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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】医療技術システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518937
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022076584
(87)【国際公開番号】W WO2023046926
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021124873.6
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ウッツ
(72)【発明者】
【氏名】アラン マース
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB14
4C038VB24
4C038VC15
(57)【要約】
本発明は、関節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するための医療システムに関し、当該医療システムは、少なくとも前記骨を含む骨配列の少なくとも1つの画像を、前記骨の互いに対する所定の向きで、好ましくは、前記骨に対する所定の視方向で、作成するための撮像ユニットと、少なくとも1つの画像に基づいて、前記骨に関する少なくとも1つの出力データセットを提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニットと、前記骨のそれぞれに割り当て可能な少なくとも1つのパターンデータセットが記憶されているメモリユニットであって、データ処理ユニットは、それぞれのパターンデータセットを少なくとも1つの出力データセットに数学的に適合させて、前記骨に関する患者個別の静的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされている、メモリユニットと、センサ素子を有するセンサユニットであって、センサ素子のそれぞれは、前記骨を含む患者の身体部分において、前記骨のそれぞれに対して所定の空間的関係で配置可能である、センサユニットと、を備え、データ処理ユニットは、静的モデルデータセットに基づいて、および、前記骨の互いに対する好ましくは所定の動きの結果得られるセンサ素子からの情報に基づいて、前記骨に関する動的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされており、動的モデルデータセットは、前記骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含む。本発明はまた、方法にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節(26)で互いに接続された患者(22)の骨(24)の運動特性を特定するための医療装置システムであって、
少なくとも前記骨(24)を含む骨配列(34)の少なくとも1つの画像(36)を、前記骨(24)の互いに対する所定の向きで、好ましくは、前記骨(24)に対する所定の視方向で、作成するための撮像ユニット(14)と、
少なくとも1つの前記画像(36)に基づいて、少なくとも1つの前記骨の初期データセット(50)を提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニット(12)と、
前記骨(24)のそれぞれに割り当て可能な少なくとも1つのサンプルデータセット(64)が記憶されているメモリユニット(16)であって、前記データ処理ユニット(12)は、サンプルデータセット(64)のそれぞれを少なくとも1つの前記初期データセット(50)にコンピュータ的に適合させて、患者個別の前記骨(24)の静的モデルデータセット(66)を提供するように構成およびプログラムされている、メモリユニット(16)と、
センサ素子(76)を有するセンサユニット(18)であって、前記センサ素子(76)のそれぞれは、前記骨(24)を含む前記患者(22)の身体の一部において、前記骨(24)のそれぞれに対して所定の空間的関係で配置可能である、センサユニット(18)と、を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、前記静的モデルデータセット(66)に基づいて、および、前記骨(24)の互いに対する好ましくは所定の動きの結果得られる前記センサ素子(76)の情報に基づいて、前記骨(24)の動的モデルデータセット(74)を提供するように構成およびプログラムされており、前記動的モデルデータセット(74)は、前記骨(24)の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含む、医療装置システム。
【請求項2】
前記相対的な位置が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
-静的姿勢において、前記骨(24)が互いに配向される角度(70、72)。
-前記骨(24)間の前記関節(26)の関節中心(27)の前記姿勢。
-前記骨(24)の一方が他方の骨(24)に接続される関節(26)の関節中心(27)の前記姿勢。
【請求項3】
前記相対的な可動性が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の医療技術システム。
-前記関節(26)において前記骨(24)が互いに対して動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
-骨(24)が関節(26)を介して他方の骨(24)上で動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
【請求項4】
前記撮像ユニット(14)はX線ユニット(46)であり、
少なくとも1つの前記初期データセット(50)が、好ましくは正面図または側面図で、前記骨(24)の2次元描写を含むことを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項5】
前記データ処理ユニット(12)は、少なくとも1つの前記初期データセット(50)において、特徴的な目印および/または前記関節(26)の関節中心(27)をコンピュータ的に特定し、好ましくは、対応する情報を少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項6】
前記システム(10)は、少なくとも1つの前記初期データセット(50)のグラフィカル描写を表示するための表示ユニット(52)と、ユーザ(56)用の入力ユニット(58)とを有し、
特徴的な目印および/または前記関節(26)の関節中心(27)が、前記入力ユニット(58)において、前記ユーザ(56)によって設定可能および/または変更可能であり、
対応する情報が、少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶可能であることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記初期データセット(50)は、スケール(48)を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、前記骨(24)によって規定される軸(60、62、68)および/または前記骨(24)の間の角度(70、72)を特定し、好ましくは、それらを少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項8】
骨(24)それぞれに割り当て可能な複数のサンプルデータセット(64)が前記メモリユニット(16)に記憶されており、
前記データ処理ユニット(12)は、静的形態モデルを用いて、前記複数のサンプルデータセット(64)から最適のサンプルデータセット(64)を特定し、それを前記骨(24)に適合させるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項9】
前記サンプルデータセット(64)は前記骨(24)の3次元描写を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、3次元の静的モデルデータセット(66)と、これに基づいて、3次元の動的モデルデータセット(74)とを提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項10】
前記サンプルデータセット(64)は、前記骨(24)の特徴的な目印に関する情報を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、前記静的モデルデータセット(66)に、前記骨(24)によって規定される軸(60、62、68)、前記骨(24)の寸法、特にその長さ、特徴的な目印、前記骨(24)の間の関節中心(27、43、45)、および/または前記骨(24)の間の角度(70、72)に関する情報を記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項11】
前記センサ素子(76)が、前記骨(24)を含む前記身体部に前記センサ素子(76)を非侵襲的に取り付け可能な固定装置(80)を備えるか、または、固定装置(80)に関連付けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項12】
前記センサ素子(76)は加速度センサ(78)を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、時間を考慮して、前記加速度センサ(78)の信号に基づいて、骨(24)の可動範囲を特定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項13】
前記システム(10)は、前記患者(22)による特徴的な動作の実行指示を出力可能な通知ユニット(20)を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、前記動作が実行されるときに前記センサユニット(18)によって提供される情報を、前記骨(24)の相対的な位置および/または相対的な可動性を特定する際に取り入れることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項14】
前記データ処理ユニット(12)は、前記センサ素子(76)の情報に基づいて、前記骨に対する前記センサ素子(76)の空間的関係を特定し、前記動的モデルデータセット(74)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項15】
前記データ処理ユニット(12)は、前記センサ素子(76)からの情報に基づいて、前記骨(24)の軸(60、62、68)および前記軸(60、62、68)の交点を特定し、それらを、前記静的モデルデータセット(66)に含まれる前記骨(24)の前記軸(60、62、68)が前記センサ素子(76)の前記情報に基づいて特定された前記軸(60、62、68)と重なるように、前記静的モデルデータセット(66)に関連付けるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項16】
これに基づいて、前記骨(24)の前記軸(60,62,68)の姿勢と、前記軸(60,62,68)の交点と、前記骨(24)の長さとが、前記動的モデルデータセット(74)に記憶されることを特徴とする、請求項15に記載の医療技術システム。
【請求項17】
前記骨(24)は、前記患者(22)の前記大腿骨(28)および前記脛骨(30)であり、
以下の情報のうちの少なくとも1つが、前記動的モデルデータセット(74)に記憶されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
-機械的および/または解剖学的な大腿骨軸(62、68)および/または脛骨軸(62)。
-膝関節中心(27)の位置。
-股関節中心(43)の位置。
-足関節中心(45)の位置。
-前記大腿骨(28)と前記脛骨(30)の内反-外反姿勢。
-屈曲および/または伸展の可動域に関する情報。
-前記大腿骨(28)と前記脛骨(30)の内旋および/または外旋に関する情報。
-前記大腿骨(28)に対する前記脛骨(30)の移動に関する情報。
-ストライド長さに関する情報。
-上顆および/または転子などの特徴的な目印に関する情報。
【請求項18】
前記データ処理ユニット(12)は、前記動的モデルデータセット(74)を、例えば、歩行実験室での歩行分析に基づいて実験的に得られた測定データセットと比較し、一致および/または逸脱を判定し、通知ユニット(20)において関連情報を前記ユーザ(56)に提供するよう構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の医療技術システム。
【請求項19】
関節(26)で互いに接続された患者(22)の骨(24)の運動特性を特定するための医療技術方法であって、
少なくとも前記骨(24)を含む骨配列(34)の少なくとも1つの画像(36)を、前記骨(24)の互いに対する所定の向きで、好ましくは、前記骨(24)に対する所定の視方向で、作成することと、
データ処理ユニット(12)によって、前記少なくとも1つの画像(36)に基づいて、少なくとも1つの前記骨(24)の初期データセット(50)を提供することと、
メモリユニット(16)に記憶され、前記骨(24)のそれぞれに割り当て可能なサンプルデータセット(64)を、前記データ処理ユニット(12)によってコンピュータ的に適合させ、患者個別の静的モデルデータセット(66)を提供することと、
前記静的モデルデータセット(66)に基づいて、および、好ましくは前記骨(24)の互いに対する所定の動きの結果得られるセンサ素子(76)からの情報に基づいて、前記骨(24)の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性についての情報を含む前記骨(24)の動的モデルデータセット(74)を提供することと、を備える方法。
【請求項20】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項19の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項19の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に患者のケア向上に関して、関節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するための医療技術システムおよび方法に関する。
【0002】
本発明は、例えば、特に大腿骨および脛骨といった膝関節によって互いに接続されている脚の骨の運動特性を伝えるのに有利であることが分かっている。本発明はまた、例えば、骨盤骨に対する大腿骨の運動特性を特定するためにも使用できる。さらに、肘関節、肩関節、および/または脊椎の領域にも、例示的な用途を見出すことができる。
【背景技術】
【0003】
今日、膝関節および/または股関節などの脚の運動特性を把握するために、歩行実験室では、赤外線カメラ、反射マーカー素子、床面の力プレート、透視カメラなどを備える複雑なシステムを使って、患者個別の、臨床的に使用可能な運動データが特定されている。このシステムは、非常に多くの装置を必要とするので、結果の信頼性が高いにもかかわらず、日々の臨床診療での使用には適していない。
【0004】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの医療技術システムおよび医療技術方法であって、シンプルな構造で、好ましくは患者個別の、骨の運動特性を特定することができる医療技術システムおよび医療技術方法を提供することである。
【0005】
この目的は、本発明に係る、関節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するための医療技術システムによって達成される。この医療技術システムは、少なくともそれらの骨を含む骨配列の少なくとも1つの画像を、骨の互いに対する所定の向きで、好ましくは骨に対する所定の視方向で作成するための撮像ユニットと、少なくとも1つの画像に基づいて、少なくとも1つの骨の初期データセットを提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニットと、骨のそれぞれに割り当て可能な少なくとも1つのサンプルデータセットが記憶されているメモリユニットであって、データ処理ユニットは、それぞれのサンプルデータセットを少なくとも1つの初期データセットにコンピュータ的に適合させて、患者個別の骨の静的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされている、メモリユニットと、骨を含む患者の身体の一部において、それぞれの骨に対して所定の空間的関係で配置され得るセンサ素子を有するセンサユニットと、を備え、データ処理ユニットは、静的モデルデータセットに基づいて、および、好ましくは骨の互いに対する所定の動きの結果得られるセンサ素子の情報に基づいて、骨の動的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされており、動的モデルデータセットは、骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含む。
【0006】
特に、関節で互いに接続された患者の骨(または、患者の関節の少なくとも第1の骨と第2の骨)の運動特性を特定するための医療技術(運動特性検出)システムが提案および提供され、このシステムは、少なくともそれらの(関節の)骨を含む骨配列の少なくとも1つの(患者固有の、実際の)画像を、特に骨の互いに対する所定の向きで、好ましくは骨に対する所定の視方向で、作成するための撮像ユニット、好ましくは関節の骨のX線画像を作成するためのX線装置、と、少なくとも1つの画像に基づいて、実際に撮像された骨の少なくとも1つのデジタル初期データセット(パラメータを含む)を提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニット(制御ユニット)であって、初期データセットは、特に、関節の少なくとも第1の骨および第2の骨の幾何学的パラメータ、および/または関節の少なくとも1つの骨の密度情報を含む、データ処理ユニットと、関節の少なくとも第1の骨および第2の骨に関して少なくとも1つの(パラメトリック骨モデル)サンプルデータセットが記憶されているメモリユニットであって、サンプルデータセットは特にそれぞれの骨に割り当て可能であり、データ処理ユニットは、少なくとも1つのパラメータに関して、記憶されているサンプルデータセットのパラメトリック骨モデルを、少なくとも初期データセット(1つのパラメータ)に、特に画像の(実際の)骨の寸法に適合させて、第1の骨および第2の骨の患者個別の3次元モデルデータセットを提供するように構成されている、メモリユニットと、特に骨を含む患者の身体の一部において、それぞれの骨に対して所定の空間的関係で配置され得るセンサ素子を有するセンサユニットと、を備え、データ処理ユニットは、患者個別の3次元モデルデータセットに基づいて、および、好ましくは骨の互いに対する所定の動きの結果得られるセンサ素子の情報に基づいて、患者個別の骨の動的運動特性モデルデータセットを提供するように適合されており、動的運動特性モデルデータセットは、(関節の)骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する少なくとも1つの情報を含む。この動的(運動特性)モデルデータセット、特に関節の動的骨モデルは、好ましくは、運動特性の評価、例えば医療介入の評価を容易にするために、手術室モニタなどの視覚表示装置を介して、好ましくは注釈付きで出力されてもよい。この情報は、センサ素子の較正を容易にするため、およびセンサ素子の精度を向上させるためにも使用されてよい。患者固有のデータを統合することで、関節の動的モデルをより良く検出およびシミュレーションすることができるので、例えば、インプラント荷重に関する結論を導きだすため、インプラントの過負荷を回避するため、および長い耐用年数と患者の満足度を確保するために、例えば関節荷重などの評価を実施することができる。
【0007】
本発明は、特に関節を介して接続される骨の運動特性を特定するには、骨の互いに対する動きが必要であることを考慮に入れている。少なくとも1つのセンサ素子が骨を含む身体部位に固定可能であるセンサユニットは、好ましくは、医師の指導下などで、所定の動きを行うために使用されてよい。センサ素子からの情報はデータ処理ユニットによって処理されて、患者個別の動的モデルデータセットが生成される、特に、骨の互いに対する相対的な可動性および/または相対的な位置が特定される。まずは、静的な患者個別のモデルデータセットを特定するために、構成的に簡単なやり方で、骨および/または骨を含む骨配置の少なくとも1つの画像が作成されてよい。それぞれの骨に割り当て可能な少なくとも1つの所定のサンプルデータセットをコンピュータ的に適合させることで、構成的に簡単なやり方で、患者個別の静的モデルデータセットを提供することができる。
【0008】
患者個別の動的モデルデータセットは、例えば、患者の後の治療の基礎として使用されてもよいし、適切なインプラントの選択を容易にするために使用されてもよい。
【0009】
動的モデルデータセットに含まれる相対的な位置は、例えば、以下の少なくとも1つを含む。
-静的な姿勢において骨が互いに配向される角度、例えば、骨によって規定される軸が配向される角度。
-骨間の関節の関節中心の姿勢。
-複数の骨のうちの1つを別の骨に接続する関節の関節中心の姿勢。
【0010】
動的モデルデータセットに含まれる相対的な可動性は、好ましくは、以下の少なくとも1つを含む。
-関節において骨が互いに対して動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
-1つの骨が関節を介して他の骨上で動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
【0011】
好ましい実施形態では、例えば、撮像ユニットはX線ユニットであり、少なくとも1つの初期データセットは骨の2次元描写を含むことが好ましい。このように、構成的に簡単なやり方で、初期データセットを作成することができる。例えば、脚を検査する場合、正面視および/または側面視(横方向)でX線画像が作成され、その後データ処理ユニットによって解析されてよい。
【0012】
撮像ユニットとしてCTユニットが使用されることが考えられ、この場合には、少なくとも1つの初期データセットは骨の3次元描写を含む。しかしながら、CTユニットと比較して放射線被曝が少ないので、骨の2次元描写をするX線装置が有利であることが分かっている。
【0013】
有利には、データ処理ユニットは、少なくとも1つの初期データセットにおいて、特徴的な目印および/又は関節の関節中心をコンピュータ的に特定するように構成およびプログラムされている。好ましくは、対応する情報が少なくとも1つの初期データセットに記憶されてよい。少なくとも1つの初期データセットに基づいて、後続の動的モデルデータセットのために利用可能な貴重な情報を既に得ることもできる。
【0014】
同じ目的で、システムが、少なくとも1つの初期データセットのグラフィカル描写、特に骨の描写を表示するための表示ユニットと、ユーザ用の入力ユニットとを有していると有利であり、特徴的な目印および/または関節の関節中心が、入力ユニットでユーザによって設定可能および/または変更可能、例えば修正可能であると有利である。対応する情報が少なくとも1つの初期データセットに記憶可能であるとよい。
【0015】
上述の有利な実施形態は、例えば、大腿骨の上顆、大腿骨の転子、および/または大腿骨の股関節中心などの解剖学的目印および/または関節中心が既に決まっている膝関節への適用を提供することができる。
【0016】
上述の推定値および/または測定値に基づいて、有利には、少なくとも1つの初期データセットを推定および/または測定をすることができる。好ましくは、膝関節に適用される場合、大腿骨と脛骨との間の内反角および外反角が特定され得る、および/または、これら2つの骨の長さが特定され得る。しかしながら、X線画像の場合、これらの推定および/または測定は2次元のみに限定されることがある。
【0017】
少なくとも1つの初期データセットは、特に上述の推定および/または測定に関して、スケールを含んでいてよく、データ処理ユニットは、骨によって規定される軸および/または骨間の角度を特定し、好ましくは、それらを少なくとも1つの初期データセットに記憶するように構成およびプログラムされている。例えば、角度は軸によって画定される。
【0018】
それぞれの骨に割り当て可能な複数のサンプルデータセットがメモリユニットに記憶されていると有利であり、データ処理ユニットが、静的形態モデルを用いて、複数のサンプルデータセットの中から最適なサンプルデータセットを特定し、それを骨に適合させるように構成およびプログラムされていると有利である。好ましくは、それぞれの骨に対して、いくつかのサンプルデータセット、特に複数のサンプルデータセットが記憶されていてよい。最適なサンプルデータセットが選択可能であり、コンピュータ的に適合させることができると有益である。データ処理ユニットによって実行される対応するアルゴリズムは、特に限定されないが、例えば、年齢、身長、性別、病歴、民族性、社会文化的背景などの患者の特徴の少なくとも1つを考慮してよい。
【0019】
サンプルデータセットが骨の3次元描写を含んでると有利であり、データ処理ユニットが、3次元静的モデルデータセットを提供し、これに基づいて3次元動的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされていると有利である。このように、特に骨の空間的情報および骨同士の相対的な位置を含む3次元の患者個別モデルデータセットを生成することができる。
【0020】
大腿骨と脛骨を有する膝関節に例示的に適用される場合、例えば、機械的軸および/または解剖学的軸、上顆軸、膝中心、および、骨盤骨を考慮した股関節中心が特定されてよい。
【0021】
膝関節に適用される場合、直立位における大腿骨と、脛骨と、場合によっては骨盤との互いに対する空間的位置が特定できることが好ましい。例えば、立位における内反角と外反角を特定することが可能であり、したがって、正面平面における骨構造の向きだけでなく、矢状面における骨構造の互いに対する向きと位置も特定することが可能である。
【0022】
サンプルデータセットが骨の特徴的な目印に関する情報を含んでいると有利であり、データ処理ユニットが、静的モデルデータセットに、骨によって規定される軸、骨の寸法、特に骨の長さ、特徴的な目印、骨間の関節中心、および/または骨間の角度に関する情報を記憶するように構成およびプログラムされていると有利である。
【0023】
センサ素子が固定装置を備えているか、または、システムがセンサ素子に割り当てられるそのような固定装置を備えており、センサ素子が固定装置を介して骨を含む身体部分に非侵襲的に取り付けられると有益である。固定装置は、各センサ素子に割り当てられてよい。非侵襲的な固定オプションにより、処置中の患者への外傷を最小限に抑えることができる。例えば、有効基準を規定するために、センサ素子を骨に対して可能な限り動かないようにして、骨の上方の軟組織を圧縮することが有益である。
【0024】
例えば、大腿骨に使用される場合、センサ素子は大腿部の上顆領域に取り付けられる。脛骨の場合、センサ素子は、膝の近傍、またはもっと下の足関節の近傍、好ましくは脛骨の前縁に取り付けられてよい。
【0025】
好ましくは、センサ素子は加速度センサを備え、データ処理ユニットは、時間を考慮して、加速度センサの信号に基づいて骨の可動域を特定するように構成およびプログラムされている。加速度センサの加速度値を用いて、加速度センサが移動した距離を量的に、好ましくは方向的に特定してよい。この情報を用いて、データ処理ユニットは、骨の動き、特に骨の互いに対する動きを特定することができる。
【0026】
特に、センサ素子としてIMUセンサ(IMU、慣性測定装置)が使用される。
【0027】
特に、第1のIMUセンサが関節の第1の骨に対して強固に配置されてよく、第2のIMUセンサが同じ関節の第2の骨に対して強固に配置されてよく、例えば、第1のIMUセンサが脛骨に配置され、第2のIMUセンサが大腿骨に配置される。
【0028】
特に、データ処理ユニットは、静的骨モデルを画像内で設定された目印および寸法に調整するように適合されていてよい。これにより、例えば、機械的軸および/または解剖学的軸、特に上顆軸などの軸、および/または膝中心、および/または股関節中心、および/または骨盤傾斜が特定された3次元の患者固有の骨モデルが得られ、例えば、評価に使用することができる。
【0029】
構成的にシンプルな実施形態を実現するために、センサ素子は、例えば無線で、データ処理ユニットに接続されてよい。
【0030】
システムが、患者による特徴的な動作の実行指示が出力される通知ユニット、特に光学表示ユニットを備えていると有益である。例えば、患者は、医師などのユーザの指導下でまたは単独で、通知ユニットで指定された特徴的な動作を実行してよい。
【0031】
動作の実行時に、データ処理ユニットは、センサユニットによって提供される情報を骨の相対的な位置および/または相対的な可動性の決定に取り入れることが好ましい。特に、動作は、骨および関節の状態、特に関節を介した骨の運動特性を示すものである。例えば、データ処理ユニットにおいて、様々な種類の動作の実行通知を連続して提供する記憶プログラムが、特にワークフローで、実行されてよい。各動作に関してセンサ素子から提供される情報がデータ処理ユニットによって評価されてよい。
【0032】
動作は、必須であってもよいし、任意であってもよい。
【0033】
ユーザおよび/または患者は、例えば、ワークフローを介した指示によって誘導されてよい。データ処理ユニットは、作動要素が操作されると、センサ素子からデータを受信する準備が整った状態に移行してよい。
【0034】
データ処理ユニットが、センサ素子の情報に基づいて、動的モデルデータセット内でセンサ素子の骨に対する空間的関係を特定し、記憶するように構成およびプログラムされていると有利である。物理的な骨を含む身体部上のセンサ素子の位置は、動的モデルデータセットに実質的に送られてよい。このように、センサ素子の動きを動的モデルデータセットに直接マッピングすることができる。
【0035】
センサ素子の情報を使用して、動的モデルデータセット内の骨の3次元運動画像を作成できることが好ましい。ある意味では、動的モデルデータセット内の骨は物理的な骨と同じように動かすことができ、モデルデータセットには、軸姿勢、骨の長さ、関節中心、可動域、角度などの情報も付加される。
【0036】
データ処理ユニットが、センサ素子の情報に基づいて骨の軸および軸の交点を特定し、これらを、静的モデルデータセットに含まれる骨の軸がセンサ素子の情報に基づいて特定された軸と重ね合わされるように、静的モデルデータセットと関連付けるように構成およびプログラムされていると有利である。このようにして、ある意味で、センサ素子をモデルデータセットにおいて較正することができる。センサ素子を用いて特定された軸は交差しているので、関節中心を特定することができる。それぞれの軸は、静的モデルデータセットに含まれる軸に重ね合わせられてよい。好ましくはスケールを有する3次元の静的モデルデータセットでは、骨の長さ(軸によって規定される)を用いて、例えば、センサ素子を較正してもよい。
【0037】
これに基づいて、例えば、骨の軸姿勢、軸の交点、骨の長さが動的モデルデータセットに記憶される。
【0038】
膝関節などの脚の場合、大腿骨の長さおよび脛骨の長さが特定される。例えば、骨盤骨の情報を用いることで、股関節中心位置が特定され、足首の骨の場合は、足関節中心の位置が特定される。
【0039】
骨の仮想モデルが取得され、そのモデルにセンサ素子のいわば仮想等価物が取り付けられることが好ましい。このようにして、センサ素子のデジタル画像(「ツイン」)が骨、例えば、脚の骨上に作成される。
【0040】
既に述べたように、骨は、患者の大腿骨と脛骨であってよい。以下の情報の少なくとも1つが動的モデルデータセットに記憶されるのが好ましい。
-機械的および/または解剖学的な大腿骨軸および/または脛骨軸
-膝関節中心の位置
-股関節中心の位置
-足関節中心の位置
-大腿骨と脛骨の内反-外反姿勢
-屈曲および/または伸展の可動域に関する情報
-大腿骨と脛骨の内旋および/または外旋に関する情報
-大腿骨に対する脛骨の移動に関する情報
-ストライド長さに関する情報
時間も考慮することで、例えば、患者の動作画像を作成することができ、それによって速度と移動距離が特定される。
-上顆および/または転子などの特徴的な目印に関する情報
【0041】
別の用途では、例えば、一方の骨が大腿骨であり、他方の骨が骨盤骨である。センサ素子は、例えば、大腿骨の大転子と、骨盤骨の仙腸関節または前上棘とに配置される。こうすることで、例えば、様々な状況下や様々な動作時に、骨盤の傾きを追跡し、記録することができる。
【0042】
データ処理ユニットは、動的モデルデータセットと、例えば、歩行実験室での歩行分析に基づいて実験的に得られた測定データセットとを比較して、逸脱を特定し、通知ユニットで関連情報をユーザに提供するように構成およびプログラムされていてよい。
【0043】
このように、本発明のシステムを用いて得られる情報は、モデルデータセットとの妥当性についてチェックされてよい。この情報によって、例えば、一致度および/または逸脱をユーザに通知してよい。例えば、改善された一致に関して、システムに学習させることが可能である。
【0044】
冒頭で述べたように、本発明は方法にも関する。
【0045】
本発明による医療技術方法は、関節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するためのものであり、冒頭で述べた目的を達成するものである。この方法は、以下のステップを含む。
-少なくとも骨を含む骨配列の少なくとも1つの画像を、骨の互いに対する所定の向きで、好ましくは骨に対する所定の視方向で、作成すること。
-少なくとも1つの画像に基づいて、データ処理装置によって、骨の少なくとも1つの初期データセットを提供すること。
-記憶ユニットに記憶され、それぞれの骨に割り当て可能なサンプルデータセットを、データ処理ユニットによってコンピュータ的に適合させ、患者個別の静的モデルデータセットを提供すること。
-静的モデルデータセットに基づいて、および、好ましくは骨の互いに対する所定の動きの結果得られるセンサ素子からの情報に基づいて、骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含む骨の動的モデルデータセットを提供すること。
【0046】
本発明によるシステムの説明に関して既に述べた利点は、本方法を実施する場合にも得ることができる。この点に関しては、上述の説明を参照されたい。
【0047】
本発明による方法の有利な構成例は、本発明による装置の有利な実施形態から生じる。
【0048】
本発明の目的は、コンピュータによって実行されると、本発明による方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関して達成される。
【0049】
本発明の目的は、コンピュータによって実行されると、本発明による方法のステップをコンピュータに実行させるコマンドを含むコンピュータプログラムに関して達成される。
【0050】
本発明の好ましい実施形態についての以下の説明は、図面と共に、本発明をより詳細に説明する。本発明によるシステムの好ましい実施形態で、本発明による方法の好ましい構成例を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明による方法の好ましい構成例を実施するための、好ましい実施形態における本発明による医療技術システムの概略図である。
図2】骨の画像であり、大腿骨と、脛骨と、骨盤骨と足の骨をさらに含む骨配列の画像の概略図である。
図3】初期データセットに含まれる大腿骨と脛骨を、前方(左図)と側方(右図)から見た概略図である。
図4】システムのメモリユニットに記憶されているサンプルデータセットに含まれる骨の概略図である。
図5】静的モデルデータセットに含まれる骨配列を前方から見た図であり、内反角と外反角を特定するための例示的な目印も示している。
図6】屈曲角度を特定するために、図5を側方から見た図である。
図7】静的モデルデータセットに含まれる骨と、システムのセンサユニットのセンサ素子との概略図である。
図8】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図9】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図10】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図11】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図12】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図13】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図14】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
図15】患者による動作の実行指示であるピクトグラムを示しており、ピクトグラムはシステムの表示ユニットに表示可能である。
【0052】
図1は、本発明による医療技術システムの一般的に有利な実施形態の概略図であり、システムは参照符号10で示されている。システム10は、好ましい実施形態において、本発明による方法を実施するために使用されてよい。
【0053】
システム10は、データ処理ユニット12と、撮像ユニット14と、メモリユニット16と、センサユニット18と、通知ユニット20とを備える。データ処理ユニット12は、情報および/または信号を送るために、ユニット14、16、18及び20に接続されている。ユニット12、14、16、18および20のうちの2つ以上が、空間的および/または機能的に互いに統合されることが考えられる。
【0054】
システム10は、患者22の骨の運動特性を調べることができる。これは、特に、後の治療、例えば、インプラントの移植、特にインプラントの選択および/または移植手技のために、患者個別の情報を特定するのに役立つ。
【0055】
既に上述され、さらに以下にも説明するように、撮像ユニット14によって骨が撮影され、対応する初期データセットが作成され、サンプルデータセットに基づいて静的モデルデータセットが作成され、これに基づいて、センサユニット18を用いて、動的モデルデータセットが作成される。初期データセットと同様に、モデルデータセットも患者個別のものである。
【0056】
本例では、大腿骨28および脛骨30が関節26で互いに関節接続している骨24であり、関節26は膝関節である。しかしながら、すでに上述したように、本発明はこれに限定されない。システム10を用いて、特に、大腿骨28と脛骨30の相対的な位置および相対的な可動性を特定することができる。
【0057】
本例の撮像ユニット14はX線ユニット46である。X線ユニット46を用いて、骨配置34の画像を作成することができる。本例では、画像36の各々はスケール48を含む。
【0058】
図2は、画像36を示しており、画像36では、骨配列34が大腿骨28と脛骨30だけでなく、骨盤骨38と足の骨40も示している。両脚が示されている、すなわち、画像36は、2つの大腿骨28と、2つの脛骨30と、2つの足の骨40とを含む。さらに、画像36には、股関節42と足関節44も示されている。関節26、42、44はそれぞれ、関節中心27、43、45を備える。
【0059】
図2は、骨配列34の正面画像36の例を示している。さらに、少なくとも1つの画像36が、側方(横方向)から作成されることが好ましい。
【0060】
データ処理ユニット12は、画像36に基づいて、患者個別の初期データセット50を作成するように構成およびプログラムされている。初期データセット50は、特に、少なくとも1つの骨24の2次元描写を含み、本例では、他の骨配列34も含む。
【0061】
本例では、通知ユニット20は、特に、制御可能な画像ディスプレイ54を備える表示ユニット52として設計されている。表示ユニット52上で、骨24のグラフィック描写を、ユーザ56、特に医師に対して、表示することができる。
【0062】
描写に基づいて、特徴的な目印および/または関節中心、特に関節中心27が入力ユニット58でユーザ56によって指定されてよく、これに関する情報が初期データセット50に記憶されてよい。
【0063】
さらに、好ましくは、ユーザ56が介入することなく、データ処理ユニット12自体が、例えば、目印および/または関節中心27に関する情報を特定して、関連情報を初期データセット50に記憶する。
【0064】
スケール48に基づいて、例えば、骨24の軸が特定されて、および/または骨24間の角度が特定されて、初期データセット50に記憶されてよい。これは、図3において、例えば、機械的大腿骨軸60および機械的脛骨軸62として模式的に示されている。このように、この時点で、データ処理ユニット12に、軸60、62に基づく内反角および外反角(図3には示されていない)を特定させることができる。
【0065】
初期データセット50内の骨24の描写は2次元である。3次元の患者モデルを作成するために、データ処理ユニット12は、メモリユニット16に記憶されているサンプルデータセット64を使用する。図4には、大腿骨28および脛骨30用の複数のサンプルデータセット64の例が示されている。
【0066】
サンプルデータセットはサイズおよび/または形状において異なっており、例えば、特に、性別、年齢、病歴、社会文化的背景、民族性などの他の基準を用いてサンプルデータセットを区別してもよい。
【0067】
サンプルデータセット64の各々は、骨24の3次元描写を含む。
【0068】
データ処理ユニット12は、最適なサンプルデータセット64を大腿骨28にコンピュータ的に適合させるように構成およびプログラムされている。同様に、最適なサンプルデータセット64が脛骨30にコンピュータ的に適合される。これは、初期データセット50内の大腿骨28および脛骨30を指すと理解される。
【0069】
データ処理ユニット12は、データセット50および64に基づいて、静的モデルデータセット66を作成する。モデルデータセット66は、患者個別のものであり、特に、骨24の3次元描写を含む。
【0070】
モデルデータセット66では、例えば、様々な軸、関節中心、ならびに特徴的な目印が特定され、導出される。
【0071】
モデルデータセット64を初期データセット50に適合させることによって、特に、大腿骨28と、脛骨30と、場合によっては骨盤骨38および/または足の骨40との互いに対する空間的位置を推測することができる。
【0072】
図5および図6は、正面図(図5)および側面図(図6)で例を示している。ただし、いずれの場合も、図示は静的モデルデータセット66内の骨24の3次元描写に基づいている。
【0073】
例えば、図5は、機械的大腿骨軸60と機械的脛骨軸62を示しており、これらの軸から内反角および外反角70を特定することができる。図2には、解剖学的大腿骨軸68も示されている。
【0074】
図6は、機械的大腿骨軸60と機械的脛骨軸62との間の屈曲角度72の例を示している。
【0075】
静的モデルデータセット66では、関節中心27も特定することができる。また、スケール48に基づいて、大腿骨28と脛骨30のそれぞれの長さを特定することも可能である。
【0076】
これにより、例えば、股関節42の関節中心43および/または足関節44の関節中心45を特定することもできる。
【0077】
例えば、屈曲角度72に基づいて、静的モデルデータセット66の3次元モデルにおいて、起こり得る伸張欠点を特定することが可能であろう。必要であれば、分度器(例えば、ゴニオメーター)を用いた測定を行って、計算された値を確認してもよい。
【0078】
図5および図6の各々は、患者22の片脚の骨24のみを示している。モデルデータセット66は、両脚の3次元描写と、形状および/または特徴的な目印に関する対応する情報とを有してよいことを理解されたい。分かりやすさのために、左脚の骨24は図5および図6には示されていない。
【0079】
データ処理ユニット12は、センサユニット18からの情報を用いて、静的モデルデータセット66から動的モデルデータセット74をコンピュータ的に特定することができる。動的モデルデータセット74は、特に、骨24の3次元描写を含む。さらに、動的モデルデータセット74には、以下の情報の少なくとも1つが記憶される。
-機械的大腿骨軸60および/または解剖学的大腿骨軸68、および/または脛骨軸62。
-膝関節中心27の位置。
-股関節中心43の位置。
-足関節中心45の位置。
-大腿骨28と脛骨30の内反-外反姿勢。
-屈曲および/または伸展の可動域に関する情報。
-大腿骨28と脛骨30の内旋および/または外旋に関する情報。
-大腿骨28に対する脛骨30の移動に関する情報。
-ストライド長さに関する情報。
-上顆および/または転子などの特徴的な目印に関する情報。
【0080】
このように、システム10を使用して、骨24、具体的には大腿骨28および脛骨30の相対的な位置と相対的な可動性に関する情報を得ることができる。好ましくは、骨盤骨38および/または足の骨40、ならびに関節中心43または45に関する情報を含む3次元運動特性モデルも、利用可能である。
【0081】
例えば、患者22は、患者個別の動的モデルデータセット74に基づいて、個別に治療を受けることができる。
【0082】
センサユニット18はIMU(慣性測定ユニット)などの2つのセンサ素子76を備え、センサ素子76の各々は少なくとも1つの加速度センサ78を備える。
【0083】
センサ素子76の各々は固定装置80を備える。それぞれの固定装置80によって、骨24を含む身体部にセンサ素子76を非侵襲的に有利に固定することができる。例えば、1つのセンサ素子76が大腿部(図示されていない)に非侵襲的に固定され、1つのセンサ素子76が下腿部(図示されていない)に非侵襲的に固定される。
【0084】
可能な限り軟組織が動かないようにすることによって、骨24それぞれに対する有効基準が得られるように、センサ素子76が固定されることが好ましい。この目的のために、固定装置80は、例えば、軟組織を圧迫して、骨24に対してセンサ素子76を実質的に動かないように固定するストラップまたは帯具として設計されてよい。
【0085】
センサ素子76からの情報はデータ処理ユニット12によって検出され、これに基づいて、静的モデルデータセット66から動的モデルデータセット74が計算される。
【0086】
特に、モデルデータセット66に基づいて、センサ素子76をある程度較正することが可能である。例えば、センサ素子76が動いた結果、軸(例えば、軸60、62)、ならびにこれらの軸の交点およびこれらの軸間の角度が特定されてよく、それによって、動的モデルデータセット74を生成するための静的モデルデータセット66内の対応する軸および角度との空間的関係が、データ処理ユニット12によって実行される。例えば、センサ素子76を介して特定された軸60、62を、モデルデータセット66内の対応する軸60、62と一致させてよい。それぞれの骨42の長さに基づいて、センサユニット18の測定システムにおいて、センサ素子76がこのように較正されてよい。
【0087】
一方、センサ素子76と骨24との間の空間的関係が特定され、動的モデルデータセット74に記憶されてもよい。いわば、センサ素子76の仮想等価物がモデルデータセット74に記憶されるということである。
【0088】
可能な限り完全かつ確実にデータを記録するという観点から、データ処理ユニット12が、例えば、表示ユニット52において、対応する指示を用いてユーザ56および/または患者22に指示をするように使用されると有利である。この目的のために、データ処理ユニット12は、例えば、複数の指示を連続して出力するプログラムによってワークフローを実行してもよい。
【0089】
動作は、必須であってもよいし、任意であってもよい。例えば、ユーザ56および/または患者22が選択することができる。
【0090】
図8図15は、実行されるべき動作を説明するための例示的なピクトグラム82を示している。具体的には、ピクトグラム82は表示ユニット52に表示可能である。
【0091】
図8に示すピクトグラム82は、例えば、患者22が数メートル直進する動作を示唆している。
【0092】
例えば、図9に示すピクトグラム82は、所定の段数を登った後、再び降りることを示唆している。
【0093】
例えば、図10に示すピクトグラム82は、患者22が座った後、再び立ち上がることを示唆している。
【0094】
例えば、図11に示すピクトグラム82は、特に屈曲および/または伸展を画像化するために、患者22が所定回数スクワットをすることを示唆している。
【0095】
例えば、図12のピクトグラム82は、膝を最大伸展状態から屈曲させることを示唆している。
【0096】
例えば、図13に示すピクトグラム82は、患者の最大内反および外反を特定するために、膝の外方と内方に荷重をかけることを示唆している。
【0097】
例えば、図14に示すピクトグラム82は、脛骨を最大限前方に引くか、後方に押すことを示唆している。
【0098】
例えば、図15に示すピクトグラム82は、可能な最大角度まで脛骨を内外に回転させることを示唆している。
【符号の説明】
【0099】
10:システム
12:データ処理ユニット
14:撮像ユニット
16:メモリユニット
18:センサユニット
20:通知ユニット
22:患者
24:骨
26:膝関節
27:関節中心
28:大腿骨
30:脛骨
34:骨配列
36:画像
38:骨盤骨
40:足の骨
42:股関節
43:関節中心
44:足関節
45:関節中心
46:X線ユニット
48:スケール
50:初期データセット
51、52:表示ユニット
54:画像ディスプレイ
56:ユーザ
58:入力ユニット
60:機械的大腿骨軸
62:機械的脛骨軸
64:サンプルデータセット
66:静的モデルデータセット
68:解剖学的大腿骨軸
70:内反角および外反角
72:屈曲角
74:動的モデルデータセット
76:センサ素子
78:加速度センサ
80:固定装置
82:ピクトグラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するための医療装置システムであって、
少なくとも前記骨を含む骨配列の少なくとも1つの画像を、前記骨の互いに対する所定の向きで、作成するための撮像ユニットと
少なくとも1つの前記画像に基づいて、少なくとも1つの前記骨の初期データセットを提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニットと
前記骨のそれぞれに割り当て可能な少なくとも1つのサンプルデータセットが記憶されているメモリユニットであって、前記データ処理ユニットは、サンプルデータセットのそれぞれを少なくとも1つの前記初期データセットにコンピュータ的に適合させて、患者個別の前記骨の静的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされている、メモリユニットと
センサ素子を有するセンサユニットであって、前記センサ素子のそれぞれは、前記骨を含む前記患者の身体の一部において、前記骨のそれぞれに対して所定の空間的関係で配置可能である、センサユニットと、を備え、
前記データ処理ユニットは、前記静的モデルデータセットに基づいて、および、前記骨の互いに対する動きの結果得られる前記センサ素子の情報に基づいて、前記骨の動的モデルデータセットを提供するように構成およびプログラムされており、前記動的モデルデータセットは、前記骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含み、
前記相対的な位置が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、医療装置システム。
-静的姿勢において、前記骨が互いに配向される角度。
-前記骨間の前記関節の関節中心の前記姿勢。
-前記骨の一方が他方の骨に接続される関節の関節中心の前記姿勢。
【請求項2】
前記相対的な可動性が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
-前記関節において前記骨が互いに対して動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
骨が節を介して他方の骨上で動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
【請求項3】
前記撮像ユニットはX線ユニットであり、
少なくとも1つの前記初期データセットが、前骨の2次元描写を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項4】
前記データ処理ユニットは、少なくとも1つの前記初期データセットにおいて、特徴的な目印および/または前記関節の関節中心をコンピュータ的に特定し、対応する情報を少なくとも1つの前記初期データセットに記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項5】
前記システムは、少なくとも1つの前記初期データセットのグラフィカル描写を表示するための表示ユニットと、ユーザ用の入力ユニットとを有し、
特徴的な目印および/または前記関節の関節中心が、前記入力ユニットにおいて、前記ユーザによって設定可能および/または変更可能であり、
対応する情報が、少なくとも1つの前記初期データセットに記憶可能であることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記初期データセットは、スケールを含み、
前記データ処理ユニットは、前記骨によって規定される軸および/または前記骨の間の角度を特定し、それらを少なくとも1つの前記初期データセットに記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項7】
骨それぞれに割り当て可能な複数のサンプルデータセットが前記メモリユニットに記憶されており、
前記データ処理ユニットは、静的形態モデルを用いて、前記複数のサンプルデータセットから最適のサンプルデータセットを特定し、それを前記骨に適合させるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項8】
前記サンプルデータセットは前記骨の3次元描写を含み、
前記データ処理ユニットは、3次元の静的モデルデータセットと、これに基づいて、3次元の動的モデルデータセットとを提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項9】
前記サンプルデータセットは、前記骨の特徴的な目印に関する情報を含み、
前記データ処理ユニットは、前記静的モデルデータセットに、前記骨によって規定される軸(60、62、68)、前記骨の寸法、その長さ、特徴的な目印、前記骨の間の関節中心(27、43、45)、および/または前記骨の間の角度に関する情報を記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項10】
前記センサ素子が、前記骨を含む前記身体部に前記センサ素子を非侵襲的に取り付け可能な固定装置を備えるか、または、固定装置に関連付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項11】
前記センサ素子は加速度センサを備え、
前記データ処理ユニットは、時間を考慮して、前記加速度センサの信号に基づいて、骨の可動範囲を特定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項12】
前記システムは、前記患者による特徴的な動作の実行指示を出力可能な通知ユニットを備え、
前記データ処理ユニットは、前記動作が実行されるときに前記センサユニットによって提供される情報を、前記骨の相対的な位置および/または相対的な可動性を特定する際に取り入れることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項13】
前記データ処理ユニットは、前記センサ素子の情報に基づいて、前記骨に対する前記センサ素子の空間的関係を特定し、前記動的モデルデータセットに記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項14】
前記データ処理ユニットは、前記センサ素子からの情報に基づいて、前記骨の軸(60、62、68)および前記軸(60、62、68)の交点を特定し、それらを、前記静的モデルデータセットに含まれる前記骨の前記軸(60、62、68)が前記センサ素子の前記情報に基づいて特定された前記軸(60、62、68)と重なるように、前記静的モデルデータセットに関連付けるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項15】
これに基づいて、前記骨の前記軸の姿勢と、前記軸(60,62,68)の交点と、前記骨の長さとが、前記動的モデルデータセットに記憶されることを特徴とする、請求項14に記載の医療技術システム。
【請求項16】
前記骨は、前記患者の前記大腿骨および前記脛骨であり、
以下の情報のうちの少なくとも1つが、前記動的モデルデータセットに記憶されることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
-機械的および/または解剖学的な大腿骨軸および/または脛骨軸。
-膝関節中心の位置。
-股関節中心の位置。
-足関節中心の位置。
-前記大腿骨と前記脛骨の内反-外反姿勢。
-屈曲および/または伸展の可動域に関する情報。
-前記大腿骨と前記脛骨の内旋および/または外旋に関する情報。
-前記大腿骨に対する前記脛骨の移動に関する情報。
-ストライド長さに関する情報。
-上顆および/または転子などの特徴的な目印に関する情報。
【請求項17】
前記データ処理ユニットは、前記動的モデルデータセットを、例えば、歩行実験室での歩行分析に基づいて実験的に得られた測定データセットと比較し、一致および/または逸脱を判定し、通知ユニットにおいて関連情報を前記ユーザに提供するよう構成およびプログラムされていることを特徴とする、請求項1に記載の医療技術システム。
【請求項18】
節で互いに接続された患者の骨の運動特性を特定するための医療技術方法であって、
少なくとも前記骨を含む骨配列の少なくとも1つの画像を、前記骨の互いに対する所定の向きで、作成することと、
データ処理ユニットによって、前記少なくとも1つの画像に基づいて、少なくとも1つの前記骨の初期データセットを提供することと、
メモリユニットに記憶され、前記骨のそれぞれに割り当て可能なサンプルデータセットを、前記データ処理ユニットによってコンピュータ的に適合させ、患者個別の静的モデルデータセットを提供することと、
前記静的モデルデータセットに基づいて、および、前骨の互いに対する動きの結果得られるセンサ素子からの情報に基づいて、前記骨の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性についての情報を含む前記骨の動的モデルデータセットを提供することと、を備える方法。
【請求項19】
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項18の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項18の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
例えば、図15に示すピクトグラム82は、可能な最大角度まで脛骨を内外に回転させることを示唆している。
下記する項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
関節(26)で互いに接続された患者(22)の骨(24)の運動特性を特定するための医療装置システムであって、
少なくとも前記骨(24)を含む骨配列(34)の少なくとも1つの画像(36)を、前記骨(24)の互いに対する所定の向きで、好ましくは、前記骨(24)に対する所定の視方向で、作成するための撮像ユニット(14)と、
少なくとも1つの前記画像(36)に基づいて、少なくとも1つの前記骨の初期データセット(50)を提供するように構成およびプログラムされたデータ処理ユニット(12)と、
前記骨(24)のそれぞれに割り当て可能な少なくとも1つのサンプルデータセット(64)が記憶されているメモリユニット(16)であって、前記データ処理ユニット(12)は、サンプルデータセット(64)のそれぞれを少なくとも1つの前記初期データセット(50)にコンピュータ的に適合させて、患者個別の前記骨(24)の静的モデルデータセット(66)を提供するように構成およびプログラムされている、メモリユニット(16)と、
センサ素子(76)を有するセンサユニット(18)であって、前記センサ素子(76)のそれぞれは、前記骨(24)を含む前記患者(22)の身体の一部において、前記骨(24)のそれぞれに対して所定の空間的関係で配置可能である、センサユニット(18)と、を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、前記静的モデルデータセット(66)に基づいて、および、前記骨(24)の互いに対する好ましくは所定の動きの結果得られる前記センサ素子(76)の情報に基づいて、前記骨(24)の動的モデルデータセット(74)を提供するように構成およびプログラムされており、前記動的モデルデータセット(74)は、前記骨(24)の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性に関する情報を含む、医療装置システム。
(項目2)
前記相対的な位置が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、項目1に記載の医療技術システム。
-静的姿勢において、前記骨(24)が互いに配向される角度(70、72)。
-前記骨(24)間の前記関節(26)の関節中心(27)の前記姿勢。
-前記骨(24)の一方が他方の骨(24)に接続される関節(26)の関節中心(27)の前記姿勢。
(項目3)
前記相対的な可動性が以下の少なくとも1つを含むことを特徴とする、項目1または2に記載の医療技術システム。
-前記関節(26)において前記骨(24)が互いに対して動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
-骨(24)が関節(26)を介して他方の骨(24)上で動くことができる少なくとも1つの角度範囲。
(項目4)
前記撮像ユニット(14)はX線ユニット(46)であり、
少なくとも1つの前記初期データセット(50)が、好ましくは正面図または側面図で、前記骨(24)の2次元描写を含むことを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目5)
前記データ処理ユニット(12)は、少なくとも1つの前記初期データセット(50)において、特徴的な目印および/または前記関節(26)の関節中心(27)をコンピュータ的に特定し、好ましくは、対応する情報を少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目6)
前記システム(10)は、少なくとも1つの前記初期データセット(50)のグラフィカル描写を表示するための表示ユニット(52)と、ユーザ(56)用の入力ユニット(58)とを有し、
特徴的な目印および/または前記関節(26)の関節中心(27)が、前記入力ユニット(58)において、前記ユーザ(56)によって設定可能および/または変更可能であり、
対応する情報が、少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶可能であることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目7)
少なくとも1つの前記初期データセット(50)は、スケール(48)を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、前記骨(24)によって規定される軸(60、62、68)および/または前記骨(24)の間の角度(70、72)を特定し、好ましくは、それらを少なくとも1つの前記初期データセット(50)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目8)
骨(24)それぞれに割り当て可能な複数のサンプルデータセット(64)が前記メモリユニット(16)に記憶されており、
前記データ処理ユニット(12)は、静的形態モデルを用いて、前記複数のサンプルデータセット(64)から最適のサンプルデータセット(64)を特定し、それを前記骨(24)に適合させるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目9)
前記サンプルデータセット(64)は前記骨(24)の3次元描写を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、3次元の静的モデルデータセット(66)と、これに基づいて、3次元の動的モデルデータセット(74)とを提供するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目10)
前記サンプルデータセット(64)は、前記骨(24)の特徴的な目印に関する情報を含み、
前記データ処理ユニット(12)は、前記静的モデルデータセット(66)に、前記骨(24)によって規定される軸(60、62、68)、前記骨(24)の寸法、特にその長さ、特徴的な目印、前記骨(24)の間の関節中心(27、43、45)、および/または前記骨(24)の間の角度(70、72)に関する情報を記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目11)
前記センサ素子(76)が、前記骨(24)を含む前記身体部に前記センサ素子(76)を非侵襲的に取り付け可能な固定装置(80)を備えるか、または、固定装置(80)に関連付けられていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目12)
前記センサ素子(76)は加速度センサ(78)を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、時間を考慮して、前記加速度センサ(78)の信号に基づいて、骨(24)の可動範囲を特定するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目13)
前記システム(10)は、前記患者(22)による特徴的な動作の実行指示を出力可能な通知ユニット(20)を備え、
前記データ処理ユニット(12)は、前記動作が実行されるときに前記センサユニット(18)によって提供される情報を、前記骨(24)の相対的な位置および/または相対的な可動性を特定する際に取り入れることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目14)
前記データ処理ユニット(12)は、前記センサ素子(76)の情報に基づいて、前記骨に対する前記センサ素子(76)の空間的関係を特定し、前記動的モデルデータセット(74)に記憶するように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目15)
前記データ処理ユニット(12)は、前記センサ素子(76)からの情報に基づいて、前記骨(24)の軸(60、62、68)および前記軸(60、62、68)の交点を特定し、それらを、前記静的モデルデータセット(66)に含まれる前記骨(24)の前記軸(60、62、68)が前記センサ素子(76)の前記情報に基づいて特定された前記軸(60、62、68)と重なるように、前記静的モデルデータセット(66)に関連付けるように構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目16)
これに基づいて、前記骨(24)の前記軸(60,62,68)の姿勢と、前記軸(60,62,68)の交点と、前記骨(24)の長さとが、前記動的モデルデータセット(74)に記憶されることを特徴とする、項目15に記載の医療技術システム。
(項目17)
前記骨(24)は、前記患者(22)の前記大腿骨(28)および前記脛骨(30)であり、
以下の情報のうちの少なくとも1つが、前記動的モデルデータセット(74)に記憶されることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
-機械的および/または解剖学的な大腿骨軸(62、68)および/または脛骨軸(62)。
-膝関節中心(27)の位置。
-股関節中心(43)の位置。
-足関節中心(45)の位置。
-前記大腿骨(28)と前記脛骨(30)の内反-外反姿勢。
-屈曲および/または伸展の可動域に関する情報。
-前記大腿骨(28)と前記脛骨(30)の内旋および/または外旋に関する情報。
-前記大腿骨(28)に対する前記脛骨(30)の移動に関する情報。
-ストライド長さに関する情報。
-上顆および/または転子などの特徴的な目印に関する情報。
(項目18)
前記データ処理ユニット(12)は、前記動的モデルデータセット(74)を、例えば、歩行実験室での歩行分析に基づいて実験的に得られた測定データセットと比較し、一致および/または逸脱を判定し、通知ユニット(20)において関連情報を前記ユーザ(56)に提供するよう構成およびプログラムされていることを特徴とする、先行する項目の1つに記載の医療技術システム。
(項目19)
関節(26)で互いに接続された患者(22)の骨(24)の運動特性を特定するための医療技術方法であって、
少なくとも前記骨(24)を含む骨配列(34)の少なくとも1つの画像(36)を、前記骨(24)の互いに対する所定の向きで、好ましくは、前記骨(24)に対する所定の視方向で、作成することと、
データ処理ユニット(12)によって、前記少なくとも1つの画像(36)に基づいて、少なくとも1つの前記骨(24)の初期データセット(50)を提供することと、
メモリユニット(16)に記憶され、前記骨(24)のそれぞれに割り当て可能なサンプルデータセット(64)を、前記データ処理ユニット(12)によってコンピュータ的に適合させ、患者個別の静的モデルデータセット(66)を提供することと、
前記静的モデルデータセット(66)に基づいて、および、好ましくは前記骨(24)の互いに対する所定の動きの結果得られるセンサ素子(76)からの情報に基づいて、前記骨(24)の互いに対する相対的な位置および/または相対的な可動性についての情報を含む前記骨(24)の動的モデルデータセット(74)を提供することと、を備える方法。
(項目20)
コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに項目19の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータ可読記憶媒体。
(項目21)
プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに項目19の方法ステップを実行させるコマンドを含むコンピュータプログラム。
【国際調査報告】