(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】二次電池用乾式電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20240905BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240905BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20240905BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/88 K
H01G11/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518222
(86)(22)【出願日】2023-04-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 KR2023005393
(87)【国際公開番号】W WO2023204636
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0049195
(32)【優先日】2022-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン-ミン・カク
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ウク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドン-モク・シン
(72)【発明者】
【氏名】ドン-オ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キュン-ファン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】キ-ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ナム-ジョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-スン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】クァン-ホ・ユ
【テーマコード(参考)】
5E078
5H018
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AB06
5E078BA18
5E078BA44
5E078BA53
5E078BB24
5E078BB34
5E078FA02
5E078FA03
5E078FA12
5H018BB08
5H018BB11
5H018BB12
5H018HH00
5H018HH05
5H018HH08
5H018HH09
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050DA11
5H050GA04
5H050GA05
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、二次電池用乾式電極、その製造方法及びこれを含む二次電池に関し、本発明の一態様による乾式電極の製造方法は、(S1)活物質及びバインダーを含む混合物から第1電極用粉体を得る工程、(S2)前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程、(S3)前記混合物塊を粉砕して第2電極用粉体を得る工程、(S4)前記第2電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程、及び(S5)前記電極フィルムを集電体の少なくとも一面に位置させてラミネートする工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S1)活物質及びバインダーを含む混合物から第1電極用粉体を得る工程と、
(S2)前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程と、
(S3)前記混合物塊を粉砕して第2電極用粉体を得る工程と、
(S4)前記第2電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程と、
(S5)前記電極フィルムを集電体の少なくとも一面に位置させてラミネートする工程と、を含む、乾式電極の製造方法。
【請求項2】
前記再使用電極用粉体は、乾式電極の製造方法において、電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルムを粉砕して得られる、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項3】
前記再使用電極用粉体は、(S1-1)第1電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程と、(S1-2)前記混合物塊を粉砕して電極用粉体を得る工程と、(S1-3)前記電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程とによって得られた電極フィルムを粉砕して得られる、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項4】
前記(S4)の工程は、前記第2電極用粉体をカレンダー加工して得られる予備電極フィルムをエッジスリットするエッジスリット工程をさらに含み、
前記(S1)の工程から前記(S4)の工程がn回繰り返し行われ、nは2以上の整数であり、
n回目の(S2)の工程で用いられる再使用電極用粉体は、1回目からn-1回目の(S4)の工程におけるエッジスリット工程により切断された予備電極フィルムを粉砕して得られる、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項5】
前記(S2)の工程は、混練の前に前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混合して電極用粉体混合物を得て、得られた電極用粉体混合物を混練して混合物塊を得る工程を含む、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項6】
前記(S2)の工程で、前記第1電極用粉体及び前記再使用電極用粉体の全体100重量%を基準として、前記第1電極用粉体の重量が30重量%以上である、請求項1又は5に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項7】
前記(S2)の工程で、前記第1電極用粉体:前記再使用電極用粉体の重量比は30:70~99:1である、請求項6に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項8】
前記第1電極用粉体は、前記活物質及びバインダーを含む混合物を得る工程によって得られる混合物である、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項9】
前記(S2)の工程における混練は、70℃から200℃の温度、及び常圧以上の圧力下で行われる、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項10】
前記(S2)の工程における混練は、10/sから500/sのせん断速度で1分から30分間行われる、請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項11】
前記(S3)の工程の後であって前記(S4)の工程のカレンダー加工の前に、粉砕された第2電極用粉体を分級するステップをさらに含む請求項1に記載の乾式電極の製造方法。
【請求項12】
集電体と、前記集電体上に位置し、活物質及びバインダーを含む電極フィルムとを備え、
請求項1に記載の乾式電極の製造方法によって製造される乾式電極。
【請求項13】
正極、負極及び分離膜を含む電極組立体がリチウム含有非水系電解質とともに電池ケースに内蔵されている二次電池であって、
前記正極及び前記負極のうちの少なくとも一方が請求項12に記載の乾式電極である、二次電池。
【請求項14】
請求項13に記載の二次電池を単位電池として含むエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、乾式電極及びこれを含む二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2022年4月20日付け出願の韓国特許出願第2022-0049195号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の使用の急増により、代替エネルギーやクリーンエネルギーの利用への要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を用いた発電及び蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられ、その使用分野が徐々に拡大している。
【0005】
このような二次電池の代表例としてのリチウム二次電池は、モバイル機器のエネルギー源としてだけでなく、最近では大気汚染の主な原因の1つであるガソリン車、ディーゼル車など化石燃料を使用する車両に代わることができる電気自動車、ハイブリッド電気自動車の動力源としての利用が実現しつつあり、グリッド(Grid)化による電力補助電源などの用途にも使用分野が拡大している。
【0006】
このようなリチウム二次電池の製造工程は、大きく電極工程、組立工程、化成工程の3段階に分けられる。前記電極工程は、また活物質混合工程、電極塗布工程、乾燥工程、圧延工程、スリット工程、巻回工程などに分けられる。
【0007】
これらのうち、活物質混合工程は、電極で実際に電気化学反応が起こる電極活性層を形成するためのコーティング物質を混合する工程であり、詳しくは、電極の必須要素である電極活物質、その他添加剤である導電材と充填材、粉体間結着と集電体に対する接着のためのバインダー、及び粘度付与と粉体分散のための溶媒などを混合して流動性のスラリー状に製造することである。
【0008】
このように電極活性層を形成するために混合した組成物を広い意味で電極合剤(electrode mixture)ともいう。
【0009】
その後、電極合剤を電気伝導性の集電体上に塗布する電極塗布工程と、電極合剤に含有されていた溶媒を除去するための乾燥工程が行われ、さらに電極が圧延されて所定の厚さに製造される。
【0010】
一方、前記乾燥工程で電極合剤に含有されていた溶媒が蒸発することにより、既に形成された電極活性層にピンホールやクラックなどの欠陥が発生する可能性がある。また、活性層の内部及び外部が均一に乾燥されていないため、溶媒の蒸発速度の違いによる粉体浮遊現象、すなわち、先に乾燥した部位の粉体が浮かび上がり、相対的に後で乾燥する部位と間隙を形成し、電極品質が低下する可能性もある。
【0011】
したがって、最近では、溶媒を用いない乾式電極を製造する研究が盛んに行われている。
【0012】
前記乾式電極は、一般に集電体上に、活物質、バインダー、導電材などを含み、フィルム状に製造されたフリースタンディングフィルムをラミネートすることにより製造される。工程において、バインダーを繊維化するためには、ジェットミル(Jet-milling)などの高せん断混合(High Shear Mixing)工程を行い、このとき、壊れやすい活物質に上記のような高せん断混合工程を適用する場合、粉体のサイズの小さな微紛が多く生成され、機械的性能や電気化学的性能が低下しやすく、高せん断混合が過剰になると、発生したバインダー繊維を切断してフリースタンディングフィルムの柔軟性が低下することがある。また、ジェットミリング工程の際、設備内部に構成成分が付着して高圧空気の流れを妨げ、流路を閉塞するという問題が発生するため、量産も容易でない。よって、このような問題を解決できる乾式電極の製造のための技術開発が続けられている。
【0013】
一方、上記のような乾式電極のフリースタンディングフィルムの製造工程においては、不良品による損失の問題と、縁部(edge)のスリット(slitting)による損失の問題が引き続き発生している。このような問題を解決するために、電極フィルムの製造時にこれらの損失部分を再利用する技術の研究開発が進められている。しかし、再利用部分を使用する場合、電極フィルムの外観品質が低下したり、フィルムの機械的物性が低下したりするなどまた他の問題が報告されている。
【0014】
これによって、これらの損失部分を再利用しながらも電極フィルムの品質を向上させることができるフリースタンディングフィルムの製造技術の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、乾式電極の製造のためのフリースタンディングフィルムの製造工程で発生する不良品及び縁部(edge)のスリット(slitting)部分を再利用することによって、原材料の損失を最小化するための乾式電極の製造方法を提供することである。
【0016】
また、再利用原料を用いながらも、外観品質及び機械的性能に優れた乾式電極の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によると、下記実施形態の乾式電極の製造方法が提供される。
【0018】
第1実施形態によると、(S1)活物質及びバインダーを含む混合物から第1電極用粉体を得る工程、(S2)前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程、(S3)前記混合物塊を粉砕して第2電極用粉体を得る工程、(S4)前記第2電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程、及び(S5)前記電極フィルムを集電体の少なくとも一面に位置させてラミネートする工程を含むことを特徴とする乾式電極の製造方法が提供される。
【0019】
第2実施形態によると、第1実施形態において、前記再使用電極用粉体は、乾式電極の製造方法において、電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム又は切断された(cut)フィルムを粉砕して得られたものであり得る。
【0020】
第3実施形態によると、第1実施形態又は第2実施形態において、前記再使用電極用粉体は、下記の工程によって第1電極用粉体から得られる電極フィルムを粉砕して得られたものであり得る。(S1-1)前記第1電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程と、(S1-2)前記混合物塊を粉砕して電極用粉体を得る工程と、(S1-3)前記電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程。
【0021】
第4実施形態によると、第1実施形態から第3実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S4)は、前記第2電極用粉体をカレンダー加工して得られる予備電極フィルムをエッジスリット(edge slitting)するエッジスリット工程をさらに含んで電極フィルムを得ており、前記工程(S1)から工程(S4)がn回繰り返し行われ(ここで、nは2以上の整数である)、n回目の工程(S2)で用いられる再使用電極用粉体は、1回目からn-1回目の工程(S4)のエッジスリット工程により切断された(cut)予備電極フィルムを粉砕して得られたものであり得る。
【0022】
第5実施形態によると、第1実施形態から第4実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S2)は、前記混練前に前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混合して電極用粉体混合物を得る工程をさらに含み、前記得られる電極用粉体混合物を混練して混合物塊を得ることであり得る。
【0023】
第6実施形態によると、第1実施形態から第5実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S2)で、前記第1電極用粉体及び前記再使用電極用粉体の全体100重量%を基準として、前記第1電極用粉体の重量が30重量%以上であり得る。
【0024】
第7実施形態によると、第1実施形態から第6実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S2)で、前記第1電極用粉体:前記再使用電極用粉体の重量比は30:70~99:1であり得る。
【0025】
第8実施形態によると、第1実施形態から第7実施形態のいずれかにおいて、前記第1電極用粉体は、前記活物質及びバインダーを含む混合物を得る工程によって得られる混合物であり得る。
【0026】
第9実施形態によると、第1実施形態から第8実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S2)における前記混練は、70℃から200℃の温度、及び常圧以上の圧力下で行うことであり得る。
【0027】
第10実施形態によると、第1実施形態から第9実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S2)における前記混練は、10/sから500/sのせん断速度で1分から30分間行うことであり得る。
【0028】
第11実施形態によると、第1実施形態から第10実施形態のいずれかにおいて、前記工程(S3)の後、工程(S4)のカレンダー加工の前に、前記粉砕された第2電極用粉体を分級するステップをさらに含むことができる。
【0029】
本発明の他の態様によると、下記実施形態の乾式電極が提供される。
【0030】
第12実施形態による乾式電極は、電極集電体と、前記電極集電体上に位置し、活物質及びバインダーを含む電極フィルムとを備え、第1実施形態から第11実施形態のいずれかによる製造方法によって製造されるものであり得る。
【0031】
本発明のまた他の態様によると、下記実施形態の二次電池が提供される。
【0032】
第13実施形態による二次電池は、正極、負極及び分離膜を含む電極組立体がリチウム含有非水系電解質とともに電池ケースに内蔵されている二次電池であって、前記正極及び前記負極のうちの少なくとも一方が上記実施形態12による乾式電極であり得る。
【0033】
本発明のまた他の態様によると、下記実施形態のエネルギー貯蔵装置が提供される。
【0034】
第14実施形態によるエネルギー貯蔵装置は、上記実施形態13による二次電池を単位電池として含むことができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、乾式電極のためのフリースタンディング電極フィルムの製造時における原料の損失率を低減することができる。
【0036】
さらに、外観品質と機械的物性に優れた乾式電極を提供することができる。
【0037】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】従来のフリースタンディング電極フィルムの製造のための工程を概略的に示す図。
【
図2】本発明の一実施形態による乾式電極の製造方法の手順図を概略的に示す模式図。
【
図3】本明細書中の実施例1(左)及び比較例2(右)の電極フィルムの外観写真。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0040】
本願明細書全体にわたって、「A及び/又はB」の記載は、「A又はBの一方、或いはこれらの両方」を意味する。
【0041】
本願は、自立型(free standing type,フリースタンディング)乾式電極フィルムを含む電極を製造する方法、及び上記製造方法によって得られる電気化学素子用電極に関する。前記電気化学素子は、電気化学反応を行うすべての素子を含み、具体的な例としては、あらゆる種類の一次及び二次電池、燃料電池、太陽電池又はスーパーキャパシタ素子のようなキャパシタなどがある。前記二次電池としては、リチウムイオンがイオン伝導体として作動するリチウムイオン二次電池が挙げられる。
【0042】
本発明の一態様による乾式電極の製造方法は、(S1)活物質及びバインダーを含む混合物から第1電極用粉体を得る工程、(S2)前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程、(S3)前記混合物塊を粉砕して第2電極用粉体を得る工程、(S4)前記第2電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程、及び(S5)前記電極フィルムを集電体の少なくとも一面に位置させてラミネートする工程を含む。
【0043】
図2には、本発明の一実施形態による乾式電極の製造方法の手順図が概略的に示されている。
【0044】
図2を参照すると、本発明によると、活物質及びバインダー、必要に応じて導電材を含む混合物から第1電極用粉体を得ており、このような第1電極用粉体と再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得た後、これを粉砕及びカレンダー加工して電極フィルムを得る工程を含む。
【0045】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体は、任意の乾式電極の製造のための電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム又はエッジ(edge)スリット(slitting)によって発生する切断された(cut)フィルムを粉砕して得ることができる。
【0046】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体は、第1電極用粉体のみを用いて電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム及び/又は切断された(cut)フィルムを粉砕して得られたものであり得る。
【0047】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体は、下記の工程によって第1電極用粉体から得られる電極フィルムを粉砕して得られたものであり得る。(S1-1)前記第1電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程と、(S1-2)前記混合物塊を粉砕して電極用粉体を得る工程と、(S1-3)前記電極用粉体をカレンダー加工して電極フィルムを得る工程。
【0048】
本発明の一実施形態によると、前記(S1-1)の「混練」工程は、後述する(S2)の「混練」工程を組み込み、(S1-2)の「粉砕」工程は、後述する(S3)の「粉砕」工程を組み込み、(S1-3)の「カレンダー加工」工程は、後述する(S4)の「カレンダー加工」工程を組み込むことができる。また、前記電極フィルムの「粉砕」も後述する「粉砕」工程を組み込むことができるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本発明の他の実施形態によると、前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を用いて電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム及び/又は切断されたフィルムを粉砕して再び再使用電極用フィルムを得ることであり得る。すなわち、前記再使用電極用粉体は、電極フィルムを製造するための原料物質が一回再使用されるものだけでなく、2回、3回などn回再使用されるものを含むことができる。
【0050】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体は、前記(S4)電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム及び/又は切断された(cut)フィルムを粉砕して得られたものであり得る。
【0051】
本発明の他の実施形態において、前記工程(S1)から工程(S4)がn回繰り返し行われ(ここで、nは2以上の整数である)、n回目の工程(S2)で用いられる再使用電極用粉体は、1回目からn-1回目の工程(S4)で得られる電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルム及び/又は切断された(cut)フィルムを粉砕して得られたものであり得る。具体的に、前記工程(S4)は、前記第2電極用粉体をカレンダー加工して得られる予備電極フィルムをエッジスリット(edge slitting)するエッジスリット工程をさらに含んで電極フィルムを得ており、n回目の工程(S2)で用いられる再使用電極用粉体は、1回目からn-1回目の工程(S4)のエッジスリット工程により切断された(cut)予備電極フィルムを粉砕して得られたものであり得る。
【0052】
前記再使用電極用粉体は、前記第1電極用粉体、すなわち新たに製造される電極用粉体の混練工程に投入され、前記第1電極用粉体とともに混練されて混合物塊を形成することができる。
【0053】
このとき、本発明の一実施形態によると、前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体の混練の前に、前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混合して電極用粉体混合物を得る工程をさらに含むことができる。すなわち、前記工程(S2)は、第1電極用粉体を得た後に再使用電極用粉体を混合して電極用粉体混合物を得た後、得られる電極用粉体混合物を混練して混合物塊を得るステップを行うことができる。
【0054】
前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体の混練の前に、第1電極用粉体及び再使用電極用粉体を混合して電極用粉体混合物を先に得ることが、前記粉体が均一に混合して最終電極の均一な物性を発揮する点で有利な効果があり得るが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実施形態によると、前記工程(S2)で、前記第1電極用粉体及び前記再使用電極用粉体の全体100重量%を基準として、前記第1電極用粉体の重量が30重量%以上であり得る。
【0056】
例えば、前記第1電極用粉体及び前記再使用電極用粉体の全体100重量%を基準として、前記第1電極用粉体の重量は30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上又は80重量%以上であり得る。前記第1電極用粉体の重量が上記範囲であると、製造される電極フィルムの機械的物性の点で有利な効果があり得るが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0057】
本発明の一実施形態によると、前記工程(S2)で、前記第1電極用粉体:前記再使用電極用粉体の重量比は、例えば30:70~99:1、30:70~95:5、30:70~90:10、35:75~85:15、40:60~80:20、45:55~75:25、50:50~70:30、50:50~60:40又は60:40~80:20であり得る。
【0058】
本発明の一実施形態によると、前記第1電極用粉体:前記再使用電極用粉体の重量比が上記範囲であると、製造される電極フィルムの品質に優れるだけでなく、再使用電極用粉体の再使用回数に関わらず、品質に優れた電極フィルムを製造することができる効果があり得る。
【0059】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体を得るための粉砕の手段は限定されず、例えば、ブレンダーと、カッターミル又はファインインパクトミルなどのグラインダーなどの機器を用いることができる。前記再使用電極用粉体のサイズは、第1電極用粉体のサイズに対応するように粉砕することが、得られる混合物塊中におけるこれらの均一性の点で好ましい場合がある。これによって、以下では第1電極用粉体について詳しく説明する。
【0060】
まず、活物質、導電材及びバインダーを含む混合物から第1電極用粉体を得る。
【0061】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体及び第1電極用粉体はいずれも活物質及びバインダーを含む。本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体及び第1電極用粉体の少なくとも一方は、必要に応じて導電材をさらに含むことができる。このとき、再使用電極用粉体及び第1電極用粉体に含まれる活物質、導電材及びバインダーの種類は、互いに同一であるか又は互いに異なり、これに限定されるものではない。
【0062】
本発明の他の実施形態によると、前記工程(S2)で用いられる再使用電極用粉体に含まれる活物質及びバインダー、必要に応じて導電材の種類と同様のものを用いて第1電極用粉体を得ることが、電極フィルムの品質の点で有利な効果を示すことができる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、前記第1電極用粉体は、前記活物質及びバインダーを混合する工程によって得られる混合物であり得る。すなわち、前記活物質、バインダーが粉体状態で混合されて形成される粉体混合物であり得る。これには必要に応じて導電材をさらに含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0064】
上記工程は、第1電極用粉体の製造のために活物質及びバインダーを混合して混合物を製造する工程である。このとき、前記混合物を製造するための混合は、前記活物質及びバインダーが均一に分布できるように行うことであり、パウダー状に混合されるため、これらの単純な混合を可能とするものであれば限定されず、種々の方法によって混合することができる。ただし、本願が溶媒を用いない乾式電極で製造されるため、上記混合は乾式混合で行うことができ、ブレンダー又はスーパーミキサーのような装置に上記の物質を投入して行うことができる。
【0065】
本発明の一実施形態によると、前記第1電極用粉体を得るための混合工程で混合物を製造するための混合がブレンダーで行われる場合、均一性を確保するために、ブレンダーで5,000rpmから20,000rpmで30秒から20分、詳しくは10,000rpmから15,000rpmで30秒から5分間混合することができる。
【0066】
本発明の他の実施形態によると、前記混合がスーパーミキサーで行われる場合、均一性を確保するためにスーパーミキサーで500rpmから2,500rpm、具体的に1,000rpmから2,000rpmで混合でき、これによって工程時間を調節することができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、製造対象の乾式電極は正極であり、前記活物質は正極活物質であり得る。
【0068】
前記正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物と、リチウム金属鉄リン酸塩と、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物と、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物に一部が他の遷移金属で置換された酸化物と、又はこれらのうちの2つ以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。具体的に、前記正極活物質は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1つ又はそれ以上の遷移金属で置換された化合物と、化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物と、リチウム銅酸化物(Li2CuO2)と、LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物と、化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaであり、x=0.01~0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物と、化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaであり、x=0.01~0.1である)又はLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物と、リチウム金属リン酸塩LiMPO4(ここで、Mは、M=Fe、CO、Ni、又はMnである)と、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物Li1+x(NiaCobMnc)1-xO2(x=0~0.03、a=0.3~0.95、b=0.01~0.35、c=0.01~0.5、a+b+c=1)と、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物に一部がアルミニウムで置換された酸化物Lia[NibCocMndAle]1-fM1fO2(M1は、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群より選択される1種以上であり、0.8≦a≦1.2、0.5≦b≦0.99、0<c<0.5、0<d<0.5、0.01≦e≦0.1、0≦f≦0.1)と、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物に一部が他の遷移金属で置換された酸化物Li1+x(NiaCobMncMd)1-xO2(x=0~0.03、a=0.3~0.95、b=0.01~0.35、c=0.01~0.5、d=0.001~0.03、a+b+c+d=1、Mは、Fe、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg及びMoからなる群より選択されたいずれか1つである)、ジスルフィド化合物と、Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0069】
本発明の他の実施形態によると、製造対象の乾式電極は負極であり、前記活物質は負極活物質であり得る。
【0070】
前記負極活物質は、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素と、LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物と、リチウム金属と、リチウム合金と、ケイ素系合金と、スズ系合金と、SiO、SiO/C、SiO2などのケイ素系酸化物と、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、及びBi2O5などの金属酸化物と、ポリアセチレンなどの導電性高分子と、Li-Co-Ni系材料などを用いることができる。
【0071】
本発明のまた他の実施形態によると、前記乾式電極は詳しくは正極であり得る。よって、前記活物質は、詳しくは正極活物質であり、より詳しくは、リチウム遷移金属酸化物、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物、リチウムニッケル-マンガン-コバルト酸化物に一部が他の遷移金属で置換された酸化物、リン酸鉄リチウムなどであり得る。
【0072】
本発明の一実施形態によると、前記正極活物質は、ニッケル-マンガン-コバルト-アルミニウム(NCMA)を含むことができる。前記ニッケル-マンガン-コバルト-アルミニウム(NCMA)はこれに限定されるものではないが、例えば、Li[Ni0.86Mn0.05Co0.07]Al0.2O2を含むことができる。
【0073】
前記バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリオレフィン、又はこれらの混合物を含むことができ、詳しくは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)を含むことができ、より詳しくは、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)であり得る。
【0074】
具体的に、前記ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene、PTFE)は、バインダー全体の重量を基準として60重量%以上で含まれ得る。
【0075】
本発明のまた他の実施形態において、前記バインダーには、PEO(polyethylene oxide、ポリエチレンオキシド)、PVdF(polyvinylidene fluoride、ポリビニリデンフルオライド)、PVdF-HFP(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体)又はこれらのうちの2つ以上がさらに含まれ得る。
【0076】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こすことなく、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛と、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック系炭素素材と、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維と、フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉体などの金属粉体と、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカーと、酸化チタンなどの導電性金属酸化物と、ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを用いることができるが、詳しくは、導電材の均一な混合と、導電性の向上のために、活性炭、黒鉛、カーボンブラック、及びカーボンナノチューブからなる群より選択される1種以上を含むことができ、より詳しくは、活性炭を含むことができる。
【0077】
本発明の一実施形態によると、前記活物質、導電材、及びバインダーの混合比は、活物質:導電材:バインダーを重量比で80~98重量部:0~10重量部:0.5~10重量部で含むことができ、詳しくは、85~98重量部:0.5~5重量部:0.5~10重量部で含むことができる。
【0078】
前記活物質、導電材及びバインダーの混合比が上記範囲になる含有量でバインダーを含む場合、以後の混練工程でバインダーの過剰な繊維化を防止して工程作業性を向上させるか、十分な繊維化を誘導して合剤フィルムの物性を向上させる点で優れた効果を示すことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0079】
前記活物質、導電材及びバインダーの混合比が上記範囲になる含有量で導電材が含まれる場合、製造される電極の容量、合剤フィルムの物性及び導電性の点で優れた効果を示すことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0080】
本発明の他の実施形態によると、前記第1電極用粉体は、前記工程(S1-1)によって得られる混合物を混練及び粉砕して得られる粉体であり得る。具体的に、前記第1電極用粉体は、(S1-2)前記工程S1-1で得られる混合物を混練して混合物塊を得る工程、及び(S1-3)前記混合物塊を粉砕する工程を含む方法によって得るものであり得る。
【0081】
前記工程(S1-2)は、上記のように製造した混合物でバインダーを繊維化して混合物塊を得るためのステップであり、例えば混練工程(kneading)といえる。
【0082】
本発明の一実施形態によると、製造される電極フィルムの外観特性の点で、前記第1電極用粉体は、活物質及びバインダー、必要に応じて導電材を混合して得られる混合物自体、すなわち粉体混合物を用いることが好ましい場合があるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0083】
上述したように、本発明によると、(S2)活物質及びバインダー、必要に応じて導電材を含む混合物から得られた第1電極用粉体と再使用電極用粉体を混練して混合物塊を得る工程を含む。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記工程(S1)の後、工程(S2)の混練の前に、前記得られた第1電極用粉体を分級するステップをさらに含むことができる。前記分級するステップでは、前記粉砕された電極用粉体を一定の大きさ以下の空隙を有するメッシュ(mesh)を用いて一定の大きさ以上の電極用粉体をフィルタリングすることにより得ることができる。
【0085】
前記工程(S2)における混練は、前記第1電極用粉体及び再使用電極用粉体に含まれるバインダーを繊維化し、これらの粉体を結合又は連結することで、第1電極用粉体及び再使用電極用粉体が均一に分布する混合物塊を形成するステップである。
【0086】
前記工程(S2)における混練は、限定されないが、例えばニーダーのような混練機により行うことができる。このような混練は、前記バインダーが繊維化して前記活物質及び導電材粉体を結合又は連結することで、固形分100%の混合物塊を形成するステップである。
【0087】
具体的に、前記工程(S2)の混練は、10rpmから100rpmの速度で1分から30分間行うことができ、詳しくは25rpmから50rpmの速度で3分から7分間行うことができ、このとき、せん断速度が10/sから500/sの範囲で1分から30分間行うことができる。せん断速度は、より詳しくは、30/sから100/sの範囲で行うことができる。
【0088】
また、このような混練ステップは、高温及び常圧以上の圧力条件下で行うことができ、より詳しくは、常圧よりも高い圧力条件下で行うことができる。
【0089】
より具体的に、前記工程(S2)の混練は、前記混合物を70℃から200℃の温度範囲、詳しくは、90℃から180℃又は90℃から150℃で行うことができる。
【0090】
本発明の一実施形態において、前記工程(S2)の混練は、常圧以上、詳しくは1atmから60atmの圧力下、又は1atmから30atmの圧力下、又は1atmから10atmの圧力下、1atmから10atmの圧力下、1.1atmから10atmの圧力下、1.1atmから6atmの圧力下、又は1.1atmから3atmの圧力下で行うことができる。
【0091】
上記混練を上述した条件下で行う場合、混練時にバインダーの繊維化及び混練による塊化を十分に達成し、カレンダー加工時におけるフィルム化が容易となるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記第1電極用粉体と再使用電極用粉体の混合後に混練するステップ(混練工程)を行うことなく、カレンダー加工により電極フィルムを製造する際に、又は第1電極用粉体のみを混練及び粉砕し、(既に混練工程を行って製造した)再使用電極用粉体と混合した後にカレンダー加工により電極フィルムを製造する際に、電極フィルムの外観にムラが観察されるなど外観特性が不良となる場合がある。
【0093】
さらに、前記電極フィルムの外観特性が不良な場合、電極フィルムに活物質が均一に分布していないか、バインダーが部分的に凝集しているか、又はさらに含まれる導電材が均一に分布していないか、製造される電極フィルム内のバインダーの繊維化の程度がばらつくなど、製造される電極フィルム内の粉体の均一度が低下して電極の品質不良を引き起こす可能性があるが、本発明の効果がこれに限定されるものではない。
【0094】
次いで、上記混練により製造された混合物塊を直ちにカレンダー加工することもできるが、この場合、強い圧力と高温で混合物塊を押して薄いフィルム状に製造しなければならない場合があり、これによって、フィルムの密度が高すぎたり均一なフィルムが得られなかったりという問題が発生する可能性があるため、本発明によると、(S3)前記製造された混合物塊を粉砕して第2電極用粉体を得る工程を経る。
【0095】
前記工程(S3)における粉砕は、本発明の方法により電極フィルムを得る前に、最終電極用粉体である第2電極用粉体を得るために行われ得る。このとき、上記粉砕は、限定されないが、ブレンダーにより行われるか、又はカッターミルやファインインパクトミルなどのグラインダーなどのような装置により行うことができる。
【0096】
本発明の一実施形態において、上記粉砕がブレンダーを用いて行われる場合、上記粉砕は、具体的に、500rpmから20,000rpmの速度で30秒から10分、詳しくは1,000rpmから10,000rpmの速度で30秒から1分間行うことができる。
【0097】
本発明の他の実施形態において、上記粉砕がカッターミルを用いて行われる場合、上記粉砕は、具体的に500rpm以下、例えば400rpmから500rpmの速度で10秒から60秒間行うことができる。
【0098】
本発明のまた他の実施形態において、上記粉砕がインパクトミルを用いて行われる場合、上記粉砕は、具体的に3,000rpmから8,000rpm、例えば4,000rpmから7,000rpmの速度で10秒から60秒間行うことができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、上記粉砕が上述した条件下で行われる場合、第2電極用粉体のサイズがフィルム化に適しており、微粉の発生を最小化する点で好ましい場合があるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記工程(S3)の後、工程(S4)のカレンダー加工の前に、前記粉砕された第2電極用粉体を分級するステップをさらに含むことができる。前記分級するステップでは、前記粉砕された電極用粉体を一定の大きさ以下の空隙を有するメッシュ(mesh)を用いて一定の大きさ以上の電極用粉体をフィルタリングすることにより得ることができる。前記分給ステップをさらに含む場合、フィルムの外観特性、表面の均一性、これによるフィルムの物性改善の点で有利な効果があり得る。例えば、上記製造された電極用粉体が大きすぎるか凝集している場合、後続のカレンダー工程でブリッジ形成され、ピンホールのようにフィルムの外観不良、不均一な表面特性を有するフィルムを製造する可能性が高くなるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0101】
その後、(S4)上記のように得られる第2電極用粉体、又は分給された第2電極用粉体を用いてカレンダー加工(calendaring)して電極フィルムを得る。
【0102】
前記カレンダー加工は、前記第2電極用粉体をフィルム状に加工することであり、例えば50μmから300μmの平均厚さを有するようにフィルム状に圧延して製造するステップであり得る。
【0103】
このとき、前記カレンダー加工は、例えば、対向して存在するロールによって行うことができ、このとき、ロール温度は50℃から200℃であり、対向するロールの回転速度はそれぞれ異なる速度で行うことができ、回転速度は特に限定されない。
【0104】
本発明の一実施形態において、前記対向するロールの間隔は、例えば20~500μmであり、カレンダー加工の繰り返し回数及び所望するフィルムの厚さによって可変に調節でき、これに特に限定されない。
【0105】
本発明の一実施形態において、前記カレンダー加工は、1回又は2回以上繰り返し行うことができる。例えば前記カレンダー加工は、3回又は4回、又はそれ以上行うことができる。
【0106】
本発明の一実施形態によると、前記(S4)電極フィルムを得る工程は、カレンダー加工の後にエッジスリット(edge slitting)工程をさらに含むことができる。具体的に、前記工程(S4)は、前記第2電極用粉体をカレンダー加工して得られる予備電極フィルムをエッジスリットする工程をさらに含んで電極フィルムを得ることであり得る。
【0107】
前記カレンダー加工により得られるフィルム(すなわち、予備電極フィルム)は、エッジ部分に行くほど厚さが薄くなるか、末端の形状が一定でないという問題があり得る。これにより、上記でカレンダー加工により得られるフィルムのエッジ部分を切り出すことで、得られるフィルムの厚さを全面にかけて一定にするか、又は末端の形状を一定にするためにエッジスリット工程をさらに行うことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0108】
前記エッジスリットは、自立型(又はフリースタンディング)電極フィルムの製造に通常用いる手段によって行うことができ、その手段は特に限定されない。
【0109】
本発明の一実施形態によると、前記カレンダー加工により得られた電極フィルムの品質が不良であるか、前記エッジスリットによって切断された電極フィルムを粉砕して再使用電極用粉体として用いることができる。
【0110】
本発明の一実施形態によると、前記再使用電極用粉体は、前記(S4)電極フィルムを得る工程で発生する不良フィルムを粉砕して得られるものであり得る。
【0111】
本発明の一実施形態によると、前記電極フィルムの品質が不良であるとは、例えば、前記電極フィルムの引張強度が0.7MPa以下、具体的に0.7MPa未満である場合を意味し得る。例えば、前記電極フィルムの引張強度が0.7MPa未満、0.8MPa未満又は1MPa未満である場合も意味し得る。例えば、電極フィルムの引張強度が上記範囲未満であると、フィルムの破断が発生し、フィルムの巻き取りが容易でないため、上記のような品質を有する電極フィルムを粉砕して再使用電極用粉体として用いることができる。
【0112】
上記引張強度は公知の方法により測定されたものであり、その測定方法は限定されない。例えば、上記引張強度は、電極フィルムを1cm×5cmの大きさに裁断した後、UTM機器を用いて5cm/分の速度で引っ張るとき、破断時の最大応力値を引張強度、破断時までの長さ変化率を伸びとして評価したものであり得る。
【0113】
本発明の一実施形態によると、前記工程(S4)は、前記第2電極用粉体をカレンダー加工して得られる予備電極フィルムをエッジスリットする工程をさらに含んで電極フィルムを得ることであり得る。このとき、前記再使用電極用粉体は、前記エッジスリット工程により切断された(cut)予備電極フィルムを粉砕して得られるものであり得る。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記エッジスリット工程により切断された予備電極フィルムの面積は、例えば、前記予備電極フィルムの総面積を基準として20%以下、具体的に1%から20%、5%から20%、10%から20%、10%から15%、又は15%から20%であるが、これに限定されるものではない。
【0115】
このような工程(S4)まで進まれると、電極合剤の役割を行う合剤フィルム、すなわち電極フィルムを製造することができる。このような電極フィルムは、従来、フリースタンディングフィルムとも呼ばれている。
【0116】
上述したように、前記工程(S1)から工程(S4)は、1回又は2回以上(n回)繰り返し行うことができる。例えば、前記工程(S4)で不良フィルムが発生する場合、これを粉砕することで一次再使用電極用粉体を得て、工程(S1)から工程(S4)を繰り返すことができる。
【0117】
上述したように、本発明の他の実施形態において、前記再使用電極用粉体は、前記第1電極用粉体を用いて電極フィルムを製造する工程で得ることができる。
【0118】
このように製造される電極フィルムは、溶媒を含んでいないため、流動性がほぼなく、取り扱いが容易であり、所望の形状に加工して様々な形態の電極を製造するために用いることができる。また、前記電極フィルムを電極の製造に用いる場合、溶媒を除去するための乾燥工程を省略できるため、電極の製造工程性を大きく改善できるのみならず、従来の乾式電極の製造で問題となっていた活物質の微粉や繊維化したバインダーの切れなどの問題を解消することができる。
【0119】
前記工程(S5)は、前記電極フィルムを集電体の少なくとも一面に形成するためのラミネートを行うステップである。
【0120】
本発明の一実施形態において、前記集電体は、電池に化学的変化を引き起こすことなく、高い導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅又はアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。また、集電体は、その表面に微細な凹凸を形成することにより正極活物質の接着力を向上させることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など様々な形態が可能である。さらに、前記集電体は、表面抵抗を低下させ、接着力を向上させるための導電性プライマーが全体的又は部分的にコーティングされたものを用いることができる。ここで、前記導電性プライマーは、導電性物質とバインダーを含むことができ、前記導電性物質は、導電性を有する物質であれば限定されないが、例えば、炭素系物質であり得る。
【0121】
本発明の一実施形態において、前記ラミネートは、前記電極フィルムを集電体上に所定の厚さに圧延及び付着するステップであり得る。前記ラミネートもラミネートロールによって行うことができ、このとき、ラミネートロールは常温(25℃)から200℃の温度に維持できるが、これに限定されるものではない。
【0122】
本発明の他の態様による乾式電極は、電極集電体と、前記電極集電体上に位置し、活物質、導電材及びバインダーを含む電極フィルムとを備え、上述した製造方法によって製造されるものである。
【0123】
本発明の一実施形態による乾式電極は、再使用電極用粉体を用いることなく、新規の電極用粉体のみで製造される乾式電極と類似の水準の外観を示すだけでなく、引張強度及び伸びのような機械的物性の点でも類似の物性を示す特徴を有する。
【0124】
本発明のまた他の態様による二次電池は、正極、負極及び分離膜を含む電極組立体がリチウム含有非水系電解質とともに電池ケースに内蔵されている二次電池であり、前記正極及び負極のうちの少なくとも一方以上を上述した乾式電極として用いるものである。
【0125】
前記二次電池の具体的な構造などは周知であるため、本明細書には説明を省略する。
【0126】
本発明のまた他の態様によるエネルギー貯蔵装置は、上述した二次電池を単位電池として含むものである。
【0127】
前記エネルギー貯蔵装置の具体的な構造などは周知であるため、本明細書には説明を省略する。
【0128】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【0129】
[乾式電極の製造]
実施例1
下記のステップによって乾式電極を製造した。
【0130】
ステップ1.第1電極用粉体の製造
正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA)Li[Ni0.86Mn0.05Co0.07]Al0.02O2を965g、導電材としてカーボンブラックを10g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)25gをブレンダーに投入し、10,000rpmで3分間混合して混合物の形態の第1電極用粉体を得た。
【0131】
ステップ2.再使用電極用粉体の製造
ニーダー(新日分散機)の温度を150℃に安定化させ、上記ステップ1により製造した第1電極用粉体をニーダーに入れた後、圧力1.1atm下で40rpmの速度で5分間作動して混合物塊を得た。
【0132】
前記混合物塊をブレンダー(Waring社)に投入し、10,000rpmで1分間粉砕して得られた粉体を活物質ロード量が5.0mAh/cm2となる条件下でラップカレンダー(ロール直径:160mm、ロール温度100℃)に3回投入して厚さ85μmのフィルムを製造した。このとき、製造されたフィルムを幅270mmを有するようにエッジスリットして電極フィルムを製造した。
【0133】
前記エッジスリットによって切断された部分をブレンダー(Waring社)に投入し、10,000rpmで1分間粉砕して再使用電極用粉体を得た。
【0134】
ステップ3.第2電極用粉体の製造
上記ステップ1で得た第1電極用粉体800g、及び上記ステップ2で得た再使用電極用粉体200gをブレンダー(Waring社)に投入し、10,000rpmで1分間混合して電極用粉体混合物を得た。
【0135】
ニーダー(新日分散機)の温度を150℃に安定化させ、前記得られた電極用粉体混合物をニーダーに入れた後、圧力1.1atm下で40rpmの速度で5分間作動して混合物塊を得た。
【0136】
前記混合物塊をブレンダー(Waring社)に投入し、10,000rpmで1分間粉砕して第2電極用粉体を得た。
【0137】
ステップ4.電極フィルムの製造
上記ステップ3で得た第2電極用粉体を活物質ロード量が5.0mAh/cm2となる条件下でラップカレンダー(ロール直径:160mm、ロール温度100℃)に3回投入して厚さ85μmのフィルムを製造した。このとき、製造されたフィルムを幅270mmを有するようにエッジスリットして電極フィルムを製造した。
【0138】
ステップ5.電極の製造
上記ステップ4で得た電極フィルムをコーティングされたアルミニウム箔(16μm)の一面に位置させ、150℃に維持されるラミネートロールによりラミネートして電極を製造した。
【0139】
実施例2
上記ステップ3で第1電極用粉体600g及び前記再使用電極用粉体400gを投入したことを除いては、実施例1と同様の方法によって電極を製造した。
【0140】
実施例3
上記ステップ3で第1電極用粉体400g及び前記再使用電極用粉体600gを投入したことを除いては、実施例1と同様の方法によって電極を製造した。
【0141】
比較例1
上記ステップ3で第1電極用粉体を混合せず、前記再使用電極用粉体1,000gを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法によって電極を製造した。
【0142】
比較例2
下記のステップによって乾式電極を製造した。
【0143】
ステップ1.第1電極用粉体の製造
正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウムオキサイド(NCMA)Li[Ni0.86Mn0.05Co0.07]Al0.02O2を965g、導電材としてカーボンブラックを10g、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)25gをブレンダーに投入し、10,000rpmで3分間混合して粉体混合物を得た。
【0144】
ニーダー(新日分散機)の温度を150℃に安定化させ、前記粉体混合物をニーダーに入れた後、圧力1.1atm下で40rpmの速度で5分間作動して混合物塊を得た。
【0145】
前記混合物塊をブレンダー(Waring社)に投入し、10,000rpmで1分間粉砕して第1電極用粉体を得た。
【0146】
ステップ2.電極フィルムの製造
上記ステップ1で得た第1電極用粉体800g、及び上記実施例1のステップ2で得た再使用電極用粉体200gを混合して粉体混合物を得た。
【0147】
前記得た粉体混合物を活物質ロード量が5.0mAh/cm2となる条件下でラップカレンダー(ロール直径:160mm、ロール温度100℃)に3回投入して厚さ85μmのフィルムを製造した。このとき、製造されたフィルムを幅270mmを有するようにエッジスリットして電極フィルムを製造した。
【0148】
ステップ3.電極の製造
上記ステップ2で得た電極フィルムをコーティングされたアルミニウム箔(15μm)の一面に位置させ、150℃に維持されるラミネートロールによりラミネートして電極を製造した。
【0149】
[物性評価]
以下のような方法によって上記で製造した実施例1から実施例3、比較例1及び比較例2の乾式電極に含まれる電極フィルムの引張強度及び外観特性を評価し、その結果を下記表1及び
図3に示す。
【0150】
評価結果には、比較群として実施例1のステップ2で製造した電極フィルムの物性評価結果をともに記載した。
【0151】
引張強度
UTM(Zwick社)を用いて1cm×5cmに裁断した電極フィルムを5cm/1分の速度で引っ張って応力(stress)、歪み(strain)の値を測定し、このとき、破断直前の最大応力値を引張強度として評価した。
【0152】
後続工程で破断が発生することを防止するために、目標物性値は0.7MPa以上に設定した。
【0153】
外観
目視観察により外観を確認し、フィルムにムラが観察される場合、外観不良と評価し、実施例1及び比較例2の外観評価結果を
図3に示した。
【0154】
【0155】
以上の結果のように、再使用電極用粉体のみを用いる比較例1の場合、電極フィルムの機械的物性が不良であることを確認した。また、比較例2の場合、混練工程の後に粉砕により製造された第1電極用粉体と再使用電極用粉体を混合した後、カレンダー加工して電極フィルムを製造すると、フィルム内の粉体の均一度が低下して外観特性が不良になるだけでなく、再使用電極用粉体を用いることで、第1電極用粉体のみを用いることに比べ、バインダーの繊維化工程(混練工程)が繰り返し行われ、電極フィルムの引張強度も低く実現されることを確認した。
【0156】
一方、再使用電極用粉体を70%以下の割合で用いる実施例1から実施例3の場合、新規電極用粉体のみを用いた比較群と類似の水準の機械的物性及び外観特性を実現できることを確認した。
【0157】
以上、本発明の実施形態及び図面を参照して説明したが、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記内容に基づいて本発明の範囲内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【国際調査報告】