(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】強化された安定性のガスケットおよびカップリング
(51)【国際特許分類】
F16L 21/06 20060101AFI20240905BHJP
F16L 17/025 20060101ALI20240905BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16L21/06
F16L17/025
F16J15/10 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517423
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022044969
(87)【国際公開番号】W WO2023055760
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510218928
【氏名又は名称】ビクターリック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バンクロフト, フィリップ ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン, マシュー エー.
【テーマコード(参考)】
3H014
3H015
3J040
【Fターム(参考)】
3H014AA02
3H015DA07
3H015DA15
3J040AA02
3J040AA13
3J040AA15
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA02
3J040EA16
3J040HA05
(57)【要約】
パイプ要素を継合するためのカップリングは、中心空間を囲繞して、端間で取り付けられる鋳造区画を有する。区画は、ガスケットを受容するチャネルを画定する。チャネル内の側方表面は、少なくとも1つのパイプ要素が中心空間の中に挿入されるとき、ガスケットが、チャネルから脱落しないように防止するガスケット上の球状リムによって係合される、角度的に配向された捕捉表面を有する。側方表面はまた、捕捉表面間に支持表面を有し得る。ガスケットは、区画が、1つ以上のパイプ要素の挿入を可能にするために十分な離間された関係にある、事前に組み立てられた状態において、区画を支持する一方、区画は、端間で取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ要素を継合するためのカップリングであって、前記カップリングは、
前記パイプ要素を受容するための中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる、複数の区画を備え、
各前記区画は、鋳造物を備え、
前記鋳造物は、
背面壁と、
その対向側上の前記背面壁に取り付けられる、第1および第2の側壁と
を有し
前記背面壁および前記側壁は、チャネルを画定し、前記背面壁は、前記中心空間に対面する背面表面を画定し、前記側壁は、前記チャネルに対面する個別の第1および第2の側方表面を画定し、
各前記側方表面は、前記背面表面に隣接する、捕捉表面を備え、各前記捕捉表面は、前記中心空間を通して、前記区画と同軸に配列される縦軸から半径方向に延在する基準線から測定される、10°またはそれ未満の配向角を有し、
各前記区画はさらに、端間関係において、相互に前記区画を調節可能に取り付けるために、前記区画の対向端部に位置する、第1および第2の調節可能取付アセンブリを備える、カップリング。
【請求項2】
各前記区画は、前記捕捉表面と連続する起伏表面を備え、前記起伏表面は、前記縦軸から半径方向に延在する基準線から測定される、5°よりも大きい配向角を有する、請求項1に記載のカップリング。
【請求項3】
前記捕捉表面の前記配向角は、10°~1°の範囲にある、請求項1に記載のカップリング。
【請求項4】
前記捕捉表面の前記配向角は、5°である、請求項1に記載のカップリング。
【請求項5】
前記起伏表面の前記配向角は、5°~10°の範囲にある、請求項2に記載のカップリング。
【請求項6】
前記捕捉表面は、前記第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%~100%を備える、請求項1に記載のカップリング。
【請求項7】
前記捕捉表面は、前記第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%を備える、請求項1に記載のカップリング。
【請求項8】
前記起伏表面は、前記第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の75%~0%を備える、請求項2に記載のカップリング。
【請求項9】
前記起伏表面は、前記第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%を備える、請求項2に記載のカップリング。
【請求項10】
最大で第1および第2の前記区画を備え、前記第1の区画上の前記第1の調節可能取付アセンブリは、前記第2の区画上の前記第1の調節可能取付アセンブリと対面する関係にあり、前記第1の区画上の前記第2の調節可能取付アセンブリは、前記第2の区画上の前記第2の調節可能取付アセンブリと対面する関係にある、請求項1に記載のカップリング。
【請求項11】
各前記取付アセンブリは、
開口部を画定する、個別のつまみと、
前記開口部内で受容される、個別の調節可能締結具と
を備え、
前記締結具は、前記区画を相互に調節可能に取り付けるための前記つまみの間に延在する、請求項10に記載のカップリング。
【請求項12】
各区画はさらに、
前記第1の取付アセンブリに隣接して位置付けられる、第1の接触表面と、
前記第2の取付アセンブリに隣接して位置付けられる、第2の接触表面と
を備え、
前記第1の区画上の前記第1の接触表面は、前記第2の区画上の前記第1の接触表面と対面する関係にあり、前記第1の区画上の前記第2の接触表面は、前記第2の区画上の前記第2の接触表面と対面する関係にあり、
前記第1および第2の接触表面は、角度的に配向され、前記第1接触表面と第2の接触表面との間の接触が、前記区画を前記縦軸に垂直な回転軸を中心として相互に反対方向に回転させるように、反対の傾きを有する、請求項1に記載のカップリング。
【請求項13】
ガスケットをさらに備え、前記ガスケットは、
前記チャネル内で受容される円形ループを形成する、ウェブと、
前記ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する、第1の球状リムであって、前記第1の球状リムは、前記背面壁および前記第1の側壁に向かって突出する、第1の球状リムと、
前記第1の側に対向する前記ウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する、第2の球状リムであって、前記第2の球状リムは、前記背面壁および前記第2の側壁に向かって突出する、第2の球状リムと、
前記ウェブの前記第1の側に取り付けられる、第1のローブであって、前記第1のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定し、前記第1のシール表面は、前記中心空間内で受容される前記パイプ要素のうちの1つと係合可能である、第1のローブと、
前記ウェブの前記第2の側に取り付けられる、第2のローブであって、前記第2のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定し、前記第2のシール表面は、前記中心空間内で受容される前記パイプ要素のうちの1つと係合可能である、第2のローブと
を備え、
前記第1の球状リムは、前記第1の側方表面上の前記捕捉表面を係合し、前記第2の球状リムは、前記第2の側方表面上の前記捕捉表面を係合し、それによって、前記区画が、前記パイプ要素の前記中心空間の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において支持されるように、前記区画を工場で事前に組み立てられた状態において支持する一方、前記区画は、前記中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる、請求項1に記載のカップリング。
【請求項14】
前記第1のローブと前記第2のローブとの間に位置付けられる、脚部をさらに備え、前記脚部は、前記ウェブから前記中心空間に向かって突出する、請求項13に記載のカップリング。
【請求項15】
前記脚部はさらに、前記脚部の内周上に位置付けられ、前記中心空間に向かって突出する、複数の離散タブを備え、前記タブは、前記内周に沿って、相互に離間された関係において配列される、請求項14に記載のカップリング。
【請求項16】
前記タブは、湾曲された外形を有する、請求項15に記載のカップリング。
【請求項17】
前記ウェブは、前記中心空間から離れるように対面する外周表面を有し、前記外周表面は、凹面である、請求項13に記載のカップリング。
【請求項18】
前記第1および第2のローブからそれぞれ延在する、第1および第2のグランドをさらに備える、請求項13に記載のカップリング。
【請求項19】
前記第1および第2の球状リムは、それぞれ、前記ウェブの前記第1および第2の側を中心として連続して延在する、請求項13に記載のカップリング。
【請求項20】
各前記捕捉表面は、第1および第2の部分を備え、前記第1の捕捉表面部分は、前記第1の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられ、前記第2の捕捉表面部分は、前記第2の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられる、請求項1に記載のカップリング。
【請求項21】
前記第1の捕捉表面部分は、25°~45°の範囲にある角度を定め、前記第2の捕捉表面部分は、前記縦軸を中心として測定される、25°~45°の範囲にある角度を定める、請求項20に記載のカップリング。
【請求項22】
各前記第1および第2の側方表面はさらに、前記背面表面に隣接する個別の第1および第2の支持表面を備え、前記第1の支持表面は、前記第1の側方表面上の前記第1の捕捉表面部分と前記第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、前記第2の支持表面は、前記第2の側方表面上の前記第1の捕捉表面部分と前記第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、前記第1の支持表面は、前記第1の側方表面上の前記第1および第2の捕捉表面部分の前記配向角とは異なる配向角を有し、前記第2の支持表面は、前記第2の側方表面上の前記第1および第2の捕捉表面部分の前記配向角とは異なる配向角を有する、請求項20に記載のカップリング。
【請求項23】
前記第1および第2の支持表面はそれぞれ、前記縦軸から半径方向に延在する個別の第1および第2の基準線から測定される、15°~30°の範囲にある配向角を有する、請求項22に記載のカップリング。
【請求項24】
前記第1の支持表面は、前記縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定め、前記第2の支持表面は、前記縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定める、請求項23に記載のカップリング。
【請求項25】
各前記捕捉表面は、第1および第2の部分を備え、前記第1の捕捉表面部分は、前記第1の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられ、前記第2の捕捉表面部分は、前記第2の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられ、
各前記第1および第2の側方表面はさらに、前記背面表面に隣接する個別の第1および第2の支持表面を備え、前記第1の支持表面は、前記第1の側方表面上の前記第1の捕捉表面部分と前記第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、前記第2の支持表面は、前記第2の側方表面上の前記第1の捕捉表面部分と前記第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、前記第1の支持表面は、前記第1の側方表面上の前記第1および第2の捕捉表面部分の前記配向角とは異なる配向角を有し、前記第2の支持表面は、前記第2の側方表面上の前記第1および第2の捕捉表面部分の前記配向角とは異なる配向角を有する、請求項1に記載のカップリング。
【請求項26】
ガスケットをさらに備え、前記ガスケットは、
前記チャネル内で受容される円形ループを形成する、ウェブと、
前記ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する、第1の球状リムであって、前記第1の球状リムは、前記背面壁および前記第1の側壁に向かって突出する、第1の球状リムと、
前記第1の側に対向する前記ウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する、第2の球状リムであって、前記第2の球状リムは、前記背面壁および前記第2の側壁に向かって突出する、第2の球状リムと、
前記ウェブの前記第1の側に取り付けられる、第1のローブであって、前記第1のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定し、前記第1のシール表面は、前記中心空間内で受容される前記パイプ要素のうちの1つと係合可能である、第1のローブと、
前記ウェブの前記第2の側に取り付けられる、第2のローブであって、前記第2のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定し、前記第2のシール表面は、前記中心空間内で受容される前記パイプ要素のうちの1つと係合可能である、第2のローブと
を備える、請求項25に記載のカップリング。
【請求項27】
前記カップリングが、工場で事前に組み立てられた状態にあるとき、
前記ウェブならびに前記第1および第2の球状リムは、前記第1および第2の捕捉表面部分に沿って、前記区画の前記背面表面に係合し、
前記第1のローブおよび前記第1の球状リムは、前記第1の支持表面に係合し、前記第2のローブおよび前記第2の球状リムは、前記第2の支持表面に係合し、
前記ガスケットと前記区画との間の係合は、前記区画が、前記パイプ要素の前記中心空間の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において維持されるように、前記区画を前記工場で組み立てられた状態において支持する一方、前記区画は、前記中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる、請求項26に記載のカップリング。
【請求項28】
前記第1および第2の支持表面はそれぞれ、前記縦軸から半径方向に延在する個別の第1および第2の基準線から測定される、15°~30°の範囲にある配向角を有する、請求項25に記載のカップリング。
【請求項29】
前記第1の捕捉表面部分は、25°~45°の範囲にある角度を定め、前記第2の捕捉表面部分は、前記縦軸を中心として測定される、25°~45°の範囲にある角度を定める、請求項25に記載のカップリング。
【請求項30】
前記第1の支持表面は、前記縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定め、前記第2の支持表面は、前記縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定める、請求項25に記載のカップリング。
【請求項31】
ガスケットであって、前記ガスケットは、
中心空間を囲繞して円形ループを形成する、ウェブと、
前記ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する、第1の球状リムであって、前記第1の球状リムは、前記円形ループと同軸に配列される軸に対して半径方向および軸方向の両方に突出する、第1の球状リムと、
前記第1の側に対向する前記ウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する、第2の球状リムであって、前記第2の球状リムは、前記軸に対して半径方向および軸方向の両方に突出する、第2の球状リムと、
前記ウェブの前記第1の側に取り付けられる第1のローブであって、前記第1のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定する、第1のローブと、
前記ウェブの前記第2の側に取り付けられる第2のローブであって、前記第2のローブは、前記ループの周囲に円周方向に延在し、前記中心空間に向かって突出し、前記第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定する、第2のローブと
を備える、ガスケット。
【請求項32】
前記第1のローブと前記第2のローブとの間に位置付けられる、脚部をさらに備え、前記脚部は、前記ウェブから前記中心空間に向かって突出する、請求項31に記載のガスケット。
【請求項33】
前記脚部はさらに、前記脚部の内周上に位置付けられ、前記中心空間に向かって突出する、複数の離散タブを備え、前記タブは、前記内周に沿って、相互に離間された関係において配列される、請求項32に記載のガスケット。
【請求項34】
前記タブは、湾曲された外形を有する、請求項33に記載のカップリング。
【請求項35】
前記ウェブは、前記中心空間から離れるように対面する外周表面を有し、前記外周表面は、凹面である、請求項31に記載のガスケット。
【請求項36】
前記第1および第2のローブからそれぞれ延在する、第1および第2のグランドをさらに備える、請求項31に記載のガスケット。
【請求項37】
前記第1および第2の球状リムは、それぞれ、前記ウェブの前記第1および第2の側を中心として連続して延在する、請求項31に記載のガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その出願が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年10月1日に出願された、米国仮出願第63/251,082号に基づいており、その優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、パイプ要素を継合するためのカップリングおよびガスケットに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
機械的なパイプカップリングは、パイプ要素を相互に、または弁、接続金具、および同等物等の他の構成要素に継合することによって、配管ネットワークを形成するために使用される。中心空間を囲繞して、端間で取り付けられる区画を備えるカップリングは、カップリングの区画を相互から組立解除することなく、複数のパイプ要素または少なくとも1つのパイプ要素が、カップリングの中に挿入されることを可能にするために十分に離間された関係において、区画が支持される、「事前に組み立てられた状態」として公知である状態において、工場から入手され得る。そのような「工場で事前に組み立てられた」カップリングでは、要求される離間された関係において区画を支持するために、中心空間内に位置付けられ、区画によって画定されるチャネル内で受容されるガスケットを使用することが、便利である。ガスケットはまた、カップリングとパイプ要素との間の流体密継合を確保するために必要とされる、シール機能も提供する。
【0004】
カップリング設計者によって直面される1つの課題は、事前に組み立てられた状態におけるカップリングの中へのパイプ要素の挿入の間、ガスケットが、チャネルから脱落しないように防止する方法である。
図1は、事前に組み立てられた状態にあるとき、パイプ要素17のカップリングの中への挿入に応じて、カップリング区画15によって画定されるチャネル13から脱落している、例示的先行技術ガスケット11を示す。挿入されたパイプ要素17に対向するガスケットの側は、チャネル13の内側表面を下方に摺動する傾向がある。これは、区画15を大量生産するために使用される鋳造プロセスの結果として存在する、大きい抜き勾配角度19に起因すると考えられる。脱落されたガスケットは、それが適切にシールされるように、他のパイプ要素21を挿入することが不可能である場合があるため、流体密継合を形成する際に問題を提示し得る。さらに、ガスケットが、第2のパイプ要素の挿入に応じて損傷され得るリスクも存在する。事前に組み立てられた状態から継手を組み立てるときの良好な安定性および容易性のために、機械的なパイプカップリングおよびガスケットの設計を改良する機会が、明確に存在する。
【0005】
別の設計課題は、荷役が出荷の間に工場で事前に組み立てられたカップリングに関して及ぼし得る、影響に関する。工場で事前に組み立てられたカップリングは、出荷コンテナの中に、多くの場合、1つが、他方の上に、多数回にわたって大量に設置される。最終的な組立の時点までの送達に続いて、カップリングは、1つまたはいくつかの締結具が締付されるパイプ端部上に位置付けられ、継手組立は、完了する。本プロセスは、出荷の間は、工場において確保されるような区画の離間された関係が、維持され、最終的な配設の間に、パイプ要素の挿入を可能にすることを要求する。しかしながら、出荷コンテナ内の他のカップリングとの接触に起因して、いくつかのカップリング区画が、不用意に相互に向かって変位(圧縮)される潜在性が、存在する。したがって、使用の時点において、いくつかのカップリングは、1つまたは複数のパイプ要素が、工場で事前に組み立てられたカップリングの中に容易に挿入され得ることを確実にするために、もはや、工場において確立されるような要求される離間された関係にはない場合がある。そのような場合では、配設者は、カップリング区画をそれらの意図される離間された関係に戻すために、手動で筐体を引き離す必要があり得る。配設者による本アクションは、荷役の問題点を改善し得るが、組立プロセスにおいて本ステップを回避することは、有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
本発明は、パイプ要素を継合するためのカップリングに関する。例示的実施形態では、カップリングは、パイプ要素を受容するための中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる、複数の区画を備える。本実施例では、各区画は、鋳造物を備え、鋳造物は、背面壁と、その対向側上の背面壁に取り付けられる、第1および第2の側壁とを有し、背面壁および側壁は、チャネルを画定し、背面壁は、中心空間に対向する背面表面を画定し、側壁は、チャネルに対面する個別の第1および第2の側方表面を画定する。各側方表面は、背面表面に隣接する、捕捉表面を備える。一実施例として、各捕捉表面は、中心空間を通して、区画と同軸に配列される縦軸から半径方向に延在する基準線から測定される、10°またはそれ未満の配向角を有する。各区画はさらに、端間関係において、相互に区画を調節可能に取り付けるために、区画の対向端部に位置する、第1および第2の調節可能取付アセンブリを備え得る。
【0007】
例示的実施形態では、各区画は、捕捉表面と連続する起伏表面を備える。起伏表面は、縦軸から半径方向に延在する基準線から測定される、5°よりも大きい配向角を有する。さらに、一実施例として、捕捉表面の配向角は、10°~1°の範囲にある。特定の例示的実施形態では、捕捉表面の配向角は、5°である。さらに、一実施例として、起伏表面の配向角は、5°~10°の範囲にある。例示的実施形態では、捕捉表面は、第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%~100%を備える。具体的な実施例では、捕捉表面は、第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%を備える。さらなる実施例では、起伏表面は、第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の75%~0%を備える。別の実施例では、起伏表面は、第1および第2の側壁のそれぞれの奥行の50%を備える。
【0008】
例示的実施形態は、最大で第1および第2の区画を備え得る。第1の区画上の第1の調節可能取付アセンブリは、第2の区画上の第1の調節可能取付アセンブリと対面する関係にあり、第1の区画上の第2の調節可能取付アセンブリは、第2の区画上の第2の調節可能取付アセンブリと対面する関係にある。
【0009】
例示的実施形態では、各取付アセンブリは、開口部を画定する、個別のつまみと、開口部内で受容される、個別の調節可能締結具とを備えてもよく、締結具は、区画を相互に調節可能に取り付けるために、つまみの間に延在する。
【0010】
さらなる実施例として、各区画は、第1の取付アセンブリに隣接して位置付けられる、第1の接触表面と、第2の取付アセンブリに隣接して位置付けられる、第2の接触表面とを備えてもよく、第1の区画上の第1の接触表面は、第2の区画上の第1の接触表面と対面する関係にあり、第1の区画上の第2の接触表面は、第2の区画上の第2の接触表面と対面する関係にある。実施例では、第1および第2の接触表面は、角度的に配向され、第1の接触表面と第2の接触表面との間の接触が、区画を縦軸に垂直な回転軸を中心として相互に反対方向に回転させるように、反対の傾きを有する。
【0011】
本発明による例示的実施形態はさらに、ガスケットを備え得る。例示的ガスケットは、チャネル内で受容される円形ループを形成する、ウェブを備える。第1の球状リムは、ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する。第1の球状リムは、背面壁および第1の側壁に向かって突出する。第2の球状リムは、第1の側に対向するウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する。第2の球状リムは、背面壁および第2の側壁に向かって突出する。第1のローブが、ウェブの第1の側に取り付けられる。第1のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定する。第1のシール表面は、中心空間内で受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。第2のローブが、ウェブの第2の側に取り付けられる。第2のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定する。第2のシール表面は、中心空間内で受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。第1の球状リムは、第1の側方表面上の捕捉表面を係合し、第2の球状リムは、第2の側方表面上の捕捉表面を係合し、それによって、区画が、パイプ要素の中心空間の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において支持されるように、区画を工場で事前に組み立てられた状態において支持する一方、区画は、中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる。
【0012】
ガスケットはさらに、第1のローブと第2のローブとの間に位置付けられる、脚部を備えてもよい。脚部は、ウェブから中心空間に向かって突出する。例示的実施形態では、脚部はさらに、脚部の内周上に位置付けられ、中心空間に向かって突出する、複数の離散タブを備える。タブは、内周に沿って相互に離間された関係において配列される。一例示的実施形態では、タブは、湾曲された外形を有する。さらに、一実施例として、ウェブは、中心空間から離れるように対面する外周表面を有し、外周表面は、凹面である。
【0013】
加えて、一実施例として、ガスケットはさらに、第1および第2のローブからそれぞれ延在する、第1および第2のグランドを備えてもよい。例示的実施形態では、第1および第2の球状リムは、それぞれ、ウェブの第1および第2の側を中心として連続して延在する。
【0014】
実施例によると、各捕捉表面は、第1および第2の部分を備え、第1の捕捉表面部分は、第1の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられ、第2の捕捉表面部分は、第2の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられる。一実施例として、第1の捕捉表面部分は、25°~45°の範囲にある角度を定め得、第2の捕捉表面部分は、縦軸を中心として測定される、25°~45°の範囲にある角度を定め得る。
【0015】
本発明による例示的カップリングでは、各第1および第2の側方表面はさらに、背面表面に隣接する個別の第1および第2の支持表面を備え得る。第1の支持表面は、第1の側方表面上の第1の捕捉表面部分と第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、第2の支持表面は、第2の側方表面上の第1の捕捉表面部分と第2の捕捉表面部分との間に位置付けられる。第1の支持表面は、第1の側方表面上の第1および第2の捕捉表面部分の配向角とは異なる配向角を有する。第2の支持表面は、第2の側方表面上の第1および第2の捕捉表面部分の配向角とは異なる配向角を有する。
【0016】
例示的実施形態では、第1および第2の支持表面はそれぞれ、縦軸から半径方向に延在する個別の第1および第2の基準線から測定される、15°~30°の範囲にある配向角を有する。さらに、一実施例として、第1の支持表面は、縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定め得、第2の支持表面は、縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定める。
【0017】
例示的実施形態では、各捕捉表面は、第1および第2の部分を備える。第1の捕捉表面部分は、第1の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられ、第2の捕捉表面部分は、第2の調節可能取付アセンブリに近接して位置付けられる。各第1および第2の側方表面はさらに、背面表面に隣接する個別の第1および第2の支持表面を備え得る。第1の支持表面は、第1の側方表面上の第1の捕捉表面部分と第2の捕捉表面部分との間に位置付けられ、第2の支持表面は、第2の側方表面上の第1の捕捉表面部分と第2の捕捉表面部分との間に位置付けられる。第1の支持表面は、第1の側方表面上の第1および第2の捕捉表面部分の配向角とは異なる配向角を有し、第2の支持表面は、第2の側方表面上の第1および第2の捕捉表面部分の配向角とは異なる配向角を有する。
【0018】
別の例示的カップリング実施形態はさらに、ガスケットを備え、ガスケットは、チャネル内で受容される円形ループを形成する、ウェブを備える。第1の球状リムは、ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する。第1の球状リムは、背面壁および第1の側壁に向かって突出する。第2の球状リムは、第1の側に対向するウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する。第2の球状リムは、背面壁および第2の側壁に向かって突出する。一実施例として、第1のローブが、ウェブの第1の側に取り付けられる。第1のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定する。第1のシール表面は、中心空間内で受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。第2のローブが、ウェブの第2の側に取り付けられる。第2のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定する。本実施例では、第2のシール表面は、中心空間内で受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。
【0019】
例示的実施形態では、カップリングが、工場で事前に組み立てられた状態にあるとき、ウェブならびに第1および第2の球状リムは、第1および第2の捕捉表面部分に沿って、区画の背面表面に係合し、第1のローブおよび第1の球状リムは、第1の支持表面に係合し、第2のローブおよび第2の球状リムは、第2の支持表面に係合する。本実施例では、ガスケットと区画との間の係合は、区画が、パイプ要素の中心空間の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において維持されるように、区画を工場で組み立てられた状態において支持する一方、区画は、中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる。
【0020】
例示的実施形態では、第1および第2の支持表面はそれぞれ、縦軸から半径方向に延在する個別の第1および第2の基準線から測定される、15°~30°の範囲にある配向角を有する。さらに、一実施例として、第1の捕捉表面部分は、25°~45°の範囲にある角度を定め、縦軸を中心として測定される、第2の捕捉表面部分は、25°~45°の範囲にある角度を定める。別の例示的実施形態では、第1の支持表面は、縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定め、第2の支持表面は、縦軸を中心として測定される、90°~110°の範囲にある角度を定める。
【0021】
本発明はさらに、ガスケットを包含する。例示的実施形態では、ガスケットは、中心空間を囲繞して円形ループを形成する、ウェブを備える。第1の球状リムは、ウェブの第1の側の周囲に円周方向に延在する。第1の球状リムは、円形ループと同軸に配列される軸に対して半径方向および軸方向の両方に突出する。第2の球状リムは、第1の側に対向するウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する。第2の球状リムは、軸に対して半径方向および軸方向の両方に突出する。第1のローブが、ウェブの第1の側に取り付けられる。第1のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第1のローブは、その遊離端部において第1のシール表面を画定する。第2のローブが、ウェブの第2の側に取り付けられる。第2のローブは、ループの周囲に円周方向に延在し、中心空間に向かって突出する。第2のローブは、その遊離端部において第2のシール表面を画定する。
【0022】
さらなる例示的実施形態では、本発明によるガスケットは、第1のローブと第2のローブとの間に位置付けられる、脚部を備える。脚部は、ウェブから中心空間に向かって突出する。また、一実施例として、脚部はさらに、脚部の内周上に位置付けられ、中心空間に向かって突出する、複数の離散タブを備え得る。タブは、内周に沿って、相互に離間された関係において配列される。例示的実施形態では、タブは、湾曲された外形を有する。さらに、一実施例として、ウェブは、中心空間から離れるように対面する外周表面を有し、外周表面は、凹面である。例示的実施形態では、第1および第2のグランドは、第1および第2のローブからそれぞれ延在し得る。さらなる実施例では、第1および第2の球状リムは、それぞれ、ウェブの第1および第2の側を中心として連続して延在し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、先行技術パイプカップリングおよびガスケットの部分的な断面図である。
【0024】
【
図2】
図2は、事前に組み立てられた状態において示される、本発明による、例示的パイプカップリングの軸方向図である。
【0025】
【
図3】
図3は、本発明による、例示的パイプカップリング区画の等角図である。
【0026】
【0027】
【0028】
【
図5】
図5は、本発明による、例示的ガスケットの軸方向図である。
【0029】
【
図5A】
図5Aは、本発明による、別の実施例ガスケットの等角図である。
【0030】
【
図6】
図6は、
図5または5Aに示される、例示的ガスケットの断面図である。
【0031】
【
図7】
図7-9は、本発明による、使用時における例示的カップリングおよびガスケットを示す、断面図である。
【
図8】
図7-9は、本発明による、使用時における例示的カップリングおよびガスケットを示す、断面図である。
【
図9】
図7-9は、本発明による、使用時における例示的カップリングおよびガスケットを示す、断面図である。
【0032】
【
図10】
図10は、本発明によるカップリングの別の例示的実施形態を示す、軸方向図である。
【0033】
【
図11】
図11は、調節可能取付アセンブリに近接する点において得られた、例示的カップリング区画の断面図を示す。
【0034】
【
図12】
図12は、区画の端部間のほぼ中間の点において得られた、例示的カップリング区画の断面図を示す。
【0035】
【
図13】
図13は、調節可能取付アセンブリに近接する点において得られた、例示的カップリング区画およびガスケットの断面図を示す。
【0036】
【
図14】
図14は、区画の端部間のほぼ中間の点において得られた、例示的カップリング区画およびガスケットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
図2は、パイプ要素を継合するための例示的カップリング10を示す。カップリング10は、複数の区画、本実施例では、パイプ要素を受容するための中心空間16を囲繞して、端間で相互に取り付けられる、第1および第2の区画12および14を備える。
図3に示されるように、各区画(12が図示される)は、背面壁18と、その対向側上の背面壁に取り付けられる、第1および第2の側壁20、22とを備える。背面壁18および側壁20、22は、チャネル24を画定し、背面壁は、中心空間16に対面する背面表面26を画定する。
図4に示されるように、側壁20および22は、チャネル24に対面する個別の第1および第2の側方表面28、30を画定する。各側方表面28、30は、背面表面26に隣接する捕捉表面32を備える。
図4Aに示されるように、各捕捉表面32は、中心空間16を通して、区画12、14と同軸に配列される縦軸38から半径方向に延在する基準線36から測定される、10°またはそれ未満の配向角34を有する。実践的な例示的実施形態では、捕捉表面32の配向角34は、約10°~約1°の範囲にあり得る。約5°の配向角34が、有益であることが予期される。区画12および14が、有利なこととして、経済的な大量生産のために鋳造されるため、捕捉表面32の比較的小さい配向角34は、下記に説明されるように、パイプ要素の挿入の間、適正な成型抜き勾配を提供しながら、ガスケットの安定性も改良することが示されている。
【0038】
図4に示されるように、各側方表面28、30はまた、捕捉表面32と連続する起伏表面40を備え得る。
図4Aに示されるように、起伏表面40は、存在する場合、有利なこととして、縦軸38から半径方向に延在する基準線36から測定される、5°よりも大きい配向角42を有する。起伏表面40の配向角42は、有利なこととして、約15°~約30°の範囲にあり、下記に説明されるように、捕捉表面32の配向角34と協調され、カップリング組立の容易性のための「引込線」を提供する。
【0039】
図4に示唆されるように、捕捉表面ならびに起伏表面32および40は、第1および第2の側壁20および22の奥行33の比率として測定される、側方表面28および30のある範囲の部分を占有し得る。例示的実施形態では、捕捉表面32は、側方表面の奥行33の約50%(図示される)~奥行33の100%(起伏表面なし)を含み得る。側壁の奥行33の50%を含む捕捉表面が、有利であることが予期される。起伏表面40は、側方表面28および30の比率奥行に関して、捕捉表面32と干渉し、したがって、起伏表面は、側壁の奥行33の0%~約75%を含み得る。捕捉表面32と協調して、側壁の奥行33の50%を含む起伏表面40が、有利であることが予期される。
【0040】
図3および4に示されるように、区画12および14(12が図示される)はまた、区画の対向側上に配列される、第1および第2の弓形楔46および48を含み得る。楔46および48は、パイプ要素内の円周方向溝に係合し、継合を形成するときに正の機械的係合を提供する。
図2および3に示されるように、各区画12、14はさらに、中心空間16を中心として、端間関係において、相互に区画を調節可能に取り付けるために、区画の対向端部に位置する、第1および第2の調節可能取付アセンブリ50および52を備える。
図2に示されるように、第1の区画12上の第1の調節可能取付アセンブリ50は、第2の区画14上の第1の調節可能取付アセンブリ50と対面する関係にあり、第1の区画12上の第2の調節可能取付アセンブリ52は、第2の区画14上の第2の調節可能取付アセンブリ52と対面する関係にある。本例示的実施形態では、各取付アセンブリ50、52は、開口部56を画定する、個別のつまみ54を備える。
図2に示されるように、開口部56は、個別の調節可能締結具58を受容し、本実施例では、ナット60と、ボルト62とを備える。締結具58は、区画12、14を相互に調節可能に取り付けるために、つまみ54の間に延在する。
【0041】
図3にさらに示されるように、これは、各区画(12が図示される)がさらに、第1の取付アセンブリ50に隣接して位置付けられる、第1の接触表面64と、第2の取付アセンブリ52に隣接して位置付けられる、第2の接触表面66とを備える場合、有利である。
図2に示されるように、第1の区画12上の第1の接触表面64は、第2の区画14上の第1の接触表面64と対面する関係にあり、第1の区画12上の第2の接触表面66は、第2の区画14上の第2の接触表面66と対面する関係にある。第1および第2の接触表面64および66は、角度的に配向され、反対の傾きを有し、したがって、区画が相互に向かって延伸されるときに結果として生じる、第1の接触表面64と第2の接触表面66との間の接触が、区画12および14を縦軸38に垂直な回転軸68を中心として相互に対して反対方向に回転させる(
図3参照)。接触表面64および66は、米国特許第4,611,839号(参照することによって、本明細書に組み込まれる)において説明されるように、より隆起した継合をもたらすことが所望される場合に使用される。
【0042】
図2および5に示されるように、本発明によるカップリングはさらに、ガスケット70を備え得る。
図5に示される例示的実施形態では、ガスケット70は、チャネル24内で受容される円形ループ74を形成する、ウェブ72を備える(
図3および4参照)。
図6に示されるように、ガスケット70は、ウェブ72の第1の側の周囲に円周方向に延在する、第1の球状リム76と、第1の側に対向するウェブの第2の側の周囲に円周方向に延在する、第2の球状リム78とを備える。球状リム76および78は、有利なこととして、ウェブ72の第1および第2の側を中心として連続して延在する。さらに、
図6に示されるように、各球状リム76および78は、矢印77によって定義されるように、半径方向に、矢印79によって定義されるように、反対軸方向に突出する。方向77および79は、
図3、4、および6に示されるように、中心空間16を通して、区画12、14と同軸に配列される縦軸38に対して定義される。
図5に示されるように、軸38もまた、ガスケット70が、チャネル24内に位置付けられるとき、円形ループ74と同軸である(
図2および3も参照)。
図4から判定され得るように、半径方向77における球状リム76および78の突出はまた、ガスケット70が、チャネル24内にあるときに、背面壁18に向かって突出するものとして説明され得る。同様に、軸方向79における球状リム76および78の突出は、ガスケット70が、チャネル24内にあるときに、第1および第2の側壁20および22に向かって突出するものとして説明され得る。
【0043】
図6に示されるように、第1のローブ80が、ウェブ72の第1の側に取り付けられる。第1のローブ80は、ループ74の周囲に円周方向に延在し(
図5も参照)、中心空間16に向かって突出する。第1のローブ80は、その遊離端部84において第1のシール表面82を画定する。第1のシール表面82は、下記に説明されるように、中心空間16内で受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。
【0044】
第2のローブ86は、ウェブ72の第2の側に取り付けられる。第2のローブ86は、
図5に示されるループ74の周囲に円周方向に延在し、中心空間16に向かって突出する。
図6を参照して再度示されるように、第2のローブ86は、その遊離端部90における第2のシール表面88を画定する。第1のシール表面82と同様に、第2のシール表面88もまた、中心空間16内に受容されるパイプ要素のうちの1つと係合可能である。ガスケット70のシールは、第1および第2のローブ80および86からそれぞれ延在する、第1および第2のグランド92および94の使用によって強化され得る。グランド92および94は、中心空間16内の内圧が、パイプ要素上に作用し、それらに対してシール表面82および88を加圧し、より高い圧力シールをもたらすことを可能にする。
【0045】
図5および6に示されるように、ガスケット70はさらに、第1のローブ80と第2のローブ86との間に位置付けられる、脚部96を備え得る。脚部96は、ウェブ72から中心空間16に向かって突出し、中心空間の中に挿入されるパイプ要素が、所望の奥行まで挿入されることを確実にするための停止表面として作用する。
図5Aに示されるように、脚部96はさらに、脚部の内周99上に位置付けられる複数の離散タブ97を備え得る。タブ97は、中心空間16に向かって突出し、内周99に沿って、相互に離間された関係において配列される。タブ97は、斜角端部を有するパイプ要素に関して、カップリング10内に正の、かつ信頼可能な位置合わせを提供する。タブ97が、湾曲された外形を有することは、有利であると見なされる。湾曲された外形のタブ97は、脚部96とパイプ要素との間の係合の面積を最小限にしながら、依然として、カップリング10内の適切なパイプ要素の位置合わせのための十分な係合を提供する。脚部96とパイプ要素との間のより少ない係合は、内周99全体が、流体流経路の中に延在せず、乱流および流動に対する抵抗を生成しないため、カップリング10によって生成される継合において、パイプ要素内のより小さい圧力水頭損失を結果としてもたらす。いかなる侵入も、タブ97の部分に限定される。
図6に示されるように、ウェブ72はまた、中心空間16から離れるように対面する外周表面98を有し得る。本例示的実施形態では、外周表面98は、凹面である。
【0046】
図7、8、および9は、「事前に組み立てられた状態」におけるカップリング10の一部を示す。本構成では、区画12および14(14が図示される)は、各区画上の取付アセンブリ50および52を使用して、端間でともに継合される(
図2参照)が、パイプ要素100、102が、中心空間16の中に挿入されることを可能にするために十分に離間された関係において保持される(
図8および9参照)。本例示的実施形態では、ガスケット70は、事前に組み立てられた状態において、区画12および14を支持するために使用される(
図2も参照)。
図7に示されるように、第1の球状リム76は、第1の側方表面28の第1の捕捉表面32に係合し、第2の球状リム78は、第2の側方表面30の捕捉表面32に係合し、それによって、区画が、パイプ要素の中心空間16の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において支持されるように、区画(14が図示される)を事前に組み立てられた状態において支持する一方、区画は、中心空間を囲繞して、端間で相互に取り付けられる(
図2参照)。
【0047】
図8に示されるように、
図1に描写される先行技術構成とは異なり、第1および第2の球状リム76および78が、区画の第1および第2の側壁20および22上の個別の捕捉表面32に係合するため、第1のパイプ要素100の挿入に応じたガスケット70の脱落は、本発明による、カップリング10において実質的に防止される。球状リム76および78と捕捉表面32との間の接触は、それらの角度配向34を伴って、回転防止特徴として作用し、それによって、パイプ挿入に応じたガスケットの脱落を抑制することが見出されている。ガスケット70とカップリング10との組み合わせは、パイプ要素の挿入に応じて、有意により高い安定性を達成し、両方のパイプ要素が、事前に組み立てられた状態にあるとき、カップリング10の中に容易に挿入されることを可能にする。個別の起伏表面40は、側方表面20および22上に存在するとき、それらのより大きい配向角を伴って、ガスケット70を所望の係合の中に誘導するように作用し、事前に組み立てられた状態を達成する。
図9は、中心空間16の中に挿入される、両方のパイプ要素100および102を示し、区画12および14(14が図示される)は、機械的な係合を提供するために、円周方向溝104および106に係合する、それらの楔46および48とともに延伸される。ガスケット70は、区画12、14(14が図示される)とパイプ要素100、102との間で圧縮され、シール表面86、88は、結果として、パイプ要素に係合し、流体密シールをもたらす。ガスケット70の変形は、背面壁18に沿って延在する空洞108によって格納され、ウェブ72の凹面形状は、凸面形状に変形され、それによって、脚部96が、パイプ要素100、102の間から後退し、流体流経路の中に侵入しないことを可能にし得る。
【0048】
図10は、本発明による、カップリング110の別の例示的実施形態を示し、区画132および134を備える。
図10および11に示されるように、カップリング110の捕捉表面32は、第1および第2の部分112、114を備える。第1の捕捉表面部分112は、第1の調節可能取付アセンブリ50に近接して位置付けられ、第2の捕捉表面部分114は、第2の調節可能取付アセンブリ52に近接して位置付けられる(捕捉表面部分112のみが、
図11に図示される)。本例示的実施形態では、第1の捕捉表面部分112は、カップリング区画132の端部から延在し、区画の円弧長に沿って、約25°~約45°の範囲にある、角度116を定める。同様に、第2の捕捉表面部分114は、区画132の対向端部から延在し、区画の円弧長に沿って、約25°~約45°の範囲にある、角度118を定める。定められた角度116、118は、縦軸38を中心として測定される。
【0049】
図10および12に示されるように、第1および第2の側方表面28および30はさらに、個別の第1および第2の支持表面120および122を備える。支持表面120および122は、区画の背面表面26に隣接して位置付けられる。
図10に示されるように、第1の支持表面120は、第1の側方表面28上の第1の捕捉表面部分112と第2の捕捉表面部分114との間に位置付けられる。同様に、第2の支持表面122は、第2の側方表面30上の第1の捕捉表面部分と第2の捕捉表面部分との間に位置付けられる(不可視である)。本例示的実施形態では、第1の支持表面120は、縦軸38を中心として測定される、約90°~約110°の範囲にある、角度128を定める。同様に、第2の支持表面122もまた、縦軸38を中心として測定される、約90°~約110°の範囲にある、角度を定め得る。
図11および12の比較において示されるように、第1の支持表面120、122は、第1および第2の捕捉表面部分112、114の配向角とは異なる、個別の配向角124および126を有する(比較のために、
図4A参照)。本例示的実施形態では、第1および第2の支持表面120、122はそれぞれ、縦軸38から半径方向に延在する個別の第1および第2の基準線から測定される、約15°~約30°の範囲にある、個別の配向角124、126を有する。上記に明示的に説明されないが、区画134はまた、区画132と同一であり得る。
【0050】
図13および14は、区画132の断面図であり、これは、カップリングが工場で事前に組み立てられた状態にあるときのガスケット70の捕捉表面部分(112が図示される)と支持表面120および122との係合を図示し、したがって、区画132、134が、1つのまたは複数のパイプ要素の中心空間16の中への挿入を可能にするために十分に相互に離間された関係において維持される一方、区画は、
図10に示されるように、中心空間16を囲繞して、端間で相互に取り付けられる。
図13に示されるように、ウェブ72およびガスケット70の第1および第2の球状リム76、78は、第1および第2の捕捉表面部分112および114(112が図示される)に沿って、区画132、134(132が図示される)の背面壁18の背面表面26に係合する。
図13の断面は、捕捉表面部分112によって定められる角度116の円弧長内で、取付アセンブリ50近傍で得られる。ガスケット70は、カップリング110のこれらの領域にわたって、区画132、134内に実質的に着座し、上記に解説されるように、パイプ要素の挿入に応じたガスケットの脱落を防止する。
図14は、支持表面120、122によって定められる、角度128の円弧長内の区画132または134の端部間で得られた断面である。本領域では、ガスケット70の第1のローブ80および第1の球状リム76は、第1の支持表面120に係合し、第2のローブ86および第2の球状リム78は、第2の支持表面122に係合する。ガスケット70の支持表面120および122との本係合は、カップリングが、出荷コンテナ内においてもまた、他のカップリングの重量によって圧縮されるときであっても、出荷および荷役の間、カップリング110の区画132および134を離間された関係において維持することが予期される。
【0051】
本明細書に説明される、請求される発明の実施形態の全てが、一実施例としてのみ明示的に提供される。無数の変形例および修正が、本開示の概念から逸脱することなく、本明細書に説明される例示的実施形態に対して行われ得る。加えて、本開示の範囲は、明細書および請求項内に説明され、図面に示される全ての要素、特徴、および側面のあらゆる修正および組み合わせを包含することが意図される。あらゆるそのような修正および組み合わせは、本開示の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】