(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】新規なアミンN-オキシド化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 291/04 20060101AFI20240905BHJP
C07C 209/60 20060101ALI20240905BHJP
C07C 217/58 20060101ALI20240905BHJP
C09K 23/18 20220101ALI20240905BHJP
C07D 295/24 20060101ALI20240905BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
C07C291/04 CSP
C07C209/60
C07C217/58
C09K23/18
C07D295/24
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518094
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022076255
(87)【国際公開番号】W WO2023046768
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039957
【氏名又は名称】カール-フランツェンス-ウニベルシテート グラーツ
(71)【出願人】
【識別番号】522422001
【氏名又は名称】レイクスユニバーシテイト フローニンゲン
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】バルタ ヴァイサート、カタリン
(72)【発明者】
【氏名】ホーヘガー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】バーリント、フリードリッヒ
【テーマコード(参考)】
4D077
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4D077AA10
4D077DC02X
4D077DC04X
4D077DC19X
4D077DC42X
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB68
4H006AC25
4H006AC43
4H006AC52
4H006BA51
4H006BA65
4H006BB25
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC31
4H006BE10
4H006BE32
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BU38
4H006BU50
4H039CA61
4H039CD20
(57)【要約】
本発明は、下記式(I)または(II):
[式中、R
1は、4ないし26の炭素原子を有し、場合により、少なくとも1個のOまたはS原子を有する炭化水素残基から選ばれ;R
2、R
3およびR
5は、それぞれ独立して、水素、R
1-O-、R
8から選ばれ、そして式(I)では-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6からも選ばれ、ここで、R
8は、1ないし26の炭素原子を有し、場合により、少なくとも1個のOまたはS原子を有する炭化水素ラジカルを表し;R
4は、水素およびR
8から選ばれ;および各R
6は、独立して、1ないし6の炭素原子を有し、場合により、少なくとも1個のN、OまたはS原子を有する炭化水素ラジカルから選ばれる;
ここで場合により、同一窒素原子に結合している2つのラジカルR
6は接続して、5または6員の含窒環を形成してもよく、あるいはここで場合により、部分-N
+(O
-)R
6R
6の一方または両方のラジカルR
6は、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のラジカルR
6に結合して、構造
(式中、破線は、2つのラジカルR
6間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)による二量体を形成してもよい。]
によるアミンN-オキシド化合物を製造するための方法であって、
ここで、当該方法は、以下の工程:
1)極性溶媒中、ホルムアルデヒドの存在下、ベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化反応により、下記式(III):
[式中、各R
7は、独立して、水素、ヒドロキシ、およびR
8から選ばれる。]
によるフェノール誘導体を、二級アミンHNR
6R
6と反応させて、それにより、フェノール性OH基に対してオルト位の水素原子と、場合により、式(II)のフェノール誘導体の他の置換可能な水素原子R
7を、-CH
2-NR
6R
6部分(それぞれ)で置換して、式(IV)または(V):
[式中、各R
7は、独立して、水素、ヒドロキシ、R
8から選ばれ、そして式(IV)では-CH
2-NR
6R
6からも選ばれる。]
による対応するベッティ塩基を得ること;
2)有機溶媒中または無溶媒で、塩基の存在下、ウィリアムソンによるエーテル化反応により、式(IV)または(V)のそれぞれのベッティ塩基の、(2つの)フェノール性OH基と、場合により、任意のさらなる遊離OH基R
7を、式R
1-X(式中、Xは、ハライドおよびスルホナートから選ばれる脱離基を表す。)による化合物と反応させて、式(VI)または(VII):
[式中、各R
7は、独立して、水素、R
1-O-、R
8から選ばれ、そして式(VI)では-CH
2-NR
6R
6からも選ばれる。]
による対応するエーテルを得ること;および
3)水、有機溶媒またはそれらの混合物中、酸化剤との反応によって、式(VI)または(VII)のそれぞれのエーテルの任意のアミノ基-NR
6R
6を酸化して、式(I)または(II)のアミンN-オキシド化合物を得ること、
を含む、方法;ならびに
このようにして製造されたアミンN-オキシド、およびそれらの界面活性剤としての使用、
に関する。
【選択図】
図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)または(II):
【化1】
[式中、
各R
1は、4ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R
2、R
3およびR
5は、それぞれ独立して、水素、R
1-O-、R
8から選ばれ、そして式(I)では-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6からも選ばれ、ここで、R
8は、1ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルを表し、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R
4は、水素およびR
8から選ばれ;および
各ラジカルR
6は、独立して、1ないし6の炭素原子を有する、飽和の直鎖または分枝の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、窒素、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
ここで場合により、同一窒素原子に結合している2つのラジカルR
6は接続して、5または6員の含窒環を形成してもよく、あるいは
ここで場合により、アミンN-オキシド部分-N
+(O
-)R
6R
6の一方または両方のラジカルR
6は、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のラジカルR
6に結合して、構造
【化2】
(式中、破線は、2つのラジカルR
6間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)による二量体を形成してもよい。]
によるアミンN-オキシド化合物を製造するための方法であって、
当該方法は、以下の工程:
1)極性溶媒中、ホルムアルデヒドの存在下、ベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化反応により、下記式(III):
【化3】
[式中、各R
7は、独立して、水素、ヒドロキシ、およびR
8から選ばれる。]
によるフェノール誘導体を、二級アミンHNR
6R
6と反応させて、それにより、フェノール性OH基に対してオルト位の水素原子と、場合により、式(II)のフェノール誘導体の他の置換可能な水素原子R
7を、-CH
2-NR
6R
6部分(それぞれ)で置換して、式(IV)または(V):
【化4】
[式中、各R
7は、独立して、水素、ヒドロキシ、R
8から選ばれ、そして式(IV)では-CH
2-NR
6R
6からも選ばれる。]
による対応するベッティ塩基を得ること;
2)有機溶媒中または無溶媒で、塩基の存在下、ウィリアムソンによるエーテル化反応により、式(IV)または(V)のそれぞれのベッティ塩基の、(2つの)フェノール性OH基と、場合により、任意のさらなる遊離OH基R
7を、式R
1-X(式中、Xは、ハライドおよびスルホナートから選ばれる脱離基を表す。)による化合物と反応させて、式(VI)または(VII):
【化5】
[式中、各R
7は、独立して、水素、R
1-O-、R
8から選ばれ、そして式(VI)では-CH
2-NR
6R
6からも選ばれる。]
による対応するエーテルを得ること;および
3)水、有機溶媒またはそれらの混合物中、酸化剤との反応によって、式(VI)または(VII)のそれぞれのエーテルの任意のアミノ基-NR
6R
6を酸化して、式(I)または(II)のアミンN-オキシド化合物を得ること、
を含む、方法。
【請求項2】
工程1)において、式(III)のフェノール誘導体が、それぞれ1.5当量の二級アミンとホルムアルデヒドと反応し、当該反応が、水中、室温で行われる、
ことにより特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程2)において、
固-液相間移動反応が、相間移動触媒の存在下、固体塩基を用いて行われる;および/または
クロリドまたはブロミドが、該脱離基Xとして使用される;および/または
無水溶媒が使用される、
ことにより特徴づけられる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程2)において、
粉末化KOHが、該固体塩基として使用される;
テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)が、該相間移動触媒として使用される;
ブロミドが、該脱離基Xとして使用される;および
無水2-メチルテトラヒドロフランが、溶媒として使用される、
ことにより特徴づけられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程3)において、
H
2O
2の水溶液が、該酸化剤として使用され、ここで場合により、ギ酸メチルエステルが、追加溶媒として添加されてもよく;および/または
式(VI)または(VII)のエーテルが、2.5ないし3当量のH
2O
2と反応する、
ことにより特徴づけられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、下記式(I)または(II):
【化6】
[式中、
各R
1は、4ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R
2、R
3およびR
5は、それぞれ独立して、水素、R
1-O-、R
8から選ばれ、そして式(I)では-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6からも選ばれ、ここで、R
8は、1ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルを表し、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R
4は、水素およびR
8から選ばれ;および
各ラジカルR
6は、独立して、1ないし6の炭素原子を有する、飽和の直鎖または分枝の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、窒素、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
ここで場合により、同一窒素原子に結合している2つのラジカルR
6は接続して、5または6員の含窒環を形成してもよく、あるいは
ここで場合により、アミンN-オキシド部分-N
+(O
-)R
6R
6の一方または両方のラジカルR
6は、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のラジカルR
6に結合して、構造
【化7】
(式中、破線は、2つのラジカルR
6間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)による二量体を形成してもよい。]
によるアミンN-オキシド化合物。
【請求項7】
R
1が、C
6-C
22アルキルであり;および/または
R
2が、C
1-C
22アルキル、C
1-C
22アルコキシ、および-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6から選ばれ;および/または
R
3およびR
5が、それぞれ、水素および-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6から選ばれ;および/または
R
4が、水素、C
1-C
4アルキル、およびC
1-C
4アルコキシから選ばれる、
ことにより特徴づけられる、請求項6に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項8】
R
1が、C
8-C
18アルキルであり;および/または
R
2が、C
1-C
18アルコキシおよび-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6から選ばれ;および/または
R
4およびR
5が、それぞれ、水素およびC
1-C
4アルキルから選ばれる、
ことにより特徴づけられる、請求項7に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項9】
R
1が、C
8-C
18アルキルであり;
R
2が、C
1-C
18アルコキシであり;
R
3およびR
5の一方が水素、かつ他方が-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6であり;および
R
4が、C
1-C
4アルキルである、
ことにより特徴づけられる、請求項7に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項10】
R
1が、C
8-C
18アルキルであり;
R
2が、C
1-C
18アルコキシであり;
R
3およびR
5が、それぞれ、水素であり;および
Rが、C
1-C
4アルキルである、
ことにより特徴づけられる、請求項7に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項11】
R
2が、メトキシであり;および
R
4が、エチルまたはプロピルである、
ことにより特徴づけられる、請求項10に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項12】
R
1が、C
8-C
18アルキルであり;
R
2が、-CH
2-N
+(O
-)R
6R
6であり;
R
3およびR
5が、それぞれ、水素であり;および
R
4が、C
1-C
4アルキルである、
ことにより特徴づけられる、請求項7に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項13】
各ラジカルR
6が、独立して、メチル、エチル、およびジメチルアミノエチルから選ばれ;および/または
同一窒素原子に結合している2つのラジカルR
6が接続して、当該窒素原子と共に、以下の基:
【化8】
(式中、アスタリスクは、芳香環へのそれぞれ接続を示す。)
の1つを形成し;および/または
全てのラジカルR
6がメチルであり、部分-N
+(O
-)(CH
3)
2の一方または両方のメチル基が、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のメチル基R
6に結合して、構造
【化9】
(式中、破線は、2つのメチル基間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)によるアミンN-オキシド化合物の二量体を形成する、
ことにより特徴づけられる、請求項6ないし12のいずれか1項に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項14】
以下の化合物:
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (1)
【化10】
N,N-ジメチル-1-(2-デシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (2)
【化11】
N,N-ジメチル-1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (3)
【化12】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-テトラデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (4)
【化13】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (5)
【化14】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクタデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (6)
【化15】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピロリジン-1-オキシド (7)
【化16】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペリジン-1-オキシド (8)
【化17】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-4-メチルピペラジン-1,4-ジオキシド (9)
【化18】
N,N-ジメチル-N’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-N’-メチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (10)
【化19】
1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,4-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド)および1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,6-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (11)
【化20】
1,1’-(5-エチル-2-オクチルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (12)
【化21】
1,1’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (13)
【化22】
1,1’-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (14)
【化23】
1,1’-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (15)
【化24】
1,4-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (16)
【化25】
1,4-ビス(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (17)
【化26】
N,N’-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)-N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (18)
【化27】
から選ばれる、
ことにより特徴づけられる、請求項6ないし13のいずれか1項に記載のアミンN-オキシド化合物。
【請求項15】
請求項6ないし14のいずれか1項に記載の式(I)または(II)のアミンN-オキシド化合物の界面活性剤としての使用であって、ここで、ラジカルR
1ないしR
5の炭素原子の総数が、少なくとも9個である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアミンN-オキシド化合物を製造するための方法、そのようにして製造される化合物、およびその界面活性剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
リグニンは、豊富な芳香族生体高分子であり、その構造は、主に、3つの置換フェノール類、いわゆるモノリグノール類(p-クマリル、コニフェリルおよびシナピルアルコール)に基づいており、非晶質3次元構造を形成する、種々の異なるC-OおよびC-C結合によって特徴付けられる。工業的に使用可能な単分子フェノールおよび/またはベンズアルデヒド誘導体を得るために、解重合によってリグニンの接触分解を可能にする様々な方法が開発されている。モノマーに加えて、これらの解重合プロセスの生成物には、フェノールのジ-、トリ-およびオリゴマーも含まれる場合がある。
【0003】
ごく最近、還元的または酸化的反応戦略を主に含む、リグニンの選択的解重合が可能になる様々な方法が開発された。前者は通常、長さが通常1ないし3個の炭素原子で、アルコール、アルデヒド、エステルおよび/またはケトン官能性を有する脂肪族ラジカルを有するフェノール、グアヤコールまたはシリンゴール誘導体を生成する。一方、後者は通常、バニリンやシリンガアルデヒドのような芳香族アルデヒド、または同様に官能化されたグアヤコールおよびシリンゴール誘導体を与える。このような解重合プロセスの主生成物には、それぞれ、グアヤコールとシリンゴール、またはバニリンとシリンガアルデヒドが含まれ、それらはそれぞれ、芳香環上に1つまたはそれ以上のアルキルおよび/またはアルコキシ置換基を有することが多い。
【0004】
言及したリグニン分解生成物はすべて、生物学に基づく貴重な資源であり、そこから近年、多くの様々な製品が生産されている。本発明者らの研究によると、界面活性剤はほとんど存在しないが、この分野でも、非食用で再生可能な原料に基づいて合成できる製品が必要である。
【0005】
文献では、一般に、カルボン酸、スルホン酸や第四級アンモニウム塩のような、1つまたはそれ以上のイオン性親水基を有する疎水性炭化水素からなる多数の他の両親媒性化合物に加えて、両性イオン性アミンN-オキシドも界面活性剤として使用することが開示されている。しかし、これらは実際には、ほとんど、脂肪アミン、すなわち、8個またはそれ以上、例えば少なくとも12個の炭素原子を有する第3級アルキルアミンのN-オキシドだけである。しかし、その中から、芳香族ラジカルを有するアミンN-オキシドを見つけることは事実上不可能である。
【0006】
本発明者らは、現在、そのようなアミンN-オキシドが界面活性剤として開示されている一握りの刊行物しか知らないが、例えば、Goracciら,ChemBioChem 6(1),197-203(2005),Cesaretiら,Phys.Chem.Chem.Phys.17(26),17214-17220(2015)、およびGabrieleら,Langmuir 34(38),11510-11517(2018)が挙げられる。しかし、すべての場合において、同じアミンN-オキシド、すなわち4-またはp-ドデシルオキシベンジルジメチルアミンN-オキシド(略称:「pDoAO」)が常に記載され、検討されている:
【0007】
【0008】
2005年のGoracciらでは、この物質の起源として、以下のスキームによる、p-ドデシルオキシベンジルブロミドのジメチルアミンとの反応と、それに続く過酸化水素を用いた当該アミンの酸化を含む製造プロセスが述べられており、両ステージを合わせた収率が88%と述べている:
【0009】
【0010】
数年後、Di Crescenzoら,Eur.J.Org.Chem.28,5641-5648(2011)もまた、以下に示すように、まず、OH基をドデシルブロミドでエーテル化し、その後アルデヒド基をNaBH4を用いてOHに還元し、これをPBr3を用いて臭素に交換する(しかし、このブロミドはその後アミンN-オキシドpDoAOに変換されず、むしろトリメチルアミンと反応して、pDoTABrと呼ばれる四級アンモニウム塩であるp-ドデシルオキシベンジルトリメチルアンモニウムブロミドを形成する)という、4-ヒドロキシベンズアルデヒドから出発したp-ドデシルオキシベンジルブロミドの合成を記載している:
【0011】
【0012】
これら3段階のうち、最初の2段階の合わせた収率は、Di Crescenzoらは85%と述べているが、最後の臭素化反応については対応する値がない。臭素化反応の最適収率を100%とした場合、4-ヒドロキシベンズアルデヒドからpDoAOを合成する一連の反応全体の収率は約75%であるが;臭素化反応の収率をより現実的な95%程度と仮定すると、全体の収率は約70%にしかならない。これは、原則としては、5段階の合成プロセスとしては悪い値ではないが、工業的規模での合成に関しては、実際にはまだ満足できるものではない。
【0013】
さらに、4-ヒドロキシベンズアルデヒドは、通常のリグニン分解生成物の一つではない。むしろ、上述したように、これらは、アルキルおよび/またはアルコキシで多重置換された、フェノール類またはベンズアルデヒド類を主に含んでいる。従って、4-ヒドロキシベンズアルデヒドは経済的な出発生成物とはみなされず、いかなる場合でも生物学に基づく資源とはみなされない。同じことが、pDoAOを製造するための上記の合成プロセスにおいて化学量論的量で使用する試薬NaBH4やPBr3にも当てはまる。
【0014】
このような背景に対し、本発明の目的は、界面活性剤として適した芳香族アミンN-オキシドを、リグニンの分解の過程で大量に生じる生成物または類似の化合物を官能化することにより、そして好ましくは環境に優しい方法で、製造するための新規な合成プロセスを開発することであった。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、第一の態様において、下記式(I)または(II):
【0016】
【0017】
[式中、
各R1は、4ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R2、R3およびR5は、それぞれ独立して、水素、R1-O-、R8から選ばれ、そして式(I)では-CH2-N+(O-)R6R6からも選ばれ、ここで、R8は、1ないし26の炭素原子を有する、直鎖、分枝または環状の炭化水素ラジカルを表し、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
R4は、水素およびR8から選ばれ;および
各ラジカルR6は、独立して、1ないし6の炭素原子を有する、飽和の直鎖または分枝の炭化水素ラジカルから選ばれ、ここで場合により、少なくとも1個の炭素原子は、窒素、酸素または硫黄原子で置き換わっていてもよく;
ここで場合により、同一窒素原子に結合している2つのラジカルR6は接続して、5または6員の含窒環を形成してもよく、あるいは
ここで場合により、アミンN-オキシド部分-N+(O-)R6R6の一方または両方のラジカルR6は、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のラジカルR6に結合して、構造
【0018】
【0019】
(式中、破線は、2つのラジカルR6間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)による二量体を形成してもよい。]
によるアミンN-オキシド化合物を製造するための方法であって、
当該本発明の方法は、以下の工程:
1)極性溶媒中、ホルムアルデヒドの存在下、ベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化反応により、下記式(III):
【0020】
【0021】
[式中、各R7は、独立して、水素、ヒドロキシ、およびR8から選ばれる。]
によるフェノール誘導体を、二級アミンHNR6R6と反応させて、それにより、フェノール性OH基に対してオルト位の水素原子と、場合により、式(II)のフェノール誘導体の他の置換可能な水素原子R7を、-CH2-NR6R6部分(それぞれ)で置換して、式(IV)または(V):
【0022】
【0023】
[式中、各R7は、独立して、水素、ヒドロキシ、R8から選ばれ、そして式(IV)では-CH2-NR6R6からも選ばれる。]
による対応するベッティ塩基を得ること;
2)有機溶媒中または無溶媒で、塩基の存在下、ウィリアムソンによるエーテル化反応により、式(IV)または(V)のそれぞれのベッティ塩基の、(2つの)フェノール性OH基と、場合により、任意のさらなる遊離OH基R7を、式R1-Xに(式中、Xは、ハライドおよびスルホナートから選ばれる脱離基を表す。)よる化合物と反応させて、式(VI)または(VII):
【0024】
【0025】
[式中、各R7は、独立して、水素、R1-O-、R8から選ばれ、そして式(VI)では-CH2-NR6R6からも選ばれる。]
による対応するエーテルを得ること;および
3)水、有機溶媒またはそれらの混合物中、酸化剤との反応によって、式(VI)または(VII)のそれぞれのエーテルの任意のアミノ基-NR6R6を酸化して、式(I)または(II)のアミンN-オキシド化合物を得ること、
を含む、方法を提供することによって、この目的を達成する。
【0026】
このように、本発明によれば、一連の公知の個別の反応を含む、比較的簡単でかつ安価な方法により、式(III)のフェノール誘導体からアミンN-オキシド化合物を合成することが可能である。本発明による方法は、3つの反応工程のみを含み、すなわち、冒頭で述べた、Di CrescenzoらとGoracciらを合わせた開示から誘導可能である、唯一の既知の芳香族アミンであるN-オキシドpDoAOの製造プロセスよりも2つ少なく、それによって、本発明によれば、式(I)または(II)による化合物は、90%を超える総収率でも入手可能な場合がある。好ましい実施態様では、出発化合物はまた、容易に入手可能なリグニン解重合の生成物であり、そして当該方法は、特に、ベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化およびウィリアムソンによる当該生成物のエーテル化の両方が、高レベルの原子経済性によって特徴付けられるので、可能な限り最も環境に優しい方法で実施される。
【0027】
さらに、本方法の好ましい実施態様では、工程1)におけるベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化は、水中で、より好ましくは室温で行われ、これにより、溶媒および大量のエネルギーの使用が回避され、そして驚くべきことに、収率も高めることができる。しかし、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノールや、アセトニトリルやトルエンのような有機溶媒を、水の代わりにまたは水と混合して使用することもできる。しかし、式(III)のフェノール誘導体の溶解度がこれを可能にする限り、唯一の溶媒として水を使用することが好ましい。
【0028】
後者は、式(I)の単量体アミンN-オキシド化合物を所望する場合、芳香族の1つの位置のみでの完全なアミノアルキル化を確実にするために、工程1)で、それぞれ1.05当量より好ましくは1.5当量の二級アミンおよびホルムアルデヒドと反応させることが好ましい。ダブルのアミノアルキル化を所望する場合、2つの-CH2-NR6R6部分をそれぞれオルト位に導入するために、使用する出発化合物は、2つのオルト位が非置換であるが、パラ位が非常に十分に置換されている、例えばアルキル化されている、式(III)のフェノール誘導体が好ましい。1個のオルト水素原子しか置換できない場合、式(IV)のダブルにアミノアルキル化されたベッティ塩基の異性体混合物が得られることが多い。しかし、式(II)による二量体アミンN-オキシド化合物を製造する場合、式(III)のフェノール誘導体は、好ましくは二級ジアミン(または二級アミンの二量体)に対して2:1の割合で使用される。
【0029】
代替的または付加的に、本方法のいくつかの好ましい実施態様において、エーテル化工程2)で、固体塩基を用いて、相間移動触媒の存在下で、固-液相間移動反応を行って、転化率を増加させる。本発明者らによる、ウィリアムソンによるエーテル化の標準的なプロトコルを用いた実験、すなわち、様々な塩基の溶液を用い、様々な温度で、様々な溶媒中の単相での実験でも所望の化合物が得られたが、その程度に差はあるが、副生成物の形成が生じた。その理由は、オルト位に遊離OH基を有する式(IV)のベッティ塩基は、以下に示すように、分解してそれぞれオルトキノンメチドを形成する傾向があるからである:
【0030】
【0031】
オルソキノンメチドは、非常に反応性が高く重合する傾向があるため、同様の出発化合物を用いたベッティによるアミノアルキル化反応は文献上まったく知られていない。
【0032】
熱および塩基(または酸)の存在の両方が、ベッティ塩基の分解およびオルトキノンメチドの重合を促進するという事実は、一方では、本発明者らによる工程1)における好ましい反応制御のための別の理由、他方では、本発明者らによる工程2)における固-液相間移動反応の進行のための別の理由である。このことは、影響を受けやすい2つの部分の存在により、より分解や重合が起こりやすい、式(V)の二量体ベッティ塩基に特に当てはまる。
【0033】
特に好ましい実施態様において、塩基は、固体形態で式(IV)または(V)のそれぞれのベッティ塩基に添加され、反応物は、有機溶媒中かまたは無溶媒で、特に室温で、互いに反応する。特に好ましいのは、該脱離基としてクロリドまたはブロミド、特にブロミドを使用すること、および副生成物の形成を抑制するために無水溶媒を使用することである。アセトニトリルのような他の溶媒を用いた一連の試験の結果、特に無水2-メチルテトラヒドロフランが、所望の生成物の転化率および選択率を最も促進することができたので、成功することが証明された。メシレートやトシレートのようなスルホナートも該脱離基として使用できるが、長鎖脂肪アルコールスルホンネートの使用は、それ自体がすでに界面活性剤であるため不経済である。
【0034】
前述したように、アルカリ金属炭酸塩および水酸化物の種々の水溶液が該塩基として当初検討されたが、その後、上記の理由から、塩基の固体粉末が使用され、NaOHおよび特に粉末化KOHが成功することが証明された。テトラ-n-ブチルアンモニウムブロミド(TBAB)は、本発明による該相間移動触媒として特に好ましいが、他の一般的な触媒、例えば種々の他の四級アンモニウム化合物もまた使用することができる。
【0035】
本発明による方法の好ましい実施態様では、両親媒性分子の精製は通常、非常に複雑であるため、工程3)もまた、温和で環境に優しい方法で、そして可能な限り高い定量的転化率で実施される。これらの好ましい実施態様のいくつかにおいて、H2O2の水溶液が該酸化剤として使用され、場合により追加溶媒としてギ酸メチルが添加され、式(VI)または(VII)のエーテルは、完全な転化を確実にするために、より好ましくは2.5ないし3当量のH2O2と反応させる。
【0036】
触媒を使用する時には、ジクロロメタンやアセトニトリルのような有機溶媒も適しているが、H2O2の水溶液(例えば30%)が優れた酸化剤であることが証明されている。溶解度を高めるために、特に二量体アミンN-オキシドの場合は、少量の有機溶媒を添加でき、その目的には、本発明によれば、ギ酸メチルが好ましい。
【0037】
第二の態様において、本発明はまた、第一の態様による方法によって製造される、式(I)または(II):
【0038】
【0039】
[式中、R1ないしR6は、それぞれ、上記定義の通りである。]
によるアミンN-オキシド化合物を提供する。
【0040】
そのような式(I)によるアミンN-オキシドモノマーまたは式(II)による対応する二量体は、容易に入手可能なリグニン分解生成物から、比較的簡単でかつ環境に優しい方法で製造することができるだけでなく、界面活性剤として非常に適している。N-オキシド基の高い親水性と芳香族の疎水性により、ラジカルR1ないしR5における炭素原子数が一桁であっても、必要な両親媒性を化合物に付与するのに十分である。
【0041】
しかし、ラジカルR1ないしR5における炭素原子数は、好ましくは少なくとも9個である。このことは、2つまたはそれ以上のアミンN-オキシド部分-CH2-N+(O-)R6R6が芳香族に結合している場合、疎水性に関して特に好ましい。しかしまた、リグニンの解重合の主生成物には、冒頭で述べた、グアヤコールやシリンゴールの誘導体だけでなく、カテコールの誘導体、特に低級アルキルおよび/または低級アルコキシで1回または2回置換された誘導体も含まれるという事実は、それぞれの遊離フェノール性OH基を、容易に入手可能で生分解性の脂肪アルキルラジカルで、エーテル化するだけでよいので、少なくとも9個の炭素原子を有するアミンN-オキシド化合物の合成を単純化する。
【0042】
一方では、脂肪アルコールは天然には、飽和の形態および不飽和の形態、すなわち1つまたはそれ以上のC=C二重結合を有する形態の両方の形態で存在し、他方では、冒頭で述べたように、リグニン分解生成物は、置換基として、1つより多い芳香環だけでなく非芳香環(例、ジオキソラン)も有することができるため、本発明によるR1ないしR5の定義には、飽和および不飽和の両方ならびに環状のラジカルが含まれる。
【0043】
式(I)によるアミンN-オキシドモノマーに加えて、式(II)によるダイマーも本発明の一部であるという事実は、ベッティ/マンニッヒによるアミノアルキル化反応で始まる合成によるものであり、これは、類似の方法で二級モノ-またはジアミンを用いて進行する合成であり、本発明の第一の態様に関連してより詳細に説明され、後の実施例によって証明される。
【0044】
ラジカルR1ないしR5の炭素原子数の下限と上限は、出発生成物中の遊離フェノール性OH基のエーテル化には、脂肪アルキルラジカルの使用が好ましいことを指しており、その鎖長については、文献では、下限として4ないし6の間、上限として22と26の間と特定している。
【0045】
本発明によれば、エーテル化によって合成プロセスの過程で導入される脂肪アルキルラジカルについては、最大長18個の炭素原子が好ましく、出発物質において芳香族にすでに結合している、アルキルもしくはアルコキシラジカル、または場合によりアルキルチオラジカルについては、それぞれ最大長4個の炭素原子が好ましく、エーテル基R1-O-に対してパラ位のラジカルR4に特に適用される。
【0046】
一部の炭素原子が酸素または硫黄で置き換わっていてもよいというオプションも、主に、好ましくはリグニン解重合によって得られる出発化合物の置換パターンを指しており、冒頭で述べたように、これは、種々の酸素含有官能性、時にはその硫黄類似体も有していてもよい。ハロゲンや窒素のような他のヘテロ原子は、そのような化合物にはほとんど存在しない。前者は、本発明の第一の態様による合成方法に干渉しないが、ラジカルR1ないしR5における窒素原子も、最終酸化工程でN-オキシドに酸化される可能性が最も高く、これにより、特に当該窒素原子が芳香環の非常に近くに配置されていない場合、本発明による化合物のこの部分の疎水性が低下するであろう。従って、本発明の目的のためには、酸素および硫黄以外のヘテロ原子を考慮する必要はない。
【0047】
しかし、ラジカルR2、R3およびR5の1つまたはそれ以上もまた、アミン-N-オキシド部分-CH2-N+(O-)R6R6を表すこともできるというオプションは、特に合成プロセスを指しており、その最初のステップでは、芳香環はまた、1つより多い位置でアミノアルキル化され得、これは、実施例が論証するように、実際に行われている。
【0048】
従って、本発明のいくつかの好ましい実施態様では、R1は、C6-C22アルキル、より好ましくはC8-C18アルキルである。
【0049】
代替的または付加的に、いくつかの好ましい実施態様では、R2は、C1-C22アルキル、C1-C22アルコキシ、および-CH2-N+(O-)R6R6から選ばれ、より好ましくは、C1-C18アルコキシおよび-CH2-N+(O-)R6R6から選ばれる。代替的または追加的に、いくつかの好ましい実施態様では、R3およびR5は、それぞれ、水素および-CH2-N+(O-)R6R6から選ばれ、特に好ましくはR3およびR5の一方は水素であり、かつ他方は-CH2-N+(O-)R6R6である。R2、R3およびR5のオプション-CH2-N+(O-)R6R6は、上述したように、芳香族の複数のアミノアルキル化を指す。
【0050】
代替的または付加的に、いくつかの好ましい実施態様では、R4は、水素、C1-C4アルキルおよびC1-C4アルコキシから選ばれ、より好ましくは水素およびC1-C4アルキルから選ばれ、最も好ましくはC1-C4アルキルである。
【0051】
いくつかの特に好ましい実施態様では、合成プロセスにおけるシングルのアミノアルキル化のみ後、以下が適用される:
R1が、C8-C18アルキルであり;
R2が、C1-C18アルコキシであり;
R3およびR5が、それぞれ、水素であり;および
R4が、C1-C4アルキル、最も好ましくはエチルまたはプロピルである。
【0052】
隣接する2つのフェノール性OH基を有するカテコールの誘導体が、合成プロセスの出発物質として使用される場合、R2は、特に好ましくはC1-C18アルコキシである;しかし、そうでない場合、例えばグアヤコールまたはシリンゴールの誘導体を使用する場合、R2は、最も好ましくはメトキシである。後者の場合、シリンゴールを使用する場合、R5もメトキシである。
【0053】
しかし、いくつかの特に好ましい実施態様では、合成プロセスにおけるダブルのアミノアルキル化後、以下が適用される:
R1が、C8-C18アルキルであり;
R2が、-CH2-N+(O-)R6R6であり;
R3およびR5が、それぞれ、水素であり;および
R4が、C1-C4アルキル、最も好ましくはエチルまたはプロピルである。
【0054】
ラジカルR6に関しては、一般に最大6個の炭素および場合によりヘテロ原子(O、Sまたは特にN)を含むことができ、本発明の第二の態様のいくつかの好ましい実施態様では、それらはそれぞれ独立して、メチル、エチルおよびジメチルアミノエチルから選ばれる。
【0055】
代替的または付加的に、いくつかの好ましい実施態様では、同一窒素原子に結合している2つのラジカルR6が互いに接続して、当該窒素原子と共に、以下の基:
【0056】
【0057】
(式中、アスタリスクは、芳香環へのそれぞれ接続を示す。)
の1つを形成する。
【0058】
いくつかの特に好ましい実施態様では、全てのラジカルR6はメチルであり、部分-N+(O-)(CH3)2の一方または両方のメチル基は、式(I)の他の分子のそのような部分の一方または両方のメチル基に結合して、構造
【0059】
【0060】
(式中、破線は、2つのメチル基間の任意の結合を示し、およびアスタリスクは、2つの芳香環へのブリッジの接続を示す。)
を有するブリッジを形成して、それにより、式(II)によるアミンN-オキシド化合物の二量体を形成する。
【0061】
特に、本発明の第二の態様によるアミンN-オキシド化合物は、以下の化合物から選ばれる:
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (1)
【0062】
【0063】
N,N-ジメチル-1-(2-デシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (2)
【0064】
【0065】
N,N-ジメチル-1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (3)
【0066】
【0067】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-テトラデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (4)
【0068】
【0069】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (5)
【0070】
【0071】
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクタデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (6)
【0072】
【0073】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピロリジン-1-オキシド (7)
【0074】
【0075】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペリジン-1-オキシド (8)
【0076】
【0077】
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-4-メチルピペラジン-1,4-ジオキシド (9)
【0078】
【0079】
N,N-ジメチル-N’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-N’-メチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (10)
【0080】
【0081】
1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,4-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド)および1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,6-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (11)
【0082】
【0083】
1,1’-(5-エチル-2-オクチルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (12)
【0084】
【0085】
1,1’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (13)
【0086】
【0087】
1,1’-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (14)
【0088】
【0089】
1,1’-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (15)
【0090】
【0091】
1,4-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (16)
【0092】
【0093】
1,4-ビス(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (17)
【0094】
【0095】
N,N’-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)-N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (18)
【0096】
【0097】
そして、第三の態様において、本発明は、ラジカルR1ないしR5の炭素原子の総数が少なくとも9個である、式(I)または(II)による新規なアミンN-オキシド化合物の界面活性剤としての使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】唯一の
図1は、実施例13からのアミンN-オキシド化合物(13)の水溶液の低温電子顕微鏡画像を、そこで観察されるミセルの概略図とともに示す。
【実施例】
【0099】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これらは保護範囲を限定するものと解釈されるべきではない。説明の目的で、本発明による方法における出発物質として好ましい、一般的なリグニン解重合生成物の2つの代表的なモデル化合物を使用した。
【0100】
この目的のために、1つのフェノールと1つのジフェノール誘導体、すなわち、4-エチルグアヤコール(4-エチル-2-メトキシフェノール)と4-エチルカテコール(1,2-ジヒドロキシ-4-エチルベンゼン)を反応させて、本発明によるアミンN-オキシド化合物を得た:
【0101】
【0102】
これらはまず、ホルムアルデヒドの存在下で、種々の二級アミンおよびジアミンで、1回または2回アミノメチル化して、対応するベッティ塩基を得、次いで、一連の脂肪アルキルハライドで、1回または2回エーテル化し、最後にアミンN-オキシドに酸化した。
【0103】
実施例1
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (1) の製造
【0104】
【0105】
工程1:
バリアント1.1:
4-エチルグアヤコール(15.20g,100mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら、15分以内に、ジメチルアミン(6.76g,150mmol)の40wt%水溶液に滴下した。パラホルムアルデヒド(4.50g,150mmol)を10分ごとに0.5gのアリコートで加え、氷水浴中で3h、次いで室温で9h攪拌した。次いで、揮発成分を、室温で、ロータリーエバポレーターで除去し、その後、水を真空下50℃で除去し、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥した。アミノメチル化中間体生成物である2-ジメチルアミノメチル-4-エチル-6-メトキシフェノールを、粘性の黄色油状物(収率:20.83g;理論の99.5%)として得た。
【0106】
バリアント1.2:
4-エチルグアヤコール(15.20g,100mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら15分以内に、ジメチルアミン(4.56g,101mmol)の40wt%水溶液に滴下した。パラホルムアルデヒド(4.50g,150mmol)を10分ごとに0.5gのアリコートで加え、氷水浴中3h、次いで室温で72h攪拌した。次いで、反応混合物を、25mlの石油エーテル(bp.:40-60℃)で5回抽出し、合わせた有機相をロータリーエバポレーターで減圧下濃縮し、その後、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥した。アミノメチル化中間体である2-ジメチルアミノメチル-4-エチル-6-メトキシフェノールを、粘性の黄色がかった油状物(収率:19.43g;理論の93.0%)として得た。
【0107】
工程2:
バリアント2.1:
2-ジメチルアミノメチル-4-エチル-6-メトキシフェノール(1.05g,5mmol)、1-ブロモオクタン(0.95g,4.9mmol)および触媒としてのテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(0.16g,0.5mmol)を、溶媒としての10mlの2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)中、室温で、均一な溶液が得られるまで勢いよく攪拌し、その後、固体の粉末化KOH(0.56g,10mmol)を加え、室温で8h攪拌した。次いで、無機の固体を遠心分離し、10mlのジエチルエーテルで3回洗浄した。合わせた有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を45mlの石油エーテルに再溶解し、5mlの水で4回洗浄した。次いで、有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥した。エーテル化中間体であるN,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミンを、粘性の黄色油状物(収率:1.45g;理論の92.3%)として得た。
【0108】
バリアント2.2:
2-ジメチルアミノメチル-4-エチル-6-メトキシフェノール(1.05g,5mmol)、1-ブロモオクタン(1.06g,5.5mmol)およびテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)(0.16g,0.5mmol)を、10mlの2-MeTHF中、室温で、均一な溶液が得られるまで勢いよく攪拌し、その後、固体の粉末化KOH(0.56g,10mmol)を加えて、室温で8h攪拌した。次いで、25mlのEt2Oおよび5mlのH2Oを加え、水相を10mlのEt2Oで3回抽出した。合わせた有機相をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を5gのシリカゲル上に保持した。残渣をフィルターカラム上のフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、エーテル化中間体生成物であるN,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミンをEt2Oと共に溶出し、エーテルのエバポレーション後、粘性の黄色油状物(収率:1.45g;理論の92.9%)として得た。
【0109】
工程3:
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシフェニル)メタンアミン(0.96g,3mmol)を入れ、3当量のH2O2の30wt%水溶液(9mmol)を一度に加えた。濁った反応混合物を室温で、終夜または出発原料の完全な消費を示す透明で均一に見えるまで攪拌した。次いで、触媒量の活性炭またはMnO2を加え、混合物を24h攪拌するか、または5mlのエタノール中でオーブン乾燥したNa2CO3(1.06g,10mmol)を加え、混合物を30分間攪拌して、過剰なH2O2を分解した。次いで、固体の析出物を遠心分離し、abs.EtOHで3回洗浄した。合わせた有機相を0.2μmシリンジフィルターでろ過し、次いで、ロータリーエバポレーターで減圧下濃縮し、ヘキサンと混合し、再び濃縮して、完全にEtOHを除去した。次いで、残渣を真空下で完全に乾燥して、標題化合物(1)を透明な黄色油状物(収率:0.98g;理論の97.3%)として得た。
【0110】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C3), 6.81 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C5), 4.54 (s, 2H, C12), 3.94 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C17), 3.86 (s, 3H, C11), 3.18 (s, 6H, C14, C15), 2.61 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.77 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.41 (p, J = 7.1, 7.1, 6.8, 6.8 Hz, 2H, C19), 1.35-1.19 (m, 11H, C8, C20-23), 0.88 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 3H, C24). 13C-NMR: (151 MHz, CDCl3) δC 152.7 (C6), 146.0 (C1), 140.4 (C4), 124.6 (C3), 123.9 (C2), 114.0 (C5), 74.0 (C17), 70.5 (C12), 57.4 (C14, C15), 55.9 (C11), 32.0 (C18), 30.4 (C19), 29.5 (C20), 29.4 (C21), 28.7 (C7), 26.1 (C22), 22.8 (C23), 15.7 (C8), 14.2 (C24); HRMS: (ESI+, m/z) C20H36NO3[M+H]+の計算値: 338.26929; 測定値: 338.26292.
【0111】
実施例2
N,N-ジメチル-1-(2-デシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (2)の製造
【0112】
【0113】
工程1:
合成および生成物は実施例1と同一であった。
【0114】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモデカンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-1-(2-デシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミンを粘性の黄色油状物として得た。
バリアント2.1:
収率:1.50g;理論の87.6%
バリアント2.2:
収率:1.63g;理論の93.2%
【0115】
工程3:
2mmolのみのN,N-ジメチル-1-(2-デシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(2)を透明な黄色油状物(収率:0.70g;理論の96.1%)として得た。
【0116】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.89 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C3), 6.79 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C5), 4.52 (s, 2H, C17), 3.93 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C18), 3.84 (s, 3H, C11), 3.16 (s, 6H, C14, C15), 2.60 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.76 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.39 (p, J = 7.4, 7.4, 6.9, 6.9 Hz, 2H, C19), 1.34-1.17 (m, 16H, C8, C20-C25), 0.86 (t, J = 7.0, 7.0 Hz, 3H, C26). 13C-NMR: δC(151 MHz, クロロホルム-d) 152.6 (C6), 145.9 (C1), 140.3 (C4), 124.5 (C3), 124.0 (C2), 113.9 (C5), 74.0 (C17), 70.5 (C12), 57.5 (C14, C15), 55.8 (C11), 32.0 (C18), 30.4 (C19), 29.7 (C20, C21), 29.5 (C22), 29.4 (C23), 28.7 (C7), 26.1 (C24), 22.8 (C25), 15.6 (C8), 14.2 (C26). HRMS: (ESI+, m/z) C22H40NO3 [M+H]+の計算値: 366.30027; 測定値: 366.30049.
【0117】
実施例3
N,N-ジメチル-1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミン-N-オキシド (3)の製造
【0118】
【0119】
工程1:
合成および生成物は実施例1と同一であった。
【0120】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミンを粘性の黄色油状物として得た。
バリアント2.1:
収率:1.77g;理論の96.0%
バリアント2.2:
収率:1.67g;理論の88.4%
【0121】
工程3:
2mmolのみのN,N-ジメチル-1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシフェニル)メタンアミンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(3)を透明な黄色油状物(収率:0.50g;理論の95.2%)として得た。
【0122】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C3), 6.81 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C5), 4.54 (s, 2H, C12), 3.94 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C18), 3.86 (s, 3H, C11), 3.18 (s, 6H C14, C15), 2.61 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.77 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.41 (p, J = 7.3, 7.3, 6.9, 6.9 Hz, 2H, C19), 1.37-1.20 (m, 20H, C8, C20-C27), 0.87 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 3H, C28). 13C-NMR: δC(151 MHz, クロロホルム-d) 152.7 (C6), 146.0 (C1), 140.4 (C4), 124.5 (C3), 123.9 (C2), 114.0 (C5), 74.0 (C17), 70.5 (C12), 57.5 (C14, C15), 55.9 (C11), 32.0 (C18), 30.4 (C19), 29.8 (C20), 29.8, (C21), 29.8 (C22), 29.7 (C23), 29.6 (C24), 29.5 (C25), 28.7 (C7), 26.1 (C26), 22.8 (C27), 15.7 (C8), 14.3 (C28); HRMS: (ESI+, m/z) C24H44NO3[M+H]+の計算値: 394.33157; 測定値: 394.33176.
【0123】
実施例4
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-テトラデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (4)の製造
【0124】
【0125】
工程1:
合成および生成物は実施例1と同一であった。
【0126】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモテトラデカンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-テトラデシルオキシフェニル)メタンアミンを粘性の黄色油状物として得た。
バリアント2.1:
収率:1.91g;理論の96.1%
バリアント2.2:
収率:1.85g;理論の91.1%
【0127】
工程3:
2mmolのみのN,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-テトラデシルオキシフェニル)メタンアミンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(4)を透明な黄色油状物(収率:0.80g;理論の94.3%)として得た。
【0128】
1H-NMR: δ H (600 MHz, クロロホルム-d) 6.89 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C3), 6.80 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C5), 4.55 (s, 2H, C12), 3.93 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C17), 3.85 (s, 3H, C11), 3.19 (s, 6H, C14, C15), 2.60 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.76 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.40 (p, J = 7.3, 7.3, 6.9, 6.9 Hz, 2H, C19), 1.34-1.19 (m, 23H, C18, C20-C29), 0.86 (t, J = 7.0, 7.0 Hz, 3H, C30). 13C-NMR: δC(151 MHz, クロロホルム-d) 152.6 (C6), 145.9 (C1), 140.4 (C4), 124.6 (C3), 123.7 (C2), 114.0 (C5), 74.0 (C17), 70.2 (C12), 57.2 (C14, C15), 55.9 (C11), 32.0 (C18), 30.4 (C19), 29.8 (C20, C21), 29.8 (C22, C23), 29.8 (C24), 29.7 (C25), 29.5 (C26), 29.5 (C27), 28.7 (C7), 26.1 (C28), 22.8 (C29), 15.7 (C8), 14.2 (C30); HRMS: (ESI+, m/z) C26H48NO3[M+H]+の計算値: 422.36287; 測定値: 422.36323.
【0129】
実施例5
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (5)の製造
【0130】
【0131】
工程1:
合成および生成物は実施例1と同一であった。
【0132】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモヘキサデカンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミンを粘性の黄色油状物として得た。
バリアント2.1:
収率:2.00g;理論の94.0%
バリアント2.2:
収率:2.11g;理論の97.4%
【0133】
工程3:
2mmolのみのN,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(5)を透明な黄色油状物(収率:0.87g;理論の97.0%)として得た。
【0134】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.90 (d, J = 1.9 Hz, 1H, C3), 6.81 (d, J = 1.9 Hz, 1H, C5), 4.53 (s, 2H, C11), 3.94 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C17), 3.86 (s, 3H, C11), 3.18 (s, 6H, C14, C15), 2.62 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.77 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.41 (p, J = 7.3, 7.3, 6.9, 6.9 Hz, 2H, , C19), 1.36-1.20 (m, 29H, C8, C20-C31), 0.87 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 3H, C32). 13C-NMR: δC(151 MHz, クロロホルム-d) 152.7 (C6), 146.0 (C1), 140.4 (C4), 124.5 (C3), 123.9 (C2), 114.0 (C5), 74.0 (C17), 70.5 (C12), 57.5 (C14, C15), 55.9 (C11), 32.1 (C18), 30.4 (C19), 29.8 (C20), 29.8 (C21, C22), 29.8 (C23, C24), 29.8 (C25), 29.7 (C26), 29.6 (C27), 29.5 (C28), 28.7 (C29) (C7), 26.1 (C30), 22.8 (C31), 15.7 (C8), 14.3 (C32). HRMS: (ESI+, m/z) C28H52NO3[M+H]+の計算値: 450.39417; 測定値: 450.39428.
【0135】
実施例6
N,N-ジメチル-1-(5-エチル-3-メトキシ-2-オクタデシルオキシフェニル)メタンアミン N-オキシド (6)の製造
【0136】
【0137】
工程1:
合成および生成物は実施例1と同一であった。
【0138】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモオクタデカンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミンを、粘性の黄色油状物(バリアント2.1;収率:2.06g;理論の91.0%)または白色ワックス固体(バリアント2.2;収率:2.00g;理論の86.3%)として得た。
【0139】
工程3:
2mmolのみのN,N-ジメチル-1-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-3-メトキシフェニル)メタンアミンを使用し、かつ0.5mlのMeOHを溶解度向上のために加えたことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(6)を白色ワックス固体(収率:0.916g;理論の95.9%)として得た。
【0140】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.91 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C3), 6.82 (d, J = 2.0 Hz, 1H, C5), 4.56 (s, 2H, C12), 3.95 (t, J = 6.9, 6.9 Hz, 2H, C17), 3.86 (s, 3H, C11), 3.19 (s, 6H, C14, C15), 2.62 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H, C7), 1.77 (p, J = 7.1, 7.1, 7.1, 7.1 Hz, 2H, C18), 1.41 (p, J = 7.2, 7.2, 6.9, 6.9 Hz, 2H, C19), 1.36-1.19 (m, 30H, C8, C20-C33), 0.87 (t, J = 7.0, 7.0 Hz, 3H, C34). 13C-NMR: δC(151 MHz, クロロホルム-d) 152.7 (C6), 146.0 (C1), 140.4 (C4), 124.5 (C3), 123.7 (C2), 114.0 (C5), 74.0 (C17), 70.3 (C12), 57.3 (C14, C15), 55.9 (C11), 32.1 (C18), 30.4 (C19), 29.8 (C20, C21, C22, C23), 29.8 (C24, C25, C26, C27), 29.8 (C28), 29.7 (C29), 29.6 (C30), 29.5 (C31), 28.7 (C7), 26.1 (C32), 22.8 (C33), 15.7 (C8), 14.3 (C34); HRMS: (ESI+, m/z) C30H56NO3[M+H]+の計算値: 478.42547; 測定値: 478.42540.
【0141】
実施例7
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピロリジン-1-オキシド (7)の製造
【0142】
【0143】
工程1:
4-エチルグアヤコール(4.56g,30mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら、15分以内にピロリジン(2.21g,31mmol)の水溶液に滴下した。パラホルムアルデヒド(1.35g,45mmol)を10分ごとに0.5gのアリコートで加え、氷水浴中3h、次いで、室温で72h攪拌した。次いで、反応混合物を25mlの石油エーテルで5回抽出し、合わせた有機相をロータリーエバポレーターで減圧下濃縮し、その後、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥した。アミノメチル化中間体である4-エチル-6-メトキシ-2-(ピロリジノメチル)フェノールを、粘性の黄色がかった油状物(収率:6.50g;理論の92.1%)として得た。
【0144】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例1、バリアント2.1と類似の方法で反応を実施して、1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピロリジンを粘性の黄色がかった油状物(収率:1.93g;理論の97.6%)として得た。
【0145】
工程3:
2mmolのみの1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピロリジンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(7)を透明な黄色油状物(収率:0.80g;理論の95.5%)として得た。
【0146】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 6.94 (d, J = 2.0 Hz, 1H, 2), 6.76 (d, J = 2.0 Hz, 1H, 4), 4.64 (s, 2H, 12), 3.91 (t, J = 6.9 Hz, 2H, 19), 3.83 (s, 3H, 9), 3.50-3.21 (m, 4H, 14', 17'), 2.58 (q, J = 7.6 Hz, 2H, 10), 2.49-2.34 (m, 2H, 20), 1.87-1.69 (m, 4H, 15'', 16''), 1.37-1.15 (m, 21H, 11, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29), 0.85 (t, J = 6.9 Hz, 3H, 30). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 13C-NMR: δ C (75 MHz, クロロホルム-d) 152.5 (5), 145.7 (6), 140.2 (3), 125.1 (2), 124.3 (1), 113.4 (4), 73.9 (19), 65.5 (14, 17), 65.5, (12), 55.8 (9), 32.0 (20), 30.3 (21), 29.7 (22, 23), 29.7 (24, 25), 29.7 (26), 29.5 (27), 29.4 (28), 28.6 (10), 26.1, 22.8 , (15, 16), 21.3 (29), 15.6 (11), 14.2 (30); HRMS: (ESI+, m/z) C26H46NO3[M+H]+の計算値: 420.34777; 測定値: 420.347257.
【0147】
実施例8
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペリジン-1-オキシド (8)の製造
【0148】
【0149】
工程1:
ピロリジンの代わりにピペリジン(2.64g,31mmol)を使用したことを除いて、実施例7と類似の方法で反応を実施して、4-エチル-6-メトキシ-2-(ピペリジノメチル)フェノールを黄色がかった油状物(収率:7.06g;理論の94.4%)として得た。
【0150】
工程2:
10mmolの4-エチル-6-メトキシ-2-(ピペリジノメチル)フェノールと、1-ブロモオクタンの代わりの1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例1、バリアント2.1と類似の方法で反応を実施して、1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペリジンを黄色がかった油状物(収率:3.93g;理論の94.1%)として得た。
【0151】
工程3:
5mmolの1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペリジンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(8)を透明な黄色油状物(収率:2.10g;理論の96.8%)として得た。
【0152】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 6.99 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.92 (t, J =1 6.9 Hz, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.29 (d, J = 11.8 Hz, 2H), 3.04 (td, J = 12.2, 3.1 Hz, 2H), 2.61 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.47-2.26 (m, 2H), 1.85-1.02 (m, 28H), 0.87 (t, J = 7.0, 6.2 Hz, 3H). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 152.4, 146.0, 140.1, 125.3, 123.5, 113.5, 74.0, 70.6, 63.7, 55.8, 32.0, 30.4, 29.8, 29.8, 29.8, 29.6, 29.5, 28.7, 26.2, 22.8, 22.0, 20.6, 15.6, 14.2. HRMS: (ESI+, m/z) C27H48NO3[M+H]+の計算値: 434.36342; 測定値: 434.362833.
【0153】
実施例9
1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-4-メチルピペラジン-1,4-ジオキシド (9)の製造
【0154】
【0155】
工程1:
4-エチルグアヤコール(3.04g,20mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら15分以内に、1-メチルピペラジン(2.64g,30mmol)の水溶液(5ml)に滴下した。パラホルムアルデヒド(0.90g,30mmol)の37wt%水溶液を0.1gのアリコートで10分ごとに加え、氷水浴中3h、次いで、室温で9h攪拌した。次いで、析出した固体を遠心分離し、45mlのEt2Oに再溶解した。溶液を5mlの水で5回洗浄し、次いで、ロータリーエバポレーターで減圧下濃縮して、アミノメチル化中間体である4-エチル-6-メトキシ-2-(4-メチルピペラジノメチル)フェノールを白色粉末(収率:1.65g;理論の31.1%)として得た。
【0156】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-4-メチルピペラジンをオフホワイト粉末(収率:0.28g;理論の12.9%)として得た。
【0157】
工程3:
0.125mmolの1-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-4-メチルピペラジンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(9)をオフホワイト粉末(収率:0.058g;理論の99.9%)として得た。
【0158】
1H-NMR: δH (300 MHz, CDCl3) 6.97 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.39-4.18 (m, 4H), 3.95 (t, J = 7.0, 7.0 Hz, 2H), 3.83 (s, 3H), 3.25 (s, 3H), 3.01 (dd, J = 15.4, 9.6 Hz, 4H), 2.60 (q, J = 7.6, 7.6, 7.6 Hz, 2H), 1.81-1.68 (m, 2H), 1.45-1.13 (m, 22H), 0.85 (d, J = 6.8 Hz, 3H). 13C-NMR: δC (75 MHz, CDCl3) 152.2, 145.8, 140.3, 125.4, 121.6, 114.4, 74.0, 69.3, 60.0, 59.1, 57.8, 55.8, 32.0, 29.9, 29.8, 29.8, 29.7, 29.5, 29.4, 28.6, 25.8, 22.8, 15.5, 14.2. HRMS: (ESI+, m/z) C27H48N2O4[M+H]+の計算値: 465.368684 測定値: 465.367767.
【0159】
実施例10
N,N-ジメチル-N’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-N’-メチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (10)の製造
【0160】
【0161】
工程1:
ピロリジンの代わりにN,N,N’-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(3.07g,30mmol)を使用したことを除いて、実施例7と類似の方法で反応を実施して、2-(2-ジメチルアミノエチル)アミノメチル-4-エチル-6-メトキシフェノールをオフホワイト粉末(収率:4.59g;理論の86.3%)として得た。
【0162】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、N,N-ジメチル-N’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-N’-メチルエタン-1,2-ジアミンをオフホワイト粉末(収率:1.17g;理論の53.8%)として得た。
【0163】
工程3:
1mmolのN,N-ジメチル-N’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)-N’-メチルエタン-1,2-ジアミンを使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(10)をオフホワイト粉末(収率:0.97g;理論の69.0%)として得た。
【0164】
1H-NMR: δH (300 MHz, CDCl3) 6.95 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.49 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 4.07-3.92 (m, 2H), 3.91-3.79 (m, 3+3H), 3.67 (q, J = 7.0, 7.0, 7.0 Hz, 1H), 3.33-3.17 (m, 6H), 3.04 (s, 3H), 2.70-2.56 (m, 2H), 1.75 (dd, J = 10.8, 4.7 Hz, 2H), 1.45-1.35 (m, 2H), 1.35-1.17 (m, 28H), 0.85 (t, J = 6.9 Hz, 3H). 13C-NMR: δC(75 MHz, CDCl3) 152.6, 146.0, 140.4, 124.2, 114.1, 74.0, 64.6, 55.9, 32.0, 30.4, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 28.7, 26.1, 22.8, 15.7, 14.2.
【0165】
実施例11
1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,4-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド)および1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,6-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (11)の製造
【0166】
【0167】
工程1:
4-エチルカテコール(1.0g,7.24mmol)の水溶液を、アルゴン雰囲気下、氷水浴中、絶えず撹拌しながら15分以内に、ジメチルアミン(0.98g,21.7mmol)の40wt%水溶液に滴下した。10mlのパラホルムアルデヒド(0.65g,21.7mmol)の37wt%水溶液を、5アリコートで10分ごとに加え、氷水浴中2h、次いで、室温で58h攪拌した。次いで、反応混合物を10mlのEt2Oで5回抽出し、合わせた有機相を5mlの水で5回洗浄し、次いで、ロータリーエバポレーターで減圧下濃縮し、その後、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥し、二回アミノメチル化した中間体である3,4-および3,6-ビス(ジメチルアミノメチル)-5-エチルカテコールの混合物をオフホワイト粉末(収率:1.20g;理論の65.5%)として得た。
【0168】
工程2:
反応をアルゴン雰囲気下、12h行い、かつフラッシュクロマトグラフィーを、石油エーテル/酢酸エチルグラジエントを用いて行ったことを除いて、実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,4-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)および1,1’-(2,3-ジオクチルオキシ-5-エチル-1,6-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)の混合物を黄色油状物(収率:0.15g;理論の12.3%)として得た。
【0169】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) δ 6.91 (s, 1H), 3.92 (dt, J = 8.2, 6.7 Hz, 4H), 3.40 (d, J = 7.1 Hz, 4H), 2.71 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.24 (d, J = 6.6 Hz, 12H), 1.75 (dt, J = 8.3, 6.3 Hz, 4H), 1.53-1.39 (m, 4H), 1.36-1.25 (m, 18H), 1.19 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.94-0.83 (m, 6H). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 151.5, 148.9, 139.9, 131.4, 129.7, 125.3, 73.4 (d, J = 2.2 Hz), 58.2, 54.2, 45.7, 32.0, 30.7 (d, J = 2.0 Hz), 29.7, 29.5, 26.4 (d, J = 1.5 Hz), 25.3, 22.8, 15.7, 14.3. 元素分析: 推定値: C, 75.57; H, 11.84; N, 5.88; 測定値: C, 75.34; H, 11.85; N, 5.56; HRMS: (ESI+, m/z) C30H57N2O2[M+H]+の計算値: 477.4420; 測定値: 477.441284.
【0170】
工程3:
0.25mmolのアミン混合物を使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施した;しかし、副反応の結果として、標題化合物(11)が、いくつかの副生成物が混合して得られた。この酸化反応の最適化は、現在、本発明者らの研究の対象である。
【0171】
実施例12
1,1’-(5-エチル-2-オクチルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (12)の製造
【0172】
【0173】
工程1:
4-エチルフェノール(6.11g,50mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら15分以内に、ジメチルアミン(6.76g,150mmol)の40wt%水溶液に滴下した。パラホルムアルデヒド(4.50g,150mmol)を1.5gのアリコートで10分ごとに加え、氷水浴中2h、次いで、室温で58h攪拌した。次いで反応混合物を25mlの石油エーテルで5回抽出し、合わせた有機相を4mlの水で5回洗浄し、次いで、ロータリーエバポレーターで減圧下濃縮し、その後、残渣を真空デシケーターで完全に乾燥した。二回アミノメチル化した中間体である2,6-ビス(ジメチルアミノメチル)-4-エチルフェノールを、粘性の透明油状物(収率:11.02g;理論の93.3%)として得た。
【0174】
工程2:
実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、KOHを2分割で加えたこと(開始時と2時間後にそれぞれ0.28g)および石油エーテル/酢酸エチルグラジエントを用いてフラッシュクロマトグラフィーを行ったことを除いて、1,1’-(5-エチル-2-オクチルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)を黄色油状物(収率:1.54g;理論の8.6%)として得た。
【0175】
工程3:
実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(12)を粘性の透明な黄色油状物(収率:1.12g;理論の97.9%)として得た。
【0176】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 7.51 (s, 2H, C2, C4), 4.48 (s, 4H, C8, C11), 3.71 (t, J = 6.8, 6.8 Hz, 2H, C19), 3.16 (s, 12H, C13, C14, C16, C17), 2.67-2.54 (m, 2H, C9), 1.89-1.76 (m, 2H, C20), 1.45-1.34 (m, 2H, C21), 1.33-1.04 (m, 14H, C10, C22-C25), 0.85 (t, J = 6.7 Hz, 3H, C26). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 156.4 (C6), 141.1 (C3), 136.7 (C1, C5), 124.0 (C2, C4), 69.4 (C8, C11), 57.6 (C13, C14, C16, C17), 31.9 (C20), 30.4 (C21), 29.5 (C22), 29.3 (C23), 28.0 (C9), 26.2 (C24), 22.7 (C25), 15.3 (C10), 14.2 (C26). HRMS: (ESI+, m/z) C22H41NO3 [M+H]+の計算値: 381.31172; 測定値: 381.310922.
【0177】
実施例13
1,1’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (13)の製造
【0178】
【0179】
工程1:
合成および生成物は実施例12と同一であった。
【0180】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したこと、KOHを2分割で加えたこと(開始時と2h後にそれぞれ0.28g)、かつフラッシュクロマトグラフィーを、石油エーテル/酢酸エチルグラジエントを用いて行ったことを除いて、実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、1,1’-(2-ドデシル-オキシ-5-エチル-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)を黄色油状物(収率:1.53g;理論の75.7%)として得た。
【0181】
工程3:
2.5mmolのみの1,1’-(2-ドデシルオキシ-5-エチル-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)を使用したことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(13)をオフホワイトのワックス固体(収率:0.70g;理論の96.1%)として得た。
【0182】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 7.53 (s, 2H, C2, C4), 4.49 (s, 4H, C8, C11), 3.74 (t, J = 6.8 Hz, 2H, C19), 3.19 (s, 12H, C13, C14, C16, C17), 2.64 (q, J = 7.6 Hz, 2H, C9), 1.84 (t, J = 7.4 Hz, 2H, C20), 1.46-1.37 (m, 2H, C21), 1.32-1.17 (m, 22H, C10, C22-C29), 0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3H, C30). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 156.4 (C6), 141.2 (C3), 136.8 (C1, C5), 123.9 (C2, C4), 69.4 (C8, C11), 57.6 (C13, C14, C16, C17), 32.0 (C20), 30.5 (C21), 29.8 (C22, C24, C25), 29.6 (C26), 29.5 (C27), 28.1 (C9), 26.3 (C28), 22.8 (C29), 15.4 (C10), 14.3 (C30). HRMS: (ESI+, m/z) C26H49NO3 [M+H]+の計算値: 437.37432; 測定値: 437.373256.
【0183】
実施例14
1,1’-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (14)の製造
【0184】
【0185】
工程1:
合成および生成物は実施例12と同一であった。
【0186】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモヘキサデカンを使用したことを除いて、実施例13と類似の方法で反応を実施して、1,1’-(5-エチル-2-ヘキサデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)を黄色油状物(収率:1.57g;理論の68.1%)として得た。
【0187】
工程3:
実施例13と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(14)をオフホワイトのワックス固体(収率:1.20g;理論の97.2%)として得た。
【0188】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 7.54 (s, 2H, C2, C4), 4.50 (s, 4H, C8, C11), 3.74 (t, J = 6.8 Hz, 2H, C19), 3.17 (s, 12H, C13, C14, C16, C17), 2.65 (q, J = 7.5 Hz, 2H, C9), 1.88-1.82 (m, 2H, C20), 1.48-1.39 (m, 2H, C21), 1.30-1.21 (m, 29H, C10, C22-C33), 0.86 (t, J = 7.0 Hz, 3H, C34). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 156.4 (C6), 141.2 (C3), 136.7 (C1, C5), 124.2 (C2, C4), 69.6 (C8, C11), 57.8 (C13, C14, C16, C17), 32.0 (C20), 30.5 (C21), 30.0-29.3 (m) (C22-C31), 28.1 (C9), 26.3 (C32), 22.8 (C33), 15.4 (C10), 14.3 (C34). HRMS: (ESI+, m/z) C30H57N2O3 [M+H]+の計算値: 493.43692; 測定値: 493.436311.
【0189】
実施例15
1,1’-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン N-オキシド) (15)の製造
【0190】
【0191】
工程1:
合成および生成物は実施例12と同一であった。
【0192】
工程2:
1-ブロモドデカンの代わりに1-ブロモオクタデカンを使用したことを除いて、実施例13と類似の方法で反応を実施して、1,1’-(5-エチル-2-オクタデシルオキシ-1,3-フェニレン)-ビス(N,N-ジメチルメタンアミン)をオフホワイトのワックス固体(収率:1.61g;理論の66.0%)として得た。
【0193】
工程3:
実施例13と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(15)を黄色がかったワックス固体(収率:1.00g;理論の96.2%)として得た。
【0194】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 7.51 (s, 2H, C2, C4), 4.40 (s, 4H, C8, C11), 3.72 (t, J = 6.8 Hz, 2H, C19), 3.08 (s, 12H, C13, C14, C16, C17), 2.65 (q, J = 7.7 Hz, 2H, C9), 1.88-1.77 (m, 2H, C20), 1.45-1.36 (m, 2H, C21), 1.26-1.18 (m, 33H, C10, C22-C35), 0.84 (t, J = 7.0 Hz, 3H, C36). 13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 156.2 (C6), 141.2 (C3), 136.3 (C1, C5), 124.6 (C2, C4), 70.2 (C8, C11), 58.1 (C13, C14, C16, C17), 32.0 (C20), 30.5 (C21), 29.9-29.6 (m) (C22-C31), 29.5 (C32), 29.4 (C33), 28.1 (C9), 26.2 (C34), 22.8 (C35), 15.3 (C10), 14.2 (C36); HRMS: (ESI+, m/z) C32H61NO3 [M+H]+の計算値: 521.46822; 測定値: 521.467246.
【0195】
実施例16
1,4-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (16)の製造
【0196】
【0197】
工程1:
4-エチルグアヤコール(3.04g,20mmol)の水溶液を、氷水浴中、絶えず撹拌しながら15分以内に、ピペラジン(1.29g,15mmol)の水溶液(10ml)に滴下した。ホルムアルデヒド(0.90g,30mmol)の37wt%水溶液を0.1gのアリコートで10分ごとに加え、氷水浴中3h、次いで、室温で9h攪拌した。次いで、析出した固体をろ去し(ガラスフリット,空隙率4)、10ml石油エーテルに懸濁し、超音波処理によって混合し、次いで、遠心分離し、真空デシケーターで完全に乾燥して、二量体の中間体である6,6’-(ピペラジン-1,4-ジメチレン)-ビス(4-エチル-2-メトキシフェノール)を白色針状結晶体(収率:3.40g;理論の82.1%)の形態で得た。
【0198】
工程2:
2.12g(11mmol)の1-ブロモオクタンを使用したこと、40mlの2-MeTHFを溶媒として使用したこと、かつフラッシュクロマトグラフィーを石油エーテル/酢酸エチルグラジエントを用いて行ったことを除いて、実施例1、バリアント2.2と類似の方法で反応を実施して、1,4-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)ピペラジンを白色粉末(収率:1.45g;理論の45.4%)として得た。
【0199】
工程3:
1mmolのみの1,4-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)ピペラジンを使用したこと、かつギ酸メチル(15ml)を追加溶媒として加えたことを除いて、実施例1と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(16)を白色ワックス固体(収率:0.21g;理論の31.6%)として得た。
【0200】
1H-NMR: δH (300 MHz, クロロホルム-d) 6.94 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 6.77 (d, J = 2.0 Hz, 2H), 4.45 (s, 4H), 4.28 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 3.93 (t, J = 7.0 Hz, 4H), 3.82 (s, 6H), 3.02 (d, J = 8.1 Hz, 4H), 2.59 (q, J = 7.6 Hz, 4H), 1.74 (q, J = 7.0 Hz, 4H), 1.44-1.15 (m, 26H), 0.93-0.82 (m, 6H).13C-NMR: δC (75 MHz, クロロホルム-d) 152.4, 139.8, 125.2, 122.4, 114.1, 73.7, 58.6, 55.9, 32.0, 30.4, 29.5, 29.4, 28.6, 26.0, 22.8, 15.4, 14.3. HRMS: (ESI+, m/z) C40H67N2O6[M+H]+の計算値: 671.49991; 測定値: 671.498929.
【0201】
実施例17
1,4-ビス(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペラジン-1,4-ジオキシド (17)の製造
【0202】
【0203】
工程1:
合成および生成物は実施例16と同一であった。
【0204】
工程2:
1-ブロモオクタンの代わりに1-ブロモドデカンを使用したことを除いて、実施例16と類似の方法で反応を実施して、1,4-ビス(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペラジンを白色粉末(収率:1.61g;理論の79.6%)として得た。
【0205】
1H-NMR: δH (600 MHz, クロロホルム-d) 6.77 (2 H, d, J 2.0), 6.63 (2 H, d, J 2.0), 3.89 (4 H, t, J 6.8), 3.82 (6 H, s), 3.52 (4 H, s), 2.66-2.32 (12 H, m), 1.75 (4 H, p, J 6.9), 1.48-1.40 (4 H, m), 1.37-1.23 (36 H, m), 1.22 (6 H, t, J 7.6), 0.88 (6 H, t, J 7.0). 13C-NMR: δC (151 MHz, クロロホルム-d) 152.7, 145.2, 139.5, 131.8, 121.9, 110.9, 73.6, 56.8, 55.9, 53.4, 32.1, 30.5, 29.9-29.8 (m), 29.7, 29.5, 28.9, 26.3, 22.8, 15.8, 14.3. 元素分析: 推定値: C, 76.75; H, 11.00; N, 3.73; 測定値: C, 76.18; H, 10.51; N, 3.67; HRMS: (ESI+, m/z) C48H83N2O4[M+H]+の計算値: 751.63474; 測定値: 751.63595.
【0206】
工程3:
実施例1と類似の方法で反応を実施した;しかし、1,4-ビス(2-ドデシルオキシ-5-エチル-3-メトキシベンジル)ピペラジンの水への溶解度が低いため、非常に低い変換率しか観察されなかった。追加溶媒としてギ酸メチルを用いたこの酸化反応の最適化は、現在、本発明者らの研究の対象である。
【0207】
実施例18
N,N’-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)-N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン ジ-N-オキシド (18)の製造
【0208】
【0209】
工程1:
ピペラジンの代わりにN,N’-ジメチルエチレンジアミンを使用したことを除いて、実施例16と類似の方法で反応を実施して、6,6’-(N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン-N,N’-ジメチレン)-ビス(4-エチル-2-メトキシフェノール)を黄色がかった油状物(収率:1.90g;理論の91.4%)として得た。
【0210】
工程2:
実施例16と類似の方法で反応を実施して、N,N’-ビス(5-エチル-3-メトキシ-2-オクチルオキシベンジル)-N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミンをオフホワイト粉末(収率:0.91g;理論の28.5%)として得た。
【0211】
工程3:
追加溶媒としてギ酸メチル(15ml)を用いて、実施例16と類似の方法で反応を実施して、標題化合物(17)を白色ワックス固体として得た。しかし、酸化の過程でジアミンの分解反応が起こったため、カラムクロマトグラフィーを使用しても分離が困難な多数の副生成物が混合して目的物が得られた。この酸化反応の最適化は、現在、本発明者らの研究の対象である。
【0212】
実施例19
式(I)および(II)による単離されたアミンN-オキシド化合物の界面活性剤としての適合性に関する試験
【0213】
新規なアミン-N-オキシド化合物の界面活性剤特性のパラメーターとして、通常どおり、臨界ミセル濃度(CMC)、すなわちミセルが形成できる、界面活性剤のプロトン化またはカチオン型の濃度を用い、Kruss Scientific社製のK100Cフォーステンシオメーターを使用し、ウィルヘルミープレート法に従って、25℃、pH3で測定した。比較のために、ドデシルジメチルアミンN-オキシド(「C1」)を同じ条件下で測定した。結果を以下の表1に示す。値が低いほど、それぞれの物質の界面活性剤効果が強いことを示す。
【0214】
【0215】
実施例1を除いて、本発明による実施例は、多数の市販品に使用されている比較物質C1よりも低い、そして大部分において有意に低いCMC値を有することが分かる。しかし、ラジカルR1ないしR5において最も少ない数の炭素原子を含む、実施例1からのアミンN-オキシド(1)の最高CMC値4.1mol/lもまた、市販の化合物C1のそれとほぼ同一であるであることから、界面活性剤としての適合性を証明している。
【0216】
まだ試験していない本発明による他の化合物の置換パターンにおける類推(analogies)または高い類似(similarities)により、これらの大部分についても強い界面活性効果が検出されると、当業者は予想できる。
【0217】
さらに、これらのアミンN-オキシド界面活性剤の溶液を、それぞれ10mg/mlの濃度で、再蒸留水中で低温電子顕微法を用いて検査したところ、驚くべきことに、これまで知られていなかった現象が発見された。界面活性剤によって形成されるワーム状ミセルの端は折りたたまれている、すなわち、これまで一貫して報告されてきたような細長い形では存在していない。一例として、実施例13からのアミンN-オキシド化合物(13)のそのような溶液の低温電子顕微鏡画像を、そこで観察された40nmから76nmのサイズを有するワーム状ミセルの概略図とともに、
図1に示す。
【0218】
このように、本発明は、3つの比較的簡単な合成工程のみを含む新規なアミンN-オキシド化合物の製造方法を提供し、それにより、非常に良好な収率で、経済的かつ環境に優しい方法で、その大部分が界面活性剤としての使用に適している、新規なアミンN-オキシドを得ることができる。
【国際調査報告】