(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】炭化ケイ素半導体デバイスおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/872 20060101AFI20240905BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240905BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L29/86 301D
H01L29/86 301M
H01L29/78 652T
H01L29/78 657A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519077
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022076833
(87)【国際公開番号】W WO2023052355
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルフィエリ,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】クノール,ラース
(57)【要約】
本開示は、炭化ケイ素半導体(SiC:silicon carbide)エピ層(112)を備えるSiC構造(110)と、SiC構造(110)の第1の主面(114)上に形成されている少なくとも1つのオーミックコンタクト(120)と、SiC構造(110)の第2の主面(116)上に形成されている少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130)とを備えるパワー半導体デバイス(100)に関する。少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130)は、金属層(136)と、金属層(136)とSiC構造(110)の第2の主面(116)との間に配置構成されている炭素族中間層(134)とを含む。
本開示は、ショットキーバリアダイオード(400)、パワーMOSFET(500)などの縦型電界効果トランジスタ、およびパワー半導体デバイス(100)の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体デバイス(100)であって、
炭化ケイ素半導体(SiC:silicon carbide)エピ層(412,512)を備え、前記SiCエピ層(412,512)によって形成されている第1の主面(114)および反対側の第2の主面(116)を有するSiC構造(110,410,510)と、
前記SiC構造(110,410,510)の前記第1の主面(114)上に形成されている少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)と、
前記SiC構造(110,410,510)の前記第2の主面(116)上に形成されている少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)であって、前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)は、金属層(136,436,536)および炭素族中間層(134,434,534)を備え、前記炭素族中間層(134,434,534)は、前記金属層(136,436,536)と前記SiC構造(110,410,510)の前記第2の主面(116)との間に配置構成されており、10~100nmの範囲内の厚さを有し、前記SiC構造(110,410,510)の前記第2の主面(116)上の炭素族からの化学元素を堆積することによって形成される、少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)と
を備える、パワー半導体デバイス(100)。
【請求項2】
前記SiCエピ層(412,512)は、第1のドーパント濃度を有し、前記SiC構造(410,510)は、第2のドーパント濃度を有するSiC基板(414,514)をさらに備え、前記第2のドーパント濃度は、前記第1のドーパント濃度よりも著しく高い、請求項1に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項3】
前記SiCエピ層(112,412,512)は、10
17cm
-3未満、特に10
13cm
-3~10
17cm
-3の範囲内のドーパント濃度を有する半導電性SiC層、特に10
14cm
-3~10
16cm
-3のドーパント濃度を有するn型SiCエピ層(412)である、請求項1または2に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項4】
前記SiCエピ層(412)内の少なくとも1つのエッジ終端エリア(416)をさらに備え、前記少なくとも1つのエッジ終端エリア(416)は、前記炭素族中間層(434)および前記金属層(436)の水平延在範囲を前記エピ層(412)の中央領域に限定する、請求項1~3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)の前記炭素族中間層(134,434,534)が、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、または鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)の前記金属層(136,436,536)は、前記炭素族中間層(134,434,534)上に堆積され、および/または、ニッケル、金、モリブデン、チタン、もしくは白金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)は、
ニッケル層、
チタンアルミニウムTi/Al合金層、または
チタンアルミニウムニッケルTi/Al/Ni合金層
のうちの1つを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項8】
ショットキーバリアダイオード(400)であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)と、
少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(430)に接続されているアノード端子と、
少なくとも1つのオーミックコンタクト(420)に接続されているカソード端子と
を備える、ショットキーバリアダイオード(400)。
【請求項9】
縦型電界効果トランジスタ、特にパワーMOSFET(500)であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)と、
少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(530)に接続されているソース端子と、
少なくとも1つのオーミックコンタクト(520)に接続されているドレイン端子(560)と、
SiC構造(510)の第2の主面(116)上に配置構成されている絶縁ゲート電極(552)に接続されているゲート端子と
を備える、縦型電界効果トランジスタ、特にパワーMOSFET(500)。
【請求項10】
前記SiCエピ層(512)内に配置構成されている少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)をさらに備え、前記絶縁ゲート電極(552)は、前記少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)の間のエリア内に配置構成されており、前記少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)に隣接して2つのショットキーバリアコンタクト(530)が形成される、請求項9に記載の縦型電界効果トランジスタ。
【請求項11】
パワー半導体デバイスを製造するための方法であって、
炭化ケイ素(SiC:Silicon Carbide)構造(110,410,510)のSiC層(112,412,512)を形成すること(S1)、特にエピタキシャル成長させることと、
前記SiC層(112,412,512)上に炭素族中間層(134,434,534)を堆積させること(S2)であって、前記炭素族中間層(134,434,534)は、炭素族からの材料を含む、炭素族中間層(134,434,534)を堆積させること(S2)と、
前記SiC構造(110,410,510)の裏面上に第1の金属層(122,422,522)を堆積させること(S3)と、
前記炭素族中間層(134)上にショットキーコンタクト(130,430,530)の第2の金属層(136,436,536)を堆積させること(S4)と、
前記第1の金属層(122,422,522)および前記第2の金属層(136,436,536)を堆積させた後、少なくとも1つのオーミックコンタクト(120)を形成するためにアニーリング温度で少なくとも前記第1の金属層(122,422,522)をアニーリングすること(S5)と
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の金属層(122,422,522)が、摂氏600度以上のアニーリング温度で、特に摂氏600度~摂氏1000度の間の温度の1分~10分にわたる急速熱処理を使用してアニーリングされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アニーリングするステップにおいて、前記炭素族中間層(134,434,534)、前記第1の金属層(122,422,522)、および前記第2の金属層(136,436,536)がともにアニーリングされて、前記アニーリング後に、SiC構造(110,410,510)の前面上に前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)が形成され、前記SiC構造(110,410,510)の前記裏面上に前記少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)が形成される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素族中間層(134,434,534)、前記第1の金属層(122,422,522)および/または前記第2の金属層(136,436,536)は、電子ビーム堆積または熱蒸着堆積の一方を使用して堆積される、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記SiC層(512)上に炭素族中間層(534)を堆積させる前記ステップの前に、
前記SiC層(512)内に、第1の導電型の少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェル、特にp+ウェル(542)を形成することと、
前記少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェル内に、第2の導電型の少なくとも1つの高濃度ドープされた第2のウェル、特にn+ウェル(544)を形成することと
をさらに含み、
前記炭素族中間層(136)は、前記少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェルに隣接して形成され、
前記SiC層(112)は、前記第2の導電型のSiC層、特にn型SiC層(512)である、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショットキーバリアダイオードまたは縦型FETなどの、少なくとも1つのオーミックコンタクトおよび少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトを有する炭化ケイ素半導体構造を備えるパワー半導体デバイス、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)半導体ショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky barrier diode)は、一般に、低い漏れ電流、順方向電圧降下および逆方向回復時間を有し、したがって、電気自動車の充電、再生可能エネルギーの生成および分配などを含む自動車用途などの多くの適用分野に適している。
【0003】
SiC SBDは、SiC半導体構造を2段階プロセスでメタライゼーションすることによって形成することができる。まず、SiC基板上に低接触抵抗のオーミックコンタクトを堆積し、次いで、900~1000℃の比較的高温で焼結する。次の第2のステップでは、反対側にショットキーバリアコンタクトを得るために、SiC半導体構造のエピ層上にニッケル(Ni)層が堆積される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/178016号明細書は、炭化ケイ素ベースのデバイスコンタクトおよびコンタクト作製方法がSiC基板上のポリシリコンの層を利用し、コンタクトの金属層がポリシリコンの上に堆積されることを開示している。ショットキーコンタクトおよびオーミックコンタクトの両方を形成することができる。ポリシリコン層は、連続的またはパターン化されていてもよく、ドープされていなくてもよく、n型またはp型になるようにドープされていてもよい。
【0005】
中国特許出願公開第109 686 797号明細書は、炭化ケイ素ショットキーダイオードおよびその製造方法を開示している。炭化ケイ素ショットキーダイオードは、複合ショットキーコンタクト構造を含み、複合ショットキーコンタクト構造は、炭化ケイ素エピタキシャル層と、ショットキー金属層と、炭化ケイ素エピタキシャル層とショットキー金属層との間に配置構成されているグラフェン層とを含み、グラフェン層は、炭化ケイ素エピタキシャル層の炭化ケイ素原子とショットキー金属層の金属原子との間の相互浸透をブロックするために使用され、それによって複合ショットキーコンタクト構造の漏れ電流を低減する。
【0006】
INABA MASAFUMI他「Very low Schottky barrier height at carbon nanotube and silicon carbide interface」(APPLIED PHYSICS LETTERS,AMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS,2 HUNTINGTON QUADRANGLE,MELVILLE,NY 11747,vol.106,no.12,23 March 2015,ISSN:0003-6951,DOI:10.1063/1.4916248)には、将来のSiCパワーデバイス、特に小型縦型デバイスにとって、接触抵抗率が低く電流耐久性が高い炭化ケイ素との電気接点が重要であることが開示されている。炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)の分解によって形成されるカーボンナノチューブ(CNT:carbon nanotube)フォレストは、密集したフォレストであり、SiCパワートランジスタにおける放熱オーミックコンタクトとしての使用に理想的である。
【0007】
米国特許第6,139,624号明細書は、SiC表面上に電気接点を生成するための方法を開示している。炭素コーティング、好ましくはグラファイトコーティングが、最初に炭化ケイ素表面上に作成される。次いで、上記炭素コーティングは、炭化物形成金属によって金属炭化物コーティングに変換される。
【0008】
米国特許出願公開第2019/296156号明細書は、半導体デバイスが第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に配置されている炭化ケイ素層と、炭化ケイ素層内に配置されている第1のn型炭化ケイ素領域と、炭化ケイ素層内に配置されており、第1のn型炭化ケイ素領域と第1の電極との間に配置されており、第1のn型炭化ケイ素領域の第1のn型不純物濃度よりも高い第1の窒素濃度を有する第1の窒素領域とを含むことを開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2018/166540号明細書は、半導体デバイスが、n+型炭化ケイ素基板の第1の表面に配置されているn-型層と、n-型層に配置されているトレンチと、n-型層内の上部に配置されているp型領域、n+型領域およびp+型領域と、n-型層、n+型領域およびp型領域の上に配置されているゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に配置されているゲート電極と、ゲート電極上に配置されている絶縁層と、絶縁層上およびトレンチ内に配置されているソース電極と、n+型炭化ケイ素基板の第2の表面に配置されているドレイン電極とを含み得、ソース電極が、オーミック接合領域およびショットキー接合領域を含むことを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の目的は、SiC構造を含むパワー半導体デバイスを形成するための代替的な、好ましくはより効率的な製造方法および対応するパワー半導体デバイスを示すことである。特に、製造中に悪条件の影響をより受けにくく、したがって改善された製造プロセスを可能にするパワー半導体デバイスを記載することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態は、SiC構造を備えるパワー半導体デバイス、ショットキーバリアダイオード、縦型電界効果トランジスタ、および、独立請求項に記載のパワー半導体デバイスを製造するための方法に関する。
【0012】
本開示の第1の態様によれば、パワー半導体デバイスが開示される。デバイスは、炭化ケイ素半導体(SiC:silicon carbide)層を備えるSiC構造と、SiC構造の第1の主面上に形成されている少なくとも1つのオーミックコンタクトと、SiC構造の第2の主面上に形成されている少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトとを備える。少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトは、金属層と、金属層とSiC構造の第2の主面との間に配置構成されている炭素族中間層とを備える。
【0013】
炭素族中間層は、10~100nmの範囲内の厚さを有することができ、炭素族からの化学元素をSiC構造の第2の主面上に堆積させることによって形成することができる。そのような厚さは、ショットキーバリアコンタクトの改善された熱安定性を達成し、同時に、所望のショットキーバリア形成を維持するのに十分である。
【0014】
とりわけ、本発明者らは、炭素族中間層と金属層とを含むスタックを含むショットキーバリアコンタクトが、より高い温度、例えば約1000℃のアニーリング温度で劣化しないことを見出した。したがって、半導体デバイス製造中の悪条件に対するショットキーバリアコンタクトの抵抗が低減され、他の利点の中でも、少なくとも1つのオーミックコンタクトおよび少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトの同時形成が可能になる。
【0015】
少なくとも一実施形態によれば、SiC層は、1017cm-3未満、特に1013cm-3~1017cm-3の範囲内のドーパント濃度を有する半導電性SiC層である。例えば、エピタキシャル成長されたSiC層は、3・1014cm-3~5・1014cm-3の窒素原子をドープされてもよい。代替的に、SiC層は、107~109オーム・cmの電気抵抗率を有する高純度半絶縁性SiC層であってもよい。他の利点の中でも、本発明者らは、比較的低いドーパント濃度を有するSiC層が、そのような低いドーパント濃度のSiC層がアニーリングおよび同様の高温処理ステップ中にショットキーバリアコンタクトの材料と反応しないという点で、上記スタックの適切な基礎であることを見出した。
【0016】
本開示の第2の態様によれば、ショットキーバリアダイオードが提供される。ショットキーバリアダイオードは、第1の態様によるパワー半導体デバイスと、少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトに接続されているアノード端子と、少なくとも1つのオーミックコンタクトに接続されているカソード端子とを備える。
【0017】
このようなショットキーバリアダイオードは、製造が容易であり、比較的低い漏れ電流、低い順方向電圧降下および低い逆方向回復時間を有する。
【0018】
本開示の第3の態様によれば、縦型電界効果トランジスタ(FET:vertical field effect transistor)、特にパワーMOSFETが提供される。縦型FETは、第1の態様に記載のパワー半導体デバイスと、少なくとも1つのショットキーバリアコンタクトに接続されているソース端子と、少なくとも1つのオーミックコンタクトに接続されているドレイン端子と、SiC構造の第2の主面上に配置構成されている絶縁ゲート電極に接続されているゲート端子とを備える。
【0019】
このようなボディダイオード内蔵縦型FETでは、還流ダイオードとしての役割を果たすための追加のデバイスは不要である。ショットキーダイオードの縦型FETへの集積は、上記ショットキーコンタクトのサーマルバジェットの増大によって可能になる。その上、ショットキーダイオードをMOSFETまたは同様のパワー半導体構造に集積することは、ボディダイオードのターンオン電圧を2.5V超から1V未満へと低減するための1つの選択肢である。
【0020】
本開示の第4の態様によれば、パワー半導体デバイスを製造するための方法が提供される。本方法は、
炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)構造のSiC層を形成するステップ、特にエピタキシャル成長させるステップと、
SiC層上に炭素族中間層を堆積させるステップと、
SiC構造の裏面に第1の金属層を堆積させるステップと、
炭素族中間層上にショットキーコンタクトの第2の金属層を堆積させるステップと、
第1の金属層および第2の金属層を堆積させた後、少なくとも1つのオーミックコンタクトを形成するために、アニーリング温度で少なくとも第1の金属層をアニーリングするステップと
を含む。
【0021】
上記の方法ステップは、同じプロセスステップおよび同じ温度でオーミックコンタクトおよびショットキーバリアコンタクトを形成することを可能にする。開示されている方法は、形成されているショットキーバリアコンタクトのサーマルバジェットを増大させ、集積の労力を大幅に低減する。これはまた、ショットキーバリアコンタクトの形成後に他の高温ステップを実施することを可能にする。
【0022】
上記のパワー半導体デバイスおよびそれを形成するための方法は、ショットキーバリアダイオード、縦型FET、および少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト構造を備える他の半導体デバイスの製造に特に適している。
【0023】
したがって、一般的にパワー半導体デバイス、特にショットキーバリアダイオードまたは縦型FETに関連して説明された特徴および利点は、開示されているデバイスのいずれにおいても使用することができる。その上、様々なデバイスに関して開示されている材料、寸法、または同様のパラメータの選択などの特定の態様は、製造方法の対応するステップにも適用可能であり、その逆も同様である。
【0024】
添付の図面が、さらなる理解を提供するために含まれる。図面では、同じ構造および/または機能の要素は、同じまたは対応する参照符号によって参照され得る。図面に示される実施形態は例示的な表現であり、必ずしも原寸に比例して描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】パワー半導体デバイスを製造するための方法のステップの概略フローチャートである。
【
図3】異なるアニーリング温度でのアニーリング前後のショットキーバリアコンタクトの電流-電圧(I-V)特性を示す図である。また、ショットキーバリアダイオードの製造中の異なる処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図4】ショットキーバリアダイオードの製造中の異なる処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図5】ショットキーバリアダイオードの製造中の異なる処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図6】ショットキーバリアダイオードの製造中の異なる処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図7】縦型パワーMOSFETの製造中の様々な処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図8】縦型パワーMOSFETの製造中の様々な処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図9】縦型パワーMOSFETの製造中の様々な処理段階のうちの1つを示す図である。
【
図10】縦型パワーMOSFETの製造中の様々な処理段階のうちの1つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は様々な修正および代替形態を受け入れるが、その詳細は、例として図面に示され、詳細に記載されている。しかしながら、その意図は、本開示を記載されている特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。逆に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲内に入るすべての修正、同等物、および代替物を網羅することである。
【0027】
図1は、パワー半導体デバイス100の第1の実施形態を示す。デバイス100は、
図1において下側の第1の主面114と、
図1において反対側の第2の主面116とを有するSiC層112を備えるSiC構造110を備える。説明される実施形態では、SiC層112は、第1の主面114から第2の主面116までずっと延在している。すなわち、SiC構造110が、SiC層112に相当する。しかしながら、他の実施形態では、SiC層112は、SiC基板(図示せず)上に成長されたエピタキシャルSiC層(SiCエピ層)であってもよい。すなわち、SiC構造110は、SiC基板と、SiCエピ層とを備える。この場合、第1の主面114は、SiC基板の裏面によって形成される。
【0028】
図示の実施形態では、パワー半導体デバイス100は、第1の主面114上に形成されているオーミックコンタクト120をさらに備える。例えば、ニッケル層などの第1の金属層122が下側主面114上に堆積されてもよく、次いで焼結および/またはアニーリングされてオーミックコンタクト120が形成されてもよい。
【0029】
SiC層112が第1の主面114から第2の主面116までずっと延在している場合、少なくとも1つのオーミックコンタクト120を形成する前に、イオン注入またはプラズマ浸漬イオン注入(PIII:plasma immersion ion implantation)し、続いて1600℃で高温活性化することによって、少なくとも第1の主面114の対応するエリアにn+層またはn+領域を形成してもよい。
【0030】
パワー半導体デバイス100は、中間層134と、中間層134の上に形成されている第2の金属層136とを備える層スタック132をさらに備える。層スタック132は、下にあるSiC層112の第2の主面116上にショットキーバリアコンタクト130を形成する。この目的のために、適切な金属材料、例えばニッケル(Ni)を使用して、SiC層112の半導体材料のバンド構造に対するショットキーバリアを形成することができる。
図1に示すように、中間層134はSiC層112の第2の主面116の直上に配置構成されており、第2の金属層136は中間層134の直上に配置構成されている。
【0031】
例えばオーミックコンタクト120のアニーリング中に、第2の金属層136をより高い温度に対してより弾性にするために、中間層134は、適切な材料、特に、4個の価電子を有する元素を含む炭素族(IUPAC族14またはIV族とも呼ばれる)からの材料を含む。記載されている実施形態では、中間層134に炭素(C)が使用される。代替的に、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)または鉛(Pb)などの比較的高い融点を有する他の炭素族材料を使用してもよい。
【0032】
中間層134の存在は、第2の金属層136の材料と層112との間の直接接触を防止する。したがって、高温中、例えばオーミックコンタクト120のアニーリング中に、SiC構造110とその第2の表面116上に形成されているショットキーバリアコンタクト130との間の界面で化学反応は起こらない。
【0033】
図2は、
図1のパワー半導体デバイス100などの電力変換デバイスを製造するための方法のステップを概略的に示す。
【0034】
第1のステップS1において、SiC層112が適切な基板上にエピタキシャル成長されて、SiC構造110が形成される。記載されている実施形態では、エピタキシャルSiC層112は、1017cm-3未満、または、さらには1017cm-3未満の比較的低い濃度において適切なドーパントをドープされる。例えば、エピタキシャルSiC層112には、3・1014cm-3~5・1014cm-3の濃度において窒素(N)をドープされてもよい。SiC層112の厚さは、半導体デバイス100の所望の機能、電圧および/または電流クラスによって決定され、数ミクロン~10分の1ミクロン、例えば5~15μmの範囲内にあってもよい範囲内にあってもよい。
【0035】
さらなるステップS2において、中間層134がSiC層112上に堆積され、SiC構造110の主面の1つ、例えば
図1に示す第2の表面116を形成する。中間層134は、炭素族からの化学元素を堆積させることにより形成される。
【0036】
ステップS1の後であってアニーリングステップS5の前の製造プロセスの任意の段階で実施されてもよいさらなるステップS3において、導電層がSiC構造110の反対側に堆積される。記載されている例では、第1の金属層122が半導体デバイスの裏面上に堆積される。例えば、エピタキシャルSiC層112を担持するSiC基板上に100nmのニッケルが堆積されてもよい。代替的に、オーミックコンタクトを形成するための異なる方法または材料が使用されてもよい。例えば、ニッケルの代わりに、チタンアルミニウムまたはチタンアルミニウムニッケル合金が、例えば最初にチタン、次いでアルミニウム、および任意選択でニッケルを堆積させ、得られた金属スタックを例えば1000℃の温度で加熱して対応する合金を形成することによって、堆積されてもよい。同様に、銀ペーストが、基板の裏面上のオーミックコンタクトとして利用されてもよい。
【0037】
ステップS2の後であってアニーリングステップS5の前の製造プロセスの任意の段階で実施されてもよいさらなるステップS4において、ショットキーバリアコンタクト130を形成するのに適した金属が中間層134上に堆積される。例えば、中間層134の上の第2の金属層136内に10~100nmのニッケルが堆積されてもよい。
【0038】
さらなるステップS5において、パワー半導体デバイス100の少なくとも部分がアニーリングされる。アニーリングステップS5は、600℃を超える温度で実行される焼結および/または急速加熱アニーリング(RTA:rapid thermal annealing)を含んでもよい。この段階において、半導体デバイス100の両面がそれぞれ金属層122、136で覆われているという事実に注目されたい。したがって、ステップS3およびS4で堆積された第1の金属層122および第2の金属層136は、同じ熱処理を受ける。例えば、両方の表面は、RTAによって、真空またはアルゴンなどの保護ガスを含む周囲雰囲気のいずれかにおいて10分間焼結されてもよい。結果として、オーミックコンタクト120が半導体デバイス110の裏面上に形成される。しかしながら、中間層134の存在により、第2の金属層136を含む層スタック132は、ショットキーバリアコンタクト130としてのその機能を維持する。
【0039】
図3は、
図2の方法による製造中および製造後のパワー半導体デバイス100の電気的特性を示す。特に、
図3の実線は、ステップS5におけるアニーリングの前のパワー半導体デバイス100の電流-電圧(I-V)特性を示す。破線および点線は、それぞれ600℃および1000℃で10分間アニーリングした後のデバイス100のI-V特性を示す。
【0040】
図3に示すように、アニーリングされていない構造および600℃でアニーリングされた半導体デバイス100のI-V曲線には大きな差は見られない。すなわち、ニッケルおよび炭素層スタック132の特定の構成では、600℃の温度でのアニーリングは、オーミックコンタクト120の形成とショットキーバリアコンタクト130の形成の両方に限られた影響しか及ぼさない。
【0041】
図3の点線の曲線によって示されるように、1000℃でアニーリングされたパワー半導体デバイス100では、より低い漏れ電圧および順方向電圧降下が観察され得る。この効果は、より低いアニーリング温度でも観察されたことに留意されたい。例えば、記載されているSiC構造110上の記載されているニッケル/炭素層スタック132について、800℃を超えるアニーリング温度で有意に低い漏れ電圧および順方向電圧降下が観察された。
【0042】
調査したパワー半導体デバイス100において、アニーリング前のショットキーバリア高さΦBは、約1.5 eV(そのC-V特性の分析によって得られたもの、図示せず)であった。対照的に、600℃でアニーリングしたパワー半導体デバイス100は、ショットキーバリア高さΦBが1.45 eVであり、1000℃でアニーリングしたパワー半導体デバイス100は、ショットキーバリア高さΦBが1.8 eVであった。すなわち、中間層134および金属層136を含む層スタック132もアニーリングすることによって、形成されているパワー半導体デバイス100のショットキー挙動は、非アニーリング状態と比較して改善された。
【0043】
以下では、少なくとも1つのショットキーバリア接合を含む異なるパワー半導体デバイスの製造プロセスについて説明する。特に、
図4~
図6はショットキーバリアダイオードの作製を説明し、
図7~
図10は縦型パワーMOSFETの製造を説明する。
【0044】
図4は、SiC構造410から始まるショットキーバリアダイオードの生成の初期段階を示す。SiC構造410は、エピ層を有する基板を含む。特に、4H-SiC n型エピ層412がSiC基板414上に成長される。記載されている実施形態では、SiC基板414は、約10
18cm
-3の比較的高い濃度の、窒素(N)のようなドーパントを有する。比較すると、n型SiCエピ層412は、10
14cm
-3~10
16cm
-3の比較的低いドーパント濃度を有する。n型エピ層412の厚さは、5~15μmの範囲内にあってもよい。
【0045】
図5は、n型SiCエピ層412内のエッジ終端エリア416の形成を示す。エッジ終端エリア416は、例えば、n型エピ層412中のp型ドーパントのイオン注入またはプラズマ浸漬イオン注入(PIII:plasma immersion ion implantation)によって形成される。所望であれば、例えば予備非晶質化を使用して、ドーパントの深い注入を達成することができる。ドーパント注入後、活性化のための高温アニーリングステップが行われる。例えば、活性化は、1600℃のアクセスにおける温度で行われてもよい。記載されている実施形態では、アニーリングの前に、n型エピ層412の表面が、例えば、
図5には示されていない、グラファイトキャップによって、またはダイヤモンド状炭素(DLC:diamond-like carbon)の層によって保護される。高温アニーリングの後、グラファイトキャップは、例えばO
2アッシングによって除去される。
【0046】
図6は、SiC構造410の両方の主面上の異なるコンタクトの形成を示す。SiC基板414上に、電子ビーム(eビーム:electron beam)または熱蒸着堆積により金属層422が堆積する。例えば、厚さが約100nmのニッケル層が、SiC構造410の裏面上に堆積されてもよい。SiC構造410の反対側、すなわちSiCエピ層412の表面上に、中間層434およびさらなる金属層436を含む層スタック432が形成される。例えば、10~100nmの炭素の中間層434を最初に堆積させてから、その上に50~100nmのニッケルの層を堆積させてもよい。
図6に示すように、エッジ終端エリア416は、層434および436の水平延在範囲をエピ層412の中央領域に制限することができる。
【0047】
次いで、金属層422および436の両方を、急速熱処理(RTP:rapid thermal processing)を使用してアニーリングする。例えば、すべての堆積層を有するSiC構造410が、800℃以上の温度で1~10分またはそれ以上にわたって処理されてもよい。結果として、基板414の裏面上にオーミックコンタクト420が形成される。反対に、n型SiCエピ層412上に、ショットキーバリアダイオード400のショットキーコンタクト430が形成または改善される。
【0048】
図7は、縦型パワーMOSFETを形成するためのSiC構造510を示す。SiC構造510は、
図4に関して上述したものと同様のSiC基板514およびn型SiCエピ層512を含む。
【0049】
図8は、MOSFETのソースエリア540内に高濃度ドープウェルを形成した後のSiC構造510を示す。特に、n型SiCエピ層512内に、2つのp+ウェル542が形成されている。p+ウェル542は、10
16cm
-3のアクセスにおけるドーピング濃度を有してもよい。各p+ウェル542内には、例えばイオン注入またはプラズマ浸漬イオン注入により、n+ウェル544が形成される。n+ウェル544はまた、例えば10
16cm
-3のアクセスにおいて、比較的高いドーパント濃度を有する。記載されている実施形態では、次いで、SiC構造510の表面が、例えばグラファイトキャップまたはDLC層によって保護され、その後、ウェル542および544によって形成されているソース構造540が高温で活性化される。活性化後、グラファイトキャップはプラズマエッチングによって除去される。
【0050】
図9は、ゲート構造550の形成を示す。特に、金属ゲート電極552が誘電体材料の層間に形成されて、ゲート電極552をすべての面で取り囲む層間誘電体554が形成されてもよい。
【0051】
図10は、SiC構造510上へのオーミックコンタクト520およびショットキーコンタクト530の形成を示す。
図6に関して上述したように、オーミックコンタクト520は、基板514の裏面上に金属層522を形成するために、ニッケル(Ni)などの適切なオーミックコンタクト金属材料を堆積することによって形成されてもよい。ショットキーバリアコンタクト530は、炭素族中間層534上にニッケル(Ni)、金(Au)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、または白金(Pt)などの適切なショットキー金属層536を含む層スタック532によって形成されてもよい。ショットキーバリアコンタクト430が2つのエッジ終端エリア416の間のSiC構造410の中央領域内に形成される
図6に示す状況とは対照的に、
図10に示す実施形態では、ソースエリア540の外側のp+ウェル542に隣接して2つのショットキーコンタクト530が形成される。ショットキーコンタクト530およびオーミックコンタクト520は、600℃を超える温度で単一の処理ステップにおいてともにアニーリングされる。オーミックコンタクト520は、完成した縦型パワーMOSFET500のドレイン端子560を形成する。
【0052】
図10に示すパワーMOSFET500は、多くの用途で使用することができる集積ショットキーコンタクト530を有する。これは、還流ダイオードとしての役割を果たすために追加のデバイスが必要とされないという利点を有する。比較的大きいバンドギャップに起因して、ボディダイオードのターンオン電圧は2.5Vを超える。ショットキーダイオードをMOSFET500に集積することは、ターンオン電圧を1V未満に低減するための1つの選択肢である。従来の製造方法とは対照的に、オーミックコンタクト520の形成のためのサーマルバジェットはショットキーコンタクト530の形成のためのサーマルバジェットに類似しているため、ショットキーコンタクト530のパワーMOSFET500への集積は単純化される。同じステップにおいて、同じ温度でオーミックコンタクト520およびショットキーコンタクト530を形成することにより、集積の労力が大幅に低減される。
【0053】
それはまた他に、
図8に示すコンタクト形成後に高温ステップ、例えばさらなるオーミックコンタクトの形成、ポリシリコンの活性化、酸化物ハードバックなどを実施することを可能にする。
【0054】
上述の
図1~
図10に示す実施形態は、改善されたパワー半導体デバイスおよびその製造のためのステップの例示的な実施形態を表す。したがって、それらは、改善されたパワー半導体デバイスおよび製造方法によるすべての実施形態の完全なリストを構成するものではない。実際のデバイスおよび製造方法は、例えば、材料、処理パラメータおよび処理ステップに関して、示された実施形態とは異なり得る。
【符号の説明】
【0055】
参照符号
100 パワー半導体デバイス
110 SiC構造
112 SiC層
114 第1の主面
116 第2の主面
120 オーミックコンタクト
122 第1の金属層
130 ショットキーバリアコンタクト
132 層スタック
134 中間層
136 第2の金属層
400 ショットキーバリアダイオード
410 SiC構造
412 SiCエピ層
414 SiC基板
416 エッジ終端エリア
420 オーミックコンタクト
422 第1の金属層
430 ショットキーバリアコンタクト
432 層スタック
434 中間層
436 第2の金属層
500 パワーMOSFET
510 SiC構造
512 SiCエピ層
514 SiC基板
520 オーミックコンタクト
522 第1の金属層
530 ショットキーコンタクト
532 層スタック
534 中間層
536 第2の金属層
540 ソースエリア
542 p+ウェル
544 n+ウェル
550 ゲート構造
552 ゲート電極
554 層間誘電体
560 ドレイン端子
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体デバイス(100)であって、
炭化ケイ素半導体(SiC:silicon carbide)エピ層(412,512)を備え、前記SiCエピ層(412,512)によって形成されている第1の主面(114)および反対側の第2の主面(116)を有するSiC構造(110,410,510)と、
前記SiC構造(110,410,510)の前記第1の主面(114)上に形成されている少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)と、
前記SiC構造(110,410,510)の前記第2の主面(116)上に形成されている少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)であって、前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)は、金属層(136,436,536)および炭素族中間層(134,434,534)を備え、前記炭素族中間層(134,434,534)は、前記金属層(136,436,536)と前記SiC構造(110,410,510)の前記第2の主面(116)との間に配置構成されており、10~100nmの範囲内の厚さを有し、前記
SiCエピ層(412,512)の直上に堆積された炭素、ゲルマニウム、または鉛のうちの1つを含み、前記金属層(136,436,536)は、前記炭素族中間層(134,434,534)の直上に堆積される、少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)と
を備える、パワー半導体デバイス(100)。
【請求項2】
前記SiC構造(410,510)は、SiC基板(414,514)をさらに備え、前記少なくとも1つのオーミックコンタクト(420,520)は、前記SiC基板(414,514)の表面上に形成される、請求項1に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項3】
前記SiCエピ層(412,512)は、10
14
cm
-3
~10
16
cm
-3
の第1のドーパント濃度を有し、前記SiC基板(414,514)は、約10
18
cm
-3
の第2のドーパント濃度を有する、請求項2に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項4】
前記SiCエピ層(112,412,512)は、10
17cm
-3未
満のドーパント濃度を有する半導電性SiC
層である、請求項1または2に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項5】
前記SiCエピ層(412)内の少なくとも1つのエッジ終端エリア(416)をさらに備え、前記少なくとも1つのエッジ終端エリア(416)は、前記炭素族中間層(434)および前記金属層(436)の水平延在範囲を前記エピ層(412)の中央領域に限定する、請求項1~
3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)の前記金属層(136,436,536)
は、ニッケル、金、モリブデン、チタン、もしくは白金のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)は、
ニッケル層、
チタンアルミニウムTi/Al合金層、または
チタンアルミニウムニッケルTi/Al/Ni合金層
のうちの1つを含む、請求項1~
3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)。
【請求項8】
ショットキーバリアダイオード(400)であって、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)と、
少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(430)に接続されているアノード端子と、
少なくとも1つのオーミックコンタクト(420)に接続されているカソード端子と
を備える、ショットキーバリアダイオード(400)。
【請求項9】
縦型電界効果トランジス
タであって、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のパワー半導体デバイス(100)と、
少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(530)に接続されているソース端子と、
少なくとも1つのオーミックコンタクト(520)に接続されているドレイン端子(560)と、
SiC構造(510)の第2の主面(116)上に配置構成されている絶縁ゲート電極(552)に接続されているゲート端子と
を備える、縦型電界効果トランジス
タ。
【請求項10】
前記SiCエピ層(512)内に配置構成されている少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)をさらに備え、前記絶縁ゲート電極(552)は、前記少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)の間のエリア内に配置構成されており、前記少なくとも2つの高濃度ドープウェル(542,544)に隣接して2つのショットキーバリアコンタクト(530)が形成される、請求項9に記載の縦型電界効果トランジスタ。
【請求項11】
パワー半導体デバイスを製造するための方法であって、
炭化ケイ素(SiC:silicon carbide)構造(110,410,510)のSiC層(112,412,512)を形成すること(S1
)と、
前記SiC層(112,412,512)上に炭素族中間層(134,434,534)を堆積させること(S2)であって、前記炭素族中間層(134,434,534)は、
10~100nmの範囲の厚さを有し、炭素、ゲルマニウム、または鉛のうちの1つを含む、炭素族中間層(134,434,534)を堆積させること(S2)と、
前記SiC構造(110,410,510)の裏面上に第1の金属層(122,422,522)を堆積させること(S3)と、
前記炭素族中間層(134)上にショットキーコンタクト(130,430,530)の第2の金属層(136,436,536)を堆積させること(S4)と、
前記第1の金属層(122,422,522)および前記第2の金属層(136,436,536)を堆積させた後、少なくとも1つのオーミックコンタクト(120)を形成するためにアニーリング温度で少なくとも前記第1の金属層(122,422,522)をアニーリングすること(S5)と
を含む、方法。
【請求項12】
前記SiC構造(110,410,510)のSiC層(112,412,512)を形成するステップ(S1)は、基板(414,514)上にSiCエピ層(412,512)をエピタキシャル成長させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の金属層(122,422,522)が、摂氏600度以上のアニーリング温度
でアニーリングされる、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記アニーリングするステップにおいて、前記炭素族中間層(134,434,534)、前記第1の金属層(122,422,522)、および前記第2の金属層(136,436,536)がともにアニーリングされて、前記アニーリング後に、SiC構造(110,410,510)の前面上に前記少なくとも1つのショットキーバリアコンタクト(130,430,530)が形成され、前記SiC構造(110,410,510)の前記裏面上に前記少なくとも1つのオーミックコンタクト(120,420,520)が形成される、請求項11
~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記炭素族中間層(134,434,534)、前記第1の金属層(122,422,522)および/または前記第2の金属層(136,436,536)は、電子ビーム堆積または熱蒸着堆積の一方を使用して堆積される、請求項11~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記SiC層(512)上に炭素族中間層(534)を堆積させる前記ステップの前に、
前記SiC層(512)内に、第1の導電型の少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェ
ルを形成することと、
前記少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェル内に、第2の導電型の少なくとも1つの高濃度ドープされた第2のウェ
ルを形成することと
をさらに含み、
前記炭素族中間層(136)は、前記少なくとも1つの高濃度ドープされた第1のウェルに隣接して形成され、
前記SiC層(112)は、前記第2の導電型のSiC
層である、請求項11~
13のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】