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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】手袋構造
(51)【国際特許分類】
   A41D 19/00 20060101AFI20240905BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A41D19/00 K
A41D19/00 Z
A41D19/015 210A
A41D19/015 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518515
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 CN2022117483
(87)【国際公開番号】W WO2023045757
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111118812.2
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524109061
【氏名又は名称】ジョン エンジン スポーツ プロダクツ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】リー、チェンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、ウェンラン
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AA09
3B033AA28
3B033AB02
3B033AB05
3B033AB06
3B033AB20
3B033BA04
(57)【要約】
本発明は、手袋構造の手袋芯に少なくとも1つの手袋部材を被覆して皮膚の真皮層と表皮層をそれぞれ模擬することを開示する。本発明は、手袋部材に手袋部材の上面から下向きに窪み且つ延在方向に沿って長尺状を呈する圧接領域を表皮層の手紋における皮膚小溝として形成し、圧接領域は、合着領域、底部、複数の突起部材及び複数の没入段を含み、上面における圧接領域が形成されない部分は、少なくとも1つの圧接されない領域である。そのうち、突出部材と圧接されない領域との間の底部を皮膚小溝とし、底部には複数の突出部材が手紋における皮膚小稜として設置され、隣り合う突起部材の間の没入段は、手紋における没入領域とする。圧接領域は、手袋部材にしわを形成しやすく、そのため物品を掴み握る時に手袋構造がカールしやすくて物品に対する把持力が増し、把持力の増加と共に摩擦力の増加を招く。
【選択図】3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの手袋芯(11)及び少なくとも1つの手袋部材(21)を含み、当該手袋芯(11)は、内面(111)及び当該内面(111)に対応する外面(112)を有し、当該手袋部材(21)は、下面(211)及び当該下面(211)に対応する上面(212)を有し、当該下面(211)は、当該手袋芯(11)に被覆される当該外面(112)である手袋構造において、当該手袋部材(21)は、当該上面(212)から下向きに窪み且つ延在方向(X)に沿って長尺状を呈する圧接領域(2120)を形成し、当該圧接領域(2120)は、合着領域(2121)、底部(2122)、複数の突起部材(2123)及び複数の没入段(2124)を含み、当該上面(212)における当該圧接領域(2120)が形成されない部分は、少なくとも1つの圧接されない領域(2125)であり、当該合着領域(2121)は、当該圧接領域(2120)の下部に形成され、又は当該圧接領域(2120)の下方に粘着層で当該合着領域(2121)を形成し、当該底部(2122)は、当該合着領域(2121)の上方にあり、且つ当該底部(2122)から上へ複数の当該突起部材(2123)が突起し、当該突起部材(2123)は、順に当該延在方向(X)に沿って間隔をおいて設置されて少なくとも1行に配列され、2つの隣り合う当該突起部材(2123)の間ごとに、当該没入段(2124)があることを特徴とする、
手袋構造。
【請求項2】
当該合着領域(2121)は、当該外面(112)に接着されることを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項3】
当該圧接されない領域(2125)、当該底部(2122)、複数の当該突起部材(2123)及び複数の当該没入段(2124)は、一体成形されることを特徴とする請求項2に記載の手袋構造。
【請求項4】
当該圧接されない領域(2125)、当該底部(2122)、複数の当該突起部材(2123)、複数の当該没入段(2124)及び当該合着領域(2121)は、一体成形されることを特徴とする請求項3に記載の手袋構造。
【請求項5】
当該突起部材(2123)と当該上面(212)との高さ距離は、段差(G)であり、当該段差(G)は、ゼロよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の手袋構造。
【請求項6】
当該没入段(2124)と当該上面(212)との高さ距離は、没入深さ(H)であり、当該底部(2122)と当該上面(212)との高さ距離は、底部深さ(h)であり、当該没入深さ(H)は、当該底部深さ(h)以上であることを特徴とする請求項5に記載の手袋構造。
【請求項7】
当該突起部材(2123)と当該圧接されない領域(2125)との幅距離は、半溝幅(W)であり、当該半溝幅(W)は、ゼロよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の手袋構造。
【請求項8】
当該突起部材(2123)は、それぞれ左側及び右側の当該圧接されない領域(2125)と同じ大きさの当該半溝幅(W)を形成し、又は異なる大きさの当該半溝幅(W)を形成することを特徴とする請求項7に記載の手袋構造。
【請求項9】
当該手袋部材(21)の当該圧接領域(2120)の複数の当該突起部材(2123)は、順に当該延在方向(X)に沿って間隔をおいて平行に配列された複数行であることを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項10】
当該手袋構造(10)は、独立して間隔をおいて設置された2つの当該手袋部材(21)を含み、各当該手袋部材(21)の当該圧接領域(2120)は、当該手袋部材(21)の当該上面(212)の縁から10mm以下の範囲内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項11】
各当該手袋部材(21)の当該圧接領域(2120)の複数の当該突起部材(2123)は、順に当該延在方向(X)に沿って間隔をおいて平行に配列された複数行であることを特徴とする請求項10に記載の手袋構造。
【請求項12】
当該手袋芯(11)と当該手袋部材(21)との間に改質の手袋部材(30)が設置されることを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【請求項13】
当該合着領域(2121)は、当該改質の手袋部材(30)に合着され、当該改質の手袋部材(30)は、当該手袋芯(11)の当該外面(112)に被覆されることを特徴とする請求項12に記載の手袋構造。
【請求項14】
当該突起部材(2123)の形状は、長尺体であり、当該長尺体の長手方向は、当該延在方向(X)と同じであることを特徴とする請求項1に記載の手袋構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋構造の機能構成に関するものであり、主に把持力と摩擦力を増すことができる手袋構造を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
人間は、古くから手に手袋構造を付けることにより、手の損傷を回避することが分かっている。人間の手は、常に掴み握る必要があり、掴み握る時に筋肉の動きにより皮膚にしわができ手紋を形成する。米国特許公開番号US2018/0193718A1(以下 文献1と略称する)には、手袋構造の掌面(palm)に溝(groove)を形成して手の手紋(bending line)を模擬し、手袋構造が掴み握る際の利便性を向上させることを開示する。
【0003】
しかしながら、手の手紋は、実際には溝のみで構成されているわけではない。図1を参照し、手の手紋Aは、実際に突起した皮膚小稜(ridge skin)A1及び皮膚小稜A1の両側に窪みを呈する皮膚小溝A2の配列で構成される。皮膚の真皮層Bと表皮層Cとの境界では、真皮層Bの最上方には、真皮乳頭B1と呼ばれる細かい乳頭状の突起が多数存在し、真皮乳頭B1が表皮層Cに向かって突出して一連の乳頭線を繋がって皮膚小稜A1と呼ばれる。
図2A及び図2Bを併せて参照する。皮膚小稜A1及び皮膚小溝A2で構成される手紋Aは、鎖状セグメントA3を呈する。前述した鎖状セグメントA3は、複数の突起領域A11が手紋Aの延在方向に沿って順に配列して皮膚小稜A1の少なくとも1つのセグメントを形成するが、隣り合う突起領域A11の間には没入領域A12である。手の厚み方向において、前述した突起領域A11の高さは、皮膚小稜A1の高さであり、前述した没入領域A12の高さは、皮膚小溝A2と同等であるかひいては皮膚小溝A2よりも低い。皮膚小稜A1及び突起領域A11は、掴み握られる物品と摩擦力を形成し、皮膚小溝A2及び没入領域A12は、皮膚がよりしわになりやすく物品を掴み握る時の筋肉のカールに有利であり、筋肉がよりカールすると把持力を増し、把持力の増加により摩擦力の増加を共に引き起こす。言い換えれば、皮膚小稜A1、皮膚小溝A2及び鎖状セグメントA3は、手の把持力と物品を把持する際の摩擦力を増加させる。
【0004】
文献1の手袋構造は、溝しかなく、皮膚小稜A1、皮膚小溝A2及び鎖状セグメントA3がないため、手袋構造に把持力と物品を把持する際の摩擦力を効果的に同時に増加させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、把持力と物品を把持する際の摩擦力を同時に増加させる手袋構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用する技術的手段は、以下のとおりである。
【0007】
本発明の手袋構造は、少なくとも1つの手袋芯及び少なくとも1つの手袋部材を含み、そのうち当該手袋芯は、内面及び当該内面に対応する外面を有し、且つ当該手袋部材は、下面及び当該下面に対応する上面を有し、当該下面は、当該手袋芯に被覆される当該外面であり、その特徴は、以下のとおりである。当該手袋部材は、当該上面から下向きに窪み且つ延在方向に沿って長尺状を呈する圧接領域を形成し、当該圧接領域は、合着領域、底部、複数の突起部材及び複数の没入段を含み、当該上面における当該圧接領域が形成されない部分は、少なくとも1つの圧接されない領域であり、当該合着領域は、当該圧接領域の下部に形成され、又は当該圧接領域の下方に粘着層で当該合着領域を形成し、当該底部は、当該合着領域の上方にあり、且つ当該底部から上へ複数の当該突起部材が突起し、当該突起部材は、順に当該延在方向に沿って間隔をおいて設置されて少なくとも1行に配列され、2つの隣り合う当該突起部材の間ごとには、当該没入段である。
【0008】
上記構造的特徴によれば、当該合着領域は、当該外面に接着される。
【0009】
上記構造的特徴によれば、当該圧接されない領域、当該底部、複数の当該突起部材及び複数の当該没入段は、一体成形される。
【0010】
上記構造的特徴によれば、当該圧接されない領域、当該底部、複数の当該突起部材、複数の当該没入段及び当該合着領域は、一体成形される。
【0011】
上記構造的特徴によれば、当該突起部材と当該上面との高さ距離は、段差であり、当該段差は、ゼロよりも大きい。
【0012】
上記構造的特徴によれば、当該没入段と当該上面との高さ距離は、没入深さであり、当該底部と当該上面との高さ距離は、底部深さであり、当該没入深さは、当該底部深さ以上である。
【0013】
上記構造的特徴によれば、当該突起部材と当該圧接されない領域との幅距離は、半溝幅であり、当該半溝幅は、ゼロよりも大きい。
【0014】
上記構造的特徴によれば、当該突起部材は、それぞれ左側及び右側の当該圧接されない領域と同じ大きさの当該半溝幅を形成し、又は異なる大きさの当該半溝幅を形成する。
【0015】
上記構造的特徴によれば、当該手袋構造は、独立して間隔をおいて設置された2つの当該手袋部材を含み、各当該手袋部材の当該圧接領域は、当該手袋部材の当該上面の縁から10mm以下の範囲内に形成される。
【0016】
上記構造的特徴によれば、当該手袋芯と当該手袋部材との間に改質の手袋部材が設置される。
【0017】
上記構造的特徴によれば、当該合着領域は、当該改質の手袋部材に合着され、当該改質の手袋部材は、当該手袋芯の当該外面に被覆される。
【0018】
上記構造的特徴によれば、当該突起部材の形状は、長尺体であり、当該長尺体の長手方向は、当該延在方向と同じである。
【発明の効果】
【0019】
本発明が採用する有益な効果は、以下のとおりである。
【0020】
上記の構造的特徴を利用し、本発明の手袋構造は、手袋芯を皮膚の真皮層とし、手袋芯の上方に被覆される手袋部材を皮膚の表皮層とし、続いて手袋部材に窪み且つ長尺状の圧接領域を表皮層の手紋における皮膚小溝として形成し、特に、突出部材と圧接されない領域との間の底部を皮膚小溝とし、窪んだ圧接領域の底部には複数の突出部材が順に圧接領域の延在方向に沿って延在して配列して皮膚小稜として設置され、複数の突出部材は、互いに間隔をおいて設置されて鎖状セグメントを呈する皮膚小稜とし、隣り合う突起部材の間の没入段は、鎖状セグメントの隣り合う皮膚小稜の間の没入領域とする。
本発明の手袋構造は、皮膚の真皮層と表皮層を模擬するので、手袋部材の圧接されない領域、底部、複数の突起部材及び没入段が一体成形される。本発明は、手袋構造に把持力と物品を把持する際の摩擦力を共に効果的に増す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】既知の人の手のひらの手紋及びその部分構造断面図である。
図2A】既知の人の手のひらの手紋の鎖状セグメントである。
図2B】既知の人の手のひらの手紋の鎖状セグメントの部分構造断面図である。
図3A】本発明における手袋構造の第1の実施例の手袋芯と手袋部材を分離する際の構造概略図である。
図3B】本発明における手袋構造の第1の実施例の手袋芯と手袋部材を結合する際の構造概略図である。
図3C図3Bにおける線分3C-3Cの構造断面図である。
図3D図3Bにおける線分3D-3Dの構造断面図である。
図4A】本発明の手袋構造の製作方法に用いる金型の概略図である。
図4B】本発明の手袋構造の製作方法に用いるホットプレスローラの概略図である。
図5】本発明の第2の実施例の手袋構造概略図である。
図6A】本発明の第3の実施例の手袋構造概略図である。
図6B】本発明の第3の実施例の手袋構造概略図における線分6B-6Bの構造断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、主に手袋構造10を提供する。図3A図3B図3C及び図3Dに示す第1の実施例のように、当該手袋構造の手袋芯11に少なくとも1つの手袋部材21が被覆され、当該手袋部材21を利用して例えば滑り止め、防傷、防水、断熱又は絶縁などの予め設定された機能特性を生成する。
本発明の手袋構造において、当該手袋芯11は、内面111及び当該内面111に対応する外面112を有し、且つ当該手袋部材21は、下面211及び当該下面211に対応する上面212を有し、当該下面211は、当該手袋芯11に被覆される当該外面112であり、その特徴は、以下のとおりである。当該手袋部材21は、当該上面212から下向きに窪み且つ延在方向Xに沿って長尺状を呈する圧接領域2120を形成し、当該圧接領域2120は、合着領域2121、底部2122、複数の突起部材2123及び複数の没入段2124を含み、当該上面212における当該圧接領域2120が形成されない部分は、少なくとも1つの圧接されない領域2125であり、例えば図3Bに複数の当該圧接されない領域2125があり、各当該圧接領域2120は、当該上面212を2つの当該圧接されない領域2125に区画する。
図3Bにおけるこれら複数の圧接されない領域2125の特性は、いずれも同じであり、例えば表面特性は、いずれも同じである。当該合着領域2121は、当該圧接領域2120の下部に形成されて当該外面112と接着し、又は当該圧接領域2120の下方に粘着層で当該合着領域2121を形成して当該外面112と接着し、当該手袋部材21を当該手袋芯11に固定させる。当該底部2122は、当該合着領域2121の上方にあり、且つ当該底部2122から上へ複数の当該突起部材2123が突起し、当該突起部材2123は、順に当該延在方向Xに沿って間隔をおいて設置されて少なくとも1行に配列され、当該突出部材2123と当該上面212との高さ距離は、段差Gであり、当該段差Gは、ゼロよりも大きい。
当該突起部材2123と当該圧接されない領域2125との幅距離は、半溝幅Wであり、当該半溝幅Wは、ゼロよりも大きい。図3Cにおける当該突出部材2123は、当該底部2122の中央位置にあるため、それぞれ左側及び右側の当該圧接されない領域2125と同じ大きさの当該半溝幅Wを形成するが、異なる大きさの当該半溝幅Wを形成することができる。2つの隣り合う当該突出部材2123の間ごとには、当該没入段2124であり、当該没入段2124と当該上面212との高さ距離は、没入深さHであり、当該底部2122と当該上面212との高さ距離は、底部深さhであり、当該没入深さHは、当該底部深さh以上である。また、当該段差Gは、当該底部深さhよりも小さい。
【0023】
実施する場合、前記当該手袋芯11は、いずれの手袋態様を呈する対象も、本発明でいう手袋芯である。当該手袋構造10の当該手袋芯11は、綿糸、皮革、ウール、繊維、天然繊維、レーヨン、不織布、プラスチック又はゴムで製造することができ、当該手袋芯は、ニット手袋、縫製手袋又は製織手袋であってもよく、又は米国特許第7803438号に開示されるようにディップコート(dip coated)方式で形成されるディップコート手袋であってもよく、又は中国特許第103415223号に開示されるように射出成形(inject)方式で形成される射出成形手袋であってもよい。
当該手袋部材21は、当該手袋芯に被覆されるものは、いずれも本発明で言う手袋部材である。当該手袋部材21は、綿糸、皮革、ウール、繊維、天然繊維、レーヨン、不織布、プラスチック又はゴムで製造されるシート状形態のカットシート、又は米国特許第7803438号に開示されるようにディップコート(dip coated)方式で形成されるディップコートモジュール、又は中国特許第103415223号に開示されるように射出成形(inject)方式で形成される射出成形モジュールであってもよい。
当該手袋部材21の材質は、当該手袋芯11の材質と同じであってもよく、当然のことながら、当該手袋部材21の材質は、当該手袋芯11の材質と異なってもよい。当該粘着層は、ポリウレタン(Polyurethane、PUと略称する)、ポリアクリレート(acrylate)などの粘性インタフェース材質であってもよく、接着フィルムを貼り付け又は接着剤を塗布する方式で付着することができる。
当該手袋芯11は、従来のように掌部及び指部に分けることができ、当該掌部は、さらに掌面、掌側及び掌背に分けることができ、当該指部は、さらに指面、指側及び指背に分けることができる。当然のことながら、当該手袋芯11は、当該掌部のみを有し、必ずしも当該指部を有する必要がなく、あるいは、当該手袋芯11は、当該指部のみを有し、必ずしも当該掌部を有する必要がない。ここで特に説明するのは、当該掌部、当該指部、当該掌面、当該掌側、当該掌背、当該指面、当該指側及び当該指背は、一般的な知識としてよく知られているので、ここでは符号を省略する。
【0024】
本発明の当該手袋構造10は、当該手袋芯11を人体の手のひらの皮膚(以下、皮膚と略称する)の真皮層とするので、当該手袋芯11は、綿糸材質のニット手袋であることが好ましい。本発明の当該手袋構造10は、当該手袋芯11の上方に被覆される当該手袋部材21を皮膚の表皮層とするので、当該手袋部材21は、例えば極細繊維で織られたナイロンカットシートのような繊維で織られた織物や、動物皮革や人工皮革であってもよく、保護と通気の機能を兼ね備えることが好ましい。
本発明の当該手袋構造10は、当該手袋部材21に下向きに窪み且つ長尺状を呈する当該圧接領域2120を表皮層の手紋における皮膚小溝として形成し、特に当該突出部材2123と当該圧接されない領域2125との間の当該底部2122を皮膚小溝とし、窪んだ当該圧接領域2120の当該底部2122には、複数の当該突出部材2123が順に当該圧接領域2120の当該延在方向Xに沿って延在して配列して皮膚小稜として設置され、複数の当該突出部材2123は、互いに間隔をおいて設置されて鎖状セグメントを呈する皮膚小稜とし、隣り合う当該突起部材2123の間の当該没入段2124は、鎖状セグメントの隣り合う皮膚小稜の間の没入領域とする。複数の当該突出部材2123は、鎖状セグメントを模擬する皮膚小稜であるため、当該突出部材2123の形状は、長尺体であってもよく、長尺体の長さ方向は、当該延在方向Xと同じであり、当然のことながら、当該突起部材2123の形状は、半球体であってもよく、他の形状であってもよい。
本発明の当該手袋構造10の当該手袋部材21は、皮膚の表皮層を模擬するため、当該手袋部材21の当該圧接されない領域2125、当該底部2122、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124が一体成形される。また、人体の手のひらに対応する手紋は、あるセグメントにおいて直線であるので、当該延在方向Xは、直線的に延在するものであってもよく、人体の手のひらに対応する手紋は、他のセグメントにおいて曲線であるので、当該延在方向Xは、曲線的に延在するものであってもよい。
【0025】
図4Aを参照する。本発明は、手袋構造の製作方法を利用して当該手袋構造10を製作することができる。当該手袋構造の製作方法は、当該手袋部材21を予めカットして特定の輪郭外形を呈させ、続いて当該手袋部材21を当該手袋芯11の予め設定された位置、例えば掌面に位置決めして被覆させ、次に金型Mで当該手袋部材21に被覆されて加熱加圧する。当該金型Mは、複数の領域がそれぞれ第1の領域M1の陽刻パターン、第2の領域M2の陰刻パターン及び第3の領域M3の陽刻パターンであり、それぞれ当該圧接領域2120の当該底部2122、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124に対応し、当該手袋部材21には、当該圧接領域2120と、複数の当該突起部材2123と、複数の当該没入段2124とが形成される。当然のことながら、図4Aにおける当該金型Mは、実際のニーズに応じて当該圧接されない領域2125に対応する陰刻パターンの第4の領域M4を有してもよく、当該第4の領域M4の深さは、明らかに当該第2の領域M2の深さよりも大きい。
当該金型Mを加熱する方式は、超音波、高周波、電熱又は他のいずれかの当該金型Mを加熱できる方式であってもよい。当該手袋部材21は、例えばナイロン繊維からなる織布、不織布、又はホットメルト材を含む任意のカットシート、前述したディップコートモジュール又は前述した射出成形モジュールなどのホットメルト材で製造されてもよい。したがって当該金型Mが前述したホットメルト材の融点を超えて加熱して当該手袋部材21に加圧する際に、当該手袋部材21の当該金型Mに加熱加圧された領域は、熱溶融流動して当該圧接領域2120、複数の当該突出部材2123、複数の当該没入段2124及び当該合着領域2121を形成するが、当該合着領域2121は、当該圧接領域2120の下部に形成されて当該外面112と接着し、当該手袋部材21を当該手袋芯11に固定させる。従って、当該底部2122、複数の当該突起部材2123、複数の当該没入段2124及び当該合着領域2121は、一体成形され、且つ当該圧接されない領域2125とも一体成形される。図4Bを参照し、当該金型Mは、ホットプレスローラであってもよく、同様に当該第1の領域M1、当該第2の領域M2及び当該第3の領域M3を有する。
【0026】
当該手袋構造の製作方法は、当該手袋部材21を予めカットして特定の輪郭の外型を呈させ、続いて当該手袋部材21の下方に粘着層(例えばホットメルト接着剤又はステッカーである)で当該合着領域2121を形成して当該手袋芯11の予め設定された位置、例えば掌面に位置決めして被覆され、次に当該金型Mで当該手袋部材21に被覆されて加熱加圧する。当該金型Mは、複数の領域がそれぞれ第1の領域M1の陽刻パターン、第2の領域M2の陰刻パターン及び第3の領域M3の陽刻パターンであり、それぞれ当該圧接領域2120、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124に対応し、当該手袋部材21には、当該圧接領域2120の当該底部2122と、複数の当該突起部材2123と、複数の当該没入段2124とが形成される。このような方式は、特に当該手袋部材21が皮革、例えば動物皮革や人工皮革である場合に好適であり、この場合に当該金型Mの加熱温度を皮革のガラス転移温度(Glass Transition Temperature、Tg)よりも高くてもよいように設定し、皮革に軟化と変形の特性を持たせる。言い換えれば、当該合着領域2121は、当該圧接されない領域2125、当該底部2122、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124と一体成形されるものではない。
【0027】
図5の第2の実施例を参照する。第2の実施例の構造断面図は、第1の実施例の図3C及び図3Dと類似し、したがって再描画と再説明を省略する。本発明の第2の実施例の当該手袋構造10の当該圧接領域2120は、当該手袋部材21の当該上面212の縁から10mm以下の範囲内に形成される。当該圧接領域2120は、当該手袋部材21の当該上面212の縁から5mm以下の範囲内に形成されることが好ましい。好ましくは、当該手袋構造10は、複数の当該手袋部材21を有し、例えば図5Aにおいて独立して間隔をおいて設置された2つの当該手袋部材21を有し、各当該手袋部材21の当該圧接領域2120は、当該手袋部材21の当該上面212の縁から10mm以下の範囲内に形成され、この2つの当該手袋部材21の当該圧接されない領域2125は、同じ又は異なる材質又は特性、例えば同じ又は異なるショア硬度又は表面摩擦係数であってもよい。
各当該手袋部材21の当該圧接領域2120の複数の当該突起部材2123は、順に当該延在方向Xに沿って間隔をおいて平行に配列された複数行であり、例えば図5において複数の当該突起部材2123は、2行が平行に配列され、各行における複数の当該突起部材2123は、間隔をおいて設置される。
図5の下方には、2つの当該手袋部材21からなる2つの対応する当該圧接領域2120の複数の当該突出部材2123は、合計4行が平行に配列されるので、鎖状セグメントを呈する人体皮膚表皮層の手紋における皮膚小稜が合計4行あると見なすことができ、2つの当該手袋部材21で構成される2つの対応する当該圧接領域2120の間の領域も人体皮膚表皮層の手紋における皮膚小溝と見なすことができ、したがって皮膚小溝に鎖状セグメントを呈する皮膚小稜が4行ある。言い換えれば、2つの当該手袋部材21で構成される2つの対応する当該圧接領域2120における複数の当該突起部材2123は、合計で複数行が平行に配列され、各行における複数の当該突起部材2123は、間隔をおいて設置される。
【0028】
図6A及び図6Bの第3の実施例を参照する。当該手袋芯11の当該外面112と当該手袋部材21の当該合着領域2121との接着力が不足である場合に、例えば当該手袋芯11がニット手袋である場合に、ニット手袋の空隙が大きすぎることで当該手袋部材21との接着力が不足する場合、当該手袋芯11と当該手袋部材21との間に改質の手袋部材30を設置することができる。当該改質の手袋部材30は、綿糸、皮革、ウール、繊維、天然繊維、レーヨン、不織布、プラスチック又はゴムで製造されるシート状形態のカットシート、又はディップコートの方式で形成されるディップコートモジュール、又は射出成形の方式で形成される射出成形モジュールであってもよい。
第3の実施例と第1の実施例との共通点は、説明を省略するが、第3の実施例と第1の実施例との相違点は、第3の実施例の当該合着領域2121が当該改質の手袋部材30に合着され、当該改質の手袋部材30が当該手袋芯11の当該外面112に被覆されることである。好ましくは、当該改質の手袋部材30は、当該手袋芯11の当該外面112に合着され、例えば当該改質の手袋部材30は、前述したディップコート方式で形成されるディップコートモジュールであり、又は当該改質の手袋部材30は、前述した射出方式で形成される射出成形モジュールである。当然のことながら、当該圧接されない領域2125、当該底部2122、複数の当該突起部材2123、複数の当該没入段2124及び当該合着領域2121は、一体成形され、あるいは、当該合着領域2121は、ホットメルト接着剤又はステッカーで形成された粘着層である。この場合に、当該合着領域2121は、当該圧接されない領域2125、当該底部2122、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124と一体成形されるものではない。
【0029】
本発明の当該手袋構造10は、従来の使用技術と比較し、当該手袋芯11を皮膚の真皮層とし、当該手袋芯11の上方に被覆された当該手袋部材21を皮膚の表皮層とし、続いて当該手袋部材21に窪み且つ長尺状の当該圧接領域2120を皮膚の表皮層の手紋における皮膚小溝として形成する。特に当該突出部材2123と当該圧接されない領域2125との間の当該底部2122を皮膚小溝とし、窪んだ当該圧接領域2120の当該底部2122には、複数の当該突出部材2123が順に当該圧接領域2120の当該延在方向Xに沿って延在して配列して皮膚小稜として設置され、複数の当該突出部材2123は、互いに間隔をおいて設置されて鎖状セグメントを呈する皮膚小稜とし、隣り合う当該突起部材2123の間の当該没入段2124は、鎖状セグメントの隣り合う皮膚小稜の間の没入領域とする。
本発明の当該手袋構造10は、皮膚の真皮層と表皮層を模擬するので、当該手袋部材21の当該圧接されない領域2125、当該底部2122、複数の当該突起部材2123及び複数の当該没入段2124が一体成形される。複数の当該突起部材2123は、掴み握られる物品と摩擦力を形成し、当該圧接領域2120及び複数の当該没入段2124は、当該手袋部材21がしわを形成しやすくて物品を掴み握る時に当該手袋構造10のカールに有利である。そのうち当該圧接領域2120は、当該手袋部材21が当該延在方向Xに沿ってしわを形成しやすく、当該没入段2124は、当該手袋部材21が当該延在方向Xの垂直方向にしわを形成しやすい。また、当該手袋構造10がカールすると把持力が増し、把持力の増加と共に摩擦力の増加を招く。
【符号の説明】
【0030】
10 手袋構造
11 手袋芯
111 内面
112 外面
21 手袋部材
211 下面
212 上面
2120 圧接領域
2121 合着領域
2122 底部
2123 突起部材
2124 没入段
2125 圧接されない領域
A 手紋
A1 皮膚小稜
A11 突起領域
A12 没入領域
A2 皮膚小溝
A3 鎖状セグメント
B 真皮層
C 表皮層
G 段差
H 没入深さ
h 底部深さ
M 金型
M1 第1の領域
M2 第2の領域
M3 第3の領域
M4 第4の領域
X 延在方向
W 半溝幅
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】