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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517390
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 CN2022123584
(87)【国際公開番号】W WO2023051825
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202122405095.3
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122404589.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111166805.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122411352.4
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】賀 宇辰
(72)【発明者】
【氏名】徐 冠軍
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇好
(72)【発明者】
【氏名】黄 鴻峰
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB04
3H062BB33
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062FF41
3H062GG01
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
本出願は、収容室及び弁口を有し、収容室は弁口に連通する弁体と、収容室内に設けられるロータと、弁体の外部に嵌合され、且つロータに対応して設けられるステータアセンブリと、収容室内に設けられ、且つスクリュ及びナットスリーブを含み、ナットスリーブは弁体に固定され、スクリュは、ナットスリーブに挿設されてナットスリーブに螺合され、ロータが、スクリュの弁口から離れた一端に固定接続されるスクリュアセンブリと、スクリュが駆動接続され、弁口を封止又は開放するために用いられる弁スリーブと、を含み、ここで、弁口が全開状態にある場合のパルス数をAとし、ステータアセンブリの軸線に垂直な中心線がロータの軸線に垂直な中心線と重なる場合に対応するパルス数をBとすると、0.3*A≦B≦0.7*Aである、電子膨張弁を提供している。本態様を用いて、電子膨張弁の駆動力が弱いという問題を解決する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容室(11)及び弁口(12)を有し、前記収容室(11)は前記弁口(12)に連通する弁体(10)と、
前記収容室(11)内に設けられるロータ(20)と、
前記弁体(10)の外部に嵌合され、且つ前記ロータ(20)に対応して設けられるステータアセンブリ(30)と、
前記収容室(11)内に設けられ、且つスクリュ(41)及びナットスリーブ(42)を含み、前記ナットスリーブ(42)は前記弁体(10)に固定され、前記スクリュ(41)は、前記ナットスリーブ(42)に挿設されて前記ナットスリーブ(42)に螺合され、前記ロータ(20)が、前記スクリュ(41)の前記弁口(12)から離れた一端に接続され、前記スクリュ(41)を駆動して前記ナットスリーブ(42)に沿って回転させて、前記スクリュ(41)及び前記ロータ(20)を前記弁口(12)に向かう方向、又は前記弁口(12)から離れる方向に沿って移動させるスクリュアセンブリ(40)と、
前記スクリュ(41)が駆動接続され、前記弁口(12)を封止又は開放するために用いられる弁スリーブ(50)と、
を含み、
ここで、前記弁口(12)が全閉状態にある場合のパルス数を0とし、前記弁口(12)が全開状態にある場合のパルス数をAとし、前記ステータアセンブリ(30)の軸線に垂直な中心線が前記ロータ(20)の軸線に垂直な中心線と重なる場合に対応するパルス数をBとすると、0.3*A≦B≦0.7*Aである、電子膨張弁。
【請求項2】
B=0.5*Aである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記ロータ(20)の軸方向における長さをL1とし、前記ステータアセンブリ(30)は、軸方向に沿って間隔をおいて設けられる上極板(31)及び下極板(32)を有し、前記上極板(31)と前記下極板(32)との間の距離をL2とすると、L2はL1よりも大きい、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
0.2mm≦L2-L1≦1mmである、請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記ロータ(20)の外径をD1とし、前記収容室(11)の内径をD2とすると、0.3mm≦D2-D1≦1mmである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記弁体(10)の外径をD3とし、前記ステータアセンブリ(30)の内径をD4とすると、0.05mm≦D4-D3≦0.5mmである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
13mm≦D1≦18mmである、請求項5に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
18mm≦L1≦23mmである、請求項3に記載の電子膨張弁。
【請求項9】
前記弁スリーブ(50)内には均衡化通路が設けられ、前記均衡化通路は、前記弁スリーブ(50)の両端を互いに連通させることができる、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子膨張弁。
【請求項10】
前記弁スリーブ(50)の内部には貫通孔(51)があり、前記貫通孔(51)は、順に設けられる第1孔セグメント(511)、第2孔セグメント(512)及び第3孔セグメント(513)を含み、前記第1孔セグメント(511)及び前記第3孔セグメント(513)の直径は前記第2孔セグメント(512)の直径よりも大きく、前記スクリュ(41)の前記弁口(12)に近い一端は前記第3孔セグメント(513)に挿設され、前記スクリュ(41)の前記弁口(12)に近い一端には固定部材(60)が接続され、前記固定部材(60)の直径は前記第2孔セグメント(512)の直径よりも大きく、前記固定部材(60)は、前記第3孔セグメント(513)の前記弁口(12)から離れた一端に設けられ、前記固定部材(60)には接続孔(61)が設けられ、前記スクリュ(41)の端部は前記接続孔(61)に挿設され、前記スクリュ(41)の前記弁口(12)に近い一端の側壁には第1断面構造(411)が設けられ、前記第1断面構造(411)は前記第1孔セグメント(511)まで延在し、前記第1断面構造(411)と前記貫通孔(51)の内壁との間には第1隙間があり、前記接続孔(61)と前記第1断面構造(411)との間には第2隙間が形成され、前記第1隙間と前記第2隙間とは連通し、前記第1隙間及び前記第2隙間は、前記均衡化通路を形成して、前記弁スリーブ(50)の両端の気圧を均衡化させる、請求項9に記載の電子膨張弁。
【請求項11】
前記弁スリーブ(50)は、対向して設けられる封止位置及び最大開度位置を有し、前記弁スリーブ(50)が前記最大開度位置にある場合、前記スクリュ(41)の前記弁スリーブ(50)から離れた一端と前記弁体(10)の前記弁口(12)から離れた一端の内壁とは間隔L3を有し、前記L3は0.8mmから2.1mmである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項12】
前記スクリュ(41)は、対向して設けられる接続端(221)及び駆動端(222)を有し、前記駆動端(222)は前記弁口(12)に近接して設けられ、前記ロータ(20)は前記接続端(221)に接続され、前記駆動端(222)は前記弁スリーブ(50)に駆動接続される、請求項11に記載の電子膨張弁。
【請求項13】
前記ロータ(20)は、ロータ本体(211)及びロータ接続板(80)を含み、前記ロータ本体(211)は前記スクリュ(41)の外周に設けられ、前記ロータ接続板(80)は、前記ロータ本体(211)と前記スクリュ(41)との間に位置し、前記ロータ本体(211)は前記ロータ接続板(80)に接続され、前記ロータ接続板(80)は取り付け孔(81)を有し、前記接続端(221)は、前記取り付け孔(81)を貫通し、前記ロータ接続板(80)に接続される、請求項12に記載の電子膨張弁。
【請求項14】
前記ロータ(20)の軸線方向に沿って、前記ロータ接続板(80)は、対向して設けられる第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面は前記弁口(12)に向かって設けられ、前記第1端面と前記接続端(221)の端面との間の間隔をL4とすると、前記L4は4.9mmから5.5mmである、請求項13に記載の電子膨張弁。
【請求項15】
前記スクリュ(41)の軸線方向に沿って、前記弁スリーブ(50)が前記封止位置にある場合、前記ロータ接続板(80)の前記弁口(12)に近い側の端面と前記ナットスリーブ(42)の前記弁口(12)から離れた一端の端面との間の間隔をL5とすると、前記L5は0.7mmから2mmである、請求項13に記載の電子膨張弁。
【請求項16】
前記弁スリーブ(50)が前記封止位置から前記最大開度位置まで移動する変位量をSとし、前記ナットスリーブ(42)は第1ねじセグメントを有し、前記第1ねじセグメントの長さをL6とすると、1.5S≦L6≦2.5Sである、請求項15に記載の電子膨張弁。
【請求項17】
前記スクリュ(41)は第2ねじセグメントを有し、前記第2ねじセグメントは前記第1ねじセグメントに螺合され、前記第2ねじセグメントの長さをL7とすると、1.5S≦L7≦2.5Sである、請求項16に記載の電子膨張弁。
【請求項18】
前記L7は前記L6よりも大きく、前記L7と前記L6との差は0mmから4mmである、請求項17に記載の電子膨張弁。
【請求項19】
前記電子膨張弁はロータ接続板(80)を更に含み、前記ロータ接続板(80)は、前記収容室(11)内に位置し、外周縁が前記ロータ(20)に接続され、且つ軸線方向に沿って設けられる取り付け孔(81)を有し、前記スクリュ(41)は、軸方向に沿って順に設けられる第1セグメント(43)、第2セグメント(44)及び第3セグメント(45)を有し、前記第2セグメント(44)は、前記取り付け孔(81)に挿設され、且つ前記取り付け孔(81)に接続され、前記スクリュ(41)の側壁には第2断面構造(46)が更に設けられ、前記第2断面構造(46)は、前記第1セグメント(43)から前記第2セグメント(44)まで延在し、クランプに係合して位置決めするために用いられ、
ここで、前記第3セグメント(45)の前記第2セグメント(44)に近い端面と前記取り付け孔(81)の前記第3セグメント(45)から離れた端部との距離をL8とし、前記第3セグメント(45)の前記第2セグメント(44)に近い端面と前記第2断面構造(46)の前記第3セグメント(45)に近い一端との距離をL9とすると、L9-L8≧0.15mmである、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項20】
L8は1mmから3mmである、請求項19に記載の電子膨張弁。
【請求項21】
前記第1セグメント(43)はテーパセグメントであり、前記第1セグメント(43)の直径は、前記第2セグメント(44)に近づく方向に向かって徐々に増加する、請求項19に記載の電子膨張弁。
【請求項22】
前記第2セグメント(44)の直径をD9とすると、D9は1.2mmから4mmである、請求項21に記載の電子膨張弁。
【請求項23】
前記第1セグメント(43)の前記第2セグメント(44)から離れた端面の直径をD10とすると、D10>0.5mmである、請求項22に記載の電子膨張弁。
【請求項24】
前記第2断面構造(46)の前記第2セグメント(44)における径方向深さをTとすると、T<0.5*(D9-D10)である、請求項23に記載の電子膨張弁。
【請求項25】
前記第1セグメント(43)の前記第2セグメント(44)から離れた端面と前記第2断面構造(46)の前記第3セグメント(45)に近い一端との距離をL10とすると、L10≧1mmである、請求項23に記載の電子膨張弁。
【請求項26】
前記第3セグメント(45)の直径は前記第2セグメント(44)の直径よりも大きい、請求項19に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202122405095.3であり、発明の名称が「電子膨張弁」である特許出願、出願番号が202122404589Xであり、発明の名称が「電子膨張弁」である特許出願、出願番号が202111166805Xであり、発明の名称が「電子膨張弁」である特許出願、出願番号が2021224113524であり、発明の名称が「電子膨張弁」である特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は制御弁の技術分野に関し、具体的には、電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0003】
電子膨張弁は、弁体、ロータ、ステータアセンブリ、スクリュアセンブリ及び弁スリーブ等の部材を含み、弁体はチャンバ及び弁口を有し、ロータは、チャンバ内に設けられ、且つスクリュアセンブリに接続され、スクリュアセンブリは弁スリーブに接続され、ステータアセンブリは、弁体の外部に設けられ、且つロータに対応して設けられ、ステータアセンブリとロータとの相互作用によってロータがスクリュアセンブリを駆動し、ロータ及びスクリュアセンブリが弁体の軸線に沿って直線移動を行うことによって、弁スリーブを駆動して弁口を封止又は開放する。ステータアセンブリのコイルとロータとの対向面積が大きいほど、ステータアセンブリ及びロータの駆動力が大きくなる。従来技術において、ステータアセンブリとロータとの位置は、通常、弁口が全閉状態にあるとき、ロータとステータアセンブリとの対向面積が最大となり、ロータがスクリュアセンブリを駆動して移動する駆動力が最大となるように設計されるが、上記の態様では、弁体の全開時におけるロータとステータアセンブリとの対向面積が小さくなりすぎて、弁スリーブがずれたり、弁口を閉じることができなくなったりする。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、従来技術における電子膨張弁の全開状態における駆動力が弱いという問題を解決するための電子膨張弁を提供する。
【0005】
本出願は、収容室及び弁口を有し、収容室は弁口に連通する弁体と、収容室内に設けられるロータと、弁体の外部に嵌合され、且つロータに対応して設けられるステータアセンブリと、収容室内に設けられ、且つスクリュ及びナットスリーブを含み、ナットスリーブは弁体に固定され、スクリュは、ナットスリーブに挿設されてナットスリーブに螺合され、ロータが、スクリュの弁口から離れた一端に固定接続され、スクリュを駆動してナットスリーブに沿って回転させて、弁口に向かう方向、又は弁口から離れる方向に沿ってスクリュ及びロータを移動させるスクリュアセンブリと、スクリュが駆動接続され、弁口を封止又は開放するために用いられる弁スリーブと、を含み、ここで、弁口が全閉状態にある場合のパルス数を0とし、弁口が全開状態にある場合のパルス数をAとし、ステータアセンブリの軸線に垂直な中心線がロータの軸線に垂直な中心線と重なる場合に対応するパルス数をBとすると、0.3*A≦B≦0.7*Aである電子膨張弁を提供している。具体的には、Bは、0.3*A、0.4*A、0.5*A又は0.7*Aであってよい。
【0006】
本出願の技術態様を適用すると、ステータアセンブリの軸線に垂直な中心線がロータの軸線に垂直な中心線と重なるとき、ロータがスクリュを駆動して回転させる力が最大となる。パルス数Bが0.3*Aよりも小さいと、弁口が全閉状態に近いとき、ロータの駆動力が最大となり、即ち弁口を開放する過程で駆動力が弱まっていくため、弁口を閉じる速度が遅くなるか、あるいは完全に閉じることができなくなる。パルス数Bが0.7*Aよりも大きいと、弁口が全開状態に近いとき、ロータの駆動力が最大となり、即ち弁口を閉じる過程での駆動力が弱まっていくため、弁口を開放する速度が遅くなるか、あるいは完全に開放することができなくなる。従って、AとBとの関係を0.3*A≦B≦0.7*Aとすると、弁口が半開状態にあるとき、ロータの駆動力が最大となるため、弁口を開閉する過程での駆動力が均等になり、更には弁口の開閉がより確実となり、これにより弁口を完全に開閉することも可能になる。
【0007】
更に、B=0.5*Aである。B=0.5*Aであると、弁口が半開状態にあるとき、ロータの駆動力が最大となるため、弁口を開閉する過程での駆動力が均等になり、更には弁口の開閉がより確実になる。
【0008】
更に、ロータの軸方向における長さをL1とし、ステータアセンブリは、軸方向に沿って間隔をおいて設けられる上極板及び下極板を有し、上極板と下極板との間の距離をL2とすると、L2はL1よりも大きい。これにより、最大駆動力が継続されるストロークとすることができる。
【0009】
更に、0.2mm≦L2-L1≦1mmである。このようにすることによって、最大駆動力が継続されるストロークとすることができるだけでなく、電子膨張弁の構造をコンパクト化することもできる。
【0010】
更に、ロータの外径をD1とし、収容室の内径をD2とすると、0.3mm≦D2-D1≦1mmである。これにより、ロータが回転する際に、収容室の内壁との摩擦力を小さくすることができるだけでなく、駆動力を大きくすることもできる。
【0011】
更に、弁体の外径をD3とし、ステータアセンブリの内径をD4とすると、0.05mm≦D4-D3≦0.5mmである。このようにすることによって、ステータアセンブリが弁体に容易に取り付け可能なことを確保することができるだけでなく、駆動力を大きくすることもできる。
【0012】
更に、13mm≦D1≦18mmである。これにより、大きな駆動力を確保することができるだけでなく、電子膨張弁の構造をコンパクト化することもできる。
【0013】
更に、18mm≦L1≦23mmである。これにより、大きな駆動力を確保することができるだけでなく、電子膨張弁の長さを小さくすることもできる。
【0014】
更に、弁スリーブ内には均衡化通路が設けられ、均衡化通路は、弁スリーブの両端を互いに連通させることができる。
【0015】
更に、弁スリーブの内部には貫通孔があり、貫通孔は、順に設けられる第1孔セグメント、第2孔セグメント及び第3孔セグメントを含み、第1孔セグメント及び第3孔セグメントの直径は第2孔セグメントの直径よりも大きく、スクリュの弁口に近い一端は第3孔セグメントに挿設され、スクリュの弁口に近い一端には固定部材が固定接続され、固定部材の直径は第2孔セグメントの直径よりも大きく、固定部材は、第3孔セグメントの弁口から離れた一端に設けられ、固定部材には接続孔が設けられ、スクリュの端部は接続孔に挿設され、スクリュの弁口に近い一端の側壁には第1断面構造が設けられ、第1断面構造は第1孔セグメントまで延在し、第1断面構造と貫通孔の内壁との間には第1隙間があり、接続孔と第1断面構造との間には第2隙間が形成され、第1隙間と第2隙間とは連通し、第1隙間及び第2隙間は、均衡化通路を形成して、弁スリーブの両端の気圧を均衡化させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の模式的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定するものではない。
【0017】
図1】本出願によって提供される電子膨張弁の構成模式図を示す。
図2】本出願によって提供されるステータアセンブリの構成模式図を示す。
図3】本出願によって提供される弁スリーブの構成模式図を示す。
図4】本出願によって提供される電子膨張弁が最大開度位置にある場合の構成模式図を示す。
図5】本出願によって提供される電子膨張弁が封止位置にある場合の構成模式図を示す。
図6】本出願によって提供される電子膨張弁の別の断面図を示す。
図7】本出願によって提供されるスクリュ、固定部材及び弁スリーブの組み立てられた後の断面図を示す。
図8】本出願によって提供されるロータ接続板及びロータの組み立てられた後の断面図を示す。
図9】本出願によって提供されるスクリュの構成模式図を示す。
図10図6におけるEの寸法の模式図を示す。
図11】本出願によって提供されるスクリュの寸法の模式図を示す。
【0018】
ここで、上記の図面には以下の符号が含まれる。
10 弁体、11 収容室、12 弁口、20 ロータ、211 ロータ本体、221 接続端、222 駆動端、30 ステータアセンブリ、31 上極板、32 下極板、40 スクリュアセンブリ、41 スクリュ、411 第1断面構造、42 ナットスリーブ、43 第1セグメント、44 第2セグメント、45 第3セグメント、46 第2断面構造、50 弁スリーブ、51 貫通孔、511 第1孔セグメント、512 第2孔セグメント、513 第3孔セグメント、60 固定部材、61 接続孔、80 ロータ接続板、81 取り付け孔。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本出願の実施例における図面を参照して本出願の実施例における技術態様について明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護の範囲に属する。
【0020】
図1に示すように、本出願の実施例は、弁体10、ロータ20、ステータアセンブリ30、スクリュアセンブリ40及び弁スリーブ50を含む電子膨張弁を提供する。弁体10は、収容室11及び弁口12を有し、収容室11は弁口12に連通し、ロータ20は収容室11内に設けられ、ステータアセンブリ30は、弁体10の外部に嵌合され、且つロータ20に対応して設けられ、スクリュアセンブリ40は、収容室11内に設けられ、且つスクリュ41及びナットスリーブ42を含み、ナットスリーブ42は弁体10に固定され、スクリュ41は、ナットスリーブ42に挿設されてナットスリーブ42に螺合され、ロータ20が、スクリュ41の弁口12から離れた一端に固定接続され、スクリュ41を駆動してナットスリーブ42に沿って回転させて、スクリュ41及びロータ20を弁口12に向かう方向、又は弁口12から離れる方向に沿って移動させ、スクリュ41は弁スリーブ50に駆動接続され、弁スリーブ50は弁口12を封止又は開放するために用いられる。ロータ20が弁口12に向かう方向、又は弁口12から離れる方向に沿って移動すると、ロータ20とステータアセンブリ30との対向面積がそれに応じて変化し、ロータ20の駆動力がそれに応じて変化する。ここで、弁口12が全閉状態にある場合のパルス数を0とし、弁口12が全開状態にある場合のパルス数をAとし、ステータアセンブリ30の軸線に垂直な中心線がロータ20の軸線に垂直な中心線と重なる場合に対応するパルス数をBとすると、0.3*A≦B≦0.7*Aである。具体的には、Bは、0.3*A、0.4*A、0.5*A又は0.7*Aであってよい。
【0021】
本出願の技術態様を適用すると、ステータアセンブリ30の軸線に垂直な中心線がロータ20の軸線に垂直な中心線と重なるとき、ロータ20がスクリュ41を駆動して回転させる力が最大となる。パルス数Bが0.3*Aよりも小さいと、弁の全開状態における力が小さくなりすぎて、ずれが生じやすく、弁が作動できなくなる。パルス数Bが0.7*Aよりも大きいと、弁の全閉状態における力が小さくなりすぎて、弁口12を開放することができなくなる。従って、AとBとの関係を0.3*A≦B≦0.7*Aとすると、弁口12が半開に近い状態にあるとき、ロータ20の駆動力が最大となるため、弁口12を開閉する過程での駆動力が均等になり、更には弁口12の開閉がより確実となり、これにより、弁口12を完全に開閉することも可能になる。
【0022】
ここで、B=0.5*Aである。B=0.5*Aであると、弁口12が半開状態にあるとき、ロータ20の駆動力が最大となるため、弁口12を開閉する過程での駆動力が均等になり、更には弁口12の開閉がより確実になる。
【0023】
本実施例では、ロータ20の軸方向における長さをL1とし、ステータアセンブリ30は、軸方向に沿って間隔をおいて設けられる上極板31及び下極板32を有し、上極板31と下極板32との間の距離をL2とすると、L2はL1よりも大きい。上極板31と下極板32との間にはコイルが設けられ、コイルの軸線に垂直な中心線は、ステータアセンブリ30の軸線に垂直な中心線と重なり、コイルとロータ20とが相互作用することによって駆動力が発生する。L2がL1よりも小さいと、コイルとロータ20との対向面積が小さくなるため、最大駆動力が小さくなる。従って、L2がL1よりも大きいと、大きな最大駆動力を確保することができる。
【0024】
具体的には、0.2mm≦L2-L1≦1mmである。L2-L1<0.2mmであると、ロータ20が弁口12に近づく又は離れる過程では、最大駆動力が継続されるストロークが短くなる。L2-L1>1mmであると、ステータアセンブリ30の構造寸法が大きくなるため、電子膨張弁全体の構造寸法が大きくなり、小型化設計に不利になる。従って、0.2mm≦L2-L1≦1mmとすると、最大駆動力が継続されるストロークを長くすることができるだけでなく、電子膨張弁の構造をコンパクト化することもできる。具体的には、L2-L1は、0.2mm、0.4mm、0.6mm又は1mmであってよい。
【0025】
本実施例では、ロータ20の外径をD1とし、収容室11の内径をD2とすると、0.3mm≦D2-D1≦1mmである。D2-D1<0.3mmであると、ロータ20と収容室11の内壁との間の隙間が小さくなりすぎるため、ロータ20が回転する際に、収容室11の内壁との摩擦力が大きくなりすぎて、ロータ20の回転に影響を与えるとともに、ロータ20を摩耗させる。D2-D1>1mmであると、ロータ20とステータアセンブリ30との間の距離が大きくなりすぎてしまい、更には駆動力が低下する。従って0.3mm≦D2-D1≦1mmとすると、ロータ20が回転する際に、収容室11の内壁との摩擦力を小さくすることができるだけでなく、駆動力を大きくすることもできる。具体的には、D2-D1は、0.3mm、0.6mm又は1mmであってよい。
【0026】
図2に示すように、本実施例では、弁体10の外径をD3とし、ステータアセンブリ30の内径をD4とすると、0.05mm≦D4-D3≦0.5mmである。D4-D3<0.05mmであると、ステータアセンブリ30と弁体10との間の隙間が小さくなりすぎて、ステータアセンブリ30を弁体10に取り付けることが難しくなる。D4-D3>0.5mmであると、ステータアセンブリ30と弁体10との間の隙間が大きくなりすぎて、ステータアセンブリ30とロータ20との間の隙間が大きくなりすぎてしまい、更には駆動力が低下する。従って0.05mm≦D4-D3≦0.5mmとすると、ステータアセンブリ30が弁体10に容易に取り付け可能なことを確保することができるだけでなく、駆動力を大きくすることもできる。
【0027】
具体的には、13mm≦D1≦18mmである。D1<13mmであると、ロータ20の構造寸法が小さくなり、ロータ20とステータアセンブリ30との間の作用力が弱くなるため、駆動力が小さくなる。D1>18mmであると、ロータ20の構造寸法が大きくなり、電子膨張弁の小型化設計に不利になる。従って13mm≦D1≦18mmとすると、大きな駆動力を確保することができるだけでなく、電子膨張弁の構造をコンパクト化することもできる。従来技術において、弁スリーブ50が弁口12を開放する過程では、弁スリーブ50の両端に大きな圧力差が存在するため、この圧力差を克服するのに十分に大きい駆動力を提供するために、サイズの大きいロータ20及びステータアセンブリ30が必要となり、これによってのみ弁スリーブ50を駆動して弁口12を完全に開放することができ、一般的に、用いられるロータ20の外径の範囲は25mmから35mmである。本実施例では、均衡化通路が設けられて、弁スリーブ50が弁口12を開放する過程で弁スリーブ50の両端の圧力が均衡になるため、ロータ20及びステータアセンブリ30によって提供される駆動力を減少させることができる。更に、本実施例では、ロータ20の外径D1の値の範囲を13mm≦D1≦18mmとすればよいため、電子膨張弁の小型化設計の要件を満たしている。
【0028】
具体的には、18mm≦L1≦23mmである。L1<18mmであると、ロータ20の長さが小さくなり、ロータ20とステータアセンブリ30との間の作用力が弱くなるため、駆動力が小さくなる。L1>23mmであると、ロータ20の長さが大きくなり、更には電子膨張弁の長さが長くなる。従って18mm≦L1≦23mmとすると、大きな駆動力を確保することができるだけでなく、電子膨張弁の長さを小さくすることもできる。
【0029】
本実施例では、弁スリーブ50内には均衡化通路が設けられ、均衡化通路は、弁スリーブ50の両端を互いに連通させることができる。均衡化通路を設けることによって、弁スリーブの両端の気圧を均衡化させることができるため、小さい駆動力でも弁スリーブ50を駆動して弁口12を開閉することができるようになる。
【0030】
図3に示すように、弁スリーブ50の内部には貫通孔51があり、貫通孔51は、順に設けられる第1孔セグメント511、第2孔セグメント512及び第3孔セグメント513を含み、第1孔セグメント511及び第3孔セグメント513の直径は第2孔セグメント512の直径よりも大きく、スクリュ41の弁口12に近い一端は第3孔セグメント513に挿設され、スクリュ41の弁口12に近い一端には固定部材60が固定接続され、固定部材60の直径は第2孔セグメント512の直径よりも大きく、固定部材60は、第3孔セグメント513の弁口12から離れた一端に設けられ、固定部材60には接続孔61が設けられ、スクリュ41の端部は接続孔61に挿設され、スクリュ41の弁口12に近い一端の側壁には第1断面構造411が設けられ、第1断面構造411は第1孔セグメント511まで延在し、第1断面構造411と貫通孔51の内壁との間には第1隙間があり、接続孔61と第1断面構造411との間には第2隙間が形成され、第1隙間と第2隙間とは連通し、第1隙間及び第2隙間は、均衡化通路を形成して、弁スリーブ50の両端の気圧を均衡化させる。弁スリーブ50がスクリュ41に対してがたつくのを防止するように、第2孔セグメント512の直径は、スクリュ41の直径に近いか又は同じである。スクリュ41の弁口12に近い一端には第1断面構造411が設けられ、第1断面構造411は第1孔セグメント511まで延在し、固定部材60には接続孔61が設けられ、接続孔61は第1断面構造411に対応して設けられて、弁スリーブ50の両端の気圧を均衡化させる。接続孔61及び第1断面構造411を設けることによって、弁スリーブの両端の気圧を均衡化させることができるため、小さい駆動力でも弁スリーブ50を駆動して弁口12を開閉することができるようになる。従って、AとBとの関係を0.3*A≦B≦0.7*Aとすることによって、駆動効果を満たすと同時に、弁スリーブ50の全開位置及び全閉位置における駆動力を両立することができる。
【0031】
本実施例では、ロータ20の軸方向における長さをL1とし、ステータアセンブリ30は、軸方向に沿って間隔をおいて設けられる上極板31及び下極板32を有し、上極板31と下極板32との間の距離をL2とすると、L2はL1よりも大きい。上極板31と下極板32との間にはコイルが設けられ、コイルの軸線に垂直な中心線は、ステータアセンブリ30の軸線に垂直な中心線と重なり、コイルとロータ20とが相互作用することによって駆動力が発生する。L2がL1よりも小さいと、コイルとロータ20との対向面積が小さくなるため、最大駆動力が小さくなる。従って、L2がL1よりも大きいと、大きな最大駆動力を確保することができる。
【0032】
図4及び図5に示すように、本発明の実施例2は、弁体10、スクリュ41、ロータ20及び弁スリーブ50を含む電子膨張弁を提供する。弁体10は、収容室11及び弁口12を有し、弁口12は収容室11に連通して設けられる。弁スリーブ50は、収容室11内に移動可能に設けられ、且つ弁口12とスクリュ41との間に位置し、スクリュ41は、弁スリーブ50が弁口12を開閉するように、弁スリーブ50に駆動接続され、ここで、弁スリーブ50は、対向して設けられる封止位置及び最大開度位置を有し、弁スリーブ50が最大開度位置にある場合、スクリュ41の弁スリーブ50から離れた一端と弁体10の弁口12から離れた一端の内壁とは間隔L3を有し、L3は0.8mmから2.1mmである。
【0033】
本発明の技術態様を適用すると、弁体10、スクリュ41、ロータ20及び弁スリーブ50は、生産加工の過程で一定の寸法誤差が存在する可能性があるか、あるいは、長時間の使用後に、スクリュ41が移動する過程で一定の位置ずれが生じる可能性があり、上記の寸法誤差及び位置ずれによって、弁スリーブ50が最大開度位置に到達していない場合でも、スクリュ41の弁スリーブ50から離れた一端が弁体10の弁口12から離れた一端の内壁に既に当接してしまう可能性がある。本態様における間隔L3の設定は、スクリュ41の移動に対して回避空間を提供して、スクリュ41と弁体10の弁口12から離れた一端の内壁とが干渉することを回避することができ、更には開弁のスムーズさを効果的に確保することができる。L3が0.8mmよりも小さいと、回避空間が足りなくなる可能性があるが、この場合、スクリュ41と弁体10の内壁とが接触することを効果的に回避することができなくなり、更には開弁のスムーズさを確保することができなくなる。L3が2.1mmよりも大きいと、弁体10の原材料の浪費を招く可能性があり、且つ製品の小型化を実現することができなくなる。従って本態様は、L3を0.8mmから2.1mmとすることによって、開弁のスムーズさを確保することができるだけでなく、製品の小型化を実現することもできる。具体的には、L3は、0.8mm、1.2mm、1.5mm、1.8mm及び2.1mmとすることができ、本実施例ではL3は1.2mmとする。
【0034】
更に、スクリュ41は、対向して設けられる接続端221及び駆動端222を有し、駆動端222は弁口12に近接して設けられ、ロータ20は接続端221に接続され、駆動端222は弁スリーブ50に駆動接続される。電子膨張弁を開放する場合、ロータ20は、自身の軸線方向に沿って回転すると同時に、弁口12から離れる方向に移動し、スクリュ41は、ロータ20と共に回転すると同時に、ロータ20と共に移動し、ナットスリーブ42は、スクリュ41の移動及び回転をガイドする役割を果たして、スクリュ41の移動過程でのスムーズさを確保し、ロータ20の移動過程で生じる位置ずれを減少させ、更には、スクリュ41と弁体10の内壁とが干渉することを減少させて、開弁のスムーズさを確保することができる。
【0035】
具体的には、ロータ20は、ロータ本体211及びロータ接続板80を含み、ロータ本体211はスクリュ41の外周に設けられ、ロータ接続板80は、ロータ本体211とスクリュ41との間に位置し、ロータ本体211はロータ接続板80に接続され、ロータ接続板80は取り付け孔81を有し、接続端221は、取り付け孔81を貫通し、ロータ接続板80に接続される。ここで、接続端221は、取り付け孔81内に位置してもよく、本実施例では、接続端221を取り付け孔81から貫通させて、ロータ接続板80とスクリュ41との接続の安定性を確保し、スクリュ41及び弁スリーブ50の移動過程での変位量の精度を確保し、電子膨張弁が開放される過程で、スクリュ41と弁体10の内壁とが干渉することを減少させて、開弁過程でのスムーズさを確保する。
【0036】
具体的には、ロータ20の軸線方向に沿って、ロータ接続板80は、対向して設けられる第1端面及び第2端面を有し、第1端面は弁口12に向かって設けられ、第1端面と接続端221の端面との間の間隔をL4とすると、L4は4.9mmから5.5mmである。具体的には、ロータ本体211の内周面には環状の係止溝が設けられ、ロータ接続板80は、互いに接続された第1セグメント体及び第2セグメント体を含み、第1セグメント体はナットスリーブ42に近接して設けられ、且つ第1セグメント体の直径は第2セグメント体の直径よりも大きく、第1セグメント体の周縁は係止溝に嵌め込まれ、第2セグメント体の第1セグメント体から離れた端面はロータ本体211から突出して設けられ、取り付け孔81は、ロータ接続板80と同軸であり、且つ第1セグメント体及び第2セグメント体を貫通して設けられる。L4が4.9mmよりも小さいと、ロータ接続板80とロータ本体211との接続安定性が悪くなって、電子膨張弁の開閉の安定性が悪くなる可能性がある。L4が5.5mmよりも大きいと、ロータ接続板80とロータ本体211との接続安定性を更に向上させることができないため、ロータ接続板80の原材料の浪費を招き、ロータ接続板80の加工コストが増加する。本態様は、L4を上記の範囲とすることによって、電子膨張弁の開閉時の安定性を確保することができるだけでなく、ロータ接続板80の原材料を浪費することを回避することもできる。具体的には、L4は、4.9mm、5.1mm、5.3mm及び5.5mmとすることができ、スクリュ41のロータ接続板80から突出する長さは、1.2mm、1.5mm及び1.8mmとすることができる。本実施例では、L4は5.3mmとし、スクリュ41のロータ接続板80から突出する長さは1.5mmとする。
【0037】
更に、スクリュ41の軸線方向に沿って、弁スリーブ50が封止位置にある場合、ロータ接続板80の弁口12に近い側の端面とナットスリーブ42の弁口12から離れた一端の端面との間の間隔をL5とすると、L5は0.7mmから2mmである。電子膨張弁を閉じる場合、ロータ本体211は、回転すると同時に弁口12に近づくように移動し、ロータ接続板80は、弁スリーブ50が封止位置に到達するまで、ロータ本体211と共に移動する。弁体10、スクリュ41、スクリュ41、ロータ本体211は、加工の過程で一定の寸法誤差を有する可能性があるか、あるいは、長時間の使用後に、ロータ本体211が移動する過程で一定の位置ずれが存在する可能性があり、上記の寸法誤差及び位置ずれによって、弁スリーブ50が封止位置に到達していない場合でも、ロータ接続板80がナットスリーブ42に既に接触してしまう可能性がある。本態様におけるL5の設定は、ロータ接続板80の移動に対して回避空間を提供して、ロータ接続板80とナットスリーブ42の弁口12から離れた一端とが干渉することを回避することができ、更には、閉弁過程でのスムーズさを確保することができる。L5が0.7mmよりも小さいと、回避空間が足りなくなる可能性があるが、この場合、ロータ接続板80とナットスリーブ42とが接触することを効果的に回避することができなくなり、更には、閉弁のスムーズさを確保することができなくなる。L5が2mmであると、ロータ接続板80の移動に十分な回避空間を提供することができる。更に、L5が2mmよりも大きいと、スクリュ41の長さが長くなりすぎて、スクリュ41の原材料の浪費を招く。従って、L5を0.7mmから2mmとすることによって、ロータ接続板80とナットスリーブ42とが干渉することを回避することができるだけでなく、スクリュ41の長さを合理的に確保して、スクリュ41の原材料の浪費を回避することもできる。具体的には、L5は、0.7mm、1.3mm、1.7mm、2mmとすることができ、本実施例ではL5は1.5mmとする。
【0038】
更に、弁スリーブ50が封止位置から最大開度位置まで移動する変位量をSとし、ナットスリーブ42は第1ねじセグメントを有し、第1ねじセグメントの長さをL6とすると、1.5S≦L6≦2.5Sである。具体的には、ナットスリーブ42は、軸線方向に沿って順に連通して設けられる第1ガイドセグメント、第1ねじセグメント及び取り付けセグメントを有し、取り付けセグメントは弁口12に近接して設けられ、第1ガイドセグメントはスクリュ41にクリアランスフィットされ、取り付けセグメントの内径は第1ねじセグメントの内径よりも大きく、取り付けセグメントは弁体10に固定係合するために用いられる。スクリュ41が移動する過程では、第1ガイドセグメントはスクリュ41にガイド係合され、第1ねじセグメントは、スクリュ41に螺合されて、スクリュ41の移動及び回転過程での安定性を確保する。ナットスリーブ42及び弁体10は、加工の過程で寸法誤差が存在する可能性があり、電子膨張弁が開状態と閉状態との間で切り換えられる過程で、スクリュ41に位置ずれが生じる可能性があり、L6が1.5Sよりも小さいと、電子膨張弁が完全に開閉できなくなる可能性があり、更には冷却システムの正常な作動に影響を与える。L6が2.5Sであると、電子膨張弁が完全に開閉することを確保するのに十分となる。L6が2.5Sよりも大きいと、第1ねじセグメントの長さが長くなりすぎて、ナットスリーブ42の加工コストが増加する。従って、L6を1.5Sから2.5Sとすることによって、電子膨張弁が完全に開閉することを確保することができるだけでなく、ナットスリーブ42の加工コストを低減させることもできる。具体的には、L6は、1.5S、2S、2.5Sとすることができ、本実施例ではL6を2.1Sとする。
【0039】
更に、スクリュ41は第2ねじセグメントを有し、第2ねじセグメントは第1ねじセグメントに螺合され、第2ねじセグメントの長さをL7とすると、1.5S≦L7≦2.5Sである。具体的には、スクリュ41は、順に接続された第2ガイドセグメント、第2ねじセグメント及び駆動セグメントを有し、第2ガイドセグメントは第1ガイドセグメントにクリアランスフィットされ、第2ねじセグメントは第1ねじセグメントに螺合され、駆動セグメントは弁スリーブ50に駆動接続される。L7が1.5Sよりも小さいと、第2ねじセグメントが第1ねじセグメントに効果的に螺合できなくなることが生じる可能性があり、更には、電子膨張弁が完全に開閉できなくなる現象が生じる可能性があり、冷却システムの正常な作動に影響を与える。L7が2.5Sであると、電子膨張弁が完全に開閉することを確保するのに十分となる。L7が2.5Sよりも大きいと、第2ねじセグメントの長さが長くなりすぎて、スクリュ41の加工コストが増加する。また、第1ねじセグメント及び第2ねじセグメントの長さがいずれも2.5Sよりも大きいと、第1ねじセグメントと第2ねじセグメントとの係合長さが長くなりすぎて、スクリュ41の移動に対する抵抗が増加し、電子膨張弁の開閉の反応時間が増加する。従って、L7を上記の範囲とすることによって、電子膨張弁が完全に開閉することを確保することができるだけでなく、電子膨張弁の反応の敏捷性を確保することもできる。具体的には、L7は、1.5S、2S、2.5Sとすることができる。
【0040】
更に、L7はL6よりも大きく、L7とL6との差は0mmから4mmである。L7の長さがL6の長さよりも小さいと、スクリュ41が移動及び回転する過程で、スクリュ41が止まる可能性があり、スクリュ41の移動のスムーズさに影響を与え、更には、弁スリーブ50の移動のスムーズさに影響を与える。L7とL6との差が2mmよりも大きいと、第2ねじセグメントの長さが長くなりすぎて、スクリュ41の加工コストが増加する。従って、L7とL6との差を0mmから2mmとすることによって、スクリュ41の移動のスムーズさを確保して、開弁及び閉弁のスムーズさを確保することができるだけでなく、スクリュ41の加工コストを節約することもできる。ここで、L7はL6と等しくてもよく、L7とL6との差は、1mm、2mm、4mmとしてもよく、本実施例ではL7とL6との差は2mmとする。
【0041】
本発明の技術態様を適用すると、開弁及び閉弁のスムーズさを確保することができるだけでなく、製品の小型化を実現することもできる。
【0042】
図6から図9に示すように、電子膨張弁はロータ接続板80を更に含む。ここで、ロータ接続板80は、収容室11内に位置し、外周縁がロータ20に接続され、且つ軸線方向に沿って設けられる取り付け孔81を有し、スクリュ41は、軸方向に沿って順に設けられる第1セグメント43、第2セグメント44及び第3セグメント45を有し、第2セグメント44は、取り付け孔81に挿設され、且つ取り付け孔81に接続され、スクリュ41の側壁には第2断面構造46が更に設けられ、第2断面構造46は、第1セグメント43から第2セグメント44まで延在して、クランプに係合して位置決めするために用いられ、ここで、第3セグメント45の第2セグメント44に近い端面と取り付け孔81の第3セグメント45から離れた端部との距離をL8とし、第3セグメント45の第2セグメント44に近い端面と第2断面構造46の第3セグメント45に近い一端との距離をL9とすると、L9-L8≧0.15mmである。
【0043】
本出願の実施例では、取り付け孔81の両端には皿孔がそれぞれ設けられ、L8は、具体的には、2つの皿孔の中心部の距離であり、ここで、第3セグメント45に近い皿孔は、位置決めの際に、第3セグメント45がロータ接続板80の下端面に衝突して損傷することを回避して、位置決めの精度を確保することができ、第3セグメント45から離れた皿孔は、溶接の際に、第2セグメント44がロータ接続板80の上端面に衝突して損傷することを回避して、全体の溶接精度を確保することができる。
【0044】
ここで、L9-L8≦0.15mmであると、第2断面構造46と皿孔との間の距離が減少するため、スクリュ41と取り付け孔81との間の溶接空間が減少し、スクリュ41と取り付け孔81との溶接後の構造強度に影響を与える。従って、本出願において、L9-L8≧0.15mmとすることによって、スクリュ41と取り付け孔との間の有効距離を増加させることができるため、皿孔とスクリュ41との間により大きな溶接面積を提供することになり、これにより、スクリュ41と取り付け孔81との溶接に有利になり、スクリュ41とロータ接続板80との溶接の精度を効果的に向上させることができる。具体的には、L9-L8の値は、0.15mm、0.2mm又は0.3mmであってよい。
【0045】
上記の構造によって、スクリュ41とロータ接続板80の取り付け孔81とを接続し、スクリュ41における第2断面構造46を用いて、クランプに係合して位置決め及び接続を行うことができるため、スクリュ41に対する位置決め効果を向上させることができる。また、L8とL9との係合関係をL9-L8≧0.15mmとすることによって、スクリュ41とロータ接続板80との取り付けの安定性を向上させることができるため、スクリュ41とロータ接続板80との溶接の精度を効果的に向上させて、装置の運転時の安定性を確保することができる。
【0046】
更に、L8は1mmから3mmである。このようにすることによって、スクリュ41と取り付け孔81との有効係合長さを確保して、スクリュ41の位置決めの信頼性を向上させることができる。具体的には、L8の値は、1mm、2mm又は3mmであってよい。
【0047】
具体的には、第1セグメント43はテーパセグメントであり、第1セグメント43の直径は、第2セグメント44に近づく方向に向かって徐々に増加する。上記の構成によって、スクリュ41と取り付け孔81との取り付け過程でスクリュ41をガイドすることに有利になるため、装置の組み立てに有利になり、装置の取り付け効率が向上する。
【0048】
更に、第2セグメント44の直径をD9とすると、D9は1.2mmから4mmである。D9を1.2mmから4mmとすることによって、スクリュ41と取り付け孔81との接続後の安定性を確保することができるだけでなく、スクリュ41の加工難易度を低下させ、製造コストを節約することもできる。具体的には、D9の値は、1.2mm、2mm又は4mmであってよい。
【0049】
具体的には、第1セグメント43の第2セグメント44から離れた端面の直径をD10とすると、D10>0.5mmである。このようにすることによって、スクリュ41とクランプとの接続及び位置決めに有利になるため、スクリュ41と他の部材との溶接が容易になり、溶接の際の加工精度が確保される。ここで、D10の値は、0.6mm、0.7mm、0.8mmであってよい。
【0050】
図10及び図11に示されるように、第2断面構造46の第2セグメント44における径方向深さをTとすると、T<0.5*(D9-D10)である。第2断面構造46の径方向深さTをT<0.5*(D9-D10)とすることによって、スクリュ41とクランプとの間に相対的な変位が生じることを効果的に防止して、スクリュ41とクランプとの間の接続後の安定性を確保することができる。
【0051】
具体的には、第1セグメント43の第2セグメント44から離れた端面と第2断面構造46の第3セグメント45に近い一端との距離をL10とすると、L10≧1mmである。このようにすることによって、スクリュ41とクランプとが位置決めされた後の安定性を更に確保して、スクリュ41と他の部材との接続時の位置決めをより確実にすることができる。ここで、L10の値は、1mm、2mm又は3mmであってよい。
【0052】
更に、第3セグメント45の直径は第2セグメント44の直径よりも大きい。上記の構造を設けることによって、スクリュ41の構造強度を増加させるのに有利になるため、装置の運転時の作動性能が確保される。
【0053】
本実施例では、クランプとスクリュ41の第1セグメント43及び第2セグメント44との位置決めによって、スクリュ41の他端と固定部材60との溶接に有利になり、その後、取り付け孔81とスクリュ41とを固定することによって、スクリュ41をロータ接続板80に固定溶接することができるため、スクリュ41とロータ接続板80との溶接の精度が向上して、装置の運転時の安定性が確保される。
【0054】
ここで用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものにすぎず、本出願による例示的な実施形態を限定することを意図するものではないことに注意すべきである。ここで用いられるように、文脈上明確な指摘がなされていない限り、単数形式は複数形式を含むことも意図し、更に、本明細書において、「包含する」及び/又は「含む」という用語が用いられる場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味することも理解されるべきである。
【0055】
別途の具体的な説明がない限り、これらの実施例で述べた部材及びステップの相対的な配置、数式及び数値は、本出願の範囲を制限するものではない。同時に、記述の便宜上、図面に示された各部分の寸法は実際の比例関係にしたがって描かれたものでないことを理解すべきである。当業者に知られている技術、方法及び設備に関して、詳細に論じないが、適切な場合において、記述した技術、方法及び設備は、許可された明細書の一部とみなされるべきである。ここに示し且つ論じた全ての例示において、いかなる具体的な値も単に例示的なものにすぎず、制限的なものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施例の他の例示は異なる値を有してもよい。類似の符号及び文字は以下の図面において類似の要素を示すことに留意すべきであり、したがって、1つの図面で一度いずれかの要素が定義されればそれ以降の図面においてはそれに対する更なる説明を必要としない。
【0056】
本出願の説明において、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」及び「頂、底」等のような方位用語で表される方位又は位置関係は、一般的に、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであるが、本出願の説明を容易にし、且つ簡潔にするためのものにすぎず、逆の説明がない場合、これらの方位用語は、示された装置又は素子が必ずしも特定の方位を有するか、あるいは、特定の方位で構成し操作されることを示し且つ暗示するものではないため、本出願の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、「内、外」という方位用語は、各部材自体の輪郭に対する内、外である。
【0057】
説明の便宜上、ここでは「…の上に」、「…の上方に」、「…の上面に」、「上の」等のような空間相対用語を用いて、図に示すような1つのデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間位置関係を説明することができる。空間相対用語は、デバイスの図に記載された方位以外の、使用又は操作中の異なる方位を包含することを意図するものであることは理解されるべきである。例えば、図面中のデバイスの上下が逆さまになると、「他のデバイス又は構造の上方に」又は「他のデバイス又は構造の上に」と説明されたデバイスは、その後「他のデバイス又は構造の下方に」又は「他のデバイス又は構造の下に」と位置付けられることになる。よって、例示的な用語「…の上方に」は、「…の上方に」及び「…の下方に」の2つの方位を含むことができる。このデバイスは、他の異なる方法で位置付けし(90度回転又は他の方位に位置させ)、且つここで用いられる空間の相対的な説明について対応する解釈を行うこともできる。
【0058】
更に、説明すべきこととして、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定することは、対応する部品を区別するためのものにすぎず、特に説明がない限り、上記用語は特別な意味を持たないため、本出願の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0059】
上述したものは、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を制限するためのものではなく、当業者にとって、本出願は様々な変更及び変化が可能である。本出願の精神及び原則の範囲内でなされたいかなる修正、同等の置換、改良等はいずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】