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特表2024-533696ピストン、ピストンの使用、内燃機関を提供する方法及び内燃機関
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ピストン、ピストンの使用、内燃機関を提供する方法及び内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02F 3/00 20060101AFI20240905BHJP
   F02F 5/00 20060101ALI20240905BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20240905BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F02F3/00 Q
F02F5/00 301Z
F01M13/00 B
F01M13/00 D
F01M13/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518579
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 NL2022050419
(87)【国際公開番号】W WO2023048559
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2029230
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524110414
【氏名又は名称】ロンバウツ, コルネリス マルハレタ マリア ニコラス
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ロンバウツ, コルネリス マルハレタ マリア ニコラス
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BC04
3G015BD05
3G015BD10
3G015BD24
3G015BF03
3G015BF08
3G015EA06
(57)【要約】
本発明は、シリンダ壁によって囲まれた燃焼室を画定するシリンダと、燃焼室内に配置され、クランク軸から離れる方向およびクランク軸に向かって往復運動可能に移動するピストンと、ピストンとシリンダ壁との間に配置され、ピストンがクランク軸に向かって移動するときにシリンダ壁からオイルを掻き落とすように構成されたオイルスクレーパリングを規定する少なくとも1つの第1のスクレーパリングとを備える内燃機関に関し、内燃機関が、ピストンとシリンダ壁との間に配置され、ピストンがクランク軸から離れるときにシリンダ壁から凝縮流体を掻き落とすように構成された凝縮流体スクレーパリングを規定する少なくとも1つの第2のスクレーパリングをさらに備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関であって、
- シリンダ壁によって囲まれた燃焼室を画定するシリンダと、
- 前記燃焼室内に配置され、クランク軸から離れる方向および該クランク軸に向かう方向に往復運動するように移動可能なピストンと、
- 該ピストンと前記シリンダ壁との間に配置され、前記ピストンが前記クランク軸に向かって移動するときに前記シリンダ壁からオイルを掻き落とすように構成されたオイルスクレーパリングを規定する第1のスクレーパリングと、を備え、
さらに、
- 前記ピストンと前記シリンダ壁との間に配置され、前記ピストンが前記クランク軸から離れる方向に移動するときに前記シリンダ壁から凝縮流体を掻き落とすように構成された凝縮流体スクレーパリングを規定する少なくとも1つの第2のスクレーパリングを備える内燃機関。
【請求項2】
前記ピストンが、前記凝縮流体スクレーパリングによって掻き落とされた前記凝縮流体を排出するために、前記凝縮流体スクレーパリングから延びるドレインチャネルを備える、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記凝縮流体を排出するために、前記凝縮流体スクレーパリングから延びる前記ドレインチャネルが、前記オイルスクレーパリングに隣接して配置され、該オイルスクレーパリングから延びるオイルドレインチャネルとは異なる、請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記ドレインチャネルが、さらに、前記ピストンから前記クランク軸の方向に延びている、請求項2または請求項3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記ドレインチャネルが、エンジン潤滑システムに流体的に接続されている、請求項4に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記ドレインチャネルの下流に配置され、掻き落とされた前記凝縮流体をその中に存在する残留または残存潤滑油から分離するように構成された流体-オイル分離器をさらに備える、請求項4または請求項5に記載の内燃機関。
【請求項7】
前記流体-オイル分離器が、前記凝縮流体の蒸発に基づいて該凝縮流体を油から分離するように構成されている、請求項6に記載の内燃機関。
【請求項8】
前記流体-オイル分離器が、温度制御を備える、請求項7に記載の内燃機関。
【請求項9】
前記流体-オイル分離器が、前記内燃機関の潤滑システムに流体的に接続されている、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項10】
前記流体-オイル分離器が、前記凝縮流体から分離された潤滑油を油溜めに供給するように構成されている、請求項9に記載の内燃機関。
【請求項11】
前記流体-オイル分離器が、前記シリンダの入口チャネルと流体的に接続されたガス出口を備える、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項12】
前記流体-オイル分離器に周囲の空気を導入するように構成されたガス入口をさらに備える、請求項11に記載の内燃機関。
【請求項13】
前記流体-オイル分離器の前記ガス出口が前記シリンダの前記入口チャネルに接続される箇所に狭窄部が設けられている、請求項11または請求項12に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記狭窄部が、ベンチュリ管状の形状からなる、請求項13に記載の内燃機関。
【請求項15】
前記オイルスクレーパリングと、前記凝縮流体スクレーパリングとが、反対方向に向けられている、前記請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項16】
少なくとも1つの前記凝縮流体スクレーパリングが、少なくとも1つの前記オイルスクレーパリングよりも前記ピストンのピストンクラウンに近接して配置されている、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の内燃機関。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の内燃機関の、または該内燃機関のためのピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関において、燃料の燃焼は、内燃機関の1つまたは複数の燃焼室内で酸化剤と共に行われる。通常、酸化剤は、ディーゼル燃料またはガソリンのいずれかの形態の燃料とともに燃焼室に入れられる周囲の空気から生じる酸素である。燃料と空気の混合物は、上向きに動くピストンによって圧縮され、点火プラグによって点火される。点火後、膨張する燃焼ガスがピストンを下方に駆動し、これによって内燃機関に動力を供給する。
【0003】
近年、石油系燃料(ガソリンやディーゼル燃料など)以外の燃料を内燃機関に供給することへの関心が高まっている。そのような燃料の例としては、天然ガス、LPG(プロパン)、バイオエタノールやバイオディーゼルなどの再生可能燃料、水素などがある。また、このような燃料を1種類以上混合した混合燃料を利用することも知られている。
【0004】
前述の燃料の一つの特性は、その化学構造上、水(HO)が燃焼生成物の比較的大きな部分を形成することである。この水の一部は、燃焼のたびに燃焼室内に残留する。この残留水は、時間の経過とともに蓄積し、内燃機関の摩耗を増大させ、内燃機関の運転を妨げ、損傷をもたらす可能性がある。
【0005】
ここで、欧州特許出願公開第2175107号明細書を参照するが、この文献は本発明に最も近い先行技術であると認められ、大型ディーゼルエンジンおよびこのような大型ディーゼルエンジンを潤滑する方法を開示している。この文献が開示するディーゼルエンジンは、複数のピストンリングを備えている。これらのピストンリングのうち、1つだけがスクレーパリングである。この単一のスクレーパリングは、オイルを掻き落とすためだけに設計、配置されており、このオイルは、大型ディーゼルエンジンのシリンダの下端にある回収装置に回収される。
【0006】
さらに、独国特許出願公開第4007922号明細書および米国特許第4614150号明細書が、本発明と少なくとも何らかの関連性を有するさらなる先行技術としてここに認められる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述した問題が回避されるか、少なくとも軽減される手段を備えた内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの目的は、シリンダ壁によって囲まれた燃焼室を画定するシリンダと、燃焼室内に配置され、クランク軸から離れる方向およびクランク軸に向かう方向に往復運動可能に移動するピストンと、ピストンとシリンダ壁との間に配置され、ピストンがクランク軸に向かって移動するときにシリンダ壁から潤滑油を掻き落とすように構成されたオイルスクレーパリングを画定する第1のスクレーパリングとを備える内燃機関によって達成され、内燃機関が、ピストンとシリンダ壁との間に配置され、ピストンがクランク軸から離れるときにシリンダ壁から凝縮流体を掻き落とすように構成された凝縮流体スクレーパリングを画定する少なくとも第2のスクレーパリングをさらに備える。
【0009】
本発明に係る内燃機関の運転中、ガス状の水(蒸気)は、燃料の燃焼から生じる燃焼生成物の1つである場合がある。この水蒸気の一部は気体状態のままであるため、内燃機関の排気ストローク中に燃焼室から容易に除去される。しかし、この水蒸気のさらに一部は、シリンダのシリンダ壁と接触する。特に、内燃機関が始動したばかりで、まだ暖まっていないとき、このシリンダ壁がまだ比較的冷たい。この比較的冷たいシリンダ壁面では、水蒸気が凝縮して、シリンダ壁面の表面上に延びる液体の水の膜を形成する。
【0010】
本発明によれば、この残留水の膜は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの凝縮流体スクレーパリングによってシリンダ壁から掻き落とされ、第1(オイルスクレーパ)リングによって掻き落とされる潤滑油と接触することなく、内燃機関の燃焼室から連続的に除去することができる。このように、上記で定義した本発明に係る内燃機関では、潤滑油と凝縮水蒸気との混合は起こらない。
【0011】
欧州特許出願公開第2175107号明細書から、公知の大型ディーゼルエンジンとは異なり、本発明に係る内燃機関は、凝縮流体スクレーパリングを規定する少なくとも1つの第2のスクレーパリングを備える。この凝縮流体スクレーパリングは、ピストンとシリンダ壁との間に配置され、ピストンがクランク軸から離れるときにシリンダ壁から凝縮流体を掻き落とすように構成されている。
【0012】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、ピストンは、凝縮流体スクレーパリングによって掻き落とされた凝縮流体を排出するために、凝縮流体スクレーパリングから延びるドレインチャネルを備える。この凝縮流体を排出するための凝縮流体スクレーパリングから延びるドレインチャネルは、オイルスクレーパリングに隣接して配置され、オイルスクレーパリングから延びるオイルドレインチャネルとは異なる。このように、掻き落とされた潤滑油と掻き落とされた凝縮流体とは、両液体がピストンおよびシリンダから排出される際に、実質的に互いに分離されたままである。
【0013】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、ドレインチャネルはさらに、ピストンからクランク軸の方向に延びている。
【0014】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、ドレインチャネルは、エンジン潤滑システムに流体的に接続されている。
【0015】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器が、ドレインチャネルの下流に配置され、掻き落とされた凝縮流体を、その中に存在する残留潤滑油から分離するように構成されている。
【0016】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器は、凝縮流体の蒸発に基づいて凝縮流体を油から分離するように構成されている。
【0017】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器は、温度制御を備える。
【0018】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器は、内燃機関の潤滑システムと流体的に接続されている。
【0019】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器は、凝縮流体から分離された潤滑油を油溜めに供給するように構成されている。
【0020】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器は、シリンダの入口チャネルと流体的に接続されたガス出口を備えている。
【0021】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、内燃機関は、周囲空気を流体-オイル分離器に導入するように構成されたガス入口をさらに備えている。
【0022】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、流体-オイル分離器のガス出口がシリンダの入口チャネルに接続する箇所に狭窄部が設けられている。
【0023】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、狭窄部はベンチュリ管状の形状を備える。
【0024】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、オイルスクレーパリングと凝縮流体スクレーパリングとは、反対方向を向いている。
【0025】
本発明に係る内燃機関の好ましい実施形態において、少なくとも1つの凝縮流体スクレーパリングが、少なくとも1つのオイルスクレーパリングよりもピストンのピストンクラウンの近くに配置されている。
【0026】
上述の目的は、さらに、本明細書に開示されるような内燃機関のピストンまたは内燃機関用のピストンで達成される。このようなピストンは、本発明による利点の少なくとも一部を達成するために、先行技術の内燃機関に取り付ける(レトロフィットする)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1A】本発明による内燃機関によって構成される、例示的な連続エンジンストローク中のピストンおよびシリンダの断面を示す。
図1B】本発明による内燃機関によって構成される、例示的な連続エンジンストローク中のピストンおよびシリンダの断面を示す。
図1C】本発明による内燃機関によって構成される、例示的な連続エンジンストローク中のピストンおよびシリンダの断面を示す。
図1D】本発明による内燃機関によって構成される、例示的な連続エンジンストローク中のピストンおよびシリンダの断面を示す。
図2図1Aから図1Dのピストンを分離した断面を示す。
図3】本発明による内燃機関の概略部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る内燃機関は、複数のシリンダを備え、そのうちの1つの例示的なシリンダ1が図1Aから図1Dに描かれている。シリンダ1は、燃焼室3を画定するシリンダ壁15を備え、このシリンダ壁15によって囲まれている。
【0029】
ピストン2は、シリンダ1の燃焼室3内に収容される。内燃機関の運転中、ピストン2は、図3から理解できるように、燃焼室3内で、シリンダ1の下に位置するクランクケース21内のクランク軸22から離れる方向およびクランク軸22に向かう方向に往復運動を行う。
【0030】
シリンダ1は、その上端に、燃料と酸化剤との混合気を燃焼室3に導入するための吸気チャネル9と、燃焼後の排気ガスを燃焼室3から排出するための排気出口10を備えている。吸気チャネル9および排気出口10はそれぞれ、連続するエンジンストローク中に吸気チャネル9と排気出口10とを選択的に閉じたり開いたりするためのバルブ14,14´を備えている。点火プラグ13は、内燃機関の動力のために燃焼室3内の混合燃料に点火するために設けられている。
【0031】
内燃機関の運転中、シリンダ1は、連続するいくつかのエンジンストロークのうちの1つを連続的に実行し、その間にピストン2は、シリンダ1の燃焼室3内で上昇運動または下降運動を行う。内燃機関の運転サイクルは、吸気ストローク、その後の圧縮ストローク、燃焼ストローク、最後の排気ストロークから構成される。
【0032】
添付図面において、図1Aは、燃料と酸化剤の混合気を導入するためにバルブ14が開いた状態の吸気ストローク中に、ピストン2がクランクケースに向かって下降する様子を示している。ピストン2はシリンダ1内で下降運動する。燃料と酸化剤との混合気は、バルブ14が開いたまま、バルブ14´が閉じたまま、吸気チャネル9を介して燃焼室3に導入される。ピストン2がシリンダ1の内部で所定の最下点に達すると、バルブ14は閉じられ、燃料と酸化剤との混合気のさらなる導入が抑制される。
【0033】
シリンダ1の吸気ストロークに続いて、図1Bに示すように、圧縮ストロークが行われる。この吸気ストロークの間、バルブ14,14´は両方とも閉じたままであり、ピストン2はシリンダ1の内部で上昇運動する。これにより、燃焼室3の内部容積が減少し、それによって、その中にある燃料と酸化剤との混合気が圧縮される。ピストン2がシリンダ1の内部で所定の最高点に達すると、その時点で燃焼室3の容積は最小となり、圧縮された燃料と酸化剤との混合気が点火プラグ13によって点火される。
【0034】
図1Cに示すように、圧縮ストロークに続いて燃焼ストロークが行われる。燃焼ストロークの間、燃焼室3内の燃料と酸化剤との混合気が燃焼し、その結果生じる急速に膨張する燃焼ガスがピストン2を下方向に押し下げ、それによって内燃機関に動力を与える。ピストン2は、シリンダ1内の前述の最下点に再び到達するまで、シリンダ1内を下方に移動し続ける。
【0035】
最後に、図1Dに示すように、後続する排気ストロークの間、吸気チャネル9のバルブ14は閉じたままであり、一方、図1Bとは対照的に、排気出口10のバルブ14´は開いている。ピストン2は、燃焼室3内の燃焼ガスを、排気出口10を介して外部に押し出しながら、シリンダ1の内部で再び上方に移動する。ピストン2が再びシリンダ1の内部で前述の所定の最高点に達すると、排気ストロークが完了する。その後、排気出口10のバルブ14´が閉じられ、吸気チャネル9のバルブ14が開かれ、その後、ピストン2が上述のようにさらに吸気ストロークを行い、内燃機関の全運転サイクルが繰り返される。
【0036】
上述した内燃機関の運転を可能にするために、特に、シリンダ1とピストン2との接触面間の機械的摩擦を低減するための潤滑油が供給される。例えば、クランク軸22に最も近いシリンダ1の下部に潤滑油を連続的または定期的に供給するために、油吐出ノズル(図示せず)が設けられてもよい。
【0037】
図1Aから図1Dに示すように、複数のピストンリング4,5,6が、ピストン2とシリンダ壁15との間に設けられている。図示された実施形態では、4つのピストンリング4,5,6が設けられているが、本開示はこれに限定されない。図2に最もよく示すように、複数のピストンリング4,5,6の各々は、ピストン2の外周に配置される対応する溝4´,5´,6´のうちの1つに配置されていてもよい。
【0038】
複数のピストンリング4,5,6は、圧縮リング6を含む。圧縮リング6は、シリンダ1の(内部の)シリンダ壁15とピストン2との間の隙間をシールするように構成され、適切に配置され、それによって、内燃機関の上述の動作を可能にする。図示された実施形態では、例示的な数の2つの圧縮リング6が、ピストン2の頂部に、ピストン2のピストンクラウン7に最も近い位置に配置されている。
【0039】
さらに、ピストン2とシリンダ壁15との間には、潤滑油の分配を調整するためのオイルスクレーパリング4(「オイルコントロールリング」とも呼ばれる。)を規定する第1のスクレーパリング4が設けられている。第1のスクレーパリング4(以後、オイルスクレーパリング4と呼ぶ。)は、ここで上述したように、ピストン2の往復運動中にシリンダ1の内部のシリンダ壁15上に潤滑油を分配するのを補助するように構成されている。同時に、オイルスクレーパリング4は、内燃機関の運転を妨げる可能性のある余分な潤滑油を掻き落とすように構成されている。この目的のために、オイルスクレーパリング4は、ピストン2内の少なくとも1つのオイルドレインチャネル16に隣接して配置され、このオイルドレインチャネル16は、オイルスクレーパリング4が配置される溝4´内に少なくとも部分的に形成されていてもよい。オイルドレインチャネル16は、ピストン2の円周の少なくとも一部の周囲に延びていてもよい。さらに、複数のオイルドレインチャネル16を設けてもよい。
【0040】
ドレインチャネル16を通って流れた後、余分な潤滑油は、図3に示すように、クランクケース21内の油溜め23に落ちてもよい。潤滑システム33がさらに設けられてもよく、これについては図3を参照して以下に説明する。
【0041】
本発明のある実施形態によれば、オイルスクレーパリング4は、クランクケース21内に収容されたクランク軸22に向かってピストン2が下降運動する間に、シリンダ壁15から潤滑油を掻き落とすように構成されている。すなわち、図1Aおよび図1Cにそれぞれ示すように、内燃機関の吸気ストローク中または燃焼ストローク中である。これらの図において、掻き落とされた潤滑油の流れが矢印によって示されている。
【0042】
当業者であれば、ピストン2の下降運動中にシリンダ壁15からオイルを掻き落とすことを達成するためのオイルスクレーパリング4の形状および/または構成に関する要件を熟知している。
【0043】
上述の本開示の導入部分で述べたように、特定の燃料または燃料混合物は、燃焼後に燃焼室3内に存在した後に比較的多量の水をもたらす可能性がある。特に、天然ガス、LPG(プロパン)、バイオエタノールおよびバイオディーゼルなどの再生可能燃料、および水素は、ガソリンやディーゼル燃料と比較して、燃焼生成物の比較的大きな部分が気体状の水の形態であることが知られている。
【0044】
この気体状の水のかなりの部分は、気体状態のまま残る。そのため、内燃機関の上述の排気ストローク中に燃焼室3から容易に追い出される。それにもかかわらず、この気体状の水の一部は、シリンダのシリンダ壁15に接触することになる。一般に、このシリンダ壁15の少なくとも一部は、混合燃料の燃焼から生じる高温の燃焼ガスに比べて相対的に低温であり、特に、内燃機関が始動したばかりであるか、短時間しか運転されていないか、または内燃機関の周囲温度が特に低い場合に低温となる。その結果、気体状の水(水蒸気)の少なくとも一部は、比較的低温のシリンダ壁15上で凝縮して液体の水を形成する。本開示の意味では、この液体の水は、シリンダ壁15上に小さな液滴または流体の薄膜を形成する凝縮流体と呼ばれる。この凝縮流体は液体状態であるため、その後の内燃機関の排気ストローク中に燃焼室3から押し出されない。
【0045】
数回のエンジンサイクルの間に、この凝縮流体は、内燃機関の上述の正常な運転サイクルを阻害する時点まで蓄積する可能性がある。このような問題を防止し、この凝縮流体を燃焼室3から除去するために、複数のピストンリング4,5,6は、さらに、凝縮流体スクレーパリング5を規定する少なくとも1つの第2のスクレーパリング5を備える。
【0046】
凝縮流体スクレーパリング5も同様に、ピストン2とシリンダ壁15との間に配置され、ピストン2の往復運動中、特にクランク軸22から離れるピストンの上昇ストローク中に、シリンダ壁15から凝縮流体を掻き落とすように構成されている。凝縮流体スクレーパリング5は、シリンダ壁15からの潤滑油の掻き落としに関して、オイルスクレーパリング4に相当する方法で機能してもよい。
【0047】
凝縮流体スクレーパリング5は、オイルスクレーパリング4が向けられる方向とは反対の方向に向けられていてもよく、特に、オイルスクレーパリング4がシリンダ壁15からオイルを掻き取る方向とは反対のシリンダ1内の方向に移動するときに、シリンダ壁15から凝縮流体を掻き取るように構成されてもよい。より詳細には、凝縮流体スクレーパリング5は、ピストン2がクランクケース21およびクランク軸22から離れるように上方に移動するときに、シリンダ壁15から凝縮流体を掻き落とすように構成されていてもよい。言い換えると、凝縮流体スクレーパリング5は、好ましくは、シリンダ1の排気ストロークおよび/または圧縮ストローク中にシリンダ壁15から凝縮流体を掻き落とすように構成され、これに対して、オイルスクレーパリング4は、好ましくは、内燃機関の吸気ストロークおよび/または燃焼ストローク中にシリンダ壁15から潤滑油を掻き落とすように構成される。このように、オイルスクレーパリング4および凝縮流体スクレーパリング5は、好ましくは、相反する方向に移動するときに、それぞれ潤滑油および凝縮流体を掻き落とすように構成される。
【0048】
オイルスクレーパリング4および凝縮流体スクレーパリング5は、それぞれ、ピストン2のそれぞれの移動方向においてそれぞれの掻き取り動作を適切に行うように構成されたそれぞれの形状からなるものであってもよい。あるいは、オイルスクレーパリング4および凝縮流体スクレーパリング5は、同一の形状からなり、互いに反対方向に向いていてもよい。さらに別の構成によれば、オイルスクレーパリング4および凝縮流体リング5は、実質的に同一であってもよく、オイルスクレーパリング4および凝縮流体リング5は、それぞれの機能を果たすためにシリンダ1内の潤滑油または凝縮流体の存在に依存する。
【0049】
凝縮流体スクレーパリング5は、好ましくは、少なくとも1つのオイルスクレーパリング4よりもピストン2のピストンクラウン7の近くに配置される。さらに好ましくは、流体スクレーパリング5は、オイルスクレーパリング4と少なくとも1つの圧縮リング6との間に配置される。
【0050】
次に図2を参照すると、凝縮流体スクレーパリング5は、適切に配置された溝5´内に配置されている。溝5´は、ピストン2の外周を取り囲むように延びていてもよい。溝5´に隣接して、溝5´からピストン2の内側に延びる凝縮流体ドレインチャネル17が配置されている。凝縮流体スクレーパリング5によってシリンダ壁15から掻き落とされた凝縮流体は、凝縮流体ドレインチャネル17を介して排出される。
【0051】
掻き落とされた凝縮流体を排出するための凝縮流体ドレインチャネル17は、ここで上述したオイルドレインチャネル16とは異なっており、これにより、第1の(オイル)スクレーパリング4および第2の(凝縮流体)スクレーパリング5のそれぞれによってシリンダ壁からこれらのそれぞれの流体が掻き落とされた後に、掻き落とされたオイルと掻き落とされた凝縮流体とが混合しないことを保証する。
【0052】
図示された実施形態において、凝縮流体ドレインチャネル17は、ピストン2の中空内部を画定するチャンバ18に接続される。チャンバ18は、ピストン2の下方に延びるドレインチャネル12と流体的に接続されている。その結果、凝縮流体スクレーパリング5によってシリンダ壁15から掻き落とされた凝縮流体は凝縮流体ドレインチャネル17、チャンバ18、およびドレインチャネル12を介してシリンダ1から流出する。このようにして、燃焼室3内またはその近傍における凝縮流体の存在に関連する問題は、回避または軽減され得る。加えて、かなりの量の液体の水が潤滑油および/または油溜め23に混入することが防止される。
【0053】
ここで、添付図に示される実施形態は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、ピストン2の同等であるが代替的な構成によって、同一または類似の結果が達成され得ることが強調される。例えば、チャンバ18の存在は重量および材料の削減という利点を構成するが、このチャンバ18を省略し、代わりに、凝縮流体ドレインチャネル17とドレインチャネル12とを直接接続する、より細い導管(図示せず)で置き換えることも考えられる。
【0054】
図3は、図1A図1Bおよび図2を参照して説明したような、ピストン2をその中に有するシリンダ1を少なくとも含む内燃機関の概略的な部分図を示している。
【0055】
図3に示すように、ピストン2はシリンダ1内に収容され、それによって前述の図に示される燃焼室3が画定される。ピストン2はさらに、ピストン2の接続手段8に接続されたコネクティングロッドによって、クランクケース21内に配置されたクランク軸22に接続されている。クランクケース21はさらに、内燃機関の潤滑システム33の一部を形成する油溜め23を構成する。
【0056】
さらに図3を参照すると、前述の図を参照して説明したドレインチャネル12に流体的に接続するコネクタ20が設けられている。コネクタ20は、さらに、流体の適切な流れを可能にするためのモータを備えていてもよい。この目的のために、コネクタ20の下流に補助ポンプ24が設けられていてもよい。コネクタ20は、ドレインチャネル12を流体-オイル分離器26と流体的に接続する。
【0057】
前述の図を参照して説明したように、凝縮流体はドレインチャネル12を介してピストン2から流出する。実際には、この凝縮流体が少なくともいくらかの残留潤滑油を含むことを完全に防止することはできないと考えられている。
【0058】
潤滑油と凝縮流体との混合物は、コネクタ20を介して流体-オイル分離器26に供給される。流体-オイル分離器26は,(残留)潤滑油を凝縮流体から分離するように構成されている。特定の実施形態によれば、この分離は、少なくとも部分的には、潤滑油と凝縮流体との不混和性に基づいていてもよく、当該不混和性の結果として、流体-オイル分離器26内で凝縮流体と油の2つの分離した別個の層を形成する傾向があり、比較的容易に分離することができる。凝縮流体から分離された潤滑油は、流体-オイル分離器26を油溜め23に流体的に接続する油戻し導管25を介して油溜め23に戻されてもよい。
【0059】
より好ましい実施形態によれば、流体-オイル分離器26は、代替的または追加的に、少なくとも凝縮流体の蒸発に基づいて凝縮流体と潤滑油とを分離するように構成されている。これらの実施形態において、流体-オイル分離器26は、凝縮流体と潤滑油との混合物を高温に加熱するように構成された加熱要素32を備える。この高温において、凝縮流体は蒸発し、ガス出口27を介して流体-オイル分離器26から出ることができる。
【0060】
流体-オイル分離器26は、好ましくは、その中の所定の温度を維持するための温度制御装置を備える。
【0061】
流体-オイル分離器26を出る蒸発した凝縮流体は、主に水蒸気からなるが、いくらかの残留潤滑油が蒸発した状態でまだ存在する可能性がある。環境上の理由から、流体-オイル分離器26を出る残留潤滑油を含む蒸発した凝縮流体の気体状の流れは、好ましくは燃焼室3に戻され、そこで任意の残留潤滑油が燃焼される。
【0062】
したがって、流体-オイル分離器26のガス出口27は、吸気チャネル9内に延びている。ガス出口27が吸気チャネル9に抜ける部分には、好ましくはベンチュリ管に似た形状の狭窄部29が配置されていてもよい。狭窄部29は、水蒸気(凝縮流体)および気体状の潤滑油を含むガスの比較的増大した流速が、流体-オイル分離器26からガス出口27を経由して吸気チャネル9、ひいてはシリンダ1へと流れることを保証する。
【0063】
さらに図3から分かるように、狭窄部29の上流にガス入口28が設けられ、流体-オイル分離器26と吸気チャネル9との間のさらなる接続を提供する。ガス入口28は、流体-オイル分離器26から吸気チャネル9への上述の気体状の流れが行われるのに必要な空気の一定の導入を提供する。ガス入口28は、それによってさらに、クランクケース21からの空気が流体-オイル分離器26によって吸い込まれるのを防止する。
【0064】
ガス入口28のさらに上流には、内燃機関によって取り込まれる前に周囲の空気を濾過するように構成されたエアフィルタ30が配置されている。図3はさらに、燃料混合物を、そこからシリンダ1の燃焼室3に流入してもよい吸気チャネル9に噴射するように構成されたオプションの燃料噴射装置31を示している。あるいは、内燃機関はキャブレタ(図示せず)を備えていてもよい。
【0065】
ここで、本開示に記載された開発の保護範囲は、上述され、添付図面に示された実施形態の特定の特徴に決して限定されないことに留意されたい。
【0066】
本発明は、4ストローク、スパーク点火、エンジンを参照して説明されてきたが、これらの例示的な実施形態は、本開示を限定するものとして理解されるべきではない。実際、ここで説明された本発明の一般的な原理が、2ストロークエンジン、6ストロークエンジン、および圧縮点火エンジンにおいても同様に適用され得ることは十分に考えられる。このことを考慮すると、当業者は、本発明が適用される内燃機関のタイプに応じて、ここで上述したエンジン構成要素の一部が省略される一方で、代替的なエンジン構成要素が存在し得ることを認めるであろう。
【0067】
保護範囲は、専ら添付の独立請求項の制限に基づいて決定されるが、法域によっては、独立請求項の特徴に対する明白な代替案を包含することさえある。本開示の添付の特許請求の範囲内で具体化され得る、具体的に記載された要素、構成要素、および機能性に関する他の変形は、上記の実施形態の説明において少なくとも示唆されており、または当業者は、この当業者の一般的な知識の範囲内でこれらの変形を想定することができると考えられる。代替実施形態に対するこの例示的な言及は、独立請求項において限定として定義されていない、任意の特定の特徴に対するいかなる限定も不当であることを立証する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のピストン(2)であって、
- 該ピストン(2)の外周に配置され、第1のスクレーパリング(4)を受ける第1の溝(4´)と、
- 前記ピストン(2)の外周に配置され、第2のスクレーパリング(5)を受ける第2の溝(5´)であって、前記第1の溝(4´)よりも前記ピストン(2)のピストンクラウン(7)の近くに配置されている、第2の溝(5´)と、
- 該第2の溝(5´)に隣接して配置され、該第2の溝(5´)から前記ピストン(2)の内側に延びるドレインチャネル(17)と、を備えるピストン(2)
【請求項2】
- 前記第1の溝(4´)に配置された前記第1のスクレーパリング(4)、および、
- 前記第2の溝(5´)に配置された前記第2のスクレーパリング(5)の少なくとも1つをさらに備える、請求項1に記載のピストン(2)
【請求項3】
前記ピストン(2)の外周に配置され、圧縮リング(6)を受ける第3の溝(6´)をさらに備え、該第3の溝(6´)が、前記第2の溝(5´)よりも前記ピストンクラウン(7)の近くに配置されている、請求項1に記載のピストン(2)
【請求項4】
前記第3の溝(6´)内に配置された前記圧縮リング(6)をさらに備える、請求項3に記載のピストン(2)
【請求項5】
前記第1のスクレーパリング(4)によって掻き落とされたオイルを排出するために、前記第1の溝(4´)に隣接して前記ピストン(2)内に配置されたオイルドレインチャネル(16)をさらに備え、前記ドレインチャネル(17)が、前記オイルドレインチャネル(16)とは別個である、請求項1に記載のピストン(2)
【請求項6】
前記ドレインチャネル(17)が、前記ピストン(2)の中空内部を画定するチャンバ(18)内に接続されている、請求項1に記載のピストン(2)
【請求項7】
前記ドレインチャネル(17)が、前記ピストン(2)の下方に延びるさらなるドレインチャネル(12)と流体的に接続されている、請求項1に記載のピストン(2)
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のピストンを備える内燃機関を提供する方法
【請求項9】
内燃機関の改造のための請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のピストンの使用
【請求項10】
- シリンダ壁(15)によって囲まれた燃焼室(3)を画定するシリンダ(1)と、
- 前記第1の溝(4´)内に配置された前記第1のスクレーパリング(4)および前記第2の溝(5´)内に配置された前記第2のスクレーパリング(5)を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のピストン(2)と、を備え、
該ピストン(2)が、前記燃焼室(3)内に配置されかつクランク軸(22)から離れる方向および該クランク軸(22)に向かう方向に往復運動するように移動可能である、内燃機関。
【請求項11】
前記第1のスクレーパリング(4)と前記第2のスクレーパリング(5)とが反対方向に向いている、請求項10に記載の内燃機関。
【請求項12】
前記ピストン(2)と前記シリンダ壁(15)との間に配置され、その間の隙間をシールする少なくとも1つの圧縮リング(6)をさらに備える、請求項10に記載の内燃機関。
【請求項13】
少なくとも1つの前記圧縮リング(6)が、前記第2のスクレーパリング(5)よりも前記ピストンクラウン(7)の近くに配置されている、請求項12に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記ドレインチャネル(17)が、さらに、前記ピストン(2)から前記クランク軸(22)の方向に延びている、請求項10に記載の内燃機関。
【請求項15】
前記ドレインチャネル(17)が、エンジン潤滑システム(33)と流体的に接続されている、請求項10に記載の内燃機関。
【請求項16】
- シリンダ壁(15)によって囲まれた燃焼室(3)を画定するシリンダ(1)と、
- 前記燃焼室(3)内に配置され、クランク軸(22)から離れる方向および該クランク軸(22)に向かう方向に往復運動可能なピストン(2)と、
- 該ピストン(2)と前記シリンダ壁(15)との間に配置され、前記ピストン(2)が前記クランク軸(22)に向かって移動するときに前記シリンダ壁(15)からオイルを掻き落とすように構成されたオイルスクレーパリング(4)と、前記ピストン(2)が前記クランク軸(22)から離れる方向に移動するときに前記シリンダ壁(15)から凝縮流体を掻き落とすように構成された凝縮流体スクレーパリング(6)とを備える複数のピストンリング(4,5,6)と、
- 前記凝縮流体スクレーパリング(5,6)によって掻き落とされた流体を排出するために、前記凝縮流体スクレーパリング(5,6)から延びるドレインチャネル(17)と、
- 該ドレインチャネル(17)の下流に配置され、掻き落とされた前記凝縮流体を、その中に存在する残留または残存潤滑油から分離するように構成された、流体-オイル分離器(26)とを備え、
該流体-オイル分離器(26)が、
- 前記凝縮流体の蒸発に基づいて、前記凝縮流体を前記オイルから分離するように構成されること、および
- 前記シリンダ(1)の入口チャネル(9)と流体的に接続するガス出口(27)を備えることの少なくとも1つである、内燃機関。
【請求項17】
前記流体-オイル分離器(26)が、温度制御装置を備える、請求項16に記載の内燃機関。
【請求項18】
前記流体-オイル分離器(26)が、前記内燃機関の潤滑システム(33)に流体的に接続している、請求項16または請求項17に記載の内燃機関。
【請求項19】
前記流体-オイル分離器(26)が、前記凝縮流体から分離された潤滑油を油溜め(23)に供給するように構成されている、請求項18に記載の内燃機関。
【請求項20】
前記流体-オイル分離器(26)が、ガス出口(27)を備え、前記流体-オイル分離器(26)の前記ガス出口(27)が前記シリンダ(1)の前記入口チャネル(9)に接続される箇所に狭窄部(29)が設けられている、請求項16に記載の内燃機関。
【請求項21】
前記狭窄部(29)が、ベンチュリ管状の形状からなる、請求項20に記載の内燃機関。
【請求項22】
前記流体-オイル分離器(26)に周囲の空気を導入するように構成されたガス入口(28)をさらに備える、請求項16に記載の内燃機関。
【請求項23】
前記ドレインチャネル(17)が、さらに、前記ピストン(2)から前記クランク軸(22)の方向に延びている、請求項16に記載の内燃機関。
【請求項24】
前記ドレインチャネル(17)が、エンジン潤滑システム(33)に流体的に接続されている、請求項16に記載の内燃機関。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、ピストン、ピストンの使用、内燃機関を提供する方法及び内燃機関に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
ここで、欧州特許出願公開第2175107号明細書を参照するが、この文献は本発明に最も近い先行技術であると認められ、大型ディーゼルエンジンおよびこのような大型ディーゼルエンジンを潤滑する方法を開示している。この文献が開示するディーゼルエンジンは、複数のピストンリングを備えている。これらのピストンリングのうち、1つだけ、すなわち、燃焼室から最も遠いものが、スクレーパリングである。この単一のスクレーパリングは、オイルを掻き落とすためだけに設計、配置されており、このオイルは、大型ディーゼルエンジンのシリンダの下端にある回収装置にピストンの外側を経由して回収される。このディーゼルエンジンは、粒子あるいは水などの未溶解流体成分から潤滑油を洗浄するための遠心分離機からなる洗浄装置を有する。遠心分離機の前にメカニカルフィルタを配置することができ、潤滑油から対象物質を除去するために科学洗浄装置が挙げられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
さらに、米国特許第4614150号明細書は、2つの圧縮リングおよび1つのオイルスクレーパリングが環状溝に配置されたピストンを開示している。オイルドレインチャネルは、オイルスクレーパリングによってシリンダ壁から書き落とされたオイルを環状溝からクランクケースに戻す。同様のピストンが、独国特許出願公開第4007922号明細書に開示されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
シリンダ1の吸気ストロークに続いて、図1Bに示すように、圧縮ストロークが行われる。この圧縮ストロークの間、バルブ14,14´は両方とも閉じたままであり、ピストン2はシリンダ1の内部で上昇運動する。これにより、燃焼室3の内部容積が減少し、それによって、その中にある燃料と酸化剤との混合気が圧縮される。ピストン2がシリンダ1の内部で所定の最高点に達すると、その時点で燃焼室3の容積は最小となり、圧縮された燃料と酸化剤との混合気が点火プラグ13によって点火される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】