(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】フィールド機器境界面のシールおよび電気絶縁
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01L19/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518557
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022028949
(87)【国際公開番号】W WO2023048774
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,アンドリュー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホルム,ヤコブ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,シドニィ,ジェーン
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB05
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF38
2F055GG25
2F055HH11
(57)【要約】
【解決手段】工業プロセスフィールド機器(102)は、圧力センサ(126)と、圧力センサを収容するハウジング(144)とを含む。ハウジング(144)はベース境界面(150)および第1ベースプロセス開口部を有するベース(146)を含む。フランジ(155)はベース(146)に装着されて、第1フランジプロセス開口部を有するフランジ境界面(152)を含む。第1フランジプロセス開口部の圧力(126)は第1ベースプロセス開口部を通して圧力センサ(126)に伝えられる。ガスケット(115)の第1ガスケットプロセス開口部(170)は、第1ベースプロセス開口部および第1フランジプロセス開口部に整列される。ガスケット(115)の第1表面がベース境界面(150)に係合し、ガスケット(115)の第2表面がフランジ境界面(152)に係合する。誘電体絶縁システム(120)は、フランジ(155)を通して伝導される電流からハウジング(114)を絶縁する少なくとも1つの誘電体層(184)を含む。各誘電体層(184)は、セラミック材料の層、陽極酸化層、またはプラスチックオーバーモールドを含む。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド機器アセンブリであって、
圧力センサ、および
前記圧力センサを収容し、
第1ベースプロセス開口部を有するベース境界面を含む
ベースを備えるハウジング、
を備える工業プロセスフィールド機器と、
前記ハウジングの前記ベースに装着されて、第1フランジプロセス開口部を有するフランジ境界面を含み、前記第1フランジプロセス開口部の圧力が前記第1ベースプロセス開口部を通って前記圧力センサに伝えられる、フランジと、
前記第1ベースプロセス開口部および前記第1フランジプロセス開口部と整列される第1ガスケットプロセス開口部、前記ベース境界面と係合する第1表面、および前記第1表面とは反対側で前記フランジ境界面に係合する第2表面を含む、ガスケットと、
前記フランジを通って伝導される電流から前記ハウジングを絶縁する少なくとも1つの誘電体層を含み、前記少なくとも1つの誘電体層の各々が、
セラミック材料の層、および/または
陽極酸化層を含む、誘電体絶縁システムと、を備える
フィールド機器アセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つは金属表面上に前記セラミック材料の層を含む、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つはプラスチック材料でオーバーモールドされた前記セラミック材料の層を含む、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つは前記陽極酸化層を含む、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項5】
前記ガスケットは、金属表面上に前記セラミック材料の層を形成するセラミックコーティングを有する金属体を含む、請求項2に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項6】
前記ガスケットは、前記陽極酸化層を含む外面を有する金属体を含む、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項7】
前記ベース境界面が第2ベースプロセス開口部を含み、
前記フランジ境界面が第2フランジプロセス開口部を含み、
前記第2フランジプロセス開口部の圧力は、前記第2ベースプロセス開口部を通って、第2圧力検知ライン経由で前記圧力センサに伝えられ、
前記ガスケットは前記第2ベースプロセス開口部および前記第2フランジプロセス開口部と整列される第2ガスケットプロセス開口部を含み、
前記ガスケットは前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを含む、
請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項8】
前記アセンブリは複数のボルトおよび複数のボルトスペーサを含み、
各ボルトが前記ベースおよび前記フランジを貫通し、さらに前記ボルトを前記ベースまたは前記フランジから分離する前記ボルトスペーサの1つを通って延びており、
前記ボルトスペーサの各々は前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを含む、
請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項9】
前記複数のボルトスペーサの各々は、前記セラミック材料の層を形成するセラミック材料から作られる一部分を含む、請求項8に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項10】
前記ボルトスペーサの各々は、前記ベースまたは前記フランジの対応する孔内に受け入れられるように構成されるスリーブ部と、前記スリーブ部の端部に装着される肩部とを含み、前記肩部が前記スリーブ部の外径よりも大きい直径を有し、セラミック材料から作られる前記部分を含む、請求項9に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項11】
セラミック材料から作られる前記ボルトスペーサの各々の前記部分はプラスチック材料でオーバーモールドされている、請求項10に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項12】
前記複数のボルトスペーサの各々は前記セラミック材料の層で被覆された金属体を含み、これが前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを形成する、請求項8に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項13】
前記複数のボルトスペーサの各々は前記陽極酸化層を含む外面を有する金属体を含み、これが前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを形成する、請求項8に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項14】
前記ベース境界面の表面および/または前記フランジ境界面の表面は前記セラミック材料の層を含み、これが前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを形成する、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項15】
前記ベース境界面の表面および/または前記フランジ境界面の表面は前記陽極酸化層を含む外面を有する金属体を含み、これが前記少なくとも1つの誘電体層のうちの1つを形成する、請求項1に記載のフィールド機器アセンブリ。
【請求項16】
ガスケットを含む誘電体絶縁システムであって、
金属体と、
誘電体層と、を備えており、前記誘電体層が、
前記金属体の外面上のセラミックコーティング、
前記金属体の陽極酸化外面、および
プラスチックでオーバーモールドされた金属、のうちの1つを備える、
誘電体絶縁システム。
【請求項17】
前記誘電体層は前記金属体の前記外面上の前記セラミックコーティングを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記誘電体層は前記金属体の前記陽極酸化外面を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記陽極酸化外面は前記金属体の前記外面上の陽極層を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
ボルトスペーサを含む誘電体絶縁システムであって、
スリーブ部と、
前記スリーブ部の端部に装着されて、前記スリーブ部の外径よりも大きい直径を有する肩部と、
前記スリーブ部および前記肩部がセラミック体を含む、セラミック体、
前記肩部がプラスチック材料でオーバーモールドされたセラミック材料を含む、プラスチック材料でオーバーモールドされたセラミック材料、
前記スリーブ部および前記肩部が金属体を含む、陽極酸化外面を有する金属体、
前記スリーブ部および前記肩部が金属体を含む、金属体の外面上にセラミックコーティングを有する金属体、
前記肩部がプラスチック材料でオーバーモールドされた金属体を含む、プラスチック材料でオーバーモールドされた金属体、および、
前記スリーブ部および前記肩部がプラスチック材料でオーバーモールドされた金属体を含む、プラスチック材料でオーバーモールドされた金属体、
のうちの1つを含む誘電体層と、を備える、
誘電体絶縁システム。
【請求項21】
前記誘電体層は前記セラミック体を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記誘電体層はプラスチック材料でオーバーモールドされた前記セラミック材料を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記誘電体層は前記陽極酸化外面を有する前記金属体を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記誘電体層は前記外面上に前記セラミックコーティングを有する前記金属体を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記誘電体層は前記プラスチック材料でオーバーモールドされた前記金属体を含む、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は工業プラントの工業プロセス制御システムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、例えば、プロセス境界面を通して伝導される陰極防食法の電流からフィールド機器の電子機器を保護するために、工業プロセスフィールド機器に誘電体絶縁を施すことに関する。
【背景技術】
【0002】
工業環境では、工業プロセスおよび化学プロセスの在庫、および同様なものをモニタリングして制御するために、制御システムが使用される。典型的には、制御システムは、工業プロセスの重要な場所で分散させてプロセス制御ループによって制御システム内の制御回路部に結合される工業プロセスフィールド機器を使用して、これらの機能を行う。「フィールド機器」という用語は、現在公知であるかこれから公知になるすべての機器を含め、工業プロセスの測定、制御および/またはモニタリングで使用される分散型制御またはプロセスモニタリングシステム内で機能を行うあらゆる機器をいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的なフィールド機器は、1つもしくは複数のセンサを使用したプロセスパラメータのモニタリングおよび測定、並びに/または1つもしくは複数の制御機器を使用したプロセス制御動作など、従来のフィールド機器のタスクをフィールド機器に行わせることができる機器回路部を含む。例示的なセンサは圧力センサ、レベルセンサ、温度センサおよび工業プロセスで使用される他のセンサを含む。例示的な制御機器は、アクチュエータ、ソレノイド、バルブおよび他の制御機器を含む。
【0004】
フィールド機器の機器回路部は、センサおよび/または制御機器を制御し、例えば、4-20mAのプロセス制御ループなどのプロセス制御ループを介して、プロセス制御システムまたは他の回路部と通信するために使用されるコントローラも含んでもよい。ある施設では、プロセス制御ループは、フィールド機器に給電するためにフィールド機器に規制電流および/または電圧を送出するために使用される。プロセス制御ループは、検知したプロセスパラメータに対応するプロセスパラメータ値などのデータも運ぶことができる。このデータは、プロセス制御ループを介して、アロログ信号として通信されても、またはデジタル信号として通信されてもよい。
【0005】
陰極防食法とは、多くの工業用途で、構造物を電気化学セルの陰極側にすることによって、パイプやタンクなどの金属構造物を腐食から保護するために使用される技術である。例えば、大型のパイプライン構造物は、構造物をDC電源に接続する外部電源方式陰極防食システムを使用してもよい。このような陰極防食法が構造物に実装されているとき、構造物に結合されているフィールド機器をフィールド機器の電子機器を保護するためにこの手法から電気絶縁する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、誘電体絶縁システムを含むフィールド機器アセンブリと、工業プロセスフィールド機器アセンブリで使用するための誘電体絶縁システムとを含む。フィールド機器アセンブリの一実施形態は工業プロセスフィールド機器を含み、これは圧力センサと、圧力センサを収容するハウジングとを含む。ハウジングはベース境界面および第1ベースプロセス開口部を有するベースを含む。フランジはベースに装着されて、第1フランジプロセス開口部を有するフランジ境界面を含む。第1フランジプロセス開口部の圧力は、第1ベースプロセス開口部を通して圧力センサに伝えられる。ガスケットの第1ガスケットプロセス開口部は、第1ベースプロセス開口部および第1フランジプロセス開口部と整列している。ガスケットはベース境界面と係合する第1表面と、第1表面の反対側で、フランジ境界面と係合する第2表面とを含む。少なくとも1つの誘電体層を含む誘電体絶縁システムは、フランジを通って伝導される電流からハウジングを絶縁する。少なくとも1つの誘電体層の各々は、セラミック材料の層、陽極酸化層またはプラスチックオーバーモールドを含む。
【0007】
誘電体絶縁システムの一実施形態は、金属体および誘電体層を有するガスケットを含む。誘電体層は金属体の外面上のセラミックコーティング、または金属体の陽極酸化外面を含む。
【0008】
誘電体絶縁システムの別の実施形態は、スリーブ部、スリーブ部の端部に装着される肩部、および誘電体層を有するボルトスペーサを含む。肩部はスリーブ部の外径よりも大きい直径を有する。誘電体層は、スリーブ部および肩部を形成するセラミック体、プラスチック材料でオーバーモールドされて肩部を形成するセラミック材料、陽極酸化外面を有する金属体であって、前記金属体がスリーブ部および肩部を形成する金属体、または金属体の外面上にセラミックコーティングを有する金属体であって、前記金属体がスリーブ部および肩部を形成する金属体を含む。
【0009】
本概要は、以下の詳細な説明で詳しく説明する概念の抜粋を簡潔な形で紹介するために提供される。本概要は請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものでも、請求される主題の範囲を決定する一助として使用されることを意図するものでもない。請求される主題は背景に記載されるいずれかの、または全部の欠点を解決する実施態様に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】先行技術による、工業プロセス制御システムの例の簡略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、プロセス境界面から分解したフィールド機器アセンブリの実施例の等角図である。
【
図3】本開示の実施形態による、プロセス境界面に取り付けた
図2のフィールド機器アセンブリの等角図である。
【
図4】本開示の実施形態による、フィールド機器アセンブリの実施例の側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図4のフィールド機器アセンブリの分解等角図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図4のフィールド機器アセンブリの一部分の簡略断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、圧力トランスミッタの形態のフィールド機器の実施例の簡略ブロック図である。
【
図8】本開示の実施形態による、大略的に線8-8に沿って切断された
図5のアセンブリの一部分の簡略断面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、ガスケットの実施例の底面図である。
【
図10】本開示の実施形態による、マニホールドおよびガスケットの実施例の等角図である。
【
図11】本開示の実施形態による、ガスケットの実施例の等角図である。
【
図12】本開示の実施形態による、フィールド機器アセンブリの境界面における電気絶縁システムの実施例の簡略図である。
【
図13】本開示の実施形態による、誘電体絶縁システムの構成要素を形成するボルトスペーサの実施例の等角図である。
【
図14】本開示の実施形態による、
図13のボルトスペーサの断面図である。
【
図15】本開示の実施形態による、
図13のボルトスペーサの断面図である。
【
図16】本開示の実施形態による、誘電体絶縁システムの構成要素を形成するフィールド機器アセンブリのガスケットの実施例の一部分の簡略断面図である。
【
図17】本開示の実施形態による、金属体の表面上に陽極酸化材料または層を形成するための技術の実施例の簡略断面図である。
【
図18】本開示の実施形態による、金属体の表面上に陽極酸化材料または層を形成するための技術の実施例の簡略断面図である。
【
図19】本開示の実施形態による、金属体の表面上に陽極酸化材料または層を形成するための技術の実施例の簡略断面図である。
【
図20】本開示の実施形態による、金属体の表面上に陽極酸化材料または層を形成するための技術の実施例の簡略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態を、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明する。同じまたは同様な参照文字を使用して識別される要素は、同じまたは同様な要素を示す。本開示のさまざまな実施形態は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に制限されると解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は本開示を徹底した完全なものとし、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0012】
図1は、先行技術による、例示的な工業プロセス測定または制御システム100の簡略図である。システム100は、材料を低価値の状態から、石油、化学品、紙、食品等といった、より価値のある有益な製品に変換するために、材料の加工において使用される。例えば、石油精製所は、原油をガソリン、燃料油および他の石油化学製品に加工することができる工業プロセスを行う。
【0013】
システム100はフィールド機器アセンブリ101を含み、これは工業プロセスフィールド機器102、トランスミッタフランジまたはアダプタ103、マニホールド104、並びに/またはマニホールド104およびフィールド機器102を工業プロセス108に接続するプロセス境界面106を含む。いくつかの実施形態において、プロセス108は、パイプ、タンクまたは別のプロセス容器などのプロセス容器110により収容または搬送される、流体(すなわち、液体または気体)などのプロセス材料を必要とする。
【0014】
陰極防食システム112は、パイプ110に、またはタンクなど、フィールド機器102を装着する他の構造物に腐食保護を施すために使用することができる。陰極防食システム112は、例えば、外部電源方式陰極防食システムまたはガルバニック陰極防食システムなど、任意の適切な形態を取ることができる。
【0015】
図2は、本開示の実施形態による、プロセス境界面106から分解したフィールド機器アセンブリ101Aの実施例の等角図であり、
図3はプロセス境界面106に取り付けられた
図2のアセンブリ101Aの等角図である。ここで、アセンブリ101Aのフィールド機器102はアダプタ103に取り付けてもよく、これはプロセス境界面106に取り付けられるマニホールド104に取り付けられる。アダプタ103は、フィールド機器102の流路をマニホールド104の流路に略適合させる。アセンブリ101Aは、フィールド機器102とアダプタ103との接合部または境界面113A、アダプタ103とマニホールド104との接合部113B、およびマニホールド104とプロセス境界面106との接合部113Cで、従来の技術および/または本明細書に説明される技術を使用して、封止されて陰極防食システム112から電気的に絶縁されることができる。アセンブリ101Aは4つの潜在的なリークパスの封止を必要とする。リークパスのうちの3つは境界面または接合部113A~113Cに位置し、リークパスのうち1つはプロセス境界面106とプロセス108との接合部に位置する。
【0016】
あるいは、フィールド機器アセンブリ101Bは、
図4の側面図および
図5の分解等角図に図示されるように、マニホールド104に直接取り付けられるフィールド機器102を備えてもよい。
図4は、仮想線で示されるプロセス境界面106およびプロセス108へのフィールド機器アセンブリ101Bの装着も模式的に示す。このフィールド機器アセンブリ101の実施形態は、潜在的なリークパスの数を3つに減らす。例えば、アセンブリ101Bはプロセス境界面106とプロセス108との間のリークパスと、マニホールド104とプロセス境界面106との間のリークパス113Cとを含むが、アダプタ103に関連する2つのリークパス113Aおよび113Bを、マニホールド104とフィールド機器102との間の1つのリークパス113Dに取り替える。したがって、フィールド機器アセンブリ101Bは、アセンブリ101Aよりも好ましいことがある。
【0017】
本開示の実施形態は、全体をフィールド機器アセンブリ101ということもあるフィールド機器アセンブリ101Aおよび101Bとともに、他のフィールド機器アセンブリ構成に適用できることは理解される。
【0018】
フィールド機器アセンブリ101は、
図2および
図5に図示される、潜在的なリークパスである上記示した境界面113のうちの1つまたは複数にガスケット115を含むことができる。ガスケット115の各々はアセンブリ101の構成要素間の境界面113を通る流路を封止するように作用する。加えて、アセンブリ101の境界面113に形成されるシールは、必要な場合、所望の封止を与えるために、Oリングおよび他の構成要素を含んでもよい。例えば、Oリング118は、本開示の実施形態による、境界面113Dにおけるフィールド機器アセンブリ101Bの部分断面図である、
図6に示されるように、アセンブリ101Bの境界面113Dでフィールド機器102とガスケット113との間にシールを形成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、フィールド機器101Aおよび101Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態により形成される、
図2および
図4に示されるような誘電体絶縁システム120(仮想線)をそれぞれ含む。システム120は、例えば、システム112(
図1)によって実装される陰極防食法により生成されるものなど、プロセス境界面106およびアセンブリ101の他の構成要素を通して伝導されうる電荷および電流からフィールド機器102の電子機器121(
図4)を保護する作用をする。
【0020】
システム120は、大略的に、例えば、フィールド機器102とフィールド機器101A(
図3)のアダプタ103との間の境界面113Aで、またはフィールド機器102とアセンブリ101B(
図4)のマニホールド104との間の境界面113Dでなど、フィールド機器102またはフィールド機器102の電子機器をプロセス境界面106を通って伝導される電荷または電流から絶縁する1つまたは複数の誘電体層を含む。当業者は、例えば、境界面113Bおよび/または113C(
図2)など、所望の電気絶縁を施しながら、システム120の1つまたは複数の誘電体層がフィールドアセンブリ101Aまたは101Bの他の境界面に位置してもよいことを理解する。したがって、システム120の実施形態の例はアセンブリ101Bのマニホールド104とフィールド機器102との間の境界面113Dを参照して説明するかもしれないが、開示される実施形態はアセンブリ101Bの他の境界面113とともに、アセンブリ101Aの境界面113にも関係することは理解される。したがって、境界面113Dに関係して説明される実施形態は、これら他の境界面にも適用することができる。
【0021】
システム120の実施形態を詳細に説明する前に、フィールド機器102の特徴を、
図1と、本開示の実施形態による圧力トランスミッタの形態の例示的なフィールド機器102の簡略ブロック図である
図7を参照して説明する。
【0022】
フィールド機器102は、フィールド機器102を制御するように構成することのできるコンピュータ化された制御ユニット122と通信することができる。制御ユニット122は、
図1に図示するように、システム100の制御室内など、フィールド機器102から遠隔に配置することができる。制御ユニット122は、2線式制御ループ123などの適切な物理的通信リンク、または無線通信リンクでフィールド機器102に通信可能に連結することができる。
【0023】
制御ユニット122とフィールド機器102との通信は、従来のアナログおよび/またはデジタル通信プロトコルに従って、制御ループ123を介して行ってもよい。いくつかの実施形態において、プロセス制御ループ123は4~20ミリアンプのプロセス制御ループを含み、そこではプロセス変数はプロセス制御ループ123を流れるループ電流I(
図7)のレベルによって表されてもよい。例示的なデジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格によるものなど、デジタル信号の2線式プロセス制御ループ123のアナログ電流レベルへの変調を含む。フィールドバスおよびプロフィバス通信プロトコルを含め、他の純粋なデジタル技術も採用してもよい。IEC 62591などのワイヤレスプロトコルも採用してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、フィールド機器102はプロセス108の単一圧力または差圧を検知するように構成される圧力トランスミッタの形態である。フィールド機器は、
図7に図示するように、コントローラ124、1つまたは複数の圧力センサ126、測定回路部128、デジタル・アナログ変換器(DAC)130、通信回路132および/または端子台134を含む。
【0025】
コントローラ124は指示の実行に応答して本明細書で説明される1つまたは複数の機能を行うために、フィールド機器102の構成要素を制御する1つまたは複数のプロセッサ(すなわち、マイクロプロセッサ、中央処理装置等)としてもよく、該指示は、機器102の非一時的なコンピュータ可読媒体またはメモリ136にローカルに格納することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ124のプロセッサは、1つまたは複数のコンピュータベースのシステムの構成要素である。コントローラ124は1つまたは複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの1つまたは複数のプログラマブルハードウェアコンポーネントを含むことができ、これらを使用して機器102の構成要素を本明細書で説明する1つまたは複数の機能を行うように制御する。コントローラ124は他の従来のフィールド機器回路部としてもよい。
【0026】
マニホールド104のバルブ類125は、従来のマニホールド104に従い、プロセス境界面106を通してなど、フィールド機器102をプロセス108に曝すように調整することができる。これにより、フィールド機器102は、
図7のブロック126によって表される1つまたは複数の圧力センサを使用して、プロセス108の圧力または差圧を検知または測定することができる。
【0027】
測定回路部128はセンサ126と相互作用する回路部を表す。例えば、回路部128はセンサ126からの出力をフィールド機器102のコントローラ124によって使用するために変換する回路部を含むことができる。
【0028】
DAC130はコントローラ124によって、例えば、センサ126で検知されるプロセスパラメータの値を示すためにループ電流Iを調整することによって、2線式プロセス制御ループ123を介してなど、通信回路132を使用して、デジタル信号を制御ユニット122に通信されるアナログ信号に変換するために使用することができる。コントローラ124は従来の技術を使用して通信回路132を通して制御ユニット122からの通信を受信することもできる。
【0029】
フィールド機器102は、
図4に示されるように、フィールド機器102の電子機器121を取り囲み、環境条件から保護するハウジング144を含む。ハウジング144は、
図3および
図4にそれぞれ示されるように、ボルト148を使用してアダプタ103またはマニホールド104に取り付けることのできるベース146を含む。
【0030】
図8は、アセンブリ101Bが組み立てられたときに(
図4)、大略的に
図5の線8-8に沿って切断されたアセンブリ101Bの一部分の簡略断面図である。いくつかの実施形態において、フィールド機器102とマニホールド104との間の境界面113Dは、ベース146のベース表面または境界面150と、マニホールド104のフランジ155のフランジ表面または境界面152(例えば、同一平面上の境界面)との間に形成される。境界面152は、マニホールドプロセス開口部154Aおよび154Bなど、マニホールド104のフランジ155の平面にそれぞれ整列している1つまたは複数のマニホールドプロセス開口部154を含む。
【0031】
同一平面上の境界面152はマニホールド104のフランジ155上に形成されるように描かれているが、フィールド機器アセンブリ101の実施形態は、図示されるマニホールド104の代わりに、アダプタ103のフランジ、伝統的なフランジ、同一平面上フランジ、ドイツ規格協会(DIN)のフランジ、または他のフランジなど、境界面152を有する任意の適切なフランジを利用できることは理解される。したがって、いくつかの実施形態において、フランジ155はこれらのフランジを表し、マニホールド104のフランジに制限されない。このように、本開示の実施形態が関係するフィールド機器アセンブリ101の実施形態は、例えば、フィールド機器102、境界面152を有するフランジ155(例えば、フランジ境界面)および1つまたは複数の開口部154の組合せを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、開口部154Aおよび154Bは、
図8に図示するように、流体通路156Aおよび156Bなど、マニホールド104(すなわち、フランジ155)の対応する流体通路156に対して開いている。流体通路156Aおよび156Bは、
図4に図示するように、適切なプロセス境界面106を通してプロセス108に結合することができる。マニホールド境界面152は実質的に平らにすることができる。
【0033】
ベース境界面150は、ベースプロセス開口部158Aおよび158Bなど、対応するマニホールドプロセス開口部154Aおよび154Bと整列するように構成される1つまたは複数のベースプロセス開口部158を含む。ベースプロセス開口部158はフィールド機器102の1つまたは複数のセンサ126を通路156を通してマニホールド104によって提供されるプロセスに曝させる。ベース境界面150は実質的に平らにすることができる。
【0034】
1つまたは複数のマニホールドプロセス開口部154およびベースプロセス開口部158は、プロセス境界面106を通して伝えられるプロセス108のプロセスパラメータにセンサ126を曝すために使用することができる。例えば、
図8に図示されるフィールド機器102は、ダイヤフラム160Aおよび160Bを含む差圧トランスミッタの形態であり、該ダイヤフラムは、マニホールドプロセス開口部154Aおよび154B並びにベースプロセス開口部158Aおよび158Bを通してマニホールド104の通路156Aおよび156B内のプロセス108の圧力P1およびP2にそれぞれ曝される。ダイヤフラム160Aおよび160Bは圧力P1およびP2を受けて湾曲する。湾曲しているダイヤフラム160Aおよび160Bは、検知された圧力をライン162Aおよび162Bを通して圧力センサ126に伝えるが、当該ラインには油圧流体を充填してもよい。測定回路部128はセンサ126から1つまたは複数の信号を受信して、矢印164で示される差圧信号を生成することができる。コントローラ124は、信号164によって示される差圧測定値を、
図7を参照して上記説明したように、2線式プロセス制御ループ123を介して電流Iを調整するなど、任意の適切な技術を使用して制御ユニット122に伝えることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、ガスケット115、および任意で、Oリング118は、マニホールドプロセス開口部154Aおよび154Bとベースプロセス開口部158Aおよび158Bとの間の境界面113Dで封止通路165Aおよび165Bを形成するように作用して、境界面113Dでのプロセス流体の漏れを防止し、適切なプロセス測定(例えば、圧力測定)が行われることを確実にする。
【0036】
図3、
図4および
図8の例示的なフィールド機器102は差圧トランスミッタの形態とすることができるが、本開示の実施形態は差圧トランスミッタに制限されないことは理解される。すなわち、本明細書で説明するシステム120の実施形態は、例えば、圧力を測定する、温度を測定する、流量を測定する、別のプロセスパラメータを測定する、および/またはプロセスを制御するフィールド機器など、誘電体絶縁を施すのにシステム120が有用でありうる他のタイプのフィールド機器102およびアセンブリ101とともに使用してもよい。
【0037】
ガスケット115は、通路165Aおよび165Bなど、境界面113Dで1つまたは複数の通路を封止するための任意の適切な形態をとることができる。
図9は、通路165Aおよび165Bを封止するように構成されるガスケット115の実施例の底面図である。ガスケット115は、ベースプロセス開口部158およびマニホールドプロセス開口部154に対応する1つまたは複数のガスケットプロセス開口部170を含む。例えば、ガスケット115は、
図10に図示されるように、対応するベースプロセス開口部158Aおよび158Bとマニホールドプロセス開口部154Aおよび154Bにそれぞれ整列するガスケットプロセス開口部170Aおよび170Bを含んでもよく、
図10はガスケット開口部170とマニホールド開口部154との整列を図示する例示的なマニホールド104の等角図である。ガスケット115は、マニホールド104をベース146に装着するためにボルト148が貫通することのできるボルト開口部171も含んでもよい。ガスケット115は、通路165Aおよび165B並びに境界面113Dを封止するために、表面150と152との間に締め付けられる。
図9のガスケット115は、開口部170Aおよび170Bの周りに、通路165Aおよび165Bの封止を助ける環状突部174を含んでもよい。
【0038】
図11は、通路165のうちの1つを封止するために、1つのガスケットプロセス開口部170を有するガスケット115の実施例の等角図である。このように、フィールド機器102を個別の通路165を通して2つのプロセスパラメータ(例えば、プロセス圧力)に結合するように構成するとき、ガスケット115のうちの1つを、
図2に図示されるように、境界面113Cで通路165の各々に使用してもよい。ガスケット115は、マニホールド104をベース146に接続するボルトが貫通することのできるボルト開口部または切抜き穴172を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ガスケット115は開口部170の周りに、封止機能を助ける環状突部174を含む。
【0039】
図12は、フィールド機器アセンブリ101の金属構成要素180と182との間の境界面113において、本開示の実施形態による電気絶縁システム120の特徴を示す簡略断面図である。システム120は、フィールド機器102を境界面106またはプロセス容器110から電気絶縁し、システム112(
図1)によるなど、プロセス容器110に実装される陰極防食法からフィールド機器102の電子機器121を保護するように作用する1つまたは複数の誘電体層184を含む。その結果、システム120は、フィールド機器102の電子機器121(
図4)を保護するために、フィールド機器のハウジング144とマニホールド104、アダプタ103(存在する場合)、プロセス境界面106(
図3および
図4)およびプロセス容器110との間の導電路がなくなる。
【0040】
いくつかの実施形態において、誘電体層184は構成要素180および182間の境界面113を封止するガスケット115の一部分、構成要素180の表面186の一部分、および/または構成要素182の表面188の一部分を形成してもよい。例えば、構成要素180はベース146としてもよく、構成要素182は、マニホールド104のフランジ155(境界面113D)、アダプタ103のフランジ(境界面113A)またはベース146に装着される別のフランジなど、フランジとしてもよい。ここで、誘電体層184の実施形態は、例えば、構成要素180と182との間のシール(例えば、境界面113Aもしくは113Bを封止する)、表面186に対応するベース146の表面150上のコーティングもしくは層、および/または表面188に対応するマニホールド104もしくはアダプタ103のフランジの表面152上のコーティングもしくは層を形成するように作用する、ガスケット115のコーティングまたは層を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、
図12に図示される境界面113はボルト148のうちの1つとベース146またはマニホールド104との境界面または接合部としてもよく、絶縁システム120は、
図2および
図5に図示されるように、ボルト148のうちの1つが貫通するボルトスペーサ190の一部分を形成してもよい。ここで、ボルトスペーサ190の誘電体層184は、電流がボルト148を通してベース146とマニホールド104との間を伝わるのを防止する。
【0042】
システム120の各誘電体層184は様々な形態をとることができる。一実施形態において、誘電体層184はセラミック材料の層を含む。一実施形態において、セラミック材料の層184はアルミナを含み、これは化学気相成長法または別の適切な技術により金属体180および/または182に塗布することができる。誘電体層184のうちの1つを形成することのできる適切なセラミック材料の他の例は、二酸化ケイ素(SiO2)もしくは二酸化チタン(TiO2)などのナノポリマー接着コーティング、またはセラコート(エポキシ・セラミック配合物)などのスプレー式コーティングを含む。いくつかの実施例において、セラミック材料の層184は厚さが約300マイクロメートルで、層184がアルミナから作られるとき、層184は約DC2500Vの電気に耐えるはずである。層184の厚さを増減して、所望の電気絶縁を施すことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、セラミック材料の層184は、
図12に示されるように、表面186および/または表面188、例えば、ベース146の金属表面150、および/またはマニホールド104のフランジ155もしくはアダプタ103のフランジの金属表面152などに形成してもよい。セラミック材料の層184は、以下述べるように、ガスケット115またはボルトスペーサ190を形成する金属体に塗布してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、システム120を形成する1つまたは複数の誘電体層184は、
図12の仮想線で示される層192A~192Cなどの多数の層192を含む。例えば、いくつかの実施形態において、層184は、例えば、PEEK、Delrin(登録商標)(アセタールホモプライマー)、ナイロン、Santoprene
TM、および他の熱可塑性エラストマーなどのプラスチック材料の層192Bおよび/または層192Cでオーバーモールドされたセラミック材料の層192Aを含む。
【0045】
さらに別の実施形態において、誘電体層184は、陽極酸化した金属体または金属体上の陽極酸化コーティング上に形成されるものなど、陽極酸化層または陽極層を含む。金属体がアルミニウムの場合、陽極酸化層または陽極層184は約900~1000ボルト/ミルの破壊電圧を提供するはずである。いくつかの実施形態において、陽極酸化層または陽極層184は約0.0025インチの厚さにすることができ、これは約2250~2500ボルトから絶縁を提供するはずである。
【0046】
誘電体層184は、ベース146の表面150としてもよい金属表面186上、および/またはマニホールド104のフランジ155、アダプタ103のフランジ、もしくはベース146に接続される別のフランジの表面152としてもよい金属表面188上の陽極酸化層によって形成することができる。ガスケット115またはボルトスペーサ190を形成する金属体も、以下で述べるように、誘電体層184の陽極酸化層形態を含んでもよい。
【0047】
図13は、本開示の実施形態による、誘電体絶縁システム120の構成要素を形成するボルトスペーサ190の実施例の等角図であり、
図14および
図15は
図13のボルトスペーサ190の断面図である。
図13に図示されるように、ボルトスペーサ190はスリーブ部200とスリーブ部200の端部204に装着される肩部202を含んでもよい。スリーブ部200は、一般に、ベース146またはマニホールド104の孔内に挿入されるように構成され、
図5に大略的に図示されるように、ボルト148のうちの1つが貫通することができる孔206を含む。肩部202はスリーブ部200およびスリーブ部200が挿入される孔よりも大きい外径を有し、ボルト148またはボルト148に装着されるナットの頭をボルトスペーサ190が挿入されるベース146またはマニホールド104から分離し、
図4に図示するように、ボルトスペーサ190をベース146またはマニホールド104の孔に挿入できる距離を制限する。
【0048】
商標Derlin(登録商標)で販売されるポリオキシメチレン(POM)から作られるものなど、従来のプラスチック製のガスケットおよびボルトスペーサはクリープおよび環境劣化を受ける。加えて、プラスチック製のガスケットおよびボルトスペーサは圧力定格が限られる。その結果、従来のプラスチック製のガスケットおよびボルトスペーサは、一般に、高圧用途(例えば、6k~10k psi)には適しておらず、寿命が短く頻繁な交換が必要である(例えば、3~12ヶ月毎に)。POMの代わりとしてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を使用してもよいが、POMの問題点をほとんど改善しない。
【0049】
一実施形態において、フィールド機器アセンブリ101のボルトスペーサ190の各々のスリーブ部200および肩部202は、セラミック材料を含み、またはセラミック材料から作られる。そのため、ボルトスペーサ190はスリーブ部200および肩部202を形成するセラミック体を含むことができる。したがって、各ボルトスペーサ190はシステム120の誘電体層184のうちの1つを形成する。ボルトスペーサ190のこの実施形態は5,000lbf以上の高い締付力に対応することができると判断されており、この力は一般にフィールド機器アセンブリにおける同一平面上の境界面について公開される機器の使用圧力を達成するために必要である。ボルトスペーサ190のセラミック形態は、PEEKなどの他の材料から作られるボルトスペーサよりも、高い締付力での変形の減少などの利点を提供する。
【0050】
図14に図示される実施形態において、ボルトスペーサ190は肩部202にセラミック材料210のリングを含み、誘電体層184のセラミック材料の層を形成する。一実施形態において、セラミック材料210のリングはプラスチック材料212でオーバーモールドされる。したがって、セラミック材料210のリングは
図12に図示される誘電体層184の層194Aに略対応し、オーバーモールドされたプラスチック材料212は層192Bおよび192Cに略対応する。
【0051】
オーバーモールドプラスチック212は、
図14に示されるように、スリーブ部200も形成してもよい。セラミック材料210のリングはボルトスペーサ190に剛性を加えて、誘電体絶縁に必要な電気絶縁特性を与えながらクリープを防止する。セラミック材料とプラスチック材料の組合せは、ボルトスペーサ190に、POMまたはPEEKから作られるものなどの従来の単一材料のボルトスペーサを上回る改善された強度および電気絶縁特性を与える。
【0052】
セラミック材料210のリングによって提供される誘電体絶縁により、オーバーモールドプラスチック材料212はPEEKまたはPOMのような低性能プラスチックに制限されない。代わりに、プラスチックオーバーモールド材料212は、SantopreneTMまたは他の熱可塑性エラストマーなど、圧縮エネルギを提供するPEEKまたはPOMと比べて軟らかいプラスチックを含むことができる。
【0053】
図15に図示される実施形態において、ボルトスペーサ190は、スリーブ部200および肩部202の構造を形成する金属体214(例、ステンレススチール)と、金属体214の外面218を被覆するコーティングまたは層216とを含む。一実施形態において、層216は上記説明したセラミック材料の層192を含み、システム120の誘電体層184のうちの1つを形成する。
【0054】
別の実施形態において、コーティングまたは層216は上記述べた陽極酸化層を含み、ボルトスペーサ190上にシステム120の誘電体層184のうちの1つを形成する。
【0055】
別の実施例において、
図14に図示される例示的なボルトスペーサ190の材料210のリングは金属体から作られ、プラスチック212でオーバーモールドされる。同様に、
図15に図示されるボルトスペーサ190の実施形態は金属体214上のコーティング216としてプラスチックオーバーモールドを利用してもよい。
【0056】
図16は、本開示の実施形態による、誘電体絶縁システム120の構成要素を形成するフィールド機器アセンブリ101のガスケット115の実施例の一部分の簡略断面図である。ガスケット115は、ベース146と、マニホールド104のフランジ(
図4および
図5)、アダプタ103のフランジ(
図2および
図3)、またはベース146に装着される別のフランジなど、ベース146が装着されるフランジ155との間の境界面など、フィールド機器アセンブリの境界面113を封止するように構成することができる。ガスケット115はベース146のプロセス開口部158と整列するように構成される少なくとも1つのプロセス開口部170と、例えば、マニホールド104のプロセス開口部154など、ベース146に装着されるフランジ155のプロセス開口部とを含む。ガスケット115が
図9のガスケット115によって図示されるような2つのプロセス開口部170、
図11のガスケット115によって図示されるような1つのプロセス開口部170を含んでもよく、またはガスケット115がフィールド機器102のベース146およびベース146が接続されるフランジ155によって決まる別のプロセス開口部構成を有してもよいことは理解される。
【0057】
いくつかの実施形態において、ガスケット115は、
図16に図示されるように、金属体220と、上面224上の層222Aおよび/または底面226上の層222Bなどの少なくとも1つのコーティングまたは層222とを含む。層はシステム120の誘電体層184のうちの1つをそれぞれ形成することができる。したがって、
図12に図示される誘電体層184のうち、金属体220は層192Aに対応することができ、コーティングまたは層222Aは層192Bに対応することができ、コーティングまたは層222Bは層192Cに対応することができる。ガスケット115の金属体220は、変形の減少、寿命の延長、および最大使用圧力の上昇(例えば、6092~10k psi)など、そのプラスチック品を凌ぐ改良点を提供する。
【0058】
一実施形態において、1つまたは複数の層222の各々はシステム120の誘電体層184を形成するセラミック材料の層を含む。あるいは、1つまたは複数の層222の各々は誘電体層184のうちの1つを形成する陽極酸化材料または層を含んでもよい。
【0059】
金属体上に陽極酸化層または陽極層を含む誘電体層184の実施形態は、任意の適切な技術を使用して形成することができる。
図17~
図20は、ガスケット115(
図16)の金属体220の上面224もしくは底面226、ボルトスペーサ190(
図15)の金属体214の外面218、フィールド機器102のベース146の表面150、フランジ155(例えば、マニホールド104もしくはアダプタ103)の表面152、および/または誘電体絶縁システム120の誘電体層184のうちの1つを形成する別の金属表面など、金属体232の表面230上に陽極酸化層または陽極層を形成する技術の実施例の簡略断面図である。
【0060】
いくつかの実施形態において、金属体232はアルミニウム(例えば、6061アルミニウム)または別の適切な金属を含むことができる。当初、金属体220は汚れ、油または他の材料234で汚染された外面230を有していてもよく、
図17で示すように、1つまたは複数の欠陥236を含んでいてもよい。一実施形態において、表面230は任意の適切な技術を使用して清浄化され、および/または研磨されて、
図18に示す清浄な表面230が得られる。例えば、
図17の汚染した表面230はアルカリ性を使用して、または別の適切な技術により清浄化してもよい。
【0061】
金属体232は従来の陽極酸化技術を使用して陽極酸化することができ、
図19に図示されるように、表面230が陽極層238(例えば、多孔性酸化物層)に変わることになる。陽極層238はシステム120の誘電体層184のうちの1つを形成してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、陽極層238は、
図20に示されるように、エッチング外面240を提供するように酸エッチングすることもできる。これにより表面230により均一な外観を与えることができ、陽極層238の電気絶縁性を調整するために使用することもできる。
【0063】
本開示の実施形態を好適な実施形態を参照して説明してきたが、当該技術分野における当業者は、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。
【符号の説明】
【0064】
102…工業プロセスフィールド機器
115…ガスケット
120…誘電体絶縁システム
126…圧力センサ
144…ハウジング
146…ベース
150…ベース境界面
152…フランジ境界面
155…フランジ
170…第1ガスケットプロセス開口部
184…誘電体層
【国際調査報告】