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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】同期機
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H02K19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518201
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2022073572
(87)【国際公開番号】W WO2023046398
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021210674.9
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローレンツ レオナード
(72)【発明者】
【氏名】アルビエリ グスタヴォ エスティーフス
(72)【発明者】
【氏名】シュミュリング クリストフ
【テーマコード(参考)】
5H619
【Fターム(参考)】
5H619BB01
5H619BB13
5H619PP10
5H619PP22
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(3)と固定子(4)とを有する固定子グループ(2)と、シャフト(6)と回転子(7)とを有する回転子グループ(5)とを備えた同期機(1)に関する。回転子グループ(5)は、回転軸心(RA)を中心として回転できるように固定子(4)に取り付けられる。また、同期機(1)は、ハウジング(3)用の端部シールド(8)と、シャフト(6)用の軸受(10)とを有する。同期機(1)は、さらに、磁心(13)を有するエネルギー伝送器(12)を備えている。本発明によれば、磁心(13)は、端部シールド(8)と軸受(10)との径方向の間に配置され、端部シールド(8)の一部になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導励磁の同期機(1)であって、
前記同期機(1)は、ハウジング(3)をと、前記ハウジング(3)内に配置された固定子(4)とを備えた固定子グループ(2)を有し、
前記同期機は、シャフト(6)と、前記シャフト(6)に回転不可に連結された回転子(7)とを備えた回転子グループ(5)を有し、
前記回転子グループ(5)は、前記固定子グループ(2)の固定子(4)内に回転軸心(RA)を中心として回転可能に配置され、
前記同期機(1)は、軸受シールド(8)と、前記軸受シールド(8)に固定された軸受(10)とを有し、
前記軸受シールド(8)は前記固定子グループ(2)のハウジング(3)を軸方向に閉鎖し、前記軸受(10)は前記回転子グループ(5)のシャフト(6)を回転可能に支持し、
前記同期機(1)は、中空円筒形の磁心(13)を備えたエネルギー伝送器(12)を有し、
特徴は、
前記磁心(13)が、前記軸受シールド(8)と前記軸受(10)との径方向の間に配置され、前記軸受シールド(8)の一部を形成する
ことである同期機。
【請求項2】
請求項1に記載の同期機において、
前記磁心(13)がフェライト系材料で形成されていることを特徴とする同期機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の同期機において、
前記エネルギー伝送器(12)が補強要素(15)を備え、前記補強要素(15)が前記磁心(13)の外側に位置し、前記磁心(13)を少なくとも部分的に囲んで補強することを特徴とする同期機。
【請求項4】
請求項3に記載の同期機において、
前記補強要素(15)が鋼で形成されていることを特徴とする同期機。
【請求項5】
請求項3または4に記載の同期機において、
前記補強要素(15)が、少なくとも1つの中空円筒形部分を有し、且つ
少なくとも1つの中空円筒形部分が前記磁心(13)に対向して配置され、前記軸受(10)または軸受シールド(8)に面していることを特徴とする同期機。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の同期機において、
前記補強要素(15)がC字形に構成され、前記磁心(13)上に配置され。
前記補強要素(15)が、前記回転軸心(RA)を囲むとともに互いに同心の2つの側面と、前記回転軸心(RA)に対して交差するように配置された軸方向面とで、磁心(13)を囲むことを特徴とする同期機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の同期機において、
前記軸受(10)が、前記シャフト(6)に回転不可に配置された内輪と、外輪と、前記外輪と前記内輪との間に配置された少なくとも2つの転動体とを有することを特徴とする同期機。
【請求項8】
請求項7に記載の同期機において、
前記軸受(10)の外輪が、前記磁心(13)と直接に接触するか、または前記磁心(13)の外側に配置されるとともに前記磁心(13)を少なくとも部分的に囲み且つ補強する補強要素(15)と接触することを特徴とする同期機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の同期機において、
前記エネルギー伝送器(12)が、前記回転軸心(RA)を囲む2次コイルと、前記2次コイルを支持するディスク(14)とを有し、
前記ディスク(14)が、前記回転軸心(RA)に対して交差するように配置され且つ前記回転子グループ(5)のシャフト(6)に回転不可に接続され。
前記2次コイルが、前記磁心(13)に少なくとも部分的に囲まれる1次コイルに誘導的に相互作用可能に配置されることを特徴とする同期機。
【請求項10】
請求項7及び9の少なくともいずれか1項に記載の同期機において、
前記磁心(13)が軸受(10)の片側で軸受から軸方向へ突出し、且つ
ディスク(14)が、前記磁心(13)が前記軸受(10)を越えて軸方向へ突出する領域において前記磁心(13)内に径方向へ突出することを特徴とする同期機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の誘導励磁同期機に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導励磁同期機は、通常、固定子と、固定子内に回転可能に配置される回転子とを有する。エネルギーは、回転している回転子の巻線へエネルギー伝送器によって伝達される。エネルギー伝送器は、固定子側の1次コイルと回転子側の2次コイルとを有し、これらのコイルは互いに電磁気的に相互作用する。また、固定子側インバータと回転子側整流器が設けられる。エネルギー伝送器は、同期機のハウジングの外部に配置され、不都合なことに設置スペースの追加を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、一般的なタイプの同期機について、上述の欠点を解消する実施態様であって改良された実施態様または少なくともその代わりになる実施態様を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、独立の請求項1の主題によって達成される。有利な実施態様は、従属請求項の主題である。
【0005】
誘導励磁同期機は、ハウジングと、ハウジング内に配置された固定子とを備えた固定子グループを有する。また、同期機は、シャフトと、シャフトに回転不可に連結された回転子とを備えた回転子グループを有する。回転子グループは、固定子グループの固定子内に回転軸心を中心として回転可能に配置される。さらに、同期機は、軸受シールドと、軸受シールドに固定された軸受とを有し、軸受シールドは、固定子グループのハウジングを軸方向に閉鎖し、軸受は回転子グループのシャフトを回転可能に支持する。さらに、同期機は、中空円筒形の磁心を備えたエネルギー伝送器を有する。本発明によれば、磁心は、軸受シールドと軸受との径方向の間に配置され、軸受シールドの一部を形成する。
【0006】
本発明に関し、「軸方向」及び「径方向」という用語は、常に回転軸心に関するものである。
【0007】
磁心は、軸受シールドと軸受との間に配置され、軸受シールド及び/または軸受に対して、実質的に接続される態様で、及び/または非確動的に接続される態様で、及び/または確動的に接続される態様で、固定することができる。磁心は、同期機内で生じる機械的な負荷を支えることができる。軸受シールドと軸受との間に磁心を配置することにより、エネルギー伝送器に必要な取り付けスペースを小さくすることができ、同期機を軸方向へ、より小さく構成できる。また、同期機のコストを低減することができる。
【0008】
同期機のエネルギー伝送器は、磁心に加えて、さらに他の構成要素を有してもよい。したがって、エネルギー伝送器は、1次コイル、2次コイル、整流器及びインバータを有するようにしてもよい。エネルギー伝送器の個々の構成要素は、1次側または固定子側つまり固定要素と、2次側または回転子側つまり回転要素とに分けられる。磁心、1次コイル及びインバータは、1次側または固定子側つまり固定要素である。2次コイル及び整流器は、2次側または回転子側つまり回転要素である。1次コイルと2次コイルは互いに電磁気的に相互作用することができる。磁心は、1次コイルの少なくとも一部を含むか、または囲むようにすることができ、そうすると、1次コイルと2次コイルとの間の電磁気的な相互作用を増幅することができる。磁心は、フェライト系材料から形成すると効果的である。
【0009】
同期機のさらなる発展例として、エネルギー伝送器が補強要素を有するようにすることができる。補強要素は、磁心の外側に位置し、磁心を少なくとも部分的に含むか、または囲むことができる。補強要素は、磁心に対して、実質的に連結される態様で、及び/または確動的に連結される態様で、及び/または非確動的に連結される態様で、強固に連結することができる。補強要素は、磁心を機械的な負荷から保護することができるので、磁心の寿命を延ばすことができる。補強要素は、例えば鋼で形成することができる。
【0010】
有利には、補強要素は、少なくとも1つの中空円筒形部分を有するようにすることができる。補強要素の少なくとも1つの中空円筒形部分は、磁心に接して位置し、軸受または軸受シールドに面するように配置できる。さらに、補強要素をC字形に構成し、磁心に配置することができる。そして、補強要素は、磁心を、回転軸心を囲むとともに互いに同軸の2つの側面と、回転軸心に対して交差するように配置された磁心の軸方向面とで、磁心を包み込むようにすることができる。このようにして磁心を特に効果的に補強し、機械的な負荷から保護することができる。
【0011】
軸受は、シャフトに回転不可に配置された内輪と、外輪と、外輪と内輪との間に配置された少なくとも2つの転動体とを有してもよい。軸受の外輪は、磁心または前記補強要素と直接に接触するようにすることができる。軸受は、磁心または補強要素を外輪に対して、実質的に連結する態様で、及び/または確動的に連結する態様で、及び/または非確動的に連結する態様で、強固に連結することができる。
【0012】
同期機のさらなる発展例として、エネルギー伝送器は、回転軸心を囲む2次コイルと、2次コイルを支持するディスクとを有するようにすることができる。ディスクは、回転軸心に対して交差するように配置でき、且つ回転子グループのシャフトに回転不可に連結できる。2次コイルは、磁心に少なくとも部分的に囲まれる1次コイルに誘導的に相互作用可能に配置することができる。2次コイルは、特にディスクに平らに配置されたコイルにすることができる。2次コイルは、特に、磁心に配置された1次コイルに対して軸方向に隣接して配置することができる。
【0013】
さらに、磁心が軸受の片側で軸受から突出するようにすることができる。ディスクは、磁心が軸受から軸方向へ突出する領域において磁心内に径方向へ突出するようにすることができる。こうすると、ディスクに配置された2次コイルを、磁心に少なくとも部分的に囲まれた1次コイルに、特に軸方向に隣接させて配置できる。
【0014】
本発明のさらに他の重要な特徴及び効果は、従属請求項、図面、及び図面に関する説明から得られる。
【0015】
上述され且つ以下で説明される特徴は、記載されたそれぞれの組合せにおいてのみ使用できるのではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せにおいて、またはそれら自体において使用できることを理解されたい。
【0016】
本発明の好ましい例示的な実施形態を図面に示し、以下においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一もしくは類似の構成要素、または機能的に同一の構成要素に関するものである。
【0017】
各図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係る同期機の断面図である。
図2図2は、本発明に係る同期機の平面図である。
図3図3は、本発明に係る同期機の軸受シールドの領域の断面図である。
図4図4は、本発明に係る同期機の軸受シールドの領域の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係る誘導励磁同期機(induktiv elektrisch erregten Synchronmaschine)1の断面図である。この同期機1は、ハウジング3と固定子4とを備えた固定子グループ2を有し、固定子4はハウジング3内で回転不可に支持されている。さらに、同期機1は、シャフト6と回転子7とを備えた回転子グループ5を有し、回転子7はシャフト6に回転不可に連結されている。回転子グループ4は、固定子グループ2内の回転軸心RAを中心として回転可能に配置されている。回転子7は、固定子4に対して径方向に隣接するとともに固定子4から間隔をあけて配置され、回転子7と固定子4が互いに電磁気的に相互作用可能になっている。
【0020】
同期機1は、さらに、同期機1の軸方向端部で回転軸心RAに対して交差し、固定子グループ2のハウジング3を閉鎖する軸受シールド8と第2の軸受シールド9を有する。また、同期機1は、同期機1の軸方向端部において回転子グループ5のシャフト6を回転可能に支持する軸受10及び第2の軸受11を有する。第2の軸受11は、第2の軸受シールド9に固定されている。軸受10を軸受シールド8に固定することについては、以下で詳しく説明する。
【0021】
さらに、同期機1は、エネルギー伝送器12を有する。エネルギー伝送器12は、1次側に1次コイル(ここでは図示せず)と磁心13とを有する。エネルギー伝送器12がさらに他の1次側構成要素を有してもよいことを理解されたい。磁心13は中空円筒形であり、1次コイルの少なくとも一部を包み、または囲む。磁心13は、フェライト系材料で形成できる。磁心13は、軸受10と軸受シールド8との径方向の間に配置され、これらに強固に接続されている。したがって、磁心13は、軸受シールド8の一部を形成する(軸受シールド8の一部になる)か、または軸受シールド8に一体化されるものである。
【0022】
有利なことに、エネルギー伝送器12は、同期機1内に省スペースで配置される。したがって、同期機1を軸方向によりコンパクトに構成することができ、同期機1のコストを低減することができる。
【0023】
図2は、本発明に係る同期機1の平面図である。この図では、磁心13が軸受10と軸受シールド8との間に配置され、これらに直接接触していることが特によく示されている。磁心13は、軸受10と軸受シールド8とに対して、実質的に接続される態様で、及び/または確動的(ポジティブ)に接続される態様で、及び/または非確動的(非ポジティブ)に接続される態様で、強固に接続することができる。
【0024】
図3は、本発明に係る同期機1の軸受シールド8の領域の断面図である。図3によれば、エネルギー伝送器12は、2次側ディスク14と、ディスク14に配置される2次コイル(図示せず)とを有する。しかしながら、エネルギー伝送器12がさらに他の2次側構成要素を有してもよいことを理解されたい。磁心13は軸受10より軸方向外側へ突出し、ディスク14は磁心13内に径方向へ突出している。したがって、2次コイルは、磁心13内で1次コイルに対して軸方向に隣接するようにディスク14に配置することができる。1次コイルと2次コイルが共に変圧器を形成する。
【0025】
図4は、本発明に係る同期機1の軸受シールド8の領域の断面図である。この図では、図3とは異なり、エネルギー伝送器12が補強要素15を有する。有利には、補強要素15を鋼で形成することができる。補強要素15はC字形状であり、互いに同心の2つの側面と、回転軸心RAに対して交差するように配置された軸方向面とで磁心13を囲む。このように、補強要素15は、磁心13が機械的な負荷により強く耐えられるように、それより柔軟なフェライト材料の磁心13を補強する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】