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特表2024-533606クイックロックチェンジアセンブリ及びそれを用いたロック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】クイックロックチェンジアセンブリ及びそれを用いたロック装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20240905BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240905BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M50/244 A
B60K1/04 A
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517131
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2021121106
(87)【国際公開番号】W WO2023044932
(87)【国際公開日】2023-03-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 文▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】游 ▲書▼兵
(72)【発明者】
【氏名】叶 ▲慶▼▲豐▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 元和
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235BB24
3D235CC14
3D235EE64
5H040AA01
5H040AS04
5H040CC20
(57)【要約】
本願は、外ケースと、クイックチェンジボルトと、アンロックエジェクタピンと、ボルト固定リングと、を含み、前記外ケースは、内部に中空のキャビティが形成され、前記クイックチェンジボルトは前記キャビティ内に配置され、前記クイックチェンジボルトはガイド段と、ねじ山固定段と、フランジ部と、工具嵌合段と、を含み、前記クイックチェンジボルトの内部に軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記ガイド段に第1緩み止め歯が形成され、前記第1緩み止め歯をロックすることで前記クイックチェンジボルトの回転が制限され、前記アンロックエジェクタピンは、前記貫通孔内に挿入され且つ保持されるように構成され、前記アンロックエジェクタピンの長さは前記貫通孔の長さより長く、外部工具が前記工具嵌合段に挿入されると、前記外部工具は前記アンロックエジェクタピンを押して前記貫通孔に沿って移動させ、且つ前記ガイド段から延出させることで前記第1緩み止め歯のロックを解除することができ、前記ボルト固定リングは前記外ケースに固定され、前記フランジ部を止めるように構成されるクイックロックチェンジアセンブリを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ケースと、クイックチェンジボルトと、アンロックエジェクタピンと、ボルト固定リングと、を含み、
前記外ケースは、内部に中空のキャビティが形成され、
前記クイックチェンジボルトは前記キャビティ内に配置され、前記クイックチェンジボルトはガイド段と、ねじ山固定段と、フランジ部と、工具嵌合段と、を含み、前記クイックチェンジボルトの内部に軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記ガイド段に第1緩み止め歯が形成され、前記第1緩み止め歯をロックすることで前記クイックチェンジボルトの回転が制限され、
前記アンロックエジェクタピンは、前記貫通孔内に挿入され且つ保持されるように構成され、前記アンロックエジェクタピンの長さは前記貫通孔の長さより長く、外部工具が前記工具嵌合段に挿入されると、前記外部工具は前記アンロックエジェクタピンを押して前記貫通孔に沿って移動させ、且つ前記ガイド段から延出させることで前記第1緩み止め歯のロックを解除することができ、
前記ボルト固定リングは前記外ケースに固定され、前記フランジ部を止めるように構成されるクイックロックチェンジアセンブリ。
【請求項2】
前記ガイド段は錐台形であり、前記第1緩み止め歯は前記ガイド段の錐面に設置される、請求項1に記載のクイックロックチェンジアセンブリ。
【請求項3】
前記外ケースの最上部にボスが形成され、前記ボスの外輪は歯状構造を有する、請求項1又は2に記載のクイックロックチェンジアセンブリ。
【請求項4】
前記ボルト固定リングの内側に段付き部が形成され、前記段付き部はフランジ部を止める、請求項1~3のいずれか一項に記載のクイックロックチェンジアセンブリ。
【請求項5】
前記アンロックエジェクタピンは頭部とネックタイト部とを有し、前記貫通孔の内壁に突起部が形成され、前記頭部は、前記アンロックエジェクタピンを貫通孔内に保持するように前記突起部と係合するように構成されて、前記ネックタイト部は前記突起部を経由して自由に移動するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のクイックロックチェンジアセンブリ。
【請求項6】
クイックチェンジナットと、ロック機構と、弾性部材と、を含み、
前記クイックチェンジナットはナット本体を含み、前記ナット本体内に貫通するねじ孔が開設され、
前記ロック機構の前記ねじ孔に対向する側にロック凹部が設けられ、前記ロック凹部の内表面に第2緩み止め歯が形成され、
前記弾性部材は前記ロック機構と組み合わされて、前記ロック機構を前記クイックチェンジナットに近づけるナットアセンブリ。
【請求項7】
カバープレートと、ベースと、をさらに含み、
前記カバープレートは前記ベースに固定接続され、前記カバープレートと前記ベースとの間に収容空間が形成され、
前記クイックチェンジナットはさらに前記ナット本体に接続された台面部を含み、前記台面部は収容空間内に配置され、前記ベースに前記ナット本体が延出するための開口が開設され、
前記収容空間は前記クイックチェンジナットが所定の範囲内で移動することを許容するように配置される、請求項6に記載のナットアセンブリ。
【請求項8】
前記ロック機構の前記カバープレートに対向する側にガイド部が形成され、前記カバープレートに前記ガイド部とガイド係合するガイド孔が形成され、前記弾性部材は前記ガイド部に嵌設され、前記弾性部材の両端はそれぞれ前記カバープレート及び前記ロック機構に当接する、請求項7に記載のナットアセンブリ。
【請求項9】
前記ベース及び/又は前記カバープレートにフランジが設けられ、前記フランジは前記クイックチェンジナットが前記ベース及び/又は前記カバープレートに対して回転することを制限するために用いられる、請求項7又は8に記載のナットアセンブリ。
【請求項10】
前記台面部に突起が形成され、前記ロック機構には前記突起と係合する係止溝が形成される、請求項7~9のいずれか一項に記載のナットアセンブリ。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載のクイックロックチェンジアセンブリと、
請求項6~10のいずれか一項に記載のナットアセンブリと、
を含み、
前記クイックチェンジボルトは、前記クイックチェンジボルトに前記クイックチェンジナットを締め付けると、前記ガイド段が前記クイックチェンジナットの前記ねじ孔を貫通し且つ前記ロック凹部の内表面に当接するように構成され、
且つ、前記第2緩み止め歯は前記第1緩み止め歯と噛み合わせてロックするか又は分離してアンロックすることに適するロック装置。
【請求項12】
前記第1緩み止め歯及び前記第2緩み止め歯は斜形の歯状構造である、請求項11に記載のロック装置。
【請求項13】
前記第1緩み止め歯及び前記第2緩み止め歯の傾斜角度は30°~60°である、請求項12に記載のロック装置。
【請求項14】
孔が開設される電池パックビームと、
凹溝が開設される車体ビームと、
請求項11~13のいずれか一項に記載のロック装置と、
を含み、
前記ナットアセンブリは前記車体ビームの凹溝内に固定され、前記クイックロックチェンジアセンブリは前記電池パックビームの孔内に固定される車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ロック技術分野に関し、より具体的には、電池用クイックロックチェンジアセンブリ及びこれを用いたロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新エネルギー自動車の急速な発展に伴い、新エネルギー自動車は世界的に販売台数が増加し続けている。しかしながら、新エネルギー自動車の動力電池は充電時間が長く、一般的には動力電池を迅速に交換する方式を用いて該課題を解決する。このような電池交換モードは、新エネルギー自動車の電池パックをそのまま交換することによってそれに電力供給する目的を達成し、電気エネルギーの迅速な補充を実現することができ、同時に電池のメンテナンス及び耐用年数の延長に役立つ。
【0003】
しかし、現在、電池パックを車体にロックするためのロック装置は、必要とされるスペースが大きい。このため、必要とされるスペースが小さく、優れた締結性能を実現しつつ、信頼性の高い緩み止め構造を備えたロック装置が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、クイックロックチェンジアセンブリ及びそれを用いたロック装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様によれば、外ケースと、クイックチェンジボルトと、アンロックエジェクタピンと、ボルト固定リングと、を含み、前記外ケースは、内部に中空のキャビティが形成され、前記クイックチェンジボルトは前記キャビティ内に配置され、前記クイックチェンジボルトはガイド段と、ねじ山固定段と、フランジ部と、工具嵌合段と、を含み、前記クイックチェンジボルトの内部に軸方向に沿って貫通孔が形成され、前記ガイド段に第1緩み止め歯が形成され、前記第1緩み止め歯をロックすることで前記クイックチェンジボルトの回転が制限され、前記アンロックエジェクタピンは、前記貫通孔内に挿入され且つ保持されるように構成され、前記アンロックエジェクタピンの長さは前記貫通孔の長さより長く、外部工具が前記工具嵌合段に挿入されると、前記外部工具は前記アンロックエジェクタピンを押して前記貫通孔に沿って移動させ、且つ前記ガイド段から延出させることで前記第1緩み止め歯のロックを解除することができ、前記ボルト固定リングは前記外ケースに固定され、前記フランジ部を止めるように構成されるクイックロックチェンジアセンブリを提供する。本願のクイックリリースロックアセンブリの構成によれば、ロック装置に必要とされる取り付けスペースを大幅に小さくしつつ、優れた締結性能と、信頼性が高い緩み及び回転の防止と、を実現することができる。
【0006】
いくつかの実施例において、前記ガイド段は錐台形であり、前記第1緩み止め歯は前記ガイド段の錐面に設置される。このような構成により、クイックチェンジボルトの取り付けをより良好にガイドすることができる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記外ケースの最上部にボスが形成され、前記ボスの外輪は歯状構造を有する。歯状構造の締まり嵌めを利用することにより、クイックロックチェンジアセンブリの外ケースを電池パックビーム内に圧入して、クイックロックチェンジアセンブリと電池パックビームとの迅速な取り付けを実現することができる。
【0008】
いくつかの実施例において、前記ボルト固定リングの内側に段付き部が形成され、前記段付き部はフランジ部を止める。このような構成により、クイックチェンジボルトが外ケースから抜け出すことを防止できる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記アンロックエジェクタピンは頭部とネックタイト部とを有し、前記貫通孔の内壁に突起部が形成され、前記頭部は、前記アンロックエジェクタピンを貫通孔内に保持するように前記突起部と係合するように構成されて、前記ネックタイト部は前記突起部を経由して自由に移動するように構成される。このような構成により、アンロックエジェクタピンは、貫通孔内を所定の範囲内でスライドさせることができ、同時に貫通孔から抜け出すことがない。
【0010】
第2態様によれば、クイックチェンジナットと、ロック機構と、弾性部材と、を含み、前記クイックチェンジナットはナット本体を含み、前記ナット本体内に貫通するねじ孔が開設され、前記ロック機構の前記ねじ孔に対向する側にロック凹部が設けられ、前記ロック凹部の内表面に第2緩み止め歯が形成され、前記弾性部材は前記ロック機構と組み合わされて、前記ロック機構を前記クイックチェンジナットに近づけるナットアセンブリを提供する。本願のナットアセンブリの構成によれば、ロック装置に必要とされる取り付けスペースを大幅に小さくしつつ、優れた締結性能と、信頼性が高い緩み及び回転の防止と、を実現することができる。
【0011】
いくつかの実施例において、前記ナットアセンブリはさらにカバープレートと、ベースと、を含み、前記カバープレートは前記ベースに固定接続され、前記カバープレートと前記ベースとの間に収容空間が形成され、前記クイックチェンジナットはさらに前記ナット本体に接続された台面部を含み、前記台面部は収容空間内に配置され、前記ベースに前記ナット本体が延出するための開口が開設され、前記収容空間は前記クイックチェンジナットが所定の範囲内で移動することを許容するように配置される。このような構成により、クイックチェンジボルトの軸線とクイックチェンジナットの軸線とが一直線上にない場合、クイックチェンジボルトとクイックチェンジナットとをより良好にセンタリングすることができる。
【0012】
いくつかの実施例において、前記ロック機構の前記カバープレートに対向する側にガイド部が形成され、前記カバープレートに前記ガイド部とガイド係合するガイド孔が形成され、前記弾性部材は前記ガイド部に嵌設され、前記弾性部材の両端はそれぞれ前記カバープレート及び前記ロック機構に当接する。このような構成により、ロック機構の移動をガイドしつつ、弾性部材を位置決めすることができる。
【0013】
いくつかの実施例において、前記ベース及び/又は前記カバープレートにフランジが設けられ、前記フランジは前記クイックチェンジナットが前記ベース及び/又は前記カバープレートに対して回転することを制限するために用いられる。フランジを設けることにより、クイックチェンジボルトとクイックチェンジナットとを締め付ける時に、クイックチェンジナットがベース及び/又はカバープレートに対して回転することを防止することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記台面部に突起が形成され、前記ロック機構には前記突起と係合する係止溝が形成される。このような構成により、ロック機構を位置決めして、ロック機構がクイックチェンジナットに対して回転することを防止することができる。
【0015】
第3態様によれば、前記クイックロックチェンジアセンブリと、前記ナットアセンブリと、を含み、前記クイックチェンジボルトは、前記クイックチェンジボルトに前記クイックチェンジナットを締め付けると、前記ガイド段が前記クイックチェンジナットの前記ねじ孔を貫通し且つ前記ロック凹部の内表面に当接するように構成され、且つ、前記第2緩み止め歯は前記第1緩み止め歯と噛み合わせてロックするか又は分離してアンロックすることに適するロック装置を提供する。本願のクイックロックチェンジアセンブリ及びナットアセンブリを使用することにより、ロック装置に必要とされる取り付けスペースを大幅に小さくしつつ、優れた締結性能、信頼性が高い緩みや回転の防止を実現することができる
【0016】
いくつかの実施例において、前記第1緩み止め歯及び前記第2緩み止め歯は斜形の歯状構造である。斜形の歯状構造の緩み止め歯を用いることにより、クイックチェンジボルトの緩みをより良好に防止することができる。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第1緩み止め歯及び前記第2緩み止め歯の傾斜角度は30°~60°である。緩み止め歯の傾斜角度を30°~60°の間に設定することで、緩みや回転を防止する効果を最大限に実現することができる。
【0018】
第4態様によれば、電池パックビームと、車体ビームと、前記ロック装置と、を含み、前記電池パックビームは、その中に孔が開設され、前記車体ビームは、その中に凹溝が開設され、前記ナットアセンブリは前記車体ビームの凹溝内に固定され、前記クイックロックチェンジアセンブリは前記電池パックビームの孔内に固定される車両を提供する。このような構成により、ロック装置に必要とされる取り付けスペースをより削減することができる。
【0019】
本願のロック装置によれば、特に、本願のクイックロックチェンジアセンブリによって、クイックロックリリースに必要とされる取り付けスペースの問題を解決でき、簡便な組み立てと交換を実現し、且つ組み立てと位置合わせとが簡単であり、組み立て効率が高い。
【0020】
ここで説明される図面は本願に対する更なる理解を提供するために用いられ、本願の一部を構成し、本願の例示的な実施例及びその説明は本願を解釈するために用いられ、本願に対する不当な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本願のいくつかの実施例に係るロック装置におけるクイックロックチェンジアセンブリの概略分解図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係るロック装置におけるナットアセンブリの概略分解図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係るクイックロックチェンジアセンブリとナットアセンブリとを含むロック装置の断面図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係るロック装置のクイックロックチェンジアセンブリとナットアセンブリとを、それぞれ電池パックビーム及び車体ビームに取り付ける時の状態を示す概略図である。
図5】クイックロックチェンジアセンブリをナットアセンブリに取り付けた後の状態の断面図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係るロック装置を用いて電池パックビームを車体ビームにロックした後の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく取得した全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0023】
別途定義されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本願の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することが目的であり、本願を限定することを意図したものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」及び「有する」という用語及びそれらの類語は、排他的ではないものを意図している。本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面における「第1」、「第2」等の用語は異なる対象を区別するために用いられ、特定の順序又は主従関係を説明するために用いられるものではない。
【0024】
本願における「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。本明細書の各所に該「実施例」という語が出現しても、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的で独立した又は代替的な実施例を指すものでもない。当業者は、本明細書に記載の実施例は他の実施例と組み合わせることができることを明示的かつ暗示的に理解する。
【0025】
本願の記載において説明すべきことは、特に明確に規定及び限定しない限り、「取り付ける」、「つながっている」、「接続」、「取り付け」という用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体接続であってもよい。直接つながっていてもよく、中間媒体を介して間接的につながっていてもよく、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0026】
本願における「及び/又は」という用語は、単に関連対象の関連、関係を説明しているに過ぎず、3種類の関係が存在可能であることを示し、例として、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBとが同時に存在する、Bが単独で存在する、という3つの状況を示すことができる。なお、本願において記号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0027】
本願に出現する「複数」は2つ以上(2つを含む)を指し、同様に、「複数組」は2組以上(2組を含む)を指し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を指す。
【0028】
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するために複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含むことができる。
【0029】
本願は、必要とされるスペースが小さく、優れた締結性能を実現しつつ、信頼性の高い緩み止め構造を備えたクイックロックチェンジアセンブリ及びそれを用いたロック装置を提供する。
【0030】
以下に本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
本願のロック装置300は、クイックロックチェンジアセンブリ100及びナットアセンブリ200を含む。
【0032】
図1は本願のいくつかの実施例に係るロック装置におけるクイックロックチェンジアセンブリの概略分解図である。図2は本願のいくつかの実施例に係るロック装置におけるナットアセンブリの概略分解図である。図3は本願のいくつかの実施例に係るクイックロックチェンジアセンブリとナットアセンブリとを含むロック装置の断面図である。図4は本願のいくつかの実施例に係るロック装置のクイックロックチェンジアセンブリとナットアセンブリとを、それぞれ電池パックビーム及び車体ビームに取り付ける時の状態を示す概略図である。図5はクイックロックチェンジアセンブリをナットアセンブリに取り付けた後の状態の断面図である。図6は本願のいくつかの実施例に係るロック装置を用いて電池パックビームを車体ビームにロックした後の状態を示す概略図である。
【0033】
まず、図1及び図3を参照して、本願のロック装置300のクイックロックチェンジアセンブリ100の構造について説明する。
【0034】
図1及び図3に示すように、クイックロックチェンジアセンブリ100は外ケース101、クイックチェンジボルト103、アンロックエジェクタピン105及びボルト固定リング107を含む。外ケース101は略円筒形構造をなし、内部に中空のキャビティが形成され、且つ天壁に開口109が形成される。いくつかの実施例において、外ケース101の上部にはさらにボス111が形成され、ボス111の外輪は、後述するように、締まり嵌めによって外ケース101を新エネルギー自動車の電池パックビーム404内に圧入するための歯状構造を有する。
【0035】
クイックチェンジボルト103は該キャビティ内に配置され、開口109を介してキャビティから突出するか又はキャビティ内に収容されるように、軸方向に移動可能に構成される。換言すれば、クイックチェンジボルト103は外ケース101と隙間嵌めを形成する。
【0036】
クイックチェンジボルト103はガイド段113、ねじ山固定段115、フランジ部117及び工具嵌合段119を含む。ガイド段113はねじ山固定段115の前端に位置する。ガイド段113に第1緩み止め歯121が形成される。いくつかの実施例において、ガイド段113は錐台形であってもよい。この場合、第1緩み止め歯121はガイド段113の錐面に設けられてもよい。ねじ山固定段115にねじ山が設けられ、後述するクイックチェンジナット207と嵌合されるために用いられ、それによりロックを実現する。
【0037】
工具嵌合段119は工具と嵌合するように構成され、電池をロックし又は取り外す時に、工具は工具嵌合段119の回転を駆動して、クイックチェンジボルト103の締め付け又は取り外しを実現する。図示しないが、当業者には理解されるように、例えば、工具嵌合段119は内部に多角形貫通孔が形成されてもよく、工具の先端はそれと嵌合する多角柱形であってもよく、それにより工具は工具嵌合段119の回転を駆動することができる。
【0038】
クイックチェンジボルト103の内部には、軸方向に貫通孔301が形成される。具体的には、図3に示すように、貫通孔301は、クイックチェンジボルト103のガイド段113、ねじ山固定段115及びフランジ部117を貫通する。アンロックエジェクタピン105は貫通孔301内に挿入され且つ保持されるように構成される。言い換えると、アンロックエジェクタピン105は貫通孔301に沿って所定の範囲内でスライドさせることができ、貫通孔301から抜け出すことなく貫通孔301内に保持される。
【0039】
いくつかの実施例において、図1及び図3に示すように、アンロックエジェクタピン105は、頭部123及びネックタイト部125を有する。これに対応して、貫通孔301の内壁には突起部303が形成される。アンロックエジェクタピン105の頭部123は突起部303と係合して、アンロックエジェクタピン105を貫通孔301内に保持するように構成される。アンロックエジェクタピン105のネックタイト部125は、突起部303を通って自由に移動するように構成される。例えば、アンロックエジェクタピン105の頭部123と突起部303との間は締まり嵌めであってもよく、アンロックエジェクタピン105のネックタイト部125と突起部303との間は隙間嵌めであってもよい。これにより、アンロックエジェクタピン105の頭部123を突起部303に挿通すると、突起部303が頭部123に引っ掛かり、アンロックエジェクタピン105が貫通孔301から抜け出すことを防止できる。同時に、ネックタイト部125は突起部303を経由して自由に移動することができるため、アンロックエジェクタピン105は貫通孔301内を所定の範囲でスライドさせることができる。
【0040】
アンロックエジェクタピン105の長さは、貫通孔301の長さよりも長くなるように設定される。すなわち、クイックチェンジボルト103を着脱する場合、工具嵌合段119に工具を挿入してアンロックエジェクタピン105の底部に突き当てると、アンロックエジェクタピン105の頭部123がクイックチェンジボルト103の先端から所定の長さだけ突出する。
【0041】
ボルト固定リング107は、外ケース101に固定される。いくつかの実施例において、ボルト固定リング107はねじ接続によって外ケース101にロックすることができる。ボルト固定リング107は、クイックチェンジボルト103のフランジ部117を止めて、クイックチェンジボルト103がクイックロックチェンジアセンブリ100の外ケース101から外れることを防止するように構成される。いくつかの実施例において、ボルト固定リング107の内側に段付き部127が形成されてもよく、段付き部127で囲まれた空間の直径はフランジ部117で形成された円盤の直径より小さくすることができ、それによりクイックチェンジボルト103を取り付ける前又はクイックチェンジボルト103を取り外した後に、段付き部127はフランジ部117を支持することができ、クイックチェンジボルト103は外ケース101から外れない。
【0042】
次に、図2及び図3を参照して、本願のロック装置のナットアセンブリ200の構造について説明する。
【0043】
ナットアセンブリ200はカバープレート201、弾性部材203、ロック機構205、クイックチェンジナット207、及びベース209を含む。クイックチェンジナット207は、ナット本体211と、ナット本体211に接続された台面部213と、を有する。ナット本体211内には、クイックチェンジボルト103と係合する貫通したねじ孔が開設される。
【0044】
ロック機構205は、クイックチェンジナット207に配置される。ロック機構205の前記ねじ孔に対向する側にロック凹部305が設けられ、ロック凹部305の内表面に第2緩み止め歯307が形成される。第2緩み止め歯307はクイックチェンジボルト103のガイド段113に設置された上記第1緩み止め歯121と噛み合わせてロックするか又は分離アンロックすることに適する。換言すれば、クイックチェンジボルト103は、クイックチェンジボルト103にクイックチェンジナット207を締め付けると、ガイド段113がクイックチェンジナット207のねじ孔を貫通し且つロック凹部305の内表面に当接するように構成され、それにより第1緩み止め歯121は第2緩み止め歯307と噛み合わされる。いくつかの実施例において、第1緩み止め歯121及び第2緩み止め歯307は斜形の歯状構造である。これらの実施例において、第1緩み止め歯121及び第2緩み止め歯307の傾斜角度は、好ましくは30°~60°である。
【0045】
いくつかの実施例において、クイックチェンジナット207の台面部213に突起215が形成される。これに対応して、ロック機構205には係止溝217が形成される。突起215と係止溝217とは互いに係合して、ロック機構205を位置決めし、例えば、ロック機構205がクイックチェンジナット207に対して回転することを防止する。
【0046】
弾性部材203はロック機構205に配置され、ロック機構205と組み合わされてロック機構205をクイックチェンジナット207に近づける。つまり、弾性部材203が付勢して、ロック機構205をクイックチェンジナット207に向けて押す。いくつかの実施例において、弾性部材203はばねであってもよい。
【0047】
カバープレート201とベース209との間に収容空間が形成される。いくつかの実施例において、カバープレート201は中間が突出した略矩形板状に形成されてもよく、ベース209は略矩形板状に形成されてもよく、それによりカバープレート201とベース209との間に上記収容空間を形成することができる。いくつかの実施例において、カバープレート201の4つのコーナーにねじ孔219を開設し、ベース209の上記ねじ孔219に対応する位置に貫通孔221を開設してもよく、それにより、後述するように、例えば図4に示すボルト406によって新エネルギー自動車の車体ビーム402に固定接続することができる。
【0048】
クイックチェンジナット207の台面部213、ロック機構205は、弾性部材203とともに上記収容空間内に配置される。収容空間は、クイックチェンジナット207が所定の範囲内で移動することを許容するように構成され、それによりクイックチェンジナット207とクイックロックチェンジアセンブリ100との位置合わせを確保することができる。ベース209には、ナット本体211が延出する開口223が開設される。開口223の直径はナット本体211の外輪の直径よりも大きく、これにより、上述したように、クイックチェンジナット207が所定の範囲で移動することを許容する。
【0049】
弾性部材203の両端はそれぞれカバープレート201及びロック機構205に当接する。つまり、カバープレート201とベース209とがボルト406によってロックされると、弾性部材203が圧縮状態となり、これにより、ロック機構205はカバープレート201から離れる方向に押されて、ロック機構205をクイックチェンジナット207に近づける。
【0050】
いくつかの実施例において、ロック機構205のカバープレート201とは反対の側にガイド部227が形成される。これに対応して、カバープレート201にはガイド部227にガイド係合するガイド孔229が形成される。ガイド部227はガイド孔229から突出してもよい。ここでも同様に、ガイド孔229の直径はガイド部227の直径よりも大きく、これにより、上述したように、クイックチェンジナット207が所定の範囲で移動することを許容する。これらの実施例において、弾性部材203はガイド部227に嵌設されてもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、ベース209には、ベース209に対するクイックチェンジナット207の回転を制限するためのフランジ225が設けられる。代替的に、他の実施例において、フランジ225はカバープレート201の側に配置されてもよい。又は、ベース209とカバープレート201との両方にフランジ225を設けてもよい。
【0052】
次に、図4を参照して、本願のクイックロックチェンジアセンブリ100及びナットアセンブリ200を用いて、電池パックを新エネルギー自動車の車体にロックする実施例を説明する。
【0053】
図4に示すように、新エネルギー自動車の電池パックビーム404には、クイックロックチェンジアセンブリ100の外ケース101の形状に対応した略円形孔414が開設される。取り付け時に、外ケース101のボス111と該円形孔414とを位置合わせし、歯形構造の締まり嵌めを介して、クイックロックチェンジアセンブリ100の外ケース101を電池パックビーム404内に圧入しリベット締めで固定して、クイックロックチェンジアセンブリ100と電池パックビーム404との迅速な取り付けを実現する。
【0054】
他方では、新エネルギー自動車の車体ビーム402には、ナットアセンブリ200の外形に対応した略矩形状の凹溝408が開設され、ナットアセンブリ200は凹溝408内に配置され且つ凹溝408に支持される。凹溝408の、ナットアセンブリ200のねじ孔219に対応する位置に貫通孔410が開設され、ボルト406が貫通孔410に挿入され且つねじ孔219と係合することにより、ナットアセンブリ200を車体ビーム402の凹溝408内に固定する。凹溝408の、ナットアセンブリ200のナット本体211に対応する位置に開口412が開設され、ナット本体211は該開口412を貫通し、それによりクイックロックチェンジアセンブリ100のクイックチェンジボルト103と係合して、ロックを実現する。
【0055】
取り付け時、クイックチェンジボルト103の工具嵌合段119に工具を挿入し、クイックチェンジボルト103の回転を駆動して、クイックチェンジボルト103とクイックチェンジナット207との接続を実現する。なお、この時に、上述したように、工具がアンロックエジェクタピン105の底部に当接しているため、アンロックエジェクタピン105の頭部123は、クイックチェンジボルト103の貫通孔301の上部から所定の長さだけ突出する。結果として、クイックチェンジボルト103をほぼ完全に締め付けると、クイックチェンジボルト103にクイックチェンジナット207が完全に締め付けられるまで、アンロックエジェクタピン105はロック機構205を押し上げる。その後、工具を外すと、アンロックエジェクタピン105の力が解放され、ロック機構205は弾性部材203によって復帰する。前述したように、弾性部材203がロック機構205をクイックチェンジボルト103に向けて押すことにより、ロック機構205の第2緩み止め歯307がクイックチェンジボルト103のガイド段113の第1緩み止め歯121に噛み合わされて、クイックチェンジボルト103の緩みを防ぐことができる。図5はクイックロックチェンジアセンブリをナットアセンブリに取り付けた後の状態を示す。逆に、クイックチェンジボルト103を取り外す時、工具はアンロックエジェクタピン105の底部に当接し、それによりロック機構205を押し上げ、ロック機構205の第2緩み止め歯307がクイックチェンジボルト103のガイド段113の第1緩み止め歯121から分離して、クイックチェンジボルト103を取り外すことができる。
【0056】
図6は、上記ロック装置を用いて電池パックビームを車体ビームにロックした後の状態を示す概略図である。本願のロック装置によれば、特に、本願の一体型クイックロックチェンジアセンブリによって、ロック装置の迅速な組み立てを実現でき、同時に緩みや回転を防止する効果を果たす。
【0057】
なお、上記では新エネルギー自動車の動力電池と組み合わせてロック装置を説明したが、該ロック装置は動力電池のみに適用されることに限定されず、他のロックすべき状況にも適用することができる。
【0058】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は本願の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。前記実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者は以下のことを理解すべきである。当業者は依然として前記各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はそのうち一部の技術的特徴を等価置換することができるが、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の実質を本願の各実施例の技術的解決手段の主旨及び範囲から逸脱させるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】