IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローズマウント インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-温度プローブ 図1A
  • 特表-温度プローブ 図1B
  • 特表-温度プローブ 図1C
  • 特表-温度プローブ 図1D
  • 特表-温度プローブ 図1E
  • 特表-温度プローブ 図1F
  • 特表-温度プローブ 図2
  • 特表-温度プローブ 図3
  • 特表-温度プローブ 図4
  • 特表-温度プローブ 図5
  • 特表-温度プローブ 図6A
  • 特表-温度プローブ 図6B
  • 特表-温度プローブ 図7
  • 特表-温度プローブ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】温度プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20210101AFI20240905BHJP
   G01K 7/18 20060101ALI20240905BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G01K1/08 N
G01K7/18 B
G01K7/18 A
G01K7/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519029
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022044359
(87)【国際公開番号】W WO2023055642
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】17/487,750
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ロイヴァーズ,ジョン・エル
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056NA07
2F056NA08
2F056NA09
(57)【要約】
温度プローブ(200)は、鉱物絶縁材(212)をその中に取り囲む金属製外側シース(214)を有する鉱物絶縁ケーブル(202)を含む。鉱物絶縁ケーブル(202)は、鉱物絶縁材(212)の中を通って延びる複数の導体(146、150)を有する。温度検知素子(208)が一対のリード線(148、152)を有する。インサート(206)が、温度検知素子(208)の一対のリード線(148、152)を受けるための少なくとも一つの導管を有する。インサート(206)はまた、温度検知素子(208)を受けるように構成された凹み(220)を有する。インサートシース(204)が、インサート(206)上にスライドするように構成され、鉱物絶縁ケーブル(202)の金属製外側シース(214)に結合するように構成された第一端と、第二端とを有する。エンドキャップ(210)がインサートシース(204)の第二端に取り付けられる。インサート(206)は、温度検知素子(208)をエンドキャップ(210)と接触させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物絶縁材をその中に取り囲む金属製外側シースを有する鉱物絶縁ケーブルであって、前記鉱物絶縁材の中を通って延びる複数の導体を有する鉱物絶縁ケーブルと;
一対のリード線を有する温度検知素子と;
前記温度検知素子の前記一対のリード線を受けるための少なくとも一つの導管を有するインサートであって、前記温度検知素子を受けるように構成された凹みを有するインサートと;
前記インサート上にスライドするように構成されたインサートシースであって、前記鉱物絶縁ケーブルの金属製外側シースに結合するように構成された第一端を有し、さらに第二端を有するインサートシースと;
前記インサートシースの前記第二端に取り付けられたエンドキャップと
を含み;
前記インサートが、前記温度検知素子を前記エンドキャップと接触させるように構成されている、温度プローブ。
【請求項2】
前記温度検知素子がRTDである、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項3】
前記RTDが薄膜RTDである、請求項2記載の温度プローブ。
【請求項4】
前記RTDが、前記凹みの中に受けられる第一の面と、前記エンドキャップと接触させられる、前記第一の面とは反対側の第二の面とを有する、請求項3記載の温度プローブ。
【請求項5】
前記RTDの前記第二の面が平らである、請求項4記載の温度プローブ。
【請求項6】
前記鉱物絶縁ケーブルの前記金属製外側シースと前記インサートシースとが同じ材料で形成されている、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項7】
前記金属製外側シースが前記鉱物絶縁ケーブルに溶接されている、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項8】
前記インサートシースと前記エンドキャップとが同じ材料で形成されている、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項9】
前記インサートシースが前記エンドキャップに溶接されている、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項10】
前記エンドキャップが、前記温度検知素子と接触する第一の面と、フラットボアサーモウェルと接触するように構成された反対側の第二の面とを有する円板である、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項11】
前記第二の面が平らである、請求項10記載の温度プローブ。
【請求項12】
前記鉱物絶縁ケーブルが、前記温度検知素子の第一のリード線に結合された第一の複数の導体と、前記温度検知素子の第二のリード線に結合された第二の複数の導体とを有する、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項13】
前記第一の複数の導体が前記温度検知素子の前記第一のリード線に溶接され、前記第二の複数の導体が前記温度検知素子の前記第二のリード線に溶接されている、請求項12記載の温度プローブ。
【請求項14】
前記温度検知素子がサーミスタである、請求項1記載の温度プローブ。
【請求項15】
温度プローブのためのインサートであって、
円柱形のインサートボディと;
前記円柱形のインサートボディに画定された凹みであって、温度検知素子を受けるように構成されている凹みと;
前記円柱形のボディの中を通過する少なくとも一つの導管であって、前記温度検知素子の少なくとも一つのリード線を通すように構成されている少なくとも一つの導管と;
前記温度検知素子のリード線を金属シース付き鉱物絶縁ケーブルの導体に結合することを可能にするように構成された取り付け部と
を含み;
前記凹みが、前記温度検知素子をエンドキャップと接触させるように構成されている、インサート。
【請求項16】
非導電性材料で形成されている、請求項15記載のインサート。
【請求項17】
前記非導電性材料がセラミックである、請求項16記載のインサート。
【請求項18】
前記少なくとも一つの導管が、それぞれが前記温度検知素子のリード線を通すように構成されている一対の導管を含む、請求項15記載のインサート。
【請求項19】
前記一対の導管を分離する突出部を前記凹み中にさらに含む、請求項18記載のインサート。
【請求項20】
温度プローブを製造する方法であって、
その中に配置され、鉱物絶縁材によって分離された複数の導体を有する金属シース付きケーブルを提供する工程;
インサートを提供し、薄膜RTDの複数のリード線を前記インサートの中に通す工程;
前記薄膜RTDの各リード線を前記金属シース付きケーブルの少なくとも一つの導体に結合する工程;
金属シースを前記インサート上にスライドさせる工程;
前記金属シースを前記金属シース付きケーブルに取り付ける工程;
エンドキャップを前記金属シースに取り付ける工程;及び
前記インサートが前記薄膜RTDを前記エンドキャップと接触させる工程
を含む方法。
【請求項21】
前記金属シースを前記金属シース付きケーブル及び前記エンドキャップに溶接する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
鉱物絶縁材をその中に取り囲む金属製外側シースを有する鉱物絶縁ケーブルであって、前記鉱物絶縁材の中を通って延びる複数の導体を有する鉱物絶縁ケーブルと;
一対のリード線を有する温度検知素子と;
前記温度検知素子の前記一対のリード線を受けるための少なくとも一つの導管を有するインサートであって、前記温度検知素子を受けるように構成された凹みを有するインサートと;
前記インサート上にスライドするように構成されたインサートシースであって、前記鉱物絶縁ケーブルの金属製外側シースに結合するように構成された第一端を有し、さらに第二端を有するインサートシースと、を含み;
前記インサートが、前記温度検知素子を前記第二端の近くで前記インサートシースと接触させるように構成されている、温度プローブ。
【請求項23】
前記インサートが、複数の温度検知素子を支持するように構成されている、請求項22記載の温度プローブ。
【請求項24】
前記インサートが、前記温度検知素子を前記インサートシースの側壁と接触させるように構成されている、請求項22記載の温度プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
多様な産業及び環境において、パイプなどのプロセス流体導管中を流れるプロセス流体などの物質又は表面の温度の示度を提供するために温度プローブが使用されている。温度プローブは一般に、金属、セラミック又はガラスで形成されている外側シースを含み、この外側シースが、シースの内側に位置する温度検知素子を衝撃及びプロセス流体などへの曝露から保護する。通常、シースの内面と温度検知素子との間の空間を埋めるために、酸化マグネシウム(MgO)又はセラミック(酸化アルミニウム―Al23など)などの非導電性粉末が使用される。
【0002】
温度プローブは、特定の用途への適用性に関して考慮しなければならない多様な設計上の考慮事項を有する。これらの考慮事項の中には、精度、熱動作範囲及び応答時間がある。医薬品、食品及び飲料の製造ならびに商品の管理輸送など、いくつかの高精度産業においては、高速応答時間が非常に重要な考慮事項である。改善された応答時間を有する温度プローブを提供することは、そのような温度プローブがより多くの用途、特に高速応答時間を必要とする用途で使用されることを可能にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
測温抵抗体(RTD)及び熱電対(TC)が最も一般的な工業用温度検知素子である。温度検知器はタイプごとに利点がある。RTDは一般に、より高精度であり、優れた長期安定性を有すると考えられている。熱電対は一般に、RTDよりも精度が低く、より多くのドリフトをこうむると考えられているが、プロセスへの浸漬が少なく済み、より良好な応答時間及び優れた耐振動性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
温度プローブは、鉱物絶縁材をその中に取り囲む金属製外側シースを有する鉱物絶縁ケーブルを含む。鉱物絶縁ケーブルは、鉱物絶縁材の中を通って延びる複数の導体を有する。温度検知素子が一対のリード線を有する。インサートが、温度検知素子の一対のリード線を受けるための少なくとも一つの導管を有する。インサートはまた、温度検知素子を受けるように構成された凹みを有する。インサートシースが、インサート上にスライドするように構成され、鉱物絶縁ケーブルの金属製外側シースに結合するように構成された第一端と、第二端とを有する。エンドキャップがインサートシースの第二端に取り付けられる。インサートは、温度検知素子をエンドキャップと接触させ、リード線と素子との間でひずみ緩和を提供するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図1B】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図1C】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図1D】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図1E】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図1F】公知の温度センサプローブ設計の一部分の図である。
図2】本発明の実施形態による温度プローブの分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態による温度プローブの拡大断面図である。
図4】本発明の一実施形態による温度検知素子取り付けインサートの斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による温度検知素子取り付けインサートの斜視図である。
図6A】本発明の実施形態による温度検知プローブの一部分の断面図である。
図6B】本発明の実施形態による温度検知プローブの一部分の断面図である。
図7】様々な温度プローブの応答時間を示すチャートである。
図8】本発明の実施形態による、温度プローブを製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は一般に、薄膜RTDを用いる温度検知素子に適用可能であるが、当業者は、本発明の実施形態が、熱電対、サーミスタなどの様々なタイプの温度センサとで実現され得ることを認識するであろう。
【0007】
典型的な工業用RTD設計は一般に、検知素子を緩いMgO粉末中に浮遊させる。粉末充填材の密度が耐振動性と熱伝達の両方にとって重要である。粉末は非常に熱伝導性であるが、完全に固体ではなく、空隙及び粉末が、熱が伝導するためのもう一つの層を形成する。サーモウェルとセンサカプセルとの間の接触が時間応答及び精度にとって重要である。ばね押し式のセンサが最も一般的なカプセルアセンブリであり、センサとサーモウェル先端との間の堅実な接触を保証する。熱電対は、その検知接合部が一般にセンサエンドキャップに非常に近接しているため、優れた応答時間を有する。一般に、接地された熱電対が、エンドキャップ又はエンドキャップ近くのカプセル壁に融着されているため、最速の応答時間を提供する。典型的なセンサカプセルアセンブリが図1A~1Dに示されている。
【0008】
図1A中、センサエンドキャップはセンサカプセル102の端部100から取り外されている。見てとれるように、熱電対ワイヤ104、106がMIケーブル108の中を通って延びている。異なる熱電対ワイヤ104、106の接合部に熱電対110が形成されている。この熱電対の先端は接地されている(すなわち、センサカプセルシース壁112に電気的かつ機械的に取り付けられている)。センサカプセル100の端部近くの空間114は一般に、MgO又はセラミックなどの絶縁性粉末で満たされている。
【0009】
図1Bは、もう一つのタイプのセンサカプセルの一部分の図である。センサカプセル120はセンサカプセル102に類似するが、異なる熱電対ワイヤの接合部に形成された熱電対122はシース壁112に接地されていない。したがって、図1Bに示す設計は、単一非接地先端構成とみなされる。応答時間を短縮し、耐振動性を提供するために、ここでも、鉱物絶縁粉末(たとえばMgO)又はセラミックが空間114内に提供されている。
【0010】
図1Cは、公知のRTDベースの薄膜センサカプセルの図である。センサカプセル140は一般に、センサカプセル140の端部144近くの空間114内に配置された薄膜RTD検知素子142を提供する。センサカプセル140は、第一の複数のワイヤ146がRTD素子142の第一のリード線に結合され、第二の複数のワイヤ150が温度検知素子142の第二のリード線152に結合される公知の4線式RTD測定構成を用いる。この結合は一般に溶接によって提供され、その後、空間114の内部が絶縁粉末で満たされて、熱伝導性及び耐振動性を提供する。
【0011】
図1Dは、もう一つのタイプの公知のRTDセンサカプセル設計の図である。センサカプセル160は、薄膜素子142(図1Cに示す)の代わりに巻線RTD温度検知素子162を使用する。ここでもまた、ワイヤ146がリード線148に溶接され、ワイヤ150がリード線152に溶接される4線式接続が使用されている。
【0012】
温度プローブ設計の場合、一般に、プロセス制御及び効率を改善するためには高速応答時間が重要であると考えられている。通常、ユーザは、応答時間改善のために熱電対を選択することを強いられる場合、RTDの精度及び安定性をいくらか犠牲にすることがある。加えて、RTDは、多くの場合、振動誘発性の故障をよりこうむりやすいと考えられている。フィールドにおけるRTD故障の主な原因は、機械的衝撃又は振動によるリード線の破断であると考えられている。
【0013】
図1E及び1Fは、機械的衝撃又は振動によるリード線破断の断面図及び拡大断面図を示す。RTDは、多くの場合、セラミック及びガラスに封入された白金検知素子本体からなり、リード線(通常、直径0.2mm)が材料(material)絶縁されたケーブル導体(146、150)に溶接されている。温度検知素子は、素子の短絡を防ぎ、アセンブリ中での過度な動きを防ぐために、金属シース中で浮遊し、緩いMgO粉末を充填されている。RTD薄膜素子本体の質量が振動中に細いリード線にひずみを生じさせ、MgO粉末がいくらかの減衰(dampening)を提供するが、それは限られる。熱電対は、一般に非常に短い距離だけ突出したのち互いに溶接される2本の鉱物絶縁ケーブル導体(直径0.8mm超)の堅牢な設計を有するため、RTDと比較して耐振動性に優れると考えられている。
【0014】
本明細書に提供される実施形態にしたがって、新規なRTDセンサカプセル設計は、一定量の緩い粉末を固体インサートで置き換える。さらに、インサートは、RTD素子を金属センサエンドキャップに直接押し当てるように構成されている。したがって、インサートは、改善された応答時間、浸漬性能のために素子を配置するだけでなく、ひずみ緩和を提供して耐振動性を高める。センサインサート設計は、精度及び長期安定性を犠牲にすることなく、高い耐振動性及び時間応答のためのオプションを提供する。リード線に関する問題を避けるために、インサートの構築のために選択される材料は電気絶縁性であるべきである。リード線がそれ自体のコーティングされた絶縁材を備えるならば、他の材料をインサートに使用することもできる。RTD素子の薄膜部分は一般に、金属センサエンドキャップとの直接接触を可能にする電気絶縁層を有する。熱伝達を促進するためにインサート材料が比較的高い熱伝導率を有するならば、それは応答時間に関して有利であろう。セラミック材料もまた、良好な性能を提供するであろう。
【0015】
図2は、本発明の実施形態による温度プローブの一部分の図である。温度プローブ200は一般に、一定の長さの金属シース付き鉱物絶縁(MI)ケーブル202、インサートシース204、インサート206、薄膜RTDセンサ208及びエンドキャップ210を有する。金属シース付き鉱物絶縁ケーブル202は、所望のRTD接続を提供するのに適当な数の導体146、150を有することができる。たとえば、導体の数は通常2~4の範囲である。導体は、ステンレス鋼などの適当な金属で形成され得る金属シース214内で鉱物絶縁材212内を延びる。インサートシース204は、溶接又は他の適当な結合方法を容易にするために、好ましくはシース214と同じ金属で形成されている。インサートシース204は、薄膜センサ208のリード線148、152がそれぞれワイヤ150、146に溶接されたならば、インサート206上にスライドするようにサイズ設定されている。インサート206は凹み220を含み、この凹みは、薄膜センサ208の表面222を受け、したがって反対側の平坦面224をエンドキャップ210の表面226に押し当てるようにサイズ設定され、成形されている。プローブ200の構築は、センサシース204を溶接又は他のやり方でMIケーブル202に取り付け、エンドキャップ210を溶接又はその他のやり方でインサートシース204に取り付けることによって完了する。これが、非常に耐振動性かつ熱応答性のRTDベースのセンサプローブを生み出す。本明細書に開示される実施形態は、MIケーブルの使用に関して説明されるが、明らかに、機能的に類似する構造(すなわち、センサインサートに環境シールを備えた、チューブ又はケーブル内に配置された絶縁導線)を本発明の実施形態にしたがって使用してもよいと考えられる。加えて、図2は、単一の温度検知素子(センサ208)を支持するインサート206を示すが、いくつかの実施形態では、明らかに、インサート206が複数の温度検知素子を支持するように構成されることが考えられる。
【0016】
図3は、本発明の実施形態による組み立てられたセンサプローブ200の一部分の拡大断面図である。見てとれるように、インサート206は、インサートシース204内に配置され、薄膜センサ222の表面224をエンドキャップ210の表面226と接触させる表面230を提供する。図示の例において、エンドキャップ210は、インサートシース204によって受けられるようにサイズ設定され、インサートシース204へのエンドキャップ210の結合は、界面232で形成された溶接によって提供される。
【0017】
図4及び5は、本発明の実施形態によるRTD温度検知素子インサート206のそれぞれ上面斜視図及び底面斜視図である。図示するように、インサート206は一般に、インサートシース204内にスライド可能に受けられるよう、円柱形であり、インサートシースもまた、ケーブル202に効率的に結合されるよう、円柱形である。凹み220は、突出部244によって分離された二つの半円柱形側壁によって形成された形状を有する。平らな面230は一般に、使用される薄膜RTDセンサの形状及び厚さに合わせてサイズ設定されている。加えて、凹み220は、インサート206の側壁の小さな切り欠き248まで延びるテーパ部分246を含む。しかし、他の実施形態では、テーパ部分246がインサート206の側壁まで延びる必要はない。
【0018】
図5は、薄膜RTD142のリード線148、152が通過する一対の開口部250、252を含むインサート206の底面斜視図を示す。これらのリード線は、この場合、トラフ領域254中でMIワイヤ146、150に結合される。
【0019】
図6A及び6Bは、本発明の実施形態によるインサート206を用いるプロトタイプRTDセンサの正面及び側面X線画像である。本明細書に提供される設計及び実施形態を利用するRTDベースの温度プローブを試験し、応答時間に関して公知の構成とで比較した。結果が図7に示されている。いくつかのアセンブリは、温度検知素子の平らな側がセンサエンドキャップの方を向く状態で作製し、いくつかは、平らな側がセンサエンドキャップとは反対に向く状態で作製した。参考までに、図3は、温度検知素子の平らな側がセンサエンドキャップの方を向く実施形態を示す。
【0020】
薄膜検知素子は一般に、センサ先端と接触する状態で平らに配置される。これが、センサを最適に配置して浸漬誤差を減らす。これはまた、応答時間の大幅な改善を提供する。また、ばね押し式センサは一般に先端で最良の接触を有すると考えらるため、センサの先端に要素を配置することは、サーモウェルとの有意な熱結合を提供する。
【0021】
実施形態のプロトタイプを、サーモウェルありとなしの両方で、応答時間に関して試験した。結果が図7に示されている。「TF-Jumo Insert-D」は、検知素子の平らな部分がエンドキャップの方を向くプロトタイプである。図7に示すように、この設計は、16.82秒のT90時間、5.55秒のT63時間、3.72秒のT50時間及び0.81秒のT10時間を示した。「TF-Jumo Insert-U」は、素子を反対方向に向けたプロトタイプである。図7に見てとれるように、このプロトタイプは、21.07秒のT90時間、7.71秒のT63時間、5.20秒のT50時間及び0.87秒のT10時間を示した。「TF-RTD Heraeus standard」は、公知の技術にしたがって構築された標準的なセンサであり、参考までに提供されたものである。図7に示すように、このセンサは、18.28秒のT90時間、8.88秒のT62時間、6.70秒のT50時間及び2.09秒のT10時間を示した。「TF-RTD Jumo Standard」は、Jumo素子を使用して試験した標準的なセンサカプセル構造である。このセンサは、19.12秒のT90時間、9.36秒のT63時間、7.07秒のT50時間及び2.14秒のT10時間を示した。見てとれるように、「TF-Jumo Insert-D」は、試験したすべてのセンサを性能で上回った。結果は、センサが温度差の63%に達するのに要する時間であるT63を使用して考察されている。T63は、業界内で、応答時間を測定するときに一般に使用されている。ベアセンサ(すなわち、サーモウェルなし)として試験したInsert-Dは、同じ薄膜RTD素子を使用する標準的なセンサカプセルと比較して、応答時間を40%短縮した。さらに、「TF-RTD Jumo Insert-D」を標準的な3/4インチステンレス鋼サーモウェル中で試験すると、公知のセンサカプセル構造(「TF-RTD Heraeus Standard in 3/4" SST Twell)と比較して、ほぼ50%の応答時間短縮が得られた。
【0022】
図7に提供されたデータはまた、フラットボアサーモウェルの試験を示す。通常、サーモウェルは、穴径をガンドリル加工することからW形状を有する。フラットボアサーモウェルは、センサとのより良い接触のために平らに機械加工された形状を有する。このサーモウェルの特徴は、サーモウェルの端部とセンサカプセルとの間の接触面積を増すため、熱応答時間におけるさらなる改善を提供する。フラットボアは、上記センサインサート設計とで良好に機能する。「TF-RTD Jumo Insert-D in 3/4" SST Twell flat bore」は、標準的なボアのサーモウェルを備えた標準的なセンサよりも約3倍高速である(66%短縮)。
【0023】
本明細書に提供される実施形態は一般に、RTDベースの温度プローブに関して大幅に改善された応答時間を提供する。加えて、本明細書に提供される実施形態は一般に、RTDベースの温度プローブの耐振動性を改善する。固体センサインサートは、RTD素子の耐振動性を改善すると考えられる。インサートは、薄膜素子をセンサのエンドキャップに押し当て、それにより、素子質量を細いリード線から分離することによってひずみ緩和を提供する。この固体設計はまた、振動周期中に動くおそれのある粉末を排除する。
【0024】
図8は、本発明の実施形態による、温度プローブを製造する方法の流れ図である。方法300は、その中を延びる十分な数の導体を有するMIケーブルを提供するブロック302で始まる。次に、ブロック304で、インサート206(図5に示す)などのセンサインサートの複数の穴に通されるリード線を有する、薄膜RTDセンサなどの温度検知素子を提供する。次に、ブロック306で、温度検知素子のリード線をMIケーブルの導体に結合する(たとえば、溶接、ろう付け又ははんだ付けによって)。ブロック308で、金属シースをインサート上にスライドさせる。次いで、ブロック310で、金属シースをMIケーブルに取り付ける。そのような取り付けは、適当な方法で実施することができるが、金属シースがMiケーブルの外側金属シースと同じ金属で形成されていること、及び取り付けが、たとえば、金属シースをMIケーブルに物理的に結合するだけでなく、効果的なシールを形成する連続溶接であることが好ましい。最後に、ブロック312で、エンドキャップを金属シースに取り付ける。好ましくは、エンドキャップの取り付けにも溶接を使用して、エンドキャップを金属シースに封着させる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】