IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラツェイェフスキー・メディ-テク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2024-533731医療用の器具及び医療用の器具の作動方法
<>
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図1
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図2
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図3
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図4
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図5
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図6
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図7
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図8
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図9
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図10
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図11
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図12
  • 特表-医療用の器具及び医療用の器具の作動方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】医療用の器具及び医療用の器具の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B1/00 620
A61B1/00 522
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518849
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 DE2022100718
(87)【国際公開番号】W WO2023051870
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021125161.3
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523200309
【氏名又は名称】ブラツェイェフスキー・メディ-テク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ブラツェイェフスキー・ラインホルト
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161BB06
4C161CC06
4C161FF12
4C161FF45
4C161HH56
4C161LL02
(57)【要約】
人間又は動物の体のストラクチャを加工する医療用の器具及び医療用の器具の作動方法を提案する。器具(1,31)は、細長い器具シャフト(9,39)を備え、器具シャフト(9,39)は、操作装置(6,36)が配置されている近位の端部と、器具ヘッド(5,25,35)が配置されている遠位の端部とを有している。器具シャフト(9,39)に接して又は器具シャフト(9,39)内に、少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つの対物レンズ(11b,41a,41b)とを有する画像提供装置(11,41)が配置されている。器具ヘッド(5,25,29)と、画像提供装置(11,41)とは、器具シャフト(9,39)の長手方向で摺動不能に器具シャフト(9,39)に配置されている。この場合、対物レンズ(11b,41a,41b)と、器具ヘッド(5,25,35)の、器具シャフト(9,39)とは反対側の先端とは、永続的に、画像提供装置(11,41)が常に器具ヘッド(5,25,35)のこの先端の画像を生成するように互いに相対的に方向付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間又は動物の体のストラクチャを加工する医療用の器具であって、前記加工は、前記ストラクチャの保持、把握、挟持、分離若しくは切断、又は複数のストラクチャの取りまとめを包含し、
器具ヘッド(5,25,35)であって、前記人間又は動物の体の前記ストラクチャと接触し、前記ストラクチャを加工すべく、形成されている、器具ヘッド(5,25,35)と、
細長い器具シャフト(9,39)であって、近位の端部と、遠位の端部とを有し、前記器具ヘッド(5,25,35)は、前記遠位の端部に配置されている、器具シャフト(9,39)と、
少なくとも1つの操作装置(6,36)であって、前記器具シャフト(9,39)の前記近位の端部に配置されており、前記器具(1,31)を操作すべく、形成されている、操作装置(6,36)と、
前記器具シャフト(9,39)に接して又は前記器具シャフト(9,39)内に配置される画像提供装置(11,41)であって、少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つの対物レンズ(11b,41a,41b)とを具備している、画像提供装置(11,41)と、
を備え、
前記器具ヘッド(5,25,29)と、前記画像提供装置(11,41)とは、前記器具シャフト(9,39)の長手方向で摺動不能に前記器具シャフト(9,39)に配置されており、かつ
前記対物レンズ(11b,41a,41b)と、前記器具ヘッド(5,25,35)の、前記器具シャフト(9,39)とは反対側の先端とは、永続的に、前記画像提供装置(11,41)が常に前記器具ヘッド(5,25,35)のこの先端の画像を生成するように互いに相対的に方向付けられている、
医療用の器具。
【請求項2】
前記器具ヘッド(5,25,35)は、前記器具シャフト(9,39)の長手方向軸線に関して少なくとも一部セクションにおいて湾曲又は屈曲されており、このとき、前記対物レンズ(11b,41a,41b)に向かって方向付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の医療用の器具。
【請求項3】
前記対物レンズ(11b,41a,41b)と、前記画像センサとは、画像提供器保持装置に配置されており、前記画像提供器保持装置は、前記器具シャフト(9,39)に取り付けられており、このとき、前記対物レンズ(11b,41a,41b)は、前記器具ヘッド(5,25,35)の、前記器具シャフト(9,39)とは反対側の前記先端に向かって方向付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療用の器具。
【請求項4】
前記器具シャフト(9,39)には、前記器具ヘッド(5,25,35)を照らす照明(12,42)が取り付けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項5】
前記器具シャフト(9,39)内には、少なくとも1つの洗浄チャネル(47,48)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項6】
前記画像センサは、光学画像を電気信号に変換すべく、形成されており、かつ前記画像提供装置(11,41)は、電気式の信号ラインを具備しており、前記信号ラインは、前記電気信号をデータ処理装置及び/又は画像出力装置に供給することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項7】
前記信号ラインは、前記器具シャフト(9,39)内に収容されていることを特徴とする、請求項6に記載の医療用の器具。
【請求項8】
前記器具シャフト(9,39)は、長手方向で延びるチャネル(13,43)を具備しており、前記チャネル(13,43)は、前記器具シャフト(9,39)の前記近位の端部に第1の開口を有し、前記第1の開口を通して、前記画像提供装置(11,41)は、前記チャネル(13,43)内に導入され、前記器具シャフト(9,39)の前記遠位の端部まで前進させられ、かつ前記チャネル(13,43)は、前記器具シャフト(9,39)の前記遠位の端部に光透過性の第2の開口(52,53)を有し、かつ
前記器具シャフト(9,39)は、ロック装置(45)を具備しており、前記ロック装置(45)は、前記チャネル(13,43)内に配置された前記画像提供装置(11,41)をロックし、前記器具シャフト(9,39)に不動に結合する、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項9】
前記画像提供装置(41)は、3D画像提供装置として形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項10】
シェードを具備しており、前記シェードは、前記器具シャフト(9,39)及び/又は前記器具ヘッド(5,25,35)の、前記器具シャフト(9,39)側のセクションを、前記画像提供装置(11,41)により撮られた前記画像から消すことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項11】
スカルペルとして形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項12】
シェーバ(19,20,21)として形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項13】
鉗子(1,31)として形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項14】
はさみとして形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項15】
ステープルとして形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項16】
ピンセットとして形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項17】
トロカールとして形成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項18】
少なくとも1つのワイヤ電極を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用の器具。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の医療用の器具の作動方法であって、前記画像提供装置(11,41)により生成される前記画像(16,18)を加工し、画像出力装置上において可視とし、かつ前記器具シャフト(9,39)及び/又は前記器具ヘッド(5,25,35)の、前記器具シャフト(9,39)側のセクションが、前記画像出力装置上に表示される前記画像(16,18)では消されているように、前記画像(16,18)を加工することを特徴とする、医療用の器具の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人間又は動物の体のストラクチャを加工する医療用の器具を提案する。
【背景技術】
【0002】
医療用の器具は、人間又は動物の体内に検査又は治療の目的で導入される。検査又は治療は、空所又は凹所において行われることが多い。このことは、特に低侵襲外科の場合に該当する。医療用の器具が挿入される領域を覗き見ることができるように、多くの場合、内視鏡が使用される。内視鏡は、内視鏡シャフトを有し、内視鏡シャフト内には、画像提供システムが配置されている。内視鏡シャフトは、内視鏡シャフトの遠位の端部でもって人間又は動物の体内に導入される。内視鏡は、大抵の場合、照明システムを具備しており、これにより、該当する空所内の検査又は治療すべきストラクチャを照らすことができる。光源により発生される光は、通常、ライトガイドファイバを介して内視鏡シャフトの遠位の端部まで案内される。画像提供システムは、ストラクチャにより反射された光の中に含まれている情報を画像として撮像するために用いられる。画像センサとしては、画像変換器チップ、例えばCMOS又はCCDが使用されることが多い。画像センサ(画像提供器又は画像変換器ともいう)は、光学画像を電気信号に変換し、電気信号は、続いて画面又はモニタ上に視覚的に可視とされる。画像提供システムは、加工すべきストラクチャの2次元の画像を生成すべく、1つの画像センサを具備していてもよい。これに代えて、画像提供システムは、加工すべきストラクチャの3次元の画像を生成すべく、2つの画像センサを具備していてもよい。この種の内視鏡は、3D内視鏡又はステレオ内視鏡とも称呼される。
【0003】
内視鏡は、作業チャネルを具備していてもよく、作業チャネル内には、医療用の器具が装入される。医療用の器具の例として挙げられるのは、組織検体の獲得用又は繊細な軟部組織若しくは軟骨の切除用の把持若しくは切断ツール、注入用のカニューレ、又は電流を用いた凝固用のワイヤ電極である。作業チャネルは、内視鏡シャフトの遠位の端部に開口を有している。この開口から、医療用の器具は、医療用の器具の器具ヘッドでもって進出する。医療用の器具は、器具を空所内の加工すべきストラクチャに引き出すべく、作業チャネル内において長手方向で摺動され得る。画像提供システムにより、体腔内において、医療用の器具を用いたストラクチャの加工は、目視確認の下、行われ得る。その際、器具は、内視鏡に対して相対的に可動であり、これにより、器具を、加工すべきストラクチャに対して相対的に、かつ内視鏡により示される視野に対して相対的に、方向付けることができる。
【0004】
その際、欠点としてわかっているのは、ユーザのための、加工すべきストラクチャへの見通しが遮蔽されてしまうような形で、医療用の器具が、内視鏡の画像提供システムの視野内へ動かされる場合があることである。ユーザからは、この場合、直には、医療用の器具の、人間又は動物の体の加工すべきストラクチャと接触するセクションは、見えない。このことは、目視確認が不可能であるか、又は少なくとも困難にされているため、加工をかなり難しくしてしまい、さらには人間又は動物にとって危険である。確かに、ユーザは、基本的には、一方では、画像提供器を有する内視鏡のシャフトを、そして他方では、内視鏡の作業チャネル内で案内される医療用の器具を、少なくとも一時的に、加工すべきストラクチャへの見通しが開けるように互いに相対的に方向付けることが可能ではあるが、このことは、ユーザにとってかなりの手間に結び付いてしまう。さらに、この方向付けは、医療用の器具の使用時、比較的長い期間にわたって維持されることはできない。それといういのも、医療用の器具は、ストラクチャの加工時、動かされ、これにより、内視鏡シャフト、ひいては画像提供システムに対して相対的な、医療用の器具の方向付けは、変化してしまうからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、加工すべき領域が、人間又は動物の体の空所又は覗き見ることができない凹所内に存在していたとしても、器具が人間又は動物の体と接触する加工すべき領域の目視確認が保証されている、医療用の器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の特徴を備える医療用の器具により解決される。器具は、器具ヘッドであって、人間又は動物の体のストラクチャと接触し、ストラクチャを加工する器具ヘッドと、細長い器具シャフトであって、近位の端部と、遠位の端部とを有し、器具ヘッドは、遠位の端部に配置されている器具シャフトと、器具シャフトの近位の端部に設けられた操作装置であって、器具を操作する操作装置と、器具シャフトに配置され、少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つの対物レンズとを有する画像提供装置と、を備えている。この場合、器具ヘッドと、画像提供装置とは、器具シャフトの長手方向で摺動不能に器具シャフトに配置されている。画像提供装置の対物レンズと、器具ヘッドの、器具シャフトとは反対側の先端とは、永続的に、画像提供装置が常に器具ヘッドのこの先端の画像を生成するように互いに相対的に方向付けられている。器具ヘッドの、医療用の器具の使用場所において人間又は動物の体のストラクチャと相互作用し、このストラクチャに所望の通り作用するセクションは、これにより常に、ユーザが器具をストラクチャの加工のために動かしても、画像提供装置の視野内に留まる。ストラクチャの、器具が加工時に作用するセクションも、画像提供装置の視野内に存在する。これにより、器具シャフトが、加工すべきストラクチャへの見通しを遮蔽してしまうことは、排除される。
【0007】
画像提供装置は、光軸を有している。特に対物レンズが、光軸を有している。光軸は、幾何学的な直線として、対物レンズを起点に器具ヘッドに向かって延在している。画像加工装置は、光軸が永続的かつ不変に、器具ヘッドの、加工を実施するセクションに方向付けられているように、器具ヘッドに対して相対的に方向付けられている。このことは、対物レンズの、幾何学的な直線として形成される光軸が、器具ヘッドと交差することを意味する。これにより画像提供装置は、画像提供装置が常に、少なくとも、器具ヘッドの、加工時に人間又は動物の体のストラクチャに触れる表面と、この表面の周囲との画像を撮像するように、永続的に位置決めされ、かつ方向付けられている。画像提供装置により撮られた画像は、これにより常に、かつ高信頼性に、器具ヘッドの、加工すべきストラクチャと接触するセクションと、その周囲とを示している。その周囲として挙げられるのは、この場合、特に、器具が器具の使用場所においてストラクチャの十分近くに近付けられている限りにおいて、加工すべきストラクチャである。画像提供装置は、この場合、器具ヘッドが、器具ヘッドがストラクチャに触れる領域への見通しを遮蔽してしまわないように方向付けられている。器具ヘッドの該当するセクションは、大抵の場合、器具ヘッドの先端に存在する。ユーザは、これにより、高信頼性の目視確認の下、器具を、加工すべきストラクチャに近付け、ストラクチャの加工を実施することができる。その際、ユーザは、画像提供装置のおかげで、器具が人間又は動物の体に当たる領域を、永続的にかつ高信頼性に視認する。
【0008】
画像提供装置は、1回だけ、器具ヘッドの重要なセクションを結像するように調整される。この調整は、既に器具の製造時に実施される。この調整は、続いて維持され、もはや変更されない。ユーザによる調整又は設定は、省略される。画像提供装置により生成される画像は、医療用の器具のポジション及び方向付けに関わらず、かつ器具の使用場所及び使用者に関わらず、常に、器具ヘッドの、人間又は動物の体のストラクチャと加工時に接触すべく、形成されている表面を示している。
【0009】
器具ヘッドは、特別に加工用に形成されており、例えば1つ又は2つのカッタ若しくはブレード、ステープル、把持ツール、カニューレ又はワイヤ電極を有している。加工は、ストラクチャの保持、把握、挟持、分離若しくは切断、又は複数のストラクチャの取りまとめを包含している。器具ヘッドが例えば把持ツールとして形成されている場合、この把持ツールは、加工時、開閉されなければならない。このために把持ツールは、例えば把持ジョー又はブレードを具備している。1つ又は2つの把持ジョー又はブレードは、可動に器具ヘッドに配置されており、その結果、把持ツールとして形成される医療用の器具は、開閉され得る。各把持ジョー又は各ブレードは、レバーの一部である。両レバーは、ヒンジを介して可動に互いに結合されている。器具を開閉すべく、両方の把持ジョー又はブレードが動かされてもよい。代替的には、一方の把持ジョーが、器具ヘッドに剛結されていて、第2の把持ジョーのみが、可動に器具ヘッドに取り付けられていてもよい。
【0010】
器具シャフトと、操作装置とは、器具ヘッドを使用場所へ案内し、使用場所において、ストラクチャの所望の加工が実施されるように動かすために用いられる。この動きとして挙げられるのは、器具ヘッドを、加工すべきストラクチャに近付けたり、ストラクチャから遠ざけたり、特殊な加工がそれを必要とする限りにおいて、加工中に器具ヘッドを動かしたりすることである。器具が、例えば鉗子の場合のように、可動に器具ヘッドに取り付けられた少なくとも1つの部材を備えているときは、操作装置は、さらに、この部材を器具シャフトに対して相対的に動かすために用いられる。操作装置は、例えば少なくとも1つのハンドル部分を具備していてもよい。ハンドル部分は、手動式に動かされることもあれば、マニピュレータにより動かされることもある。
【0011】
画像は、信号ラインにより、又は無線を介して、画像提供装置からデータ処理装置に伝送され、最終的に画像出力装置に供給される。この場合に、画像出力装置は、例えば可視化装置、特にモニタ又はVRゴーグルであってもよい。
【0012】
医療用の器具は、内視鏡と組み合わされ得る。このために医療用の器具は、内視鏡の作業チャネル内に導入され得る。この場合、画像は、医療用の器具の画像提供装置と、内視鏡の画像提供装置とにより生成される。このことは、内視鏡により、まず、医療用の器具により加工すべきストラクチャと、その周囲とが、目視され、続いて、ストラクチャの加工が、医療用の器具により実施されるとき、有意義な場合がある。内視鏡の画像提供装置は、ストラクチャ全体及びその周囲の概観を可能にする一方、医療用の器具の画像提供装置は、加工時に互いに相互作用する器具のセクションとストラクチャの部分との画像のみを狙い定めて生成する。
【0013】
これに代えて、医療用の器具は、内視鏡なしに使用されてもよい。これは、器具の画像提供装置がユーザに対して使用場所の視覚的な印象を媒介すれば十分であって、第2の画像提供装置が省略され得るケースである。医療用の器具は、トロカールにより人間又は動物の体の空所内に導入され得る。
【0014】
医療用の器具は、直に医師又は医療従事者によりガイドされてもよい。このために、医療用の器具の操作装置は、当該人員により手動操作される。
【0015】
これに代えて、医療用の器具は、ロボット支援外科システムにおいて使用されてもよい。この場合、医療用の器具のガイドは、マニピュレータにより実施される。マニピュレータは、医療用の器具の操作装置に連結されている。マニピュレータの制御は、この場合、器具に配置された画像提供装置により獲得された画像データを基に実施され得る。
【0016】
本発明の有利な一構成によれば、器具ヘッドは、器具シャフトの長手方向軸線に関して少なくとも一部セクションにおいて屈曲又は湾曲されている。これにより、器具ヘッドは、対物レンズに向かって方向付けられる。この場合、対物レンズにより、器具シャフトの画像が、画像提供装置に入力されることが保証される。
【0017】
本発明の別の有利な一構成によれば、対物レンズと、画像センサとは、画像提供器保持装置に配置されており、画像提供器保持装置は、器具シャフトに取り付けられており、対物レンズを、器具ヘッドの、器具シャフトとは反対側の先端に向かって方向付ける。
【0018】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具シャフトには、器具ヘッドを照らす照明が取り付けられている。このために、例えば光源が、器具シャフト内に配置されていてもよい。光源は、器具シャフトの遠位の端部に、又は器具シャフトの近位の端部に、又は器具シャフトの遠位の端部と近位の端部との間に配置されていてもよい。光源が、器具シャフトの遠位の端部に対して間隔を置いて配置されている場合、光源の光は、ライトガイドを介して器具シャフトの遠位の端部へ導光され得る。器具シャフトの遠位の端部において、光は、器具ヘッドに向かって放射される。光源としては、特に発光ダイオードが好適である。光源のエネルギ供給は、好ましくは、画像提供装置に対しても供給を行うエネルギ源を介して実施される。
【0019】
本発明の別の有利な一構成によれば、光源は、堅固にかつ位置固定に器具に配置されている。光源は、これにより、画像提供装置と同様、光源の方向付け及び器具における光源のポジションを変更しない。
【0020】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具シャフト内には、少なくとも1つの洗浄チャネルが配置されている。洗浄チャネルを通して、器具シャフトの遠位の端部において、洗浄媒体が流出する。洗浄媒体は、続いて適当に再び排出され得る。このために、第2の洗浄チャネルが設けられていてもよい。検査すべきストラクチャが例えば流血しているとき、洗浄媒体による洗浄により、医療用の器具の使用場所における加工すべきストラクチャへの見通しは、改善される。
【0021】
本発明の別の有利な一構成によれば、画像センサは、光学画像を電気信号に変換すべく、形成されている。この場合に、画像センサは、例えば半導体素子、特にCCD又はCMOSであってもよい。画像提供装置は、電気式の信号ラインを具備しており、信号ラインは、電気信号をデータ処理装置及び/又は画像出力装置に供給する。データ処理装置は、この場合、電気信号が、可視化装置により表示されることができ、かつユーザが、可視化装置として形成される画像出力装置と、そこに表示される画像とを基に、医療用の器具の使用場所の印象を得るように、電気信号を処理する。画像出力装置が可視化装置であるとき、可視化装置は、例えばモニタ又はVRゴーグルであってもよい。
【0022】
本発明の別の有利な一構成によれば、信号ラインは、医療用の器具の器具シャフト内に配置されている。
【0023】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具シャフトは、長手方向で延びるチャネルを具備しており、チャネルは、器具シャフトの近位の端部に第1の開口を有し、かつ遠位の端部に第2の開口を有している。第1の開口を通して、画像提供装置は、チャネル内に導入され、器具シャフトの遠位の端部まで前進させられる。器具シャフトの遠位の端部において、チャネルは、光透過性の第2の開口を有している。さらに器具シャフトは、ロック装置を具備しており、ロック装置は、チャネル内に配置された画像提供装置をロックし、器具シャフトに不動に結合する。ロック装置の解除により、画像提供装置は、器具から分離され、器具から除去され得る。而して画像提供装置は、例えば様々な器具内に挿入され得る。複数の異なる医療用の器具を運用するのに、これにより1つの画像提供装置のみが必要である。さらに画像提供装置は、医療用の器具を滅菌し、再度使用するために、医療用の器具から分離され得る。器具の滅菌は、この場合、画像提供装置なしに実施される。このことは、再使用可能な又は複数回使用可能な医療用の器具に当てはまる。代替的には、医療用の器具は、単回の使用のために形成されていてもよく、その一方で、画像提供装置は、再使用可能である。この場合も、画像提供装置が医療用の器具から除去され得ると、有利である。
【0024】
本発明の別の有利な一構成によれば、画像提供装置は、インタフェースを具備しており、インタフェースを介して、画像データは、無線を介してデータ処理装置に出力される。この場合、有線の信号ラインは、省略可能である。このことは、医療用の器具のハンドリングを容易にする。データ処理装置により、画像提供装置により生成されるデータが、加工され、かつ可視化装置上にユーザのために表示される。
【0025】
本発明の別の有利な一構成によれば、医療用の器具は、エネルギアキュムレータを具備している。エネルギアキュムレータは、一次電池として形成されていてもよいし、二次電池として形成されていてもよい。画像提供装置の電流供給用のケーブルは、この場合、省略可能である。このことは、医療用の器具の使用場所におけるハンドリングを容易にする。
【0026】
本発明の別の有利な一構成によれば、画像提供装置は、ステレオ画像提供装置(3D画像提供装置ともいう)として形成されている。好適な可視化装置により、ユーザに対し、器具ヘッド及びその周囲の3次元の画像が媒介され得る。ユーザは、この場合、器具の使用場所において位置関係をより容易に把握し、かつ加工すべきストラクチャと器具ヘッドとの間の間隔を特定することができる。このことは、基準点に関して定性的にも、画像提供装置が相応に校正されている限りにおいて、定量的にも当てはまる。この場合、左眼用の画像データと、右眼用の画像データとを互いに別々に表示する特殊な可視化装置が必要である。
【0027】
本発明の別の有利な一構成によれば、3D画像提供装置は、左側の画像センサと、右側の画像センサとを有している。これにより、2つの画像が生成され、これらの画像は、可視化装置内で1つの3次元の画像に合成される。これに代えて、左側の画像のための第1の数の画素と、右側の画像のための第2の数の画素とを有する1つの画像センサが使用されてもよい。
【0028】
本発明の別の有利な一構成によれば、画像提供装置の焦点は、器具ヘッドの、器具シャフトとは反対側の先端が、画像提供装置の焦点内に存在するように設定されている。焦点は、対物レンズと、場合によっては画像提供装置の付加的なレンズとにより設定される。対物レンズの焦点は、対物レンズと、器具ヘッドの先端との間の距離に適合されているように選択される。
【0029】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、切断ツールとして形成されている。器具は、特にスカルペルとして形成されていてもよい。さらに器具は、はさみとして形成されていてもよい。代替的には、器具は、シェーバとして形成されていてもよい。シェーバは、繊細な軟部組織又は軟骨を切除するために用いられ、主として関節鏡検査法において使用される。
【0030】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、把持ツールとして形成されている。而して器具は、例えば鉗子であってもよい。さらに器具は、ピンセットであってもよい。
【0031】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、保持ツールとして形成されている。而して器具は、例えばステープルを備えていてもよい。
【0032】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、トロカールとして形成されている。トロカールにより、鋭的又は鈍的に、体腔、例えば腹腔又は胸腔へのアクセスが形成される。このアクセスは、チューブにより開放維持される。トロカールに設けられた画像提供装置は、使用場所における位置決めを容易にする。
【0033】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、カニューレとして形成されている。
【0034】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、電流を用いた凝固用の少なくとも1つのワイヤ電極を備えている。
【0035】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、単回の使用のために形成されている。器具は、それゆえ器具の使用後、廃棄されることができ、再度の使用のために滅菌される必要はない。
【0036】
本発明の別の有利な一構成によれば、器具は、再使用可能である。器具は、滅菌され得るように形成されている。特に器具は、器具をオートクレーブ内で処理するのに好適である。
【0037】
本発明の別の有利な一構成によれば、医療用の器具は、シェードを具備しており、シェードは、器具シャフト及び/又は器具ヘッドの、器具シャフト側のセクションを、画像提供装置により撮られた画像から消す。示された画像から受けるユーザの視覚的印象は、これにより、器具シャフト、又は器具ヘッドの、器具シャフト側のセクションによって損なわれない。
【0038】
本発明に係る医療用の器具の作動方法によれば、画像提供装置により生成される画像を加工し、画像出力装置上において可視とする。その際、器具シャフト及び/又は器具ヘッドの、器具シャフト側のセクションが、画像出力装置上に表示される画像では消されているように、画像を加工する。器具シャフト、又は器具ヘッドの、器具シャフト側のセクションは、これにより、画像出力装置により表示される画像内には不可視である。ユーザの注意は、それゆえ、器具シャフト、又は器具ヘッドの、器具シャフトに直接接続するセクションには向けられず、器具ヘッドの、器具シャフトとは反対側の遠位の先端であって、加工すべきストラクチャと相互作用し、ストラクチャを適当に加工する先端にのみ向けられる。
【0039】
さらなる利点及び有利な構成は、特許請求の範囲から看取可能である。
【0040】
図面には、本発明の対象の実施例を示してある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】医療用の器具の第1の実施例の斜視図である。
図2図1に示す器具の器具シャフトの近位の端部及び操作装置を示す図である。
図3図1に示す器具の器具シャフトの遠位の端部及び器具ヘッドを示す図である。
図4図1に示す器具の器具ヘッドの、画像提供装置により生成され、視覚化装置上に示される画像を示す図である。
図5】器具ヘッドを部分的に消した、図4に示す画像の図である。
図6】医療用の器具の第2の実施例の器具ヘッドの、画像提供装置により生成され、視覚化装置上に示される画像を示す図である。
図7】器具ヘッドを部分的に消した、図6に示す画像の図である。
図8】医療用の器具の第3の実施例の斜視図である。
図9図8に示す器具の器具シャフトの近位の端部及び操作装置を示す図であって、画像提供装置が器具シャフト内に収容され、かつロックされているときの図である。
図10図9に示す器具シャフトの近位の端部を示す図であって、画像提供装置がロック解除され、かつ部分的に器具シャフトから分離されているときの図である。
図11図8に示す医療用の器具の器具ヘッド及び器具シャフトの遠位の端部を上から見た図である。
図12図8に示す医療用の器具の器具ヘッド及び器具シャフトの遠位の端部の斜視図である。
図13図8に示す医療用の器具の器具ヘッド及び器具シャフトの遠位の端部を前から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1ないし5には、医療用の器具1の第1の実施例を示してある。この器具は、鉗子であり、鉗子は、二叉のツールとして形成されており、2つの把持ジョー2,3を具備している。両把持ジョー2,3は、レバーとして形成されている。両把持ジョー2,3は、向かい合った側に鋸歯状の表面を有している。両把持ジョーは、ヒンジ4を介して互いに結合され、器具ヘッド5に配置されている。器具1は、細長い器具シャフト9を備えている。遠位の端部と称呼する第1の端部において、器具ヘッド5は、器具シャフト9に配置されている。器具シャフトの近位の端部と称呼する第2の端部には、2つのリング形のハンドル部分7,8が配置されている。これらのハンドル部分6,7は、操作装置6の構成部分であり、操作装置6により、この医療用の器具1は、手動コントロール可能である。この場合、第1のハンドル部分7は、ヒンジを介して可動に器具シャフト9に結合されている。第2のハンドル部分8は、器具シャフト9に剛結されている。両ハンドル部分7,8の動きを介して、両把持ジョー2,3は、動かされる。把持ジョー2,3と、ハンドル部分7,8とは、それぞれ、開放位置と、閉鎖位置とを有している。ハンドル部分7,8の動きは、任意の機構を介して把持ジョー2,3に伝達される。この機構は、部分的に器具シャフト9内に存在している。器具ヘッド5には、両把持ジョー2,3、ヒンジ4及び機構10の部材が取り付けられている。器具シャフト9には、さらに画像提供装置11と、照明12とが位置固定に配置されている。画像提供装置11は、画像センサと、対物レンズ11bとを有し、画像センサと、対物レンズ11bとは、画像提供部ハウジング11a内に配置されている。画像センサは、この場合、完全に画像提供部ハウジング11aにより囲繞されており、その結果、画像センサは、外部からは看取不能であり、それゆえ図面には示していない。対物レンズ11bは、画像提供部ハウジング11aの開口窓に存在している。図3に示す図示では、観察者は、対物レンズ11bを具備するこの開口窓に視線を向けている。画像提供装置11と、照明12とは、この場合、対物レンズ11b及び照明が永続的に、器具ヘッド5の把持ジョー2,3の、器具シャフト5とは反対側の両端部に向かって方向付けられているように、器具シャフト9に配置され、かつ調整されている。画像提供装置は、これにより、把持ジョー2,3の開放位置、把持ジョー2,3の閉鎖位置、及び把持ジョー2,3の開放位置と閉鎖位置との間のすべてのポジションにおいて、両把持ジョー2,3の画像を捕捉する。器具ヘッド5の両把持ジョー2,3により、ストラクチャ、例えば組織を採取する際、このストラクチャは、同じく、画像提供装置により撮られた画像内に看取可能である。
【0043】
対物レンズ11bは、光軸11cを有し、光軸11cは、幾何学的な直線として把持ジョー2,3に向かって延在している。器具ヘッド5は、この光軸11cに向かって曲率を有している。このために把持ジョー2,3は、湾曲されている。光軸11cは、両把持ジョー2,3と、これらの把持ジョー2,3の、器具シャフト9とは反対側の端部において交差しており、これらの端部は、両把持ジョー2,3の遠位の端部とも称呼する。このことは、特に両把持ジョー2,3の遠位の端部の光学式の捕捉を可能にする。
【0044】
画像提供装置11は、1つの画像センサを有し、画像センサは、光信号を電気信号に変換する。器具シャフト9は、チャネル13を具備している。このチャネル13内には、画像提供装置11の電気式の信号ラインと、照明12用の供給ラインとが延びている。信号ラインと、供給ラインとは、近位の端部においてケーブルハウジング14aを有するケーブル14内にまとめられている。このケーブル14は、視覚化装置に接続されていることができ、視覚化装置上には、画像提供装置11により生成される画像が示される。視覚化装置は、図面には示していない。
【0045】
図4は、開放位置にある両把持ジョー2,3の、画像提供装置11により生成される画像15を示している。画像提供装置11により生成されるこの画像は、図面には示さない視覚化装置上に表示される。画像15内には、器具ヘッド5の、両把持ジョー2,3が可動に取り付けられているセクションも可視である。
【0046】
ユーザが、器具1を器具1の使用場所においてストラクチャに近付け、両把持ジョー2,3をこのときまず開放し、ストラクチャの少なくとも一部セクションを取り、把持ジョー2,3をその後再び閉鎖するとき、把持ジョー2,3と、把持ジョー内に配置されるストラクチャとは、常に画像提供装置11によりユーザのために可視である。把持ジョー2,3のヒンジ4及び画像提供装置11のポジションは、固定的に予め決定されており、器具の操作時に変化しないので、両把持ジョーの加工領域は、常にかつ永続的に画像提供装置により覗き見ることが可能である。画像15内に示される視界は、器具の部分又は画像提供装置により遮蔽されない。
【0047】
図5は、医療用の器具の把持ジョー2,3の画像提供装置により生成された別の画像16を示している。この画像16内では、器具ヘッド5の、器具シャフト側のセクションが、消されている。このために領域23が、画像16から切り取られている。このことは、画像加工により実施される。器具ヘッドを消すと、ユーザの作業は、容易になる。それといういのも、器具ヘッド5の、器具シャフト側のセクションにより、ユーザの気が散ることが減るからである。
【0048】
図6及び7には、医療用の器具の第2の実施例の画像17,18を示してある。これらの画像17,18は、画像15,16に応じて、医療用の器具の第2の実施例に配置されている画像提供装置により生成されたものである。この医療用の器具は、繊細な軟部組織又は軟骨を切除するシェーバである。シェーバは、器具ヘッド25に、開口20を有するハウジング19を有している。ハウジング19内には、刃21が回転可能に配置されている。シェーバを備える医療用の器具は、開口20と刃21とを有するハウジング19を除き、図1ないし5における医療用の器具の第1の実施例と相応に構成されていてもよい。ハウジング19及び刃21は、器具ヘッド25に配置されており、器具ヘッド25は、図6に示す画像17内に部分的に可視である。図7に示す画像18内では、器具ヘッド25の、器具シャフト側のセクションが、消されている。このためにセクション24が、画像18から画像加工により切り取られている。
【0049】
図8ないし13には、医療用の器具31の第3の実施例を示してある。この医療用の器具31は、スプーン鉗子である。この医療用の器具31は、2つの把持ジョー32,33を備え、把持ジョー32,33は、レバーとして形成されており、ヒンジ34を中心に揺動可能に器具ヘッド35に配置されている。両把持ジョー32,33は、器具ヘッド35の一部である。両把持ジョー32,33は、画像提供装置41の光軸41cに向かって湾曲されている。この場合、光軸41cは、幾何学的な直線である。
【0050】
図1ないし5に示す第1の実施例とは異なり、図8ないし13に示す医療用の器具31の両把持ジョーは、向かい合った側にそれぞれ1つの凹所を有している。第1の実施例と合致し、第3の実施例による医療用の器具31は、細長い器具シャフト39を備え、器具シャフト39の遠位の端部には、器具ヘッド35が配置され、器具シャフト39の近位の端部には、2つのハンドル部分37,38を有する操作装置36が配置されている。この場合、両把持ジョー32,33は、両ハンドル部分37,38により動かされる。図1ないし5に示す医療用の器具1とは異なり、図8ないし13に示す医療用の器具31の場合、画像提供装置41は、器具シャフト39内に着脱自在に収容されている。このために器具シャフト39は、チャネル43を有し、チャネル43は、チャネル43の遠位の端部と、チャネル43の近位の端部とに、それぞれ1つの開口を具備している。近位の端部に設けられた開口には、ロックピン46を有するロック装置45が配置されている。画像提供装置41は、信号ラインを有し、信号ラインは、ケーブルハウジング44aを有するケーブル44内に収容されている。画像提供装置41は、このケーブル44でもって器具シャフト39のチャネル内に差し込まれ、器具シャフト39の遠位の端部に向かって、対物レンズ41a,41bが、器具シャフト39の遠位の端部にある、対物レンズ41a,41bの予め決定された終端位置に存在するようになるまで、前進させられる。この終端位置に到達すると直ちに、画像提供装置41は、器具シャフト39にロックされる。このためにロックピン46は、ロック装置45におけるロックピン46のロック位置に移行される。このロック位置において、ロックピン46は、ケーブルハウジング44aに設けられた係合部に係合する。これにより、画像提供装置41が器具シャフト39の長手方向で動いてしまうことは、防止される。図8及び9は、画像提供装置41を、器具シャフト39内において画像提供装置41のロックされた終端位置で示している。図10は、画像提供装置41を、ロック解除され、部分的に器具シャフト39から引き出された位置で示している。
【0051】
第1の実施例と、第3の実施例との間のさらなる相違点は、図8ないし13に示す医療用の器具31が、洗浄チャネル47,48を具備している点にある。洗浄チャネル47,48は、器具シャフト39の近位の端部に管体49,50,51を有し、器具シャフト39の遠位の端部に開口52,53を有している。管体49,50,51には、ラインが接続されることができる。これらのラインは、図面には示していない。これらは、洗浄媒体の供給及び排出に用いられ、洗浄媒体は、一方の開口52を通して流出し、他方の開口53を通して吸引される。
【0052】
第1の実施例と、第3の実施例との間のさらなる相違点は、図8ないし13に示す医療用の器具31の画像提供装置41が、3D画像提供装置である点にある。画像提供装置41は、左側の画像チャネルと、右側の画像チャネルとを有している。各画像チャネルには、1つの対物レンズ41a,41bと、1つの画像センサとが割り当てられている。これらの画像センサは、器具シャフト39内に配置されており、それゆえ図面には看取不能である。画像提供装置は、さらに照明42を具備している。各対物レンズ41a,41bには、1つの光軸41cが割り当てられており、光軸41cは、幾何学的な直線に相当する。両対物レンズ41a,41bの光軸41cは、互いに平行であってもよいし、0°とは異なる角度を付けて互いに方向付けられていてもよい。医療用の器具31の場合、光軸は、互いに平行である。図12に示す図示には、両光軸41cの一方のみが可視である。他方の光軸は、この図示では、光軸41cの背後に存在しているので、隠れて見えない。
【0053】
画像提供装置41により生成される画像は、3次元の描画を可能にする可視化装置により描画されなければならない。このために、左側の画像チャネルの画像は、ユーザの左眼用に、そして右側の画像チャネルの画像は、右眼用に描画されなければならない。
【0054】
本発明のすべての特徴は、単独でも、互いに任意の組み合わせでも、本発明にとって本質的であり得る。
【符号の説明】
【0055】
1 医療用の器具
2 把持ジョー
3 把持ジョー
4 ヒンジ
5 器具ヘッド
6 操作装置
7 ハンドル部分
8 ハンドル部分
9 器具シャフト
10 機構
11 画像提供装置
11a 画像提供部ハウジング
11b 対物レンズ
11c 画像提供装置の光軸
12 照明
13 チャネル
14 ケーブル
14a ケーブルハウジング
15 画像
16 画像
17 画像
18 画像
19 ハウジング
20 開口
21 刃
23 画像から切り取られた領域
24 画像から切り取られた領域
25 器具ヘッド
31 医療用の器具
32 把持ジョー
33 把持ジョー
34 ヒンジ
35 器具ヘッド
36 操作装置
37 ハンドル部分
38 ハンドル部分
39 器具シャフト
41 画像提供装置
41a 対物レンズ
41b 対物レンズ
41c 幾何学的な軸線
42 照明
43 チャネル
44 ケーブル
44a ケーブルハウジング
45 ロック装置
46 ロックピン
47 洗浄チャネル
48 洗浄チャネル
49 管体
50 管体
51 管体
52 開口
53 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】