(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】多材料アイアンゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240905BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240905BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B102:32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518935
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022077122
(87)【国際公開番号】W WO2023049940
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ティー. クラーク
(72)【発明者】
【氏名】コリー エス. ベーコン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ティ. シアー
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA03
2C002CH01
2C002CH02
2C002CH03
2C002CH06
2C002LL01
2C002MM01
2C002MM04
(57)【要約】
フェースプレート、本体、及びインサートを有する、ゴルフクラブヘッドを有するツアーアイアンを本明細書に記載する。ソール部、トップレール部、リア部、及びフェースプレートは、本体内のキャビティを囲む。キャビティは、インサートを収容することができる。インサートは、低密度材料を含むことができ、ゴルフクラブヘッドの周縁の周りに重量を集中させることができる。インサートはさらに、音と感触を改善するために複数の材料を備えることができる。ゴルフクラブヘッドのリア部は、ヒール部からトウ部まで延びる屈曲継ぎ目を有する。ゴルフクラブヘッドは、屈曲継ぎ目の上方に上部を有し、屈曲継ぎ目の下方に下部を有する。下部は、上部深さよりも深い深さを有することができる。フェースプレート、本体、及びインサートは、異なる密度を有する異なる材料で形成することができる。ゴルフクラブヘッドは、比較的高い慣性モーメント及び低い重心を有する。他の実施形態及び方法を本明細書に記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、
前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレール部がキャビティを囲んでおり、
前記インサートは、前記キャビティに受容され、
前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、
前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、
前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、
前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、
前記インサートは、前記ソール面に形成され、前記上部に向かって上方に延びる凹部を備え、
前記凹部は、前記インサートの前記上部内へ延びないように、前記屈曲継ぎ目で終端しており、
前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、
前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、
前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、
前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、
前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、
前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、
前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、
前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、
前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記インサート上部は中実である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される、前記キャビティの体積の割合を充填する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
ヒール部およびトウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1の材料は、鋼系材料、チタン系材料、アルミニウム合金、またはチタン合金からなる群から選択される材料を有し、
前記第2の材料は、鋼系材料または鋼合金からなる群から選択される材料を有し、
前記第3の材料は、アルミニウムおよびチタンからなる群から選択される材料を有し、
前記第4の材料は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、または耐熱性シリコンからなる群から選択される材料を有する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、
前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレール部がキャビティを囲んでおり、
前記インサートは、前記キャビティに受容され、
前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、
前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、
前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、
前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、
前記インサートは、前記リア面に形成され、前記打撃面に向かって前方に延びる凹部を備え、
前記凹部は、前記インサートの前記周部によってさらに画定され、
前記凹部は、前記インサートの前記フロント面と平行な底面を備え、
前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、
前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、
前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、
前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、
前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、
前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、
前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、
前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、
前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される前記キャビティの体積の割合を充填する、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
ヒール部およびトウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記第1の材料は、鋼系材料、チタン系材料、アルミニウム合金、またはチタン合金からなる群から選択される材料を有し、
前記第2の材料は、鋼系材料または鋼合金からなる群から選択される材料を有し、
前記第3の材料は、アルミニウムおよびチタンからなる群から選択される材料を有し、
前記第4の材料は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、または耐熱性シリコンからなる群から選択される材料を有する、請求項8に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、
前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレールとを備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレールがキャビティを囲んでおり、
前記インサートは、前記キャビティに受容され、
前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、
前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、
前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、
前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、
前記インサートは、前記フロント面に後方に延びる複数の凹部を備え、
前記複数の凹部は、前記下部に位置しており、
前記複数の凹部の各凹部は、リブによって隣接する各凹部から分離されており、
前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、
前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、
前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、
前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、
前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、
前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、
前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、
前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、
前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される、前記キャビティの体積の割合を充填する、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
ヒール部およびトウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、請求項14に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(クロスリファレンス優先順位)
本願は、2021年9月27日に出願された米国仮特許出願第63/248,978号および2021年10月19日に出願された米国仮出願第63/262,740号の利益を主張するものであり、これらの全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ゴルフ用具に関し、より詳細には、多材料アイアンゴルフクラブヘッド、及び前記ゴルフクラブヘッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、アイアンタイプゴルフクラブヘッドは、マッスルバック、キャビティバック、又はツアーアイアン等の様々なスタイルを含む。低ハンディキャップを有する技術力の高いゴルファーは、小型で美的に滑らかなツアーアイアンを好む。ツアーアイアンは、ロフトが高く、重心(以下、「CG」)が低く、シャフトの長さが短く、輪郭が小さく、トップラインが薄い。ツアーアイアンは、一般に、美しく、古典的な外観を有し、好ましい音を有する。鍛造されたツアーアイアンは、特に、ギプスアイアンのような他のタイプのアイアンよりも改善された「感触」を提供し、美的な視線を提供すると考えられる。一般的に、ツアープレイヤーのような低ハンディキャップのゴルファーは、CGが低く、クラブの面に近いアイアンタイプのクラブヘッドを望んでいる。ツアーアイアンは、直線飛行のためのスイートスポットがより小さいため、ゴルフボールに衝突するクラブフェースの部分を操作することによって、これらのゴルファーがショットをさらに決めることを可能にする。高ハンディキャップのゴルファーが効果的に使用することは難しいが、ツアーアイアンは、高度に熟練し、かつ、しばしば低いハンディキャップのゴルファーに対するニッチな需要を満たす。
【0004】
一方、ゲームインプルーブメントアイアンは、アイアンの寛容性の向上と高いロフトを望む高ハンディキャップのゴルファーに対応するように設計されているのが典型的である。高ハンディキャップゴルファーは、より高い慣性モーメント(MOI)を有するアイアンタイプクラブヘッドをプレイする傾向があり、高MOIはクラブヘッドに対してより多くの寛容性を与える。ディープキャビティバック、マッスルバック、又は中空本体アイアン等のゲームインプルーブメントアイアンは、周辺重み付けを可能にし、周辺重み付けはクラブヘッドの寛容性を増加させ、フェースが曲がる余地を有するために、より大きな飛距離をもたらす。しかしながら、ゲームインプルーブメントアイアンは、当然のことながら、中実の本体のツアーアイアンのような「感触」ではなく、従来の中実のアイアンに慣れているゴルファーには純粋ではないように感じ得る。ゲームインプルーブメントアイアンは、大きな外形を有し、かさばった感触をもたらす。このようなゲームインプルーブメントアイアンは、また、厚いトップラインや、多くのゴルファーがあまり美的でないと考えている他の形状の特徴を持ち得る。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンの両方の利益を共有するクラブを望むゴルファーの望みを満たす。
【0005】
本技術分野では、中程度から低いハンディキャップのプレーヤーが使用することができる、従来のゲームインプルーブメントアイアンの高い慣性モーメント及び周辺重み付けを犠牲にすることなく、従来のツアーアイアンの小型な大きさ及び中実な感触及び音を有するクラブヘッドが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解斜視図を示す。
【0007】
【0008】
【0009】
【
図4】
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側面図を示す。
【0010】
【
図5】
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0011】
【
図6】多材料インサートを備えた第1の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0012】
【
図7】多材料インサートを備えた第2の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0013】
【
図8】多材料インサートを備えた第3の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0014】
【
図9】多材料インサートを備えた第4の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図3のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0015】
【
図10】一実施形態による軽量化インサートの正面斜視図を示す。
【0016】
【0017】
【0018】
【
図13】ゴルフクラブヘッドに関して、線XII-XIIに沿った
図10の軽量化インサートの断面図を示す。
【0019】
【
図14】一実施形態による第2の軽量化インサートの正面斜視図を示す。
【0020】
【0021】
【
図16】
図14の軽量化インサートの変形例の正面斜視図を示す。
【0022】
【
図17】リア部棚を有する実施形態による、ゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0023】
【
図18】ロフト平面から90度の角度をなすリア部棚を有する実施形態による、ゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0024】
【
図19】テープ層を含む、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0025】
【
図20】トウキャビティ及びトウウェイトの分解図を含む、
図1のゴルフクラブヘッドの後方斜視図を示す。
【0026】
【
図21】第2の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解図を示す。
【0027】
【0028】
【
図23】
図22の線XVI-XVIに沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面斜視図を示す。
【0029】
【
図24】
図21のゴルフクラブヘッドの本体の正面斜視図を示す。
【0030】
【0031】
【
図26】
図22のXVI-XVI線に沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0032】
【
図27】部分充填インサートを有する第1の実施形態による、
図22のXVI-XVI線に沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0033】
【
図28】部分充填インサートを有する第2の実施形態による、
図22のXVI-XVI線に沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0034】
【
図29】部分充填インサートを有する第3の実施形態による、
図22のXVI-XVI線に沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0035】
【
図30】部分充填インサートを有する第4の実施形態による、
図22の線XVI-XVIに沿った、
図21のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0036】
【
図31】リア部が囲まれた、
図22のゴルフクラブヘッドの変形例を示す。
【0037】
【
図32】リア部が囲まれており、固定特徴部を有する、
図22のゴルフクラブヘッドの変形例を示す。
【0038】
【
図33】一実施形態によるトウスクリューウェイトの側面図を示す。
【0039】
【0040】
【
図35】一実施形態によるゴルフクラブヘッドの正面図を示す。
【0041】
【
図36】インサートを含まない、
図35のゴルフクラブヘッド本体の正面図を示す。
【0042】
【0043】
【0044】
【
図39】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、ゴルフクラブヘッドの本体の正面図を示す。
【0045】
【0046】
【0047】
【
図42】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、ゴルフクラブヘッドの本体の正面図を示す。
【0048】
【0049】
【0050】
【
図45】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、ゴルフクラブヘッドの本体の正面図を示す。
【0051】
【
図46】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、ゴルフクラブヘッドの本体の正面図を示す。
【0052】
【0053】
【
図48】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、少なくともトウウェイトとヒールウェイトを有するゴルフクラブヘッドの背面図を示す。
【0054】
【
図49】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、複数のウェイトを有するゴルフクラブヘッドの背面図を示す。
【0055】
【
図50】
図35のゴルフクラブヘッドと同様の実施形態による、複数のウェイトを有するゴルフクラブヘッドの背面図を示す。
【0056】
【
図51】一実施形態によるゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【0057】
【
図52】固定特徴部を含む、
図51のゴルフクラブヘッドの断面図を示す。
【0058】
【
図53】ゴルフクラブ比較テストの統計プロットエリアチャートを示す。
【0059】
【
図54】一実施形態によるゴルフクラブヘッドの製造方法を示す。
【0060】
【
図55】第2の実施形態によるゴルフクラブヘッドの製造方法を示す。
【0061】
【
図56】一実施形態によるインサートの底面斜視図を示す。
【0062】
【
図57】第2部分を備える、
図56のインサートの底面斜視図を示す。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【
図62】一実施形態によるインサートの背面斜視図を示す。
【0068】
【
図63】第2部分をさらに備える、
図62のインサートの背面斜視図を示す。
【0069】
【
図64】一実施形態によるインサートの背面斜視図を示す。
【0070】
【
図65】第2部分をさらに備える、
図64のインサートの正面斜視図を示す。
【0071】
【0072】
【
図67】一実施形態によるインサートの正面斜視図を示す。
【0073】
【
図68】一実施形態によるインサートの正面斜視図を示す。
【0074】
【
図69】第2部分をさらに備える、
図68のインサートの正面斜視図を示す。
【0075】
【0076】
【
図71】一実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解組立図である。
【0077】
【
図72】一実施形態による振幅と音の周波数を示すグラフを示す。
【0078】
【
図73】一実施形態による振幅と音の周波数を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
ツアーアイアンは、その大きさ及び外観の両方によってゲームインプルーブメントアイアンとは視覚的に区別されることが、ゴルフに精通した人々によってよく理解されている。従って、ツアーアイアンは、ゲームインプルーブメントアイアンとは異なる設計要件を備える。本明細書に記載されるゴルフクラブは、ゲームインプルーブメントアイアンの機能的利点を保持しながら、ツアースタイルアイアンの市場需要を満たす。
【0080】
具体的には、本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、ツアーアイアンの美的に魅力的な特徴(例えば、小型な大きさ、鍛造、中実な感触)、及びゲームインプルーブメントアイアンの性能利点(例えば、周囲の重み付け及び高い寛容性)を併せ持つ。キャビティを形成する本体を有するゴルフクラブヘッドが本明細書に記載され、インサートはキャビティ内に嵌合することができ、キャビティは、本体のリア部のキャップによって、又は、本体のフェースプレートによって囲まれ得る。インサートは、インサートの質量を最大化し、クラブヘッド内の重量分布の利点を得るために、1又は複数の開口部を介してクラブヘッドの外部に露出してもよい。従って、ゴルフクラブヘッドは、中級又は初級のスキルゴルファーが技術レベルに対して可能な限り正確なショットを行うために必要な寛容性の水準を維持しつつ、ツアースタイルを有するアイアンクラブをゴルファーに提供する。一般に、ツアーアイアンは、高度に熟練したゴルファー又は低ハンディキャップから中程度のハンディキャップのプレーヤーのために設計され、一方、ゲームインプルーブメントアイアンは、高度のハンディキャップ(10を超える)も有する、低スキルから中程度のスキルレベルのゴルファーのために設計される。本説明のゴルフクラブヘッドは、従来のツアーアイアンを使用するスキルを欠いた、一連のツアーアイアンで遊びたいと願うゴルファーのための選択肢を提供する。
【0081】
さらに、ゴルフクラブヘッドは、高度に熟練したゴルファーに、高MOI設計を通して、ショットの精度を高めることを望む選択肢を提供する。本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、特定のゲームインプルーブメントアイアン又は標準アイアンよりも低いMOIを備えることができるが、それにもかかわらず、クラブヘッドは、同じカテゴリー内の他のゴルフクラブヘッド、即ちツアーアイアン又は小型アイアンよりも高いMOIを備える。さらに、開示されたゴルフクラブヘッドは、高スキルゴルファーにとって望ましい低いCGを提供する。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、これらの実施形態によって例示され得るが、これらに限定されない。
【0082】
ゴルフクラブヘッドは、フェースプレートをゴルフクラブヘッドの本体上に加締めること(swedging)(スエージすること(swagging))を含む方法によって製造することができる。表面融着処理プロセスにおいて、加締め後のフェースプレートと本体の間の境界をレーザー溶接することができる。インサートは、加締めやレーザー溶接によって損傷を受けない。
【0083】
説明を簡単かつ明確にするために、図面は、一般的な構成方法を示し、周知の特徴及び技法の説明及び詳細は、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために省略され得る。さらに、図面中の要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本開示の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されていることがある。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【0084】
本明細書では、中空ゴルフクラブヘッド、又は部分的に/ほぼ中空のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブが記載され、その各々のゴルフクラブヘッドは、低密度インサートを備える(中空ゴルフクラブヘッド又は部分的に/ほぼ中空のゴルフクラブヘッドは、以下、「ゴルフクラブヘッド」と呼ばれる)。ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッドと、シャフトと、グリップとを備える。ゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、フロント部と、リア部と、トップレール部と、ソール部とを備える本体を備える。本体は、キャビティを備えることができる。フェースプレート、ソール部、リア部、及びトップレール部は、キャビティを囲んでいる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのキャビティは、フェースプレートによってフロント部から囲まれることができる。幾つかの実施形態では、キャビティは、クラブのリア部で開くことができ、キャビティを部分的に露出させる。インサートは、キャビティ内に嵌合することができる。ゴルフクラブヘッドのフロント部は、キャビティをフロント部から取り囲むフェースプレートをさらに備えることができる。
【0085】
本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドの一実施形態は、キャビティを形成する本体と、低密度インサートとを含み、キャビティは、ゴルフクラブヘッドのフロント部に向かって開口する。本体は、クラブヘッドの中心に形成された内部キャビティを有する。本体は鋳造又は鍛造することができる。キャビティは、低密度インサートを受け入れ、収容することができる。
【0086】
ゴルフクラブヘッドは、低密度中心、高密度周辺部、及び、前述のように、重量を周辺部に移動させるための低密度インサートを有し、それによって、全体的な寛容性が向上される。インサートは、アルミニウム、チタン、又は複合材料等の低密度材料を含む。中実インサートでキャビティを充填することにより、他の同様の中空本体アイアンよりもゴルフクラブヘッドの音響及び感触が向上される。幾つかの実施形態では、インサートをキャビティ内にさらに固定し、がたつきを防止するために、接着剤及び/又はテープが用いられる。
【0087】
フェースプレートは、ゴルフクラブヘッドのフロント開口を取り囲み、キャビティを形成する。フェースプレートの固定には、加締め、圧入、その他の低温方法が使用される。TIG溶接は使用しない。幾つかの実施形態では、レーザー溶接は非常に精密であり、インサート、テープ、及び/又は接着剤に影響を及ぼす大きな熱影響部(以下、「HAZ」という)を生じないので、フェースプレートは、レーザー溶接によってさらに本体に固定することができる。フェースプレートがゴルフクラブヘッド本体のフロント部にTIG溶接される場合、インサート、テープ、及び/又は接着剤は、高温に曝され、損傷を受け、それによってインサートの重量分布を損ない、かつ、テープ及び/又は接着剤の材料特性を損なう。
【0088】
ゴルフクラブヘッドの高密度周辺部は、ホーゼル内のトウウェイト及び/又はチップウェイトによっても達成することができる。幾つかの実施形態では、本体は、トウキャビティをさらに備えることができる。トウウェイトはトウキャビティ内に取り付けることができる。トウウェイトは、タングステン等の高密度材料を含む。さらに、幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、スイングウェイティングのためのトウスクリューウェイトを備えることができる。
【0089】
ゴルフクラブヘッドの第2の実施形態では、本体のキャビティは、リア部の上部の開口部を介して露出される。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態のゴルフクラブヘッドは、本体及び低密度インサートを備える。本体は鋳造又は鍛造することができる。本体は、本体の上部にリア開口を備える。低密度インサートは、本体のキャビティ内に収容される。この実施形態では、インサートは、熱可塑性複合材料、発泡材料、又は他の充填減衰材料等、キャビティ内に注入することができる材料を含む。
【0090】
ゴルフクラブヘッドは、キャビティの前方境界を形成するフェースプレートをさらに備える。射出成形プロセスは、本体のキャビティ内に低密度インサートを形成することができる。ゴルフクラブヘッドは、周辺重み付けのために、本体のトウキャビティ内にトウウェイトを、及び/又はホーゼル内にチップウェイトをさらに含むことができる。さらに、ゴルフクラブヘッドは、スイングウェイティングのためのトウスクリューウェイトを含むことができる。
【0091】
説明及び特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等は、もしあれば、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の順序又は時系列順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、例えば、本明細書で説明される実施形態は、本明細書で図示される又は別の方法で説明される順序以外の順序で作用することができることを理解されたい。さらに、用語「含む」、「有する」、及びその任意の変形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は装置等の非排他的包含を意図しているが、必ずしもそれらの要素に限定されず、そのようなプロセス、方法、物品、システム、及び装置に対して、明確に挙げられていないあるいは固有の他の要素を含んでいてもよい。
【0092】
明細書及び特許請求の範囲における用語「前」、「後(back)」、「後(rear)」、「上」、「下」等は、もしあれば、説明の目的で使用され、必ずしも恒久的な相対位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される上記の用語は、本明細書で説明される装置、方法、及び/又は製品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されるか、又は他の方法で説明されるもの以外の他の配向でも作用することができるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。
【0093】
用語「結合する」及び同様の用語は、広く理解されるべきであり、機械的及び/又は他の方法で、二つあるいはそれ以上の要素を接続することを言及する。例えば、二つあるいはそれ以上の機械的要素は、機械的に結合されてもよいが、電気的に結合されていなくてもよいし、そうでなければ結合されていなくてもよい。結合は、任意の長さの時間、例えば、永久的又は半永久的であってもよく、又は一瞬だけであってもよい。
【0094】
本明細書に記載のMOIという用語は、角加速度に抵抗する本体の傾向を表す量とすることができる。MOIは、角度質量又は回転慣性としても知られている。MOIは、回転軸を中心とする所望の角加速度を達成するのに必要なトルクを決定する。より高いMOIはクラブヘッドをより寛容にする。つまり、ゴルフボールが中央から外れた打撃面の一部で打たれた場合でも、ゴルファーはより一貫したショットに気付くだろう。MOIは、ゴルフクラブヘッドの中心から離れて、及びゴルフクラブヘッドの周囲に向かって、重量を移動させることによって上昇する。MOIを増加させるため、望ましいゴルフクラブヘッド全体の重量を維持するために、ゴルフクラブヘッドの中心は、キャビティ又はメインゴルフクラブヘッドよりも軽い材料のいずれかを含まなければならない。
【0095】
本明細書に記載されるゴルフクラブの形態は、一組のアイアン内の一つあるいは複数のゴルフクラブに適用されてもよい。幾つかの実施形態では、そのアイアンの組は、変動するクラブヘッドサイズ、シャフト長さ、ライ角度、ロフト角度、ヘッド重量、及び/又は他のパラメータを有するアイアンを含む。アイアンの組の各クラブヘッドは、1から10の範囲の数で慣例に従って番号付けすることができる。最も一般的には、セットは3から9の番号が付けられる。さらに、アイアンの組は、番号付けされたアイアンよりも高いロフト角を有する一つ以上のウェッジを含むことができる。
【0096】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドはウェッジであり得る。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約50度未満、約49度未満、約48度未満、約47度未満、約46度未満、約45度未満、約44度未満、約43度未満、約42度未満、約41度未満、又は約40度未満である。さらに、多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約16度よりも大きく、約17度よりも大きく、約18度よりも大きく、約19度よりも大きく、約20度よりも大きく、約21度よりも大きく、約22度よりも大きく、約23度よりも大きく、約24度よりも大きく、又は約25度よりも大きい。
【0097】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満、約58度未満、約57度未満、約56度未満、約55度未満、又は約54度未満である。さらに、多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約46度よりも大きく、約47度よりも大きく、約48度よりも大きく、約49度よりも大きく、約50度よりも大きく、約51度よりも大きく、又は約52度よりも大きい。
【0098】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、1.9立方インチから2.7立方インチの範囲の総体積を備えることができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドの総体積は、1.9立方インチから2.4立方インチ、2.0立方インチから2.5立方インチ、2.1立方インチから2.6立方インチ、2.2立方インチから2.7立方インチ、2.3立方インチから2.7立方インチ、又は2.4立方インチから2.7立方インチの範囲とすることができる。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100の総体積は、1.9立方インチ、2.0立方インチ、2.1立方インチ、2.2立方インチ、2.3立方インチ、2.4立方インチ、2.5立方インチ、2.6立方インチ、又は2.7立方インチとすることができる。
【0099】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、200グラムから300グラムの範囲の総質量を含むことができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、200グラムから210グラム、210グラムから220グラム、220グラムから230グラム、230グラムから240グラム、240グラムから250グラム、250グラムから260グラム、255グラムから260グラム、260グラムから270グラム、265グラムから275グラム、270グラムから280グラム、275グラムから280グラム、又は250グラムから270グラムの範囲とすることができる。他の実施形態では、総質量は、200グラム、205グラム、210グラム、220グラム、225グラム、230グラム、235グラム、240グラム、245グラム、250グラム、255グラム、260グラム、265グラム、270グラム、275グラム、280グラム、285グラム、290グラム、295グラム又は300グラムとすることができる。
【0100】
本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、アドレス位置にある間、様々な視点から見ることができ、これには、正面図、背面図、トウ側面図、ヒール側面図、上面図、ソール側面図、及び様々な斜視図が含まれるが、これらに限定されない。例えば、ゴルフクラブヘッド100の正面図は、グランド面10に平行な、ロフト面20の前方の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100の背面図は、グランド面10に平行な、リア部103の後方の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のトウ側面図は、グランド面10に平行なトウ部からヒール部の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のヒール側面図は、グランド面10に平行なヒール部からトウ部方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のソール側面図は、グランド面10に直交するソール部からトップ部への方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100の上面図は、グランド面10に直交するトップ部からソール部の方向からクラブヘッドを見る。
【0101】
I.インサート及び囲みフェースプレートを有するゴルフクラブヘッド
ここでは、ゴルフクラブヘッド100について説明する。ゴルフクラブヘッド100は、上述したように、寛容性を備えたツアースタイルのゴルフクラブヘッドとすることができる。ゴルフクラブヘッド100は、インサートを収容するキャビティを有する本体を備えることができる。ゴルフクラブヘッドは、フェースプレートと、本体と、インサートとを備える。本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備える。リア部は、屈曲継ぎ目をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目は、ゴルフクラブヘッドの上部と下部の間の境界である。フェースプレート及び本体の一部は、ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定する。フェースプレート、ソール部、リア部、及びトップレール部は、キャビティを囲んでいる。
【0102】
本体のキャビティは、ゴルフクラブヘッドのフロント部に向かって開口し、フェースプレートによって囲まれている。フェースプレートは、本体へ加締め、あるいはレーザー溶接することができる。クラブヘッドは、ツアーアイアンクラブヘッドであり、1.8立方インチから2.7立方インチ(30立方センチメートル(cc)から45cc)の範囲の体積を有する。ゴルフクラブヘッドの本体は、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。
【0103】
インサートは、低密度材料を含み、ゴルフクラブヘッドの本体によって形成されたキャビティを充填する。ゴルフクラブヘッドの中心の質量を減少させることは、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメント値を増加させるために、その周辺に余分な質量を集中させることを可能にする。上述のように、ゴルフクラブヘッドは、下部及び上部を備える。下部は、上部よりも大きい深さを備える。これにより、下部は、周辺のヒール端部、トウ端部、及びソール部に集中したより多くの質量を有する。本体の質量を下げるとCGが低くなり、それは打ち上げ角度が増し、スピンが減少する。上記で説明したように、周辺重み付けからの比較的高い慣性モーメントと、質量の低い位置に由来する低いCGとで、ツアーアイアンサイジングを結合するアイアンが、本技術分野で必要とされている。幾つかの実施形態では、ホーゼル内に配置されたチップウェイト及び/又は本体のトウキャビティ内に配置されたトウウェイトは、付加的な周辺重み付けを提供する。
【0104】
図1~
図13を参照すると、上述のように、ゴルフクラブヘッド100は、フェースプレート155、本体110、及びインサート140を備える。本体110は、上部108、下部109、ソール部107、リア部103、トウ部101、ヒール部102、及びトップレール部106をさらに備えてもよい。フェースプレート155及び本体の一部は、打撃面111を画定してもよい。フェースプレート155、ソール部107、リア部103、及びトップレール部106は、キャビティ120を囲んでいる。上部108は、トップレール部106によって境界が定められている。下部109は、ソール部107によって境界が定められている。リア部103は、屈曲継ぎ目130を含んでいてもよい。屈曲継ぎ目130は、ゴルフクラブヘッドのトウ部101からヒール部102まで延びることができる。屈曲継ぎ目130は、上部108をトップレール部106と境界付ける。屈曲継ぎ目130は、下部109をソール部107と境界付ける。屈曲継ぎ目130は、後述するように、均一な上部深さ116の端部を目立たせる。
図4~
図12に示すように、屈曲継ぎ目130は、トウ側面視において、トップレール部からソール部方向に取られた任意の断面図における、屈曲点として描かれている。
【0105】
図2及び
図3に示すように、グランド面10は、ゴルフクラブがアドレス位置にあるときに、グランドの基準となる。
図4に示すように、ロフト面20は、打撃面111に平行である。
図2に示すように、中心面45は、グランド面10に垂直であり、ロフト面20に垂直であり、打撃面111の中心点80と一致する。
図2及び
図4に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100のCG60を中心とする座標系を有することができる。後述するゴルフクラブヘッド600は、同様の座標軸を有することができる。x軸30の基準軸は、トウ部からヒール部方向に、CG60を通って延びている。x軸30は、打撃面111と平行である。y軸40の基準軸は、トップレール部からソール部方向に、CG60を通って延びている。y軸40は、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、グランド面10に直交する。z軸50の基準軸は、フロント部からリア部方向に、CG60を通って延びている。z軸50は、グランド面10に平行であり、x軸30及びy軸40に垂直である。さらに、ホーゼル軸70の基準軸は、ホーゼル105の同心中心を通って延びている。前縁軸35は、グランド面10に平行であり、ヒール部からトウ部への方向に延在し、打撃面111の中心に沿ってほぼ平面の打撃面111上で最も低い点と一致する。前縁面は、前縁軸35と一致し、グランド面10と平行である。
【0106】
1)ゴルフクラブヘッドの上部及び下部
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、上部108及び下部109とを含む。上述したように、上部108は、屈曲継ぎ目130によって下部109から分離されることができる。リア部103の上部108は、打撃面111からリア部103までロフト面20に垂直に測定される、均一な深さ116を有することができる。リア部103は、上壁131及び下壁132とを備える。ロフト面20に実質的に平行にとどまることによって、リア部103の上壁131は、ゴルフクラブヘッド100の上部108における均一な深さ116を可能にする。屈曲継ぎ目130において、リア外形は、ゴルフクラブヘッド100の上部108と下部109との間を移行し、ゴルフクラブヘッド100の深さにおいて変化をもたらす。この深さの変化は、後述するように、上部108よりも大きい深さ118を有する下部109につながる。下部109の深さが深いほど、ゴルフクラブヘッド100のCGを低下させ、打ち上げ特性を向上するのに有益である。
【0107】
ゴルフクラブヘッド100のリア部103のこの外形は、平坦なリア部設計を有するゴルフクラブヘッドよりも、ゴルフクラブヘッド100において質量を低く配置することを可能にする。クラブヘッド内で質量を下げることによって、CGが下げられる。これは、ゴルフクラブヘッド100によるインパクト時の、ゴルフボールの向上されたボール打ち上げ及びスピン特性を可能にする。CG位置の完全な利点は、以下の例3で提供されるように、平坦なリア部を有するゴルフクラブヘッドとの比較によって最も良く理解される。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、フラットバックの比較ゴルフクラブヘッドのCGよりも、0.030インチから0.050インチの範囲で低いCGを含むことができる。幾つかの実施形態において、CGは0.030インチから0.032インチ、0.032インチから0.034インチ、0.034インチから0.036インチ、0.036インチから0.038インチ、0.038インチから0.040インチ、0.040インチから0.042インチ、0.042インチから0.044インチ、0.044インチから0.046インチ、0.046インチから0.048インチ、又は0.048インチから0.050インチの範囲で低下する。
【0108】
リア外形は、上部108及び下部109が異なる深さ、体積、又は質量を有することを可能にするために、複数の実施形態間で変化することができる。
図17及び
図18の断面図に示すように、幾つかの実施形態では、リア部103の下壁132は、屈曲継ぎ目130のすぐ下に棚139を備えることができる。棚139は、上壁131と、下壁132の残りの部分との間に存在することができる。これらの実施形態では、棚139は、屈曲継ぎ目130から後方及び/又は下方に延びる。
図18に示す一つの実施形態では、棚139はロフト面20に対してほぼ垂直である。リア部外形を変化させることによって、上部108及び下部109の深さ、体積、又は質量を変更することができ、これは前記CGの位置及びMOIの値に影響を及ぼす。
【0109】
2)上部及び下部の高さ
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、上部108及び下部109を含んでおり、前記屈曲継ぎ目130によって分割されている。上部108は、トップレール部106から屈曲継ぎ目130まで、中心面45に沿って、ロフト面20に平行な方向に測定された高さ188を備える。上部高さ188は、0.60インチから0.90インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部高さ188は、0.60インチから0.65インチ、0.65インチから0.70インチ、0.70インチから0.75インチ、0.75インチから0.80インチ、0.80インチから0.85インチ、0.85インチから0.90インチ、0.60インチから0.70インチ、0.70インチから0.80インチ、又は0.80インチから0.90インチの範囲とすることができる。
【0110】
下部109は、ソール部107から屈曲継ぎ目130までの中心面45に沿って、ロフト面20に平行な方向に測定された高さ189を備える。下部高さ189は、0.80インチから1.10インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、下部高さ189は、0.80インチから0.85インチ、0.85インチから0.90インチ、0.90インチから0.95インチ、0.95インチから1.0インチ、1.0インチから1.05インチ、1.05インチから1.10インチ、0.9インチから1.0インチ、又は1.0インチから1.1インチの範囲とすることができる。
【0111】
上部高さ188と下部高さ189との比は、9:8(54:48)から6:11(54:99)の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部高さ188と下部高さ189との比は、9:8(54:48)から6:8(54:72)、6:8(54:72)から9:11(54:66)、又は9:11(54:66)から6:11(54:99)の範囲とすることができる。上部高さ188と下部高さ189との比が高くなると、以下に説明するように、下部109がより大きな深さと質量とを有するので、CGが低くなり得る。低いCGは、ゴルフボールとのインパクト時にゴルフクラブヘッド100に与えられるトルクを低減することによって、打ち上げ及びスピン特性を向上させる。低いCGはまた、ボール速度を増加させ、ゴルフクラブヘッド100の感触を向上させることができる。
【0112】
3)ゴルフクラブヘッド上部及び下部の深さ
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100の上部108は、均一な深さを有することができる。クラブヘッド100の上部深さ116は、0.200インチから0.250インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、上部深さ116は、0.200インチから0.210インチ、0.205インチから0.215インチ、0.210インチから0.220インチ、0.215インチから0.225インチ、0.220インチから0.230インチ、0.225インチから0.235インチ、0.230インチから0.240インチ、0.235インチから0.245インチ、0.240インチから0.250インチ、又は0.245インチから0.250インチの範囲とすることができる。
【0113】
下部109は、中心面45に沿って、打撃面111からリア部103の外側面まで、ロフト面20に対して垂直に測定された深さ118を含む。下部深さ118は、トップレール部からソール部方向及び/又はヒール部からトウ部方向に変化することができる。下部深さ118は、ゴルフクラブヘッド100の上部深さ116と等しいか、又はそれより深い。下部深さ118は、0.270インチから0.780インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、下部深さ118は、0.270インチから0.320インチ、0.320インチから0.380インチ、0.380インチから0.430インチ、0.430インチから0.480インチ、0.480インチから0.530インチ、0.530インチから0.580インチ、0.580インチから0.630インチ、0.630インチから0.680インチ、0.680インチから0.730インチ、0.730インチから0.780インチ、0.270インチから0.470インチ、0.320インチから0.520インチ、0.370インチから0.570インチ、0.420インチから0.620インチ、0.470インチから0.670インチ、0.520インチから0.720インチ、及び0.570インチから0.770インチの範囲とすることができる。
【0114】
クラブヘッド100のトウ部101及びヒール部102において、下部深さ118は、中心面45における下部深さ118とは異なることができる。トウ部101内の最小の下部深さ118は、0.300インチから0.460インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、トウ領域101の下部深さ118は、0.300インチから0.320インチ、0.320インチから0.330インチ、0.330インチから0.340インチ、0.340インチから0.360インチ、0.360インチから0.380インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、又は0.440インチから0.460インチの範囲とすることができる。
【0115】
ヒール部102における下部深さ118も同様に、中心面45における下部深さと異なることができる。ヒール領域102内の最小の下部深さ118は、0.270インチから0.315インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、ヒール領域102の下部深さ118は、0.270インチから0.280インチ、0.280インチから0.290インチ、0.290インチから0.300インチ、0.300インチから0.310インチ、0.310インチから0.320インチ、0.320インチから0.340インチ、0.340インチから0.360インチ、0.360インチから0.380インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、又は0.440インチから0.460インチの範囲とすることができる。
【0116】
クラブヘッド100の最大深さは、本体110の下部109内に位置している。クラブヘッド100の深さの最大値は、打撃面111からリア部103の外側面まで、ロフト面20に対して垂直に測定される。最大深さは0.670インチから0.770インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、最大深さは、0.670インチから0.690インチ、0.690インチから0.710インチ、0.710インチから0.730インチ、0.730インチから0.750インチ、又は0.750インチから0.770インチの範囲とすることができる。
【0117】
幾つかの実施形態では、上部深さ116と下部深さ118との間の比は、1:3から4:5の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部深さ116と下部深さ118との間の比は、1:3から1:2、1:2から2:3、又は2:3から4:5の範囲とすることができる。上部深さ116と下部深さ118との間の比が大きいクラブヘッドでは、下部がより後方へと延びている。逆に、上部深さ116と下部深さ118との間の比が小さいクラブヘッドでは、下部が後方へそれほど突出しない。これらの実施形態は、より滑らかに見え、断面の薄いツアーアイアンに似ている。
【0118】
4)ゴルフクラブヘッド上部及び下部とキャビティの容積
図4及び
図5を参照すると、ゴルフクラブヘッド100の上部108及び下部109は、容積を含むことができる。その容積は、ヒール部102に隣接し、フェースプレート155の端部/周縁に一致する平面から、トウ部101まで測定される。上部108の容積は、0.20立方インチから0.60立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部108の容積は、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.35立方インチから0.45立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.45立方インチから0.55立方インチ、又は0.50立方インチから0.60立方インチの範囲であることができる。幾つかの実施形態において、上部108の容積は、0.48立方インチである。
【0119】
図5に示すように、上部108と下部109は共に本体110を形成し、それはキャビティ120を画定する。本体110の上部108内にあるキャビティ120の一部は、0.05立方インチから0.40立方インチ(0.82ccから6.55cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態では、上部108内のキャビティ容積は、0.05立方インチから0.15立方インチ、0.10立方インチから0.20立方インチ、0.15立方インチから0.25立方インチ、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、又は0.35立方インチから0.45立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、上部108におけるキャビティ容積は、0.17立方インチである。幾つかの実施形態では、上部分におけるキャビティ容積に対するクラブヘッドの上部分容積の比は、11:10から12:1の範囲とすることができる。
【0120】
CGをゴルフクラブヘッド100内に適切に低く配置するために、屈曲継ぎ目130より低いゴルフクラブヘッド100(即ち、下部109)は、屈曲継ぎ目130より高いゴルフクラブヘッド100(即ち、上部108)よりも容積が大きい。クラブヘッド100の下部109の容積は、上部108と同様に測定される(即ち、ヒール部102に隣接し、フェースプレート155の縁部/周縁部に一致する平面から、トウ部まで測定される)。下部109の容積は、1.15立方インチから1.55立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、下部109の容積は、1.15立方インチから1.35立方インチ、1.25立方インチから1.45立方インチ、1.35立方インチから1.55立方インチ、1.20立方インチから1.30立方インチ、1.30立方インチから1.40立方インチ、又は1.40立方インチから1.50立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部の容積は、1.36立方インチである。
【0121】
下部109内のキャビティ120の一部は、0.15立方インチから0.60立方インチ(2.46ccから9.83cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態において、下部109におけるキャビティ容積は、0.15立方インチから0.25立方インチ、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.35立方インチから0.45立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.45立方インチから0.55立方インチ、又は0.50立方インチから0.60立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、下部109のキャビティ容積は、0.37立方インチである。幾つかの実施形態では、下部分におけるキャビティ容積に対するクラブヘッドの下部分容積の比は、1.1:1から10:1の範囲とすることができる。
【0122】
5)キャビティの全容積
再び
図1を参照すると、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の中央部分にキャビティ120を備える、本体110を備えることができる。キャビティ120は、低密度インサート140で満たされており、それは、ツアーアイアンの中実な感触及び外観を犠牲にすることなく、ゴルフクラブヘッド100の寛容性を増加させる。ゴルフクラブヘッド100の寛容性は、周辺重み付けの量に対応し、それはキャビティ120の容積に影響される。より大きなキャビティは、より小さなキャビティよりも、ゴルフクラブヘッド100の中央領域からより多くの質量を排除する。その結果、より大きなキャビティは、より多くの重量がゴルフクラブヘッド100の周囲に配置されることを可能にする。
【0123】
キャビティ120は、0.2立方インチから0.8立方インチ(3.28ccから13.11cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態において、キャビティ120の容積は、0.2立方インチから0.3立方インチ、0.2立方インチから0.25立方インチ、0.25立方インチから0.30立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.30立方インチから0.35立方インチ、0.35立方インチから0.40立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.40立方インチから0.45立方インチ、0.45立方インチから0.50立方インチ、0.50立方インチから0.60立方インチ、0.50立方インチから0.55立方インチ、0.55立方インチから0.60立方インチ、0.60立方インチから0.70立方インチ、0.60立方インチから0.65立方インチ、0.65立方インチから0.70立方インチ、0.70立方インチから0.80立方インチ、0.70立方インチから0.75立方インチ、又は0.75立方インチから0.80立方インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、キャビティ120は、0.20立方インチ、0.22立方インチ、0.24立方インチ、0.26立方インチ、0.28立方インチ、0.30立方インチ、0.32立方インチ、0.34立方インチ、0.36立方インチ、0.38立方インチ、0.40立方インチ、0.42立方インチ、0.44立方インチ、0.46立方インチ、0.48立方インチ、0.50立方インチ、0.52立方インチ、0.54立方インチ、0.56立方インチ、0.58立方インチ、0.60立方インチ、0.62立方インチ、0.64立方インチ、0.66立方インチ、0.68立方インチ、0.70立方インチ、0.72立方インチ、0.74立方インチ、0.76立方インチ、0.78立方インチ、又は0.80立方インチの容積を有することができる。
【0124】
キャビティ120は、上述のように、クラブヘッド全容積の5%から60%の間の容積を有することができる。幾つかの実施形態では、キャビティ120は、クラブヘッド全容積の5%から10%、10%から30%、15%から35%、20%から40%、25%から45%、30%から50%、35%から55%、又は40%から60%の範囲の容積を有することができる。一実施形態では、キャビティ120の容積は、クラブヘッド容積の17%から32%の範囲である。キャビティ120の容積を増大させることにより、本体110の中央領域から重量が排除される。この除かれた重量は、ゴルフクラブヘッド100の周囲に再分配されることができ、ゴルフクラブヘッド100により大きな寛容性を与える。
【0125】
本体110の上部及び下部108、109の高さ、深さ、及び体積は、低位置に配置されたCG60をクラブヘッド100に与える。従って、ゴルフクラブヘッド100は、以下の例3に例示されるように、平坦なリア部を有するゴルフクラブヘッドよりも低いCGを備える。上述のように、ゴルフクラブヘッド100は、0.030インチから0.050インチの範囲で、フラットバックの比較ゴルフクラブヘッドのCGよりも低いCG60を備えることができる。CG60が低いほど、ゴルフクラブヘッド100は、フラットバックゴルフクラブヘッドよりも良好な打ち上げ特性、良好なスピン特性、及び高いボール速度を有する。
【0126】
6)ゴルフクラブヘッドの厚さプロファイル
本体110のリア部103の厚さも、ゴルフクラブヘッド100の重さと、そしてCG位置に影響を及ぼす。この厚さは、リア部103の外表面からキャビティ120内のリア部103の内表面まで測定される。幾つかの実施形態では、本体110のリア部103は、本体110のソール部107の隣においてより厚い。本体110材料の密度に起因して、ソール部107の隣における大きな厚さは、均一なリア部厚さを有するゴルフクラブヘッド本体と比較して、質量を下方に移動させる。
図5の断面図に示すように、本体110のリア部103は、厚さ113を有することができる。リア部の厚さ113は、0.030インチから0.100インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、その厚さ113は、0.030インチ、0.040インチ、0.050インチ、0.060インチ、0.070インチ、0.080インチ、0.090インチ、又は0.100インチであり得る。リア部の厚さ113は、リア部103にわたり一定であることができる。幾つかの実施形態において、リア部の厚さ113は、リア部103にわたり、ヒール部からトウ部の方向及び/又はトップレール部からソール部の方向に変化する。リア部103の厚さ113を変化させることは、ゴルフクラブヘッド100の、ソール部107及びリア部103に向かって質量を移動させるのを助けることができる。質量をソール部107及びリア部103に向かって移すと、CGが下がり、これにより打ち上げ特性が向上され、スピン特性が向上され、ボール速度が増加する。
【0127】
7)本体のキャビティ
図1及び
図5に示すように、本体110は、キャビティ120の外側境界を画定する内周縁127を含むことができる。内周縁127はキャビティ120の周囲を囲む。内周縁127は、トップレール部106、ソール部107、トウ部101、及びヒール部102を内部で境界付ける。内周縁127は、ゴルフクラブヘッド100の外縁の外形に従ってもよい。キャビティ120の内周縁127は、ゴルフクラブヘッド100の縁にできるだけ近接して延在するため、キャビティ120の大きさが最大になる。その結果、低密度インサート140の大きさ及びその重み付けの利点も最大化される。
【0128】
幾つかの実施形態において、描かれてはいないが、内周縁127は、フロントからリア方向に取られたゴルフクラブヘッド100の断面図において、キャビティ120が、フロント部104により近いより大きな領域と、リア部103により近いより小さな領域とを覆うように、緩やかにテーパー状になっている。これらの実施形態では、このテーパー形状により、フロント部104に隣接するより大きな領域が、低密度インサートのより多くの表面積を取り込むことが可能となり、よってそれをフロント部104により近く配置する。低密度インサートのために残される内部キャビティ面積はより小さく、より多くの高密度材料がゴルフクラブヘッド100のリア部103に残される。従って、キャビティ120の成形は、ゴルフクラブヘッド100のリア部103及びソール部107に隣接してより多くの質量を配置することを可能にし、CGを下方及び後方に移動させることができる。
【0129】
8)ゴルフクラブヘッドのキャビティ中の窪み
図1及び
図5に示すように、本体110のフロント部104は、フェースプレート155を受け入れるための窪み(indentation)142をさらに備えている。窪み142は、キャビティ120の前方開口部に接続するが、キャビティ120の一部とはみなされない。窪み142は、ゴルフクラブヘッド100の外形にほぼ追従する周縁143を備え、外形はトップレール部106、トウ部101内の本体の縁部、ソール部107、及びヒール部102に隣接するほぼ垂直な分割線を含むが、これらに限定されない。窪み142の周縁143は、キャビティ120を画定する内周縁127からオフセットされている。窪み142の面積は、周縁143によって境界付けされるように、キャビティ120のフロント部で内周縁127によって外接される領域よりも大きい。窪み142は、後述するように、フェースプレート155の厚さとほぼ同等の深さを有する。
【0130】
フェースプレート155は、窪み142と一致し、キャビティ120内に位置し、窪み142上に載置されている。インサート140(以下に説明する)は、窪み142と同一平面にある容積までキャビティ内に嵌合する。キャビティ120の残りの容積は、窪み142上に置かれるフェースプレート155によって満たされる。併せて、インサート140とフェースプレート155は、キャビティ120の全容積と、ゴルフクラブヘッド100の窪み142とを満たす。インサート140は、窪み142を覆わず、むしろ窪み142と同一平面に位置する。これにより、インサート140は、窪み142上に位置するフェースプレート155と干渉しない。
【0131】
以下に説明する他の実施形態では、インサート140は、窪み142までキャビティ120の容積を満たさず、一部分のみを満たす。また、これらの実施形態は、窪み142上に位置するフェースプレート155と干渉しないインサート140を伴う。
【0132】
B.ゴルフクラブヘッドのインサート
従来の単一材料ツアーアイアンとは対照的に、ゴルフクラブヘッド100は、本体110のキャビティ120内に嵌合する低密度インサート140を備える。
図1に示されるように、インサート140は、キャビティ120内に嵌合するように成形される。インサート140は、上述のように、キャビティ120を完全に充填するか、又は部分的に充填する。幾つかの実施形態において、インサート140は、キャビティ120と壁の形状を共有する。インサート140の形状は、キャビティ120の形状と同一あるいは、ほぼ同一であることができる。インサートがキャビティ120を実質的に充填する実施形態では、インサート140の容積及び他の寸法は、キャビティ120のそれぞれの容積及び他の寸法にほぼ対応する。以下に説明するように、製造公差及びキャビティ120へのテープ及び/又は接着剤の挿入は、キャビティ120と比較して、インサート140がわずかに小さい容積を持つことを必要とし得る。
【0133】
1)多材料(多密度)インサート
図6~9を参照すると、幾つかの実施形態では、インサート140の代わりに多材料インサート440が使用される。多材料インサート440は、インサート140の寸法及び容積と同様の寸法及び容積を備えることができる。多材料インサート440は、異なる密度を有する異なる材料からなる、第1の部分450及び第2の部分460を含むことができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450は低密度部分であり、第2の部分460は重りである。インサート440の低い部分に重量を加えると、ゴルフクラブヘッド100のCG60が下がり、これによって打ち上げ特性が向上され、ボール速度が増加する。CG60を下げるために重量を加えることは、ボール速度を増加させ、ゴルフクラブヘッド100の感触を向上することもできる。他の実施形態では、第1の部分450は振動減衰材料であり、第2の部分460は低密度材料である。振動減衰材料から第1の部分450を形成することは、ゴルフクラブヘッド100の感覚及び音に影響を与え得る。複数の材料からインサート440を形成することによって、ゴルフクラブヘッド100の感覚、音、及び周辺重み付けを変えることができる。
【0134】
上述のように、第1の部分450及び第2の部分460が本体110のキャビティ120内に嵌合するように構成されたインサート440を形成する限り、インサート440は、互いに対して任意の向き又は組み合わせである第1の部分450及び第2の部分460で形成することができる。第1の部分450は、第2の部分460から分離されてもよく、又は単一の多材料インサート440に一体的に形成されてもよい。多材料インサート440、440B、440C、及び440Dの様々な実施形態が、
図6~
図9に示され、以下で説明される。
【0135】
図6を参照すると、インサート440は、第1の部分450と第2の部分460とを備える。インサート440は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120内に適合するように設計されることができる。
図6の断面は、ゴルフクラブヘッド100の中心面45に沿って切り取られている。インサート440の第1の部分450は、フェースプレート155に隣接し、第1の材料を備える。インサート440の第2の部分460は、本体110のリア部103に隣接し、第2の材料を備える。第1の部分450は、第2の部分460と重なる。インサート440の第1の部分450は、フェースプレート155のリア面128に当接するフロント面を備える。第2の部分460は、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460は、第1の部分450のリア面と係合するフロント面を備える。第2の部分460は、ゴルフクラブヘッド100の下部109内のキャビティ120の部分内に閉じ込められる。
【0136】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の部分450、460の一方又は両方の係合する表面は、係合表面積を増大させるために、ほぼ平坦な表面から外に延びる小さい特徴(図示せず)を備える。これらの小さな特徴は、突起、リップ、リブ、フック、又は任意の他の適切な特徴を含み得る。これらの特徴により、第1の部分450は、成形プロセス又は同時成形プロセスを通して第2の部分460上に固定されることが可能になる。
【0137】
ここで
図7~9を参照すると、多材料インサートの3つのさらなる例示的な実施形態が、中心面45に沿ったクラブヘッド100の断面図内に描かれている。多材料インサート440Bの第2の実施形態は、
図7に示すように配置された第1の部分450B及び第2の部分460Bを備える。この実施形態では、第1の部分450Bはインサート440Bの上部を形成し、第2の部分460Bはインサート440Bの下部を形成する。第1の部分450B及び第2の部分460Bの両方は、フェースプレート155と接している。第1の部分450Bは、本体110の上部108内のキャビティ120の部分を充填する。第2の部分460Bは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を充填する。第2の部分460Bは、キャビティ120の内側ソール部の壁全体と接している。
【0138】
多材料インサート440Cの第3の実施形態は、
図8に示すように配置された第1の部分450C及び第2の部分460Cを備える。この実施形態では、第1の部分450Cは、インサート440Cの容積の大部分を含む。第1の部分450Cは、インサート440Cの後端内に部分的に延びる。第2の部分460Cの全体は、第1の部分450Cの後方に位置している。第1の部分450Cは、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ内において、トップレール部106からソール部107までのフェースプレート155に接している。第2の部分460Cは、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460Cは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を部分的に充填し、その部分に完全に配置される。第2の部分460Cは、キャビティ120の内側ソール部の壁及びリア部背壁の一部と係合する。幾つかの実施形態では、第2の部分460Cは、高密度材料から形成される。
【0139】
多材料インサート440Dの第4の実施形態は、
図9に示すように配置された第1の部分450D及び第2の部分460Dを備える。この実施形態では、第1の部分450Dは、インサート440Dの後端内に部分的に延びる。第1の部分450Dは、ロフト面20に対して角度が付けられた平面に沿って、第2の部分460Dと係合する。さらに、第1の部分450Dは、インサート440Dの頂部に隣接する部分よりも、インサート440Dの底部に隣接する部分の方が幅広である。ゴルフクラブヘッド100に関して、第1の部分450Dは、トップレール部106に隣接する部分よりもソール部107に隣接する部分の方が広い。第1の部分450Dは、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120内において、トップレール部106からソール部107まで、フェースプレート155に対して接している。第2の部分460Dは、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460Dは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を部分的に充填し、その部分に完全に配置される。第2の部分460Dは、キャビティ120のリア部背壁と係合する。幾つかの実施形態では、第2の部分460Dは、高密度材料から形成される。多材料インサート440を有するゴルフクラブヘッド100は、インサートがないツアーアイアンに比べて、感触及び音の向上を提供する。
【0140】
多材料インサートを有するゴルフクラブヘッド100のさらに別の実施形態では、図示されないが、第2の部分460、460B、460C、460Dと同様の第2の部分を、主にゴルフクラブヘッド100のトウ部101に配置することができる。これは、以下に説明するトウウェイト161と同様に作用する、トウウェイト効果を提供する。トウウェイトとして作用するインサートの第2の部分を有する実施形態は、外部トウウェイトを必要としない。このことは、トウウェイトでの溶接の必要性が排除することによって、美観の向上と製造の簡素化を可能にする。
【0141】
2)軽量化インサート
いくつかの実施形態では、インサート140の代わりに、軽量化インサート240が採用される。
図10~
図13に示される軽量化インサート240は、インサート140と同様の形状とサイズを有する。換言すれば、軽量化インサート240は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120内に嵌合するように構成されている。軽量化インサート240は、(ゴルフクラブヘッドのトップレール側の)インサート上部250と、(ゴルフクラブヘッドのソール部側の)インサート下部260とに分かれる。インサート上部250は、インサート屈曲継ぎ目245によって、インサート下部260から分離されていてもよい。インサート上部250は中実であってよい。インサート下部260は、インサート240のフロント面241から内側へ延びる凹部269を備えており、それによって、インサート下部260がシェルアウト構造を有するので、インサートの重量が低減される。
【0142】
インサート240は、フロント面241と、リア面242と、周部244と、インサート屈曲継ぎ目245とを備える。インサート240の深さ243は、フロント面241に対して垂直に前後方向で測定することができる。フロント面241はロフト面20にほぼ平行である。いくつかの実施形態では、インサート上部250内のリア面242の一部もロフト面20にほぼ平行である。インサート240の下部260は、インサート上部250よりも大きい深さ243を有する。インサート上部250の最大深さは、インサート下部260の最大深さよりも小さい。いくつかの実施形態では、インサート上部250は、均一な深さ243を有する。インサート上部250とインサート下部260の深さ243の比は、1:3から1:10の範囲であってよい。
【0143】
インサート上部250およびインサート下部260はそれぞれ、ヒール部からトウ部への方向(概して水平方向)で測定される長さを有する。インサート上部の最大長さ248は、インサート下部の最大長さ249より大きくてよい。いくつかの実施形態では、下部260の方が短いのは、ゴルフクラブ100の下部のスペースを占めるトウウエイトが原因である。これらの実施形態では、トウウエイトに起因して、インサートキャビティの下部はインサートキャビティの上部よりも短い。
【0144】
インサート上部250は、中実であり、インサート周部244に囲まれている。インサート上部250の周部は、トップレールエッジ256と、トウ側エッジ251と、ヒール側エッジ252を備える。インサート周部244は、キャビティ120の壁と面一になるように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、ヒール側エッジ251は、より長いインサート上部250をインサート下部260に接続するための屈曲部を有する。インサート上部250は、インサート240のフロント面241の一部を形成している。インサート240のフロント面241は、
図13に図示されるように、クラブヘッドのフェースプレートのリア面に対して隣接する、および/または平坦に配置される。
【0145】
インサート下部260は、後壁263と、トウ端壁261と、ヒール端壁262と、底壁267と、上壁266とを備え、これらは共にインサート240内に凹部269(または、キャビティ)を形成している。いくつかの実施形態では、凹部269は、フェースプレート側でのみ開口しており、キャビティ120の他の壁側では開口していない。いくつかの実施形態では、インサート240に構造的支持を提供するために、凹部269を跨ぐように1つまたは複数のリブ268が存在する。1つまたは複数のリブ268は、フェースにも構造的支持を提供することができる。インサート240がクラブヘッド本体に装着されると、1つまたは複数のリブ268はフェースプレートとほぼ直交するように配向されてよい。1つまたは複数のリブ268は、トップレールからソール部への方向とほぼ平行に配向されてよい。1つまたは複数のリブ268は、ゴルフボールとのインパクト時のクラブの感触または音を変えることができる。いくつかの実施形態では、リブ268の少なくとも1つは、ダイカスト製造法に必要な、ゲート遮断を収容するための丸ペグ遮断点(図示せず)を備えてもよい。他の実施形態では、1つまたは複数のリブ268は、丸ペグ遮断点を必要とせず、遮断されるのに十分な厚さを有する。
【0146】
1つまたは複数のリブ268は、インサート凹部269を複数のセクションまたは1つまたは複数の小凹部に分ける、分離する、および/または分割する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリブ268は、下部260を2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのセクションまたは小凹部に分割する。
図10および
図11に示されるインサートは、5つの凹部セクションに分割されている。
【0147】
下部の凹部269は、インサート240の材料体積を減少させるので、インサート240の重量を減少させる。いくつかの実施形態では、軽量化インサート240の重量を、軽量化凹部を欠く同様のインサートよりも5~10グラム軽くすることができる。いくつかの実施形態では、軽量化インサート240の重量を、軽量化凹部を欠く同様のインサートよりも、5~6g、5.5~6.5g、6~7g、6.5~7.5g、7~8g、7.5~8.5g、8~9g、8.5~9.5g、または9~10g軽くすることができる。いくつかの実施形態では、軽量化インサート240の重量は、軽量化凹部を欠く同様のインサートよりも、約5g、6g、7g、8g、9g、または10g軽くすることができる。例えば、1つの比較では、7番アイアンの軽量化インサートは、上述のゴルフクラブヘッド100に関して説明したような7番アイアンの中実アルミニウムインサートよりも、7.1g軽い。
【0148】
軽量化インサート270の第2の実施形態が
図14~16に描かれている。この実施形態の変形例が
図17に描かれている。軽量化インサート270は、軽量化インサート240と同様である。軽量化インサート270は、フロント面271と、リア面と、周部274と、インサート屈曲継ぎ目275とを備える。軽量化インサート270の深さは、軽量化インサート240の深さと同様であってよい。インサート上部280がインサート屈曲継ぎ目275の上方に画定されており、インサート下部290がインサート屈曲継ぎ目275の下方に画定されている。インサート上部280は、2つ以上の開口部285(または、軽量化ゾーン)を形成する少なくとも1つの接続レール284を備える。2つ以上の開口部285は、インサート270を形成するのに必要な材料を減らすので、インサート270の重量も減らす。
【0149】
周部274は、インサート上部280内で、少なくとも1つの接続レール284を支持するためのフレームを形成している。周部274は、トップレール286と、ヒール端レール282と、トウ端レール281とを備える。ヒール端レール282とトウ端レール281は、トップレール286をインサート下部290に接続している。インサート上部280は、インサート屈曲継ぎ目275においてインサート下部290と一体的に形成されていてもよい。少なくとも1つの接続レール284は、周部フレームの一端から周部フレームの他端まで延びている。少なくとも1つの接続レール284は、トウ部からヒール部への方向、トップレールからソール部への方向、または前述の方向のいずれかと角度をなす方向に延びていてよい。少なくとも1つの接続レール284は、1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、またはそれ以上の接続レール284を備えてよい。
【0150】
インサート上部280は、接続レール284のサブセットを備えてよい。いくつかの実施形態では、接続レール284のサブセットは水平に(概してトウ部からヒール部への方向で)配置されてよい。いくつかの実施形態では、接続レール284のサブセットは、垂直に(概してトップレールからソール部への方向で)配置されてよい。いくつかの実施形態では、水平に配置された接続レール284のサブセットが、垂直に配置された接続レール284のサブセットと交差する。
【0151】
2つ以上の開口部285は、材料を有さない空隙、開口部、凹部、穴、または領域を備えてよい。2つ以上の開口部285は、周部274と少なくとも1つの接続レール284とによって形成される。いくつかの実施形態では、2つ以上の開口部285は、インサート上部280において格子状に配置されている。2つ以上の開口部285を形成するレール284のいくつかは、それらの交点(図示せず)に丸い遮断点を備えてよく、インサート下部290の遮断点(図示せず)と同じ機能を果たす。開口部285のパターンは、インサート270の軽量化に役立つ。
【0152】
第2の軽量化インサート270のインサート下部290は、第1の軽量化インサート240のインサート下部260と同様である。
図14~
図16に描かれている実施形態では、インサートは、下部凹部299を3つの凹部セクションに分割する2つのリブ298を備える。3つの凹部セクションは、凹部299のどちらかの端部に隣接するリブ298の位置によって、不均等な大きさを有してもよい。
図16に描かれている実施形態では、インサート270は、下部凹部299を6つの凹部セクションに分割する5つのリブ298を備える。いくつかの実施形態(図示せず)では、1つまたは複数のゲート遮断点が、1つまたは複数のリブ298と一致するように配置されてもよい。
【0153】
インサート下部の凹部299およびインサート上部の開口部285は、インサート270の材料体積を減少させるので、第2の軽量化インサート270の重量を減少させる。いくつかの実施形態では、第2の軽量化インサート270の重量を、軽量化凹部299および開口部285を欠く同様のインサートよりも5~12グラム軽くすることができる。いくつかの実施形態では、軽量化インサート270の重量を、軽量化凹部299および開口部285を欠く同様のインサートよりも、5~6g、5.5~6.5g、6~7g、6.5~7.5g、7~8g、7.5~8.5g、8~9g、8.5~9.5g、9~10g、9.5~10.5g、10~11g、10.5~11.5g、または11~12g軽くすることができる。いくつかの実施形態では、軽量化インサート270の重量を、軽量化凹部299および開口部285を欠く同様のインサートよりも、約5g、6g、7g、8g、9g、10g、11g、または12g軽くすることができる。
【0154】
3)多材料軽量化インサート
図56~
図71を参照すると、ゴルフクラブヘッドは多材料軽量化インサートを備えてよい。多材料軽量化インサートは、上述した多材料インサート240と軽量化インサート270の特徴を組み合わせたものである。具体的には、インサートは、軽量の第2の材料によって充填される軽量化凹部を備えることで、多材料インサートを形成している。多材料軽量化インサートは、より良い音と感触を提供するとともに、クラブヘッド100の質量特性を改善するために軽量化も提供する。多材料軽量化インサートは、いくつかの実施形態では、フロント開口を介してクラブヘッド100のキャビティ120内に配置されるように構成されており、フロント開口は、その後、フェースプレートによって覆われる。
【0155】
多材料軽量化インサートは、第1部分と第2部分を備える。第1部分は第1の材料からできており、第2部分は第2の材料からできている。第1部分と第2部分は、一体的に形成されてもよいし、別々に形成されてから互いに取り付けられてもよい。第1の材料は第1の密度と第1の硬度を有する。第2の材料は第2の密度と第2の硬度を有する。多くの実施形態では、第1の密度は第2の密度より大きく、第1の硬度は第2の硬度より大きい。この組み合わせにより、硬くて重い第1部分と、軽くて柔らかい第2部分とを有するインサートが形成される。第2の材料が比較的柔らかいことによって、ゴルフボールのインパクト時にクラブヘッドとインサートの振動が減衰され、クラブの音と感触が良くなる。硬くて密度の高い第1部分は、フェースと第2部分が取り付けられるための構造的支持を提供するとともに、第2部分を遮蔽および断熱し、複数の材料からなる一体型インサートを形成する。第1部分と第2部分とでインサートが形成されると、インサートはクラブヘッドのキャビティ120内に配置される。
【0156】
フロント開口を通してインサートをキャビティ内に配置した後、フェースプレートをボディに溶接して、開口を覆ってインサートをキャビティ120内に密閉する。インサートは溶接前に本体内に配置されるので、インサートは、特に溶接線に近接する部分において、溶接温度を受ける。第1部分はさらに、高い溶接温度から第2部分を遮蔽または断熱するのに役立つ。本発明の一態様として、フェースプレートを本体へ溶接する際に第2部分が溶融して損傷してしまうのを防止するために、第2部分が溶接線から十分に離れている、および/または第2部分が断熱または保護されるように第2部分が配置されている、多材料インサートが提供される。第2部分は、周部から離れたより中心に近い位置では、フェースプレートと接触している又は近接しているかもしれない。
【0157】
図56~
図61は、多材料軽量化インサート840の第1の実施形態を示している。この実施形態では、上述したように、インサート840は、第1部分850と第2部分860を備える。第1部分850は、インサート840のソール面846に位置する軽量化凹部869を備える。第1部分850は、凹部869を形成するために材料が除去されているので、インサート840の全体重量を減少させる。凹部869は、より軽量で柔らかい材料である第2部分860を受容することができる。第2部分は第1部分よりも密度が低いので、第2部分860も軽量化の利点を提供する。さらに、第2部分860は、インサート840に振動および減衰の利点を提供するので、インサート840の音および感触を良くする。軽量化多材料インサート840は、質量が小さく、より良い音と感触を与えるインサートを提供する。
【0158】
インサート840は、トップ部849と、トウ部847と、ヒール部848と、リア面842と、フロント面841と、屈曲継ぎ目845とをさらに備える。上述したように、インサートは、インサート840の外面がキャビティ120の内面と補完し合って嵌合するように、クラブヘッドのキャビティ120と補完するまたは適合する形状を有する。
【0159】
図58、
図60、および
図61に示されているように、インサート840の屈曲継ぎ目845は、上述した屈曲継ぎ目と同様に、クラブヘッドをトップ部とボトム部とに分割する。屈曲継ぎ目845は、
図60および
図61に示されているように、インサート840の厚さが薄い部分から厚い部分へ移行するインサート840の箇所に位置している。屈曲継ぎ目845は、ほぼヒール部からトウ部への方向に延びている。さらに、屈曲継ぎ目845は、インサート840のヒール部848よりもインサート840のトウ部847において屈曲継ぎ目845がソール面846から遠くに位置するように、インサート840のソール面846に対して傾斜している。
【0160】
凹部869は、インサート840のソール面846に位置し、インサートのトップ部849に向かって上方に延びている。凹部869は、内側に向かって延び、インサート840の屈曲継ぎ目845で終端する。凹部869は、インサートのフロント面841に隣接するフロント内壁と、インサートのリア面842に隣接するリア内壁と、屈曲継ぎ目845に隣接する内底壁とによって画定することができる。この実施形態では、凹部869は、屈曲継ぎ目845を超えてインサート840のトップ部まで延在しておらず、凹部869全体が、ボトム部内に収まっている。同様に、凹部869の底部は、屈曲継ぎ目845の角度と同様の角度を有する。換言すれば、トップ部からボトム部への方向で測定される凹部869の深さは、変化する。凹部869は、凹部869の最大深さである第1の深さ843と、凹部869の最小深さである第2の深さ853とを有する。凹部869の深さは、第1の深さ843から第2の深さ853に向かって徐々に減少する。第1の深さ843は凹部869の最もトウ側の部分に位置し、第2の深さ853は凹部869の最もヒール側の部分に位置する。他の実施形態では、凹部の深さは、ほぼ一定であってもよいし、凹部の長さに沿って変化してもよい。凹部869の深さによって、第2の材料の体積を増やせるので、達成される軽量化の量を多くすることができる。さらに、凹部869の深さによって、第2の材料の体積を増やせるので、全体的な振動特性が改善される。
【0161】
図示の実施形態では、第1の深さ843は約0.95インチの深さを有する。他の実施形態では、第1の深さ843は、約0.6インチ~1.35インチの範囲の深さを有してよい。例えば、第1の深さ843は、0.6インチ~0.7インチの範囲、0.7インチ~0.8インチの範囲、0.8インチ~0.9インチの範囲、0.9インチ~1.00インチの範囲、1インチ~1.1インチの範囲、1.1インチ~1.2インチの範囲、または1.2インチ~1.35インチの範囲の深さを有してよい。
【0162】
図示された実施形態では、第2の深さ853は0.4インチの深さを有する。他の実施形態では、第2の深さ853は、約0.1インチ~0.75インチの範囲の深さを有してよい。例えば、第2の深さ853は、0.1インチ~0.2インチの範囲、0.2インチ~0.3インチの範囲、0.3インチ~0.4インチの範囲、0.4インチ~0.5インチの範囲、0.5インチ~0.6インチの範囲、または0.6インチ~0.75インチの範囲の深さを有してよい。
【0163】
図示された実施形態では、凹部869は約1.2立方インチの体積を有する。他の実施形態では、凹部869は、0.9立方インチ~1.55立方インチの間の体積を有してよい。いくつかの実施形態では、凹部869の体積は、約0.90立方インチ~1.00立方インチの間、1.00立方インチ~1.15立方インチの間、1.15立方インチ~1.35立方インチの間、1.25立方インチ~1.45立方インチの間、1.35立方インチ~1.55立方インチの間、1.20立方インチ~1.30立方インチの間、1.30立方インチ~1.40立方インチの間、または1.40立方インチ~1.50立方インチの間であってよい。
【0164】
第1部分850は、フェースプレートをボディに溶接する際の熱から第2部分860を遮蔽または断熱するのに役立つ。第1部分850は、熱影響領域において、アルミニウムなどの金属タイプの材料といった、溶接からの温度に耐えることができる材料から作られている。第2部分860は、溶接プロセス中に第2部分860が受ける温度を回避および低減するために、溶接線および熱影響領域から離れて配置されてよい。
【0165】
インサート840は、クラブヘッドがフェースプレート、本体、およびインサート840を備える最終的なクラブヘッドアセンブリに使用されてよい。フェースプレート、ソール部、リア部、およびトップレールはキャビティを囲んでおり、インサート840はキャビティ内に受容される。フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有する。本体は、第2の密度の第2の材料を有する。インサート840は、第3の密度の第3の材料を有する。インサート840は、第4の密度の第4の材料(すなわち、上述の第2部分860)を受容するように構成された凹部869をさらに備える。第4の密度は第3の密度より小さい。第3の密度は、第2の密度および第1の密度よりも小さい。
【0166】
図62および
図63は、多材料軽量化インサート940の第2の実施形態を示す。この実施形態では、前述のように、インサート940は、第1部分950と第2部分960とを備える。インサート840と同様に、インサート940は軽量化凹部969を備える。しかし、凹部969は、凹部969がインサート940のリア面942に位置する点で、凹部869とは異なる。凹部969は、インサートから材料を除去し、インサート940の全体重量を減少させる。凹部969は、第2部分960を受容するように構成されている。第2部分960は、ゴルフボールとのインパクト時にインサート940の振動を低減するのに役立つ軽量材料である。凹部969と第2部分960は一緒に、多材料軽量化インサート940を提供する。
【0167】
上述したように、凹部969は、インサート940のリア面942に位置し、インサート940のフロント面に向かって前方に延びている。この実施形態では、凹部969はインサート940のフロント面を貫通して延びていない。凹部969は、インサート940の周部に沿って延びる周部領域944によって画定されてよく、さらに、フロント面941に隣接する底壁によって画定されてよい。周部領域944は、凹部969を取り囲む厚さの大きい領域である。周部領域944は、第1部分950によって形成されている。周部領域944は、インサート940のリア面942の一部を形成している。凹部969は、第2部分960を受容するように構成されている。
【0168】
第2部分960は、凹部969を充填し、インサート940のリア面942の一部を形成する。第2部分960は、周部領域944と面一になる。第1部分950の周部領域944と第2部分960とは一緒になって、インサート940のリア面942を形成する。リア面942は、本体110のキャビティ120と補完的な形状を有する。
【0169】
凹部969は、インサートの周縁からオフセットされ、そのオフセットはインサートの周縁から凹部を画定する周部領域944の内縁までで測定される。このオフセット距離は、フェースプレートが溶接されるときに、溶接の熱から第2部分960を遮蔽し断熱するのを助ける。オフセット距離は、0.05インチ~0.55インチの範囲であってよい。例えば、オフセット距離は、0.05インチ~0.15インチの範囲、0.15インチ~0.25インチの範囲、0.25インチ~0.35インチの範囲、0.35インチ~0.45インチの範囲、0.45インチ~0.55インチの範囲であってよい。
【0170】
図示の実施形態では、凹部969は約1.3ccの体積を有する。他の実施形態では、凹部969は、0.9立方インチ~1.75立方インチの範囲の体積を有してよい。いくつかの実施形態では、凹部969の体積は、約0.90立方インチ~1.00立方インチの間、1.00立方インチ~1.15立方インチの間、1.15立方インチ~1.35立方インチの間、1.25立方インチ~1.45立方インチの間、1.35立方インチ~1.55立方インチの間、1.20立方インチ~1.30立方インチの間、1.30立方インチ~1.40立方インチの間、1.40立方インチ~1.50立方インチの間、1.50インチ~1.60インチの間、または1.60インチ~1.75インチの間であってよい。
【0171】
第2部分960は、インサート940の周部に近接して位置する溶接線の熱影響領域から離れて配置される。第2部分960は、インサート940の周部から十分な距離だけオフセットされている。第2部分960のオフセット距離は、上述した周部領域のオフセット距離と同様である。さらに、第1部分950は、溶接線と第2部分960との間に位置し、第2部分960に対する遮蔽体および/または断熱体として機能する。
【0172】
インサート940は、クラブヘッドがフェースプレート、本体、およびインサート940を備える最終的なクラブヘッドアセンブリに使用されてよい。フェースプレート、ソール部、リア部、およびトップレールはキャビティを囲み、インサート940はキャビティ内に受容される。フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有する。本体は、第2の密度の第2の材料を有する。インサート940は、第3の密度の第3の材料を有する。インサート940は、第4の密度の第4の材料(すなわち、上述の第2部分960)を受容するように構成された凹部969をさらに備える。第4の密度は第3の密度より小さい。第3の密度は、第2の密度および第1の密度よりも小さい。
【0173】
図64~
図66は、多材料軽量化インサート1040の第3の実施形態を示す。この実施形態では、前述のように、インサート1040は、第1部分1050と第2部分1060とを備える。インサート940と同様に、インサート1040は、リア面1042に位置する軽量化凹部1069を備える。しかしながら、インサート1040は、凹部1069が、インサート1040のフロント面1041を貫通する開口1070をさらに備える点で、インサート940とは異なる。凹部1069は、インサート1040から材料を除去し、インサート1040の全体重量を減少させる。凹部1069は、第2部分1060を受容するように構成されている。第2部分1060は、ゴルフボールとのインパクト時にインサート1040の振動を低減するのを助ける軽量材料である。凹部1069と第2部分1060とは一緒になって、多材料軽量化インサート1040を提供する。
【0174】
上述したように、凹部1069は、インサート1040のリア面1042に位置し、インサート1040のフロント面1041に向かって前方に延びている。この実施形態では、凹部1069は、インサート1040のフロント面1041を貫通する開口1070を備える。凹部1069は、インサート1040の周部に沿って延びる周部領域1044によって画定することができる。周部領域1044は、凹部1069を取り囲む厚さが大きい領域である。周部領域1044は、第1部分1050によって形成されている。周部領域1044は、インサート1040のリア面の一部を形成している。凹部1069および開口1070は、第2部分1060を受容するように構成されている。
【0175】
開口1070は、第2部分1060が開口1070を通ってインサート1040のフロント面1041を越えて突出することができるように構成されている。第2部分1060の突出部1080は、突出部1080がフロント面1041と面一にならないように、インサート1040のフロント面1041から外側へ延びている。フェースプレートが本体に固定されるとき、突出部1080は、フェースプレートのリア面に当接するように構成されており、フェースプレートのリア面に押し付けられる。突出部1080は、フェースプレートの振動を減衰させ、全体的な音と感触を良くするのに役立つ。突出部1080はさらに、耐久性を向上させるためにフェースに構造的支持を提供できるので、打撃面を薄くすることができる。図示の実施形態における突出部1080は、フェースプレートのほぼ幾何学的中心と接触するように構成されている。他の実施形態では、突出部1080は、理想的なインパクト位置と接触するように構成されてよい。突出部1080の位置は、インサート1040の周部からオフセットされているので、溶接線から十分な距離を隔てて位置しており、溶接からの熱をほとんどまたは全く受けない。同様に、第1部分1050が第2部分1060とフェースプレートとの間に配置されるので、第1部分1050の周部は第2部分1060を溶接の熱から遮蔽し断熱するのに役立つ。
【0176】
図示の実施形態では、突出部1080は、インサート1041のフロント面から、約0.020インチの距離だけ外側へ垂直に延びている。他の実施形態では、突出部1080は、0.010インチ~0.110インチの範囲の距離だけ外側へ延びている。例えば、突出部1080は、0.010インチ~0.030インチの範囲、0.030インチ~0.050インチの範囲、0.050インチ~0.070インチの範囲、0.070インチ~0.090インチの範囲、0.090インチ~0.110インチの範囲の距離だけ外側へ延びていてよい。
【0177】
開口1070および突出部1080は、正面から見ると、角が丸みを帯びたほぼ正方形の形状をしている。他の実施形態では、開口1070および突出部1080のサイズおよび形状は、望ましい減衰特性を提供するように、様々であってよい。例えば、開口1070および突出部1080は、円形、三角形、楕円形、または任意の他の形状であってよい。
【0178】
図示の実施形態では、突出部1080は平坦な突出面を有する。他の実施形態では、突出部は、丸みを帯びた突出面、複数の突出面、または他の形状を有してよい。
【0179】
図示の実施形態では、突出部は約0.0529平方インチの表面積を有する。他の実施形態では、突出部は、0.025平方インチ~3平方インチの範囲の表面積を有してよい。例えば、突出部は、約0.025平方インチ~0.1平方インチの範囲、0.1平方インチ~0.5平方インチの範囲、0.5平方インチ~0.9平方インチの範囲、0.9平方インチ~1.4平方インチの範囲、1.4平方インチ~1.9平方インチの範囲、または1.9平方インチ~2.4平方インチの範囲、または2.4平方インチ~3平方インチの範囲の表面積を有してよい。
【0180】
インサート1040は、クラブヘッドがフェースプレート、本体、およびインサート1040を備える最終的なクラブヘッドアセンブリに使用されてよい。フェースプレート、ソール部、リア部、およびトップレールはキャビティを囲み、インサート1040はキャビティ内に受容される。フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有する。本体は、第2の密度の第2の材料を有する。インサート1040は、第3の密度の第3の材料を有する。インサート1040は、第4の密度の第4の材料(すなわち、上述の第2部分1060)を受容するように構成された凹部1069をさらに備える。第4の密度は第3の密度よりも小さい。第3の密度は、第2の密度および第1の密度よりも小さい。
【0181】
図67は、突出部1180を有するインサート1140の第4の実施形態を示す。インサート1140は、インサート1040と類似している。インサート1140とインサート1040との違いは、インサート1140が、インサート1040の突出部1080とは異なる形状およびサイズの突出部1180を備える点である。
図67に図示された実施形態では、突出部1180は、インサート1140のフロント面の形状と補完的な不規則な形状をとる。突出部1180は、インサート1140のフロント面の周部からオフセットした周縁を有する。突出部の周縁は、フェースプレートが本体に溶接される際に溶接線からの熱の増加を避けるように、十分にオフセットされている。
【0182】
図68~
図70は、多材料軽量化インサート1240の第5の実施形態を示している。この実施形態では、前述のように、インサート1240は、第1部分1250と第2部分1260とを備える。インサート840、940、1040、1140と同様に、第1部分1250は軽量化凹部1269を備える。しかしながら、インサート1240は、インサート1240のフロント面1241に位置する凹部1269を備える点で、インサート840、940、1040、1140とは異なる。凹部1269には第1部分1250の材料がなく、インサート1240の全体的な重量を軽減している。凹部1269は、第2部分1260を受容するように構成されている。第2部分1260は、ゴルフボールとのインパクト時にインサート1240の振動を低減するのを助ける軽量材料である。凹部1269と第2部分1260とは一緒になって、多材料軽量化インサート1240を提供する。
【0183】
凹部1269は、インサート1240のフロント面1241に位置しており、インサート1240のリア面1242に向かって後方へ延びているが、インサートのリア面を貫通していない。図示の実施形態およびいくつかの実施形態では、凹部1269は、リブ1290によって一連の小さな凹部に分割されている。インサート1240は、4つのリブ1290によって5つの小さな凹部1269に分割されている。他の実施形態では、小さな凹部の数は、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれ以上であってもよい。
【0184】
リブ1290は、ほぼトップ部からボトム部への方向へ延びており、隣接するリブに概ね平行である。リブ1290は、インサートの構造的補強として機能するとともに、第2部分1260が取り付けられる表面積を大きくすることができる。
【0185】
凹部1269は、屈曲継ぎ1245の下方の凹部ボトム部内にのみ収まっているという点で、凹部869と同様である。屈曲継ぎの角度に起因して、凹部の高さは、ヒール側からトウ側に向かうにつれて漸増する。同様に、凹部の体積も、ヒール側からトウ側に向かうにつれて大きくなる。
【0186】
インサート1240は、クラブヘッドがフェースプレート、本体、およびインサート1240を備える最終的なクラブヘッドアセンブリに使用されてよい。フェースプレート、ソール部、リア部、およびトップレールはキャビティを囲み、インサート1240はキャビティ内に受容される。フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有する。本体は、第2の密度の第2の材料を有する。インサート1240は、第3の密度の第3の材料を有する。インサート1240は、第4の密度の第4の材料(すなわち、上述の第2部分1260)を受容するように構成された凹部1269をさらに備える。第4の密度は第3の密度よりも小さい。第3の密度は、第2の密度および第1の密度よりも小さい。
【0187】
第1部分850、950、1050、1150、1250および第2部分860、960、1060、1160、1260は、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、エラストマー、ポリマーマトリックス複合材料、他の任意の適切な低密度材料、または本体110の材料よりも低い他の任意の適切な密度材料などの材料から構成されてよい。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、または高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金であってよい。ポリマーマトリックス複合材料は、ガラス充填エラストマー、ステンレス鋼充填エラストマー、タングステン充填エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、またはその他のエラストマーマトリックス複合材料、Kevlar(登録商標)(アラミド)繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、または適切な樹脂と適切な強化繊維の任意の組み合わせであってよい。ポリマーマトリックス複合材料は、エラストマーマトリックス複合材料であってよい。いくつかの実施形態において、金属材料は、鋼系材料、チタン系材料、アルミニウム合金、チタン合金、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。鋼系材料は、17-4PHステンレス鋼、431、455、475、C300、マルエージング鋼、または他のタイプのステンレス鋼であってよい。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、または高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金であってよい。チタン合金は、Ti-9S、Ti-6-4、Ti-15-3-3-3であってよい。チタン合金は、α-βチタン合金であってよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、第1部分850、950、1050、1150、1250は、1.5g/cc~3.0g/ccの間の密度を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金で作られていてよい。第2部分860、960、1060、1160、1260は、0.5g/cc~1.4g/ccの間の密度を有するエラストマー、ポリマー、または耐熱シリコンで作られていてよい。
【0189】
4)ゴルフクラブヘッドのインサートで充填されたキャビティの容積
上述のように、インサート140は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120を完全に又は部分的に充填することができる。インサート140は、80%から100%の範囲のキャビティ120の容積を充填することができる。幾つかの実施形態では、インサート140は、80%から85%、85%から90%、90%から95%、95%から100%、80%から90%、又は90%から100%の範囲のキャビティ120の容積を充填することができる。従来の中空ボディアイアンとは異なり、ゴルフクラブヘッド100は完全に空気で充填されたキャビティを備えていない。むしろ、キャビティ120は少なくとも部分的にインサート140で充填される。
【0190】
図6~9を参照すると、インサート440のような多材料インサートを有する実施形態では、第1の部分450は、キャビティ120の大部分を充填することができる。第2の部分460は、キャビティ120の残りの部分を充填することができる。幾つかの実施形態では、図示されないが、第1及び第2の部分は、共に、キャビティ120を部分的にしか充填しない。多材料インサート440を有する実施形態では、第1の部分450は、20%から90%の範囲のキャビティの容積を充填することができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450は、20%から30%、30%から40%、40%から50%、50%から60%、60%から70%、70%から80%、又は80%から90%の範囲を充填することができる。第2の部分460は、キャビティ120の容積の10%から80%の範囲を充填することができる。幾つかの実施形態では、第2の部分460は、10%から20%、20%から30%、30%から40%、又は40%から50%の範囲を充填することができる。
【0191】
第1及び第2の部分450、460は、以下で詳細に説明するように、異なる密度を有する異なる材料で形成されるため、第1及び第2の部分450、460の体積は、ゴルフクラブヘッド100の全体的な重量に影響を及ぼす。ゴルフクラブヘッドの設計では、多くの設計パラメータが一緒に考慮されなければならない。複数の材料からインサートを形成することにより、周囲の重みを増し、CGを下げるように、質量配置を制御することができ、打ち上げ特性の向上とボール速度の高速化につながる。
【0192】
5)ゴルフクラブヘッドのインサートと組み合わされたテープ層
幾つかの実施形態では、テープ層150は、インサート140と打撃面111との間のキャビティ120内に配置される。
図19に見られるように、テープ層150は、インサート140とフェースプレート155との間に挟まれる。インサート440のような多材料インサートを有するゴルフクラブヘッドの実施形態は、同様に、第1の部分450とフェースプレート155との間、又はインサート440の第1の部分450と本体110との間にテープ層150を備えることができる。ゴルフクラブヘッド100内では、インサート140は本体110内に嵌合し、テープ層150はインサート140上に任意に載置することができ、フェースプレート155はテープ層150を覆い、本体110の窪み142を充填する。
【0193】
図示されていない幾つかの実施形態では、第2のテープ層は、キャビティ120内で本体110のリア部103の内側表面と同一平面に位置することができる。第2のテープ層は、本体110のリア部103とインサート140との間に挟むことができる。幾つかの実施形態では、第3のテープ層は、キャビティ120の底部に面一に位置することができる。第3のテープ層は、本体110のソール部107とインサート140との間に挟まれることができる。ゴルフクラブヘッド100は、第1のテープ層150、第2のテープ層、及び第3のテープ層のうちの一つ又は複数を備えることができる。
【0194】
テープ層150、第2のテープ層、又は第3のテープ層は、極高結合性(very high bond)(以下、「VHB」)テープ等の材料を含むことができる。VHBテープは、最初に設けられたときのテープ層150の元の厚さ(打撃面111に対して直交して測定される)が、組み立てられたゴルフクラブヘッド100内の圧縮されたテープ層の厚さよりも大きいように、圧縮性である。第2及び第3のテープ層は、同様に圧縮可能であってもよい。一つ又は複数のテープ層の圧縮性の性質は、本体110とインサート140との間の製造公差によって生じるがたつきの可能性を低減する。さらに、この一つ又は複数のテープ層は、ゴルフクラブヘッド100の感覚及び音に積極的に影響を与えるだけでなく、振動減衰を提供することができる。
【0195】
C.ゴルフクラブヘッドのフェースプレート
完全なゴルフクラブヘッド100は、本体110、インサート140、及びフェースプレート155の組み合わせによって形成される。本体110は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104にキャビティ120の開口部を備える。開口部は、キャビティ120及びインサート140を完全に囲むように、フェースプレート155によって覆われている。
図2及び
図3に示すように、キャビティ120及びインサート140は、インサート140がキャビティ120内に配置されたとき、ゴルフクラブヘッド100の外側からは見えない。ゴルフクラブヘッド100内にインサート140を隠すことにより、ゴルフクラブヘッド100の外観は、従来のツアーアイアンの外観に類似することができる。
【0196】
従って、本体110のフロント部104の一部とフェースプレート155が打撃面111を形成する。打撃面111は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104の表面積の70%から95%の範囲を覆うことができる。幾つかの実施形態では、打撃面111は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部の表面積の70%から80%、75%から85%、80%から90%、又は85%から95%の範囲を覆うことができる。さらに、打撃面111のフロント面は、一つ又は複数の溝を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、その溝は、フェースプレート155の縁部を越えて本体110の一部の上に延在する。
【0197】
フェースプレート155は、以下に説明するように、本体110とは異なる材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155の材料は、本体110の材料よりも強い。フェースプレート155の材料の利益を活用するために、打撃面111の大部分は、フェースプレート155によって形成される。フェースプレート155は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104の表面積の50%から95%の範囲を形成することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、打撃面111の表面積の50%から60%、60%から70%、70%から80%、80%から90%、又は85%から95%の範囲を形成することができる。インサート140がフェースプレート155をしっかりと支持するので、フェースプレート155及び打撃面111の本体110部分は、異なる材料を有するにもかかわらず、両方とも、しっかりとした感触を与える。本体110、インサート140、及びフェースプレート155はすべて、ゴルフクラブヘッド100がフェースプレート155の様々な領域上でゴルフボールに衝突したときに、ゴルフクラブヘッド100の一貫した感触及び音に寄与することができる。
【0198】
1)フェースプレートのその他の特性
インサート140によってフェースプレート155に提供される支持は、薄いフェースプレート155がゴルフクラブヘッド100において使用されることを可能にする。
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100のフェースプレート155は厚さ112を有する。厚さ112は、0.030インチから0.100インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、0.030インチ、0.040インチ、0.050インチ、0.060インチ、0.070インチ、0.080インチ、0.090インチ、又は0.100インチとすることができる。フェースプレートの厚さ112は、フェースプレート155にわたって一定であることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、ヒール部からトウ部の方向、又はトップレール部からソール部の方向に変化することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、フェースプレート155の中心から半径方向に変化することができる。
【0199】
他の実施形態では、フェースプレート155は、可変厚さ領域をさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155の中央領域は、フェースプレート155の周辺領域よりも厚くすることができる。幾つかの実施形態では、厚くなった中央領域は、楕円形を有することができる。フェースプレート155の厚さは、フェースプレート155の中心部から周縁部に向かってテーパー状となることができる。
【0200】
D.ゴルフクラブヘッドの他の周辺重み付け(チップウェイト、トウウェイト)
ゴルフクラブヘッド100は、インサート140及び本体110によって提供される周辺重み付け及びスイング特性に加えて、他の周辺タイプの重みをさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、チップウェイト160をさらに備えることができる。チップウェイト160は、ホーゼル105とゴルフクラブシャフトとの間の接合部に嵌合するウェイトである。チップウェイト160は、クラブヘッド100に付加的な周辺重み付けを与える。
図20に示すように、チップウェイト160は、本体110のホーゼル105内に嵌合する。チップウェイト160は、円筒形、球形、立方体形、又は任意の他の適切な形状とすることができる。チップウェイト160は、
図20に示されているよりもホーゼル105内でより高い、又はより低い位置にあってもよい。
【0201】
図1及び
図20に示すように、ゴルフクラブヘッド100の本体110は、トウキャビティ114をさらに備えることができる。トウキャビティ114は、トウウェイト161を収容するように設計されており、このトウウェイトは、ゴルフクラブヘッド100の周辺重み付け及びスイング特性を向上する。
図3及び4は、トウウェイト161が取り付けられたトウキャビティ114を示している。
図20は、トウキャビティ114から取り外されたトウウェイト161を示している。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、部分的にソール部107内に配置され、部分的にトウ部101内に配置される。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、ゴルフクラブヘッド100のトウ部101内に完全に位置し、ソール部107に隣接する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、ソール部107内に完全に位置し、トウ部101に隣接する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、完全にトウ部101内に位置する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、トウ部101の中央に位置し、トップレール部106とソール部107との間のほぼ半分である。
【0202】
幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、クラブヘッド100の本体110の背面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110の背面図からは見えない。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のトウ側面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のトウ側面図からは見えない。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のソール側面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のソール側面図からは見えない。
図1~
図13の実施形態では、トウキャビティ114は、背面図、ソール側面図、及びトウ側面図から見ることができる。
【0203】
トウウェイト161は、本体110のトウキャビティ114の外形に一致するように形成されている。トウウェイト161の外壁は、ゴルフクラブヘッドの本体110の曲線に沿って設計されている。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の質量は、本体110の質量の5%から45%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の質量は、本体110の質量の5%から20%、5%から15%、10%から20%、15%から25%、20%から40%、20%から30%、30%から40%、又は35%から45%の範囲とすることができる。
【0204】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100の本体110は、図示されていないが、トウ部101にトウスクリューウェイトポートをさらに備えることができる。ゴルフクラブヘッド100は、スクリューウェイトポート内に嵌合するトウスクリューウェイトをさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、トウスクリューウェイトは、後述するように、2グラムから15グラムの範囲の重量を備えることができる。ゴルフクラブヘッド100をゴルファーのスイングに合わせてカスタマイズするために、一つの重量値を有するスクリューウェイトを、異なる重量値を有する異なるスクリューウェイトと交換することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、インサートと、トウウェイト、チップウェイト、およびトウスクリューウェイトを含む上述のウェイトとの組み合わせがある。他の実施形態は、トウウェイト、チップウェイト、トウスクリューウェイトのうちの1つまたは複数と組み合わせられた多材料インサートを備えてよい。さらに他の実施形態は、トウウェイト、チップウェイト、トウスクリューウェイトのうちの1つまたは複数と組み合わせられた軽量化インサートを備える。例えば、いくつかの実施形態では、軽量化インサートと、チップウェイトと、トウスクリューウェイトとを備える。
【0206】
図71は、本発明の態様によるゴルフクラブヘッド1300の例示的な実施形態を示す。具体的には、ゴルフクラブヘッドは、フェースプレート1355と、本体1310と、トウスクリュー1362と、トウウエイト1370と、チップウエイト1360と、多材料軽量化インサート1240とを備える。トウスクリュー1362と、トウウエイト1370と、チップウエイト1360は併用されて、改善された周辺重み付けを提供し、クラブヘッド1300のMOIを大きくする。多材料軽量化インサート1240は、凹部および軽量の第2部分が使用されていることによって、重量が軽い。多材料軽量化インサート1240は、約2~10グラムの質量削減を提供することができる。インサート1240は、トウスクリュー1362、トウウエイト1370、およびチップウエイト1360により多くの質量を配置することを可能にすることによってクラブヘッド1300のMOIを改善するだけでなく、第2部分の減衰特性によってクラブヘッドの音および感触も改善する。
【0207】
図71に示されているように、トウウェイト1370は、本体1310のキャビティ内に位置する凹部1330に受容されるように構成されている。凹部1330は、キャビティの内面から後方へ打撃面から離れるように延びており、キャビティからリア面までの距離の一部だけを延びていてよい。凹部1330は、トウウェイト1370が凹部1330内に配置される前に、本体の形成中に機械加工で除去されるかまたは一体的に形成されてよい。トウウェイト1370は、凹部1330と補完的な形状を有してよい。トウウェイト1370は、タングステン、または、好ましくは本体1310の材料よりも重い他の任意の適切な材料から作られていてよい。トウウェイト1370はさらに、質量を有してよい。この質量は、15グラム~30グラムの間であってよい。いくつかの実施形態では、質量は、15グラム~20グラムの間、20グラム~25グラムの間、または25グラム~30グラムの間であってよい。トウウエイト1370は、クラブヘッドの周部により多くの質量を分配することによって、クラブヘッドのMOIおよび他の質量特性を向上させ、全体的な性能を向上させ、クラブヘッドの寛容性を高める。
【0208】
上述したように、トウスクリューウェイト1362は、クラブヘッドのトウ部に位置するねじ穴に受容されるように構成されている。トウスクリューウェイト1362は取り外し可能にクラブヘッドに取り付けられるので、ユーザは、トウスクリューウェイト1362を質量の異なるトウスクリューウェイト1362と交換して、クラブヘッドのスイング重量およびバランスを調整することができる。トウスクリューウェイト1362はさらに、クラブヘッドの周部により多くの質量を分配することによってクラブヘッドの全体的なMOIを向上させるのに役立ち、全体的な性能を向上させ、クラブヘッドの寛容性を高める。
【0209】
図示の実施形態では、トウウエイト1370は、別個に形成され、その後、フェースプレート1355が本体に固定される前に凹部1330内に配置される。他の実施形態では、トウウエイト1370は、製造工程中に、フェースプレートが取り付けられる前に、クラブヘッド1300の本体1310と一体的に形成されてもよい。トウウエイト1370は、所定の位置にエポキシで固定されてもよいし、凹部に加締めされてもよい。スクリュードライバーまたは他の工具を使用して取り外し可能なトウスクリューウィエイト1362とは異なり、トウウェイト1370は、フェースプレート1355が本体1310に溶接されると、凹部1330内に恒久的に配置される。
【0210】
チップウェイト1360は、本体1310のホーゼル穴に受容されるように構成されている。トウスクリューウェイト1362と同様に、チップウェイト1360は、クラブヘッドのスイング重量および全体的なバランスを調整するために使用される。チップウェイト1360は、シャフトがホーゼル穴に挿入される前に、ホーゼル穴内に配置される。そのため、チップウェイト1360は、ホーゼル穴の底部とシャフトの端部の間に配置される。シャフトとシャフトのエポキシが、チップウェイト1360をホーゼル穴内に固定する。しかしながら、トウスクリューウェイト1362とは異なり、クラブが組み立てられた後でチップウェイト1360を調節することはできない。トウスクリューウェイト1362は、1グラム~20グラムの範囲の質量を有してよい。例えば、トウスクリューウェイトは、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、または20グラムであってよい。
【0211】
ゴルフクラブヘッド1300は、トウウエイト1370、トウスクリューウエイト1362、およびチップウエイト1360などの周辺重み付けを用いることで、より良い質量特性を有する。多材料軽量化インサート1240を使用することで、周辺重み付けを増やすことができる。各部品の重み付けは、組み立てが完了したクラブの適切なバランスと重み付けを提供するために調整されてよい。多材料軽量化インサートは、軽量材料によって削り取られる少なくとも一つの軽量化凹部を備える。軽量材料は、インサートを軽量に維持しつつ、ゴルフボールとのインパクト時にインサートとクラブヘッドの振動を減衰させ、インサートの音と感触を良くする。トウウエイト1370、チップウエイト1360、トウスクリューウエイト1362、およびインサート1240は一緒になって、音、感触、およびバランスがより良い高MOIのクラブヘッドを作り出す。
【0212】
E.材料
本体110、インサート140、及びフェースプレート155を形成する材料は、ゴルフクラブヘッド100の質量分布に影響を及ぼす。その結果、ゴルフクラブヘッド100のMOI及びCGも、材料の密度の影響を受ける。さらに、これらの材料は、ゴルフクラブヘッド100に必要な強度及び柔軟性を提供する。ゴルフクラブヘッド100は、一つ以上、二つ以上、三つ以上、又は四つ以上の材料を含む。幾つかの実施形態では、それらの材料は、第1の密度、第2の密度、第3の密度、第4の密度、第5の密度、又は第6の密度であってもよい。
【0213】
幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、第1の密度を有する第1の材料を含むことができる。本体110は、第2の密度を有する第2の材料を含むことができる。インサート140は、第3の密度を有する第3の材料を含むことができる。第3の密度は、第1の密度及び/又は第2の密度よりも小さくすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、本体110と同じ材料(従って、同じ密度)とすることができる。上述したように、幾つかの実施形態では、インサート440は、互いに異なる密度であり、フェースプレート155及び/又は本体110の材料にわたって異なるか又は同じであり得る、二つあるいはそれ以上の材料を含むことができる。
【0214】
1)本体材料
本体110は、鋼、鋼合金、又は任意の他の適切な材料等の材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、本体110は、フェースプレート155及びインサート140に渡って異なる密度の材料を含むことができる。材料は、鋼ベース材料及び鋼合金からなる群から選択される材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、本体材料は、8620炭素鋼とすることができ、これは、鉄と、約0.17~0.23重量%の炭素と、約0.15~0.35重量%のケイ素と、約0.60~0.90重量%のマンガンと、約0.15~0.30重量%のモリブデンと、約0.40~0.70重量%のニッケルと、約0.40~0.65重量%のクロムと、約0.040重量%のリンと、微量の他の元素とを含む。幾つかの実施形態では、本体材料は、300グレード鋼とすることができ、鉄と、約18~19重量%のニッケルと、約8.5~9.5重量%のコバルトと、約4.6~5.2重量%のモリブデンと、約0.5~0.8重量%のチタンと、約0.05~0.15重量%のアルミニウムと、微量の他の元素とを含む。幾つかの実施形態では、本体材料は、マルエージング鋼とすることができ、鉄と、約17~19重量%のニッケルと、約8~12.5重量%のコバルトと、約3.0~5.2重量%のモリブデンと、約0.15~1.6重量%のチタンと、約0.05~0.15重量%のアルミニウムと、微量の他の元素とを含む。本体110材料の密度は、1立方センチメートル当たり7.70から8.10グラム(以下、「g/cc」)の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、本体材料の密度は、7.70g/cc、7.75g/cc、7.80g/cc、7.85g/cc、7.90g/cc、7.95g/cc、8.05g/cc、又は8.10g/ccとすることができる。一実施形態では、本体材料の密度は7.85g/ccである。
【0215】
2)インサート材料
インサート140は、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、エラストマー、ポリマーマトリックス複合材料、任意の他の適切な低密度材料、又は本体110材料よりも低密度である任意の他の適切な密度材料等の材料を含む。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、又は高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金とすることができる。ポリマーマトリックス複合体は、ガラス充填エラストマー、ステンレス鋼充填エラストマー、タングステン充填エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は、Kevlar(登録商標)(アラミド)繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、又は適切な樹脂と適切な強化繊維との任意の組み合わせである、任意の他のエラストマーマトリックス複合体、であり得る。ポリマーマトリックス複合材料は、エラストマーマトリックス複合材料とすることができる。幾つかの実施形態では、金属材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、アルミニウム合金、チタン合金、又はそれらの任意の組合せとすることができる。鋼ベース材料は、17-4PHステンレス鋼、431、455、457、C300、マルエージング鋼、又は他のタイプのステンレス鋼とすることができる。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、又は高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金とすることができる。チタン合金はTi-9S,Ti-6-4,Ti-15-3-3-3とすることができる。チタン合金はα-βチタン合金とすることができる。
【0216】
インサート140は、本体110及びフェースプレート155に渡って異なる密度の材料を含むことができる。インサート140に適した材料は、本体材料の密度よりも低い密度を有する任意の材料を含むことができる。幾つかの実施形態、特に金属インサート材料を有する実施形態では、インサート140材料の密度は、2.4g/ccから5.0g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140材料の密度は、2.4g/cc、2.5g/cc、2.6g/cc、2.7g/cc、2.8g/cc、2.9g/cc、3.0g/cc、3.1g/cc、3.2g/cc、3.3g/cc、3.4g/cc、3.5g/cc、3.6g/cc、3.7g/cc、3.8g/cc、3.9g/cc、4.0g/cc、4.1g/cc、4.2g/cc、4.3g/cc、4.4g/cc、4.5g/cc、4.6g/cc、4.7g/cc、4.8g/cc、4.9g/cc、又は5.0g/ccとすることができる。一実施形態では、インサート140の材料はアルミニウムであり、インサート140の材料の密度は約2.7g/ccである。他の実施形態では、インサート140の材料はチタンであり、インサート140の材料の密度は約4.5g/ccである。
【0217】
幾つかの実施形態、特にポリマーマトリックス複合材料を有する実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/ccから12.0g/ccの範囲とすることができる。ポリマーマトリックス複合材料の好ましい実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/ccから5.0g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/cc、1.5g/cc、2.0g/cc、2.5g/cc、3.0g/cc、3.5g/cc、4.0g/cc、4.5g/cc、又は5.0g/ccとすることができる。インサート140の密度が低いと、インサート140を収容するクラブヘッドの中央部分が軽くなり、重量をクラブヘッドの周囲に再配分することができる。再分配された重量は、MOIを増加させる。
【0218】
ゴルフクラブヘッド100の幾つかの実施形態では、インサート440は、異なる材料及び異なる密度から形成された別個の部分を含む。幾つかの実施形態では、インサート440の第1及び第2の部分450、460はそれぞれ、単一材料インサートについて上述した材料のいずれかから形成することができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第1の部分450は、0.8g/ccから1.4g/ccの範囲の密度を含むエラストマー又はポリマーマトリックス複合材料から形成され、インサート440の第2の部分460は、1.5g/ccから3.0g/ccの範囲の密度を含むアルミニウム又はアルミニウム合金から形成される。
【0219】
ゴルフクラブヘッド100の幾つかの実施形態では、インサート440の第1の部分450は、1.0g/ccから12.0g/ccの範囲の密度を有する上述の材料のいずれかを含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第2の部分460は、本体材料の密度よりも高い密度を有する材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第2の部分460は、トウウェイト161について以下で説明する材料のいずれかを含み、14.0g/ccから19.6g/ccの範囲の密度を有するウェイト部分とすることができる。これらの実施形態の幾つかでは、インサート440の第2の部分460が同様の目的を果たすので、トウウェイト161は必要ではない。
【0220】
インサート140又は440の重量は、10グラムから50グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140の重量は、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、30グラム、31グラム、32グラム、33グラム、34グラム、35グラム、36グラム、37グラム、38グラム、39グラム、40グラム、41グラム、42グラム、43グラム、44グラム、45グラム、46グラム、47グラム、48グラム、49グラム、又は50グラムとすることができる。インサートの第2の部分460が、以下で説明するトウウェイト161の材料と同様の材料を含む多材料インサートの実施形態では、インサート140又は440、及びインサート140又は440の重量は、10グラムから70グラムの範囲とすることができる幾つかの実施形態では、多材料インサート140又は440の重量は、10グラムから20グラム、20グラムから30グラム、30グラムから40グラム、40グラムから50グラム、50グラムから60グラム、又は60グラムから70グラムの範囲とすることができる。
【0221】
さらに、インサート140及び440は、打撃面111に構造的支持を提供する。金属インサート材料を有する実施形態では、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRBから100HRBの範囲のロックウェルB硬度を含むことができる。幾つかの実施形態において、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRBから40HRB、40HRBから50HRB、50HRBから60HRB、60HRBから70HRB、70HRBから80HRB、80HRBから90HRB、90HRBから100HRBの範囲のロックウェルB硬度を有することができる。他の実施形態では、インサート140又はインサート140の一部は、30HRB、31HRB、32HRB、33HRB、34HRB、35HRB、36HRB、37HRB、38HRB、39HRB、40HRB、41HRB、42HRB、43HRB、44HRB、45HRB、46HRB、47HRB、48HRB、49HRB、50HRB、51HRB、52HRB、53HRB、54HRB、55HRB、56HRB、57HRB、58HRB、59HRB、60HRB、61HRB、62HRB、63HRB、64HRB、65HRB、66HRB、67HRB、68HRB、69HRB、70HRB、71HRB、72HRB、73HRB、74HRB、75HRB、76HRB、77HRB、78HRB、79HRB、80HRB、81HRB、82HRB、83HRB、84HRB、85HRB、86HRB、87HRB、88HRB、89HRB、90HRB、91HRB、92HRB、93HRB、94HRB、95HRB、96HRB、97HRB、98HRB、99HRB、又は1000HRBを有することができる。金属インサートを有する他の実施形態では、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRCから60HRCの範囲のロックウェルC硬度を含むことができる。幾つかの実施形態において、インサート140又は440は、30HRCから40HRC、35HRCから45HRC、40HRCから50HRC、45HRCから50HRC、又は50HRCから60HRCの範囲の硬度を有することができる。他の実施形態では、インサートは、30HRC、31HRC、32HRC、33HRC、34HRC、35HRC、36HRC、37HRC、38HRC、39HRC、40HRC、41HRC、42HRC、43HRC、44HRC、45HRC、46HRC、47HRC、48HRC、49HRC、50HRC、51HRC、52HRC、53HRC、54HRC、55HRC、56HRC、57HRC、58HRC、59HRC、又は60HRCのロックウェルC硬度を有することができる。チタン又はチタン合金インサート140又は440を含む幾つかの実施形態では、インサート硬度は44HRCである。
【0222】
3)フェースプレート材料
フェースプレート155は、フェースプレート材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート材料は、本体110材料と同じ材料である。他の実施形態では、フェースプレート材料は、本体材料とは異なる材料である。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、本体110及びインサート140に渡って異なる密度の材料を含むことができる。
【0223】
フェースプレート材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、チタン合金、又はそれらの任意の組合せとすることができる。鋼ベース材料は、炭素鋼、17-4PHステンレス鋼、431、455、475、C300、マルエージング鋼、又は他のタイプのステンレス鋼とすることができる。チタン合金は、Ti-7S+(ST721)、Ti-9S、Ti-6-4、Ti-15-3-3-3、又は任意の他の適切なチタン合金とすることができる。このチタン合金は、α-β型チタン合金であってもよい。フェースプレート155がチタンベース材料、アルミニウム合金、チタン合金、又はそれらの任意の組み合わせである実施形態では、フェースプレート155の材料の密度は、2.6g/ccから8.7g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート材料の密度は、2.6g/cc、2.8g/cc、3.0g/cc、3.2g/cc、3.4g/cc、3.6g/cc、3.8g/cc、4.0g/cc、4.2g/cc、4.4g/cc、4.6g/cc、4.8g/cc、5.0g/cc、5.2g/cc、5.4g/cc、5.6g/cc、5.8g/cc、6.0g/cc、6.2g/cc、6.4g/cc、6.6g/cc、6.8g/cc、7.0g/cc、7.2g/cc、7.4g/cc、7.6g/cc、7.8g/cc、8.0g/cc、8.2g/cc、8.4g/cc、8.6g/cc、又は8.7g/ccの範囲とすることができる。フェースプレート155が鋼ベースの材料である実施形態では、フェースプレート材料の密度は、7.7g/ccから8.1g/ccの範囲とすることができる。
【0224】
4)チップウェイト材料
チップウェイト160は、本体110、フェースプレート155、及びインサート140又は440の材料とは異なる材料を含むことができる。チップウェイト160は、タングステン又は他の任意の適切な金属又は金属合金材料等の高密度材料を含む。チップウェイト160の密度は、1.1g/ccから19.6g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、チップウェイト160材料の密度は、1.1g/cc、1.5g/cc、2.0g/cc、2.5g/cc、3.0g/cc、3.5g/cc、4.0g/cc、4.5g/cc、5.0g/cc、5.5g/cc、6.0g/cc、6.5g/cc、7.0g/cc、7.5g/cc、8.0g/cc、8.5g/cc、9.0g/cc、9.5g/cc、10.0g/cc、10.5g/cc、11.0g/cc、11.5g/cc、12.0g/cc、12.5g/cc、13.0g/cc、13.5g/cc、14.0g/cc、14.5g/cc、15.0g/cc、15.5g/cc、15.8g/cc、16.0g/cc、16.2g/cc、16.4g/cc、16.6g/cc、16.8g/cc、17.0g/cc、17.2g/cc、17.4g/cc、17.6g/cc、17.8g/cc、18.0g/cc、18.2g/cc、18.4g/cc、18.6g/cc、18.8g/cc、19.0g/cc、19.2g/cc、19.4g/cc、又は19.6g/ccの範囲とすることができる。チップウェイト160の重量は、0グラムから18グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、チップウェイト160の重量は、0グラム(チップウェイトがない実施形態では)、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、又は18グラムとすることができる。ほとんどの実施形態では、チップウェイト160は、0グラムから9グラムの範囲である。
【0225】
5)トウウェイト材料
トウウェイト161は、本体110、フェースプレート155、チップウェイト160、及びインサート140又は440の材料とは異なる材料を含むことができる。トウウェイト161は、タングステン又は任意の他の適切な金属又は金属合金材料等の高密度材料を含む。トウウェイト161材料の密度は、14.0g/ccから19.6g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161材料の密度は、14.0g/cc、14.2g/cc、14.4g/cc、14.6g/cc、14.8g/cc、15.0g/cc、15.2g/cc、15.4g/cc、15.6g/cc、15.8g/cc、16.0g/cc、16.2g/cc、16.4g/cc、16.6g/cc、16.8g/cc、17.0g/cc、17.2g/cc、17.4g/cc、17.6g/cc、17.8g/cc、18.0g/cc、18.2g/cc、18.4g/cc、18.6g/cc、18.8g/cc、19.0g/cc、19.2g/cc、19.4g/cc、又は19.6g/ccの範囲とすることができる。トウウェイト161の重量は、10グラムから40グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、トウウェイト161の重量は、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、30グラム、31グラム、32グラム、33グラム、34グラム、35グラム、36グラム、37グラム、38グラム、39グラム、及び40グラムとすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の重量は、12グラムから26.5グラムの範囲とすることができる。
【0226】
6)トウスクリューウェイト材料
トウスクリューウェイト(スイングウェイト)は、チップウェイト又はトウウェイトの高密度材料と同様の任意の高密度材料を含むことができる。トウスクリュー材料の密度は、チップウェイト材料の密度と類似することができる。トウスクリューウェイトの重量は、上述したチップウェイトの重量と同様とすることができる。
【0227】
II.リア開口を有するゴルフクラブヘッド
ここでは、ゴルフクラブヘッド600を説明する。ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッド600は、上述したような寛容性を有するツアースタイルのゴルフクラブヘッドとすることができる。ゴルフクラブヘッド600は、インサート640を収容するキャビティ620を有する本体610を備えることができる。ゴルフクラブヘッド600は、フェースプレート655と、本体610と、インサート640とを備える。本体610は、上部608と、下部609と、ソール部607と、リア部603と、トップレール部606とを備える。リア部603は、屈曲継ぎ目630をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目630は、ゴルフクラブヘッド600の上部608と下部609との間の境界である。フェースプレート655及び本体の一部は、ゴルフクラブヘッドの打撃面611(打撃表面)を画定する。フェースプレート655、ソール部607、リア部603、及びトップレール部606は、キャビティ620を囲む。
【0228】
図21~32は、ゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッド600を示す。ゴルフクラブヘッド600は、キャビティ620を形成する本体610と、フェースプレート655と、リア開口680と、キャビティ内の低密度インサート640とを備える。本体610は、上部608と、下部609と、ソール部607と、リア部603と、トップレール部606とを備える。リア部603は、屈曲継ぎ目630をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目630は、ゴルフクラブヘッド600の上部608と下部609との間の境界である。フェースプレート655及び本体610の一部は、ゴルフクラブヘッド600の打撃面611(打撃表面)を画定する。
【0229】
本体610は本体110に類似している。フェースプレート655、ソール部607、及びリア部603は、ゴルフクラブヘッド600の上部608にリア開口680を備えたキャビティ620を形成する。本体610のリア開口680は、キャビティ620を部分的に露出させる。組み立て後、インサート640は、リア部603の開口680を通して見える。本体610は、クラブヘッド100について上述した窪み142と同様に、フェースプレート655を受け入れるための窪み642を本体610のフロント部604にさらに備える。
【0230】
インサート640は、キャビティ620内に収容されている。インサート640は、非金属又はポリマーベースの材料を含むことができる。インサート材料は、キャビティ620内にインサート640を形成するために、リア開口を通してゴルフクラブヘッド600のキャビティ620内に注入されることができる。他の実施形態では、インサート640は、上述のインサート140と同様の金属材料を含むことができる。フェースプレート655は、ゴルフクラブヘッド600のフロント部604でキャビティ620を囲む。フェースプレート655及び本体610のフロント部604は共に、打撃面611を画定する。
【0231】
ゴルフクラブヘッド600は、ツアーアイアンクラブヘッドであり、1.8立方インチから2.7立方インチ(30立方センチメートル(cc)から45cc)の体積を有する。ゴルフクラブヘッド600の本体610は、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。
【0232】
インサート640は、低密度材料を含み、ゴルフクラブヘッド600の本体610よって形成されたキャビティ620を充填する。ゴルフクラブヘッド600の中心の質量を減少させることは、ゴルフクラブヘッド600の慣性モーメント値を増加させるために、その周辺に余分な質量を集中させることを可能にする。上述のように、ゴルフクラブヘッド600は、下部609及び上部608を備える。下部609は、上部608よりも大きい深さを備える。これにより、下部609は、周辺のヒール部602、トウ部601、及びソール部607に集中したより多くの質量を有する。本体610の質量を低くすることは、低いCG60をもたらし、これによって打ち上げ角を増加させ、スピンを減少させ、ボール速度を増加させる。上記で説明したように、周辺重み付けからの比較的高い慣性モーメントと、質量の低い位置に由来する低いCGとを有するツアーアイアンサイジングを結合するアイアンが、本技術分野で必要とされている。幾つかの実施形態では、ホーゼル内に配置されたチップウェイト660及び/又は本体610のトウキャビティ614内に配置されたトウウェイト661は、付加的な周辺重み付けを提供する。幾つかの実施形態では、本体610のトウスクリューウェイトキャビティ663(スイングウェイトキャビティ)内に配置されたトウスクリューウェイト662(スイングウェイト)は、付加的な周辺重み付けを提供する。
【0233】
ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100と同じ基準面及び軸で説明することができる。グランド面10、ロフト面20、中心面45、中心点80、前縁軸35、前縁面、x軸30、y軸40、z軸50、及びホーゼル軸70の定義は、ゴルフクラブヘッド100の場合と同様に、ゴルフクラブヘッド600の場合と変わらない。
【0234】
A.ゴルフクラブヘッドの各部
図22及び
図23で上述し、図示したように、本体610は、少なくとも上部608、下部609、ソール部607、トップレール部606、リア部603、フロント部604、トウ部601、ヒール部602、及びホーゼル605とを備え、そのそれぞれは、上部108、下部109、ソール部107、トップレール部106、リア部103、フロント部104、トウ部101、ヒール部102、及びゴルフクラブヘッド100のホーゼル105と同様である。幾つかの実施形態において、本体610のフロント開口にわたってフェースプレート655は溶接又は加締められている。
【0235】
本体610は、ゴルフクラブヘッド100の屈曲継ぎ目130及びリア外形と類似する、屈曲継ぎ目630及びリア外形を備える。上部及び下部608、609の高さ、上部及び下部608、609の深さ、及びリア部603の厚さは、ゴルフクラブヘッド100の上部及び下部108、109の高さ、上部及び下部108、109の深さ、及びリア部103の厚さに類似している。
【0236】
本体610は、本体610のリア部に開口壁682をさらに備える。開口壁682は、リア開口680を画定する。本体610のリア開口680は、屈曲継ぎ目630の上方であるクラブヘッド600の上部608に位置する。上部608全体内のリア開口680の位置と連動する上部608の均一な深さは、開口680を取り囲む平坦な表面を可能にする。本体610の開口壁682(リア開口680)の全ての側面では、ゴルフクラブヘッド600の外面は平面である。この平坦な表面は、以下でさらに説明するように、製造中にキャビティ620内へインサート材料を注入する間に、リア開口680の周りに密閉性を提供するために必要である。
【0237】
リア開口680の大きさを識別するために、ロフト面20に平行な、リア部603(ホーゼル605あるいはソール部607を含まない)の投影面積を取ることができる。リア部603の投影面積は、開口壁682によって外接される投影面積と比較され得る。開口壁682は、クラブヘッド600のリア部603の投影面積の25%から50%の範囲の面積と外接する(リア開口が覆う)。幾つかの実施形態では、開口壁682は、25%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、又は45%から50%の範囲でリア領域の割合を囲むことができる。他の実施形態では、開口壁682は、リア領域の25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、446%、47%、48%、49%、又は50%の割合を囲むことができる。
【0238】
幾つかの実施形態において、インサート640は、リア開口680を通して見える。幾つかの実施形態では、インサートの10%から60%の範囲を、リア開口680を通して見ることができる。幾つかの実施形態では、インサート640の10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、45%から55%、又は50%から60%の範囲を、リア開口680を通して見ることができる。図示していないが、幾つかの実施形態では、バッジが、リア開口680の上に配置される。これらの実施形態では、バッジは、インサートの10%から60%の範囲を覆うことができる。幾つかの実施形態では、バッジは、インサート640の10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、45%から55%、又は50%から60%の範囲を覆うことができる。
【0239】
リア開口680を画定する開口壁682を備えたリア部603は、上部608の低い質量に寄与する。本体材料の密度よりも低い密度を有する材料でリア開口680を充填することにより、低いCGを有するゴルフクラブヘッド600が得られる。上部608の質量を小さくすることは、CGを下げ、かつ、ゴルフクラブヘッドの寛容性を向上させるために重量を周囲に分配することを可能にする。種々の設計パラメータは、上部の低質量に寄与し得る。ゴルフクラブヘッド100について上述したように、均一な上部深さを保つことは、上部608の低質量にも寄与する。
【0240】
本体610を形成するために使用される材料は、一般に、インサート640の材料よりも高い密度を有するので、開口壁682によって囲まれたリア部本体610の部分をインサート材料で置き換えることによって、上部608の質量を低減することができる。本体材料からのみ形成された中実のリア部を有する同様のゴルフクラブヘッドと比較すると、ゴルフクラブヘッド600は、リア開口680のために、より低いCGを備える。開口680の投影面積割合及びインサート材料の密度は、1グラムから17グラムの範囲で、上部608の質量を減少させることができる。幾つかの実施形態では、上部608の質量は、1グラムから3グラム、3グラムから5グラム、5グラムから7グラム、7グラムから9グラム、9グラムから11グラム、11グラムから13グラム、13グラムから15グラム、又は15グラムから17グラムの範囲で減少させることができる。他の実施形態では、上部608の質量は、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、又は17グラム減少させることができる。本体610の上部108の質量のこの減少は、CGの低下、打ち上げ及びスピン特性の向上、及びボール速度の増加を補助する。
【0241】
ゴルフクラブヘッド600の本体610は、キャビティ620を画定する。本体610のキャビティ620は、ツアーアイアンの好ましい固い感覚を犠牲にすることなく、ゴルフクラブヘッド600のMOIを増大させる低密度インサート640を受け入れるように構成することができる。キャビティ620の領域、容積、及び外形は、キャビティ120の領域、容積、及び外形と同様である。キャビティ620の前面開口に隣接して、本体610は、ゴルフクラブヘッド100の内周縁127と同様の内周縁627を備える。ソール部607、トップレール部606、リア部603、内周縁627、及びフェースプレート655は、キャビティ620を画定する。キャビティ620は、本体610のリア開口680に接続し、フェースプレート655によって本体610のフロント部604で囲まれている。キャビティ620は、本体610のリア部603のリア開口680を通して露出される。
【0242】
B.ゴルフクラブヘッドのインサート
インサート640は、MOIを増大させ、ゴルフクラブヘッド600の中実な感触を保持するために、本体610のキャビティ620内に嵌合するように構成される。インサート640の体積は、ゴルフクラブヘッド100のインサート140の体積と同様とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート640は、キャビティ620を越えてリア開口680内に延びるので、インサート640の体積は、キャビティ620の容積よりも大きくすることができる。
【0243】
インサート640は、ゴルフクラブヘッド100について上述したように、キャビティ620を完全に充填するか、又は部分的に充填する。インサート640は、ゴルフクラブヘッド100について説明したように、キャビティ620の体積パーセント(a percent volume)を充填することができる。幾つかの実施形態では、
図26に示すように、インサート640は、キャビティ620の100%を満たし、リア開口680内に延びることができる。
図27に示すように、インサート640は、キャビティ620の60%を充填することができる。
図28に示すように、インサート640は、キャビティ620の70%を充填し、リア開口680内に部分的に延びることができる。
図29に示すように、インサート640は、キャビティ620の80%を充填し、リア開口680内に部分的に延びることができる。
図30に示すように、インサート640は、キャビティ620の90%を満たし、リア開口680内に部分的に延びることができる。図示していないが、幾つかの実施形態において、インサート640は、キャビティ620のみを充填し、リア開口680を充填しなくてもよい。幾つかの実施形態では、インサート640は、金属材料を含むことができ、キャビティ620のみを充填することができる。この例示的な実施形態では、図示されていないが、本体610の開口壁682は、インサート640内に融合するようにテーパー状とすることができ、リア開口680のためのより明確でない境界を提供する。
【0244】
幾つかの実施形態では、インサート640は、以下に記載されるように、ゴルフクラブヘッド600に挿入される前に形成される。他の実施形態では、インサート640は、本体610のキャビティ620内に形成される。これらの実施形態では、リア開口680を形成する開口壁682は、後述するように、インサート640がキャビティ620内に注入されるためのポートとして機能することができる。
【0245】
C.本体のキャビティ
本体キャビティ620のフロント面は、フェースプレート655によって囲むことができる。フェースプレート655及び打撃面611は、ゴルフクラブヘッド100のフェースプレート155及び打撃面611と同様とすることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、打撃面611は、本体610と一体的に形成することができる。打撃面611は、ゴルフクラブヘッド100の打撃面111の厚さ112と同様の厚さ612を備える。
【0246】
本体610は、インサート640によって部分的又は完全に充填され、そのインサートはフェースプレート655によってゴルフクラブヘッド600内に固定される。幾つかの実施形態では、キャビティ620は、ゴルフクラブヘッド100のテープ層150及び/又は接着剤と同様に、テープ層150及び/又は接着剤をさらに収容する。
【0247】
キャビティ620は、トウ部からヒール部への方向の寸法が変化してもよい。いくつかの実施形態では、
図31に示されるように、ゴルフクラブヘッド600のリア部603は肉厚領域を有する。本体610のこの肉厚領域は、ゴルフクラブヘッド600の特定の領域に追加の重み付けを提供することができる。さらに、
図31および
図32に示されるように、溶接ビード648、突出部、くぼみ、または継ぎ目(以下、「溶接ビード」と総称する)がキャビティ620に割り込んでよい。溶接ビードは、フェースプレート655の周縁に沿って位置してよい。いくつかの実施形態では、溶接ビード648は、フェースプレート655を本体610に溶接して打撃面611を形成する製造ステップ中に形成される。
図31および
図32に示されるように、溶接ビード648は、打撃面611のリア面から後方に延びてよい。いくつかの実施形態では、溶接ビード648は、打撃面655を本体610に構造的に接合するだけでなく、インサート640をキャビティ620内に保持するのを補助する。溶接ビード648はロック形状を有してよい。溶接ビード648は、溶接ビードの位置におけるキャビティのフロント部からリア部への深さよりも大きいフロント部からリア部への深さを有するキャビティ620の周部領域を囲んでよい。溶接ビード648によるキャビティ620のこの深さ変化によって、インサートは、溶接ビード648の位置よりも、トップレール606およびソール部607に隣接する位置でより厚いまたはより深い(フロント部からリア部への)寸法を有することができるので、トップからソール部への方向にインサートが滑ったり、動いたり、外れたりするのを防止することができる。
【0248】
F.ゴルフクラブヘッドのその他の周辺重み付け(チップウェイト、トゥウェイト)
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100のシャフトチップウェイト160と同様のシャフトチップウェイト660をさらに備える。幾つかの実施形態では、本体610は、ゴルフクラブヘッド100のトウキャビティ114及びトウウェイト161と同様に、トウウェイト661を収容するトウキャビティ614をさらに備える。
【0249】
図24及び25に示すように、ゴルフクラブヘッド600は、スイングウェイトを調整するためのトウスクリューキャビティ663及びトウスクリューウェイト662をさらに備えることができる。トウスクリューウェイトは、ゴルフクラブヘッド100の任意のトウスクリューウェイトについて記載されているように、2グラムから15グラムの範囲の重量を備えることができる。トウスクリューウェイト662は、ゴルファーのスイングに合わせてゴルフクラブヘッド600をカスタマイズするために、取り外し、異なる重量値を有する異なるスクリューウェイト662と交換することができる。
【0250】
図33および
図34に示されるように、ゴルフクラブヘッド600のトウスクリューウェイト662は、ヘッド690およびシャフト695を備えてよい。ヘッド690は、外面691と、内面692と、および外側リム694とを備えてよい。シャフト695はヘッドの内面692から外側に延びている。ヘッドの内面692は、シャフト695から半径方向外側に延びるスロット669をさらに備える。スロット669によって、製造中に空気がボディのキャビティ620から抜けることができる。スロット669は、トウスクリューウェイトのヘッド690の外側リム694に対してほぼ垂直に(または、トウスクリューウェイトのヘッド690の外側リム694に接する平面に対して垂直に)配向されてよい。スロット669は、約180度、120度、90度、72度、60度、51度、45度、10度~45度の間、45度~90度の間、90度~180度の間、180度~270度の間、または270度~360度の間の角度だけ互いに半径方向に離間されていてよい。
【0251】
トウスクリューウェイト662は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上のスロット669を備えてよい。各スロット693は深さを有してよい。各スロット669の深さは、0.002インチ~0.010インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、各スロット669の深さは、0.002インチ~0.004インチの範囲、0.003インチ~0.005インチの範囲、0.004インチ~0.006インチの範囲、0.005インチ~0.007インチの範囲、0.006インチ~0.008インチの範囲、0.007インチ~0.009インチの範囲、または0.008インチ~0.010インチの範囲であってよい。スロット669の深さは、空気がスロット669を通って流れる速度に影響を与え得る。トウスクリューウェイト662のヘッドに切り込まれた又は形成されたスロット669は、トウスクリューウェイト662がトウスクリューキャビティ663に受容されたときに、トウスクリューウェイト662がトウスクリューキャビティ663を気密に封止してしまうことを防止する。スロット669によって、トウスクリューウェイト662がトウスクリューキャビティ663に取り付けられた状態でも、空気がボディのキャビティ620を出入りすることができる。スロット669は、製造中にインサート材料140をボディのキャビティ620に注入する際に、ボディのキャビティ620から空気が抜けることを可能にする。インサートの粘度が低い実施形態では、スロット693の深さによって、製造中にインサート材料がスロット693を通って流れ出たり漏れたりするのを防止することもできる。
【0252】
トウスクリューのシャフト695は、ネック696と、ねじ部698と、非ねじ部699とを備えてよい。ネック696は、シャフト695のねじ部698とトウスクリューウェイトのヘッド690との間に位置してよい。ネック696は、トウスクリューキャビティ663の対応する部分の直径よりも小さい直径697を有してよい。ネックの直径697は、トウスクリューキャビティ663の対応する部分の直径よりも0.005インチ~0.015インチ小さくてよい。いくつかの実施形態では、トウスクリューキャビティ663の対応する部分は、ネックの直径697よりも、0.005インチ~0.008インチ、0.007インチ~0.010インチ、0.009インチ~0.012インチ、または0.011インチ~0.015インチだけ小さい直径を有する。
【0253】
シャフト695のねじ部698は、トウスクリューウェイトのヘッド690の近くにあるシャフト695のネック696に隣接して位置している。ねじ部698は、1~10個のねじ山を備えてよい。いくつかの実施形態では、ねじ部698は、シャフト695の長さの4分の1~2分の1を占めてよい。他の実施形態では、ねじ部698は、シャフト695の長さの約3分の1を占める。シャフトのねじ部698の目的は、トウスクリューキャビティ663の対応するねじ山と係合して、トウスクリューウェイト662をゴルフクラブヘッド本体610に保持することである。さらに、シャフトのねじ部698は、トウスクリューキャビティのねじ山から、許容範囲でまたは隙間を空けてオフセットされてよい。いくつかの実施形態では、許容隙間によって、インサートを形成する射出成形プロセス中にトウスクリューウェイト662とトウスクリューキャビティ663との間を空気が通過するのに十分な空間が設けることができる。さらに、トウスクリューウェイトのねじ山とトウスクリューキャビティのねじ山との間の許容隙間によって、製造工程中にインサート材料がキャビティ620から流れ出るのを防ぐことができる。インサート材料がトウスクリューウェイトのねじ部698に接触するにもかかわらず、金属製のトウスクリューウェイト662とインサート640の材料特性が異なるので、トウスクリューウェイトは取り外し可能なままである。
【0254】
ねじ部698を越えて、シャフト695の残りの非ねじ部699は、トウスクリューキャビティ663内を少なくとも部分的に延びてよい。シャフトの非ねじ部699は、シャフトの非ねじ部699を受容するように構成されたトウスクリューキャビティ663の対応部分の直径よりも小さい直径を有してよい。いくつかの実施形態では、シャフトの非ねじ部699は、少なくとも部分的にクラブヘッド600の本体キャビティ620内を延びてよい。シャフトの非ねじ部699の目的は、トウスクリューウェイト662に重量を付加することである。
【0255】
トウスクリューウェイトのシャフトは、空気がトウスクリューウェイト662と対応するトウスクリューキャビティ663との間を通過することを可能にする許容差を有するように構成されている。射出成形インサートを有するゴルフクラブヘッド600の実施形態では、以下に説明するように、トウスクリューウェイト662のシャフトのねじ部によって、製造プロセス中にインサート材料が本体キャビティから流出することが防止される。また、スロットも、万一インサート材料がトウスクリューウェイト662のねじ部を超えた場合に、インサート材料が流出するのを防止するようなサイズとなっている。
【0256】
上述したトウスクリューウェイト662のスロット、シャフト径、およびシャフトのねじ切りによって、トウスクリューウェイト662を通して空気を抜くことができるので、射出口の口の周囲を含め、バリ(通気孔内を含む金型界面の金属部分間にある余分で不要な材料)を残すことなくインサート620を射出成形することができる。後述するように、トウスクリューウエイト662を通して空気を抜くことによって、射出成形後にバリを除去するための機械加工の必要性がなくなる、または減る。
【0257】
上述の周部ウェイトはクラブヘッドの周辺重み付けと高MOIに寄与するが、周辺本体も周辺重み付けに重要な役割を果たす。ボディの周部をより多くの材料を有するように成形することによって、重み付けを変化させ、MOIを大きくすることができる。
【0258】
D.リア開口を有するクラブヘッド本体の材料
ゴルフクラブヘッド600の構成要素を形成するために使用される材料は、上述のように、ゴルフクラブヘッド100の構成要素を形成するために使用される材料と同様であり得る。特に、本体610は、本体110と同じ本体材料を含むことができる。インサート640は、インサート140と同じインサート材料を含むことができる。フェースプレート655は、フェースプレート155と同じフェースプレート材料を含むことができる。トウウェイト661、チップウェイト660、及びトウスクリューウェイト662は、ゴルフクラブヘッド100と同じトウウェイト161、チップウェイト160、及びトウスクリューウェイト材料を含むことができる。
【0259】
III.リア開口およびフロント開口を有するゴルフクラブヘッド
本明細書には、ゴルフクラブヘッド300が記載されている。ゴルフクラブヘッド100および600のように、ゴルフクラブヘッド300は、上述したような寛容性を有するツアースタイルのゴルフクラブヘッドであってよい。
図35~
図38を参照すると、ゴルフクラブヘッド300は、インサート340を収容するキャビティ320を有する本体310を備えてよい。ゴルフクラブヘッド100および600とは異なり、ゴルフクラブヘッド300は、金属製のフェースプレートを備えない。ゴルフクラブヘッドは、本体310と、インサート340とを備える。インサート340は、ゴルフクラブヘッド300のフロント部で露出しており、ゴルフボールとインパクトする打撃面(「ストライク面」または「ヒット面」とも呼ばれる)311として機能する。インサートによって形成される打撃面311は溝を備える。打撃面311は、本体310のフロント部304と面一であってよい。インサート材料の打撃面311は、ゴルフボールとインパクトするように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、インサート材料の打撃面311は、ポリマーまたは複合材料から形成されてよい。
【0260】
本体310は、上部308と、下部309と、ソール部307と、リア部303と、フロント部304と、トウ領域301と、ヒール領域302と、トップレール306とを備える。リア部303は、屈曲継ぎ目330をさらに備えてよい。屈曲継ぎ目330は、ゴルフクラブヘッド300の上部308と下部309との間の境界である。ソール部307、リア部303、およびトップレール306はキャビティ320を囲んでいる。
【0261】
図35~
図52は、ゴルフクラブヘッド100および600に類似し得るゴルフクラブヘッド300のいくつかの変形例を示す。ゴルフクラブヘッド300は、キャビティ320を形成する本体310を備える。本体310は、上部308にリア開口380を画定している。リア開口380は、少なくとも部分的にキャビティ320を露出させる。本体310はさらに、フロント開口または窪み342を画定している。フロント開口は、少なくとも部分的にキャビティ320を露出させる(及び/又はキャビティ320と連通している)。フロント開口は、打撃面311の大部分を覆うサイズであってよい。組立て後、リア開口380とフロント開口342を通してインサート340を目視できる。
【0262】
インサート340はキャビティ320内に収容される。インサート340は非金属材料またはポリマー系材料を有してよい。インサート340は低密度材料を有してよい。インサート材料は、リア開口380またはフロント開口342を介してゴルフクラブヘッド300のキャビティ320内へ注入されて、キャビティ320内でインサート340を形成してよい。他の実施形態では、上述のインサート140と同様に、インサート340は金属材料を有する。インサート340は、ゴルフクラブヘッド300のフロント部304からリア部303まで完全に延びている。
【0263】
いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド300は、ツアーアイアンクラブヘッドまたはゲームインプルーブメントアイアンクラブヘッドであってよく、1.8立方インチ~2.7立方インチ(30立方センチメートル(cc)~45cc)の間の体積を有してよい。ゴルフクラブヘッド300の本体310は、金属材料から鋳造または鍛造されてよい。いくつかの実施形態では、インサート340は、本体310のキャビティ320内で射出成形されてよい。インサート340は、ポリマーまたは複合材料から形成されてよい。いくつかの実施形態において、ゴルフクラブヘッド300は、ツアーアイアンの体積よりも大きい体積を有するゲームインプルーブメントアイアンであってよい。いくつかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド300は、2.7インチより大きいブレード長を有する、および/または2.7インチ~2.9インチの間、2.8インチ~2.9インチの間のブレード長を有するゲームインプルーブメントアイアンであってよい。
【0264】
インサート340は、クラブヘッド100および600のインサートと同様に、低密度材料を有する。しかしながら、ゴルフクラブヘッド300のインサート340は、より高密度の本体材料を置換することができるので、ゴルフクラブヘッド100および600のインサートよりもさらにゴルフクラブヘッドの慣性モーメント値を大きくすることができる。言い換えると、ゴルフクラブヘッド300の本体310は、ゴルフクラブヘッド100および600の本体よりも少ない材料を有する。具体的には、ゴルフクラブヘッド300には金属製のフェースプレートがない。その代わりに、ゴルフクラブヘッド300の低密度インサート340が、ゴルフクラブヘッド300の打撃面311を形成している。ゴルフクラブヘッド300では高密度のフェースプレートが使用されないので、本体310の質量を大幅に低減することができる。低減された重量は、備え付けの裁量重量または取り外し可能な重量として再配分することができる。低減された重量をクラブヘッド300の周部に配置することによって、慣性モーメントを大きくすることができる。また、ゴルフクラブヘッド100および600について説明したのと同様に、CGを低くすることもできる。
【0265】
いくつかの実施形態では、ホーゼルに配置されるチップウェイト360および/または本体310のトウキャビティ314内に配置されるトウウェイト361によって、追加の周辺重み付けが提供される。チップウェイトおよび/またはトウウェイトは、本体材料の密度よりも大きく、かつインサートの密度よりも大きい密度を有してよい。本体材料は、鋼系材料または鋼合金を含んでよいが、これらに限定されない。本体材料は、7.70~8.10g/ccの密度を有してよい。インサート材料は、ガラス充填エラストマー、ステンレス鋼充填エラストマー、タングステン充填エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、または他の任意のエラストマーマトリックス複合材料、Kevlar(登録商標)(アラミド)繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、または任意の適切なポリマーマトリックス複合材料(言い換えれば、適切な樹脂と適切な強化繊維との任意の組み合わせ)を含んでよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、インサート材料は、0.8g/cc~1.4g/ccの間の密度を有してよい。他の実施形態では、インサート材料は、1.0g/cc~12.0g/ccの間の密度を有してよい。本体の金属材料およびインサートのポリマーまたは複合材料は、ゴルフクラブヘッド600の本体およびインサートについて上述した材料と同様であってよい。
【0266】
いくつかの実施形態では、ボディ310のトウスクリューウェイトキャビティ363(スイングウェイトキャビティ)内に配置されるトウスクリューウェイト362(スイングウェイト)によって、追加の周辺重み付けが提供される。いくつかの実施形態では、キャビティ320の内部輪郭は、追加の重み付けを必要とする場所にボディ材料を残すように変えられる。いくつかの実施形態では、クラブヘッド300のリア部303は、取り外し可能なウェイトを受け入れる1つまたは複数のウェイトポートを備える。いくつかの実施形態では、クラブヘッドのリア部303は、低いトウ領域301または低いヒール領域302においてタングステン製のウェイトを受け入れるように構成されていてよい。これらのウェイトは、本体に共成形、加締め(スエージ加工)、または溶接されてよい。
【0267】
ゴルフクラブヘッド300は、ゴルフクラブヘッド100と同じ基準平面および軸を用いて説明することができる。グランド面10、ロフト面20、中心面45、中心点80、前縁軸35、前縁面、x軸30、y軸40、z軸50、及びホーゼル軸70の定義は、ゴルフクラブヘッド100の場合と同様に、ゴルフクラブヘッド300でも変わらない。
【0268】
E.ゴルフクラブヘッドの各部
上述し、さらに
図28~
図31に示されるように、本体310は少なくとも、ゴルフクラブヘッド100の上部108、下部109、ソール部107、トップレール106、リア部103、フロント部104、トウ部101、ヒール部102、およびホーゼル105とそれぞれ同様の上部308、下部309、ソール部307、トップレール306、リア部303、フロント部304、トウ部301、ヒール部302、およびホーゼル305を備える。
【0269】
本体310は、ゴルフクラブヘッド100の屈曲継ぎ目130およびリア外形と同様の屈曲継ぎ目330およびリア外形を備える。上部308および下部309の高さ、上部308および下部309の深さ、ならびにリア部303の厚さは、ゴルフクラブヘッド100の上部108および下部109の高さ、上部108および下部109の深さ、ならびにリア部103の厚さと同様である。
【0270】
本体310は、ゴルフクラブヘッド600の開口壁682と同様の開口壁382をさらに備える。開口壁382はリア開口380を画定している。リア開口380の位置、サイズ、および寸法(投影面積を含む)は、ゴルフクラブヘッド300のリア開口380と同様であってよい。ゴルフクラブヘッド300のCG位置および重み付けは、ゴルフクラブヘッド100および600について説明したのと同様に、影響を受ける。しかしながら、ゴルフクラブヘッド300は、金属製の打撃面がないことによって追加の裁量重量を有するので、低密度インサートを有さない同様のクラブと比較して、CG位置をより極端に変化させることができる。金属製の打撃面をインサート340の一部で置き換えることによって、ゴルフクラブヘッド300の周縁に再分配可能な重量が増えることで、CGが低くなり、及び/又は慣性モーメントが大きくなる。
【0271】
ゴルフクラブヘッド300は、(ゴルフクラブヘッド300のフロント開口642に対応する)金属製のフェースプレートおよび(ゴルフクラブヘッド300のリア開口380に対応する領域を覆う)金属製の上部リア壁を備える金属製の本体を有する類似のゴルフクラブヘッドと比較することができる。インサート340は、リア開口380およびフロント開口342を占領し得る本体の金属材料を置き換えることによって、上部308の質量を1グラム~70グラム低減することができる。いくつかの実施形態では、上部308の質量は、1グラム~10グラム、10グラム~20グラム、20グラム~30グラム、30グラム~40グラム、40グラム~50グラム、50グラム~60グラム、または60グラム~70グラム減少させることができる。本体310の上部308のこの質量減少は、CGを低くし、打ち出し特性とスピン特性を改善し、ボール速度を増加させるのに役立つ。
【0272】
図36に示されるように、ゴルフクラブヘッド300の本体310はキャビティ320を画定している。本体310のキャビティ320は、低密度インサート340を受容するように構成されてよい。キャビティ320の領域、体積、および輪郭は、キャビティ120の領域、体積、および輪郭と同様である。ソール部307、トップレール306、およびリア部303がキャビティ320を画定している。キャビティ320は、本体310のフロント開口342とリア開口380を介して露出している。
【0273】
F.ゴルフクラブヘッドのインサート
インサート340は、MOIを大きくし、ゴルフクラブヘッド300のソリッド感を保持するために、本体310のキャビティ320内にフィットするように構成される。インサート340は打撃面だけでなく内部の中央インサートも形成するので、インサート340の体積はゴルフクラブヘッド100のインサート140の体積よりも大きくてよい。いくつかの実施形態では、インサート340は、キャビティ320を完全に充填し、キャビティ320と同じ体積を有する。
図37に示されるように、インサート340は本体310のキャビティ320内で形成されていてよい。後述するように、リア開口380は、インサート340をキャビティ320内に注入するためのポートとして機能してよい。
【0274】
G.本体のキャビティ
図35および
図30に示されるように、ゴルフクラブヘッド300の本体310はキャビティ320の縁または壁を画定してよい。
図39~
図45に示されるように、いくつかの実施形態では、本体310は、キャビティ空間に割り込む1つまたは複数の固定特徴部345、ロック特徴部、アーチ、チューブ、または他の特徴部(以下、「固定特徴部」と総称する)をさらに備える。固定特徴部345は、内部に位置してよい。固定特徴部345は、完成したゴルフクラブヘッド300では外部からは見えない。固定特徴部345は、インサート340をキャビティ320に幾何学的に固定してよい。インサート340の材料は、1つまたは複数の固定特徴部345の周り流れ、その後硬化してよく、その結果、インサート340がキャビティ320内に恒久的に固定される。固定特徴部345も、ゴルフクラブヘッド300の特定の領域に重量を付加することができる。
【0275】
本体310は、1~6つの固定特徴部345を備えてよい。いくつかの実施形態では、本体310は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの固定特徴部345を備える。1つまたは複数の固定特徴部354は、リア部303、ソール部307、トウ領域301、またはヒール領域302のうちの1つまたは複数から延びてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の固定特徴部345は、リア部303とソール部307の間を延びている。いくつかの実施形態では、固定特徴部345のうちの1つは、トウ領域301において本体310の残りの部分に接続する第1端部および第2端部を備える。いくつかの実施形態では、固定特徴部345のうちの1つは、ヒール領域302において本体310の残りの部分に接続する第1端部および第2端部を備える。いくつかの実施形態では、固定特徴部345のうちの1つは、ソール部307において本体310の残りの部分に接続する第1の端部および第2の端部を備える。
【0276】
図39~
図41に示される実施形態では、ゴルフクラブヘッド300は、リア部303からソール部307へ延びる2つの固定特徴部345を備える。
図42~
図44に示される実施形態では、1つの固定特徴部345が、ソール部307のトウ側端部からソール部307のヒール側端部へ延びている。
図45に示される実施形態では、1つの固定特徴部345(またはアーチ)が、ヒール領域302において本体310に接続する第1の端部および第2の端部を備える。
図45に示されるように、1つまたは複数の固定特徴部345は、インサート材料によって充填可能なチャネル346、開口、貫通孔、またはチューブ(以下、総称して「チャネル」と呼ぶ)を画定してよい。チャネル346は、0.065インチの最小直径を有してよい。いくつかの実施形態では、チャネル346は、0.065~0.075インチの間、0.070~0.080インチの間、0.075~0.085インチの間、または0.080~0.090インチの間の直径を有してよい。いくつかの実施形態では、チャネル346は、0.080インチより大きい直径、または0.090インチより大きい直径を有してよい。固定特徴部の下のおよび/または固定特徴部によって囲まれたチャネル346の直径によって、製造中にインサート材料をキャビティ内へ注入する際にインサート材料が流れることができる。
【0277】
1つまたは複数の固定特徴部345の断面形状は、円形、卵形、楕円形、または固定特徴部の周りでインサート材料の流れを促進するように構成された他の任意の形状であってよい。
図44は、円形断面を有する固定特徴部を示している。いくつかの実施形態では、キャビティ620は、トップレール306および/またはソール部307にアンダーカットをさらに備える。アンダーカット347は、インサート640をキャビティ320内に機械的に係止しやすくする。トップレール306およびソール部307にアンダーカット347を有するゴルフクラブが、
図37および
図38の実施形態に図示されている。
【0278】
図51および
図52を参照すると、ゴルフクラブヘッド300のいくつかの変形例では、リア開口380がない。その代わりに、本体310がクラブヘッド300のリア部303全体を覆っている。これらの実施形態では、キャビティ320は、クラブヘッド300のフロント部304でのみ露出している。これらの実施形態では、インサート340をキャビティ320内に保持するために、1つまたは複数のアンダーカット347および/または1つまたは複数の固定特徴部345が備えられてよい。
【0279】
H.ゴルフクラブヘッドのその他の周部ウェイト(チップウェイト、トゥウェイト)
ゴルフクラブヘッド300は、トウウエイト161および661と同様のトウウエイト361と、チップウエイト160および660と同様のチップウエイト360と、トウスクリューウエイト662と同様のトウスクリューウエイト362とを備えてよい。
図48~
図50に示されるように、ゴルフクラブヘッド300は、追加的にまたは代替的に、クラブヘッド300のリア部に配置される複数のウェイト365を備えてよい。
図48に示されているようないくつかの実施形態では、クラブヘッド300は、トウウエイト361およびヒールウエイト364を備えてよい。いくつかの実施形態では、トウウェイト361およびヒールウェイト364は、加締め(スエージ加工)、溶接、共鍛造、または他の方法でクラブヘッド300の受容キャビティに固定されてよい。他の実施形態では、トウウェイト361およびヒールウェイト364は、締結機構を用いてクラブヘッド300に固定される。例えば、
図49に示される実施形態では、トウウェイト361およびヒールウェイト364は、クラブヘッド300の受容孔に螺合している。
図50に示されているようないくつかの実施形態では、複数のウェイト365が、クラブヘッド300のリア部303に固定または形成されている。
【0280】
III.ゴルフクラブヘッド特性
A.ゴルフクラブヘッド測定
ゴルフクラブヘッド100、300、600は、ツアーアイアンであることができる。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100、300,600は、ブレード長さと、ホーゼル-X長さと、オフセット距離と、ツアーアイアンの上部深さ特性とを備えるツアーアイアンヘッドであり得る。ゴルフクラブヘッド100をツアーアイアンとして特定する特性は、以下に記載される。ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッド300及び600はツアーアイアン特性を有することができる。
【0281】
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド100はブレード長さ173を有する。ブレード長さ173は、ヒール領域102内の打撃面111の縁からトウ領域101内のクラブヘッド100の縁までの最大距離として測定される。一般的なツアーアイアンのブレード長さは、2.8インチ未満とすることができる。ゲームインプルーブメントアイアンのブレード長さは、一般に2.8インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100のブレード長さ173は、ツアーアイアンの特徴であるように、2.8インチ未満である。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100のブレード長さ173は、2.2インチから2.8インチ、2.2インチから2.4インチ、2.4インチから2.6インチ、又は2.6インチから2.8インチの範囲とすることができる。
【0282】
図2に示すように、ホーゼル-X長さ174は、中心面45から、ホーゼル軸70と前縁軸35との交点まで測定される。ツアーアイアンのホーゼル-X長さは、一般に1.5インチ未満であり、ゲームインプルーブメントアイアンのホーゼル-X長さは、一般に1.5インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100のホーゼル-X長さは、ツアーアイアンの特徴であるように、1.5インチ未満である。幾つかの実施形態では、ホーゼル-X長さ174は、1.30インチから1.50インチ、1.30インチから1.40インチ、又は1.40インチから1.50インチの範囲とすることができる。
【0283】
図4に図示されているように、オフセット距離173は、ホーゼル105の前縁からゴルフクラブヘッド100の最前の点までの間で測定される。典型的には、最前の点は、打撃面111の底部に位置し、ソール部107に隣接している。オフセット距離172は、ロフト角が異なるために、同じセット内のゴルフクラブヘッドによって変化し得る。従って、アイアンのセットを比較するために、セット内のすべてのゴルフクラブのオフセット距離173の平均が取られる。ツアーアイアンセットの平均オフセットは、一般に0.140インチ未満である。ゲームインプルーブメントアイアンセットの平均オフセットは、一般に、0.140インチより大きい。クラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブのセットの平均オフセットは、0.140インチ未満である。単一のゴルフクラブヘッド100のオフセット距離172は、0.100インチから0.160インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、オフセット距離は、0.100インチから0.110インチ、0.110インチから0.120インチ、0.120インチから0.130インチ、0.130インチから0.140インチ、0.140インチから0.150インチ、又は0.150インチから0.160インチの範囲とすることができる。
【0284】
上部深さ116は、
図4に示すように、トップレール部106に隣接し、打撃面111に直交して、フロント部104からリア部103まで測定される。ツアーアイアンの平均上部深さは、一般に0.290インチ未満である。ゲームインプルーブメントアイアンの平均上部深さは、一般に、0.290インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブのセットの平均上部深さは、ツアーアイアンのセットの特徴であるように、0.290インチ未満である。
【0285】
ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンの間に類似したパラメータは、ゴルフクラブヘッドの高さである。
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド100はそれぞれ、前縁軸35からトップレール部106上の最高点まで、ロフト面20に沿って測定された最大高さ175を有することができる。ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100と同様の高さを有することができる。最大高さ175は、2.0インチから2.5インチとの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、最大高さ175は、2.0インチから2.1インチ、2.1インチから2.2インチ、2.2インチから2.3インチ、2.3インチから2.4インチ、及び2.4インチから2.5インチの範囲とすることができる。
【0286】
以下の表Iは、ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンのブレード長さ、ホーゼル-X長さ、平均オフセット距離、平均上部深さ、及び最大高さを比較する。
【表I】
【0287】
B.ゴルフクラブヘッドのCG及びMOI
ゴルフクラブヘッド100、300、600の周辺重み付けの利点を正確に理解するために、ゴルフクラブヘッド100、300、600のMOI及びCG特性とゴルフクラブヘッド100、300、600のツアーサイズの両方を考慮しなければならない。ゲームインプルーブメントアイアンはMOI値が高いことで知られているが、ツアーアイアンに特有の他の特徴を欠いている。本明細書に記載されるゴルフクラブは、ゲームインプルーブメントアイアンの利点をツアーアイアンスタイルと結びつける。
【0288】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100、300、600のCG60は、フラットバックツアーアイアンと比較して、下方及び後方に移動された。ゴルフクラブヘッド100、300、600のCG60位置は、前縁面から測定することもできる。
【0289】
ゴルフクラブヘッド100、600のCG60は、0.380インチから0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100、600のCG60は、0.400インチから0.650インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、0.440インチから0.460インチ、0.460インチから0.480インチ、0.480インチから0.500インチ、0.500インチから0.520インチ、0.520インチから0.540インチ、0.540インチから0.560インチ、0.560インチから0.580インチ、0.580インチから0.600インチ、0.600インチから0.620インチ、0.620インチから0.640インチ、0.640インチから0.660インチ、又は0.660インチから0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。他の実施形態では、CG60は、0.380インチ、0.390インチ、0.400インチ、0.410インチ、0.420インチ、0.430インチ、0.440インチ、0.450インチ、0.460インチ、0.470インチ、0.480インチ、0.490インチ、0.500インチ、0.510インチ、0.520インチ、0.530インチ、0.540インチ、0.550インチ、0.560インチ、0.570インチ、0.580インチ、0.590インチ、0.600インチ、0.610インチ、0.620インチ、0.630インチ、0.640インチ、0.650インチ、0.660インチ、又は0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。
【0290】
上述のように、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100、300及び600は、ゴルフクラブヘッドの中心に軽量インサート140、440、240、270及び/又は640を備えることができる。軽量化は、ゴルフクラブヘッド100、300及び600の全重量を大きく変えることなく、ゴルフクラブヘッド100、300及び600の周囲に加えることができ、CG60の移動及びMOIの上昇を可能にする。この周辺重み付けは、トウウェイト、チップウェイト、又は周辺部の周りに追加された本体材料の形態であってもよい。ゴルフクラブヘッド100、300及び600のコンパクトな性質は、構造サイズよりもMOI向上においてより大きな役割を果たす材料特性をもたらす。CG60の周り及びx軸30の周りのMOI、Ixxは、70グラム平方インチから140グラム平方インチの範囲とすることができる。CG60の周り及びy軸40の周りのMOI、Iyyは、310グラム平方インチから500グラム平方インチの範囲とすることができる。これらのMOI値は、ゴルフクラブヘッド100、300及び600に適用することができる。これらのMOI値は、インサート140、640、多材料インサート440、又は、軽量化インサート240,270を有する任意の実施形態にさらに適用することができる。
【0291】
V.方法
図54に示されるように、ゴルフクラブヘッド100を製造する方法500が本明細書に記載される。この方法は、各構成要素を提供するステップ510と、本体内にインサートを配置するステップ520と、フェースプレートを本体上に加締めるステップ530と、フェースプレートと本体との間の境界をレーザー溶接するステップ540と、研削及び研磨を通して最終製品を清掃するステップ550とを含む。方法500の幾つかの実施形態では、方法500は、ステップ510、520、530、540及び550からなることができる。
【0292】
ステップ510は、ゴルフクラブヘッド100の構成要素として、少なくとも本体110、インサート140又は多材料インサート440、及びフェースプレート155を提供することを含むことができる。幾つかの実施形態では、本体110を提供することは、鍛造、鋳造、付加的製造による成形、機械加工、又は本体110を形成するための任意の他の適切な方法のうちの一つ又は複数を含むことができる。ステップ510は、本体110を一体部品として形成することを含むことができる。
【0293】
幾つかの実施形態では、インサート140を提供することは、鍛造、鋳造、付加的製造による成形、機械加工、又はインサート140を形成するための任意の他の適切な方法のうちの一つ又は複数を含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート140又は多材料インサート440の一部は、エラストマーマトリックス複合体を形成するために、樹脂を繊維強化構造に注ぐことによって成形される。インサート140は、均一な密度を有する単一片として、又は異なる密度を有する複数片として形成することができる。多材料インサート440を有する幾つかの実施形態では、インサート440は、単一ユニットに形成されてもよいし、あるいは二つの別個の部分でキャビティ120内に配置されてもよい。
【0294】
幾つかの実施形態では、多材料インサート440を提供することは、(1)インサート440の第1の部分450を提供すること、(2)インサート440の第2の部分460を提供すること、及び(3)インサート440の第1及び第2の部分450、460を接合することとを含む。インサート440の第1の部分450を提供することは、第1の部分450を成形することを含むことができる。インサート440の第2の部分460を提供することは、鋳造、鍛造、スタンピング、ダイカスト、又は第2の部分460を提供する他の手段を含むことができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450が成形され、第2の部分460に接合される場合、(1)第2の部分460を提供するサブステップ、及び(2)第1の部分450及び第2の部分460を接合するサブステップは、組み合わされる。幾つかの実施形態では、インサート440は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120に挿入される前に、研磨(sanded)、研削、又は研磨(polished)されてもよい。
【0295】
幾つかの実施形態では、フェースプレート155を形成することは、鍛造、鋳造、機械加工、付加的製造による形成、又は他の方法でフェースプレート155を形成することを含むことができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155を形成することは、フェースプレート155内に可変厚さの幾何形状を、機械加工、鋳造、又は鍛造することを含むことができる。
【0296】
幾つかの実施形態では、方法500のステップ510は、トウウェイト、チップウェイト、及び/又はトウスクリューウェイトを提供することをさらに含むことができる。これらの実施形態では、ステップ510は、トウウェイト161を本体110のトウキャビティ114に溶接するステップをさらに含む。他の実施形態では、トウウェイト161は、本体610上に加締め(スエージ加工)、接着、又は他の方法で固定することができる。トウスクリューウェイトをさらに備えるゴルフクラブヘッド100の実施形態では、トウスクリューウェイトは、ステップ510、520、530、又は550で、ゴルフクラブヘッドにねじ込まれることができる。
【0297】
方法500のステップ520は、インサート140を本体110のキャビティ120内に配置することを含む。インサート140は、本体110のフロント部104でキャビティ120の前部開口を通して挿入される。幾つかの実施形態では、このステップ520は、エポキシ等の接着剤を本体110のキャビティ120及びインサート140に塗布して、インサート140を本体110内に固定することを含む。幾つかの実施形態では、このステップ520は、インサート140をキャビティ内に配置する前に、テープ層150等の一つ以上のテープ層をキャビティ120に適用することを含む。テープ層150等の一つ又は複数のテープ層は、インサート140と本体110のキャビティ120との間に強固で耐久性のある結合を形成することができる。さらに、テープの使用は、がたつき及び他の望ましくない品質問題の可能性を低減することができる。幾つかの実施形態では、インサート140を本体110に固定する様々な他の方法が、最大限の安全性のために組み合わされる。方法500の全ての実施形態が、インサート140をキャビティ120内に接着又は固定することを必要とするわけではない。
【0298】
方法500のステップ530は、フェースプレート155を本体110上に固定することを含む。フェースプレート155は、窪み142内に配置される。フェースプレート155を窪み142内に配置することによって、フェースプレート155は、本体110のインサート140及びキャビティ120を覆うように配置される。ステップ530は、フェースプレート155が本体110のフロント部104上の窪み142に埋め込まれるように、フェースプレート155を本体110上に加締める(スエージする)工程をさらに含むことができる。このようにして、インサート140は、ゴルフクラブヘッド100内に保持され、ゴルフクラブヘッド100の外側から完全に隔離される。他の実施形態では、フェースプレート155は、本体に接着されるか、圧入されるか、又は他の方法で固定される。
【0299】
ゴルフクラブヘッドの中には、共鍛造(統合鍛造としても知られる)、及び高温・高印加圧力による個々の鋳造部品の接合を含む方法によって製造されるものがある。これらの方法は、任意のインサートを含むゴルフクラブヘッドの複数の構成要素に影響を及ぼす高温を適用する。例えば、共鍛造プロセスは、700℃から1000℃の範囲の温度で行われる。一部のアルミニウム合金の融点は650℃から680℃の範囲に下がる。従って、アルミニウムインサートの場合、共鍛造は、アルミニウム材料の完全性を損なうことになる。インサート140、440、本体110、及びフェースプレート155は、共鍛造によってインサート140、440を損なう可能性のある高温に至る可能性があるため、一緒に共鍛造されない。
【0300】
さらに、フェースプレートをゴルフクラブヘッドにTIG溶接することによっても、ゴルフクラブヘッドに高温が付与され、これによってインサートが損なわれる可能性がある。アイアンタイプゴルフクラブヘッドの低密度中心のための可能な材料は、従来の製造プロセスのために著しく制限される。ゴルフクラブヘッド100は、製造プロセスが最終組立を高温下に置かないので、多種多様なインサート材料で製造することができる。さらに、熱可塑性複合材料のような、本明細書に記載された幾つかのインサート材料は、絶対に金属本体材料と共鍛造することができない。本明細書に記載される製造方法500は、インサート140、440が、材料が本体110と共鍛造されることを必要とせずに、任意の適切な材料から形成されることを可能にする。
【0301】
後述するステップ530及びステップ540は、いずれも、インサート140をキャビティ120に封入するために、フェースプレート155を固定する低熱方法を採用する。フェースプレート155を加締め、レーザー溶接、及び他の低温方法は、音響特性、感触、及び重み付けを微調整するために、インサート140又は440が多種多様な材料を含むことを可能にする。ステップ530及び540のローヘッド方法は、望ましくないがたつき及び振動を低減するために、キャビティ120の周りに接着剤及び/又はテープを使用する等、設計の融通性をさらに可能にする。
【0302】
ステップ540は、フェースプレート155と本体110との間の境界をレーザー溶接するステップを含む。ステップ540のプロセスは、表面融着処理とも呼ばれる。フェースプレート155がステップ530で本体110上に加締められた後、フェースプレート155と本体110との間の重複領域又は境界がレーザー溶接される。このレーザー溶接プロセスは、深い熱影響部(以下、「HAZ」という)を作ることなく、フェースプレート155と本体110の金属材料を融合する。境界をレーザー溶接することにより、フェースプレート155と本体110との間の任意の亀裂又は継ぎ目が除去される。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、以下に記載されるように、ステップ550においてコーティングで仕上げられる。仮に境界に微小な亀裂や継ぎ目があると、コーティングが継ぎ目に浸透し、品質問題を引き起こす可能性がある。ステップ540で境界をレーザー溶接することにより、この製造上の問題が解消される。
【0303】
上述のステップ540は、HAZ深さが0.03インチから0.08インチの範囲であり、フェースプレート155の厚さ112よりも小さくできるためで、キャビティ120内の材料の完全性を損なうことなく実施することができる。幾つかの実施形態では、HAZ深さは、0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満、0.05インチ未満、0.04インチ未満、又は0.03インチ未満とすることができる。幾つかの実施形態では、HAZ深さは、0.03インチ、0.04インチ、0.05インチ、0.06インチ、0.07インチ、又は0.08インチとすることができる。レーザー溶接は、インサート及びテープ層のような他のキャビティ充填材を、インサート材料の溶融温度よりも低い温度に加熱する。ステップ540の間にゴルフクラブヘッド100に与えられる熱は、キャビティ120内に密閉される材料のいずれも損なわない。
【0304】
方法500のステップ550において、ゴルフクラブヘッド100は、研削及び研磨を通して清掃される。研削は、ゴルフクラブヘッド100の打撃面111上に滑らかな表面を形成するために用いられる。さらに、このステップ550は、研削後にゴルフクラブヘッド100の表面を研磨することを含んでもよい。幾つかの実施形態においては、溝をフェースプレート155の打撃面111に研磨し、その後打撃面111を研磨する。製造方法500におけるどのステップも、異なる材料との共鍛造を含まない。
【0305】
図32に示すように、ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッドを製造する方法700は、少なくとも本体610、インサート材料、フェースプレート655を提供すること、フェースプレート655を本体610に溶接又は加締めること、インサート材料を本体610のキャビティ620に注入すること、及びゴルフクラブヘッド600を研磨及び清掃することを含む。
【0306】
ステップ710において、本体610は、鍛造、鋳造、又は付加的製造によって形成することができる。フェースプレート655は、鍛造、鋳造、又は付加的製造によって形成することができる。製造プロセス700の一変形例では、フェースプレート655は、フェースプレート655として別個に形成されるのではなく、本体610の一部として一体的に形成され、本体610の前面開口に溶接されるか、又は加締められる。幾つかの実施形態では、方法700のステップ710は、トウウェイト661、チップウェイト660、及び/又はトウスクリューウェイト662を提供することをさらに含む。これらの実施形態では、ステップ710は、トウウェイト661を本体610のトウキャビティ614に溶接することをさらに含む。他の実施形態では、トウウェイト661は、本体610上に加締め(スエージ加工)、接着、又は他の方法で固定することができる。トウスクリューウェイト662をさらに備えるゴルフクラブヘッド600の実施形態では、トウスクリューウェイト662は、ステップ710、720、730、又は750でゴルフクラブヘッドにねじ込まれることができる。
【0307】
さらに、方法700のステップ710において、リア開口680を画定する開口壁682は、本体610に形成されてもよく、又は本体610が形成された後に本体610のリア部603に切り込まれてもよい。ステップ710は、リア部603の開口壁682を研磨又は仕上げるステップをさらに含むことができる。
【0308】
ステップ720は、本体の窪み642内にフェースプレート655を配置することを含む。フェースプレート655は、溶接、加締め(スエージ加工)、又はその他の方法で本体610に固定される。本体610及びフェースプレート655は、キャビティ620を形成する。フェースプレート655が本体610に固定された後、キャビティ620への唯一の開口は、
図14~23の実施形態について示されるように、本体610のリア開口680である。幾つかの実施形態では、方法700のステップ720は、上記の方法500のステップ540で説明したものと同様の、レーザー溶接又は表面融着処理プロセスをさらに含むことができる。
【0309】
ステップ720は、トウスクリューウェイト662をトウスクリューキャビティ663に配置することをさらに含んでよい。トウスクリューキャビティ663は本体キャビティ620に開口しているので、トウスクリューウェイト662をトウスクリューキャビティ663に挿入することで、ステップ730の射出成形中にインサート材料がトウスクリューキャビティ663を通って漏れるのを防止することができる。リア面またはリア開口680の縁を精密機械加工することによって、クラブヘッド600の射出成形のための準備をさらに整えてよい。鋳造または鍛造されて提供されるゴルフクラブヘッドは、通常、金型の周囲を封止するのに十分な滑らかさを有する表面を欠いている。製造プロセスの本実施形態では、リア面またはリア開口680の縁はシャットオフ面として機能し、製造中に射出材料はシャットオフ面まで充填される。シャットオフ面において金型に対してきれいな封止を提供して、射出成形中のバリ形成を防止するためには、厳しい公差が必要である。したがって、シャットオフ面(この実施形態では、リア面またはリア開口680の縁)は、金型に対して十分に厳しい公差を表面に付するように精密機械加工されてよい。
【0310】
ステップ730において、インサート材料は、液体の形態で、リア部の開口680を通してキャビティ620内に注入される。本体610のキャビティ620は、射出された材料のための型として機能する。幾つかの実施形態では、射出成形プロセスは、インサート材料をキャビティ620の表面に結合させる。加圧下でキャビティ620内に材料を注入するために、注入装置は、リア開口680の口を塞がなければならない。ゴルフクラブヘッド600の上部608におけるリア開口680を囲む平面表面は、注入装置とゴルフクラブヘッド600の本体610との間が良好に密閉されることを可能にする。幾つかの実施形態では、インサート640がキャビティ620を部分的にのみ充填する場合、注入装置は、材料がキャビティ620全体を充填することを防止するために、キャビティ620の一部をさらに密閉するように構成される。
【0311】
方法700のステップ740では、ゴルフクラブヘッド600は、研削及び研磨によって清掃される。研削は、ゴルフクラブヘッド600の打撃面611上に滑らかな表面を形成するために使用される。さらに、このステップ740は、研削後にゴルフクラブヘッド600の表面を研磨することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、溝をフェースプレート655の打撃面611に研磨し、その後打撃面611を研磨する。
【0312】
ゴルフクラブヘッド600の幾つかの実施形態を製造する方法は、上述の方法700よりも方法500により類似している。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド600が金属インサート640を備えるゴルフクラブヘッド600を形成する方法は、フェースプレート655上に加締める前に、キャビティ620にインサート640を配置することを必要とする。
VI.実施例
例1:ゴルフクラブヘッドの測定
ゴルフクラブヘッド100は、上述のように、幾つかの異なるパラメータを用いて測定された。ブレード長さ173、ホーゼル-X長さ174、オフセット距離172、上部深さ116、及び最大高さ175が含まれていた。これらの値をゲームインプルーブメントアイアンと比較し、両方を下記の表IIに示す。測定されたゴルフクラブヘッド100及びゲームインプルーブメントアイアンは、いずれも7アイアンであり、ほぼ同等のロフト角を有していた。
【表II】
【0313】
例2:慣性モーメント(MOI)比較及び重心(CG)比較
従来のツアーアイアンヘッドのMOIを上述のゴルフクラブヘッド100と比較するために試験を行った。この比較試験で使用される従来のツアーアイアンヘッドは、サンプルゴルフクラブヘッドとサイズ及びヘッド重量が同一である。従って、この試験は、従来のツアーアイアンヘッドに対するサンプルの性能の正確な比較を提供するために、MOIを変数として分離した。この試験は、サンプルクラブヘッドについて約108グラム平方インチのIxx値、及び従来のツアーアイアンヘッドについて約103グラム平方インチのIxx値を生じた。従って、x軸30の周りのMOIは、サンプルクラブヘッドにおいて約4.8%高い。この試験は、サンプルクラブヘッドについてはおよそ413グラム平方インチのIyy値を、従来のツアーアイアンヘッドについてはおよそ398グラム平方インチのIyy値を生じた。従って、y軸40の周りのMOIは、サンプルクラブヘッドにおいて約3.7%高い。この試験は、ゴルフクラブヘッド100用の軽量インサートが、ゴルフクラブヘッド100のサイズ又は重量を変えることなく、MOIの向上を提供することを示す。
【0314】
さらに、(1)リア部に開口部を有し、TPCから形成されたインサートを有するゴルフクラブヘッド600に類似したアイアン、(2)リア部に開口部を有し、アルミニウムから形成されたインサートを有するゴルフクラブヘッド600に類似したアイアン、(3)TPCインサートで充填された密閉キャビティを有するゴルフクラブヘッド100に類似したアイアン、(4)アルミニウムインサートで充填された密閉キャビティを有するゴルフクラブヘッド100に類似したアイアン、及び(5)本明細書に記載されたゴルフクラブヘッドに類似した全体的なクラブヘッド容積を有する中実鋼クラブヘッド、の5つのクラブヘッド間で比較を行った。測定は、各ゴルフクラブヘッドのコンピュータ支援設計(CAD)モデルを用いて行った。以下の表IIIは、収集されたMOIデータを集約する。以下の表IVは、収集されたCGデータを集約する。
【表III】
【0315】
MOIは、CGからの距離及び質量の関数であるので、MOIは、ゴルフクラブヘッドの全体質量の変化を反映する。従って、クラブヘッドのMOIを正確に比較するためには、ゴルフクラブヘッドの総質量の差異を考慮しなければならない。比較されるゴルフクラブヘッドに渡るMOIの効率を示すために、MOIをゴルフクラブヘッドの質量で割って、MOI効率値に到達した。ゴルフクラブヘッドのMOI効率値は、ゴルフクラブヘッドの構造及び局所的な重み付けがどのようにMOIに影響を及ぼすかを示すために、質量とは無関係に比較することができる。従って、x軸30及びy軸40方向の両方におけるMOI値は、低密度インサートゴルフクラブヘッド(1)から(4)よりも中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)の方が高かったが、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)のMOI効率は、ゴルフクラブヘッド(1)から(4)のMOI効率よりも低かった。従って、低密度インサートを有するゴルフクラブヘッド(1)から(4)は、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100、600の低密度インサート140、440、460を欠くゴルフクラブヘッドよりも寛容である。
【0316】
表IIIから分かるように、低密度インサートを有するゴルフクラブヘッド(1)から(4)は、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)よりも5.9%から11.2%の範囲で高いx軸30方向におけるMOI効率を有する。表IIIから分かるように、低密度インサートを有するクラブヘッド(1)から(4)は、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)より8.5%から15.5%高いy軸40方向におけるMOI効率を有する。
【0317】
MOIを増加させることに加えて、CGを低下させることはまた、ゴルフクラブヘッド性能に有益であり得る。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100、300、600は、ゴルフクラブヘッド100、300及び600と同様の形状を有する同等の中実鋼よりも低いCG60を備える。より低いCGは、CGがより低い場合にショットを形成するのがより容易であるため、ツアーアイアンにおいて望ましい。ゴルフクラブヘッド600の場合、CGの低下は、部分的には、リア部603に開口680を含めることによる高密度本体材料の排除によるものである。
【表IV】
【0318】
図1を参照すると、CGyは、前縁軸35からy軸40方向(垂直)及び上方に測定される。CGx値が正の場合には、CGがヒール部102により近くなるように、CGxは、y軸40を原点として、前縁軸35に沿って水平に測定される。CGzは、前縁軸35からz軸50に水平方向に沿って、後方へ測定される。CGy値は、ゴルフクラブヘッド(3)~(5)よりもゴルフクラブヘッド(1)及び(2)の方が低い。これは、本体のリア部に開口部を有するゴルフクラブヘッド(上述のゴルフクラブヘッド600と同様)は、好ましいより低いCGを有することを示す。CGは、鋼クラブヘッド(5)よりもクラブヘッド(2)の方が2.06%低い。CGは、鋼ゴルフクラブヘッド(5)よりもゴルフクラブヘッド(1)の方が2.84%低く、低密度TPCインサートが、そのアルミニウムインサートの対応物(ゴルフクラブヘッド(2))よりもはるかに良好なCG配置をもたらすことを示している。
【0319】
表III及びIVにおける比較データは、密閉キャビティ実施形態及びリア開口実施形態の強度をさらに示す。本発明のすべての実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(1)から(4))は、中実クラブヘッド(5)を上回る改善を示すが、密閉キャビティ実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(3)及び(4))及びリア開口実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(1)及び(2))の両方は、固有の利点を提供する。比較データは、表IIIのMOI効率に示されるように、x軸30方向及びy軸40方向の両方におけるMOI効率が、密閉キャビティクラブヘッド(3)及び(4)において、クラブヘッド(1)、(2)及び(5)におけるMOI効率よりも高いことを示す。これは、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100又は比較クラブヘッド(3)及び(4)と同様の密閉キャビティ実施形態が、ゴルフクラブヘッド600又は比較クラブヘッド(1)及び(2)等のリア部に開口を有する実施形態よりも寛容であることを示唆する。しかしながら、本体610にリア開口680を有する実施形態は、表IVのCGy欄に示されるように、密閉キャビティを有する実施形態よりも低いCG値を有する。
【0320】
例3:重力中心フラットバック対屈曲継ぎ目比較
MOI及び感触に加えて、ゴルフクラブヘッドのCGの位置が性能に影響を及ぼす。特に、CG位置は、ゴルフボールとの衝突時にゴルフクラブヘッドに与えられるトルクの量に影響を及ぼす。CGを下げることによって、ゴルフボールが典型的には打撃面の下部で打たれるので、ゴルフボールによって加えられる力とCGとの間のアームが小さくなる。この付加された力とCGとの間の短縮されたアームは、低いトルクをもたらし、ゴルフボールとの衝突時の打ち上げ特性を向上する。従って、ゴルファーに最良の可能な体験を提供するために、本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、低いCGを備える。
【0321】
ゴルフクラブヘッド100、300、600の上部108、608の均一な深さがどのようにして下方CG60につながるかを示すために、ゴルフクラブヘッド100及び600と同様のゴルフクラブヘッドと、そのトップレール部からそのソール部まで様々な深さを有する比較ゴルフクラブヘッドとの間で比較を行った。比較ゴルフクラブヘッドは、そのトップレール部からそのソール部まで延びる平坦なリア部を有する。正確な説明を提供するために、100、300及び600と同様の比較ゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブヘッドは、両方とも同じ総質量でモデル化された。比較の結果を以下の表Vに説明する。
【表IV】
【0322】
表IVに示されるように、垂直なy軸40に沿って測定されるCGy値は、100、300及び600と同様のゴルフクラブヘッドについて有意に低い。具体的には、100、300及び600と同様のゴルフクラブヘッドは、比較ゴルフクラブヘッドよりも0.039インチ低いCGyを備える。これは、屈曲継ぎ目130、630より上の上部108、608の均一な深さが、CGを下げ、より良い打ち上げ特性及びスピン特性、及びより高いボール速度を提供することを示す。
【0323】
さらに、CGz値は、z軸50に沿って測定され、CG60の後方は負であり、CG60の前方は正である。100、300及び600に類似するゴルフクラブヘッドのCG60は、ゴルフクラブヘッドのフロント部により近い。
【0324】
例4:感触と音
ツアーアイアンの魅力の一部は、コンパクトな輪郭と滑らかな美的設計である。さらに、鍛造ゴルフクラブヘッドは、多くのゴルファーに鋳造クラブヘッドよりも優れていると認識される。従って、ツアーアイアンがこれらの期待を満足させることが重要である。ゴルファーは、特に、他のタイプのアイアンに比べて、鍛造ツアーアイアンの音と感触を楽しむ。ゴルフにおいて、ゴルフクラブヘッドの「感触」は、ゴルファーが知覚するように、ゴルファーの業績において大きな役割を果たす。「感触」は、一般に、重量、材料、音響、及び打撃面の厚さによって影響される。多くのゴルファーは、ツアーアイアンが、他の多くのタイプのアイアンにはない中実な感触を提供することに同意する。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、既存のツアーアイアンを超えないとしても等しい中実な感触及び音響品質を示す。
【0325】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを有するサンプルツアーアイアンの感触を定量化するために、調査が行われた。20人のゴルファーが調査に参加し、サンプルアイアンとの経験を、従来のツアーアイアンとの経験と比較した。サンプルアイアンと従来のアイアンの両方を使用した後、調査参加者は、各アイアンについて以下の質問を受けた。「このアイアンが提供する衝突体験(感触/音)にどの程度満足しているか。」大多数のプレーヤーは、従来のツアーアイアンよりもサンプルツアーアイアンの衝突体験を好んだ。
【0326】
最後に、アイアンの品質と耐久性は、持続的な性能にとって極めて重要である。打撃面111、311及び611は、単独で、ゴルフボールを打つことによりその上に置かれる応力に耐えるように設計される。しかしながら、熱可塑性複合インサート140又は640、完全金属インサート140又は640、多材料インサート440、又は、軽量化インサート240又は280を含めることにより、ゴルフクラブヘッドに付加的に中実な感触が与えられ、同様の中空本体ゴルフクラブヘッドよりもゴルフクラブヘッドの音響品質が向上される。フェースプレート155、655は、インサート140、340、240、280又は640が常にゴルフクラブヘッドの内側に固定されたままであることを確実にすることによって、ゴルフクラブヘッドの品質及び耐久性を向上することができる。
【0327】
例5:性能テスト
テストを実施し、対照クラブと、ショアA30硬度を有するインサートを備える第1のテストクラブ(上述のゴルフクラブヘッド600と同様)と、TPUで形成されたインサートを有する第2のテストクラブ(上述のゴルフクラブヘッド600と同様)とを比較した。12人のゴルファーについて、3つのクラブすべてのショットデータが記録された。その結果、第1のテストクラブ(ショアA30のインサート)と第2のテストクラブ(TPUインサート)は両方とも、対照クラブとほぼ同じ(0.9mph以内)のボールスピードを示した。第1のテストクラブと第2のテストクラブの打ち出し角とスピン率は、対照クラブの打ち出し角と有意な差はなかった。対照クラブは、インサートの材料に起因して、ボールスピード、打ち出し角、スピン率で、第1のテストクラブおよび第2のテストクラブより優れているだろうと予測されていた。従って、3つのクラブが同じようなボールスピード、打ち出し角、スピン率を示したことは予想外であった。
【0328】
図53に示されているように、ボールスピード、打ち出し角、スピン率は3つのクラブで同等であったが、第2のテストクラブはよりダウンライン(またはキャリー)およびオフラインの一貫性を示した。各ショットの着地点をチャートにして分析し、各クラブの統計的プロットエリアを特定した。統計プロットエリアとは、テストデータから特定される楕円形エリアのことで、このエリア内に今後のショットの90%が収まると予想される。統計プロットエリアは、まず、テストショットのダウンライン距離の平均標準偏差を取り、それに係数を掛けて楕円形のダウンライン半径を形成することによって特定される。テストショットのオフライン距離の平均標準偏差を取り、それに係数を掛けると、楕円形のオフライン半径が得られる。統計プロットエリアの楕円形はダウンラインとオフライン距離の平均を中心としており、その中に今後のショットの90%が収まると予想される。
【0329】
第1のテストクラブは対照クラブと同じような性能を示した。第1のテストクラブの統計プロットエリアは1246平方ヤードであり、対照クラブの統計プロットエリアは1183平方ヤードであった。しかし、第2のテストクラブ(TPUインサート)の統計プロットエリアは、対照クラブの統計プロットエリアの大きさよりも約42%小さかった。第2のテストクラブの統計エリアは、690平方ヤードであった。第2のテストクラブの統計プロットエリアが小さいということは、このクラブ(TPUインサート)がゴルファーのショットの一貫性を大いに高めるということを示している。
図53にプロットされているように、第2のテストクラブ(TPUインサート)は、対照クラブ及び第1のテストクラブと比較して、ダウンライン方向及びオフライン方向の両方においてより高い一貫性を示した。この性能テストでは、第2のゴルフクラブ(TPUインサート、ゴルフクラブヘッド600と同様)が、対照ゴルフクラブまたは第1のゴルフクラブよりもショット精度が高いことが分かった。
【0330】
例6:音テスト
テストを実施して、対照クラブヘッドの音を本発明の実施形態による例示的なクラブヘッドと比較した。対照クラブは、
図10~
図12に示されるインサート240と同様のインサートを備えるクラブヘッドであった。このインサートは、複数の凹部を有する単一材料構造を備える。例示的なクラブヘッドは、
図56~
図61に示されるインサート840と同様のインサートを備えることを除いて、対照クラブヘッドと同様の構造を有するクラブヘッドであった。インサート840はインサートの底部に設けられた1つの凹部を備えており、この凹部は軽量の第2の材料によって充填されていた。
【0331】
コンピュータに接続されたマイクロフォンを使って、音データが記録された。マイクロフォンは、インパクト時のゴルフボールとクラブヘッドに近接して設置された。テストは屋外の天然芝で実施された。各ゴルフクラブは、同じ一人のゴルファーによって5回スイングされた。その後、データをフィルタリングして、各クラブについて1つのグラフを作成した。音データは、
図72と
図73に示されている。
【0332】
図72と
図73に示されるように、音データは、振幅対周波数をプロットしたグラフで示される。高い振幅は、その振幅が発生した周波数の優位性またはラウドネスを示している。最も高い振幅はドミナントモードを示している。言い換えれば、ドミナントモードとは、最も高い振幅が発生する周波数のことである。低い周波数で発生するドミナントモードは、通常、高い周波数で発生するドミナントモードと比較して、高い音を出す。
【0333】
図72は、多材料インサート840を備える例示的なクラブヘッドの音データを示す。グラフに示されるように、例示的なクラブヘッドのドミナントモード1aは約5700Hzである。
【0334】
図73は、単一材料インサート240を備える対照クラブヘッドの音データを示す。グラフに示されるように、対照クラブヘッドのドミナントモード2aは約5000Hzである。
【0335】
したがって、多材料インサート840を備える例示的なクラブヘッドは、単一材料インサート240を備える対照クラブヘッドよりも高い周波数で発生するドミナントモード1aを有すると結論することができる。より高い周波数で発生するドミナントモードほど、より低い音を有する。低い音は、通常、高い音よりも望ましい。したがって、例示的な実施形態が、対照クラブヘッドよりも望ましい音を生じさせた。多材料インサート840を使用することによって、望ましい音を得ることができる。インサート840は、振動を減衰させ、かつより低い音を生じさせる柔らかい第2の材料を有する。
【0336】
さらに、
図72および
図73は、各クラブヘッドの二次モード1b、2b、および三次モード1c、2cを示している。二次モードは、ドミナントモードの後に(より高い周波数で)発生する二番目に優勢なモードである。同様に、三次モードは、二次モードの後に(より高い周波数で)発生する三番目に優勢なモードである。二次モードと三次モードが発生する周波数は重要ではない。それよりも、二次モードと三次モードについて見るべき重要な要素は振幅である。二次モードと三次モードの振幅が大きいほど、音がより長く続く、つまり「響く(ringing)」音になる。逆に、二次モードと三次モードの振幅が小さいほど、短い音になる。プレーヤーは、短い音の方がしっかりした固い音に聞こえるので、短い音が好ましいと述べた。
【0337】
図72および
図73に示されるように、例示的なクラブヘッドは、対照クラブヘッドの二次モード2bよりも低い振幅で発生する二次モード1bを有する。同様に、例示的なクラブヘッドは、対照クラブヘッドの三次モード2cよりも低い振幅で発生する三次モード1cを有する。したがって、例示的なクラブヘッドが、より短く、よりしっかりとした音を有する一方で、対照クラブヘッドは、例示的なクラブヘッドと比較して、より響く音を有すると結論することができる。単一材料インサートを備える対照クラブヘッドは、二次モードおよび三次モードによって示されるように、響きの影響が大きいことにより、あまり望ましくない音を生じさせる。多材料インサートを備える例示的なクラブヘッドは、対照クラブヘッドと比較して、より望ましい音を生じさせる。
【0338】
多材料インサートを備える例示的なクラブヘッドは、単一材料のインサートを備える対照クラブヘッドと比較して、より望ましい音を生じさせることが分かった。多材料インサートを使用することによって、音を改善することができる。インサートは、インサートの凹部内に受容される軽量の第2の材料を有する。この軽量の高分子材料は、インサートおよびアイアン内の振動を減衰させ、第2の材料を欠くインサートよりも望ましい音と感触を生じさせる。
【0339】
例7:単一材料インサートの重心と多材料インサートの重心の比較
単一材料インサートを備えるゴルフクラブヘッドの重心を、多材料インサートを備えるゴルフクラブヘッドの重心と比較した。単一材料インサートはインサート240と同様であった。多材料インサートはインサート840と同様であった。
【表V】
【0340】
表Vに示されるように、単一材料インサートを備えるゴルフクラブヘッドは0.608インチのCGyを有し、多材料インサートを備えるゴルフクラブヘッドは0.608インチのCGyを有する。このように、多材料インサートは、単一材料インサートを備えるゴルフクラブヘッドと比較して、重心のCGy位置に悪影響を及ぼさない。したがって、多材料インサートは、同じ重心位置を維持しながら、改善された音と感触を提供する。
【0341】
本明細書で記載されるゴルフクラブヘッド100および600は、ツアータイプのゴルフクラブヘッドとして機能する。ゴルフクラブヘッド300は、ツアータイプアイアンまたはゲームインプルーブメントアイアンのいずれかとして機能することができる。ゴルフクラブヘッド100および600、ならびに任意でゴルフクラブヘッド300は、一般的なゲームインプルーブメントアイアンよりも小型でありつつも、高いMOIを提供する。これらの多材料ゴルフクラブヘッド100および600、ならびに任意でゴルフクラブヘッド300は、卓越した寛容性を有するコンパクトな製品を提供する。
【0342】
例8:オフセットの比較
フェースプレートの溶接前にキャビティに入れた4つの多材料インサートの間で、溶接による温度が多材料インサートに与える影響を比較した。インサートは、溶接線からのオフセット距離を変えるために様々に配置され、インサートによって断熱されるが、必ずしもその必要はない軽量の第2部分を備えていた。
【0343】
これらのインサートについて、オフセット距離、断熱性、観察される損傷の3つの要素を調査した。オフセット距離は、(三次元的に)測定される第2部分と溶接線との間の絶対的な最短距離で測定される。断熱距離は、溶接線と第2部分との間に位置する第1部分の厚さである。観察される損傷は、組立て後に(すなわち、フェースプレートの溶接後に)各アイアンを切り開き、第2部分が損傷しているかどうかを観察することによって判断された。
【0344】
第1のインサートは、
図57に示されるインサート840と同様の多材料インサートを備えていた。第1のインサートは、インサートのソール面の凹部に受容される第2部分を備える。
【0345】
第2のインサートは、
図63に示されるインサート940と同様の多材料インサートを備える。第2のインサートは、インサートのリア面の凹部に受容される第2部分を備える。
【0346】
第3のインサートは、
図65に示されるインサート1040と同様の多材料インサートを備える。第3のインサートは、インサートのフロント面に設けられた開口を通ってさらに突出し、リア面の凹部に受容される第2部分を備える。
【0347】
第4のインサートは、
図66に示されるインサート1140と同様の多材料インサートを備える。第4のインサートは、インサートのフロント面の開口を通ってさらに突出し、リア面の凹部に受容される第2の部分を備える。
【0348】
【0349】
上記の表VIに示されているように、第1のインサートは約0.030インチのオフセット距離を有する。第1のインサートは、第2部分が溶接線に直接露出せず、第1の部分によって断熱されているという点で、断熱された第2部分を有していた。断熱厚さは0.030インチであった。第1のインサートは溶接によって損傷した。
【0350】
第2のインサートは0.125インチのオフセット距離を有する。第2のインサートは、第2部分が溶接線に直接露出するように、第1部分によって断熱された第2部分を有していた。断熱厚さは0.075インチであった。第2のインサートは溶接によって損傷しなかった。
【0351】
第3のインサートは、第2部分の一部(すなわち突出部)が第1部分によって断熱されていない、部分的にのみ断熱された第2部分を有する。第3のインサートは、(非断熱部分までの)オフセット距離が0.50インチである。第3のインサートは溶接によって損傷しなかった。
【0352】
第4のインサートは、第2部分の一部(すなわち突出部)が第1部分によって断熱されていない、部分的にのみ断熱された第2部分を有する。第4のインサートは、(非断熱部分までの)オフセット距離が0.10インチである。第4のインサートは溶接によって損傷した。
【0353】
この結果から分かるように、オフセット距離を短くすればするほど、第2部分を損傷するリスクが高まる。さらに、断熱厚さを薄くすればするほど、第2部分を損傷するリスクが高まる。
【0354】
図1~71は、ゴルフクラブヘッドの特定の実施形態を示すが、実施形態の開示は、本開示の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって要求される範囲に限定されることが意図されている。
【0355】
ゴルフに対する規則は、変更される可能性があるので(例えば、新しい規則が採用され、又は古い規則がゴルフ標準組織及び/又は支配団体によって排除又は修正される可能性がある)、本明細書中に記載される方法、装置、及び/又は製品に関連するゴルフ用具は、ある特定の時代におけるゴルフの規則に適合する場合もあるし、適合しない場合もある。従って、本明細書に記載される方法、装置、及び/又は製品に関連するゴルフ用具は、適合又は不適合ゴルフ用具として宣伝され、販売の申し出がされ、及び/又は販売される可能性がある。本明細書に記載される方法、装置、及び/又は製品は、この点に関して限定されない。
【0356】
一つあるいは複数の特許請求されている要素の置換は、再構成を構成し、修理を構成しない。加えて、効果、他の利点、及び課題に対する解決策が特定の実施形態に関して記載されてきた。しかしながら、効果、利点、課題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を生じさせるか、又はより顕著にすることができる任意の一つあるいは複数の要素は、そのような利益、利点、解決策、又は要素がそのような請求項に記載されていない限り、請求項のいずれか又はすべてに重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0357】
さらに、本明細書に開示する実施形態及び限定事項は、実施形態及び/又は限定事項が、(1)請求項に明示的に記載されておらず、かつ(2)均等論に基づいて請求項における表現要素及び/又は限定事項の均等物となる、又は均等物となる可能性のある場合には、寄与論に基づいて公衆に寄与されるものとはならない。
【0358】
第1項:ゴルフクラブヘッドであって、フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備え、前記ソール部は、グランド面と接し、前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレール部がキャビティを囲んでおり、前記インサートは、前記キャビティに受容され、前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、前記インサートは、前記ソール面に形成され、前記上部に向かって上方に延びる凹部を備え、前記凹部は、前記インサートの前記上部内へ延びないように、前記屈曲継ぎ目で終端しており、前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【0359】
第2項:前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0360】
第3項:前記インサート上部は中実である、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0361】
第4項:前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0362】
第5項:前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される、前記キャビティの体積の割合を充填する、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0363】
第6項:ヒール部およびトウ部と、前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0364】
第7項:前記第1の材料は、鋼系材料、チタン系材料、アルミニウム合金、またはチタン合金からなる群から選択される材料を有し、前記第2の材料は、鋼系材料または鋼合金からなる群から選択される材料を有し、前記第3の材料は、アルミニウムおよびチタンからなる群から選択される材料を有し、前記第4の材料は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、または耐熱性シリコンからなる群から選択される材料を有する、第1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0365】
第8項:ゴルフクラブヘッドであって、フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備え、前記ソール部は、グランド面と接し、前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレール部がキャビティを囲んでおり、前記インサートは、前記キャビティに受容され、前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、前記インサートは、前記リア面に形成され、前記打撃面に向かって前方に延びる凹部を備え、前記凹部は、前記インサートの前記周部によってさらに画定され、前記凹部は、前記インサートの前記フロント面と平行な底面を備え、前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【0366】
第9項:前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、第8項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0367】
第10項:前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、第8項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0368】
第11項:前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される前記キャビティの体積の割合を充填する、第8項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0369】
第12項:ヒール部およびトウ部と、前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、第8項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0370】
第13項:前記第1の材料は、鋼系材料、チタン系材料、アルミニウム合金、またはチタン合金からなる群から選択される材料を有し、前記第2の材料は、鋼系材料または鋼合金からなる群から選択される材料を有し、前記第3の材料は、アルミニウムおよびチタンからなる群から選択される材料を有し、前記第4の材料は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、または耐熱性シリコンからなる群から選択される材料を有する、第8項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0371】
第14項:ゴルフクラブヘッドであって、フェースプレートと、本体と、インサートとを備え、前記本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレールとを備え、前記ソール部は、グランド面と接し、前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、前記下部は、前記屈曲継ぎ目と前記ソール部により境界付けられ、前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、および前記トップレールがキャビティを囲んでおり、前記インサートは、前記キャビティに受容され、前記インサートは、前記本体の前記上部に受容されるように構成されたインサート上部を備え、前記インサートは、前記本体の前記下部に受容されるように構成された下部を備え、前記インサートは、フロント面と、リア面と、周部と、ソール面と、前記インサート上部と前記インサート下部とを分離するインサート屈曲継ぎ目を備え、前記インサート上部と前記インサート下部は、前記インサート屈曲継ぎ目で一体的に形成されており、前記インサートは、前記フロント面に後方に延びる複数の凹部を備え、前記複数の凹部は、前記下部に位置しており、前記複数の凹部の各凹部は、リブによって隣接する各凹部から分離されており、前記フェースプレートは、第1の密度の第1の材料を有し、前記本体は、第2の密度の第2の材料を有し、
前記インサートは、第3の密度の第3の材料を有し、前記凹部は、第4の密度の第4の材料を受容するように構成されており、前記第3の密度は、前記第1の密度および前記第2の密度よりも小さく、前記インサートの前記周部が、前記キャビティの壁と面一である、ゴルフクラブヘッド。
【0372】
第15項:前記第1の密度は、2.6~8.7g/ccの範囲の密度を有し、前記第2の密度は、7.7~8.1g/ccの間であり、前記第3の密度は、2.4g/cc~5g/ccの間であり、前記第4の密度は、0.5g/cc~1.3g/ccの間である、第14項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0373】
第16項:前記インサートは、前記1つまたは複数の凹部を備えない類似のインサートよりも、5グラム~6グラムの間、5.5グラム~6.5グラムの間、6グラム~7グラムの間、6.5グラム~7.5グラムの間、7グラム~8グラムの間、7.5グラム~8.5グラムの間、8グラム~9グラムの間、8.5グラム~9.5グラムの間、および9グラム~10グラムの間からなる群から選択される質量だけ軽い、第14項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0374】
第17項:前記インサートは、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、および80%~90%からなる範囲群から選択される、前記キャビティの体積の割合を充填する、第14項に記載のゴルフクラブヘッド。
【0375】
第18項:ヒール部およびトウ部と、前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、をさらに備え、前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲であり、前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲である、第14項に記載のゴルフクラブヘッド。
【国際調査報告】