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特表2024-533619肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240905BHJP
【FI】
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517440
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022077067
(87)【国際公開番号】W WO2023052479
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2110266
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ケルン,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィル,レミ
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD08
4B018MD52
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF13
(57)【要約】
【解決手段】 ヒトの肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用であって、前記見た目の美しさの改善は、血色及び色味の均一性並びに凹凸の低減を含む、使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用であって、ヒトの肌の前記見た目の美しさの前記改善には、その血色、その色味の均一性の両方の改善に加えて、その凹凸の低減も含まれる、使用。
【請求項2】
前記ブルーベリー抽出物は、発酵ブルーベリーの抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、以下の化合物:
a)少なくとも1種の式(I):
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表し、
Xは、-H(L-アラビノース)又は-CH-OH(D-グルコース、D-ガラクトース)である)の化合物;
b)少なくとも1種の式(II):
【化2】
(式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表す)の化合物;及び
c)少なくとも1種の式(III):
【化3】
(式(III)の化合物の各繰り返し及び構成単位に関し、独立に:
- R1は、水素原子-H又はヒドロキシ基-OHを表し、
- 式(III)中のアスタリスクを付けた不斉炭素は、R又はS配置をとることが可能である)の化合物;
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を20重量%~50重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を1重量%~5重量%、
- 水を1重量%~10重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を30重量%~78.99重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解されることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、少なくとも1種の式(IV):
【化4】
(式(IV)の化合物の各繰り返し及び構成単位に関し、独立に:
- R1は、水素原子-H又はヒドロキシ基-OHを表し、
- 式(IV)中のアスタリスクを付けた不斉炭素は、R又はS配置をとることが可能であり;
R3及びR4は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表す)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を0.1重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~1重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を0.5重量%~10重量%、
- 少なくとも1種の式(IV)の化合物を10重量%~50重量%、
- 水を1重量%~10重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群の要素から選択される少なくとも1種の化合物を24重量%~88.39重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解されることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
ヒトの肌の見た目の美しさを改善する方法であって、ヒトの肌の前記見た目の美しさの改善は、その血色及びその色味の均一性の両方の改善に加えて、その凹凸の低減も含み、前記方法は、有効量のブルーベリー抽出物をヒトに経口投与することを特徴とする、方法。
【請求項8】
経口投与される前記ブルーベリー抽出物の有効量は、前記ブルーベリー抽出物を、1日1回、少なくとも100mgであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を20重量%~50重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を1重量%~5重量%、
- 水を1重量%~10重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を30重量%~78.99重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解されることを特徴とする、請求項7及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を0.1重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~1重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を0.5重量%~10重量%、
- 少なくとも1種の式(IV)の化合物を10重量%~50重量%、
- 水を1%~10重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群の要素から選択される少なくとも1種の化合物を24重量%~88.39重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解されることを特徴とする、請求項7及び8のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は生体と外部環境との境界面を構成している。その目的は、生体である真のバリアを形成することによってヒトの身体を確実に保護することにある。
【0003】
皮膚の色味は健康状態の表れでもあり、多くの場合、若さ、生命力、活力が関係している。
【0004】
皮膚の色味を悪化させないようにする製品は長く販売されている。
【0005】
その理由は、皮膚は、物理的性質を有するもの(機械的、熱的、UV放射及び同種の要因)、化学的性質を有するもの(界面活性剤、溶剤、アレルゲン及び同種のもの)又は生物学的性質を有するもの(感染病原体)のいずれであれ、多種多様な攻撃を日常的に受けていることにある。
【0006】
バランスの取れた皮膚を表すために、「正常な皮膚」という語が広く使用されている。正常な皮膚は、血行が良く、柔軟性があり、滑らかで、ビロードのような手触りを有し、みずみずしい透き通るような外観を持ち、ムラのないピンク色を呈し、難点(imperfection)がなく、敏感でない。
【0007】
皮膚のバリアが健全である場合、皮膚は、水分を保持し、外部からの攻撃から保護するように有効に機能することができる。丈夫で健康な皮膚バリアは美しく、時間が経過しても良好に機能する。
【0008】
汚染物質、UV放射、温度及び/又は湿度の変動、タバコの煙などの外部因子への曝露や、又はそれに加えて、内部因子、その中でも特に、ストレス、疲労、ホルモンの変化、加齢又は過度の皮脂分泌は、皮膚のバリア機能のあらゆる構成要素に対し有害な作用を誘発し、その結果として、特に、肌の色味が悪くなることがある。より具体的には、これらの因子に曝露されると、肌はムラのある白っぽい色味を呈する傾向にある。
【0009】
「肌の色味」という用語は、肌の色及びその均一性の両方を意味すると理解される。
【0010】
肌の色味が悪化して見た目が悪くなったことを隠すためにファンデーションなどのメークアップ製品が肌に塗布されるが、これらの多くは化石由来の出発物質から得られる合成由来の成分を含んでいる。この解決策は、天然由来の化粧品を志向する消費者の期待と一致していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このことから生じる課題は、ヒトの肌の見た目の美しさを改善することを可能にする植物由来の組成物を開発することにあり、前記見た目の美しさの改善には、その血色及びその色味の均一性の両方の改善に加えて、その凹凸の低減も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって本発明の主題は、ヒトの肌の見た目の美しさを改善するためのブルーベリー抽出物の使用にあり、ヒトの肌の前記見た目の美しさの改善には、その血色、その色味の均一性の両方の改善に加えて、その凹凸の低減も含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の文脈における「肌の血色」という用語は、実験部で説明するように、肌に「見栄え効果(good look effect)」を与え、肌に血色又はより濃い色味を回復することを意味すると理解される。このことに関連して使用される「肌の血色」という用語は、紫外線又は肌に適用する化学製品によって誘発される肌の褐色化を意味しない。
【0014】
本発明に関連する「肌の色味の均一性」という用語は、不規則な色素沈着又は色素脱出がなく、肌に色ムラがないことを意味すると理解される。
【0015】
本発明に関連する「肌の凹凸の低減」という用語は、肌の質感が改善され、したがって肌のキメが滑らかになることを意味すると理解される。
【0016】
本発明による使用に用いられるブルーベリー抽出物は、発酵したもの又は未発酵のもののいずれであってもよい。
【0017】
この使用の特定の態様によれば、用いられるブルーベリー抽出物は、発酵ブルーベリーの抽出物である。
【0018】
本発明による使用は、場合に応じて、以下に示す特徴の1つ又は複数を示すことができる:
・ブルーベリー抽出物は粉末形態で提供される;
・ブルーベリー抽出物は、その重量100%当たり、水を1重量%~10重量%及び乾燥物質(DM)を90重量%~99重量%、より詳細には、水を1重量%~8重量%及び乾燥物質(DM)を92重量%~99重量%、更に詳細には水を1重量%~7重量%及び乾燥物質(DM)を93重量%~99重量%含む;
・ブルーベリー抽出物は:
a)少なくとも1種の式(I):
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表し、
Xは、-H(L-アラビノース)又は-CH-OH(D-グルコース、D-ガラクトース)である)の化合物と、
b)少なくとも1種の式(II):
【化2】
(式中、R1及びR2は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表す)の化合物と、
を含む;
・発酵ブルーベリーの抽出物は:
c)少なくとも1種の式(III):
【化3】
(式(III)の化合物の各繰り返し及び構成単位に関し、独立に:
- R1は、水素原子-H又はヒドロキシ基-OHを表し、
- 式(III)中のアスタリスクを付けた不斉炭素は、R又はS配置をとることが可能である)の化合物を含む;
・発酵ブルーベリーの抽出物は、例えば、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を、20重量%~50重量%、より詳細には25重量%~50重量%、更に詳細には30重量%~50重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を、0.01重量%~5重量%、より詳細には0.01重量%~4重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を、1重量%~5重量%、より詳細には1重量%~4重量%、
- 水を、1重量%~10重量%、より詳細には1重量%~8重量%、更に詳細には1重量%~7重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、30重量%~78.99重量%、より詳細には32重量%~72.99重量%、更に詳細には35重量%~67.99重量%、
含み、
- この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解される;
・発酵ブルーベリーの抽出物は、少なくとも1種の式(IV):
【化4】
(式(IV)の化合物の各繰り返し及び構成単位に関し、独立に:
- R1は、水素原子-H又はヒドロキシ基-OHを表し、
- 式(IV)中のアスタリスクを付けた不斉炭素は、R又はS配置をとることが可能であり;
R3及びR4は、同一であるか又は異なり、水素原子-H、ヒドロキシ基-OH又はメトキシル基-OCHを表す)の化合物を更に含む;
・発酵ブルーベリーの抽出物は、例えば、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物(アントシアニン)を、0.1重量%~5重量%、より詳細には0.1重量%~4重量%、更に詳細には0.1重量%~3重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物(アントシアニジン)を、0.01重量%~1重量%、より詳細には0.01重量%~0.8重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物(プロアントシアニジン)を、0.5重量%~10重量%、より詳細には0.5重量%~8重量%、更に詳細には0.5重量%~6重量%、
- 少なくとも1種の式(IV)の化合物(擬プロアントシアニジン(pseudoproanthocyanidin))を、10重量%~50重量%、より詳細には10重量%~40重量%、更に詳細には10重量%~35重量%、
- 水を、1重量%~10重量%、より詳細には1重量%~8重量%、更に詳細には1重量%~7重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群の要素から選択される少なくとも1種の化合物を、24重量%~88.39重量%、より詳細には39重量%~88.39重量%、更に詳細には48.2重量%~88.39重量%、
含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解される。
【0019】
特定の態様によれば、ブルーベリー抽出物中に存在する炭水化物は、グルコース、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース又はガラクツロン酸などの単糖類;スクロースなどの二糖類;ペクチン、プロペクチン又はセルロースなどの多糖類からなる群の要素から選択される。
【0020】
ブルーベリー抽出物、好ましくは発酵ブルーベリーの抽出物は、摂取可能な組成物(IC)に組み込むことができる。ブルーベリー抽出物、好ましくは発酵ブルーベリーの抽出物は、他の果実又は野菜の抽出物を含まない摂取可能な組成物に組み込むことができる。
【0021】
この摂取可能な組成物(IC)はまた、経口投与可能な少なくとも1種の医薬品添加物も含むことができ、前記医薬品添加物は、希釈剤、流動化剤、結合剤又は崩壊剤から選択される医薬的又は栄養学的に許容される技術的添加物(technological additive)(TA)である。
【0022】
「技術的添加物」という用語は、その技術的機能が、前記組成物(IC)の様々な構成要素の混合を可能にする並びに/又は促進する、前記組成物(IC)の物理的性質を助ける並びに/又は最適化する、例えば、その流動性、その安定性及び後に続く医薬的及び/若しくは栄養学的製剤中へのその組み込みを助ける及び/若しくは最適化することにある、任意の化学的物質又は任意の化学的組成物であって、医薬的製剤及び/又は栄養学的製剤を上市するための現行の法的規制により要求される条件を満たすことができる化学的物質又は化学的組成物を指す。
【0023】
「栄養学的に許容される技術的添加物」という用語は、上に定義した技術的添加物であって、その使用が、対象とする国のフードサプリメント(food supplement)に関連する現行の法的規制の要件を満たすものを指す。
【0024】
摂取可能な組成物(IC)は、希釈剤、流動化剤、結合剤又は崩壊剤から選択される少なくとも1種の技術的添加物(TA)を含むことができる。
【0025】
「医薬的に許容される技術的添加物」という用語は、上に定義した技術的添加物であって、その使用が、対象とする国の現行の薬事規制の要件を満たすものを指す。典型的には、希釈剤は、ラクトース、スクロース、サッカロース、グルコース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イソマルト、リン酸水素カルシウム、微結晶セルロース、デンプン、より詳細には、コーンスターチ、コムギデンプン及びバレイショデンプン、リン酸二カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム、8~24個の炭素原子を含む脂肪酸のモノグリセリド及び/又はジグリセリドからなる群の要素の少なくとも1種から選択される。
【0026】
典型的には、流動化剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、水添野菜油、無水コロイダルシリカ、安息香酸ナトリウム及び二酸化ケイ素からなる群の要素の少なくとも1種から選択される。
【0027】
典型的には、結合剤は、デンプン糊、α化デンプンの形態にあるデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ショ糖シロップ及びアラビアゴムからなる群の要素の少なくとも1種から選択される。
【0028】
典型的には、崩壊剤は、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及びポリビニルピロリドンからなる群の要素の少なくとも1種から選択される。
【0029】
特定の態様によれば、固体形態で提供される摂取可能な組成物(IC)は、錠剤、硬ゼラチンカプセル、ソフトカプセル、粉末、糖衣錠又は顆粒の形態をとる。
【0030】
摂取可能な組成物(IC)は、ブルーベリー抽出物、好ましくは発酵ブルーベリーの抽出物を、摂取可能な組成物(IC)1ミリグラム当たりのブルーベリー抽出物のミリグラム数で表した濃度が、1以上且つ1000以下、より詳細には20以上且つ800以下、より詳細には50以上且つ500以下、更に詳細には80以上且つ250以下となるように含む。
【0031】
発酵ブルーベリーの抽出物は、以下の段階を含む以下のプロセスに従い製造される:
・つまり、このプロセスの第1段階は、バシニウム・ミルチルス(Vaccinium myrtillus)(ブルーベリー)の果実をサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の存在下に発酵させることからなり、
・第2段階:次いで発酵培地を濾過し、
・第3段階:濾過された培地を濃縮し、
・第4段階:エチルアルコールに含まれる可溶性化合物を全て取り出すように、濃縮された培地をエタノール中に取り込み、
・第5段階:抽出物を濾過し、
・第6段階:抽出物を乾燥させ、
・第7段階:上で得られた単離された固体を、次いで水に再溶解し、
・第8段階(任意選択):上で得られた水相を、固体を得るために微粒子化し、次いでこれを包装する。
【0032】
このプロセスは、先に発酵段階を実施することなく、果実を粉砕する段階に置き換えて実施することができ:その場合、対応する抽出物は、異なる化学組成を有することに留意されたい。
【0033】
発酵及び未発酵ブルーベリーの抽出物の化学組成は大きく異なる。
【0034】
未発酵ブルーベリーの抽出物は主としてフェノール配糖体に相当するアントシアニン類を含む。発酵段階を実施した場合、これらのアントシアニン類は、脱グリコシル反応、還元反応又は重合反応などの様々な連続的(consecutive)及び/又は逐次的(sequential)化学変換を経て、最終的に2種類の異なる重合体:プロアントシアニジン類(フラバノール単独重合体)及び擬プロアントシアニジン類(フラバノール重合体であり、その末端がアントシアニジン単位で末端停止されている)となる。
【0035】
以下に、その反応順序に加えて、フラバノールの化学構造も示す。
【化5】
【0036】
ブルーベリー抽出物を唯一の果実抽出物として含み、他の果実又は野菜抽出物を含まない摂取可能な組成物(IC)は、フードサプリメントに含めることができる。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、前記フードサプリメントは、他の果実又は野菜抽出物を含まない。
【0038】
好ましくは、フードサプリメントは、その重量100%当たり、前記摂取可能な組成物(IC)を5重量%~70重量%、より詳細には10重量%~70重量%、更に詳細には25重量%~70重量%含む。
【0039】
「フードサプリメント」という用語は、通常の食事を補完することを目的とし、単独で又は組合せで栄養学的又は生理学的作用を示す、濃縮された栄養源又は他の物質を構成する食品(foodstuff)を意味すると理解される。フードサプリメントは、特定の不足を予防すること又は個人の、特に身体活動時の食事における特定の要求に応えることを可能にする。「フードサプリメント」の定義が、2006年3月26日付のフードサプリメントに関するフランス共和国デクレ第2006-20352号第2条及び2002年6月10日付の欧州議会・理事会指令2002/46/ECに示されている。
【0040】
フードサプリメントは固体又は液体形態にある。
【0041】
フードサプリメントは、生理活性脂質、水溶性若しくは水分散性の微量元素の塩、水溶性若しくは脂溶性ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、乳タンパク濃縮物及び/若しくはタンパク質、植物性若しくは動物性酵素、アミノ酸、ペプチド又は糖から選択される少なくとも1種の有効成分を更に含む。
【0042】
フードサプリメントは、錠剤、硬ゼラチンカプセル、糖衣錠、顆粒、ソフトカプセル、シロップ、粉末、例えば、即時放出型粉末、遅延放出型粉末若しくは還元飲料用粉末、液体、スティック又はゲルの形態などの当業者に知られている任意の剤形で提供することもできる。
【0043】
フードサプリメント産業において使用されている固体形態は、一般に、少なくとも1種の栄養成分を含む固体粒子を凝集させることにより製造される錠剤、硬ゼラチンカプセル、糖衣錠又は顆粒の形態で提供される。
【0044】
このような固体形態は、圧縮、ペレット化、造粒、圧密(compacting)又は押出技法などの当業者に知られている多くの技法を実施することにより調製することができる。
【0045】
フードサプリメントが粉末形態で提供される場合、これは、その様々な構成成分を、少なくとも1つの機械的撹拌機構、例えば、平羽根又はインペラ型撹拌羽根を備えた混合機に導入することにより得られ、混合機は、任意選択的に、タンブラー混合機であり、混合機は、任意選択的に、破砕機型の機構を備えている。この混合操作は、一般に、周囲温度で実施される。
【0046】
フードサプリメントは、飲料、より詳細には、水性飲料(aqueous drink)、溶液、果汁、着香飲料、栄養ドリンク、アルコール飲料、コーヒー系飲料、チョコレート系飲料、茶系飲料、乳製品、より詳細には、乳、ヨーグルト、ミルクデザート、ヨーグルト飲料、チーズ、アイスクリーム、チョコレートバー、シリアル製品、より詳細には、シリアルバー、クッキー、朝食用シリアル、小麦粉、製パン用製品、特殊栄養製品、より詳細には、乳幼児用栄養製品、身体活動に備えるための栄養製品、臨床栄養製品、代替食、菓子類、より詳細には、チューインガム、キャンディー、キャラメル、糖衣アーモンド、ミントキャンディー(humbug)、マシュマロ、ロクム、ヌガー、フルーツゼリー、リコリス菓子などの当業者に知られている任意の食品の形態で提供することができる。
【0047】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する生理活性脂質としては、植物ステロール、例えば、野菜油から抽出したもの、より詳細には、シーバックソーン油、トウモロコシ油又は大豆油の抽出物;野菜油から単離された植物ステロールの複合体、例えば、カンペステロール、スチグマステロール及びブラシカステロールから構成されるコレスタチン;植物スタノール類;藻類、緑色植物、真菌又は細菌から抽出される、テルペノイド類(family of the terpenoids)に属するカロテノイド;オメガ-3群の多価不飽和脂肪酸、例えば、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサン酸;オメガ-6群の多価不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸、γ-リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサジエン酸、ドコサテトラエン酸又はドコサペンタエン酸を挙げることができる。
【0048】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する水溶性又は水分散性微量元素塩の例としては、炭酸第一鉄、塩化第一鉄四水和物、塩化第二鉄六水和物、クエン酸第一鉄六水和物、フマル酸第一鉄、乳酸第一鉄四水和物、硫酸第一鉄一水和物、硫酸第一鉄七水和物、第一鉄アミノ酸キレート水和物、鉄グリシンキレート、ヨウ素酸カルシウム六水和物、ヨウ素酸カルシウム無水物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、酢酸コバルト四水和物、塩基性炭酸コバルト一水和物、炭酸コバルト六水和物、硫酸コバルト七水和物、硫酸コバルト一水和物、硝酸コバルト六水和物、酢酸第二銅一水和物、塩基性炭酸銅一水和物、塩化第二銅二水和物、メチオン酸銅(copper methionate)、硫酸第二銅五水和物、第一銅アミノ酸キレート水和物、第一銅グリシンキレート水和物、メチオニンヒドロキシアナログの銅キレート、炭酸マンガン、塩化マンガン四水和物、リン酸水素マンガン三水和物、硫酸マンガン四水和物、硫酸マンガン一水和物、マンガンアミノ酸キレート水和物、マンガングリシンキレート水和物、メチオニンヒドロキシアナログのマンガンキレート、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)により産生されるセレンの有機物形態、セレノメチオニン(不活化されたセレン含有酵母)及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)により産生されるセレノメチオニン(不活化されたセレン含有酵母)を挙げることができる。
【0049】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する水溶性又は脂溶性ビタミンの例としては、ビタミンA、より詳細には、そのレチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル又はβ-カロテン形態にあるもの、ビタミンD2、より詳細には、そのエルゴカルシフェロール又は25-ヒドロキシカルシフェロールの形態にあるもの、ビタミンD3、より詳細には、そのコレカルシフェロールの形態にあるもの、ビタミンK、より詳細には、そのフィロキノン(フィトメナジオン)又はメナキノンの形態にあるもの、ビタミンB1、より詳細には、そのチアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミン一リン酸クロリド又はチアミンピロリン酸クロリドの形態にあるもの、ビタミンB2、より詳細には、そのリボフラビン又はリボフラビン5’-リン酸エステルナトリウムの形態にあるもの、ビタミンB6、より詳細には、そのピリドキシン塩酸塩、ピリドキシン-5’-リン酸又はピリドキサール-5’-リン酸の形態にあるもの、ビタミンB12、より詳細には、そのシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、5’-デオキシアデノシルコバラミン又はメチルコバラミンの形態にあるもの、ビタミンC、より詳細には、そのL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カリウム、6-パルミトイル-L-アスコルビン酸のカルシウム塩又はアスコルビル一リン酸ナトリウムの形態にあるもの、パントテン酸、より詳細には、そのD-パントテン酸カルシウム、D-パントテン酸ナトリウム、デクスパンテノール又はパンテチンの形態にあるもの、ビタミンPP、より詳細には、そのニコチン酸、ナイアシン、ニコチンアミド又はイノシトールヘキサニコチン酸エステル(イノシトールヘキサナイアシネート)の形態にあるもの、ビタミンB9、より詳細には、その葉酸(folic acid)の形態にあるもの、葉酸(folate)、より詳細には、そのプテロイルモノグルタミン酸、L-メチル葉酸カルシウム又はグルコサミン塩形態の(6S)-5-メチルテトラヒドロ葉酸の形態にあるもの、ビタミンH2、B7又はBW、より詳細には、そのビオチンの形態にあるもの、コリン、より詳細には、その塩化コリン、クエン酸二水素コリン又は酒石酸水素コリンの形態にあるもの、イノシトール、カルニチン、より詳細には、そのL-カルニチン又はL-カルニチンL-酒石酸塩又はタウリンの形態にあるものを挙げることができる。
【0050】
フードサプリメント中に任意選択的に存在するプレバイオティクスの例としては、イヌリン、トランス-ガラクトオリゴ糖、フラクタン及びマンノオリゴ糖を挙げることができる。
【0051】
フードサプリメント中に任意選択的に存在するプロバイオティクスの例としては、単独で若しくはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)との組合せでの、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルス・セレウス変種トヨイ(Bacillus cereus var.toyoi)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)の様々な菌株に加えて、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の菌株を挙げることができる。これらの微生物の菌株は、一般に、固体担体、例えば、炭酸カルシウム、ブドウ糖又はソルビトールと組み合わせられる。
【0052】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する乳タンパク濃縮物及び/又はタンパク質の例としては、ミルククラッキング(milk cracking)により生成する乳タンパク質、例えば、凍結乾燥又は微粒子化粉体の形態にある初乳、粉末の形態にある乳清、精製された又はIgG、ラクトフェリン若しくはラクトペルオキシダーゼが富化された画分を挙げることができる。
【0053】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する植物又は動物性酵素の例としては、Promutase、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、3-フィターゼ、6-フィターゼ、エンド-1,4-β-グルカナーゼ、エンド-1,4-β-キシラナーゼ又は消化を改善又は促進する他の酵素も挙げることができる。
【0054】
フードサプリメント中に任意選択的に存在するペプチドの例としては、アボカドペプチド、ルピナスペプチド、キヌアペプチド、マカペプチド、発酵若しくは未発酵大豆ペプチド、米ペプチド、アカシアマクロスタチア(Acacia macrostachya)種子抽出物中に存在するペプチド又はトケイソウ種子抽出物中に存在するペプチドを挙げることができる。
【0055】
フードサプリメント中に任意選択的に存在するアミノ酸の例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ピロールリジン、セレノシステイン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、サルコシン又はオルニチンを挙げることができる。
【0056】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する糖の例としては、水溶性多糖類又は低分子量の糖、例えば、オリゴ糖若しくは単-若しくは二糖類、例えば、グルコース、ラクトース若しくはブドウ糖を挙げることができる。
【0057】
本発明の主題であるフードサプリメント中に任意選択的に存在する医薬品添加物の例としては、香味増強剤及び香味剤を挙げることができる。
【0058】
本発明の主題であるフードサプリメント中に任意選択的に存在する香味増強剤の例としては、グルタメート、例えば、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム、ジグルタミン酸カルシウム、グルタミン酸アンモニウム若しくはジグルタミン酸マグネシウム、グアニラート、例えば、グアニル酸(グアノシン一リン酸)、グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム若しくはグアニル酸カルシウム又はイノシナート、例えば、イノシン酸、イノシン酸二ナトリウム、イノシン酸二カリウム若しくはイノシン酸カルシウムを挙げることができる。
【0059】
フードサプリメント中に任意選択的に存在する甘味剤の例としては、ステビア(Stevia)抽出物又はレバウジオシドを挙げることができる。
【0060】
本発明はまた、ヒトの肌の見た目の美しさを改善する方法であって、ヒトの肌の前記見た目の美しさの改善は、その血色及びその色味の均一性の両方の改善に加えて、その凹凸の低減も含み、前記方法は、有効量のブルーベリー抽出物をヒトに経口投与することを特徴とする、方法にも関する。
【0061】
本発明による方法は、以下に示す特徴の1つ又は複数を示すことができる:
・経口投与される前記ブルーベリー抽出物の有効量は、前記ブルーベリー抽出物を、1日1回、少なくとも100mgである;
・経口投与される前記ブルーベリー抽出物の有効量は、前記発酵ブルーベリーの抽出物を、1日1回、少なくとも100mgである;
・発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を20重量%~50重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を1重量%~5重量%、
- 水を1重量%~10重量%、
- 炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を30重量%~78.99重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解される;
・発酵ブルーベリーの抽出物は、その重量100%当たり:
- 少なくとも1種の式(I)の化合物を0.1重量%~5重量%、
- 少なくとも1種の式(II)の化合物を0.01重量%~1重量%、
- 少なくとも1種の式(III)の化合物を0.5重量%~10重量%、
- 少なくとも1種の式(IV)の化合物を10重量%~50重量%、
- 水を1重量%~10重量%、
-炭水化物、無機塩及びタンパク質からなる群の要素から選択される少なくとも1種の化合物を24重量%~88.39重量%、
を含み、
この発酵ブルーベリーの抽出物の様々な構成要素の合計は100%であることが理解される。
【実施例
【0062】
上に記載したプロセスに従い得られる、FerluxからのExtracyanTMの商品名で販売されている発酵ブルーベリーの抽出物(以下、組成物EB1)を使用する。組成物(EB1)の分析上の特徴を以下に示す:
・水:2.1%、
・アントシアニン又は式(I)の化合物:0.8%(
・アントシアニジン又は式(II)の化合物:0.03%(
・プロアントシアニジン又は式(III)の化合物:2.0%(
・擬アントシアニジン又は式(IV)の化合物:16%(
・炭水化物、無機塩及びタンパク質:79.07%
)高圧液体クロマトグラフ(HPLC)を用いる定量分析方法を実施することにより得られた重量百分率であり、抽出物を100%として表したものである。
【0063】
下の表1に記載の発酵ブルーベリーの抽出物を含む、組成物(C1)で表す摂取可能な組成物を用いて、技術的課題を解決することを可能にする技術的効果の実証を行った。
【0064】
【表1】
【0065】
プラセボ組成物(C0)の試験も実施し、組成物(C1)と比較することとする。この組成物(C0)を下の表2に記載する。
【0066】
【表2】
【0067】
上に述べたように、肌の健康な色味は、肌の血色(見栄え効果)、色味の均一性及び肌のキメの滑らかさを含む幾つかのパラメータにより定義することができる。
【0068】
肌の色
肌の色はCIELAB又はL系を用いて解析することができる。L系のパラメータを以下に示す:
・明度L:0(黒色)~100(基準白色)の間の値をとる
・パラメータa:緑→赤軸上の値を表す
・パラメータb:青→黄軸上の値を表す
・ITA°(Individual Typology Angle)パラメータ:パラメータL及びbから得られ、色味の濃淡を表す。
【0069】
「見栄え」効果並びに肌の色味の血色の改善及び色味の改善は:
・パラメータa及びbの上昇並びに
・色味がより濃くなることに伴うITA°の低下
に反映される傾向がある。
【0070】
色味の均一性
皮膚は血管に富む組織である。表皮レベルの血管系を構成する毛細血管及び細動脈は、例えば、温度変化、ストレス(神経性紅斑(pudic erythema)など)又は酒さの原因となる弛緩/血管拡張の際に血流が調節される。
【0071】
これは、毛細血管の拡張に起因するびまん性の発疹(blotch)又は一過性若しくは永続性の紅斑(red patch)の出現として表れることがある。
【0072】
色味をより均一にするために物質又は組成物に所望される作用は、より均一な色味が得られるように、血管拡張機能の不具合を緩和し、それにより難点が緩和されるように、血管収縮性を改善することである。このような特性は、レーザードップラー方式の画像化により血流を測定し、この血流の均一性を皮膚科学者が評価することにより調査することができる。
【0073】
色味の均一性は皮膚科学者が直接評価することもできる。
【0074】
Perimedから販売されているPeriCam PSITMシステムは、レーザースペックルコントラスト分析技術に基づく血流画像化システムである。このシステムは、血流測定に近赤外(785ナノメートル)レーザーを使用している。ビームは拡散板によって測定領域全体に分布するように拡散され、スペックルパターン(斑点)を生成する。
【0075】
このスペックルパターンをCCDカメラで記録し、スペックルパターンの変動を解析することにより血流を計算する。
【0076】
スコア化した尺度を用いて皮膚科学者が写真を評価する(表3及び4参照)。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
皮膚のキメ
皮膚のキメが滑らかになると、その質感及びその凹凸の低減により、肌の色味が改善される。
【0080】
肌の凹凸についても同様に、皮膚科学者が写真のシワをスコア化した尺度を用いて評価することができる(表5参照)。
【0081】
【表5】
【0082】
抽出物の研究形態
組成物(C1)の技術的効果をパイロット無作為化二重盲検並行群間臨床試験により実証した。
【0083】
組成物(C1)539mgに相当する抽出物(EB1)100mgを、プラセボ組成物(C0)と比較して、84日間(12週間)にわたり毎日摂取(硬ゼラチンカプセル1日1個)することによる効果を試験することができた。
【0084】
以下の基準を満たす18歳~65歳の間の女性を試験に組み入れた:コーカソイド人種、フォトタイプI~III、肌の色味が中程度~非常にくすんでいる。測定は0日目(D0)及び組成物(C1)又は(C0)を84日間摂取した後(D84)に実施した。
【0085】
a)肌の色に関し得られた結果
肌の色の変化を、国際照明委員会(International Commission on Illumination)(C.I.E.)により定められたCIELAB標準法(standard method)に従い、CM-700d分光測色計(Konica Minoltaから販売)を用いて得られるパラメータa、b及びITA°を利用して監視した。
【0086】
84日間摂取した後の組成物(C1)群のパラメータaが:D0の12.01±0.28a.u.(任意単位)からD84の12.62±0.29a.u.まで有意に上昇し(p=0.012)、一方、プラセボ組成物(C0)群は:D0の12.05±0.33a.u.からD84の12.07±0.34a.u.まで有意な変化は見られなかった。
【0087】
同じく、84日間摂取した後の組成物(C1)群のパラメータbも:D0の16.68±0.33a.u.からD84の17.29±0.42a.u.まで有意に上昇し(p=0.028)、一方、プラセボ組成物(C0)群は:D0の16.62±0.37a.u.からD84の16.49±0.47a.u.まで有意な変化は見られなかった。これに加えて、組成物(C1)群(4.0±1.7%)及びプラセボ組成物(C0)群(-0.9±1.7%、p=0.047)間には統計的に有意な差があった。
【0088】
84日間摂取した後の組成物(C1)群のパラメータITA°は:D0の40.39±1.13a.u.からD84の38.39±1.16a.u.まで有意に低下し(p=0.003)、一方、プラセボ組成物(C0)群は:D0の40.52±1.10a.u.からD84の40.24±1.31a.u.まで有意な変化は見られなかった。
【0089】
b)色味の均一性
血流を、レーザードップラー方式の血流画像化システム(Perimedにより販売されているPeriCam PSI System)を用いて評価した。
【0090】
84日間摂取した後の組成物(C1)群の血流は:D0の139.8±5.5a.u.からD84の118.0±5.3a.u.まで有意に減少し(p<0.001)、一方、プラセボ組成物(C0)群は:D0の138.1±6.8a.u.からD84の127.0±6.6a.u.まで有意な変化は見られなかった。
【0091】
D0及びD84に撮影した被験者の顔の写真から、皮膚科学者が血流の均一性及び色味の均一性を上の表4及び5に記載したスコア化方法に従い評価した。
【0092】
組成物(C1)群の被験者の62.1%に血流の均一性の改善が認められたが、一方、プラセボ組成物(C0)群では30%であった。
【0093】
組成物(C1)群の被験者の69%に肌の色味の均一性の改善が認められたが、一方、プラセボ組成物(C0)群では46.7%であった。
【0094】
組成物(C1)群の被験者の80%に肌の柔軟性の改善が認められたが、一方、プラセボ群は30%であった。
【0095】
c)肌のキメ及び凹凸
D0及びD84に撮影した被験者の顔の写真から、皮膚科学者が肌のキメ及び凹凸を上の表6に記載したスコア化方法に従い評価した。
【0096】
組成物(C1)群の被験者の80%に、肌の凹凸が低減され、したがって、肌のキメがより滑らかになったことが認められた。プラセボ組成物(C0)群でこの低減が認められたのは僅か30%であった。
【0097】
d)結論
組成物(C1)が、肌の血色、色味の均一性及び肌のキメを併せて改善する能力を有することが臨床試験で実証された。
【0098】
更に、プロアントシアニジン及びアントシアニンが抗酸化性を有することについては既に知られている。したがって、この臨床試験において、皮膚レベルでの抗酸化活性の変化を評価することが望ましかった。
【0099】
Corneofix(登録商標)粘着性パッチ(Courage+Khazaka electronic GmbH)を用いて皮膚からサンプルを採取した。2及び3番のパッチをFRAP(鉄還元抗酸化パラメータ(Ferric Reducing Antioxidant Parameter))を求めるために使用した。これはサンプルの抗酸化能を直接測定するものであり、酸化による損傷に耐える能力を評価することが可能である。酸性pHにおけるFe3+イオンからFe2+イオンへの還元は、青色の呈色を特徴とし、これを595ナノメートルで比色分析することにより監視する。
【0100】
84日間摂取した後の組成物(C1)群では、抗酸化活性が:D0の69.6±3.8μM Fe2+equ.からD84の85.7±4.9μM Fe2+equ.まで有意に上昇し(p<0.001)、一方、プラセボ組成物(C0)では:D0の70.9±3.1μM Fe2+equ.からD84の76±4.4μM Fe2+equ.まで変化は見られなかった。これに加えて、組成物(C1)群(26.5±3.7%)及びプラセボ組成物(C0)群(7.1±3.8%、p<0.001)間には統計的に有意な差があった。
【0101】
試験の被験者が感じた利益についても自己評価質問表を用いて評価した。
【0102】
試験終了時(D84)に、被験者が試験の成分に関し意見を述べた。組成物(C1)群の被験者の83%が、色味が改善されたと判断したのに対し、プラセボ組成物(C0)群では57%であった。組成物(C1)群の被験者の69%が、自身の難点が減ったことを認識したのに対し、プラセボ組成物(C0)群では33%であった。組成物(C1)群の82%が、赤色の斑点が減ったと判断したのに対し、プラセボ組成物(C0)群では40%であった。組成物(C1)群の90%が、肌がより潤ったと感じたのに対し、プラセボ組成物(C0)群では57%であった。最後に、組成物(C1)群の被験者の69%が、肌のキメがより細かくなったと判断したのに対し、プラセボ組成物(C0)群では37%であった。
【0103】
処方例
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】

【国際調査報告】