結果は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、眼の血管反応性、即ち、眼動脈抵抗指数(OA-RI)、及び網膜機能、即ち、ウサギにおけるエンドセリン-1の球後注射によって誘発される視神経の明確に定義された虚血/再灌流損傷モデルにおける眼への反復局所投与後のERGを改善することを示した。
これらのデータは、化合物(I)投与後の眼内灌流及び網膜細胞生理機能の改善の証拠であって、最終的には虚血性病変の反復の結果としての視神経変性及び網膜細胞機能不全を逆転させる可能性がある証拠を提供している。
これらの結果は、復旧した眼内灌流に続発する網膜神経保護が疾患の進行を止める重要な要素である眼の病態の処置における、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの使用を支持している。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正常眼圧緑内障又は血管新生緑内障の処置に使用するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項2】
前記ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが、眼科用製剤として投与される、請求項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項3】
眼科用製剤が、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、等張化剤、緩衝剤、水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液である、請求項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項4】
等張化剤が、ソルビトール又はグリセロールである、請求項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項5】
眼科用製剤が、0.01%~0.18% w/w ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5% w/w~1.5% w/w マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ソルビトール又はグリセロール、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、ホウ酸、及び水を含み、そして5.5~6.5の範囲のpH及び260~340mOsm/Kgの浸透圧を有する点眼水溶液である、請求項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項6】
点眼水溶液が、0.021% w/w、0.042% w/w、0.065% w/w又は0.1% w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する、請求項2~5のいずれか一項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【請求項7】
点眼水溶液が、塩化ベンザルコニウム及びエチレンジアミン四酢酸を更に含む、請求項3~6のいずれか一項記載の使用のための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル。
【国際調査報告】