(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ロフルミラストの眼科用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/44 20060101AFI20240905BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240905BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240905BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240905BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240905BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P27/02
A61K47/22
A61K47/38
A61K47/34
A61K9/06
A61K9/10
A61K47/26
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/32
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518131
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022076726
(87)【国際公開番号】W WO2023044502
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523306184
【氏名又は名称】イオリクス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】グカスヤン,ホヴハンネス・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフォーズ,エリザベス・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】チョウドリ,バスカー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA22
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4C086NA10
4C086ZA33
4C086ZB11
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤であるロフルミラストの安定な眼科用医薬製剤、およびそれを作製する方法に関する。ロフルミラストの新規な眼科用医薬製剤は、増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含み得る。好ましい実施形態では、眼科用医薬組成物のpHは、6.0~6.7の間である。ロフルミラストの安定な眼科用医薬製剤を作製する方法は、別個の活性成分および不活性成分の処理を含み得る。さらに、本方法は、粒度凝集を緩和し、最適化された懸濁剤を生成する清澄濾過を含み得る。さらに、本方法は、最終的な薬物製品の最終滅菌を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のロフルミラスト;
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む増粘剤;
界面活性剤;および
緩衝剤
を含む眼科用医薬組成物。
【請求項2】
界面活性剤が、ポリソルベートである、請求項1に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項3】
緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である、請求項1に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項4】
pHが、6.0~6.7の間である、請求項1に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項5】
懸濁剤である、請求項1に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項6】
約5μm~約25μmのd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項5に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項7】
約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項5に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項8】
ガンマ線滅菌によって最終的に滅菌され、有効物質の元の値の99%より大きい保持効力によって特徴付けられる、請求項1に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項9】
治療有効量のロフルミラスト;
ポリビニルピロリドンを含む増粘剤;
界面活性剤;および
緩衝剤
を含む眼科用医薬組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、チロキサポールである、請求項9に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項11】
緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である、請求項9に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項12】
pHが、6.0~6.7の間である、請求項9に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項13】
懸濁剤である、請求項9に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項14】
約5μm~約25μmのd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項13に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項15】
約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項13に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項16】
ガンマ線滅菌によって最終的に滅菌され、有効物質の元の値の99%より大きい保持効力によって特徴付けられる、請求項9に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項17】
治療有効量のロフルミラスト;
カルボキシメチルセルロースを含む増粘剤;
界面活性剤;および
緩衝剤
を含む眼科用医薬組成物。
【請求項18】
界面活性剤が、ポリソルベートである、請求項17に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項19】
緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である、請求項17に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項20】
pHが、6.0~6.7の間である、請求項17に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項21】
懸濁剤である、請求項17に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項22】
約5μm~約25μmのd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項21に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項23】
約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する、請求項21に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項24】
ガンマ線滅菌によって最終的に滅菌され、有効物質の元の値の99%より大きい保持効力によって特徴付けられる、請求項17に記載の眼科用医薬組成物。
【請求項25】
ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を製造する方法であって:
(a)ロフルミラストと少なくとも1つの不活性成分を混合して、医薬組成物を得る工程と;
(b)医薬組成物を包装する工程と;
(c)乾熱滅菌およびガンマ線照射の群から選択される少なくとも1つを使用することによって、包装中の医薬組成物を最終的に減菌する工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年9月20日に出願された米国仮出願第63/261,404号の優先権を主張し、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤であるロフルミラストの安定で薬学的に有効な眼科用組成物に関する。より詳細には、本発明は、増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含むロフルミラストの新規な眼科用医薬組成物に関する。加えて、本発明は、組成物の効力および純度を最適化する、ロフルミラストの薬学的に有効な眼科用組成物を製造する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
[0003]ロフルミラストは、ホスホジエステラーゼ(PDE)4型の強力かつ選択的な長期作用性阻害剤であり、抗炎症性および潜在的な抗悪性腫瘍活性を有する。ロフルミラストは、気管支治療剤として、同様に炎症性障害の処置に好適であることが公知である。ロフルミラストを含有する組成物は、ヒトおよび動物用の医薬品に使用され:炎症性およびアレルゲン誘導性の気道障害(例えば、気管支炎、喘息、COPD)、皮膚疾患(例えば、増殖性、炎症性、およびアレルゲン誘導性の皮膚障害)、ならびに胃腸管領域における全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)を含むが、これらに限定されない疾患の処置および予防用に提案されてきた。ロフルミラストの経口医薬組成物は、COPD用にDaliresp(登録商標)(米国)およびDaxas(登録商標)(ヨーロッパ)の商標名で現在販売されており、ロフルミラストクリームの局所的組成物が、皮膚科学的使用のために、乾癬用にZoryve(商標)(米国)の商標名で現在販売されている。
【0004】
[0004]ロフルミラストおよびその合成は、米国特許第5,712,298号に記載されている。ロフルミラストなどの、ホスホジエステラーゼ(PDE)-4阻害特性を有する医薬化合物は、乾癬およびアトピー性皮膚炎などの炎症性障害の処置に治療上有効であり、有用であることが認識されている。経口および経皮的な医薬組成物の治療的有効性が研究されてきたが、眼の炎症性または免疫介在性の障害を処置するのに好適なロフルミラストの眼科用医薬組成物に対する必要がある。今日、抗炎症性の眼用薬物の市場の大部分は、抗生物質/抗菌剤(感染性/炎症性の徴候の文脈において)、免疫調節剤(免疫抑制薬および副腎皮質ステロイドを含む)、ならびに非ステロイド系抗炎症剤に基づく。これらの主要な種類の薬剤は、典型的には、中期から長期の炎症性疾患の臨床的必要を満足しないか、または著しい併存症および安全上の課題が存在する。したがって、簡便で容認できる形態の抗炎症性のロフルミラスト眼科用製剤に対する未だ対処されていない高い必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]医薬的眼科用剤は、容認性、減菌性、安全性、および有効性の均衡をとらなければならないため、薬剤の目への送達は非常に困難である。Priyanka Agarwalら、Formulation Considerations for the Management of Dry Eye Disease、Pharmaceutics、13、207(2021年2月3日)は、眼科用医薬製剤に関する製剤上の難題を論じている。例えば、製剤用賦形剤の乏しい容認性があり得る。加えて、患者コンプライアンスが低いことが、眼科用医薬製剤では頻繁に難題となる。活性剤の物理化学的特性を保持し、目に対して容認できるpHおよび不活性成分の狭い範囲に収まりながら、減菌条件下で製造され得て、目に対して有効な用量で送達され得る、安定な眼科用製剤を開発することは非常に困難である。眼への送達は、眼表面、前眼区、または後眼区のいずれかに集中される。眼表面製剤は、1日に1回~4回以上、患者によって送達されることが多く、在宅患者の送達に見られる一般的な操作者の誤差:減菌性の課題、送達量の変動、および位置の正確さにもかかわらず、投薬の一貫性、また有効量を送達する融通性が要求されるというさらなる難題を有する。長期の眼疾患を有する患者はまた、活性成分および不活性成分ならびに防腐剤に対する感受性が高くなり、さらなる製剤化の難題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明は、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤であるロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物に関する。特定の実施形態では、ロフルミラストの眼科用医薬製剤は、増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む。本出願の発明者らは、容認できる眼への送達の標的pHにおいて、ロフルミラストの溶解度が極めて低いことに起因して、ロフルミラストが、最適な効力、粒度分布、低レベルの分解物、最適な再懸濁性、および無菌条件を通して安定性を維持する能力を伴って、懸濁剤中に留まる条件を作り出すことが実に極めて困難であることを見出した。本発明者らは、臨床的に好適な製剤が生成され得る条件およびプロセスには、非常に制限があることを見出した。本発明の製剤は、ロフルミラスト濃度の範囲内で、これらの問題および課題に取り組むことができる。
【0007】
[0007]本出願の発明者らは、ロフルミラストが、特定の眼科用医薬組成物において、低い可能性で加水分解を受けることを確認した。本出願の発明者らは、本発明の眼科用医薬組成物が、加水分解の速度を低減し得ることを発見した。特定の実施形態では、眼科用医薬組成物のpHは約6.0~6.7の間であり、これはロフルミラストの加水分解の速度を低減することができ、それによって、薬剤中の他の物質の比率を最小化し、製品の純度および効力を高める。
【0008】
[0008]本発明の一実施形態は、治療有効量のロフルミラスト、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む眼科用医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートである。特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である。特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤である。好ましい実施形態では、医薬組成物は、約5μm~約25μm、またはより好ましくは、約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する。
【0009】
[0009]本発明の別の実施形態は、治療有効量のロフルミラスト、ヒドロキシエチルセルロースを含む増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む眼科用医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートである。特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である。特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤である。好ましい実施形態では、医薬組成物は、約5μm~約25μm、またはより好ましくは、約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する。
【0010】
[00010]本発明の別の実施形態は、治療有効量のロフルミラスト、ポリビニルピロリドンを含む増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む眼科用医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、界面活性剤は、チロキサポールである。特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である。特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤である。好ましい実施形態では、医薬組成物は、約5μm~約25μm、またはより好ましくは、約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する。
【0011】
[00011]本発明のまた別の実施形態は、治療有効量のロフルミラスト、カルボキシメチルセルロースを含む増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む眼科用医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートである。特定の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤およびクエン酸緩衝剤である。特定の実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤である。好ましい実施形態では、医薬組成物は、約5μm~約25μm、またはより好ましくは、約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する。
【0012】
[00012]本発明の別の実施形態は、治療有効量のロフルミラスト、ペトロラタム、および鉱油を含む、安定な減菌した眼科用軟膏組成物を提供する。特定の実施形態では、組成物は、約0.1%~約1.0%w/wのロフルミラスト、約75%~約85%w/wのペトロラタム、および約20~約25%w/wの鉱油を含む。
【0013】
[00013]本発明の別の実施形態は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を、無菌条件下で製造する方法を提供する。本方法は:(a)熱減菌または放射線照射滅菌の形態を使用して、ロフルミラストを減菌する工程と;(b)増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つの不活性成分をオートクレーブ滅菌する工程と;(c)滅菌されたロフルミラストと少なくとも1つの滅菌された不活性成分を混合して、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を生成する工程と、を含む。特定の実施形態では、ロフルミラストは、ロフルミラストの融点未満の温度で、乾熱滅菌を使用して滅菌される。特定の実施形態では、低レベルのガンマ線照射が使用されて、ロフルミラストを滅菌する。特定の実施形態では、ロフルミラストの眼科用医薬組成物は、懸濁剤である。
【0014】
[00014]本発明の別の実施形態は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を製造する方法であって:(a)ロフルミラストと少なくとも1つの滅菌された不活性成分を混合して、医薬組成物を得る工程と;(b)医薬組成物を包装する工程と;(c)ガンマ線照射を使用することによって、包装中の医薬組成物を最終的に減菌する工程と、を含む方法を提供する。
【0015】
[00015]本発明の別の実施形態は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬懸濁剤を製造する方法を提供し、それによって、ロフルミラストの眼科用医薬組成物の粒度をさらに低減する。特定の実施形態では、本方法は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を、清澄濾過を使用して濾過し、約10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する懸濁剤を製造する工程をさらに含む。
【0016】
[00016]本明細書に組み込まれ、本開示の一部を形成する添付の図面は、本発明のさまざまな実施形態を例示する助けとなり、説明とともに、当業者が本明細書に開示される実施形態を作製および使用することを可能にするように、本発明を説明するのにさらに役立つ。図中の誤差バーは、標準偏差値である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[00017]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットである。
【
図2】[00018]0.10%のロフルミラスト、0.35%のヒドロキシエチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットである。
【
図3】[00019]0.10%のロフルミラスト、0.60%のポリビニルピロリドン、0.3%のチロキサポール、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットである。
【
図4】[00020]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットである。
【
図5A】[00021]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、オートクレーブ処理前の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図5B】[00022]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、オートクレーブ処理後の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図5C】[00023]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、オートクレーブ処理前の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図5D】[00024]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、オートクレーブ処理後の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図6A】[00025]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、オートクレーブ処理前の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図6B】[00026]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、オートクレーブ処理後の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図6C】[00027]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、オートクレーブ処理前の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図6D】[00028]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む例示的な眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、オートクレーブ処理後の条件下でのHPLCクロマトグラムである。
【
図7】[00029]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、混合および7日間の保存を伴う非オートクレーブ処理の条件を比較した粒度分布プロットである。
【
図8】[00030]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、混合および7日間の保存を伴うオートクレーブ処理の条件を比較した粒度分布プロットである。
【
図9】[00031]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、混合および7日間の保存を伴う非オートクレーブ処理の条件を比較した粒度分布プロットである。
【
図10】[00032]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、7.4のpHにおける、混合および7日間の保存を伴うオートクレーブ処理の条件を比較した粒度分布プロットである。
【
図11】[00033]0.10%のロフルミラスト、0.30%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、撹拌を伴う非オートクレーブ処理とオートクレーブ処理の条件とを比較した粒度分布プロットである。
【
図12】[00034]0.10%のロフルミラスト、0.50%のカルボキシメチルセルロース、0.1%のポリソルベート、0.45%のホスフェート、および0.05%のシトレートを含む眼科用医薬組成物に関する、6.4~6.5のpHにおける、撹拌を伴う非オートクレーブ処理とオートクレーブ処理の条件とを比較した粒度分布プロットである。
【
図13】[00035]ロフルミラストおよびロフルミラストAPIの例示的な眼科用医薬組成物の粒度中央値およびHPLC効力を比較するプロットである。
【
図14】[00036]乾熱滅菌後のバルクロフルミラストAPIに関する粒度分布プロットである。
【
図15-1】[00037]
図15Aは最終ガンマ線滅菌前のロフルミラスト懸濁剤に関する粒度分布プロットである。[00038]
図15Bは最終ガンマ線滅菌直後の粒度分布プロットである。
【
図15-2】[00039]
図15Cは最終ガンマ線滅菌の3日後の粒度分布プロットである。[00040]
図15Dは最終ガンマ線滅菌の7日後の粒度分布プロットである。
【
図16A】[00041]0.1%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の粒度分布プロットである。
【
図16B】[00042]0.3%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の粒度分布プロットである。
【
図16C】[00043]1.0%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の粒度分布プロットである。
【
図17A】[00044]0.1%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の不純物の百分率である。
【
図17B】[00045]0.3%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の不純物の百分率である。
【
図17C】[00046]1.0%のロフルミラスト懸濁剤に関する、異なる安定性条件下(5℃、25℃、および40℃)での最終ガンマ線滅菌後の不純物の百分率である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[00047]本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬は変更できるため、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも理解されたい。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0019】
[00048]本明細書で引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、別段記載されない限り、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。刊行物、特許、または特許出願および参照により本明細書に組み込まれる本開示において同じ用語が定義される場合、本開示における定義が支配的な定義を表す。特定の種類の化合物、化学などを説明するために参照される刊行物、特許、特許出願に関して、そのような化合物、化学などに関する部分が、参照により本明細書に組み込まれる文献の部分である。
【0020】
[00049]本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「活性成分」は、単一の成分および2つ以上の異なる成分を含む。
【0021】
[00050]用語「約」は、数値と関連して使用された場合、示された数値より5%小さい下限値を有し、示された数値より5%大きい上限値を有する範囲内の数値を包含することを意図する。
【0022】
[00051]用語「有効な」は、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度および期間の増加、または疾患苦痛に起因する機能障害もしくは能力障害の防止をもたらすのに十分な量の化合物、薬剤、物質、製剤または組成物の量を指す。その量は、単回投薬としてまたは複数回投薬レジメンにより、単独でまたは他の化合物、薬剤もしくは物質と組み合わせられてもよい。当業者は、対象の体格、対象の症状の重症度、および選択された特定の組成物または投与経路などの要因に基づき、このような量を決定することができる。
【0023】
[00052]「薬学的に許容される」とは、ヒトまたは動物に対する投与に対し、一般的に安全であることを意味する。好ましくは、薬学的に許容される成分は、動物、より詳細にはヒトにおける使用に関して、連邦もしくは州政府の規制機関により承認されたか、または米国薬局方、Inc.、Rockville Md.によって出版された米国薬局方、もしくは他の一般に認められている薬局方に収載されるものである。
【0024】
[00053]本発明による「医薬組成物」は、異なる活性成分ならびに希釈剤および/もしくは担体が互いに混合された組成物の形態で存在してもよく、または活性成分が部分的にもしくは全体的に異なった形態で存在する、組み合わされた調製物の形態を取ってもよい。そのような組合せまたは組み合わされた調製物の例は、小分けキットである。
【0025】
[00054]用語「ロフルミラスト」は、本出願で使用される場合、言及がロフルミラスト自体であることが別段に規定されない限りまたは文脈において明らかでない限り、ロフルミラスト、その塩、ロフルミラストのN-酸化物、およびその塩、ならびに他の代謝物を指す。
【0026】
[00055]本明細書で使用される場合、用語「対象」または「患者」は、最も好ましくはヒトを指す。用語「対象」または「患者」は、本明細書に記載の化合物から利益を受ける可能性がある任意の哺乳動物を含み得る。
【0027】
[00056]「治療量」または「治療有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な治療剤の量である。所与の治療剤の有効量は、薬剤の性質、投与経路、治療剤を受ける対象の体格、および投与目的などの要因によって変動する。それぞれ個々の場合の有効量は、当技術分野で確立された方法により、当業者によって経験的に決定され得る。
【0028】
[00057]本明細書で使用される場合、疾患または障害を「処置する」、「処置すること」または「処置」は、以下:(a)障害の重症度および/または持続期間を低減すること;(b)処置される障害(複数可)に特徴的な症状の発生を制限または防止すること;(c)処置される障害(複数可)に特徴的な症状の悪化を阻害すること;(d)以前に障害(複数可)を有した患者におけるその障害(複数可)の再発を制限または防止すること;ならびに(e)以前に障害(複数可)の症状があった患者における症状の再発を制限または防止すること、のうちの1つまたは複数を成し遂げることを意味する。
【0029】
[00058]本発明は、ホスホジエステラーゼ-4阻害剤であるロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物に関する。ロフルミラストは、式(I):
【0030】
【0031】
(式中、R1はジフルオロメトキシであり、R2はシクロプロピルメトキシであり、R3は3,5-ジクロロピリド-4-イルである)の化合物である。
[00059]ロフルミラストは、化学名N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル)-3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシベンズアミドを有する。ロフルミラストのN-酸化物は、化学名3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシ-N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル1-オキシド)ベンズアミドを有する。ロフルミラストおよびその合成、ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害剤としてのロフルミラストの使用、ならびにロフルミラスト製剤は、米国特許第5,712,298号に記載され、これは本明細書に参照により組み込まれる。眼科用医薬組成物は、遊離塩基またはその薬学的に許容される塩としてロフルミラストを含み得る。ロフルミラストの例示的な塩は、米国特許出願公開第2006/0084684号の「0012」および「0013」段落に記載される塩であり、その開示は本明細書に参照により組み込まれる。特定の実施形態では、医薬組成物は、活性成分として、ロフルミラストのピリジン残基のN-酸化物またはその塩を含む、ロフルミラストの代謝物を含む。
【0032】
[00060]特定の実施形態では、眼科用医薬組成物は、ロフルミラストを、約0.01%w/v~約5.0%w/v、または約0.01%w/v~約3.0%w/v、または約0.01%w/v~約2.0%w/v、または約0.01%~約1.0%w/v、または約0.01%~約0.3%w/vの範囲で含み得る。例えば、眼科用医薬品は、以下:0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%など、のw/vパーセントのいずれかのロフルミラストを含む。
【0033】
[00061]特定の実施形態では、眼科用医薬組成物は、懸濁剤、液剤、眼滴下剤、眼軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、噴霧剤、鼻内噴霧剤、注射用製剤(硝子体内、結膜下、テノン嚢下、上脈絡膜もしくは他の注射)、または吸着性埋め込み注射剤、デポー剤または吸着性コンタクトレンズであり得る。好ましい実施形態では、医薬組成物は懸濁剤であり、活性成分(すなわち、ロフルミラスト)は、医薬的担体および/または賦形剤中で懸濁化される。特定の実施形態では、ロフルミラストの眼科用医薬組成物は、増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤を含む。特定の実施形態では、眼科用医薬組成物は、例えば、安定剤、防腐剤、湿潤剤、希釈用剤、pH調整剤、等張化剤、または吸収増強薬を含む1つまたは複数の付加的な賦形剤を含み得る。特定の実施形態では、眼科用医薬組成物はまた、注射剤(硝子体内、上脈絡膜、またはその他)の形態で、デポー剤、任意の眼科用もしくは周辺組織配置用の埋め込み型吸着性装置、in situ形成ゲル、または薬物/装置の組合せとして前部または後部の眼位置に利用され得て、活性成分(すなわち、ロフルミラスト)は、例えば増粘剤、界面活性剤、または緩衝剤のような上記の1つまたは複数の賦形剤と共に懸濁化され;装置または不活性デポー化合物を伴うかまたは伴わない。
【0034】
[00062]特定の実施形態では、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリジオンもしくはポビドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、またはポリビニルアルコール(PVA)からなる群から選択されるうちの少なくとも1つである。特定の実施形態では、増粘剤は、デキストランまたはゼラチンである。加えて、増粘剤は、特定の実施形態では、Lubrizol(登録商標)によってCarbopol(登録商標)の商標名で販売されているものを含む、カルボマーコポリマータイプAまたはカルボマーコポリマータイプBなどのカルボマーを含み得る。特定の実施形態では、眼科用医薬製剤は、増粘剤を、約0.1%w/v~約5.0%w/v、または約0.1%w/v~約4.0%w/v、または約0.1%w/v~約3.0%w/v、または約0.1%w/v~約2.0%w/v、または約0.1%~約1.0%w/v、または約0.1%~約0.5%w/vの範囲で含み得る。例えば、眼科用医薬品は、以下:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%など、のw/vパーセントのいずれかの増粘剤を含む。
【0035】
[00063]特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80を含む)ならびにチロキサポールからなる群から選択されるうちの少なくとも1つである。特定の実施形態では、眼科用医薬製剤は、界面活性剤を、約0.05%w/v~約3.0%w/v、または約0.05%w/v~約2.0%w/v、または約0.05%~約1.0%w/v、または約0.1%~約0.5%w/vの範囲で含み得る。例えば、眼科用医薬品は、以下:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%など、のw/vパーセントのいずれかの界面活性剤を含む。
【0036】
[00064]特定の実施形態では、緩衝剤は、シトレート、ホスフェート、Tris-HCl(Tris)、アセテート、およびボレートの緩衝剤からなる群から選択されるうちの少なくとも1つである。特定の実施形態では、眼科用医薬製剤は、緩衝剤を、約0.5%w/v~約7.5%w/v、または約0.5%w/v~約5.0%w/v、または約0.5%~約3.0%w/v、または約0.5%w/v~約2.0%w/v、または約0.5%~約1.0%w/vの範囲で含み得る。例えば、眼科用医薬品は、以下:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、7%、1.8%、1.9%、1.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%など、のw/vパーセントのいずれかの緩衝剤を含む。
【0037】
[00065]特定の実施形態では、眼科用医薬製剤は軟膏剤である。軟膏剤は、ペトロラタム、鉱油からなる群から選択される不活性成分を含み得る。そのような実施形態では、眼科用医薬製剤は、治療有効量のロフルミラスト、ペトロラタム、および鉱油を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、約0.1%w/v~約3.0%w/v、または約0.1%w/v~約2.0%w/v、または約0.1%~約1.0%w/vのロフルミラストを含む。特定の実施形態では、組成物は、約75%~約85%w/wのペトロラタム、またはより好ましくは約75%~約80%w/wのペトロラタムを含む。特定の実施形態では、組成物は、約15%~約25%w/wの鉱油、またはより好ましくは約15%~約20%w/wの鉱油を含む。軟膏剤は、懸濁剤と比較して、例えば、接触時間の増加、および投薬系における可溶性薬物濃度の増加を含む利益をもたらすことができ、これは、ロフルミラストのような水不溶性薬物にとって重要であり得る。
【0038】
[00066]本出願の発明者らは、ロフルミラストが、特定の眼科用医薬組成物において、特定の標準的な減菌製造プロセス下で、低い可能性で加水分解を受けることを確認した。本出願の本発明者らは、本発明の眼科用医薬組成物が、加水分解の速度を低減し得ることを発見した。特定の実施形態では、眼科用医薬組成物のpHは、ロフルミラストの加水分解の速度を低減するために、約6.0~約6.7の間である。好ましい実施形態では、眼科用医薬組成物のpHは、約6.2~約6.7の間、より好ましくは約6.3~約6.6の間である。好ましい実施形態では、眼科用医薬組成物の浸透圧は、約270mOsm/kg~330mOsm/kg、より好ましくは約270mOsm/kg~約300mOsm/kg、さらにより好ましくは270mOsm/kg~280mOsm/kgである。
【0039】
[00067]本発明の眼科用医薬組成物は、安定であり、眼への送達に好適な粒度分布を示す。懸濁剤用の眼科用医薬組成物の粒度は、レーザー回折法を使用して判定され得る。レーザー回折は、ISOおよびASTMを含む標準および指導の機関によって認められており、粒度分布を決定するために広く使用されている。判定を実行する際、試料はレーザービームを通過し、その結果、レーザー光をある範囲の角度で散乱させる。固定された角度に置かれた検出器が、その位置に散乱された光の強度を測定する。次に数学モデルを適用して、粒度分布を作成する。
【0040】
[00068]粒度決定では、中央値は、集団の半分がこの点より上に存在し、半分がこの点より下に存在する値として定義される。粒度分布に関して、中央値はD50と呼ばれる。D50は、半分がこの直径の上に、半分がこの直径の下にあるように、分布を分割する大きさである。分布幅はまた、典型的には、D10、D50、およびD90のいくつかの組合せのような、x軸上の1つ、2つ、または3つの値を挙げることによって特徴付けられ得る。D50(または中央値)は、上で論じたように、集団の半分がこの値より下にある直径を指す。同様に、分布の90パーセントはD90より下にあり、集団の10パーセントはD10より下にある。
【0041】
[00069]本発明の特定の実施形態では、眼科用医薬組成物は、優先処理の前に、約50μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を示す。特定の実施形態では、眼科用医薬組成物は、約5μm~約25μmのd90値によって特徴付けられる粒度分布を示す。特定の実施形態では、医薬組成物は、約5μm~約15μmのd90値によって特徴付けられる粒度分布を示す。好ましい実施形態では、医薬組成物は、10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を示す。
【0042】
[00070]本出願の発明者らは、複数の増粘剤と組み合わせたロフルミラストが、製剤を減菌するように設計された特定の熱移動性の眼科用医薬品製造プロセスにおいて、粒度成長および凝集を受けることを確認した。本出願の発明者らは、賦形剤、界面活性剤などを含む不活性成分と同じ容器内でのロフルミラストの減菌処理中に、この凝集を起こす熱移動を回避する特定の方法を発見し、これは製品の効力を維持しながら、粒度成長および凝集の速度を低減し得る。減菌APIと減菌不活性物質の両方を混合することが、粒子凝集を起こす可能性のあるオートクレーブ処理のような付加的なエネルギー投入の必要性を低減することによって、粒子凝集を低減する。特定の実施形態では、ロフルミラストを減菌するために、ロフルミラストの融点未満の温度における乾熱滅菌、ガンマ線照射、またはAPIの他の滅菌方法が使用され得て、一方、目における使用に理想的な効力、純度、および粒度に最適化された眼科用医薬組成物用の最終的に混合された製剤が生成される前に、標準的オートクレーブ処理が不活性物質を減菌するために使用され得る。特定の実施形態では、ガンマ線照射または他の最終製品の滅菌方法は、滅菌性保証および患者の安全をさらに確実にする方法として、薬物製品を減菌し、最終的な製品が包装において確実に滅菌されるように使用され得る。本出願の発明者らは、製品の分解または不純物のさらなる生成を回避する最終滅菌の特定の方法を発見した。特定の実施形態では、包装された眼科用医薬組成物は、有効物質の元の値の99%より大きい保持効力によって特徴付けられ得る。特定の実施形態では、保持効力は、有効物質の元の値の99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、または99.8%より大きい。
【0043】
[00071]本発明の特定の実施形態では、ロフルミラストの眼科用医薬組成物を製造する方法が提供される。医薬組成物は、上述の医薬組成物を含み得る。本方法は、乾熱滅菌または低レベルの放射線照射滅菌の形態を使用して、ロフルミラストを減菌することを含み得る。滅菌は、ロフルミラストの融点(およそ159.7℃)未満の温度における乾熱滅菌、ガンマ線照射、または他の滅菌方法によって達成され得る。本方法は、標準的なオートクレーブ処理を使用して、増粘剤、界面活性剤、および緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つの不活性成分を減菌することをさらに含み得る。本方法は、滅菌されたロフルミラストと滅菌された不活性成分を混合し、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を調製することをさらに含み得る。特定の実施形態では、調製された医薬組成物は、懸濁剤である。
【0044】
[00072]特定の実施形態では、本方法は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物に清澄濾過を施し、粒度凝集をさらに緩和し、最適な懸濁剤を生成することをさらに含み得る。清澄濾過は、ロフルミラストの安定な眼科用医薬組成物を製造するために使用され得て、該医薬組成物は、目における使用、詳細には既存の眼科用剤に対して過敏であり得る患者における使用にさらに分化された、10μm以下のd90値によって特徴付けられる粒度分布を有する。異なる製剤は、一部の製剤における凝集体の生成の差異に起因して、濾過処理に対して異なった反応をする場合がある。
【0045】
[00073]本発明の特定の実施形態では、ロフルミラストの眼科用医薬組成物を製造する方法が提供される。医薬組成物は、上述の医薬組成物を含み得る。本方法は、GLPまたはGMP条件下での医薬組成物の調製、続いて、最終滅菌と呼ばれる、最終包装における最終的な薬物製品の低レベルの放射線照射滅菌を含み得る。滅菌は、低線量または中線量(例えば、18~25キログレイの低線量または25~28キログレイの中線量)において、ガンマ線照射によって達成され得る。典型的な放射線照射線量のマッピング手順は、ガンマ線発生チャンバの中央に位置する台上に、試料を有するトレイを置くことを含む。少なくとも2つの線量計が試料上に置かれ、1つはトレイの上に、他方はトレイの下に置かれる。最小線量(Dmin)および最大線量(Dmax)の推定が実行され、加えて、別個のモニタリング線量計(Dmon)が通例、試料トレイの上に置かれる。線量計の設置および測定は、典型的には、ISO 11137-3に準拠して繰り返される。Dmin、Dmax、およびDmonは、実施された測定の平均として算出される。この滅菌方法は、製品と包装の両方が共に滅菌され、製品が、単回使用の臨床適用に必要とされる滅菌性を有するというさらなる確実性をもたらすため、患者使用に好ましい。特定の実施形態では、調製された医薬組成物は、懸濁剤である。
【0046】
[00074]本発明の眼科用医薬組成物は、患者の眼表面に直接投与され得て、本明細書の教示はまた、眼の表面、前部、または後部における眼科的使用のための注射用製剤または埋め込み型製剤を生成するためにも使用され得る。ロフルミラストの医薬組成物は、目の障害または目の状態を有する患者の目に投与され得る。眼表面疾患に適用される本発明の眼科用医薬組成物は、目の前部または後部に薬物を送達するために、時には必要とされる侵襲的技術を必要とすることなく目の障害を処置するために使用され得る。本明細書に開示される方法によって処置され得る眼表面の目の障害の例は:白内障もしくは他の眼科手術またはレーザー治療からの術後の疼痛および炎症、角膜屈折矯正手術後のかすみ、全層または部分層の角膜移植の術後、シェーグレン症候群または他の自己免疫性もしくは炎症性のドライアイ疾患を含むドライアイ症候群、蒸発性または乾燥性のドライアイ疾患、眼の移植片対宿主病、眼の酒さ、アレルギー性の結膜炎または角結膜炎、アトピー性結膜炎、春季角結膜炎、角膜炎、角膜実質炎ヘルペスを含む角膜ヘルペス、ヘルペス性眼瞼炎またはヘルペス性結膜炎、帯状疱疹関連の炎症、細菌性、ウイルス性、または真菌性の感染症などの他の感染病原体に続発した炎症、眼化学熱傷に続発した炎症、眼スティーブンス-ジョンソン症候群/中毒性表皮融解症、若年性特発性関節炎のブドウ膜炎を含むブドウ膜炎、脂漏性または他の形態の眼瞼炎、角膜縁幹細胞欠損、マイボーム腺機能不全、上強膜炎、瞼裂斑炎、翼状片、フリクテン性結膜炎、ブドウ球菌性過敏症、モーレン潰瘍、内皮炎、上輪部角結膜炎、または眼内圧、創傷治癒、真菌感染症などの病歴に起因して患者が禁忌とされる、ステロイドで伝統的に処置される他の眼的状態などを含み得る。これらの製剤を複数種の注射剤またはデポー剤として使用し得る特定の実施形態は、前部ブドウ膜炎、汎ブドウ膜炎および後部ブドウ膜炎(感染性または非感染性)などの前部または後部の炎症性眼疾患、若年性特発性関節炎関連のブドウ膜炎、ベーチェット病の後合併症、眼の移植片対宿主病、スティーブンス-ジョンソン症候群、糖尿病性網膜症、糖尿病黄斑浮腫、地図状萎縮、乾性または湿性の加齢性黄斑変性症、網膜静脈閉塞症、網膜血管炎(薬物性/医原性、非感染性/減菌、または特発性)、眼内炎、網膜炎、脈絡膜炎、前部または後部の強膜炎/上強膜炎、内皮角膜炎(本質的に細菌性、ウイルス性、真菌性、または非感染性)、ならびに目の前部組織および後部組織の他の炎症性疾患または他の炎症性もしくは自己免疫性疾患の眼合併症を処置するために使用され得る。注射剤はまた、白内障、レーシック、全層または部分層の角膜移植術、緑内障関連の外科的手順、遺伝子もしくは細胞治療の滴下注入に関連する炎症、または炎症が懸念される場合の他の外科的状態および手順の疼痛および炎症を処置するためにも、術後に使用され得る。本明細書に記載の方法によって処置可能な目の障害は、急性または慢性であり得る。特定の実施形態では、本方法は、目の炎症性障害を有する患者を処置するために使用される。特定の実施形態では、炎症性障害は、上で特定された障害のうちの1つであり得る。
【0047】
[00075]特定の実施形態では、医薬組成物は、規則的な間隔におけるなどのレジメンのとおりに投与される。例えば、医薬組成物は、滴下剤または軟膏剤として、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または1週間に4回、毎月、または必要に応じて(PRN)、眼表面に直接投与され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、維持投薬または用量設定投薬のレジメンの一部として投与され得る。医薬組成物は、処方された期間で投与され得る。例えば、医薬組成物は、約2日~少なくとも約6週間の期間、または目の状態もしくは疾患における改善が見られるまで投与され得る。処置レジメンの例示的な期間は、1週間、2週間、1か月、6週間、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、または1年を含む。例えば、医薬組成物は、1週間に1回、1か月に1回、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16週間に1回、四半期に1回、6か月に1回、必要に応じて(PRN)、医師の指導に従って、または処置および延長もしくは他の基準などのいくつかの臨床基準に従って、注射剤として投与され得るか、または埋め込み型装置、デポー剤、もしくは吸着性装置として投与され得る。医薬組成物は、終わりのない継続的な処置として投与され得る。
【0048】
[00076]以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を限定することなく例示する。
【実施例】
【0049】
[00077]さまざまな実施形態が本明細書に記載されてきたが、これらは一例としてのみ提示され、限定するものではないことを理解されたい。したがって、本開示の広さおよび範囲は、記載された例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではない。その上、その全ての可能な変形における、上記の要素のいかなる組合せも本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈に矛盾することがない限り、本開示に包含される。
【0050】
[00078]0.1%のロフルミラスト懸濁剤の異なる医薬組成物を含む実施例1、軟膏剤の異なる医薬組成物を含む実施例5~6、および同じ医薬組成物におけるロフルミラストの濃度範囲を含む異なる医薬組成物を含む実施例7~9に明示されるように、ロフルミラストを含む9つの眼科用医薬組成物を調製した。
【0051】
[00079]実施例1
[00080]表1に明示されるロフルミラストを含む眼科用医薬組成物を調製した。
図1は、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットを提供する。
【0052】
【0053】
[00081]実施例2
[00082]表2に明示されるロフルミラストを含む眼科用医薬組成物を調製した。
図2は、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットを提供する。
【0054】
【0055】
[00083]実施例3
表3に明示されるロフルミラストを含む眼科用医薬組成物を調製した。
図3は、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットを提供する。
【0056】
【0057】
[00084]実施例4
[00085]表4に明示されるロフルミラストを含む眼科用医薬組成物を調製した。
図4は、製剤のオートクレーブ処理および超音波処理後の粒度分布プロットを提供する。
【0058】
【0059】
[00086]実施例5および6
[00087]表5に明示されるロフルミラストを含む眼科用医薬軟膏剤を調製した。
【0060】
【0061】
[00088]実施例7~9
[00089]表6に明示される異なる濃度の懸濁剤中の、ロフルミラストを含む眼科用医薬懸濁剤を調製した。この製剤は、実施例1および3に明示されるものと同じ賦形剤を用いたが、異なる濃度のロフルミラストを用いて調製した。
【0062】
【0063】
[00090]実施例10
[00091]実施例1~4を、7.4のpHを有して調製した。製剤の不純物を、HPLCを使用して測定した。HPLCアッセイを使用して、参照標準と比較したピーク溶出時間を確認し、ピーク面積を測定することによって、ロフルミラストおよびその不純物を定量化した。
図5A~Dは、実施例1のオートクレーブ処理前(
図5Aおよび5C)ならびにオートクレーブ処理後(
図5Bおよび5D)の、滅菌サイクルに関するHPLCクロマトグラムを提供する。
図5Aおよび5Bは、7.4の最終的なpHにおいて製剤化された実施例1に関するHPLCクロマトグラムを提供し、熱移動下でのロフルミラストの加水分解に起因する検出可能な不純物を例示する。
図5Cおよび5Dは、6.4~6.5の最終的なpHにおいて製剤化された実施例1に関するHPLCクロマトグラムを提供し、加水分解の欠如に起因するほとんど検出不可能な不純物を例示する。
図6A~6Dは、実施例4のオートクレーブ処理前(
図6Aおよび6C)ならびにオートクレーブ処理後(
図6Bおよび6D)の滅菌サイクルに関するHPLCクロマトグラムを提供する。
図6Aおよび6Bは、7.4の最終的なpHにおいて製剤化された実施例4に関するHPLCクロマトグラムを提供し、熱移動下でのロフルミラストの加水分解に起因する検出可能な不純物を例示する。
図6Cおよび6Dは、6.4~6.5の最終的なpHにおいて製剤化された実施例4に関するHPLCクロマトグラムを提供し、加水分解の欠如に起因するほとんど検出不可能な不純物を例示する。実施例1~4それぞれの不純物を、およそ0.25%または0.25%より大きいと決定した。不純物は、大部分はロフルミラストの加水分解に起因しうることを確定した。
【0064】
[00092]実施例1および4を、6.4~6.5のpHで再製剤化した。7.4のpHを有する組成物に関して、リン酸緩衝剤/クエン酸緩衝剤を0.45%/0.5%使用した場合と比較して、6.4~6.5のpHを有する再製剤化した組成物に関して、リン酸緩衝剤/クエン酸緩衝剤を0.25%/0.5%の量で使用した。実施例1および4の不純物を、上述のものと同じ方法(HPLC)を使用して測定した。分析結果を下の表7に明示する。
【0065】
【0066】
[00093]実施例1および4(pH=6.4~6.5)の不純物を、定量限界未満であると決定した。眼科用医薬組成物のpHを6.4~6.5に調整することが、加水分解不純物を定量限界未満に低減すると決定した。
【0067】
[00094]実施例11
[00095]7.4のpHを有する実施例1~4の眼科用医薬組成物の粒度分布を判定した。液体ビヒクル中で懸濁化された粒子の大きさを、Horiba LA-950V2粒度分析計を使用して、レーザー光散乱を使用して評価した。実施例1~4のそれぞれに関して、粒度分布を判定した:(i)オートクレーブ処理前;(ii)オートクレーブ処理前、3分間の超音波処理後;(iii)オートクレーブ処理前、3分間の超音波処理および7日間の保存後;(iv)オートクレーブ処理後;(v)オートクレーブ処理後、3分間の超音波処理後;ならびに(vi)オートクレーブ処理後、3分間の超音波処理および7日間の保存後。
【0068】
[00096]実施例1~4の懸濁剤製剤に関する比較データを、下の表8に提供する。
図7および8は、7.4のpHにおける実施例1に関する粒度分布プロットを提供し、混合および7日間の保存を伴い、非オートクレーブ処理(
図7)と、オートクレーブ処理条件(
図8)とを比較する。
図9および10は、7.4のpHにおける実施例4に関する粒度分布プロットを提供し、混合および7日間の保存を伴い、非オートクレーブ処理(
図9)と、オートクレーブ処理条件(
図10)とを比較する。
【0069】
【0070】
[00097]実施例12
[00098]6.4~6.5のpHを有する実施例1および4の眼科用医薬組成物の粒度を判定した。実施例1および4に関して、粒度を判定した:(i)オートクレーブ処理前、60分間の撹拌後;(ii)オートクレーブ処理前、一晩の撹拌後;および(iii)オートクレーブ処理後、一晩の撹拌後。
実施例1および4の懸濁剤製剤に関する比較データを、下の表9に提供する。
図11は、6.4~6.5のpHにおける実施例1に関する粒度分布プロットを提供し、撹拌を伴い、非オートクレーブ処理とオートクレーブ処理条件とを比較する。
図12は、6.4~6.5のpHにおける実施例4に関する粒度分布プロットを提供し、撹拌を伴い、非オートクレーブ処理とオートクレーブ処理条件とを比較する。
図13は、6.4~6.5のpHにおける実施例1および4の粒度中央値を比較するプロットを含み、撹拌を伴い、非オートクレーブ処理とオートクレーブ処理条件とを比較する。
図13はまた、APIの粒度中央値と同様に、HPLC効力結果も含む。
【0071】
[00099]このデータは、6.4~6.5のpHで製剤化することが、粒度増加および多分散性を緩和することを示す。このデータは、6.4~6.5のpHが、7.4のpHと比較して、アミド加水分解に起因する凝集を低減することを示唆する。
【0072】
【0073】
[000100]実施例13
ロフルミラストに対する乾熱滅菌の影響を判定した。ロフルミラストのバルクAPIを、137℃で20時間乾燥させた。ロフルミラストの粒度を測定した。
図14は、乾熱滅菌後のバルクAPIに関する粒度分布プロットを提供する。
図14に例示されるように、乾熱滅菌はAPIの粒度分布に著しく影響することはなく、これはAPI製造業者からおよそ10μmのD90を有すると既に報告されている。
【0074】
[000101]実施例14
[000102]表10に明示されるロフルミラストの0.1%の医薬組成物懸濁剤に対する最終滅菌の影響を、最終滅菌前および最終滅菌後に判定した。
【0075】
【0076】
[000103]1mlの試料中のロフルミラストの医薬組成物懸濁剤を、最終的に滅菌し、1週間の加速安定性研究(60℃)後に、粒度を判定した。
図15A~Dに例示されるように、最終ガンマ線滅菌は、最後の薬物製品の粒度分布に著しく影響することはない。
図15Aは、最終ガンマ線滅菌前の粒度分布を例示する。
図15Bは、最終ガンマ線滅菌直後(すなわち、T0 最終ガンマ線滅菌後)の粒度分布を例示する。
図15Cは、最終ガンマ線滅菌の3日後の粒度分布を例示する。
図15Dは、最終ガンマ線滅菌の1週間(7日間)後の粒度分布を例示する。
【0077】
[000104]表10に明示される3つの濃度の医薬組成物に関して、pH、浸透圧、および不純物(RT、PA、および%PA)もまた判定した。これらの特性を、最終ガンマ線滅菌前(ガンマ前 T0)および最終ガンマ線滅菌の0日後、3日後、および7日後(ガンマ後の0日目、3日目、および7日目)に、加速安定性条件下(60℃)で判定した。pH分析の結果を表11に明示する。表11に例示されるように、pHは、最終ガンマ線滅菌後に最小量減少したのみである。
【0078】
【0079】
[000105]浸透圧分析の結果を表12に明示する。表12に例示されるように、最終ガンマ線滅菌後の浸透圧に著しい変化はなかった。
【0080】
【0081】
[000106]表13に例示されるように、最終ガンマ線滅菌は、不純物のレベルに著しく影響することはなかった。0.1%濃度の製剤のみが0.3%未満の不純物を有し、一方、他の2つの濃度は不純物を有さなかった。
【0082】
【0083】
[000107]実施例15
[000108]ロフルミラストの3つの異なる濃度の懸濁剤に対する最終滅菌の影響を、3つの安定性時点において、3つの条件下でさらに判定して、認識できる分解または粒度増加が経時的に起こらなかったことを確認し、さらなる不純物が、異なる温度(5、25、および40℃)における保存を通して起きないことを確認した。表10に明示される医薬組成物(実施例14)を、3つの異なる濃度のロフルミラスト、0.1%、0.3%、および1.0%のロフルミラストを用いて調製した。
図15A、15B、および15Cに例示されるように、最終ガンマ線滅菌は、3つ全ての濃度に関して、1か月、2か月、または3か月で、試料の粒度に著しく影響することはなかった。1か月目(0.1%の濃度)に関するデータ分析は、標本誤差に起因して除外され、これは2回目の実行において(0.3%の濃度に関する)修正されたことに留意されたい。さらに、
図16A、16B、および16Cに例示されるように、ガンマ線滅菌は、不純物のレベルに著しく影響することはなかった(全て活性薬物の0.5%未満に留まり、全ての懸濁剤材料の百分率をはるかに下回った)。
【0084】
[000109]前述の説明は、例示および説明の目的で提示された。この説明は、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、基本的な本発明の説明の修正および置き換えがなされ得ることを理解されよう。
【国際調査報告】