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特表2024-533654日射測定用システム、全天日射計、日射測定方法および日射測定用コンピュータプログラム製品
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  • 特表-日射測定用システム、全天日射計、日射測定方法および日射測定用コンピュータプログラム製品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】日射測定用システム、全天日射計、日射測定方法および日射測定用コンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/12 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01W1/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518276
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022074982
(87)【国際公開番号】W WO2023046496
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198712.8
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521537427
【氏名又は名称】オーテーテー ハイドロメット ベスローテン ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】OTT HydroMet B.V.
【住所又は居所原語表記】Delftechpark 36, 2628 XH Delft, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン トール, アルヴィン ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲル, ヘンドリカス アドリアヌス フランシスカス
(72)【発明者】
【氏名】メス, ヨープ
(57)【要約】
本発明は、日射測定用システム、日射強度を測定する全天日射計、日射測定方法、および対応するコンピュータプログラム製品に関する。一態様では、ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、データロガーと、日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続された制御ユニットと、を備える日射測定用システムであって、制御ユニットは、指定された数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成され、データロガーは、制御ユニットにより計算された日射強度の少なくとも1つの平均値をある記録速度で少なくとも部分的に記録するように構成され、制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成される、システムが提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある測定速度(MR)で日射強度を測定するように構成された日射測定センサ(2)と、
データロガー(3)と、
前記日射測定センサ(2)および前記データロガー(3)に動作可能に接続された制御ユニット(4)と、を備える日射測定用システム(1)であって、
前記制御ユニット(4)は、指定された数の日射サンプルにわたって、前記日射測定センサ(2)により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成されており、
前記データロガー(3)は、前記制御ユニット(4)が計算した前記日射強度の前記少なくとも1つの平均値を、ある記録速度(RR)で少なくとも部分的に記録するように構成されており、
前記制御ユニット(4)は、前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)を決定するように構成され、前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)に基づいて、前記平均値を計算するための複数の平均化関数から、前記選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成される、日射測定用システム(1)。
【請求項2】
ある測定速度(MR)で日射強度を測定するように構成された日射測定センサ(2)と、
データロガー(3)と、
前記日射測定センサ(2)および前記データロガー(3)に動作可能に接続された制御ユニット(4)と、を備える日射測定用システム(1)であって、
前記制御ユニット(4)は、指定された数の日射サンプルにわたって、前記日射測定センサ(2)により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された平均化関数に基づいて計算するように構成されており、
前記データロガー(3)は、前記制御ユニット(4)が計算した前記日射強度の前記少なくとも1つの平均値を、ある記録速度(RR)で少なくとも部分的に記録するように構成されており、
前記制御ユニット(4)は、前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)を決定するように構成され、前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)に基づいて、前記平均値を計算するために前記指定された平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成される、特に請求項1に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項3】
前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)は、前記日射測定センサ(2)の前記測定速度(MR)よりも遅い、請求項1または2に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項4】
前記平均化関数は、前記日射測定センサ(2)が、指定された時間枠にわたって測定した前記日射強度の真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数から選択される、請求項1に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項5】
前記日射測定センサにより測定された前記日射強度が特定の値を超えたときに、前記制御ユニット(4)は、指定された数の日射サンプルにわたる前記日射強度の標準偏差値を計算するように構成される、請求項1または2に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項6】
前記制御ユニット(4)は、前記日射測定センサにより測定された前記日射強度が前記特定の値を超えたときに、信号を発するようにさらに構成される、請求項5に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項7】
前記日射測定センサにより測定された前記日射強度が特定の値を超えたときに、前記制御ユニット(4)が、前記特定の値を超えた日射サンプルの数を決定するようにさらに構成される、請求項1または2に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項8】
前記平均値は、固定の平均化時間範囲にわたって、または可変の平均化時間範囲にわたって計算される、請求項1または2に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項9】
前記日射測定センサは、サーモパイルセンサを備え、特に、前記日射測定センサは、概ね2Hzを超える測定速度を有する、および/または前記データロガーの記録速度は、概ね1Hz未満である、請求項1または2に記載の日射測定用システム。
【請求項10】
前記平均値を計算するために前記指定された平均化関数の前記1つ以上のパラメータは、平均化時間または積分時間を含む、請求項2に記載の日射測定用システム(1)。
【請求項11】
ある測定速度(MR)で日射強度を測定するように構成された日射測定センサ(2)と、
前記日射測定センサ(2)およびデータロガー(3)に動作可能に接続可能な制御ユニット(4)と、を備える全天日射計(100)であって、
前記制御ユニット(4)は、指定された数の日射サンプルにわたって、前記日射測定センサ(2)により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成されており、
前記制御ユニット(4)は、前記データロガー(3)の記録速度(RR)を決定するように構成され、前記データロガー(3)の前記記録速度(RR)に基づいて、前記平均値を計算するための複数の平均化関数から、前記選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成される全天日射計(100)。
【請求項12】
ある測定速度(MR)で日射強度を測定するステップと、
指定された数の日射サンプルにわたる前記日射強度の平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するステップであって、前記前記選択可能な平均化関数は、前記日射強度の前記平均値を計算するための複数の平均化関数から記録速度(RR)に基づいて選択される、ステップと、
前記記録速度(RR)で前記日射強度の前記計算された平均値を少なくとも部分的に記録するステップと、を備える日射測定方法。
【請求項13】
前記平均化関数は、指定された時間枠にわたる真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数から選択される、請求項12に記載の日射測定方法。
【請求項14】
前記測定された日射強度が特定の値を超えたときに、指定された数の日射サンプルにわたる前記日射強度の標準偏差値を計算するステップ、および/または特に信号を発するステップ、および/または特に前記特定の値を超えている日射サンプルの数を決定するステップをさらに含む、請求項12または13に記載の日射測定方法。
【請求項15】
前記制御ユニット(4)にロードされて実行されると、請求項12に記載の方法のステップを実行するコンピュータ可読命令を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、
データロガーと、
前記日射測定センサおよび前記データロガーに動作可能に接続された制御ユニットと、を備えるシステムであって、
前記制御ユニットは、前記データロガーの記録速度、前記日射測定センサの測定速度、および前記日射測定センサの応答時間を決定しており、
前記日射測定センサの前記応答時間が前記日射測定センサの前記測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または前記日射測定センサの前記応答時間が前記データロガーの前記記録速度よりも実質的に遅いとき、前記制御ユニットは、前記測定速度で前記日射測定センサから提供される少なくとも1つの日射強度を修正するようにさらに構成されており、
前記データロガーは、前記制御ユニットにより修正された前記少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成されている、システム。
【請求項17】
前記修正日射強度(YN)を次式で計算するシステムであって、
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、
前記日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続可能な制御ユニットであって、前記データロガーの記録速度、前記日射測定センサの測定速度、および前記日射測定センサの応答時間を決定するように構成された制御ユニットと、
前記日射測定センサの応答時間が前記日射測定センサの測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または前記日射測定センサの応答時間が前記データロガーの記録速度よりも実質的に遅いとき、前記制御ユニットは、前記測定速度で前記日射測定センサから提供される少なくとも1つの日射強度を修正するようにさらに構成され、前記データロガーは、前記制御ユニットにより修正された前記少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成される、全天日射計。
【請求項19】
前記修正日射強度(YN)を次式で計算する全天日射計であって、
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である、請求項18に記載の全天日射計。
【請求項20】
日射測定センサの応答時間を有する日射測定センサを用いて、ある測定速度で日射強度を測定するステップと、
少なくとも1つの日射強度をある記録速度で少なくとも部分的に記録するステップと、
前記日射測定センサの前記応答時間、前記記録速度、および前記測定速度を決定するステップと、
前記日射測定センサの前記応答時間が前記測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または前記日射測定センサの前記応答時間が前記記録速度よりも実質的に遅いとき、前記少なくとも1つの日射強度をさらに修正するステップと、
前記修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するステップと、を備える、日射測定方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの日射強度を修正するステップにおいて、前記修正日射強度(YN)を次式で計算する方法であって、
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射測定用システム、日射強度を測定する全天日射計、および日射測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球表面に入射する日射量は、「アクチノメーター」として知られる機器により測定可能である。特に、気象学において日射測定に使用されるアクチノメーターとしては、全天日射計、直達日射計、および正味放射計がある。
【0003】
より具体的には、全天日射計は、例えば、地面などの平坦な表面上の日射強度を測定する機器である。全天日射計は通常、ソーラーシミュレータおよび太陽光発電システムなど、他の装置と組み合わせて使用される。そのような状況では、全天日射計から提供される測定値は、光発電モジュールの有効電力および/または他のシステム性能を計算するために特に使用される。したがって、全天日射計の測定精度は、この測定装置の最も重要な側面の1つである。
【0004】
全天日射計は、日射強度の測定を行う動作原理により、一般に、サーモパイルセンサによる全天日射計とシリコン半導体による全天日射計との2つの異なるカテゴリに分類される。
【0005】
サーモパイルセンサによる全天日射計では、1つ以上のサーモパイルセンサにより日射強度が測定され、概ね180°の視野角からの広帯域の太陽の放射束密度を測定するように設計される。
【0006】
地球の大気の上部に入射する日射は比較的一定であるが、地球の表面に到達する実際の日射量は変化する。表面に到達する日射は、場所、日付および時刻、ならびに大気条件に依存して変動し、また、時刻とともに急速に変化し得る。
【0007】
不確実性を低減して日射強度を正確に測定するには、全天日射計は、時刻の経過に伴う日射の変動に厳密に追跡する必要があり、特に、曇り空の状況により生じる日射の量の急速な変化が発生したときに、日射を過小にも過大にも表してはいけない。
【0008】
通常の全天日射計は、より遅い時間にわたって信号を積分しながら、応答を遅くして正確な測定を実現する。対照的に、特にマイクロサーモパイルセンサを備えた全天日射計は、応答がより速く、一般に概ね0.02秒未満であることを特徴とする。しかしながら、日射センサは、通常、遅い速度(例えば、毎秒概ね1回または毎分1回)で、読み出されるおよび/またはデータがデータ記録装置に転送される。帯域幅が狭いデータバスシステムでは、特に速度が少なくなり得る。換言すれば、サーモパイルセンサが測定する日射強度は、サーモパイルセンサの測定速度よりも遅い記録速度(例えば毎秒1回または毎分1回)で記録される。サーモパイルセンサの測定速度と、例えばデータロガーを備えるデータ記録装置の記録速度との間のこの不一致は、データ記録装置により記録されない日射強度の一部を損失するなどの日射強度に関する情報の損失をもたらし得る。その結果、全天日射計から取得されるデータの精度に悪影響を与える。
【0009】
さらに、雲は、概ね1367W/m2±3%に相当する地球外太陽定数を超える日射量の増大も生じさせ得る。特に、雲が切れている部分的な曇り空は、多重散乱および放射反射が発生して、全天日射計に入射する日射量の増加をもたらす。換言すれば、このような大気条件は、日射における「スパイク」を引き起こす。つまり、空の一部からの照度の増大が実際の晴天の状態において予想される照度値を超える、特に概ね1367W/m2±3%に相当する地球外太陽定数を超える照度値を生じさせる。そのような日射のスパイクは、光起電力システムを損傷させる可能性がある。しかしながら、記録速度がより遅いロギングまたは記録システムを備える全天日射計において、ロギング期間にわたる日射強度の平均値のみが報告される場合では、日射におけるこれらのスパイクに関する情報の損失が生じ得る。
【0010】
そのため、全天日射計から取得されるデータの精度を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、日射測定用システム、例えば、全天日射計から取得されるデータの精度を高めるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立請求項の特徴により解決され、特定の実施形態は従属請求項の主題となっている。
【0013】
本発明の一態様では、日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続された制御ユニットを備える測定用システムが提供される。制御ユニットは、指定された数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成される。データロガーは、制御ユニットにより計算された日射強度の少なくとも1つの平均値を、ある記録速度で少なくとも部分的に記録するように構成される。制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から、選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成される。
【0014】
平均値を計算するための平均化関数が、データロガーに設定される記録速度に基づいて複数の平均化関数から選択されることが、より有利である。一方、日射測定センサは、相対的に速い測定速度で日射を測定している。したがって、過去の時間枠において測定した日射強度を正確に表す日射相当値が提供されて記録される。その結果、日射システムから取得されるデータの精度が向上する。
【0015】
特に、データロガーのまたはデータロガーにより達成される記録速度は、例えばデータロガーと日射測定センサとの間のバスシステムの帯域幅の制限により、日射測定センサの測定速度よりも少なくなる。
【0016】
特に、平均化関数は、指定された(所定の、または予め決定可能な)時間枠にわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数から選択される。
【0017】
特に、日射測定センサにより測定された日射強度が特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えたときに、制御ユニットは、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算するように構成されている。
【0018】
ロギングシステムにより決定または記録された平均値は、日射におけるスパイクの発生を示さない可能性があるので、そのようなスパイクの発生をシステムにより正確に検出または記録され得ることが有利である。
【0019】
特に、制御ユニットは、日射センサにより測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、信号を発するようにさらに構成されている。
【0020】
特に、日射測定センサにより測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、制御ユニットは、特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えている日射サンプルの数を決定するようにさらに構成される。
【0021】
特に、平均値は、固定の平均化時間範囲にわたって、または可変の平均化時間範囲にわたって計算される。
【0022】
特に、日射測定センサは、少なくとも1つのサーモパイルセンサを備えており、特に、日射測定センサは、概ね2Hzを超える測定速度を有する。
【0023】
特に、データロガーの記録速度は、概ね1Hz未満である。
【0024】
特に、データロガーの記録速度が、日射測定センサの測定速度と実質的に等しいかまたは速いとき、データロガーは、日射測定センサにより測定された日射サンプルのうちの少なくとも1つを直接記録するように構成される。
【0025】
さらなる態様では、ある測定速度で日射を強度測定するように構成された日射測定センサと、データロガーと、日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続された制御ユニットとを備える日射測定用システムが提供される。制御ユニットは、指定された数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された平均化関数に基づいて計算するように構成されている。データロガーは、制御ユニットにより計算された日射強度の少なくとも1つの平均値をある記録速度で少なくとも部分的に記録するように構成されている。制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成される。
【0026】
平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータは、データロガーに設定されている記録速度に基づいて修正することが有利である。一方、日射測定センサは、相対的に速い測定速度で日射強度を測定している。したがって、過去の時間枠における測定された日射強度を正確に表す日射相当値が提供されて記録される。その結果、日射システムから取得されるデータの精度が向上する。
【0027】
本出願の前述の態様は、全天日射計から取得されるデータ、例えば日射測定値の精度を高めるという技術的課題に対する代替解決策を示していることが明らかである。
【0028】
この問題に対する解決策は、日射測定センサと、データロガーと、指定された数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成された制御ユニットと、を備える日射測定用システムに関する前述の態様により提供される。データロガーは、制御ユニットにより計算された日射強度の少なくとも1つの平均値を、ある記録速度で少なくとも部分的に記録するように構成される。制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から、選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成されることが有利である。これにより、全天日射計から取得されるデータ、例えば日射測定値の精度を高めることが可能になる。
【0029】
前述の技術的課題に対する別の解決策は、日射測定センサと、データロガーと、指定された数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数に基づいて計算するように構成された制御ユニットと、を備える日射測定用システムにより提供される。データロガーは、制御ユニットにより計算された日射強度の少なくとも1つの平均値を、ある記録速度で少なくとも部分的に記録するように構成される。制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成されることが有利である。これにより、全天日射計から取得されるデータ、例えば日射測定値の精度を高めることを可能になる。
【0030】
要約すると、前述の解決策は、日射測定センサ、データロガー、および制御ユニットの一連の共通の特徴によって、解決しようとする課題を解決する。しかしながら、特許請求の範囲に記載された解決策は、代替となる特徴を含む。すなわち、第1態様において、制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するよう構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から、選択可能な平均化関数を選択するようさらに構成される。一方、第2態様において、制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するよう構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようさらに構成される。
【0031】
このように、前述の第1態様および第2態様による日射測定用システムは、代替となる構成を提供しながらも、共通の技術的課題を解決する。
【0032】
特に、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の(修正された)1つ以上のパラメータは、平均化時間または積分時間を含む。
【0033】
特に、データロガーのまたはデータロガーにより達成される記録速度は、データロガーと日射測定センサとの間のバスシステムの帯域幅の制限により、日射測定センサの測定速度よりも少なくなる。
【0034】
特に、指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数とは、具体的には、指定された(所定の、または予め決定可能な)時間枠にわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数である。
【0035】
特に、日射測定センサにより測定された日射強度が特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えたときに、制御ユニットは、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算するように構成される。
【0036】
ロギングシステムにより決定された、または記録された平均値は、日射におけるスパイクの発生を示さない可能性があるので、そのようなスパイクの発生は、システムにより正確に検出または記録され得ることが、有利である。
【0037】
特に、制御ユニットは、日射センサにより測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、信号を発するようにさらに構成される。
【0038】
特に、日射測定センサにより測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、制御ユニットは、特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えている日射サンプルの数を決定するようにさらに構成される。
【0039】
特に、平均値は、固定の平均化時間範囲にわたって、または可変の平均化時間範囲にわたって計算される。
【0040】
特に、日射測定センサは、少なくとも1つのサーモパイルセンサを有しており、特に、日射測定センサは、概ね2Hzを超える測定速度を有する。
【0041】
特に、データロガーは、概ね1Hz未満の記録速度を有する。
【0042】
特に、データロガーの記録速度が、日射測定センサの測定速度と実質的に等しいまたは速いとき、データロガーは、日射測定センサにより測定された日射サンプルのうちの少なくとも1つを直接記録するように構成される。
【0043】
さらなる態様では、ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続可能な制御ユニットと、を備える全天日射計が提供される。制御ユニットは、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成されている。制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から、選択可能な平均化関数を選択するようにさらに構成されている。
【0044】
さらなる態様では、ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続可能である制御ユニットと、を備える全天日射計が提供される。制御ユニットは、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された平均化関数に基づいて計算するように構成される。また、制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガーの記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成される。
【0045】
別の態様では日射測定方法が提供され、その方法は、
ある測定速度で日射強度を測定するステップと、
指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するステップであって、選択可能な平均化関数は、日射強度の平均値を計算するための複数の平均化関数から、記録速度に基づいて選択される、ステップと、
ある記録速度で日射強度の計算された平均値を少なくとも部分的に記録するステップと、を備える。
【0046】
特に、記録速度は測定速度よりも遅い。
【0047】
特に、測定速度は概ね2Hzを超えており、および/または記録速度は概ね1Hz未満である。
【0048】
特に、平均化関数は、指定された(所定の、または予め決定可能な)時間枠にわたる真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数から選択される。
【0049】
特に、測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算するステップ、および/または特に信号を発するステップ、および/または特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えている日射サンプルの数を決定することをさらに含む。
【0050】
特に、記録速度が、測定速度と実質的に等しいとき、測定された日射サンプルの少なくとも1つを直接記録することをさらに含む。
【0051】
別の態様では、日射測定方法が提供される。その方法は、
ある測定速度で日射強度を測定するステップと、
指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の平均値を指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数に基づいて計算するステップと、
計算された日射強度の平均値を記録速度で少なくとも部分的に記録するステップと、
記録速度を決定するステップと、
その記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するステップと、を備える。
【0052】
特に、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータは、平均化時間または積分時間である。
【0053】
特に、記録速度は測定速度よりも遅い。
【0054】
特に、測定速度は概ね2Hzを超えており、および/または記録速度は概ね1Hz未満である。
【0055】
特に、指定された平均化関数は、指定された(所定の、または予め決定可能な)時間枠にわたる真の平均化関数、移動平均化関数、および/もしくは指数平均化関数であるか、またはそれらに基づいている。
【0056】
特に、測定された日射強度が特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えたときに、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算するステップ、および/または特に信号を発するステップ、および/または特定の(所定の、または予め決定可能な)値を超えている日射サンプルの数を決定するステップと、をさらに備える。
【0057】
特に、記録速度が測定速度と実質的に等しいとき、測定された日射サンプルの少なくとも1つを直接記録するステップをさらに備える。
【0058】
一態様では、適切なシステムにロードされて実行されると、前述の態様による方法のステップを実行するコンピュータ可読命令を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0059】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、より明らかになるであろう。実施形態が個別に記載されていたとしても、それらの単一の特徴を追加の実施形態に組み合わせ得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る日射測定用システムの概略図である。
図2図2は、日射強度を測定する全天日射計の軸測図である。
図3図3は、一実施形態による全天日射計およびリモートコントロールユニットのネットワークの概略図である。
図4図4は、一実施形態による日射測定方法を示すフローチャートである。
図5図5は、汎用コンピュータを備える例示的なリモートコントロールユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1では、日射測定用システムは参照符号1で示される。システム1は、日射測定センサ2、データロガー3、および/または制御ユニット4を有する。システム1は、電力供給ユニットから電力供給され得、および/または電源ラインに直接接続され得る。
【0062】
日射測定センサ2は、測定速度MRで日射強度を測定するように構成された測定センサ2である。
【0063】
特に、日射測定センサ2は、サーモパイルセンサであり得る。より具体的には、日射測定センサ2は、マイクロサーモパイルセンサであり得る。
【0064】
サーモパイルセンサ2は、サーモパイルセンサ2の受光面20に入射する放射線を測定するように構成された測定センサである。特に、サーモパイルセンサ2に入射する放射線は、日射であり得る。サーモパイルセンサ2は、特に、実質的に180°の視野角から広帯域の放射束密度を測定するのに特に適した1つ以上のサーモパイルに基づき得る。サーモパイルは、具体的には、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する電子デバイスであり、直列または並列に接続されたいくつかの熱電対を備える。サーモパイルは、その異種金属間または熱電対が温度差にさらされると電圧を発生させる熱電効果の原理で動作する。熱電対は、それらの接合点から熱電対出力電圧が測定される点までの温度差を測定するように動作する。閉回路が2つ以上の金属で構成され、接合部と一方の金属から他方の金属への遷移点との間に温度差が生じると、異なる温度下にある接合部の間の電位差により発生したかのように電流が生じる。
【0065】
具体的には、サーモパイルセンサ2は、特に、概ね300nmから2800nmまでの光をほぼ平坦な分光感度で検出する。具体的には、サーモパイルセンサ2は、センサ2に衝突する放射線、特にすべての放射線を吸収する黒色塗装を含む。放射線とは、日射、または前方の光学素子である、例えば外側ドームおよび/もしくは内側ドーム、ならびに/または光学拡散体により、スペクトル組成が変化した変化後の日射である。熱電対の活性(高温)接合部は、黒色塗装面の下に、または、それに相当する位置にもしくは隣接して位置しており、黒色塗装から吸収された放射線により加熱される。熱電対の受動(低温)接合部は、(特に完全に)放射から保護され、特にヒートシンクとして機能する筐体の一部と熱的に接触している。特に、熱電対の受動(低温)接合部は、筐体にまたは筐体を通して熱を実質的に放散するように、筐体と熱的に接触し得る筐体の一部と接触している。これは、具体的には、日陰の温度を測定するときに、サーモパイルセンサ2による日射強度の測定を損なうイエローリングまたは減衰による変化を軽減または防止する。
【0066】
より具体的には、サーモパイルセンサ2は、概ね1mmから20mmまでの範囲内、または概ね10mm未満の直径を有するTO(トランジスタアウトライン)筐体内に配置され得る。特に、サーモパイルセンサ2のTO筐体および/または能動部品は、マイクロマシーンであり得る。
【0067】
図1には、日射測定センサ2は、受光面20と、その反対側の第2表面(底面)21とを備えることが示されている。日射測定センサ2の受光面20は、黒色塗装面を含み得、または黒色塗装面に相当し得る。第2表面21は、支持面、例えば全天日射計の筐体部分に実質的に面し、および/または直接的もしくは間接的に接触し得る。受光面20は、衝突する日射を実質的に受光するように構成される。特に、日射測定センサに衝突する放射線は、日射であり得る。
【0068】
日射測定センサ2は、測定速度MRで日射強度を測定するように構成されている。日射測定センサ2の測定速度MRは、指定された(所定の、または予め決定可能な)期間において日射測定センサ2が日射強度を測定するように構成されている回数である。換言すれば、日射測定センサ2は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)周波数で日射強度を測定するように、すなわち、日射強度の測定値を出力するように構成され得る。日射測定センサ2が日射強度を測定する、または日射強度に関する値を出力する速度とは、単位時間当たりの測定数、例えば1秒当たりの測定数である。特に、日射測定センサ2は、概ね2Hzを超える測定速度MRを有し得る。換言すれば、日射測定センサ2は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)期間ごとに日射強度の単一の測定を提供または出力するように構成され得、その期間は、概ね0.5秒(毎秒2回測定)未満、特に概ね0.2秒(毎秒5回測定)未満である。具体的には、日射測定センサ2の測定速度MRは一定であり得る。
【0069】
特に、日射測定センサ2は、概ね50Hzを超える測定速度MRを有し得る。換言すれば、日射測定センサ2は、概ね0.02秒(毎秒50回測定)よりも短い期間で日射強度の測定を提供または出力するように構成され得る。
【0070】
図1には、データロガー3を備える日射測定用システム1が示されている。データロガー3は、1つ以上の日射測定センサ2から受信される日射測定データを経時的に記録するように構成された電子デバイスである。データロガー3の一例として、Kipp&Zonenの「LOGBOX SE」が使用可能である。データロガー3のさらなる例として、OTT HydroMetの「OTT netDL 500/1000」、Huaweiの「SmartLogger3000A」、「Gartner instruments Solutions GmbH」の「Q.reader central」、Campbell Scientificの「CR1000X」、Sutronの「XLite 9210」または「SatLink 3」がある。
【0071】
特に、データロガー3は、10、12、16または24ビット分解能などの特定の(所定のまたは予め決定可能な)分解能、および/または、例えば、19mV~2500mV(2.5V)の範囲にある選択可能な電圧入力を有する複数の、例えば4つの差動DC電圧入力を有し得る。日射測定センサ2の感度に応じて、データロガー3は、特に、1W/m2の照射量の変化に相当するデータを記録するように構成される。
【0072】
データロガー3は、特に2.5Vおよび/または3V信号のための複数の、例えば4つのシングルエンド電圧入力、例えば12ビット電圧入力を、追加してまたは代替として有し得る。加えて、データロガー3は、1つ以上のサーミスタ、例えば10Kサーミスタからのデータ、および/または1つ以上の温度センサ、例えばPt-100温度センサからのデータを記録するように構成され得る。
【0073】
データロガー3は、複数の、例えば4つの論理レベル入力を、追加してまたは代替として有し得る。それにより、データロガー3は、1つ以上の日射測定センサ2から受信される信号の信号パルスを計数可能である、および/または、1つ以上の日射測定センサ2からの信号の受信速度を決定することが達成可能になる。
【0074】
特に、データロガー3は、最小で概ね1秒までの速度でサンプリングおよび/または記録を可能にするように構成される。データロガー3は、選択された平均化関数に基づいて計算された平均値に加えて、最小値、最大値、および/または標準偏差を記録可能である。
【0075】
データロガー3は、ユーザへのデータ転送および/または時刻同期用に、1つ以上のメモリおよび/または通信装置を含み得る。ここで、データ転送は、特に無線データ転送であり、メモリは、例えば工業グレードSDカードであり、通信装置は、例えば外部アンテナを有する内部クワッドバンドGSM/GPRSモデムなどである。
【0076】
あるいは、データロガー3は、デジタル読み出しを提供する「Modbus」に基づくデータロガー(デジタルデータロガー3)であり得る。より具体的には、デジタル読み出し速度は、制御ユニット4の測定速度とは異なり得る。
【0077】
特に、データロガー3がデジタルデータロガーであるとき、データロガー3は、1つ以上の通信インターフェイスを含み得る。1つ以上の通信インターフェイスは、例えば、イーサネット10Base-T:RJ-45(登録商標)、USBホスト、USBデバイス、またはRS-232のうちの1つ以上を含み得る。
【0078】
データロガー3は、1つ以上のセンサインターフェイスを含み得る。1つ以上のセンサインターフェイスは、例えば、SDI-12V.1.3、RS-485(SDI-12/Modbus RTU)、パルス/ステータス入力、ステータス出力、またはスイッチ出力のうちの1つ以上を含み得る。
【0079】
データロガー3は、1つ以上の入力/出力モジュールを含み得る。1つ以上の入力/出力モジュールは、例えば、アナログ入力、アナログ出力、絶縁型アナログ入力、OTTセンサ用シリアル入力モジュール、または気圧入力ボードのうちの1つ以上を含み得る。
【0080】
データロガー3は、1つ以上の測定チャネル、例えば、40チャネルまたは120チャネルの測定チャネルを含み得る。
【0081】
データロガー3は、1つ以上のIP電話通信モジュールを含み得る。例えば、一体化されたTCP/IPスタック(HTTP、HTTPS、FTP、SMTP、Socket.など)、GSM/GPRS/3G/4G、一体化されたWebサーバ、または暗号化データ伝送を行うHTTPS SSL 3.0/TLS 1.0/1.1/1.2のうちの1つ以上を含み得る。データロガー3は、1つ以上の一体化されたモデム、例えば、GSM/GPRSを含み得る。データロガー3は、電力消費を最小化するための電力管理を有するRTOSオペレーティングシステムを含み得る。
【0082】
データロガー3は、SNTP時刻同期モジュールを含み得る。データロガー3は、9V、12V、または28Vの直流電源を有し得る。
【0083】
データロガー3は、4MBのRAM、8MBのNORフラッシュ、および256MBのNANDフラッシュを有し得る。データロガー3は、最大100万個の値まで保存可能である。
【0084】
データロガー3は、122×32ピクセルのグラフィックドットマトリックスを有するディスプレイ、LEDバックライト、および/またはジョブシャトルにより制御されるものを含み得る。特に、図1に示されるように、データロガー3は、バスシステム6(第1バス)を介して、日射測定センサ2に直接的にまたは間接的に動作可能に接続され得る。より具体的には、データロガー3がバスシステム6(第1バス)を介して日射測定センサ2に間接的に接続されるとき、制御ユニット4は、日射測定センサ2とデータロガー3との間に介在し、これらに動作可能に接続される。すなわち、制御ユニット4は、バスシステム5(第2バス)などのデータ接続を介して日射測定センサ2に動作可能に接続される。同様に、制御ユニット4は、バスシステム6(第1バス)を介してデータロガー3に動作可能に接続される。
【0085】
したがって、日射測定センサ2から提供または出力される測定値は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサ2により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を計算するために使用される。計算された日射強度の少なくとも1つの平均値は、次に、指定された(所定のまたは所定可能な)記録速度RRでデータロガー3により記録される。データロガー3は、デジタルプロセッサまたはコンピュータに基づき得る。すなわち、データロガー3は、デジタルデータロガー(DDL)であり得る、またはそれを備え得る。データロガー3は、マイクロプロセッサ、およびデータを格納する内部メモリを備え得る。データロガー3は、リモートコントロールユニット7と(特に無線)通信するように構成され得る。したがって、データロガー3により記録されたデータは、特にリアルタイムで、および/または指定された(所定のまたは予め決定可能な)転送速度で、リモートコントロールユニット7に(特に無線)転送され得る。データロガー3は、制御ユニット4により計算されており、制御ユニット4からバスシステム6(第1バス)を介して取得される日射強度の平均値を記録速度RRで少なくとも部分的に記録するように構成される。制御ユニット4により計算されており、制御ユニット4から取得される日射強度の平均値は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)数で日射測定センサ2により測定された日射測定値の平均値であり、バスシステム5(第2バス)などのデータ接続を介して制御ユニット4に提供される。制御ユニット4は、日射測定センサ2に一体化され得、また日射測定センサ2とは別体の部品であり得る。
【0086】
制御ユニット4が計算する日射強度の平均値については、以下に詳細に記述する。
【0087】
データロガー3の記録速度RRは、データロガー3が、制御ユニット4から提供されるデータである日射強度の平均値または日射測定センサ2から提供されるデータである日射測定値を、記録するように構成される回数に対応する。換言すれば、データロガー3は、日射強度の平均値または日射測定値を指定された(所定のまたは予め決定可能な)速度で記録するように構成され得る。
【0088】
データロガー3が日射強度の平均値を記録する速度は、単位時間当たりの記録回数、例えば、秒/分当たりの記録回数である。特に、データロガー3の記録速度は、概ね1Hz(1秒毎に1回記録)未満であり、より具体的には概ね0.1Hz(10秒毎に1回記録)未満にし得る。
【0089】
データロガー3の記録速度RRは、特に、データを格納する同じデータロガー3の内部メモリ、ならびに/または、データロガー3および/もしくは日射測定センサ2と、制御ユニット4と、の間のバスシステム6(第1バス)による接続に依存し得る。換言すれば、データロガー3の記録速度RRは、データを格納する同じデータロガー3の内部メモリ、ならびに/または、データロガー3および/もしくは日射測定センサ2と、制御ユニット4と、の間のバスシステム6(第1バス)による接続の帯域幅により制限される。
【0090】
データロガー3の記録速度RRは、指定され得る。すなわち、予め決定され得、また予め決定可能であり得る。特に、データロガー3の記録速度RRは調整可能であり得る。換言すれば、データロガー3の記録速度RRは、ユーザにより、最小の固定記録速度と最大の固定記録速度との間で増加および/または減少されて設定される。代替として、データロガー3の記録速度RRは、指定された(所定のまたは予め決定可能な)速度に固定され得る。
【0091】
特に、データロガー3の記録速度RRは、日射測定センサ2の測定速度MRよりも少なくし得る。換言すれば、データロガー3は、ある期間にわたる日射強度の平均値の数が、同じ期間にわたって、日射測定センサ2により測定された測定値の数よりも、少ない数で記録するように構成され得る。
【0092】
図1には、制御ユニット4を備える日射測定用システム1が示されている。制御ユニット4は、コントローラであり得る。特に、制御ユニット4は、マイクロコントローラであり得る。具体的には、制御ユニット4は、1つのMOSIC(Metal-Oxide-Semiconductor Integrated Circuit)チップに形成されたマイクロコンピュータであり得る。制御ユニット4は、メモリおよびプログラマブル入力/出力周辺機器とともに1つ以上のCPU(プロセッサコア)を含む。強誘電体RAM、NORフラッシュ、またはOTPROMの形態のプログラムメモリも、少容量のRAMと同様にチップ上に含まれる。
【0093】
図1に、制御ユニット4が、バスシステム5(第2バス)を介して、日射測定センサ2およびバスシステム6(第1バス)により、データロガー3に動作可能に接続されることを示す。
【0094】
日射測定センサ2とデータロガー3との間、および/または制御ユニット4とデータロガー3との間のバスシステム6(第1バス)のデータ通信プロトコルは、「Modbus」データ通信プロトコルであり得る。Modbusデータ通信プロトコルは、特に、トランスポート層としてキャラクタ・シリアル通信回線、イーサネット(登録商標)、またはインターネットプロトコルスイートを使用して、特に、同じケーブルまたはイーサネット(登録商標)ネットワークに接続された複数の装置との間の通信をサポートする。例えば、Modbus RTU(Remote Terminal Unit)は、シリアル通信として使用され得、特に、プロトコル通信用にデータのコンパクトなバイナリ表現を採用している。ここで、ModbusのRTUフォーマットは、特に、データの信頼性を保証するためのエラーチェック機構として、巡回冗長検査のチェックサムを有するコマンド/データにしたがう。ただし、Modbus TCP/IPまたはModbus TCP、Modbus over TCP/IPまたはModbus over TCPまたはModbus RTU/IP、Profibusなどの他のModbusデータ通信プロトコルも考え得る。
【0095】
特に、Profibusは、Profibus-PAであり得る。Profibus-PA(プロセスオートメーション)は、プロセスオートメーションのアプリケーションにおいて、プロセス制御システムを介して測定機器を監視するために使用され得る。Profibus-PAは、31.25kbit/sのデータ伝送レートを有し得る。
【0096】
制御ユニット4は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサ2により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成される。日射サンプルは、測定速度MRで日射測定センサ2により測定された日射測定値に対応する。特に、日射サンプルの指定された数は、予め決定され得、または予め決定可能であり得る。
【0097】
特に、制御ユニット4により計算される平均値は、固定数の日射測定値にわたって、または可変数の日射測定値にわたって計算され得る。すなわち、制御ユニット4が計算する平均値は、固定の平均化時間範囲にわたって、または可変の平均化時間範囲にわたって計算され得る。
【0098】
代替として、制御ユニット4は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサ2により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数に基づいて計算するように構成される。換言すれば、平均値が計算される平均化関数は、予め設定され得る。そして、制御ユニット4は、データロガー3の記録速度RRを決定するように構成され、データロガー3の記録速度RRに基づいて、平均値を計算するために指定された平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成される。特に、制御ユニット4は、指定された平均化関数の平均化時間または積分時間、すなわち平均値が計算される時間間隔を修正するように構成され得る。日射サンプルは、測定速度MRで日射測定センサ2により測定された日射測定値に対応する。特に、指定された数の日射サンプルは、予め決定され得、または予め決定可能であり得る。
【0099】
選択可能な平均化関数または指定された平均化関数は、指定された(所定のまたは所定可能な)時間枠にわたって、日射測定センサ2により測定された日射強度の真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数のうちの1つ以上であり得る。
【0100】
より具体的には、選択された、または指定された平均化関数が真の平均化関数であるとき、平均値は次式で計算される。
【0101】
【数1】
【0102】
ここで、
AVは、平均値であり、
R1、R2、…、Rnは、日射サンプルであり、
nは、サンプルの総数であり、
Nは、代表値である。
【0103】
選択された、または指定された平均化関数が移動平均化関数であるとき、平均値は次式で計算される。
【0104】
【数2】
【0105】
ここで、
AVは、平均値であり、
Riは、日射測定値であり、
kは、前回考慮された日射サンプルの数(サンプリング幅)であり、
nは、日射サンプルの総数である。
【0106】
次の平均値AVk,nextは、同じサンプリング幅kで、n-k+2からn+1までの範囲を考慮して計算される。
【0107】
選択された、または指定された平均化関数が指数平均化関数であるとき、制御ユニットにより計算される平均値は、次式で計算される。
【0108】
【数3】
【0109】
ここで、
AVtは、任意の時間tにおける指数移動平均の値であり、
Riは、期間tiにおける日射強度であり、
αは、重み付け減少の程度を表す係数であり、0と1の間で変化する一定の平滑化係数である。
【0110】
制御ユニット4は、特に、データロガー3の記録速度RRを決定するように構成されている。さらに、データロガー3の記録速度RR、すなわち、データロガー3に設定される記録速度RRに基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から、選択可能な平均化関数を選択するように構成される。換言すれば、制御ユニット4は、データロガー3が現在記録を行っている記録速度RR、すなわち、データロガー3に設定されている記録速度RRを最初に決定するように構成され得る。
【0111】
そして、制御ユニット4は、データロガー3の記録速度RRに基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数の中から、選択可能な平均化関数を選択するように構成されている。換言すれば、指定された平均化関数により日射強度の少なくとも1つの平均値が計算され、その指定された平均化関数は、データロガー3の記録速度RRに基づいて制御ユニット4により選択される。
【0112】
特に、データロガー3の記録速度RRが日射測定センサ2の測定速度MRよりも実質的に遅いとき、制御ユニット4は、データロガー3が現在記録を行っている記録速度RR、すなわち、データロガー3に設定されている記録速度RRを最初に決定して、日射強度の少なくとも1つの平均値を計算するための複数の平均化関数から、1つ以上の選択可能な平均化関数を選択する。あるいは、データロガー3の記録速度RRが、日射測定センサ2の測定速度MRと実質的に等しい、または速いときには、データロガー3は、日射測定センサ2により測定された日射サンプルの少なくとも1つを平均化せずに直接記録するように構成される。
【0113】
例えば、データロガー3の記録速度RRが概ね0.1秒に等しく、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも遅いかまたは実質的に等しいとき、平均値は最新の測定値に対応する、すなわち、データロガー3は、日射測定センサ2により測定された日射サンプルの少なくとも1つを平均化せずに直接記録するように構成される。
【0114】
データロガー3の記録速度RRが概ね0.1秒であり、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも速いときには、真の平均関数にしたがって平均値が計算される。
【0115】
さらに、例えば、データロガー3の記録速度RRが概ね1秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも遅いかまたは実質的に等しいとき、平均値は最新の測定値に対応する。すなわち、データロガー3は、日射測定センサ2により測定された日射サンプルの少なくとも1つを、平均化関数を適用することなく直接記録するように構成される。
【0116】
データロガー3の記録速度RRが概ね1秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも実質的に速いとき、平均値は概ね1秒の時間枠(平均化時間または積分時間)にわたって真の平均関数にしたがって計算される。あるいは、迅速な応答が必要なときには、指数平均関数にしたがって平均値を計算可能である。
【0117】
さらに、例えば、データロガー3の記録速度RRが概ね10秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも遅いかまたは実質的に等しいとき、平均値は最新の測定値に対応する。すなわち、データロガー3は、日射測定センサ2により測定された日射サンプルの少なくとも1つを、平均化関数を適用することなく直接記録するように構成される。
【0118】
データロガー3の記録速度RRが概ね10秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも実質的に速いとき、平均値は、概ね10秒の時間枠(平均化時間または積分時間)にわたって真の平均関数にしたがって計算される。あるいは、迅速な応答が必要なときには、指数平均関数にしたがって平均値を計算可能である。さらに、例えば、データロガー3の記録速度RRが概ね60秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも遅いかまたは実質的に等しいとき、平均値は最新の測定値に対応する。すなわち、データロガー3は、日射測定センサ2により測定された日射サンプルの少なくとも1つを、平均化関数を適用することなく直接記録するように構成される。
【0119】
データロガー3の記録速度RRが概ね60秒であって、日射測定センサ2の測定速度MRがデータロガー3の記録速度RRよりも実質的に速いとき、平均値は、概ね60秒の時間枠(平均化時間または積分時間)にわたって真の平均関数にしたがって計算される。あるいは、迅速な応答が必要なときには、指数平均関数にしたがって平均値を計算可能である。
【0120】
なお、前述の説明において、「日射測定センサ2の測定速度MRが記録速度RRと概ね等しい」とは、例えば±2%のような所定の誤差の範囲内で、測定速度MRが記録速度RRと等しいことを意味する。
【0121】
制御ユニット4は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプル(の指定された時間範囲)にわたって、日射強度の標準偏差値を計算するようにさらに構成され得る。
【0122】
特に、制御ユニット4は、日射測定センサ2により測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算する。特定の値は、例えば、概ね1362W/m2±3%であり得る。あるいは、特定の値は、概ねa・1362W/m2であり得、ここで、a=0.6~1.2である。
【0123】
特に、日射測定センサ2により測定された日射強度が特定の(所定のまたは所定可能な)値を超えたときに、測定された日射強度におけるスパイクが生じた可能性がある。標準偏差値が計算される日射サンプルの指定された数は、決定可能または予め決定可能であり得る。日射強度の特定の(所定のまたは予め決定可能な)値は、決定可能または予め決定可能であり得る。
【0124】
特に、制御ユニット4は、日射センサにより測定された日射強度が、特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、一般的な信号を発するまたは提供するようにさらに構成され得る。したがって、信号は、日射強度の測定におけるスパイクが記録されたことをユーザに通知し得る。例えば、制御ユニット4は、リモートコントロールユニット、例えば、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンと動作可能に接続され得る。それにより、日射スパイクの発生を示す汎用信号をユーザが受信し得る。
【0125】
特に、日射測定センサにより測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、制御ユニット4は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)期間にわたって特定の値を超えている日射サンプルの数を決定するようにさらに構成され得る。
【0126】
日射測定用システム1は、全天日射計100と一体化され得る。
【0127】
本開示の別の態様は、全天日射計100に関し、その実施形態が図2に示される。
【0128】
全天日射計100は、ドーム101を備える。ドーム101は、透光性ドームであり得る。ドーム101は、日射がドーム101を通過可能なように構成され得る。
【0129】
特に、ドーム101は、180°の視野を維持しながら、スペクトル応答を190~4000ナノメートル(nm)、好ましくは300~2800ナノメートルの範囲内に制限するように構成されたドームであり得る。透光性ドーム101の透明性は、特に、該当するスペクトル範囲内の入射光の少なくとも概ね60%、より具体的には少なくとも概ね70%がドームを通過可能なものであり得る。言い換えれば、ドーム101は、全天日射計100の外部の環境から、日射が、ドームの外面、透光性ドームを形成する材料、およびドームの内面をとおって、日射測定センサ2が位置する全天日射計100の内部空洞へ伝搬可能であるように構成される。
【0130】
したがって、ドーム101は、日射の透過を可能にする任意の適切な透明材料で作製され得る。特に、ドーム101は、全天日射計100の測定面を保護するような物理的/化学的特性を有すると同時に、光(の大部分)に対して透明である材料から作製され得る。ここで、透明であることは、全天日射計100が検出することを意図する日射のスペクトルに対して少なくとも部分的に透明であることを示す。
【0131】
例えば、ドーム101はガラスで作製され得る。あるいは、ドーム101は、アクリル、アクリルガラス、またはプレキシガラスとしても知られるポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透明な熱可塑性ポリマー材料から作製され得る。特に、ドーム101はドーム形状であり得る。
【0132】
特に、ドーム101は、実質的に半球形の中空形状を有し得る。前述したように、ドーム101は、外面と内面とを備え、内面は外面の反対側にある。言い換えると、ドーム101が全天日射計100に取り付けられたとき、外面は全天日射計100の外部環境に面して露出する。対照的に、内面は、空洞内に面して露出している。外面および内面は、実質的に半球形の中空形状を有することが好ましい。
【0133】
図2には、全天日射計筐体102を備える全天日射計100が示されている。全天日射計筐体102は、例えば、全天日射計100の構成部品である日射測定センサ2および制御ユニット4を収容するように構成された容器であり得、またはそれを含み得る。データロガー3は、全天日射計100の外部にあるが、全天日射計100に、特に制御ユニット4および/または日射測定センサ2に、バスシステム5(第2バス)および/またはバスシステム6(第1バス)を介して、それぞれ動作可能に接続されているか、または接続可能である。
【0134】
全天日射計筐体102は、例えば地面S上に全天日射計筐体102を支持する1つ以上の水平調整脚103を備え得る。全天日射計筐体102は、内部チャンバを備える。チャンバは、特に、少なくとも全天日射計100の構成要素である日射測定センサ2、透光性拡散体104、および制御ユニット4を含むように構成される。
【0135】
特に、日射測定センサ2および制御ユニット4は、全天日射計筐体102のチャンバ内に、例えばチャンバの底面上に、取り外し可能にまたは恒久的に配置され得る。チャンバはまた、底面の反対側に位置する開口部を備える。その開口部は、チャンバの底面と同様に実質的に円形を有し得る。透光性の拡散体104は、日射測定センサ2の受光面20上に日射を拡散させるように、チャンバの開口部に配置され得る。
【0136】
全天日射計100は、日射測定センサ2と制御ユニット4とを備える。
【0137】
システム1について前述したように、全天日射計100の日射測定センサ2は、測定速度MRで日射強度を測定するように構成される。全天日射計100の日射測定センサ2は、日射測定用システム1について前述したように、日射測定センサ2と同じ特徴および配置で構成される、および/または備える。
【0138】
全天日射計100の制御ユニット4は、バスシステム5(第2バス)を介して日射測定センサ2に、および/またはバスシステム6(第1バス)を介してデータロガー3に、動作可能に接続可能である。
【0139】
特に、データロガー3は、日射測定データを経時的に記録するように構成された電子デバイスである。全天日射計100のデータロガー3は、特に、日射測定用システム1について前述したものと同じデータロガー3の特定の特徴、態様、および配置を有するように構成される、および/または備える。
【0140】
全天日射計100の制御ユニット4は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサ2により測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を選択可能な平均化関数に基づいて計算するように構成される。
【0141】
全天日射計100の制御ユニット4は、データロガー3の記録速度RRを決定し、データロガー3の記録速度RRに基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数の中から、選択可能な平均化関数を選択する。
【0142】
あるいは、制御ユニット4は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって、日射測定センサにより測定された日射強度の少なくとも1つの平均値を指定された平均化関数に基づいて計算するように構成され得る。また、制御ユニットは、データロガーの記録速度を決定するように構成され、データロガー3の記録速度RRに基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するようにさらに構成される。
【0143】
全天日射計100の制御ユニット4、特に制御ユニット4により選択可能な平均化関数または指定された平均化関数は、日射測定用システム1について前述したものと同じ制御ユニット4の特定の特徴、態様、および配置を有するように構成されてそれらを備える。
【0144】
図3を参照して、全天日射計のネットワーク10を以下に説明する。特に、全天日射計のネットワーク10は、図2を参照して前述したような1つ以上の全天日射計100を備える。1つ以上の全天日射計100の各々は、対応するデータロガー3に動作可能に接続される。データロガー3は、リモートコントロールユニット7と(特に無線で)通信するように構成される。したがって、全天日射計100から出力される日射測定値は、データロガー3により記録される、またはログを取得される、あるいは記録可能である。データロガー3は、選択された平均化関数に基づいて平均化された日射測定値の平均値であるデータをリモートコントロールユニット7に(特に無線で)転送するように構成され得る。データロガー3とリモートコントロールユニット7との間のデータの転送は、リアルタイムであり得、および/または指定された(所定のまたは予め決定可能な)転送速度であり得る。
【0145】
図5には、リモートコントロールユニット7が示されており、それは、例えばパーソナルコンピュータのような通常のコンピューティング環境920の形態の汎用コンピュータであり得る、またはそれを備え得る。通常のコンピューティング環境は、処理ユニット922、システムメモリ924、およびシステムバス926を含む。システムバスは、システムメモリ924を含むさまざまなシステムコンポーネントを処理ユニット922に結合する。処理ユニット922は、システムメモリ924にアクセスすることにより、算術演算、論理演算、および/または制御演算を実行し得る。システムメモリ924は、処理ユニット922と組み合わせて使用するための情報および/または命令を格納し得る。システムメモリ924は、ランダムアクセスメモリ(RAM)928およびリードオンリーメモリ(ROM)930などの揮発性および不揮発性のメモリを含み得る。起動中などにパーソナルコンピュータ920内の要素間の情報転送を補助する基本ルーチンを含んであるBasic Input/Output System(BIOS)は、ROM930に格納可能である。システムバス926は、さまざまなバスアーキテクチャのいずれかを使用するメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスを含む、いくつかの形態のバス構造のいずれかであり得る。
【0146】
また、リモートコントロールユニット7、例えばパーソナルコンピュータ920は、ハードディスク(図示せず)に対して読み書きするためのハードディスクドライブ932と、リムーバブルディスク936に対して読み書きするための外部ディスクドライブ934とを備えている。リムーバブルディスクは、磁気デイスクドライバ用の磁気ディスク、または光ディスクドライブ用のCDROMのような光ディスクである。ハードディスクドライブ932および外部ディスクドライブ934は、それぞれハードディスクドライブインターフェイス938および外部ディスクドライブインターフェイス940によりシステムバス926に接続される。それらのドライブおよびそれらの関連するコンピュータ可読媒体は、パーソナルコンピュータ920のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性メモリを提供する。データ構造は、コンピュータ可読命令の実装のための関連データを含み得る。関連データは、例えばリレーショナルデータベース管理システムまたはオブジェクト指向データベース管理システムなどのデータベース内に編成され得る。
【0147】
本明細書に記載された環境は、ハードディスク(図示せず)および外部ディスク936を使用するが、当業者であれば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリなどの、コンピュータがアクセス可能なデータを格納し得る他の形態のコンピュータ可読媒体も、例示した動作環境で使用可能であることを理解されたい。
【0148】
オペレーティングシステム(図示せず)、1つ以上のアプリケーションプログラム944、他のプログラムモジュール(図示せず)、およびプログラムデータ946を含むいくつかのプログラムモジュールを、ハードディスク、外部ディスク936、ROM930、またはRAM928に格納し得る。
【0149】
後述するように、ユーザはコマンドや情報を、キーボード948やマウス950などの入力装置を介して、パーソナルコンピュータ920などのリモートコントロールユニット7に入力し得る。他の入力装置(図示せず)として、マイクロフォンまたは他のセンサ、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナなどを含み得る。これらの入力装置および他の入力装置は、システムバス926に結合されたシリアルポートインターフェイス952を介して処理ユニット922に接続され得、またはパラレルポートインターフェイス954、ゲームポート、もしくはユニバーサルシリアルバス(登録商標)などの他のインターフェイスにより接続され得る。さらに、情報はプリンタ956を使用して印刷され得る。プリンタ956および他のパラレル入出力装置は、パラレルポートインターフェイス954を介して処理ユニット922に接続され得る。モニタ958または他の形態のディスプレイ装置も、ビデオ入出力部960などのインターフェイスを介してシステムバス926に接続される。モニタに加えて、コンピューティング環境920は、スピーカまたは他の可聴出力などの他の周辺出力装置(図示せず)を含み得る。
【0150】
特にコンピューティング環境920の形態のリモートコントロールユニット7は、1つ以上の全天日射計100、および/または1つ以上のさらなるリモートコンピュータ962と無線通信するように構成される。通信するために、リモートコントロールユニット7は、1つ以上の電子デバイスに接続することで、ネットワーク環境において動作し得る。1つ以上のさらなるリモートコンピュータは、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、または他の共通ネットワークノードなどの別のコンピューティング環境であり得る。リモートコントロールユニット7、1つ以上の全天日射計100、および/または1つ以上のさらなるコンピュータ962の間の論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)964およびワイドエリアネットワーク(WAN)966を含む。このようなネットワーク環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットでは一般的であり、特に暗号化され得る。
【0151】
リモートコントロールユニット7は、ネットワーク964に接続されたネットワーク入出力部968を有する。WANネットワーキング環境で使用されるとき、リモートコントロールユニット7は、WAN966を介して通信を確立するモデム970または他の手段を含み得る。モデム970は、リモートコントロールユニット7の内部または外部のいずれにもあり得、シリアルポートインターフェイス952を介してシステムバス926に接続される。ネットワーク環境では、コンピューティング環境920について示されたプログラムモジュールまたはその一部は、リモートコンピュータ962に常駐する、またはリモートコンピュータ962からアクセス可能なリモートメモリ装置に格納し得る。
【0152】
日射測定センサ2により取得されて全天日射計100の制御ユニット4により精緻化された高精度データ、すなわち、平均化された日射測定値は、1つ以上の全天日射計100によりリモートコントロールユニット7に無線で転送されることが有利である。ユーザは、リモートコントロールユニット7により各全天日射計100から提供される日射測定値を監視して、および/またはさらに精緻化し得る。さらに、日射におけるスパイクの発生が、リアルタイムで正確に検出され得る。
【0153】
図4を参照して、日射強度の測定方法の一例を以下に説明する。
【0154】
日射測定方法は、1つ以上の日射測定センサ2により測定速度MRで日射強度を測定するステップを含む。換言すれば、本方法では、日射強度の測定は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)測定速度MRで実行される。
【0155】
システム1および全天日射計100について前述したように、測定速度MRとは、指定された(所定のまたは予め決定可能な)期間において、日射測定センサ2により日射強度が測定される回数である。換言すれば、本発明の方法では、日射強度は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)周波数で測定される。特に、日射強度が測定される速度は、単位時間当たりの測定数、例えば、1秒当たりの測定数である。特に、日射測定センサ2は、概ね2Hzを超える測定速度MRを有し得る。換言すれば、日射強度の単一の測定は、概ね0.5秒(毎秒2回測定)未満、特に概ね0.2秒(毎秒5回測定)未満の指定された(所定のまたは予め決定可能な)期間毎に実行される。ここで、測定速度MRは一定であり得る。
【0156】
特に、測定速度MRは、概ね50Hzより多くし得る。換言すれば、日射強度の測定は、概ね0.02秒(毎秒50回測定)未満の期間で提供され得る。
【0157】
図4には、日射測定方法は、データロガー3により、記録速度(RR)で日射強度について計算された平均値を少なくとも部分的に記録するステップをさらに含むことが示されている。特に、まず日射強度の平均値が、前述の選択可能な平均化関数のうちの1つ以上を適用することにより、以前に測定された日射測定値(日射サンプル)にわたって計算される。特に、1つ以上の平均化関数は、日射強度の平均値が記録される記録速度RRに基づいて選択される。より具体的には、システム1および全天日射計100について前述したように、日射強度の測定値は、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の少なくとも1つの平均値を計算するために使用される。そして、計算された日射強度の少なくとも1つの平均値が、指定された(所定のまたは所定可能な)記録速度RRで記録される。記録速度RRは、日射強度の平均値が記録された回数に対応する。換言すれば、日射強度の平均値は、指定された(所定のまたは予め決定可能な)速度で記録される。日射強度の平均値が記録される速度は、単位時間当たりの記録回数、例えば、1秒当たりの記録回数または1分当たりの記録回数である。特に、記録速度RRは、概ね1Hz(1秒毎に1回記録)未満であり、より具体的には概ね0.1Hz(10秒毎に1回記録)未満であり得る。
【0158】
記録速度RRは、指定され得る。すなわち、予め決定され得、予め決定可能であり得る。特に、記録速度RRは調整可能であり得る。換言すれば、記録速度RRは、ユーザにより、最小の固定記録速度と最大の固定記録速度との間で増加および/または減少されて設定され得る。特に、記録速度RRは、指定された(所定のまたは予め決定可能な)速度に固定され得る。
【0159】
特に、記録速度RRは、測定速度MRよりも少なくし得る。換言すれば、ある期間にわたって記録される日射強度の平均値の数は、同じ期間にわたって、日射強度を測定した数よりも少なくし得る。
【0160】
さらに図4には、日射測定方法は、選択可能なまたは選択された平均化関数に基づいて指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の平均値を計算するステップをさらに含み、選択可能なまたは選択された平均化関数は(特に事前に)、日射強度の平均値を計算するための複数の平均化関数から記録速度RRに基づいて選択されることが示されている。
【0161】
特に、日射強度の少なくとも1つの平均値が、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射測定サンプルにわたって選択可能な平均化関数に基づいて計算される。日射サンプルは、測定速度MRで測定された日射測定値に対応する。特に、日射サンプルの数は、予め決定され得、または予め決定可能であり得る。
【0162】
あるいは、平均値を計算するステップでは、指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数に基づいて、日射強度の平均値が指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたって計算される。さらに、本方法は、ある記録速度で日射強度について計算された平均値を少なくとも部分的に記録するステップと、記録速度を決定するステップと、を含む。さらに、本方法は、記録速度に基づいて、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の1つ以上のパラメータを修正するステップを含む。特に、平均値を計算するために指定された(所定の、または予め決定可能な)平均化関数の(修正された)1つ以上のパラメータは、平均化時間または積分時間であり得る。平均値は、固定数の日射測定値にわたって、または可変数の日射測定値にわたって計算され得る。すなわち、平均値は、固定の平均化時間範囲にわたって、または可変の平均化時間範囲にわたって計算され得る。
【0163】
システム1および全天日射計100について前述したように、選択可能な、または指定された平均化関数は、指定された(所定の、または予め決定可能な)時間枠にわたる日射測定値の真の平均化関数、移動平均化関数、および/または指数平均化関数のうちの1つ以上であり得る。
【0164】
より具体的には、選択された、または指定された平均化関数が真の平均化関数であるとき、平均値は次式で計算される。
【0165】
【数4】
【0166】
ここで、
AVは、平均値であり、
R1、R2、…、Rnは、日射サンプルであり、
nは、サンプルの総数であり、
Nは、代表値である。
【0167】
選択された、または指定された平均化関数が移動平均化関数であるときには、平均値は次式で計算される。
【0168】
【数5】
【0169】
ここで、
AVは、平均値であり、
Riは、日射測定値であり、
kは、前回考慮された日射サンプルの数(サンプリング幅)であり、
nは、日射サンプルの総数である。
【0170】
次の平均値AVk,nextは、同じサンプリング幅kで、n-k+2からn+1までの範囲を考慮して計算される。
【0171】
選択された、または指定された平均化関数が指数平均化関数であるとき、平均値は、制御ユニット4により次式で計算される。
【0172】
【数6】
【0173】
ここで、
AVtは、任意の時間tにおける指数移動平均の値であり、
Riは、期間tiにおける日射強度であり、
αは、重み付け減少の程度を表す係数であり、0と1の間で変化する一定の平滑化係数である。
【0174】
本方法では、日射強度平均値を計算する前に、記録速度RRを決定する。記録速度RRが決定されると、記録速度RR、すなわち、日射強度平均値を記録する際の記録速度RRに基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数から1つ以上の選択可能な平均化関数が選択される。換言すれば、記録速度RR、すなわち、平均値を記録する際の記録速度RRが最初に決定される。
【0175】
続いて、記録速度RRに基づいて、平均値を計算するための複数の平均化関数の中から、選択可能な平均化関数が1つ以上選択される。換言すれば、日射強度の少なくとも1つの平均値を計算するために指定された平均化関数は、記録速度RR、すなわちデータロガー3の記録速度に基づいて選択される。
【0176】
特に、記録速度RRが測定速度MRよりも実質的に遅いとき、最初に所定の記録速度RRが決定されて、日射強度の少なくとも1つの平均値を計算するための複数の平均化関数から、1つ以上の選択可能な平均化関数が選択される。
【0177】
日射測定方法は、測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたとき、指定された(所定の、または予め決定可能な)数の日射サンプルにわたる日射強度の標準偏差値を計算するステップをさらに含み得る。特定の値は、例えば、概ね1367W/m2±3%であり得る。特に、測定された日射強度がこの特定の値を超えたときには、測定された日射強度におけるスパイクが生じている可能性がある。標準偏差値が計算される日射サンプルの数は、決定可能であり得、または予め決定可能であり得る。日射強度の指定値は、決定可能であり得、または予め決定可能であり得る。
【0178】
特に、測定された日射強度が特定の(所定のまたは予め決定可能な)値を超えたときに、汎用信号が発せられ得る。したがって、信号は、日射強度の測定におけるスパイクが記録されたことをユーザに通知され得る。例えば、信号は、リモートコントロールユニット7、例えば、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンに送信され得、それにより、日射スパイクの発生を示す汎用信号が、ユーザにより受信され、検出され、および/またはさらに精緻化され得る。
【0179】
さらに具体的には、測定された日射強度が指定値を超えたときに、指定された(所定のまたは予め決定可能な)時間にわたって指定値を超えている日射サンプルの数が決定され得る。
【0180】
別の態様では、コンピュータプログラム製品(特に、コンピュータ記憶装置に有形に具現化される)が提供される。コンピュータプログラム製品は、適切なシステムにロードされて実行されたときに、前述のように、日射測定方法のステップを実行するコンピュータ可読命令を含む。
【0181】
別の態様では、前述の日射測定用システム1は、代替として、以下のように構成され得る。
【0182】
特に、制御ユニット4は、データロガー3の記録速度RR、日射測定センサ2の測定速度MR、および日射測定センサの応答時間TCを決定するように構成され得る。特に、日射測定センサの応答時間TCは、一次線形時不変(LTI)システム(日射測定センサ)のステップ入力に対する応答を特徴付けるパラメータである。つまり、応答時間TCは、一次LTIシステム(日射測定センサ)の主な特性単位である。換言すれば、日射測定センサ2の応答時間TCは、日射センサ2から期待される精度許容範囲内で測定値が得られるまで、日射測定センサ2が測定プロセスの急激な変化に応答するための時間である。
【0183】
日射測定センサ2の応答時間TCが日射測定センサ2の測定速度MRよりも実質的に遅いとき、および/または日射測定センサ2の応答時間TCがデータロガー3の記録速度RRよりも実質的に遅いとき、制御ユニット4は、測定速度MRで日射測定センサ2から提供される少なくとも1つの日射強度を修正するようにさらに構成される。データロガー3は、制御ユニット4により修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成される。
【0184】
日射時定数TCが日射測定センサ2の測定レートMRおよびデータロガー3の記録レートRRよりも実質的に大きいときは、制御ユニット4は「高速応答」を適用するように構成されることが有利である。すなわち、制御ユニット4は、日射測定センサ2から出力されてデータロガー3に記録される日射量値を修正するように構成されている。過去の時間枠において測定された日射強度を正確に表す等価日射強度が、データロガー3により記録可能であることが有利である。すなわち、データロガー3により記録される(修正された)日射強度は、過去の時間枠において測定された日射強度を正確に表す日射相当値が提供されて記録されるように、瞬間の日射量に厳密にしたがう。それにより、日射システムから取得されるデータの精度が向上する。
【0185】
本発明の前述の態様に関連して説明した日射センサ2、データロガー3、および制御ユニット4に関連する態様は、本発明のこの態様、すなわち、高速応答フィルタを備える制御ユニット4に準用される。
【0186】
特に、修正日射強度(YN)は、次式で計算される。
【0187】
【数7】
【0188】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【0189】
デルタ値(Xn-1-Xn-2)のノイズを低減するために、修正日射強度を計算するときに単純な移動平均フィルタを適用可能であることが有利である。
【0190】
なお、全天日射計100は、以下のように構成され得る。全天日射計100は、ある測定速度MRで日射強度を測定するように構成された日射測定センサ2と、日射測定センサ2およびデータロガー3に動作可能に接続可能な制御ユニット4と、を備え得る。制御ユニット4は、データロガー3の記録速度RR、日射測定センサ2の測定速度MR、および日射測定センサ2の応答時間TCを決定するように構成され得る。日射測定センサ2の応答時間TCが日射測定センサ2の測定速度MRよりも実質的に遅いとき、および/または、日射測定センサ2の応答時間TCがデータロガー3の記録速度RRよりも実質的に遅いとき、制御ユニット4は、日射測定センサ2から提供される少なくとも1つの日射強度を測定速度MRで修正するようにさらに構成され、データロガー3は、制御ユニット4により修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成される。
【0191】
特に、修正日射強度(YN)は、次式で計算される。
【0192】
【数8】
【0193】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【0194】
別の態様で提供される日射測定方法は、
日射測定センサ2を用いて測定速度MRで日射強度を測定するステップであって、日射測定センサ2は、日射測定センサの応答時間TCを有する、ステップと、
少なくとも1つの日射強度を記録速度RRで少なくとも部分的に記録するステップと、
日射測定センサの応答時間TC、記録速度RR、および測定速度MRを決定するステップと、
日射測定センサ2の応答時間TCが測定速度MRよりも実質的に遅いとき、および/または日射測定センサ2の応答時間TCが記録速度RRよりも実質的に遅いとき、少なくとも1つの日射強度をさらに修正するステップと、
修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するステップと、を備える。
【0195】
特に、少なくとも1つの日射強度を修正するステップは、修正日射強度(YN)を、次式で計算するステップを備える。
【0196】
【数9】
【0197】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【0198】
前述の主題の実施態様の観点で、本出願は、以下の項目のリストを開示する。ここで、実施例の1つの特徴が単独で、または開示の項目の2つ以上の特徴が組み合わされて、任意選択で1つ以上のさらなる開示の項目の1つ以上の特徴と組み合わされている、さらなる項目も本出願の開示の範囲内に該当する。
【0199】
項目1. 日射測定用システムは、
ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、
データロガーと、
日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続された制御ユニットと、を備え、
制御ユニットは、データロガーの記録速度、日射測定センサの測定速度、および日射測定センサの応答時間を決定するように構成されており、
日射測定センサの応答時間が日射測定センサの測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または、日射測定センサの応答時間がデータロガーの記録速度よりも実質的に遅いとき、制御ユニットは、測定速度で日射測定センサから提供される少なくとも1つの日射強度を修正するようにさらに構成されており、
データロガーは、制御ユニットにより修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成されている。
【0200】
項目2. 項目1に記載のシステムであって、修正日射強度(YN)を次式で計算するシステム。
【0201】
【数10】
【0202】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【0203】
項目3. 全天日射計は、
ある測定速度で日射強度を測定するように構成された日射測定センサと、
日射測定センサおよびデータロガーに動作可能に接続可能な制御ユニットであって、データロガーの記録速度、日射測定センサの測定速度、および日射測定センサの応答時間を決定するように構成された制御ユニットと、を備え、
日射測定センサの応答時間が日射測定センサの測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または日射測定センサの応答時間がデータロガーの記録速度よりも実質的に遅いとき、制御ユニットは、測定速度で日射測定センサから提供される少なくとも1つの日射強度を修正するようにさらに構成されており、データロガーは、制御ユニットにより修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するように構成されている。
【0204】
項目4. 項目3に記載の全天日射計において、修正日射強度(YN)を次式で計算する全天日射計。
【0205】
【数11】
【0206】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」であり、
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【0207】
項目5. 日射測定方法は、
日射測定センサの応答時間を有する日射測定センサを用いて、ある測定速度で日射強度を測定するステップと、
少なくとも1つの日射強度を記録速度で少なくとも部分的に記録するステップと、
日射測定センサの応答時間、記録速度、および測定速度を決定するステップと、
日射測定センサの応答時間が測定速度よりも実質的に遅いとき、および/または日射測定センサの応答時間が記録速度よりも実質的に遅いとき、少なくとも1つの日射強度をさらに修正するステップと、
修正された少なくとも1つの日射強度を少なくとも部分的に記録するステップと、を備える。
【0208】
項目6. 項目5に記載の方法であって、少なくとも1つの日射強度を修正するステップは、修正日射強度(YN)を、次式で計算するステップを備える。
【0209】
【数12】
【0210】
ここで、
Ynは、t=tnにおけるフィルタの修正日射強度「Dfcounts」である。
Xnは、t=tnにおける直前の日射強度であり、
Xn-1は、t=tn-1におけるその1つ前の日射強度であり、
Kdは、高速応答フィルタ定数または加速係数である。
【符号の説明】
【0211】
1 日射測定用システム
2 日射測定センサ
3 データロガー
4 制御ユニット
5 バスまたはバスシステム
6 バスまたはバスシステム
7 リモートコントロールユニット
10 全天日射計のネットワーク
100 全天日射計
101 ドーム
102 全天日射計筐体
103 水平調整脚
104 光拡散体
920 通常のコンピューティング環境
922 処理ユニット
924 システムメモリ
926 システムバス
928 ランダムアクセスメモリ(RAM)
930 リードオンリーメモリ(ROM)
932 ハードディスクドライブ
934 外部ディスクドライブ
936 リムーバブルディスク
938 ハードディスクドライブインターフェイス
940 外部ディスクドライブインターフェイス
944 アプリケーションプログラム
946 プログラムデータ
948 キーボード(入力装置)
950 マウス(入力装置)
952 シリアルポートインターフェイス
954 パラレルポートインターフェイス
956 プリンタ
958 モニタ
960 ビデオ入出力
962 リモートコンピュータ
964 ローカルエリアネットワーク(LAN)
966 ワイドエリアネットワーク(WAN)
968 ネットワーク入出力部
970 モデム
S 地面
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】