IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フローサーブ・プライベート リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-圧力補償ベローズバルブ 図1
  • 特表-圧力補償ベローズバルブ 図2
  • 特表-圧力補償ベローズバルブ 図3
  • 特表-圧力補償ベローズバルブ 図4
  • 特表-圧力補償ベローズバルブ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】圧力補償ベローズバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/126 20060101AFI20240905BHJP
   F16K 41/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F16K31/126 Z
F16K41/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518754
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022043337
(87)【国際公開番号】W WO2023048989
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/485,663
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523224589
【氏名又は名称】フローサーブ・プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLOWSERVE PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリッシュ・ポール・ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン・マイケル・ピー.
【テーマコード(参考)】
3H056
3H066
【Fターム(参考)】
3H056AA01
3H056BB22
3H056BB44
3H056CA06
3H056CD03
3H056GG03
3H066AA01
3H066BA38
3H066DA11
(57)【要約】
【解決手段】ベローズシールバルブは、補償圧力をベローズの「大気」側、すなわちプロセス流体の反対側のベローズの側に加えるために使用することができる加圧ポートを含む。大気側は、ベローズの内部または外部にあり得る。補償圧力は、漏れが加圧流体からプロセス流体または環境へと生じる際、プロセス流体が環境に漏出しないことを確実にするために、プロセス流体圧力よりも大きくすることができる。加圧流体の圧力または流量を監視することで、ベローズおよびパッキンの漏れを検出することが可能である。加圧流体出口ポートを設けることで加圧流体がバルブを通って循環することが可能になり、それによって極端なプロセス流体温度の条件下でベローズの温度を緩和することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズバルブを備えるベローズバルブシステムであって、前記ベローズバルブは、
バルブシートと、
バルブプラグであって、前記バルブプラグと前記バルブシートとの間の分離に応じて前記ベローズバルブを通るプロセス流体の流れを制御するように構成されているバルブプラグと、
バルブステムであって、前記バルブプラグと機械的に連通し、前記バルブステムの線形作動が前記バルブプラグと前記バルブシートとの間の前記分離を制御するように構成されているバルブステムと、
前記バルブステムのベローズ部分を囲むベローズハウジングと、
前記ベローズハウジング内で前記バルブステムの前記ベローズ部分を囲むベローズであって、前記ベローズの近位端は前記ベローズハウジングに固定されてシールされ、前記ベローズの遠位端は前記バルブステムに固定されてシールされ、それにより前記ベローズは前記バルブステムが作動すると圧縮および伸張されるようになり、前記ベローズは前記プロセス流体が前記ベローズの第1の表面に接触するが、前記ベローズによって前記ベローズの第2の表面に達することが防止されるように構成され、
ベローズ加圧流体が前記ベローズバルブに入り、補償圧力を前記ベローズの前記第2の表面に加えることを可能にするように構成されているベローズ加圧ポートと
を備える、ベローズバルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のベローズバルブシステムであって、
前記ベローズの前記第1の表面は、前記ベローズの外面であり、前記ベローズの前記第2の表面は、前記ベローズの内面である、ベローズバルブシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
加圧流体源と、加圧流体圧力調節装置と、前記加圧流体源と前記ベローズバルブの前記ベローズ加圧ポートとの間の流体連通を提供する加圧流体ラインと、を備える、ベローズバルブシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
前記加圧流体が前記ベローバルブに入る際の圧力を測定するように構成されている圧力測定デバイスを備える、ベローズバルブシステム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
前記加圧流体が前記ベローバルブに入る際の流量を測定するように構成されている流量測定デバイスを備える、ベローズバルブシステム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のベローズバルブシステムであって、
前記ベローズバルブは、加圧流体出口ポートであって、前記加圧流体が前記ベローズ加圧ポートから前記加圧流体出口ポートまで循環することを可能にするように構成されている加圧流体出口ポートをさらに備える、ベローズバルブシステム。
【請求項7】
ベローズバルブのサイクル寿命を増加させる方法であって、
請求項3に記載のベローズバルブシステムを設け、
前記プロセス流体によって前記ベローズバルブの前記第1の表面に加えられるプロセス圧力を推定し、
加圧流体を前記加圧ポートに加えることで前記加圧流体が前記ベローズの前記第2の表面に適用され、それにより前記ベローズに加えられる差圧を低減すること
を備える、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記加圧流体は、前記推定されたプロセス圧力よりも高い圧力で前記加圧ポートに加えられる、方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の方法であって、さらに、
前記加圧流体の圧力および前記加圧流体の流量のうちの少なくとも1つを監視することを備える、方法。
【請求項10】
請求項9のいずれかに記載の方法であって、
前記監視されている圧力または前記監視されている流量が指定の量を超えて変化した場合、前記方法は、さらに、漏れが前記ベローズバルブ内で生じたと決定し、前記漏れを排除する措置を講じることを備える、方法。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ベローズバルブは、前記ベローズバルブ内で前記ベローズ加圧ポートと流体連通する加圧流体出口ポートをさらに備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに
、前記ベローズ加圧ポートから前記加圧流体出口ポートまで前記ベローズバルブを通して前記加圧流体を循環させることを備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記加圧流体が前記加圧ポートに入る前に前記加圧流体を加熱または冷却することを備える、方法。
【請求項14】
請求項7から13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記加圧流体は、窒素ガスである、方法。
【発明の詳細な説明】
【政府権益の声明】
【0001】
本発明の一部は、契約番号DE-NA0003525の下で政府の資金援助を伴ってなされたものであり、政府に一定の権利が存在する場合がある。
【関連出願】
【0002】
本出願は、2021年9月27日に出願された米国特許出願第17/485,663号の利益を主張し、上記の開示は、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本発明は、バルブに関し、より詳細には、ベローズシールバルブに関する。
【背景技術】
【0004】
外部バルブの漏れがたとえ最小量であっても許容できない重要なバルブ用途では、典型的には、ベローズシールバルブが使用される。
【0005】
図1の断面図を参照すると、ベローズシールバルブは、アコーディオン状のベローズ100を備える。ベローズ100の一端102は、バルブステム104に溶接されるか取り付けられる。ベローズ100の他端106は、バルブボンネット109にクランプされるか他の方法で取り付けることができる部品108に溶接される。バルブを動作させるとき、バルブステム104は、バルブシート112に対するバルブプラグ110の位置を制御するように線形バルブストロークで移動される。バルブストローク中、ベローズ100は、スライドするバルブステム104の線形運動に伴って圧縮または膨張する。
【0006】
ベローズ100は各端部102、106に静的シールを有し、バルブステム104の周囲はベローズ100によって覆われているため、金属障壁がバルブの内側のプロセス流体と外部大気との間に設けられ、バルブステム104における漏れを排除する。図1の例では、プロセス流体はベローズ100の外側にあり、大気はベローズ100の内側にある。他のベローズバルブの場合、プロセス流体はベローズ100の内側にあり、大気はベローズ100の外側にある。
【0007】
金属ベローズ100はバルブステム104が移動するにつれて屈曲するため、時間が経つとベローズ100は最終的に亀裂が入り破損することになる。ベローズの破損による漏れを防止するために、一組のパッキン114がベローズ100の上に設けられ、第2のシールを提供する。
【0008】
ベローズ100に漏れ経路が生じた場合、図1の例のプロセス流体は、ベローズ100の表面の外側から漏れ経路を通ってベローズ100の内側領域に漏れることになる。次に、バルブ流体は、バルブのグランド領域116内のバルブステムパッキン114によってのみ外部環境からシールされる。バルブステムパッキン114が漏れた場合、プロセス流体は、外部大気に漏出することになる。バルブステムパッキン114は、典型的には、ベローズ100よりも高いレベルの漏れを許容するため、ベローズ100に漏れ経路が生じた場合、少なくとも一部のプロセス流体がベローズ100およびバルブステムパッキン114を通って外部環境に漏出する可能性が高い。
【0009】
したがって、プロセス流体が環境に漏れる可能性を回避するために、ベローズバルブを定期的に交換するか、少なくともバルブのベローズ100を交換することが重要である。しかし、これらの交換は不便であり、費用がかかる場合がある。
【0010】
したがって、ベローズを通る漏れ経路が発生した場合にプロセス流体が環境に放出される可能性を低減する一方、サイクル寿命が延長したベローズバルブ設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ベローズを通る漏れ経路が発生した場合にプロセス流体が環境に放出される可能性を低減する一方、サイクル寿命が延長したベローズバルブ設計である。
【0012】
ベローズシールバルブのサイクル寿命に影響を及ぼす重要な要因の1つは、周囲圧力よりも高いプロセス流体圧力により生じるベローズの外面と内面との間の圧力差である。圧力差が高くなるとベローズの渦巻きにおける応力が高くなり、これらの高い応力によりベローズのサイクル寿命が短くなる傾向がある。
【0013】
本発明によれば、ベローズバルブは、プロセス流体によってベローズの「プロセス流体」側に加えられる圧力を相殺するようにベローズの「大気」側を加圧するために使用することができるベローズ加圧ポートを含み、それによってベローズに加えられる圧力差を低減または排除する。以下の説明の多くは、プロセス流体が圧力をベローズの外側に加え、ベローズの内部が加圧されることを前提としている。しかし、当業者は、プロセス流体がベローズの内部を占め、ベローズの外側が加圧されるベローズバルブに対して本発明の原理を容易に適応させることができるであろう。したがって、ベローズの内部を加圧するという本明細書におけるすべての言及は、一般に、ベローズの内側または外側であり得るベローズの「大気」側を加圧することを指すことを理解されたい。
【0014】
圧力差を低減するために窒素などの加圧流体でベローズを加圧することにより、従来技術の手法と比較していくつかの利点が得られる。第1に、圧力差によりベローズに加えられる応力を低減することによって、ベローズバルブのサイクル寿命が延長される。
【0015】
第2に、ベローズが受ける力を低減することによって、より薄いベローズおよび/またはプライの少ないベローズを使用することが可能になり、それによってバルブのコストが削減される。
【0016】
第3に、プロセス流体圧力よりもわずかに高い圧力で加圧流体を加えることによって、本発明は、ベローズ漏れが発生した場合、その結果生じる漏れがプロセス流体および/または環境に対してゆっくりと漏れる圧力流体となることを確実にし、それによってプロセス流体が環境に漏出する可能性を実質的に排除する。
【0017】
さらに、加圧流体の圧力および/または流量を監視することによって、ベローズおよび/またはパッキンを通る漏れが容易に検出される。
【0018】
プロセス流体が非常に高い温度または非常に低い温度に達する可能性があるいくつかの実施形態では、本発明は、加圧流体出口ポートをさらに備え、それによって加圧流体がベローズ加圧ポートから加圧流体出口ポートまで循環することを可能にする。次いで、加圧流体は、ベローズがプロセス流体の極端な温度を受けることを回避するために、加熱媒体または冷却媒体として使用することができる。さらに、プロセス流体が極端な低温により固化した場合、加圧流体を加熱および循環させることでバルブの凍結回復を支援することができる。
【0019】
本発明の1つの一般的な態様は、ベローズバルブを含むベローズバルブシステムである。ベローズバルブは、バルブシートと、バルブプラグであって、バルブプラグとバルブシートとの間の分離に応じてベローズバルブを通るプロセス流体の流れを制御するように構成されているバルブプラグと、バルブステムであって、バルブプラグと機械的に連通し、バルブステムの線形作動がバルブプラグとバルブシートとの間の分離を制御するように構成されているバルブステムと、バルブステムのベローズ部分を囲むベローズハウジングと、ベローズハウジング内でバルブステムのベローズ部分を囲むベローズと、ベローズの近位端はベローズハウジングに固定されてシールされ、ベローズの遠位端はバルブステムに固定されてシールされ、それによりベローズはバルブステムが作動すると圧縮および伸張されるようになり、ベローズはプロセス流体がベローズの第1の表面に接触するが、ベローズによってベローズの第2の表面に達することが防止されるように構成され、ベローズ加圧流体がベローズバルブに入り、補償圧力をベローズの第2の表面に加えることを可能にするように構成されているベローズ加圧ポートとを含む。
【0020】
実施形態では、ベローズの第1の表面は、ベローズの外面であり、ベローズの第2の表面は、ベローズの内面である。
【0021】
上記の実施形態のいずれも、加圧流体源と、加圧流体圧力調節装置と、加圧流体源とベローズバルブのベローズ加圧ポートとの間の流体連通を提供する加圧流体ラインとをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかは、加圧流体がベローバルブに入る際の圧力を測定するように構成されている圧力測定デバイスをさらに含む。これらの実施形態のいずれも、加圧流体がベローバルブに入る際の流量を測定するように構成されている流量測定デバイスをさらに含むことができる。
【0022】
上記の実施形態のいずれにおいても、ベローズバルブは、加圧流体出口ポートであって、加圧流体がベローズ加圧ポートから加圧流体出口ポートまで循環することを可能にするように構成されている加圧流体出口ポートをさらに含むことができる。
【0023】
本発明の別の一般的な態様は、ベローズバルブのサイクル寿命を増加させる方法である。方法は、第1の一般的な態様によるベローズバルブシステムを設け、プロセス流体によってベローズバルブの第1の表面に加えられるプロセス圧力を推定し、加圧流体を加圧ポートに加えることで加圧流体がベローズの第2の表面に適用され、それによりベローズに加えられる差圧を低減することを含む。
【0024】
実施形態では、加圧流体は、推定されたプロセス圧力よりも高い圧力で加圧ポートに加えられる。
【0025】
上記の実施形態のいずれも、加圧流体の圧力および加圧流体の流量のうちの少なくとも1つを監視することをさらに含むことができる。
【0026】
上記の実施形態のいずれにおいても、監視されている圧力または監視されている流量が指定の量を超えて変化した場合、方法は、漏れがベローズバルブ内で生じたと決定し、漏れを排除する措置を講じることをさらに含むことができる。
【0027】
上記の実施形態のいずれにおいても、ベローズバルブは、ベローズバルブ内でベローズ加圧ポートと流体連通する加圧流体出口ポートをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかでは、方法は、ベローズ加圧ポートから加圧流体出口ポートまでベローズバルブを通して加圧流体を循環させることをさらに含む。そして、これらの実施形態のいくつかでは、方法は、加圧流体が加圧ポートに入る前に加圧流体を加熱または冷却することをさらに含む。
【0028】
そして、上記の実施形態のいずれにおいても、加圧流体は、窒素ガスとすることができる。
【0029】
本明細書に記載の特徴および利点は包括的なものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点は、図面、明細書、および特許請求の範囲を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび指示を目的として選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、従来技術のベローズバルブの断面図である。
【0031】
図2図2は、本発明の一実施形態の等尺断面図である。
【0032】
図3図3は、加圧ポートから加圧流体出口ポートまで循環する際の加圧流体の経路を示す、図2のバルブの一部の等尺拡大断面図である。
【0033】
図4図4は、ポンプ、流量計、およびヒータを備える加圧流体循環システムに接続されている図3のバルブの断面側面図である。
【0034】
図5図5は、本発明の方法の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、ベローズを通る漏れ経路が発生した場合にプロセス流体が環境に放出される可能性を低減する一方、サイクル寿命が延長したベローズバルブ設計である。
【0036】
図2を参照すると、本発明のベローズバルブは、ベローズの「プロセス流体」側のプロセス流体によってベローズに加えられる圧力に近づけるようにベローズの「大気」側を加圧するために使用することができるベローズ加圧ポート200を含む。それによって、ベローズ100に加えられる圧力差が最小限に抑えられるか、または排除される。
【0037】
図2の実施形態では、プロセス流体が圧力をベローズの外側に加える一方、ベローズの内部は加圧ポート200を介して加圧される。しかし、当業者は、プロセス流体がベローズの内部を占め、ベローズの外側が加圧されるベローズバルブに対して本発明の原理を容易に適応させることができる。したがって、ベローズの内部を加圧するという本明細書におけるすべての言及は、一般に、内部または外部であり得るベローズの「大気」側を加圧することを指すことを理解されたい。
【0038】
図3を参照すると、バルブが動作する際に上下に移動するバルブステム104と周囲のベローズ100および他の構造との間には、わずかな隙間しか存在しない。それにもかかわらず、この隙間は、窒素ガスなどの加圧流体が加圧ポート200を通って入り、ベローズ100の内部(大気)側に進むのを可能にするのに十分であるため、ベローズ100の内壁と外壁との間の圧力差は最小限に抑えられる。
【0039】
圧力差を低減するために加圧流体でベローズを加圧することにより、従来技術の手法と比較していくつかの利点が得られる。第1に、圧力差によりベローズ100に加えられる応力を低減することによって、ベローズバルブのサイクル寿命が延長される。
【0040】
第2に、ベローズ100が受ける力を低減することによって、より薄いベローズ100、またはプライの少ないベローズ100を使用することが可能になり、それによってバルブのコストが削減される。
【0041】
第3に、プロセス流体圧力よりもわずかに高い圧力で加圧流体を加えることによって、本発明は、ベローズ漏れが発生した場合、その結果生じる漏れがプロセス流体または環境に対してゆっくりと漏れる圧力流体となることを確実にし、それによってプロセス流体が環境に漏出する可能性を実質的に排除する。
【0042】
さらに、加圧流体の圧力および/または流量を監視することによって、ベローズおよび/またはパッキンを通る漏れを容易に検出することができる。
【0043】
実施形態は、加圧流体出口ポート202をさらに備える。図3を参照すると、これにより、加圧流体がベローズ加圧ポート200から加圧流体出口ポート202まで循環300されることを可能にする。
【0044】
図4の実施形態では、加圧流体は、ポンプ402によって、圧力ライン400を通ってベローズ加圧入力ポート200から加圧流体出口ポート202まで循環される。流量計404が加圧流体の流量を監視するために使用され、圧力計405がベローズ加圧ポート200に入る加圧流体の圧力を監視するために使用される。加圧流体は、追加の加圧流体を加圧流体入口410に加え、そして常閉(N.C.)バルブ412を開くことによってシステムに導入され、必要に応じて補充することが可能である。ポンプ402が、加圧流体がバルブに入る際に一定の圧力に加圧流体を維持すると仮定すると、流量は一定に保たれるはずである。したがって、流量の増加および/または圧力の減少は、漏れ経路(ベローズ100を通るかパッキン114を通過するかのいずれか)が存在することを示す。機械流量計404および機械圧力計405が図4に象徴的に示されているが、他の実施形態では、流量計404および圧力計405の一方または両方は、ベローズ加圧流体の測定された流量または圧力を、流量が指定の限界を超えて増加した場合、および/または圧力が指定の限界を下回って減少した場合にサポート要員に警告するように構成されているコントローラおよび/または警報システムに報告する電子計である。
【0045】
例えば、バルブが非常に高温および/または非常に低温に達する可能性のあるプロセス流体を制御するために使用される場合、バルブを通して加圧流体を循環させることが有用であり得る。図4の実施形態では、例えば、加圧流体循環システムは、加圧流体を加熱するために使用することができるヒータ406をさらに含み、それによって、たとえプロセス流体が非常に低い温度まで低下した場合であっても、適度な温度にベローズ100を維持することが可能である。極端な場合には、プロセス流体が極端な低温により固化した場合、加圧流体を加熱および循環させること300でバルブの凍結回復を支援することができる。同様に、プロセス流体が極端な高温に達した場合であっても、加圧流体を冷却媒体として使用してベローズ100の温度を緩和することができる。実施形態に応じて、加圧流体を単に周囲温度で循環させることも可能であり、または図4のヒータ406の代わりに冷却器を用いることも可能である。
【0046】
図5を参照すると、本発明の方法の一実施形態は、上述したようなベローズシールバルブを設け、これを稼働させてプロセス流体の流れを制御すること500を含む。方法は、ベローズのプロセス流体側に加えられるプロセス流体の圧力を推定すること502と、加圧流体を、好ましくはプロセス流体圧力よりもわずかに高い圧力でベローズ加圧ポートに加えること504とをさらに含む。方法は、ベローズシールバルブが稼働され続けているとき、加圧流体の圧力および/または流量を監視することでベローズを通る漏れおよび/またはパッキンを通過する漏れが存在するかどうかを監視すること506をさらに含む。圧力または流量が指定の量を超えて変化することにより漏れが検出された場合、方法は、ベローズシールバルブを交換するか、または新しいベローズをベローズシールバルブに設置するなど、漏れを排除するステップを講じること508をさらに含む。
【0047】
本発明の実施形態に関する前述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。この提出物のあらゆるページ、およびそのすべての内容は、どのような特徴付け、識別、または番号付けがされていても、本出願内の形式または配置に関係なく、あらゆる目的で本出願の実質的な部分と見なされる。本明細書は、網羅的であること、または本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図したものではない。本開示に照らして、多くの修正および変形が可能である。
【0048】
本出願は限られた数の形態で示されているが、本発明の範囲はこれらの形態にのみ限定されるものではなく、様々な変更および修正が可能である。本明細書に提示される開示は、本発明の範囲内に含まれる特徴のすべての可能な組み合わせを明示的に開示していない。様々な実施形態に関して本明細書に開示された特徴は、一般に、本発明の範囲から逸脱することなく交換され、自己矛盾していない任意の組み合わせに組み合わせることが可能である。特に、以下の従属請求項に提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に不適合でない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数および任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズバルブを備えるベローズバルブシステムであって、前記ベローズバルブは、
バルブシートと、
バルブプラグであって、前記バルブプラグと前記バルブシートとの間の分離に応じて前記ベローズバルブを通るプロセス流体の流れを制御するように構成されているバルブプラグと、
バルブステムであって、前記バルブプラグと機械的に連通し、前記バルブステムの線形作動が前記バルブプラグと前記バルブシートとの間の前記分離を制御するように構成されているバルブステムと、
前記バルブステムのベローズ部分を囲むベローズハウジングと、
前記ベローズハウジング内で前記バルブステムの前記ベローズ部分を囲むベローズであって、前記ベローズの近位端は前記ベローズハウジングに固定されてシールされ、前記ベローズの遠位端は前記バルブステムに固定されてシールされ、それにより前記ベローズは前記バルブステムが作動すると圧縮および伸張されるようになり、前記ベローズは前記プロセス流体が前記ベローズの第1の表面に接触するが、前記ベローズによって前記ベローズの第2の表面に達することが防止されるように構成され、
ベローズ加圧流体が前記ベローズバルブに入り、補償圧力を前記ベローズの前記第2の表面に加えることを可能にするように構成されているベローズ加圧ポートと
を備える、ベローズバルブシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のベローズバルブシステムであって、
前記ベローズの前記第1の表面は、前記ベローズの外面であり、前記ベローズの前記第2の表面は、前記ベローズの内面である、ベローズバルブシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
加圧流体源と、加圧流体圧力調節装置と、前記加圧流体源と前記ベローズバルブの前記ベローズ加圧ポートとの間の流体連通を提供する加圧流体ラインと、を備える、ベローズバルブシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
前記加圧流体が前記ベローバルブに入る際の圧力を測定するように構成されている圧力測定デバイスを備える、ベローズバルブシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のベローズバルブシステムであって、さらに、
前記加圧流体が前記ベローバルブに入る際の流量を測定するように構成されている流量測定デバイスを備える、ベローズバルブシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のベローズバルブシステムであって、
前記ベローズバルブは、加圧流体出口ポートであって、前記加圧流体が前記ベローズ加圧ポートから前記加圧流体出口ポートまで循環することを可能にするように構成されている加圧流体出口ポートをさらに備える、ベローズバルブシステム。
【請求項7】
ベローズバルブのサイクル寿命を増加させる方法であって、
請求項3に記載のベローズバルブシステムを設け、
前記プロセス流体によって前記ベローズバルブの前記第1の表面に加えられるプロセス圧力を推定し、
加圧流体を前記加圧ポートに加えることで前記加圧流体が前記ベローズの前記第2の表面に適用され、それにより前記ベローズに加えられる差圧を低減すること
を備える、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記加圧流体は、前記推定されたプロセス圧力よりも高い圧力で前記加圧ポートに加えられる、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、さらに、
前記加圧流体の圧力および前記加圧流体の流量のうちの少なくとも1つを監視することを備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記監視されている圧力または前記監視されている流量が指定の量を超えて変化した場合、前記方法は、さらに、漏れが前記ベローズバルブ内で生じたと決定し、前記漏れを排除する措置を講じることを備える、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、
前記ベローズバルブは、前記ベローズバルブ内で前記ベローズ加圧ポートと流体連通する加圧流体出口ポートをさらに備える、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、さらに
、前記ベローズ加圧ポートから前記加圧流体出口ポートまで前記ベローズバルブを通して前記加圧流体を循環させることを備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、
前記加圧流体が前記加圧ポートに入る前に前記加圧流体を加熱または冷却することを備える、方法。
【請求項14】
請求項7に記載の方法であって、
前記加圧流体は、窒素ガスである、方法。
【国際調査報告】