IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベーアーエスエフ・エスエーの特許一覧 ▶ リンデ ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】マルチシリンダ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/40 20060101AFI20240905BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05B3/40 A
H05B3/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518906
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2022076624
(87)【国際公開番号】W WO2023046943
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21199084.1
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(71)【出願人】
【識別番号】521329305
【氏名又は名称】リンデ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】キアラ・アンネ・コッヘンデルファー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・シュストフ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・イェンネ
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP11
3K092PP20
3K092QB02
3K092QB14
3K092QB15
3K092RD10
3K092RD12
3K092RD17
3K092UA04
3K092VV25
(57)【要約】
多数の中空シリンダパイプを備える装置(110)が提案される。中空シリンダパイプの少なくとも1つは、少なくとも1つの供給原料を受け取るための流体シリンダ(112)として設定される。少なくとも1つのさらなる中空シリンダパイプは、導電性加熱シリンダ(129)として構成される。装置(110)は、加熱シリンダ(129)を通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダ(112)を加熱する電流を加熱シリンダ(129)に生成するように設定された少なくとも1つの電源または電圧源(126)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の中空シリンダパイプを備える装置(110)であって、前記中空シリンダパイプのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの供給原料を受け取るための流体シリンダ(112)として設定され、少なくとも1つのさらなる中空シリンダパイプは、導電性加熱シリンダ(129)として構成され、前記加熱シリンダ(129)は、前記加熱シリンダ(129)が前記流体シリンダ(112)を取り囲むように配置され、前記装置(110)は、前記加熱シリンダ(129)を通る電流の通過時に生じるジュール熱によって前記流体シリンダ(112)を加熱する電流を前記加熱シリンダ(129)に生成するように設定された少なくとも1つの電源または電圧源(126)を有し、前記装置(110)は、前記供給原料を少なくとも400℃の温度まで加熱するように設定され、
前記加熱シリンダ(129)は、前記加熱シリンダ(129)が前記流体シリンダ(112)を直接取り囲むように配置され、その電流生成熱を前記流体シリンダ(112)に放出するように設定され、または
前記装置は、少なくとも1つのガルバニック絶縁体(124)を有し、前記ガルバニック絶縁体(124)は、前記流体シリンダ(112)と前記加熱シリンダ(129)との間に配置され、前記ガルバニック絶縁体(124)は、前記流体シリンダ(112)を前記加熱シリンダ(129)からガルバニック絶縁し、前記加熱シリンダ(129)から前記流体シリンダ(112)に熱を伝達するように設定される、装置。
【請求項2】
前記装置(110)が、前記供給原料を400℃から1700℃、好ましくは400℃から1400℃、より好ましくは400℃から875℃の範囲の温度に加熱するように設定される、請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
前記装置(110)は、前記流体シリンダ(112)の温度を決定するように設定された少なくとも1つの温度センサを有し、前記装置(110)は、前記温度センサによって測定された温度の関数として閉ループ制御によって前記電源または電圧源(126)を制御するように設定された少なくとも1つのコントローラユニットを有する、請求項1または2に記載の装置(110)。
【請求項4】
前記ガルバニック絶縁体(124)は、セラミック、ガラス質、ガラス繊維強化、プラスチック様または樹脂様材料、絶縁塗料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、前記ガルバニック絶縁体は、管、薄膜、被覆、または層のうちの1つまたは複数として構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記装置(110)は、少なくとも1つの外側シリンダ(130)を有し、前記外側シリンダ(130)は、前記加熱シリンダ(129)を少なくとも部分的に取り囲むように設定され、前記外側シリンダ(130)は、前記加熱シリンダ(129)をガルバニック絶縁し、外部への熱損失を少なくとも部分的に低減するように設定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記加熱シリンダ(129)が、1x10-8Ωm≦ρ≦10Ωmの比電気抵抗率ρを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記加熱シリンダ(129)および前記ガルバニック絶縁体(124)は、10W/(mK)≦λ≦6000W/(mK)、好ましくは20W/(mK)≦λ≦5000W/(mK)の熱伝導率λを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項8】
前記加熱シリンダ(129)が壁厚を有し、前記加熱シリンダ(129)の前記壁厚が前記流体シリンダ(112)の壁厚よりも小さい、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項9】
前記電源および/または電圧源(126)が、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源、あるいはDC電源および/またはDC電圧源を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項10】
前記装置(110)が、多数の流体シリンダ(112)を有し、前記装置(110)は、l個の流体シリンダ(112)を有し、lは2以上の自然数であり、前記流体シリンダ(112)は対称または非対称のパイプおよび/またはそれらの組み合わせを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項11】
前記供給原料が、熱分裂に供される炭化水素および/または混合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(110)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(110)を備えるプラントであって、前記プラントが、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置からなる群から選択される、プラント。
【請求項13】
装置に関する請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(110)を使用して少なくとも1つの供給原料を加熱する方法であって、前記方法が、
前記供給原料を受け取り、前記流体シリンダ(112)において前記供給原料を受け取るための少なくとも1つの流体シリンダ(112)を提供するステップと、
少なくとも1つの電源および/または少なくとも1つの電圧源(126)を提供するステップと、
前記供給原料を加熱するために、前記加熱シリンダ(129)を通る前記電流の通過時に生じるジュール熱によって前記流体シリンダ(112)を加熱する少なくとも1つの導電性加熱シリンダ(129)に電流を生成するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の中空シリンダパイプを備える装置、および流体シリンダの供給原料を加熱する方法に関する。装置は、プラントの一部であり、例えば、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置である。装置は、特に、供給原料を200℃から1700℃、好ましくは300℃から1400℃、より好ましくは400℃から875℃の範囲の温度に加熱するために使用され得る。しかしながら、他の使用分野も考えられる。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は原理的に既知である。例えば、国際公開第2015/197181号パンフレットは、流体を受け取るための少なくとも1つの導電性パイプライン、および少なくとも1つのパイプラインに接続された少なくとも1つの電圧源を備える、流体を加熱するための装置を記載している。少なくとも1つの電圧源は、少なくとも1つのパイプラインに交流電流を発生させるように設定され、流体を加熱するために少なくとも1つのパイプラインを加熱する。
【0003】
国際公開第2020/035575号パンフレットは、流体を加熱するための装置を記載している。装置は、流体を受け取るための少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメント、ならびに少なくとも1つのDC電源および/またはDC電圧源を備え、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントは、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに接続されたDC電源および/またはDC電圧源が割り当てられ、それぞれのDC電源および/またはDC電圧源は、流体を加熱するために、導電性パイプ材料を通る電流の通過時に生じるジュール加熱によってそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加熱する、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントにおいて電流を生成するように設計される。
【0004】
国際公開第2021/160777(A1)号パンフレットは、流体を加熱するための装置を記載している。装置は、流体を収容するための少なくとも1つの導電性パイプラインおよび/または少なくとも1つの導電性パイプラインセグメントと、少なくとも1つの単相AC電源および/または少なくとも1つの単相AC電圧源であって、各パイプラインおよび/または各パイプラインセグメントには、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントに接続された単相AC電源および/または単相AC電圧源が割り当てられており、それぞれの単相AC電源および/または単相AC電圧源は、それぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントで電流を生成するように設計されており、流体を加熱するために、導電性パイプ材料を通る電流の通過時に生じるジュール熱によってそれぞれのパイプラインおよび/またはそれぞれのパイプラインセグメントを加熱する、少なくとも1つの単相AC電源および/または少なくとも1つの単相AC電圧源とを備え、単相AC電源および/または単相AC電圧源は、生成された交流電流が順方向導体を介して前記パイプラインおよび/または前記パイプラインセグメントに流入し、逆方向導体を介してAC電源および/またはAC電圧源に逆流するように、パイプラインおよび/またはパイプラインセグメントに導電的に接続される。
【0005】
流体を加熱するためのさらなる装置は、他の技術分野、例えば、米国特許第3,492,463(A)号明細書、ドイツ特許第1690665(C2)号明細書、ドイツ特許第3118030(C2)号明細書、中国特許第2768367(U)号明細書、中国特許第202385316(U)号明細書、中国特許第205546000(U)号明細書、英国特許第2084284(A)号明細書、米国特許出願公開第2002/028070(A1)号明細書、米国特許出願公開第2013/108251(A)号明細書にも特に記載されている。例えば、パイプラインの加熱は、英国特許第2341442号明細書、米国特許出願公開第8,763,692号明細書または国際公開第2011/138596号パンフレットに記載されている。さらなる装置は、仏国特許出願公開第2722359(A1)号明細書、中国特許出願公開第106288346(B)号明細書、中国特許出願公開第201135883(Y)号明細書から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2015/197181号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2020/035575号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2021/160777(A1)号パンフレット
【特許文献4】米国特許第3,492,463(A)号明細書
【特許文献5】ドイツ特許第1690665(C2)号明細書
【特許文献6】ドイツ特許第3118030(C2)号明細書
【特許文献7】中国特許第2768367(U)号明細書
【特許文献8】中国特許第202385316(U)号明細書
【特許文献9】中国特許第205546000(U)号明細書
【特許文献10】英国特許第2084284(A)号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/028070(A1)号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2013/108251(A)号明細書
【特許文献13】英国特許第2341442号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第8,763,692号明細書
【特許文献15】国際公開第2011/138596号パンフレット
【特許文献16】仏国特許出願公開第2722359(A1)号明細書
【特許文献17】中国特許出願公開第106288346(B)号明細書、
【特許文献18】中国特許出願公開第201135883(Y)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、パイプラインにおける流体を加熱するための既知の装置は、技術的に複雑であることが多く、または高度な技術的複雑性を伴ってのみ実装することができる。さらに、故障の場合であっても電気的な安全性が強く求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、多数の中空シリンダパイプを備える装置、および供給原料を加熱する方法を提供することであり、既知の装置および方法の欠点を少なくともほとんど回避する。特に、装置および方法は、実装および実行が技術的に簡単でなければならず、高レベルの電気的安全性を確保すべきである。
【0009】
この目的は、独立請求項の特徴を有する装置、方法、およびプラントによって達成される。本発明の好ましい構成は、とりわけ、関連する従属請求項および従属請求項の従属参照において特定される。
【0010】
以下では、「有する」、「備える」もしくは「含む」という用語またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的に使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴とは別にさらなる特徴が存在しない状況、または1つもしくは複数のさらなる特徴が存在する状況のいずれかに関連し得る。例えば、「AはBを有する」、「AはBを備える」、または「AはBを含む」という表現は、Bとは別に、(すなわち、AがBのみからなる状況に対して)Aにさらなる要素が存在しない状況と、Bに加えて、Aに1つまたは複数のさらなる要素、例えば要素C、要素CおよびD、またはさらにさらなる要素が存在する状況の両方に関連し得る。
【0011】
「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という用語ならびにこれらの用語の文法的変形または同様の用語は、これらが1つまたは複数の要素または特徴に関連して使用され、要素または特徴が1回または複数回提供され得ることを表すことが意図されるとき、例えば特徴または要素が最初に導入されたときに、一般に1回のみ使用されることも指摘される。特徴または要素が後で再び言及されるとき、対応する用語「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」は、一般に、特徴または要素が1回または複数回提供され得る可能性を制限することなく、もはや使用されない。
【0012】
さらに、「好ましくは」、「特に」、「例えば」という用語または同様の用語はこれ以後、任意選択の特徴に関連して使用され、代替の実施形態はそれによって限定されない。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、これらの特徴によって、特許請求の範囲、特に独立請求項の保護範囲を限定する意図はない。したがって、当業者が理解するように、本発明は、他の構成を使用しても実施し得る。同様に、「本発明の一実施形態では」または「本発明の一実施例では」によって導入される特徴は、任意選択の特徴として理解され、それによって代替の構成または独立請求項の保護範囲が制限されることは意図されていない。さらに、それによって他の特徴と共に導入される特徴のすべての可能な組み合わせは、任意選択の特徴であろうと非任意選択の特徴であろうと、これらの導入表現によって影響されないままである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様では、多数の中空シリンダパイプを備える装置が提案される。
【0014】
特に、装置は使用可能であり、さらに以下で記載される方法は、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置からなる群から選択されるプラントで採用可能である。
【0015】
中空シリンダパイプの少なくとも1つは、少なくとも1つの供給原料を受け取るための流体シリンダとして設定される。少なくとも1つのさらなる中空シリンダパイプは、導電性加熱シリンダとして構成される。装置は、加熱シリンダを通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダを加熱する電流を加熱シリンダに生成するように設定された少なくとも1つの電源または電圧源を有する。
【0016】
加熱シリンダから流体シリンダにジュール熱を伝達するさらなる中空シリンダが必要とされる場合がある。さらに、導電性加熱シリンダに隣接して、流体シリンダを電圧から絶縁する(感電の防止)絶縁特性を有するガルバニック絶縁体を設け得る。
【0017】
本発明の文脈における「中空シリンダパイプ」は、少なくとも部分的に円筒形のセクションを有するパイプラインまたはパイプラインセグメントを意味すると理解され得る。本発明の文脈における「パイプライン」は、外面によって外部環境から区切られた内部を有する任意の形状の装置を意味すると理解され得る。パイプラインは、少なくとも1つのパイプおよび/または少なくとも1つのパイプラインセグメントおよび/または少なくとも1つのパイプラインコイルを備え得る。パイプラインセグメントは、パイプラインのサブ領域であってもよい。「パイプライン」および「パイプラインセグメント」および「パイプラインコイル」という表現は、以下では同義語として使用される。中空シリンダパイプは、例えば、高さとも呼ばれる、半径rおよび長さhを伴う円形シリンダであってもよい。円形シリンダは、軸に沿ってボアを有し得る。円柱形状からの変更も考えられる。例えば、中空シリンダパイプは楕円シリンダであってもよい。例えば、中空シリンダパイプは角柱シリンダであってもよい。
【0018】
中空シリンダの各々は、壁厚を有し得る。中空シリンダの各々は、さらなる中空シリンダ、例えば中空シリンダを取り囲む中空シリンダまたはそれによって取り囲まれた中空シリンダからそれぞれの中空シリンダを画定する外面を有し得る。中空シリンダパイプは、特に加熱シリンダが流体シリンダを直接的に取り囲む実施形態では、互いに対して凝集しないパイプとして構成されてもよい。例えば、非導電性流体シリンダ、例えばセラミック流体シリンダは、導電性加熱シリンダ、例えば金属加熱シリンダによって取り囲まれてもよく、流体シリンダのパイプと加熱シリンダのパイプとは凝集結合されていない。
【0019】
装置は、少なくとも2つの中空シリンダパイプ、特に少なくとも1つの流体シリンダおよび少なくとも1つの加熱シリンダを有し得る。以下でさらに説明するように、さらなる中空シリンダを設けることも可能である。中空シリンダパイプは、少なくとも部分的に互いに取り囲んでもよい。「互いに少なくとも部分的に取り囲んでいる」とは、第1の中空シリンダの少なくともサブ領域が第2の中空シリンダの少なくともサブ領域を取り囲んでいることを意味すると理解されてもよい。例えば、中空シリンダパイプは、共通の軸を与えるように同心円状に配置されてもよい。中空シリンダパイプは、共通の中心の周りに対称的に配置されてもよい。断面で見ると、中空シリンダパイプは同心円状に配置されてもよい。例えば、中空シリンダパイプのうちの1つは、その周りにさらなる中空シリンダパイプが同心円状に配置される中心パイプとして配置されてもよい。この配置の中空シリンダパイプは、内側から外側に見て、増大する半径および/または直径を有し得る。
【0020】
本発明の文脈における「供給原料」は、原則として任意の材料を意味すると理解され得る。供給原料は、特に少なくとも1つの化学反応によって、反応生成物を生産および/または調製することができる少なくとも1つの材料を含み得る。反応は、流体シリンダ内および/または流体シリンダの外側で行うことができる。反応は吸熱反応であってもよい。反応は、非吸熱反応、例えば予熱または加熱操作であってもよい。供給原料は、特に、化学反応が行われる反応物質であり得る。供給原料は、液体または気体であり得る。供給原料は、熱分解に供される炭化水素および/または混合物であってもよい。供給原料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ナフサ、エチルベンゼン、軽油、凝縮物、生物流体、バイオガス、熱分解油、廃油、および再生可能な原料で構成された液体からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み得る。生物流体は、例えば、再生可能な原材料、例えばバイオオイルまたはバイオディーゼルからの脂肪もしくは油またはそれらの誘導体であり得る。他の供給原料も考えられる。本発明の文脈では、例として、列挙された他の供給原料のいずれかの代表的な方式で流体が参照される。
【0021】
本発明の文脈において、「流体シリンダ」は、供給原料を収容および/または輸送するように設定された中空シリンダを意味すると理解される。流体シリンダの形状および/または表面および/または材料は、輸送される供給原料に依存し得る。流体シリンダは、例えば、パイプラインおよび/またはパイプセグメントおよび/またはパイプシステムであってもよい。流体シリンダは、例えば、少なくとも1つの反応を実行し、および/または供給原料を加熱するように設定し得る。したがって、装置、特に流体シリンダは、反応器または炉、特に電気炉とも呼ばれ得る。例えば、流体シリンダは、少なくとも1つの化学反応が進行することができる少なくとも1つの反応管であってもよく、および/またはそれを含んでもよい。流体シリンダの形状および/または表面および/または材料はまた、所望の反応および/または特定の反応の回避に応じて選択されてもよい。例えば、コークス化を低減するためにセラミック管を選択することが可能である。流体シリンダは、導電性中空シリンダまたは非導電性中空シリンダとして構成されてもよい。流体シリンダは、例えば遠心鋳造材料、CrNi合金、または他の材料で作られた金属中空シリンダであってもよい。代替として、流体シリンダは、非導電性であってもよく、例えばセラミックまたは同様の比抵抗率の材料から作られてもよい。流体シリンダは、ジュール熱によって電気的に直接加熱されない中空シリンダパイプとして構成されてもよい。装置は、加熱シリンダに電流を生成するように設定されてもよく、これは、流体シリンダを通る電流の流れなしに流体シリンダを加熱する。
【0022】
装置は、多数の流体シリンダを有し得る。装置は、l個の流体シリンダを有し得、lは2以上の自然数である。例えば、装置は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、あるいはそれ以上の流体シリンダを有し得る。装置は、例えば、最大100個の流体シリンダを有し得る。流体シリンダは、同一または異なって構成されてもよい。流体シリンダは、直径および/または長さおよび/または形状に関して異なるように構成されてもよい。
【0023】
流体シリンダは、対称および/または非対称パイプおよび/またはそれらの組み合わせを含み得る。流体シリンダの形状および/または表面および/または材料は、輸送される供給原料に依存してもよく、あるいは反応または他の要因の最適化に依存してもよい。純粋に対称的な構成では、装置は、同一のパイプタイプの流体シリンダを備えてもよい。「非対称パイプ」および「対称パイプと非対称パイプとの組み合わせ」は、装置がパイプタイプの任意の組み合わせを備え得ることを意味すると理解され、例えば、必要に応じて並列または直列に追加的に接続され得る。「パイプタイプ」は、特定の特徴によって特徴付けられる1つのカテゴリまたはパイプラインのタイプを意味すると理解され得る。パイプタイプは、パイプラインの水平構成、パイプラインの垂直構成、入口(l1)および/または出口(l2)および/または移行部(l3)の長さ、入口(d1)および出口(d2)および/または移行部(d3)の直径、パスの数n、パスごとの長さ、パスごとの直径、形状、表面ならびに材料からなる群から選択される少なくとも1つの特徴によって特徴付けられ得る。装置は、並列および/または直列に接続された少なくとも2つの異なるパイプタイプの組み合わせを含み得る。例えば、装置は、入口(l1)および/または出口(l2)および/または移行部(l3)に異なる長さのパイプラインを備え得る。例えば、装置は、入口(d1)および/または出口(d2)および/または移行部(d3)の直径が非対称であるパイプラインを備え得る。例えば、装置は、異なるパス数を伴うパイプラインを備えてもよい。例えば、装置は、パスごとに異なる長さおよび/またはパスごとに異なる直径を伴うパスを伴うパイプラインを備え得る。原則として、並列および/または直列の任意のパイプタイプの任意の組み合わせが考えられる。
【0024】
装置は、多数の入口および/または出口および/または生産流を備え得る。異なるまたは同一のパイプタイプの流体シリンダは、多数の入口および/または出口と並列および/または直列に配置されてもよい。流体シリンダのための可能なパイプラインは、建築キットの形態の様々なタイプのパイプの形態をとり得、最終用途に応じて、必要に応じて選択して組み合わせられ得る。異なるパイプタイプのパイプラインの使用は、供給が変動しているときの反応のより正確な温度制御および/または調整、ならびに/あるいは反応の選択的収率ならびに/あるいは最適化された方法論を可能にすることができる。パイプラインは、同一または異なる形状および/または表面および/または材料を備え得る。
【0025】
流体シリンダのパイプラインは、貫通接続されてもよく、したがって、供給原料を受け取るためのパイプシステムを形成する。「パイプシステム」は、特に互いに接続された少なくとも2つのパイプラインを備える装置を意味すると理解し得る。パイプシステムは、流入および流出パイプラインを備えてもよい。パイプシステムは、供給原料を受け取るための少なくとも1つの入口を備えてもよい。パイプシステムは、供給原料を排出するための少なくとも1つの出口を備えてもよい。「貫通接続」は、パイプラインが互いに流体接続していることを意味すると理解し得る。したがって、パイプラインは、供給原料がパイプラインを次々に通って流れるように配置および接続されてもよい。2つ以上またはすべてのパイプラインは、直列および/または並列に構成されてもよい。パイプラインは、供給原料が少なくとも2つのパイプラインを並列に通って流れることができるように、互いに並列に相互接続されてもよい。パイプライン、特に並列に接続されたパイプラインは、異なる供給原料を並列に輸送するように設計されてもよい。特に、並列に接続されたパイプラインは、異なる供給原料を輸送するための互いに異なる形状および/または表面および/または材料を有し得る。特に供給原料の輸送のために、供給原料を並列構成における、それらのパイプライン間で分割することができるように、パイプラインのうちのいくつかまたはすべてが並列構成であってもよい。直列接続と並列接続の組み合わせも考えられる。
【0026】
流体シリンダは、金属中空シリンダまたは非導電性中空シリンダであってもよい。
【0027】
流体シリンダは導電性であってもよい。「導電性」は、流体シリンダ、特に流体シリンダの材料が電流を導くように設計されていることを意味すると理解し得る。流体シリンダは、10-1Ωm未満の比電気抵抗率を有し得る。本発明の文脈における比電気抵抗率は、室温での比電気抵抗率に関する。流体シリンダは、1・10-8Ωm≦ρ≦10-1Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。例えば、流体シリンダは、1つまたは複数の金属および合金、例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼またはCrまたはNi合金、グラファイト、炭素、炭化物、ケイ化物から製造されていてもよく、かつ/またはそれらを含んでいてもよい。流体シリンダは、フェライト材料およびオーステナイト材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。例えば、流体シリンダは、CrNi合金から製造されていてもよく、および/またはCrNi合金を含んでいてもよい。例えば、流体シリンダは、少なくとも1つの金属から製造され、1・10-8Ωから100・10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダは、金属ケイ化物から製造され、1・10-8Ω~200・10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダは、金属炭化物から製造され、20・10-8Ω~5000・10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダは、炭素から製造され、50 000・10-8Ω~100 000・10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダは、グラファイトから製造され、5000・10-8Ω~100 000・10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダは、炭化ホウ素から製造され、10-1~10-2の比電気抵抗率を有し得る。
【0028】
流体シリンダ、ならびにそれに対応する流入および流出パイプラインは、互いに流体接続されてもよい。流体シリンダとして導電性パイプラインを使用する場合、流入および流出パイプラインは、互いにガルバニック絶縁されてもよい。「互いにガルバニック絶縁される」とは、パイプラインと流入および流出パイプラインの間に電気伝導および/または許容可能な電気伝導がないように、パイプラインと流入および流出パイプラインとが互いに絶縁されていることを意味すると理解される。装置は、少なくとも1つの絶縁体、特に多数の絶縁体を備え得る。それぞれのパイプラインと流入および流出パイプラインの間のガルバニック絶縁は、絶縁体によって確保することができる。絶縁体は、供給原料の自由な流れを確実にすることができる。
【0029】
しかしながら、非導電性中空シリンダまたは導電性が低い中空シリンダとしての構成も考えられる。流体シリンダは、ガルバニック絶縁体として構成されてもよい。流体シリンダは、106Ωmを超える比電気抵抗率を有し得る。流体シリンダは、1x105Ωm≦ρ≦1x1020Ωm、好ましくは1x105Ωm≦ρ≦1x1014Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。例えば、流体シリンダは、セラミックパイプラインとして構成されてもよい。例えば、以下の比電気抵抗率を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明の文脈における「加熱シリンダ」は、熱の形態で流体シリンダに供給されるエネルギーを伝達するように設定された任意の中空シリンダであってもよい。加熱シリンダの形状および/または材料は、加熱される流体シリンダに適合させ得る。例えば、流体シリンダのエネルギー効率の良い加熱が可能である。本発明の文脈における「導電性加熱シリンダ」は、加熱シリンダ、特に加熱シリンダの少なくとも1つの材料が電流を伝導するように設定されていることを意味すると理解される。加熱シリンダは、特に接続された電源または電圧源を伴い、1x10-8Ωm≦ρ≦105Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。半導体は、温度およびドーピングに大きく依存するため、比電気抵抗率に対して非常に広い帯域幅を有する。加熱シリンダは、10 W/(mK)≦λ≦6000 W/(mK)、好ましくは20 W/(mK)≦λ≦5000 W/(mK)の熱伝導率λを有し得る。例えば、以下の比電気抵抗率および熱伝導率(本発明の文脈における熱伝導率は室温での熱伝導率に関する)を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0032】
【表2】
【0033】
加熱シリンダは、2000℃まで、好ましくは1300℃まで、より好ましくは1000℃までの範囲内で熱的に安定であってもよい。本発明の文脈における「熱安定性」は、特に高温に対する加熱シリンダ、特に加熱シリンダの材料の耐久性を意味すると理解され得る。
【0034】
加熱シリンダは、フェライト材料およびオーステナイト材料、例えばCrNi合金、CrMoまたはセラミックからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。例えば、加熱シリンダは、少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの合金、例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼またはCrまたはNi合金、グラファイト、炭素、炭化物、ケイ化物から製造されていてもよい。半導体、例えばGe、Si、セレン化物、テルル化物、ヒ化物、アンチモン化物も加熱シリンダの材料として考えられる。
【0035】
加熱シリンダは、ある壁厚を有してもよい。例えば、加熱シリンダの壁厚bHZは、0.05 mm≧bHZ≧3 mm、例えば0.1 mm≧bHZ≧2 mmであってもよい。加熱シリンダの壁厚は、流体シリンダの壁厚よりも薄くてもよい。例えば、流体シリンダの壁厚bFZは、5 mm≧bFZ≧8 mmであってもよい。これは、流体が流れず、したがって同じ電流でより高い温度を可能にすることができるため、可能である。
【0036】
装置は、加熱シリンダを通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダを加熱する電流を加熱シリンダに生成するように設定された少なくとも1つの電源または少なくとも1つの電圧源を有する。
【0037】
電源および/または電圧源は、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源あるいはDC電源および/またはDC電圧源を含んでもよい。装置は、電源および/または電圧源を加熱シリンダに電気的に接続する少なくとも1つの入力および出力を有し得る。
【0038】
装置は、例えば、少なくとも1つのAC電源および/または少なくとも1つのAC電圧源を有し得る。AC電源および/またはAC電圧源は、単相または多相源であってもよい。「AC電源」は、交流を供給するように設計された電源を意味すると理解され得る。「交流」は、経時的に規則的な繰り返しで変化する極性の電流を意味すると理解され得る。例えば、交流は正弦波交流であってもよい。「単相」AC電源は、単相の電流を供給するAC電源を意味すると理解され得る。「多相」AC電源は、2つ以上の相を伴う電流を供給するAC電源を意味すると理解され得る。「AC電圧源」は、AC電圧を提供するように設定された電圧源を意味すると理解され得る。「AC電圧」は、レベルおよび極性が経時的に規則的に繰り返される電圧を意味すると理解され得る。例えば、AC電圧は、正弦波AC電圧であってもよい。AC電圧源によって生成された電圧は、電流、特に交流を流す。「単相」AC電圧源は、単相を伴う交流を供給するAC電圧源を意味すると理解され得る。「多相」AC電圧源は、2つ以上の相を伴う交流を供給するAC電圧源を意味すると理解され得る。
【0039】
装置は、少なくとも1つのDC電源および/または少なくとも1つのDC電圧源を有し得る。「DC電源」は、DC電流を供給するように設定された装置を意味すると理解される。「DC電圧源」は、DC電圧を供給するように設定された装置を意味すると理解される。DC電源および/またはDC電圧源は、加熱シリンダにDC電流を生成するように設定されてもよい。「DC電流」は、強度および方向に関して実質的に一定の電流を意味すると理解される。「DC電圧」は、実質的に一定の電圧を意味すると理解される。「実質的に一定」は、意図された効果に関して重要ではない変動を有する電流または電圧を意味すると理解される。
【0040】
装置は、多数の電源および/または電圧源を有してもよく、前記電源および/または電圧源は、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源あるいはDC電源および/またはDC電圧源、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。装置は、2からM個の異なる電源および/または電圧源を有し得、Mは3以上の自然数である。電源および/または電圧源は、少なくとも1つの電気出力変数を制御する可能性の有無にかかわらず構成されてもよい。電源および/または電圧源は、互いに独立して電気的に制御可能であってもよい。電源および/または電圧源は、同一または異なる構成であってもよい。例えば、装置は、電流および/または電圧が異なるゾーン、特に装置の加熱ゾーン、特に加熱シリンダに対して調整可能であるように設定されてもよい。装置は、多数の流体シリンダを有し得る。流体シリンダは、共通の加熱シリンダを共有してもよく、または各々が割り当てられた加熱シリンダを有してもよい。流体シリンダは、異なる温度領域またはゾーンに属してもよい。流体シリンダ自体も同様に温度ゾーンを有し得る。個々の流体シリンダには、1つまたは複数の電源または電圧源を割り当てられ得る。電源および/または電圧供給は、例えば、各々の場合の反応および方法論に応じて、少なくとも1つのコントローラを使用することによって調整され得る。多数の電源および/または電圧源を使用することにより、特に異なるゾーンに対して電圧を変化させることが可能になる。例えば、過度に高温の流体シリンダ、または逆に過度に低温の流体シリンダをもたらす、あまり高くない電流を達成することが可能である。
【0041】
装置は、多数の単相または多相AC電源またはAC電圧源を有し得る。流体シリンダは各々、加熱シリンダに、特に少なくとも1つの電気接続を介して電気的に接続された少なくとも1つのAC電源および/またはAC電圧源を伴う少なくとも1つの加熱シリンダを割り当てられてもよい。少なくとも2つの流体シリンダが加熱シリンダならびにAC電源および/またはAC電圧源を共有する実施形態も考えられる。AC電源またはAC電圧源および加熱シリンダを接続するために、電気加熱可能なリアクタは、2からN個の入力および出力を有し得、Nは3以上の自然数である。それぞれのAC電源および/またはAC電圧源は、それぞれの加熱シリンダに電流を生成するように設定されてもよい。AC電源および/またはAC電圧源は、制御されてもよいし、制御されなくてもよい。AC電源および/またはAC電圧源は、少なくとも1つの電気出力変数を制御する可能性の有無にかかわらず構成されてもよい。「出力変数」は、電流値および/または電圧値および/または電流信号および/または電圧信号を意味すると理解され得る。装置は、2からM個の異なるAC電源および/またはAC電圧源を有し得、Mは3以上の自然数である。AC電源および/またはAC電圧源は、独立して電気的に制御可能であってもよい。例えば、それぞれの加熱シリンダで異なる電流が生成され、流体シリンダにおいて異なる温度に達してもよい。
【0042】
装置は、多数のDC電源および/またはDC電圧源を備えてもよい。各流体シリンダは、加熱シリンダに、特に少なくとも1つの電気接続を介して電気的に接続された少なくとも1つの加熱シリンダならびに少なくとも1つのDC電源および/またはDC電圧源を割り当てられてもよい。少なくとも2つの流体シリンダが加熱シリンダならびにDC電源および/またはDC電圧源を共有する実施形態も考えられる。DC電流源および/またはDC電圧源と加熱シリンダとの接続のために、装置は、2からN個の正端子および/または導体と、2からN個の負端子および/または導体とを有し得、Nは3以上の自然数である。それぞれのDC電源および/またはDC電圧源は、それぞれの加熱シリンダに電流を生成するように設定されてもよい。生成された電流は、供給原料を加熱するために、電流が加熱シリンダを通過する際に生じるジュール加熱によって、それぞれの流体シリンダを加熱することができる。
【0043】
加熱シリンダにおいて生成された電流は、供給原料を加熱するために、電流が加熱シリンダを通過する際に生じるジュール加熱によって、それぞれの流体シリンダを加熱することができる。「流体シリンダを加熱する」は、流体シリンダの温度の変化、特に流体シリンダの温度の上昇をもたらす動作を意味すると理解される。流体シリンダの温度は、例えば、流体シリンダにおいて行われる反応が、それが受け取る熱と同じ量の熱を吸収するとき、一定のままであり得る。
【0044】
装置は、供給原料を200℃から1700℃、好ましくは300℃から1400℃、より好ましくは400℃から875℃の範囲の温度に加熱するように設定されてもよい。
【0045】
流体シリンダは、加熱シリンダによって生成されたジュール加熱を少なくとも部分的に吸収し、それを供給原料に少なくとも部分的に放出するように設定されてもよい。少なくとも1つの吸熱反応が流体シリンダにおいて起こり得る。「吸熱反応」は、特に熱の形態のエネルギーが環境から吸収される反応を意味すると理解され得る。吸熱反応は、供給原料の加熱および/または予熱を含み得る。特に、供給原料は流体シリンダにおいて加熱されてもよい。供給原料を「加熱する」とは、供給原料の温度の変化、特に供給原料の温度の上昇、例えば供給原料の加熱をもたらす動作を意味すると理解され得る。供給原料は、例えば、加熱によって定義された、または所定の温度値に温められてもよい。
【0046】
装置は、プラントの一部であってもよい。例えば、プラントは、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置からなる群から選択され得る。
【0047】
装置は、例えば、蒸気クラッカーの一部であってもよい。「蒸気分解」は、より長鎖の炭化水素、例えばナフサ、プロパン、ブタンおよびエタン、ならびに軽油および水素化ワックスが、蒸気の存在下での熱分解によって短鎖炭化水素に変換されるプロセスを意味するものとして理解され得る。蒸気分解は、主生成物として水素、メタン、エテンおよびプロペン、ならびにとりわけブテンおよび熱分解ベンゼンを生産することができる。蒸気クラッカーは、流体を550℃から1100℃の範囲の温度に加熱するように設定されてもよい。
【0048】
例えば、装置は、改質炉の一部であってもよい。「水蒸気改質」は、水および炭素含有エネルギーキャリア、特に炭化水素、例えば、天然ガス、軽質ガソリン、メタノール、バイオガスおよびバイオマスから、水素および炭素酸化物を生成するプロセスを意味すると理解され得る。例えば、流体は、200℃から875℃、好ましくは400℃から700℃の範囲の温度に加熱されてもよい。
【0049】
例えば、装置は、アルカン脱水素化のための装置の一部であってもよい。「アルカン脱水素化」は、アルカンを脱水素化することによって、例えばブタンをブテン(BDH)に脱水素化することによって、またはプロパンをプロペン(PDH)に脱水素化することによって、アルケンを生産するプロセスを意味するものとして理解され得る。アルカン脱水素化のための装置は、流体を400℃から700℃の範囲の温度に加熱するように設定されてもよい。
【0050】
しかしながら、他の温度および温度範囲も考えられる。
【0051】
装置は、多数の加熱ゾーンを有し得る。例えば、装置は、2つ以上の加熱ゾーンを有してもよい。各加熱ゾーンは、少なくとも1つの加熱シリンダを備えてもよい。装置はまた、供給原料の加熱がない領域、例えば単なる輸送ゾーンを有してもよい。
【0052】
装置は、流体シリンダの温度を測定するように設定された少なくとも1つの温度センサを有し得る。温度センサは、温度の関数として電気信号を生成するように設定された電気または電子素子を備え得る。例えば、温度センサは、高温導体、低温導体、半導体温度センサ、振動結晶を伴う温度センサ、熱電対、焦電材料、高温計、熱画像カメラ、強磁性温度センサ、光ファイバ温度センサからなる群から選択される少なくとも1つの素子を有してもよい。温度は、流体シリンダ内および/または流体シリンダでの供給原料の入力および出力で測定し得る。例えば、反応器の長さにわたって温度を決定し、それを最適なプロセスレジームに適合させるために、流体シリンダにおけるいくつかの点で測定を行うことが可能である。温度に関する閉ループ制御は、少なくとも1つの閉ループ制御要素によって行うことができる。これは、例えばホットスポットの場合に、電力または電圧の供給をオフにすることができる。温度が低すぎるとき、閉ループ制御は電力または電圧の供給を増加させることができる。温度センサは、遠隔接続または固定接続によって閉ループコントローラに接続されてもよい。閉ループコントローラは、遠隔接続または固定接続によって電源または電圧源に接続されてもよい。
【0053】
装置は、温度センサによって測定された温度の関数として閉ループ制御によって電源または電圧源を制御するように設定された少なくとも1つのコントローラユニットを有し得る。「コントローラユニット」は、一般に、開ループおよび/または閉ループ制御によって装置の少なくとも1つの要素を制御するように設定された電子装置を意味すると理解され得る。例えば、コントローラユニットは、温度センサによって生成された信号を評価し、測定された温度の関数として閉ループ制御によって電源または電圧源を制御するように設定されてもよい。例えば、この目的のために、温度センサと制御ユニットとの間に1つまたは複数の電子接続を設け得る。制御ユニットは、例えば、少なくとも1つのデータ処理装置、例えば、少なくとも1つのコンピュータまたはマイクロコントローラを備え得る。データ処理装置は、1つまたは複数の揮発性および/または不揮発性メモリ素子を有してもよく、その場合、データ処理装置は、例えば、温度センサを作動させるようにプログラムされてもよい。制御ユニットはまた、少なくとも1つのインターフェース、例えば電子インターフェースおよび/またはヒューマン-マシンインターフェース、例えばディスプレイおよび/またはキーボードなどの入出力装置を備えてもよい。制御ユニットは、例えば、集中型または分散型の方法で構築されてもよい。他の構成も考えられる。制御部は、少なくとも1つのA/Dコンバータを含んでもよい。装置は、オンライン温度測定を含み得る。本発明の文脈における「オンライン温度測定」は、流体シリンダにおいて供給原料の輸送および/または反応中に行われる少なくとも1つの温度センサによる温度の測定を意味すると理解され得る。例えば、動作中の温度の閉ループ制御が可能である。特に、温度測定および閉ループ制御は、反応器の長さにわたって行うことができる。
【0054】
装置は、多数の中空シリンダを有し得る。流体シリンダは、さらなる中空シリンダによって取り囲まれてもよい。中空シリンダは、同心配置であってもよい。流体シリンダは、さらなる中空シリンダによって囲まれた中央中空シリンダとして配置されてもよい。装置は、例えば、流体シリンダとしてのM字型、U字型またはW字型コイルと、同じ長さの直線部分にさらなる中空シリンダを取り付けることとを伴う多部品構成を有し得る。
【0055】
加熱シリンダは、加熱シリンダが流体シリンダを取り囲むように配置されてもよい。「少なくとも部分的に囲む」とは、加熱シリンダが流体シリンダを囲む実施形態、および流体シリンダのサブ領域のみが加熱シリンダによって囲まれる実施形態を意味すると理解されてもよい。例えば、流体シリンダは、加熱シリンダの中空シリンダにおいて内シリンダとして配置されてもよい。例えば、多数の流体シリンダが加熱シリンダ内に配置されてもよい。例えば、2つ以上の加熱シリンダが、流体シリンダの周りにリングの形態で配置されてもよい。例えば、流体シリンダは螺旋状であってもよく、加熱シリンダは流体シリンダの周りに配置されてもよい。流体シリンダの異なる領域または2つ以上の流体シリンダの周りに異なるまたは同一の加熱シリンダが配置され、流体シリンダの領域の個別の加熱を可能にすることができる実施形態も考えられる。
【0056】
加熱シリンダは、加熱シリンダが流体シリンダ、特に非導電性中空シリンダを直接取り囲むように配置されてもよく、または特に金属中空シリンダとして構成された流体シリンダの場合、非導電性中空シリンダを介して間接的に取り囲むように配置されてもよい。加熱シリンダは、加熱シリンダが流体シリンダ、特に非金属流体シリンダを直接取り囲むように配置されてもよく、その電流生成熱を流体シリンダに放出するように設定される。本発明の文脈において「直接」取り囲むとは、流体シリンダおよび加熱シリンダが隣接する中空シリンダとして装置において配置されていることを意味すると理解され得る。特に、流体シリンダと加熱シリンダとの間にさらなる中空シリンダが配置されなくてもよい。例えば、加熱シリンダは、例えば、金属パイプによって囲まれたセラミック内層および/またはセラミック内パイプを伴う内部被覆金属パイプとして構成されてもよい。
【0057】
しかしながら、装置における流体シリンダおよび加熱シリンダの他の配置も考えられる。例えば、加熱シリンダは、流体シリンダを間接的に取り囲んでもよい。本発明の文脈において「間接的に」取り囲むとは、装置の少なくとも1つのさらなる要素、特にさらなる中空のシリンダが、流体シリンダと加熱シリンダとの間に配置されることを意味すると理解され得る。流体シリンダは、金属中空シリンダであってもよい。装置は、少なくとも1つのガルバニック絶縁体、特に熱伝導性のものを備えてもよい。ガルバニック絶縁体は、流体シリンダと加熱シリンダとの間に配置されてもよい。ガルバニック絶縁体は、流体シリンダを加熱シリンダからガルバニック絶縁し、加熱シリンダから流体シリンダに熱を伝達するように設定され得る。本発明の文脈における「ガルバニック絶縁体」は、特に、非導体または不十分な導体を意味すると理解され得る。ガルバニック絶縁体は、1x105Ωm≦ρ≦1x1014Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。例えば、以下の比電気抵抗率を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0058】
【表3】
【0059】
熱伝達率が高い場合がある。ガルバニック絶縁体は、10 W/(mK)≦λ≦6000 W/(mK)、好ましくは20 W/(mK)≦λ≦5000 W/(mK)の熱伝導率λを有し得る。
【0060】
ガルバニック絶縁体は、セラミック、ガラス質、ガラス繊維強化、プラスチック様または樹脂様材料、例えばセラミック、ステアタイト、磁器、ガラス、ガラス繊維強化プラスチック、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、および十分に電気絶縁性の液体、絶縁塗料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。ガルバニック絶縁体は、管、薄膜、被覆、または層のうちの1つまたは複数として構成され得る。
【0061】
ガルバニック絶縁体は、通電された加熱シリンダから流体シリンダに熱を伝達するように設定され得る。同時に、ガルバニック絶縁体は、流体シリンダを加熱シリンダからガルバニック絶縁することができる。
【0062】
装置は、少なくとも1つの外側シリンダを含み得る。「外側シリンダ」とは、加熱シリンダよりも外側に、特に同心配置でさらに配置された中空シリンダを意味すると理解し得る。外側シリンダは、最も外側の中空シリンダであってもよく、装置のすべての中空シリンダを収容してもよい。外側シリンダは、ハウジングとして設定されてもよい。外側シリンダは、加熱シリンダを少なくとも部分的に取り囲むように設定されてもよい。外側シリンダは、加熱シリンダをガルバニックおよび熱的に絶縁し、外部への熱損失を少なくとも部分的に低減するように設定され得る。本発明の文脈における「外部への熱損失を少なくとも部分的に低減する」とは、完全な断熱を有する実施形態、そしてさらに加熱シリンダからの熱の不完全な熱低減、例えば所定の温度までの熱低減がある実施形態を意味すると理解されてもよい。例えば、外側シリンダは、加熱シリンダに沿った少なくとも1つのサブ領域、例えば環境の少なくとも特に感熱性の外側領域を取り囲んでもよい。使用される材料に関して、外側シリンダは、上述のガルバニック絶縁体のように比電気抵抗率および熱伝導率で設定されてもよい。
【0063】
装置は、既知の装置を超える多数の利点を有する。
【0064】
装置は、故障の場合であっても装置領域、特に流体シリンダおよび外側シリンダが通電されないことを可能にし得、その結果、装置部品に接触する人への感電を回避することが可能である。より高い電流および電圧レベルが可能であり得る。すべての種類の電流および/または電圧が利用可能である。
【0065】
温度測定および閉ループ制御は、設置された温度センサおよび閉ループ電流および/または電圧制御によって可能である。装置は、例えば、流体シリンダとしてのM字型、U字型またはW字型コイルと、同じ長さの直線部分にさらなる中空シリンダを取り付けることとを伴う多部品構成を有し得る。従来のコイルの概念は、ほとんど保持され得る。
【0066】
装置は電気炉として使用され得る。ハイブリッド炉としての利用も可能であり、例えば、ガス、電力、またはガスおよび電力で動作され得る。2つ以上の炉を電力またはガスによって独立して加熱することも可能であり得る。例えば、2020年10月2日に出願された欧州特許出願第20 199 922.4号明細書に記載されているような熱統合の概念を使用することが可能であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、装置は、反応生成物の製造のためのプラントで使用されてもよい。プラントは、少なくとも1つの予熱器を有し得る。プラントは、少なくとも1つの原料、すなわち供給原料を予熱器に供給するように設定された少なくとも1つの原料供給装置を有し得る。予熱器は、原料を所定の温度に予熱するように設定されてもよい。プラントは、電気加熱可能な反応器として少なくとも1つの装置を含み得る。電気加熱式反応器は、予熱された原料を反応生成物および副生成物に少なくとも部分的に変換するように設定されてもよい。プラントは、副生成物を予熱器に少なくとも部分的に供給するように設定された少なくとも1つの熱統合装置を有し得る。予熱器は、原料の予熱のために必要なエネルギーを副生成物から少なくとも部分的に利用するよう設定されてもよい。したがって、反応器(凝縮器、冷却媒体の温度上昇)からの廃熱を使用して、出発材料(例えば、ナフサ、蒸気、空気など)を加熱することができる。
【0067】
さらなる態様では、本発明の文脈において、本発明の装置を備えるプラントが提案される。プラントの構成に関しては、さらに上または下の装置の説明を参照する。
【0068】
プラントは、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置からなる群から選択され得る。
【0069】
さらなる態様では、本発明の文脈において、供給原料を加熱する方法が提案される。本方法では、本発明の装置が使用される。
【0070】
本方法は、以下のステップ、すなわち、
供給原料を受け取り、流体シリンダにおいて供給原料を受け取るための少なくとも1つの流体シリンダを提供するステップ、
少なくとも1つの電源および/または少なくとも1つの電圧源を提供するステップ、
供給原料の加熱のために、加熱シリンダを通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダを加熱する少なくとも1つの導電性加熱シリンダに電流を生成するステップ
を含む。
【0071】
実施形態および定義に関して、装置の上記の説明を参照し得る。方法ステップは、指定された順序で実行されてもよいが、1つまたは複数のステップが少なくとも部分的に同時に実行されることも可能であり、1つまたは複数のステップが複数回繰り返されることも可能である。加えて、本明細書で言及されているかどうかにかかわらず、さらなるステップが追加的に実行されてもよい。
【0072】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態が特に好ましい。
【0073】
実施形態1 多数の中空シリンダパイプを備える装置であって、中空シリンダパイプのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの供給原料を受け取る流体シリンダとして設定され、少なくとも1つのさらなる中空シリンダパイプは、導電性加熱シリンダとして構成され、装置は、加熱シリンダを通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダを加熱する加熱シリンダの電流を生成するように設定された少なくとも1つの電源または電圧源を有する。
【0074】
実施形態2 装置が、供給原料を200℃から1700℃、好ましくは300℃から1400℃、より好ましくは400℃から875℃の範囲の温度に加熱するように設定される、先行する実施形態による装置。
【0075】
実施形態3 装置は、流体シリンダの温度を決定するように設定された少なくとも1つの温度センサを有し、装置は、温度センサによって測定された温度の関数として閉ループ制御によって電源または電圧源を制御するように設定された少なくとも1つのコントローラユニットを有する、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0076】
実施形態4 流体シリンダが、金属中空シリンダまたは非導電性中空シリンダである、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0077】
実施形態5 加熱シリンダは、加熱シリンダが流体シリンダを取り囲むように配置される、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0078】
実施形態6 加熱シリンダは、加熱シリンダが流体シリンダを直接取り囲むように配置され、その電流生成熱を流体シリンダに放出するように設定される、先行する実施形態による装置。
【0079】
実施形態7 流体シリンダは金属中空シリンダであり、装置は少なくとも1つのガルバニック絶縁体を有し、ガルバニック絶縁体は流体シリンダと加熱シリンダとの間に配置され、ガルバニック絶縁体は、流体シリンダを加熱シリンダからガルバニック絶縁し、加熱シリンダから流体シリンダに熱を伝達するように設定される、実施形態5による装置。
【0080】
実施形態8 ガルバニック絶縁体は、セラミック、ガラス質、ガラス繊維強化、プラスチック様または樹脂様材料、絶縁塗料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、ガルバニック絶縁体は、管、薄膜、被覆、または層のうちの1つまたは複数として構成される、先行する実施形態による装置。
【0081】
実施形態9 装置は、少なくとも1つの外側シリンダを有し、外側シリンダは、加熱シリンダを少なくとも部分的に取り囲むように設定され、外側シリンダは、加熱シリンダをガルバニック絶縁し、外部への熱損失を少なくとも部分的に低減するように設定される、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0082】
実施形態10 加熱シリンダは、1x10-8Ωm≦ρ≦10Ωmの比電気抵抗率ρを有する、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0083】
実施形態11 加熱シリンダおよびガルバニック絶縁体は、10W/(mK)≦λ≦6000W/(mK)、好ましくは20W/(mK)≦λ≦5000W/(mK)の熱伝導率λを有する、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0084】
実施形態12 加熱シリンダは、2000℃まで、好ましくは1300℃まで、より好ましくは1000℃までの範囲内で熱的に安定である、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0085】
実施形態13 加熱シリンダは、フェライト材料およびオーステナイト材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0086】
実施形態14 電源および/または電圧源が、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源、あるいはDC電源および/またはDC電圧源を含む、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0087】
実施形態15 装置が、多数の流体シリンダを有し、前記装置は、l個の流体シリンダを有し、lは2以上の自然数であり、前記流体シリンダは対称または非対称のパイプおよび/またはそれらの組み合わせを有する、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0088】
実施形態16 流体シリンダが、直径、および/または長さ、および/または形状に関して異なる構成である、先行する実施形態による装置。
【0089】
実施形態17 2つ以上またはすべての流体シリンダが直列および/または並列構成である、2つの先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0090】
実施形態18 供給原料が、熱分裂に供される炭化水素および/または混合物である、先行する実施形態のいずれかによる装置。
【0091】
実施形態19 装置に関連する先行する実施形態のいずれかによる少なくとも1つの装置を備えるプラントであって、プラントが、少なくとも1つの吸熱反応を行うためのプラント、加熱するためのプラント、予熱するためのプラント、蒸気クラッカー、水蒸気改質器、アルカン脱水素化のための装置、改質器、乾式改質のための装置、スチレン製造のための装置、エチルベンゼン脱水素化のための装置、尿素のクラッキングのための装置、イソシアネート、メラミン、クラッカー、接触クラッカー、脱水素化のための装置からなる群から選択される、プラント。
【0092】
実施形態20 先行する実施形態のいずれかによる装置を使用して少なくとも1つの供給原料を加熱する方法であって、前記方法は、以下のステップ、すなわち、
供給原料を受け取り、流体シリンダにおいて供給原料を受け取るための少なくとも1つの流体シリンダを提供するステップ、
少なくとも1つの電源および/または少なくとも1つの電圧源を提供するステップ、
供給原料の加熱のために、加熱シリンダを通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダを加熱する少なくとも1つの導電性加熱シリンダに電流を生成するステップ
を含む。
【0093】
本発明のさらなる詳細および特徴は、特に従属請求項と併せて、以下の好ましい実施例の説明から明らかになるであろう。それぞれの特徴は、この場合、単独で実装されてもよく、または2つ以上を互いに組み合わせて実装されてもよい。本発明は実施例に限定されない。実施例は、図面に図式的に示されている。個々の図の同一の参照番号は、同じであるか、同じ機能を有するか、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素に関する。
【0094】
個々の図は以下で示す。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1a】2つから4つのシリンダを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図1b】2つから4つのシリンダを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図1c】2つから4つのシリンダを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図1d】2つから4つのシリンダを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図2a】多数の流体パイプを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図2b】多数の流体パイプを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図2c】多数の流体パイプを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図2d】多数の流体パイプを有する本発明の装置の実施形態を示す図である。
図3a】1つの電力/電圧源を有するガルバニック導電性流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図3b】1つの電力/電圧源を有するガルバニック導電性流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図3c】1つの電力/電圧源を有するガルバニック絶縁流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図3d】1つの電力/電圧源を有するガルバニック絶縁流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図4a】2つの電力/電圧源を有するガルバニック導電性流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図4b】2つの電力/電圧源を有するガルバニック導電性流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図4c】2つの電力/電圧源を有するガルバニック絶縁流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図4d】2つの電力/電圧源を有するガルバニック絶縁流体シリンダを伴う2つの加熱ゾーンを備える本発明の装置の実施形態を示す図である。
図5a】三相交流電力を使用する図1aから図1dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図5b】三相交流電力を使用する図1aから図1dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図5c】三相交流電力を使用する図1aから図1dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図5d】三相交流電力を使用する図1aから図1dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図6a】三相交流電力を使用する図2aから図2dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図6b】三相交流電力を使用する図2aから図2dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図6c】三相交流電力を使用する図2aから図2dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図6d】三相交流電力を使用する図2aから図2dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図7a】三相交流電力を使用する図3aから図3dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図7b】三相交流電力を使用する図3aから図3dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図7c】三相交流電力を使用する図3aから図3dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図7d】三相交流電力を使用する図3aから図3dの本発明の装置の実施形態を示す図である。
図8a】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8b】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8c】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8d】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8e】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8f】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8g】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8h】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8i】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8j】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8k】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8l】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8m】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8n】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8o】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8p】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8q】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8r】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8s】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8t】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8u】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8v】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8w】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8x】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図8y】可能な流体シリンダまたはパイプのためのパイプタイプを有する構築キットを伴う本発明の装置の実施形態および流体シリンダと流体パイプの組み合わせの本発明の実施例を示す図である。
図9a1】温度センサおよび閉ループコントローラを備えない、ガルバニック導電性流体シリンダを使用する本発明の装置のさらなる実施形態を示す図である。
図9a2】温度センサおよび閉ループコントローラを備える、ガルバニック導電性流体シリンダを使用する本発明の装置のさらなる実施形態を示す図である。
図9b】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図9c】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図9d】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図9e】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図9f】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図9g】様々な電源/電圧源を使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10a1】温度センサおよび閉ループコントローラを備えない、ガルバニック絶縁流体シリンダを使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10a2】温度センサおよび閉ループコントローラを備える、ガルバニック絶縁流体シリンダを使用する図9a1から図9a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10b】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10c】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10d】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10e】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10f】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
図10g】様々な電源/電圧源を使用する図10a1から図10a2の本発明の装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
実施例
図1aから図1dは各々、3つの中空シリンダパイプを伴う本発明の装置110の実施例の概略図を示す。装置110は、少なくとも1つの反応空間111を有してもよい。
【0097】
中空シリンダパイプは各々、少なくとも部分的に円筒形のセクションを有するパイプラインまたはパイプラインセグメントを含み得る。各中空シリンダパイプは、例えば、高さとも呼ばれる、半径rおよび長さhを伴う円形シリンダであってもよい。円形シリンダは、軸に沿ってボアを有し得る。円柱形状からの差異も考えられる。例えば、中空シリンダパイプは楕円シリンダであってもよい。例えば、中空シリンダパイプは角柱シリンダであってもよい。
【0098】
中空シリンダパイプの少なくとも1つは、流体シリンダ112、または流体シリンダセグメント114として設定され、少なくとも1つの供給原料を受け取る。
【0099】
供給物または供給原料は、原則として任意の材料であり得る。供給原料は、特に少なくとも1つの化学反応によって、反応生成物を生産および/または調製することができる少なくとも1つの材料を含み得る。反応は、流体シリンダ112内および/または流体シリンダ112の外側で行うことができる。反応は吸熱反応であってもよい。反応は、非吸熱反応、例えば予熱または加熱操作であってもよい。供給原料は、特に、化学反応が行われる反応物質であり得る。供給原料は、液体または気体であってもよい。供給原料は、熱分解に供される炭化水素および/または混合物であってもよい。供給原料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ナフサ、エチルベンゼン、軽油、凝縮物、生物流体、バイオガス、熱分解油、廃油、および再生可能な原料で構成された液体からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含み得る。生物流体は、例えば、再生可能な原材料、例えばバイオオイルまたはバイオディーゼルからの脂肪もしくは油またはそれらの誘導体であってもよい。他の供給原料も考えられる。
【0100】
流体シリンダ112は、供給原料を受け取り、および/または輸送するように設定された中空シリンダであってもよい。流体シリンダ112は、供給原料を受け取るための少なくとも1つの入口120を有し得る。流体シリンダ112は、供給原料を排出するための少なくとも1つの出口122を有し得る。
【0101】
流体シリンダの形状および/または表面および/または材料は、輸送される供給原料に依存している場合がある。流体シリンダ112は、例えば、パイプラインおよび/またはパイプセグメント(参照符号114)および/またはパイプシステム118であってもよい。「パイプライン」、「パイプセグメント」、および「パイプシステム」という用語は、流体シリンダ112としてのパイプラインのみを参照して、以下では同義語として使用される。流体シリンダ112は、例えば、少なくとも1つの反応を実行し、および/または供給原料を加熱するように設定し得る。例えば、流体シリンダ112は、少なくとも1つの化学反応が進行することができる少なくとも1つの反応管であってもよく、および/またはそれを含んでもよい。流体シリンダ112の形状および/または表面および/または材料はまた、所望の反応および/または特定の反応の回避に応じて選択されてもよい。例えば、コークス化を低減するためにセラミック管を選択することが可能である。流体シリンダ112は、導電性中空シリンダまたは非導電性中空シリンダとして構成されてもよい。流体シリンダ112は、例えば遠心鋳造材料、CrNi合金、または他の材料で作られた金属中空シリンダであってもよい。代替として、流体シリンダ112は、非導電性であってもよく、例えばセラミックまたは同様の比抵抗率の材料から作られてもよい。
【0102】
少なくとも1つのさらなる中空シリンダパイプは、導電性加熱シリンダ129として構成される。装置110は、加熱シリンダ112を通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダ112を加熱する電流を加熱シリンダ129に生成するように設定された少なくとも1つの電源または電圧源126を有する。
【0103】
装置110は、少なくとも2つの中空シリンダパイプ、特に少なくとも少なくとも1つの流体シリンダ114および少なくとも1つの加熱シリンダ129を有し得る。図1に示すように、さらなる中空シリンダを設けることも可能である。中空シリンダパイプは、少なくとも部分的に互いに取り囲んでもよい。例えば、中空シリンダパイプは、共通の軸を与えるように同心円状に配置されてもよい。中空シリンダパイプは、共通の中心の周りに対称的に配置されてもよい。断面で見ると、中空シリンダパイプは同心円状に配置されてもよい。例えば、中空シリンダパイプのうちの1つ、例えば流体シリンダ112は、その周りにさらなる中空シリンダパイプが同心円状に配置される中心パイプとして配置されてもよい。この配置の中空シリンダパイプは、内側から外側に見て、増大する半径および/または直径を有し得る。
【0104】
流体シリンダ112は、図1aから図1bに示すように、ガルバニック導電性中空シリンダであってもよく、図1cから図1dに示すように、ガルバニック非導電性中空シリンダであってもよい。流体シリンダ112は、導電性またはガルバニック非導電性であってもよい。流体シリンダ112は、10-1Ωm未満の比電気抵抗率を有し得る。流体シリンダ112は、1x10-8Ωm≦ρ≦10-1Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。例えば、流体シリンダ112は、1つまたは複数の金属および合金、例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼またはCrまたはNi合金、グラファイト、炭素、炭化物、ケイ化物から製造されていてもよく、かつ/またはそれらを含んでいてもよい。流体シリンダ112は、フェライト材料およびオーステナイト材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。例えば、流体シリンダ112は、CrNi合金から製造されていてもよく、および/またはCrNi合金を含んでいてもよい。例えば、流体シリンダ112は、少なくとも1つの金属から製造され、1*10-8Ω~100*10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダ112は、金属ケイ化物から製造され、1*10-8~200*10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダ112は、金属炭化物から製造され、20*10-8Ω~5000*10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダ112は、炭素から製造され、50000*10-8Ω~100 000*10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダ112は、グラファイトから製造され、5000*10-8Ω~100 000*10-8Ωmの比電気抵抗率を有し得る。例えば、流体シリンダ112は、炭化ホウ素から製造され、10-1~10-2の比電気抵抗率を有し得る。しかしながら、非導電性中空シリンダとしての他の実施形態も考えられる。
【0105】
流体シリンダ112は、ガルバニック絶縁体として構成されてもよい。流体シリンダ112は、106Ωmを超える比電気抵抗率を有し得る。流体シリンダ112は、1x105Ωm≦ρ≦1x1020Ωm、好ましくは1x105Ωm≦ρ≦1x1014Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。例えば、流体シリンダ112は、セラミックパイプラインとして構成されてもよい。例えば、以下の比電気抵抗率を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0106】
【表4】
【0107】
加熱シリンダ129は、熱の形態で流体シリンダ112に供給されるエネルギーを伝達するように設定された任意の中空シリンダであってもよい。加熱シリンダ129の形状および/または材料は、加熱される流体シリンダ112に適合させることができる。例えば、流体シリンダのエネルギー効率の良い加熱が可能である。加熱シリンダ129は、特に接続された電源または電圧源を伴い、1x10-8Ωm≦ρ≦105Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。加熱シリンダ129は、10 W/(mK)≦λ≦6000 W/(mK)、好ましくは20 W/(mK)≦λ≦5000 W/(mK)の熱伝導率λを有し得る。例えば、以下の比電気抵抗率および熱伝導率を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0108】
【表5】
【0109】
加熱シリンダ129は、2000℃まで、好ましくは1300℃まで、より好ましくは1000℃までの範囲内で熱的に安定であってもよい。加熱シリンダ129は、フェライト材料およびオーステナイト材料、例えばCrNi合金、CrMoまたはセラミックからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。例えば、加熱シリンダ129は、少なくとも1つの金属および/または少なくとも1つの合金、例えば、銅、アルミニウム、鉄、鋼またはCrまたはNi合金、グラファイト、炭素、炭化物、ケイ化物から製造されていてもよい。半導体、例えばGe、Si、セレン化物、テルル化物、ヒ化物、アンチモン化物も加熱シリンダ129の材料として考えられる。
【0110】
装置110は、加熱シリンダ129を通る電流の通過時に生じるジュール熱によって流体シリンダ112を加熱する電流を加熱シリンダ129に生成するように設定された少なくとも1つの電源または少なくとも1つの電圧源126を有する。
【0111】
電源および/または電圧源126は、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源あるいはDC電源および/またはDC電圧源を含んでもよい。装置110は、特に電気端子128を介して、電源および/または電圧源126を加熱シリンダ129に電気的に接続する少なくとも1つの入力および出力127を有し得る。
【0112】
加熱シリンダ129は、加熱シリンダ129が流体シリンダ112を取り囲むように配置されてもよい。例えば、流体シリンダ112は、図1aから図1dに示すように、加熱シリンダ129の中空シリンダにおいて内シリンダとして配置されてもよい。例えば、図2aから図2dに示すように、多数の流体シリンダ112が加熱シリンダ129内に配置され得る。
【0113】
加熱シリンダ129において生成された電流は、供給原料を加熱するために、電流が加熱シリンダ129を通過する際に生じるジュール加熱によってそれぞれの流体シリンダ112を加熱することができる。流体シリンダ112の加熱は、流体シリンダ112の温度の変化、特に流体シリンダ112の温度の上昇をもたらす動作を含み得る。流体シリンダの温度112は、例えば、流体シリンダ112において行われる反応が、それが受け取る熱と同じ量の熱を吸収するとき、一定のままであってもよい。装置110は、供給原料を200℃から1700℃、好ましくは300℃から1400℃、より好ましくは400℃から875℃の範囲の温度に加熱するように設定されてもよい。
【0114】
加熱シリンダ129は、加熱シリンダ129が流体シリンダ112、特に非導電性中空シリンダを直接取り囲むように配置されてもよく、または特に金属中空シリンダとして構成された流体シリンダ112の場合、非導電性中空シリンダを介して間接的に取り囲むように、のいずれかで配置されてもよい。
【0115】
図1aは、加熱シリンダ129が流体シリンダ112を間接的に取り囲む実施形態を示す。流体シリンダ112は、金属中空シリンダであってもよい。この実施形態における装置110は、加熱シリンダ129と流体シリンダ112との間にさらなる中空シリンダを有する。装置110は、加熱シリンダ129から流体シリンダ112への間接的な熱伝達を可能にする、少なくとも1つのガルバニック絶縁体124、特に熱伝導性のものを有し得る。ガルバニック絶縁体124は、流体シリンダ112と加熱シリンダ129との間に配置されてもよい。ガルバニック絶縁体124は、流体シリンダ112を加熱シリンダ129からガルバニック絶縁し、加熱シリンダ129から流体シリンダ112に熱を伝達するように設定され得る。ガルバニック絶縁体124は、1x105Ωm≦ρ≦1x1014Ωmの比電気抵抗率ρを有し得る。熱伝達率が高い場合がある。ガルバニック絶縁体124は、10 W/(mK)≦λ≦6000 W/(mK)、好ましくは20 W/(mK)≦λ≦5000 W/(mK)の熱伝導率λを有し得る。
【0116】
ガルバニック絶縁体124は、セラミック、ガラス質、ガラス繊維強化、プラスチック様または樹脂様材料、例えばセラミック、ステアタイト、磁器、ガラス、ガラス繊維強化プラスチック、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、および十分に電気絶縁性の液体、絶縁塗料からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得る。ガルバニック絶縁体124は、管、薄膜、被覆、または層のうちの1つまたは複数として構成され得る。例えば、以下の比電気抵抗率を有する以下の材料を使用することが可能である。
【0117】
【表6】
【0118】
ガルバニック絶縁体124は、通電された加熱シリンダ129から流体シリンダ112に熱を伝達するように設定され得る。同時に、ガルバニック絶縁体124は、流体シリンダ112を加熱シリンダ129からガルバニック絶縁することができる。
【0119】
図1bは、図1aに示す実施形態に加えて、装置110が外側シリンダ130を有する本発明のさらなる実施形態を示す。外側シリンダ130は、特に外側断熱用の断熱材140であってもよい。外側シリンダ130は、加熱シリンダ120よりも外側に、特に同心配置でさらに配置された中空シリンダであってもよい。外側シリンダ130は、最も外側の中空シリンダであってもよく、装置110のすべての中空シリンダを収容してもよい。外側シリンダ130は、ハウジングとして設定されてもよい。外側シリンダ130は、加熱シリンダ129を少なくとも部分的に取り囲むように設定されてもよい。外側シリンダ130は、加熱シリンダ129をガルバニック絶縁し、外部への熱損失を少なくとも部分的に低減するように設定され得る。例えば、外側シリンダ130は、加熱シリンダ129に沿った少なくとも1つのサブ領域、例えば環境の少なくとも特に感熱性の外側領域を取り囲んでもよい。使用される材料、比電気抵抗率および熱伝導率に関して、外側シリンダ130は、上述のガルバニック絶縁体124のように比電気抵抗率および熱伝導率で設定されてもよい。
【0120】
図1cは、本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。図1aに示す実施形態と比較すると、図1cはガルバニック絶縁体124を欠いている。この実施形態における加熱シリンダ129は、加熱シリンダ129が流体シリンダ112、特に非金属流体シリンダを直接取り囲むように配置されてもよく、その電流生成熱を流体シリンダ112に放出するように設定される。流体シリンダ112および加熱シリンダ129は、装置110において隣接する中空シリンダとして配置されている。特に、流体シリンダ112と加熱シリンダ129との間にさらなる中空シリンダが配置されなくてもよい。図1dは、図1cに示す実施形態に加えて、装置110が外側シリンダ130を有する本発明のさらなる実施形態を示す。外側シリンダ130の構成に関しては、図1bの説明を参照し得る。
【0121】
図2aから図2dは、多数の流体パイプ112を有する本発明の装置110の実施形態を示す。
【0122】
装置110は、多数の流体シリンダ112を有し得る。装置は、l個の流体シリンダを有し得、lは2以上の自然数である。例えば、装置110は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の流体シリンダ112を有し得る。装置110は、例えば、最大100個の流体シリンダ112を有し得る。流体シリンダ112は、同一または異なる構成であってもよい。流体シリンダ112は、直径、および/または長さ、および/または形状に関して異なるように構成されてもよい。
【0123】
装置110は、多数の入口120および/または出口122および/または生産流を備え得る。異なるまたは同一のパイプタイプの流体シリンダ112は、複数の入口120および/または出口122と並列および/または直列に配置されてもよい。流体シリンダ112のための可能なパイプラインは、建築キットの形態の様々なタイプのパイプの形態をとることができ、最終用途に応じて、必要に応じて選択して組み合わせられ得る。異なるパイプタイプのパイプラインの使用は、供給が変動しているときの反応のより正確な温度制御および/または調整、ならびに/あるいは反応の選択的収率ならびに/あるいは最適化された方法論を可能にすることができる。パイプラインは、同一または異なる形状および/または表面および/または材料を備え得る。
【0124】
図2aは、図1aと同様に、図1aと比較して多数の流体シリンダ112が設けられた、本発明の装置110の一実施形態を示す。特に、流体シリンダ112は、共通の加熱シリンダ129によって取り囲まれてもよい。しかしながら、例えば、各流体シリンダ112に個別の加熱シリンダ129が割り当てられるか、またはいくつかの流体シリンダのみが共通の加熱シリンダ120を共有する他の実施形態も考えられる。図2bは、図2aと同様に本発明の一実施形態を示し、図1bに関して説明したように、外側シリンダ130が追加的に設けられている。図2cは、図1cと比較して多数の流体シリンダ112を設けた、図1cと同様の本発明の一実施形態を示す。図2dは、図1dと比較して多数の流体シリンダ112を設けた、図1dと同様の本発明の一実施形態を示す。
【0125】
図3aから図3dは、多数の2つの加熱ゾーン144、この場合は正確に2つの加熱ゾーン144を含む本発明の装置110の実施形態を示す。各加熱ゾーン144は、少なくとも1つの加熱シリンダ129を備えてもよい。加熱シリンダ129は、電気接続133によって接続されてもよい。装置110はまた、供給原料の加熱がない領域、例えば単なる輸送ゾーンを有してもよい。
【0126】
図3aは、図1aの実施形態に類似しているが、ここでは各々が1つの加熱シリンダ129を有する2つの加熱ゾーン144を伴う一実施形態を示す。2つの加熱シリンダ129は、共通の電源/電圧源126によって供給される。図3bは、図3aと同様に、2つの加熱ゾーン144を伴う一実施形態を示し、この実施形態では、各加熱シリンダ129に対して外側シリンダ130が追加的に設けられている。外側シリンダ130は、外側断熱用の断熱材140であってもよい。図3cは、図3cにおいて例えばセラミック製の非導電性流体シリンダ112を使用した、図3aの実施形態と同様の一実施形態を示す。共通の電源または電圧源126が設けられる。図3dは、図3cと同様に、2つの加熱ゾーン144を伴う一実施形態を示し、この実施形態では、各加熱シリンダ129に対して外側シリンダ130が追加的に設けられている。外側シリンダ130は、外側断熱用の断熱材140であってもよい。
【0127】
装置110は、多数の電源および/または電圧源126を有してもよく、前記電源および/または電圧源126は、単相もしくは多相AC電源および/または単相もしくは多相AC電圧源あるいはDC電源および/またはDC電圧源、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。装置110は、2からM個の異なる電源および/または電圧源126を有し得、Mは3以上の自然数である。電源および/または電圧源126は、少なくとも1つの電気出力変数を制御する可能性の有無にかかわらず構成されてもよい。電源および/または電圧源126は、互いに独立して電気的に制御可能であってもよい。電源および/または電圧源126は、同一または異なる構成であってもよい。例えば、装置110は、電流および/または電圧が装置110の、特に加熱シリンダ129の異なるゾーンに対して調整可能であるように設定されてもよい。装置110は、多数の流体シリンダ112を有し得る。流体シリンダ112は、共通の加熱シリンダ129を共有してもよく、または各々が割り当てられた加熱シリンダ129を有してもよい。流体シリンダ112は、異なる温度領域またはゾーンに属してもよい。流体シリンダ112自体も同様に温度ゾーンを有し得る。個々の流体シリンダ112には、1つまたは複数の電源または電圧源126を割り当てられ得る。電源および/または電圧供給は、例えば、各々の場合の反応および方法論に応じて、少なくとも1つのコントローラを使用することによって調整され得る。多数の電源および/または電圧源126を使用することにより、特に異なるゾーンに対して電圧を変化させることが可能になる。例えば、過度に高温の流体シリンダ112、または逆に過度に低温の流体シリンダ112をもたらす、あまり高くない電流を達成することが可能である。
【0128】
装置110は、多数の単相または多相AC電源またはAC電圧源を有し得る。流体シリンダ112は各々、加熱シリンダ129に、特に少なくとも1つの電気接続を介して電気的に接続された少なくとも1つのAC電源および/またはAC電圧源を伴う少なくとも1つの加熱シリンダ129を割り当てられてもよい。少なくとも2つの流体シリンダ112が加熱シリンダ129ならびにAC電源および/またはAC電圧源を共有する実施形態も考えられる。AC電源またはAC電圧源および加熱シリンダ129を接続するために、電気加熱可能なリアクタは、2からN個の入力および出力127を有してもよく、Nは3以上の自然数である。それぞれのAC電源および/またはAC電圧源は、それぞれの加熱シリンダ129に電流を生成するように設定されてもよい。AC電源および/またはAC電圧源は、制御されてもよいし、制御されなくてもよい。AC電源および/またはAC電圧源は、少なくとも1つの電気出力変数を制御する可能性の有無にかかわらず構成されてもよい。装置110は、2からM個の異なるAC電源および/またはAC電圧源を有してもよく、Mは3以上の自然数である。AC電源および/またはAC電圧源は、独立して電気的に制御可能であってもよい。例えば、それぞれの加熱シリンダ129で異なる電流が生成され、流体シリンダ112において異なる温度に達してもよい。
【0129】
装置110は、多数のDC電源および/またはDC電圧源を備えてもよい。各流体シリンダ112は、加熱シリンダ129に、特に少なくとも1つの電気接続を介して電気的に接続された少なくとも1つの加熱シリンダ129ならびに少なくとも1つのDC電源および/またはDC電圧源を割り当てられてもよい。少なくとも2つの流体シリンダ112が加熱シリンダ129ならびにDC電源および/またはDC電圧源を共有する実施形態も考えられる。DC電流源および/またはDC電圧源と加熱シリンダ129との接続のために、装置は、2からN個の正端子および/または導体と、2からN個の負端子および/または導体とを有し得、Nは3以上の自然数である。それぞれのDC電源および/またはDC電圧源は、それぞれの加熱シリンダ129に電流を生成するように設定されてもよい。生成された電流は、供給原料を加熱するために、電流が加熱シリンダ129を通過する際に生じるジュール加熱によってそれぞれの流体シリンダを加熱することができる。
【0130】
図4aから図4dは、2つの加熱ゾーン144および多数の電源または電圧源126を有する本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。図4aは、2つの加熱ゾーン144を伴う一実施形態を示し、この実施形態では、2つの電源または電圧源126が設けられている。これにより、加熱シリンダ129の異なる充填が可能になり得る。例えば、異なる加熱ゾーン144において異なる温度を可能にすることができ、および/または流体シリンダ112に沿った温度の閉ループ制御を可能にすることができる。加熱シリンダ129は、導電性構成を有してもよい。各々の場合で、熱伝導性およびガルバニック絶縁構成を有するガルバニック絶縁体124を提供することが可能である。図4bでは、図4aの実施形態と同様に、加熱ゾーン144に2つの電源または電圧源126が使用され、この実施形態では、加熱シリンダ129ごとに外側シリンダ130が追加的に設けられている。外側シリンダ130は、外側断熱用の断熱材140であってもよい。図4cは、図3cの実施形態に類似しているが、同様に2つの加熱ゾーン144および2つの電源または電圧源126を伴う一実施形態を示す。加熱シリンダ129は、導電性構成を有してもよい。非導電性流体シリンダ112、例えばセラミックを使用することが可能である。図4dは、図4cと同様の一実施形態を示し、この実施形態では、外側断熱用の外側シリンダ130が各加熱シリンダ129に追加的に設けられている。
【0131】
図5aから図5dは、三相AC電力を利用する本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。装置110の構成に関して、以下の特定の特徴と共に、図5aに関する図1a図5bに関する図1b図5cに関する図1c、および図5dに関する図1dに関する説明が参照される。図5aから図5dのこれらの実施形態では、装置110は、三相AC電源またはAC電圧源126を有する。3つの外部導体は、L1、L2およびL3、ならびに中性導体Nとラベル付けされる。また、nx3導体を伴う多相AC電源またはAC電圧源も考えられる。
【0132】
図6aから図6dは、三相AC電力を利用する本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。装置110の構成に関して、以下の特定の特徴と共に、図6aに関する図2a図6bに関する図2b図6cに関する図2c、および図6dに関する図2dに関する説明が参照される。図6aから図6dのこれらの実施形態では、装置110は、三相AC電源またはAC電圧源126を有する。3つの外部導体は、L1、L2およびL3、ならびに中性導体Nと再度ラベル付けされる。また、nx3導体を伴う多相AC電源またはAC電圧源も考えられる。
【0133】
図7aから図7dは、三相AC電力を利用する本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。装置110の構成に関して、図7aに関する図3aに関する説明を参照する。装置110の構成に関して、図7bに関する図3bに関する説明を参照する。装置110の構成に関して、図7cに関する図3cに関する説明を参照する。装置110の構成に関して、図7dに関する図3dに関する説明を参照する。
【0134】
三相電源または電圧源を伴う3つの加熱ゾーン144が示されている。3つの外部導体は、L1、L2およびL3、ならびに中性導体Nと再度ラベル付けされる。また、nx3導体を伴う多相AC電源またはAC電圧源も考えられる。
【0135】
装置110は、多数の流体シリンダ112を有し得る。流体シリンダ112は、対称および/または非対称パイプおよび/またはそれらの組み合わせを含み得る。流体シリンダ112の形状および/または表面および/または材料は、輸送される供給原料に依存してもよく、あるいは反応または他の要因の最適化に依存してもよい。純粋に対称的な構成では、装置110は、同一のパイプタイプの流体シリンダ112を備えてもよい。パイプタイプは、パイプラインの水平構成、パイプラインの垂直構成、入口(l1)および/または出口(l2)および/または移行部(l3)の長さ、入口(d1)および出口(d2)および/または移行部(d3)の直径、パスの数n、パスごとの長さ、パスごとの直径、形状、表面ならびに材料からなる群から選択される少なくとも1つの特徴によって特徴付けられ得る。装置110は、並列および/または直列に接続された少なくとも2つの異なるパイプタイプの組み合わせを含み得る。例えば、装置110は、入口(l1)および/または出口(l2)および/または移行部(l3)に異なる長さのパイプラインを備え得る。例えば、装置110は、入口(d1)および/または出口(d2)および/または移行部(d3)の直径が非対称であるパイプラインを備え得る。例えば、装置110は、異なるパス数を伴うパイプラインを備えてもよい。例えば、装置110は、パスごとに異なる長さおよび/またはパスごとに異なる直径を伴うパスを伴うパイプラインを備え得る。原則として、並列および/または直列の任意のパイプタイプの任意の組み合わせが考えられる。
【0136】
装置110は、多数の入口120および/または出口122および/または生産流を備え得る。異なるまたは同一のパイプタイプの流体シリンダ112は、複数の入口120および/または出口122と並列および/または直列に配置されてもよい。流体シリンダ112は、建築キットの形態の様々なタイプのパイプの形態をとってもよく、最終用途に応じて、必要に応じて選択して組み合わせられ得る。異なるパイプタイプの流体シリンダ112の使用は、供給が変動しているときの反応のより正確な温度制御および/または調整、ならびに/あるいは反応の選択的収率ならびに/あるいは最適化された方法論を可能にすることができる。流体シリンダ112は、同一または異なる形状および/または表面および/または材料を備え得る。
【0137】
図8から図8yは、パイプまたはシリンダタイプの例として可能な実施形態を概略図で示す。このパイプタイプは、以下のカテゴリに分割することができ、カテゴリの考えられるすべての組み合わせが可能である。
カテゴリAは、流体シリンダ112および/または流体シリンダセグメント114のコースを示し、A1は、水平コースを伴うパイプタイプを示し、A2は、垂直コース、すなわち水平コースに垂直なコースを伴うパイプまたはシリンダタイプを示す。
カテゴリBは、入口(l1)および/または出口(l2)の長さならびに/あるいは入口(d1)および/または出口(d2)および/または移行部(d3)の直径の比を指定し、6つの異なる可能な組み合わせが建築キット134に提供される。
カテゴリCは、入口(l1)および/または出口(l2)の長さとパスの長さとの比を示す。ここではすべての組み合わせが考えられ、この場合にはCiとラベル付けされる。
カテゴリFは電極の数を含み、F1は、例えばDC電源またはAC電源の場合、電極の数が≦2であることを示す。F2は、例えば三相電源の場合、電極の数が>2であることを示す。
【0138】
図8bから図8yは、同じおよび/または異なるパイプタイプの流体シリンダ112および/または流体シリンダセグメント114の組み合わせの本発明の実施例を示す。図8bは、連続して配置された、パイプタイプA1の3つの水平パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を伴う流体シリンダ112の組み合わせを示す。図8cは、並列に接続されたパイプタイプA2の2つの垂直パイプ、ならびにパイプタイプA2と同様の、1つの下流パイプライン112および/または1つの下流パイプラインセグメント114を示す。図8dは、パイプタイプA2の多数のパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を示し、それらはすべて並列に接続される。図8eは、カテゴリBの多数のパイプタイプが連続して配置される実施形態を示す。パイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、ここでは、Biによって識別される、カテゴリBの同一または異なるパイプタイプであってもよい。図8fは、カテゴリBの6つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を伴う実施形態を示し、各場合において、2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の2本の並列ストランドに配置され、2つのさらなるパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が下流に接続される。図8gは、カテゴリCのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114を伴う実施形態を示し、2つのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114が並列に接続され、1つのパイプライン112および/または1つのパイプラインセグメント114が下流に接続される。図8hから図8mに示すように、カテゴリA、B、およびCの混合形態も可能である。
【0139】
装置110は、多数の供給入口および/または供給出口および/または生産流を有し得る。異なるまたは同一のパイプタイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、例えば図8kおよび図8mに示すように、複数の供給入口および/または供給出口と並列および/または直列に配置し得る。図8nから図8pは、カテゴリAおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8qおよび図8rは、カテゴリBおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8sは、カテゴリCおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8tは、カテゴリA、B、CおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8uは、カテゴリA、CおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8vは、カテゴリB、CおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8wおよび図8yは、カテゴリA、B、CおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。図8xは、カテゴリA、BおよびFiのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114の例示的な組み合わせを示す。装置110は、多数の供給入口および/または供給出口および/または生産流を有し得る。カテゴリA、B、CおよびFiの異なるまたは同一のパイプタイプのパイプライン112および/またはパイプラインセグメント114は、複数の供給入口および/または供給出口と並列および/または直列に配置し得る。多数の供給入口および/または供給出口および/または生産流の例を図8o図8p図8r図8s図8vから図8yに示す。ラインは、供給流または流体流を表し得るが、電気的接続も示し得る。
【0140】
異なるパイプタイプの流体シリンダ112および/または流体シリンダセグメント114の使用は、変動する供給原料があるときの反応のより正確な温度制御および/または調整ならびに/あるいは反応の選択的収率ならびに/あるいは最適化された方法論を可能にすることができる。
【0141】
装置110は、流体シリンダ112の温度を決定するように設定された少なくとも1つの温度センサ145を有し得る。温度センサ145は、温度の関数として電気信号を生成するように設定された電気または電子素子を備え得る。例えば、温度センサ145は、高温導体、低温導体、半導体温度センサ、振動結晶を伴う温度センサ、熱電対、焦電材料、高温計、熱画像カメラ、強磁性温度センサ、光ファイバ温度センサ145からなる群から選択される少なくとも1つの素子を有してもよい。
【0142】
装置110は、温度センサ145によって測定された温度の関数として閉ループ制御によって電源または電圧源126を制御するように設定された少なくとも1つのコントローラユニットを有し得る。装置110は、オンライン温度測定、特に、流体シリンダ112における供給原料の輸送および/または反応中に行われる少なくとも1つの温度センサ145による温度の測定を含み得る。例えば、動作中の温度の閉ループ制御が可能である。特に、温度測定および閉ループ制御は、反応器の長さにわたって行うことができる。
【0143】
図9a1から図9gは、本発明の装置110のさらなる実施形態を示す。図9a1または図9a2の装置110の構成に関して、図4aに関する説明を参照する。この実施形態の加熱シリンダ129は、導電性であってもよい。装置は、熱伝導性およびガルバニック絶縁構成を有する、ガルバニック絶縁体124を含み得る。流体シリンダ112、114は、「U」字形の管であってもよい。装置110は、閉ループ制御なしで、3つの一相電源または電圧源126を伴う3つの加熱ゾーン144を有し得る。図9a2は、図9a1と同様の一実施形態を示し、この実施形態では、閉ループ制御131および温度センサ145を伴う3つの一相電源または電圧源126が設けられている。図9bは、図9a1と同様の一実施形態を示し、この実施形態では、リアクタにおいてスターブリッジのない1つの三相電源または電圧源126が設けられている。図9cは、図9a1と同様の一実施形態を示し、この実施形態では、リアクタにおいてスターブリッジを伴う1つの三相電源または電圧源126が設けられている。
【0144】
図9dから図9gは、三連流体シリンダ112、114を伴う実施形態を示す。流体シリンダ112、114は、3つの互いに別個の「U」字形の管であってもよい。それぞれの加熱シリンダ129は、導電性構成を有してもよい。装置は、熱伝導性およびガルバニック絶縁構成を有する、ガルバニック絶縁体124を含み得る。図9dは、三相AC電力の利用を示す。図9eは、DC電力の利用を示す。正端子/導体は、参照番号142で示されている。接地は参照番号125で示されている。図9fは、一相AC電力の利用を示す。図9gは、電気的目的のために互いに120°ずれている3つの一相電源または電圧源126の利用を示す。
【0145】
図10は、本発明の装置110、例えば反応器のさらなる実施形態を示す。
【0146】
図10a1および図10a2は、図4cと類似の実施形態を示す。この実施形態の加熱シリンダ129は、導電性であってもよい。装置は、熱伝導性およびガルバニック絶縁構成を有する、ガルバニック絶縁体124を含み得る。流体シリンダ112、114は、例えばセラミック製のガルバニック非導電性「U」字形の管として構成され得る。装置110は、図10a1に示すように、閉ループ制御なしで、3つの一相電源または電圧源126を伴う3つの加熱ゾーン144を有し得る。装置110は、図10a1に示すように、閉ループ制御を伴う3つの一相電源または電圧源126を伴う3つの加熱ゾーン144を有し得る。図10a2は、図10a1と同様の一実施形態を示し、この実施形態では、閉ループ制御131および温度センサ145を伴う3つの一相電源または電圧源126が設けられている。
【0147】
図10bは、加熱シリンダ129および流体シリンダ112、114から構成される二重シリンダを伴う一実施形態を示す。この実施形態の加熱シリンダ129は、導電性であってもよい。流体シリンダ112、114は、例えばセラミック製の「U」字形の、ガルバニック非導電性パイプであってもよい。装置110は、リアクタにおいてスターブリッジなしの、単一の三相電源または電圧源126を伴う3つの加熱ゾーン144を有し得る。図10cには、同様の装置110が示されており、ここでは、リアクタにおいてスターブリッジを伴う三相電源または電圧源126を伴う3つの加熱ゾーン144が設けられている。
【0148】
図10dは、加熱シリンダ129および流体シリンダ112、114から構成される二重シリンダを伴う一実施形態を示す。この実施形態の加熱シリンダ129は、導電性であってもよい。流体シリンダ112、114は、3つの別個のガルバニック非導電性「U」字形のパイプとして構成され得る。図10dは、三相AC電力の利用を示す。図10eは、類似の装置110を示すが、DC電流を利用している。図10fは、類似の装置110を示すが、一相AC電流を利用している。図10gは、類似の装置110を示すが、電気的目的のために互いに120°ずれている3つの一相電源または電圧源126を利用している。
【符号の説明】
【0149】
110 装置
111 反応空間またはヒータ
112 流体シリンダ
114 流体シリンダセグメント
118 パイプシステム
120 入口
122 出口
124 ガルバニック絶縁体
125 接地
126 電圧/電源
127 電気入力および出力
128 電気端子
129 加熱シリンダ
130 外側シリンダ
131 閉ループ制御
133 電気接続
134 建築キット
140 断熱材
142 正端子/導体
144 加熱ゾーン
145 温度センサ
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図8g
図8h
図8i
図8j
図8k
図8l
図8m
図8n
図8o
図8p
図8q
図8r
図8s
図8t
図8u
図8v
図8w
図8x
図8y
図9a1
図9a2
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図9g
図10a1
図10a2
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
【国際調査報告】