(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを調製する連続方法
(51)【国際特許分類】
C07C 5/22 20060101AFI20240905BHJP
C07C 13/605 20060101ALI20240905BHJP
B01J 31/12 20060101ALI20240905BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
C07C5/22
C07C13/605
B01J31/12 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518520
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2022120768
(87)【国際公開番号】W WO2023046050
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111120485.4
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523143774
【氏名又は名称】中石化石油化工科学研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】伏朝林
(72)【発明者】
【氏名】陶志平
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼恩会
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
(72)【発明者】
【氏名】趙傑
(72)【発明者】
【氏名】閻瑞
(72)【発明者】
【氏名】賈丹丹
(72)【発明者】
【氏名】朱忠朋
(72)【発明者】
【氏名】鄭偉平
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BB19B
4G169BC02B
4G169BC40B
4G169BC75B
4G169CB41
4G169DA06
4H006AA02
4H006AC14
4H006AD33
4H006BA26
4H006BA55
4H006BB11
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD10
4H006BE90
4H006DA10
4H039CJ10
(57)【要約】
開示されるのは、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを異性化してエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを調製する連続方法である。当該方法は、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンおよび水素を、水素化保護剤を充填した第1の反応ゾーンと、異性化触媒を充填した第2の反応ゾーンとに順次通過させ、水素化異性化反応を行い、エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを得る工程を含み、前記水素化保護剤は、担持金属水素化触媒であり、前記異性化触媒は、金属で修飾された分子篩触媒である。当該方法は、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンをエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンに効果的に変換することができる。変換率は86%超、目的生成物の選択性は94%超である。この方法はクリーンかつグリーンであり、2000時間以上の連続運転が可能で、工業的適用が期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを異性化してエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを調製する連続方法であって、
エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンおよび水素ガスを、水素化保護剤を充填した第1の反応ゾーンと、異性化触媒を充填した第2の反応ゾーンとに順次通過させ、水素化異性化反応を行い、エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを得る工程を含み、
前記水素化保護剤は、担持金属水素化触媒であり、前記異性化触媒は、金属で修飾された分子篩触媒である、方法。
【請求項2】
前記水素化保護剤は、当該水素化保護剤の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、Cuまたはそれらの組み合わせから選択される活性金属を0.1~30wt%含むとともに、Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、CeO
2、活性炭またはそれらの組み合わせから選択される非酸性担体を70~99.9wt%含み、
好ましくは、水素化保護剤の総質量を基準として、NiおよびCuの総含有量は、5~20wt%であり、Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.3~3wt%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異性化触媒は、当該異性化触媒の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、またはそれらの組み合わせから選択される修飾用金属を0.05~20wt%、好ましくは0.1~15wt%、より好ましくは0.2~10wt%含むとともに、Y型分子篩を80~99.95wt%、好ましくは85~99.9wt%、より好ましくは90~99.8wt%含み、
好ましくは、前記Y型分子篩は、HY、USY、REHYまたはそれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、触媒の(酸化ナトリウムとしての)ナトリウム含有量は、前記異性化触媒の総質量を基準として、0~1.0wt%、好ましくは0~0.5wt%、より好ましくは0~0.2wt%である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記異性化触媒の総質量を基準として、Niの含有量は、1~20wt%、好ましくは3~15wt%、より好ましくは5~10wt%であり;Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.05~3wt%、好ましくは0.1~1.0wt%、より好ましくは0.2~0.5wt%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記異性化触媒中で用いられたY型分子篩を、水蒸気雰囲気下で、処理温度が450~650℃、好ましくは500~600℃、処理圧力が0~0.5MPa、好ましくは0.1~0.3MPa、および処理時間が1~6h、好ましくは2~4hである加圧下水熱焼成処理に供する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
反応前に、前記エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを、沸点40~300℃の炭化水素またはハロゲン化炭化水素の溶媒と混合して、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンの質量濃度が10~80wt%、好ましくは30~60wt%の混合物質を得;
好ましくは、前記溶媒は、C
6~C
10炭化水素またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはそれらの組み合わせから選択される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応前に、吸着剤を用いて前記エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンまたは前記混合物質を前処理し;
好ましくは、前記吸着剤は、活性白土、NaY分子篩、HY分子篩、活性炭、またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは活性白土、NaY分子篩、またはそれらの組み合わせから選択される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記前処理は、常温から60℃までの温度、0~0.5MPaの圧力、および0.1~5.0h
-1の重量空間速度を含む条件下で実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応ゾーンにおける反応温度は、100~200℃、好ましくは130~170℃であり;前記第2の反応ゾーンにおける反応温度は、100~180℃、好ましくは130~170℃である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンにおいて、反応圧力が0.1~3.0MPa、好ましくは0.5~1.0MPaであり、重量空間速度が0.2~5h
-1、好ましくは0.5~2h
-1であり、水素/液体の体積比が100~3200、好ましくは600~1200である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が固定床型反応器を用いて実施され、
前記第1の反応ゾーンが前記第2の反応ゾーンの上方に配置され;好ましくは、前記第1の反応ゾーンおよび前記第2の反応ゾーンが不活性物質によって互いに分離されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本願は、炭化水素化合物の異性化の技術分野に関し、具体的には、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを異性化してエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを調製する連続方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ジシクロペンタジエン(DCPD)は主に、石油のエチレンへの分解工程で副生されるC5留分、および石炭のコークス化工程で副生される軽質ベンゼン留分に由来する。DCPDは、シクロペンタジエンの二量体であり、不飽和ポリエステルポリマーの合成、高密度航空燃料の調製、医療物質の調製などに広く使用される重要な化学中間体である。その完全水素化生成物であるエンド-テトラヒドロジシクロペンタジエン(エンド-THDCPD)は、優れた性能を持つ固体高密度燃料であるが、液体燃料としては使用できない。その異性化生成物であるエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエン(エキソ-THDCPD)は、比較的大きな密度(0.94g/cm-3)、低い凝固点(<-79℃)、高い体積発熱量(39.4MJ/L)、および低毒性などの利点を持つ。エキソ-THDCPDは、単独または組み合わせて使用できる。エキソ-THDCPDは、優れた総合特性を持つ液体燃料であり、航空燃料の分野で広く研究および適用されている。エキソ-THDCPDの一般的な調製方法は、まずDCPDを水素化してエンド-THDCPDを調製し、次にエンド-THDCPDを異性化してエキソ-THDCPDとする2段階の変換方法である。
【0003】
【0004】
水素化方法は、比較的成熟しており、従来の担持水素化触媒またはラネーニッケル触媒で完結できる。しかし、工業的な異性化方法は、毒性が高く、かつ汚染度の高いAlCl3を触媒として使用して、断続的に実施する必要が依然としてある。連続的な工業的生産はこれまで達成されていない。特許US9567270B1に記載されているように、異性化方法は依然として、触媒としてAlCl3のようなハロゲン化アルミニウムを必要とし、その結果、エキソ-THDCPDの生産量が低く、生産方法における深刻な汚染、および複雑な後処理が生じ、大規模な適用が制限される。また、特許US8017821B2に記載されているように、エンド-THDCPD異性化を触媒する触媒として酸性のイオン液体を使用する関連研究もある。しかし、イオン液体自体が、複雑な調製方法、高コスト、および工業的適用能力の低さの問題を抱えている。
【0005】
また、Y、β、モルデナイト、Al-MCM-41、Al-MCM-48、Al-SBA-15などを異性化触媒として使用した特許CN101786936Bのように、モレキュラーシーブを異性化触媒として使用した研究もあるが、触媒寿命および連続生産の可能性の問題を伴わず、原料の変換率および生成物の収率のみが検討されており、実用化の可能性はまだ証明されていない。
【0006】
〔発明の概要〕
本願は、既存産業ではエキソ-THDCPDを連続的かつ安定的に製造できないという問題に着目し、固定床反応器でエキソ-THDCPDをロングサイクルで連続製造する方法を提供するものである。
【0007】
上記目的を達成するために、本願は、エンド-THDCPDを異性化してエキソ-THDCPDを調製する連続方法であって、エンド-THDCPDおよび水素ガスを、水素化保護剤を充填した第1の反応ゾーンと、異性化触媒を充填した第2の反応ゾーンとに順次通過させ、水素化異性化反応を行い、エキソ-THDCPDを得る工程を含み、前記水素化保護剤は、担持金属水素化触媒であり、前記異性化触媒は、金属で修飾された分子篩触媒である、方法を提供する。
【0008】
本願の方法は、液体反応原料を水素化保護剤および異性化触媒をそれぞれ充填した2つの反応ゾーンに連続的に通過させることにより、エンド-THDCPDの水素化異性化反応を実施し、その結果、使用される異性化触媒の寿命および方法の安定性が大幅に改善され、エキソ-THDCPDのグリーン、連続的および安定的な調製が達成された。変換率は86%超、目的生成物の選択性は94%超であり、2000時間超の連続運転を達成し得る。本願の方法は、工業的適用が期待できる。
【0009】
本願のその他の特徴および利点については、続く詳細な説明で詳述する。
【0010】
〔詳細な説明〕
本願の具体的な実施態様を以下に詳述する。本明細書で説明する具体的な実施態様は、本願を例示し説明するために使用されるに過ぎず、本願を限定するために使用されるものではないことを理解されたい。
【0011】
本明細書で開示される任意の特定の数値(数値範囲の端点を含む)は、数値の正確な値に限定されるものではなく、正確な値に近い値、例えば正確な値の±5%以内のすべての可能な値をさらにカバーするものと理解されたい。さらに、開示された数値範囲について、範囲の端点値の間、範囲の1つの端点値と範囲内の1つの特定の点値との間、および範囲の任意の2つの特定の点値の間の任意の組み合わせによって、1つ以上の新しい数値範囲を得ることができる。これらの新しい数値範囲も、本明細書に具体的に開示されているものとみなす。
【0012】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語は、当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。本明細書において用語が定義され、その定義が当業者の一般的な理解と異なる場合、本明細書における定義が優先するものとする。
【0013】
本願において、明示的に記載されない限り、記載されていない問題または事項は、何ら変更されることなく、当該技術分野において公知のものに直接適用されるものとする。さらに、本明細書に記載された任意の実施形態は、本明細書に記載された1つ以上の他の実施形態と自由に組み合わせることができ、このようにして形成された技術的解決策または技術的アイデアは、当業者がその組み合わせが明らかに不合理であると考えない限り、本願の当初の開示または当初の内容の一部とみなされるものとし、本明細書に開示または予想されていない新規事項とはみなされないものとする。
【0014】
本願では、特に断りのない限り、指定された圧力値はゲージ圧である。
【0015】
本願において、特に断りのない限り、水素化保護剤および異性化触媒の所定の金属含有量は金属元素に基づく。
【0016】
本願において、用語「水素/液体体積比」は、反応系における液体物質に対する水素ガスの体積比を意味し、単位はNm3/m3である。
【0017】
本明細書に記載された教科書および学術論文を含むがこれに限定されないすべての特許および非特許文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0018】
上記のように、本願は、エンド-THDCPDを異性化してエキソ-THDCPDを調製する連続方法を提供し、当該方法は、エンド-THDCPDおよび水素ガスを、水素化保護剤を充填した第1の反応ゾーンと、異性化触媒を充填した第2の反応ゾーンとに順次通過させ、水素化異性化反応を行い、エキソ-THDCPDを得る工程を含み、前記水素化保護剤は、担持金属水素化触媒であり、前記異性化触媒は、金属で修飾された分子篩触媒である。
【0019】
本願の方法において、第1の反応ゾーンに充填される水素化保護剤の機能は、原料のエンド-THDCPD中のオレフィン等の微量不純物を水素化により除去し、水素ガスを活性化することにより、異性化触媒を保護し、コーキングを抑制し、使用期間を延長することである。
【0020】
本願によれば、水素化保護剤は、従来の担持金属水素化触媒であり得、本願はそれに対して厳密な制限を有さない。好ましい実施形態では、水素化保護剤の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、Cuまたはそれらの組み合わせから選択される活性金属を0.1~30wt%含むとともに、Al2O3、SiO2、ZrO2、TiO2、CeO2、活性炭またはそれらの組み合わせから選択される非酸性担体を70~99.9wt%含む。さらに好ましくは、水素化保護剤の総質量を基準として、NiおよびCuの総含有量は、5~20wt%であり、Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.3~3wt%である。
【0021】
本願の方法では、第2の反応ゾーンにおける異性化反応は金属で修飾された分子篩触媒の存在下で行われ、当該金属で修飾された分子篩触媒は、異性化およびコーキング抑制の2つの機能を有する。修飾用金属を分子篩に担持することで、分子篩は安定した異性化活性を示し、修飾用金属は異性化反応には関与しないが、反応中のコーキング前駆体(オレフィン中間体)の生成を抑制し、それによって触媒寿命を向上させる。
【0022】
本開示によれば、異性化触媒は金属で修飾された分子篩触媒である。好ましくは、異性化触媒は、当該異性化触媒の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、またはそれらの組み合わせから選択される修飾用金属を0.05~20wt%、好ましくは0.1~15wt%、より好ましくは0.2~10wt%含むとともに、Y型分子篩を80~99.95wt%、好ましくは85~99.9wt%、より好ましくは90~99.8wt%含む。さらに好ましくは、異性化触媒の総質量を基準として、Niの含有量は、1~20wt%、好ましくは3~15wt%、より好ましくは5~10wt%であり;Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.05~3wt%、好ましくは0.1~1.0wt%、より好ましくは0.2~0.5wt%である。
【0023】
さらに好ましい実施形態において、触媒の(酸化ナトリウムとしての)ナトリウム含有量は、前記異性化触媒の総質量を基準として、0~1.0wt%、好ましくは0~0.5wt%、より好ましくは0~0.2wt%、例えば0~0.1wt%である。
【0024】
特に好ましい実施形態において、修飾用金属は、Pt、Pdおよびそれらの組み合わせから選択され;Y型分子篩は、HY、USY、REHYまたはそれらの組み合わせから選択される。
【0025】
さらに好ましい実施形態において、異性化触媒中で用いられたY型分子篩を、水蒸気雰囲気下で、処理温度が450~650℃、好ましくは500~600℃、処理圧力が0~0.5MPa、好ましくは0.1~0.3MPa、および処理時間が1~6h、好ましくは2~4hである加圧下水熱焼成処理に供し、分子篩の細孔拡大を達成し、メソ細孔容積を増加させ、物質拡散の効果を高める。さらに好ましい実施形態では、Y型分子篩を、水熱焼成処理後にさらにアンモニウム交換に供して、(酸化ナトリウムとしての)ナトリウム含有量を1.0wt%以下、好ましくは0.5wt%以下、より好ましくは0.2wt%以下、例えば0.05wt%、0.1wt%、0.15wt%などに減少させる。
【0026】
本願によれば、金属で修飾された分子篩触媒は、等量含浸法、過剰体積含浸法等の従来の方法に従って調製することができる。いくつかの具体的な実施形態において、金属で修飾された分子篩触媒は、以下のように調製することができる:金属担持量に応じて一定量の金属前駆体溶液を調製し、当該金属前駆体溶液に分子篩を含浸させ、含浸中に断続的に攪拌しながら常温で6時間超静置し;80℃で10時間超乾燥させた後、空気雰囲気下で、450~550℃で2~5時間焼成し;焼成触媒を水素ガスなどの還元雰囲気中、400~550℃で2~5時間還元して活性化触媒を製造する。本願では、使用する金属前駆体に厳密な制限はなく、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などを含むがこれらに限定されない、対応する金属の可溶性塩から選択することができる。
【0027】
好ましい実施形態では、BET法によって決定されるように、異性化触媒の細孔の総容積は、0.15~0.80cm3/g、好ましくは0.25~0.50cm3/gであり、メソ細孔容積は0.015~0.15cm3/g、好ましくは0.02~0.05cm3/gである。
【0028】
好ましい実施態様において、第1の反応ゾーンにおける反応温度は、100~200℃、好ましくは130~170℃であり;前記第2の反応ゾーンにおける反応温度は100~180℃、好ましくは130~170℃である。
【0029】
好ましい実施形態では、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンにおいて、反応圧力は0.1~3.0MPa、好ましくは0.5~1.0MPaであり;WHSV(重量空間速度)は0.2~5h-1、好ましくは0.5~2h-1であり;水素/液体の体積比は100~3200Nm3/m3、好ましくは600~1200Nm3/m3である。さらに好ましくは、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンでの反応は水素ガス雰囲気中で行われ、この場合の反応圧力は水素ガス圧力である。
【0030】
本願によれば、異性化反応の原料として使用されるエンド-THDCPDは、市販品を購入することもできるし、先行技術に開示されている様々な方法に従って調製することもできる。
【0031】
好ましい実施形態では、反応前にエンド-THDCPDを溶媒と混合して、エンド-THDCPDの質量濃度が10~80wt%、好ましくは30~60wt%の混合物質を得、次いで反応が実施される。さらに好ましくは、前記溶媒は、沸点40~300℃の炭化水素またはハロゲン化炭化水素の溶媒であり、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジクロロメタン等が挙げられ、好ましくはC6~C10炭化水素であり、より好ましくはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エキソ-THDCPDまたはこれらの組み合わせから選択される。
【0032】
好ましい実施形態では、エンド-THDCPDまたは混合物質は、反応前に、吸着剤を用いて前処理される。好ましくは、前記吸着剤は、極性化合物を吸着することができる物質(活性白土、NaY分子篩、HY分子篩、および活性炭など)であってもよく、より好ましくは、活性白土およびNaY分子篩であってもよい。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、前処理の条件として、温度:常温から60℃まで、圧力:0~0.5MPa、およびWHSV:0.1~5.0h-1が含まれる。
【0034】
好ましい実施形態では、本願の方法は、固定床反応器を用いて実施され、第1の反応ゾーンは第2の反応ゾーンの上方に配置され、好ましくは、第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンは不活性物質によって互いに分離されている。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、本願の方法は、エンド-THDCPDおよび反応溶媒を、前処理のための吸着剤を備える前処理反応器に通し、流出液を固定床反応器に入れて水素化異性化反応を行って、エキソ-THDCPDを製造することを含み、前記固定床反応器において、上段は水素化保護剤を備え、下段は異性化触媒を備える。
【0036】
本実施形態では、エンド-THDCPDおよび反応溶媒を原料タンク内で均一に予備混合した後、吸着剤を備えた前処理反応器の上端から常温常圧で前処理反応器に流入させ;得られた不純物除去物は前処理反応器の下端から流出し、固定床反応器の上端に送液され、水素ガスと共に水素化保護剤の反応床と異性化触媒の反応床とに順次通過させ;得られた反応生成物は固定床の下端から流出する。
【0037】
本実施形態において、前処理反応器の機能は、固体物質を液体と完全に接触させることであり、前処理反応器は、固定床反応器または石英ガラス管等から選択することができる。
【0038】
特に好ましい実施形態では、本願の方法は、以下を含む:エンド-THDCPDおよび反応溶媒をまず均一に混合し;得られた混合物を前処理反応器に通し、そこで活性白土およびNaYなどの吸着剤を用いて不純物を吸着除去し;次いで、得られた不純物除去物を、固定床反応器の上端から流入させ、下端から流出させ、固定床反応器において、上段は水素化保護剤を備え、下段は異性化触媒を備え;上段の水素化反応温度は100~200℃であり、下段の異性化反応温度は100~180℃であり、固定床反応器全体の反応圧力は0.1~3.0MPaであり、WHSVは0.2-5h-1であり、水素/液体体積比は100~3200Nm3/m3である。
【0039】
〔実施例〕
以下、本願を実施例とともにさらに説明するが、これらは本願を限定するものではない。
【0040】
以下の実施例では、エンド-THDCPDはBeijing Innochem Science and Technology Co.Ltd.から購入し、純度は>99%、オレフィン含有量は<1%、硫黄の総含有量は<100ppm未満、窒素の総含有量は<100ppmであった。
【0041】
以下の実施例および比較例において、特に断りのない限り、エンド-THDCPDの水素化異性化反応は、水素ガス雰囲気下、固定床反応器中で行われ、水素ガスおよび液体物質は固定床反応器の上から下へ通過させ、反応器の上段(本明細書では水素化セクションとも称する)には水素化保護剤を充填し、反応器の下段(本明細書では異性化セクションとも称する)には異性化触媒を充填し、水素化セクションと異性化セクションとの間には不活性物質として石英砂を充填した。また、固定床反応器の流出液をサンプリングしてガスクロマトグラフィーで分析し、面積正規化法に基づいて反応物変換率および生成物選択率を算出した。固定床反応器は、長さ1m、内径9mmの管状反応器である。触媒は固定床反応器の中央に装填した。
【0042】
以下の実施例および比較例において、使用したHY分子篩、REHY分子篩、USY分子篩、HZSM-5分子篩およびHβ分子篩は、Sinopec Catalyst Co.から購入した。
【0043】
特に断りのない限り、以下の実施例および比較例で使用した各種試薬は、分析グレードの純度の市販品であった。
【0044】
(実施例1)
原料として、メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を前処理なしで固定床反応器に直接送液した。水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの反応温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HY(Na2O含有量0.156%)であり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは2h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。200時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。結果を表1に示した。
【0045】
(比較例1)
比較例1は、固定床反応器に水素化セクションを設けないこと以外は、実施例1を参照して実施した。200時間の反応後、分析のためにサンプルを採取した。結果を表1に示した。
【0046】
【0047】
(実施例2~4)
前処理反応器において、メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用し、異なる吸着剤を備えた前処理反応器に、常温常圧、WHSV0.5h-1で通液した。前処理後、得られた原料を固定床反応器に送液した。固定床反応器では、異なる前処理方法で処理したメチルシクロヘキサン中に50wt%エンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの反応温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HY(Na2O含有量0.156%)であり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは2h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。200時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。反応結果に対する前処理方法の影響を調べた。結果を表2に示した。
【0048】
【0049】
(実施例5~7)
前処理反応器において、メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、異性化触媒は0.3wt%のPt/HY(Na2O含量量0.156%)であり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。水素化保護剤の組成および水素化セクションの温度を表3に示した。反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは2h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。300時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。反応結果に対する水素化保護剤の影響を調べた。結果を表3に示した。
【0050】
(比較例2)
比較例2は、固定床反応器に水素化セクションを設けないこと以外は、実施例5を参照して実施した。200時間の反応後、分析のためにサンプルを採取した。結果を表3に示した。
【0051】
【0052】
(実施例8~10)
メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒には0.3%のPtを担持した異なる分子篩を使用し、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは2h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。200時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。異なる分子篩をベースとした異性化触媒のエンド-THDCPD異性化活性および安定性を調べた。結果を表4に示した。
【0053】
(比較例3-4)
実施例8とは異なる異性化触媒を用いたこと以外は、実施例8を参考に比較例3~4を行った。200時間の反応後、分析のためにサンプルを採取した。結果を表4に示した。
【0054】
【0055】
(実施例11~19)
REHY分子篩を異なる条件下で水熱焼成処理に供し、次いでアンモニウム交換を行い、続いて0.3%のPtを担持して、Na2O%<0.2%であることが必須の異なる異性化触媒を調製した。得られた触媒は、BET分析に供して細孔構造の変化を調べた後、異性化セクションの反応温度を170℃に調整して反応の重度を上げたこと以外は、実施例2の条件に従って触媒性能を調べた。200時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。水熱焼成処理条件の違いが異性化触媒の活性に及ぼす影響を調べた。結果を表5に示した。
【0056】
【0057】
(実施例20~23)
実施例13では、550℃、0.3MPa、および2時間の条件下で水熱焼成処理した後に得られたREHY分子篩をアンモニウム交換に供したが、Na2O含有量を制御してNa2O含有量の異なるREHY分子篩を調製し、実施例13に記載の工程に従って、対応する異性化触媒を調製した。触媒性能は、実施例9の方法に従って評価した。200時間の反応後、分析のためにサンプルを採取した。異性化触媒の活性に対する異なるNa2O含有量の影響を調べた。結果を表6に示した。
【0058】
【0059】
(実施例24~28)
実施例21の水熱焼成処理およびアンモニウム交換後に得られた0.182%のNa2O含有量のREHY分子篩に、異なる金属を担持して異性化触媒を得た。次に、実施例9の方法に従って触媒性能を評価した。200時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。異なる修飾金属およびその含有量が異性化触媒の活性に及ぼす影響を調べた。結果を表7に示した。
【0060】
【0061】
(実施例29~32)
メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HY(Na2O含有量0.156%)を使用した。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは1h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。20時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。得られた分析結果は、初期の変換率および選択性とみなすことができる。異性化反応温度が反応結果に及ぼす影響を調べた。結果を表8に示した。
【0062】
【0063】
(実施例33~36)
メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HYであった。異性化セクションの反応温度は150℃であり、WHSVは1h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。20時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。得られた分析結果は、初期の変換率および選択性とみなすことができる。反応圧力が反応結果に及ぼす影響を調べた。結果を表9に示した。
【0064】
【0065】
(実施例37~40)
メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HYであり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。20時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。得られた分析結果は、初期の変換率および選択性とみなすことができる。反応結果に対するWHSVの影響を調べた。結果を表10に示した。
【0066】
【0067】
(実施例41~43)
メチルシクロヘキサン中に50wt%のエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HYであり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは1h-1であった。20時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。得られた分析結果は、初期の変換率および選択性とみなすことができる。反応結果に対する水素/液体体積比の影響を調べた。結果を表11に示した。
【0068】
【0069】
(実施例44~47)
質量濃度の異なるエンド-THDCPDを含む溶液を原料として使用した。均一に予備混合し、NaYを用いて前処理して不純物を除去した後、得られた不純物除去物を固定床反応器に送液した。固定床反応器において、水素化保護剤は20wt%のNi/SiO2であり、水素化セクションの温度は150℃であった。異性化触媒は0.3wt%のPt/HYであり、異性化セクションの反応温度は150℃であった。固定床全体の反応圧力は0.5MPaであり、WHSVは1h-1であり、水素/液体体積比は1000Nm3/m3であった。20時間の反応後、分析用のサンプルを採取した。得られた分析結果は、初期の変換率および選択性とみなすことができる。反応溶媒および原料質量濃度の違いが反応結果に及ぼす影響を調べた。結果を表12に示した。
【0070】
【0071】
(実施例48)
実施例5の操作サイクルをさらに2000時間に延長したところ、エンド-THDCPD変換はゆっくりと86%に低下し、エキソ-THDCPD選択性はゆっくりと94.5%に増加し、アダマンタン選択性はゆっくりと0.3%に低下し、開環副生成物選択性はゆっくりと5.2%に低下し、本願の方法を操作する反応系は優れた安定性を有することがわかった。
【0072】
以上、本願の好ましい実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本願は、上述の実施形態における特定の詳細に限定されるものではない。本願の技術的思想の範囲内で、本願の技術的解決策に様々な簡単な変更を加えることができる。これらの簡単な変更は、すべて本願の保護範囲に含まれる。
【0073】
加えて、上述した具体的な実施形態に記載された具体的な技術的特徴の各々は、矛盾することなく任意の適切な方法で組み合わせることができることに留意すべきである。不必要な繰り返しを避けるため、様々な可能な組み合わせについては、本願ではこれ以上説明しない。
【0074】
また、本願の思想に反しない限り、本願の様々な実施形態間で任意の組み合わせも可能であり;それらも本願の発明内容とみなされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを異性化してエキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを調製する連続方法であって、
エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンおよび水素ガスを、水素化保護剤を充填した第1の反応ゾーンと、異性化触媒を充填した第2の反応ゾーンとに順次通過させ、水素化異性化反応を行い、エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンを得る工程を含み、
前記水素化保護剤は、担持金属水素化触媒であり、前記異性化触媒は、金属で修飾された分子篩触媒である、方法。
【請求項2】
前記水素化保護剤は、当該水素化保護剤の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、Cuまたはそれらの組み合わせから選択される活性金属を0.1~30wt%含むとともに、Al
2O
3、SiO
2、ZrO
2、TiO
2、CeO
2、活性炭またはそれらの組み合わせから選択される非酸性担体を70~99.9wt%含み、
好ましくは、水素化保護剤の総質量を基準として、NiおよびCuの総含有量は、5~20wt%であり、Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.3~3wt%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異性化触媒は、当該異性化触媒の総質量を基準として、Pd、Pt、Ru、Rh、Ni、またはそれらの組み合わせから選択される修飾用金属を0.05~20wt%、好ましくは0.1~15wt%、より好ましくは0.2~10wt%含むとともに、Y型分子篩を80~99.95wt%、好ましくは85~99.9wt%、より好ましくは90~99.8wt%含み、
好ましくは、前記Y型分子篩は、HY、USY、REHYまたはそれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、触媒の(酸化ナトリウムとしての)ナトリウム含有量は、前記異性化触媒の総質量を基準として、0~1.0wt%、好ましくは0~0.5wt%、より好ましくは0~0.2wt%である、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記異性化触媒の総質量を基準として、Niの含有量は、1~20wt%、好ましくは3~15wt%、より好ましくは5~10wt%であり;Pd、Pt、RuおよびRhの総含有量は、0.05~3wt%、好ましくは0.1~1.0wt%、より好ましくは0.2~0.5wt%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記異性化触媒中で用いられたY型分子篩を、水蒸気雰囲気下で、処理温度が450~650℃、好ましくは500~600℃、処理圧力が0~0.5MPa、好ましくは0.1~0.3MPa、および処理時間が1~6h、好ましくは2~4hである加圧下水熱焼成処理に供する、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
反応前に、前記エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンを、沸点40~300℃の炭化水素またはハロゲン化炭化水素の溶媒と混合して、エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンの質量濃度が10~80wt%、好ましくは30~60wt%の混合物質を得;
好ましくは、前記溶媒は、C
6~C
10炭化水素またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エキソ-テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはそれらの組み合わせから選択される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
反応前に、吸着剤を用いて前記エンド-テトラヒドロジシクロペンタジエンまたは前記混合物質を前処理し;
好ましくは、前記吸着剤は、活性白土、NaY分子篩、HY分子篩、活性炭、またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは活性白土、NaY分子篩、またはそれらの組み合わせから選択される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記前処理は、常温から60℃までの温度、0~0.5MPaの圧力、および0.1~5.0h
-1の重量空間速度を含む条件下で実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の反応ゾーンにおける反応温度は、100~200℃、好ましくは130~170℃であり;前記第2の反応ゾーンにおける反応温度は、100~180℃、好ましくは130~170℃である、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンにおいて、反応圧力が0.1~3.0MPa、好ましくは0.5~1.0MPaであり、重量空間速度が0.2~5h
-1、好ましくは0.5~2h
-1であり、水素/液体の体積比が100~3200、好ましくは600~1200である、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が固定床型反応器を用いて実施され、
前記第1の反応ゾーンが前記第2の反応ゾーンの上方に配置され;好ましくは、前記第1の反応ゾーンおよび前記第2の反応ゾーンが不活性物質によって互いに分離されている、請求項
1に記載の方法。
【国際調査報告】