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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両窓アセンブリ及び車両
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20240905BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
B60J1/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517589
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2022122000
(87)【国際公開番号】W WO2023051574
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111145784.3
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516151818
【氏名又は名称】フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シーシン
(72)【発明者】
【氏名】グァン,ジンリャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジェンミン
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA03
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB19
4G061CD03
4G061CD18
4G061DA10
(57)【要約】
本出願において、車両窓アセンブリ及び車両が提供される。車両窓アセンブリは、合わせガラスと、固定部材と、接続部材とを備える。合わせガラスは、車両窓アセンブリの主視野部分として、主視野方向を有する。固定部材は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝を備える。固定用溝の開口方向は主視野方向と反対であり、複数の固定用溝はそれぞれ複数の機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられる。接続部材により合わせガラスと固定部材とを接続する。機能アセンブリによって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmである。固定部材は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する。機能アセンブリの信号伝送方向は、主視野方向とほぼ同じ又は反対であるため、固定用溝を介する発信又は受信により、信号の透過率を高めることができる。同時に、固定部材は、一体成形されており、表面が平坦であり、且つ、接続部材により合わせガラスに接続されるため、全体的な強度が大きく、工程の難易度が低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両窓アセンブリであって、合わせガラスと、固定部材と、接続部材とを備え、
前記合わせガラスは、前記車両窓アセンブリの主視野部分として、主視野方向を有し、前記固定部材は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝を備え、前記固定用溝の開口方向は前記主視野方向と反対であり、前記複数の固定用溝はそれぞれ複数の機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられ、前記機能アセンブリによって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmであり、前記接続部材により前記合わせガラスと前記固定部材とを接続し、
前記合わせガラスは、少なくとも1つの熱可塑性中間層と、第1の透明板と、第2の透明板とを備え、前記第1の透明板は、第1の主表面、第1のトップ側面及び第2の主表面を有し、前記第2の透明板は、第3の主表面、第2のトップ側面及び第4の主表面を有し、前記熱可塑性中間層は前記第2の主表面と前記第3の主表面との間に挟まれており、前記固定部材は外面及び内面を有し、前記固定部材の前記外面は前記第1の主表面と同一平面にあり、前記固定部材は前記第1のトップ側面及び前記第2のトップ側面に固定的に接続されている、
ことを特徴とする車両窓アセンブリ。
【請求項2】
前記合わせガラスは、380nm~780nmの波長範囲において少なくとも70%の透過率を有し、前記固定部材は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項3】
前記合わせガラスは、780nm~2500nmの波長範囲において30%以下の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項4】
前記固定部材は、本体と、前記本体から延在する延在部とを備え、前記固定用溝は前記本体に設けられており、前記延在部と前記合わせガラスとは少なくとも部分的に重なるように設けられており、前記主視野方向に垂直な方向における前記本体の長さに対する、前記延在部と前記合わせガラスとの重なりの部分の長さの比は、0.1~1の範囲にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項5】
前記延在部は、前記第2の主表面、前記第3の主表面又は前記第4の主表面に固定的に接続されており、前記接続部材は接着層を含み、前記合わせガラスと前記固定部材とは重なりの端面を有し、前記接着層は、前記重なりの端面に対応し、前記合わせガラスと前記固定部材との間に設けられ、前記合わせガラスと前記固定部材とを接着させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項6】
前記固定部材は少なくとも1つの突出部をさらに備え、前記突出部は、前記合わせガラスに近い前記固定部材の側面から延在する、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項7】
前記合わせガラスと前記固定部材とのスプライスラインの方向において、前記合わせガラス及び前記固定部材はそれぞれ、横方向の曲率半径が3800mm以下且つ2200mm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項8】
前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1のトップ側面と前記第2のトップ側面との間の高さの差が5mm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項9】
前記接続部材は第1の接合部及び第2の接合部を含み、前記第1の接合部は、前記第1の透明板の側面又は前記第2の透明板の側面に設けられており、前記第2の接合部は前記固定部材と一体成形されており、前記第1の接合部と前記第2の接合部との協働により、前記合わせガラスと前記固定部材とが固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項10】
前記主視野方向において、前記固定部材における異なる前記固定用溝が形成された箇所の厚さは異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項11】
前記車両窓アセンブリは機能層をさらに備え、前記機能層は少なくとも前記固定用溝の前記主視野方向における内面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項12】
前記車両窓アセンブリは保護層をさらに備え、前記保護層は、前記固定部材の前記主視野方向における外面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項13】
前記合わせガラスと前記固定部材とのスプライス強度は105kg以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項14】
前記固定部材は、樹脂又は樹脂系複合材料を利用して、射出工程、押出工程又はモールドプレス工程により形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項15】
前記固定部材は、2.5mの衝撃高さから落下する227gの鋼球による衝撃を受けても破損しない強度を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項16】
前記固定部材は第1の突出部を含み、前記第1の突出部は前記熱可塑性中間層に対応して設けられており、前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1の突出部の突出長さは0.5mm以下である、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項17】
前記固定部材は第2の突出部を含み、前記第2の突出部の外面は前記第1の透明板の外面又は前記第2の透明板の外面と同一平面にあり、前記第2の突出部の内面は前記第1の透明板の外縁の一部又は前記第2の透明板の外縁の一部に対応する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項18】
前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1のトップ側面と前記第2のトップ側面との間の高さの差が2mm未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項19】
前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1のトップ側面と前記第2のトップ側面との間の高さの差が50mm以下である、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項20】
車両であって、
請求項1~19のいずれか一項に記載の車両窓アセンブリと車体フレームとを備え、前記車両窓アセンブリは、前記車体フレームに載せられ取り付けられている、
ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、発明の名称が「車両窓アセンブリ及び車両」である、2021年9月28日に出願された中国特許出願第202111145784.3号の優先権を主張し、そのすべての内容が引用として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、車両部品製造の技術分野に関し、特に車両窓アセンブリ及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は従来から人々の重要な交通手段の一つであり、先進運転支援システム(Advanced Driving Assistance System、ADAS)を統合したフロントウィンドシールドは、車両の運転体験を向上させるための重要な研究方向の一つである。
【0004】
現在、ADASの様々な機能アセンブリのほとんどは、フロントウィンドシールドの車内に位置する側に統合されており、フロントウィンドシールドに統合された付加機能が多くなっており、例えば、断熱、紫外線遮断、電気加熱、シェードバンド(shade band)の追加等が挙げられ、これらはADASの機能アセンブリの機能実現に影響を与える。フロントウィンドシールドにおけるADAS領域のみを適応的に設計する場合、必要な工程の難易度が高い。また、フロントウィンドシールドの外側にプラスチックブロックをスプライスしてADASの機能アセンブリを統合する方法もあるが、外面に凹凸があり、全体の強度が弱い。また、ADASが統合されたフロントウィンドシールドは、ADAS領域に対して局所的な光学的要求が高い。高い局所的な光学的要求を追求するために、フロントウィンドシールド全体の成形の難易度が高くなり、歩留まりが悪くなり、コストが高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、信号透過率が低く、強度が弱く、工程の難易度が高いという技術的問題を解決できる車両窓アセンブリを開示する。
【0006】
第一態様において、本出願では、車両窓アセンブリが提供される。当該車両窓アセンブリは、合わせガラスと、固定部材と、接続部材とを備える。合わせガラスは、車両窓アセンブリの主視野部分として、主視野方向を有する。固定部材は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝を備える。固定用溝の開口方向は主視野方向と反対であり、複数の固定用溝はそれぞれ複数の機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられる。機能アセンブリによって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmであり、接続部材により合わせガラスと固定部材とを接続する。
合わせガラスは、少なくとも1つの熱可塑性中間層と、第1の透明板と、第2の透明板とを備える。第1の透明板は、第1の主表面、第1のトップ側面及び第2の主表面を有する。第2の透明板は、第3の主表面、第2のトップ側面及び第4の主表面を有する。熱可塑性中間層は第2の主表面と第3の主表面との間に挟まれている。固定部材は外面及び内面を有し、固定部材の外面は第1の主表面と同一平面にあり、固定部材は第1のトップ側面及び第2のトップ側面に固定的に接続されている。
【0007】
機能アセンブリの信号伝送方向は、主視野方向とほぼ同じ又は反対であるため、固定用溝は、機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられるだけでなく、主視野方向において、固定用溝が設けられた固定部材の厚さは、固定用溝が設けられていない固定部材の厚さより小さいため、固定用溝に固定された機能アセンブリが電磁波信号を発信又は受信する際、固定用溝を介する発信又は受信により、信号の透過率を高めることができる。同時に、固定部材は、一体成形されており、表面が平坦であり、且つ、接続部材により合わせガラスに接続されるため、全体的な強度が大きく、工程の難易度が低い。
【0008】
選択的に、合わせガラスは、380nm~780nmの波長範囲において少なくとも70%の透過率を有する。固定部材は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する。
【0009】
選択的に、合わせガラスは、780nm~2500nmの波長範囲において30%以下の透過率を有する。
【0010】
選択的に、固定部材は、本体と、本体から延在する延在部とを備える。固定用溝は本体に設けられており、延在部と合わせガラスとは少なくとも部分的に重なるように設けられている。主視野方向に垂直な方向における本体の長さに対する、延在部と合わせガラスとの重なりの部分の長さの比は、0.1~1の範囲にある。
【0011】
選択的に、延在部は、第2の主表面、第3の主表面又は第4の主表面に固定的に接続されている。接続部材は接着層を含み、合わせガラスと固定部材とは重なりの端面を有する。接着層は、重なりの端面に対応し、合わせガラスと固定部材との間に設けられ、合わせガラスと固定部材とを接着させる。
【0012】
選択的に、固定部材は少なくとも1つの突出部をさらに備え、突出部は、合わせガラスに近い固定部材の側面から延在する。
【0013】
選択的に、合わせガラスと固定部材とのスプライスラインの方向において、合わせガラス及び固定部材はそれぞれ、横方向の曲率半径(horizontal radius of curvature)が3800mm以下且つ2200mm以上である。
【0014】
選択的に、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面と第2のトップ側面との間の高さの差が2mm以上である。
【0015】
選択的に、接続部材は第1の接合部及び第2の接合部を含む。第1の接合部は、第1の透明板の側面又は第2の透明板の側面に設けられている。第2の接合部は固定部材と一体成形されている。第1の接合部と第2の接合部との協働により、合わせガラスと固定部材とが固定される。
【0016】
選択的に、主視野方向において、固定部材における異なる固定用溝が形成された箇所の厚さは異なる。
【0017】
選択的に、車両窓アセンブリは機能層をさらに備え、機能層は少なくとも固定用溝の主視野方向における内面に設けられている。
【0018】
選択的に、車両窓アセンブリは保護層をさらに備え、保護層は、固定部材の主視野方向における外面に設けられている。
【0019】
選択的に、合わせガラスと固定部材とのスプライス強度は105kg以上である。
【0020】
選択的に、固定部材は、樹脂又は樹脂系複合材料を利用して、射出工程(injection process)、押出工程(extrusion process)又はモールドプレス工程(mold pressing process)により形成される。
【0021】
選択的に、固定部材は、2.5mの衝撃高さから落下する227gの鋼球による衝撃を受けても破損しない強度を有する。
【0022】
選択的に、固定部材は第1の突出部を含み、第1の突出部は熱可塑性中間層に対応して設けられており、主視野方向に垂直な方向において、第1の突出部の突出長さは0.5mm以下である。
【0023】
選択的に、固定部材は第2の突出部を含み、第2の突出部の外面は第1の透明板の外面又は第2の透明板の外面と同一平面にあり、第2の突出部の内面は第1の透明板の外縁の一部又は第2の透明板の外縁の一部に対応する。
【0024】
選択的に、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面と第2のトップ側面との間の高さの差が2mm未満である。
【0025】
選択的に、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面と第2のトップ側面との間の高さの差が50mm以下である。
【0026】
第二態様において、本出願では車両がさらに提供される。当該車両は第一態様に記載の車両窓アセンブリと車体フレームとを備える。車両窓アセンブリは、車体フレームに載せられ取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本出願の実施形態の技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、説明される図面は本出願のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力なしに、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
図1図1は、本出願の一実施形態に係る車両窓アセンブリの上面図である。
図2図2は、図1における線I-Iに沿った断面図である。
図3図3は、図1における線II-IIに沿った局部の断面図である。
図4図4は、本出願の一実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図5図5は、本出願の別の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図6図6は、本出願の他の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図7図7は、本出願のさらなる別の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図8図8は、本出願のさらなる他の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図9図9は、本出願のさらなる別の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。
図10図10は、本出願の一実施形態に係る車両の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術案を明晰に、全面的に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本出願の一部の実施形態のみであり、全ての実施形態ではない。本出願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得ることができるすべての他の実施形態は、皆本出願の保護範囲に属する。
【0029】
本出願では、車両窓アセンブリ1が提供される。図1及び図2を併せて参照すると、図1は、本出願の一実施形態に係る車両窓アセンブリの上面図である。図2は、図1における線I-Iに沿った断面図である。車両窓アセンブリ1は、合わせガラス11と、固定部材12と、接続部材13とを備える。合わせガラス11は、車両窓アセンブリ1の主視野部分として、主視線方向を有する。固定部材12は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝121を備える。固定用溝121の開口方向は主視野方向と反対であり、複数の固定用溝121はそれぞれ複数の機能アセンブリ14を固定的に取り付けるために用いられる。機能アセンブリ14によって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmであり、接続部材13により合わせガラス11と固定部材と12を接続する。
【0030】
この実施形態では、図3を併せて参照すると、図3は、図1における線II-IIに沿った局部の断面図である。合わせガラス11は、少なくとも1つの熱可塑性中間層111と、第1の透明板112と、第2の透明板113とを備える。第1の透明板112は、第1の主表面1121、第1のトップ側面1122及び第2の主表面1123を有する。第2の透明板113は、第3の主表面1131、第2のトップ側面1132及び第4の主表面1133を有する。熱可塑性中間層111は、第2の主表面1123と第3の主表面1131との間に挟まれている。固定部材12は外面及び内面を有し、固定部材12の外面は第1の主表面1121と同一平面にあり、固定部材12は第1のトップ側面1122及び第2のトップ側面1132に固定的に接続されている。
【0031】
合わせガラス11は、380nm~780nmの波長範囲において少なくとも70%の透過率を有する。固定部材12は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する。
【0032】
具体的に、車両窓アセンブリ1は車両に適用され、車両窓アセンブリ1は通常主視野部分を有する。車両の乗員は、主に主視野部分を通して車両窓アセンブリ1の外部の状況を観察する。主視野方向は、図2に矢印で示されるように、車両の乗員が車両窓アセンブリ1を通して車両の外部を観察する視線方向である。
【0033】
本実施形態では、合わせガラス11は、車両窓アセンブリ1の主視野部分として、380nm~780nmの波長範囲において少なくとも70%の透過率を有し、即ち、可視光透過率が70%以上であり、それによって、運転の安全性を確保することができる。第1の透明板112及び第2の透明板113としては、ソーダ石灰シリカガラス(soda-lime-silica glass)、アルミノケイ酸塩ガラス(aluminosilicate glass)、珪酸アルミニウムリチウム(lithium aluminum silicate、LAS)ガラス、又はホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)等の無機ガラスが用いられることができ、又は、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)ガラス、ポリメタクリル酸メチル(poly methyl methacrylate、PMMA)ガラス等の有機ガラスが用いられることもできる。熱可塑性中間層111としては、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)、エチレン酢酸ビニル(ethylene vinyl acetate、EVA)、ポリアクリレート(polyacrylate、PA)、イオン性中間膜(SentryGlas(R) Plus(SGP))、又はポリウレタン(polyurethane、PU)等から少なくとも1つ選択されることができる。熱可塑性中間層111は、単層構造又は多層構造であることができ、多層構造の例として、二層構造、三層構造、四層構造又は五層構造が挙げられることができる。接続部材13を介して、合わせガラス11の上部には、機能アセンブリ14を載せて取り付けるための固定部材12が設けられる。固定部材12は、樹脂又は樹脂系複合材料を利用して、射出工程又はモールドプレス工程により形成される。それにより、表面マッチングの精度(surface matching accuracy)を大幅に向上させることができ、合わせガラス11が機能アセンブリ14の性能要件を考慮する必要がなく、合わせガラス11の一体性を維持することができ、合わせガラス11の製造効率を大幅に向上させることができ、また、断熱、紫外線遮断、電気加熱、遮音、シェードバンドの追加等より多くの複合的な需要をより低いコストで実現することができるとともに、機能アセンブリがより良く作動し、合わせガラスから分離し互いに干渉しないようにすることができる。
【0034】
さらに、合わせガラス11は、780nm~2500nmの波長範囲において30%以下の透過率を有する。それによって、断熱要求を満たす。具体的に、着色された(tinted)熱可塑性樹脂中間膜111、着色された第1の透明板112、及び/又は着色された第2の透明板113を利用することができ、第1の透明板112の第2の主表面1123と第2の透明板113の第3の主表面1131との間に断熱アセンブリを設けることもでき、断熱アセンブリの例としては、赤外線を吸収可能な断熱コーティング、赤外線を反射可能な断熱コーティング膜等が挙げられる。当然ながら、第1の透明板112の第2の主表面1123と第2の透明板113の第3の主表面1131との間に、電気加熱アセンブリ、遮音アセンブリ、ヘッドアップディスプレイアセンブリ等を設けることもでき、それによって、除霜・曇り除去、遮音、ヘッドアップディスプレイ等の需要を満たす。
【0035】
なお、固定部材12は射出工程又は押出工程により一体成形されることができ、理解できるように、固定部材12が一体成形されることにより、固定部材12の外面が比較的平坦になり、車両のワイパーストリップ(wiper strip)の作業の安定性に有利である。また、固定部材12は非ガラス等の透明材料を利用するため、固定部材12の強度を効果的に向上させることができ、固定部材12が単板ガラス等の透明材料を利用する場合の強度不足という技術的問題を解決することができる。本実施形態において、固定部材12の強度は、中国の国家標準に規定される強化ガラスの強度、即ち、2.5mの衝撃高さから落下する227gの鋼球による衝撃を受けても破損しない強度に達することができる。
【0036】
また、固定部材12はより高い組み立ての柔軟性(assembly elasticity)と形状可塑性を有し、従来の透明基板の一定の厚さ範囲内での厚さと強度の矛盾、及び硬質透明ガラス板のスプライシング面と硬質透明ガラス板のスプライシング面とのアラインメントが困難であるという工程上の問題を解決する。理解できるように、他の可能な実施形態において、固定部材12は他の工程によって一体成形されてもよく、本出願ではそれについては限定されない。
【0037】
具体的に、異なる機能アセンブリ14の取り付けに適用できるように、固定用溝121の開口の孔径は異なっていてもよい。機能アセンブリ14は電磁波信号を発信又は受信することができる。例えば、機能アセンブリ14がレーザーレーダーである場合、波長が800nm~1600nmである近赤外線信号を発信且つ受信することができる。正しい設置角度では、レーザーレーダーが、波長が905nmである、又は波長が1550nmであるレーザーを発信する場合、信号透過率は85%以上となることができる。機能アセンブリ14がカメラである場合、可視光(波長が380nm~780nmである)又は近赤外信号(波長が780nm~1400nmである)を受信することができる。理解できるように、通常では、機能アセンブリ14が電磁波信号を発信する方向は、主視野方向とほぼ同じであり、機能アセンブリ14が電磁波信号を受信する方向は、主視野方向とほぼ反対である。
【0038】
理解できるように、本実施形態において、機能アセンブリ14の信号伝送方向は、主視野方向とほぼ同じ又は反対であるため、固定用溝121は、機能アセンブリ14を固定的に取り付けるために用いられるだけでなく、主視野方向において、固定用溝121が設けられた固定部材12の厚さは、固定用溝121が設けられていない固定部材12の厚さより小さいため、固定用溝121に固定された機能アセンブリ14が電磁波信号を発信又は受信する際、固定用溝121を介する発信又は受信により、信号の透過率を高めることができる。また、厚さを薄くした外観により、機能アセンブリの取り付け及び位置づけが容易になる。同時に、固定部材12は、一体成形されており、表面が平坦であり、且つ、接続部材13により合わせガラス11に接続されるため、全体的な強度が大きく、工程の難易度が低い。
【0039】
1つの可能な実施形態では、固定部材12が非ガラス等の透明材料で製造されるため、PC又はPMMA等の樹脂板の製造中に赤外補助剤及び添加剤(infrared auxiliary agent and additive)を添加して、SABIC PC(121R-21051)、COVESTRO PC(2405-450601)、及びHY700H-HG PMMAなどの赤外光透過率(infrared light transmittance)の高いパネルのように、固定部材12が高い赤外光透過率を実現するようにする。理解できるように、本実施形態では、固定部材12の薄型化を実現した前提で、信号透過率を向上する工程を容易に実現し、固定部材12がより高い透過率、より薄い厚さ及び良好な強度を同時に備えるようにする。
【0040】
本実施形態において、固定部材12は少なくとも1つの突出部をさらに備える。突出部は、合わせガラス11に近い固定部材12の側面から延在する。例えば、図3を再び参照すると、第1の突出部124は、第1の透明板112と第2の透明板113との間の隙間に対応するように、熱可塑性中間層111に対応して設けられている。理解できるように、互いに隣り合う箇所で合わせガラス11の表面形状と固定部材12の表面形状とが互いに対応することにより、接続部材13により合わせガラス11と固定部材12とをより良く接続することができ、それにより、合わせガラス11と固定部材12との接続強度をさらに向上させる。
【0041】
具体的に、接続部材13にスペースを予備し、且つ、第1の突出部124が合わせガラス11に当接することを防止するために、主視野方向に垂直な方向において、第1の突出部124の突出長さは0.5mm以下である。好ましくは、主視野方向に垂直な方向において、第1の突出部124の突出長さは0.4mm以下である。具体的に、主視野方向に垂直な方向において、第1の突出部124の突出長さは0.37mm、0.35mm、0.30mmであることができ、本出願ではそれについては限定されない。
【0042】
1つの可能な実施形態では、図4を併せて参照すると、図4は、本出願の一実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。固定部材12は、本体122と、本体122から延在する延在部123とを備える。固定用溝121は本体122に設けられており、延在部123と合わせガラス11とは少なくとも部分的に重なるように設けられている。主視野方向に垂直な方向における本体122の長さLに対する、延在部123と合わせガラス11との重なりの部分の長さHの比は、0.1~1の範囲にある。
【0043】
具体的に、延在部123により、固定部材12と合わせガラス11との接触面積が増加する。理解できるように、本実施形態では、延在部123は、接続部材13により合わせガラス11と固定部材12とをより良く接続することを可能にし、合わせガラス11と固定部材12との接続強度を向上させる。
【0044】
本実施形態では、主視野方向に垂直な方向における本体122の長さLに対する、延在部123と合わせガラス11との重なりの部分の長さHの比は、0.1~1の範囲にある。好ましくは、主視野方向に垂直な方向における本体122の長さLに対する、延在部123と合わせガラス11との重なりの部分の長さHの比は、0.4~0.7の範囲にあることができる。具体的に、主視野方向に垂直な方向における本体122の長さLに対する、延在部123と合わせガラス11との重なりの部分の長さHの比は、0.45、0.56、0.63などであることができ、本出願ではそれについては限定されない。
【0045】
1つの可能な実施形態では、図3及び図4を併せて参照すると、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面1122と第2のトップ側面1132はほぼ同一平面にあり、具体的に、製造工程の誤差に応じて、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面1122と第2のトップ側面1132との間の高さの差が2mm未満である。
【0046】
別の可能な実施形態では、図5図9を併せて参照すると、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面1122と第2のトップ側面1132との間の高さの差が2mm以上であり、それにより、合わせガラス11と固定部材12との接続強度をさらに向上させることができる。より好ましくは、上記高さの差は5mm以上であり、合わせガラスの一体性を考慮すると、さらに好ましくは、上記高さの差は50mm以下であり、よりさらに好ましくは、上記高さの差は20mm以下である。ここで、上記高さの差は、第1のトップ側面1122が第2のトップ側面1132より高い部分であってもよく、第2のトップ側面1132が第1のトップ側面1122より高い部分であってもよい。
【0047】
本実施形態では、固定部材12は、第2の突出部125をさらに備える。第2の突出部125は、合わせガラス11に近い固定部材12の側面から延在し、第1の透明板112の側面又は第2の透明板113の側面に対応する。
【0048】
具体的に、本実施形態は以下の点で上記実施形態と同様である。互いに隣り合う箇所で合わせガラス11の表面形状と固定部材12の表面形状とが互いに対応することにより、接続部材13により合わせガラス11と固定部材12とをより良く接続することができる。
【0049】
理解できるように、本実施形態は以下の点で上記実施形態と異なる。図5に示されたように、第2の突出部125が第1の透明板112の側面又は第2の透明板113の側面に対応するため、第2の突出部125の形状は第1の透明板112の外縁又は第2の透明板113の外縁に対応する。即ち、第2の突出部125の外面は第1の透明板112の外面又は第2の透明板113の外面と同一平面にあり、第2の突出部125の内面は第1の透明板112の外縁の一部又は第2の透明板113の外縁の一部に対応し(即ち適合し)、第2の突出部125の内面と、第1の透明板112の外縁の一部又は第2の透明板113の外縁の一部とは同様に円滑な形状を有する。理解できるように、このような設定により、合わせガラス11と固定部材12との接続強度をさらに向上させ、同時に、合わせガラス11の外面から固定部材12の外面へ円滑に移行することにより、車両窓アセンブリ1の表面全体が平坦になるようにする。
【0050】
理解できるように、本実施形態では、第2の突出部125が合わせガラス11に損傷を与えることを回避する限り、主視野方向に垂直な方向において、第2の突出部125の長さは本出願では制限されない。
【0051】
次に、延在部123と、第2の主表面1123、第3の主表面1131又は第4の主表面1133のそれぞれとの固定接続について詳細に説明する。
【0052】
1つの可能な実施形態では、図3図6を併せて参照すると、図6は、本出願の他の実施形態に係る車両窓アセンブリの局部の断面図である。接続部材13は第1の接合部131及び第2の接合部132を含む。第1の接合131部は、第1の透明板112の側面又は第2の透明板113の側面に設けられている。第2の接合部132は固定部材12と一体成形されている。第1の接合部131と第2の接合部132との協働により、合わせガラス11と固定部材12とが固定される。
【0053】
具体的に、第1の接合部131と第2の接合部132とは対応する組み合わせである。例えば、第1の接合部131がスロットである場合、第2の接合部132はバックルであり、第2の接合部132は第1の接合部131に嵌め込まれ、第1の接合部131にスナップされて固定される。別の例として、第1の接合部131が磁性素子である場合、第2の接合部132は磁性材料であり、第2の接合部132と第1の接合部131とが接触するとき、第1の接合部131と第2の接合部132との間に磁気吸引力が発生して第1の接合部131が第2の接合部132に固定される。他の例として、第1の接合部131が接着剤である場合、第2の接合部132は接着可能な部材であることができ、第2の接合部132と第1の接合部131とが接触するとき、第1の接合部131と第2の接合部132との間に接着力が発生して第1の接合部131が第2の接合部132に固定される。理解できるように、第1の接合部131と第2の接合部132との対応する組み合わせは、本出願では限定されない。
【0054】
1つの可能な実施形態では、図7を併せて参照すると、図7は、本出願のさらなる別の実施形態に係る車両窓アセンブリ1の局部の断面図である。具体的に、本実施形態では、図7に示されるように、主視野方向に垂直な方向において、第1の透明板112は第2の透明板113より高い。第1の接合部131は、第2の透明板113に近い第1の透明板112の側面に設けられている。接続部材13は、第3の接合部133と第4の接合部134とをさらに備える。第3の接合部133は、第1の透明板112から離れる第2の透明板113の側面に設けられており、第4の接合部134は固定部材12から延在し、第4の接合部134と第3の接合部133との協働により、合わせガラス11と固定部材12との固定を補強する。
【0055】
本実施形態では、合わせガラス11と固定部材12とのスプライスラインの方向(splice line direction)において、合わせガラス11及び固定部材12はそれぞれ、横方向の曲率半径が3800mm以下且つ2200mm以上である。それによって、合わせガラス11と固定部材12とのスプライス強度を確保することを前提として、スプライスラインから車体のルーフ側に向かう方向で、固定部材12の表面が一定の移行均一性を有するよう最適化し、且つ固定部材12の電磁波信号ウィンドウ(electromagnetic-wave-signal window)の光学的表面精度を最適化する。具体的に、±100mmの範囲内で、スプライスラインの両側の固定部材12と合わせガラス11の面の曲率半径がいずれも2500mm以上であり、それによって、合わせガラス11の表面の急な曲げ又は固定部材12の表面の急な曲げによる強度不足を回避する。理解できるように、本実施形態では、合わせガラス11と固定部材12とのスプライス強度は105kg以上である。
【0056】
なお、いわゆるスプライスラインの方向における横方向の曲率半径は、図1に示されたように、合わせガラス11と固定部材12との間の接続ラインの延長方向における曲げ程度を意味し、さらに、合わせガラス11に垂直な方向において、内向きの又は外向きの曲げ程度であると理解されることもできる。スプライス強度は、以下の意味を有する。車両窓アセンブリ1がその外縁の形状にマッチングする板金フレームに載置され、車両窓アセンブリ1の幾何学的中心に荷重が加えられ、荷重が加えられる面積を200mm×200mmとし、加えられる荷重は毎回5kgずつ増え、車両窓アセンブリ1に初めての亀裂又はスプライス破断が発生するまでの車両窓アセンブリ1に加えられる荷重の総重量がスプライス強度である。
【0057】
理解できるように、他の可能な実施形態では、合わせガラス11と固定部材12との固定接続に影響を与えない限り、接続部材13の数及び形態は本出願では限定されない。
【0058】
図3図7を再び参照すると、主視野方向に垂直な方向において、第1の透明板112の高さと第2の透明板113の高さは異なっていてもよく、それに応じて、固定部材12の形状も異なっていてもよく、第1の接合部131の位置も異なっていてもよく、第2の接合部132の位置も異なっていてもよい。具体的に、図8及び図9を併せて参照すると、図8は、本出願のさらなる他の実施形態に係る車両窓アセンブリ1の局部の断面図である。図9は、本出願のさらなる別の実施形態に係る車両窓アセンブリ1の局部の断面図である。理解できるように、固定部材12と合わせガラス11との接続強度に影響を与えない限り、合わせガラス11の形状及び固定部材12の形状は本出願では限定されない。
【0059】
1つの可能な実施形態では、図2を再び参照すると、主視野方向において、固定部材12における異なる固定用溝121が形成された箇所の厚さは異なる。具体的に、機能アセンブリ14が電磁波信号を発信又は受信する方向は、主視野方向とほぼ同じ又は反対であるため、異なる機能アセンブリ14によって発信又は受信される電磁波信号の周波数が異なる。従って、主視野方向に垂直な方向において、異なる固定用溝121は異なる厚さを有し、異なる機能アセンブリ14に対応する。それにより、固定部材12の強度を最大限確保した上で、信号透過率を最適化することができる。
【0060】
例えば、機能アセンブリ14がレーダーである場合、対応する固定用溝121の主視野方向における厚さは、1.8mm以下であることができる。機能アセンブリ14がマルチファンクションカメラ(multifunctional camera、MFK)である場合、対応する固定用溝121の主視野方向における厚さは、約2.5mmであることができる。機能アセンブリ14が雨センサ(Rain sensor、RS)である場合、対応する固定用溝121の主視野方向における厚さは、約3mmであることができる。
【0061】
理解できるように、本実施形態では、電磁波信号の透過率の最適化が実現される。即ち、電磁波信号が0°の入射角で入射する場合、電磁波信号の透過率が92%以上となり、好ましくは95%以上となる。電磁波信号が66°の入射角で入射する場合、電磁波信号の透過率が80%以上となり、好ましくは85%以上となる。
【0062】
1つの可能な実施形態では、図2を再び参照すると、車両窓アセンブリ1は機能層15をさらに備える。機能層15は固定部材12の表面に設けられており、固定部材12の表面は、少なくとも固定用溝121の主視野方向における内面を含む。
【0063】
具体的に、固定部材12の電磁波信号伝送効率をさらに向上させるために、少なくとも固定用溝121の主視野方向における内面を含む固定部材12の表面に、機能層15が設けられており、例として、赤外光反射防止層、可視光反射防止層、防曇層、加熱用の透明導電酸化物層等が挙げられる。理解できるように、機能層15は、マグネトロンスパッタリング、スプレー又はフィルムコーティングにより形成されることができる。
【0064】
1つの可能な実施形態では、図2を再び参照すると、車両窓アセンブリ1は保護層16をさらに備える。保護層16は、固定部材12の主視野方向における外面に設けられている。
【0065】
具体的に、固定部材12の物理的特性を向上させるために、固定部材12の主視野方向における外面、即ち、主視野方向において外側に向く面に、保護層16がさらに設けられている。本実施形態では、保護層16は、保護層16が100回転の摩耗を経った後、保護層16のヘイズが2%より小さいという程度の耐摩耗性を有する。
【0066】
1つの可能な実施形態では、図3図9を再び参照すると、接続部材13は接着層135を含む。合わせガラス11と固定部材12とは重なりの端面を有する。接着層135は、上記重なりの端面に対応し、合わせガラス11と固定部材12との間に設けられ、合わせガラス11と固定部材12とを接着させる。
【0067】
具体的に、合わせガラス11と固定部材12とは、さらに接着層135を介して接続される。理解できるように、接着層135はある程度の接着性を有し、合わせガラス11と固定部材12との間のバッファリングの役割を果たすことができ、合わせガラス11と固定部材12との接続強度をさらに向上させることができる。
【0068】
本出願では車両2がさらに提供される。図10を併せて参照すると、図10は、本出願の一実施形態に係る車両の上面図である。車両2は、上述した車両窓アセンブリ1と車体フレーム21とを備える。車両窓アセンブリ1は、車体フレーム21に載せられ取り付けられている。具体的に、車両窓アセンブリ1については上記説明を参照することができ、本明細書では繰り返さない。
【0069】
本明細書では、具体的な例を用いて本出願の原理及び実施形態を説明した。上記実施形態の説明はただ本出願の中核となる思想の理解を助けるために用いられる。同時に、当業者にとって、本出願の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲はいずれも変わるところがある。上記のように、本明細書は本出願を限定するものであると理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0070】
1…車両窓アセンブリ
11…合わせガラス
111…熱可塑性中間層
112…第1の透明板
1121…第1の主表面
1122…第1のトップ側面
1123…第2の主表面
113…第2の透明板
1131…第3の主表面
1132…第2のトップ側面
1133…第4の主表面
12…固定部材
121…固定用溝
122…本体
123…延在部
124…第1の突出部
125…第2の突出部
13…接続部材
131…第1の接合部
132…第2の接合部
133…第3の接合部
134…第4の接合部
135…接着層
14…機能アセンブリ
15…機能層
16…保護層
2…車両
21…車体フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
第一態様において、本出願では、車両窓アセンブリが提供される。当該車両窓アセンブリは、合わせガラスと、固定部材と、接続部材とを備える。合わせガラスは、車両窓アセンブリの主視野部分として、主視野方向を有する。固定部材は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝を備える。固定用溝の開口方向は主視野方向と反対であり、複数の固定用溝はそれぞれ複数の機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられる。機能アセンブリによって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmであり、接続部材により合わせガラスと固定部材とを接続する。
合わせガラスは、少なくとも1つの熱可塑性中間層と、第1の透明板と、第2の透明板とを備える。第1の透明板は、第1の主表面、第1のトップ側面及び第2の主表面を有する。第2の透明板は、第3の主表面、第2のトップ側面及び第4の主表面を有する。熱可塑性中間層は第2の主表面と第の主表面との間に挟まれている。固定部材は外面及び内面を有し、固定部材の外面は第1の主表面と同一平面にあり、固定部材は第1のトップ側面及び第2のトップ側面に固定的に接続されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
選択的に、合わせガラスは、380nm~780nmの波長範囲内の光に対して少なくとも70%の透過率を有する。固定部材は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
選択的に、合わせガラスは、780nm~2500nmの波長範囲内の光に対して30%以下の透過率を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
選択的に、主視野方向に垂直な方向において、第1のトップ側面と第2のトップ側面との間の高さの差がmm以上である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
この実施形態では、図3を併せて参照すると、図3は、図1における線II-IIに沿った局部の断面図である。合わせガラス11は、少なくとも1つの熱可塑性中間層111と、第1の透明板112と、第2の透明板113とを備える。第1の透明板112は、第1の主表面1121、第1のトップ側面1122及び第2の主表面1123を有する。第2の透明板113は、第3の主表面1131、第2のトップ側面1132及び第4の主表面1133を有する。熱可塑性中間層111は、第2の主表面1123と第の主表面1133との間に挟まれている。固定部材12は外面及び内面を有し、固定部材12の外面は第1の主表面1121と同一平面にあり、固定部材12は第1のトップ側面1122及び第2のトップ側面1132に固定的に接続されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
合わせガラス11は、380nm~780nmの波長範囲内の光に対して少なくとも70%の透過率を有する。固定部材12は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
本実施形態では、合わせガラス11は、車両窓アセンブリ1の主視野部分として、380nm~780nmの波長範囲内の光に対して少なくとも70%の透過率を有し、即ち、可視光透過率が70%以上であり、それによって、運転の安全性を確保することができる。第1の透明板112及び第2の透明板113としては、ソーダ石灰シリカガラス(soda-lime-silica glass)、アルミノケイ酸塩ガラス(aluminosilicate glass)、珪酸アルミニウムリチウム(lithium aluminum silicate、LAS)ガラス、又はホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)等の無機ガラスが用いられることができ、又は、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)ガラス、ポリメタクリル酸メチル(poly methyl methacrylate、PMMA)ガラス等の有機ガラスが用いられることもできる。熱可塑性中間層111としては、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)、エチレン酢酸ビニル(ethylene vinyl acetate、EVA)、ポリアクリレート(polyacrylate、PA)、イオン性中間膜(SentryGlas(R) Plus(SGP))、又はポリウレタン(polyurethane、PU)等から少なくとも1つ選択されることができる。熱可塑性中間層111は、単層構造又は多層構造であることができ、多層構造の例として、二層構造、三層構造、四層構造又は五層構造が挙げられることができる。接続部材13を介して、合わせガラス11の上部には、機能アセンブリ14を載せて取り付けるための固定部材12が設けられる。固定部材12は、樹脂又は樹脂系複合材料を利用して、射出工程又はモールドプレス工程により形成される。それにより、表面マッチングの精度(surface matching accuracy)を大幅に向上させることができ、合わせガラス11が機能アセンブリ14の性能要件を考慮する必要がなく、合わせガラス11の一体性を維持することができ、合わせガラス11の製造効率を大幅に向上させることができ、また、断熱、紫外線遮断、電気加熱、遮音、シェードバンドの追加等より多くの複合的な需要をより低いコストで実現することができるとともに、機能アセンブリがより良く作動し、合わせガラスから分離し互いに干渉しないようにすることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
さらに、合わせガラス11は、780nm~2500nmの波長範囲内の光に対して30%以下の透過率を有する。それによって、断熱要求を満たす。具体的に、着色された(tinted)熱可塑性樹脂中間膜111、着色された第1の透明板112、及び/又は着色された第2の透明板113を利用することができ、第1の透明板112の第2の主表面1123と第2の透明板113の第の主表面1133との間に断熱アセンブリを設けることもでき、断熱アセンブリの例としては、赤外線を吸収可能な断熱コーティング、赤外線を反射可能な断熱コーティング膜等が挙げられる。当然ながら、第1の透明板112の第2の主表面1123と第2の透明板113の第の主表面1133との間に、電気加熱アセンブリ、遮音アセンブリ、ヘッドアップディスプレイアセンブリ等を設けることもでき、それによって、除霜・曇り除去、遮音、ヘッドアップディスプレイ等の需要を満たす。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
1つの可能な実施形態では、図2を再び参照すると、主視野方向において、固定部材12における異なる固定用溝121が形成された箇所の厚さは異なる。具体的に、機能アセンブリ14が電磁波信号を発信又は受信する方向は、主視野方向とほぼ同じ又は反対であるため、異なる機能アセンブリ14によって発信又は受信される電磁波信号の周波数が異なる。従って、主視野方向に垂直な方向において、異なる固定用溝121は異なる深さを有し、異なる機能アセンブリ14に対応する。それにより、固定部材12の強度を最大限確保した上で、信号透過率を最適化することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
例えば、機能アセンブリ14がレーダーである場合、固定用溝121が設けられた固定部材12の主視野方向における厚さは、1.8mm以下であることができる。機能アセンブリ14がマルチファンクションカメラ(multifunctional camera、MFK)である場合、固定用溝121が設けられた固定部材12の主視野方向における厚さは、約2.5mmであることができる。機能アセンブリ14が雨センサ(Rain sensor、RS)である場合、固定用溝121が設けられた固定部材12の主視野方向における厚さは、約3mmであることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両窓アセンブリであって、合わせガラスと、固定部材と、接続部材とを備え、
前記合わせガラスは主視野方向を有し、前記固定部材は一体成形されており、間隔をあけて設けられた複数の固定用溝を備え、前記固定用溝の開口方向は前記主視野方向と反対であり、前記複数の固定用溝はそれぞれ複数の機能アセンブリを固定的に取り付けるために用いられ、前記機能アセンブリによって発信及び/又は受信される信号の波長範囲が380nm~1650nmであり、前記接続部材により前記合わせガラスと前記固定部材とを接続し、
前記合わせガラスは、少なくとも1つの熱可塑性中間層と、第1の透明板と、第2の透明板とを備え、前記第1の透明板は、第1の主表面、第1のトップ側面及び第2の主表面を有し、前記第2の透明板は、第3の主表面、第2のトップ側面及び第4の主表面を有し、前記熱可塑性中間層は前記第2の主表面と前記第の主表面との間に挟まれており、前記固定部材は外面及び内面を有し、前記固定部材の前記外面は前記第1の主表面と同一平面にあり、前記固定部材は前記第1のトップ側面及び前記第2のトップ側面に固定的に接続されている、
ことを特徴とする車両窓アセンブリ。
【請求項2】
前記合わせガラスは、380nm~780nmの波長範囲内の光に対して少なくとも70%の透過率を有し、前記固定部材は、0°の入射角で入射する380nm~1650nmの波長範囲内の信号に対して少なくとも92%の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項3】
前記合わせガラスは、780nm~2500nmの波長範囲内の光に対して30%以下の透過率を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項4】
前記固定部材は、本体と、前記本体から延在する延在部とを備え、前記固定用溝は前記本体に設けられており、前記延在部と前記合わせガラスとは少なくとも部分的に重なるように設けられており、前記主視野方向に垂直な方向における前記本体の長さに対する、前記延在部と前記合わせガラスとの重なりの部分の長さの比は、0.1~1の範囲にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項5】
前記延在部は、前記第2の主表面、前記第3の主表面又は前記第4の主表面に固定的に接続されており、前記接続部材は接着層を含み、前記合わせガラスと前記固定部材とは重なりの端面を有し、前記接着層は、前記重なりの端面に対応し、前記合わせガラスと前記固定部材との間に設けられ、前記合わせガラスと前記固定部材とを接着させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項6】
前記固定部材は少なくとも1つの突出部をさらに備え、前記突出部は、前記合わせガラスに近い前記固定部材の側面から延在する、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項7】
前記合わせガラスと前記固定部材とのスプライスラインの方向において、前記合わせガラス及び前記固定部材はそれぞれ、横方向の曲率半径が3800mm以下且つ2200mm以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項8】
前記接続部材は第1の接合部及び第2の接合部を含み、前記第1の接合部は、前記第1の透明板の側面又は前記第2の透明板の側面に設けられており、前記第2の接合部は前記固定部材と一体成形されており、前記第1の接合部と前記第2の接合部との協働により、前記合わせガラスと前記固定部材とが固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項9】
前記車両窓アセンブリは機能層をさらに備え、前記機能層は少なくとも前記固定用溝の前記主視野方向における内面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項10】
前記車両窓アセンブリは保護層をさらに備え、前記保護層は、前記固定部材の前記主視野方向における外面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項11】
前記合わせガラスと前記固定部材とのスプライス強度は105kg以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項12】
前記固定部材は第1の突出部を含み、前記第1の突出部は前記熱可塑性中間層に対応して設けられており、前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1の突出部の突出長さは0.5mm以下であり、及び/又は、
前記固定部材は第2の突出部を含み、前記第2の突出部の外面は前記第1の透明板の外面又は前記第2の透明板の外面と同一平面にあり、前記第2の突出部の内面は前記第1の透明板の外縁の一部又は前記第2の透明板の外縁の一部に対応する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項13】
前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1のトップ側面と前記第2のトップ側面との間の高さの差が2mm未満である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項14】
前記主視野方向に垂直な方向において、前記第1のトップ側面と前記第2のトップ側面との間の高さの差が2mm以上且つ50mm以下である、
ことを特徴とする請求項に記載の車両窓アセンブリ。
【請求項15】
車両であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の車両窓アセンブリと車体フレームとを備え、前記車両窓アセンブリは、前記車体フレームに載せられ取り付けられている、
ことを特徴とする車両。
【国際調査報告】