(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】端末の通信モード調節方法、装置、端末、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 8/22 20090101AFI20240905BHJP
H04W 8/02 20090101ALI20240905BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240905BHJP
【FI】
H04W8/22
H04W8/02
H04W24/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517520
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2022108332
(87)【国際公開番号】W WO2023050993
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111154844.8
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沈 少 武
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD27
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ51
(57)【要約】
端末の通信モード調節方法、装置、端末、及び記憶媒体を提供する。前記端末の通信モード調節方法は、端末の運行状態を取得するステップであって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含むステップと、前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするステップであって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるステップと、前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の運行状態を取得するステップであって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含むステップと、
前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするステップであって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるステップと、
前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節するステップと、を含む、端末の通信モード調節方法。
【請求項2】
前記調節方式は、
上り・下り調節方式、周波数オフセット補償方式、チャネルサウンディング基準信号SRS予測移動方式、及び経路ネットワークマッチング方式のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項3】
前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングする前記ステップは、
前記ネットワーク性能の信号強度が予め設定された信号強度閾値よりも低い場合、前記上り・下り調節方式をマッチングするステップと、
前記運行速度が予め設定された速度よりも高い場合、前記周波数オフセット補償方式をマッチングするステップと、
前記ネットワーク性能のスループットが予め設定されたスループット閾値よりも低い場合、前記SRS予測移動方式をマッチングするステップと、
前記ネットワーク性能のネットワーク切り替え頻度が予め設定された切り替え頻度閾値よりも高い場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、
前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む、請求項2に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項4】
前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節する前記ステップは、
前記上り・下り調節方式をマッチングする場合、前記端末の最大電力値及び最小受信レベル値を調整するステップと、
前記周波数オフセット補償方式をマッチングする場合、周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償するステップと、
前記SRS予測移動方式をマッチングする場合、前記ネットワーク性能のチャネル強度に応じてSRSリソース構成又はプリコーディングマトリクスインジケータPMIリソース構成をスケジューリングするステップと、
前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングする場合、ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節を行うか、又は前記運行シーンに応じて経路減衰補償調節を行うステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む、請求項2に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項5】
周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償する前記ステップは、
前記運行速度及びドップラー式に応じて周波数オフセット値を算出するステップと、
前記周波数オフセット値に応じて受信信号及び送信信号の両方を補償するステップと、
前記周波数オフセット値に応じて前記端末のアンテナ中心周波数を調節するステップと、を含む、請求項4に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項6】
前記ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節、又は前記運行シーンに応じる減衰補償調節は、
前記ネットワーク切り替えにおけるネットワーキング方式切り替えが第1切り替え閾値よりも高い場合、ネットワーキング信号を監視し、減衰の事前計算によってネットワーキングの事前切り替えを実現するステップと、
前記ネットワーク切り替えにおけるセル切り替え頻度が第2切り替え閾値よりも高い場合、信号品質を検出し、前記信号品質の降順で優先度並べ替えを行い、前記優先度の順序に従って接続を実現するステップと、
前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、予め設定された運行シーンに対応する信号減衰に応じて適応調節を行うステップと、を含む、請求項4に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項7】
端末の運行状態を取得する前記ステップは、
予め設定された時間間隔に応じて、端末の運行状態を周期的に取得するステップを含む、請求項1に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項8】
前記運行状態が運行シーンを含む場合、前記端末の運行状態を取得する前記方法は、
セル基地局及び全地球測位システムGPSによって前記端末の位置情報を取得し、前記位置情報に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、
前記端末のカメラによって環境特徴パラメータを収集し、前記環境特徴パラメータに応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、
電磁波によって前記端末の周辺環境の放射特性を探知し、前記放射特性に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法であって、前記放射特性は直射、反射、散乱及び/又は回折特性を含む方法と、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項9】
前記運行状態が運行速度を含む場合、前記端末の運行状態を取得する前記方法は、
GPS測位距離と前記測位距離に対応する測位時間差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法と、
SRSフィードバック時間差及び前記フィードバック時間差に対応する角度差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法と、のうちの1つ又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の端末の通信モード調節方法。
【請求項10】
端末の運行状態を取得する取得ユニットであって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む取得ユニットと、
前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするマッチングユニットであって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるマッチングユニットと、
前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節する実行ユニットと、を含む、端末の通信モード調節装置。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を含み、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサに実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、請求項1~9のいずれか一項に記載の端末の通信モード調節方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させる、端末。
【請求項12】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されると、請求項1~9のいずれか一項に記載の端末の通信モード調節方法を実現する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202111154844.8、出願日が2021年09月29日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願のすべての内容はここで参考として本願に組み込まれている。
【0002】
本願の実施例は、通信伝送の分野に関し、特に端末の通信モード調節方法、装置、端末、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
5G端末の発展、特にマルチアンテナ多入力多出力(MIMO:Multiple-in Multiple-out)5G端末の発展と進化に伴い、端末のアンテナ数はますます多くなり、通信周波数はますます高くなり、新無線(NR:New Radio)におけるN77、N78、N79などのsub6G時分割二重(TDD:Time Division Duplexing)の中心周波数は3.3GHz~5GHz付近であり、ミリ波の中心周波数は28GHz、37GHz~40GHz程度である。また、NRはさらに非スタンドアロン(NSA:Non-Standalone)及びスタンドアロン(SA:Standalone)の2つのネットワークモードで動作するが、NSAはロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)基地局をアンカーとしてに依存し、アンカーの信号品質に一定の要件がある。
【0004】
しかしながら、端末は高速移動の使用シーンで使用される必要があり、アンテナ数が日々増加し、通信周波数がますます高くなると、端末が信号を送受信する周波数オフセットがより明らかになり、セルの切り替えが頻繁になりすぎ、端末の通信性能が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例の主な目的は、端末の高速移動中に外的要因の影響を低下させ、通信性能を確保し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる端末の通信モード調節方法、装置、端末、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成させるために、本願の実施例は、端末の通信モード調節方法を提供する。前記端末の通信モード調節方法は、端末の運行状態を取得するステップであって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含むステップと、前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするステップであって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるステップと、前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節するステップと、を含む。
【0007】
上記目的を達成させるために、本願の実施例は、端末の通信モード調節装置をさらに提供する。前記端末の通信モード調節装置は、端末の運行状態を取得する取得ユニットであって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む取得ユニットと、前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするマッチングユニットであって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるマッチングユニットと、前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節する実行ユニットと、を含む。
【0008】
上記目的を達成させるために、本願の実施例は、端末をさらに提供する。前記端末は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されたメモリと、を含み、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサに実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、上記端末の通信モード調節方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させる。
【0009】
上記目的を達成させるために、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されると、上記端末の通信モード調節方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のフローチャートである。
【
図2】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図1である。
【
図3】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図2である。
【
図4】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図3である。
【
図5】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図4である。
【
図6】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図5である。
【
図7】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図6である。
【
図8】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図7である。
【
図9】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図8である。
【
図10】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図9である。
【
図11】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節方法のプロセス模式
図10である。
【
図12】本願の一実施形態に係る端末の通信モード調節装置の模式図である。
【
図13】本願の一実施形態に係る端末の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下では、図面を参照して、本願の様々な実施例を詳細に説明する。しかしながら、本願の様々な実施例において、読者に本願をより良く理解させるために多くの技術的詳細が記載されているが、これらの技術的詳細、及び以下の様々な実施例に基づく種々の変更及び修正がなくても、本願に係る保護を請求する技術案を実現できる。以下の様々な実施例の区分は、説明の便宜のためになされたものであり、本願の具体的な実施形態に対するいかなる限定を構成するものではなく、様々な実施例は、矛盾しない限り、互いに結合したり、互いに参照したりすることができる。
【0012】
本願の実施例における「第1」、「第2」という用語は、単に説明の目的のために使用されるものであって、相対的重要性を指示若しくは暗示するもの、又は示された技術的特徴の数を暗黙的に指示するものとして理解すべきではない。したがって、「第1」、「第2」に限定される特徴は、明示的又は暗黙的に少なくとも1つの当該特徴を含むことができる。本願の説明において、用語「含む」及び「有する」、ならびにそれらの任意の変形は、排他的でない包含をカバーすることを意図している。例えば、一連の部品又はユニットを含むシステム、製品又は機器は、リストされた部品又はユニットに限定されるものではなく、リストされていない部品又はユニット、又はこれらの製品又は機器に固有の他の部品又はユニットを含んでもよい。本願の説明において、「複数」とは、特に明示的に特定されない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。
【0013】
5G端末の発展により、端末アンテナがますます多くなり、通信周波数がますます高くなっており、こうした中で、端末を搭載して移動する移動機関が高速鉄道列車である場合、高速鉄道列車の発展により、高速鉄道のインフラ設計速度は250km/h以上であり、通常速度は300km/h~450km/hであり、最高時速は605km/hに達する可能性があり、高い移動速度は5G通信に様々な影響をもたらす。列車の回転アンテナによって基地局と列車間の通信品質を改善すると、列車の外部回転アンテナの反応が悪くなり、調節に一定の遅延が生じるという問題がある。高速鉄道列車専用の狭帯域鉄道向け移動通信システム(GSM(登録商標)-R:Global System for Mobile Communications - Railway)モードによって高速鉄道列車のスループット及び遅延を最適化すると、GSM-R(900MHz)に基づく高速鉄道列車チャネルモデル及びプライベートネットワーク帯域幅が存在するため、ユーザーのスループット性能が制限され、大トラフィックのマルチメディアサービスを実行できないという問題がある。高速鉄道列車用の5Gプライベートネットワークのスライスモードによって、異なるシーンでカスタマイズされたスライス処理を行うと、5G専用のスライスモジュールがあり、障害物による遮蔽、セルの迅速な切り替え及び高速移動中の周波数オフセットの問題を改善することができないという問題がある。高速鉄道列車のホットスポット共有装置によって、ユーザーが使用するために、基地局の信号をCPEなどの変換機器によって5G信号からWIFIホットスポット信号に変換すると、高速鉄道列車のホットスポット共有モードでは、スループットにも一定の制限があり、また、ホットスポット品質は列車と基地局間の通信品質に制限され、一定の遅延がある。即ち、上記手段では、MIMOアンテナ端末が高速移動中に外的要因の影響下で通信品質を確保できない。
【0014】
本発明の一実施形態は、端末の通信モード調節方法に関する。具体的なプロセスは
図1に示される。本実施例は、2/3/4/5Gの各規格、NSA及びSAネットワークモード、高速シーンにおける5G端末、5G端末製品及び加入者宅内装置(CPE:Customer Premise Equipment)、ならびにすべての5G端末製品に適用できる。例えば、高速鉄道列車の運行シーンに適用できる。
【0015】
ステップ101では、端末の運行状態を取得し、運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。
【0016】
ステップ102では、運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングし、調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、Nは1よりも大きい整数である。
【0017】
ステップ103では、調節方式に応じて端末の通信モードを調節する。
本実施例では、端末の通信モード調節方法を提供し、N種の調節方式が予め設定されており、調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、Nは2以上の整数であり、端末の運行状態を取得し、端末の運行状態のパラメータを識別し、運行状態に応じて対応する調節方式をマッチングし、調節方式に応じて端末の通信モードを調節する。マッチングする調節方式を呼び出し、異なる運行シーン、運行速度及び異なるネットワーク性能での端末の通信機能を能動的に改善し、それによって端末の通信品質を向上させ、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。
【0018】
以下、本実施形態に係る端末の通信モード調節方法の実現詳細を具体的に説明する。以下の内容は理解しやすくするために提供される実現詳細に過ぎず、本手段に必須なものではない。
【0019】
ステップ101では、端末の運行状態を取得し、運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。即ち、端末の現在の運行状態のパラメータを取得し、端末の現在のパラメータに基づいて端末の通信モードを調節する。
【0020】
一例では、前記運行状態が運行シーンを含む場合、端末の運行状態を取得する方法は、セル基地局及び全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)によって前記端末の位置情報を取得し、前記位置情報に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、前記端末のカメラによって環境特徴パラメータを収集し、前記環境特徴パラメータに応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、電磁波によって前記端末の周辺環境の放射特性を探知し、前記放射特性に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法であって、前記放射特性は直射、反射、散乱及び/又は回折特性を含む方法と、のいずれか1つ又はこれらの任意の組合せを含む。例えば、
図2に示すように、まず、セル基地局及びGPSは初期測位を実現し、次に、カメラは端末を搭載した移動機関の異なる位置での特徴パラメータの収集を実現し、最後に、例えば、5G電磁波収集などの電磁波収集によって、移動機関内及び周辺の特徴物の直射、反射、散乱及び回折特性を探知する。端末を搭載した移動機関は高速鉄道列車、高速道路上の車両などであってもよい。
【0021】
一例では、高速シーンは構内、車内、及び構外に大きく分けられる。構内はコンクリート構造、強化ガラス、金属フレーム、鉄骨、及びレンガ壁などに分けられ、車内は合金製車体、窓ガラス、及び移動式車両ドアなどに分けられる。基地局と通信する過程で、電磁波(SUB6G又はmmWミリ波)が上記シーンにおける材料を透過する必要があるため、材料による経路損失及び減衰は端末の通信品質を低下させる。同様に、異なる材料の誘電率が異なり、減衰係数、散乱及び回折係数が異なるため、上記特徴を抽出してパラメータ収集を行い、収集されたパラメータをパラメータモデルに入力し、パラメータモデルの出力に応じて具体的な高速シーンを決定する。パラメータモデルの場合、収集されたパラメータがモデルパラメータ閾値の閾値範囲内にあると、端末が現在位置している無線ネットワーク信号環境がどの高速シーンであるかを判断できる。別の例では、高速シーンは、待合室、出口、途中駅、及び走行中の4つの部分に大きく分けられる。待合室と出口はさらに、人数が多いシーン、人数が中等であるシーン、及び人数が少ないシーンの3つの小さなシーンに分けられ、途中駅はさらに構内、構外、車内、車外(及びそれに対応する運動又は静止状態)などの小さなシーンに分けられる。端末を搭載した移動機関は、走行中に低速、中速及び高速などの複数の速度シーンに分けられる。構外シーンは山、森、建物、川、トンネル、谷、高架、駅、郊外、村、平原、及び市街地などの移動機関の途中のシーンに分けられる。
【0022】
運行シーンを取得する上記プロセスは、GPSに依存せずに、シーン識別方式を使用して現在の高速シーンを直接識別してもよい。また、シーン識別方法は、上記電磁波探知方法に加えて、端末の前後カメラ又はイヤホンの識別であってもよく、即ち、前後カメラによって端末が位置するシーン、環境の画像、映像、音声、通信ショートメッセージ(テキストメッセージ、チャット履歴など)の収集を実現し、さらにフィルタリング、分類、及びパラメータモデルライブラリとの比較を経て、ユーザー端末の現在の位置する高速シーンを決定する。
【0023】
一例では、現在の端末が高速運行状態であり、且つネットワーク性能がユーザー需要又はデフォルト閾値の品質要件を満たせないと検出された場合、適応的最適化調節を行う必要があり、従って、現在の端末のネットワーク品質をリアルタイムで収集する必要がある。ネットワーク品質はNRの全体的な送受信信号状態及び各MIMO経路の受信信号状態を含む。全体的な性能パラメータである場合、パラメータは、上り電力、下り基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Receiving Power)値、受信信号強度指示(RSSI:Received Signal Strength Indication)値、信号対雑音比(SNR:Signal-to-noise ratio)値、MIMO Rankデータストリーム数、変調符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)変調方式、MCS次数など、又は上り又は下りスループット、ビットエラーレートなどの無線性能パラメータであってもよい。各MIMO経路の受信信号パラメータである場合、RSRP/RSSI値、又は各経路のチャネルサウンディング基準信号(SRS:Sounding Reference Signal)値であってもよく、取得されたパラメータは
図3を参照できる。ダイバーシティ受信(DRX:diversity receive)コンポーネント、送受信(TRX:transimite & receive)コンポーネントが挙げられる。
【0024】
一例では、前記運行状態が運行速度を含む場合、前記端末の運行状態を取得する前記方法は、GPS測位距離と前記測位距離に対応する測位時間差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法と、SRSフィードバック時間差及び前記フィードバック時間差に対応する角度差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法とのうちの1つ又はそれらの任意の組合せを含む。いくつかの場合に、端末を搭載した移動機関の運行速度は既知であり、端末は移動機関上に使用されているが、端末の運行速度が未知であり、以下の2つの方式を参照して端末の運行速度を取得してもよい。
【0025】
方式1として、GPS測位前後の2回の距離を収集し、前後2回の測位の時間差で割ると、端末の平均運行速度を得ることができる。前後2回の測位の時間間隔が十分に短い場合、取得された運行速度は現在の瞬時の運行速度としてもよい。端末の前後2回の測位の測位距離がSメートルであり、測位距離に対応する測位時間差がTである場合、端末の運行速度VはS/Tであり、さらに端末に内蔵された加速度又はジャイロスコープセンサによって速度をさらに補正する。例えば、端末の位置する列車が移動していると、相対速度が発生し、このとき、端末に内蔵されたセンサモジュールを呼び出して運行速度補正を実現する必要がある。
【0026】
方式2として、端末のSRS報告及びフィードバックの時間差及び該時間差に対応する角度差によって速度測定を実現する。
図4に示すように、端末は同じタイムスロットでSRS信号を端末を搭載した移動機関沿線の基地局にリアルタイムで送信し、基地局はSRS信号を受信するとスケジューリング信号を端末にフィードバックし、端末の4つのNRアンテナによって基地局にSRS信号SRS1、SRS2、SRS3、SRS4を送信し、基地局が端末からのSRS信号をテストすることによって、端末と基地局間の角度情報を取得し、角度によって端末が走行する2つの距離A及びBを算出し、さらに距離ABを端末の走行時間で割ると、端末の速度を算出することができる。また、方式2は、端末が1つの基地局セルの範囲内で移動する場合に適用される。移動中の端末がセル間を移動する場合、計算プロセスは、以下の通りである。端末は1番目のセルB1のSRSフィードバック情報を収集し、さらに2番目のセルB2のSRSフィードバック情報を収集し、2つのSRSフィードバック情報の時間差を計算する。2つのセルB1及びB2の経緯度などの位置情報は公開された基本情報であるため、端末のパラメータ記憶モジュールに予め記憶されており、2つのセルの距離、角度及び時間差によって、現在の端末の車速を算出することができる。端末がセルB1、B2間で運行することは
図5に示される。
【0027】
ステップ102では、運行状態に応じて、運行状態に対応する調節方式をマッチングし、異なる調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、Nは1よりも大きい整数である。即ち、端末のリアルタイム特徴がどの予め設定された運行状態を満たすかを確認し、運行状態をみたすと判定すると、運行状態に対応する調節方式を実行する。
【0028】
一例では、調節方式は、上り・下り調節方式、周波数オフセット補償方式、チャネルサウンディング基準信号SRS予測移動方式、及び経路ネットワークマッチング方式のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。異なる端末運行プロセスに発生する問題にそれぞれ対応し、端末の通信品質を確保する。
【0029】
一例では、前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするステップは、前記運行状態の前記ネットワーク性能の信号強度が予め設定された信号強度閾値よりも低い場合、前記上り・下り調節方式をマッチングするステップと、前記運行状態の前記運行速度が予め設定された速度よりも高い場合、前記周波数オフセット補償方式をマッチングするステップと、前記ネットワーク性能のスループットが予め設定されたスループット閾値よりも低い場合、前記SRS予測移動方式をマッチングするステップと、前記運行状態の前記ネットワーク性能のネットワーク切り替え頻度が予め設定された切り替え頻度閾値よりも高い場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。即ち、異なる調節方式は異なる調節条件によってトリガーされ、検出された運行状態が満たす調節条件に応じて、対応する調節方式を開始し、各調節方法と現在のリアルタイム需要とのマッチングマッピング関係を確立し、まず、現在のネットワーク性能、運行シーン及び運行速度を検出し、さらに取得された上記運行状態のパラメータに応じて、対応する調節方法を選択する。例えば、端末の信号が弱いためネットワーク信号が悪い場合、上り・下り拡張調節を開始し、端末を搭載した移動機関が高速で移動するため信号が安定しない場合、周波数オフセット補償調節を開始し、端末を搭載した移動機関が運行するためスループットが低下し、さらにSRS性能が低下する場合、SRS予測移動アルゴリズム調節を開始し、端末を搭載した移動機関が特殊なシーンで運行すると、経路マッチング調節を開始する。運行状態が複数の調節条件を同時に満たすと、複数の調節方式を任意の順序で同時呼び出してもよい。又は、ユーザーによって予め設定された優先順位に応じて、いくつかの予め設定された優先度に従って調節方式を実行してもよい。また、上記運行状態と調節方式との対応関係とは、特定の運行状態では好ましくはそれに対応する調節方式を採用することを指し、運行状態ではそれに対応する調節方式しか採用できないことに限定されない。現在の運行状態で対応する調節方式を採用するだけで端末の通信モードがユーザー需要を満たせない場合、残りの調節方式を採用して改善してもよい。例えば、ネットワーク性能の信号強度が予め設定された信号強度閾値よりも低い場合、好ましくは上り・下り調節方式を採用するが、上り・下り調節方式を採用しても端末の通信モードがユーザー需要を満たせない場合、周波数オフセット補償方式、チャネルサウンディング基準信号SRS予測移動方式、経路ネットワークマッチング方式などのうちの1つ又は複数をランダムに採用するか、又は予め設定された優先度もしくは条件に応じて上記残りの調節方式を試みてもよく、それによって最終的に端末の通信モードがユーザー需要を満たす。
【0030】
一例では、端末の現在の運行状態と調節方式とをリンクする高速モードマッチングモジュールが存在し、例えば、予め設定された呼び出し順序に従うこと、又は調節条件を満たすパラメータのそれぞれがその標準を超過する割合を計算し、リアルタイムの標準を超過する割合に応じて優先度並べ替えを行い、優先度に従って対応する調節方式呼び出すことを含む。
【0031】
一例では、適応制御モジュールは、高速モードでの協調制御に用いられる。適応制御モジュールは現在検出された端末の運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度などに応じて、それに対応する調節条件を決定し、上り・下り拡張調節、周波数オフセット補償調節、SRS予測移動アルゴリズム調節、経路マッチング調節などの対応する制御調節の最適化をトリガーし、高速移動モードでの端末の無線通信性能を最適化する目的を達成する。ここでの制御調節は、単一の調節方式を優先的に呼び出し、単一の調節方式では完全に解決できない場合、ほかの調節条件に対応する調節方法を呼び出す。例えば、現在の上り・下り信号強度を優先的に確認し、信号強度が弱い場合、上り・下り調節方法、即ち、上り・下り信号強度を強化する調節方式を優先的に考慮してもよい。現在の信号強度が正常であるが、信号が安定せず、このような信号が安定しない時、列車(即ち、端末が位置する環境)が高速走行状態であり、この場合、周波数オフセット補償の調節方式を優先的に考慮してもよい。現在のユーザーが大スループットのダウンロードを使用するが、予め設定されたスループット閾値に達していない場合、補償調節のためにSRS予測移動方式を優先的に考慮してもよい。現在のユーザーがトンネル、橋の穴、山などの特殊な区間にいる場合、経路マッチング調節方式を優先的に呼び出してもよい。上記複数の条件が存在する場合、合理的な運行状態に達するまで複数の調節方式の組合せを考慮してもよい。
【0032】
一例では、取得された運行状態のパラメータ、各調節方式に対応するパラメータを含む端末の様々なパラメータを記憶するためのパラメータ記憶モジュールが存在し、例えば、異なる帯域幅、電力、スペクトル、干渉、リソースブロック(RB:Resource Block)リソース、LTEとNR、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)モード、SRSモード、MIMOモード、上り・下りアンテナ切り替えモードでのスライスパラメータが記憶されており、CAモードは複数のLTE又は複数のNRキャリア信号を組み合わせ、帯域幅を拡張することで、上り・下りスループットレートを向上させる。また、各スライス調節を制御するパラメータ及びドライバコードの記憶にも使用される。該モジュールはさらに、異なるスライス構成の下でのピーク上り・下りスループットの記憶、異なるアプリケーションソフトウェアが過去各回で到達したピーク及び平均上り・下りレートの記憶を行い、大量の使用データによって、該アプリケーションソフトウェアに必要なスループット値をリアルタイムで更新し、更新結果をパラメータ記憶モジュールに記憶し、このようなAI学習アルゴリズムによって各調節方式の呼び出しをより合理的にする。
【0033】
ステップ103では、調節方式に応じて端末の通信モードを調節する。即ち、選択された調節条件に対応する調節方式に応じて現在の端末のパラメータを調節することで、端末の運行状態はユーザー需要又は最適に達する。
【0034】
一例では、前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節するステップは、前記上り・下り調節方式をマッチングする場合、前記端末の最大電力値及び最小受信レベル値を調整するステップと、前記周波数オフセット補償方式をマッチングする場合、周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償するステップと、前記SRS予測移動方式をマッチングする場合、前記ネットワーク性能のチャネル強度に応じてSRSリソース構成又はプリコーディングマトリクスインジケータ(PMI:Pre-coding Matrix Indicator)リソース構成をスケジューリングするステップと、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングする場合、ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節を行うか、又は前記運行シーンに応じて経路減衰補償調節を行うステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。即ち、上り・下り調節方式は主に端末の上り・下り信号を拡張し、例えば、電力値などによって調節を行い、周波数オフセット補償は主に周波数オフセットを計算することによって送受信信号を調節し、SRS予測移動方式は主にSRS又はPMIの構成方式を調節し、経路ネットワークマッチング方式は主に現在の環境に応じて、予め設定された環境信号補償などを行う。
【0035】
一例では、端末が移動状態であり、例えば、高速鉄道列車内にある場合、待合室による遮蔽、又は車両本体の影響、又は山による遮蔽を受けるか、又は現在の列車が基地局セルのエッジ位置にあるため、このとき、携帯電話の信号強度は非常に弱く、基地局との正常な通信を確立できなかったり、通信品質が悪かったりする可能性がある。信号強度は車両本体の影響も受けるため、アンテナが車外(例えば、リーフ)と車内にあるときの信号強度は異なり、例えば、端末の受信信号強度RSRPは、-60dBmなどの最高値に達し、車速が基準車速250Km/hよりも低い又はよりも高い場合、RSRPは相応に低下し、信号が減衰するため、車内の強度は車外の強度よりも低い。このとき、上り・下り調節方式を呼び出してもよく、具体的には、拡張上りと拡張下りの動作モードである。例えば、拡張上りの動作モードとして、デフォルトの最大送信電力Pmax=23をもとに、Pmax+1、Pmax+2、Pmax+3、Pmax+4、Pmax+nなどのいくつかの動作モードを設定しており、端末の現在の最大電力限界値を増大し、各変調方式(四位相偏移変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)、16 直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、256QAM)のマルチトーン電力比(MTPR:Multi-Tone Power Ratio)電力バックオフ値を減少させ、それによって高次変調の下での最大出力電力のバックオフを0にするか又は少なくする。拡張下りの動作モードとして、デフォルトの最小受信レベル(例えば、RSRPmin=-125dBm)をもとに、端末の現在の最低受信レベルの制限を増大させ、例えば、RSRPmin-1、RSRPmin-2、RSRPmin-2、RSRPmin-3、RSRPmin-nなどのいくつかの動作モードを設定し、それと同時に、2*2mimo、4*4mimoなどのNR mimoモードを強制的にオンにし、端末の感度を向上させ、最低受信レベル範囲を増加させる。一例では、さらに送信電力を参照して上り・下り調節をトリガーするか否かを判断してもよい。具体的には、端末の現在の送信電力及び受信信号強度(RSSI又はRSRP)を検出し、現在接続されているセル基地局のモデル信号パラメータを読み取り、端末にマッチングすると、上り・下り調節を実行し、そうではないと、実行しない。
【0036】
上り・下り調節のシステムアーキテクチャは
図6に示される。第1部分はパラメータ限界値の拡張であり、ハイパスプラットフォームのレジストリNV itemなどの端末内部のパラメータ構成を変更することで、Pmaxの拡張を実現する。第2部分はドライバ構成の拡張であり、暗号化ファイルシステム(EFS:Encrypting File System)などの端末内部のドライバファイルを変更することで、Pmaxの拡張を実現する。第3部分はRF回路経路の拡張であり、端末内の送信又は受信回路経路を変更し、損失優先経路、又はバイパス(Bypass)経路を取ることで、Pmax拡張を実現する。第4部分は、外部電力アンプ(PA:Power Amplifier)又は低ノイズアンプ(LNA:low noise amplifier)回路又はモジュールによって、ハイパスモードで有効化され、Pmax拡張を実現する。
【0037】
一例では、SRS予測移動方式の場合、端末はSRSとPMI信号報告及びフィードバックメカニズムを有し、列車の高速走行中、基地局に対する端末の位置が頻繁に変化するため、SRSによってフィードバックされる情報も大きな影響を受け、正確な上り情報報告を行うことはできない。端末の信号強度を検出し、予め設定されたSRS各段階の閾値と比較して、どの強度の電界にあるかを判断し、さらにSRSモード制御を行う。中程度の電界である場合、SRS報告を行い、弱い電界である場合、上り信号が弱いため、PMI報告を行う。同時に、
図7に示すように、端末の進行方向及び信号強度の予測によって、PMI、1T2R(1つの送信アンテナと2つの受信アンテナ)、1T4R(1つの送信アンテナと4つの受信アンテナ)、2T4R(2つの送信アンテナと4つの受信アンテナ)などのSRS動作モードを調整する。Request For Commentsは、RFCと略され、インターネット技術特別調査委員会によって発行された一連のメモであり、インターネット関連情報が収集されている。一例では、周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償する前記ステップは、前記運行速度及びドップラー式に応じて周波数オフセット値を算出するステップと、前記周波数オフセット値に応じて受信信号及び送信信号の両方を補償するステップと、前記周波数オフセット値に応じて前記端末のアンテナ中心周波数を調節するステップと、を含む。端末が列車とともに高速走行する過程で、ドップラー効果により、端末は基地局から送信される信号を受信すると、周波数オフセットが発生し、車速が高いほど、周波数オフセットが大きく、例えば、f_400km/h>f_350km/h>f_300km/h>f_250km/h>f_200km/hであり、中心周波数が高いほど、周波数オフセットが大きく、即ち、N79>N78>N41>N1>N3である。周波数オフセットは携帯電話の性能の低下につながる。携帯電話が基地局に近いと、周波数オフセットが正であり、携帯電話が基地局から離れていると、周波数オフセットが負である。一般的な運行速度と周波数オフセット値との対応関係は
図8に示される。端末のドップラー周波数オフセットの式は、fp(f)=fc(v/c)cosθ(t)であり、式中、fpは周波数オフセット値、fcはキャリア周波数、vは端末の速度、cは光速、θは端末の移動方向とセル基地局との夾角であり、ここで、
【0038】
【0039】
であり、Dsは端末の移動距離であり、Ds、θ及びDminは
図9に示される。現在の車速、携帯電話が動作するチャネル番号を検出することで、上り及び下りのスペクトル値を算出し、その後、現在、上りサービスと下りサービスのどちらが主体であるかを判断し、周波数補償を行う。具体的には、例えば、端末は、基地局から送信された上り信号の周波数オフセットに応じて、受信チップの受信周波数を調整し、それによって高速走行による上りドップラー周波数オフセットを相殺する。
【0040】
周波数オフセット補償方式の実現プロセスについて、例えば、ステップ1では、まず、現在車速である端末の移動速度を検出及び計算する。ステップ2では、現在車速の検出によって、列車の進行方向と基地局との夾角を算出する。ステップ3では、ドップラー式によって現在の受信信号の周波数オフセット値を計算する。ステップ4では、端末の受信信号にドップラー周波数オフセット値を加算することで、端末が受信した信号の周波数オフセット値を相殺補償し、端末の送信信号に対して前処理周波数オフセット補償アルゴリズム(即ち、同様に上記周波数オフセット値に応じて補償を行う)を採用することで、無線信号を正確な周波数で基地局に到達させ、同時に、端末は、アンテナチューニングチップによってアンテナの中心周波数を周波数オフセット値にチューニングすることで、検出された受信信号値を拡張してもよい。具体的には、端末は算出された又は予め設定された速度と周波数オフセットとの関係基準を参照して得られた周波数オフセット値によって、適応周波数処理を行い、最初のアクセスの周波数オフセットを収集し、不揮発性(NV:non-volatile)パラメータに基づいて周波数オフセットの粗調整を行い、その後、周波数オフセット値をリアルタイムで収集し、クロック発振器(XO:Clock Oscillators)のクロックパラメータC1、C2、C3の微調整を行い、端末の周波数を調整し、それによって端末の周波数と基地局の周波数を一定の閾値範囲内に保ち、端末は変調と復調を実現することができる。上記調整は、端末自体の周波数誤差パラメータの収集、チャネル品質の誤差ベクトル振幅(EVM:Error Vector Magnitude)の収集、ブロックエラーレート(BLER:Block Error Rate)の収集に基づいて行われ、復調が正常になり、周波数誤差が標準偏差内になり、EVMが対応する変調方式の閾値範囲内になると終了する。同時、XOと温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)のタイプ、中心周波数及び周辺容量値を切り替えて中心及び基準周波数値を変更することで、周波数調整制御を実現し、携帯電話の局部周波数を基地局セルのキャリア周波数と一致するように調整することで、携帯電話と基地局間のネットワーク同期を実現することもできる。即ち、携帯電話が正常に登録してネットワーク検出及び復調を行うことができるまで、周波数オフセット予測及び周波数オフセット補償によってリアルタイムで、迅速で、正確な適応周波数調整を実現する。
【0041】
一例では、前記ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節、又は前記運行シーンに応じる減衰補償調節は、前記ネットワーク切り替えにおけるネットワーキング方式切り替えが第1切り替え閾値よりも高い場合、ネットワーキング信号を監視し、減衰の事前計算によってネットワーキングの事前切り替えを実現するステップと、前記ネットワーク切り替えにおけるセル切り替え頻度が第2切り替え閾値よりも高い場合、信号品質を検出し、前記信号品質の降順で優先度並べ替えを行い、前記優先度の順序に従って接続を実現するステップと、前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、端末が予め設定された経路に応じて適応信号調節を行うようにするステップと、を含む。即ち、異なる運行シーンには対応する処理方式が存在し、経路ネットワークマッチングにおける経路は、端末を搭載した移動機関(例えば、高速鉄道列車)の進行経路として理解でき、基地局は列車の進行経路の沿線に配置され、ネットワークは現在の通信ネットワーク(例えば、5G通信ネットワーク)であり、NSAネットワーク、SAネットワーク、及びLTEネットワークを含む。ここでの経路ネットワークマッチングは以下のいくつかの部分を含む。
【0042】
第1部分は、NSA/SA/LTE間の適応切り替え調節であり、即ち、ネットワーク切り替えにおけるネットワーキング方式切り替えが第1切り替え閾値よりも高い場合、ネットワーキング信号を監視し、減衰の事前計算によってネットワーキングの事前切り替えを実現する。ここで、ネットワーク信号検出と減衰の事前計算によってネットワークの切り替え制御を実現する。例えば、端末はLTE及びNRの信号強度をリアルタイムで監視し、LTEアンカー信号が弱くなる又はなくなる直前に、端末のモードをNSAからSAに切り替え、NR信号が予め設定されたNR閾値よりも低い場合、LTEモード又はほかのネットワークモードに事前切り替え、それによって、NSA/SA/LTE信号の連続性を確保し、セルの頻繁なスライスによって登録接続が失敗したりネットワーク接続が遮断されたりするという問題を防止する。具体的には、LTEアンカー信号をM1、M2、M3、M4、M5、M6段階に分け、-50dBm、-60dBm、-70dBm、-80dBm、-90dBm、-100dBmにそれぞれ対応し、単位距離内の信号減衰量をSに設定し、現在の端末のLTEとNR信号を検出することによって、スループット需要及び通話サービス需要の2つの部分を含む端末の現在のサービス需要を検出し、サービス需要に応じて現在必要なモードがLTE、NSA又はSAであるかを判断する。現在のNSAモードでは、LTEアンカー信号強度は-80dBm以上、NRの信号強度は-85dBm以上である必要があり、現在の端末信号強度がそれぞれLTE -75dBm、NR -80dBmであることを検出し、次のサンプリングタイムスロットでは、端末は前へ500m移動し、LTE基地局から離れるため、計算されたLTE信号強度が5dBm低下し、さらに3dBmなどの一定の閾値マージンを加算し、即ち、LTEの次のタイムスロットでの端末の最大信号強度予測値は-83dBmであり、LTEアンカーアクセス閾値要件よりも低い。即ち、現在のLTEアンカー信号が弱いためネットワーク接続が遮断され、このとき、端末を1つのタイムスロット繰り上げてSAモードに切り替えてもよく、それによって携帯電話のネットワーク信号の連続性を確保する。切り替え制御は、携帯電話のソフトウェアインターフェースによってネットワーク構成を強制的に変更することで実現する。
【0043】
第2部分は、NRセル切り替え補償調節であり、即ち、ネットワーク切り替えにおけるセル切り替え頻度が第2切り替え閾値よりも高い場合、信号品質を検出し、前記信号品質の降順で優先度並べ替えを行い、前記優先度の順序に従って接続を実現する。いくつかの実施例では、列車が2つのセルのエッジで進行する時、
図10に示すように、中間は列車であり、左右の2つの場所は2つのセル基地局であり、図は、列車が2つのセル基地局のエッジの交差部にあることを示す。端末の信号は極めて弱い範囲にあるか、又は2つのセル間で繰り返し切り替える状態であり、即ち、セルAに接続する場合もあれば、セルBに接続する場合もある。このとき、本調節方式は、まず、2つのセルの上り・下りスループットレベル及び信号品質を検出し、優先度の高いセルを判断し、信号品質の検出は、上記ステップ101で言及された各パラメータの取得及び検出を含んでもよい。端末は、ネットワーク接続品質の高いセルを優先的に登録する。同時に、セルのエッジ付近にあると検出されると、端末は補助拡張調節機能をオンにし、現在の端末の送信電力と受信感度を高め、ネットワークの正常な接続通信を実現する。
【0044】
第3部分は、端末側における無線信号経路減衰補償調節であり、即ち、前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、予め設定された運行シーンに対応する信号減衰に応じて適応調節を行う。例えば、端末を搭載した移動機関の位置での無線信号減衰に応じて補償調節を行う。移動機関の進行中、山、川、トンネル、谷、ジャングル、高架、駅、郊外、村、平原、市街地などを通過し、これらの運行シーンに存在する様々な障害物は端末と基地局間の無線信号に送信、散乱、屈折及び減衰の影響を与える。従って、上記予め設定された運行シーンに発生し得る減衰パラメータ又はモードを予め設定することで、端末が予め設定された運行シーンに応じて適応調節を行うようにする。
【0045】
また、いくつかの実施例では、端末の運行状態を取得するステップは、予め設定された時間間隔に応じて、端末の運行状態を周期的に取得し、対応する調節方式を実行するステップを含む。予め設定された時間間隔が十分に小さく、即ち、前記端末の運行状態をリアルタイムで検出し、対応する調節を行う場合、端末のネットワーク性能が常にユーザー需要を満たすことを確保でき、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。端末の運行状態を取得した後、前記端末の運行状態がいずれも正常であると検出され、即ち、各パラメータが合理的な閾値範囲(端末のネットワーク性能を最適にすることができる閾値範囲)にあると、今回は調節を行う必要がない。即ち、調節後にフィードバックされた、再び取得されたパラメータが合理的な閾値範囲にないと、パラメータが閾値要件を満たすまで次回の調整をさらに行う必要があることを示す。
【0046】
いくつかの実施形態では、端末は高い移動速度を有し(例えば、端末は高速鉄道列車などの移動機関内にある)、セルの頻繁な切り替え、及び車両内外の5G信号の減衰、屈折、反射などの要因は、静止状態と移動状態における通信性能に様々な影響をもたらし、例えば、信号が断続的であること、ネットワーク検出ができないこと、通話が頻繁に遮断されること、上り・下りスループットレートが低いこと、応答率が低いこと、通話がフリーズすることなどの問題を引き起こす。まず、端末を搭載した移動機関が高速移動するため、通信する端末にドップラー効果をもたらし、ドップラー効果は周波数オフセットにつながり、周波数オフセットは端末に復調失敗又は復調性能の低下につながり、さらに上り・下り通信品質を損なう。即ち、移動端末と基地局間の距離の急激な変化は、最終的な受信周波数と中心周波数との間に一定の周波数差をもたらす。端末と基地局との距離が近くなると、周波数が大きくなり、周波数オフセットが小さくなり、携帯電話と基地局との距離が遠くなると、周波数が小さくなり、周波数オフセットが大きくなる。端末の移動速度が速いほど、周波数オフセットが大きく、周波数が高いほど、周波数オフセットが大きく、車速が200Km/h以上に達する場合、ドップラー効果による周波数オフセットの影響は非常に大きい。N78を例とし、車速が350Km/hである場合、上り周波数オフセットは3KHz以上、下り周波数オフセットは16KHz以上である。次に、端末を搭載した移動機関の運行中、セルの頻繁な切り替えは端末の通信においてネットワーク接続が遮断され、通話が遮断され、スループットが安定しないという問題を引き起こす。基地局の数が限られているため、異なる基地局のカバレッジエリアも限られており、現在、3つの大手事業者の5G基地局の間隔標準として、N78/N41などの高周波数帯域の場合、概ね、密集した都市は450M、市街地は700M、郊外は1.3KM、村は1.5KM~2KMであるように計画され、周波数が低いほど、基地局のカバレッジが例えば4~5KMとやや大きくなる。従って、5G端末が端末を搭載した移動機関内で高速移動する場合、数秒又は数十秒で複数のセル基地局を通過することが多く、即ち、異なるセル切り替え及びセルエッジの動作シーンにあることが多い。端末がアクセスするセルの頻繁な切り替え、及び信号の弱いセルエッジでの頻繁な動作は、5Gネットワーク接続遮断を引き起こす確率が高く、ネットワークへのアクセスが困難であり、信号が安定しないなどの問題を引き起こし、それによってユーザーの5Gエクスペリエンスを損なう。続いて、無線セルラー信号を使用して基地局と列車間で通信する過程で、列車自体及び周辺環境の変化により、無線信号の変動は5G通信品質の低下につながる。即ち、進行中、山、川、谷、木、その他の高層ビルの影響を受け、これらの障害物、さらに車両自体の金属材料フレーム、ガラス窓、引き戸で仕切られたコンパートメントなどは、5G信号のある程度の反射、屈折及び減衰を引き起こす。端末を搭載した移動機関の運行中、人込み、移動性、シールド性、遮蔽性など端末の位置する環境の複雑さにより、端末の複数のNR MIMOアンテナは基地局セルのアンテナに対して、異なる角度、速度が異なる変化を示し、それによって異なるシーン状態での送信及び受信性能に大きな影響を与え、さらにそのスループット性能と通話品質に影響を与える。最後に、移動機関が高い時速で運行する場合、例えば現在の時速が約350Km/h~500Km/hである場合、基地局と携帯電話の相対位置が迅速に変化するため、距離と遅延の課題はますます大きくなり、本実施形態に係る方法に従って、
図11に示す調節システムを構成することができる。高速シーン検出モジュールL1は端末の現在の運行シーンを検出し、ネットワーク品質及び速度検出モジュールL2は端末の現在の運行速度及びネットワーク性能を検出し、高速モードマッチングモジュールL3は現在の運行状態(運行速度、運行シーン及びネットワーク品質を含む)がどの調節方式に対応する調節条件を満たすかを検出し、パラメータモデルモジュールL4は現在の演算で取得された又は関連するパラメータ情報を記憶し、適応制御モジュールL5はL3及びL4モジュールの処理結果に応じて対応する調節モジュールを呼び出し、上り・下り拡張モジュールL6は上り・下り調節方式を実行し、周波数オフセット補償調整モジュールL7は周波数オフセット補償方式を実行し、SRS予測移動アルゴリズムモジュールL8はSRS予測移動方式を実行し、経路ネットワークマッチング調節モジュールL9は経路ネットワークマッチング方式を実行する。
【0047】
本実施形態は、高速運行シーンを収集し、補助識別機能を採用して、駅、出口、車両内外シーンを収集し、高速運行状態でGPS信号が弱く、車内シーンを識別できないという問題を解決できる。高速モードの場合、拡張上り及び拡張下りモードを採用して、信号強度を強化し、信号強度を高め、カバレッジが弱いという問題を解決し、移動中にネットワーク接続が遮断されることを防止することもできる。予測されたSRS高速移動アルゴリズム、車速アンテナマッチングアルゴリズム、経路リンク端末マッチング方法、セルエッジ検出によって端末性能を強化するアルゴリズムなどを採用して関連問題のマッチング処理を行い、NSA及びSAモード切り替えを行うことで、LTEアンカーが安定しないという問題を解決することもできる。最終的にユーザーが高速シーン、及び車内、車外、待合室、又は出口にあるかを迅速に識別でき、GPS測位に依存せず、室内でのGPS測位が不正確であるという問題を防止する。ユーザーの現在の速度、静止状態又は移動状態を迅速に識別することができる。高速シーンでの弱い信号による通信品質の問題を解決できる。端末を搭載した移動機関の高速移動によるスペクトルオフセットの問題を解決できる。高速移動シーンにおいて端末を搭載した移動機関が迅速に移動するため携帯電話の性能が悪く、SRS調節が無効になるという問題を解決できる。高速運行中に障害物の遮蔽及び干渉を受けるという問題を解決できる。高速移動中にセル切り替えが頻繁で、セルエッジでの端末の信号変動が大きいという問題を解決できる。高速移動中にネットワーク規格の選択が困難であるという問題を解決でき、NSAとSAスライスは一定のアルゴリズムに基づいて優先的に選択することができる。高速運行シーンにおける人数が多い場合、ネットワークスループットが限られるという問題を解決できる。
【0048】
本実施形態では、端末の通信モード調節方法を提供し、N種の調節方式は予め設定されており、調節方式は異なる調節条件にそれぞれ対応し、Nは2以上の整数であり、端末の運行状態を取得し、端末の運行状態が満たす調節条件を識別し、調節条件に応じて対応する調節方式をマッチングし、調節方式に応じて端末の通信モードを調節する。マッチングする調節方式を呼び出し、異なる運行シーン、運行速度及び異なるネットワーク性能での端末の通信機能を能動的に改善し、それによって端末の通信品質を向上させ、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。
【0049】
以上の各方法のステップの分割は、明確な説明のみを目的としており、実現時、1つのステップに合併したり、特定のステップを複数のステップに分解したりしてもよく、同じ論理関係が含まれている限り、本特許の保護範囲内である。アルゴリズム又はプロセスに重要ではない変更を追加したり、重要ではない設計を導入したりしても、アルゴリズム及びプロセスのコア設計が変更しないものはいずれも該特許の保護範囲内である。
【0050】
本発明の一実施形態は、端末の通信モード調節装置に関し、
図12に示すように、前記端末の通信モード調節装置は、
端末の運行状態を取得する取得ユニット201であって、前記運行状態は運行シーン、ネットワーク性能及び運行速度のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む取得ユニット201と、
前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするマッチングユニット202であって、前記調節方式は異なる運行状態にそれぞれ対応し、N種の調節方式は予め設定されており、前記Nは1よりも大きい整数であるマッチングユニット202と、
前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節する実行ユニット203と、を含む。
【0051】
取得ユニット201について、一例では、前記運行状態が運行シーンを含む場合、端末の運行状態を取得する前記方法は、セル基地局及び全地球測位システムGPSによって前記端末の位置情報を取得し、前記位置情報に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、前記端末のカメラによって環境特徴パラメータを収集し、前記環境特徴パラメータに応じて前記端末の運行シーンを取得する方法と、電磁波によって前記端末の周辺環境の放射特性を探知し、前記放射特性に応じて前記端末の運行シーンを取得する方法であって、前記放射特性は直射、反射、散乱及び/又は回折特性を含む方法と、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。
【0052】
一例では、前記運行状態が運行速度を含む場合、前記端末の運行状態を取得する前記方法は、GPS測位距離と前記測位距離に対応する測位時間差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法と、SRSフィードバック時間差及び前記フィードバック時間差に対応する角度差に応じて前記端末の運行速度を取得する方法と、のうちの1つ又はそれらの任意の組合せを含む。
【0053】
一例では、端末の運行状態を取得する前記ステップは、予め設定された時間間隔に応じて、端末の運行状態を周期的に取得するステップを含む。
【0054】
マッチングユニット202について、一例では、前記調節方式は、上り・下り調節方式、周波数オフセット補償方式、チャネルサウンディング基準信号SRS予測移動方式、及び経路ネットワークマッチング方式のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。
【0055】
一例では、前記運行状態に応じて、対応する調節方式をマッチングするステップは、前記運行状態の前記ネットワーク性能の信号強度が予め設定された信号強度閾値よりも低い場合、前記上り・下り調節方式をマッチングするステップと、前記運行状態の前記運行速度が予め設定された速度よりも高い場合、前記周波数オフセット補償方式をマッチングするステップと、前記ネットワーク性能のスループットが予め設定されたスループット閾値よりも低い場合、前記SRS予測移動方式をマッチングするステップと、前記運行状態の前記ネットワーク性能のネットワーク切り替え頻度が予め設定された切り替え頻度閾値よりも高い場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングするステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。
【0056】
実行ユニット203について、一例では、前記調節方式に応じて前記端末の通信モードを調節する前記ステップは、前記上り・下り調節方式をマッチングする場合、前記端末の最大電力値及び最小受信レベル値を調整するステップと、前記周波数オフセット補償方式をマッチングする場合、周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償するステップと、前記SRS予測移動方式をマッチングする場合、前記ネットワーク性能のチャネル強度に応じてSRSリソース構成又はプリコーディングマトリクスインジケータPMIリソース構成をスケジューリングするステップと、前記経路ネットワークマッチング方式をマッチングする場合、ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節を行うか、又は前記運行シーンに応じて経路減衰補償調節を行うステップと、のうちの1つ又はこれらの任意の組合せを含む。
【0057】
一例では、周波数オフセット値を取得し、前記周波数オフセット値に応じて前記端末の通信モードを補償する前記ステップは、前記運行速度及び前記ドップラー式に応じて周波数オフセット値を算出するステップと、前記周波数オフセット値に応じて受信信号及び送信信号の両方を補償するステップと、前記周波数オフセット値に応じて前記端末のアンテナ中心周波数を調節するステップと、を含む。
【0058】
一例では、前記ネットワーキング調節、セル切り替え補償調節、又は前記運行シーンに応じる減衰補償調節は、前記ネットワーク切り替えにおけるネットワーキング方式切り替えが第1切り替え閾値よりも高い場合、ネットワーキング信号を監視し、減衰の事前計算によってネットワーキングの事前切り替えを実現するステップと、前記ネットワーク切り替えにおけるセル切り替え頻度が第2切り替え閾値よりも高い場合、信号品質を検出し、前記信号品質の降順で優先度並べ替えを行い、前記優先度の順序に従って接続を実現するステップと、前記運行シーンが予め設定された運行シーンである場合、予め設定された運行シーンに対応する信号減衰に応じて適応調節を行うステップと、を含む。
【0059】
なお、本実施形態が上記実施形態に対応するシステム実施例であり、上記実施形態と併せて実施可能である。上記実施形態で言及された関連する技術的詳細は本実施形態においても有効であり、重複を減らすために、ここでは詳しい説明を省略する。これに対応して、本実施形態で言及された関連する技術的詳細は上記実施形態にも適用され得る。
【0060】
なお、本実施形態に係る各モジュールは、いずれも論理モジュールであり、実際には、1つの論理ユニットは、1つの物理ユニットであってもよいし、1つの物理ユニットの一部であってもよいし、複数の物理ユニットの組み合わせで実現されてもよい。さらに、本願の革新的な部分を強調するために、本実施例には、本願による技術的課題の解決にあまり関係のないユニットが導入されていないが、これは、本実施例に他のユニットが存在しないことを意味するわけではない。
【0061】
本発明の一実施形態は、端末に関し、前記端末は、
図13に示すように、少なくとも1つのプロセッサ301と、前記少なくとも1つのプロセッサ301に通信可能に接続されたメモリ302とを含み、前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサに実行可能な命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサは上記端末の通信モード調節方法を実行することができる。
【0062】
ここで、メモリとプロセッサはバス方式で接続され、バスは任意の数の相互接続されたバスやブリッジを含んでもよく、バスは、1つ又は複数のプロセッサとメモリの様々な回路とを一体に接続する。バスはまた、周辺機器、レギュレータや電力管理回路などのような様々な他の回路を一体に接続してもよく、これらはすべて当業者に知られているので、本明細書では、それ以上説明しない。バスインターフェースは、バスとトランシーバとの間のインターフェースを提供する。トランシーバは、伝送媒体で様々な他の装置と通信するためのユニットを提供し、1つの要素であってもよいし、複数の受信機及び送信機のような、複数の要素であってもよい。プロセッサによって処理されたデータは、アンテナを介して無線媒体で伝送され、さらに、アンテナは、データを受信し、プロセッサにデータを伝送する。
【0063】
プロセッサは、バスの管理及び通常の処理を担当し、タイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電源管理、その他の制御機能を含む様々な機能を提供し得る。一方、メモリは、プロセッサが動作を実行する際に使用するデータを記憶するために使用され得る。
【0064】
本発明の一実施形態は、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体に関する。コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の方法の実施例を実現する。
【0065】
すなわち、上記の実施例の方法におけるステップの全部又は一部を実現することは、関連するハードウェアに命令するプログラムによって達成され得ることが当業者に理解される。該プログラムは記憶媒体に記憶されており、機器(マイクロコントローラ、チップなどであってもよい)又はプロセッサ(processor)に、本願の様々な実施例に記載の方法のステップの全部又は一部を実行させるためのいくつかの命令を含む。一方、上記の記憶媒体には、USBメモリ、リムーバブルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなど、プログラムコードを記憶することができる様々な媒体が含まれる。
【0066】
当業者であれば理解できるように、上記の各実施形態は、本発明を実施する具体的な実施例であり、実際の適用では、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形式的及び詳細的に様々な変更が可能である。
【国際調査報告】