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特表2024-533691低粘度接着剤を使用したコンクリート締結具の取り付け
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】低粘度接着剤を使用したコンクリート締結具の取り付け
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/41 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
E04B1/41 503B
E04B1/41 503Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518549
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022045170
(87)【国際公開番号】W WO2023055888
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】17/491,342
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506244375
【氏名又は名称】シンプソン ストロング タイ カンパニー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ハウク
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AC01
2E125AG13
2E125BA12
2E125BA13
2E125BA32
2E125CA03
(57)【要約】
基材に締結具を取り付けるための方法。締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、第2の端部に設けられたヘッドと、シャンクに設けられたねじ山であって、基材に挿入されたときに基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む、ねじ山と、を備える。方法は、基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップを含む。次に、穴は350cP以下の粘度を持つ接着剤で穴を充填される。最後に、ねじ山が穴に完全に挿入されたときに、接着剤がシャンクとねじ山とに隣接する基材の部分に押し込まれるように、締結具は穴の中にむけて回転させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に締結具を取り付けるための方法であって、
前記締結具は、
長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、
前記第2の端部に設けられたヘッドと、
前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む前記ねじ山と、を備え、
前記方法は、
前記基材に取り付けられるべき前記締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップと、
350cP以下の粘度を持つ接着剤で前記穴を充填するステップと、
前記ねじ山が前記穴に完全に挿入されたときに、前記接着剤が前記シャンクと前記ねじ山とに隣接する前記基材の部分に押し込まれるように、前記締結具を前記穴の中にむけて回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記充填するステップが、150cP以下の接着剤を前記穴に充填するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転させるステップが、前記接着剤のゲルタイムが経過する前に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充填するステップの前に、強制空気を用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填するステップの前に、ブラシを用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材がコンクリートである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
締結構造体であって、
基材と、
前記基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴と、
前記基材内の孔内の締結具であって、前記締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、前記第2の端部に設けられ、前記基材の上面に隣接するヘッドと、前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端とを含む前記ねじ山と、を備え、前記ねじ山は、前記孔の長さに沿って前記基材に埋め込まれている、前記締結具と、
350cP以下の取り付け粘度を有する接着剤であって、前記孔の壁部および埋め込まれた前記締結具の前記ねじ山に隣接する前記基材に埋め込まれる前記接着剤と、
を備える、締結構造体。
【請求項9】
前記接着剤が150cP以下の取り付け粘度を有する、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記基材がコンクリートである、請求項8に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2021年9月30日に出願された「CONCRETE FASTENER INSTALLATION USING LOW VISCOSITY ADHESIVE」と題する米国特許出願第17/491,342号の優先権を主張するものであり、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、スレッドタッピング締結具、特にコンクリート締結具、およびその取り付けの改良に関する。
【背景技術】
【0003】
スレッドタッピングコンクリートねじは、プラグを使用せずに、建設材料、特にコンクリートにドリルで開けた穴にねじ込まれる。通常、ねじがねじ込まれる際、ねじが建設材料内に相手側ねじをタップ加工し、またはねじを切るように、ねじが建設材料に入り込む。そのため、ねじと建設材料の間に要求される良好なはめあいに必要なねじや相手側ねじを、ねじ自体が切ることになる。
【0004】
スレッドタッピングねじがドリル穴にねじ込まれるとき、ねじの端部の領域に建設材料からの石粉が形成される。この石粉は、穴あけ後にドリル穴から完全に取り除かれなかったこと、および/または、スレッドタッピングねじが、ねじの端部の領域においてドリル穴にねじ込まれるときに石粉が形成されることにより生ずる可能性がある。
【0005】
時間の経過とともに、コンクリートへの締結具の取り付けにおいて亀裂が生じることがあり、これは接着剤で補修でき、過去には接着剤を使用して取り付けられた締結具もあった。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、基材に締結具を取り付ける方法について説明する。締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、第2の端部に設けられたヘッドと、シャンクに設けられたねじ山であって、基材に挿入されたときに基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む、ねじ山と、を備える。方法は、基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップを含む。次いで、穴は、350cP以下の粘度を持つ接着剤で充填される。最後に、ねじ山が穴に完全に挿入されたときに、接着剤がシャンクとねじ山とに隣接する基材の部分に押し込まれるように、締結具が穴の中にむけて回転させられる。
【0007】
締結構造体についても説明する。構造体は、基材と、基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴と、基材内の孔内の締結具を備える。締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、第2の端部に設けられ、基材の上面に隣接するヘッドと、シャンクに設けられたねじ山であって、基材に挿入されたときに基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む、ねじ山と、を備え、ねじ山は孔の長さに沿って基材に埋め込まれている。350cP以下の取り付け粘度を有する接着剤が孔の壁部および埋め込まれた締結具のねじ山に隣接する基材に埋め込まれる。
【0008】
本概要は、詳細な説明において後述する概念の一部を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コンクリートにドリルで開けられた下穴に取り付けられるコンクリート締結具100の平面図である。
【0010】
図2図1に示すような締結具の取り付け方法を示すフローチャートである。
【0011】
図3図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0012】
図4図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0013】
図5図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0014】
図6図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0015】
図7図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0016】
図8図1に開示された締結具にかかる引き抜き力の経時的な影響を示すシーケンスである。
【0017】
図9図1に示すような締結具の取り付け方法を示すフローチャートである。
【0018】
図10図9の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0019】
図11図9の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0020】
図12図9の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0021】
図13図2の方法を用いて取り付けられた図1の締結具の亀裂サイクルグラフである。
【0022】
図14図9の方法を用いて取り付けられた図1の締結具の亀裂サイクルグラフである。
【0023】
図15図1の締結具の取り付けと、図2および図9の方法を用いて取り付けられた出願第17/246,247号の締結具の取り付けとを比較した段階的な亀裂サイクルグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
締結具を基材に取り付ける方法の改良について説明する。締結具はシャンクと、シャンクに設けられたねじ山とを備え、ねじ山は、基材に挿入されたときに基材の一部を取り除くように適合された前端および後端を含む。この方法は、基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップを含む。次に、穴は、350cP以下、一実施形態では150cP以下の粘度を有する接着剤で充填され、ねじ山が穴に完全に挿入されたときに、接着剤がシャンクとねじ山とに隣接する基材の部分に押し込まれるように、締結具が穴の中にむけて回転される。
【0025】
図1は、コンクリート内のドリルで開けられた下穴内に取り付けられるコンクリート締結具100の平面図である。
【0026】
締結具100は、締結具シャンク140の一端にナット130とワッシャ132からなる締結具ヘッドを有する。締結具シャンク140には、ねじ山127が設けられている。シャンク140は、ねじ山127なしで構成された部分155を有する。この部分155は、135でワッシャ132とナット130に移行して一体化する。シャンク140は、ねじ山127の外径D1に加えて、締結具シャンク5の谷径または呼び径D2を有する。ねじ山127はまた、ねじ山127の任意の2つの曲がり部間の距離に対応するピッチPを有する。締結具100は、締結具のシャンクと同じか、それよりわずかに大きい直径を持つ、ドリルで開けた下穴に挿入される。
【0027】
締結具100の前部セクション127aは、締結具端部145から始まり、締結具100の長手方向軸線CLの方向に締結具ヘッドに向かって延在する。本実施形態における前部セクション127aは、ねじ山127の約2つの曲がり部を含む。
【0028】
図1の締結具100は、本技術と共に使用するのに適しているが、2021年4月20日に出願された、「Concrete fastener」と題し、ジョエル フックが発明者である、米国特許出願第17/246,247号に開示された締結具の実施形態のいずれもが、その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれ、本明細書に記載される取り付け技術に従って利用され得る。
【0029】
出願第17/246,247号の締結具の実施形態は、上部が平坦なねじ山を有する締結具と、および/または、シャンク回り止め領域と、および/または、長さが可変なシャンク回り止め領域と、および/または、深さが可変なシャンク回り止め領域を有する締結具と、および/または、締結具の先端部または前端部に隣接する領域に第1のねじ山角度を有し、第1のねじ山角度と締結具の第2の端部との間の領域に第2のより小さいねじ山角度を有し、および/または、締結具の先端部に1つまたは複数の切り刃先を有するねじ山と、および/または、三角小葉形状のねじ山と、および/または、貝殻状の後端に続く三角形の前端を有する新規な鋸歯状のねじ山を有するねじ山の部分と、および/または、締結具の先端の二重リードねじ山と、を備えてもよい。
【0030】
図2は、図1の締結具100または出願第17/246,247号に示される締結具の実施形態のいずれかを取り付けるための方法を示す。図2は、図3図7を参照して説明され、これらは、図2の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0031】
ステップ210で、施工者は、例えばカーバイドドリルビットを使用して基材300に孔302をドリルで開け、その穴は、取り付けられる締結具の呼び径と同じ直径を有するように開けられる。孔302は、締結具と、孔をクリーニングすることによっては除去されないねじ山タッピングの粉塵を収容するために、所定の最小穴深さまで開けられる。これは、ドリルチャック330に結合されたドリルビット320によってドリルで開けられた孔302を有する、基材300を示す図3に示されている。
【0032】
220では、例えば圧縮空気を用いて穴をクリーニングする。これは図4に示されており、孔302から微粒子を吹き飛ばすために、孔内に強制空気を送り込むカニューレを有する圧縮空気キャニスタ340の一部を示す。ステップ220の代わりに、またはステップ220に加えて、孔302は、220での強制空気クリーニングを行わずに、締結具の深さおよび穴あけおよびタッピングの結果生じるあらゆる粉塵を収容するのに十分な深さまで穴あけすることができる。230で、図5に図示されているように、ブラシ350が、例えば、孔302内でバスを行ったり来たり回転させることなどにより、孔302をさらにクリーニングするために利用されてもよい。240で、締結具100が固定具400を通って孔302内に挿入される。次に、図6に示されるように、ステップ250で、動力式締結工具を用いて締結具を基材に締め付ける。250で、締結具は、図7に示されるように、締結具のワッシャヘッド部分が固定具400に接触するまで基材300に締め付けられる。
【0033】
図8は、締結具が角度の付いた上面を有する場合の、亀裂の入ったコンクリート基材に対する引き抜き効果を示す締結具100の4つの断面図であり、4つの段階を示す(図8の各図における1~4のラベルは、図1に開示された締結具の実施形態に対する引き抜き力の経時的な効果を示している)。
【0034】
図8の段階1では、締結具100はコンクリートスラブ内に静止しており、下穴に取り付けられている。コンクリートに作用する外力によってコンクリートに亀裂が形成され、亀裂は締結具の位置と交差している。図8の段階2で引き抜き力602が締結具に作用すると、コンクリートに作用する外力によって横方向の力604が作用し、コンクリートスラブにおいて締結具からの剥離が生じる。この段階で、締結具の引き抜き力と相まって、ねじ山の頂部の角度によって、締結具が穴の中で上方に滑る。段階3に示すように、コンクリートに埋め込まれた鉄筋の弾性とともに、外部負荷がなくなることにより、引き抜き力602が一定のままであるため、コンクリートは締結具の方へ戻る。締結具は既に穴の中で上方へ滑っているので、コンクリートが元の位置に戻るにつれて、コンクリートはねじ山の頂部でわずかに押しつぶされる。図6の段階3では、コンクリートスラブのねじ溝と締結具のねじ山との間に若干の剥離610が生じ始め、スラブにおける締結具の強度が緩むことに留意されたい。時間の経過とともに、この結果、図6の段階4に示すように、剥離610が拡大する。
【0035】
本開示の技術は、図8に関して説明した引き抜きに対する抵抗力を高めるのに役立つ。
【0036】
図9は、図1の締結具100または出願第17/246,247号に例示された締結具の実施形態のいずれかを、本技術に従って取り付けるための方法を示す図である。図9を、図3図5、および図10図12を参照して説明し、これらは、図9の締結具の取り付け方法のステップを示す部分断面図である。
【0037】
図9の方法において、ステップ210、220および230は、上述し、図3図5に図示したのと同様の方法で実行される。孔内に締結具を取り付ける前に、995において、孔内に低粘度の接着剤が塗布される。一実施形態では、接着剤は、350cP以下の粘度を有する低粘度の構造用注入エポキシを含んでもよい。例えば、シンプソンストロングタイ社から入手可能な350cPの粘度を有するCI-LV低粘度注入エポキシのような、コンクリートの亀裂の圧力注入、重力供給およびフラッドコート充填用に設計された、2成分の、高弾性率、ハイソリッド、耐湿性エポキシは、本明細書に開示された取り付け方法を実行するのに有効であることが判明した。別の実施形態では、同じくシンプソンストロングタイ社から入手可能な、150cPの粘度を有するCI-SLV超低粘度注入エポキシを利用してもよい。図10に示されるように、接着剤は、注入ガン1010を使用して孔302に注入されてもよい。
【0038】
次に、940で、締結具100が接着剤を含む孔に挿入され、945において、接着剤に固有のゲルタイム内に、締め付けられる。このような接着剤の典型的なゲルタイムは約40分である。締め付けの過程で、接着剤が孔からはみ出ることがあり、950において余分な接着剤を除去する必要がある。960では、締結具100によって締結された固定具400に負荷を加える前に、接着剤を硬化させるべきである。
【0039】
その結果、接着剤の一部1200が孔に内張りされた構造となる。図12に示すように、一部の接着剤は、孔の底部および孔の壁に隣接してコンクリート壁に浸透してもよい。通常、低粘度エポキシは、ヘアライン亀裂(0.002インチ)および幅1/4インチ(6ミリメートル)までの亀裂の修復に適しているので、本明細書に記載されている低粘度接着剤は、構造コンクリートの亀裂の中に注入するために利用される。開示された方法で低粘度接着剤を使用して締結具を取り付けると、変位した接着剤は、孔302の壁に当たって押し上げられ、コンクリートに浸透することができ、締結具のねじ山が係合している表面を補強する。コンクリートの亀裂が開閉するとき、ねじ山と擦れ合う表面はむき出しのコンクリートよりもはるかに硬いので、コンクリートの破砕が少ない。その結果、この状態では、下のグラフに示すように、接着剤を使用しない場合よりもはるかに高い性能が得られる。
【0040】
代替的な接着剤が、この方法に従って利用されてもよく、コンクリートへの接着剤の漏出または浸透の量は、接着剤の組成に応じて変化する。このように、粘度に基づいて、孔内の接着剤についての3つの考えられる状態、すなわち、接着剤のほとんどまたはすべてがコンクリートに浸透し、残りがねじ山シャンクとコンクリートとの間の環状空間の一部を埋めることと、接着剤が締結具とコンクリートとの間の環状空間を埋め、一部がコンクリートに浸透して補強することと、接着剤がねじ山シャンクとコンクリートとの間の環状空間を埋め、コンクリートには何も浸透しないこと、がある。様々な締結具での試験結果は、そのうちのいくつかが以下に記載されており、開示された方法で使用される150cPの接着剤は、350cPの接着剤よりも優れた性能を発揮することを示したが、それにもかかわらず、350cPの接着剤は、この方法を使用せずに取り付けられた締結具よりも引き抜き性能を向上させた。150cPよりもさらに低い粘度の接着剤も、この方法に利用することができる。
【0041】
図13および図14は、粘度150cPの接着剤を使用して図1の締結具の様々な取り付け方法を試験した結果得られた、締結具の変位の亀裂サイクルグラフである。図13は、取り付け中に接着剤が使用されなかった図2の方法を使用して締結具100が取り付けられる場合の、多数の応力サイクルにわたる締結具の変位を示す。図14は、取り付け中に低粘度の接着剤が使用された場合(図9の方法)に取り付けられた締結具の変位を示す図である。
【0042】
図13に示されるように、一定の試験では、締結具の変位はわずか10~20サイクルで急速に上昇する。図9の方法を用いると、数百サイクル後でも変位は0.01インチ未満である。
【0043】
この締結具の実施形態は、シャンクの直径を収容するのに十分な直径を有する予め形成された孔を有するコンクリート材料に挿入すること、および、コンクリート材料内の孔にセルフスレッド溝を形成するのに適している。
【0044】
図15は、出願第17/246,247号の図3および図4に開示されているような締結具の変位の比較を示し、締結具のねじ山の上端が平坦な上端であるもの(M8)と締結具100(M3)とを比較する。このグラフは、段階的亀裂サイクル試験中の締結具の変位を示しており、ここで、取り付けは、合力が55%で図2の方法を使用する締結具100(「M3 55%」)、合力が55%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 55%」)、合力が90%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 90%」)、合力が100%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 100%」)、合力が100%で、孔をブラッシングせずに図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 100% ブラシなし」)、合力が120%で、ブラッシングせずに図9の方法を使用する出願第17/246,247号の締結具(「M8 w/SLV 120% ブラシなし」)、を含む。図15に示されるように、孔をクリーニングしなくても、本明細書に開示される接着剤取り付け方法は、以前の取り付け方法よりも耐変位性を改善し、多数の種類のコンクリート締結具の性能を実質的に改善する。
【0045】
本明細書で議論される締結具のこのような実施形態はすべて、本明細書で説明される取り付け方法を使用することにより利益を得る。
【0046】
本主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の文言で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または行為に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に締結具を取り付けるための方法であって、
前記締結具は、
長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、
前記第2の端部に設けられたヘッドと、
前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む前記ねじ山と、を備え、
前記方法は、
前記基材に取り付けられるべき前記締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップと、
350cP以下の粘度を持つ接着剤で前記穴を充填するステップと、
前記ねじ山が前記穴に完全に挿入されたときに、前記接着剤が前記シャンクと前記ねじ山とに隣接する前記基材の部分に押し込まれるように、前記締結具を前記穴の中にむけて回転させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記充填するステップが、150cP以下の接着剤を前記穴に充填するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転させるステップが、前記接着剤のゲルタイムが経過する前に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充填するステップの前に、強制空気を用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填するステップの前に、ブラシを用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤を硬化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材がコンクリートである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
締結構造体であって、
基材と、
前記基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴と、
前記基材内の内の締結具であって、前記締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、前記第2の端部に設けられ、前記基材の上面に隣接するヘッドと、前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端とを含む前記ねじ山と、を備え、前記ねじ山は、前記の長さに沿って前記基材に埋め込まれている、前記締結具と、
350cP以下の取り付け粘度を有する接着剤であって、前記の壁部および埋め込まれた前記締結具の前記ねじ山に隣接する前記基材に埋め込まれる前記接着剤と、
を備える、締結構造体。
【請求項9】
前記接着剤が150cP以下の取り付け粘度を有する、請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記基材がコンクリートである、請求項8に記載の構造体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
締結構造体についても説明する。構造体は、基材と、基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴と、基材内の内の締結具を備える。締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、第2の端部に設けられ、基材の上面に隣接するヘッドと、シャンクに設けられたねじ山であって、基材に挿入されたときに基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む、ねじ山と、を備え、ねじ山はの長さに沿って基材に埋め込まれている。350cP以下の取り付け粘度を有する接着剤がの壁部および埋め込まれた締結具のねじ山に隣接する基材に埋め込まれる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
ステップ210で、施工者は、例えばカーバイドドリルビットを使用して基材300に302をドリルで開け、その穴は、取り付けられる締結具の呼び径と同じ直径を有するように開けられる。302は、締結具と、をクリーニングすることによっては除去されないねじ山タッピングの粉塵を収容するために、所定の最小穴深さまで開けられる。これは、ドリルチャック330に結合されたドリルビット320によってドリルで開けられた302を有する、基材300を示す図3に示されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
220では、例えば圧縮空気を用いて穴をクリーニングする。これは図4に示されており、302から微粒子を吹き飛ばすために、内に強制空気を送り込むカニューレを有する圧縮空気キャニスタ340の一部を示す。ステップ220の代わりに、またはステップ220に加えて、302は、220での強制空気クリーニングを行わずに、締結具の深さおよび穴あけおよびタッピングの結果生じるあらゆる粉塵を収容するのに十分な深さまで穴あけすることができる。230で、図5に図示されているように、ブラシ350が、例えば、302内でバスを行ったり来たり回転させることなどにより、302をさらにクリーニングするために利用されてもよい。240で、締結具100が固定具400を通って302内に挿入される。次に、図6に示されるように、ステップ250で、動力式締結工具を用いて締結具を基材に締め付ける。250で、締結具は、図7に示されるように、締結具のワッシャヘッド部分が固定具400に接触するまで基材300に締め付けられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図9の方法において、ステップ210、220および230は、上述し、図3図5に図示したのと同様の方法で実行される。内に締結具を取り付ける前に、995において、内に低粘度の接着剤が塗布される。一実施形態では、接着剤は、350cP以下の粘度を有する低粘度の構造用注入エポキシを含んでもよい。例えば、シンプソンストロングタイ社から入手可能な350cPの粘度を有するCI-LV低粘度注入エポキシのような、コンクリートの亀裂の圧力注入、重力供給およびフラッドコート充填用に設計された、2成分の、高弾性率、ハイソリッド、耐湿性エポキシは、本明細書に開示された取り付け方法を実行するのに有効であることが判明した。別の実施形態では、同じくシンプソンストロングタイ社から入手可能な、150cPの粘度を有するCI-SLV超低粘度注入エポキシを利用してもよい。図10に示されるように、接着剤は、注入ガン1010を使用して302に注入されてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
次に、940で、締結具100が接着剤を含むに挿入され、945において、接着剤に固有のゲルタイム内に、締め付けられる。このような接着剤の典型的なゲルタイムは約40分である。締め付けの過程で、接着剤がからはみ出ることがあり、950において余分な接着剤を除去する必要がある。960では、締結具100によって締結された固定具400に負荷を加える前に、接着剤を硬化させるべきである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
その結果、接着剤の一部1200がに内張りされた構造となる。図12に示すように、一部の接着剤は、の底部およびの壁に隣接してコンクリート壁に浸透してもよい。通常、低粘度エポキシは、ヘアライン亀裂(0.002インチ)および幅1/4インチ(6ミリメートル)までの亀裂の修復に適しているので、本明細書に記載されている低粘度接着剤は、構造コンクリートの亀裂の中に注入するために利用される。開示された方法で低粘度接着剤を使用して締結具を取り付けると、変位した接着剤は、302の壁に当たって押し上げられ、コンクリートに浸透することができ、締結具のねじ山が係合している表面を補強する。コンクリートの亀裂が開閉するとき、ねじ山と擦れ合う表面はむき出しのコンクリートよりもはるかに硬いので、コンクリートの破砕が少ない。その結果、この状態では、下のグラフに示すように、接着剤を使用しない場合よりもはるかに高い性能が得られる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
代替的な接着剤が、この方法に従って利用されてもよく、コンクリートへの接着剤の漏出または浸透の量は、接着剤の組成に応じて変化する。このように、粘度に基づいて、内の接着剤についての3つの考えられる状態、すなわち、接着剤のほとんどまたはすべてがコンクリートに浸透し、残りがねじ山シャンクとコンクリートとの間の環状空間の一部を埋めることと、接着剤が締結具とコンクリートとの間の環状空間を埋め、一部がコンクリートに浸透して補強することと、接着剤がねじ山シャンクとコンクリートとの間の環状空間を埋め、コンクリートには何も浸透しないこと、がある。様々な締結具での試験結果は、そのうちのいくつかが以下に記載されており、開示された方法で使用される150cPの接着剤は、350cPの接着剤よりも優れた性能を発揮することを示したが、それにもかかわらず、350cPの接着剤は、この方法を使用せずに取り付けられた締結具よりも引き抜き性能を向上させた。150cPよりもさらに低い粘度の接着剤も、この方法に利用することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
この締結具の実施形態は、シャンクの直径を収容するのに十分な直径を有する予め形成されたを有するコンクリート材料に挿入すること、および、コンクリート材料内のにセルフスレッド溝を形成するのに適している。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図15は、出願第17/246,247号の図3および図4に開示されているような締結具の変位の比較を示し、締結具のねじ山の上端が平坦な上端であるもの(M8)と締結具100(M3)とを比較する。このグラフは、段階的亀裂サイクル試験中の締結具の変位を示しており、ここで、取り付けは、合力が55%で図2の方法を使用する締結具100(「M3 55%」)、合力が55%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 55%」)、合力が90%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 90%」)、合力が100%で図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 100%」)、合力が100%で、をブラッシングせずに図9の方法を使用する締結具100(「M3 w/SLV 100% ブラシなし」)、合力が120%で、ブラッシングせずに図9の方法を使用する出願第17/246,247号の締結具(「M8 w/SLV 120% ブラシなし」)、を含む。図15に示されるように、をクリーニングしなくても、本明細書に開示される接着剤取り付け方法は、以前の取り付け方法よりも耐変位性を改善し、多数の種類のコンクリート締結具の性能を実質的に改善する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
本主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の文言で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または行為に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
下記する項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
基材に締結具を取り付けるための方法であって、
前記締結具は、
長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、
前記第2の端部に設けられたヘッドと、
前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端を含む前記ねじ山と、を備え、
前記方法は、
前記基材に取り付けられるべき前記締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴を形成するステップと、
350cP以下の粘度を持つ接着剤で前記穴を充填するステップと、
前記ねじ山が前記穴に完全に挿入されたときに、前記接着剤が前記シャンクと前記ねじ山とに隣接する前記基材の部分に押し込まれるように、前記締結具を前記穴の中にむけて回転させるステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記充填するステップが、150cP以下の接着剤を前記穴に充填するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記回転させるステップが、前記接着剤のゲルタイムが経過する前に実行される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記充填するステップの前に、強制空気を用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記充填するステップの前に、ブラシを用いて前記穴をクリーニングするステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記接着剤を硬化させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記基材がコンクリートである、項目1に記載の方法。
(項目8)
締結構造体であって、
基材と、
前記基材に取り付けられるべき締結具のシャンク呼び径である直径を有する穴と、
前記基材内の孔内の締結具であって、前記締結具は、長さを規定する第1の端部および第2の端部を有するシャンクと、前記第2の端部に設けられ、前記基材の上面に隣接するヘッドと、前記シャンクに設けられたねじ山であって、前記基材に挿入されたときに前記基材の一部を除去するように適合された前端および後端とを含む前記ねじ山と、を備え、前記ねじ山は、前記孔の長さに沿って前記基材に埋め込まれている、前記締結具と、
350cP以下の取り付け粘度を有する接着剤であって、前記孔の壁部および埋め込まれた前記締結具の前記ねじ山に隣接する前記基材に埋め込まれる前記接着剤と、
を備える、締結構造体。
(項目9)
前記接着剤が150cP以下の取り付け粘度を有する、項目8に記載の構造体。
(項目10)
前記基材がコンクリートである、項目8に記載の構造体。
【国際調査報告】