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特表2024-533734バッテリーセルおよびこれを含むバッテリーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】バッテリーセルおよびこれを含むバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/145 20210101AFI20240905BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/128 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240905BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240905BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M50/145
H01M50/107
H01M50/119
H01M50/128
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6567
H01M10/6556
H01M10/643
H01M10/647
H01M50/213
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518901
(86)(22)【出願日】2023-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 KR2023004356
(87)【国際公開番号】W WO2023191582
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041076
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ヨン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・ギュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ブム・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ユン・クム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ホン・チュン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011CC06
5H011DD13
5H011DD18
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA03
5H040AA28
5H040AA31
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT04
(57)【要約】
本発明は、バッテリーセルおよびこれを含むバッテリーモジュールに関するものであって、特に、直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールに関する。本発明によると、バッテリーセルのケースよりも金属のイオン化傾向が大きい犠牲金属を用いてバッテリーセルの耐腐食性を向上させることができ、車両用の一般冷却水を用いてバッテリーセルの熱を冷却することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
電極組立体を収容するケースと、
前記ケースの外面に形成された第1めっき層と、
第1めっき層の一部領域が除去されて形成されたスクラッチ部と、
前記スクラッチ部を囲むように設けられ、前記第1めっき層よりも金属のイオン化傾向が大きい材質で形成された犠牲金属部と、
を含むバッテリーセル。
【請求項2】
前記スクラッチ部は、前記第1めっき層の厚さ方向に沿って前記第1めっき層の一部領域が除去されている請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項3】
前記スクラッチ部は、前記第1めっき層の厚さ方向に沿って前記第1めっき層の一部領域と、前記第1めっき層の一部領域と対向する前記ケースの外周面まで形成されている請求項2に記載のバッテリーセル。
【請求項4】
犠牲金属部は、前記ケースの外周面に結合されている請求項3に記載のバッテリーセル。
【請求項5】
前記犠牲金属部は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および亜鉛合金からなる群から選択される1つ以上を含む請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項6】
前記スクラッチ部は、前記ケースの周り方向に沿ってバンド状に設けられている請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項7】
前記スクラッチ部は、前記ケースの上端部に位置する第1スクラッチ部と、前記ケースの下端部に位置する第2スクラッチ部と、を含み、
犠牲金属部は、前記第1スクラッチ部および前記第2スクラッチ部が外部に露出されないように、前記第1スクラッチ部および前記第2スクラッチ部を囲む請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項8】
前記犠牲金属部は、前記第1スクラッチ部および前記第2スクラッチ部にそれぞれ結合される請求項7に記載のバッテリーセル。
【請求項9】
前記第1めっき層は、ニッケルめっき層を含む請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーセル。
【請求項10】
前記スクラッチ部は、レーザによって前記第1めっき層の一部領域が剥がれることによって形成されている、および/または、エッチング処理されて前記第1めっき層の一部領域が剥がれることによって形成されている、請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項11】
高分子フィルムを含み、前記犠牲金属部を囲むように設けられたセルシートを含む請求項1に記載のバッテリーセル。
【請求項12】
前記セルシートは、前記ケースの周り方向に沿って前記セルシートの一端と前記セルシートの他端とが重なるように前記ケースの外面を囲む請求項11に記載のバッテリーセル。
【請求項13】
請求項1に記載の複数のバッテリーセルと、
複数のバッテリーセルが離隔して配置され、前記複数のバッテリーセルの間に冷却水で流動可能に設けられたセルフレームと、
前記セルフレームの内部に冷却水を供給するための冷却水供給部と、
を含むバッテリーモジュール。
【請求項14】
前記セルフレームの内部に設けられ、前記ケースの上面側端部および下面側端部をそれぞれ覆うように設けられた防水層を含み、
前記防水層は、防水接着剤またはポッティング樹脂(Potting Resin)を含む請求項13に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
前記冷却水供給部は、絶縁処理されていない冷却水を供給するように設けられている請求項13に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルおよびこれを含むバッテリーモジュールであって、特に、直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールに関するものであり、具体的には、バッテリーセルのケースよりも金属のイオン化傾向が大きい犠牲金属を用いてバッテリーセルの耐腐食性を向上させることができる直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2022年4月1日付の韓国特許出願第10-2022-00410076号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
エコカーに使用されるバッテリーは、高出力が要求されるため、大量の熱を発生させ、バッテリーの性能および寿命を向上させるためには、バッテリーから発生する熱を効率的に排出してバッテリーが過熱されるのを防ぐことが非常に重要である。
【0004】
従来、バッテリーの熱を放出するための冷却システムとしては、直接空冷方式、間接水冷方式、または直接水冷方式などが知られている。
【0005】
直接水冷方式は、バッテリーセルを冷却水に直接含浸させ、バッテリーセルの熱が冷却水に直接排出されるようにする方式である。
【0006】
図1は、従来のバッテリーモジュール10の概略的な構成図である。
【0007】
図1を参照すると、直接水冷方式のバッテリーモジュール10は、セルフレーム11と複数のバッテリーセル12とで構成される。複数のバッテリーセル12は、セルフレーム11に離隔して配置される。セルフレーム11は、冷却水が流動可能に設けられる。
【0008】
一般に、バッテリーセル12は、内部電極を収容する外装ケースがニッケルめっきされた鉄で製作される。これにより、バッテリーセル12が冷却水に直接含浸される場合、外装ケースの材料の特性により腐食に脆弱である。また、外装ケースが極性を帯びており、電気的絶縁性も脆弱な問題点がある。
【0009】
従来の直接水冷方式のバッテリーモジュール10には、バッテリーセル12の腐食を防止するために、絶縁油または特殊冷却水M(例えば、3M社のNOVEC(登録商標))が使用されている。
【0010】
ただし、絶縁油は、火災に脆弱な問題点があり、3M社のNOVEC(登録商標)のような特殊冷却水は、無極性で耐腐食性を有する点でバッテリーセルの冷却水として優れるが、高価であるため、バッテリーモジュールの製造単価を上昇させる問題がある。
【0011】
また、従来のようにバッテリーセル12の腐食を防止するために、バッテリーセル12の外装ケースに防錆液を塗布する場合、防錆液を維持するために不織布などを用いてバッテリーセルの外装ケースを包む後処理工程が要求される。
【0012】
また、バッテリーセル12の外装ケースに防錆液を塗布しても、表面張力によって防錆剤がバッテリーセルの外装ケースから流れ落ち、防錆剤が外装ケースに均一に塗布されないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、バッテリーセルのケースよりも金属のイオン化傾向が大きい犠牲金属を用いてバッテリーセルの耐腐食性を向上させることができる直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールを提供することを一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る直接水冷用バッテリーセルは、電極組立体と、電極組立体を収容するケースと、前記ケースの外面に形成される第1めっき層と、第1めっき層の一部領域が除去されて形成されるスクラッチ部と、前記スクラッチ部を囲むように設けられ、前記第1めっき層よりも金属のイオン化傾向が大きい材質で形成される犠牲金属部と、を含む。
【0015】
また、前記スクラッチ部は、第1めっき層の厚さ方向に沿って第1めっき層の一部領域が除去されて形成され得る。
【0016】
また、前記スクラッチ部は、第1めっき層の厚さ方向に沿って第1めっき層の一部領域と、前記一部領域と対向するケースの外周面まで形成され得る。このとき、犠牲金属部は、ケースの外周面に結合され得る。また、犠牲金属部は、レーザろう付け工法でケースの外周面に結合され得、具体的には、犠牲金属部は、第1めっき層の一部領域を通過した領域がレーザビームによって溶融しながら前記ケースの外周面に結合され得る。
【0017】
また、前記犠牲金属部は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および亜鉛合金からなる群から選択される1つ以上を含み得る。
【0018】
また、前記スクラッチ部は、前記ケースの周り方向に沿ってバンド状に設けられ得る。
【0019】
また、前記スクラッチ部は、ケースの上端部に位置する第1スクラッチ部と、ケースの下端部に位置する第2スクラッチ部と、を含み得る。このとき、犠牲金属部は、第1および第2スクラッチ部が外部に露出されないように、第1スクラッチ部および第2スクラッチ部を囲むことができる。このとき、犠牲金属部は、第1スクラッチ部および第2スクラッチ部にそれぞれ結合され得る。また、犠牲金属部は、レーザビームによって溶融しながら第1スクラッチ部および第2スクラッチ部にそれぞれ結合され得る。
【0020】
また、第1めっき層は、ニッケルめっき層を含み得る。
【0021】
また、スクラッチ部は、レーザによって第1めっき層の一部領域が剥がれたり、エッチング処理されて第1めっき層の一部領域が剥がれたりして形成され得る。
【0022】
前記バッテリーセルは、高分子フィルムを含み、前記犠牲金属部を囲むように設けられるセルシートを含み得る。
【0023】
また、前記セルシートは、ケースの周り方向に沿ってセルシートの一端とセルシートの他端が重なるように前記ケースの外面を囲むことができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係るバッテリーモジュールは、前記複数のバッテリーセルと、複数のバッテリーセルが離隔して配置され、複数のバッテリーセルの間に冷却水で流動可能に設けられるセルフレームと、セルフレームの内部に冷却水を供給するための冷却水供給部と、を含む。
【0025】
また、前記バッテリーモジュールは、セルフレームの内部に設けられ、前記ケースの上面側端部および下面側端部をそれぞれ覆うように設けられる防水層を含み、前記防水層は、防水接着剤またはポッティング樹脂(Potting Resin)を含み得る。
【0026】
また、前記冷却水供給部は、絶縁処理されていない冷却水を供給するように設けられ得る。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の少なくとも一態様に係る直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールは、次のような効果を有する。
【0028】
バッテリーセルのケースおよび第1めっき層よりも金属のイオン化傾向が大きい犠牲金属を用いてバッテリーセルの耐腐食性を向上させることができる。また、絶縁処理されていない低価格の車両用の一般冷却水を用いてバッテリーセルの熱を冷却することができる。
【0029】
また、犠牲金属部を囲むセルシートを介してバッテリーセルの耐熱性、防水性、および絶縁性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来のバッテリーモジュールの概略的な構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る直接水冷用バッテリーモジュールを示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルのスクラッチ部を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るバッテリーセルのスクラッチ部を示す正面図である。
図5】スクラッチ部および犠牲金属部の結合方法を説明するための図である。
図6】第1めっき層上に犠牲金属部が結合された状態のバッテリーセルを概略的に示す斜視図である。
図7】バッテリーモジュール内に配置されたバッテリーセルを概略的に示す斜視図である。
図8図7の線X-Xに沿って切り取った状態を概略的に示す断面図である。
図9図7の線X-Xに沿って切り取った状態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係る直接水冷用バッテリーセル(以下、「バッテリーセル」とも呼ばれる)およびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュール(以下、「バッテリーモジュール」とも呼ばれる)を図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
なお、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は、同一または類似の参照番号を付し、これについての重複説明は省略するものとし、説明の便宜のために示された各構成部材の大きさおよび形状は、誇張または縮小し得る。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態に係る直接水冷用バッテリーモジュール100を示す概略図であり、図3および図4は、本発明の一実施形態に係るバッテリーセル120のスクラッチ部を示す正面図である。
【0034】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーモジュール100は、複数のバッテリーセル120と、複数のバッテリーセル120を収容するセルフレーム110と、冷却水供給部150と、を含む。また、前記バッテリーモジュール100は、複数のバッテリーセル120と複数のバッテリーセル120とが離隔して配置され、複数のバッテリーセル120の間に冷却水Wが流動可能に設けられるセルフレーム110と、セルフレーム110の内部に冷却水を供給するための冷却水供給部150と、を含む。
【0035】
また、セルフレーム110は、内部に所定の空間部111を有し、前記空間部111内で冷却水Wが流動可能な構造として設けられる。前記冷却水Wは、セルフレーム110の内部空間部111に供給された後に、セルフレーム110の外部に排出され得る。このために、バッテリーモジュール100は、セルフレーム110の外部に冷却水Wを排出するための冷却水排出部を含み得る。前記冷却水供給部150は、冷却水貯蔵槽およびポンプを含み得る。また、前記冷却水供給部150は、絶縁処理されていない冷却水Wを供給するように設けられ得る。一般的な冷却水Wは、車両で一般的に使用される冷却水であり得る。
【0036】
図5は、スクラッチ部および犠牲金属部の結合方法を説明するための図であり、図6は、第1めっき層上に犠牲金属部が結合された状態のバッテリーセルを概略的に示す斜視図であり、図7は、バッテリーモジュール内に配置されたバッテリーセルを概略的に示す斜視図であり、図8および図9は、図7の線X-Xに沿って切り取った状態を概略的に示す断面図である。
【0037】
本発明の一実施形態に係るバッテリーセル120は、電極組立体121と、ケース122と、第1めっき層123と、スクラッチ部124と、犠牲金属部125と、を含む。また、バッテリーセル120は、高分子フィルムを含み、前記犠牲金属部125を囲むように設けられるセルシート126を含み得る。
【0038】
前記バッテリーセル120は、電極組立体121と、前記電極組立体121を収容するケース122と、前記ケース122の外周面に形成される第1めっき層123と、第1めっき層123の一部領域が除去されて形成されるスクラッチ部124(124a、124b)と、前記スクラッチ部124を囲むように設けられ、前記第1めっき層123よりも金属のイオン化傾向が大きい材質で形成される犠牲金属部125と、を含む。
【0039】
図2を参照すると、直接水冷用バッテリーセル120が冷却水Wに含浸するときに、水分Hは、犠牲金属部125に伝達され得る。このとき、犠牲金属部125の水分Hに対する金属のイオン化反応が、ケース122の水分に対する金属イオン化反応よりも大きいため、ケース210の耐腐食性を向上させることができる。
【0040】
一例として、犠牲金属部125は、第1めっき層123上にめっき処理されてもよく、第1めっき層123上に溶接されてもよい。
【0041】
図2を参照すると、バッテリーモジュール100が一般的な冷却水Wを使用する場合に、バッテリーセル120の表面に腐食した部分を通じて水分Hが浸透すると、バッテリーセルの電源が一般冷却水と通電され、バッテリーモジュール100が損傷されるという問題が生じ得る。
【0042】
図2を参照すると、直接水冷用バッテリーセル120が冷却水Wに含浸されるとき、直接水冷用バッテリーセル120は、ケース122と犠牲金属部125間の金属のイオン化反応の違いにより、冷却水Wの水分Hが犠牲金属部212とイオン化反応するようになり、その結果、ケース122の金属イオン化反応が抑制され、ケース122の腐食を防止できる。
【0043】
電極組立体121は、ケース122内に収納され、正極、負極、および前記正極と負極との間に配置される分離膜を含む。前記電極と分離膜は、一体化した電極組立体121を構成し得る。例えば、前記電極組立体121は、シート状の正極と負極をその間に分離膜が介在した状態で巻き取ったゼリーロール型の電極組立体、多数の正極と負極を分離膜を介在した状態で順に積層したスタック型電極組立体または所定単位の正極と負極とを分離膜を介在した状態で積層した単位セルを分離フィルム上に位置させた状態で順に巻き取ったスタック/折り畳み型電極組立体であり得る。
【0044】
また、前記ケース122は、前記電極組立体121を収容し、外部の衝撃からバッテリーセル120を保護する役割をする。前記ケース122は、円筒形、ポーチ型または角形であり得、例えば、前記ケース122は、円筒形であり得る。特に、前記電極組立体121は、巻き取られたゼリーロール型の電極組立体であり、ケース122は、円筒形ケースであり得、前記直接水冷用バッテリーセル120は、円筒形バッテリーセルであり得る。
【0045】
また、ケース122は、金属材質で形成され得、前記ケース122は、スチール(Steel)またはステンレススチール(Stainless Steel)からなる群から選択される1つ以上で形成され得る。
【0046】
また、ケース122の表面は、ニッケル(Ni)めっき処理され得る。すなわち、第1めっき層123は、ニッケルめっき層を含み得る。
【0047】
一方、ニッケルめっき層は、変色が少なく防錆性に優れ、耐食性および耐摩耗性に優れる。しかしながら、ニッケルめっき層は、材料特性により、冷却水に含浸するときに腐食する可能性があり、腐食が進むにつれて極性が生じながら絶縁性が低下する。
【0048】
一方、第1めっき層123上に犠牲金属部125が設けられると、第1めっき層123は、犠牲金属部125とケース122との間の電子の移動を妨げる要因となり得る。
【0049】
第1めっき層123にスクラッチ部124を形成した後、スクラッチ部124に犠牲金属部125を結合させることによって、犠牲金属部125とケース122との間の電子移動が円滑に行われ得る。
【0050】
図3および図8を参照すると、スクラッチ部124(124a)は、第1めっき層123の厚さ方向tに沿って第1めっき層123の一部領域が除去されて形成され得る。すなわち、スクラッチ部は、第1メッキ層123を所定の厚さだけ掻き取ることによって形成され得、第1メッキ層123上にスクラッチ部124が形成された領域は、周辺領域よりも第1メッキ層の厚さが小さくなる。
【0051】
また、スクラッチ部124は、レーザによって第1めっき層123の一部領域を剥がしたり、エッチング処理されて第1めっき層123の一部領域が剥がれたりすることによって形成され得る。すなわち、スクラッチ部124は、第1めっき層123がレーザによってスクラッチされて形成され得、スクラッチ部124は、第1めっき層123がエッチング処理されて形成され得る。エッチング処理方法は、化学的腐食方法による。
【0052】
図3および図9を参照すると、前記スクラッチ部124(124c)は、第1めっき層123の厚さ方向tに沿って第1めっき層123の一部領域と、前記一部領域と対向するケースの外周面まで形成され得る。すなわち、前記第1めっき層123をスクラッチ処理し、第1めっき層123を厚さ方向tに沿って貫通した後、露出したケースの外周面122cまでスクラッチ処理することによって、スクラッチ部124cを形成し得る。このとき、犠牲金属部125は、ケース122の外周面122cに結合され得る。このような構造において、犠牲金属部125が第1めっき層123を貫通してケース122の外周面122cに直接結合され得る。
【0053】
図3および図4を参照すると、第1めっき層123上にスクラッチ処理を行うことによって、スクラッチ処理された領域に複数の凹部が形成され得る。一例として、前記凹部は、格子状に設けられ得る。また、前記スクラッチ部124は、前記ケース122の周り方向に沿ってバンド状に設けられ得る。
【0054】
また、前記スクラッチ部124は、第1めっき層123の互いに異なる領域に複数備えられ得る。一例として、前記スクラッチ部124は、ケース122の上端部122aに位置する第1スクラッチ部124aと、ケース122の下端部122bに位置する第2スクラッチ部124bと、を含み得る。
【0055】
図5および図6を参照すると、犠牲金属部125は、ケース122の外面を囲むように配置され、第1めっき層123を囲むように第1めっき層123上に配置され得る。
【0056】
また、犠牲金属部125は、ケース122よりも金属のイオン化反応が大きい材質で形成され得る。犠牲金属部125は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム合金、マグネシウム合金、および亜鉛合金からなる群から選択される1つ以上を含み得る。
【0057】
犠牲金属部125は、スクラッチ部124が外部に露出されないように、スクラッチ部124を囲むように設けられる。一例として、犠牲金属部125は、第1スクラッチ部124aおよび第2スクラッチ部124bが外部に露出されないように、第1スクラッチ部124aおよび第2スクラッチ部124bを囲むように設けられ得る。
【0058】
本明細書において、スクラッチ部124(第1スクラッチ部124a、第2スクラッチ部124b)は、第1めっき層123の一部の厚さがスクラッチ処理された領域と、第1めっき層123を貫通してケースの外周面までスクラッチ処理された領域と、を含み得る。
【0059】
このとき、犠牲金属部125は、スクラッチ部124に結合され得、スクラッチ部が複数備えられる場合、犠牲金属部125は、第1スクラッチ部124aおよび第2スクラッチ部124bにそれぞれ結合され得る。
【0060】
また、第1スクラッチ部124aおよび第2スクラッチ部124bはそれぞれ、前記ケース122の周り方向に沿ってバンド状に設けられ得る。また、犠牲金属部125は、ケース122の周り方向に沿ってバンド状に設けられ得る。
【0061】
図4および図6を参照すると、犠牲金属部125の上端部は、第1スクラッチ部124aをカバーし、犠牲金属部125の下端部は、第2スクラッチ部124bをカバーすることができる。このように、犠牲金属部125は、スクラッチ部124をカバーし、ケース122の周りに沿って第1めっき層123に結合されるバンド状に設けられ得る。
【0062】
図5を参照すると、犠牲金属部125は、レーザろう付け工法で、ケース121の周り方向に沿って延びる仮想の接合ラインL1、L2に沿ってスクラッチ部に結合され得る。図5は、スクラッチ部が第1めっき層を通過してケースの外周面まで形成された実施形態において、ケース122の外周面に犠牲金属部が結合(図9参照)される過程を説明する図である。
【0063】
図5を参照すると、犠牲金属部125は、ワイヤWがレーザビームBによってメルトされてケース122の外周面に結合され得る。
【0064】
図4図6を参照すると、犠牲金属部125の上端部は、第1接合ラインL1に沿ってワイヤWがレーザビームによってメルトされて第1スクラッチ部124aに結合され得る。ここで、第1接合ラインL1は、第1スクラッチ部124aでワイヤWが接合される仮想の線を意味する。
【0065】
犠牲金属部125の下端部は、第2接合ラインL2に沿ってワイヤWがレーザビームによってメルトされて第2スクラッチ部124bに結合され得る。ここで、第2接合ラインL2は、第2スクラッチ部124bでワイヤWが接合される仮想の線を意味する。
【0066】
すなわち、犠牲金属部125は、前記ケース122の上端部および下端部を一体に囲むように設けられ得、犠牲金属部125は、前記ケース122の上端部122aおよび下端部122bにそれぞれ設けられ得る。
【0067】
また、前記犠牲金属部125は、バンド状に前記ケース122の周り方向の一部領域を囲むように設けられ得る。また、前記犠牲金属部125は、リング状に前記ケース122の周り方向に沿って前記ケース122を囲むことができる。
【0068】
図7図9を参照すると、バッテリーセル120は、高分子フィルムを含み、前記犠牲金属部125を囲むように設けられるセルシート126を含み得る。
【0069】
前記セルシート126は、ケース122の周り方向に沿ってセルシート126の一端とセルシート126の他端が重なるように前記ケース122の外面を囲むことができる。
【0070】
また、前記セルシート126は、熱収縮しつつ犠牲金属部125に密着できる。
【0071】
セルシート126は、熱収縮性高分子材料で形成され得る。熱収縮性高分子材料は、ポリ塩化ビニル(Poly Vinyl Chloride:PVC)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)、およびポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate:PET)からなる群から選択される1つ以上を含み得る。
【0072】
一方、バッテリーモジュール100は、セルフレーム110の内部に設けられ、前記バッテリーセル120のケース122の上端部122aおよび下端部122bをそれぞれ覆うように設けられる防水層130、140を含み得る。
【0073】
防水層130、140は、ケース122への水分の透湿を防止し、バッテリーセル120をセルフレーム110に固定する機能を行う。
【0074】
前記ケース122の上端部122aに上部防水層130が設けられ得、前記ケース122の下端部122bに下部防水層140が設けられ得る。一例として、前記防水層130、140は、前記犠牲金属部125の一部領域を囲むように設けられ得る。また、バッテリーセル120は、上端部122a側と下端部122b側がそれぞれ、防水層130、140を介して、セルフレーム110の内面に固定され得る。
【0075】
防水層130、140は、防水接着剤またはポッティング樹脂(Potting Resin)を含み得、前記ポッティング樹脂は、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂またはエポキシ系樹脂のうち、いずれか1つであり得る。
【0076】
前述した本発明の好ましい実施形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明についての通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想および範囲内で様々な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更および付加は、下記の特許請求の範囲に属するものとみなすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の少なくとも一実施形態に係る直接水冷用バッテリーセルおよびこれを含む直接水冷用バッテリーモジュールによると、バッテリーセルのケースおよび第1めっき層よりも金属のイオン化傾向が大きい犠牲金属を用いてバッテリーセルの耐腐食性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0078】
120 バッテリーセル
121 電極組立体
122 ケース
123 第1めっき層
124 スクラッチ部
125 犠牲金属部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】