(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】プロセス液体/蒸気界面における腐食を防止するように構成されているバルブシステム
(51)【国際特許分類】
F16K 51/00 20060101AFI20240905BHJP
F16K 41/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16K51/00 Z
F16K41/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518753
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022043341
(87)【国際公開番号】W WO2023048990
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523224589
【氏名又は名称】フローサーブ・プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLOWSERVE PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリッシュ・ポール・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン・マイケル・ピー.
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA19
3H066BA38
3H066DA09
(57)【要約】
【解決手段】プロセス液体の液体/蒸気界面による腐食を回避する一方、腐食性プロセス液体の流れを制御するためのバルブシステムは、プロセス液体をバルブからパージポートを通してパージラインの垂直セグメントに流す。バルブ初期化中、パージライン内の非反応性ガス背圧は、超音波であり得る界面レベルセンサによって決定される垂直セグメント内の所望の高さに液体/蒸気界面を確立するように制御される。垂直セグメントは、液体/蒸気界面との接触に耐えることができる材料から構築されるか、またはその材料で裏打ちされる。バルブ動作中、非反応性ガスの圧力を調節し続けることができ、またはパージバルブを閉じ、パージライン内に一定量の非反応性ガスを閉じ込めることができる。バルブは、溶融したプロセス液体がバルブ内で固化するのを防止するように構成されているヒータを含むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムであって、前記プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、前記プロセス液体または前記プロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高く、前記バルブシステムは、
バルブであって、前記バルブの動作中に通常は前記プロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、
前記バルブに設けられているパージポートであって、前記内部プロセス液体容積と外部パージラインとの間の液体連通を可能にするパージポートと、
前記パージラインに含まれる垂直セグメントであって、前記垂直セグメントと前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある材料から構築されるか、またはその材料で裏打ちされる垂直セグメントと、
前記垂直セグメント内の前記液体/蒸気界面のレベルを決定するように構成されている界面レベルセンサと、
前記パージラインに入るプロセス液体が前記垂直セグメントに入るようにする一方で、前記プロセス液体が前記垂直セグメントを越えて流れるのを防止する背圧を有する非反応性ガスで前記液体/蒸気界面の下流にある前記パージラインの下流セグメントを充填するように構成されている非反応性ガス源と
を備える、バルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージライン内の前記非反応性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータを備える、バルブシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバルブシステムであって、
前記液体/蒸気界面センサは、超音波センサである、バルブシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージライン内の前記非反応性ガスの前記圧力を制御し、前記垂直セグメント内の前記液体/蒸気界面レベルを確立するように構成されている圧力コントローラを備える、バルブシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記界面レベルセンサによって行われた測定に従って前記圧力コントローラを制御し、前記垂直セグメント内の所望の高さに前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面を確立するように構成されている界面レベルコントローラを備える、バルブシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
前記パージラインに含まれ、前記パージライン内の前記非反応性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサを備える、バルブシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージラインに含まれ、前記パージライン内の前記非反応性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサを備える、バルブシステム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
前記パージラインから前記非反応性ガスを排気するように構成されているガスベントを備える、バルブシステム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
熱コントローラによって制御されるバルブヒータを備える、バルブシステム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
前記バルブは、ベローズバルブである、バルブシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
前記プロセス液体は、溶融塩である、バルブシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のバルブシステムであって、
前記垂直セグメントと前記プロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある前記材料は、前記垂直セグメントに適用されるタングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングのうちの少なくとも1つを備える、バルブシステム。
【請求項13】
腐食性プロセス液体のバルブを通る流れを初期化する方法であって、前記プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、前記プロセス液体または前記プロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高く、前記方法は、
A)請求項1に記載のバルブシステムを設け、
B)前記非反応性ガスが前記バルブ内の前記内部プロセス液体容積を充填するように非反応性ガスを前記パージラインに導入し、
C)前記プロセス液体を前記バルブの入口に加え、
D)前記バルブ内の前記非反応性ガスの圧力を低下させ、それによって前記プロセス液体が前記内部プロセス液体容積を充填し、そこから前記パージポートを通って前記パージラインに流れることを可能にし、
E)前記プロセス液体が前記垂直セグメントに入るようにする一方で、前記プロセス液体が前記垂直セグメントを越えて流れるのを防止する前記パージライン内の前記非反応性ガスの背圧を確立し、それによって前記垂直セグメント内に前記プロセス液体の液体/蒸気界面を確立すること
を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
ステップE)は、前記界面レベルセンサを使用して、前記パージライン内の前記液体/蒸気界面の高さを決定することを含む、方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の方法であって、
ステップE)は、前記垂直セグメント内の所望の高さに前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面を確立することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
ステップE)の後、前記パージライン内の前記非反応性ガスの前記背圧を制御および調整し続け、前記垂直セグメント内の前記所望の高さに前記液体/蒸気界面を維持することを備える、方法。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項に記載の方法であって、
ステップE)の後、前記垂直セグメントの上流にあるパージバルブを閉じ、それによって前記液体/蒸気界面と前記パージバルブとの間に延びる前記パージラインの一定容積内に一定量の前記非反応性ガスを確立することを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【政府権益の声明】
【0001】
本発明の一部は、契約番号DE-NA0003525の下で政府の資金援助を伴ってなされたものであり、政府に一定の権利が存在する場合がある。
【関連出願】
【0002】
本出願は、2021年9月27日に出願された米国特許出願第17/485,666号の利益を主張し、上記の開示は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明は、バルブに関し、より詳細には、腐食性液体/蒸気界面を有する液体の流れを制御するために使用されるバルブに関する。
【背景技術】
【0004】
腐食性液体の流れを制御するために、いくつかのプロセスバルブが必要である。溶融塩は、そのような材料の一例であり、集光型太陽光発電(CSP)産業およびトリウムベースの原子力産業を含むいくつかの産業におけるプロセスにとって重要性が高まっている。例えば、いくつかのCSPプラントでは、太陽熱は、プロセス制御システム内で循環される高い熱容量を有する溶融塩の流れに集中される。熱は溶融塩から伝達されて蒸気を生成し、その蒸気が発電に使用される。
【0005】
システムを最適化してより高い動作効率を得るために、異なる特性を有する異なるタイプの塩が使用される。これらの塩は、液体状態では非常に腐食性が高い可能性がある。さらに、溶融塩の一部は、典型的には高温で蒸発し、液体塩のレベルよりも上で塩蒸気または塩ガスを生成する。塩蒸気または塩ガスもまた、非常に腐食性が高い場合がある。
【0006】
多くの場合、たとえ腐食性液体の外部バルブ漏れが最小量であっても、許容できないと考えられる。そのような場合には、ベローズシールバルブが使用されることが多い。
図1の断面図を参照すると、ベローズシールバルブは、アコーディオン状のベローズ100を備える。ベローズ100の一端102は、バルブステム104に溶接されるか他の方法で取り付けられる。ベローズ100の他端106は、バルブボンネット109にクランプされるか他の方法で取り付けられる部品108に溶接される。バルブを動作させるとき、バルブステム104は、バルブシート112に対するバルブプラグ110の位置を制御するように線形バルブストロークで移動される。バルブストローク中、ベローズ100は、スライドするバルブステム104の線形運動に伴って圧縮または膨張する。
【0007】
ベローズ100は各端部102、106に静的シールを有し、バルブステム104の周囲はベローズ100によって覆われているため、金属障壁がバルブの内側のプロセス液体と外部大気との間に設けられ、バルブステム104における漏れを排除する。
図1の例では、プロセス液体はベローズ100の外側にあり、大気はベローズ100の内側にある。他のベローズバルブの場合、プロセス液体はベローズ100の内側にあり、大気はベローズ100の外側にある。通常はプロセス液体によって充填される実質的な内部容積が存在することは、ベローズバルブの設計にとって固有のものである。特に、プロセス液体は、一般に、ベローズ100の全長に沿ってその内面または外面のいずれかと接触する。
【0008】
溶融塩を含む一部の腐食性液体について、液体/蒸気界面における環境は、別々に考慮した場合、液体または蒸気のいずれかよりもさらに腐食性であることが観察されている。したがって、溶融塩などの腐食性液体に耐えるのに十分な耐食性を有し、かつ液体によって生成される腐食性蒸気との接触にも耐えることができる材料であっても、液体/蒸気界面の腐食性の性質に耐えるには不十分である場合がある。多くの場合、液体/蒸気界面に対して耐性のある材料からバルブ全体を構築すること、あるいは腐食性液体および/またはその蒸気に接触する可能性があるバルブの表面のすべてを耐液体/耐蒸気性材料で裏打ちすることは機械的に不可能であり、かつ/または非常に高価となる。
【0009】
したがって、腐食性液体および/またはその蒸気に接触する可能性があるバルブシステムのすべての部分が、液体/蒸気界面による腐食に耐性のある材料から構築されているか、またはその材料で裏打ちされていることを必要とせずに、腐食性液体/蒸気界面との接触による腐食または損傷を防止するように構成されているバルブシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、プロセス液体の腐食性液体/蒸気界面との接触による腐食または損傷を防止する一方、腐食性液体および/またはその蒸気に接触する可能性があるバルブのすべての部分が、液体/蒸気界面による腐食に耐性のある材料から構築されているか、またはその材料で裏打ちされていることを必要とせずに、腐食性プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブおよび関連する腐食制御システムである。実施形態では、バルブは、ベローズバルブである。
【0011】
本発明によれば、バルブは、通常は腐食性プロセス液体で充填されるバルブの内部プロセス液体容積と、腐食制御システムの一部であるパージラインとの間の液体連通を可能にする「パージポート」を含む。バルブの通常の動作中、窒素ガスなどの非反応性ガスの背圧がパージライン内に確立され、それによりプロセス液体はパージラインの垂直セグメントに入るが、非反応性ガスの背圧によって垂直セグメントを越えて流れることは防止される。
【0012】
腐食制御システムは、垂直セグメント内の液体/蒸気界面のレベルを感知することができる界面レベルセンサをさらに含む。実施形態では、界面レベルセンサは、超音波センサである。様々な実施形態において、腐食制御システムは、非反応性ガスの源と、垂直セグメント内の非反応性ガスの背圧を制御することができる圧力レギュレータとをさらに含む。実施形態はまた、垂直セグメント内に液体/蒸気界面を確立して維持するように構成されているコントローラを含む。
【0013】
開示された方法の実施形態によれば、バルブが最初に稼働されるとき、最初に非反応性ガスが充填されて加圧される。次に、プロセス液体がバルブの入口に加えられ、非反応性ガスの圧力がゆっくりと低下し、それによって腐食性プロセス液体がバルブの内部プロセス液体容積に流れ、そこからパージポートを通ってパージラインに流れることが可能になる。腐食性プロセス液体がパージラインの垂直セグメントに入ると、非反応性ガスの圧力は、界面レベルセンサによって決定されるように、腐食性プロセス液体の液体/蒸気界面が垂直セグメント内の所望の高さで安定化される背圧に達するまで調整される。本発明によれば、液体/蒸気界面は、その後、バルブの動作中に垂直セグメント内に留まる。
【0014】
これらの実施形態のいくつかでは、非反応性ガス背圧の調節は、例えば、界面レベルセンサによって行われる液体/蒸気界面レベルの測定に従ってコントローラに背圧レギュレータを定期的または連続的に調整させることによって、バルブの動作中に継続される。他の実施形態では、適切な非反応性ガス背圧がパージライン内に確立されると、垂直セグメントの下流に位置するパージバルブが閉じられ、それにより一定量の非反応性ガスがパージバルブと垂直セグメント内の液体/蒸気界面との間のパージラインの一定容積内に封入されたままとなる。腐食性プロセス液体の液体圧力が、例えばプロセス液体の温度または流量の変動により変動する場合、これは、実施形態では、一定容積内の非反応性ガスが圧縮されるか膨張が可能なとき、垂直セグメント内の液体/蒸気界面レベルをわずかにシフトさせることによって対応される。
【0015】
本発明によれば、垂直セグメントは、液体/蒸気界面との接触による腐食に耐性のある材料から作製されるか、またはその材料で裏打ちされる。例には、他の材料およびコーティングの中でも、耐食タングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングが挙げられる。それによって、バルブシステムと腐食性プロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食および損傷は、バルブのいかなる部分またはパージラインのいかなる他の部分も、プロセス液体の液体/蒸気界面による腐食に耐性のある材料から構築されているか、またはその材料で裏打ちされていることを必要とせずに、耐食性垂直セグメント内に液体/蒸気界面を維持することによって回避される。
【0016】
実施形態では、バルブは、バルブを加熱するように構成されているヒータをさらに含み、それによって通常の動作中、バルブ内の液体として溶融塩などの溶融プロセス物質を維持する。実施形態では、ヒータはまた、必要に応じて、例えばプロセス中断によりプロセス物質がバルブ内で冷えて固化した場合、プロセス物質を再溶融するために使用することもできる。
【0017】
以下の説明の多くは、バルブがベローズバルブであり、バルブ内のプロセス液体がベローズの外側と接触する溶融塩である例示的な実施形態を対象とする。しかし、当業者は、プロセス液体がベローズの内部を占めるベローズバルブを含み、またベローズバルブではないバルブを含む、腐食性プロセス液体を制御する事実上あらゆるタイプのバルブシステムに対して本発明の原理を容易に適応させることができるであろう。また、本発明は、溶融塩の流れを制御するシステムに限定されず、別々に考慮した場合、液体または蒸気のいずれかよりも腐食性が高い液体/蒸気界面を有する腐食性液体の流れを制御するすべてのバルブシステムに拡張されることも理解されよう。
【0018】
本発明の1つの一般的な態様は、腐食性プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムであり、プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、プロセス液体またはプロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高い。バルブシステムは、バルブの動作中に通常はプロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、バルブに設けられているパージポートであって、内部プロセス液体容積と外部パージラインとの間の液体連通を可能にするパージポートと、パージラインに含まれる垂直セグメントであって、垂直セグメントとプロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある材料から構築されるか、またはその材料で裏打ちされる垂直セグメントと、垂直セグメント内の液体/蒸気界面のレベルを決定するように構成されている界面レベルセンサと、パージラインに入るプロセス液体が垂直セグメントに入るようにする一方で、プロセス液体が垂直セグメントを越えて流れるのを防止する背圧を有する非反応性ガスで液体/蒸気界面の下流にあるパージラインの下流セグメントを充填するように構成されている非反応性ガス源とを含む。
【0019】
実施形態は、パージライン内の非反応性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータをさらに含む。
【0020】
上記の実施形態のいずれにおいても、液体/蒸気界面センサは、超音波センサとすることができる。
【0021】
上記の実施形態のいずれも、パージライン内の非反応性ガスの圧力を制御し、垂直セグメント内の液体/蒸気界面レベルを確立するように構成されている圧力コントローラをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかは、界面レベルセンサによって行われた測定に従って圧力コントローラを制御し、垂直セグメント内の所望の高さにプロセス液体の液体/蒸気界面を確立するように構成されている界面レベルコントローラをさらに含む。
【0022】
上記の実施形態のいずれも、パージラインに含まれ、パージライン内の非反応性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサをさらに含むことができる。
【0023】
上記の実施形態のいずれも、パージラインに含まれ、パージライン内の非反応性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサをさらに含むことができる。
【0024】
上記の実施形態のいずれも、パージラインから非反応性ガスを排気するように構成されているガスベントをさらに含むことができる。
【0025】
上記の実施形態のいずれも、熱コントローラによって制御されるバルブヒータをさらに含むことができる。
【0026】
上記の実施形態のいずれにおいても、バルブは、ベローズバルブとすることができる。
【0027】
上記の実施形態のいずれにおいても、プロセス液体は、溶融塩とすることができる。
【0028】
上記の実施形態のいずれにおいても、垂直セグメントとプロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある材料は、垂直セグメントに適用されるタングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0029】
本発明の第2の一般的な態様は、腐食性プロセス液体のバルブを通る流れを初期化する方法であり、プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、プロセス液体またはプロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高く、方法は、
A)請求項1に記載のバルブシステムを設け、
B)非反応性ガスがバルブ内の内部プロセス液体容積を充填するように、非反応性ガスをパージラインに導入し、
C)プロセス液体をバルブの入口に加え、
D)バルブ内の非反応性ガスの圧力を低下させ、それによってプロセス液体が内部プロセス液体容積を充填し、そこからパージポートを通ってパージラインに流れることを可能にし、
E)プロセス液体が垂直セグメントに入るようにする一方で、プロセス液体が垂直セグメントを越えて流れるのを防止するパージライン内の非反応性ガスの背圧を確立し、それによって垂直セグメント内にプロセス液体の液体/蒸気界面を確立すること
を含む。
【0030】
実施形態では、ステップE)は、界面レベルセンサを使用して、パージライン内の液体/蒸気界面の高さを決定することを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ステップE)は、垂直セグメント内の所望の高さにプロセス液体の液体/蒸気界面を確立することを含む。そして、これらの実施形態のいくつかは、ステップE)の後、パージライン内の非反応性ガスの背圧を制御および調整し続け、垂直セグメント内の所望の高さに液体/蒸気界面を維持することをさらに含む。
【0031】
そして、上記の実施形態のいずれも、ステップE)の後、垂直セグメントの上流にあるパージバルブを閉じ、それによって液体/蒸気界面とパージバルブとの間に延びるパージラインの一定容積内に一定量の非反応性ガスを確立することをさらに含むことができる。
【0032】
本明細書に記載の特徴および利点は包括的なものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点は、図面、明細書、および特許請求の範囲を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび指示を目的として選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、従来技術のベローズバルブの等尺断面図である。
【0034】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態の等尺断面図である。
【0035】
【
図3】
図3は、腐食制御システムに接続されて示される
図2のバルブの一部の拡大断面図であり、バルブは、一定の縮尺で描かれている。
【0036】
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態において開示されたバルブを実装するための方法を示すフロー図である。
【0037】
【
図5】
図5は、バルブヒータをさらに含む、
図2と同様のバルブの等尺側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、プロセス液体の腐食性液体/蒸気界面との接触による腐食または損傷を防止する一方、腐食性液体および/またはその蒸気に接触する可能性があるバルブのすべての部分が、液体/蒸気界面による腐食に耐性のある材料から構築されているか、またはその材料で裏打ちされていることを必要とせずに、腐食性プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブおよび関連する腐食制御システムである。実施形態では、バルブは、ベローズバルブである。
【0039】
図2を参照すると、本発明によれば、バルブは、通常は腐食性プロセス液体で充填されるバルブの内部プロセス液体容積202と、腐食制御システム206に関連付けられたパージライン204との間の液体連通を可能にする「パージポート」200を含む。バルブの通常の動作中、窒素ガスなどの非反応性ガスの背圧がパージライン204内に確立され、それによりプロセス液体はパージライン204の垂直セグメント208に入るが、非反応性ガスの背圧によって垂直セグメント208を越えて流れることは防止される。
【0040】
本発明によれば、垂直セグメント208は、液体/蒸気界面212との接触による腐食に耐性のある材料から作製されるか、またはその材料で裏打ちされる。例には、他の材料およびコーティングの中でも、耐食タングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングが挙げられる。バルブシステムは、パージライン204内の液体/蒸気界面212のレベルを検出することができる、超音波センサなどの界面レベルセンサ210をさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、非反応性ガスの背圧が調節され408、液体/蒸気界面212を垂直セグメント208内の所望のレベルになるように調整する。
【0041】
図3を参照すると、実施形態では、腐食制御システム206は、窒素ガスなどの非反応性ガスの源300と、垂直セグメントから源300を隔離するように構成されているパージバルブ312と、パージライン204内の非反応性ガスの圧力を制御することができる圧力レギュレータ302とをさらに含む。図示の実施形態は、垂直セグメント208内に液体/蒸気界面212を確立して維持するように構成されているコントローラ314をさらに含む。
図3の実施形態では、パージライン204はまた、ガスヒータ304およびガスベント306、ならびに温度センサ308および圧力センサ310を含む。
【0042】
図4を参照すると、開示された方法の実施形態によれば、バルブが稼働されるとき、最初に非反応性ガス400が充填されて加圧される。次に、プロセス液体がバルブの入口に加えられ、非反応性ガスの圧力がゆっくりと低下し402、それによって腐食性プロセス液体がバルブの内部プロセス液体容積202に流れ、そこからパージポート200を通ってパージライン204に流れることが可能になる。腐食性プロセス液体がパージライン204の垂直セグメント208に入ると404、非反応性ガスの圧力は、界面レベルセンサ210によって決定されるように、腐食性プロセス液体の液体/蒸気界面212が垂直セグメント208内の所望の高さで安定化される背圧に達するまで調整される406。本発明によれば、液体/蒸気界面212は、その後、バルブの動作中に垂直セグメント208内に留まる。
【0043】
いくつかの実施形態では、非反応性ガス背圧の調節は、例えば、界面レベルセンサ210によって行われる液体/蒸気界面レベルの測定に従ってコントローラ314に圧力レギュレータ302を定期的または連続的に調整させることによって、バルブの動作中に継続される。
【0044】
図4の実施形態では、適切な非反応性ガス背圧がパージライン204内に確立されると、垂直セグメント208の下流に位置するパージバルブ312が閉じられ408、それにより一定量の非反応性ガスがパージバルブ312と垂直セグメント208内の液体/蒸気界面212との間に延びるパージライン204の一定容積内に封入されたままとなる。腐食性プロセス液体の液体圧力が、例えばプロセス液体の温度または流量の変動により変動する場合、これは通常、実施形態では、一定容積内の非反応性ガスが圧縮されるか膨張が可能なとき、垂直セグメント208内の液体/蒸気界面レベル212をわずかにシフトさせることによって対応される。
図4の実施形態では、コントローラ314は、界面センサ210によって測定される液体/蒸気界面レベル212を監視し続け410、その結果、必要に応じてパージバルブ312を一時的に再度開き、背圧を再調整することが可能である。
【0045】
垂直セグメント208が液体/蒸気界面212との接触による腐食に耐性のある材料から作製されるか、またはその材料で裏打ちされるため、バルブシステムと腐食性プロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食および損傷は、バルブのいかなる部分またはパージラインのいかなる他の部分も、プロセス液体の液体/蒸気界面による腐食に耐性のある材料から構築されているか、またはその材料で裏打ちされていることを必要とせずに回避される。
【0046】
図5を参照すると、実施形態では、バルブは、バルブを加熱するように構成されているヒータ500をさらに含み、それによって通常の動作中、バルブ内の液体として溶融塩などの溶融プロセス物質を維持する。実施形態では、ヒータ500はまた、必要に応じて、例えばプロセス中断によりプロセス物質がバルブ内で冷えて固化した場合、プロセス物質を再溶融するために使用することもできる。
【0047】
本明細書に提示される図面および対応する説明の多くは、バルブがベローズバルブであり、バルブ内のプロセス液体がベローズの外側と接触する溶融塩である例示的な実施形態に言及していることに留意されたい。しかし、当業者は、プロセス液体がベローズの内部を占めるベローズバルブを含み、またベローズバルブではないバルブを含む、腐食性プロセス液体を制御する事実上あらゆるタイプのバルブシステムに対して本発明の原理を容易に適応させることができるであろう。また、本発明は、溶融塩などの溶融材料の流れを制御するシステムに限定されず、別々に考慮した場合、液体および蒸気のいずれかよりも腐食性が高い液体/蒸気界面を有する腐食性液体の流れを制御するすべてのバルブシステムに拡張されることも理解されよう。
【0048】
本発明の実施形態に関する前述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。この提出物のあらゆるページ、およびそのすべての内容は、どのような特徴付け、識別、または番号付けがされていても、本出願内の形式または配置に関係なく、あらゆる目的で本出願の実質的な部分と見なされる。本明細書は、網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図したものではない。本開示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0049】
本出願は限られた数の形態で示されているが、本発明の範囲はこれらの形態にのみ限定されるものではなく、様々な変更および修正が可能である。本明細書に提示される開示は、本発明の範囲内に含まれる特徴のすべての可能な組み合わせを明示的に開示していない。様々な実施形態に関して本明細書に開示された特徴は、一般に、本発明の範囲から逸脱することなく交換され、自己矛盾していない任意の組み合わせに組み合わせることが可能である。特に、以下の従属請求項に提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に不適合でない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数および任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食性プロセス液体の流れを制御するように構成されているバルブシステムであって、前記プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、前記プロセス液体または前記プロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高く、前記バルブシステムは、
バルブであって、前記バルブの動作中に通常は前記プロセス液体で充填される内部プロセス液体容積を有するバルブと、
前記バルブに設けられているパージポートであって、前記内部プロセス液体容積と外部パージラインとの間の液体連通を可能にするパージポートと、
前記パージラインに含まれる垂直セグメントであって、前記垂直セグメントと前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある材料から構築されるか、またはその材料で裏打ちされる垂直セグメントと、
前記垂直セグメント内の前記液体/蒸気界面のレベルを決定するように構成されている界面レベルセンサと、
前記パージラインに入るプロセス液体が前記垂直セグメントに入るようにする一方で、前記プロセス液体が前記垂直セグメントを越えて流れるのを防止する背圧を有する非反応性ガスで前記液体/蒸気界面の下流にある前記パージラインの下流セグメントを充填するように構成されている非反応性ガス源と
を備える、バルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージライン内の前記非反応性ガスの圧力を調節するように構成されている圧力レギュレータを備える、バルブシステム。
【請求項3】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記液体/蒸気界面センサは、超音波センサである、バルブシステム。
【請求項4】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージライン内の前記非反応性ガスの前記圧力を制御し、前記垂直セグメント内の前記液体/蒸気界面レベルを確立するように構成されている圧力コントローラを備える、バルブシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記界面レベルセンサによって行われた測定に従って前記圧力コントローラを制御し、前記垂直セグメント内の所望の高さに前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面を確立するように構成されている界面レベルコントローラを備える、バルブシステム。
【請求項6】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記パージラインに含まれ、前記パージライン内の前記非反応性ガスの圧力を測定するように構成されている圧力センサを備える、バルブシステム。
【請求項7】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、さらに、
前記パージラインに含まれ、前記パージライン内の前記非反応性ガスの温度を測定するように構成されている温度センサを備える、バルブシステム。
【請求項8】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記パージラインから前記非反応性ガスを排気するように構成されているガスベントを備える、バルブシステム。
【請求項9】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
熱コントローラによって制御されるバルブヒータを備える、バルブシステム。
【請求項10】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブは、ベローズバルブである、バルブシステム。
【請求項11】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記プロセス液体は、溶融塩である、バルブシステム。
【請求項12】
請求項
1に記載のバルブシステムであって、
前記垂直セグメントと前記プロセス液体の液体/蒸気界面との間の接触による腐食に耐性のある前記材料は、前記垂直セグメントに適用されるタングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングのうちの少なくとも1つを備える、バルブシステム。
【請求項13】
腐食性プロセス液体のバルブを通る流れを初期化する方法であって、前記プロセス液体の液体/蒸気界面は、別々に考慮した場合、前記プロセス液体または前記プロセス液体の蒸気のいずれかよりも腐食性が高く、前記方法は、
A)請求項1に記載のバルブシステムを設け、
B)前記非反応性ガスが前記バルブ内の前記内部プロセス液体容積を充填するように非反応性ガスを前記パージラインに導入し、
C)前記プロセス液体を前記バルブの入口に加え、
D)前記バルブ内の前記非反応性ガスの圧力を低下させ、それによって前記プロセス液体が前記内部プロセス液体容積を充填し、そこから前記パージポートを通って前記パージラインに流れることを可能にし、
E)前記プロセス液体が前記垂直セグメントに入るようにする一方で、前記プロセス液体が前記垂直セグメントを越えて流れるのを防止する前記パージライン内の前記非反応性ガスの背圧を確立し、それによって前記垂直セグメント内に前記プロセス液体の液体/蒸気界面を確立すること
を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
ステップE)は、前記界面レベルセンサを使用して、前記パージライン内の前記液体/蒸気界面の高さを決定することを含む、方法。
【請求項15】
請求項
13に記載の方法であって、
ステップE)は、前記垂直セグメント内の所望の高さに前記プロセス液体の前記液体/蒸気界面を確立することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、
ステップE)の後、前記パージライン内の前記非反応性ガスの前記背圧を制御および調整し続け、前記垂直セグメント内の前記所望の高さに前記液体/蒸気界面を維持することを備える、方法。
【請求項17】
請求項
13に記載の方法であって、
ステップE)の後、前記垂直セグメントの上流にあるパージバルブを閉じ、それによって前記液体/蒸気界面と前記パージバルブとの間に延びる前記パージラインの一定容積内に一定量の前記非反応性ガスを確立することを備える、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明によれば、垂直セグメント208は、液体/蒸気界面212との接触による腐食に耐性のある材料から作製されるか、またはその材料で裏打ちされる。例には、他の材料およびコーティングの中でも、耐食タングステンライナおよび炭化タングステン溶射コーティングが挙げられる。バルブシステムは、パージライン204内の液体/蒸気界面212のレベルを検出することができる、超音波センサなどの界面レベルセンサ210をさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、非反応性ガスの背圧が調節され、液体/蒸気界面212を垂直セグメント208内の所望のレベルになるように調整する。
【国際調査報告】