(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】フレグランス寿命を改善するためのポリマーの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240905BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240905BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240905BHJP
C11B 5/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/86
A61K8/87
A61K8/34
A61Q13/00 102
C11B5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518153
(86)(22)【出願日】2022-09-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 US2022043916
(87)【国際公開番号】W WO2023044083
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ゲン
(72)【発明者】
【氏名】フェレイラ、ハイメ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルッカ―、ナタリー ミシェル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AD051
4C083AD052
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB31
4C083BB36
4C083BB41
4C083KK03
(57)【要約】
ポリマーの組み合わせは、フレグランス寿命を改善するために水性アルコール溶液中に組み込まれ得る。ポリマーの組み合わせは、少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、親水性ポリマー、第3の化粧品的に許容される感覚ポリマー、及び長期のフレグランス強度を有する水性アルコール溶液中のフレグランスオイルを含み得る。トリポリマーの組み合わせは、フレグランス成分を固定するフィルムメッシュを皮膚の表面上に相乗的に作り出し得る。この組み合わせは、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルとの予想外のフィルム形成特性を提供することができ、それによって、フレグランス成分が皮膚に付着/残留するための薄いフィルムマトリックス及び接着力を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレグランス寿命を改善する系であって、
少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーを含む、ポリマーの組み合わせと、
水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、
前記ポリマーの組み合わせが、前記フレグランスオイルを固定してフレグランスの寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系。
【請求項2】
前記少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーが、エチルセルロースである、請求項1に記載の系。
【請求項3】
エチルセルロースが、前記系の0.01~7.00%として存在する、請求項2に記載の系。
【請求項4】
前記少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーが、
エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び/又はカルボキシメチルセルロース(セルロースガム)からなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項5】
前記親水性ポリマーが、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーである、請求項1に記載の系。
【請求項6】
ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーが、前記系の0.01~5.00%として存在する、請求項5に記載の系。
【請求項7】
前記親水性ポリマーが、
ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマー、ポロキサマー338及びPPG-12/SMDIコポリマー、PPG-17/IPDI/DMPAコポリマー、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ポロキサマー184、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項8】
前記第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーが、ポリウレタン-1である、請求項1に記載の系。
【請求項9】
ポリウレタン-1が、前記系の0.005%~5%として存在する、請求項8に記載の系。
【請求項10】
前記第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーが、
ポリウレタン-1、ポリウレタン-18、ポリウレタン-34、ポリウレタン-35、ポリウレタン-48、ポリウレタン-64、ポリウレタン-21、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、及び/又はPPG-8/SMDIコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の系。
【請求項11】
前記水性アルコール溶液中のフレグランスオイルが、
5~95%のエタノール、0~25%の水、及び0.7~7.0のcLogPを有する0.1~25%のフレグランスオイルを含む、請求項1に記載の系。
【請求項12】
前記フレグランスオイルのレベルが、前記系の少なくとも0.5%である、請求項1に記載の系。
【請求項13】
フレグランス寿命を改善する系であって、
エチルセルロース、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDI、並びにポリウレタン-1を含む、ポリマーの組み合わせと、
水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、
前記ポリマーの組み合わせが、前記フレグランスオイルを固定してフレグランスの寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系。
【請求項14】
前記ポリマーの組み合わせが、前記系の0.75%を構成する場合、エチルセルロースが、前記系の0.45%を構成し、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーが、前記系の0.29%を構成し、ポリウレタン-1が、前記系の0.01%を構成する、請求項13に記載の系。
【請求項15】
前記ポリマーの組み合わせが、前記系の0.5%を構成する場合、エチルセルロースが、前記系の0.45%を構成し、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーが、前記系の0.04%を構成し、ポリウレタン-1が、前記系の0.01%を構成する、請求項13に記載の系。
【請求項16】
前記ポリマーの組み合わせが、前記系の1%を構成する場合、エチルセルロースが、前記系の0.50%を構成し、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーが、前記系の0.49%を構成し、ポリウレタン-1が、前記系の0.01%を構成する、請求項13に記載の系。
【請求項17】
前記ポリマーの組み合わせが、前記系の1.46%を構成する場合、エチルセルロースが、前記系の0.95%を構成し、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーが、前記系の0.50%を構成し、ポリウレタン-1が、前記系の0.01%を構成する、請求項13に記載の系。
【請求項18】
フレグランス寿命を改善する系であって、
前記系の0.01~7.00%の範囲で存在する少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、前記系の0.01~5.00%の範囲で存在する親水性ポリマー、及び前記系の0.005%~5%の範囲で存在する第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーを含む、ポリマーの組み合わせと、
0.7~7.0のcLogPを有する、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、
前記ポリマーの組み合わせが、前記フレグランスオイルを固定してフレグランスの寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系。
【請求項19】
前記少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーが、エチルセルロースであり、前記親水性ポリマーが、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーであり、前記第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーが、ポリウレタン-1である、請求項18に記載の系。
【請求項20】
前記フレグランスオイルのレベルが、前記系の少なくとも0.5%である、請求項18に記載の系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にフレグランス寿命、より具体的には、フレグランス寿命を改善する水性アルコール溶液中のポリマーの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのフレグランス使用者は、フレグランスが使用者に持続しないことを訴え、使用者は、十分なフレグランスを適用しなかったと結論付け得る。典型的には、フレグランス中に存在するアルコールが多いほど、早くその香りを失い得るため、フレグランスの濃度もフレグランスの寿命に影響を及ぼし得る。一般に、使用者は、フレグランスが使用者の皮膚に適用されたときに、追加の適用を必要とすることなく経時的に長時間持続する効果を有することを望む。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態は、フレグランス寿命を改善する系であって、少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、親水性ポリマー、及び第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーを含む、ポリマーの組み合わせと、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、ポリマーの組み合わせは、フレグランスオイルを固定してフレグランス寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系を提供し得る。少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーは、エチルセルロースであり得る。エチルセルロースは、系の0.01~7.00%として存在し得る。少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーは、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び/又はカルボキシメチルセルロース(セルロースガム)からなる群から選択され得る。親水性ポリマーは、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーであり得る。ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、系の0.01~5.00%として存在し得る。親水性ポリマーは、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマー、ポロキサマー338及びPPG-12/SMDIコポリマー、PPG-17/IPDI/DMPAコポリマー、ポロキサマー407、ポロキサマー338、並びに/又はポロキサマー184からなる群から選択され得る。第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーは、ポリウレタン-1であり得る。ポリウレタン-1は、系の0.005%~5%として存在し得る。第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーは、ポリウレタン-1、ポリウレタン-18、ポリウレタン-34、ポリウレタン-35、ポリウレタン-48、ポリウレタン-64、ポリウレタン-21、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、及び/又はPPG-8/SMDIコポリマーからなる群から選択され得る。水性アルコール溶液中のフレグランスオイルは、5~95%のエタノール、0~25%の水、及び0.7~7.0のcLogPを有する0.1~25%のフレグランスオイルを含み得る。フレグランスオイルのレベルは、系の少なくとも0.5%であり得る。
【0004】
本開示の他の実施形態は、フレグランス寿命を改善する系であって、エチルセルロース、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDI、並びにポリウレタン-1を含む、ポリマーの組み合わせと、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、ポリマーの組み合わせは、フレグランスオイルを固定してフレグランス寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系を提供し得る。ポリマーの組み合わせは、系の0.75%を構成し得、エチルセルロースは、系の0.45%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、系の0.29%を構成し得、ポリウレタン-1は、系の0.01%を構成し得る。ポリマーの組み合わせは、系の0.5%を構成し得、エチルセルロースは、系の0.45%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、系の0.04%を構成し得、ポリウレタン-1は、系の0.01%を構成し得る。ポリマーの組み合わせは、系の1%を構成し得、エチルセルロースは、系の0.50%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、系の0.49%を構成し得、ポリウレタン-1は、系の0.01%を構成し得る。ポリマーの組み合わせは、系の1.46%を構成し得、エチルセルロースは、系の0.95%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、系の0.50%を構成し得、ポリウレタン-1は、系の0.01%を構成し得る。
【0005】
本開示の更なる実施形態は、フレグランス寿命を改善する系であって、系の0.01~7.00%の範囲で存在する少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、系の0.01~5.00%の範囲で存在する親水性ポリマー、及び系の0.005%~5%の範囲で存在する第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーを含む、ポリマーの組み合わせと、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルと、を含み、フレグランスオイルは、0.7~7.0のcLogPを有し、ポリマーの組み合わせは、フレグランスオイルを固定してフレグランス寿命を改善するフィルムメッシュを皮膚の表面上に作り出す、系を提供し得る。少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーは、エチルセルロースであり得、親水性ポリマーは、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーであり得、第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーは、ポリウレタン-1であり得る。フレグランスオイルのレベルは、系の少なくとも0.5%である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示のより完全な理解のために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
【
図1A】本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせを含む及び含まない試料の液滴を有するガラススライドを示す。
【
図1B】本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせを含む及び含まない試料の液滴を有するガラススライドを示す。
【
図2】ポリマーの組み合わせを含む及び含まない場合の両方のヘッドスペースGS/MSピーク強度の結果を示す。
【
図3】0~10時間のヘッドスペースGC/MS分析スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施形態は、フレグランス寿命を改善する水性アルコール溶液中のポリマーの組み合わせを提供し得る。ポリマーの組み合わせは、少なくとも1つの植物系疎水性ポリマー、親水性ポリマー、第3の化粧品的に許容される感覚ポリマー、及び長期のフレグランス強度を提供する水性アルコール溶液中のフレグランスオイルを含み得る。
【0008】
本開示の実施形態によるこのポリマーの組み合わせは、食品及び医療グレードのポリマーと共に耐移り性フィルム形成剤技術を活用し得る。トリポリマーの組み合わせは、フレグランス成分を固定するフィルムメッシュを皮膚の表面上に相乗的に作り出し得る。ポリマーの組み合わせは、水性アルコール溶液中のフレグランスオイルとの予想外のフィルム形成特性を提供することができ、それによって、フレグランス成分が皮膚に付着/残留するための薄いフィルムマトリックス及び接着力を提供する。このフィルム形成特性は、
図1A~
図1Bに反映されており、
図1A~
図1Bは、ポリマーの組み合わせを含む及び含まない試料の液滴を有するガラススライドを示す。
【0009】
本開示の一実施形態では、少なくとも1つの植物系疎水性ポリマーは、DuPontによって製造されるEthocel Standard 45 Premium(INCI名:エチルセルロース)であってもよい。エチルセルロースは、フィルム形成剤(すなわち、皮膚上でのフィルムの形成を促進し、フィルムの耐水性を改善する)として化粧品用組成物において利用される植物系ポリマーであり、総組成物の0.01~7.00%として存在し得る。エチルセルロースに加えて、又はエチルセルロースの代わりに使用され得る他の植物性疎水性ポリマーとしては、Celotech Chemical Co.,Ltd.によって製造されるCelopre(登録商標)H30000、Ashlandによって製造されるNatrosol(商標)250 HHRヒドロキシエチルセルロースPCグレード、Spectrum Chemical Mfg.Corp.によって製造されるヒドロキシエチルセルロース100 CP,NF(HY112)、住友精化株式会社によって製造されるHEC CF-G若しくはHEC CF-V、及び/又はUnivar Solutionsによって製造されるVida-Care HEC(それらの各々がINCI名:ヒドロキシエチルセルロースを有する)が挙げられ得る。追加の植物性疎水性ポリマーとしては、Celotech Chemical Co.,Ltd.によって製造されるCelopre(登録商標)ME30M、Ashlandによって製造されるBenecel(商標)E4Mポリマー、及び/又はAshlandによって製造されるPrimaFlo(商標)MP3295Aポリマー(それらの各々がINCI名:ヒドロキシプロピルメチルセルロースを有する)が挙げられ得る。他の植物性疎水性ポリマーとしては、Quimica Amtex y Amtex Chemicals,LLCによって製造されるGELYCEL(登録商標)、Spectrum Chemical Mfg.Corp.によって製造されるカルボキシメチルセルロースナトリウム、低粘度(CA193)、及び/又はSpectrum Chemical Mfg.Corp.によって製造されるカルボキシメチルセルロースナトリウム、中粘度(CA192)(それらの各々がINCI名:カルボキシメチルセルロース(セルロースガム)を有する)が挙げられ得る。
【0010】
本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせにおいて利用される親水性ポリマーは、DKSH North America,Inc.によって製造されるExpertGel(登録商標)EG412(INCI名:ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマー)であってもよく、これは、化粧品における質感を向上させるためのフィルム形成剤である。このポリマーは、皮膚温度に基づいて熱硬化性を有してもよく、総組成物の0.01~5.00%として存在してもよい。他の親水性ポリマーとしては、DKSH North America Inc.によって製造されるExpertGel(登録商標)EG 312(INCI名:ポロキサマー338及びPPG-12/SMDIコポリマー)、Lubrizolによって製造されるAvalure(登録商標)UR 450ポリマー(INCI名:PPG-17/IPDI/DMPAコポリマー)、BASF Care Creationsによって製造されるPluracare(登録商標)F 127 NF Prill FLEX若しくはPluracare(登録商標)F 127 NF Prill又はSolvay Novecareによって製造されるANTAROX(登録商標)F 127 NF(それらの各々がINCI名:ポロキサマー407を有する)、BASF Care Creationsによって製造されるPluracare(登録商標)F 108 NF Prill(INCI名:ポロキサマー338)、及び/又はPluracare(登録商標)L 64(INCI名:ポロキサマー184)が挙げられ得る。
【0011】
本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせにおいて利用される第3の化粧品的に許容される感覚ポリマーは、総組成物の0.005%~5%の範囲の、BASFによって製造されるLUVISET(登録商標)P.U.R.(INCI名:ポリウレタン-1)であり得る。ポリウレタン-1は、イソフタル酸モノマー、アジピン酸、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールプロパン酸、及びイソホロンジイソシアネートのコポリマーである。このポリマーは、フィルムを形成することができてもよく、皮膚のレベルで活性剤を放出し得る。ポリマーは、非粘着性の、不快な感触を有し得るため、化粧品的に許容される感覚ポリマーとして特徴付けられ得る。他の化粧品的に許容される感覚ポリマーとしては、ALZO International Inc.によって製造されるPolyderm PE/PA(INCI名:ポリウレタン-18)、Covestroによって製造されるBaycusan(登録商標)C 1000若しくはBaycusan(登録商標)C 1001(INCI名:ポリウレタン-34)、Covestroによって製造されるBaycusan(登録商標)C 1004(INCI名:ポリウレタン-35)、Covestroによって製造されるBaycusan(登録商標)C 1008若しくはBaycusan(登録商標)C 1008/1(INCI名:ポリウレタン-48)、Covestroによって製造されるBaycusan(登録商標)C 2000(INCI名:ポリウレタン-64)、Phoenix Chemical,Inc.によって製造されるGIOVAREZ(登録商標)P-0580(INCI名:ポリウレタン-21)、Barnet Products Corporationからのポリオールプレポリマー-2(INCI名:PPG-12/SMDIコポリマー)、ポリオールプレポリマー-14(INCI名:PPG-51/SMDIコポリマー)、及び/又はポリオールプレポリマー-15(INCI名:PPG-8/SMDIコポリマー)が挙げられ得る。ポリウレタン-1及びエチルセルロースは、それぞれ個々に、フレグランスにおける及びフレグランス寿命に対する寄与因子として使用されることが知られ得るが、本開示の実施形態は、フレグランス寿命の増加されたレベルをもたらすために親水性ポリマーと組み合わせてそれらを利用する。
【0012】
本開示の実施形態における水性アルコール溶液中のフレグランスオイルは、少なくとも5~95%のエタノール、0~25%の水、及び0.7~7.0のcLogPを有する0.1~25%のフレグランスオイルから構成され得る。本開示の一実施形態では、フレグランス水性アルコール均質溶液は、少なくとも0.5%のフレグランスオイルのレベルを有してもよく、それによって、より多量のフレグランスオイルを組み込む。本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせを水性アルコール溶液中のフレグランスオイルに含めることにより、噴霧可能な薄い形態の均質な水性アルコール溶液を提供することができる。安定剤及び/又は他の化粧品的に許容される色素並びに組み合わせもまた、本開示の実施形態に含まれ得る。安定剤は、個々に又は組み合わせて組み込まれるかにかかわらず、COVABSORB(登録商標)(INCI名:エチルヘキシルメトキシシンナメート(及び)ブチルメトキシジベンゾイルメタン(及び)エチルヘキシルサリチレート)、TINOGARD(登録商標)Q(INCI名:トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート(及び)アクア(及び)アルコール)、PARSOL 1789(INCI名:ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、及び/又は他の一般的に使用される抗酸化剤を、総組成物の0.005~2.0%の範囲で含み得る。色素は、以下D452/4 EXT D&C VIOLET NO.2、D424/1 FD&C BLUE NO.1、S260/1 FD&C RED #33、d435/1 FD&C RED NO.4、及び/又はD436/1 FD&C YELLOW NO.5のうちの1つ以上を含み得る。
【0013】
ポリマーの組み合わせにおける3つのタイプのポリマーの比率は、ポリマーが構成する総組成物のパーセンテージに応じて、本開示の実施形態において変化し得ることが理解されるべきである。本開示の第1の実施形態では、ポリマーの組み合わせが総組成物の0.75%を構成する場合、エチルセルロースは、0.45%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、0.29%を構成し得、ポリウレタン-1は、0.01%を構成し得る。本開示の別の実施形態では、ポリマーの組み合わせが総組成物の0.5%を構成する場合、エチルセルロースは、0.45%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、0.04%を構成し得、ポリウレタン-1は、0.01%を構成し得る。本開示の更なる実施形態では、ポリマーの組み合わせが総組成物の1%を構成する場合、エチルセルロースは、0.50%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、0.49%を構成し得、ポリウレタン-1は、0.01%を構成し得る。本開示の追加の実施形態では、ポリマーの組み合わせが総組成物の1.46%を構成する場合、エチルセルロースは、0.95%を構成し得、ポロキサマー407及びPPG-12/SMDIコポリマーは、0.50%を構成し得、ポリウレタン-1は、0.01%を構成し得る。上に記載のポリマー代替物は、本明細書に記載の比率に基づいて同様のパーセンテージでポリマーの組み合わせに組み込まれ得ることが理解されるべきである。
【0014】
本開示の実施形態は、0.7~7.0のcLogPを有する0.1~25%のフレグランスオイルを用いて記載されているが、異なるcLogP値を有するフレグランスオイル、並びに/又は組成物及び/若しくは総ポリマーレベルは、適合性、安定性、及び皮膚感触に劇的な効果を有し得ることが理解されるべきである。例えば、ポリマーの組み合わせP=1.46%は、より低いcLogP(例えば、3.13)を有するフレグランスオイル中で3日後に低温で溶液から沈殿することが観察されたが、高いcLogP(例えば、3.8)を有するフレグランスオイルについては沈殿は観察されなかった。より高いレベルのポリマー、特にエチルセルロースは、皮膚感触を損なう場合がある。
【0015】
ヘッドスペースガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を使用して、本開示の実施形態によるポリマーの組み合わせを含む及び含まない場合の両方のフレグランス配合物を分析及び比較した。
図2は、ポリマーの組み合わせを含む及び含まない場合の両方のヘッドスペースGS/MSピーク強度の結果を示し、ポリマーの組み合わせの包含がフレグランス成分についての全体的な保持効果を改善したことを反映している。
図3は、Mulberry Princessフレグランス組成物についての0~10時間のヘッドスペースGC/MS分析スペクトルを示す。
【0016】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを理解されるべきである。更に、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者が本開示から容易に理解するように、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、既存の又は後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップは、本開示に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップをそれらの範囲内に含むことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】