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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】輸送施設
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/10 20060101AFI20240905BHJP
   B61B 12/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B61B12/10 A
B61B12/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518205
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022077485
(87)【国際公開番号】W WO2023052649
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2110439
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】モレット アラン
(57)【要約】
本発明は、第1の閉ループ(10)を描き、公称線速度で少なくとも1つの第1の駆動手段(12)によって駆動されるように構成された第1のけん引ケーブル(11)と、車両(30)とを有しており、車両は、車両を第1のけん引ケーブルに結合させるための結合装置(31)を有している、輸送施設(100)に関し、この輸送施設は、第1のけん引ケーブルに沿った少なくとも1つのトラック(111)を含む第1のセグメント(110)を少なくとも有している第1の循環経路(101)を少なくとも備え、第1の循環経路は、第2のセグメント(120)を少なくとも備え、この輸送施設は、車両が第1のけん引ケーブルに結合して公称速度で第1のけん引ケーブルによって引っ張られて第1のセグメントおよび第2のセグメントを通過するように構成され、第1のけん引ケーブルは第2のセグメントにおいて車両を完全に支持して公称速度で駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の閉ループ(10)を描き、公称線速度で少なくとも1つの第1の駆動手段(12)によって駆動されるように構成された第1のけん引ケーブル(11)を少なくとも有し、
結合装置(31)を有する少なくとも1つの車両(30)であって、前記結合装置(31)は前記車両(30)を前記第1のけん引ケーブル(11)に結合させるように構成されている、少なくとも1つの車両(30)を有し、
前記第1のけん引ケーブル(11)に沿って延びる少なくとも1つの走行経路(111)を含む第1のセグメント(110)を少なくとも有している第1の循環経路(101)を少なくとも備え、
前記走行経路(111)は、少なくとも1つの曲率を有し、前記車両(30)は、前記公称線速度で前記走行経路(111)上を走行するように構成された支持および案内車輪(32)の組を有し、前記第1の循環経路(101)は、第2のセグメント(120)を少なくとも備え、
前記車両(30)が前記第1のセグメント(110)および前記第2のセグメント(120)を走行するために前記第1のけん引ケーブル(11)に結合して前記公称線速度で前記第1のけん引ケーブル(11)によって引っ張られるように構成された輸送施設(100)であって、
前記第1のけん引ケーブル(11)が前記第2のセグメント(120)において前記車両(30)を完全に支持して前記公称線速度で駆動するように構成された、ことを特徴とする輸送施設(100)。
【請求項2】
第2の閉ループ(20)を描き、公称線速度で少なくとも1つの第2の駆動手段(22)によって駆動されるように構成された第2のけん引ケーブル(21)を少なくとも備え、
第2の循環経路(102)を備え、前記車両(30)を少なくとも1つの移行領域(103)において前記第1および第2の循環経路(101、102)の一方から他方へと渡すように構成され、
前記車両(30)が前記第2の循環経路(102)の少なくとも一部分を走行するために前記第2のけん引ケーブル(21)に結合して前記公称線速度で前記第2のけん引ケーブル(21)によって引っ張られるように構成された、ことを特徴とする請求項1に記載の輸送施設(100)。
【請求項3】
前記第2の循環経路(102)は、前記第2のけん引ケーブル(21)に沿って延びる少なくとも1つの走行経路(211)を備える第1のセグメント(210)を少なくとも有し、前記第1のセグメント(210)の前記走行経路(211)は、少なくとも1つの曲率を有し、前記車両(30)の前記支持および案内車輪(32)は、前記公称線速度で前記走行経路(211)上を走行するように構成された、ことを特徴とする請求項2に記載の輸送施設(100)。
【請求項4】
前記移行領域(103)は、前記第1の循環経路(101)の前記第1のセグメント(110)の走行経路部分(111)から前記第2の循環経路(102)の前記第1のセグメント(210)の走行経路部分(211)まで延びる好ましくは直線状の移行走行経路(311)からなる連続部分を備える、ことを特徴とする請求項2または3に記載の輸送施設(100)。
【請求項5】
前記車両(30)の前記結合装置(31)は、前記車両(30)を前記第1および第2のけん引ケーブル(11、21)のうちの結合したけん引ケーブル(11、21)から解放し、その後に前記車両(30)を前記第1および第2のけん引ケーブルのうちの他方のけん引ケーブル(21、11)に結合させるために、係合解除手段(33)を備える、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの乗車および/または降車ステーション(150)を備え、
前記係合解除手段(33)は、前記車両(30)が前記乗車および/または降車ステーション(150)内の乗車および/または降車位置にあるとき、係合解除位置にある、ことを特徴とする請求項5に記載の輸送施設(100)。
【請求項7】
前記第2の循環経路(102)は、第2のセグメントを少なくとも備え、
前記車両(30)が前記第1のセグメント(210)および前記第2のセグメントを走行するために前記第2のけん引ケーブル(21)に結合して前記公称線速度で前記第2のけん引ケーブル(21)によって引っ張られるように構成され、
前記第2のけん引ケーブル(21)が前記第2のセグメントにおいて前記車両(30)を完全に支持して前記公称線速度で駆動するように構成された、ことを特徴とする少なくとも請求項2に従属する請求項3~6のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項8】
前記第1のけん引ケーブル(11)は、前記第1の循環経路(101)の前記第2のセグメント(120)において直線状である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項9】
前記第2のけん引ケーブル(21)は、前記第2の循環経路(102)の前記第2のセグメントにおいて直線状である、ことを特徴とする請求項8に記載の輸送施設(100)。
【請求項10】
前記第1の循環経路(101)の前記第1のセグメント(110)の前記走行経路(111)に沿って前記第1のけん引ケーブル(11)を案内するように構成された案内手段(140)を備える、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項11】
前記案内手段(140)は、垂直案内手段(141)および水平案内手段(142)を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の輸送施設(100)。
【請求項12】
前記走行経路は、均等な様相で離間した2つのレールを備える、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項13】
前記第1のけん引ケーブル(11)は、前記第1の循環経路(101)に沿った前記車両(30)の単一の駆動ケーブルを構成する、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項14】
前記第2のけん引ケーブル(21)は、前記第2の循環経路(102)に沿った前記車両(30)の単一の駆動ケーブルを構成する、ことを特徴とする少なくとも請求項2に従属する請求項3~13のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項15】
前記第1の循環経路(101)の前記第1のセグメント(110)と前記第2のセグメント(120)とは、直列に配置される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の輸送施設(100)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の輸送施設(100)を使用するための方法であって、
・前記車両(30)を前記第1のセグメント(110)に沿って循環させる第1のステップであって、その最中に、前記車両(30)を案内するための前記支持車輪(32)の組が、前記走行経路(111)上を走行し、前記車両(30)は、前記公称線速度で前記けん引ケーブル(11)によって駆動される、第1のステップと、
・前記車両(30)を前記第2のセグメント(210)に沿って循環させる第2のステップであって、その最中に、前記第1のけん引ケーブル(11)が前記第2のセグメント(120)において前記車両(30)を完全に支持して前記公称線速度で駆動する、第2のステップと
を少なくとも含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、一般的には乗客を輸送することを目的とした(とくには、吊り下げ式の)輸送施設の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、とくには架空ケーブルによって吊り下げられ、主に山岳地帯で使用されるが、都市交通などの他の環境においても使用される多くの種類の輸送施設が存在する。他の種類の吊り下げ式のケーブル輸送施設は、遊園地に備えられる。
【0003】
実際に、人間を運ぶ車両が地面の上方に吊り下げられ、吊り下げられたレールに支持される吊り下げ式の乗り物を有する遊園地が存在し、各々の車両は、レールに沿って転がるように車両の上部に取り付けられた支持車輪を備える。さらに、これらの乗り物は、さまざまな種類であってよく、例えば、それらの巡路が大きな標高変化を有する傾斜を有する場合に強烈な感覚をもたらすことを目的とすることができ、或いは人々が何らかのテーマを持つ場所を訪れることができるように、低レベルの標高を有する傾斜で発見を目的とすることができる。一般に、通常は自走式である「発見」型の乗り物の速度は、車両が一般に受動的であり、重力によって加速されるいわゆる「強烈な感覚」の乗り物の速度と比べて小さい。
【0004】
発見型の乗り物のレールに沿って車両を移動させるために、車両の車輪は、一般に、車両に搭載された電気モータによって駆動される。車両は、車輪または車輪の対をそれぞれ駆動することができるいくつかの電気モータを備えることもできる。しかしながら、そのようなモータは嵩張り、車両を重くする。加えて、モータに電力を供給するためのバッテリを車両に備える必要があり、これがさらに車両を雑然とさせ、さらには、自走式車両は環境条件の影響を受けやすい。さらに、車両間の衝突の危険性を回避するために、各々の車両の電気モータを互いに同期させなければならない。
【0005】
仏国特許出願公開第3-043-627号明細書が、とくにこれらの欠点に対する解決策を提案し、地面の上方に吊り下げられ、少なくとも1つの曲率を有している主レールを備える少なくとも1つの車両用循環経路と、主レール上を転がるように構成された主車輪の組を備えた少なくとも1つの車両とを備える架空輸送施設を記載している。循環経路は、架空けん引ケーブルと、ケーブルを駆動するように構成された駆動手段と、ケーブルを主レールに沿って案内するように構成された案内手段とを備え、車両は、車両をケーブルに取り付けるように構成された締結手段を備える。このように、架空輸送施設にけん引ケーブルを装備し、車両をけん引ケーブルに取り付けることによって、衝突の問題を伴うことなく車両を互いに近づけ、発見型の乗り物と比べて車両の移動速度を高めることを可能にする施設が提供される。このような設備は、輸送中に車両が同じけん引ケーブルに取り付けられているため、乗客の輸送中の車両間の衝突のリスクを低減しつつ、乗客の流量を増加させることを可能にする。
【0006】
しかしながら、この種の設備は、レールでは著しい傾斜を有する部分において車両の移動を実現することができないため、場所の起伏があまりにも顕著または急激である場合に適していない。加えて、このシステムは、たとえレールが急旋回を行う可能性を提供するとしても、例えば急峻な領域または河川を通り過ぎるために、長距離にわたって障害物を横切ることが望まれる場合に、レールが多数の支持パイロンを必要とし、これが施設を嵩張らせる可能性があるため、特定の環境には適していない。
【0007】
したがって、架空ケーブルまたは吊り下げ式の輸送施設が配置される場所の地形は、きわめて限定的であり、特定の用途を許容しない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、とくには車両間の衝突のリスクを制限し、乗客の輸送流量を増加させることを可能にすることによって、高いユーザ安全性を保証しつつ、より多様な地形に適した解決策をとくに提案することによって、先行技術の欠点のすべてまたは一部を改善することを目的とする。
【0009】
そのようにするために、第1の閉ループを描き、公称線速度で少なくとも1つの第1の駆動手段によって駆動されるように構成された第1のけん引ケーブルを少なくとも有し、結合装置を有する少なくとも1つの車両であって、結合装置は車両を第1のけん引ケーブルに結合させるように構成されている、少なくとも1つの車両を有し、第1のけん引ケーブルに沿って延びる少なくとも1つの走行経路を含む第1のセグメントを少なくとも有している第1の循環経路を少なくとも備え、走行経路は、少なくとも1つの曲率を有し、車両は、公称線速度で走行経路上を走行するように構成された支持および案内車輪の組を有し、第1の循環経路は、第2のセグメントを少なくとも備え、車両が第1のセグメントおよび第2のセグメントを走行するために第1のけん引ケーブルに結合して公称線速度で第1のけん引ケーブルによって引っ張られるように構成された輸送施設であって、第1のけん引ケーブルが第2のセグメントにおいて車両を完全に支持して公称線速度で駆動するように構成された、ことを特徴とする輸送施設が提案される。
【0010】
このような特徴の組み合わせにより、車両を、種々のセグメント、とくには、少なくとも、車両が所望の曲線を描くことができる走行経路に沿って支持および案内され、第1のけん引ケーブルによって引っ張られることによって公称線速度で循環する第1のセグメント、および少なくとも、車両が第1のけん引ケーブルによって完全に支持されて公称線速度で駆動される第2のセグメントを通過することによって、第1の循環経路に沿って駆動することができる。とくには、第1の循環経路の第2のセグメントにおいて、車両は、吊り下げられることによって関連するキャリアケーブルによって完全に支持され、支持パイロンを必要とし、或いは必要とせず、これにより、急峻な領域を長距離にわたって通過することが可能になる。このような吊り下げ構成において、支持車輪の組のうちの支持車輪は、車両が第2のセグメントに沿って移動しているときに受動的であり、吊り下げられる。「吊り下げ」という用語は、車両の下部が自由のままであり、支持車輪の組のうちの支持車輪が、走行経路から外れ、もはや走行経路に載っていないことを意味する。
【0011】
さらに、第1の循環経路のそのような第2のセグメントにおいて車両が完全に支持されて引っ張られるという事実は、車両が大きな傾き(典型的には、15%超(この勾配は正でも負でもよいため、絶対値))を有する傾斜部分を循環することを可能にする。当然ながら、実際には、勾配はさまざまであってよい。
【0012】
一実施形態によれば、輸送施設は、第2の閉ループを描き、公称線速度で少なくとも1つの第2の駆動手段によって駆動されるように構成された第2のけん引ケーブルを少なくとも備え、輸送施設は、第2の循環経路を少なくとも備え、車両を少なくとも1つの移行領域において第1および第2の循環経路の一方から他方へと渡すように構成され、車両が第2の循環経路の少なくとも一部分を走行するために第2のけん引ケーブルに結合して公称線速度で第2のけん引ケーブルによって引っ張られるように構成される。
【0013】
このような構成により、地域の地形にかかわらず、車両が単一のケーブルの場合よりもはるかに長い回路を辿るように、複数のケーブルループを使用することができる。これは、ループの長さが大きすぎる場合に所与の駆動手段に関して制限される可能性がある適切な公称線速度を有することも可能にする。
【0014】
一実施形態によれば、第2の循環経路は、第2のけん引ケーブルに沿って延びる少なくとも1つの走行経路を備える第1のセグメントを少なくとも有し、第1のセグメントの走行経路は、少なくとも1つの曲率を有し、車両の支持および案内車輪は、公称線速度で走行経路上を走行するように構成される。
【0015】
一実施形態によれば、移行領域は、第1の循環経路の第1のセグメントの走行経路部分から第2の循環経路の第1のセグメントの走行経路部分まで延びる好ましくは直線状の移行走行経路からなる連続部分を備える。移行走行経路、すなわち接続地点走行経路は、2つの循環経路、すなわち第1および第2の循環経路を局所的につなぐことを可能にする。第1および第2のけん引ケーブルが描く第1および第2の閉ループが交差する構成において、それらは2点で交差し、これらの2つの交差点の各々に移行走行経路が存在する。当然ながら、輸送施設の所望される広がりに応じて、例えば3つまたは4つなど、3つ以上のケーブルループを設けることができ、ケーブルループは、好ましくは直列に配置され、2つずつ交差する。
【0016】
一実施形態によれば、車両の結合装置は、車両を第1および第2のけん引ケーブルのうちの結合したけん引ケーブルから解放し、その後に車両を第1および第2のけん引ケーブルのうちの他方のけん引ケーブルに結合させるために、係合解除手段を備える。
【0017】
一実施形態によれば、輸送施設は、少なくとも1つの乗車および/または降車ステーションを備え、係合解除手段は、車両が乗車および/または降車ステーション内の乗車および/または降車位置にあるとき、係合解除位置にある。特定の構成において、乗車および/または降車ステーションは、移行ゾーンに配置されてよい。当然ながら、乗車および/または降車ステーションについて、他の代案の位置を想定することができ、或いは別の乗車および/または降車ステーションに対して相補的であってもよい。
【0018】
一実施形態によれば、第2の循環経路は、第2のセグメントを少なくとも備え、輸送施設は、車両が第1のセグメントおよび第2のセグメントを走行するために第2のけん引ケーブルに結合して公称線速度で第2のけん引ケーブルによって引っ張られるように構成され、輸送施設は、第2のけん引ケーブルが第2のセグメントにおいて車両を完全に支持して公称線速度で駆動するように構成される。
【0019】
一実施形態によれば、第1のけん引ケーブルは、第1の循環経路の第2のセグメントに沿って直線状であり、好ましくは、第2のけん引ケーブルは、第2の循環経路の第2のセグメントに沿って直線状である。換言すると、車両が関連するけん引ケーブルに支持されるセクションが、直線状である。
【0020】
一実施形態によれば、輸送施設は、関連するけん引ケーブルを関連する循環経路の第1のセグメントの走行経路に沿って案内するように構成された案内手段を備える。
【0021】
一実施形態によれば、案内手段は、垂直案内手段および水平案内手段を備える。このようにして、関連するけん引ケーブルを、水平および湾曲した曲線、或いはこれらの曲線の組み合わせに沿って案内することができる。
【0022】
一実施形態によれば、走行経路は、均等な様相で離間した2つのレールを備える。
【0023】
一実施形態によれば、第1のけん引ケーブルは、第1の循環経路に沿って車両の単一の駆動ケーブルを構成し、かつ/または第2のけん引ケーブルは、第2の循環経路に沿って車両の単一の駆動ケーブルを構成する。
【0024】
一実施形態によれば、第1のけん引ケーブルは、第1の循環経路の第2のセグメントに沿って単一の車両支持手段を構成し、かつ/または第2のけん引ケーブルは、第2の循環経路の第2のセグメントに沿って単一の車両支持手段を構成する。
【0025】
一実施形態によれば、関連する循環経路の第1のセグメントおよび第1のセグメントは、直列に配置される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、本発明は、上述のような輸送施設を使用するための方法に関し、この方法は、少なくとも以下のステップ、すなわち
・車両を第1のセグメントに沿って循環させる第1のステップであって、その際に、車両を案内するための支持車輪の組が、走行経路上を走行し、車両は、公称線速度でけん引ケーブルによって駆動される、第1のステップ、および
・車両を第2のセグメントに沿って循環させる第2のステップであって、その際に、第1のけん引ケーブルが第2のセグメントにおいて車両を完全に支持して公称線速度で駆動する、第2のステップ
を含む。
【0027】
好ましくは、これらの2つのステップは、第1の循環ステップから第2の循環ステップへの一方向、および/または第2の循環ステップから第1の循環ステップへの他方向に、直接互いに連続する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の説明を検討することで、明らかになるであろう。
【0029】
図1】本発明の一実施形態による輸送施設の一実施形態の概略の上面図である。
図2図1による輸送施設の車両機器の軌道部分の側面図である。
図3図1の詳細図である。
図4】乗車および/または降車ステーションにおいて得た図1による輸送施設の概略の断面図である。
図5】パイロンを通過するときのけん引ケーブルによって支持された部分において得た図1による輸送施設の概略の断面図である。
図6】けん引ケーブルによって支持された部分において得た図1による輸送施設の概略の断面図である。
図7】レール上を車両が転がる部分において得た図1による輸送施設の概略の断面図である。
図8】本発明の別の実施形態による輸送施設の一実施形態の概略の上面図である。
図9図8の代案の実施形態の詳細図である。
【0030】
よりわかりやすくするために、同一または類似の要素は、すべての図において同一の参照符号によって識別される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1([図1])が、地面の上方で1つ以上の車両30を引っ張るための第1のけん引
ケーブル11を備える輸送施設100を示している。第1のけん引ケーブル11は、第1の閉ループ10を描き、公称線速度で第1の駆動手段12によって駆動されるように構成される。第1のけん引ケーブル11は、第1の循環経路101を定め、第1の循環経路101に沿って車両30が引っ張られ、輸送施設100は、第1の循環経路101に沿って第1のけん引ケーブル11を案内するための案内手段を備える。
【0032】
この実施形態において、輸送施設100は、第2の閉ループ20を描き、公称線速度で第2の駆動手段22によって駆動されるように構成された第2のけん引ケーブル21をさらに備える。第2のけん引ケーブル21は第2の循環経路102を定める。
【0033】
第1のけん引ケーブル11および第2のけん引ケーブル21によってそれぞれ形成された2つの閉ループ10、20は、ここでは第1のけん引ケーブル11と第2のけん引ケーブル21との間に2つの別個の交差部が存在するように交差し、或いは重なり合い、これらの交差部の各々は移行領域103に位置する。輸送施設100は、移行領域103の各々において第1および第2の循環経路101、102の一方から他方へと車両30を渡すように構成されている。このようにして、各々の車両は、第1の循環経路101および第2の循環経路102によって運ばれる循環経路に沿って第1および第2のけん引ケーブル11、21によって連続的に定められた軌道をたどる。
【0034】
輸送施設100は、車両30のための少なくとも1つの乗車および/または降車ステーション150をさらに備える。
【0035】
駆動手段12、22は、関連するけん引ケーブル11、21を対応する循環経路101、102に沿って駆動するように構成される。駆動手段12、22は、好ましくは、駆動ステーションと呼ばれるステーション内に位置する。各々の駆動ステーションは、ここでは、関連するけん引ケーブル11、21の閉ループ10、20の屋内空間に位置し、好ましくはこれらの2つの屋内空間の交差領域に位置する。このようにして、駆動ステーションは、対応する循環経路101、102からオフセットされる。
【0036】
図3([図3])を参照すると、各々の駆動手段12、22は、モータM1、M2と、
関連のモータM1、M2によって駆動され、関連のけん引ケーブル11、21を駆動するように構成された駆動プーリP1、P2とを備える。各々の駆動手段12、22は、関連のけん引ケーブル11、21を引き張るための手段(図示せず)をさらに備える。引き張り手段は、関連のけん引ケーブル11、21を駆動プーリP1、P2の方向に偏向させるために、駆動プーリP1、P2の両側に配置された偏向プーリ(例えば、2つの偏向プーリ)を備えることができる。駆動プーリP1、P2および対応する偏向プーリは、水平回転軸を有する。代案として、引き張り手段は、リターンプーリとも呼ばれる単一の偏向プーリを備えてもよい。この代案によれば、駆動プーリP1、P2およびリターンプーリの回転軸は、垂直である。
【0037】
施設100は、単一の車両30または複数の車両を備えることができる。さらに、各々の循環経路101、102は、1つ以上の車両30を含むことができる。各々の車両30は、乗客を輸送するために、図4図7に示されるようなキャビン300を備え、さらには/或いは、とくには1つ以上の座席を備える。
【0038】
各々の車両30は、車両30を関連のケーブル(すなわち、軌道上の位置に応じて、第1のけん引ケーブル11または第2のけん引ケーブル21)に結合させるように構成された結合装置31を備える。このようにして、車両30は、第1のけん引ケーブル11および第2のけん引ケーブル21のいずれかに取り付けられ、関連のけん引ケーブル11、21によって公称線速度で引っ張られ、関連の第1または第2の循環経路101、102の少なくとも一部分を走行する。
【0039】
「公称線速度」という用語は、車両30が輸送位置において走行する巡航速度を意味すると理解され、車両の関連のけん引ケーブル11、21の速度にも相当する。
【0040】
より詳しくは、第1および第2の循環経路101、102の各々は、少なくとも1つの走行経路111、211を含み、第1または第2のけん引ケーブル11、21に沿って延びている少なくとも1つの第1のセグメント110を含む。車両30は、公称線速度でこれらの走行経路111、211上を転がるように構成された支持車輪32および案内車輪の組を備える。
【0041】
この実施形態において、各々の走行経路111、211は、例えば少なくとも1つのレールなど、少なくとも1つの支持構造を備え、ここでは、支持構造は、均等な様相で離間し、関連の第1または第2のけん引ケーブル11、21に沿って延びている2つのレール111’、211’を備えている。別の代案において、支持構造は、支持レールの代わりに1つ以上の支持ケーブルを備えてもよい。このような第1のセグメント110、210に沿って、車両30は、支持および案内車輪が循環する走行経路111、211を支持する支持構造によって支持される。各々の走行経路111、211は、異なる位置、とくには整列していない位置で車両30を案内するように少なくとも1つの曲率を有する。曲率は、水平または垂直曲率であってよい。水平曲率は、対応する閉ループ10、20の内側に向かう内向き、または閉ループ10、20の外側に向かう外向きであってよい。垂直曲率(とくには、図2([図2])を参照)は、垂直軸Zに関して上向きまたは下
向きであってよい。当然ながら、曲率は、これらのタイプの曲率の組み合わせであってもよい。
【0042】
輸送施設100は、関連するけん引ケーブル11、21を関連する循環経路101、102の第1のセグメント110、210の走行経路111、211に沿って案内するように構成された案内手段140を備える。案内手段140は、垂直案内手段141および水平案内手段142を備える。案内手段140は、ローラ140’、すなわち溝を有する小車輪を備えることができ、けん引ケーブル11、21が溝の内側を通過することができる。一般に、ローラ140’は、関連するけん引ケーブル11、21が循環経路101、102の垂直曲率および水平曲率に従うように、循環経路101、102の第1のセグメント110に沿って位置する。
【0043】
案内手段140は、けん引ケーブル11、21を曲率に沿って案内するために、各々の走行経路111,211に沿って垂直案内手段141および水平案内手段142のグループにて間隔を空けて配置される。案内手段140の各グループは、関連するけん引ケーブル11、21の周りに放射状に分布した2つの垂直案内手段141および2つの水平案内手段142を含む。とくには、2つの垂直案内手段141は、関連するけん引ケーブル11、21の両側に互いに垂直に対向して配置され、下部ローラおよび上部ローラを含み、2つの水平案内手段142は、関連するけん引ケーブル11、21の両側に横方向に対向して配置され、2つの側部ローラを含む。
【0044】
当然ながら、循環経路101、102は、傾いた曲率、すなわち正確に垂直または正確に水平ではない曲率を含んでもよく、ローラ140’も、循環経路101、102の第1のセグメント110、210に沿ってけん引ケーブル11、21を案内するように傾けられてよい。
【0045】
第1の循環経路101は、少なくとも第2のセグメント120をさらに備え、輸送施設100は、車両30が第1のけん引ケーブル11に結合し、第1のけん引ケーブル11によって公称線速度で引っ張られて、第1のセグメント110および第2のセグメント120を移動するように構成され、輸送施設100は、第1のけん引ケーブル11が車両30を完全に支持し、第2のセグメント120に沿って公称線速度で駆動するように構成される。換言すると、第1のけん引ケーブル11は、第1の循環経路101に沿って車両30の唯一の駆動ケーブルを構成し、この第2のセグメント120に沿って、結合手段31において車両30のすべての重力を引き受ける。第1のけん引ケーブル11は、第1の循環経路101の第2のセグメント120に沿って直線状のケーブルストランドを有する。車両30は、第1のけん引ケーブル11によって完全に支持されつつ、このような第2のセグメント120に沿って移動し、したがって、このセグメントにおいて必要な固定構造は、けん引ケーブル11のみ、または、おそらくはけん引ケーブル11を地面の上方に吊り下げて保持する支持パイロン60に限られる。
【0046】
図2([図2])が、とくには、そのような第2のセグメント120の側面図を示して
おり、とくには、第2のセグメント120が、典型的には15%を超える大きな傾斜の部分を有している。このような傾斜は、この第2のセグメント120においてけん引ケーブル11が車両30を引っ張ると同時に支持もするという特徴のおかげで可能である。
【0047】
この実施形態において、第2の循環経路102は、第2のセグメント120を含んでいない。第2の循環経路102が、輸送施設100が位置する環境の地形に応じて、第1の循環経路101と同様に1つ以上の第2のセグメントを備えてもよいと理解される。この場合、第2のセグメントの特性は同じである。
【0048】
一実施形態によれば、結合手段31は、車両30をけん引ケーブル11、21に結合させるための固定クランプ34を備える。循環経路に沿って、車両は、等間隔になるようにけん引ケーブル11、21に取り付けられる。
【0049】
図示されていない一構成において、結合手段31は、車両30をけん引ケーブル11、21に恒久的に結合させる。そのような構成においては、乗客が車両30に乗り降りするために、車両30を動かないようにしておくために、駆動手段12、22を停止させなければならない。しかしながら、そのような構成は、輸送施設100が単一の閉ループ10のみを含む場合に限り可能である。
【0050】
好ましい実施形態によれば、結合手段31は、車両30をけん引ケーブル11、21に取り外し可能に結合させるための係合解除可能クランプ34を備える。係合解除手段33は、とくには、車両30が乗車および/または降車ステーション150内の乗車および/または降車位置にあるときに係合解除位置にある。係合解除可能クランプ34は、車両30をけん引ケーブル11、21から分離させるために開くことができ、或いはけん引ケーブル11、21を引っ張るために、換言すれば車両30をけん引ケーブル11、21に機械的に接続するために、閉じることができる。換言すると、車両30は、けん引ケーブル11、21の公称速度で、とくには第1および第2のセグメント110、120に沿って引っ張られるように、2つのステーション150の間においてけん引ケーブル11、21に取り付けられる。車両30がステーション150に進入すると、車両30をけん引ケーブル11、21から取り外すことができる。
【0051】
各々の移行領域103は、第1の循環経路101の第1のセグメント110の走行経路部分111から第2の循環経路102の第1のセグメント210の走行経路部分211まで延びる好ましくは直線状の移行走行経路311の連続部分を含む。このようにして、第1および第2の循環経路101、102が、たとえ別々にけん引ケーブル11、21を有していても、第1の循環経路101の第1のセグメント110の走行経路111および第2の循環経路102の第1のセグメント210の走行経路211に連続した移行走行経路311を介して接続される。ステーション150と同じやり方で、車両30が移行領域103に進入すると、車両30を2つの元のけん引ケーブル11、21の一方から取り外し、その後に、循環の方向の2つの行き先のけん引ケーブル11、21の他方に再び結合させることができる。
【0052】
移行領域103などにおける乗車および/または降車ステーション150において、車両30が対応するけん引ケーブル11、21から取り外されると、車両30は支持構造(ここでは、レール111’、211’)から吊り下げられて保持される。したがって、とくにはステーション150における乗客の乗り降りを容易にするために、切り離された車両30を、関連するけん引ケーブル11、21の速度よりも低く、したがって公称速度よりも低い速度で移動させることができる。ステーション150における車両30の移動は、電動駆動車輪45によってもたらされる。
【0053】
より具体的には、車両30は、とくにはレール上で、関連する循環経路101、102の第1のセグメント110、210からの各々の走行経路111、211のレール上を転がるように構成された支持車輪32および案内車輪の組を備える。この実施形態において、車両30は、2対の支持車輪32が取り付けられた台車40と、結合手段31とを備える。支持車輪32は、車両30が関連する循環経路101、102の第1のセグメント110、210に沿って循環するときに作動する。対照的に、これらの支持車輪32は、車両30が第2のセグメント120(とくには、ここでは第1の循環経路101の第2のセグメント)に沿って循環するときに受動的であり、なぜならば、これらの第2のセグメントにおいて、車両30は完全に支持ケーブル11によって移動し、支持されるからである。したがって、支持車輪32は電動式である必要はない。好ましくは、支持車輪32は、台車40の2対の側端部に回転自在に取り付けられる。台車45の下方に配置された案内ローラ46は、各々が対応するレール111’、211’の片側に当接するように構成される。このようにして、台車45は、自身の支持車輪32のおかげで走行経路111、211上を転がることができ、横方向の案内は、案内ローラ46(ここでは、4つ)によって確保される。ローラ46は、好ましくは、すき間を避けるために弾性付勢手段(図示せず)によって付勢される。
【0054】
さらに、車両30は、キャビン300が取り付けられ、とくにはキャビン300を台車40と接続するハンガー37を備える。好ましくは、ハンガー37は、台車40に対するキャビン300の振り子運動を可能にする枢支リンクによって台車40に接続される。とくには、ハンガー37と台車40との間のこの第1の枢支接続部は、とくにハンガー37の上端部に位置し、ハンガー37が台車の横断基準軸線に平行な軸線、すなわち車両30が位置する関連のけん引ケーブル11、21の少なくとも一部分に局所的に直交する水平軸線を中心にして、台車40に対して枢動することを可能にする。したがって、この第1の接続部は、ハンガー37によって、したがってキャビン300について、台車40に対するピッチ運動を可能にする。好ましくは、ハンガー37は、とくにはハンガー37の上端部とは反対側の下端部において、第2の枢支リンク42によってキャビン300に接続され、ハンガー37に対するキャビン300の振り子運動、とくにはハンガー37に対するキャビン300のロール運動を可能にする。
【0055】
結合手段31は、けん引ケーブル11、21上で開閉することができるピンチャを備える係合解除可能クランプ34を備える。ピンチャは、ここでは水平基準軸線に対して互いに対向する2つの顎部を備え、けん引ケーブル11、21は、車両30がけん引ケーブル11、21に結合するときにピンチャの2つの顎部の間にクランプされる。さらに、係合解除可能クランプ34は、ピンチャをけん引ケーブル11、21上に閉じた状態に保持するための1つ以上のばね35を備える。さらに、係合解除可能クランプ34は、ピンチャを開くためにばね35に当接するレバー36を備える。レバー36は、乗車および降車ステーション150並びに移行領域103においてだけでなく、けん引ケーブル11、21に対する車両30の結合および分離を可能にするためにも作動させられる。係合解除可能クランプ34は、支持アーム41を介して台車40に取り付けられる。
【0056】
輸送施設100の固定構造は、とくには、この場合には、けん引ケーブル11、21を保持し、局所的には地面の上方で第2のセグメント120に沿って支持するためのパイロン60を備える支持手段を備える。各々のパイロン60は、けん引ケーブル11、21の走行の方向に垂直に延び、支持プーリ63が取り付けられる少なくとも一端部62を有しているブラケット61を備える。プーリ63の各々は、車両がパイロン60を通過するときに対応してけん引ケーブル11、21を受け入れるための溝を備える。とくには第1の循環経路101の第2のセグメント120に位置するいくつかのパイロン60は、これらの支持プーリ63のみを支持する(図5([図5])を参照)。
【0057】
他のパイロン60のいくつかは、第1および第2の循環経路101、102の第1のセグメント110、210の走行経路111、211の少なくとも1つの支持フレーム70も支持する。フレーム70は、地面に向かって開いた「C字」形状を有する。換言すると、フレーム70は、内部に台車40が配置される中空形状を有しており、下面において基準垂直方向Zに対して下向きに開口している。フレーム70の下部開口は、支持構造を形成し、関連する走行経路111、211を支持する2つのレール111’、211’によって、両側において境界付けられている。案内手段140、とりわけ垂直案内手段141と水平案内手段142とからなる各々のグループは、このフレーム70に固定されて取り付けられる。垂直方向の案内に関与する下部ローラは、第1のセグメント110、210における支持プーリ63に相当し、関連するけん引ケーブル11、21を支持する役割も果たす。
【0058】
走行経路111、211の吊り下げおよび支持フレーム70は、ステーション150内だけでなく移行領域103内での車両30の移動も保証する電動駆動車輪45も支持する。この実施形態において、駆動ローラ45は、係合解除手段33の係合解除時および係合時に車両30の速度の減速または加速を可能にするための適切なグリップの提供を可能にするが、移行領域103、とくには移行走行経路311を通過するときに公称線速度をできる限り維持することも可能にするタイヤによって形成される(図3([図3])を参照)。
【0059】
台車45と一体の接触器47が、フレーム70と一体かつフレーム70の内部空間に収容された電気レールとの電気的接触の維持を可能にする。このようにして、車両30の電気設備に電気エネルギーを供給することが可能である。
【0060】
図4図7が、輸送施設100、より具体的には移動中の循環経路101、102のさまざまな位置にある車両30の概略の側面図を示している。
【0061】
とくには、図4([図4])が、図1の輸送施設100の断面A-Aに沿った概略図、
すなわち乗車および/または降車ステーション150において得た概略図を示しており、係合解除可能クランプ34は、係合解除位置にある。図7([図7])が、この
図と同様であり、乗車および/または降車ステーション150の外部の第1の循環経路101または第2の循環経路102の第1のセクションのレール111’、211’上の車両30の転がり位置において得た図1([図1])の輸送施設100の
断面D-Dに沿った概略図を示しており、係合解除可能クランプ34は、けん引ケーブルに結合するための閉位置にある。
【0062】
図5([図5])が、第1のけん引ケーブル11の支持パイロン60を通過するときの
第1のけん引ケーブル11によって支持される部分、すなわち第1の循環経路101の第2のセグメントにおいて得た図1([図1])の輸送施設100の断面B-Bに
沿った概略図を示している。図1([図1])の見やすさを改善するために、すべてのパ
イロン60が示されているわけではないことに留意されたい。
【0063】
図6([図6])が、完全に第1のけん引ケーブル11によって支持される部分、すな
わち第1の循環経路101の第2のセグメントにおいて得た図1([図1])の輸送施設
100の断面C-Cに沿った概略図を示している。
【0064】
このような輸送施設100のおかげで、種々のセグメント、とくには車両30が走行経路111、211に沿って連続して支持および案内され、所望の軌道の関数としての曲線を描き、公称線速度で循環して、第1のけん引ケーブル11、21によって引っ張られる第1のセグメント110、210を通過することによって、車両30を第1および第2の循環経路101、102に沿って駆動することができる。例えば、図1([図1])に示されるように経路上に河川が存在する場合な
ど、輸送施設100の場所の地理的状況があまりにも制約的である場合、輸送施設100は、車両30がけん引ケーブル11、21によって完全に支持され、公称線速度で駆動される車両30の経路上の第2のセグメント120を備える。
【0065】
図8([図8])が、単一ケーブルのループを1つだけ備え、すなわち第1のけん引ケ
ーブル11だけを備える点で、前述の実施形態から本質的に相違する輸送施設100の別の実施形態の概略図を示している。この構成から生じるさらなる相違は、駆動手段12を備える駆動ステーションが、ケーブル11、21の2つの閉ループの間の交差領域にではなく、第1のけん引ケーブル11の閉ループ10の側方空間(ここでは、内側)に位置することである。当然ながら、駆動手段12を備える駆動ステーションは、とくには台車40および結合手段31の幾何学的形状に応じ、さらには外部環境の地形に応じて、閉ループ10の外側に配置することも可能である。したがって、乗車および/または降車ステーション150のものと同等、または移行領域103において使用されるものと同等の移送手段が提供されなければならない。この場合、2つの場合を想定できる。
【0066】
第1の構成においては、図8([図8])に示されるように、モータが乗車および/ま
たは降車ステーション150内に配置され、したがって、この乗車および/または降車ステーション150は駆動ステーションでもあり、このような構成において、駆動ローラ45を備える移送手段は、車両30の速度のステーション入口における減速およびステーション出口における加速を可能にするように構成され、駆動手段12を通過するときに車両30をけん引ケーブル11から分離させ、その後に取り外し可能に結合させるために係合解除可能なクランプ34を有する結合手段31を備える。このような構成においては、係合解除手段33によって車両の係合が解除された後に、駆動ローラ45を形成するタイヤは、車両30を、例えば0.25m/sなどの降車-乗車速度に減速させ、その後に、駆動ローラ45を形成するタイヤは、係合解除手段33による結合のために車両30を第1のけん引ケーブル11の公称線速度まで加速させる。したがって、係合解除手段33は、駆動手段12(とくには、駆動プーリP1)の上流で車両30を車両30が取り付けられた第1のけん引ケーブル11から解放し、その後に、駆動手段12(とくには、駆動プーリP1)の下流で車両30を同じ第1のけん引ケーブル11に結合させるように構成される。したがって、移送手段は、先の実施形態において乗車および/または降車ステーション150で使用されるものと同等である。
【0067】
第2の構成においては、図9([図9])に示されるように、モータが乗車および/ま
たは降車ステーション150の外側に位置し、したがって、この場合には、移送手段は、先の実施形態において移送領域103で使用されるものと同等である。要約すると、駆動ローラ45を形成するタイヤが、車両30を第1のけん引ケーブル11の公称線速度に等しい速度に維持するように設定されることを除いて、すべてがステーションと同様に生じる。したがって、車両は、係合解除手段33が、駆動手段12(とくには、駆動プーリP1)の上流で車両30を車両30が取り付けられた第1のけん引ケーブル11から解放し、その後に、駆動手段12(とくには、駆動プーリP1)の下流で車両30を同じ第1のけん引ケーブル11に結合させるように構成されることを除き、移行走行経路311と同様の移送トラックに沿って案内される。
【0068】
当然ながら、本発明は、上記において例として説明されている。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変種の実施形態を生み出すことができると理解される。
【0069】
本開示、図面、および添付の特許請求の範囲から当業者に教示されるとおりのすべての特徴は、たとえ他の特定の特徴に関連して具体的に説明されていたとしても、個別に、または任意の組み合わせにて本明細書に開示の他の特徴または特徴群と組み合わせることが、そのような組み合わせが明示的に除外されておらず、技術的状況から不可能または無意味でない限り、可能であることが強調される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】