(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ペットフード及び/またはペットフード成分における使用のための抗酸化特性を有する天然スモークフレーバー
(51)【国際特許分類】
A23K 20/111 20160101AFI20240905BHJP
A23K 10/30 20160101ALI20240905BHJP
A23K 30/10 20160101ALI20240905BHJP
A23K 50/42 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
A23K20/111
A23K10/30
A23K30/10
A23K50/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518577
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022076585
(87)【国際公開番号】W WO2023046927
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110447
【氏名又は名称】シーエフエス ノース アメリカ,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】524067886
【氏名又は名称】ケリー・グループ・サービシーズ・インターナショナル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kerry Group Services International Limited
【住所又は居所原語表記】Prince’s Street, Tralee, Co Kerry, V92 EH11 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】イゴウ,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デア ブレーク,マーク
(72)【発明者】
【氏名】セナナヤケ,エス.ピー. ジャナカ ナーマル
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA06
2B150AA06
2B150AB20
2B150AE02
2B150AE33
2B150BD01
2B150DA08
2B150DD45
2B150EA02
2B150EC02
(57)【要約】
ペットフード及び/またはペットフード成分の保存寿命を延長する、ペットフード及び/またはペットフード成分のための天然抗酸化剤。天然抗酸化剤は、天然液体スモークの部分から得られる天然スモーク抗酸化剤である。液体天然スモークフレーバーのフェノール部分(または「天然スモーク抽出物」)を含有するペットフードまたはペットフード成分。フェノール部分は、ペットフードまたはペットフード成分に対する抗酸化効果、例えば、脂肪及び油(脂肪には動物性脂肪が含まれ、油には植物油が含まれる)の酸化もしくは加水分解の遅延;または別の言い方をすれば、ペットフードもしくはペットフード成分の酸敗の遅延を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフードまたはペットフード成分のための天然スモーク抗酸化剤であって、
液体天然スモークから得られたフェノール抽出物
を含み、
前記フェノール抽出物が、前記ペットフードまたは前記ペットフード成分における脂肪及び油の酸化または加水分解を遅延させる機能を有する、
前記天然スモーク抗酸化剤。
【請求項2】
ペットフードまたはペットフード成分であって、
液体天然スモークから得られたフェノール抽出物を含む天然スモーク抗酸化剤
を含み、
前記フェノール抽出物が、前記ペットフードまたは前記ペットフード成分における脂肪及び油の酸化または加水分解を遅延させるのに十分な量で前記ペットフードまたは前記ペットフード成分に存在する、
前記ペットフードまたは前記ペットフード成分。
【請求項3】
前記フェノール抽出物の前記量が、任意の他の抗酸化剤の非存在下で、前記ペットフードまたは前記ペットフード成分における前記脂肪及び前記油の前記酸化または前記加水分解を遅延させるのに十分である、
請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項4】
前記フェノール抽出物の前記量が、前記ペットフードまたは前記ペットフード成分の総重量に基づいて約0.001重量%~約2重量%である、
請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項5】
前記ペットフードまたは前記ペットフード成分中の前記フェノール抽出物の前記量が、約200ppm~5000ppmである、
請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項6】
前記ペットフードまたは前記ペットフード成分が、動物性タンパク質からレンダリングされた脂肪、植物油、動物性タンパク質ミール、ペットフードキブル、ペットトリート、風味剤、ビタミン及び微量ミネラルプレミックス、動物飼料、ならびに水産飼料からなる群から選択される、
請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項7】
前記ペットフードまたは前記ペットフード成分が、前記動物性タンパク質からレンダリングされた脂肪または前記動物性タンパク質ミールであり、
前記動物性タンパク質が、豚肉、子牛肉、子羊肉、鶏肉、シチメンチョウの肉、牛肉、及び魚肉からなる群から選択される1つまたは複数である、
請求項6に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項8】
ペットフードまたはペットフード成分の酸化を抑制する方法であって、
請求項1に記載の天然スモーク抗酸化剤を前記ペットフードまたは前記ペットフード成分に添加すること
を含む、前記方法。
【請求項9】
前記液体スモークが、バイオマスの熱分解から得られた組成物であり、
前記フェノール部分が前記液体スモークから分離されている、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【請求項10】
油溶性、脂質溶性、または脂肪溶性である、請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【請求項11】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
混合トコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、パルミトイル化緑茶抽出物カテキン、アセロラチェリー抽出物、スペアミント抽出物、ブドウ種子抽出物、レモンバーム抽出物、カモミール抽出物、アセチル化モノグリセリド、植物油、二酸化ケイ素、ならびにクエン酸またはモノ及びジグリセリドのクエン酸エステルからなる群から選択される1種または複数種の追加の構成成分と
を含む天然スモーク抗酸化剤。
【請求項12】
BHA、BHT、TBHQ、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、エトキシキン、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、緑茶抽出物、アセロラ抽出物、レモンバーム抽出物、ブドウ種子抽出物、セージ抽出物、または混合トコフェロールのうちのいずれも含有しない、
請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分。
【請求項13】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物を動物組織に添加して、ペットフードまたはペットフード成分を調製すること
を含むレンダリング方法。
【請求項14】
前記天然スモーク抽出物が、前記動物組織における脂肪の酸化または加水分解を遅延させるのに十分な量で添加される、
請求項13に記載のレンダリング方法。
【請求項15】
混合トコフェロールが、前記レンダリング方法の間に前記動物組織に添加されない、
請求項14に記載のレンダリング方法。
(請求項15)
BHA、BHT、TBHQ、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビル、エトキシキン、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、緑茶抽出物、アセロラ抽出物、レモンバーム抽出物、ブドウ種子抽出物、または混合トコフェロールのいずれも、前記レンダー方法の間に前記動物組織に添加されない、
請求項14に記載のレンダリング方法。
【請求項16】
ペットフードまたはペットフード成分を製造する方法であって、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物を、前記ペットフードを製造するための原材料に、前記原材料における脂肪及び油の酸化または加水分解を遅延させるのに十分な量で添加すること
を含む、前記方法。
【請求項17】
動物に給餌する方法であって、
前記動物に請求項2に記載のペットフードまたはペットフード成分を給餌すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
天然スモーク抗酸化剤であって、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物を含み、
液体の形態である、
前記天然スモーク抗酸化剤。
【請求項19】
天然スモーク抗酸化剤であって、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物を含み、
乾燥粉末の形態である、
前記天然スモーク抗酸化剤。
【請求項20】
乾燥ペットフードキブルを保存する方法であって、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、家禽脂肪と、任意選択で風味剤とを含むコーティング組成物を、抗酸化効果をもたらすのに十分かつ前記乾燥ペットフードキブルに対する嗜好性に悪影響を及ぼさない量で、前記乾燥ペットフードキブルの表面に塗布すること
を含む、前記方法。
【請求項21】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
風味剤と
を含む組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
アセチル化モノグリセリドと
を含む組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
アセチル化モノグリセリドと、
植物油と
を含む組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
アセチル化モノグリセリドと、
混合トコフェロールと
を含む組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
アセチル化モノグリセリドと、
混合トコフェロールと、
植物油と
を含む組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
混合トコフェロールと
を含む組成物。
【請求項27】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
二酸化ケイ素と
を含む組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
二酸化ケイ素と、
アセチル化モノグリセリドと
を含む組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
ローズマリー抽出物と
を含む組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
クエン酸またはモノ及びジグリセリドのクエン酸エステルと
を含む組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
レモン果汁濃縮物と
を含む組成物。
【請求項32】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
ローズマリー抽出物と、
クエン酸と
を含む組成物。
【請求項33】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
ローズマリー抽出物と、
クエン酸と、
二酸化ケイ素と
を含む組成物。
【請求項34】
請求項1に記載の天然スモーク抽出物と、
アセチル化モノグリセリドと、
ローズマリー抽出物と、
クエン酸と
を含む組成物。
【請求項35】
動物性タンパク質からレンダリングされた脂肪と、
請求項21から34のいずれか一項に記載の組成物と
を含む組成物。
【請求項36】
動物性タンパク質ミールと、
請求項21から34のいずれか一項に記載の組成物と
を含む組成物。
【請求項37】
ビタミン及び微量ミネラルプレミックスと、
請求項21から34のいずれか一項に記載の組成物と
を含む組成物。
【請求項38】
ペットフードまたはペットフード成分の酸化を抑制する方法であって、
請求項21から34のいずれか一項に記載の組成物を前記ペットフードまたは前記ペットフード成分に添加すること
を含む、前記方法。
【請求項39】
5~50mg/mlの前記フェノール抽出物を含む、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【請求項40】
10~50mg/mlの前記フェノール抽出物を含む、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【請求項41】
20~50mg/mlの前記フェノール抽出物を含む、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【請求項42】
20~40mg/mlの前記フェノール抽出物を含む、
請求項1に記載の天然スモーク抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の目的は、例えば、ペットフード及び/またはペットフード成分の保存寿命を延長する、ペットフード及び/またはペットフード成分のための天然抗酸化剤であって、天然液体スモークの部分から得られる天然スモーク抗酸化剤である、天然抗酸化剤を提供することである。一態様では、本開示は、液体天然スモークフレーバーのフェノール部分(本明細書では、例えば「天然スモーク抽出物」と称される)を含有するペットフードまたはペットフード成分であって、フェノール部分が、ペットフードまたはペットフード成分に対する抗酸化効果(例えば、脂肪及び油(脂肪には動物性脂肪が含まれ、油には植物油が含まれる)の酸化もしくは加水分解の遅延、または別の言い方をすれば、ペットフードもしくはペットフード成分の酸敗の遅延)を示す、ペットフードまたはペットフード成分を提供する。一態様では、本開示はペットフード及びペットフード成分に言及する場合があるが、本開示の天然スモーク抗酸化剤の使用は、動物飼料及び動物飼料成分にまで及ぶ(したがって、「ペットフード」及び「ペットフード成分」という用語は、説明の便宜のために使用され、当業者によって理解され得るように、別段の記載が具体的にない限り、動物及び動物飼料一般を広く指す)。
【背景技術】
【0002】
ペットフード及びペットフード成分は非常に酸化しやすく、酸敗及び他の酸化副産物の形成のために品質の劣化をもたらす。
【0003】
歴史的に、ペットフード及びペットフード成分は、BHA、BHT、TBHQ、没食子酸プロピル、及びエトキシキンなどの合成抗酸化剤を含有する。合成抗酸化剤は非常に効果的であり得るが、これは望ましくない表示宣言をもたらす。
【0004】
さらに最近では、ペットフード及びフード成分は、一定のレベルの抗酸化性能を維持しながら「クリーンラベル」宣言を達成するために、天然抽出物及び/または植物成分、例えば、混合トコフェロール及びローズマリーまたは緑茶などを含有する場合がある。しかしながら、これらの天然成分は、費用がかかるおそれがあり、ペットフード系において、極端な高温と極端な低温の両方での安定性の面で課題を有し得る。したがって、例えば、追加量の天然抗酸化剤を製造プロセスの各ステップの間に、例えば、レンダリング前、レンダリング中、レンダリング後、及び最終的なペットの食餌をもたらす混合中などに経時的に繰り返し添加することが一般に必要である。
【0005】
天然スモークフレーバーは、「フレーバー」及び/または「香り」強化剤として、食品、例えば、肉、魚、ソース、スープ、香辛料、ペットフード、及びペットトリートなどに利用されている。しかしながら、本開示以前において、天然スモークフレーバーは使用されておらず、これらの用途における抗酸化剤としての使用は想定されていなかった。
【0006】
したがって、例えば、上に述べた問題のうちの1つまたは複数に対処することができ、合成抗酸化剤の代わりに使用することができ、かつクリーンラベル志向に対する要件を満たすと同時に、ペット、他の動物、及び/またはヒトが満足する官能特性を有する製品ももたらす、ペットフードまたはペットフード成分のための天然抗酸化剤に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、本開示は、液体天然スモークからのフェノール抽出物(天然スモーク抽出物)を含む天然スモーク抗酸化剤を提供する。換言すれば、本開示は、天然スモーク抽出物を含む天然スモーク抗酸化剤を提供する。一部の態様では、天然抗酸化剤は天然スモーク抽出物から本質的になる。一部の態様では、天然スモーク抗酸化剤は天然スモーク抽出物からなる。換言すれば、天然スモーク抗酸化剤は、実質的にもしくは完全に天然スモーク抽出物であり得るか、または天然スモーク抗酸化剤は、天然スモーク抽出物に加えて他の構成成分を含み得る。
【0008】
本開示では、抗酸化剤は、肉または肉製品における脂肪及び油の酸化または加水分解を遅延させ、それによってペットフードまたはペットフード成分の酸敗を遅延させる機能を有する。
【0009】
一態様では、本開示は、天然スモーク抗酸化剤を含有するペットフードまたはペットフード成分を提供する。一態様では、ペットフードまたはペットフード成分に添加される唯一の抗酸化剤は、天然スモーク抗酸化剤である。
【0010】
一態様では、ペットフードまたはペットフード成分は、任意の他の抗酸化剤を添加せずに抗酸化効果をもたらすのに十分な量の天然スモーク抽出物を含む。
【0011】
一態様では、ペットフードまたはペットフード成分は、ペットフードまたはペットフード成分の総重量に基づいて約0.001重量%~約2重量%の天然スモーク抽出物を含有する。
【0012】
一態様では、ペットフードまたはペットフード成分は、天然スモーク抗酸化剤を、ペットフードまたはペットフード成分中の天然スモーク抽出物の量が約100ppm~10000ppmとなるような量で含有する。
【0013】
一態様では、ペットフードまたはペットフード成分は、天然スモーク抗酸化剤を、ペットフードまたはペットフード成分中の天然スモーク抽出物の量が約200ppm~5,000ppmとなるような量で含有する。
【0014】
一態様では、ペットフードまたはペットフード成分としては、例えば、レンダリングされた脂肪及び油、動物性タンパク質ミール、植物油、ビタミン及び/または微量ミネラルプレミックス、ペットフードキブル、ペットトリート、ならびに動物飼料を挙げることができる。本開示では、動物性タンパク質は限定されず、例えば、豚肉、子牛肉、子羊肉、鶏肉、シチメンチョウの肉、牛肉、魚肉などを含む、ペットフード及び動物飼料を製造するために現在使用されている任意の動物性タンパク質を指す場合がある。
【0015】
本開示では、所期のペットは特に限定されず、親交または娯楽のために飼われている任意の家庭動物または飼い慣らされた動物を指す場合がある。さらに、動物飼料に関して、所期の動物は特に限定されず、例えば、労働力ならびに/または例えば、肉、卵、乳、毛皮、皮革、及び羊毛などの商品を生産するために農業環境において飼育される任意の家畜動物を指す場合がある。
【0016】
一態様では、本開示は、天然スモーク抗酸化剤をペットフードまたはペットフード成分に添加することによって、ペットフードまたはペットフード成分の酸化を抑制する方法を提供する。この方法の一態様では、ペットフードまたはペットフード成分に添加される唯一の抗酸化剤は、天然スモーク抗酸化剤である。
【0017】
一態様では、天然スモーク抽出物は、液体スモークフレーバーを作製するための公知の方法によるバイオマスの熱分解(例えば、木質または植物材料、例えば広葉樹のおがくずなどの熱分解など)から得られた組成物であり得る。フェノール部分は、フェノール部分が豊富な組成物を提供するために天然スモークフレーバーの他の構成成分から分離されてもよい。フェノール部分は、多くのフェノール化合物、例えば、これらに限定されないが、2-メトキシフェノール(グアヤコール)、2,6-ジメトキシフェノール、3,4-ジメトキシ-4-ヒドロキシトルエン/バニリン酸、クレオゾール、エタノン、1-(2,6-ジヒドロキシ-4-メトキシフェニル)、フルフラール、4-エチル-2-メトキシフェノール、2,6-ジメトキシ-4-(2-プロペニル)-フェノール、9-オクタデセン酸(Z)-、2,3-ビス(アセチルオキシ)プロピルエステル、3-メチルフェノール(m-クレゾール)を含有し得る。本開示以前において、液体天然スモークフレーバーのフェノール部分が、ペットフードまたはペットフード成分(例えば、タンパク質ミール、脂肪、ビタミンプレミックス、完成したペットフード)を作製するための従来の合成及び天然抗酸化剤の部分的なまたは完全な代替物質として利用可能であると想定されたことは一度もなかった。
【0018】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、例えば、5~50mg/mlのフェノール部分を含み得る。他の態様では、フェノール部分の量は、例えば、10~50mg/ml、20~50mg/ml、または20~40mg/mlであり得る。
【0019】
一態様では、天然スモーク抽出物は、フェノール部分が油溶性、脂質溶性(lipid soluble)、または脂肪溶性(fat soluble)であるため、油溶性、脂質溶性、または脂肪溶性である。対照的に、液体天然スモークフレーバーは、主要部分が、例えば、親水性カルボニル及び有機酸であり得るため、一般に水溶性である。典型的な液体天然スモークフレーバーでは、フェノール部分は一般に、液体に懸濁され得る微量構成成分である。
【0020】
本開示の天然スモーク抽出物は、例えば動物性脂肪及び植物油を含む疎水性媒体への溶解性を維持することが見出された。例えば、動物性脂肪及び植物油における天然スモーク抽出物の酸化安定性指数(OSI)及び保存安定性試験の結果は優れていたことが見出され、したがって、天然スモーク抽出物を含有する本開示のペットフードに関してOSIを試験した。
【0021】
一態様では、本開示の天然抗酸化剤には、天然スモーク抽出物と、例えば、混合トコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶、アセロラ抽出物、アセチル化モノグリセリド(担体または付随的添加剤の一例として)、植物油、二酸化ケイ素、及びクエン酸を含む1種または複数種の追加の構成成分とを混合した組合せ物が含まれてもよい。例えば、トコフェロール及び/またはローズマリー抽出物は、それらの抗酸化効果のために添加されてもよく、クエン酸またはアスコルビン酸(ビタミンC)は、酸素捕捉剤として添加されてもよい。
【0022】
一態様では、フェノール抽出物を得るための天然スモークフレーバーの分離は、好適な抽出溶媒を用いる液体/液体抽出を介して、またはこの機能を果たすための様々な他の公知のプロセスを介して行うことができる。
【0023】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、ペットフード及び/またはペットフード成分と組み合わされて、ペットフード及び/またはペットフード成分の保存寿命の増加をもたらすことができる。
【0024】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤の使用は、別の抗酸化剤(例えば、BHA、BHT、没食子酸プロピル、エトキシキン、ローズマリー抽出物、緑茶、セージ抽出物、ビタミンE、混合トコフェロールなど)を含有しないペットフードまたはペットフード成分を実現する。
【0025】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、例えば約40℃~約150℃などの比較的高い温度における安定性、及び/または例えば約10℃~約-20℃などの比較的低い温度における安定性を有する。これは、例えば、天然スモーク抗酸化剤を含有するペットフードまたはペットフード成分が比較的高い温度及び/または比較的低い温度において十分な抗酸化特性を保持することを意味する。
【0026】
ペットフードまたはペットフード成分は、比較的高い及び低い温度を、これらの製品の製造、保管、輸送などの間に受ける場合がある。
【0027】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、従来使用されている合成及び天然抗酸化剤と同等の保存寿命をペットフードまたはペットフード成分に提供する。一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、従来使用されている合成及び天然抗酸化剤と比較して向上した保存寿命をペットフードまたはペットフード成分に提供する。
【0028】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、ヒトにとって心地よいと考えられる香りをペットフードまたはペットフード成分に付与する。
【0029】
一部の態様では、天然スモーク抗酸化剤を含有するペットフードまたはペットフード成分は、その香りが、従来の抗酸化剤を含有する同じペットフードまたはペットフード成分よりもヒトにとって心地よいものであり得る。
【0030】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、ペットが満足する香り及び/またはフレーバーをペットフードまたはペットフード成分に付与する。
【0031】
一部の態様では、天然スモーク抗酸化剤を含有するペットフードまたはペットフード成分は、従来の抗酸化剤を含有する同じペットフードまたはペットフード成分よりもペットの嗜好性が高いものであり得る。
【0032】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤がレンダリング方法の間に抗酸化剤として使用される場合、結果として得られる最終製品(レンダリングされた脂肪及び動物性タンパク質ミール)は好ましいにおいを有し得る。したがって、ヒトのペットフードに対する知覚(感覚的影響)が向上し得る、及び/またはこれはペットフード嗜好性に良い影響を及ぼし得る。
【0033】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤がレンダリング方法の間に抗酸化剤として使用される場合、結果として得られる動物ミールは、メイラード反応機構によりローストタイプのフレーバーノートを有し得る。結果として、動物性タンパク質ミールは、改善された色及び/またはフレーバープロファイルを有し得る。加えて、メイラード反応生成物は、抗酸化効果のいくらかの向上をもたらし得る。
【0034】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、個々にまたは従来の抗酸化剤と組み合わせて、ペットフード、またはペットフードを製造するために使用される脂肪、油、ビタミンプレミックスもしくはレンダリングされたタンパク質ミールなどのペットフード成分に添加され得る。
【0035】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、典型的には動物性タンパク質ミール及びレンダリングされた脂肪などの様々なレンダリングされた成分、ならびに動物飼料及びペットフードに添加される天然混合トコフェロールの代替物質として使用されてもよい。
【0036】
一態様では、本開示は、ペットフードを製造する方法であって、天然スモーク抗酸化剤をペットフードの原材料に添加することを含む、方法を提供する。この理由は、天然スモーク抗酸化剤が脂肪及び油の酸敗を防止するのに効果的であるためである。したがって、天然スモーク抗酸化剤は、ペットフードを製造する方法の様々な段階で使用することができる。このことは、例えば、液体スモークが香味剤として完成品に添加され得る液体天然スモークフレーバーの従来の使用と対照的である。
【0037】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、動物性タンパク質ミール及びレンダリングされた脂肪などのレンダリングされた成分、ならびに動物飼料及びペットフード製品において、エトキシキンの代替物質として使用されてもよい。
【0038】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、動物性タンパク質ミール及びレンダリングされた脂肪などのレンダリングされた成分、ならびに動物飼料及びペットフード製品において、BHA、BHT、TBHQ、没食子酸プロピル、及びエトキシキンなどの合成抗酸化剤の代替物質として使用されてもよい。
【0039】
一態様では、本開示は、ペットに本開示のペットフードを給餌する(これはまた、本開示では、任意の動物(例えば家畜)に天然スモーク抽出物を含有する動物用フードを給餌することを意味する)方法を提供する。
【0040】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、液体の形態であってもよい。一部の実施形態では、液体天然スモーク抗酸化剤は、個人用、商業用、または産業用販売のための密封パッケージまたは容器において提供され得る。一部の態様では、密封パッケージの内容物は、液体天然スモーク抗酸化剤から本質的になり得るか、または液体スモーク抗酸化剤からなり得る。換言すれば、本開示は、下流での使用のための液体天然スモーク抗酸化剤のみを、または実質的にそれのみを含有し得る密封パッケージを提供する。
【0041】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、乾燥形態であってもよい(例えば、乾燥形態は、粉末または他の流動性微粒子の形態であり得、5重量%未満の含水量を有し得る)。一部の実施形態では、乾燥天然スモーク抗酸化剤は、個人用、商業用、または産業用販売のための密封パッケージまたは容器において提供され得る。一部の態様では、密封パッケージの内容物は、乾燥天然スモーク抗酸化剤から本質的になり得るか、または乾燥スモーク抗酸化剤からなり得る。換言すれば、本開示は、下流での使用のための乾燥天然スモーク抗酸化剤のみを、または実質的にそれのみを含有し得る密封パッケージを提供する。
【0042】
一態様では、本開示は、天然スモーク抗酸化剤を乾燥させるか、またはそうでなければその含水量を減少させて、乾燥天然スモーク抗酸化剤を提供する方法を提供する。
【0043】
一態様では、本開示は、乾燥ペットフードキブルを保存する方法であって、天然スモーク抗酸化剤と、家禽脂肪と、任意選択で風味剤(palatant)とを含むコーティング組成物を、抗酸化効果をもたらすのに十分かつ乾燥ペットフードキブルに対する嗜好性に悪影響を及ぼさない量で、乾燥ペットフードキブルの表面に塗布することを含む、方法を提供する。一部の態様では、乾燥ペットフードキブルは、販売及びネコまたはイヌによる消費のために包装されることが意図され、そのようなものとして表示することができる。
【0044】
本開示では、風味剤という用語は、そのペットフード分野において公知の定義を指すことが意図される。風味剤とは、ペットフード、トリート、及びサプリメントの味をより良好にするために特別に設計されており、ペットが必要とする不可欠な栄養素を受け取ることを保証し得る成分系を指す場合がある。風味剤は、ペットを引きつけて、栄養に富むが本来の食餌と一致しない場合がある食物、トリート、またはサプリメントを消費させることができる。
【0045】
一態様では、本開示は、風味剤と天然スモーク抗酸化剤とを含む組成物を提供する。
【0046】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とアセチル化モノグリセリドとを含む組成物を提供する。
【0047】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、植物油(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、ヒマワリ油またはトウモロコシ油など)とを含む組成物を提供する。
【0048】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、混合トコフェロールとを含む組成物を提供する。
【0049】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、混合トコフェロールと、植物油(例えば、キャノーラ油など)とを含む組成物を提供する。
【0050】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と混合トコフェロールとを含む組成物を提供する。
【0051】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と二酸化ケイ素とを含む組成物を提供する。
【0052】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、二酸化ケイ素とを含む組成物を提供する。
【0053】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とローズマリー抽出物とを含む組成物を提供する。
【0054】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とクエン酸とを含む組成物を提供する。
【0055】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とレモン果汁濃縮物とを含む組成物を提供する。
【0056】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、ローズマリー抽出物と、クエン酸抽出物とを含む組成物を提供する。
【0057】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、二酸化ケイ素と、ローズマリー抽出物と、クエン酸とを含む組成物を提供する。
【0058】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、ローズマリー抽出物と、クエン酸とを含む組成物を提供する。
【0059】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、ローズマリー抽出物と、緑茶抽出物とを含む組成物を提供する。
【0060】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、緑茶抽出物またはパルミトイル化緑茶抽出物カテキンとを含む組成物を提供する。
【0061】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とアセロラ抽出物とを含む組成物を提供する。
【0062】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とスペアミント抽出物とを含む組成物を提供する。
【0063】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物とモノ及びジグリセリドのクエン酸エステルとを含む組成物を提供する。
【0064】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、二酸化ケイ素と、ローズマリー抽出物と、緑茶抽出物と、クエン酸とを含む組成物を提供する。
【0065】
一態様では、本開示は、天然スモーク抽出物と、アセチル化モノグリセリドと、二酸化ケイ素と、ローズマリー抽出物と、アセロラ抽出物と、クエン酸とを含む組成物を提供する。
【0066】
一態様では、天然スモーク抗酸化剤は、米国での動物用フード用途における「天然フレーバー」としての使用に準拠しており、これは、「天然フレーバーまたは天然香味料という用語は、食品における重要な機能が栄養ではなく香味付けである、香辛料、果実もしくは果実果汁、野菜もしくは野菜果汁、食用酵母、ハーブ、樹皮、芽、根、葉もしくは類似した植物材料、肉、海産食品、家禽肉、卵、乳製品、またはそれらの発酵製品に由来する、精油、オレオレジン、エッセンスもしくは抽出物質、タンパク質加水分解物、蒸留物、または任意の構成要素を意味する」と述べている21 C.F.R.§502.22に示されている。
【0067】
本開示のさらなる特徴及び利点を以下にさらに記載する。この概要の節は、本開示のある特定の特徴を単に例示することを意図しており、本開示の範囲を限定することを決して意図していない。この概要の節において本開示の具体的な特徴も実施形態も議論できていないこと、またはこの概要の節に1つもしくは複数の特徴を含んでいることは、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0068】
特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面(複数可)を有する本特許または出願刊行物のコピーは、要請及び必要な料金の支払いに応じて、特許庁によって提供されるだろう。前述の概要、及び以下の本出願のある特定の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と合わせて閲読される場合、より良好に理解されるだろう。
【0069】
図1~
図39は、実施例の実施形態の結果及び設計を例示する、示す、及び/または含む。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】様々な抗酸化剤を使用した家禽脂肪の保護係数を示す。
【
図2】様々な抗酸化剤を使用したキャノーラ油の保護係数を示す。
【
図3】様々な抗酸化剤を使用したヒマワリ油の保護係数を示す。
【
図4】様々な抗酸化剤を使用した家禽脂肪の保護係数を示す。
【
図5】鶏肉脂肪を40℃で10週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図6】鶏肉脂肪を40℃で12週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図7】高級白色獣脂を40℃で10週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図8】様々な温度で8週間保管していた間のチキンミールの過酸化物値を示す。
【
図9】家禽ミールを40℃で8週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図10】ミートボーンミールを40℃で8週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図11】鶏肉脂肪を40℃で10週間保管していた間に形成された酸化副産物を示す。
【
図12】実施例2におけるバッチ1対バッチ2の比較を示す。
【
図13】実施例2におけるバッチ1対バッチ2の消費量の概要を示す。
【
図14】実施例2におけるバッチ1対バッチ2の摂取比による選好性を示す。
【
図15】実施例2におけるバッチ1対バッチ2の第一選択による選好性を示す。
【
図16】実施例2におけるバッチ1対バッチ4の比較を示す。
【
図17】実施例2におけるバッチ1対バッチ4の消費量の概要を示す。
【
図18】実施例2におけるバッチ1対バッチ4の摂取比による選好性を示す。
【
図19】実施例2におけるバッチ1対バッチ4の第一選択による選好性を示す。
【
図20】実施例2におけるバッチ2対バッチ3の比較を示す。
【
図21】実施例2におけるバッチ2対バッチ3の消費量の概要を示す。
【
図22】実施例2におけるバッチ2対バッチ3の摂取比による選好性を示す。
【
図23】実施例2におけるバッチ2対バッチ3の第一選択による選好性を示す。
【
図24】実施例2におけるバッチ4対バッチ5の比較を示す。
【
図25】実施例2におけるバッチ4対バッチ5の消費量の概要を示す。
【
図26】実施例2におけるバッチ4対バッチ5の摂取比による選好性を示す。
【
図27】実施例2におけるバッチ4対バッチ5の第一選択による選好性を示す。
【
図28】実施例3における25℃で保管したキブルの過酸化物値を示す。
【
図29】実施例3における25℃で保管したキブルのヘキサナール含量を示す。
【
図30】実施例3におけるキブル中の多環式芳香族炭化水素(PAH)を示す。
【
図31】スモークを含有するキブルと含有しないキブルとを消費者試験において比較する実施例5の調査の方法論を示す。
【
図34】実施例5におけるペナルティ分析の解釈を示す。
【
図35】実施例5におけるオリジナル(スモークなし)キブルに対するペナルティ分析及びJAR分布を示す。
【
図36】実施例5における0.2%スモークキブルに対するペナルティ分析及びJAR分布を示す。
【
図38】実施例5におけるオリジナル(スモークなし)キブルに対する好き嫌いを示す。
【
図39】実施例5における0.2%スモークキブルに対する好き嫌いを示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本組成物、方法、及び方法論をより詳細に記載する前に、記載される特定の組成物、方法、及び実験条件は変化し得るため、本開示はそのような組成物、方法、及び条件に限定されないことが理解されるべきである。範囲は添付の特許請求の範囲においてのみ限定されることになるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0073】
本開示の詳細な説明は、本発明の概要、図面、及び以下の実施例に相当するものであり、ここでは繰り返さない。
【実施例】
【0074】
以下では、本開示の実施形態を実施例によってさらに詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されない。
【0075】
<実施例1>
様々な試験を設計及び実施して、本開示の天然スモーク抽出物を含有する以下の組成物を、例えば従来の技法/製品と比較して試験した:
【0076】
NaSure 600液体-アセチル化モノグリセリド、天然スモークフレーバー(すなわち、天然スモーク抽出物)。
【0077】
NaSure 651液体-アセチル化モノグリセリド、キャノーラ油、混合トコフェロール、天然スモークフレーバー
【0078】
NaSure 661乾燥-アセチル化モノグリセリド、二酸化ケイ素、天然スモークフレーバー
【0079】
NaSure 662乾燥-アセチル化モノグリセリド、二酸化ケイ素、ローズマリー抽出物、クエン酸、天然スモークフレーバー
【0080】
結果を
図1~
図11に示し、以下で各図に関してより詳細に論じる。
【0081】
図1を参照すると、NaSure 551及びNaSure 550は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤である。
図1の図表は、AOCS Official Method Cd 12b-92に従って酸化安定性指数を用いて測定した鶏肉脂肪の酸化安定性を示す。
【0082】
天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、この試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と酸化安定性を比較した。
図1における結果は、NaSure 600が、未処理対照よりも家禽脂肪の保存寿命を増加させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0083】
保護係数は、未処理対照=1としたときの処理試料と未処理対照との間の保存寿命比である。示されるように、0.1%のNaSure 600は、保存寿命を未処理対照に対して2.1倍増加させた。
【0084】
図2を参照すると、NaSure 551及びNaSure 550は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤である。
図2の図表は、AOCS Official Method Cd 12b-92に従って酸化安定性指数を用いて測定したキャノーラ油の酸化安定性を示す。
【0085】
天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、この試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と酸化安定性を比較した。
図2における結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較してキャノーラ油の保存寿命を増加させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0086】
図3を参照すると、NaSure 06は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、液体ローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤であり、NaSure 70は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロールで構成される市販の天然抗酸化剤である。
図3の図表は、AOCS Official Method Cd 12b-92に従って酸化安定性指数を用いて測定したヒマワリ油の酸化安定性を示す。
【0087】
天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、この試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と酸化安定性を比較した。
図3における結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較してヒマワリ油の保存寿命を増加させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤とやや同様に作用したことを示す。
【0088】
図4を参照すると、NaSure 580は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、乾燥担体上の混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の乾燥天然抗酸化剤である。
図4の図表は、AOCS Official Method Cd 12b-92に従って酸化安定性指数を用いて測定した家禽脂肪の酸化安定性を示す。
【0089】
天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、この試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と酸化安定性を比較した。結果は、NaSure 661及びNaSure 662が、未処理対照と比較して家禽脂肪の保存寿命を増加させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0090】
図5を参照すると、この図表は、鶏肉脂肪における酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0091】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成の阻害を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0092】
図6を参照すると、NaSure 550は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤である。
図6の図表は、鶏肉脂肪における酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0093】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0094】
図7を参照すると、NaSure 551は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤である。
図7の図表は、高級白色獣脂における酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0095】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用することを示す。
【0096】
図8を参照すると、この図表は、チキンミールにおける酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な合成抗酸化剤とヒドロペルオキシド形成を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な合成抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0097】
図9を参照すると、Xtendra 510は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、植物油担体中のBHA及びBHTで構成される市販の合成抗酸化剤ブレンドである。
図9の図表は、家禽ミールにおける酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0098】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0099】
図10を参照すると、Xtendra 510は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、植物油担体中のBHA及びBHTで構成される市販の合成抗酸化剤ブレンドである。
図10の図表は、牛肉ミートボーンミールにおける酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0100】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、ペットフードまたはペットフード成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と等しく、またはそれよりも良好に作用したことを示す。
【0101】
図11を参照すると、Xtendra 569は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、植物油担体中のBHTで構成される市販の合成抗酸化剤であり、NaSure 551は、Camlin Fine Sciences,Ltd.製の、混合トコフェロール及びローズマリー抽出物で構成される市販の天然抗酸化剤である。
図11の図表は、メンハーデンフィッシュミールにおける酸化副産物の経時的な形成を示す。過酸化物値は、AOCS Official Method Cd 12-57に従って測定した。ヘキサナール含量は、Agilent Technologies 7697A静的ヘッドスペースサンプラーと接続されたAgilent Technologies 7820Aガスクロマトグラフを使用して、独自の方法論を使用して測定した。
【0102】
酸化副産物の形成の遅延における天然スモークフレーバーの有効性を評価するために、これらの試験を実施して、完成したペットフード、ペットフード成分または水産飼料成分に使用される一般的な抗酸化剤と、ヒドロペルオキシド及びヘキサナール形成の阻害を比較した。結果は、NaSure 600が、未処理対照と比較して酸化副産物形成を遅延させ、同じかまたは典型的な業界標準の適用率において、他の一般的な抗酸化剤と同等の性能を有したことを示す。
【0103】
<実施例2>
嗜好性を、NaSure 600を使用して、以下に従って競合製品と比較して評価した。
【0104】
5種類の試験食餌を以下の表1の通りに調製した:
【表1】
【0105】
嗜好性研究はSummit Ridge Farmsにおいて評価された。
【0106】
犬舎施設はUSDAに登録されている。犬舎は、12時間明期/12時間暗期サイクルを有した。温度範囲を標的条件(約50°~約85°F)内に維持するためのあらゆる試みが行われた。ケージ及び飼料ボウルは毎日清浄及び衛生化した。全て動物福祉法に従った。
【0107】
耳の入れ墨及びケージ番号によって同定された20匹の雄及び雌ビーグル犬に対して個々に試験食餌を提示した。それぞれおよそ400グラムの食餌が入った2つのステンレス鋼ボウルを1日1回、2日間提供した。ボウルの位置を毎日逆転させ、両方のボウルを30分間提示した。30分の終了前に一方の食餌を完全に消費した場合、両方のボウルを取り去った。食物消費量及び第一選択選好性を各イヌについて記録した。
【0108】
【0109】
<実施例3>
Extru-Techキブルの酸化安定性を試験し、この研究の構成及び結果を
図28及び
図29に提示する。
【0110】
また、実施例3のために作製したキブルは、キブル中の多環式芳香族炭化水素(PAH)について言及された。結果を
図30に示す。
【0111】
<実施例4>
人々は、彼らの個人的な好みをペットに投影し、高級ペットフードセグメント及びペットフードカテゴリー全体の成長を促進している。
【0112】
Michelson Found Animals Foundationによって行われたペットの飼い主に対する調査は、自らが特殊化された食事を取っている人々のうち70%が彼らのペットにも特別な食餌を与えていることを示した。同時に、ペットの飼い主は、消費者全体が環境的、社会的、及びガバナンスの取り組みを受け入れるにつれて、持続可能なペットフード成分、工程、及び包装をますます求めるようになっている(そして、それらに対して割増し価格を払うことを厭わない)。
【0113】
実施例4では、26名の参加者からなるヒト官能パネルは150グラムの完成したドッグキブルの試料を受け取り、ここで、一方の試料は保存寿命延長のための伝統的な抗酸化剤を用いて処理されており、他方の試料はNaSure 600天然スモークフレーバーを用いて処理されていた。完全な結果は、NaSure 600を用いて処理した試料が伝統的な抗酸化剤を用いて処理した試料よりも選好性が高いことが見出されたことを示す。
【0114】
<実施例5>
実施例5を行って、消費者試験設定におけるスモークを含有するキブルと含有しないキブルとに対する快不快応答及び知覚を調査した。
【0115】
【0116】
結果:この研究の条件下において:
0.2%天然スモーク抽出物試料は、オリジナル(スモークなし)試料と比較した場合、全体的に有意により好まれた。また、この試料は、香りがより好まれる傾向も示した。
【0117】
ちょうどよい(Just About Right)(JAR)評点は、(a)天然スモーク抽出物を含有しないオリジナル試料は、スモーキー、肉様、脂肪様、及びローストの香りが低すぎる一方、穀物様の香りが高すぎると知覚されたこと、ならびに(b)0.2%天然スモーク抽出物試料は、ローストの及びスモーキーな香りが高すぎると知覚されたことを示唆した。
【0118】
0.2%天然スモーク抽出物試料は、オリジナル(スモークなし)試料よりも有意に選好された。
【0119】
【0120】
本開示のさらなる特徴及び利点を以下にさらに記載する。この概要の節は、本開示のある特定の特徴を単に例示することを意図しており、本開示の範囲を限定することを決して意図していない。この概要の節において本開示の具体的な特徴も実施形態も議論できていないこと、またはこの概要の節に1つもしくは複数の特徴を含んでいることは、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】