(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】模擬組織構造体組成物及び外科用トレーニングのための使用方法
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G09B23/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519088
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 US2022044411
(87)【国際公開番号】W WO2023055647
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】レイガン オスカー
(72)【発明者】
【氏名】スマッズ ブラノン
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
(57)【要約】
模擬組織構造体及びその製造方法が提供される。本模擬組織構造体は、模擬外科トレーニングモデルと共に使用した場合に、操作及び移動に耐えるのに十分な長手方向強度を有しながら、従来の電気外科用器具により切断可能であるように作製される。模擬組織構造体は、外層により包含された第1及び第2の内層を有する。第1の内層の一部は、他の模擬臓器と接続可能であり、腹腔鏡処置をトレーニングする条件を模擬する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬組織構造体であって、
第1の内層と、
第2の内層と、
前記第1の内層及び前記第2の内層を取り囲む外層と、
を備え、
前記第1の内層及び前記第2の内層が、前記模擬組織構造体に長手方向の強度を与えるように構成されている、模擬組織構造体。
【請求項2】
前記第1の内層が、糸、より糸、スレッド、コード、ストリング、ストラップ、ストランド、繊維、又はケーブルのうちの1又は2以上を備える、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項3】
前記第2の内層が、メッシュ生地、チュール(登録商標)、ケブラー(登録商標)、ガラス繊維メッシュ、ネオプレンメッシュ、ネット、ウェビング、格子、又はスクリーンのうちの1又は2以上を備える、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項4】
前記外層が、非導電性シリコーンを含む、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項5】
前記第1の内層の一部が、前記外層を越えて延びて、他の模擬臓器と接続するように構成されている、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項6】
前記第1の内層が、前記第2の内層よりも大きい長さを有する、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項7】
前記第1の内層が、前記第2の内層よりも大きい厚さを有する、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項8】
前記外層が、導電性材料を含む、請求項1に記載の模擬組織構造体。
【請求項9】
模擬組織構造体を作製する方法であって、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部との間に延びるキャビティを有する鋳型を提供するステップと、
少なくとも1つのメッシュ生地を提供するステップと、
少なくとも1つの糸を提供するステップと、
前記少なくとも1つのメッシュ生地を、前記鋳型の前記キャビティに共形となるように配置するステップと、
前記鋳型にシリコーンを部分的に充填することにより、前記少なくとも1つのメッシュ生地を覆うステップと、
前記少なくとも1つの糸を前記シリコーン上に配置するステップと、
前記少なくとも1つの糸を覆って前記シリコーンを前記鋳型に充填するステップと、
前記鋳型内で前記シリコーンを硬化させて、少なくとも1つのメッシュ生地とその中に収容された少なくとも1つの糸とを有するシリコーン構造体を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの糸が、前記少なくとも1つのメッシュ生地の長さ及び厚さよりも大きい長さ及び厚さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのメッシュ生地が、その長さに沿って湾曲するように構成されることにより、湾曲断面を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの糸が、前記キャビティに対して中央に配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの糸の一部が、前記シリコーンによって覆われていない、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの糸の一部が、前記鋳型の近位端部及び/又は遠位端部を越えて延びる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳型の前記近位端部及び/又は前記遠位端部を越えて延びる少なくとも1つの糸の一部を、1又は2以上の模擬臓器鋳型の1又は2以上の開口に挿入することにより、前記シリコーン構造体を他の模擬臓器に接続するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記シリコーンと共に導電性材料を前記鋳型に追加するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性材料が、導電性ヒドロゲルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
交錯された平面スレッド材料と、シリコーンに埋め込まれた連続した長さの繊維とを含む細長い管体を備えた模擬組織構造体。
【請求項19】
シリコーンを含む模擬子宮を備え、前記連続した長さの繊維の少なくとも一部が、前記模擬子宮の前記シリコーンに接続されている、請求項18に記載の模擬組織構造体。
【請求項20】
前記交錯された平面スレッド材料が、前記連続した長さの繊維とは異なる長手方向の強度を有する、請求項18~19の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項21】
前記模擬組織構造体の前記シリコーンが、前記交錯した平面スレッド材料よりも脆弱な長手方向の強度を有する、請求項18~20の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項22】
前記連続した長さの繊維が、前記交錯した平面スレッド材料よりも大きい長さを有する、請求項18~21の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項23】
前記連続した長さの繊維が、前記交錯した平面スレッド材料よりも大きい厚さを有する、請求項18~22の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項24】
シリコーン、メッシュ生地及び糸を含む細長いモノリシック管状部材を備え、前記メッシュ生地及び糸が前記シリコーンに埋め込まれている、模擬組織構造体。
【請求項25】
シリコーンを含む模擬子宮を備え、前記糸の少なくとも一部が、前記模擬子宮のシリコーンに接続されている、請求項24に記載の模擬組織構造体。
【請求項26】
模擬組織構造体であって、
第1の層と、
第2の層と、
前記第1の層及び第2の層を取り囲み、前記第1の層及び前記第2の層とは異なる材料で作られた外層と、
を備え、前記第1の層及び前記第2の層が、互いに異なる材料で作られ且つ互いに対して異なる長手方向強度を有する、模擬組織構造体。
【請求項27】
模擬組織構造体であって、
第1の層と、
第2の層と、
前記第1の層及び前記第2の層を取り囲み、前記第1の層又は前記第2の層よりも脆弱な長手方向強度を有する外層と、
を備える、模擬組織構造体。
【請求項28】
前記第1の層が糸を備える、請求項1~8及び26~27の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項29】
前記第1の層が連続した長さの繊維を備える、請求項1~8及び26~27の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項30】
前記第2の層がメッシュ生地を備える、請求項1~8及び26~27の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【請求項31】
前記第2の層が、交錯した平面スレッド材料を備える、請求項1~8及び26~27の何れか1項に記載の模擬組織構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月29日に出願された「Simulated Tissue Structure Composition and Use for Surgical Training」と題する米国仮特許出願シリアル第63/249,692号の優先権及び利益を主張し、当該仮特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、外科トレーニングツールに関し、特に、限定ではないが、腹腔鏡手術、内視鏡手術及び低侵襲手術に関連する様々な外科技術及び処置を教育及び練習するための模擬組織構造体及びモデルに関する。
【背景技術】
【0003】
医学生だけでなく、新しい外科技術を学ぶ経験豊富な医師もまた、人間の患者に手術を行う資格を得る前に、広範なトレーニングを受けなければならない。このトレーニングでは、様々な種類の組織を切断、貫通、クランプ、把持、ステープル、焼灼及び縫合するための様々な医療デバイスを用いた適切な技術を教えなければならない。研修生が遭遇する可能性としての範囲は大きい。例えば、様々な臓器、患者の解剖学的構造及び疾患が提示される。様々な組織層の厚さ及び一貫性も、身体の部位や患者によって異なることになる。処置が異なれば、求められる技術も異なる。更に、患者の大きさ及び状態、隣接する解剖学的景観、標的組織の種類、容易にアクセスできるか比較的アクセスできないか等の要因に影響される様々な解剖学的環境において、研修生は手技を練習しなければならない。
【0004】
多数の教材、トレーナー、シミュレーター及びモデル臓器が、外科トレーニングの1又は2以上の態様に利用可能である。しかしながら、遭遇する可能性の高い、内視鏡及び腹腔鏡下、低侵襲性、経管的外科的処置の練習に使用できるモデル又は模擬組織要素が必要とされている。腹腔鏡手術では、トロカール又はカニューレを挿入して体腔にアクセスし、腹腔鏡のようなカメラを挿入するためのチャネルを形成する。カメラは、外科医が1又は2以上のモニタに表示される画像を取り込むライブビデオフィードを提供する。少なくとも1つの追加の小さな切開が形成され、そこから別のトロカール/カニューレを挿入して、モニタ上で観察される処置を行うための手術器具を通すことができる通路を作る。腹部のような標的組織の位置は、通常、二酸化炭素ガスを供給して体腔を気腹させ、外科医が使用するスコープ及び器具を収容するのに十分な大きさの作業空間を形成することによって拡大される。組織キャビティ内の気腹圧は、専用のトロカールを使用することで維持される。腹腔鏡手術には、開放処置と比較して多くの利点がある。これらの利点には、痛みの軽減、出血量の減少、及び切開創が小さいことによる回復時間の短縮が含まれる。
【0005】
腹腔鏡手術又は内視鏡下低侵襲手術は、標的組織を臨床医が直接観察しないので、開腹手術に比べてより高レベルの技能が要求される。標的組織は、小さな開口部を通じてアクセスされる手術部位の一部を表示するモニタ上で観察される。そのため臨床医は、組織平面の視覚的判断、二次元表示画面上での三次元的奥行き知覚、器具の手渡し移動、縫合、精密切断、組織及び器具の操作などを練習する必要がある。一般的に、特定の解剖学的構造又は処置を模擬するモデルは、模擬骨盤トレーナーに設置され、ここでは解剖学的モデルは、施術者による直接視覚化ができない。トレーナーのポートは、直接の視覚化から隠された解剖学的モデルに対する技術を練習するための器具を通すために使用される。模擬骨盤トレーナーは、把持、操作、切断、結び目結束、縫合、ステープリング、焼灼など、腹腔鏡手術で使用される基本的な技能及び典型的な処置を外科医及び研修医にトレーニングさせるだけでなく、これらの基本的な技能を利用した特定の外科的処置の実施方法をトレーニングさせる、機能的で安価で実用的な手段を提供する。模擬骨盤トレーナーは、これらの腹腔鏡下手術を行うために必要な医療デバイスを実現するための効果的な販売ツールでもある。
【0006】
その1つの手術が、子宮を摘出する子宮摘出術である。子宮摘出術は、腟管を通って子宮を経膣的に摘出すること、又は腹部の小切開を通じて腹部的に摘出して実施する。腟式子宮全摘術は、視野が制限されるので、これまでトレーニングが困難であった。腹腔鏡下手術とは異なり、手術をスクリーン上に投影するカメラがなく、開口処置とは異なり、複数人で見ることのできる広い切開もない。このため、膣式子宮摘出術を教える最良の方法は、模擬モデルを通じたものである。従って、子宮摘出処置をトレーニングするためのモデルが必要である。更に、模擬モデルはまた、例えば、腹部アプローチによる子宮の摘出を模擬するなど、追加の教育シナリオを提供するように構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第8,764,452号明細書
【発明の概要】
【0008】
様々な実施形態によれば、模擬組織構造体が本明細書に記載される。特に、模擬組織構造体を用いて、1又は2以上の異なるタイプの靭帯を模擬することができる。本明細書に記載の模擬組織構造体は、第1の内層、第2の内層、及び第1及び第2の内層の両方を取り囲む外層を有する。第1の層及び第2の層は、外科的模擬に使用される場合に模擬組織構造体に長手方向の強度を提供する。
【0009】
本発明の様々な実施形態によれば、模擬組織構造体を作製するための方法が本明細書に記載される。本方法は、近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部との間に延びるキャビティを有する鋳型を提供するステップを含む。本方法はまた、メッシュ生地及び糸を使用するステップを含む。メッシュ生地はまず、鋳型内に配置され、鋳型のキャビティの形状に共形にされる。メッシュ生地が配置された後、鋳型には、キャビティ内のメッシュ生地の少なくとも一部を覆うシリコーンが部分的に充填される。その後、糸がシリコーン上に配置される。次いで、鋳型には、糸を覆うシリコーンが更に充填される。次に、鋳型内のシリコーンを硬化させ得ることにより、メッシュ生地及び糸の両方を包み込み、外科的模擬に使用する際に長手方向強度を強化させたシリコーン構造体を形成する。
【0010】
様々な実施形態によれば、模擬組織構造体が本明細書に記載される。模擬組織構造体は、例えば、様々なタイプの靭帯を模擬するために使用することができる。模擬組織構造体は、第1の層、第2の層、及び第1及び第2の内層の両方を取り囲む外層を有する。第1の層、第2の層及び外層の各々は、互いに異なる材料から作られている。第1の層及び第2の層に使用される材料に基づいて、模擬組織構造体に異なる長手方向強度を提供することができる。
【0011】
様々な実施形態によれば、模擬組織構造体が本明細書に記載される。模擬組織構造体は、第1の層、第2の層、及び第1及び第2の内層の両方を取り囲む外層を有する。外層は、第1の層又は第2の層よりも脆弱な長手方向強度を有する。
【0012】
本発明は、その図全体を通して参照数字が同様の要素を示す添付図面を参照しながら、以下の説明を参照することによって理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの背面図である。
【
図2】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの上面図である。
【
図3】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの側面図である。
【
図4】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの一部の背面図である。
【
図5】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの背面図である。
【
図6】モデルの一部が除去されている、本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの背面図である。
【
図7】本発明の様々な実施形態による模擬外科トレーニングモデルの一部の側面図である。
【
図8】本発明の様々な実施形態による模擬組織構造体の側面図である。
【
図9】本発明の様々な実施形態による模擬組織構造体の断面図である。
【
図10】本発明の様々な実施形態による外科トレーニングデバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の様々な実施形態による、模擬外科トレーニングモデルが提供される。模擬外科トレーニングモデルは、交錯された平面スレッド材料、連続した長さの繊維又はフィラメント及び/又は硬化可能なシリコーンを備えた1又は2以上の人工又は模擬組織構造体を備える。模擬組織構造体は、人工又は模擬臓器、骨、組織層及び/又はこれらの何れかの組み合わせに接続可能である。模擬組織構造体は、模擬外科トレーニング処置内での操作及び移動に耐えるのに十分なコラム又は長手方向強度を有すると同時に、従来の外科用ハサミ、外科用メス等により切断可能である。模擬組織構造体は、縫合可能であり、すなわち、縫合及び/又は模擬組織構造体をそれ自体に及び/又は別の模擬臓器又は組織に縫合する際に伴うプロセス又は操作に耐えて保持することができる。
【0015】
図1~
図9を参照すると、1又は2以上の模擬組織構造体を有する模擬外科トレーニングモデル100が提供される。様々な実施形態において、模擬手術モデル100は、模擬骨盤フレーム12を備える。フレーム12は、側壁123、124によって互いに接続され、集合的にキャビティ125を定めるトップカバー121及びベース122を備える。フレーム12は、遠位端部よりも小さい近位端部を有してテーパ状にされている。フレーム12には、模擬臓器、模擬組織層、及び靭帯、血管及び同様のものを含む結合組織及び/又は血管系等の模擬組織構造体が接続されている。図示の実施形態に示すように、模擬膀胱14、模擬子宮20及び模擬結腸22は、これらは全て、フレーム12のキャビティ125内に配置されている。模擬膀胱14は中空で空気が充填された構成要素であり、シリコーン又は他の何れかの種類のエラストマー材料で作ることができる。模擬ブラダー14は、フレーム12のトップカバー121に接続され、模擬結腸22は、フレーム12のベース122に接続される。様々な実施形態において、模擬膀胱14は、ピンク色のシリコーンで作られた外膜を有する閉鎖レセプタクルである。模擬膀胱14の内部は、その形状を維持するために、空気、ポリフィルム又は他の材料で充填することができる。幾つかの実施形態では、模擬膀胱14はまた、液体で充填することができる。
【0016】
模擬子宮20は、模擬膀胱14及び模擬結腸22の間に配置され、模擬子宮20がフレーム12内に懸下されている。様々な実施形態において、模擬子宮20は、中空の模擬子宮キャビティ(図示せず)を定める球根状部分を有する。球根状部分は、膣管を定める管状部分に接続されている。模擬子宮20はまた、シリコーンで充填されて作られた楕円形構造体である模擬卵巣に接続された模擬卵管を含むことができる。様々な実施形態において、模擬子宮20は、シリコーン及び/又は発泡体で作られる。模擬子宮20は、模擬血管系16を介してフレーム12に接続及び懸下されている。模擬血管系16は、中実又は中空の管状シリコーン、もしくは他の適切なエラストマーで作られる。模擬血管系16の中空管体の内部には、液体を含めることができる。模擬血管系16に近接して、模擬子宮20に接続されて模擬子宮20から延びる模擬卵管18がある。模擬卵管18は、管状/円筒形状を有し、シリコーン又は他のエラストマー材料で作ることができ、又はシリコーンと組み合わされた発泡体のような材料を含むことができる。模擬子宮20と模擬結腸22の間には、模擬腹膜層24が配置されている。模擬腹膜層24は、模擬結腸22を覆う。模擬結腸22の下方には、フレーム12のベース122に接続された模擬骨盤底26が配置されている。模擬結腸22は、管状構造体であり、貫通して長さ方向に延びる管腔を有する。種々の実施形態において、模擬結腸/直腸22は、成形された横ひだを有するシリコーン製の管状構造体であり、種々の実施形態において、模擬腹膜層24及び/又は模擬骨盤底26は、シリコーン材料の平坦な平面層を備える。模擬結腸22は、シリコーン又は他のエラストマー材料で作ることができ、ピンク色又は他の適切な色とすることができる。
【0017】
近位端部で模擬子宮20に接続されているのは、少なくとも1つの模擬組織構造体であり、図示の実施形態では、模擬子宮仙骨靭帯32又は34を備える。模擬子宮仙骨靭帯32又は34は、交錯された平面スレッド材料及びシリコーンに埋め込まれた連続長の繊維又はフィラメントを備える。種々の実施形態において、模擬子宮仙骨靭帯32又は34は、メッシュ生地及び糸がそこに埋め込まれたシリコーンの細長いモノリシック構造体を備える。様々な実施形態において、模擬子宮仙骨靭帯32又は34は、第1の内層131と第2の内層132とを近接して備え、その両方が外層133内に取り囲まれているか又は収容されている。第1の内層131及び第2の内層132は、異なる材料で作られ、互いに対して異なる長手方向及び/又は横断方向の強度を有する。種々の実施形態において、第1の内層131は、第2の内層132よりも大きい長さ及び/又は第2の内層132よりも大きい厚さを有する。外側層133は、第1の内側層131よりも短い長さ、及び/又は第1の内側層131及び/又は第2の内側層132よりも脆弱な長手方向及び/又は横断方向の強度を有する。
【0018】
様々な実施形態による、模擬子宮頸部21が模擬子宮20に接続され、模擬子宮仙骨靭帯32、34が模擬子宮頸部21に接続される。模擬子宮頸部21は、模擬子宮20によって定められたキャビティ内に延びる開口部を含む。模擬膣管(図示せず)は、模擬子宮20及び模擬子宮頸部21を、フレーム12の近位端部を取り囲んで取り付けられた模擬膣開口部28に接続している。模擬膣管(図示せず)は、近位端部及び遠位端部を有する管状構造体である。模擬膣管はシリコーン製であり、様々な実施形態において、模擬子宮仙骨靭帯の接続及び/又は懸下効果を補助する埋め込みメッシュ層を任意選択的に含むことができる。模擬膣管は、一方の端部で模擬子宮20に接続され、模擬膣管の反対側の端部に位置する模擬膣開口部28を有する。模擬子宮頸部21は、シリコーンで作られ且つ近位端部に開口を有する管状構造体である。様々な実施形態において、模擬子宮頸管21は、補強のためのメッシュ材料を有する。模擬子宮仙靭帯32又は34の端部、すなわち模擬子宮頸部21に接続されていない端部は、例えば接着剤を介して模擬骨盤底部26に接続されている。模擬骨盤底26は、例えば接着剤を介してフレーム12のベース122に接続される。様々な実施形態において、模擬膣管(図示せず)は、シリコーンで作られた管状構造体である。
【0019】
種々の実施形態において、フレーム12は、骨盤を模擬するように構成され、複数の模擬臓器及び組織構造体を収容するための箱状の包装体として機能する。フレーム12は、ファスナー及び/又は接着剤で互いに接続された部分を有する、複数の半硬質プラスチック要素を備える。長手方向軸に垂直に見た断面における中央内腔又はキャビティ125の区域は、近位端部から遠位端部に向かうにつれて漸増する。フレーム12は、ベース122を有し、平坦な表面に載置して直立させることができる。フレーム12は、アパーチャを含むことができ、ファスナーの通過及び/又は模擬血管16のような組織構造体の接続のため、これらをアパーチャに通してループ状にし、フレーム12に懸下させる。模擬外科トレーニングモデルの他の部分と同様に、フレーム12は、骨盤を表わす部分を含み、これは、解剖学的に矯正されていないが、解剖学的に矯正された骨盤のリアリズムと引き換えに腹腔鏡処置を模擬するのに必要な利点を提供する。近位端部における臓器の物理的収縮は、そこに配置された臓器が収縮が少なく自由に揺動し且つ外科器具による操作により流体的に反応する遠位端部と比較して、外科器具による操作時に臓器のより堅固名反応を生じさせる。模擬外科トレーニングモデルの他の部分又はモデル一般と同様に、様々な実施形態によるフレーム12は、中央管腔の長手方向軸線の長さに沿って臓器の可変抵抗を組み合わせた骨盤の意図された単純化である。フレーム12の近位端部における中央管腔への小さな開口部は、臓器がフレーム12内に配置されたときに膣管への開口部が配置されるであろう場所である。フレーム12の遠位端部は、模擬子宮20の位置を配置できる場所である。他の模擬組織構造体又はその一部はまた、卵巣靭帯、卵巣血管、尿管、腹膜、結腸、及び卵管等のフレーム12の遠位端部に、又はその近傍に含めることができる。様々な実施形態において、卵巣靭帯、卵巣血管、尿管、及び卵管は、円形断面を有する管状構造体であり、シリコーン-シリコーン接続を介して他のシリコーンベースの構造体との接続を容易にするシリコーンで作られる。更に、卵巣靭帯、卵巣血管、尿管及び卵管は、部分的又は全体的に中空又は中実とすることができる。フレーム12の中央内腔は、遠位端部に向かって外向きに延伸、拡張、及び角度付きにされる。箱状フレームのこのテーパは、そこに位置する臓器を弛緩させて広げ、狭い近位端部は、臓器を収縮させ、臓器をより緊密に支持する結果として臓器の可動範囲を相対的に制限する。
【0020】
様々な実施形態において、模擬骨盤底26は、シリコーン対シリコーンの容易な取り付けのための場所として機能し、シリコーン対プラスチックの取り付けは、達成するのがより困難である。シリコーンは、シリコーンに容易に接着し、フレーム12からのシリコーン臓器構造体の取り外しが、模擬骨盤底26によって簡素化される。模擬骨盤底26は、人体解剖学的に矯正された構成要素ではない。従って、このモデルは人体解剖学の正確な再現ではない。それにもかかわらず、このモデルの外観は、腹腔鏡処置を採用する処置トレーニングの間、ユーザのために解剖学的完全性を維持する。模擬骨盤底26は、ユーザのためのバックグラウンドを作り出す。このバックグラウンドは、模擬骨盤底26のバックグラウンド上に配置された又はバックグラウンドに取り付けられた模擬臓器のようなユーザにとって重要なリアリズムを損なわない。
【0021】
様々な実施形態において、模擬組織構造体は、支持構造体への接着を介してフレーム12に接続される。様々な実施形態におけるフレーム12の開口部は、機械的リンクとして組織シート及び/又はシリコーンを利用して、模擬組織構造体とフレーム12との間に機械的接続を形成するために使用される。このような接続に関与する組織シート又はシリコーンの一部は、解剖学的構造矯正でない場合があり、構造的及び/又は美的目的のためにのみ使用される場合がある。様々な実施形態において、ベース及び/又は骨盤底部に反対側に配置されたフレーム12のトップカバー又はルーフは、フレームの側壁に隣接するルーフの両側又は屈曲部又はその近傍に開口部又は穴を含まず、それにより、例えば、輸送中の潜在的な破損又は切断を減少させるために、その間の接続部及びルーフの耐久性及び/又は堅牢性を高める。
【0022】
図10を参照すると、様々な実施形態による腹腔鏡外科トレーニングデバイス200が示されている。腹腔鏡手術トレーニングデバイス200は、模擬組織又は生きた組織又はモデル臓器又は本発明で説明されるようなトレーニングモデルを受け入れるために、ユーザからは実質的に隠された内部キャビティ208を提供する。体腔208は、体腔208内に位置することが判明した組織又は練習モデルに対して外科技術を練習するデバイスを利用するユーザによって貫通される組織模擬領域210を介してアクセスされる。体腔208は、組織模擬領域210を介してアクセス可能であるように示されているが、手補助アクセスデバイス、トロカール、又は単一部位ポートデバイスが、体腔208にアクセスするために代替的に利用することができる。例示的な腹腔鏡手術トレーニングデバイスは、2011年9月29日に出願された「Portable Laparoscopic Trainer」と題する米国特許第8,764,452号に記載されており、引用により全体が本明細書に組み込まれる。腹腔鏡手術トレーニングデバイス200は、腹腔鏡手術又は他の低侵襲性外科手術の練習に特に適している。
【0023】
腹腔鏡手術トレーニングデバイス200は、複数の脚部206によってベース204に接続されてベース204から間隔をあけて配置されたトップカバー202を含む。腹腔鏡手術トレーニングデバイス200は、腹部領域などの患者の胴体を模倣するように構成されている。トップカバー202は患者の前面を表し、トップカバー202とベース204との間の空間は、患者の内部又は臓器が存在する体腔を表す。腹腔鏡手術トレーニングデバイス200は、外科的処置を受ける患者の模擬において、様々な外科的処置及びその関連デバイスを指導、練習、及び実現するための有用なツールである。手術器具は、組織模擬領域210だけでなく、トップカバー202に予め設けられた開口部212を通してキャビティ内に挿入される。トップカバー202を貫通して、トップカバー202とベース204との間に配置された模擬臓器又は模擬練習用モデルに対して模擬処置を行うために、様々な器具及び技術が使用できる。ベース204は、模擬組織モデル又は生体組織をステージング又は保持するためのモデル受容領域214又はトレイ(図示せず)を含む。模擬組織モデルの保持を助けるために、組織モデルは、モデル受容領域214においてベース204に取り付けられた面ファスナータイプの締結材料のパッチを含むことができ組織又は臓器モデルに取り付けられた面ファスナータイプの相補的要素と取り外し可能に接続可能であるようになる。ビデオ表示モニタ216が、トップカバー202(
図10では閉じた向きで示されている)にヒンジ固定されている。ビデオモニタ216は、モニタに画像を配信するための様々な視覚システムに接続可能である。例えば、予め確立されたアパーチャ212の1つを通して挿入された腹腔鏡、又はキャビティ内に配置され模擬処置を観察するために使用されるウェブカメラは、ビデオモニタ216及び/又はモバイルコンピューティングデバイスに接続して、ユーザに画像を提供することができる。
【0024】
組み立てられると、トップカバー202は、脚部206が実質的に周辺部付近に配置され、トップカバー202とベース204との間に相互接続された状態で、ベース204の真上に配置される。トップカバー及びベースは実質的に同じ形状及び大きさであり、実質的に同じ周囲外形を有する。内部キャビティは、部分的又は全体的に隠されている。図示の実施形態では、脚部は、周囲光が内部キャビティを照らすようにするため及び/又は携帯に便利な軽量化を提供するための開口部を含む。トップカバーは脚部から取り外し可能であり、脚部はベース部に対してヒンジ等を介して取り外し可能又は折り畳み可能である。外科用トレーナー200は、ユーザから隠された模擬体腔208を提供する。内部キャビティ又は体腔208は、ユーザが腹腔鏡又は内視鏡低侵襲手術技術を練習するためにモデルにアクセスすることができる少なくとも1つの模擬外科トレーニングモデルを受容するように構成される。
【0025】
使用時には、種々の実施形態において、例えば、模擬外科トレーニングモデル100は、腹腔鏡トレーニング器200内に配置される。様々な実施形態において、挿入されたモデルは、膣開口を介してアクセス可能であり、及び様々な実施形態において、経膣子宮摘出術を含む経膣手術を模擬するように構成される。様々な実施形態において、膣開口部のアパーチャは円形である。他の様々な実施形態において、アパーチャは、細長い楕円形の長円様の形状であり、膣開口部の長手方向に対して垂直又は直行して配向されている。
【0026】
様々な実施形態において、模擬手術モデルのユーザは、経膣子宮摘出術を行うために、膣開口部を通じて手術器具及びリトラクタを用いて模擬子宮20に近接することができる。或いは、トレーナー200のトップカバー202の模擬腹壁を通して模擬子宮20に接近することもできる。ユーザは、腹腔鏡手術の技術を練習し、トロカール及びスコープを用いて解剖学的構造体を検査し、模擬手術による子宮摘出術を行うことができる。様々な実施形態において、この処置は、子宮を取り外して子宮を摘出するために重要な切開を行うことを含む。様々な実施形態において、模擬子宮頸部21の周りの模擬膣管内を切開して、模擬子宮の可動化を開始することができる。十分な長手方向及び横方向の強度を有する模擬子宮仙骨靭帯32又は34は、操作して模擬子宮頸部21の両側から切り出し、縫合してフレーム12の外側に保持し、後で模擬膣管に縫合して模擬膣管の崩壊を防止することができる。模擬子宮20は、更に他の模擬組織から離脱させ、模擬膣管を通して外部に取り出すことができる。十分な長手方向及び横断方向の強度を有する模擬子宮仙骨靭帯32又は34を再び操作し、模擬膣管に縫合することができる。
【0027】
種々の実施形態による、結合組織及び/又は血管系等の模擬組織構造体、例えば靭帯、血管等、及び例えば模擬子宮仙骨靭帯32、34を作成する方法が提供される。本方法は、近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部との間に延びるキャビティを有する鋳型を提供するステップを含む。本方法は、少なくとも1つのメッシュ生地及び少なくとも1つの糸を提供するステップを含む。様々な実施形態において、メッシュ生地は、所定の幅及び長さを有し、糸は、メッシュ生地よりも大きい長さ及び厚さを有する。本方法は、鋳型のキャビティに沿ってメッシュ生地を配置及び/又は共形にせるステップを含む。様々な実施形態におけるメッシュ生地は、その長さに沿って湾曲又は弓形に配置され、従って湾曲断面を有する。本方法は更に、キャビティ内に挿入されたメッシュ生地を有する鋳型内にシリコーンを充填又は注入するステップを含む。シリコーンは、鋳型のキャビティ全体を満たさないようにしながら、メッシュ生地を覆うように充填される。本方法は更に、シリコーン上に糸を配置し、キャビティに対して糸を中心配置し、糸の上及び周囲に更にシリコーンを追加又は注入するステップを含む。シリコーンは硬化され、又は硬化ができるようにする。様々な実施形態において、糸及びメッシュ生地は、これによりシリコーン内に収容され、埋め込まれ、又は封入される。このように、種々の実施形態によれば、強化された長手方向及び横断方向の強度を提供する、靭帯、血管等を含む結合組織及び/又は血管系等の模擬組織構造体を作製することができる。種々の実施形態において、糸の近位部又は遠位部は、シリコーンで覆われないか又は収容されず、及び/又は種々の実施形態において、糸の近位部/遠位部は、鋳型の近位端部/遠位端部を越えて延びる。種々の実施形態において、シリコーンに加えて又はシリコーンの代わりに、導電性材料、例えば導電性ヒドロゲルを使用できる。
【0028】
種々の実施形態による、模擬組織構造体の露出した糸、例えばシリコーンによって覆われていない糸は、模擬臓器型、例えば子宮頸部型に挿入される。種々の実施形態によれば、1又は2以上の模擬組織構造体が、模擬臓器型内の1又は2以上の開口部又はチャネルに挿入される。模擬臓器型は、シリコーンで充填され、1又は2以上の模擬組織構造体の挿入部分を覆い密封する。シリコーンが硬化され、又は硬化できるようにされることにより、模擬臓器又はその一部、例えば模擬子宮頸部を1又は2以上の模擬組織構造体、例えば模擬子宮仙骨靭帯に接続する。様々な実施形態において、別の模擬臓器又はその一部が提供され、1又は2以上の模擬臓器及び/又は組織構造体に接続される。例えば、予め形成された子宮が、1又は2以上の模擬組織構造体の挿入部分及びシリコーンと共に子宮頸部型に挿入される。シリコーンを硬化させ又は硬化できるようにすることにより、模擬臓器又はその一部を1又は2以上の模擬組織構造体に接続する。例えば、模擬子宮、模擬子宮頸部及び模擬子宮仙骨靭帯が接続される。
【0029】
種々の実施形態において、模擬子宮仙骨靭帯32又は34のような模擬組織構造体が提供され、交錯された平面スレッド材料及びシリコーンに埋め込まれた連続した長さの繊維又はフィラメントを備える。種々の実施形態において、模擬子宮仙骨靭帯32又は34のような模擬組織構造体が提供され、第1の内側材料又は層131、第2の内側材料又は層132、及び外側層133又は材料を備える。種々の実施形態において、第1の内側の材料又は層131、第2の内側の材料又は層132及び外側の材料又は層133は、異なるか又は同じ材料ではない。様々な実施形態において、第1の内側材料又は層131は、糸、より糸、紐、ストランド、繊維、ケーブル及び/又はこれらの何れかの組み合わせを備える。様々な実施形態において、第2の内側の材料又は層132は、メッシュ生地、チュール(Tulle)(登録商標)、ケブラー(Kevlar)(登録商標)、ガラス繊維メッシュ、ネオプレンメッシュ、ネット、ウェビング、格子、スクリーン、及び/又はこれらの何れかの組み合わせを含む。種々の実施形態において、外側材料又は層133は、非導電性シリコーン、導電性ヒドロゲル、又は他の導電性材料、及び/又はこれらの何れかの組み合わせを含む。
【0030】
様々な実施形態において、メッシュ生地及び糸は、様々な模擬外科的処置において使用される靭帯、血管系、及び/又は他の解剖学的又は外科的モデルの耐久性又は強化された材料強度を提供するために、シリコーンに埋め込まれる。種々の実施形態による、人工組織構造体又は模擬組織構造体は、模擬組織構造体の長手方向強度を高めるために、模擬組織構造体を通って延びる又は模擬組織構造体に埋め込まれる1又は2以上の糸の一部を備える。種々の実施形態による、模擬組織構造体は、模擬組織構造体の長手方向強度及び横方向強度を高めるために、模擬組織構造体を通って延びる又は模擬組織構造体に埋め込まれた1又は2以上のメッシュの部分を備える。
【0031】
模擬臓器及び/又は血管系の様々な実施形態による様々な部分は、ヒドロゲル、単一ポリマーヒドロゲル、マルチポリマーヒドロゲル、ゴム、ラテックス、ニトリル、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、大豆、熱可塑性エラストマー、KRATONポリマー、シリコーン、発泡体、シリコーン系発泡体、ウレタン系発泡体及びエチレン酢酸ビニル発泡体等の非有機ベースポリマーを含むがこれらに限定されない1又は2以上の有機ベースポリマーで作ることができる。何れかのベースポリマーに1又は2以上の充填剤を使用することができ、例えば、布、織布又は不織布繊維、ポリエステル、ナイロン、綿及び絹、グラファイト、白金、銀、金、銅、雑多な添加剤、ゲル、油、コーンスターチ、ガラス、ドロマイト、炭酸塩鉱物、アルコール、デッドナー、シリコーン油、顔料、発泡体、ポロキサマー、コラーゲン、ゼラチン等が挙げられる。採用される接着剤としては、シアノアクリレート、シリコーン、エポキシ、スプレー接着剤、ゴム接着剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
種々の実施形態による、模擬外科トレーニングモデルは、解剖学的に矯正されていないにもかかわらず、例えば解剖学的正確さと引き換えに、外科的、例えば腹腔鏡下手術を模擬する際に必要又は有用な構造を提供する模擬組織構造体、層及び/又は臓器等の部分を含む。同様に、様々な実施形態による、模擬外科トレーニングモデルは、意図的な簡素化、例えば、典型的に患者に見られる組織、臓器又はそのようなものを含まないことを提供し、外科的処置の模擬、トレーニング及び評価を支援するために、反復可能で、一貫性があり、実用的な外科トレーニングモデルを強調及び/又は提供する。
【0033】
上記の説明は、当業者であれば本発明を実施及び利用して、本明細書に記載された方法を実施することを可能にするように提供され、本発明を実施するために本発明者らによって企図された最良の形態を記載している。しかしながら、様々な修正形態があることは、当業者には依然として明らかであろう。これらの修正形態は、本開示の範囲内であることが企図される。異なる実施形態又はかかる実施形態の態様は、様々な図に示され、本明細書を通して記載することができる。しかしながら、各実施形態及びその態様は、個別に図示され又は記載されているが、明示的に別段の記載がない限り、他の実施形態及びその態様の1又は2以上と組み合わせることができる点に留意すべきである。各組み合わせが明示的に規定されていないのは、単に本明細書を読みやすくするためである。
【0034】
本発明についてある特定の態様において説明してきたが、多くの追加の修正形態及び変形形態が当業者には明らかであろう。従って、本発明は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、サイズ、形状及び材料の様々な変更を含めて、具体的に記載された以外の方法で実施できることを理解されたい。すなわち、本発明の実施形態は、あらゆる点で例証であって限定ではないと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0035】
28 模擬膣開口部
100 模擬外科トレーニングモデル
124 側壁
【国際調査報告】