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特表2024-533649互いに付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラント
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  • 特表-互いに付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】互いに付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラント
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518248
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2022058859
(87)【国際公開番号】W WO2023047269
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198183.2
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515140369
【氏名又は名称】アムト エセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】AMUT S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Cameri,16, I-28100 Novara,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ ナヴォーネ
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA22
4F401AD01
4F401AD07
4F401BA13
4F401CA02
4F401CA22
4F401CA25
4F401CA31
4F401CA46
4F401CA49
4F401CB34
4F401CB35
4F401EA05
4F401EA46
4F401EA79
4F401FA01Y
4F401FA03Y
4F401FA06Y
4F401FA07Y
4F401FA09Y
(57)【要約】
【課題】接着または熱間圧延法により付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラントを提供する。
【解決手段】
調節可能な温度に維持された第1の化学物質水溶液を含む層間剥離反応装置(10)に薄片を供給し、少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層が互いに分離するように薄片を攪拌下に保つ。得られた薄片の層の混合物を、調節可能な温度に維持された第2の化学物質水溶液を含む集中洗浄装置(20)内で洗浄し、集中洗浄装置(20)から抜き出し、プラントの下流に配置された他の処理ステーションに移送する。制御装置(100)により、層間剥離反応装置(10)内の薄片の濃度、温度および滞留時間、ならびに集中洗浄装置(20)内の薄片の層の混合物の濃度および滞留時間を含む、様々な処理パラメータを調整することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着または熱間圧延法により互いに付着された少なくとも二層の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法であって、以下の工程:
a)調節可能な温度に維持された第1の化学物質水溶液を含む層間剥離反応装置(10)に、一定の流量で前記薄片を供給する工程;
b)調節可能な時間、前記第1の水溶液中で前記薄片を攪拌下に保ち、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層が互いに分離するように、前記第1の水溶液中に前記薄片を保持する工程;
c)前記層間剥離反応装置(10)から、前記第1の水溶液の一部とともに、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、制御された方法で抜き出す工程;
d)互いに分離された前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、調節可能な温度に維持された第2の化学物質水溶液を含む集中洗浄装置(20)に供給する工程;
e)前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の間に摩擦作用を及ぼし、前記薄片の層を洗浄するように、調節可能な時間、前記第2の水溶液中で前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層を攪拌下に保つ工程;
f)前記第2の水溶液の一部とともに、前記集中洗浄装置(20)から、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、制御された方法で抜き出す工程、
を含み、以下を連続的に調整することを特徴とする方法:
- 前記層間剥離反応装置(10)から抜き出す前記薄片の量を制御することによる、前記層間剥離反応装置(10)内の前記薄片の濃度;
- 前記層間剥離反応装置(10)内の前記第1の水溶液の温度;
- 前記層間剥離反応装置(10)内の前記薄片の滞留時間;
- 前記集中洗浄装置(20)から抜き出す前記薄片の層の混合物の量を制御することによる、前記集中洗浄装置(20)内の前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の濃度;
- 前記集中洗浄装置(20)内の前記第2の水溶液の温度;および
- 前記集中洗浄装置(20)内の前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の滞留時間。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記層間剥離反応装置(10)内の前記第1の水溶液の化学物質の濃度、および前記集中洗浄装置(20)内の前記第2の水溶液の化学物質の濃度を調整することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記層間剥離反応装置(10)内に含まれる前記第1の水溶液中の前記薄片の攪拌強度を制御することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記層間剥離反応装置(10)から前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を抜き出す前記工程c)で、前記薄片の層の混合物とともに、前記第1の水溶液の一部を分離することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物とともに抜き出される前記第1の水溶液の一部を濾過し、前記層間剥離反応装置(10)に再導入することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記集中洗浄装置(20)から前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を抜き出す前記工程f)で、前記薄片の層の混合物とともに、前記第2の水溶液の一部を分離することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物とともに抜き出す前記第2の水溶液の一部を濾過し、前記集中洗浄装置(20)に再導入することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記第1の水溶液はソーダおよび界面活性剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の第1の材料はポリエチレンテレフタレートまたはPETからなり、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の第2の材料は単層または多層のポリエチレンまたはPEからなることを特徴とする方法。
【請求項10】
接着または熱間圧延法により互いに付着された少なくとも二層の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するためのプラントであって、
- 第1の化学物質水溶液を含み、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層を互いに分離するための少なくとも1つの攪拌機を備えた少なくとも1つの層間剥離反応装置(10);
- 前記プラントの上流に配置された処理ステーションから来る水から前記薄片を分離することにより、前記薄片を前記層間剥離反応装置(10)に供給するための少なくとも1つの第1のスクリューコンベヤ(5);
- 前記第1の水溶液の一部とともに、前記層間剥離反応装置(10)から、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を抜き出すための第1の抽出手段(13);
- 第2の化学物質水溶液を含み、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の間に摩擦作用を及ぼすための少なくとも1つの攪拌機を備え、前記薄片の層を洗浄するための少なくとも1つの集中洗浄装置(20);
- 前記層間剥離反応装置(10)から来る前記第1の水溶液から、互いに分離された前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を分離することにより、その混合物を前記集中洗浄装置(20)に供給するための少なくとも1つの第2のスクリューコンベヤ(15);および
- 前記薄片の層を洗浄するための前記集中洗浄装置(20)から、前記少なくとも二種の異なるプラスチック材料を抽出するための第2の抽出手段(25)
を含み、
少なくとも以下のパラメータを連続的に制御する少なくとも1つの制御装置を含むことを特徴とするプラント:
- 前記層間剥離反応装置(10)から抜き出す前記薄片の量を制御することによる、前記層間剥離反応装置(10)内の前記薄片の濃度;
- 前記層間剥離反応装置(10)内の前記第1の水溶液の温度;
- 前記層間剥離反応装置(10)内の前記薄片の滞留時間;
- 前記集中洗浄装置(20)から抜き出す前記薄片の層の混合物の量を制御することによる、前記集中洗浄装置(20)内の前記薄片の層の濃度;
- 前記集中洗浄装置(20)内の前記第2の水溶液の温度;および
-前記集中洗浄装置(20)内の前記薄片の層の滞留時間。
【請求項11】
請求項10に記載のプラントにおいて、以下が設けられていることを特徴とするプラント:
前記プラスチック材料の処理のためのステーションから来る水を濾過するための少なくとも1つの濾過装置(30)であって、前記プラントの上流に配置され、前記処理ステーションに水を再導入する濾過装置(30);
前記薄片の層の混合物とともに抜き出される前記第1の水溶液の一部を濾過し、それを前記層間剥離反応装置(10)に再導入するための少なくとも1つの濾過装置(40);および
前記薄片の層の混合物とともに抜き出される前記第2の水溶液を濾過し、それを前記集中洗浄装置(20)に再導入するための少なくとも1つの濾過装置(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着または熱間圧延法により互いに付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラントに関する。特に本発明は、例えば、当技術分野で公知の、以下PETともよぶポリエチレンテレフタレート、および当技術分野で公知の、以下PEともよぶポリエチレンを含み、接着または熱間圧延法により付着された層を有する薄片の処理に関する。
【0002】
これらの薄片は、一般的に、食品を包装および保存するボウルおよびトレイの粉砕から生じるPETおよび/またはPEの回収処理において見出される。実際、ボウルおよびトレイは、例えば熱成形によってPETで作られ、単層または多層のPEシートによってシールされる。しかし、一般的なヒートシール技術を使用して、PEシートをPETボウル(またはトレイ)の端に付着させることはできない。したがって、PEシーリングシートを、接着または熱間圧延法により、PETボウル(またはトレイ)の端部にしっかりと接着させる必要がある。
【背景技術】
【0003】
プラスチック材料の回収/リサイクルの分野では、単一のプラスチック材料からなる薄片、例えば、一般的にボトルまたは容器に由来するPETフレークの処理が知られている。例えば、ボトルおよび/または容器に付着する紙ラベル、異なるプラスチック材料製の熱収縮シース、あるいは他の汚染物質を除去するために、薄片加工前にPETボトルまたは容器を処理する様々な技術が採用されてきた。
【0004】
ボトルおよび容器に対するこれらのタイプの処理のいくつかの例は、Stamicarbon社名義の欧州特許出願公開第0237127号(特許文献1)、または本出願人名義の国際公開第99/055508号(特許文献2)に見られる。
【0005】
しかし、薄片加工前の容器に直接施されるこの種の処理は、PEシートが強固に付着しているPETボウルやトレイを処理し、異なるプラスチック材料を分離するにはあまり効果的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0237127号明細書
【特許文献2】国際公開第99/055508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の技術的課題は、接着または熱間圧延法により互いに付着された少なくとも二種の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法およびプラントを提案することである。
【0008】
特に、本発明の目的は、容器ではなく薄片を操作することにより、異なるプラスチック材料の層を効率的に分離できる方法およびプラントを提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、分離された異なるプラスチック材料の層を、これらの層に付着している、可能性のある接着剤をさらに除去することによって、洗浄することもできるプロセスおよびプラントを提供することである。
【0010】
本発明のさらにもう一つの目的は、予め接着または熱間圧延法により互いに付着された両方のプラスチック材料の層を、その後個別に回収することを可能にする方法およびプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、請求項1に記載の方法に係る本発明により達成される。本発明のさらなる特徴は、各々の従属請求項に記載されている。
【0012】
互いに強固に付着された少なくとも二層の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するための方法であって、以下の工程:
a)調節可能な温度に維持された第1の化学物質水溶液を含む層間剥離反応装置に、一定の流量で上記薄片を供給する工程;
b)調節可能な時間、上記第1の水溶液中で上記薄片を攪拌下に保ち、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層が互いに分離するように、上記第1の水溶液中に上記薄片を保持する工程;
c)上記層間剥離反応装置から、上記第1の水溶液の一部とともに、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、制御された方法で抜き出す工程;
d)互いに分離された上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、調節可能な温度に維持された第2の化学物質水溶液を含む集中洗浄装置に供給する工程;
e)上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の間に摩擦作用を及ぼし、上記薄片の層を洗浄するように、調節可能な時間、上記第2の水溶液中で上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を攪拌下に保つ工程;
f)上記第2の水溶液の一部とともに、上記集中洗浄装置から、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を、制御された方法で抜き出す工程、
を含む方法。
【0013】
本発明の方法の一実施態様によれば、以下を連続的に調整する:
- 上記層間剥離反応装置から抜き出す上記薄片の量を制御することによる、上記層間剥離反応装置内の上記薄片の濃度;
- 上記層間剥離反応装置内の上記薄片の滞留時間;
- 上記集中洗浄装置から抜き出す上記薄片の層の混合物の量を制御することによる、上記集中洗浄装置内の上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の濃度;および
- 上記集中洗浄装置内の上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物の滞留時間。
【0014】
本発明の方法によれば、上記二種の異なるタイプの材料の薄片の層、例えば、複数のPE層に付着した複数のPET層は、効率的に分離され、次いで、上記二種の材料の各々の層は、例えば、PET層は沈降するがPE層は浮遊する複数の沈降タンク内での浮遊により、下流において個別に回収される。
【0015】
さらに、上記層間剥離反応装置内の上記第1の水溶液の温度、および上記集中洗浄装置内の上記第2の水溶液の温度は調整される。
【0016】
さらに、上記層間剥離反応装置内に含まれる上記第1の水溶液の化学物質の濃度、および上記集中洗浄装置内に含まれる上記第2の水溶液の化学物質の濃度は調整される。
【0017】
上記層間剥離反応装置に含まれる上記第1の水溶液の上記薄片の攪拌強度もまた、例えば上記層間剥離反応装置内の上記薄片の濃度に応じて制御される。
【0018】
上記層が分離されると直ちに、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物は、上記第1の水溶液の一部とともに、上記層間剥離反応装置ら抜き出され、上記薄片の層の混合物とともに抜き出された上記第一の水溶液の一部から、上記薄片の層が分離される。
【0019】
上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物とともに抜き出された上記第1の水溶液の一部は、濾過され、上記層間剥離反応装置に再導入されるが、この層間剥離反応装置への上記第1の水溶液の一部の再導入の前に、上記化学物質の濃度が可能な限り補正される。
【0020】
同様に、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を上記集中洗浄装置から抜き出すことにより、上記薄片の層の混合物とともに抜き出された上記第2の水溶液の一部が分離される。
【0021】
上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物とともに抜き出された上記第2の水溶液の一部は、濾過され、上記集中洗浄装置に再導入される。この場合でも、上記集中洗浄装置に上記第二の水溶液を再導入する前に、上記第二の水溶液中の上記化学物質の濃度を補正することも可能である。
【0022】
上記第1の水溶液に使用される上記化学物質は、例えば、ソーダおよび/または界面活性剤を含むことがある。上記第2の水溶液もまた、例えば界面活性剤等の化学物質を含むことがある。
【0023】
本発明はまた、接着または熱間圧延法により互いに強固に付着された少なくとも二層の異なるプラスチック材料により形成された薄片を連続処理するためのプラントに関する。
【0024】
このタイプのプラントは、一般的に、
- 第1の化学物質水溶液を含み、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層を互いに分離するための少なくとも1つの攪拌機を備えた、少なくとも1つの層間剥離反応装置;
- 上記プラントの上流に配置された処理ステーションから来る水から上記薄片を分離することにより、上記薄片を上記層間剥離反応装置に供給するための少なくとも1つの第1のスクリューコンベヤ;
- 上記第1の水溶液の一部とともに、上記層間剥離反応装置から、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を抜き出すための第1の抽出手段;
- 第2の化学物質水溶液を含み、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の間に摩擦作用を及ぼすための少なくとも1つの攪拌機を備え、上記薄片の層を洗浄するための少なくとも1つの集中洗浄装置;
- 上記層間剥離反応装置から来る上記第1の水溶液から、互いに分離された上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を分離することにより、その混合物を上記集中洗浄装置に供給するための少なくとも1つの第2のスクリューコンベヤ;および
- 上記集中洗浄装置から、上記少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層を抽出するための第2の抽出手段
を含む。
【0025】
本発明の一実施態様によるプラントは、少なくとも以下のパラメータを連続的に制御する少なくとも1つの制御装置を含む:
- 上記層間剥離反応装置から抜き出す上記薄片の量を制御することによる、上記層間剥離反応装置内の上記薄片の濃度;
- 上記層間剥離反応装置内の上記薄片の滞留時間;
- 上記集中洗浄装置から抜き出す上記薄片の層の混合物の量を制御することによる、上記集中洗浄装置内の上記薄片の層の濃度;および
-上記集中洗浄装置内の上記薄片の層の混合物の滞留時間。
【0026】
上記層間剥離反応装置および上記集中洗浄装置で使用される水および/または水溶液中に分散する可能性のある汚染物質を除去するために、様々なフィルターが上記プラントに設置されており、プロセスの様々な段階でこれらの流体を再利用することができる。特に、上記プラントの上流に配置されたプラスチック材料を処理するためのステーションから来る水を濾過して、それらの処理ステーションに再導入するために、少なくとも1つの濾過装置が設置され、上記薄片の層の混合物から抜き出された上記第1の水溶液の一部を濾過して、上記層間剥離反応装置に再導入するために、少なくとも1つの濾過装置が設置され、上記薄片の層の混合物から抜き出された上記第2の水溶液を濾過して、上記集中洗浄装置に再導入するために、少なくとも1つの濾過装置が設置される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1に示すプラントの図面を参照して、非限定的な実施例としてのみ提供される以下の説明から、本発明のさらなる特徴および利点が明らかになるであろう。
【0028】
図1図1は、本発明による処理を実行するためのプラントを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
プロセス全体は、本発明の方法を実行するためのプラントの様々な操作規制を管理する制御装置100によって制御される。
【0030】
矢印Fは、スクリューコンベア5を通して層間剥離反応装置10に供給される薄片を示す。スクリューコンベア5は、上流段から来る薄片Fを、付着した水または流体から分離するためのものである。一例として、上流段は、PET容器と、接着または熱間圧延により適用された単層または多層のPEシートとを含むボウルおよびトレイを粉砕するためのウォーターミルを含むことがある。供給スクリューコンベア5の電動モータ6は、制御装置100によって制御され、可能な限り一定の流量での薄片Fの供給を確実にする。
【0031】
スクリューコンベア5中で薄片Fから分離された水は、濾過装置30に送給され、可能性のある残留物が濾過された後、プラントの上流に設置された処理ステーションに再導入される。
【0032】
層間剥離反応装置10は、制御装置100により調節可能な温度に維持された第1の化学物質水溶液を含む。攪拌機11は、層間剥離反応装置10に設けられており、電動モータ12により駆動されて、第1の水溶液中の薄片Fを撹拌下に保持する。制御装置100はまた、例えば、層間剥離反応装置内の薄片の濃度や、層間剥離反応装置10内の薄片Fの温度および滞留時間等に応じて、攪拌強度を制御する。滞留時間は、例えば、第1の水溶液の一部とともに分離された、少なくとも二種の異なるプラスチック材料の薄片の層の混合物を引き抜く第1の抽出手段13を作用させることにより、制御することができる。これにより、二種の異なるプラスチック材料を含む薄片中の相互付着層を分離するのに十分な時間、層間剥離反応装置10内に薄片Fを保持することができる。第1の抽出手段13は、例えば、図1に示すようなポンプ、またはスクリューコンベアで構成することができる。
【0033】
第1の抽出手段13は、相互に分離された薄片の層の混合物を、第1の水溶液の一部とともに、層間剥離反応装置10から引き抜き、第1の水溶液から薄片の層を分離するためのスクリューコンベヤ15を通して、集中洗浄装置20に供給する。スクリューコンベヤ15は、制御装置100により制御される電動モータ16により駆動される。
【0034】
第1の水溶液は、タンク31内に収集され、その中で化学物質の濃度を、例えば制御装置100を介して第一の水溶液のpHを検出することによって補正することができ、次いで、層間剥離反応装置10に再導入される前に、濾過装置40で濾過されて、あらゆる可能性のある汚染残留物が除去される。これらの処理工程により、二種の異なるプラスチック材料の薄片の様々な層の間の可能性のある接着剤の少なくとも一部を除去することができる。
【0035】
集中洗浄装置20は、調節可能な温度に維持された第2の化学物質水溶液を含む。集中洗浄装置20中で、薄片の層の混合物は、攪拌器21により与えられる激しい攪拌を受ける。攪拌器21は、制御装置100により制御されるモータ26により回転する。
【0036】
第2の水溶液中の薄片の層の混合物の撹拌は、薄片の層の間に連続的な摩擦作用を引き起こし、特に残留している可能性のある接着剤の残分を除去することによって、層の完全な洗浄を達成させ得る。この場合でも、集中洗浄装置20内の薄片の層の混合物の滞留時間は制御され、第2の水溶液の温度も制御される。
【0037】
滞留時間は、例えば、制御された方法で薄片の層の混合物を抜き出す抽出手段25の駆動により決定される。制御装置100は、抽出手段25のモータ27を駆動させて、集中洗浄装置20における決定された滞留時間の後、薄片の層の混合物のみを抜き出す。
【0038】
第2の抽出手段25は、例えば、図1に概略的に示すスクリューコンベヤにより構成することができる。スクリューコンベヤにより、集中洗浄装置20に含まれる第2の水溶液から、存在する薄片の層の混合物(矢印M)を分離することができる。あるいは、第2の抽出手段25は、薄片の層の混合物を第2の水溶液から分離するポンプで構成することもできる。次いで、第2の水溶液は、可能性のある汚染残留物を除去するために、集中洗浄装置20に再導入される前に、濾過装置50中で濾過される。
【0039】
図1を参照して以上述べた制御に加えて、制御装置100は、例えば、層間剥離反応装置10内の第1の水溶液の温度および化学物質の濃度、集中洗浄装置20内の第2の水溶液の温度および化学物質の濃度等のさらなる処理パラメータを検出し、制御するように構成される。
【0040】
さらに、集中洗浄装置に第二の水溶液を再導入する前に、第二の水溶液中の化学物質の濃度を補正することも可能である。これは、例えば、第2の水溶液のpHを検出し、集中洗浄装置20に再導入する前に、必要に応じて、可能な添加剤および/または界面活性剤を導入することによって行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
5・・・スクリューコンベヤ
6・・・電動モータ
10・・・層間剥離反応装置
11・・・攪拌機
12・・・電動モータ
13・・・第1の抽出手段
15・・・スクリューコンベヤ
16・・・電動モータ
20・・・集中洗浄装置
21・・・攪拌機
25・・・第2の抽出手段
26・・・モータ
27・・・モータ
30・・・濾過装置
31・・・タンク
40・・・濾過装置
50・・・濾過装置
100・・・制御装置
F・・・薄片
M・・・薄片
図1
【国際調査報告】