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特表2024-533648低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518247
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022044858
(87)【国際公開番号】W WO2023055725
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,683
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】コウデラ、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アボット、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、ジョエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】コースラ、ジェームズ ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーダ、サンドラ エル.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB21
(57)【要約】
低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスは、近位端と、遠位端と、中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、長尺状のシャフトの近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、長尺状のシャフトの遠位端に近接して配置された切断ブレードとを含み得る。切断ブレードは、作動機構の動作に応答して、長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能である。長尺状のシャフトは、縫合糸を受容するための遠位ポートを含む。長尺状のシャフトは、中心長手方向軸に対して略垂直に長尺状のシャフトの外面から内向きに延在する横方向スロットを含む。長尺状のシャフトは、遠位ポートから長尺状のシャフト内を軸方向に横方向スロットまで延在する縫合糸ルーメンを含む。切断ブレードは、縫合糸ルーメンに隣接する横方向スロットと交差している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、
前記長尺状のシャフトの前記近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、
前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接して配置された切断ブレードと、を備え、
前記切断ブレードは、前記作動機構の動作に応答して前記長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能であり、
前記長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記中心長手方向軸に対して略垂直に前記長尺状のシャフトの外面から内向きに延在する横方向スロットを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記遠位ポートから前記長尺状のシャフト内を軸方向に前記横方向スロットまで延在する縫合糸ルーメンを含んでおり、
前記切断ブレードは、前記縫合糸ルーメンに隣接する前記横方向スロットと交差している、医療デバイス。
【請求項2】
前記長尺状のシャフトは、前記切断ブレードに対して前記横方向スロットとは概ね反対側に配置された側面ポートを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記横方向スロットは、前記長尺状のシャフトの前記遠位端の方向に面する第1の近位壁を含んでおり、
前記側面ポートは、前記長尺状のシャフトの前記遠位端の方向に面する第2の近位壁を含んでおり、
前記第2の近位壁は、前記第1の近位壁の遠位に配置されている、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記切断ブレードは、前記中心長手方向軸に実質的に平行に配向された平坦な本体部分を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記切断ブレードは、該切断ブレードを通って横断的に延在する長手方向に配向されたスロットを含む、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記切断ブレードは、前記切断ブレードの遠位端に近接するとともに、前記長尺状のシャフトの前記近位端の方向に面する鋭利な刃先をさらに含む、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記長尺状のシャフトに対する前記切断ブレードの近位軸方向移動によって、前記鋭利な刃先が前記横方向スロットに向かって移動する、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記鋭利な刃先は、前記横方向スロットと協働して、前記切断ブレードの前記長手方向に配向されたスロットを通って延在する縫合糸を切断するように構成される、請求項6または7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記長尺状のシャフトが、前記長尺状のシャフトの前記遠位端に固定された丸みを帯びた遠位キャップを含んでおり、前記丸みを帯びた遠位キャップが前記遠位ポートを含んでいる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、
前記長尺状のシャフトの前記近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、
前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接して配置された切断ブレードと、を備え、
前記作動機構は、前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接した枢動連結部を含んでおり、前記枢動連結部は、前記切断ブレードに連結されており、
前記切断ブレードは、前記作動機構の動作に応答して前記長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能であり、
前記長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記長尺状のシャフト内で前記遠位ポートから近位に延在する縫合糸ルーメンを含んでおり、
前記切断ブレードは、前記切断ブレードの第1の位置から第2の位置への軸方向移動時に、前記縫合糸ルーメンと交差するように構成されている、医療デバイス。
【請求項11】
前記切断ブレードは、長手方向に延在する矩形スロット内に摺動可能に配置されている、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記切断ブレードは、遠位に面する鋭利な刃先を含む、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記切断ブレードの前記長手方向に延在する矩形スロット内に遠位に移動不能に配置されたポリマーブロックをさらに備える、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記枢動連結部は、中心枢動点と、前記中心枢動点から半径方向に延在するとともに、前記切断ブレードに結合されるピンに摺動可能に係合するように構成されたスロットとを含む、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記縫合糸は、前記切断ブレードが前記第1の位置に配置されているときに、前記縫合糸ルーメン内で移動可能である、請求項10乃至14のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイスおよび医療デバイスを使用するための方法に関する。より具体的には、本開示は、腱索修復等の低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスの態様に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的用途および/または血管内用途などの医療用途に、多種多様な体内医療デバイスが開発されてきている。これらの医療デバイスは、様々に異なる製造方法のうちのいずれかの方法で製造され、且つ、様々な方法のうちのいずれかの方法に従って使用される。代替的な医療デバイス、および、医療デバイスを製造し、かつ/または使用する代替的な方法を提供することについて継続的なニーズがある。
【発明の概要】
【0003】
一例では、低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスは、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、長尺状のシャフトの近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、長尺状のシャフトの遠位端に近接して配置された切断ブレードとを備え得る。切断ブレードは、作動機構の動作に応答して、長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能である。長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含む。長尺状のシャフトは、中心長手方向軸に対して略垂直に長尺状のシャフトの外面から内向きに延在する横方向スロットを含む。長尺状のシャフトは、遠位ポートから長尺状のシャフト内を軸方向に横方向スロットまで延在する縫合糸ルーメンを含む。切断ブレードは、縫合糸ルーメンに隣接する横方向スロットと交差している。
【0004】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、長尺状のシャフトは、切断ブレードに対して横方向スロットとは概ね反対側に配置された側面ポートを含む。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、横方向スロットは、長尺状のシャフトの遠位端の方向に面する第1の近位壁を含む。側面ポートは、長尺状のシャフトの遠位端の方向に面する第2の近位壁を含む。第2の近位壁は、第1の近位壁の遠位に配置されている。
【0005】
本明細書に説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、中心長手方向軸に実質的に平行に配向された平坦な本体部分を含む。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、切断ブレードを通って横断的に延在する長手方向に配向されたスロットを含む。
【0006】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、切断ブレードの遠位端に近接するとともに、長尺状のシャフトの近位端の方向に面する鋭利な刃先をさらに含む。
【0007】
本明細書に記載される例に追加的に、または代替的に、長尺状のシャフトに対する切断ブレードの近位軸方向移動によって、鋭利な刃先が横方向スロットに向かって移動する。
本明細書に記載される例に追加的に、または代替的に、鋭利な刃先は、横方向スロットと協働して、切断ブレードの長手方向に配向されたスロットを通って延在する縫合糸を切断するように構成される。
【0008】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、長尺状のシャフトは、長尺状のシャフトの遠位端に固定された丸みを帯びた遠位キャップを含んでおり、丸みを帯びた遠位キャップは遠位ポートを含んでいる。
【0009】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、別の例では、低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスは、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、長尺状のシャフトの近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、長尺状のシャフトの遠位端に近接して配置された切断ブレードとを備え得る。作動機構は、長尺状のシャフトの遠位端に近接した枢動連結部を含んでおり、枢動連結部は、切断ブレードに連結されている。切断ブレードは、作動機構の動作に応答して、長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能である。長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含む。長尺状のシャフトは、長尺状のシャフト内で遠位ポートから近位に延在する縫合糸ルーメンを含む。切断ブレードは、第1の位置から第2の位置への切断ブレードの軸方向移動時に、縫合糸ルーメンと交差するように構成されている。
【0010】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、長手方向に延在する矩形スロット内に摺動可能に配設されている。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、遠位に面する鋭利な刃先を含む。
【0011】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、医療デバイスは、切断ブレードの長手方向に延在する矩形スロット内に遠位に移動不能に配設されたポリマーブロックを含み得る。
【0012】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、枢動連結部は、中心枢動点と、中心枢動点から半径方向に延在するとともに、切断ブレードに結合されたピンに摺動可能に係合するように構成されたスロットとを含む。
【0013】
本明細書に記載される例に追加的に、または代替的に、縫合糸は、切断ブレードが第1の位置に配置されているときに、縫合糸ルーメン内で移動可能である。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、別の例では、低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスは、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、長尺状のシャフトの遠位端に固定的に取り付けられた遠位先端部材と、遠位先端部材内に回転不能に配置された切断ブレードとを備え得る。切断ブレードは、長尺状のシャフトの近位端に近接して配置された作動機構の動作に応答して、遠位先端部材内で軸方向に移動可能である。遠位先端部材は、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含む。遠位先端部材は、中心長手方向軸に略垂直な遠位先端部材の外面から半径方向内向きに延在する横方向スロットを含み、横方向スロットは、遠位に面する第1の近位壁によって少なくとも部分的に形成されている。遠位先端部材は、遠位先端部材内で遠位ポートから横方向スロットまで軸方向に延在する縫合糸ルーメンを含む。遠位先端部材は、横方向スロットとは概ね反対側に配置された側面ポートを含んでおり、側面ポートは、遠位に面する第2の近位壁によって少なくとも部分的に形成されている。第2の近位壁は、中心長手方向軸に沿って第1の近位壁から軸方向にオフセットされている。
【0014】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、第2の近位壁は、第1の近位壁から遠位にオフセットされている。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、第2の近位壁は、第1の近位壁に対して略平行に配向されている。
【0015】
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、切断ブレードは、第1の近位壁と第2の近位壁との間に配置されている。
本明細書で説明される例に追加的に、または代替的に、縫合糸が縫合糸ルーメン内で、横方向スロット内にまで延び、切断ブレードの長手方向に配向されたスロットを通って、側面ポートから出て、切断ブレードが遠位先端部材内で近位に移動されると、縫合糸は、切断ブレードを第2の近位壁から離れた第1の近位壁に向かって偏位させ、その結果、遠位先端部材内での切断ブレードのさらなる近位移動により、切断ブレードの鋭利な刃先と第1の近位壁との間の協働が生じて、縫合糸が遠位先端部材内で切断される。
【0016】
いくつかの実施形態、態様、および/または実施例についての上記概要は、本開示の各実施形態または全実施態様を記載することを意図したものではない。以下の図面及び詳細な説明は、上記実施形態をより詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示は、以下の添付の図面と合わせて様々な実施形態にかかる以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる。
図1】例示的な心臓および僧帽弁の部分断面図である。
図2】腱索修復アセンブリを移植するための例示的プロセスを示す図である。
図3】腱索修復アセンブリを移植するための例示的プロセスを示す図である。
図4】腱索修復アセンブリを移植するための例示的プロセスを示す図である。
図5】腱索修復アセンブリを移植するための例示的プロセスを示す図である。
図6】腱索修復アセンブリを移植するための例示的プロセスを示す図である。
図7】移植された2以上の腱索修復アセンブリを有する構成を示す図である。
図8】本開示に関連付けられる医療デバイスの例示的な構成を示す図である。
図9】本開示に関連付けられる医療デバイスの例示的な構成を示す図である。
図10】本開示と関連付けられた医療デバイスの構造および使用に関する選択された側面を示す図である。
図11】本開示と関連付けられた医療デバイスの構造および使用に関する選択された側面を示す図である。
図12】本開示と関連付けられた医療デバイスの構造および使用に関する選択された側面を示す図である。
図13】本開示に関連付けられた医療デバイスの代替構成の側面を示す図である。
図14】本開示と関連付けられた医療デバイスの構造および使用に関する選択された態様を示す図である。
図15】本開示と関連付けられた医療デバイスの構造および使用に関する選択された態様を示す図である。
図16】本開示と関連付けられた医療デバイスの代替構成の構築および使用に関する選択された態様を示す図である。
図17】本開示と関連付けられた医療デバイスの代替構成の構築および使用に関する選択された態様を示す図である。
図18】医療デバイスと関連付けられたハンドルに関する選択された態様を示す図である。
図19】医療デバイスと関連付けられたハンドルの代替構成の選択された態様を示す図である。
図20図19のハンドルの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の態様は、様々な変更と代替形態とが可能であるが、そのうちの特別なものが例示することを目的として図面に示され且つ詳細に説明されている。しかしながら、これは、本開示の態様を説明する特定の実施形態に限定することを意図したものではないと理解しなければならない。逆に、その意図は、本開示の趣旨および範囲内に入る全ての変更形態、均等形態、および、代替形態をカバーすることにある。
【0019】
以下の説明は、図面を参照して読まなければならない。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、類似の参照符号は、複数の図面に亘って類似する要素を示している。詳細な説明および図面は、本開示を例示することを意図したものであって、限定することを意図したものではない。当業者であれば、説明および/または図示された要素は、本開示の範囲から逸脱することなく様々な組み合わせと構成とで配置し得ることが理解できる。詳細な説明と図面とは、本開示の実施形態の例を示す。
【0020】
以下に定義する用語については、請求項または本明細書のいずれかにおいて異なる定義が与えられない限り、以下の定義が適用されるものとする。
全ての数値は、明示されているか否かに拘わらず、「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、数値の文脈では、一般に当業者が、記載された値に等しいと考える(例えば、同一の機能または結果を有する)数値範囲を指す。多くの例において、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数値を含む。「約」という用語の別の使用(例えば、数値以外の文脈)は、明示されていない限り、本明細書の文脈から理解することができ且つ本明細書の文脈に一致する一般的且つ慣習上の定義を有するものと想定される。
【0021】
終点による数値範囲の記載には、終点を含むその範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,および5が含まれる)。
【0022】
様々な構成要素、特徴、および/または仕様に係るいくつかの好適な寸法、範囲、および/または数値が開示されているが、本明細書を読んだ当業者であれば、所望の寸法、範囲、および/または数値を明示の記載から導き出せることが理解できる。
【0023】
本明細書および添付の請求項で使用されているように、「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、「その(the)」の単数形には、内容が明らかに別の指定をしない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書および添付の請求項で使用されているように、「または(or)」という用語は、内容が明らかに別の指示をしない限り、「および/または(and/or)」の意味で使用される。理解を容易にする為に、本開示の特定の要素は、その要素が開示されている実施形態内に複数存在する場合、または繰り返しある場合であっても単数形で説明されている場合があることに留意しなければならない。要素の例はそれぞれ、明示的に否定されない限り、単数の開示を含みおよび/または包含され得る。簡潔にすることおよび明確にすることを目的として、本開示の必ずしも全ての要素が各図面に示され、または、以下に詳細に説明されているとは限らない。しかしながら、以下の説明は、明示的に否定されない限り、1つ以上存在する任意の構成要素および/または全ての構成要素に等しく適用し得る。加えて、いくつかの要素又は特徴の必ずしも全ての例は、明確にすることを目的として、各図面に必ずしも図示されているとは限らない。
【0024】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、一般に、デバイスの使用者/操作者/操縦者に相対する様々な要素の配置、方向、および/または操作に関して一般に考慮される。ここで、「近位」、「後退」という用語は、デバイス使用者に接近すること、またはデバイス使用者の方に向かうことを意味または指し、「遠位」、「前進」という用語は、使用者から離間すること、または離れることを意味または指す。いくつかの例では、「近位」、「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にすることを目的として、任意に割り当てられ、そのような例は、当業者であれば容易に理解できる。「上流」、「下流」、「流入」、「流出」等の相対的な用語は、体管腔、血管などの管腔内、またはデバイス内に流体が流れる方向を指す。「軸方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「径方向」および/またはその他の相対的な用語は、開示された構造またはデバイスの中央の長手軸線に対する方向および/または向きを一般に指す。
【0025】
「範囲」という用語は、問題の範囲または寸法の前に「最小」があるか、または「最小」として特定されている場合を除き、記載または特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得、「最小」は、記載または識別された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」という用語は、外形寸法を意味し、「径方向範囲」という用語は、径方向寸法を意味し、「長手方向範囲」という用語は、長手方向範囲を意味すると理解し得る。「範囲」の例はそれぞれ異なり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、径方向、周方向など)、当業者であれば個々の使用されている文脈から理解できる。一般に、「範囲」とは、目的の用途に従って計測された最大可能寸法であると考えられ得、一方、「最小範囲」という用語は、目的の用途に従って計測された最小可能寸法であると考えられ得る。いくつかの例では、「範囲」は、平面および/または横断面内に直交して計測されるが、具体的な文脈から明らかなように、限定ではないが、斜め方向、径方向、周方向(例えば、アークに沿って)などで測定され得る。
【0026】
「モノリシック」および「一体」という用語は、概して、単一の構造または基本ユニット/基本要素から作製された、またはそれからなる1つの要素または複数の要素を指す。モノリシック要素および/または一体の要素は、複数の別個の構造または要素を一緒に組み立てるか、または他の方法で接合することによって作製された構造および/または特徴を除外するものとする。
【0027】
「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「別の実施形態」などについて明細書における記載は、その説明される実施形態が、特定の要素、構造、または特性を備えることを意味するが、必ずしも全ての実施形態が特定の要素、構造、または特性を備えるとは限らない。更に、そのような言い回しは、必ずしも同一の実施形態を指すとは限らない。更に、特定の要素、構造、または特性が一定の実施形態に関連して説明されている場合には、明示の記載の有無に拘わらず、明らかに否定されていない限り、その特定の要素、構造、または特性を別の実施形態と関連付けることは当業者の知識の範囲内である。つまり、以下に説明する様々な要素は、それが特定の組み合わせで明示されていなくとも、当業者であれば、別の追加的な実施形態を形成するため、または、記載の実施形態を補完したり改良する為に、互いに組み合わせたり構成したりすることができることが理解できる。
【0028】
明確にすることを目的として、特定の識別番号の命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)が、明細書で説明する特徴やクレームに記載する特徴を命名したり区別したりするために本明細書および/または請求項に亘って使用されている場合がある。数値による命名は、限定を意図したものではなく単なる例示であると理解しなければならない。いくつかの実施形態では、簡潔にすることおよび明確にすることを目的として、以前に使用された数値による命名からの変更や逸脱が行われている場合がある。つまり、「第1」要素として特定されていた特徴が、あとで「第2」要素、「第3」要素と呼ばれたり、完全に省略されたり、および/または異なる特徴が、「第1」要素と呼ばれている場合もある。各例における意味や命名は、当業者であれば理解できる。
【0029】
心臓血管系に影響を与える疾患および/または病状が世界中で流行している。一部の哺乳の心臓(例えば、ヒトなど)には、図1の部分断面図に示される例示的な心臓10に見られるように、三尖弁12、肺動脈弁14、大動脈弁16、および僧帽弁18の4種類の心臓弁が含まれる。心臓弁の目的は、主要な静脈(例えば、下大静脈24、上大静脈26など)から心臓10に入り、心臓10を通って(心房から心室に)、心臓10から出て、心臓10に接続された主要な動脈(例えば、大動脈20、肺動脈22など)に入る血流を制御することである。各心臓弁は、流体が心臓弁を通って流れることを可能にする開放形態と、弁尖の自由縁が接合して流体が心臓弁を通って流れることを実質的に防止する閉鎖形態との間で移行するように構成された複数の弁尖を有し得る。心臓10はまた、左心房30、左心室40、右心房50、および右心室60を含み得る。左心室40は、左心室40の壁に取り付けられ、かつ/または左心室40の壁から延在する第1の乳頭筋42と、左心室40の壁に取り付けられ、かつ/または左心室40の壁から延在する第2の乳頭筋44と、第1の乳頭筋42と第2の乳頭筋44とを僧帽弁18の複数の弁尖に接続する複数の腱索46とを含み得る。正常に機能している心臓弁では、血液は、心臓弁が開いているとき(例えば、拡張期中)、心臓弁を通って下流に(例えば、心房から心室に、心室から動脈に等)通過または流動することが可能となり、心臓弁が閉じているとき(例えば、収縮期中)、血液は、心臓弁を通って上流に(例えば、心室から心房に等)通過または逆流することが防止される。
【0030】
いくつかの例では、僧帽弁逆流が発生すると、心臓弁(例えば、僧帽弁18)は、適切に開放および/または閉鎖することができなくなり、血液が心臓弁を通って上流に(例えば、心室から心房等に)通過または逆流する場合がある。いくつかの場合には、欠陥のある心臓弁では、弁尖が閉鎖しないか、または完全に閉鎖することができないようになっている場合がある。いくつかの例では、二次的または機能的な僧帽弁の逆流は、左心室の機能不全の二次的影響であり得、例えば、虚血性または特発性心筋症によって生じる左心室の拡張および/または拡張は、例えば、左心室40の弁輪拡張および/または膨張、ならびにその後の弁尖のテザリングおよび収縮期中の僧帽弁弁尖の不十分な接合を伴う乳頭筋の変位に至る。いくつかの例では、変性僧帽弁逆流には、心臓弁および/または心臓弁弁尖(例えば、僧帽弁逸脱)の一部で冗長な余剰組織が含まれる場合がある。いくつかの例では、僧帽弁逆流は、複数の腱索46のうちの1つまたは複数の腱索の伸張および/または断裂によって引き起こされるか、または悪化する可能性がある。
【0031】
伸張または断裂した腱索を治療する外科的方法は、天然の腱索を模倣するために、1つまたは複数の縫合糸(例えば、ゴアテックス(Gore-Tex(登録商標))等)を第1の乳頭筋42および/または第2の乳頭筋44ならびに複数の弁尖のうちの1つまたは複数の弁尖に縫合することによって、腱索を置換することを含み得る。しかしながら、心臓切開手術は、合併症、回復期の身体障害、および/または罹患率を含む大きなリスクを患者にもたらす可能性がある。低侵襲性の解決策は、経カテーテル人工弁置換術を含み得るが、弁置換術は、生涯にわたる抗凝固剤治療が必要となる可能性がある。別の代替的な解決策は、複数の弁尖の縁間固定を伴い得るが、そのような治療は、将来的な低侵襲弁置換手術の選択肢を妨げる。従って、将来的な治療選択肢のための選択肢を維持しながら、心臓弁を修復するための低侵襲性治療の必要性がある。
【0032】
本明細書に開示されるのは、心臓血管系の一部を診断、治療、および/または修復するために使用され得る1つまたは複数の医療デバイスおよび/または1つまたは複数の方法である。1つの可能性のある治療法は、伸張した腱索および/または断裂した腱索を置換し得る経皮的処置である。開示された医療デバイスおよび/または方法は、好ましくは、低侵襲性の血管内技法を介して、または代替方法では、開心術技法を使用して、経皮的に使用され得る。本明細書に開示される医療デバイスおよび方法はまた、以下により詳細に説明されるように、多数の付加的な望ましい特徴および/または利点を提供し得る。本開示の目的のために、以下の説明は、僧帽弁18に取り付けられた複数の腱索46を修復することに関し、そして簡潔するためにそのように記載される。しかしながら、これは、限定することを意図するものではなく、当業者であれば、以下の説明が、本開示の構造および/または範囲に何ら変更を加えることなく、または最小限の変更を加えるだけで、別の心臓弁にも適用され得ることを認識するであろう。加えて、本開示は、簡潔にするために、複数の腱索46のうちの1つを修復するという単一の状況で説明されるが、本開示の範囲内で、複数の腱索46のうちの2つ以上を修復することに適用され得る。
【0033】
図2図7は、左心室40に人工腱索を移植する経皮的方法および/または低侵襲的方法の態様を示す。本方法のいくつかの態様は、当技術分野で知られている技法に従って実行され得、従って、詳細には説明されない。図2に見られるように、本方法は、送達カテーテル100を使用して、左心房30および/または僧帽弁18にアクセスするステップを含み得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテル100は、左心房30および/または僧帽弁18に中隔を通してアクセスし得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテル100は、経大動脈アプローチを介して僧帽弁18にアクセスし得る。他の手法および/または構成も企図される。送達カテーテル100のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に説明される。
【0034】
次に、腱索修復アセンブリ110が、送達カテーテル100から心臓10に移植され得る。少なくともいくつかの実施形態では、腱索修復アセンブリ110は、心臓10の左心室40に移植され得る。いくつかの実施形態では、腱索修復アセンブリ110は、弁尖把持要素120と、心室アンカ130と、弁尖把持要素120を心室アンカ130に接続する縫合糸140とを含み得る。いくつかの実施形態では、追加の要素が腱索修復アセンブリ110に含まれ得る。
【0035】
弁尖把持要素120は、送達カテーテル100を通して前進させられる第1のカテーテル等の公知の送達デバイスおよび/または送達技法を使用して、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、左心室40内から僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの自由縁に取り付けられ得る。少なくともいくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの自由縁に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの自由縁に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの自由縁を挟むように構成されたばねクリップを含み得る。いくつかの実施形態では、弁尖把持要素120は、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの自由縁に取り付けられるように構成されたラチェット式クリップ機構、ねじ付き固定要素、または別のタイプの要素を含み得る。他の構成も企図される。弁尖把持要素120および/または他の関連する構成要素のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に記載される。
【0037】
いくつかの実施形態では、医療撮像を使用して、弁尖把持要素120の配置を容易にし、かつ弁尖把持要素120の配置位置を検証し得る。いくつかの実施形態では、医療撮像を使用して、僧帽弁18の複数の弁尖のうちの1つの弁尖への弁尖把持要素120の取り付けの品質を検証し得る。弁尖把持要素120の配置位置および/または取付けの品質が不十分である場合、弁尖把持要素120は取り外されて、再配置されるか、または異なる弁尖把持要素と交換され得る。
【0038】
心室アンカ130は、送達カテーテル100を通して心臓10内に前進させられる第2のカテーテル等の公知の送達デバイスおよび/または送達技法を使用して、左心室40内の組織に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、図2に示されるように、第1の乳頭筋42に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、第2の乳頭筋44に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、左心室40の壁に取り付けられ得る。上記で説明したように、いくつかの処置では2つ以上の腱索修復アセンブリ110が使用され得、そのような処置では、1つまたは複数の心室アンカが、第1の乳頭筋42、第2の乳頭筋44、および/または左心室40の壁のうちの少なくとも1つ、場合によっては、2つ以上に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、左心室40内の組織に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、第1の乳頭筋42に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、第2の乳頭筋44に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、左心室40の壁に固定的に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、左心室40内の組織に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、第1の乳頭筋42に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、第2の乳頭筋44に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、左心室40の壁に取り外し可能に取り付けられ得る。他の構成も企図される。心室アンカ130および/または他の関連構成要素のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に説明される。
【0039】
いくつかの実施形態では、医療撮像は、心室アンカ130の配置を容易にし、心室アンカ130の配置場所を検証するために使用され得る。いくつかの実施形態では、医療撮像が、左心室40内の組織への心室アンカ130の取付の品質を検証するために使用され得る。心室アンカ130の配置位置および/または取付けの品質が不十分である場合、心室アンカ130は取り外されて、再配置されるか、または異なる心室アンカと交換され得る。
【0040】
図2に見られるように、弁尖把持要素120および心室アンカ130の配置後、縫合糸140は、弁尖把持要素120から心室アンカ130を通って送達カテーテル100内に延在し得る。いくつかの実施形態では、縫合糸140は、当技術分野で知られているような外科用縫合糸であり得る。いくつかの実施形態では、縫合糸140は、フィラメント、ストランド、ワイヤ、糸、または他の可撓性部材であり得、かつ/またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、縫合糸140は、軸方向(例えば、長手方向)に実質的に非弾性であり得る。従って、縫合糸140は、軸方向の伸張を実質的に回避または防止するように適合、構成、および/または構築され得る。いくつかの実施形態では、縫合糸140は、制限された軸方向の伸張(例えば、10%未満、5%未満、2%未満等)を許容にするように構成され得る。縫合糸140のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に説明される。
【0041】
図3に示されるように、弁尖把持要素120と心室アンカ130との間の縫合糸140にかかる張力は、僧帽弁18の複数の弁尖の十分なおよび/または適切な動作を提供するために必要に応じて調整され得る。例えば、縫合糸140の少なくとも一部は、そのたるみを除去するために近位に引っ張られ得る。いくつかの実施形態では、縫合糸140の少なくとも一部分を近位に引っ張って、弁尖把持要素120と心室アンカ130との間の距離を減少させ、かつ/またはそれらの間の張力を調整し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、心室アンカ130は、縫合糸140に対しておよび/または縫合糸140に相対して選択的に係止可能であり得る。従って、縫合糸140は、心室アンカ130がロック解除形態にあるときに心室アンカ130を通って摺動するように構成され得、縫合糸140は、心室アンカ130がロック形態にあるときに心室アンカ130に対して固定され得る。
【0043】
張力が縫合糸140に印加された後、心室アンカ130は、ロック解除形態からロック形態にシフトされ得る。心室アンカ130がロック形態にある状態では、弁尖および弁機能に対する腱索修復アセンブリ110の効果が、医療撮像を使用して観察され得る。所望の機能が達成および/または取得されるまで、(必要に応じて、心室アンカ130をロック解除および再ロックすることを介して)縫合糸140のさらなる引張および/または弛緩が行われ得る。
【0044】
図4に概略的に見られるように、次に、縫合糸140を切断するための医療デバイス200が、縫合糸140を覆うようにして、かつ/または送達カテーテル100を通して前進され得る。医療デバイス200に関連するさらなる詳細は、以下に説明される。図5に示されるように、医療デバイス200は、心室アンカ130の近位端に隣接して配置され得、縫合糸140は、本明細書に記載されるように、医療デバイス200を使用して切断され得る。
【0045】
図6は、心臓10内の適所にある腱索修復アセンブリ110を図示する。いくつかの実施形態では、本方法および/または本技法は、1つの腱索修復アセンブリ110のみを必要とし得る。いくつかの実施形態では、本方法および/または本技法は、図7に示されるように、第1の乳頭筋42に取り付けられた第1の心室アンカ130を有する第1の腱索修復アセンブリ110と、第2の乳頭筋44に取り付けられた第2の心室アンカ130を有する第2の腱索修復アセンブリ110とを必要とし得る。いくつかの実施形態では、第1の腱索修復アセンブリ110および/または第1の弁尖把持要素120は、第2の腱索修復アセンブリ110および/または第2の弁尖把持要素120から離間され得る。他の構成も企図される。少なくともいくつかの実施形態では、複数の腱索修復アセンブリの配置は、患者の血管系および/または心臓へのアクセスポイントを最小限にするように、同一送達カテーテルを通して行われ得る。
【0046】
図5および図6に簡単に戻ると、医療デバイス200は、「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE:single operator exchange)構成で示されている。「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE)構成では、縫合糸140は、医療デバイス200の遠位端またはその近傍で医療デバイス200のルーメン内に入り、医療デバイス200の側面から出て、その後、送達カテーテル100を通って医療デバイス200と並んで延在し得る。図8は、「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE)構成における医療デバイス200の選択された態様を示す。いくつかの構成では、医療デバイス200は、内蔵構成またはオーバーザワイヤ(OTW:over-the-wire)構成を有し得、そのいくつかの態様は、図9に示されている。内蔵構成またはオーバーザワイヤ(OTW)構成では、縫合糸140は、医療デバイス200の遠位端またはその近傍で医療デバイス200のルーメン内に入り、近位ポートまたは開口部まで医療デバイス200の全長にわたって内部に延在し得る。「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE)構成と比較して、内蔵構成またはオーバーザワイヤ(OTW)構成は、縫合糸140の全長にわたって医療デバイス200を前進させることを可能にするために、縫合糸140が追加の長さを有することを必要とし得る。「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE)構成では、医療デバイス200は、縫合糸140の短い部分を医療デバイス200の中および/または内側に通すことのみを必要とするため、縫合糸140は、より短いものであり得る。
【0047】
図8図9に見られるように、医療デバイス200は、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフト210を含み得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス200は、長尺状のシャフト210の近位端に配置されたハンドル300(例えば、図19図20)を含み得る。いくつかの実施形態では、医療デバイス200および/またはハンドル300は、本明細書に説明されるように、作動機構を含み得る。いくつかの実施形態では、作動機構の少なくとも一部は、長尺状のシャフト210の近位端に近接して配置され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200および/または長尺状のシャフト210は、長尺状のシャフト210の遠位端に固定的に取り付けられた遠位先端部材220を含み得る。いくつかの実施形態では、遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210と一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210とは別個に構築され、その後、長尺状のシャフト210に固定的に取り付けられ得る。長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に説明される。
【0049】
いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、その中に縫合糸140を受容するように構成された遠位ポート212を含み得る。いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の遠位端に固定された丸みを帯びた遠位キャップ230を含み得る。いくつかの実施形態では、丸みを帯びた遠位キャップ230は、遠位ポート232を含む。いくつかの実施形態では、遠位ポート212および遠位ポート232は、同じポートであり得る。いくつかの実施形態では、遠位ポート212および遠位ポート232は、互いに流体連通し得る。他の構成も企図される。丸みを帯びた遠位キャップ230のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、セラミック材料、複合材料等が以下に説明される。
【0050】
丸みを帯びた遠位キャップ230は、心臓10(例えば、図1)の左心室40内で動作するときに、無傷であり、かつ/または非断裂状態であり得る複数の腱索46との絡み合いを実質的に回避および/または防止するように適合、構成、および/または構築され得る。少なくともいくつかの実施形態では、遠位ポート212および/または遠位ポート232は、本明細書で説明するように、切断ブレード260の軸方向移動を容易にするために、長尺状のシャフト210の中心長手方向軸から横方向および/または半径方向にオフセットされ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に対して略垂直に、長尺状のシャフト210の外面および/または遠位先端部材220の外面から半径方向内向きに延在する横方向スロット240を含む。横方向スロット240に関するさらなる詳細は、以下に提供される。
【0052】
図10図12は、医療デバイス200の構成に関する選択された態様と、縫合糸140の切断に関する選択された態様とを示す部分断面図である。いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で近位に延在する縫合糸ルーメン250を含み得る。いくつかの実施形態では、縫合糸ルーメン250は、遠位ポート212および/または遠位ポート232から、長尺状のシャフト210、遠位先端部材220、および/または丸みを帯びた遠位キャップ230内で軸方向および/または近位に延在し得る。いくつかの実施形態では、縫合糸ルーメン250は、遠位ポート212および/または遠位ポート232から、長尺状のシャフト210、遠位先端部材220、および/または丸みを帯びた遠位キャップ230内で軸方向および/または近位方向に、横方向スロット240まで延在し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、横方向スロット240は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の遠位端の方向を向いて遠位に面する第1の近位壁242を含み得、かつ/または第1の近位壁242によって少なくとも部分的に形成され得る。横方向スロット240は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の近位端の方向を向いて近位に面する第1の遠位壁244を含み得、かつ/または第1の遠位壁244によって少なくとも部分的に形成され得る。いくつかの実施形態では、縫合糸ルーメン250は、第1の遠位壁244を通って横方向スロット240内に開口し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200は、長尺状のシャフト210の遠位端に近接して配置された切断ブレード260を含み得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に実質的に平行に配向された平坦な本体部分262を含み得る。切断ブレード260の平坦な本体部分262は、切断ブレード260の近位端から切断ブレード260の遠位端に延在し得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長手方向に配向されたスロット264を含み、スロット264は、切断ブレード260を通して横断的に延在し、かつ/または切断ブレード260の平坦な本体部分262を通して横断的に延在し得る。いくつかの実施形態では、ブレード260は、ブレード260の遠位端に近接した鋭利な刃先266を含み得る。いくつかの実施形態では、鋭利な刃先266は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の近位端の方向を向いて近位に面し得る。いくつかの実施形態では、鋭利な刃先266は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の遠位端の方向を向いて遠位に面し得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、平坦な本体部分262の全厚から鋭利な刃先266に向かって延在する傾斜部分268を含み得る。傾斜部分268は、平坦な本体部分262および/または長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に対して斜角で配向され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、作動機構の動作に応答して、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で軸方向に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内で軸方向に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、作動機構の動作に応答して、第1の位置と第2の位置との間で軸方向に移動可能であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内に回転不能に配置され得る。切断ブレード260のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、セラミック材料、複合材料等が以下に説明される。
【0056】
いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、切断ブレード260に対して横方向スロット240とは概ね反対側に配置された側面ポート280を含み得る。いくつかの実施形態では、側面ポート280は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の遠位端の方向を向いて遠位に面する第2の近位壁282を含み、かつ/または第2の近位壁282によって少なくとも部分的に形成され得る。いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に沿って第1の近位壁242から軸方向にオフセットされている。いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、第1の近位壁242から遠位にオフセットされている。いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、第1の近位壁242の遠位に配置されている。いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、第1の近位壁242と略平行に配向される。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、第1の近位壁242から離間されている。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、第1の近位壁242と第2の近位壁282との間に配置される。いくつかの実施形態では、第2の近位壁282は、切断ブレード260によって第1の近位壁242から離間される。
【0058】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200および/または作動機構は、医療デバイス200および/または長尺状のシャフト210の近位端まで近位に延在するプルワイヤ302を含み得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、切断ブレード260に固定的に取り付けられ得る。例えば、プルワイヤ302は、切断ブレード260に溶接されるか、ろう付けされるか、はんだ付けされるか、接着結合されるか、または他の方法で恒久的に固定的に取り付けられ得る。少なくともいくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、金属材料から形成され得る。他の材料および/または構成も企図される。プルワイヤ302は、実質的に非弾性であり得、かつ/または軸方向の伸張を実質的に回避および/または防止するように適合、構成、および/または構築され得る。プルワイヤ302のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、セラミック材料、複合材料等が以下に説明される。
【0059】
図10図12に見られるように、いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、縫合糸ルーメン250に隣接する横方向スロット240と交差し得る。縫合糸140は、切断ブレード260が第1の位置に配置されているときに、縫合糸ルーメン250内で移動可能であり、かつ/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対して移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260の第1の位置は、図10に見られる遠位位置であり得、切断ブレード260の第2の位置は、図12に見られる近位位置であり得る。
【0060】
図10図12に示すように、(例えば、プルワイヤ302の近位移動を介した)長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対する切断ブレード260の近位軸方向移動、および/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内での切断ブレード260の近位軸方向移動によって、切断ブレード260の鋭利な刃先266が、横方向スロット240および/または横方向スロット240を少なくとも部分的に形成する第1の近位壁242に向かって移動することができる。
【0061】
図10に示されるように、縫合糸140が、縫合糸ルーメン250内で、横方向スロット240の中へ、切断ブレード260の平坦な本体部分262内に形成される長手方向に配向されたスロット264を通して延在し、側面ポート280から出て、切断ブレード260が第1の位置にあるとき、縫合糸140は、縫合糸ルーメン250、長手方向に配向されたスロット264、および側面ポート280内で軸方向に移動可能であり得る。図11に示すように、縫合糸140が縫合糸ルーメン250内で、横方向スロット240内にまで延び、切断ブレード260の平坦な本体部分262に形成された長手方向に配向されたスロット264を通って、側面ポート280から出て、切断ブレード260が第2の位置に向かって(例えば、近位に)、かつ/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対しておよび/またはその中で移動されると、縫合糸140は、第2の近位壁282と切断ブレード260の傾斜部分268との間に挟まれた状態になり得、それにより、縫合糸140は、切断ブレード260の鋭利な刃先266を第2の近位壁282から離れた第1の近位壁242に向かって偏位させ得、それにより、図12に示すように、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対しておよび/またはその中で切断ブレード260の鋭利な刃先266を軸方向におよび/または近位に更に移動させると、切断ブレード260の鋭利な刃先266と第1の近位壁242との間の協働が生じて、切断ブレード260の長手方向に配向されたスロット264を通って延びる縫合糸140が長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で切断される。
【0062】
図10図12に示される医療デバイス200の設計は、切断ブレード260の平坦な本体部分262の長手方向に配向されたスロット264を通る階段状オフセットを含み得、かつ/または第1の近位壁242および第2の近位壁282は、階段状オフセットを形成し得る。傾斜部分268および第2の近位壁282は協働して、縫合糸140自体を使用して、剪断面を形成し、かつ/または剪断面として機能する第1の近位壁242に向かって切断ブレード260を偏位させ得る。この構成の結果として、縫合糸140のきれいな切断を達成するために、付勢ばねおよび/または超厳密な公差は必要ない。これは、縫合糸が切断することができる前または切断される前に、縫合糸材料が少なくともある程度の圧縮を受ける場合に特に有用であり得る。例えば、材料よっては、切断が行われる前に圧縮および/または圧搾され得る材料自体内に多数の空隙を有し得る、かつ/または含み得るものがある。切断ブレードと剪断面(例えば、第1の近位壁)との間の過剰な間隙または横方向の移動がデバイス内に存在する場合、縫合糸が適切に切断されずに、面の間で圧搾され、かつ/または挟まれ得、これは、伸張、切断を伴わない薄化、断裂、材料の削り取りまたは擦過、結合、切断ブレードの軸方向移動のための過剰な力の要求等につながり得る。
【0063】
いくつかの代替実施形態では、医療デバイス200は、例えば、図13図17に見られるように、長尺状のシャフト210の遠位端に固定的に取り付けられた遠位先端部材220のための異なる構成を含み得る。明示的に図示されていないが、図13図17に示される医療デバイス200の少なくともいくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、丸みを帯びた遠位キャップ230を含み得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、遠位先端部材220は、第1の側部221および第2の側部222を含み得る。上記と同様に、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、遠位ポート212を含み得る。医療デバイス200は、内蔵構成またはオーバーザワイヤ(OTW)構成を有するものとして図13図17に明示的に示されているが、医療デバイス200は、本明細書に記載されるように、「サイドシューター」またはシングルオペレーターエクスチェンジ(SOE)構成を有し得る。
【0064】
図14図17は、医療デバイス200の構成に関連する選択された態様と、縫合糸140の切断に関連する選択された態様とを示す。図14図17では、遠位先端部材220の第1の側部221は、理解を深めるために示されていない。
【0065】
いくつかの実施形態では、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で近位に延在する縫合糸ルーメン250を含み得る。いくつかの実施形態では、縫合糸ルーメン250は、長尺状のシャフト210、遠位先端部材220、および/または丸みを帯びた遠位キャップ230内で、遠位ポート212および/または遠位ポート232(図示しない丸みを帯びた遠位キャップ230)から軸方向および/または近位方向に延在し得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200は、長尺状のシャフト210の遠位端に近接して配置された切断ブレード260を含み得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に実質的に平行に配向された平坦な本体部分262を含み得る。切断ブレード260の平坦な本体部分262は、切断ブレード260の近位端から切断ブレード260の遠位端に延在し得る。いくつかの実施形態では、ブレード260は、ブレード260の遠位端に近接した鋭利な刃先266を含み得る。いくつかの実施形態では、鋭利な刃先266は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の近位端の方向を向いて近位に面し得る。いくつかの実施形態では、鋭利な刃先266は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の遠位端の方向を向いて遠位に面し得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、平坦な本体部分262の全厚から鋭利な刃先266に向かって延在する傾斜部分268を含み得る。傾斜部分268は、平坦な本体部分262および/または長尺状のシャフト210の中心長手方向軸に対して斜角で配向され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内に摺動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、作動機構の動作に応答して、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で軸方向に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内で軸方向に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、作動機構の動作に応答して、第1の位置と第2の位置との間で軸方向に移動可能であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、切断ブレード260は、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内に回転不能に配置され得る。切断ブレード260のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、セラミック材料、複合材料等が以下に説明される。
【0068】
いくつかの実施形態では、作動機構は、長尺状のシャフト210の遠位端に近接し、かつ/または遠位先端部材220内にある枢動連結部290を含み得る。枢動連結部290は、切断ブレード260に移動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、枢動連結部290は、遠位先端部材220内および/または長尺状のシャフト210の遠位端内で移動および/または作動して、長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220内で、かつ/またはそれに対して切断ブレード260を軸方向に移動させるように構成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、枢動連結部290は、中心枢動点292を中心として回転するように構成される少なくとも1つのバー291を含み得る。いくつかの実施形態では、中心枢動点292は、ピン、シャフト、ダボ等を含み得、かつ/またはそれらのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、枢動連結部290および/または少なくとも1つのバー291は、中心枢動点292から半径方向に延在するスロット293であって、少なくとも1つのバー291の第1の端部に近接し、かつ/または隣接して切断ブレード260に連結されるピン294に摺動可能におよび/または枢動可能に係合するように構成されたスロット293を含み得る。いくつかの実施形態では、枢動連結部290は、少なくとも1つのバー291の第1の端部とは反対側の少なくとも1つのバー291の第2の端部に枢動可能に結合された第2のバー部材295を含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200および/または作動機構は、医療デバイス200および/または長尺状のシャフト210の近位端まで近位に延在するプルワイヤ302を含み得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、枢動連結部290に連結され得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、枢動連結部290および/または枢動連結部290の第2のバー部材295に移動可能および/または枢動可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、枢動連結部290の少なくとも一部に恒久的に、かつ/または固定的に取り付けられ得る。他の構成も企図される。少なくともいくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、金属材料から形成され得る。他の材料および/または構成も企図される。プルワイヤ302は、実質的に非弾性であり得、かつ/または軸方向の伸張を実質的に回避および/または防止するように適合、構成、および/または構築され得る。プルワイヤ302、枢動連結部290、および/またはそれらの要素のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、セラミック材料、複合材料等が以下に説明される。
【0071】
図14図17に見られ得るように、いくつかの実施形態では、切断ブレード260は、第1の位置から第2の位置への切断ブレード260の軸方向移動時に縫合糸ルーメン250と交差するように構成され得る。縫合糸140は、切断ブレード260が第1の位置に配置されているときに、縫合糸ルーメン250内で移動可能であり、かつ/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対して移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、切断ブレード260の第1の位置は、図14および16に見られる近位位置であってもよく、切断ブレード260の第2の位置は、図15および17に見られる遠位位置であり得る。
【0072】
図14図17に示すように、(例えば、プルワイヤ302の近位移動および枢動連結部290の作動を介した)長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対する切断ブレード260の遠位軸方向移動、および/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220の内部に形成された長手方向に延在する矩形スロット270内での切断ブレード260の遠位軸方向移動によって、切断ブレード260の鋭利な刃先266が、縫合糸ルーメン250に向かって、かつ/または縫合糸ルーメン250を通して移動することができる。
【0073】
図14および図16に示されるように、縫合糸140が縫合糸ルーメン250内に延在し、切断ブレード260が第1の位置にあるとき、縫合糸140は、縫合糸ルーメン250内で軸方向に移動可能であり得る。図15および図17に示すように、縫合糸140が縫合糸ルーメン250内に延在し、切断ブレード260が第2の位置に向かって(例えば、遠位に)、および/または長尺状のシャフト210および/または遠位先端部材220に対して、および/またはその中で移動すると、縫合糸140は、切断ブレード260および/または切断ブレード260の鋭利な刃先266によって切断され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、縫合糸140は、図14図15に見られるように、切断ブレード260および/または切断ブレード260の鋭利な刃先266が縫合糸ルーメン250を完全に通過するときに、切断ブレード260および/または切断ブレード260の鋭利な刃先266によって切断され得る。
【0075】
いくつかの代替実施形態では、医療デバイス200は、長手方向に延在する矩形スロット270内に移動不能に配置されたポリマーブロック272を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーブロック272は、長手方向に延在する矩形スロット270内に固着され得る。いくつかの実施形態では、ポリマーブロック272は、切断ブレード260が遠位におよび/または第2の位置に向かって軸方向に移動されるときに、切断ブレード260の鋭利な刃先266を「捕捉」または受容し得る。図16図17に見られるように、ポリマーブロック272は、切断ブレード260の鋭利な刃先266と協働して、切断ブレード260および/または切断ブレード260の鋭利な刃先266が縫合糸ルーメン250を通過する間に、かつ/または通過するときに、縫合糸140を切断する剪断面として機能し得る。ポリマーブロック272のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料が以下に説明される。
【0076】
いくつかの実施形態では、医療デバイス200は、ハンドル300を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、作動機構または作動機構の少なくとも一部を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、長尺状のシャフト210の近位端に固定され、かつ/または取り付けられたハンドル本体310を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル本体310は、長尺状のシャフト210の近位端に固定的に取り付けられ得る。長尺状のシャフト210は、ハンドル本体310から遠位に延在し得る。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310に固定的に取り付けられたグリップ320を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310に取り付けられるとともに、長尺状のシャフト210と流体連通する1つまたは複数のポート330を含み得る。
【0077】
図18に示すいくつかの実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310に対して移動可能な作動レバー340を含み得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、ハンドル本体310に枢動可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、プルワイヤ302に固定され得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、プルワイヤ302に固定的に取り付けられ得る。作動レバー340は、ハンドル本体310に対してグリップ320に向かって第1の位置から第2の位置に枢動して、プルワイヤ302を長尺状のシャフト210内でかつ/またはそれに対して近位に軸方向に移動させることによって、切断ブレード260を第1の位置から第2の位置にシフトさせ、かつ/または軸方向に移動させるように構成され得る(例えば、図10図12および図14図17)。いくつかの実施形態では、第1の位置は、近位位置であり得、第2の位置は、遠位位置であり得る。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310および/またはグリップ320に対する作動レバー340の移動および/または作動を防止するために、作動レバー340が第1の位置にあるときにハンドル本体310内に挿入可能なロックピン350または他のロック要素を含み得る。
【0078】
図19図20に示すいくつかの代替的な実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310に対して移動可能な作動レバー340を含み得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、ハンドル本体310に対して軸方向に移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、プルワイヤ302に固定され得る。いくつかの実施形態では、作動レバー340は、プルワイヤ302に固定的に取り付けられ得る。作動レバー340は、ハンドル本体310に対して第1の位置から第2の位置に軸方向に移動し、かつ/または摺動して、プルワイヤ302を長尺状のシャフト210内でおよび/またはそれに対して近位に軸方向に移動させることによって、切断ブレード260を第1の位置から第2の位置までシフトさせ、かつ/または軸方向に移動させるように構成され得る(例えば、図10図12および図14図17)。いくつかの実施形態では、第1の位置は、ハンドル本体310と係合され、かつ/またはハンドル本体310に隣接する遠位位置であり得、第2の位置は、ハンドル本体310から離間した近位位置であり得る。他の構成も企図される。いくつかの実施形態では、ハンドル300は、ハンドル本体310に対する作動レバー340の移動および/または作動を防止するために、作動レバー340が第1の位置にあるときに、ハンドル本体310に挿入可能であり、かつ/または作動レバー340に取り付け可能であるロックピンまたは他のロック要素を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、ハンドル本体310は、ハンドル本体310に取り付けられた1つまたは複数のポート330と流体連通する内部チャンバ312を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、プルワイヤ302は、内部チャンバ312を通過し得る。いくつかの実施形態では、内部チャンバ312は、長尺状のシャフト210と流体連通し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のポート330は、第1のポート332および第2のポート334を含み得る。いくつかの実施形態では、流体源は、第1のポート332に接続可能であり得、真空源は、第2のポート334に接続可能であり得、またはその逆に接続可能であり得る。流体源は、生理食塩水または他の生体適合性流体等の流体を内部チャンバ312および/または長尺状のシャフト210の中に供給し得、真空源は、内部チャンバ312および/または長尺状のシャフト210から気泡、破片、汚染物等を吸引および/または除去し得る。他の構成も企図される。ハンドル300、ハンドル本体310、グリップ320、および/または他の関連構成要素のためのいくつかの適切であるが非限定的な材料、例えば、金属材料、ポリマー材料、複合材料等が以下に説明される。
【0080】
医療デバイスのさまざまな構成要素および本明細書に開示するそれらのさまざまな要素に使用できる材料には、医療機器に一般的に対応するものを含み得る。簡潔にするために、以下の説明は、システムについて言及する。しかし、これは、本明細書に記載のデバイスおよび方法を限定することを意図したものではなく、説明は、限定ではないが、送達カテーテル、長尺状のシャフト、プルワイヤ、ハンドル、遠位先端部材、丸みを帯びた遠位キャップ、切断ブレードおよび/またはそれらの要素または構成要素など、本明細書に開示する他の要素、部材、構成要素、またはデバイスに適用され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(いくつかの例を以下で説明する)、金属-ポリマー複合材料、セラミックス、それらの組み合わせ等、または別の好適な材料で形成され得る。
【0082】
適切なポリマーの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマ(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩及び/又は他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、又はエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマ(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、アオルテック・バイオマテリアルズ社(AorTech Biomaterials)からのElast-Eon(登録商標)またはアドバンソース・バイオマテリアルズ社(AdvanSource Biomaterials)からのChronoSil(登録商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマ、ポリマー/金属複合材等を含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物は約6%までのLCPを含有することができる。
【0083】
好適な金属および合金のいくつかの例には、304V、304L、および316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625,HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022,HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276,その他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400,NICKELVAC(登録商標)400,NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)UNS:N10665)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステン又はタングステン合金などその他のニッケル合金;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標),PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003);白金強化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;それらの組み合わせ;またはその他の任意の好適な材料が含まれる。
【0084】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケルチタン合金は、ニッケルが約50~約60重量パーセントの範囲であり、残りは本質的にチタンであってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、ニッケルが約54~約57重量パーセントである。好適なニッケル-チタン合金の一例は、日本の神奈川県の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の好適な材料にはULTANIUM(商標)(ネオメトリクス(Neo-Metrics)社から入手可能)およびGUM METAL(商標)(トヨタ社から入手可能)が含まれる。いくつかの他の実施形態では、例えば超弾性ニチノールなどの超弾性合金を使用して、所望の特性を達成することができる。
【0085】
少なくともいくつかの実施形態では、システムおよび/またはその構成要素の一部または全部は、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で製造され、または放射線不透過性材料を含有してもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーンまたは別の撮像技術に比較的明るい画像を生成できる材料であると理解できる。この比較的明るい画像は、システムおよび/またはその構成要素のユーザをその位置を決定する際に支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料などが含まれるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルも、同様の結果を得るために、システムおよび/またはその構成要素の設計に組み込むことができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはその構成要素にある程度の磁気共鳴画像(MRI)適合性が設けられる。例えば、システムおよび/またはその構成要素またはそれらの一部分は、画像を実質的に歪めず、実質的なアーティファクト(即ち、画像のギャップ)を生成しない材料で形成され得る。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーティファクトを生成する可能性があるため、適切ではない場合がある。システムまたはその一部は、MRI装置が画像化できる材料でも形成される。これらの特性を示す材料には、たとえば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標),PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなどが含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、システムおよび/または明細書に開示された他の要素は、好適な治療薬を含み、および/または好適な治療薬で治療できる。好適な治療薬の例には、抗血栓剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、PPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞の増殖をブロックできるモノクローナル抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミンなど);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチンおよびチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、ロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチド);血管細胞成長プロモーター(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写活性化因子、翻訳プロモーターなど);血管細胞成長阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素からなる二機能性分子、抗体と細胞毒からなる二機能性分子);コレステロール低下剤;血管拡張剤;そして、内因性血管作用機構を妨げる薬剤が含まれ得る。
【0088】
本開示は、多くの点で単なる例示にすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を逸脱することなく、詳細、特に、形状、寸法、工程の配置について変更できる。これは、適切な範囲内で、他の実施形態で使用されている一実施形態の特徴の任意の使用を含むことができる。本開示の範囲は、言うまでもないが、添付の特許請求の範囲が表現する文言で定義される。
図1
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図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、
前記長尺状のシャフトの前記近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、
前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接して配置された切断ブレードと、を備え、
前記切断ブレードは、前記作動機構の動作に応答して前記長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能であり、
前記長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記中心長手方向軸に対して略垂直に前記長尺状のシャフトの外面から内向きに延在する横方向スロットを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記遠位ポートから前記長尺状のシャフト内を軸方向に前記横方向スロットまで延在する縫合糸ルーメンを含んでおり、
前記切断ブレードは、前記縫合糸ルーメンに隣接する前記横方向スロットと交差している、医療デバイス。
【請求項2】
前記長尺状のシャフトは、前記切断ブレードに対して前記横方向スロットとは概ね反対側に配置された側面ポートを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記横方向スロットは、前記長尺状のシャフトの前記遠位端の方向に面する第1の近位壁を含んでおり、
前記側面ポートは、前記長尺状のシャフトの前記遠位端の方向に面する第2の近位壁を含んでおり、
前記第2の近位壁は、前記第1の近位壁の遠位に配置されている、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記切断ブレードは、前記中心長手方向軸に実質的に平行に配向された平坦な本体部分を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記切断ブレードは、該切断ブレードを通って横断的に延在する長手方向に配向されたスロットを含む、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記切断ブレードは、前記切断ブレードの遠位端に近接するとともに、前記長尺状のシャフトの前記近位端の方向に面する鋭利な刃先をさらに含む、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記長尺状のシャフトに対する前記切断ブレードの近位軸方向移動によって、前記鋭利な刃先が前記横方向スロットに向かって移動する、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記鋭利な刃先は、前記横方向スロットと協働して、前記切断ブレードの前記長手方向に配向されたスロットを通って延在する縫合糸を切断するように構成される、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記長尺状のシャフトが、前記長尺状のシャフトの前記遠位端に固定された丸みを帯びた遠位キャップを含んでおり、前記丸みを帯びた遠位キャップが前記遠位ポートを含んでいる、請求項1乃至3および5乃至8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
低侵襲処置中に縫合糸を切断するための医療デバイスであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端に延在する中心長手方向軸とを有する長尺状のシャフトと、
前記長尺状のシャフトの前記近位端に配置され、作動機構を含むハンドルと、
前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接して配置された切断ブレードと、を備え、
前記作動機構は、前記長尺状のシャフトの前記遠位端に近接した枢動連結部を含んでおり、前記枢動連結部は、前記切断ブレードに連結されており、
前記切断ブレードは、前記作動機構の動作に応答して前記長尺状のシャフト内で軸方向に移動可能であり、
前記長尺状のシャフトは、縫合糸を内部で受容するように構成された遠位ポートを含んでおり、
前記長尺状のシャフトは、前記長尺状のシャフト内で前記遠位ポートから近位に延在する縫合糸ルーメンを含んでおり、
前記切断ブレードは、前記切断ブレードの第1の位置から第2の位置への軸方向移動時に、前記縫合糸ルーメンと交差するように構成されている、医療デバイス。
【請求項11】
前記切断ブレードは、長手方向に延在する矩形スロット内に摺動可能に配置されている、請求項10に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記切断ブレードは、遠位に面する鋭利な刃先を含む、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記切断ブレードの前記長手方向に延在する矩形スロット内に遠位に移動不能に配置されたポリマーブロックをさらに備える、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記枢動連結部は、中心枢動点と、前記中心枢動点から半径方向に延在するとともに、前記切断ブレードに結合されるピンに摺動可能に係合するように構成されたスロットとを含む、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記縫合糸は、前記切断ブレードが前記第1の位置に配置されているときに、前記縫合糸ルーメン内で移動可能である、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記長尺状のシャフトが、前記長尺状のシャフトの前記遠位端に固定された丸みを帯びた遠位キャップを含んでおり、前記丸みを帯びた遠位キャップが前記遠位ポートを含んでいる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【国際調査報告】