(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ポリマーフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/16 20190101AFI20240905BHJP
B32B 3/28 20060101ALI20240905BHJP
B29C 48/305 20190101ALI20240905BHJP
【FI】
B29C48/16
B32B3/28 C
B29C48/305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517383
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2022058378
(87)【国際公開番号】W WO2023047222
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ウィリアム ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アシーン アール.
【テーマコード(参考)】
4F100
4F207
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03B
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100BA02
4F100DB09B
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4F100EJ30
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4F207KA01
4F207KA17
4F207KB22
4F207KL62
4F207KL84
(57)【要約】
ポリマーフィルムが、直交する長さ及び幅を有する。ポリマーフィルムは、基材と、基材から離れる方へ延びた、長さに沿って基材と実質的に同一の広がりをもつ複数のフィンと、を含む。フィンは、幅にわたって配列されている。フィンの少なくとも過半数のうちの各フィンは、基材から基材の反対側のフィンの先端まで延びた第1の部分と、フィンの先端から基材に向かって、又は基材まで延びた第2の部分と、を含む。第2の部分は、先端に近接した第1の部分に付着し、基材に近接した第1の部分から長さの少なくとも一部に沿って分離している。第1の部分及び第2の部分は異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する長さ及び幅を有するポリマーフィルムであって、前記ポリマーフィルムが、基材と、前記基材から離れる方へ延びた、前記長さに沿って前記基材と実質的に同一の広がりをもつ複数のフィンと、を含み、前記フィンが前記幅にわたって配列されており、前記フィンの少なくとも過半数のうちの各フィンが、
前記基材から前記基材の反対側の前記フィンの先端まで延びた第1の部分と、
前記フィンの前記先端から前記基材に向かって、又は前記基材まで延びた第2の部分であって、前記先端に近接した前記第1の部分に付着し、前記基材に近接した前記第1の部分から前記長さの少なくとも一部に沿って分離している第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分が異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有する、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記基材が前記第1の組成物を含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記第1の組成物が第1のポリエステル組成物であり、前記基材が第2のポリエステル組成物を含む、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記第2の組成物がオレフィン組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記フィンが、前記基材から高さ方向に沿って平均高さHまで延びて、前記フィンの先端で、前記高さ方向に直交する方向に沿って平均幅Wを有し、H/W≧40である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
直交する長さ及び幅を有するポリマーフィルムであって、
基材と、
前記長さに沿って延び、前記幅にわたって配列された複数のフィンと、を含み、前記複数のフィンが前記長さに沿って前記基材と実質的に同一の広がりをもち、前記基材が、前記長さ及び前記幅に直交する方向に平均厚さTを有し、前記フィンが、高さ方向に沿って前記基材から平均高さHまで延びて、前記フィンの先端で、前記高さ方向に直交する方向に沿って平均幅Wを有し、H/W≧40かつH/T≧40である、ポリマーフィルム。
【請求項7】
前記フィンが、前記幅に沿って20Tを超える平均間隔Sで配列されている、請求項6に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
H>Sである、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記フィンの少なくとも過半数のうちの各フィンが、互いに結合した、前記基材の反対側の前記フィンの先端から前記基材に向かって、又は前記基材まで延びる第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分が異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有する、請求項6~8のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記フィンの少なくとも過半数のうちの各フィンでは、前記第2の部分が、前記先端に近接した前記第1の部分に付着し、前記基材に近接した前記第1の部分から前記フィンの長さの少なくとも一部に沿って分離している、請求項9に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
ポリマーフィルムであって、
第1の基材と、
前記ポリマーフィルムの長さ方向に沿って延び、前記長さ方向に沿って前記第1の基材と実質的に同一の広がりをもつ、複数のフィンと、を含み、前記フィンが、前記第1の基材に付着した前記フィンの付着部分から平均高さHまで高さ方向に沿って延びており、前記付着部分が、前記ポリマーフィルムの前記長さ方向及び前記厚さ方向に実質的に直交する、前記ポリマーフィルムの幅方向に沿って平均間隔Sで離間しており、HはSよりも大きく、前記高さ方向が、隣り合うフィンが互いに接触するように前記厚さ方向に対して十分に傾斜している、ポリマーフィルム。
【請求項12】
第2の基材を更に含み、前記複数のフィンが前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置されている、請求項11に記載のポリマーフィルム。
【請求項13】
少なくとも第1のポリマーフィルムを作製するための方法であって、前記第1のポリマーが、前記第1のポリマーフィルムの長さ方向に沿って延びており、前記長さ方向に直交する、前記第1のポリマーフィルムの幅方向に沿った幅を有し、前記方法が、
第1の樹脂及び第2の樹脂を、スロットプレート内の第1の複数のスロット及び第2の複数のスロットのそれぞれを通して押し出して、交互になった第1の延長要素及び第2の延長要素のそれぞれから構成される溶融積層体を形成することであって、前記第1の複数のスロット及び前記第2の複数のスロットの各々が、前記長さ方向及び前記幅方向によって画定される第1の平面に対して角度をなす流れ方向を有し、前記第1の延長要素及び前記第2の延長要素が前記長さ方向に沿って延び、前記長さ方向に直交する第2の平面内で傾斜している、形成することと、
第1のスキン層及び第2のスキン層を、前記溶融積層体の両側の第1の側及び第2の側のそれぞれに押し出して、溶融フィルムを形成することと、
前記溶融フィルムを、前記長さ方向及び前記幅方向に直交する厚さ方向に圧縮することと、
前記溶融フィルムを冷却して前記第1のポリマーフィルムを形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記第1の延長要素及び前記第2の延長要素から形成された複数の傾斜フィンを有する第2のポリマーフィルムを形成するために、前記第1のポリマーフィルムから前記第2のスキン層ではなく前記第1のスキン層を除去することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィンが前記第2のスキン層から概して離れる方へ延びるように、前記傾斜したフィンを回転させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
いくつかの態様では、本明細書は直交する長さ及び幅を有するポリマーフィルムを提供する。ポリマーフィルムは、基材と、基材から離れる方へ延びた、長さに沿って基材と実質的に同一の広がりをもつ複数のフィンとを含む。フィンは、幅にわたって配列されている。フィンの少なくとも過半数のうちの各フィンは、基材から基材の反対側のフィンの先端まで延びた第1の部分と、フィンの先端から基材に向かって、又は基材まで延びた第2の部分と、を含む。第2の部分は、先端に近接した第1の部分に付着し、基材に近接した第1の部分から長さの少なくとも一部に沿って分離している。第1の部分及び第2の部分は、異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有し得る。
【0002】
いくつかの態様では、本明細書は直交する長さ及び幅を有するポリマーフィルムを提供する。ポリマーフィルムは、基材と、長さに沿って延び、幅にわたって配列された複数のフィンとを含む。複数のフィンは、長さに沿って基材と実質的に同一の広がりをもつ。基材は、長さ及び幅に直交する方向に平均厚さTを有する。フィンは、高さ方向に沿って基材から平均高さHまで延びて、フィンの先端で、高さ方向に直交する方向に沿って平均幅Wを有する。いくつかの実施形態では、H/W≧40かつH/T≧40である。
【0003】
いくつかの態様では、本明細書は、第1の基材と、ポリマーフィルムの長さ方向に沿って延び、長さ方向に沿って第1の基材と実質的に同一の広がりをもつ、複数のフィンと、を含むポリマーフィルムを提供する。フィンは、第1の基材に付着したフィンの付着部分から平均高さHまで高さ方向に沿って延びている。付着部分は、ポリマーフィルムの長さ方向及び厚さ方向に実質的に直交する、ポリマーフィルムの幅方向に沿って平均間隔Sで離間している。HはSよりも大きくあり得る。高さ方向は、隣り合うフィンが互いに接触するように厚さ方向に対して十分に傾斜していることができる。
【0004】
いくつかの態様では、本明細書は熱管理システムを提供し、このシステムは、基材と、基材から離れる方へ延びた複数のフィンとを含むポリマーフィルムを含む。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書は、少なくとも第1のポリマーフィルムを作製するための方法を提供する。第1のポリマーは、第1のポリマーフィルムの長さ方向に沿って延びており、長さ方向に直交する、第1のポリマーフィルムの幅方向に沿った幅を有する。この方法は、第1の樹脂及び第2の樹脂を、スロットプレート内の第1の複数のスロット及び第2の複数のスロットをそれぞれ通して押し出して、交互になった第1の延長要素及び第2の延長要素のそれぞれから構成される溶融積層体を形成することを含む。第1の複数のスロット及び第2の複数のスロットの各々は、長さ方向及び幅方向によって画定される第1の平面に対して角度をなす流れ方向を有する。長さ方向に沿って延びた第1の延長要素及び第2の延長要素は、長さ方向に直交する第2の平面内で傾斜している。方法は、第1のスキン層及び第2のスキン層を溶融積層体の両側の第1の側及び第2の側のそれぞれに押し出して溶融フィルムを形成することと、溶融フィルムを、長さ方向及び幅方向に直交する厚さ方向に圧縮することと、溶融フィルムを冷却して第1のポリマーフィルムを形成することと、を含む。
【0006】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの実施形態による、ポリマーフィルムの概略断面図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、ポリマーフィルムの概略上面図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、ポリマーフィルムを押し出すためのダイスの概略平面図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、スロットプレートの概略断面図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、スロットプレートの概略断面図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、スロットプレートの概略断面図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、溶融フィルムの概略断面図である。
【
図5B】圧縮された後の
図5Aの溶融フィルムに相当し得る、いくつかの実施形態によるフィルムの概略断面図である。
【
図5C】スキン層を除去した後の
図5Bのフィルムに相当し得る、いくつかの実施形態によるフィルムの概略断面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、フィルムの製造方法の概略図である。
【
図7A】例示的なポリマーフィルムの上面斜視画像である。
【
図7B】例示的なポリマーフィルムの斜視画像である。
【
図8】いくつかの実施形態による、スロットプレートの概略端面図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、スロットプレートを通るポリマー流路の概略図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、スキンプレートの概略端面図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、熱管理システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、ポリマーフィルムが提供され、このポリマーフィルムは、フィルムの長さに沿って延びた複数のフィンを提供する。フィルムは、押出、及び/又は一体形成されたフィルムであり得る。フィルムが一体形成されているとは、フィルムの様々な部分が別々に製造されてから接合されるのではなく、一緒に製造される場合である。いくつかの実施形態によれば、2つのスキン層の間に配置された複数の傾斜した延長要素を含むウェブを共押出し、次いで、スキン層のうちの1つを除去し、延長要素を回転させることによって、高いアスペクト比(例えば、高さが幅の少なくとも40倍)を有するフィンを一体形成フィルムの中に提供できることがわかった。フィンは、異なる組成物を有する、実質的に同一の広がりをもつ第1の部分及び第2の部分を含み得る。フィルムは、いくつかの実施形態によれば、例えば、フィルムの長さに沿ってフィルムを通して材料及び/又はエネルギーを輸送するのに有用であることがわかった。例えば、フィンを使用して、フィルムの表面に沿って流体を方向付けることができ、ここで流体を加熱又は冷却して、例えばフィルムを熱交換器として使用することもできる。そのようなフィルムは、例えばバッテリ冷却に有用であり得る。ポリマー熱交換器フィルムを使用して冷却されるバッテリシステムは、例えば、国際出願公開第2021/044345号(Bartlingら)に記載されている。いくつかの実施形態によれば、フィルムは、あるいは、又は、加えて、包装フィルムとして利用されてもよい。
【0010】
図1は、いくつかの実施形態による、ポリマーフィルム100の概略断面図である。
図2は、いくつかの実施形態による、ポリマーフィルム100の概略上面図である。ポリマーフィルム100は、直交する長さ及び幅を有する。すなわち、長さ及び幅は、直交する長さ(z方向)及び幅(x方向)方向にそれぞれ沿っている。ポリマーフィルム100は、基材120と、長さに沿って(ポリマーフィルム100の長さ方向(z方向)に沿って)基材120と実質的に同一の広がりをもつ複数のフィン110とを含む。基材は基材部分と称されることもあり、フィルムの、実質的に一定の厚さを有する部分であってもよい。基材は、フィンと一体形成され得る。フィン110は、基材120から離れる方へ、かつ長さに沿って延びており、幅に沿って(ポリマーフィルムの幅方向(x方向)に沿って)配列されている。フィン110は、基材120から離れる方へ平均高さHまで高さ方向147に沿って延びていることができる。各フィン110は最小幅を有することができ、これは、延長要素の両側の主表面間の、それらの主表面に実質的に直交する方向(例えば、直交から30、20、10、又は5度以内の方向)に沿った最小距離である。最小厚さは、延長要素の上部(例えば、先端113)で生じ得る。例えば、いくつかの実施形態では、延長要素110は、延長要素の先端113に近接する互いに付着した第1の部分111及び第2の部分112を含み、最小幅は、第1の部分111と第2の部分112との合計厚さに実質的に等しくなり得る。最小幅の平均はWであり、これはフィンの先端の平均幅と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態では、H/Wは、少なくとも40であるか、本明細書の他の箇所に記載される別の範囲内にある。いくつかの実施形態では、延長要素は幅方向に沿って離間し、平均間隔Sで配列されており、この間隔は、10W超、かつ/又は基材の平均厚さTの10倍超、かつ/又は平均高さH未満、又は本明細書の他の箇所に記載される別の範囲内であり得る。間隔Sは、フィン間の中心間距離として説明され得る。フィンは、平均間隔Sに等しいピッチで幅に沿って規則的に配列されてもよい。
【0011】
層又は要素は、各層又は要素の面積で(例えば、その層又は要素の主表面に面する平面図で)少なくとも約60%が、他方の各層又は要素の面積で少なくとも約60%と同一の広がりをもつ場合に、互いに実質的に同一の広がりをもつとして記載され得る。いくつかの実施形態においては、互いに実質的に同一の広がりをもつとして説明される層又は要素では、各層又は要素の面積で少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約90%が、他方の各層又は要素の面積で少なくとも約70%又は少なくとも約80%又は少なくとも約90%と同一の広がりをもつ。層又は要素は、各層又は要素の長さ及び幅の少なくとも約60%が他方の各層又は要素の長さ及び幅の少なくとも約60%と同一の広がりをもつ場合に、長さ及び幅において互いに実質的に同一の広がりをもつとして説明され得る。いくつかの実施形態において、長さ及び幅において互いに実質的に同一の広がりをもつとして説明される層又は要素では、各層又は要素の少なくとも約80%又は少なくとも約90%が、他方の各層又は要素の長さ及び/又は幅の少なくとも約80%又は少なくとも約90%と長さ及び/又は幅において同一の広がりをもつ。
【0012】
延長要素110は、フィンと称されてもよい。いくつかの実施形態では、延長要素(又はフィン)の少なくとも過半数(50%超)のうちの各延長要素(又はフィン)は、基材120から、基材120の反対側の延長要素(又はフィン)の先端113まで延びた第1の部分111と、延長要素(又はフィン)の先端113から基材120に向かって、又は基材120まで延びた第2の部分112とを含む。第2の部分112は、先端に近接した第1の部分111に付着されることができ、基材120に近接した第1の部分111から、延長要素(又はフィン)の長さLの少なくとも一部分に沿って、長さに沿って分離していることができる。いくつかの実施形態では、第1の部分111及び第2の部分112は、本明細書の他の箇所で更に説明するように、異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有する。フィン又は延長要素の第1の部分111及び第2の部分112は、独立して1つの延長要素であり得、第1の延長要素及び第2の延長要素と称され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム100は、直交する長さ及び幅を有し、基材120と、長さに沿って(ポリマーフィルム100の長さ方向(z方向)に沿って)延び、幅にわたって(ポリマーフィルムの幅方向(x方向)にわたって)配列された複数のフィン110と、を含む。いくつかの実施形態では、複数のフィンは、長さに沿って基材120と実質的に同一の広がりをもつ。いくつかの実施形態では、フィンの各々、又はフィンの少なくとも過半数のうちの各フィン、又はフィンの少なくとも60、70、80、若しくは90パーセントのうちの各フィンは、長さに沿って基材120と実質的に同一の広がりをもつ。基材120は、長さ及び幅に直交する厚さ方向(y方向)に、平均厚さTを有する。いくつかの実施形態では、フィン110は、基材120から平均高さHまで高さ方向147に沿って延び、高さ方向147に直交する方向に沿ったフィン110の最小幅の平均である平均幅Wをフィンの先端において有する。高さ方向147は、フィン110の少なくとも過半数のうちの各フィンについて、厚さ方向(y方向)に対して平行から30度、20度、又は10度以内の方向であってもよい。いくつかの実施形態では、Wは0.05~2mmの範囲である。いくつかの実施形態では、H/W≧40、80、100、120、150、又は200である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、H/T≧40、80、100、120、150、又は200である。例えば、いくつかの実施形態では、H/W≧80かつH/T≧80である。H/W及び/又はH/Tは、例えば最大で10,000、5000、1000、500、又は250であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、フィン110は幅に沿って離間し、平均間隔S(又はピッチ)で配列されており、その間隔は、例えば10T超、又は20T超、又は30T超であってもよい。間隔Sは最大で、例えばTの1000倍又は10,000倍であってもよい。いくつかの実施形態では、フィン110は、幅方向に沿って規則的に配列されている。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、フィンは、0.1~3cmの範囲の平均間隔Sで配列される。いくつかの実施形態では、H>Sである。例えば、Hは少なくとも、Sの1.5、2、2.5、又は3倍であり得る。Hは最大で、例えばSの100、50、20、又は10倍であり得る。いくつかの実施形態では、間隔Sは、例えば10W超、又は20W超、又は30W超である。間隔Sは最大で、例えばWの1000又は10,000であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、各フィンは、高さ方向147に沿った最大高さH1と、高さ方向に直交する方向に沿った最小幅W1とを有する。複数のフィン110は、少なくとも40の平均H1/W1を有し得、又は、H1/W1はH/Wについて本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲内であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム100は長さ方向(z方向)に沿って1、10、30、又は100m超の長さLを有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の部分111及び第2の部分112は、異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有する。いくつかの実施形態では、基材120は第1の組成物を含む。いくつかの実施形態では、第1の組成物は第1のポリエステル組成物であり、基材は第2のポリエステル組成物を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリエステル組成物と第2のポリエステル組成物は異なる。いくつかの実施形態では、第1のポリエステル組成物と第2のポリエステル組成物は同じ組成物である。ポリエステル組成物は、50重量%を超えるポリエステルを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の部分112ではなく、第1の部分111が基材120に直接結合している。例えば、第1の部分111と基材120とは、同じ組成物から形成され得、又は、互いに良好に結合する類似したポリマー(例えば、少なくとも1つの同じモノマー単位を含むポリマー)から形成され得るが、一方で、第2の部分112は基材120への結合がもっと弱い、異なる組成物から形成され、その結果、本明細書の他の箇所で更に説明するように、フィン(又は延長要素)を形成して回転させると、第2の部分112は基材120から引き離され得る。いくつかの実施形態では、第1の組成物はポリエステル組成物である。いくつかのそのような実施形態、又は他の実施形態では、第2の組成物は、オレフィン組成物及びスチレン系組成物のうち少なくとも1つを含む。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第2の組成物はオレフィン組成物である。オレフィン組成物は、50重量%を超えるオレフィンを含み得る。同様に、スチレン系組成物は、50重量%を超えるスチレン含有ポリマー(単数又は複数)を含み得る。有意の量(例えば、10又は20重量パーセントを超える)のオレフィン及びスチレン含有化合物を含む組成物は、オレフィン組成物及びスチレン組成物のいずれか若しくは両方と称されてもよく、又はオレフィン/スチレン組成物と称されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、第1の部分111と第2の部分112、並びに/又は、第2の部分112と基材120が、少なくとも10%だけ互いに異なる表面張力を有するように選択される。表面張力は、例えば、互いに少なくとも15%、又は少なくとも20%だけ異なってもよい。表面張力は、例えば、最大約130%、約100%、又は約80%だけ異なってもよい。フィルムに使用されるポリマーの表面張力は、当業者には理解されるとおり、多くの場合、表面張力の標準的な表で見つけることができる。表面張力は、例えば、ASTM D7490-13「Standard Test Method for Measurement of the Surface Tension of Solid Coatings,Substrates and Pigments using Contact Angle Measurements」に記載のとおりの接触角測定を使用して測定し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数のフィン110(又は延長要素)と基材120とは一体形成される。いくつかの実施形態では、複数のフィン110(又は延長要素)と基材120とは共押出成形される。
【0021】
いくつかの実施形態では、フィン(又は延長要素)及び基材に使用される組成物は、容易に押出可能かつ加工可能であるように選択され得る、熱可塑性ポリマーを含む。例えば、熱可塑性ポリマーは、押出性に適した範囲内の分子量及び/又は固有粘度及び/又はメルトフローインデックス(MFI)を有するように選択され得る。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、20,000ダルトン超、又は35,000ダルトン超、又は50,000ダルトン超の重量平均分子量Mwを有する。重量平均分子量Mwは、例えば、最大1,000,000ダルトン、最大600,000ダルトン、最大400,000ダルトン、最大200,000ダルトン、最大150,000ダルトンであってもよい。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、60重量パーセントのo-クロロベンゼン及び40重量パーセントのフェノールを含む溶媒ブレンド中で測定した場合に、0.3dl/g~1.2dl/g又は0.4dl/g~1.0dl/gの範囲の固有粘度を有する。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、5g/10分超、又は10g/10分超、又は20g/10分超のメルトフローインデックスを有する。メルトフローインデックスは、例えば、最大300g/10分、又は最大200g/10分、又は最大100g/10分であってもよい。重量平均分子量Mwは、例えばゲル浸透クロマトグラフィを使用して測定され得る。固有粘度は、例えば毛細管粘度計を用いて測定され得る。メルトフローインデックスはメルトフローレートと称されることもあり、例えばASTM D1238-20に従って押出可塑度計を用いて測定され得る。
【0022】
本明細書のフィルムの様々な部分に好適な材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、coPEN(コポリエチレンナフタレートテレフタレートコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヘキシルエチレンナフタレートコポリマー(PHEN)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性PEN(PENG)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、THV(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、coPMMA(メチルメタクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー)、スチレンブロックコポリマー(スチレンブロックを含むブロックコポリマー)、例えばスチレン及びエチレン/ブチレン(例えばスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)コポリマー)に基づく直鎖状トリブロックコポリマー、アクリルブロックコポリマー(アクリレート又はメタクリレートブロックを含むブロックコポリマー)、例えば、メチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートに基づく直鎖状トリブロックコポリマー、無水物変性エチレンビニルアセテートポリマー、ケトンエチレンエステルターポリマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンとエチレンのコポリマーなどのコポリプロピレン(coPP)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)などのウレタン、又はこれらのブレンドが挙げられる。
【0023】
アタクチックポリスチレン(aPS)は、任意選択的に、得られる層の屈折率を調整するために、及び/又は層のヘイズを低減するために(例えば、層の結晶化度を低減することによって)、sPS(例えば、約5~約30重量パーセントのaPS)とブレンドすることができる。好適なTHVポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2019/0369314号(Hebrinkら)に記載されており、3M Company(St.Paul,MN)からDYNEON THVの商品名で入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態では、THVは、約35~約75モルパーセントのテトラフルオロエチレン、約5~約20モルパーセントのヘキサフルオロプロピレン、及び約15~約55モルパーセントのフッ化ビニリデンを含有することができる。好適なスチレンブロックコポリマーとしては、KRATON Polymers(Houston,TX)から入手可能なKRATON G1645及びKRATON G1657が挙げられる。好適なアクリルブロックコポリマーとしては、Kuraray Co.,Ltd.(Tokyo,JP)からKURARITYの商品名で入手可能なものが挙げられる。PETGは、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位、典型的にはシクロヘキサンジメタノールから誘導されるモノマー単位で置換されたPETとして説明することができる。PETGは、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。好適なPETGコポリエステルとしては、Eastman Chemical Company(Kingsport,TN)から入手可能なGN071が挙げられる。PEN及びcoPENは、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)に記載されているように製造することができる。低融点PENは、総カルボキシレート基に基づいて約90モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基を含むcoPENであり、coPEN 90/10としても知られている。別の有用なcoPENは、総カルボキシレート基に基づいて約70モルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基及び約30モルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含むcoPEN 70/30である。より一般的には、coPEN Z/100-Zが総カルボキシレート基に基づいてZモルパーセントのナフタレンジカルボキシレート基(典型的には、50モルパーセントを超え、かつ約90モルパーセント以下)及び100-Zモルパーセントのテレフタレートジカルボキシレート基を含む場合、coPEN Z/100-Zが使用されてもよい。グリコール変性ポリエチレンナフタレート(PENG)は、ポリマーのグリコール単位の一部が異なるモノマー単位で置換されたPENとして説明することができ、例えば、ポリエステルを製造するエステル交換反応で使用されるエチレングリコールの一部分をシクロヘキサンジメタノールで置き換えることによって製造することができる。PHENは、エステル交換反応において使用されるエチレングリコールの一部分(例えば、約40モルパーセント)がヘキサンジオールで置き換えられることを除いて、例えば、米国特許第10,001,587号(Liu)にPENについて記載されているように製造することができる。好適なPETは、例えば、Nan Ya Plastics Corporation,America(Lake City,SC)から入手することができる。好適なsPSは、例えば、Idemitsu Kosan Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手することができる。好適なPMMAは、例えば、Arkema Inc.(Philadelphia,PA)から入手することができる。好適な無水物変性エチレンビニルアセテートポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なケトンエチレンエステルターポリマーとしては、例えば、Dow Chemical(Midland,MI)からBYNELの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、Mitsui Chemicals(Tokyo,Japan)からADMERの商品名で入手可能なものが挙げられる。好適なcoPPとしては、Total Petrochemicals,Inc.(Houston,TX)から入手可能なPP8650(プロピレンとエチレンとのランダムコポリマー)が挙げられる。
【0024】
図3は、いくつかの実施形態による、ポリマーフィルムを押し出すためのダイス444の概略平面図である。ダイス444は、スロットプレート431、スキンブロック432、及び圧縮区間433を含む。圧縮区間433は、押し出されたウェブを厚さ方向(y方向)に圧縮し、また、任意選択としてウェブを幅方向(x方向)に圧縮してもよい。ダイス444は、当業者には理解されるとおり、図示されていないが、押出ダイスにおいて一般的に使用される他の要素を含んでもよい。
【0025】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、スロットプレート431の概略断面図である。
図4Aはスロットプレート431の入力側に隣接した断面図、
図4Cはスロットプレート431の出力側に隣接した断面図、
図4Bは
図4Aと
図4Cとの間における断面図である。スロットは、
図4A~
図4Cでは長方形スロットとして概略的に示されているが、あるいは他の形状を有してもよい(例えば、特定の領域への流れを促進するため)。例えば、スロットは、丸みを帯びた縁部を有してもよく、又は概ね台形の形状を有してもよい。スロットプレート431は他の特徴を含んでもよく、例えば、流れを促進し、複数のスロット410、420の側部の角領域に材料を充填するチャネルを提供するための、複数のスロット410、420の両側の孔などである。また、複数のスロット410の片側又は両側に追加のスロット、及び、複数のスロット420の片側又は両側に追加のスロットが、互いに交錯(interlace)せずに存在してもよい。追加の孔(単数又は複数)及び/又は交錯しないスロット(単数又は複数)は、例えば、押し出されたウェブを安定させるために役立ち得る。実施例に更に記載するとおり、
図8は、いくつかの実施形態による、孔772、772’、及び交錯しないスロット771、771’を示すスロットプレートの概略端面図である。
図9は、
図8のスロットプレートによって生成されるポリマー流の概略図であり、
図10は、スキンプレートに隣接した
図8のスロットプレートを概略的に示す。スロットプレート431及び他のダイス要素は、ワイヤ放電加工(EDM)などの従来の機械加工技術を使用して作製され得る。
【0026】
図5Aは、いくつかの実施形態による、溶融フィルム250の概略断面図である。溶融フィルム250は、圧縮区間433で圧縮される前の、スロットプレート431及びスキンブロック432によって形成された溶融フィルムに相当してもよい。溶融フィルム250は、第1のスキン層325と第2のスキン層320との間に配置された、交互になった第1の延長要素245及び第2の延長要素246から構成される溶融積層体240を含む。第1の延長要素245及び第2の延長要素246は、異なる第1の組成物545及び第2の組成物546を有し、第1のスキン層325及び第2のスキン層320は第3の組成物525及び第4の組成物520を有し、それらは同じであっても異なっていてもよい。例えば、第3の組成物525と第4の組成物520は同じ組成物であってもよく、それは第1の組成物545及び第2の組成物546のうち1つと同じであってもよい。
【0027】
図5Bは、いくつかの実施形態による、第1のフィルム260の概略断面図である。ポリマーフィルム260は、圧縮区間433で圧縮され、冷却された後の、溶融フィルム250に相当し得る。ポリマーフィルム260は、第1のスキン層125と第2のスキン層120との間に配置された、複数の交互になった第1の延長要素111及び第2の延長要素112を含むとして説明され得る。第1の延長要素111及び第2の延長要素112は、溶融フィルム250が圧縮及び冷却されてポリマーフィルム260を形成した後の、第1の延長要素245及び第2の延長要素246であってもよい。同様に、第1のスキン層125及び第2のスキン層120は、溶融フィルム250が圧縮及び冷却されてポリマーフィルム260を形成した後の、第1のスキン層325及び第2のスキン層320であってもよい。
【0028】
図5Cは、いくつかの実施形態による、ポリマーフィルム262の概略断面図である。ポリマーフィルム262は、スキン層125が除去された後のポリマーフィルム260に相当し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム260、262は、第1の基材120と、ポリマーフィルムの長さ方向(z方向)に沿って延び、長さ方向に沿って第1の基材120と実質的に同一の広がりをもつ複数のフィン110と、を含む。フィン110は、第1の基材120に付着したフィンの付着部分117から平均高さHまで高さ方向147に沿って延びている。付着部分117は、ポリマーフィルムの長さ方向及び厚さ方向(y方向)に実質的に直交するポリマーフィルムの幅方向(x方向)に沿って平均間隔Sで離間して配列されている。HはSより大きく、高さ方向147は、隣り合うフィンが互いに接触するように、厚さ方向に対して十分に傾斜している。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム260は、第2の基材125を更に含み、複数のフィン110は第1の基材120と第2の基材125との間に配置される。
【0030】
いくつかの実施形態では、フィン(又は延長要素)の少なくとも過半数のうちの各フィンは、互いに付着した、フィンと実質的に同一の広がりをもつ第1の部分111及び第2の部分112を含む。第1の部分111及び第2の部分112は、本明細書の他の箇所で更に説明するように、異なる第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ有し得る。いくつかの実施形態では、第1の基材120は第1の組成物を含む。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、ポリマーフィルム260は第2の基材125を含み、第2の基材125は第2の組成物を含む。
【0031】
図6は、いくつかの実施形態による、ポリマーフィルムの製造方法の概略図である。樹脂P1及びP2、並びに、任意選択としてP3及びP4の一方又は両方を押出ダイス344(例えば、ダイス444に相当する)を通して押し出して押出ウェブ350を形成し、この押出ウェブをキャスティングホイール346(チルロールとも称される)にキャスティングすることによって冷却してキャストウェブ351を形成し、これはポリマー260に相当し得る。当業者には理解されるとおり、任意選択的なローラ347が含まれてもよく、また、任意選択として追加のローラ(図示せず)が含まれてもよい。第1の部分111及び第2の部分112は、第1の樹脂P1及び第2の樹脂P2から形成されてもよい。第1の基材120及び第2の基材125(スキン層と称されることもある)は、P1及びP2から、又はP1~P4のいずれかから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の樹脂P1はポリエステルを含み、第2の樹脂P2はオレフィンを含む。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、第1の基材120及び第2の基材125は樹脂P3及びP4から形成され、それらの樹脂は、ポリエステルを含んでもよく、第1の樹脂P1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリマーフィルム260内の第1の延長要素111及び第2の延長要素112は、少なくとも10%又は本明細書の他の箇所に記載される別の範囲で互いに異なる表面張力を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも第1のポリマーフィルムを作製するための方法が提供される。第1のポリマーは第1のポリマーフィルムの長さ方向に沿って延びており、長さ方向に直交する、第1のポリマーフィルムの幅方向に沿って幅を有する。方法は、第1の樹脂及び第2の樹脂(例えばP1及びP2)を、スロットプレート431内の第1の複数のスロット(410)及び第2の複数のスロット(420)をそれぞれ通して押し出して、交互になった第1の延長要素245及び第2の延長要素246のそれぞれから構成される溶融積層体240を形成することを含む。第1の複数のスロット及び第2の複数のスロットの各々は、長さ方向及び幅方向によって画定される第1の平面(平面455又はxz平面)に対して角度をなす流れ方向(例えば、
図3に概略的に示される158、159)を有する。第1の延長要素245及び第2の延長要素246は長さ方向に沿って延びており、長さ方向に直交する第2の平面(xy平面)内で傾斜している。方法は、第1のスキン層(325)及び第2のスキン層(320)を(例えば、スキンブロック432を介して)溶融積層体の両側の第1の側242及び第2の側241のそれぞれに押し出して溶融フィルム250を形成することと、溶融フィルムを(例えば圧縮区間433において)、長さ方向及び幅方向に直交する、厚さ方向(y方向)に圧縮することと、溶融フィルムを冷却して第1のポリマーフィルム260を形成することと、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の複数のスロット及び第2の複数のスロットの各々の流れ方向158、159は、第1の平面に対して5度~85度、又は10度~90度、20度~80度、30度~60度、又は40度~50度の範囲内の角度θ1、θ2をなす。角度θ1、θ2の各々は、例えば約45°であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の延長要素245(又は111)及び第2の延長要素246(又は112)から形成された複数の傾斜フィン110を有する第2のポリマーフィルム262を形成するために、第1のポリマーフィルム260から第2のスキン層(120)ではなく第1のスキン層(125)を除去することを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、フィンが概して第2のスキン層から離れる方へ延びるように、傾斜したフィンを回転させる(例えば、
図1に概略的に示されるようにフィンが概してスキン又は基材20から離れる方へ延びるように、
図5Cのフィンを回転させる)ことを更に含む。いくつかの実施形態では、傾斜したフィンの少なくとも過半数のうちの各傾斜したフィンは隣接した第1の部分111及び第2の部分112を備え、それらは互いに概ね平行に延び、傾斜したフィンの少なくとも一部に沿って互いに結合している。いくつかの実施形態では、傾斜したフィンを回転させることにより、第1の部分111と第2の部分112とが、第2のスキン層120に隣接する、フィンの少なくとも一部に沿って互いに分離する。フィンを回転させたとき、第1の部分111及び第2の部分112は、これらの部分の先端付近で互いに結合されたままであり得るが、隣り合うフィン110は互いに分離し得ることがわかった。
【0035】
図7Aは、ポリマーフィルム260に相当し得る例示的なポリマーフィルムの上面斜視画像である。例示的なポリマーフィルムのフィンは、フィンの第1の部分及び第2の部分のうちの一方に染料を含んでいた。
図7Aでは、染料を有する部分の縁部が濃色の縞として見える。
図7Bは、(例えば、
図7Aのポリマーフィルムの)上部スキンを除去し、フィルムの底部スキン又は基材から概して離れる方へ延びるように、フィルムの一部のフィンを回転させた、例示的なポリマーフィルムの斜視画像である。
図7Cは、
図7Bのポリマーフィルムの一部の、
図7Bに比較して拡大されたスケールでの斜視画像である。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のポリマーフィルム260又は第2のポリマーフィルム262は、第1の基材120と、ポリマーフィルムの長さ方向(z方向)に沿って延びた複数のフィン110と、を含む。フィン110は、第1の基材120に付着したフィンの付着部分117から平均高さHまで、高さ方向147に沿って延びている。付着部分117は、ポリマーフィルム260、262の長さ方向(z方向)及び厚さ方向(y方向)に実質的に直交する、ポリマーフィルムの幅方向(x方向)に沿って平均間隔Sだけ離間していることができる。HはSよりも大きくあり得る。H、S、及び/又は、H/Sは、本明細書の他の箇所に記載されるいずれかの範囲内であり得る。ポリマーフィルム260、262の高さ方向147は、隣り合うフィンが互いに接触するように、厚さ方向に対して十分に傾斜していることができる。
【0037】
図11は、いくつかの実施形態による、熱管理システム1000の概略断面図である。熱管理システム1000は、例えばポリマーフィルム100に相当し得る、フィルム800のフィンの間で流体900を循環させるためのポンプ973を含む。フィルム800は、冷却又は加熱されることが所望される物体又はデバイス830上に配置され得る。フィルムを物体又はデバイスに結合するために、フィルム800と物体又はデバイス830との間に接着剤が配置されてもよい。あるいは、フィルム800は、物体又はデバイス830に結合するための接着剤を含んでもよい。接着剤は熱伝導性接着剤であってもよい(例えば、接着剤は熱伝導性充填剤を含んでもよい)。流体900は、冷却流体(例えば、デバイスの所定の動作温度より低い温度に維持される)又は加熱流体(例えば、物体の所定の温度より高い温度に維持される)であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム100(例えば
図1参照)と、ポリマーフィルム100の隣り合うフィン110の間の空間を少なくとも部分的に充填する液体900とを含む、フィルム800が提供される。フィルム100、800は、任意選択として、フィン110の上部に配置された追加の層を含んで、ポリマーフィルム100の基材120と追加の層との間にチャネルを画定してもよい。追加の層は、例えば接着層を介してフィン110の先端に結合していてもよい。
【実施例】
【0038】
延長要素(フィン又はルーバー)を有するフィルムを調製し、操作した。物理的特性を評価した。それを、以下の実施例に示す。
【0039】
これらの実施例は、単に説明する目的のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書の実施例及び他の箇所における全ての部、百分率、比などは、別途指示がない限り、重量に基づくものである。本明細書では、以下の略語を使用する。ミル=千分の1インチ、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、℃=摂氏、sec=秒、%=パーセント、in=インチ、IV=固有粘度、MFI=メルトフローインデックス。
【表1】
【0040】
実施例E1~E5
基材及び複数のフィンを有するフィルムを形成するためのハードウェアには、スロットプレートに切り込まれた一連のスロットに各マニホールドが供給を行う、デュアルマニホールドダイスが含まれていた。スロットは、長さが0.687インチ(17.45mm)で、幅は広い方の端部で0.033インチ(0.84mm)、狭い方の端部で0.022インチ(0.56mm)であった(台形形状)。スロットを、出口側の中央に0.066インチ(1.68mm)の間隔で配置した。これらのスロットは、yz平面内でマニホールドからダイスの中心線まで角度をなし、
図3に示すように、交錯してABAB...というパターンを形成していた。スロットはまた、
図8に示すように、xy平面(例えば
図4A~
図4C参照)内で45度傾いていた。スロットプレートの各縁部には、いくつかのスロット771、771’があり、これらのスロットは反対側のスロットの入口端部が供給マニホールドを越えているので交錯しなかった。マニホールド内の流れを促進し、ルーバー積層体の角を「充填する」ために、yz平面内で角度をなす孔772、772’を、スロットプレートの各端部に穿孔した。出力されたフィルムは、一方の縁部にA樹脂の中実帯を有し、他方の縁部にB樹脂の中実帯を有する。
【0041】
図9は、結果として生じた、スロットプレートを通るポリマー流路を示す。AB交錯パターンと、スロット771及び孔772にそれぞれ対応するポリマーフロー871及び872とが示されている。
【0042】
ルーバー積層体を形成した後、
図10に示すとおりのスキンプレートに樹脂を流し込んだ。スキンプレートは、チャネル781及び782のそれぞれを通して積層体の上部及び底部にスキン層を施用した。スキン層は、ルーバーの一方若しくは両方と同じ樹脂であってもよいし、又は、1つの樹脂若しくは2つの異なる樹脂であってもよい。特に関心があったのは、上部スキン層がルーバー樹脂Aに一致し、下部スキン層がルーバー樹脂Bに一致する場合であった。
【0043】
ルーバー積層体とスキンを合わせたものをダイス出口に流し、0.50インチ(1.3cm)の高さから約0.050インチ(0.13cm)にy方向へ圧縮した。x方向の幅は、スロットプレートからダイス出口まで一定を維持した。
【0044】
実施例の調製
上記の構成を利用して、以下の装置設定を用いて一連のフィルムを製造した。冷却ロール(ホイール)側スキン層への供給は、18mmのLeistritz製TSE(二軸押出機)を真空下で運転して、260~271℃の8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも260~271℃に加熱した。空気側スキン層への供給は、27mmのLeistritz(Leistritz Extrusion Technologies,Nurnberg,Germany)製TSEを真空下で運転して、ここでも260~271℃で8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも260~271℃に加熱した。不連続な傾斜した層から構成される各セットへの供給は、27mmのLeistritz製TSEを真空下で運転して、260~271℃で8/0温度を有する漸進的温度プロファイルを利用して行った。関連するギアポンプ及びネックチューブも260~271℃に加熱した。上記で詳細に説明したダイスを、ウェブ急速冷却のために、関連する静電ピンニングと共に27℃の回転する冷却ロールの真上に配置した。この装置で上記の基材を、厚さ12~30ミルの範囲のキャストウェブ厚さで製造した。
【0045】
表2は、製造されたキャストウェブ(フィルム)の材料組成物の詳細を示す。
【表2】
【0046】
次に、キャストウェブフィルムを以下のように操作した。
1)スキンの1つをウェブから除去した。ほとんどの場合、ルーバーのうち1つとスキンとの間の接着力が低いために、スキンの1つは容易に引き離された。
2)様々な試料用のスタイラス、プローブ又は指先を利用して、ルーバー(フィン)を、押し出された際のルーバーの「きめ(grain)に逆らうように」操作し、動かした。ルーバーは、押出成形後は基材の基礎層に本質的に平行であったが、約1/4インチ(0.64cm)幅の不連続なチャネルを形成しており、チャネルの一端は基礎層に付着し、他端は魚鱗のように自由に浮遊していた。ルーバーは、きめに逆らって探ると、容易に回転させることができた。
3)ルーバーは、ある一定の回復不能点を超えて回転させると、キャストウェブフィルムに対してほぼ垂直に突き立つ傾向があった。これらのルーバーは、高さが約3/16インチ~5/16インチ(0.35~0.79cm)であった。
【0047】
フィルムの典型的な寸法は以下の通りであった。フィンを操作する前は、基礎のフィルムは典型的には約24ミルの厚さであった。剥離された上部基材はおよそ6~7ミルの厚さ、底部基材はおよそ6~7ミルの厚さ、ルーバーはそれぞれ5.5~6ミルの厚さであった。ルーバーは、1インチあたり約6~7本(1cmあたり約2.4~2.8本)で配列された。
【0048】
図7A~
図7Cは、実施例E5の画像である。
図7Aは操作前のフィルムを示し、
図7Bは続いて、フィルム表面から約90度で突出した1/4インチ(0.64cm)より長いフィンを有する基礎フィルムを製造するために、解離させた後に上述のとおりに操作した同じフィルムを示す。
図7Bのフィルムの中間部分は、約1/4インチ(0.64cm)の高さの本質的に垂直なフィンを生成するように操作されている。
図7Cは、中間部分の拡大図である。
図7Bでは、垂直なチャネルのいずれかの側に隣接して、未操作のフィンが不連続で平坦な姿勢をとっている様子が見られる。
【0049】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0050】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0051】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実装態様及び/又は等価の実装態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のあらゆる適応例、又は変形例、又は組み合わせを包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】