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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】集積電流センサを有する装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01R15/00 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517538
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2021051106
(87)【国際公開番号】W WO2023043463
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カブシアン,アミルポウヤ
(72)【発明者】
【氏名】プレッチャー,ネイサン・マイケル
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AB05
2G025AC01
(57)【要約】
電子装置の電流消費を検出および測定するための集積電流センサおよび方法が本明細書に開示される。電子装置は、装置の電力供給網内の複数の層を備え、各タイル(each tile)は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備え、装置は、複数のプローブをさらに備え、各プローブは、電圧降下を有する1つまたは複数の層の各部分に接続された入力対を有し、各プローブは、それぞれの差電圧を1つまたは複数の層を通る代表的な電流に変換するように構成され、装置は、1つまたは複数の層を通るそれぞれの電流を集積電圧に集積するように構成されたコンデンサと、装置によって消費された電流の分量を集積電圧に基づいて生成するように構成されたコンバータと、をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積電流センサを有する装置であって、前記装置は、
前記装置の電力供給網内の複数の層を備え、
各層は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備え、
前記装置は、
複数のプローブをさらに備え、
各プローブは、電圧降下を有する1つまたは複数の層の各部分に接続された入力対を有し、
各プローブは、それぞれの差電圧を前記1つまたは複数の層を通る代表的な電流に変換するように構成され、
前記装置は、
前記1つまたは複数の層を通る前記それぞれの電流を集積電圧に集積するように構成されたコンデンサと、
前記装置によって消費された電流の分量を前記集積電圧に基づいて生成するように構成されたコンバータと
をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数の機能は、電源から前記装置の負荷への電力の供給を含み、前記複数のプローブは、前記電源から前記負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のプローブによって測定された前記差電圧は前記複数の層の一部である、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記それぞれの差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択され、前記所定の空間サンプリング計画は、前記装置の計算の必要性に基づいて決定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のプローブのそれぞれが、前記それぞれの差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記コンバータはアナログデジタルコンバータである、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記コンバータは、前記集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングするように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
装置の1つまたは複数の電流を検出する方法であって、前記方法は、
前記装置の電力供給網内の1つまたは複数の層の複数の部分に複数の差電圧を生成することを含み、
各層は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備え、
複数のプローブが前記1つまたは複数の層の前記複数の部分に接続され、
各プローブは入力対を有し、
前記方法は、
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することと、
コンデンサが前記それぞれの電流を集積電圧に集積することと、
コンバータが、前記装置によって消費された電流の測定値を前記集積電圧に基づいて生成することと
をさらに含む、方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の機能は、電源から前記装置の負荷への電力の供給を含み、前記複数のプローブは、前記電源から前記負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のプローブによって測定された前記差電圧は、前記1つまたは複数の層の一部である、請求項11~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記それぞれの差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である、請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択され、前記所定の空間サンプリング計画は、前記装置の計算の必要性に基づいて決定される、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である、請求項11~請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである、請求項11~請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のプローブのそれぞれが、前記それぞれの差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される、請求項11~請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することは、アナログデジタルコンバータを使用して前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することを含む、請求項11~請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することは、前記集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングすることを含む、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
本明細書は、電子装置の電流センサに関する。
【0002】
電流センサは、電子装置上または電子装置の外部に集積される回路であり、電子装置、例えばチップの電流を測定および推定する。電子装置上での電流の検出および測定は、熱および電流の限度を満たすとともに、電子装置の適切な機能を確実にするために不可欠である。電流の検出および推定は、電子装置上での異なる計算タスクの同時運転のプラニングを容易にすることもできる。
【0003】
集積電子装置上での電流の検出および測定は、電子装置の外部にあるセンサまたは装置に組み込まれた推定器を使用して行うことができるが、これらの技術には基本的な欠点がある。
【0004】
例えば、外部電流センサは、測定値を生成するのが遅いことがあり、電子装置の材料表(BOM)コストを増大させ得る、検出抵抗器などの追加の電子要素を必要とする場合がある。加えて、外部電流センサは、検出抵抗器で電圧降下を引き起こすことで電子装置の電力効率を下げ得る。
【0005】
イベント電力推定器(event power estimator)などの装置に組み込まれる電流センサは、それが予め特徴付けられた計算イベントの有限集合に基づいて電流を近似するために、電流を測定する際に精度を欠いていることがある。加えて、実電流は、これらの予め特徴付けられたイベントと一致しないことがある。
【発明の概要】
【0006】
概要
本明細書は、電子装置の一部である集積電流センサについて記述する。本明細書に記載の集積電流センサは、装置の既存電力供給網(PDN)を装置の回路の一部として利用することにより、実質的な追加製造コストを加えずに、かつ追加的な電圧降下を引き起こさずにより正確な電流検出を実現する。特に、集積電流センサは、電流を検出するためのPDN内の抵抗器を利用することができ、抵抗器は、PDNの既存機能に同時に使用される。集積電流センサは、複数のプローブを含むことができ、各プローブは、抵抗器での電圧降下を電流の分量に変換することができる。集積電流センサは、変換された電流を検出コンデンサで集積して集積電圧を生成する電流処理ブロックを含むことができる。電流処理ブロックはまた、集積電圧をサンプリングしデジタル化して電子装置の一部またはすべての部分によって消費される電流の測定値および推定値を生成するコンバータを含むことができる。
【0007】
本明細書に開示される集積電流センサは、電子装置のPDN内に既存の、電源から電子装置の負荷への、例えばオンチップPDNの始端から、負荷に接続するためのヘッドスイッチが設けられる終端への電力供給のための、抵抗器での電圧降下を有利に利用する。したがって、本明細書に開示される集積電流センサは、既存の電流センサに比べて製造コストを低減する。集積電流センサはまた、従来の電流検出装置および方法に比べて電圧降下を低減または除去し、それによって装置の電力効率および電力性能を向上させる。さらに、本明細書に開示される集積電流センサは、従来の装置に比べて小電圧が、例えば0.1ミリボルトの規模で使用されることを可能にする。これにより、電流検出および測定のために異なる種類の抵抗器を選択する際のより大きな自由度が可能になる。異なる抵抗器を選択する際の自由度は、様々な目的での電流検出、ほんの数例を挙げると、例えば、装置の特定の領域の検出、または特定の計算タスクが実行されている間の検出を容易にすることができる。さらに、集積電流センサは、信号が検出される際のノイズ結合の影響が従来の電力推定方法と比べて低減されるように電流ドメインにおいて異なって移動する信号を集積する。さらに、集積電流センサの電流処理ブロックは、電流の低周波成分に影響を及ぼすことなく、高周波成分、例えばノイズを有利にフィルタで除去することができる。
【0008】
本明細書の主題の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付図面および以下の説明に記載されている。主題の他の特徴、態様、および利点は、この説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】集積電流センサを有する装置例の図である。
図2】集積電流センサ例の図である。
図3図2の集積電流センサの電流処理ブロック例のタイミング図である。
図4】本明細書に開示される集積電流センサの検出抵抗器を有する電力供給網の断面例の図である。
図5図2の集積電流センサを使用して装置の電流を検出および測定するプロセス例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な図面における類似の参照番号および記号は類似の要素を示す。
詳細な説明
本明細書は、装置、例えば電子装置の電流消費を測定および推定するための集積電流センサについて記述する。電子装置の外部にある任意の電流センサを使用する代わりに、または、追加の電圧降下を生成し得る追加の検出要素を電子装置に加える代わりに、本明細書に開示される集積電流センサは、PDNを有する既存の抵抗器の機能を妨げずに電子装置のPDN内の既存の抵抗器を利用することができる。集積電流センサは複数のプローブを含むことができ、各プローブは、抵抗器での電圧降下を集積されるべき電流に変換することができる。集積電流センサは、検出コンデンサを使用して集積電圧を生成することにより電流を集積することができる。集積電流センサは、集積電圧をサンプリングしデジタル化して電子装置によって消費される電流の測定値または推定値を生成するコンバータも含むことができる。
【0011】
本明細書に開示される主題の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付図面および詳細な説明に記載されている。主題の他の特徴、態様、および利点は、この説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0012】
図1は、集積電流センサを有する装置例の図である。装置101は、集積回路を含む任意の電子装置とすることができる。例えば、装置101は、ほんの数例を挙げると、チップ、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、またはテンソル処理装置(TPU)とすることができる。いくつかの実装形態では、装置101は、システムオンチップ(SOC)とすることができる。SOCは、例えば、シリコンインタポーザ、積層ダイ、または相互接続ブリッジを用いた、単一シリコン基板上または複数の相互された接続ダイ上のシステムの各構成要素を含む集積回路とすることができる。
【0013】
装置101は、負荷105が電子装置101の1つまたは複数の機能を実行するために電力を消費することができるように外部電源104を装置101の負荷105に接続する電力供給網(PDN)103を含むことができる。そのような機能は、異なる計算タスクを含むことができるが、これに限定されるものではない。負荷105に電力を供給するPDNの機能に加えて、PDN103は電力を消費することもできる。PDN103によって消費されるが、負荷105によっては消費されない電力量は、機能を実行するための装置101の電力オーバーヘッドと見なすことができる。電力オーバーヘッドは、浪費される電力、負荷105によって直接消費されない電力、または装置101の機能を実行する際に直接消費されない電力と見なすことができる。
【0014】
装置101は、集積電流センサ100を含むことができる。集積電流センサは、PDN103内の複数の電子要素、例えば抵抗器を利用して、PDN103内のかかる複数の電子要素の既存機能を妨げることなく装置101内の負荷105の少なくとも一部の電流検出を実現することができる。言い換えると、かかる複数の電子要素は、負荷105への電力供給を容易にし、同時に集積電流センサ100による電流検出を可能にすることができる。電流が集積電流センサ100によって検出されることは、電流が負荷105の少なくとも一部によって消費されることを示すことができ、したがって、負荷105での全電流消費は、集積電流センサ100によって検出された電流に基づいて計算することができる。場合によっては、集積電流センサ100は負荷105に電流を通過させない。場合によっては、集積電流センサ100は、負荷105に電流を通過させることにより負荷に直接接続することができる。
【0015】
集積電流センサ100は、同じ単一シリコン基板上または同じ複数の相互接続されたダイ上に装置101の残りの部分と共に物理的に配置され得る。したがって、集積電流センサ100は、装置101の外部にない装置の一体部分とすることができる。
【0016】
電源104は、装置101に電力を供給する任意の適切なソースとすることができる。この例では、電源104は装置101の外部にある。電源は、オンオフすることができる。電源は、装置101に接続したり装置101から切り離したりすることができる。
【0017】
装置101は、装置101の1つまたは複数の機能、例えば1つまたは複数の計算タスクを実行するために電力を能動的に消費する負荷105を含むことができる。負荷105は、ほんの数例を挙げると、以下に限定されるものではないが、キャッシュ、通信ファブリック、制御ユニット、算術論理ユニット、グラフィックスコンピュートアレイ、およびグラフィックスメモリコントローラを含む複数の電子要素を含むことができる。負荷内の電子要素は、PDN103または集積電流センサ100の一部とすることができるが、そうである必要はない。
【0018】
図2は、集積電流センサ例の図である。この特定の例では、集積電流センサ100は、互いに電子的に接続される電流検出ブロック102aおよび電流処理ブロック102bを含むことができる。電流検出ブロック101および電流処理ブロック102bは共に、装置101内に物理的に配置され得る、または言い換えれば、装置101に組み込まれ得る。
【0019】
電流検出ブロック102aは、複数のプローブ107を含むことができる。各プローブ107は、電圧降下を有するPDN103の2つの部分に接続された入力対107aを含むことができる。例えば、入力対107aは、PDN103内の予め選択された抵抗器106、Rの両端に接続することができ、したがって差電圧(the different voltage)は、
=I (1)
に従って計算することができる、
ただし、i=1,...,nにおいて、nは、集積電流センサ100の抵抗器の数を表すゼロ以外の整数である。例えば、nは、PDN内の抵抗器の総数とすることができ、抵抗器の電圧降下はプローブの所定の変換閾値を満たす。別の例として、nは、装置が実行する計算タスクに基づいて予め設定することができる。
【0020】
抵抗器106、Rは、同一抵抗とすることができるが、そうである必要はない。例えば、抵抗器Rは、予め設定された抵抗から許容誤差、例えば、約±1%未満、±10%未満、または他の適切な百分率未満の誤差で外れることができる。いくつかの実装形態では、抵抗器R106は、PDN103の各部分内の異なる熱条件のために変化することができる。抵抗器106は、抵抗器に電流が流れているときに、抵抗器の両端間に差電圧Vを有することができ、この差電圧は、電源104から負荷105への電力供給を容易にすることができる。そのような差電圧は、電流検出のために集積電流センサ100のプローブ107への入力として利用することもできる。
【0021】
電流I、ただしi=1,...,n、は、互いに並行することができる。例えば、電流Iのそれぞれが、電源104から負荷105へ流れることができ、または、電源104と負荷105との間ならどこでも2点間に流れることができる。電流Iは、互いに直列であってもよく、そうでなくてもよい。電流Iのうちの2つ以上は、基準電流値に対して±1%未満の差、±2%未満の差、または他のプリセット差で互いに同一とすることができる。電流Iのうちの2つ以上は互いに異なることができる。
【0022】
差電圧V、例えば電圧降下は、プローブ107によって変換され得る任意の値とすることができる。例えば、差電圧は、ほんの数例を挙げると、0.1ミリボルト程度、1ミリボルト程度、10ミリボルト程度、または100ミリボルト程度とすることができる。
【0023】
プローブ107は、電圧電流コンバータとすることができる。プローブ107は、差電圧を電流に変換しながら利得または増幅を与えることができる。プローブ107は、PDN103の一部ではなく、依然として装置101内に物理的に配置される要素とすることができる。各プローブ107は、電圧降下を受け取り、
gmi=gm (2)
に従ってそれぞれの差電圧を代表的な電流Igmiに変換するように構成することができる、ただし、i=1,...n、gmはプローブの利得または増幅である。いくつかの実装形態では、利得または増幅gmは、集積電流センサ100の各プローブにとって、例えば、基準利得または基準増幅から±1%未満、±2%未満、または他の所定の百分率未満の許容差で同一とすることができる。いくつかの実装形態では、2つ以上のプローブ107の利得または増幅は異なる。
【0024】
集積電流センサ100は、電流Igmi、ただしi=1,...n、を電流検出ブロック102a内で全電流108の分量に合成することができる。全電流Itotの分量は、
tot=Igm1+Igm2...+Igmn (3)
に従ってプローブ107の出力電流の合計として決定することができる。
【0025】
集積電流センサ100は、全電流108の分量を、電流処理ブロック102bへの入力、特に検出コンデンサ109への入力として生成することができる。全電流108の分量は、特定の時点での検出負荷105の一部またはすべての部分、例えば、電流がそのために集積電流センサ100によって検出される部分の電流消費を表すことができる。検出コンデンサ109は、集積電圧を生成するために所定の期間で全電流108の分量を集積することができる。したがって、集積電圧は、負荷105が所定の期間内に検出される部分の電流消費の示度となる。
【0026】
各プローブは、差電圧の高周波成分またはノイズ成分をフィルタで除去するフィルタ要素を含むことができる。フィルタ要素は、所定の電圧範囲および/または周波数範囲内で機能する任意の電子装置とすることができる。例えば、フィルタ要素は、増幅器から所定の低周波ノイズを除去しオフセットすることができるチョッパ安定化要素とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
電流処理ブロック102bは、所定の期間内に装置によって消費される全電流の示度となる集積電圧の分量生成するように構成されたコンバータ110を含むことができる。コンバータ110は、集積電圧をコンバータの110入力として受け取り、集積電圧をサンプリングして装置101によって消費される電流の分量を生成することができる。コンバータ110は、アナログデジタルコンバータ(ADC)とすることができる。ADCは、集積電流をデジタル化することができ、全電流108の分量およびサンプリングコンデンサ109の静電容量に基づいて消費される電流量の2値表示を生成することができる。コンバータのサンプリング周波数は、例えば、集積電圧のエイリアシング(aliasing)が検出されるのを回避するために、カスタマイズすることができる。
【0028】
電流処理ブロック102bは、スイッチなどの他の電子要素も含むことができる。スイッチ112は、電流検出ブロック102aから電流処理ブロック102bを切り離すためにオフすることができ、電流検出ブロック102aから電流処理ブロック102bへの接続をするためにオンすることができる。スイッチ112がオフされているとき、電流検出ブロック102aは、電流処理ブロック102bから切り離される。その結果、全電流108は、サンプリングコンデンサに集積されない。スイッチがオンされているとき、電流検出ブロック102aは電流処理ブロック102bに接続され、全電流108は、対応する集積電圧を生成するために検出コンデンサで集積し続ける。
【0029】
電流処理ブロックは別のスイッチ111を含むことができる。スイッチ111がオンされると、これは検出コンデンサ109をリセットし、サンプリングコンデンサでの電圧はゼロまでランプダウンする。一例として、スイッチ111は、周期的にかつプリセット期間ごとにオンされ得る。別の例として、スイッチ111は、検出コンデンサが後続の集積および検出に備えるために、コンバータが集積電圧をサンプリングしデジタル化した後のプリセット期間、オンすることができる。スイッチ111がオフしているとき、電流処理ブロック102bは、検出コンデンサ109で全電流108を集積するか(スイッチ112がオンされているとき)、コンバータ110で集積電流113をサンプリングしデジタル化するか(スイッチ112がオフされているとき)のどちらかである。
【0030】
図3は、図2の集積電流センサの電流処理ブロック例のタイミング図である。電流処理ブロック102bは、3つの異なる段階を含むことができる。集積段階は、検出コンデンサがリセットされた後で、または検出コンデンサでの集積電圧がプリセット値未満、例えば0.01ミリボルト未満になってから始まることができる。集積段階では、所定の期間Tintの間、コンデンサ109は、全電流108を集積し、集積電圧をコンバータに入力として、例えば、集積が完了された後の所定の期間の終わりに供給することができる。コンバータへのそのような入力は、
int=(Itotint)/C (3)
に従って計算することができる、ただし、Tintは集積の時間長であり、Itotは特定時点での全電流であり、Cは検出コンデンサの静電容量である。集積電圧Vintは、全電流に比例することができ、したがって、集積電圧の値は、負荷の少なくとも測定された部分の電流消費の直接指示とすることができる。式(3)は、Itotが一定のままであるか、またはItotの変動が無視され得る、例えば、変動が基準電流の±1%未満、±5%未満、または±10%未満であるときに用いられる。全電流Itotが集積期間中に変動するとき、式(3)は、所定の集積期間TintにわたるItotの積分として表すことができる。静電容量Cは、電流が測定される時間中に装置が実行する特定の機能に基づいて予め決定することができる。静電容量Cは、Itotの範囲、Tintの範囲、Vintの範囲、またはこれらを組み合わせたものを含むが、これらの範囲に限定されるものではない他のファクタに基づいて予め決定することもできる。静電容量の例示的範囲は、100フェムトファラッド(fF)~10ピコファラッド(pF)とすることができる。
【0031】
集積段階中、スイッチ112、Sはオンされたままである。所定の期間は、計算タスクが装置で実行されるのに基づいて設定することができる。例えば、電流消費は計算タスクに対して10ミリ秒ごとに繰り返し急増および変動することが知られている場合、所定の期間は、集積が計算タスクを実行するための平均電流消費の具体的表現とすることができるように、10ミリ秒以上に設定することができる。スイッチ111、Rは、集積段階中にオフされたままである。
【0032】
サンプリング段階は、集積段階の直後に続くことができる。サンプリング段階では、コンバータ110は、デジタル化された信号をサンプリングし出力することができる。デジタル化された信号は、装置101内の負荷105の検出された部分の電流消費の分量とすることができる。デジタル化された信号は2値信号とすることができる。2値信号は、プリセット精度のものとすることができる。例えば、2値信号は、8ビット、16ビット、あるいは32ビットを含むことができる。デジタル化された信号は、集積段階中の測定された電流消費を表すことができる。
【0033】
サンプリング段階は、Tsampleミリ秒の時間分続くように設定することができる。サンプリング段階の時間分は、負荷が電流検出中に実行する計算タスクに応じて予め決定するかまたは調整することができる。サンプリング段階中、スイッチ112、Sは、電流検出ブロック102aが電流処理ブロック102bから切り離され、集積電圧が平坦部のままで安定するようにオフされる。スイッチ111、Rもまた、サンプリング段階中にオフされている。
【0034】
コンバータ110がサンプリング段階で集積電圧を集積し、サンプリングし、デジタル化して出力を生成した後、スイッチ111、Rは、リセット段階でオンされて検出コンデンサ109をリセットする。リセット段階中、集積電圧はゼロまでランプダウンされる。リセット段階は、サンプリング段階の直後に続くことができる。リセット段階は、集積段階の前に起こることができる。あるいは、リセット段階は、検出コンデンサでの電圧をゼロにリセットする必要があるときはいつでも使用することができる。リセット段階は、Tresetミリ秒の間続くことができる。
【0035】
図3は、電流処理ブロック102bでの異なる段階の例示的な順序を示す。しかしながら、3つの段階の異なる配置を必要なときにいつでも利用することができる。例えば、リセット段階は、コンバータ110による任意のサンプリングの前にコンデンサ109をリセットするために、集積段階の直後に、たとえ不完全な集積の後でも続くことができる。
【0036】
本明細書での3つの異なる段階のうちの1つまたは複数は、当該段階の対応する時間が経過した時点、または、特定の機能、例えば集積やサンプリングが完了した時点で、完了することができる。本明細書での3つの異なる段階はゼロ以上の不完全な段階を含むことができ、この段階では、段階の対応する時間が経過していない、または、対応する機能、例えば集積やサンプリングが完了していない。
【0037】
集積電流センサ100は、所定のタイムスケジュールで所定の順序の段階内の次の段階に入るようにタイミングを合わせることができる。例えば、各集積段階が12ミリ秒続き、その後に、10ミリ秒続くサンプリングおよびデジタル化段階が続くことができる。あるいは、集積電流センサは、閾値条件が満たされたときに後続の段階に入るようにトリガされ得る。例えば、ADCがx個のデジタル化サンプルを生成したときに、ADCはリセット段階の開始をトリガする。
【0038】
図4は、本明細書に開示される集積電流センサの検出抵抗器を有するPDNの断面例の図である。PDN103は、互いに積み重ねられた複数の金属層301を含むことができる。隣り合う層は、その間にビア302を含むことができ、ビア302は層301の間の導電経路である。PDN103は、負荷を外部電源104に接続する。D6層とM3層との間の抵抗器106のうちの1つを集積電流センサ100の抵抗器として選択することができる。検出されている電圧降下は、VINPとVINNとの間の差電圧である。
【0039】
集積電流センサが装置の電流消費を測定および推定するために、空間サンプリング計画に従ってPDN内の差電圧を選択することができる。空間サンプリング計画は、いくつの抵抗器または差電圧がサンプリングされるか、どこに抵抗器または差電圧が配置されるか、抵抗器または差電圧が装置のどの部分に電力を供給するか、あるいはこれらを組み合わせたものを決定することができる。例えば、1つのサンプリング計画は、プローブの最小変換閾値を満たす一つ一つの差電圧、例えば、0.2ミリボルトより大きい一つ一つの差電圧を検出および変換することを含むことができる。別の例として、サンプリング計画は、2つの隣り合う差電圧の間の最大間隔、例えば、100ミクロンまたは50ミクロン以下で差電圧を検出および変換することを含むことができる。別の例として、サンプリング計画は、電流消費がそのために測定されている特定の機能または計算タスクに基づいてカスタマイズすることができる。空間サンプリング計画は、具体的には装置の電力消費の「ホットスポット」、「コールドスポット」をカバーするために予め決定することもできる。この種の「スポット」は、装置内の空間的位置に関する熱情報または電力消費情報に基づいて決定することができる。場合によっては、空間サンプリング計画は、電流測定誤差が負荷の電流消費に対して±10%未満、±8%未満、±5%未満、または他のプリセット相対誤差百分率未満であることを確実にするように決定される。場合によっては、空間サンプリング計画は、負荷の50%超または他の百分率超の電流が測定されることを確実にするように決定される。
【0040】
図5は、装置の電流消費を検出するためのプロセス例の流れ図である。図3のプロセスを実行することができる集積電流センサを実装するためのさらなる詳細が、上記の図1および図2の説明で見られることができる。プロセス例は、任意の適切な電子装置によって実行されることができ、集積電流センサ、例えば、図2を参照して上述した集積電流センサによって実行されるものとして説明される。
【0041】
集積電流センサは、複数のプローブを使用することにより差電圧をそれぞれの電流に変換することができ、各プローブは、電圧降下を有する1つまたは複数の金属層の各部分に接続された入力対を有する(510)。図1および図2を参照して上述したように、差電圧は、さらなる電流検出要素を装置に追加する必要なしに、装置の既存PDN内の抵抗器によって生成される。やはり上述したように、プローブは、小差電圧、例えば0.1ミリボルト~2ボルトの範囲内の電圧を、検出結果を生成するために合成および集積され得る電流に変換するように構成される。プローブは、出力電流を所定の増幅で増幅することができる。差電圧および抵抗は、プローブが差電圧を電流に適切に変換するために同一である必要はない。
【0042】
変換するステップに続いて、集積電流センサは、変換された電流を合成し、それぞれの電流を、コンデンサを使用して所定の期間にわたって集積し、集積電圧を生成することができる(520)。例えば並行する変換された電流は、共に合成され、図2および図3で論じたように、所定の期間にわたって可能な急増および変動を含む全電流および平均電流消費を表すように集積される。所定の期間は、電流消費がそのために測定される必要があるタスクに基づくことができる。
【0043】
次いで、集積電流センサは、コンバータを使用して集積電圧をサンプリングおよびデジタル化することにより、装置によって消費される電流の測定値または推定値を生成することができる(530)。図2および図3を参照して上述したように、集積電流センサは、完了した集積段階に続くサンプリング段階で集積電圧をサンプリングすることができる。次いで、サンプリングされた電流は、装置の測定された部分の電流消費を表すデジタル信号を生成するためにデジタル化される。空間サンプリング計画に応じて、例えば、いくつかの抵抗器(a number of resistors)もしくは差電圧がサンプリングされること、PDN内の抵抗器の空間的位置、および抵抗器が電子通信する対象である装置の領域に応じて、装置全体の全電流消費を計算することができる。
【0044】
本明細書に記載の主題および機能動作の実施形態は、デジタル電子回路で、かつ本明細書に開示される構造およびこれらの構造の構造的同等物を含むコンピュータハードウェアで、あるいはこれらのうちの1つまたは複数を組み合わせたもので実装することができる。
【0045】
用語「負荷」は、電力消費ハードウェアを指し、例として論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含む、あらゆる種類の電子要素、装置、および装置の機能を実行するためのマシンを包含する。
【0046】
本明細書に記載のプロセスおよび論理フローは、入力データで動作し出力を生成することにより機能を実行する集積回路の1つまたは複数の電子構成要素によって実行され得る。
【0047】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載の主題の実施形態は、ユーザに対して情報を示すための表示装置、例えばCRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタを有するホスト装置と、ユーザがコンピュータに入力を行うことができるようにするキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウス、トラックボール、または感圧ディスプレイもしくは他の表面に実装することができる。ユーザとの対話を提供するために他の種類の装置も使用することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックの任意の形をとることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形で受け取ることができる。加えて、コンピュータが、ユーザによって使用される装置に文書を送信し、この装置から文書を受信することにより、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応答してユーザの装置上のウェブブラウザにウェブページを送信することにより、ユーザと対話することができる。また、コンピュータは、テキストメッセージまたは他の形のメッセージを個人用装置、例えばスマートフォンに送信すること、メッセージングアプリケーションを実行すること、およびユーザから応答メッセージを返信として受信することにより、ユーザと対話することができる。
【0048】
上述した実施形態に加えて、以下の実施形態もまた革新的である。
実施形態1は、集積電流センサを有する装置であって、装置の電力供給網内の複数の層を備える。各タイル(each tile)は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備える。装置は、複数のプローブをさらに備える。各プローブは、電圧降下を有する1つまたは複数の層の各部分に接続された入力対を有する。各プローブは、それぞれの差電圧を1つまたは複数の層を通る代表的な電流に変換するように構成される。装置は、1つまたは複数の層を通るそれぞれの電流を集積電圧に集積するように構成されたコンデンサと、装置によって消費された電流の分量を集積電圧に基づいて生成するように構成されたコンバータと、をさらに備える。
【0049】
実施形態2は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、1つまたは複数の機能は、電源から装置の負荷への電力の供給を含む。複数のプローブは、電源から負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される。
【0050】
実施形態3は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、プローブによって測定された差電圧は複数の層の一部である。
【0051】
実施形態4は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、それぞれの差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である。
【0052】
実施形態5は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択される。所定の空間サンプリング計画は、装置の計算の必要性に基づいて決定される。
【0053】
実施形態6は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である。
【0054】
実施形態7は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである。
【0055】
実施形態8は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、複数のプローブのそれぞれが、それぞれの差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される。
【0056】
実施形態9は、実施形態1に記載された集積電流センサを有する装置であって、コンバータはアナログデジタルコンバータである。
【0057】
実施形態10は、実施形態9に記載された集積電流センサを有する装置であって、コンバータは、集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングするように構成される。
【0058】
実施形態11は、装置の1つまたは複数の電流を検出する方法であって、装置の電力供給網内の1つまたは複数の層の各部分に差電圧を生成することを含む。各層は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備える。複数のプローブが1つまたは複数の層の各部分に接続される。各プローブは入力対を有する。方法は、複数のプローブが差電圧をそれぞれの電流に変換することと、コンデンサがそれぞれの電流を集積電圧に集積することと、コンバータが、装置によって消費された電流の測定値を集積電圧に基づいて生成することと、をさらに含む。
【0059】
実施形態12は、実施形態11に記載された方法であって、1つまたは複数の機能は、電源から装置の負荷への電力の供給を含む。複数のプローブは、電源から負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される。
【0060】
実施形態13は、実施形態11に記載された方法であって、プローブによって測定された差電圧は、1つまたは複数の層の一部である。
【0061】
実施形態14は、実施形態11に記載された方法であって、それぞれの差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である。
【0062】
実施形態15は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択される。所定の空間サンプリング計画は、装置の計算の必要性に基づいて決定される。
【0063】
実施形態16は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である。
【0064】
実施形態17は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである。
【0065】
実施形態18は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブのそれぞれが、それぞれの差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される。
【0066】
実施形態19は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブが差電圧をそれぞれの電流に変換することは、アナログデジタルコンバータを使用して差電圧をそれぞれの電流に変換することを含む。
【0067】
実施形態20は、実施形態11に記載された方法であって、複数のプローブが差電圧をそれぞれの電流に変換することは、集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングすることを含む。
【0068】
本明細書は多くの特定の実装形態の詳細を含んでいるが、これらは、任意の発明の範囲または特許請求され得るものの範囲の制限と解釈されるべきではなく、むしろ、特定に発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の記述と解釈されるべきである。別々の実施形態の状況で本明細書に記述されるいくつかの特徴は、単一実施形態では組み合わせて実施することもできる。逆に、単一実施形態の状況で記述される様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、または任意適当なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、いくつかの組合せで作用するものとして上に記述され得る、さらには最初にそういうものとして特許請求され得るが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特徴が、場合によっては組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態を対象とし得る。
【0069】
同様に、動作は図面に特定の順序で示されているが、これは、所望の結果を達成するために、かかる動作が図示の特定の順序で実行されること、または、すべての図示の動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上述した実施形態での様々なシステムモジュールおよび構成要素の分離は、すべての実施形態でそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、上記のプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一ソフトウェア製品に共に一体化され得る、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0070】
主題の特定の実施形態について説明してきた。他の実施形態は下記の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に列挙されたアクションは、異なる順序で実行され、依然として所望の結果を達成することができる。一例として、添付図に示されているプロセスは、所望の結果を達成するために、必ずしも図示の特定の順序、すなわち連続した順序を必要とするものではない。場合によっては、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積電流センサを有する装置であって、前記装置は、
前記装置の電力供給網内の複数の層を備え、
各層は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備え、
前記装置は、
複数のプローブをさらに備え、
各プローブは、電圧降下を有する1つまたは複数の層の各部分に接続された入力対を有し、
各プローブは、それぞれの差電圧を前記1つまたは複数の層を通るそれぞれの電流に変換するように構成され、
前記装置は、
前記1つまたは複数の層を通る前記それぞれの電流を集積電圧に集積するように構成されたコンデンサと、
前記装置によって消費された電流の分量を前記集積電圧に基づいて生成するように構成されたコンバータと
をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数の機能は、電源から前記装置の負荷への電力の供給を含み、前記複数のプローブは、前記電源から前記負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のプローブによって測定された前記差電圧は前記複数の層の一部である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記それぞれの差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択され、前記所定の空間サンプリング計画は、前記装置の計算の必要性に基づいて決定される、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のプローブのそれぞれが、前記それぞれの差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記コンバータはアナログデジタルコンバータである、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記コンバータは、前記集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングするように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
装置の1つまたは複数の電流を検出する方法であって、前記方法は、
前記装置の電力供給網内の1つまたは複数の層の複数の部分に複数の差電圧を生成することを含み、
各層は1つまたは複数の機能を実行するための回路を備え、
複数のプローブが前記1つまたは複数の層の前記複数の部分に接続され、
各プローブは入力対を有し、
前記方法は、
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することと、
コンデンサが前記それぞれの電流を集積電圧に集積することと、
コンバータが、前記装置によって消費された電流の測定値を前記集積電圧に基づいて生成することと
をさらに含む、方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数の機能は、電源から前記装置の負荷への電力の供給を含み、前記複数のプローブは、前記電源から前記負荷への電力供給を容易にするとともに、電圧降下を与えるように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のプローブによって測定された前記差電圧は、前記1つまたは複数の層の一部である、請求項11~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の差電圧は、0.1ミリボルト~2ミリボルトの範囲内である、請求項11~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のプローブは、所定の空間サンプリング計画に基づいて選択され、前記所定の空間サンプリング計画は、前記装置の計算の必要性に基づいて決定される、請求項11~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のプローブのうちの2つの隣り合うプローブの間の最小距離が100ミクロン以下である、請求項11~請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のプローブのそれぞれが電圧電流コンバータである、請求項11~請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のプローブのそれぞれが、前記複数の差電圧の高周波成分をフィルタで除去するように構成される、請求項11~請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することは、アナログデジタルコンバータを使用して前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することを含む、請求項11~請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のプローブが前記複数の差電圧をそれぞれの電流に変換することは、前記集積電圧を毎秒100回以上のサンプリングレートでサンプリングすることを含む、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】