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特表2024-533724粘膜を通して薬剤を送達するための乾燥粉末発泡性製剤
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  • 特表-粘膜を通して薬剤を送達するための乾燥粉末発泡性製剤 図1
  • 特表-粘膜を通して薬剤を送達するための乾燥粉末発泡性製剤 図2
  • 特表-粘膜を通して薬剤を送達するための乾燥粉末発泡性製剤 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】粘膜を通して薬剤を送達するための乾燥粉末発泡性製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/661 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240905BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K31/661
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/02
A61P1/02
A61P1/04
A61P29/00
A61P31/10
A61P31/00
A61K45/00
A61K31/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518788
(86)(22)【出願日】2022-09-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022044640
(87)【国際公開番号】W WO2023049420
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,965
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524113194
【氏名又は名称】ドナルドソン,チャドウィック
(71)【出願人】
【識別番号】524113208
【氏名又は名称】ハエバール,アダム
(71)【出願人】
【識別番号】524113219
【氏名又は名称】フイス,ジョセフ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドナルドソン,チャドウィック
(72)【発明者】
【氏名】ハエバール,アダム
(72)【発明者】
【氏名】フイス,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB22
4C076BB29
4C076CC04
4C076CC05
4C076CC16
4C076CC26
4C076CC31
4C076CC32
4C076DD25
4C076DD38
4C076DD41Z
4C076DD42Z
4C076DD67T
4C076EE37
4C076FF03
4C076FF04
4C076FF21
4C076FF29
4C076FF31
4C076FF34
4C076FF35
4C076FF52
4C076FF54
4C084AA17
4C084MA27
4C084MA31
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA57
4C084MA60
4C084NA05
4C084NA11
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA681
4C084ZB351
4C086AA01
4C086DA12
4C086DA34
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA27
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA60
4C086NA05
4C086NA11
4C086NA12
4C086NA13
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA68
4C086ZB35
(57)【要約】
実施形態は、口腔、鼻腔、直腸腔、膣腔または食道などの内部粘膜空間に薬剤を送達するための局所用フォーム組成物を作製するための乾燥粉末の口腔粘膜投与のための製剤および方法を含む。活性薬剤は、アミフォスチン、抗生物質、抗真菌薬、非ステロイド系抗炎症薬またはステロイド系抗炎症薬であり得る。口腔粘膜送達は、口腔上皮細胞を標的化することを可能にする。実施形態はまた、粘膜炎を処置する方法を含む。従来の製剤および方法は、粘膜炎に最もかかりやすいGIの上皮細胞に薬物を向けることができないため、一般に無効である。本明細書に記載される製剤は、標的部位での濃度、浸透性および滞留時間を増加させる。製剤はまた、安定な形態のアミフォスチンを可能にし、薬物の保存、投薬および投与に関連する困難を回避する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミフォスチンの口腔粘膜投与用の非水性製剤であって、前記製剤が、
a)アミフォスチン(5%~40% w/w)、
b)ポリオール(5%~30% w/w)、
c)塩基(5%~30% w/w)、および
d)酸(15%~50% w/w)
から構成される、非水性製剤。
【請求項2】
甘味料をさらに含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項3】
前記甘味料がスクラロースである、請求項2に記載の非水性製剤。
【請求項4】
前記塩基が重炭酸ナトリウムである、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項5】
前記酸がコハク酸である、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項6】
浸透促進剤をさらに含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項7】
皮膜形成剤をさらに含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項8】
流動性粉末である、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項9】
対象の粘膜炎を予防または処置する方法であって、請求項1に記載の非水性製剤の経口投与を含む、方法。
【請求項10】
前記非水性製剤が経口投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
50mg~5グラムの前記非水性製剤が前記対象に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記非水性製剤の体積が、唾液への曝露時に増加する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記非水性製剤が、少なくとも30秒間、体積が増加したままである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記製剤が自己起泡性であり、前記対象の口腔内に粘着性のフォームを作り出す、請求項9に記載の非水性製剤。
【請求項15】
前記製剤が、前記対象の口腔内に、粘着性の堅いフォームを作り出す、請求項9に記載の非水性製剤。
【請求項16】
前記製剤が、前記対象の口腔内に、非常に粘着性の非常に堅い接着性のフォームを作り出す、請求項9に記載の非水性製剤。
【請求項17】
100mg~1グラムのアミフォスチンを含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項18】
スティックパックに包装されている、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項19】
前記酸または前記塩基の少なくとも一部が、フォームの持続的な生成のためにコーティングされている、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項20】
粘膜結合のための負に帯電した賦形剤を含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項21】
前記負に帯電した賦形剤が、キトサンまたはキタン(chitan)である、請求項20に記載の非水性製剤。
【請求項22】
約30% w/wのアミフォスチンを含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項23】
前記ポリオールがキシリトールであり、前記製剤が約15% w/wのキシリトールを含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項24】
前記塩基が重炭酸ナトリウムであり、前記製剤が約15% w/wの重炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項25】
前記酸がコハク酸であり、前記製剤が約30% w/wのコハク酸を含む、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項26】
前記アミフォスチンが、放射線曝露前または化学療法前の約1時間以内に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項27】
前記酸が、コハク酸、フタル酸または安息香酸である、請求項1に記載の非水性製剤。
【請求項28】
潰瘍性大腸炎を処置するための非水性製剤であって、前記製剤が治療有効量のブデソニドを含む、非水性製剤。
【請求項29】
前記製剤が直腸投与され、投与時に起泡する、請求項28に記載の非水性製剤。
【請求項30】
前記製剤が、塩基(5%~30% w/w)および酸15%~50% w/w)を含む、請求項28に記載の非水性製剤。
【請求項31】
潰瘍性大腸炎を処置する方法であって、請求項28に記載の非水性製剤の直腸投与を含む、方法。
【請求項32】
前記非水性製剤が、体液と接触すると堅いフォームを形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記非水性製剤が、体液と接触すると接着性フォームを形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
粉剤、錠剤、カプセル剤、ペッサリーまたは坐剤である、請求項28に記載の非水性製剤。
【請求項35】
前記非水性製剤を、投与前約5分以内に水性溶媒と混合する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
好酸球性食道炎を処置するための非水性製剤であって、対象に対する治療有効量のブデソニドを含む、非水性製剤。
【請求項37】
塩基(5%~30% w/w)および酸(15%~50% w/w)をさらに含む、請求項36に記載の非水性製剤。
【請求項38】
好酸球性食道炎を処置する方法であって、請求項37に記載の非水性製剤の経口投与を含む、方法。
【請求項39】
前記非水性製剤が、唾液への曝露時に増加した体積に膨張する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記非水性製剤が、少なくとも30秒間、体積が増加したままである、請求項39に記載の非水性製剤。
【請求項41】
50mg~5グラムの前記非水性製剤が前記対象に投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記非水性製剤が、唾液への曝露時に堅いフォームを形成する、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物が、唾液への曝露時に接着性フォームを形成する、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
好酸球性食道炎を処置する方法であって、請求項37に記載の組成物を経口投与して対象の食道をコーティングすることを含む、方法。
【請求項45】
対象における放射線曝露または化学療法に付随する粘膜炎を予防または処置する方法であって、
a)アミフォスチン(5%~40% w/w)、
b)ポリオール(5%~30% w/w)、
c)塩基(5%~30% w/w)、および
d)酸(15%~50% w/w)
から構成される製剤を投与することを含む、方法。
【請求項46】
前記製剤が、放射線曝露または化学療法前の約1時間以内に投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記製剤が甘味料をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記甘味料がスクラロースである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記塩基が重炭酸ナトリウムである、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記酸がコハク酸である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記製剤が浸透促進剤をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記製剤が皮膜形成剤をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
50mg~5グラムの前記製剤を患者に投与する、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記製剤が経口投与時に発泡する、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
薬剤を投与する方法であって、製剤の起泡を誘発して、標的部位での薬剤の濃度、浸透性および滞留時間の1つ以上を増加させることを含む、方法。
【請求項56】
前記製剤が、
a)薬剤(1%~40% w/w)、
b)ポリオール(5%~30% w/w)、
c)塩基(5%~30% w/w)、および
d)酸(15%~50% w/w)
から構成される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記薬剤がアミフォスチンである、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記薬剤がブデソニドである、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤が抗生物質である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記薬剤が抗真菌剤である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記薬剤が非ステロイド系抗炎症薬である、請求項55に記載の方法。
【請求項62】
前記薬剤がコルチコステロイドである、請求項55に記載の方法。
【請求項63】
前記製剤が甘味料をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記甘味料がスクラロースである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記塩基が重炭酸ナトリウムである、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記酸がコハク酸である、請求項56に記載の方法。
【請求項67】
前記製剤が浸透促進剤をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記製剤が皮膜形成剤をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記標的部位が口腔である、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
前記標的部位が直腸腔である、請求項55に記載の方法。
【請求項71】
50mg~5グラムの前記製剤を患者に経口投与する、請求項55に記載の方法。
【請求項72】
50mg~5グラムの前記製剤を患者に直腸投与する、請求項55に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用製剤に関し、より具体的には、小分子薬剤を送達するための局所用発泡医薬組成物を作製するための乾燥粉末の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、身体の他の部分に浸潤または拡散する可能性を有する異常な細胞増殖を伴う疾患の群として定義することができる。技術の進歩にもかかわらず、癌は依然として重大な死因であり、計り知れない苦しみをもたらしている。癌は、米国において2番目に一般的な死因である。癌を有する患者は、処置選択肢が限られていることが多い。処置は、手術、放射線療法、化学療法および標的療法の組み合わせを含み得る。研究の進歩にもかかわらず、これらの処置は、ここ数十年の間、比較的変化していなかった。放射線および化学療法は、典型的には、上皮細胞への損傷を含む複数の副作用をもたらす。
【0003】
口腔粘膜炎は、化学療法および放射線の一般的な消耗性合併症である。粘膜炎は、癌処置により胃腸管(口から肛門に至る)を覆っている分裂の早い上皮細胞が破壊され、粘膜組織が潰瘍形成および感染にされされることで起こる。それは、全身腫瘍療法および/または口腔を含む領域への放射線に応じた口腔粘膜の急性炎症として定義され得る。臨床症状は、一般的な紅斑性口腔粘膜から、びらん性病変および明白な潰瘍形成にまで及ぶ。病変は強い痛みを伴うことが多く、栄養および口腔衛生を損なう可能性があり、局所および全身感染のリスクを増加させ得る。さらに、重度の口腔粘膜炎は、望ましくない用量減少および/または癌治療の中断を必要とし得る。したがって、粘膜炎は癌治療の極めて重大な合併症であり、患者の予後に影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
口腔粘膜炎の病因は、直接的および間接的なメカニズムが関与していると考えられている。口腔上皮の分裂が早い細胞に及ぼす細胞増殖抑制剤の直接的な毒性作用は、粘膜萎縮、紅斑および潰瘍形成をもたらし得る。間接的な口腔毒性作用は、炎症性メディエーターの放出、保護的唾液成分の喪失および治療誘発性好中球減少症によって引き起こされる。細菌、真菌およびウイルスは、損傷を受けた粘膜に二次感染を重ね得る。粘膜炎は、以下の4つの連続した段階で説明することができる:a)炎症/血管段階(フリーラジカルおよびサイトカインの放出);b)萎縮および潰瘍形成を伴う上皮段階(上皮再生の減少);c)サイトカインの刺激による更なる組織損傷を伴う潰瘍性/細菌性相(混合細菌叢のコロニー形成、エンドトキシンの放出を引き起こす);d)治癒段階。
【0005】
粘膜炎を処置するための選択肢はほとんどない。腫瘍医は、用量減少によって癌治療の副作用を最小限に抑えようと試みようとすることがある。粘膜炎予防のための他のレジメンは、主に緩和的である。局所および全身鎮痛剤が、疼痛緩和のために適用され、抗菌剤が、細菌もしくは真菌感染のために、または予防のために適用される。アミフォスチン(S-2-(3-アミノプロピルアミノ)エチル二水素ホスホロチオエート)が、細胞保護アジュバントとして投与され得る。Ethyolという商品名で販売されているアミフォスチンは、DNA結合性の化学療法剤を含む癌化学療法および放射線療法と組み合わせて投与されることが多い。
【0006】
アミフォスチンは、元々放射線防護剤として開発された。アミフォスチンおよびその誘導体は、投与された治療剤の有益な特性に有意に影響を及ぼすことなく、それらの保護効果を発揮する。これは、部分的には、正常組織への保護チオールの選択的取り込みに起因する。アミフォスチンは、再構成およびその後の点滴静注による送達のためのアミフォスチン三水和物の凍結乾燥粉末として市販されている。FDAに承認されているが、アミフォスチンには限界があり、多くの患者は薬物の使用による恩恵を実感していない。最近の研究では、エピルビシン誘発性口腔粘膜炎を有する患者に、含嗽液としてアミフォスチンを投与した。これらの患者と対照を投与された患者との間に有意差はなかった(例えば、Stokman et al.,Anticancer Res.2004 Sep-Oct;24(5B):3263-7を参照のこと)。
【0007】
いくつかの要因がアミフォスチンの有効性を制限する。アミフォスチンは可溶性で極性の高い分子であり、生理学的pH範囲でイオン化される。しかしながら、それは胃内pHで加水分解される。これは、腸管浸透性の低下および低い経口吸収をもたらす。したがって、アミフォスチンは、従来、化学療法または放射線療法の前に静脈内投与される。静脈内アミフォスチンはFDA承認の治療法であるが、全身毒性に起因して、高度な使用はない。
【0008】
アミフォスチンのようなある種の薬物化合物は、口腔、咽頭腔、鼻腔、直腸腔、膣腔または食道において局所的に作用する。標的部位での濃度の増加、浸透性および滞留時間の増加を付与する送達メカニズムを提供することは、製品の有効性にとって不可欠である。このようにして使用される薬物の例としては、放射線損傷および口腔粘膜炎または直腸出血の予防における口咽頭腔または直腸腔内のアミフォスチン、歯肉疾患の処置のための抗生物質、免疫欠陥を持つ患者およびHIV患者における鵞口瘡/カンジダ症の処置のための抗真菌薬、ならびにポリープの処置のための鼻腔内または好酸球性食道炎の処置のための食道内のステロイド性コルチコステロイドが挙げられる。
【0009】
静脈内投与後、アミフォスチンは血漿から速やかに除去される。アミフォスチンの迅速なクリアランスは、主に、アミフォスチンのその活性代謝産物であるWR-1065への迅速な変換に起因する。動物研究は、WR-1065の最大組織濃度がアミフォスチン注射後5~15分以内に生じたことを示した。これらの結果は、アミフォスチンが化学療法の前に短期間(例えば、15~30分)適用されるべきであることを示唆している。アミフォスチンの別の制限は、WR-1065の低い取り込みのために細胞濃度が低いことに起因し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、粘膜炎を予防および/または処置する手段が必要とされている。これは、毒性を伴わずに有効性を有するために、粘膜炎に最もかかりやすい口腔上皮細胞を局所的に標的とするように、アミフォスチンの製剤および投与を改善することによって達成され得る。
【0011】
本発明の実施形態は、アミフォスチン、抗生物質、抗真菌薬およびコルチコステロイド、ならびに他の小分子を投与する新規の製剤および改善された方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載され特許請求される発明は、この簡単な概要に記述または記載または参照されるものを含むが、これらに限定されない多くの属性および実施形態を有する。本明細書に記載され特許請求される発明は、限定ではなく例示のみを目的として含まれる、この概要で特定される特徴または実施形態に限定されず、またはそれらによっても限定されない。
【0013】
実施形態は、粉末として良好かつ一貫した流動性を有し、口の中で容易に分散可能であり、摂取を容易にする味覚マスキング効果を達成する固体起泡および膨張粉末医薬担体組成物を含む。これにより、患者および医療従事者は、用量を正確に測定し、薬剤を安全に投薬することができる。
【0014】
したがって、一実施形態は、既知のアミフォスチンの取り扱いに伴う困難を回避する、水分制御された安定な形態のアミフォスチンである。乾燥操作および保存中のアミフォスチン三水和物の含水量を、薬局方の限界である19.2~21.2%を満たすように制御することは困難である。
【0015】
一実施形態は、口腔粘膜、直腸または膣送達に適した保存安定性アミフォスチンまたは他の小分子組成物である。
【0016】
一実施形態は、口腔粘膜使用ならびに喉頭および食道への送達に適したアミフォスチンなどの小分子組成物である。
【0017】
一実施形態は、アミフォスチンの口腔粘膜投与用の非水性(または実質的に非水性)製剤である。製剤は、アミフォスチン(5%~40% w/w)、ポリオール(5%~30% w/w)、塩基(5%~30% w/w)および酸(15%~50% w/w)を含むことができる。製剤はまた、甘味料(例えば、スクラロース)を含むことができる。塩基は重炭酸ナトリウムであり得、酸はコハク酸であり得る。態様では、製剤はまた、浸透促進剤および/または皮膜形成剤を含む。
【0018】
製剤は、口腔粘膜炎などの疾患の予防、処置または改善のための含嗽液として投与され得る。製剤は、唾液などの体液にさらされると膨張することができる。態様では、製剤の体積は、発泡するにつれて増加する。製剤は、30秒を超えて増加した体積を保持することができ、これにより口腔内の濃度、浸透性および滞留時間を増加させることができる。酸または塩基の少なくとも一部は、フォーム(泡)の持続的な生成のためにコーティングすることができる。製剤は、口腔内で粘着性のフォームになり得る。同様に、それは、粘着性の堅いフォームまたは非常に粘着性の非常に堅い接着性のフォームになり得る。
【0019】
製剤は、放射線または化学療法曝露に付随して投与され得る。態様では、製剤は、放射線曝露または化学療法前の約1時間以内に投与される。
【0020】
別の実施形態は、ブデソニドを投与するための非水性(または実質的に非水性)製剤である。製剤は、ブデソニド(5%~40% w/w)、ポリオール(5%~30% w/w)、塩基(5%~30% w/w)および酸(15%~50% w/w)を含むことができる。製剤は、潰瘍性大腸炎を処置するために直腸投与され得る。製剤は、体液への曝露時に膨張することができる。態様では、製剤の体積は、発泡するにつれて増加する。製剤は、30秒を超えて増加した体積を保持することができ、これにより直腸腔内の濃度、浸透性および滞留時間を増加させることができる。酸または塩基の少なくとも一部は、フォームの持続的な生成のためにコーティングすることができる。製剤は、口腔内で粘着性のフォームになり得る。同様に、それは、粘着性の堅いフォームまたは非常に粘着性の非常に堅い接着性のフォームになり得る。
【0021】
態様では、本明細書に記載される製剤は、好酸球性食道炎などの他の疾患を処置するために使用することができる。
【0022】
別の実施形態は、アミフォスチンなどの小分子活性剤の流動性粉末製剤である。態様では、粉末は、有効量の分散剤を含む。
【0023】
流動性粉末が好ましい場合があるが、アミフォスチンなどの小分子は、代替の製剤(例えば、錠剤、口腔内崩壊錠、カプセル剤、トローチ剤、グミ剤、坐剤および他の固体剤形)を有することができる。
【0024】
別の実施形態は、キトサンをさらに含む、任意選択的に流動性粉末の形態の自己起泡性組成物である。態様では、患者は、リンスとして組成物を経口摂取する。
【0025】
別の実施形態は、非水性であり(または実質的に非水性であり)、水なしで投与されるアミフォスチンまたは他の小分子組成物である。そのような組成物および製剤は、組成物が水または他の流体の投与なしで泡立ち、その場で体液に依存する限り、「自己起泡性」と呼ぶことができる。
【0026】
別の実施形態は、流動性粉末の形態のアミフォスチン(または他の小分子組成物)であり、水または他の液体が流動性粉末とは別個に患者に投与される。別の実施形態は、粉末の形態のアミフォスチン(または他の小分子組成物)であり、粉末は、対象の粘膜腔に投与する直前に水または他の液体と混合される。
【0027】
別の実施形態は、単位用量パッケージの流動性粉末の形態のアミフォスチン(または他の小分子組成物)である。別の実施形態は、粘膜腔内に投与した場合に発泡性である(すなわち、泡立ち)アミフォスチン(または他の小分子)組成物である。
【0028】
別の実施形態は、アミフォスチンまたは他の小分子の粘膜送達のための製剤であって、以下の成分:アミフォスチンまたは他の小分子(5%~40% w/w)、分散剤(ポリオールおよび/または界面活性剤)(5%~30% w/w)、塩基(5%~30% w/w)、負に帯電した成分(キトサンまたはゼラチン)(5%~30% w/w)、ジカルボン酸(15%~50% w/w)および甘味料(0.5%~10% w/w)を含む製剤である。一実施形態では、塩基は重炭酸ナトリウムである。一実施形態では、塩基は、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムとの混合物である。一実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸である。
【0029】
特定の非限定的な実施形態では、流動性粉末用量の重量は、50mg~5グラム、好ましくは、250mg~2グラム、より好ましくは300mg~1.2グラム、最も好ましくは400mg~900mgである。粉末または他の固体が患者への投与前に溶媒と混合される実施形態では、前述の重量を超える場合がある。
【0030】
別の実施形態は、治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法である。別の実施形態は、放射線保護剤として治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法である。別の実施形態は、細胞保護剤として治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法である。別の実施形態は、化学療法の補助療法として治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法である。
【0031】
一実施形態は、治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法であって、治療量の持続時間が15分~4時間である方法である。別の実施形態は、口腔粘膜炎を処置するために治療量のアミフォスチンを粘膜送達する方法である。
【0032】
別の実施形態は、粘膜腔(経口、直腸または膣)全体にわたって、または実質的に全体にわたって、または概ね全体にわたってアミフォスチンの薄膜を提供する治療量のアミフォスチンを送達する方法である。
【0033】
別の実施形態は、口腔、咽頭、喉頭および/または食道、鼻腔、直腸腔または膣腔全体にわたって、または実質的に全体にわたって、または概ね全体にわたって、アミフォスチンまたは他の小分子の薄膜を提供する治療量のアミフォスチン(または他の小分子)を送達する方法である。
【0034】
別の実施形態は、任意選択的に水または他の投与された液体を投与することなく起泡する発泡性(effervescent)組成物に関する。
【0035】
別の実施形態は、唾液のみ(もしくは実質的に唾液のみ)または他の粘膜もしくは身体由来の流体を使用してフォームを作り出す発泡性組成物に関する。
【0036】
別の実施形態は、20mlを超える、好ましくは30mlを超える体積を有する唾液または他の粘膜由来の流体を使用してフォームを作り出す発泡性組成物に関する。体積は、実施例1に記載の方法に従って測定することができる。
【0037】
別の実施形態は、30mLを超える体積を有する唾液または他の粘膜由来の流体を使用してフォームを作り出す発泡性組成物に関し、前述のフォーム体積は、粘膜腔内で少なくとも30秒間、30mLを超えるままである。
【0038】
別の実施形態は、30mlを超える体積を有する唾液または他の粘膜由来の流体を使用してフォームを作り出す発泡性組成物に関し、前述のフォーム体積は、粘膜腔内で少なくとも45秒間、30mlを超えるままである。
【0039】
別の実施形態は、30mLを超える体積を有する唾液または他の粘膜由来の流体を使用してフォームを作り出す発泡性組成物に関し、前述のフォーム体積は、粘膜腔内で少なくとも60秒間、30mlを超えるままである。
【0040】
別の実施形態は、アミフォスチン(または他の薬物)を含有するフォームを作り出す発泡性組成物に関し、前述のフォームのpHは4.5~6.0である。
【0041】
別の実施形態は、唾液または他の粘膜由来または他の体液に曝露された粉末製剤から相当量の堅いフォーム(以下に定義される)を作り出す発泡性組成物に関する。
【0042】
別の実施形態は、唾液または他の粘膜由来の液体に曝露された粉末製剤から、相当量の堅いフォーム(または非常に堅いフォーム)(以下に定義される)を作り出す発泡性組成物に関し、前述のフォームは粘膜腔内の相当量の分解に耐える。
【0043】
別の実施形態は、接着性フォームまたは非常に接着性のフォーム(両方とも以下に定義される用語)を作り出す発泡性組成物に関し、活性成分含有フォームは、粘膜または他の身体表面に接着する。
【0044】
別の実施形態は、粉末が鼻または鼻腔内に送達され、鼻分泌物を利用して鼻腔内にフォームを形成する発泡性組成物に関する。
【0045】
別の実施形態は、鼻腔または鼻腔内腔の局所処置のための鼻用組成物に関する。
【0046】
別の実施形態は、経鼻内送達用の発泡性組成物に関する。一実施形態は、全身吸収のための経鼻内送達用の発泡性組成物に関する。
【0047】
別の実施形態は、粘膜および胃腸(GI)全身吸収用の発泡性組成物に関する。
【0048】
別の実施形態は、膣送達用の発泡性組成物に関する。一実施形態は、骨盤隔膜をコーティングすることができる発泡性組成物に関する。
【0049】
本発明の別の実施形態は、膣口をコーティングすることができる膣送達用の発泡性組成物に関する。
【0050】
別の実施形態は、子宮初回通過効果による子宮への吸収のための膣送達用の発泡性組成物に関する。
【0051】
本発明の別の実施形態は、任意選択的に月経液を含む膣分泌物への曝露時にフォームを作り出す膣用の発泡性組成物に関する。
【0052】
別の実施形態は、持続放出発泡性組成物に関し、酸または塩基の一部(または全部)が、1秒~15分間、好ましくは30秒~8分間、より好ましくは2分~6分間のフォームの持続的生成をもたらすようにコーティングされる。
【0053】
別の実施形態は、歯科用の発泡性組成物に関する。
【0054】
本発明の特定の実施形態の目的は、口の天井(硬口蓋)を組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤とでコーティングすることである。
【0055】
本発明の特定の実施形態の目的は、軟口蓋を組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤とでコーティングすることである。
【0056】
本発明の特定の実施形態の目的は、口の底および/または歯肉の舌側を組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤でコーティングすることである。
【0057】
本発明の特定の実施形態の目的は、中咽頭(扁桃腺および舌の付け根)、鼻孔、および/または輪状後部領域を組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤でコーティングすることである。
【0058】
本発明の特定の実施形態の目的は、組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤とで、梨状陥凹および/または披裂喉頭蓋ひだをコーティングすることである。
【0059】
本発明の特定の実施形態の目的は、声門下領域(声帯の下の領域)を組成物と、その中に含まれる1つ以上の活性剤とでコーティングすることである。
【0060】
本発明の態様の他の特徴および利点は、本発明の態様の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【0061】
添付の図面は、本発明の態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】アミフォスチン(WR-2721)のWR-1065への変換を示すフローチャートである。
【0063】
図2】口腔粘膜投与用のアミフォスチン溶液を調製するステップを示すフローチャートである。
【0064】
図3】フォームの調製に使用される様々な組成および条件を、各条件および調製を定量的に記載する出力データと共に列挙する表である。
【0065】
定義
本明細書における「一実施形態/態様」または「実施形態/態様」への言及は、実施形態/態様に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態/態様において」または「別の実施形態/態様において」という語句の使用は、必ずしもすべてが同じ実施形態/態様を指しているわけではなく、他の実施形態/態様と相互排他的な別個のまたは代替の実施形態/態様でもない。さらに、いくつかの実施形態/態様によっては示され、他の実施形態/態様では示されない可能性がある様々な特徴が記載される。同様に、いくつかの実施形態/態様の要件であるが、他の実施形態/態様の要件ではない可能性がある様々な要件が記載されている。実施形態および態様は、場合によっては交換可能に使用することができる。
【0066】
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内、および各用語が使用される特定の文脈内で、当該技術分野における通常の意味を有する。本開示を説明するために使用される特定の用語は、本開示の説明に関して実務者に追加のガイダンスを提供するために、以下で、または本明細書の他の箇所で説明される。同じことが2つ以上の言い方にできることが理解されよう。
【0067】
したがって、代替の言語および同義語は、本明細書で論じられる用語のうちの任意の1つ以上のために使用され得る。また、用語が本明細書において詳述または論じられているか否かを問わず、何らかの特別な意味があるわけでもない。特定の用語の同義語が提供される。1つ以上の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除しない。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む本明細書の任意の場所における例の使用は、例示にすぎず、本開示または任意の例示された用語の範囲および意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0068】
本開示の範囲をさらに限定する意図はなく、本開示の実施形態による機器、装置、方法およびそれらの関連結果の例を以下に示す。実施例では、読者の便宜のためにタイトルまたはサブタイトルを使用してもよく、本開示の範囲を決して限定すべきではないことに留意されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が優先される。
【0069】
「活性剤」または「活性成分」という用語は、生物学的に活性であるか、そうでなければ投与される対象に対して生物学的または生理学的効果を誘導する物質、化合物または分子を指す。換言すれば、「活性剤」または「活性成分」は、組成物の効果の全部または一部が帰属される組成物の1つ以上の成分を指す。活性剤は、一次活性剤、または換言すれば、組成物の効果の全部または一部が帰属される組成物の成分であり得る。活性剤は、二次活性剤、または換言すれば、組成物の追加の部分および/または他の効果が帰属される組成物の成分であり得る。
【0070】
「医薬組成物」は、インビトロ、インビボまたはエクスビボでの診断的または治療的使用に適した滅菌組成物中の、治療分子などの活性薬剤と、不活性または活性な担体との組み合わせを含むことができる。
【0071】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る担体」という用語は、薬学的投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤などを指す。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。組成物はまた、補足的、追加的、または増強された治療機能を提供する他の活性化合物を含有し得る。
【0072】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と共に製剤化された本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を含む組成物を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「防止」という用語は、疾患の発生が抑制、改善または遅延されるすべての作用を意味する。
【0074】
「処置する(treating)」または「処置(treatment)」という用語は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、症状または障害の病態または症候を経験しているかまたは示している個体における疾患、症状または障害を阻害すること(すなわち、病態および/または症候の更なる進展を阻止すること);(2)疾患の改善;例えば、疾患、症状または障害の病態または症候を経験または示している個体における疾患、症状または障害を改善すること(すなわち、病態および/または症候を逆転させること)、例えば疾患の重症度を低下させること、のうちの1つ以上を指す。
【0075】
「投与」という用語は、ある量の所定の物質を特定の適切な方法によって患者に導入することを指す。本明細書に開示される組成物は、所望の組織に到達することができる限り、一般的な経路のいずれか、例えば、吸入、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内、または直腸内投与を介して投与され得るが、これらに限定されない。
【0076】
「対象」または「患者」という用語は、活性薬剤で処置することを意図したものを指す。任意選択的に、対象は、粘膜炎に罹患しやすい人、または粘膜炎を有することが疑われるかもしくは粘膜炎と診断された人である。しかしながら、本明細書に開示される医薬組成物で処置される任意の対象が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、粘膜炎を予防および/または処置するために対象に投与される。
【0077】
適用可能な場合、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「約」または「概ね」という用語は、別段の指示がない限り、+/-20%のマージンを意味する。また、適用可能な場合、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「実質的に」という用語は、別段の指示がない限り、+/-10%のマージンを意味する。上記の用語のすべての使用が、参照される範囲を適用できるように定量化できるわけではないことを理解されたい。
【0078】
「ブデソニド」という用語はコルチコステロイド薬を指す。それは、定量吸入器またはネブライザーを使用して投与されることが多い。それは、丸剤、鼻腔用スプレーおよび直腸坐剤としても入手可能である。吸入形態は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の長期管理に使用される。鼻腔用スプレーは、アレルギー性鼻炎および鼻ポリープに使用される。坐剤丸剤は、遅延放出のために製剤化され、クローン病、潰瘍性大腸炎、および顕微鏡的大腸炎を含む炎症性腸疾患のために使用することができる。
【0079】
「粘膜」という用語は、消化器系、呼吸器系および生殖器系における体内の管および器官を覆っている軟部組織を指す。それは、粘膜とも呼ばれ得る。粘膜は、3つの層:上皮、粘膜固有層および粘膜筋板を有する。
【0080】
「ポリオール」という用語は、複数のヒドロキシル基を含有する有機化合物を指す。当該技術分野で一般的に使用されるポリオールには、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、マルチトールシロップ、ラクチトール、エリスリトール、およびイソマルトが含まれる。糖アルコールは、糖に由来するポリオールである。
【0081】
「アルカリホスファターゼ」または「ALP」という用語は、細胞の代謝プロセスに関与する加水分解酵素細胞内酵素を指す。アミフォスチンは、ALPによってその活性代謝産物WR-1065に脱リン酸化されると活性化されるプロドラッグとして分類することができる。
【0082】
「GRAS」という用語は、「一般的に安全と認められている」ことを指す。「GRAS酸」は、例えば、グリココール酸、塩酸、乳酸、リノール酸、リンゴ酸、ペクチン酸、ソルビン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、タウロコール酸およびチオジプロピオン酸であり得る。酸成分は、4.5~6.5の唾液中の平均pHを目標とするために使用することができる。
【0083】
「口腔粘膜使用」または「口腔粘膜投与」という用語は、鼻咽頭、中咽頭または喉頭咽頭の1つ以上を含む口腔粘膜、具体的には口腔および/または咽頭を介した薬物または医薬品の適用を指す。
【0084】
「鼻腔内使用」または「鼻腔内投与」という用語は、鼻、鼻腔および/または鼻咽頭への薬物または医薬品の適用を指す。
【0085】
食道はまた、本発明の実施形態を使用して標的化され得る。
【0086】
「直腸内使用」または「直腸内投与」または「直腸使用」または「直腸投与」という用語は、直腸腔への薬物または医薬品の適用を指す。
【0087】
「膣内使用」または「膣内投与」という用語は、膣腔への薬物または医薬品の適用を指す。
【0088】
「スティックパック」という用語は、各々が1回分の投薬に使用される一組の円筒形パウチを指す。本明細書で使用される場合、単回用量のアミフォスチン製剤(または他の薬剤)は、患者への投与のためにスティックパックに包装することができる。
【0089】
「流動性粉末」という用語は、流体および緩い粒子状固体を特徴付ける流動によって移動する能力を有する粉末を指す。流動性の高い粉末物質は、低い固化性および低い凝集性を有する。凝集性は、粉末の粒子が互いにくっついて凝集する(粒子のより大きなクラスターを発生させる)傾向である。粉末流動性測定装置(PFA)を使用して、粉末の流動挙動を評価することができる。
【0090】
「分散媒」または「分散剤」という用語は、粒子の分離を改善し、それらの沈降または集塊を防止するために、液体(例えばコロイドまたはエマルジョン)中の固体または液体粒子の懸濁液に添加される物質、典型的には界面活性剤を指す。有効量の流動剤を用いて流動を促進することができる。許容され得るケイ酸塩は、好ましい(非限定的な)流動剤である。
【0091】
「イオン対」という用語は、非水性溶媒に溶解するのに十分親油性であることが多い反対の電荷状態間の静電相互作用によって溶液中に形成される天然種を指す。
【0092】
「イオン対合」という用語は、親油性、続いて脂質膜を横切る薬物(すなわち、アミフォスチン)の輸送速度を改善するためのアプローチを指す。適切な対イオンによるイオン対形成による高い水性溶解度を有するイオン性薬物の親油性化(親油性部分のエステル化)は、この点で成功していることが証明されている。イオン対は、共有結合を形成することなくクーロン引力によって一緒に保持された一対の反対に荷電したイオンである。それらは、単一のユニットのように挙動し、より親油性のユニットとして膜に分配することができる。この戦略は、過剰濃度の対イオンを共投与することを含む。イオン対合のためにアミフォスチンと共に使用される対イオンには、コハク酸、フタル酸および安息香酸が含まれる。
【0093】
医薬組成物中の治療薬は、「治療有効量」または「予防有効量」に製剤化することができる。「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために、必要な投薬量および期間で有効な量を指す。組換えベクターの治療有効量は、処置される症状、症状の重症度および経過、投与様式、ペプチドまたは薬剤が予防目的または処置目的で投与されるかどうか、特定の薬剤のバイオアベイラビリティ、個体において所望の応答を誘発する薬剤の能力、以前の治療、患者の年齢、体重および性別、患者の病歴および薬剤に対する応答、使用される治療剤の種類、主治医の裁量などに応じて異なり得る。治療有効量はまた、治療上有益な効果が組換えベクターの任意の毒性または有害な影響を上回る量である。「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な投薬量および期間で有効な量を指す。
【0094】
多くの既知の有用な化合物などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed),Mack Publishing Company,Easton,PA-様々なタイプの投与の標準的な参考文献に見出すことができる。本明細書で使用される場合、「製剤」という用語は、少なくとも1つの活性成分と、一般に賦形剤とも呼ばれ、独立して活性または不活性であり得る1つ以上の他の成分との組み合わせを意味する。「製剤」という用語は、ヒトまたは動物への投与用の薬学的に許容され得る組成物を指す場合もあればそうでない場合もあり、保存または研究目的のための有用な中間体である組成物を含む場合もある。
【0095】
本明細書で使用される他の技術用語は、様々な技術辞書によって例示されるように、それらが使用される技術分野における通常の意味を伝える。これらの非限定的な例で論じられる特定の値および構成は変更することができ、少なくとも1つの実施形態を例示するためにのみ引用され、その範囲を限定することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0096】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的であり、特許請求される主題技術の更なる説明を提供することを意図していることを理解されたい。主題技術の追加の特徴および利点は、以下の説明に記述されており、その説明から部分的に明らかになるか、または主題技術の実施によって習得され得る。主題技術の利点は、本明細書および特許請求の範囲において特に指摘されている構造によって実現および達成される。
【0097】
アミフォスチンはプロドラッグであり、これは図1に示すように、アルカリホスファターゼによってその活性代謝産物WR-1065に脱リン酸化されると、保護剤として活性である。WR-1065は、より高いアルカリホスファターゼ活性、より良好な血管新生および正常組織のより高いpHのために、新生物細胞よりも正常細胞に優先的に取り込まれる。細胞内に入ると、WR-1065は、フリーラジカルを捕捉し、フリーラジカルに水素イオンを供与し、酸素を枯渇させ、細胞傷害性薬物への直接結合および不活性化によって化学療法および放射線誘発性損傷から保護する。アミフォスチンの静脈内投与は、広範囲の細胞毒性剤に対する保護を提供することができる。シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセルおよび5-フルオロウラシルについて、血液学的または非血液学的毒性の減少が記載されている。粘膜炎の予防は、主に放射線療法で処置された頭頸部癌患者において記載されている。
【0098】
アミフォスチンは、水に可溶で、中程度の酸性化合物である。アルカリホスファターゼによるアミフォスチンのWR-1065への変換はpH依存性であり、アルカリ性pHでより迅速に起こる。アルカリホスファターゼは、細胞の代謝プロセスに関与する加水分解酵素細胞内酵素である。唾液アルカリホスファターゼ(ALP)レベルの上昇は、健康な組織の炎症および破壊を反映することが多い。ALPは、歯根膜、歯根セメント質および骨ホメオスタシスの正常な代謝回転の一部であるため、歯周組織における重要な酵素である。健康な口と炎症を起こした口の両方が、十分なレベルのALPを有し、それは、WR-2721変換または吸収のプロセスにおける顕著な律速段階ではない。
【0099】
親と代謝産物との間のこの分裂したpKaは、WR-2721をWR-1065に変換するために酸性環境が必要であるという難問を提供する。同様に、塩基性環境は、WR-2721に安定性を与える。酸性すぎる環境は、吸収されるWR-1065の量を減少させる。過度に酸性の環境はまた、吸収前のエステル結合の酸触媒加水分解を増加させる可能性がある。結果生じるWR-1065は、おそらく不活性化合物にさらに代謝され、放射線防護活性の喪失をもたらす。
【0100】
例えば、アミフォスチンは胃内pH(すなわち、1~3のpH)で不安定である。アミフォスチンは、これらの酸性条件下でWR-1065に加水分解される。アミフォスチンの加水分解反応は、pHおよび温度に依存するが非酵素的であると思われ、P-S結合の切断によって進行し、チオール(WR-1065)および無機リン酸(すなわち、HN(CHNH(CHSPO+HO→HN(CHNH(CHSH+HPO)を生じる。加水分解の最大速度はpH3.0で起こる。
【0101】
しかしながら、アミフォスチンは中性pHで安定なままである。最近の研究では、中性pHで室温で4時間にわたって検出可能な加水分解は起こらなかった。このため、薬物は、6.2~7.6(6.7が平均である)のpH正常範囲を有する唾液中で安定である。口腔の安静時pHは6.3を下回らない。口腔内では、唾液によってpHが中性付近(6.7~7.3)に維持される。
【0102】
出願人らは、難問に対する解決策として動的緩衝系を開発した。薬物の投与中および意図された吸収期間中の口腔(または他の体腔)における進行中の唾液産生が考慮される。pHを制御するために使用することができる緩衝剤には、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カリウム、クエン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムが含まれる。緩衝系は、使用中の唾液の影響を考慮して製品のpHを動的に制御するように設計することができる(すなわち、動的緩衝系)。好ましいpHを得るための緩衝系の例としては、二塩基性リン酸ナトリウムおよび一塩基性リン酸ナトリウムが挙げられる。両方とも、FDA承認の使用される緩衝剤材料であり、不活性成分リストに記載されている。例えば、ニコチン吸収は、Ph7~8で増強される。pH7の場合、一塩基性/二塩基性の比は4.6/8.6であり得る。pH7.5の場合、一塩基性/二塩基性の比は1.9/11.9であり得る。pH8.0の場合、一塩基性/二塩基性の比は0.6/13.4であり得る。これらは、製剤に添加される他の成分により調整することができる数学的に計算された緩衝剤の数値である。それらはまた、標的腔内での剤形の溶解のために設計された時間の長さに対して調整することができる。
【0103】
変換および吸収の両方に適切なpHを達成するために、1つ以上の酸を乾燥粉末製剤に添加することができる。FDA SCOGS(Select Committee on GRAS Substances)データベースに含まれる酸には、グリココール酸、塩酸、乳酸、リノール酸、リンゴ酸、ペクチン酸、ソルビン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、タウロコール酸およびチオジプロピオン酸が含まれる。酸成分を使用して、4.5~6.5の唾液中の平均pHを、任意選択的に1分の範囲の期間にわたって目標とすることができる。好ましくは、酸はGRASである。
【0104】
実施形態では、本明細書に記載される製剤はまた、浸透促進剤を含む。浸透促進剤は、粘膜、粘膜コーティングおよび上皮を介した吸収を増強する物質である(そうでなければ「透過促進剤」または「浸透促進剤」として知られている、例えば、米国特許出願公開第2006/0257463号明細書を参照されたい)。粘膜吸収促進剤には、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)、23-ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、塩化ベンザルコミン、塩化セチルペリジウム、臭化セチルメチルアンモニウム、硫酸デキストラン、ラウリン酸、ラウリン酸/プロピレングリコール、リゾホスファチジルコリン、メントール、メトキシサリチル酸、オレイン酸、ホスファチジルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、EDTAナトリウム、グリココール化ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、スルホキシド、および様々なアルキルグリコシド、または米国特許出願公開第2006/0257463号に記載されているような胆汁酸塩、例えばデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウムおよびグリココール酸ナトリウム、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ラウレス-9、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムおよびポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、例えばBRIJ(登録商標)およびMYRJ(登録商標)シリーズ、安息香酸、例えばサリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸メトキシ、脂肪酸、例えばラウリン酸、オレイン酸、ウンデカン酸およびオレイン酸メチル、脂肪アルコール、例えばオクタノールおよびノナノール、ラウロカプラム、ポリオール、プロピレングリコールおよびグリセリン、シクロデキストリン、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシドおよびドデシルメチルスルホキシド、テルペン、例えばメントール、チモールおよびリモネン、尿素、キトサンならびに他の天然および合成ポリマーが含まれる。好ましくは、粘膜吸収促進剤は、ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、マルチトール、ソルビトールなど、またはジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol)である。浸透促進剤のこのリストは非限定的である。
【0105】
実施形態では、本明細書に記載される製剤はまた、意図された身体表面への組成物の付着を改善するための「皮膜形成剤」または「皮膜形成要素」を含む。皮膜形成要素は、例えば、水溶性、水不溶性または水溶性もしくは水不溶性のポリマーの1つ以上の組み合わせを含むことができる。ポリマーは、セルロースまたはセルロース誘導体を含み得る。有用な水溶性ポリマーの具体例としては、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デンプンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。有用な水不溶性ポリマーの具体例としては、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびそれらの組み合わせが挙げられる。皮膜への組み込みに有用な他のポリマーには、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマーおよびそれらの組み合わせが含まれる。上記の基準を満たす既知の有用なポリマーまたはポリマークラスには、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサノン、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリ無水物、ポリ酢酸塩、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、およびそれらの混合物およびコポリマーがある。更なる有用なポリマーには、L-およびD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン酸とセバシン酸とのコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、アルファ-アミノ酸のコポリマー、アルファ-アミノ酸とカプロン酸とのコポリマー、アルファ-ベンジルグルタメートとポリエチレングリコールとのコポリマー、コハク酸とポリ(グリコール)とのコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシアルカノエートおよびそれらの混合物が含まれる。二元系および三元系が企図される。他の有用かつ特異的なポリマーには、MedisorbおよびBiodelの商標で市販されているものが含まれる。Medisorb材料は、Dupont Company社によって市販されており、「プロパン酸、ヒドロキシ酢酸を含むヒドロキシポリマーを有する2-ヒドロキシポリマー」を含有する「ラクチド/グリコリドコポリマー」として一般的に特定される。4つのそのようなポリマーには、338~347°F(170~175℃)の範囲内の融点を有する100%ラクチドであると考えられるラクチド/グリコリド、437~455°F(225~235℃)の範囲内の融点を有する100%グリコリドであると考えられるラクチド/グリコリド100L;85%ラクチドおよび15%グリコリドであると考えられ、338~347°F(170~175℃)の範囲内の融点を有するラクチド/グリコリド;および50%ラクチドと50%グリコリドとのコポリマーであると考えられ、338~347°F(170~175℃)の範囲内の融点を有するラクチド/グリコリド50/50が含まれる。
【0106】
アミフォスチン口腔粘膜送達製剤
粘膜炎は、放射線または化学療法剤が胃腸(GI)管を覆っている上皮細胞を破壊し、粘膜組織が潰瘍化および感染にさらされると起こることが多い。アミフォスチンは、特定の組織を放射線損傷から保護する可能性を有する既知の細胞保護剤である。それは、粘膜炎を予防および/または処置するのに役立ち得る。しかしながら、使用するための努力は、その投与に関連する課題のために臨床的に成功していない。
【0107】
WR-2721のみが、WR-1065の不安定性に起因して商業的可能性を有する。粘膜を通じた吸収速度を調べるために、臨床研究においてWR-1065を使用した。しかしながら、動物に関する臨床研究は、このアプローチに固有の問題があることを実証した。動物研究におけるWR-2721の使用の成功は、動物の鎮静化、および粘膜表面に長時間適用される高濃度のWR-2721を必要とする。これらの条件は、治療的使用のために(不可能ではないにしても)非実用的にする。
【0108】
ヒトにおける臨床試験で同じ問題に遭遇した。アミフォスチンの従来の製剤は、それが長期間粘膜と接触したままであることを必要とする。これは、患者が一般に1分を超えてすすぐことが困難であると感じるため、実用的ではない。そのようなすすぎ/接触時間は、十分な吸収を可能にしない。WR-2721とWR-1065の両方が液体中に残り、その結果、大部分が、排出された後にすすぎ液中に残る。
【0109】
さらに、アクセス可能な口腔の外側の大唾液腺の位置を考慮すると、高濃度アミフォスチン製剤を安全に嚥下することで、アミフォスチン製品がこれらの到達困難な領域を処置することが可能になる。500mgの標識された静脈内アミフォスチン用量を考慮すると、500mgまでのアミフォスチンを嚥下するための潜在的な毒性または安全性の懸念はごくわずかであり、嚥下された500mgを超える用量は認容され得る。
【0110】
したがって、実施形態は、アミフォスチンを投与するための改善された製剤を含む。本出願人は、口腔粘膜が薄い上皮および豊富な血管系を有し、両方とも吸収に有利であることを認識している。しかしながら、接触は通常、実質的な吸収には短すぎる。歯肉と頬との間(頬投与)または舌下(舌下投与)に置かれた薬物は、より長く保持され、吸収を促進する。意図される吸収は口腔に限定されず、咽頭、喉頭および/または食道、直腸腔または膣腔に向けられてもよい。
【0111】
本発明の特定の実施形態は、口/口腔内で起泡性フォーミング作用(すなわち、泡立ち)を有するアミフォスチン組成物である。これにより、口腔粘膜を横切る治療量のアミフォスチンの送達が可能になる。好ましい実施形態では、アミフォスチンは、追加の液体を投与することなく非水性組成物の一部として送達される。
【0112】
実施形態では、本明細書に記載される製剤は、口腔内のアミフォスチンの濃度を最大化すべく、ならびに嚥下時のアミフォスチンの濃度を最大化すべく水と共に投与されない。アミフォスチン(高度に水溶性である)は、口腔の唾液中で可溶化する傾向がある。
【0113】
実施形態はまた、即時放出製剤を含んでいた。したがって、典型的には、アミフォスチン(または他の薬物もしくは活性薬剤)はコーティングされない。しかしながら、コーティングされたアミフォスチン粒子を使用して放出パターンを操作することができる。
【0114】
クロスパビドン、Pharmasperse 416(49.3~69.3%のポリオールおよび30.4~50.4の炭酸カルシウムを含有するSPI Pharma(商標)から入手可能)、イソマルトデキストリン、マンニトール、マルトース、ソルビタールなどの分散剤は、重炭酸塩起泡剤と組み合わされる。この組み合わせは、歯、舌および歯肉を含む口腔上に皮膜を残す。皮膜としてのWR-2721/WR-1065の継続的な存在は、より大きな組成物が嚥下され後に長期間吸収されることを可能にする。
【0115】
重炭酸塩は、生成物の起泡性に必要であるが、WR-2721のpKaがはるかに低い場合、WR-1065へのWR-2721変換および吸収に最適な範囲外の環境のpHを上昇させる効果を有する。重炭酸ナトリウムは、わずかにアルカリ性(苦味)の味を有する無臭の白色結晶性粉末として現れる。新たに調製した0.1モル濃度の重炭酸ナトリウム水溶液のpHは77°Fで8.3であり、飽和溶液のpHは8~9である。
【0116】
出願人らは、約4.5のpHで、重炭酸ナトリウム、コハク酸、界面活性剤、ポリオール、負に帯電した生成物(キトサンまたはゼラチン)およびスクラロースも含む口腔粘膜送達用のアミフォスチン製剤を提案する。投与すると、結果生じる溶液は、活性薬剤(すなわち、アミフォスチン)を徐々に吸収するための薄膜で口腔粘膜を被覆することを可能にする稠度を有する。一実施形態では、アミフォスチン溶液は、表1の成分を含む。
【表1】
【0117】
コハク酸は、アミフォスチンに対する対イオンとして(モル過剰で)投与される。イオン対合に使用できる他の対イオンには、フタル酸および安息香酸が含まれる。イオン対合は、吸収を改善し、その後、局所薬物利用可能性を増加させることができる。
【0118】
患者の口内に置かれると、アミフォスチンは口腔内の患者の唾液中で可溶化する。
【0119】
一態様では、口腔粘膜送達製剤中のアミフォスチンの濃度は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%またはそれ以上である。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のアミフォスチンの濃度は、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、50%以下またはそれ未満である。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のアミフォスチンの濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のアミフォスチンの濃度は、10%~40%、15%~35%、20%~30%、25%~30%、30%~40%、または40%~50%である。
【0120】
一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中のポリオール(キシリトール)の濃度は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のポリオール(キシリトール)の濃度は、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下またはそれ未満である。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のポリオール(キシリトール)の濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のポリオール(キシリトール)の濃度は、5%~10%、10%~15%、15%~25%、20%~30%、25%~30%、30%~40%、または40%~50%である。
【0121】
一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中の重炭酸ナトリウムの濃度は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%またはそれ以上である。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中の重炭酸ナトリウムの濃度は、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下またはそれ未満である。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中の重炭酸ナトリウムの濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中の重炭酸ナトリウムの濃度は、5%~10%、10%~15%、15%~25%、20%~30%、25%~30%、30%~40%、または40%~50%である。
【0122】
一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中のコハク酸の濃度は、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも5%またはそれ以上である。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中のコハク酸の濃度は、1%以下、1.5%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、3.5%以下、4%以下、5%以下またはそれ未満である。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中のコハク酸の濃度は、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約5%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜(または他の送達部位)送達製剤中のコハク酸の濃度は、1%~4%、1.5%~3.5%、2%~3%、2.5%~3%、3%~4%または4%~5%である。
【0123】
一態様では、膨張性製剤を達成する観点から1つ以上の界面活性剤(例えばレシチン)が発泡性製剤に含まれる。製剤を膨張させることによって、発泡から放出されたガス(典型的には二酸化炭素)が気泡に捕捉され、ここで「気泡」は、そのとき可溶化されたアミフォスチンを含む。
【0124】
この態様では、発泡性製剤は唾液と接触し、アミフォスチンは唾液中で可溶化し、製剤は、(界面活性剤の存在のために)気泡を急速に形成するアミフォスチン含有唾液中に捕捉されたCOを放出する。その結果は、その体積に起因して口腔を急速にコーティングすることができる容積測定的に膨張したアミフォスチン含有液体である。
【0125】
本発明の組成物は、可溶性でないか、または部分的にしか可溶性でない)薬物を含む。
【0126】
態様では、嚥下された場合、膨張した製剤は、咽頭、喉頭および/または食道のコーティングにも有効である傾向がある。
【0127】
一態様では、口腔粘膜送達製剤中のスクラロースの濃度は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%またはそれ以上である。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のスクラロースの濃度は、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下またはそれ未満である。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のスクラロースの濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、少なくとも28.75%、約30%、約35%、約40%またはそれを超える。一態様では、口腔粘膜送達製剤中のスクラロースの濃度は、5%~10%、10%~15%、15%~25%、20%~30%、25%~30%、30%~40%、または40%~50%である。
【0128】
使用方法
疾患、障害、症状、もしくはその症候(例えば、粘膜炎または好酸球性食道炎)またはそれらに関連する症状を処置、予防または改善するための方法は、咽頭、喉頭、食道、鼻腔、副鼻腔、直腸腔および膣腔を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載される粘膜腔送達用の粘膜送達製剤を使用して本明細書で提供される。
【0129】
本明細書で提供される方法は、本明細書に記載される粘膜送達製剤の1つ以上を、投与を必要とする対象の粘膜腔(すなわち、含嗽液として口に)に投与することを含み得る。好ましいが非限定的な実施形態は、放射線曝露または化学療法に関連する疾患、障害、症状または症候を処置、予防、阻害または改善する方法に関する。例えば、アミフォスチンは、口腔粘膜を介した吸収を可能にするために、本明細書に記載される製剤を使用して含嗽液として投与され得る。
【0130】
本開示によるアミフォスチンまたは他の小分子薬物品を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容され得る担体または賦形剤に製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」という用語は、生理学的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。医薬組成物は、適切な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。例示的な担体または賦形剤には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。例示的な薬学的に許容され得る担体には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせの1つ以上が含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。薬学的に許容され得る担体は、治療剤の保存寿命または有効性を高める、湿潤剤または乳化剤、保存剤または緩衝剤などの少量の補助物質をさらに含むことができる。
【0131】
アミフォスチンまたは他の小分子薬物品は、粘膜投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。適切な緩衝剤には、例えば、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムが含まれる。凍結保護剤は、凍結乾燥剤形、主に0~10%スクロース(最適には0.5~1.0%)に含めることができる。他の適切な凍結保護剤には、トレハロースおよびラクトースが含められる。増量剤は、凍結乾燥剤形、主に1~10%のマンニトール(最適には2~4%)に含めることができる。安定剤は、液体および凍結乾燥剤形の両方、主に1~50mMのL-メチオニンで使用することができる。他の適切な増量剤には、グリシンおよびアルギニンが含まれ、これは0~0.05%で含めることができる。追加の界面活性剤には、例えば、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が含まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では使用され得る完成剤の例には、β-およびγ-シクロデキストリン錯体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Carbopol(登録商標)934)、リポソーム、ナフタレンジアミドジイミド、およびナフタレンジエステルジイミドが含まれる。典型的には0.1%~2.5%(w/w)の濃度のビタミンC、ビタミンE、プロアントシアニジンおよびα-リポ酸などの1つ以上の抗酸化剤も含めることができる。
【0133】
アミフォスチンまたは他の小分子薬物品は、一度にまたは一連の処置にわたって患者に適切に投与され、診断以降の任意の時点で患者に投与され得る。アミフォスチンまたは他の小分子薬物品は、単独の処置として、または問題の症状を処置するのに有用な他の薬物もしくは治療薬と組み合わせて投与され得る
【0134】
本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態を本明細書に記載する。当然ながら、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、上記の実施形態のすべての可能な変形形態の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0135】
本発明の代替の実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に、または本明細書に開示される他のグループメンバーと任意に組み合わせて参照および特許請求することができる。グループの1つ以上のメンバーは、利便性および/または特許性の理由から、グループに含まれ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。そのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすとみなされる。
【0136】
投与
組成物は、自己投与されてもよく、または介護者によって投与されてもよい。製品は、単に口腔内に置かれて広げられてもよく、または組成物は、投与されたときに口の様々な位置に送達されてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、患者は、組成物を粘膜腔に広げるのを補助するように指示され得る(「患者補助拡張」)。患者補助拡張は、10秒~120秒、好ましくは20秒~60秒の持続時間を有する。口腔投与のために、好ましくはこの期間中に、患者は、口腔の後方および上方の到達範囲をコーティングするのを助けるために頭を後ろに導くように指示される。患者は、頭を左右に動かすように指示され得る。直腸腔投与では、患者は、仰臥位にし、15分以上の長い持続時間を含むより長い持続時間にわたって身体を左右に移動または転がすように指示され得る。
【0138】
口腔投与の場合、投与後、および典型的には「患者補助拡張」を含む口腔内の期間の後、患者は一般に、組成物を口内で嚥下するように指示される。同様に、組成物は、患者自身または介護者によって他の送達部位に送達されてもよい。
【0139】
口腔投与の場合、組成物がまだ膨張して泡立っているときに嚥下が起こることが好ましい。典型的には、患者は、投与後180秒以内に嚥下するように指示される。態様では、患者は、60~180秒以内に嚥下するように指示される。
【0140】
本開示に従ったアミフォスチンまたは他の小分子薬物品を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容され得る担体または賦形剤に製剤化することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」という用語は、生理学的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。医薬組成物は、適切な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。例示的な担体または賦形剤には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。例示的な薬学的に許容され得る担体には、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせの1つ以上が含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。薬学的に許容され得る担体は、治療剤の保存寿命および/または有効性を高める、湿潤剤または乳化剤、保存剤または緩衝剤などの少量の補助物質をさらに含むことができる。
【0141】
一般的な提案として、治療有効量または予防有効量のアミフォスチンまたは他の薬物品は、1回以上の投与によるかどうかにかかわらず、約1ng/kg体重~約100mg/kg体重の範囲で投与される。特定の実施形態では、アミフォスチンは、約1ng/kg体重~約10mg/kg体重、約1ng/kg体重~約1mg/kg体重、約1ng/kg体重~約100g/kg体重、約1ng/kg体重~約10g/kg体重、約1ng/kg体重/日~約1g/kg体重、約1ng/kg体重~約100ng/kg体重、約1ng/kg体重~約10ng/kg体重、約10ng/kg体重~約100mg/kg体重、約10ng/kg体重~約10mg/kg体重、約10ng/kg体重~約1mg/kg体重、約10ng/kg体重~約100g/kg体重、約10ng/kg体重~約10mg/kg体重、約10ng/kg体重~約1mg/kg体重、10ng/kg体重~約100ng/kg体重、約100ng/kg体重~約100mg/kg体重、約100ng/kg体重~約10mg/kg体重、約100ng/kg体重~約1mg/kg体重、約100ng/kg体重~約100mg/kg体重、約100ng/kg体重~約10mg/kg体重、約100ng/kg体重~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重/日、約1mg/kg体重~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重、約10mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約1mg/kg体重/日、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約100mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約10mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重/日の範囲で投与される。
【0142】
他の実施形態では、アミフォスチンまたは他の薬物品は、約10ng~約1g/個体投与、約10ng~約10g/個体投与、約10ng~約100mg/個体投与、約10ng~約1mg/個体投与、約10ng~約10mg/個体投与、約10ng~約100mg/個体投与、約10ng~約1000mg/注射、約10ng~約10,000mg/個体投与、約100ng~約1mg/個体投与、約100ng~約10mg/個体投与、約100ng~約100mg/個体投与、約100ng~約1mg/個体投与、約100ng~約10mg/個体投与、約100ng~約100mg/個体投与、約100ng~約1000mg/注射、約100ng~約10,000mg/個体投与、約1mg~約10mg/個体投与、約1mg~約100mg/個体投与、約1mg~約1mg/個体投与、約1mg~約10mg/個体投与、約1mg~約100mg/個体投与、約1mg~約1000mg/注射、約1mg~約10,000mg/個体投与、約10mg~約100mg/個体投与、約10mg~約1mg/個体投与、約10mg~約10mg/個体投与、約10mg~約100mg/個体投与、約10mg~約1000mg/注射、約10mg~約10,000mg/個体投与、約100mg~約1mg/個体投与、約100mg~約10mg/個体投与、約100mg~約100mg/個体投与、約100mg~約1000mg/注射、約100mg~約10,000mg/個体投与、約1mg~約10mg/個体投与、約1mg~約100mg/個体投与、約1mg~約1000mg/注射、約1mg~約10,000mg/個体投与、約10mg~約100mg/個体投与、約10mg~約1000mg/注射、約10mg~約10,000mg/個体投与、約100mg~約1000mg/注射、約100mg~約10,000mg/個体投与および約1000mg~約10,000mg/個体投与の範囲で投与される。アミフォスチンは、化学療法処置に従って投与され得る。代替的に、それは、毎日、BID、TID、QID、2、3、4、5、6もしくは7日ごと、または1、2、3もしくは4週間ごとに投与され得る。
【0143】
他の特定の実施形態では、アミフォスチンまたは他の薬物製品の量は、約0.0006mg、0.001mg、0.003mg、0.006mg、0.01mg、0.03mg、0.06mg、0.1mg、0.3mg、0.6mg、1mg、3mg、6mg、10mg、30mg、60mg、100mg、300mg、600mg、1000mg、2000mg、5000mgまたは10,000mgの用量で投与され得る予想されるように、投薬量は、患者の症状、サイズおよび年齢に依存する。
【0144】
他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物化合物は、粘膜炎(例えば、徴候および症候)の発生率を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、ウイルス感染の発生率を、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低下させる。
【0145】
本明細書に開示される医薬組成物は、個体への慣習的な投与を可能にするのに十分な量である。この実施形態の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、または少なくとも100mgの医薬組成物であり得る。この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mg、または少なくとも1,500mgの医薬組成物であり得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mg、または約1,000mg~約1,500mgの範囲であり得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約500mg、約200mg~約750mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約1,000mg、または約5mg~約250mgの範囲であり得る。
【0146】
本明細書に開示される医薬組成物は、本明細書に開示される医薬組成物を溶解するのに十分な量の溶媒、エマルジョンまたは他の希釈剤を含むことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)未満、または約1%(v/v)未満の量の溶媒、エマルジョンまたは希釈剤を含むことができる。
【0147】
この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、約1%(v/v)~90%(v/v)、約1%(v/v)~70%(v/v)、約1%(v/v)~60%(v/v)、約1%(v/v)~50%(v/v)、約1%(v/v)~40%(v/v)、約1%(v/v)~30%(v/v)、約1%(v/v)~20%(v/v)、約1%(v/v)~10%(v/v)、約2%(v/v)~50%(v/v)、約2%(v/v)~40%(v/v)、約2%(v/v)~30%(v/v)、約2%(v/v)~20%(v/v)、約2%(v/v)~10%(v/v)、約4%(v/v)~50%(v/v)、約4%(v/v)~40%(v/v)、約4%(v/v)~30%(v/v)、約4%(v/v)~20%(v/v)、約4%(v/v)~10%(v/v)、約6%(v/v)~50%(v/v)、約6%(v/v)~40%(v/v)、約6%(v/v)~30%(v/v)、約6%(v/v)~20%(v/v)、約6%(v/v)~10%(v/v)、約8%(v/v)~50%(v/v)、約8%(v/v)~40%(v/v)、約8%(v/v)~30%(v/v)、約8%(v/v)~20%(v/v)、約8%(v/v)~15%(v/v)、または約8%(v/v)~12%(v/v)の範囲の溶媒、エマルジョンまたは希釈剤を含むことができる。
【0148】
本明細書に開示される医薬組成物の最終濃度は、所望の任意の濃度であり得る。この実施形態の一態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、治療有効量であり得る。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mLまたは少なくとも500mg/mLであり得る。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、例えば、約0.00001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.01mg/mL~約3,000mg/mL、約0.1mg/mL~約3,000mg/mL、約1mg/mL~約3,000mg/mL、約250mg/mL~約3,000mg/mL、約500mg/mL~約3,000mg/mL、約750mg/mL~約3,000mg/mL、約1,000mg/mL~約3,000mg/mL、約100mg/mL~約2,000mg/mL、約250mg/mL~約2,000mg/mL、約500mg/mL~約2,000mg/mL、約750mg/mL~約2,000mg/mL、約1,000mg/mL~約2,000mg/mL、約100mg/mL~約1,500mg/mL、約250mg/mL~約1,500mg/mL、約500mg/mL~約1,500mg/mL、約750mg/mL~約1,500mg/mL、約1,000mg/mL~約1,500mg/mL、約100mg/mL~約1,200mg/mL、約250mg/mL~約1,200mg/mL、約500mg/mL~約1,200mg/mL、約750mg/mL~約1,200mg/mL、約1,000mg/mL~約1,200mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約250mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約750mg/mL、約250mg/mL~約750mg/mL、約500mg/mL~約750mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約10mg/mL、または約0.001mg/mL~約100mg/mLの範囲であり得る。
【0149】
本明細書の態様は、粘膜炎に罹患しやすいまたは粘膜炎に罹患している個体を処置することを部分的に開示する。本明細書で使用される場合、「処置する(treating)」という用語は、粘膜炎の発生率を低減もしくは排除すること、または徴候および症候を軽減することを指す。例えば、「処置する(treating)」という用語は、粘膜炎を特徴とする症状の症候を軽減することを意味し得、これには、限定されないが、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、炎症を減少させることが含まれる。当業者は、特定の種類の疾患に関連する適切な症候または指標を知っており、個体が本明細書に開示される処置の候補であるかどうかを決定する方法を知っている。
【0150】
この実施形態の態様では、本明細書に開示される治療有効量の医薬組成物は、粘膜炎(例えば、炎症)の徴候/症候を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低下させる。この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される治療有効量の医薬組成物は、粘膜炎の徴候/症候を、例えば最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低下させる。
【0151】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される治療有効量の医薬組成物は、粘膜炎の徴候/症候を約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低下させる。
【0152】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される治療有効量の医薬組成物は、一般に約0.001mg/kg~約100mg/kgの範囲であり、例えば、3、5、7、10または14日ごとに投与される。この実施形態の態様では、本明細書に開示される有効量の医薬組成物は、例えば、少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも5.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも30mg/kg、少なくとも35mg/kg、少なくとも40mg/kg、少なくとも45mg/kg、または少なくとも50mg/kgであり得、例えば、3、5、7、10または14日ごとに投与され得る。
【0153】
この実施形態の他の態様では、本明細書に開示される有効量の医薬組成物は、例えば、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.001mg/kg/日~約15mg/kg、約0.001mg/kg~約20mg/kg、約0.001mg/kg~約25mg/kg、約0.001mg/kg~約30mg/kg、約0.001mg/kg~約35mg/kg、約0.001mg/kg~約40mg/kg、約0.001mg/kg~約45mg/kg、約0.001mg/kg~約50mg/kg、約0.001mg/kg~約75mg/kg、または約0.001mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得、例えば、3、5、7、10または14日ごとに投与され得る。
【0154】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される有効量の医薬組成物は、例えば、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.01mg/kg~約75mg/kg、または約0.01mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得、例えば、3、5、7、10または14日ごとに投与され得る。
【0155】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示される有効量の医薬組成物は、例えば、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約30mg/kg、約0.1mg/kg~約35mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.1mg/kg~約45mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約75mg/kg、または約0.1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得、例えば、3、5、7、10または14日ごとに投与され得る。
【0156】
投与は、単回投与または累積(連続投与)であり得、当業者によって容易に決定され得る。例えば、粘膜炎の処置は、本明細書に開示される医薬組成物の有効用量の1回投与を含み得る。代替的に、粘膜炎の処置は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または週に1回など、ある範囲の期間にわたって行われる医薬組成物の有効用量の複数回投与を含み得る。投与のタイミングは、個体の症候の重症度および/または化学療法処置計画などの要因に応じて、個体ごとに異なり得る。例えば、本明細書に開示される有効量の医薬組成物は、単回化学療法処置の直後に個体に1回投与され得る。代替的に、それは、不定の期間にわたって、または個体がもはや治療を必要としなくなるまで毎日投与され得る。当業者は、個体の症状を処置の経過を通してモニターすることができ、投与される本明細書に開示される有効量の医薬組成物をそれに応じて調整できることを認識するであろう。
【0157】
更なる実施形態では、アミフォスチンおよびその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれを超える半減期を有する。
【0158】
包装
製剤が粉末である場合、スティックパックまたはサシェが好ましい実施形態である。可撓性包装が好ましいが、他の実施形態は、非可撓性包装-より硬いプラスチック、ガラスおよび他の非可撓性材料を使用する。
【0159】
単位用量包装が好ましいが、特に施設での使用のために、多回用量包装が可能である。
【0160】
特定の実施形態では、限定されないが、窒素を含むガスブランケットを使用して製品を包装することが望ましい。パッケージは真空封止されてもよい。
【0161】
バリアパッケージングが好ましい場合がある。包装は、デバイスによって包装されてもよい。
【0162】
特定の実施形態では、粉末組成物は可溶性サシェにあり、サシェは体液と接触すると溶解し、それによって粉末組成物を体液に曝露する。
【0163】
デバイス
所望の送達部位内または送達部位に粉末を投与するために、様々なデバイスを使用することができる。乾燥粉末シリンジ、粉末シリンジ、粉末アプリケーター、ペッサリー、タンポンおよび他のデバイスを使用することができる。
【0164】
デバイスは、経鼻送達用に構成されてもよい。デバイスは、送達されてもよく、経口送達、経膣送達;および直腸送達が可能である。
【0165】
特定の実施形態では、アプリケーターは、投与前または投与後のいずれかに、フォームを撹拌またはかき混ぜるために使用され得る。
【実施例
【0166】
以下の非限定的な実施例は、現在企図されている代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために、例示のみを目的として提供される。これらの実施例は、製剤の成分を組み合わせることができるすべての可能な状況の単なるサブセットであることを意図している。したがって、これらの実施例は、製剤および/またはその方法および使用の成分の種類および量に関するものを含む、本明細書に記載される実施形態のいずれかを限定すると解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0167】
アミフォスチンの口腔粘膜投与用の製剤
アミフォスチンを投与する従来の方法は、一般に無効である。アミフォスチンの多くは、その活性形態(すなわち、WR-1065)に効果的に変換していない。さらに、WR-1065は、粘膜を介してほとんど吸収されない。本明細書に記載される製剤は、標的部位での濃度、浸透性および滞留時間を増加させることができる。
【0168】
アミフォスチンは、口腔粘膜投与用の乾燥粉末組成物として調製することができる。構成要素は任意の順序で追加することができるが、プロセスが図2に詳述されている。最初のステップ105では、アミフォスチンをPharmasperse 416(または他の分散剤)と組み合わせる。次に、重炭酸ナトリウムを添加して起泡を誘発する110。コハク酸を、イオン対合のために添加する115。スクラロース120を、味覚改善に十分な量で添加することができる。
【0169】
別の例(表2に要約)では、200mgのアミフォスチンを200mgの重炭酸ナトリウム、250mgのコハク酸、100mgのキトサン、100mgのレシチンおよび100mgのキシリトールと組み合わせる。成分を穏やかに混合または粉砕して、成分を均一に分散させた均質な製剤を作製する。製品は、唾液または他の粘膜液体にさらされたときに口腔内に流れて泡立つことを可能にする稠度を有する乾燥粉末(すなわち、非水性)である。得られたフォームは、活性剤(すなわち、アミフォスチン)を徐々に吸収するための薄膜で口腔粘膜を被覆する。
【表2】
【0170】
投与すると、結果生じる溶液は、活性薬剤(すなわち、アミフォスチン)を徐々に吸収するための薄膜で口腔粘膜を被覆することを可能にする稠度を有する。得られたフォームは32.5mLの体積に膨張し、pHは4.61である。フォームは優れた接着特性を有し、フォームは、1分を超えてその形状を維持する固体稠度を有する。
【0171】
アミフォスチン製剤は、以下の表に示されるようなバリエーションで調製することができる(列挙された重量はアミフォスチンの重量を含まない)。各バイアルの内容物を実験条件の前に粉砕して、内容物の均一性を確実にした。コハク酸、キシリトールおよび寒天の制御は、pHの変化および甘味料の添加により起こる唾液産生増加のための塩基レベルを提供するように選択した。それはベースライン体積を提供する。すべての重量はミリグラム(mg)である。
【表3】
【0172】
上記製剤の特性を図3に記載する。各製剤を研究して、体積(泡立て後)、ペレットの深さ、接着性およびpHを決定した。すべての実験条件を3連で完了した。データは以下のように生成した。
【0173】
一般的な観察として、(薬物を分配するための)大容量、薬物と粘膜表面(または他の身体表面)との間の接触を維持するための「粘着性」または接着性フォーム、および薬物と粘膜表面(または他の身体表面)との間の接触を延長するのにも役立ち得る「安定した」フォームを有することが望ましいと考えられる。
【0174】
実験製剤(バイアル番号1~13)を15mLの水に溶解して、較正されたデジタルpHメーターでpHを決定した。
【0175】
乾燥粉末を、10mLのBZ108人工唾液製剤(対応する質量が低いため、対照用に5mL)を含む円錐形の50mL目盛り付きチューブに入れ、続いて10秒間の穏やかな旋回運動および3回の反転を行った。30秒後に内容物を測定した。
【0176】
体積の測定に続いて、6mm 0.12gの標準的なエアソフトペレットをコニカルチューブに入れ、得られたフォームに30秒間沈降させ、深さを体積マーカーによって測定した。この試験は、フォームの剛性を測定することを目的とした。
【0177】
深さを測定した後、50mLのコニカルチューブを5秒間完全に反転させ、残りの体積を測定して接着性を決定した。
【0178】
本明細書に記載される試験を使用して、「体積の大きいフォーム」とは、30mLを超える体積に達するフォームを指す。「非常に大きなフォーム」は、40mlを超える体積に達するフォームである。「安定したフォーム」とは、ペレットの深さが70%(以上)の深さに達するフォームを指す。「非常に堅い」フォームは、ペレットのデポが80%以上の深さに達するフォームである。同様に、「粘着性のフォーム」とは、表面に60%以上付着したフォームを指す。「非常に粘着性のある」フォームとは、表面に80%以上付着しているフォームを指す。
【0179】
追加の実験のために、医薬品研究用人工唾液(BZ108)をBioChema Zone(商標)(アルバータ州エドモントン)から入手した。医薬研究のための人工唾液人工唾液は、口腔粘膜を介した薬物溶解および薬物送達の研究などの医薬研究のために文献に従って製剤化される。これはすぐに使用できる製剤である。溶液のpHは6.8であった。
【0180】
人工唾液製剤は、天然唾液のミネラル組成、酵素、およびpHをシミュレートする同様の組成および成分を有する。人工唾液は、ドライマウスおよび他の症状を研究および処置するために使用される。このすぐに使用可能な製剤は、実際のヒト唾液を模倣する増粘剤(viscosity enhancers)を含有する。
【0181】
実施される試験は口腔粘膜製品を対象としているが、その使用は、膣および関連部位への送達、創傷ケアおよび直腸投与のために明確に企図される。
【0182】
実施形態では、乾燥製剤は、表4で特定される成分(上記バイアル番号11としても記載される)を含む。製剤は、望ましい品質の体積、ペレットの深さ、接着性およびpHを有していた(図3を参照されたい)。
【表4】
【0183】
実施形態では、乾燥製剤は、表5で特定される成分(上記のバイアル番号13としても記載される)を含む。製剤はまた、望ましい品質の体積、ペレットの深さ、接着性およびpHを有していた(図3を参照されたい)。
【表5】
【0184】
実施形態では、活性成分(例えば、アミフォスチン)の濃度は、文献(すなわち、公表された推奨用量)および当業者に公知の方法によって決定することができる。他の活性剤には、例えば、抗生物質、抗真菌薬、非ステロイド系抗炎症薬およびステロイド系抗炎症薬が含まれる。
【実施例2】
【0185】
ブデソンサイドの直腸投与用の製剤
ブデソニドは、炎症を軽減するコルチコステロイド薬である。ブデソニド直腸を使用して、遠位潰瘍性大腸炎の再発(直腸に最も近い大腸の部分から広がる)を処置することができる。この薬剤は、特定の腸疾患(潰瘍性大腸炎)の症候を処置するために使用される。これは、腫脹(炎症)を減少させることによって作用する。ブデソニド直腸は、一般に、2週間にわたって朝に1回および夕方に1回使用される。その後、さらに4週間、1日1回(就寝時)のみ。
【0186】
この実施例では、ブデソニドは、表6に詳述されるような起泡製剤として製剤化される。起泡性製剤は、標的部位での濃度、浸透性および滞留時間を増加させるために直腸投与され得る。それをフォームとして投与することにより、腸および直腸の罹患組織に直接作用することが可能になる。
【表6】
【実施例3】
【0187】
化学療法と併用した粘膜炎の予防/処置
この例では、患者は、頭頸部癌の処置計画の一部として化学療法を受ける。患者は、咽喉および喉頭に複数の扁平上皮癌腫瘍を呈する。患者は、各化学療法セッション後に使用するためにアミフォスチンを投与される(例えば、化学療法後の15分~2時間以内の含嗽液の場合)。
【0188】
アミフォスチンは、上記の製剤(表2)で患者に投与される。具体的には、125mgのアミフォスチンが含嗽液として提供される。患者は、約1分間すすぎ、その後、すすぎ液を排出/廃棄する。すすぎプロセスを繰り返すことができる。放射線防護作用は、患者が化学療法処置の過程で粘膜炎の徴候/症候を示さないことから明らかである。
【0189】
この研究は、口腔粘膜上皮細胞による薬物の高い細胞取り込みを実証した。さらに、全身性副作用は観察されず、WR-1065は忍容性が高かった。この研究において、WR-1065は、洗浄され、単離され、生きている口腔粘膜細胞において、約3.7~19.9ng/10個の細胞の濃度で検出される。これらの所見は、200mgのWR-2721(10ml、0.09M)または125mgのWR-1065(10ml、0.09M)を安全に投与することができ、達成された細胞保護濃度が粘膜炎の予防/処置に有効であり得ることを示唆する。
【0190】
本発明の製剤および方法によって達成される驚くべき効果は、部分的には、皮膚を介したアミフォスチンの送達を増強する改善された口腔粘膜送達製剤に帰すことができる。出願人は、表1および表2に記載される製剤を用いることによって、口腔上皮細胞へのアミフォスチンの送達レベルが大幅に向上することを見出した。
【実施例4】
【0191】
顕微鏡による物理的観察
Storz Telepackビデオシステムに取り付けられた軟性鼻咽頭鏡(Olympus社)を各評価に利用した。局所充血除去薬および局所麻酔薬(1:1混合物中のオキシメトラゾンおよび4%リドカインスプレー)を標準的な様式で使用した(すなわち、各鼻孔に2回のスプレー)。右鼻腔を介して鼻咽頭にアクセスし、上気道の解剖学的構造の初期評価を視覚化した。完了したら、対象は、口腔および上気道における分散の程度を見るために、10mgの緑色食品着色料(ウィルトン粉末食品着色料)と混合した500グラムの担体化合物(バイアル11の組成物)を入れた。対照化合物と同様に、鼻腔を介して上気道にアクセスした。鼻咽頭、中咽頭、下咽頭、および咽頭咽頭をすべて評価した。追加で、ビデオ喉頭鏡を使用して口腔も評価し、化合物が最初に口腔解剖学的領域から、次いで、脱グルテン化(最初の嚥下)によって上気道に移行するにつれて、化合物が分散した程度を確認した。上気道全体にわたる担体化合物の広範な適用または分散を、オリンパス喉頭鏡を使用したビデオ文書によって評価した。
【0192】
対照試料を経口投与し、その後、脱グルテン化の前に40秒間口を閉じた。口腔を評価し、緑色染料の取り込みによって表されるビデオへの最小曝露を示し、口腔舌には見られたが、硬口蓋または軟口蓋には見られなかった。次いで、鼻咽頭鏡を右鼻孔に通して上気道を評価したところ、鼻咽頭全体が温存されていたことがわかった。鼻孔(喉頭蓋と舌の付け根との間の領域)での取り込みは最小限であったかまたは全くなく、鼻孔喉頭蓋襞(喉頭蓋と喉頭とを接続する組織)に沿った軽度の取り込みのみであり、梨状陥凹(声帯のすぐ外側の領域)での曝露または分散は限られていた。さらに、咽頭後壁は染色されず、喉頭の前庭部、声門下、および真声帯も、混合物に対する染色または曝露を有するようには見えなかった。
【0193】
試験化合物製品を、口を閉じた状態で40秒間、脱グルテン化せずに口腔内に投与した後、口腔を最初に評価したところ、混合物は、口腔舌、口の天井/硬口蓋に中程度に存在し、分散は遅延したが、軟口蓋の中程度の染色を示した。口腔底および歯肉の舌側に沿って中程度の分散/色素取り込みが見られた。次いで、鼻咽頭鏡を右鼻孔に通して上気道を評価したところ、鼻咽頭全体が温存されていたことがわかった。初期協調性嚥下を伴う混合物は、緑色染料の中咽頭(扁桃および舌の付け根)、卵管、および輪状後部への染色(分散)の中程度の証拠を示した。披裂喉頭蓋ひだに沿った領域と同様に、梨状陥凹は緑色染料で染色された。喉頭開口は、この混合物の投与に基づいていかなる緑色の曝露も染色も有していなかった。最後に、声門下領域(声帯の下の領域)では色素の染色はなかった。
【0194】
上記のように、口腔粘膜アミフォスチン製剤は、化学療法または放射線曝露時またはその後すぐに、単回、1回の含嗽液で投与され得る。代替的に、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、または1日に1回~12回、症状または症候を緩和するのに十分な期間、例えば1週間、1週間~12週間以上、1週間~6週間、2週間~12週間、2週間~8週間、2週間~6週間、2週間~4週間、4週間~12週間、4週間~8週間、または4週間~6週間の期間投与され得る。本組成物は、例えば、必要に応じて1日1回~1時間ごとの頻度で投与され得る。本明細書に記載される製剤は、1週間~4週間、1週間~2週間、1週間、2週間、3週間、または4週間以上の期間にわたって1日1回以上投与され得る。場合によっては、処置を無期限に継続すること、例えば、再発性炎症を抑制することも望ましいことがある。含嗽液を含む口腔粘膜送達製剤の適切な投与は、例えば、1日に1回、2回、3回、4回、または必要に応じて1時間ごとである。
【0195】
所望される場合、他の治療薬を上記の組成物で提供されるものと併せて用いることができる。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される宿主、疾患、障害、または症状の性質、および活性成分の性質に応じて変化する。
【0196】
実施形態では、本明細書に記載される乾燥粉末組成物は、体液(例えば、唾液)と組み合わせると膨張する。態様では、乾燥粉末組成物の体積は、その元の(すなわち、乾燥している)体積の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、または少なくとも10倍膨張する。
【0197】
態様では、膨張した組成物は、その膨張した体積(またはその体積の少なくとも80%)を少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも3分間、少なくとも5分間、少なくとも7分間、少なくとも8分間、少なくとも10分間、少なくとも12分間または少なくとも15分間維持する。
【0198】
態様では、膨張した組成物は、標的部位(例えば、粘膜)への接着が改善されている。態様では、膨張した組成物は、より大きな均一性(すなわち、活性薬剤のより均一な分布)を有する。態様では、膨張した組成物は、粘膜へのおよび/または粘膜を介したより高い透過率および/または浸透率を提供する。態様では、本明細書に記載される方法は、標的組織への投与が改善されているため、より少ない用量の薬剤を可能にする。
【0199】
態様では、活性剤は本明細書に記載される組成物と共に使用される。活性剤は、麻酔薬、抗アレルギー剤、皮膚薬、化学療法薬、キニーネ、抗真菌剤、抗生物質、サリドマイド、セロトニン、エイコサノイド、鎮痛薬、抗痙攣薬、非ステロイド性抗リウマチ薬、ロイコトリエン、ロイコトリエン阻害剤、アンドロゲン、抗アンドロゲン、コルチコイド、オピエート、受容体拮抗薬、血液凝固阻害物質、血小板凝集阻害剤、ヒスタミン拮抗薬、ペプチド/タンパク質、核酸、抗掻痒薬、抗糖尿病薬、プロスタグランジン、プロスタグランジン合成阻害剤、抗ウイルス作用または静ウイルス作用物質、抗微生物作用物質、免疫抑制剤、ホルモン、疣贅または創傷の処置剤、ビタミン、植物抽出物または植物抽出物のエッセンス、向精神薬、鎮痛薬、筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン剤、制吐薬、抗寄生虫薬、神経節活性物質、交感神経活性物質、副交感神経活性物質、抗菌作用薬、カルシウム拮抗薬、心血管薬、抗喘息薬、鎮咳薬、去痰薬、肝臓薬、利尿薬、胆汁分泌促進薬、消毒薬、微量元素、抗感染薬、細胞増殖抑制薬、代謝拮抗薬、ホルモン拮抗薬、抗真菌薬または免疫調節薬の1つ以上である。
【0200】
任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、特定の活性剤の活性を含む様々な要因:患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;投与時間;排泄速度;可能な薬物組み合わせ;処置される特定の症状の重症度;処置される領域および投与形態に応じて変化することが理解される。当業者は、そのような要因の変動性を理解し、日常的な実験のみを使用して特定の用量レベルを確立することができるであろう。
【0201】
バイオアベイラビリティ、吸収速度定数、見かけの分布容積、非結合画分、総クリアランス、未変化で排出された画分、初回通過代謝、排出速度定数、半減期、および平均滞留時間などの薬物動態パラメーターは、当該技術分野で周知の方法によって決定することができる。
【0202】
開示される組成物は、上述の薬学的に許容され得る担体と組み合わせて様々な剤形に製剤化され得る。例えば、経口投与の場合、医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤またはウエハース剤に製剤化され得る。医薬組成物はまた、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤および長時間作用型製剤に製剤化され得る。
【0203】
一方、医薬製剤に適した担体、賦形剤、および希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油が含まれるが、これらに限定されない。さらに、医薬製剤は、充填剤、抗凝固剤、潤滑剤、保湿剤、香味料、および防腐剤をさらに含んでもよい。
【0204】
組成物は、生理食塩水または有機溶媒などの様々な薬学的に許容され得る担体とブレンドすることによって使用することができる。安定性または吸収性を高めるために、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの酸化防止剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤を使用することができる。
【0205】
本明細書に開示される医薬組成物の投与用量および頻度は、処置される疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重、および疾患重症度などの様々な要因と共に、有効成分の種類によって決定される。
【0206】
本明細書に開示される組成物の総有効用量は、単回用量で患者に投与されてもよく、または分割処置プロトコルに従って複数回用量で長期間投与されてもよい。本明細書に開示される医薬組成物において、活性成分の含有量は、疾患重症度に応じて変化し得る。好ましくは、本明細書に開示される薬剤の総1日用量は、患者の体重1kgあたり約0.0001μg~500mgであり得る。しかしながら、薬剤の有効量は、医薬組成物の投与経路および処置頻度の他に、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患重症度、食事、分泌速度を含む様々な要因を考慮して決定される。これを考慮して、当業者は、本明細書に開示される医薬組成物の特定の使用に適した有効用量を容易に決定することができる。本明細書に開示される医薬組成物は、それが適切な効果を示す限り、製剤、投与経路および投与形態に特に限定されない。
【0207】
さらに、医薬組成物は、単独で、または予防有効性もしくは治療有効性を示す他の医薬製剤と組み合わせて、または同時に投与され得る。
【0208】
本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、本明細書に記載される製剤が、例示されたもの、ならびに当該技術分野で公知の他のものを含む多くの種類のバイオ医薬品に等しく適用可能であり得ることを理解するであろう。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者はまた、例えば、1つ以上の賦形剤、界面活性剤および/または任意の成分の種類またはおよび/または量の選択が、製剤化されるバイオ医薬品との化学的および機能的適合性ならびに/または投与様式ならびに当該技術分野で周知の他の化学的、機能的、生理学的および/または医学的要因に基づいて行われ得ることを理解するであろう。例えば、非還元糖は、ポリペプチド生物製剤と共に使用される場合、還元糖と比較して好ましい賦形剤特性を示す。したがって、例示的な製剤は、ポリペプチド生物製剤を参照して本明細書でさらに例示される。しかしながら、ポリペプチド生物製剤に適用される適用性、化学的および物理的特性、考慮事項および方法論の範囲は、ポリペプチド生物製剤以外の生物製剤にも同様に適用可能であり得る。
【0209】
様々な実施形態では、製剤は、当該技術分野で公知の1つ以上の保存剤および/または添加剤を含むことができる。同様に、製剤は、限定されないが、様々な既知の送達製剤のいずれかにさらに製剤化することができる。例えば、一実施形態では、製剤は、界面活性剤、アジュバント、生分解性ポリマー、ヒドロゲルなどを含むことができ、そのような任意選択の成分、それらの化学的および機能的特性は当該技術分野で公知である。同様に、当該技術分野で知られているのは、投与後の生物活性剤の速放性、持続性または遅延放出を促進する製剤である。記載した製剤は、当該技術分野で公知のこれらまたは他の製剤成分を含むように製造することができる。
【0210】
特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載される1つ以上の製剤を投与するための1つ以上の単室または分散シリンジ(例えば、液体シリンジおよびリオシリンジ)を含むことができるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、キットは、注射器に装填し、対象に投与する準備ができた形態で、部分真空下でバイアルに密封された、非経口、皮下、筋肉内またはIV投与用の製剤成分を含むことができる。これに関して、組成物は、部分真空下でその中に配置することができる。これらの実施形態およびその他のすべてにおいて、キットは、前述のいずれかによる1つ以上のバイアルを含むことができ、各バイアルは、対象への投与のための単回単位用量を含む。
【0211】
キットは、本明細書のように配置され、再構成されると、それに従って組成物を提供する凍結乾燥物を含むことができる。様々な実施形態では、キットは、凍結乾燥物と、凍結乾燥物を再構成するための滅菌希釈剤とを含むことができる。
【0212】
有効量の本明細書に記載される製剤を対象に投与することを含む、治療を必要とする対象を治療する方法も本明細書に記載される。製剤の治療有効量または用量は、対象の疾患または症状および実際の臨床状況に依存する。
【0213】
一実施形態では、本明細書に記載されるような製剤は、任意の適切な経路によって、具体的には、非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与によって投与され得る。好ましい経路は、レシピエントの症状および年齢、ならびに処置される疾患によって変わることも理解されよう。最も有効な投与手段および投薬量を決定する方法は、当業者に公知であり、限定されないが、治療に使用される組成物、治療の目的、および処置される対象によって変わるであろう。単回投与または複数回投与を行うことができ、これらに限定されないが、用量レベルおよびパターンが、処置する医師によって選択される。適切な投薬製剤および薬剤を投与する方法は、当該技術分野で公知である。
【0214】
本明細書に記載される製剤は、薬剤の製造において、ならびに従来の手順に従った投与によるヒトおよび他の動物の処置に使用することができる。
【0215】
アミノ酸の組み合わせを使用して適切なウイルス製剤を開発するためのコンビナトリアル方法も本明細書で提供される。これらの方法は、安定な液体または凍結乾燥製剤、特に医薬ウイルス製剤を開発するのに有効である。
【0216】
本明細書に記載される実施形態に従った組成物は、望ましい溶解性、粘度、注射針通過性および安定性などの望ましい特性を有する。本明細書に記載される実施形態に従った凍結乾燥物は、望ましい回収、安定性および再構成などの望ましい特性も有する。
【0217】
一実施形態では、医薬製剤のpHは、少なくとも約3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5、8.75、または9である。
【0218】
一実施形態では、医薬製剤のpHは、約3~約9、約4~約19、約5~約9、約6~約8、約6~約7、約6~約9、約5~約6、約5~約7、約5~約8、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約7~約8、約7~約9、約7~約10である。
【0219】
本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態を本明細書に記載する。当然ながら、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、上記の実施形態のすべての可能な変形形態の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0220】
本発明の代替の実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に、または本明細書に開示される他のグループメンバーと任意に組み合わせて参照および特許請求することができる。グループの1つ以上のメンバーは、利便性および/または特許性の理由から、グループに含まれ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。そのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすとみなされる。
【0221】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される特性、項目、量、パラメーター、性質、用語などを表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、そのように修飾された特性、項目、量、パラメーター、性質、または用語が、記載された特性、項目、量、パラメーター、性質、または用語の値の上下10%の範囲を包含することを意味する。したがって、反対のことが示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に示される数値パラメーターは、変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値表示は、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲および値は近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示される数値範囲および値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値範囲または値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の数値範囲の列挙は、単に、その範囲内に含まれる各々の別個の数値を個別に参照する簡略化した方法として役立つことを意図している。本明細書に別段の指示がない限り、数値範囲の個々の値は、あたかもそれが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0222】
本明細書に開示される具体的な実施形態は、「~からなる」、または「~から本質的になる」という文言を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定され得る。特許請求の範囲で使用される場合、出願時または補正によって追加されたかどうかにかかわらず、「~からなる」という移行語は、特許請求の範囲で指定されていない要素、ステップ、または成分を除外する。「~から本質的になる」という移行語は、請求項の範囲を特定の材料またはステップ、ならびに基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書に本質的にまたは明示的に記載され、可能にされる。
【0223】
本発明の代替の実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に、または本明細書に開示される他のグループメンバーと任意に組み合わせて参照および特許請求することができる。グループの1つ以上のメンバーは、利便性および/または特許性の理由から、グループに含まれ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。そのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正されたグループを含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たすとみなされる。
【0224】
本明細書において参照および特定されるすべての特許、特許刊行物、および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載されている組成物および方法論を説明および開示する目的で、その全体が参照により個別に明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。この点に関するいかなるものも、本発明者らが先行発明によって、または他の何らかの理由でそのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文書の日付に関するすべての記述または内容に関する表現は、出願人が入手可能な情報に基づくものであり、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
【0225】
最後に、本明細書の態様は特定の実施形態を参照することによって強調されているが、当業者は、これらの開示された実施形態が本明細書に開示された主題の原理の例示にすぎないことを容易に理解するであろうことを理解されたい。したがって、開示される主題は、本明細書に記載される特定の方法、プロトコル、および/または試薬などに決して限定されないことを理解されたい。したがって、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、開示された主題の様々な修正もしくは変更または代替構成を行うことができる。最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、正確に図示および説明されたものに限定されない。

図1
図2
図3
【国際調査報告】