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特表2024-533768酸化染料とアルカリ化剤とを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】酸化染料とアルカリ化剤とを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20240905BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/10
A61K8/25
A61K8/24
A61K8/73
A61K8/88
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/36
A61K8/891
A61K8/19
A61K8/22
A61K8/92
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519131
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2022036368
(87)【国際公開番号】W WO2023054557
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】21200135.8
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】比留間 大祐
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AB012
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB361
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB411
4C083AB412
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC071
4C083AC231
4C083AC351
4C083AC472
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC852
4C083AC862
4C083AD071
4C083AD151
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB60
4C083CC36
4C083DD05
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の酸化染色用組成物Aであって、a)1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩と、b)ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の金属塩の1種または複数から選択される1以上のアルカリ化剤とを含み、水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%以下である、組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の酸化染色用組成物Aであって、
a)1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩と、
b)ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の金属塩の1以上から選択される1以上以上のアルカリ化剤と
を含み、水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%以下である、組成物。
【請求項2】
組成物A中の水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらにより好ましくは組成物Aが無水組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)群の1以上の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.01~65質量%、好ましくは0.03~50質量%、より好ましくは0.05~30質量%、さらにより好ましくは0.1~20質量%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
b)群の1以上の化合物が、ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、もしくはリン酸の1以上のナトリウム塩もしくはカリウム塩、および/またはそれらの混合物であり、好ましくはリン酸三ナトリウムもしくはリン酸三カリウム、および/またはそれらの混合物である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
組成物Aのb)群の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して1~80質量%、好ましくは2~70質量%、より好ましくは5~65質量%、より好ましくは10~65質量%である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
カーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、パーカーボネート、ボレート、およびパーボレートの全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらにより好ましくは0.1質量%未満であり、さらにより好ましくはカーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、およびパーカーボネートを含まない、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物Aが、1以上の粉末添加物、好ましくは1以上の有機または無機粉末添加物、より好ましくは珪藻土、カオリン、ベントナイト、シリケート、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、コムギデンプンおよびジャガイモデンプン、ナイロン粉末、モンモリロナイト、セッコウ、おがくずおよびパーライト、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される1以上の粉末添加物を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
組成物Aが、25℃および大気圧で固体組成物、好ましくは粉末組成物またはペレット組成物または錠剤組成物またはカプセル組成物、より好ましくは粉末染毛用組成物またはペレット染毛用組成物または錠剤染毛用組成物であり、さらにより好ましくは粉末染毛用組成物である、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
組成物Aが、1以上の親油性化合物を含み、好ましくは1以上の親油性化合物が、25℃および大気圧で液体であり、より好ましくはC12~C22脂肪族アルコール、C~C22アルコールとC12~C22脂肪酸のエステル、C~C22脂肪酸、植物油、および/またはシリコーン、および/または炭化水素系製品、ならびに/あるいはそれらの混合物である、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
組成物Aが、染毛用オイルであり、好ましくはペースト様組成物を有し、より好ましくは25℃および大気圧でコーンプレート粘度測定法によって測定して10,000~500,000mPas、より好ましくは20,000~400,000mPas、さらにより好ましくは30,000~250,000mPasの粘度を有する、請求項1~8、10のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の染色用製品であって、
- 請求項1~10のいずれかに記載の組成物A、
- 組成物B、好ましくは1以上の酸化剤を含む組成物B
を含む製品。
【請求項12】
組成物Bが、pH1~6、好ましくは1.5~5、より好ましくは2~4.5を有する水性組成物である、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
組成物Bが、1以上の酸化剤、好ましくは過酸化水素を、組成物Bの全質量に対して1~20質量%、より好ましくは2~15質量%、さらにより好ましくは3~12質量%の濃度で含む、請求項11または12に記載の製品。
【請求項14】
組成物AおよびBの混合質量比が、1:1~1:20、好ましくは1:2~1:15、より好ましくは1:4~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:10である、請求項11~13のいずれかに記載の製品。
【請求項15】
組成物Bが、1以上のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩、好ましくは下記の一般構造のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩
【化1】
[式中、R、R、およびRは、H、1個のヒドロキシル基で置換されていてよい直鎖状C~Cアルキル、または分枝状C~C12アルキルもしくはアルカノールから独立的に選択され、R、R、またはRの少なくとも1つはHとは異なり、Y-はアニオンである]を含む、請求項11~14のいずれかに記載の製品。
【請求項16】
ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色する方法であって、
i)請求項1~10のいずれかに記載の組成物Aを水性組成物、好ましくは請求項11~14のいずれかに記載の組成物Bと混合して、pH7~12を有する用時調製組成物を得るステップ、
ii)前記用時調製組成物をケラチン繊維に塗布し、それを1~60分間放置するステップ、
iii)ケラチン繊維を任意にすすぎ流し、ケラチン繊維を任意に乾燥するステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維を酸化染料およびアルカリ化剤で染色するための組成物に関する。さらに、染色用製品および染色方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
酸化染料は、優れた染色能力および白髪被覆度を有するが、最適でない条件の場合、その染色性能が低下する。用時調製混合物が調製されると、色混合物は暗色になり、ケラチン繊維を染色する能力を急速に失うことがある。
【0003】
化粧品産業は、貯蔵中の組成物から空気酸素を排除することでこれらの問題に取り組んできた。例えば、多くの染色用組成物は個別包装され、または多目的デバイスとして提供される場合、窒素や二酸化炭素などの保護ガスとともに供給される。さらに、酸化染毛料の製剤パラメータが入念に評価される。
【0004】
特定の課題は、少量の水を含む染色用製品の安定な製剤化である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術は上記の課題を満足のいくように解決しなかったので、長期にわたって安定な染色用組成物を開発することが真に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の目的は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の酸化染色用組成物Aであって、
a)1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩と、
b)ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の金属塩の1種または複数から選択される1以上のアルカリ化剤と
を含み、水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%以下である、組成物である。
【0007】
本発明の第2の目的は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の染色用製品であって、
- 上記いずれかに定義された組成物A、
- 組成物B、好ましくは1以上の酸化剤を含む組成物B
を含む製品である。
【0008】
本発明の第3の目的は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色する方法であって、
i)上記に定義された組成物Aを水性組成物、好ましくは上記に定義された組成物Bと混合して、pH7~12を有する、用時調製組成物を得るステップ、
ii)前記用時調製組成物をケラチン繊維に塗布し、それを1~60分間放置するステップ、
iii)ケラチン繊維を任意にすすぎ流し、ケラチン繊維を任意に乾燥するステップ
を含む方法である。
【0009】
本発明の第4の目的は、上記に定義された組成物のケラチン繊維の染色、好ましくはヒトケラチン繊維の染色、より好ましくはヒト毛髪の染色のための使用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、予想外なことに、請求項1に記載の組成物Aがその貯蔵条件とは関わりなく優れた染色強度を有することを見出した。さらに、用時調製混合物の調製後でさえ、染色能力はある特定の貯蔵時間にわたって維持されうる。さらに、それは、特に損傷したケラチン繊維に対して優れた染色強度を発揮し、洗毛堅牢度を改善した。本発明のさらに予想外の驚くべき効果は、染毛用混合物の発熱の低減であり、それによって顧客のための安全性および快適さが改善される。
【0011】
染色用組成物
本発明は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の酸化染色用組成物Aであって、
a)1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩と、
b)ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の金属塩の1以上から選択される1以上のアルカリ化剤と
を含み、水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%以下である、組成物を対象とするものである。
【0012】
a)群の化合物の好適な塩は、硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メト硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酢酸塩、および/またはそれらの混合物であり、好ましくは硫酸塩および/または塩酸塩、ならびに/あるいはそれらの混合物であり、より好ましくは溶解速度の観点から、硫酸塩である。
【0013】
染色強度の観点から、a)群の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.03質量%以上であり、さらにより好ましくは0.05質量%以上であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上である。
【0014】
溶解速度の観点から、a)群の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して65質量%以下であることが好ましく、好ましくは50質量%以下であり、さらにより好ましくは30質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以下である。
【0015】
上述の効果を達成するために、a)群の1以上の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01~65質量%であることが好ましく、好ましくは0.03~50質量%であり、より好ましくは0.05~30質量%であり、さらにより好ましくは0.1~20質量%である。
【0016】
安定性の観点から、水の全濃度は、組成物Aの全質量に対して5質量%以下であることが好ましく、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、さらにより好ましくは組成物Aは無水である。
【0017】
用語「無水」は、添加された水を含まない組成物を表す。しかし、これは、残留水分または結晶水などの結合水を除外しない。
【0018】
染色性能の観点から、b)群の1以上の化合物は、ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の1以上のナトリウム塩またはカリウム塩から選択されることが好ましく、より好ましくはリン酸三ナトリウムである。
【0019】
染料安定性の観点から、b)群の1以上の化合物は、ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、水酸化物、もしくはリン酸の1以上のナトリウム塩もしくはカリウム塩から選択されることが好ましく、より好ましくはリン酸三ナトリウムもしくはリン酸三カリウム、および/またはそれらの混合物から選択される。
【0020】
さらに好ましくは、b)群の1以上の化合物は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、二ケイ酸ナトリウム、二ケイ酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、および/またはそれらの混合物から選択される。
【0021】
b)群の最も好ましい化合物は、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、および/またはそれらの混合物である。
【0022】
さらに、組成物Aは、1以上の有機アルカリ化剤および/またはそれらの塩、例えば下記の一般構造の1以上の有機アルキルおよび/またはアルカノールアミンならびに/あるいはそれらの塩を含んでもよい。
【0023】
【化1】
[式中、R、R、およびRは、H、1個のヒドロキシル基で置換されていてよい直鎖状C~Cアルキル、または分枝状C~C12アルキルもしくはアルカノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から独立的に選択され、R、R、またはRの少なくとも1つはHとは異なる]。
【0024】
好ましくは、1以上の有機アルカリ化剤は、アルキルおよび/またはアルカノールアミンならびに/あるいはそれらの塩から選択され、より好ましくはアルカリ性および化粧品の安全性をもたらし、さらに低臭気性である観点から、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールメチルアミン、モノエタノールジメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノエタノールエチルアミン、モノエタノールジエチルアミン、ジエタノールエチルアミン、モノエタノールプロピルアミン、モノエタノールジプロピルアミン、ジエタノールプロピルアミン、モノエタノールブチルアミン、ジエタノールブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタンおよび/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される。
【0025】
最も好ましい追加のアルカリ化剤は、アルカリ性および化粧品の安全性をもたらす観点からモノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される。
【0026】
染色強度の観点から、b)群の化合物の全濃度、好ましくはリン酸三ナトリウムまたはリン酸三カリウムの全濃度は、組成物Aの全質量に対して1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、さらにより好ましくは5質量%以上であり、さらにより好ましくは10質量%以上である。
【0027】
化粧品の安全性の観点から、b)群の化合物の全濃度、好ましくはリン酸三ナトリウムまたはリン酸三カリウムの全濃度は、組成物Aの全質量に対して80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以下であり、さらにより好ましくは65質量%以下である。
【0028】
上述の効果を達成するために、b)群の化合物の全濃度、好ましくはリン酸三ナトリウムまたはリン酸三カリウムの全濃度は、組成物Aの全質量に対して1~80質量%であることが好ましく、好ましくは2~70質量%であり、より好ましくは5~65質量%、より好ましくは10~65質量%である。
【0029】
カラーシェーディングの観点から、組成物Aは、c)群の化合物としてa)群とは異なる1以上の酸化染料前駆体または酸化染料カプラー、好ましくは5-アミノ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,4,-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノトルエン、2-アミノ-5-メチルフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-アミノ-4-クロロフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、2-アミノフェノール、3-アミノ-フェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-アミノベンゼン、3-N,N-ジメチルアミノフェノール、2,6-ジヒドロキシ-3,5-ジメトキシピリジン、5-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1,3-ジアミノ-ベンゼン、1-アミノ-3-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1-アミノ-3-[ビス(2’-ヒドロキシ-エチル)アミノ]ベンゼン、α-ナフトール、4,6-ジクロロレゾルシノール、1,3-ジアミノ-トルエン、4-ヒドロキシ-1,2-メチレンジオキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1-ヒドロキシ-2-メチルナフタレン、4-ヒドロキシ-1,2-メチルジオキシベンゼン、2,4-ジアミノ-3-クロロフェノール、5-アミノ-2-メトキシフェノールおよび/または1-メトキシ-2-アミノ-4-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-ベンゼン、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物を含むことが好ましく、好ましくはc)群の1以上の化合物が、4-クロロレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-5-ピリミジノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物、より好ましくは1,3-ビス-(2,4-ジアミノ-フェノキシ)-プロパン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される。
【0030】
染色強度の観点から、c)群の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましく、好ましくは0.05質量%以上であり、さらにより好ましくは0.08質量%以上である。
【0031】
化粧品の安全性の観点から、c)群の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して20質量%以下であることが好ましく、好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下であり、さらにより好ましくは5質量%以下であり、さらにより好ましくは3.5質量%以下である。
【0032】
上述の効果を達成するために、c)群の化合物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01~20質量%であることが好ましく、好ましくは0.05~15質量%であり、より好ましくは0.08~10質量%であり、さらにより好ましくは0.08~5質量%であり、さらにより好ましくは0.08~3.5質量%である。
【0033】
カラーシェードの観点から、a)群の化合物とc)群の化合物の質量比は、0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらにより好ましくは0.5以上である。
【0034】
カラーシェードの観点から、a)群の化合物とc)群の化合物の質量比は、5以下が好ましく、より好ましくは3以下であり、さらにより好ましくは2以下である。
【0035】
上述の効果を達成するために、a)群の化合物とc)群の化合物の質量比は、0.2~5であることが好ましく、好ましくは0.3~3であり、より好ましくは0.5~2である。
【0036】
用時調製混合物の安定性および毛髪損傷の観点から、組成物A中のカーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、パーカーボネート、ボレート、およびパーボレートの全濃度は、組成物Aの全質量に対して10質量%未満であることが好ましく、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらにより好ましくは0.1質量%未満であり、さらにより好ましくはカーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、およびパーカーボネートを含まない。
【0037】
直接染料
染色強度の観点から、組成物Aは、1以上の直接染料を含むことがさらに好ましい。
【0038】
好適には、1以上の直接染料は、HC青18、HC赤18、HC黄16、分散黒9、酸性黄1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物であってもよい。
【0039】
好適には、直接染料の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0040】
好適には、直接染料の全濃度は、組成物Aの全質量に対して20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
【0041】
好適には、組成物A中の直接染料の全濃度は、組成物Aの全質量に対して0.01~20質量%であり、好ましくは0.05~15質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0042】
d)群の化合物
組成物の安定性および使用利便性の観点から、組成物Aは、d)群の化合物として1以上の粉末添加物を含むことが好ましい。
【0043】
用語「添加物」は、組成物Aの充填材料として、かつ他の化合物の分散剤として作用することができるが、染料ともアルカリ化剤とも反応せず、したがって粉末にある特定の貯蔵安定度を長期間にわたって付与する化合物を表す。
【0044】
本発明の組成物Aは、染料が分散されている有機および/または無機粉末添加物を含んでもよい。
【0045】
好適な有機および/または無機粉末添加物は、例えば、珪藻土、カオリン、ベントナイト、デンプン、特にトウモロコシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、コムギデンプンおよびジャガイモデンプン、ナイロン粉末、モンモリロナイト、セッコウ、おがくずおよびパーライトであり、より好ましくは安定性の観点から、トウモロコシデンプンである。
【0046】
好ましくは、d)群の化合物の全濃度、より好ましくは有機および/または無機粉末添加物の全濃度は、染料の粉末中における良好な分散性および粉末の急速な溶解を達成する観点から、組成物Aの全質量に対して30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらにより好ましくは60質量%以上であり、さらにより好ましくは65質量%以上であり、さらにより好ましくは70質量%以上であり、さらにより好ましくは75質量%以上である。
【0047】
好ましくは、d)群の化合物の全濃度、より好ましくは有機および/または無機粉末添加物の全濃度は、染料の粉末中における良好な分散性および配合処方の自由を達成する観点から、組成物Aの全質量に対して98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらにより好ましくは90質量%以下である。
【0048】
上述の効果を達成するために、d)群の化合物の全濃度、より好ましくは有機および/または無機粉末添加物の全濃度は、組成物Aの全質量に対して10~98質量%であることが好ましく、より好ましくは15~95質量%であり、さらにより好ましくは20~90質量%であり、さらにより好ましくは25~90質量%であり、さらにより好ましくは30~90質量%であり、さらにより好ましくは55~90質量%である。
【0049】
粉末組成物
本発明の一態様において、組成物Aは、25℃および大気圧で固体組成物、好ましくは粉末組成物またはペレット組成物または錠剤組成物またはカプセル組成物、より好ましくは染毛用粉末組成物または染毛用ペレット組成物または染毛用錠剤組成物であってよく、さらにより好ましくは染毛用粉末組成物である。
【0050】
用語「粉末」は、25℃および大気圧で固体組成物を表す。好ましくは、組成物Aは、安定性の観点から無水粉末組成物である。
【0051】
好適には、組成物Aは、無水粉末組成物、好ましくは染毛用無水粉末組成物である。
【0052】
e)群の化合物としての親油性化合物
組成物Aおよび/またはBは、e)群の化合物としての1以上の親油性化合物を含んでもよい。
【0053】
好ましくは、e)群の化合物は、化粧品の相溶性の観点からC12~C22脂肪族アルコール、C~C22アルコールとC12~C22脂肪酸のエステル、C~C22脂肪酸、植物油、および/またはシリコーン、および/または炭化水素系製品、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される。
【0054】
好適なC12~C22脂肪族アルコールは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、およびセテアリルアルコールである。
【0055】
~C22アルコールとC12~C22脂肪酸の好適なエステルは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびミリスチン酸ミリスチルである。
【0056】
好適なC~C22脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、およびパルミチン酸である。
【0057】
好適な植物油は、オリーブ油、アーモンド油、ヒマワリ油、およびアルガン油である。
【0058】
好適なシリコーンは、非アミノ化および/またはアミノ化シリコーンである。後者は、アモジメチコンとして一般に呼ばれている。
【0059】
安定な組成物を形成し、使用者にとって使い易い観点から、e)群の化合物の全濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、さらにより好ましくは3質量%以上である。
【0060】
安定な組成物を形成する観点から、e)群の化合物の全濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは12質量%以下である。
【0061】
上述の効果を達成するために、e)群の化合物の全濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して1~20質量%であることが好ましく、好ましくは2~15質量%であり、より好ましくは3~12質量%である。
【0062】
液体組成物
本発明の別の態様では、本発明の組成物Aは、f)群の化合物として1以上の有機溶媒を組成物Aの全質量に対して含む、25℃および大気圧で液体組成物である。好ましくは、組成物Aは、染料安定性の観点から、無水である。
【0063】
用語「液体」は、25℃および大気圧における物理的状態を表し、すなわち、組成物Aは室温で液体である。
【0064】
用語「無水」は、添加された水を含まない組成物Aを表す。これは、空気由来の残留水分または諸成分に結合している結晶水の存在を除外しない。
【0065】
本発明のこの態様では、組成物Aは、1以上の有機溶媒を含んでもよい。
【0066】
有機溶媒は、染料を溶解するように選択されうる。好ましい溶媒は、1価、2価、および3価のアルコールならびに/あるいはそれらの混合物である。
【0067】
化粧品の安全性および溶解能力の観点から好ましい1価、2価、および3価のアルコールは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、およびグリセロール、ならびに/あるいはそれらの混合物である。
【0068】
溶液安定性の観点から、有機溶媒の全濃度は、組成物Aの全質量に対して75質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、さらにより好ましくは85質量%以上である。
【0069】
染色強度の観点から、有機溶媒の全濃度は、組成物Aの全質量に対して98質量%以下であることが好ましく、より好ましくは95質量%以下であり、さらにより好ましくは92質量%以下である。
【0070】
上述の効果を達成するために、有機溶媒の全濃度は、組成物Aの全質量に対して75~98質量%であることが好ましく、より好ましくは80~95質量%であり、さらにより好ましくは85~92質量%である。
【0071】
染毛用オイル
任意に、組成物Aは、染毛用オイルであり、好ましくはペースト様組成物であり、より好ましくは25℃および大気圧でコーンプレート粘度測定法によって測定して10,000~500,000mPas、より好ましくは20,000~400,000mPas、さらにより好ましくは30,000~250,000mPasの粘度を有する。
【0072】
このために、組成物Aは、e)群の親油性化合物を全濃度90質量%まで含んでもよい。
【0073】
好ましくは、ペースト様組成物Aは、染料安定性の観点から、無水である。
【0074】
g)の化合物としての界面活性剤
組成物Aおよび/またはBは、組成物を安定化し、湿潤性および混合性を改善する観点から、好ましくは非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および/または両性/双性イオン界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択され、より好ましくはアニオン界面活性剤および/またはそれらの塩から選択される、g)群の化合物として1以上の界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0075】
好ましくは、アニオン界面活性剤は、エトキシ化もしくは非エトキシ化アルキルエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルスルフェート、エトキシ化および/または非エトキシ化アルキルカルボキシレート、エトキシ化もしくは非エトキシ化アミノ酸界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの混合物、ならびに/あるいはそれらの塩から選択されうる。
【0076】
好適な例として、C10~C22のアルキル鎖長および1~50のエトキシ化度を有する、アルキルスルフェートもしくは好ましくはエトキシ化アルキルエーテルスルフェート界面活性剤またはそれらの混合物、および/またはそれらの塩がある。
【0077】
好適な非イオン界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、エトキシ化トリグリセリド、エトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化脂肪酸エステル、および/またはそれらの混合物から選択されうる。
【0078】
好適なカチオン性界面活性剤は、C12~C22の炭素鎖長を有する第四級アンモニウム界面活性剤、もしくは第三級アミン基およびC12~C22の炭素鎖長を有する少なくとも1本のアルキル鎖を有する界面活性剤、例えばアルキルアミドアルキルアミン界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの塩である。好適な例として、セトリモニウムクロリドおよびベヘントリモニウムクロリドがある。
【0079】
好適な両性/双性イオン界面活性剤はベタイン型である。好適な化合物は、アルキルベタインおよび/またはアルキルアミドベタインから選択されうる。アルキルベタインから選択される好ましい化合物はラウリルベタインである。アルキルアミドベタインから選択される好ましい化合物はコカミドプロピルベタインである。本開示は、化合物の塩にも関する。
【0080】
界面活性剤に適した濃度範囲は、ケラチン繊維の湿潤性、物理的安定性、および他の組成物との混合性を向上させる観点から、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して0.1~10質量%である。
【0081】
増粘ポリマー
化粧品の安全性の観点から、組成物Aおよび/またはBは、1以上の増粘ポリマーを含むことがさらに好ましい。
【0082】
組成物Aおよび/またはBは、非イオン性増粘ポリマーおよび/またはアニオン性増粘ポリマー、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される1以上の増粘ポリマーを含んでもよい。
【0083】
好ましくは、増粘ポリマーは、25℃の水中1質量%のポリマー濃度で測定して、25℃、大気条件下でコーンプレート粘度測定法により決定して、組成物の全質量に対して、適切なスピンドルを用いたブルックフィールド粘度計により、例えば10rpmで1分間、25℃で決定して、少なくとも1,000mPa・sの粘度を有する、pH7~12の水性溶液および/または水性分散液を生じるポリマーから選択される。pH測定は、好適にはガラス電極を用いて25℃、大気条件下で実施される。
【0084】
好適な非イオン性増粘ポリマーは、セルロース系ポリマーである。セルロース系ポリマーの好適な例には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチル-メチルセルロース、およびアルキル化ヒドロキシルセルロース、例えば(C~C)-アルキルセルロースまたはセチルヒドロキシエチルセルロースがある。
【0085】
好適なアニオン性増粘ポリマーは、天然系アニオン性ポリマーおよび/または合成アニオン性ポリマーから選択される。
【0086】
好適には、天然アニオン性ポリマーは、キサンタンガム、デヒドロキサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、およびデンプン系ポリマー、例えば植物デンプン、および/またはそれらの合成修飾誘導体、例えばヒドロキシプロピルデンプンホスフェートから選択されうる。同様に好適なものは、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アラビアゴム、およびグアーガムである。
【0087】
好適な合成アニオン性ポリマーは、会合性増粘ポリマー、例えばアクリレート/ステアレス-30メタクリレートコポリマーである。
【0088】
本発明の組成物に好ましい増粘ポリマーは、それらの生分解性および低環境影響の観点から、天然アニオン性ポリマー、より好ましくはキサンタンガムおよび/またはデヒドロキサンタンガムである。
【0089】
好ましくは、組成物Aおよび/またはB中の増粘ポリマーの全濃度は、十分な粘度を組成物にもたらす観点から、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して0.1質量%以上であり、より好ましくは0.25質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0090】
好ましくは、組成物Aおよび/またはB中の増粘ポリマーの全濃度は、十分な粘度を組成物にもたらすことおよび商品原価の観点から、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上であり、さらにより好ましくは10質量%以下である。
【0091】
上述の効果を達成するために、組成物Aおよび/またはB中の増粘ポリマーの全濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して0.1~15質量%であることが好ましく、好ましくは0.25~12質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%である。
【0092】
化粧品の安全性の観点から、本発明の組成物は水性の場合、25℃、大気条件下でコーンプレート粘度測定法によって決定して1,000~25,000mPasであることが好ましく、好ましくは2,000~20,000mPas、より好ましくは2,500~17,500mPasの粘度を有する。好適な粘度計は、スピンドル#4を用いたブルックフィールド粘度計であり、測定は、10rpmで1分間実施される。
【0093】
酸化剤
組成物Aおよび/またはBは、1以上の酸化剤、好ましくは過酸化水素を含むことができる。
【0094】
好ましくは、組成物Aは、25℃および大気圧で固体である1以上の酸化剤、より好ましくは25℃および大気圧で固体である1以上の過酸化物を含み、さらにより好ましくは過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化メラミン、過酸化尿素、および/またはそれらの混合物などの金属過酸化物を含む。
【0095】
組成物Bに好ましい酸化剤は、染色性能の観点から過酸化水素である。
【0096】
染色性能の観点から、組成物Aおよび/またはB中の酸化剤の濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.25質量%以上であり、さらにより好ましくは1質量%以上である。
【0097】
製品性能および使用者の安全性の観点から、組成物Aおよび/またはB中の酸化剤の濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは12質量%以下である。
【0098】
上述の効果を達成するために、組成物Aおよび/またはB中の酸化剤の濃度は、組成物Aおよび/またはBのそれぞれの全質量に対して0.1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.25~15質量%であり、さらにより好ましくは1~12質量%である。
【0099】
染色用製品
本発明は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の染色用製品であって、
- 以上に定義された組成物A、
- 組成物B、好ましくは1以上の酸化剤を含む組成物B
を含む製品も対象とする。
【0100】
好ましくは、組成物Bは水性組成物である。用語「水性」は、組成物の全質量に対して50質量%以上の水を含む組成物を表す。
【0101】
好ましくは、安定性の観点から、組成物Bは、pH1~7、好ましくは1.5~5、さらにより好ましくは2~4.5を有する。
【0102】
化粧品の安全性の観点から、組成物Bの1以上の酸化剤は過酸化水素であることがさらに好ましい。
【0103】
染色性能の観点から、組成物B中の酸化剤の濃度、好ましくは過酸化水素の濃度は、組成物Bの全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.25質量%以上であり、さらにより好ましくは1質量%以上である。
【0104】
製品性能および使用者の安全性の観点から、組成物B中の酸化剤の濃度、好ましくは過酸化水素の濃度は、組成物Bの全質量に対して20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは12質量%以下である。
【0105】
上述の効果を達成するために、組成物B中の酸化剤の濃度、好ましくは過酸化水素の濃度は、組成物Bの全質量に対して0.1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.25~15質量%であり、さらにより好ましくは1~12質量%である。
【0106】
組成物Bは好ましくは、化粧品の安全性および使用者にとっての使い易さの観点から、乳濁液、増粘ゲル、またはそれらの組合せである。それは、e)群の親油性化合物および/またはg)群の界面活性剤および/または上記に定義された1以上の増粘ポリマーを含んでもよい。
【0107】
安定な組成物を形成し、使用者にとっての使い易さの観点から、e)群の化合物の全濃度は、組成物Bの全質量に対して1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、さらにより好ましくは3質量%以上である。
【0108】
安定な組成物を形成する観点から、e)群の化合物の全濃度は、組成物Bの全質量に対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは12質量%以下である。
【0109】
上述の効果を達成するために、e)群の化合物の全濃度は、組成物Bの全質量に対して1~20質量%であることが好ましく、好ましくは2~15質量%であり、より好ましくは3~12質量%である。
【0110】
組成物Bは、上記の本発明の組成物Aについて上記に定義されたように、g)群の化合物として1以上の界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0111】
界面活性剤に適した濃度範囲は、ケラチン繊維の濡れ性、物理的安定性、および他の組成物との混合性を向上させる観点から、組成物Bの全質量に対して0.1~10質量%である。
【0112】
化粧品の安全性の観点から、組成物Bは、上記の本発明の組成物について定義されたように、1以上の増粘ポリマーを含むことがさらに好ましい。
【0113】
好ましくは、組成物B中の増粘ポリマーの全濃度は、十分な粘度を組成物Bにもたらす観点から、組成物Bの全質量に対して0.1質量%以上であり、より好ましくは0.25質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0114】
好ましくは、組成物B中の増粘ポリマーの全濃度は、十分な粘度を組成物Bにもたらすことおよび商品原価の観点から、組成物Bの全質量に対して15質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上であり、さらにより好ましくは10質量%以下である。
【0115】
上述の効果を達成するために、組成物B中の増粘ポリマーの全濃度は、組成物Bの全質量に対して0.1~15質量%であることが好ましく、好ましくは0.25~12質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%である。
【0116】
化粧品の安全性の観点から、組成物Bは、25℃、大気条件下でコーンプレート粘度測定法により決定して、1,000~25,000mPas、好ましくは2,000~20,000mPas、より好ましくは2,500~17,500mPasの粘度を有することが好ましい。好適な粘度計は、スピンドル#4を用いたブルックフィールド粘度計である。
【0117】
用時調製混合物の安定性の観点から、組成物AおよびBの混合質量比は、1:1以上であることが好ましく、好ましくは1:2以上であり、より好ましくは1:4以上であり、さらにより好ましくは1:5以上である。
【0118】
用時調製混合物の安定性および化粧品としての外観の観点から、組成物AおよびBの混合質量比は、1:20以下であることが好ましく、好ましくは1:15以下であり、より好ましくは1:12以下であり、さらにより好ましくは1:10以下である。
【0119】
上述の効果を達成するために、組成物AおよびBの混合質量比は、1:1~1:20であることが好ましく、好ましくは1:2~1:15であり、より好ましくは1:4~1:12であり、さらにより好ましくは1:5~1:10である。
【0120】
好ましくは、組成物Bは、染色強度の観点から、1以上のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩、好ましくは下記の一般構造のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩を含む
【0121】
【化2】
[式中、R、R、およびRは、H、1個のヒドロキシル基で置換されていてよい直鎖状C~Cアルキル、または分枝状C~C12アルキルもしくはアルカノールから独立的に選択され、R、R、またはRの少なくとも1つはHとは異なり、Y-はアニオンである]。
【0122】
好適には、アニオンY-は、スルフェート、ヒドロクロリド、クロリド、ヒドロブロミド、ブロミド、ニトレート、ホスフェート、ヒドロゲンホスフェート、ジヒドロゲンホスフェート、メトスルフェート、シトレート、スクシネート、タートレート、ラクテート、トシレート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、アセテート、および/またはそれらの混合物である。
【0123】
好適には、1以上のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩は、モノおよび/もしくはジエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソブタノールアミン、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ならびに/またはそれらの混合物の塩であり、より好ましくはモノおよび/もしくはジエタノールアミン塩、ならびに/またはそれらの混合物である。
【0124】
好適には、組成物B中のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩の全濃度は、組成物Bの全質量に対して0.1~15質量%、好ましくは0.2~12質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.5~8質量%である。
【0125】
染色方法
本発明は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色する方法であって、
i)以上に定義された組成物Aを水性組成物、好ましくは請求項12~15のいずれかに記載の組成物Bと混合して、pH7~12を有する用時調製組成物を得るステップ、
ii)前記用時調製組成物をケラチン繊維に塗布し、それを1~60分間放置するステップ、
iii)ケラチン繊維を任意にすすぎ流し、ケラチン繊維を任意に乾燥するステップ
を含む方法も対象とする。
【0126】
組成物Aが酸化剤を含む場合、組成物Bは、酸化剤を含まなくてよい。
【0127】
用時調製組成物は、ステップii)において定義されたように、ケラチン繊維に塗布され、好ましくは1~60分間放置される。十分に染色する観点から、ステップii)にさらに好ましい時間範囲は5~45分であり、より好ましい範囲は10~35分である。
【0128】
任意に、組成物Aまたは用時調製組成物をケラチン繊維上に放置している間に熱を加えてもよい。好適な温度範囲は、30~50℃である。
【0129】
好ましくは、ステップi)中の組成物AおよびBの混合質量比は、1:1~1:20、好ましくは1:2~1:15、より好ましくは1:4~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:10である。
【0130】
したがって、本発明の開示は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色する方法であって、
i)以上に定義された組成物Aを過酸化水素を含む水性組成物Bと混合して、pH7~12を有する、用時調製組成物を得るステップ、
ii)前記用時調製組成物をケラチン繊維に塗布し、それを1~60分間放置するステップ、
iii)ケラチン繊維を任意にすすぎ流し、ケラチン繊維を任意に乾燥するステップ
を含み、ステップi)中の組成物AおよびBの混合質量比が、1:1~1:20、好ましくは1:2~1:15、より好ましくは1:4~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:10である、方法にも関する。
【0131】
本開示は、下記も対象とする。
<1> ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の酸化染色用組成物Aであって、
a)1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩と、
b)ケイ酸、メタケイ酸、二ケイ酸、またはリン酸の金属塩の1以上から選択される1以上のアルカリ化剤と
を含み、水の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%以下である、組成物。
【0132】
<2> a)群の1以上の化合物が、硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メト硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酢酸塩、および/またはそれらの混合物であり、好ましくは硫酸塩および/または塩酸塩、ならびに/あるいはそれらの混合物であり、より好ましくは硫酸塩である、<1>に記載の組成物。
【0133】
<3> a)群の化合物の全濃度、好ましくは1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンおよび/またはその塩の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.01~65質量%、好ましくは0.03~50質量%、より好ましくは0.05~30質量%、さらにより好ましくは0.1~20質量%である、<1>または<2>に記載の製品。
【0134】
<4> 1以上の無機および/または有機アルカリ化剤、ならびに/あるいはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物を含む、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
【0135】
<5> 1以上の無機アルカリ化剤を含み、より好ましくはそれらの無機アルカリ化剤が、メタシリケート、ジシリケート、カーボネート、バイカーボネート、および/またはホスフェート、ならびに/あるいはそれらの金属塩、例えばアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、ならびに/あるいはそれらの混合物であり、好ましくはメタケイ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムおよび/またはリン酸三カリウム、ならびに/あるいはそれらの混合物である、<1>~<4>のいずれかに記載の組成物。
【0136】
<6> 下記の一般構造で表される1以上の有機アルカリ化剤、例えば1以上の有機アルキルアミンおよび/またはアルカノールアミン、ならびに/あるいはそれらの塩を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の組成物。
【0137】
【化3】
[式中、R、R、およびRは、H、1個のヒドロキシル基で置換されていてよい直鎖状C~Cアルキル、または分枝状C~C12アルキルもしくはアルカノール、および/またはそれらの混合物から独立的に選択され、R、R、またはRの少なくとも1つはHとは異なる]。
【0138】
<7> 1以上の有機アルカリ化剤が、アルキルおよび/またはアルカノールアミンから選択され、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールメチルアミン、モノエタノールジメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノエタノールエチルアミン、モノエタノールジエチルアミン、ジエタノールエチルアミン、モノエタノールプロピルアミン、モノエタノールジプロピルアミン、ジエタノールプロピルアミン、モノエタノールブチルアミン、ジエタノールブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、および/またはそれらの混合物から選択され、好ましくはモノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、および/またはそれらの混合物から選択される、<1>~<6>のいずれかに記載の組成物。
【0139】
<8> アルカリ化剤、好ましくは無機または有機アルカリ化剤の全濃度が、組成物Aの全質量に対して1~80質量%、好ましくは2~70質量%、より好ましくは5~65質量%、より好ましくは10~65質量%である、<1>~<7>のいずれかに記載の組成物。
【0140】
<9> c)群の化合物としてa)群とは異なる1以上の酸化染料前駆体または酸化染料カプラー、好ましくは5-アミノ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,4,-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノトルエン、2-アミノ-5-メチルフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-アミノ-4-クロロフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、2-アミノフェノール、3-アミノ-フェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-アミノベンゼン、3-N,N-ジメチルアミノフェノール、2,6-ジヒドロキシ-3,5-ジメトキシピリジン、5-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、1,3-ジアミノ-ベンゼン、1-アミノ-3-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1-アミノ-3-[ビス(2’-ヒドロキシ-エチル)アミノ]ベンゼン、α-ナフトール、4,6-ジクロロレゾルシノール、1,3-ジアミノ-トルエン、4-ヒドロキシ-1,2-メチレンジオキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1-ヒドロキシ-2-メチルナフタレン、4-ヒドロキシ-1,2-メチルジオキシベンゼン、2,4-ジアミノ-3-クロロフェノール、5-アミノ-2-メトキシフェノールおよび/または1-メトキシ-2-アミノ-4-(2’-ヒドロキシエチルアミノ)-ベンゼン、2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノ-5-ピリミジノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物を含み、好ましくはc)群の1以上の化合物が、4-クロロレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、および/またはそれらの塩、および/またはそれらの混合物、より好ましくは1,3-ビス-(2,4-ジアミノ-フェノキシ)-プロパン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、および/またはそれらの塩、および/またはそれらの混合物から選択される、<1>~<8>のいずれかに記載の組成物。
【0141】
<10> c)群の1以上の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.01~20質量%、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.08~10質量%、さらにより好ましくは0.08~5質量%、さらにより好ましくは0.08~3.5質量%である、<9>に記載の組成物。
【0142】
<11> a)群の化合物とc)群の化合物の質量比が、0.2~5、好ましくは0.3~3、より好ましくは0.5~2である、<8>~<10>のいずれかに記載の組成物。
【0143】
<12> 組成物A中のカーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、パーカーボネート、ボレート、およびパーボレートの全濃度が、組成物Aの全質量に対して10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらにより好ましくは0.1質量%未満であり、さらにより好ましくはカーボネート、ヒドロゲンカーボネート、バイカーボネート、およびパーカーボネートを含まない、<1>~<11>のいずれかに記載の組成物。
【0144】
<13> 1以上の直接染料、好ましくはHC青18、HC赤18、HC黄16、分散黒9、酸性黄1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、および/またはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物を含む、<1>~<12>のいずれかに記載の組成物。
【0145】
<14> 組成物A中の直接染料の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.01~20質量%、好ましくは0.05~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である、<13>に記載の組成物。
【0146】
<15> d)群の化合物として1以上の粉末添加物を含む、<1>~<14>のいずれかに記載の組成物。
【0147】
<16> d)群の化合物として有機および/または無機粉末添加物を含む、<15>に記載の組成物。
【0148】
<17> d)群の1以上の化合物が、珪藻土、カオリン、ベントナイト、デンプン、特にトウモロコシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、コムギデンプンおよびジャガイモデンプン、ナイロン粉末、モンモリロナイト、セッコウ、おがくずならびにパーライトであり、より好ましくはトウモロコシデンプン、および/またはそれらの混合物である、<15>または<16>に記載の組成物。
【0149】
<18> d)群の化合物の全濃度、より好ましくは有機および/または無機粉末添加物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して10~98質量%、より好ましくは15~95質量%、さらにより好ましくは20~90質量%、さらにより好ましくは25~90質量%、さらにより好ましくは30~90質量%、さらにより好ましくは55~90質量%である、<15>~<17>のいずれかに記載の組成物。
【0150】
<19> 25℃および大気圧で固体組成物、好ましくは粉末組成物またはペレット組成物または錠剤組成物またはカプセル組成物、より好ましくは染毛用粉末組成物または染毛用ペレット組成物または染毛用錠剤組成物であり、さらにより好ましくは染毛用粉末組成物である、<1>~<18>のいずれかに記載の組成物。
【0151】
<20> 無水粉末組成物、好ましくは染毛用無水粉末組成物である、<19>に記載の組成物。
【0152】
<21> 化粧品の相溶性の観点から、e)群の化合物として1以上の親油性化合物、好ましくはC12~C22脂肪族アルコール、C~C22アルコールとC12~C22脂肪酸のエステル、C~C22脂肪酸、植物油、および/またはシリコーン、および/または炭化水素系製品、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される親油性化合物を含む、<1>~<20>のいずれかに記載の組成物。
【0153】
<22> e)の化合物として1以上のC12~C22脂肪族アルコールが、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、およびセテアリルアルコールであり、e)の化合物としてC~C22アルコールとC12~C22脂肪酸の1以上のエステルが、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびミリスチン酸ミリスチルであり、e)の化合物として1以上のC~C22脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、およびパルミチン酸であり、e)の化合物として1以上の植物油が、オリーブ油、アーモンド油、ヒマワリ油、およびアルガン油であり、e)の化合物として1以上のシリコーンが、非アミノ化および/またはアミノ化シリコーン、ならびに/あるいはそれらの混合物である、<21>に記載の組成物。
【0154】
<23> e)群の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して1~20質量%、好ましくは2~15質量%、より好ましくは3~12質量%である、<21>または<22>に記載の組成物。
【0155】
<24> 25℃および大気圧で液体組成物であり、f)群の化合物として1以上の有機溶媒、好ましくはf)の1以上の化合物として1以上の1価、2価、および3価のアルコール、および/またはそれらの混合物を含む、<1>~<14>のいずれかに記載の組成物。
【0156】
<25> f)群の1以上の化合物が、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、およびグリセロール、ならびに/あるいはそれらの混合物である、<24>に記載の組成物。
【0157】
<26> f)群の1以上の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して75~98質量%、より好ましくは80~95質量%、さらにより好ましくは85~92質量%である、<24>または<25>に記載の組成物。
【0158】
<27> 組成物Aが、染毛用オイルである、<1>~<18>、<21>~<22>のいずれかに記載の組成物。
【0159】
<28> 組成物Aが、ペースト様粘度を有し、より好ましくは25℃および大気圧でコーンプレート粘度測定法により測定して10,000~500,000mPas、より好ましくは20,000~400,000mPas、さらにより好ましくは30,000~250,000mPasの粘度を有する、<27>に記載の組成物。
【0160】
<29> e)群の1以上の化合物の全濃度が、組成物Aの全質量に対して90質量%以下であり、好ましくは50~90質量%である、<27>または<28>に記載の組成物。
【0161】
<30> g)群の化合物として1以上の界面活性剤、好ましくは非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および/または両性/双性イオン界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択され、より好ましくはアニオン界面活性剤および/またはそれらの塩から選択される界面活性剤を含む、<1>~<29>のいずれかに記載の組成物。
【0162】
<31> g)群の1以上の化合物が、1以上のアニオン界面活性剤、好ましくはエトキシ化もしくは非エトキシ化アルキルエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルスルフェート、エトキシ化および/または非エトキシ化アルキルカルボキシレート、エトキシ化もしくは非エトキシ化アミノ酸界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの混合物、ならびに/あるいはそれらの塩から選択されるアニオン界面活性剤、C10~C22のアルキル鎖長および1~50のエトキシ化度を有する1以上のアルキルスルフェート、好ましくはエトキシ化アルキルエーテルスルフェート界面活性剤またはそれらの混合物および/またはそれらの塩、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、エトキシ化トリグリセリド、エトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化脂肪酸エステル、および/またはそれらの混合物から選択される1以上の非イオン界面活性剤、C12~C22の炭素鎖長を有する第四級アンモニウム界面活性剤、もしくは第三級アミン基とC12~C22の炭素鎖長を有する少なくとも1本のアルキル鎖を有する界面活性剤、例えばアルキルアミドアルキルアミン界面活性剤、および/またはそれらの塩、および/またはそれらの混合物から選択される1以上のカチオン性界面活性剤、ならびに1以上のベタイン型両性/双性イオン界面活性剤、ならびに/あるいはそれらの塩、ならびに/あるいはそれらの混合物である、<30>に記載の組成物。
【0163】
<32> 界面活性剤の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.1~10質量%である、<30>または<31>に記載の組成物。
【0164】
<33> 1以上の増粘ポリマー、好ましくは非イオン性増粘ポリマーおよび/またはアニオン性増粘ポリマー、ならびに/あるいはそれらの混合物から選択される1以上の増粘ポリマーを含む、<1>~<32>のいずれかに記載の組成物。
【0165】
<34> 1以上の増粘ポリマーが、非イオン性増粘ポリマー、好ましくはセルロース系ポリマー、より好ましくはメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチル-メチルセルロース、およびアルキル化ヒドロキシルセルロース、例えば(C~C)-アルキルセルロースまたはセチルヒドロキシエチルセルロース、アニオン性増粘ポリマー、好ましくは天然系アニオン性ポリマーおよび/または合成アニオン性ポリマー、より好ましくはキサンタンガム、デヒドロキサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、カルボキシメチルセルロースおよびデンプン系ポリマー、例えば植物デンプンおよび/またはそれらの合成修飾誘導体、例えばヒドロキシプロピルデンプンホスフェート、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アラビアゴム、およびグアーガム、ならびに/あるいは会合性増粘ポリマー、例えばアクリレート/ステアレス-30メタクリレートコポリマーである、<33>に記載の組成物。
【0166】
<35> 1以上の増粘ポリマーが、天然アニオン性ポリマー、より好ましくはキサンタンガムおよび/またはデヒドロキサンタンガムである、<33>または<34>に記載の組成物。
【0167】
<36> 増粘ポリマーの全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.1~15質量%、好ましくは0.25~12質量%、より好ましくは0.5~10質量%である、<33>~<35>のいずれかに記載の組成物。
【0168】
<37> 25℃、大気条件下でコーンプレート粘度測定法によって決定して1,000~25,000mPas、好ましくは2,000~20,000mPas、より好ましくは2,500~17,500mPasの粘度を有する、<33>~<36>のいずれかに記載の組成物。好適な粘度計は、スピンドル#4を用いたブルックフィールド粘度計である。
【0169】
<38> 25℃および大気圧で固体である1以上の酸化剤、より好ましくは25℃および大気圧で固体である1以上の過酸化物を含み、さらにより好ましくは金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化メラミン、過酸化尿素、および/またはそれらの混合物を含む、<1>~<37>のいずれかに記載の組成物。
【0170】
<39> 25℃および大気圧で固体である1以上の酸化剤の全濃度が、組成物Aの全質量に対して0.1~50質量%、より好ましくは0.25~40質量%、さらにより好ましくは1~30質量%である、<38>に記載の組成物。
【0171】
本開示は、下記も対象とする。
<40> ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪の染色用製品であって、
- <1>~<39>のいずれかに記載の組成物A、
- 組成物B、好ましくは1以上の酸化剤を含む組成物B
を含む製品。
【0172】
<41> 組成物Bが、pH1~6、好ましくは1.5~5、より好ましくは2~4.5を有し、過酸化水素を含む、<40>に記載の製品。
【0173】
<42> 組成物B中の過酸化水素の全濃度が、組成物Bの全質量に対して0.1~20質量%、より好ましくは0.25~15質量%、さらにより好ましくは1~12質量%である、<40>または<41>に記載の製品。
【0174】
<43> 組成物Bが、乳濁液、増粘ゲル、またはそれらの組合せであり、e)群の1以上の親油性化合物および/またはg)群の1以上の界面活性剤および/または1以上の増粘ポリマーを含む、<40>~<42>のいずれかに記載の製品。
【0175】
<44> 組成物B中のe)群の化合物の全濃度が、組成物Bの全質量に対して1~20質量%、好ましくは2%~15質量%、より好ましくは3~12質量%である、<40>~<43>のいずれかに記載の製品。
【0176】
<45> 組成物B中のg)群の化合物として1以上の界面活性剤の全濃度が、組成物Bの全質量に対して0.1~10質量%である、<40>~<44>のいずれかに記載の製品。
【0177】
<46> 組成物B中の増粘ポリマーの全濃度が、組成物Bの全質量に対して0.1~15質量%、好ましくは0.25~12質量%、より好ましくは0.5~10質量%である、<40>~<45>のいずれかに記載の製品。
【0178】
<47> 組成物Bが、25℃、大気条件下でコーンプレート粘度測定法により決定して、好ましくはスピンドル#4を用いたブルックフィールド粘度計で測定して1,000~25,000mPas、好ましくは2,000m~20,000mPas、より好ましくは2,500~17,500mPasの粘度を有する、<40>~<46>のいずれかに記載の製品。
【0179】
<48> 組成物AおよびBの混合質量比が、1:1~1:20、好ましくは1:2~1:15、より好ましくは1:4~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:10である、<40>~<47>のいずれかに記載の製品。
【0180】
<49> 組成物Bが、1以上のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩、好ましくは下記の一般構造のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩を含む、<40>~<48>のいずれかに記載の製品
【0181】
【化4】
[式中、R、R、およびRは、H、1個のヒドロキシル基で置換されていてよい直鎖状C~Cアルキル、または分枝状C~C12アルキルもしくはアルカノールから独立的に選択され、R、R、またはRの少なくとも1つはHとは異なり、Y-はアニオンである]。
【0182】
<50> アニオンY-が、スルフェート、ヒドロクロリド、クロリド、ヒドロブロミド、ブロミド、ニトレート、ホスフェート、ヒドロゲンホスフェート、ジヒドロゲンホスフェート、メトスルフェート、シトレート、スクシネート、タートレート、ラクテート、トシレート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、アセテート、および/またはそれらの混合物である、<49>に記載の製品。
【0183】
<51> 1以上のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩が、モノおよび/またはジエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-ラウリルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソブタノールアミン、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ならびに/あるいはそれらの混合物の塩であり、より好ましくはモノおよび/またはジエタノールアミン塩、ならびに/あるいはそれらの混合物である、<49>または<50>に記載の製品。
【0184】
<52> 組成物B中のアルキルアミン塩またはアルカノールアミン塩の全濃度が、組成物Bの全質量に対して0.1~15質量%、好ましくは0.2~12質量%、より好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは0.5~8質量%である、<49>~<51>のいずれかに記載の製品。
【0185】
本開示は、下記も対象とする。
<53> ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色する方法であって、
i)<1>~<39>のいずれかに記載の組成物Aを水性組成物、好ましくは<40>~<52>のいずれかに記載の組成物Bと混合して、pH7~12を有する用時調製組成物を得るステップ、
ii)前記用時調製組成物をケラチン繊維に塗布し、それを1~60分間放置するステップ、
iii)ケラチン繊維を任意にすすぎ流し、ケラチン繊維を任意に乾燥するステップ
を含む方法。
【0186】
<54> 用時調製組成物が、ステップii)において定義されたように、ケラチン繊維に塗布され、好ましくは1~60分間、より好ましくは5~45分間、さらにより好ましくは10~35分間放置される、<53>に記載の方法。
【0187】
<55> 組成物Aまたは用時調製組成物をケラチン繊維上に放置している間に熱を、好ましくは30~50℃の温度範囲で加える、<53>または<54>に記載の方法。
【0188】
<56> ステップi)における組成物AおよびBの混合質量比が、1:1~1:20、好ましくは1:2~1:15、より好ましくは1:4~1:12、さらにより好ましくは1:5~1:10である、<53>~<55>のいずれかに記載の方法。
【0189】
以下の例は、本発明を例示するものであって、限定するものではない。
【実施例
【0190】
【表1】
【0191】
組成物B
質量%
過酸化水素 4.5
リン酸 pH2.0になるまで添加
水 100.0になるまで添加
【0192】
方法
組成物およびそれらの貯蔵
通常の混合方法によって、ボールミル中でアルミナセラミック粉砕ボール(Turbula、System Schatz、W.A.Bachofen AG社、Maschinenfabrik Schweiz)を用いて、表1の組成物を調製した。調製直後に、染色実験を、以下に詳述するように実施した。
【0193】
染毛
表1の組成物Aのそれぞれと組成物Bを1:10の質量比で混合して、pH9.5~10.0を有する用時調製組成物を調製した。
【0194】
パーマをかけたヤギ毛髪流(21cm、1束当たり2g)を、上記の用時調製の染色用組成物2gで、調製直後に40℃で20分間処置した。次いで、毛髪流をすすぎ流し、乾燥した。比色データは、色差計(Datacolor600)を用いてCIE表色系(L*,a*,b*)で得た。色差(ΔE)を次式によって計算した。
【0195】
【数1】
【0196】
洗毛堅牢度
ヤギ毛毛束(21cm、1束当たり2g)を、毛束当たり2gのパーマ剤(販売名Goldwell Structure and Shineで市販)でパーマをかけた。その後、パーマを3質量%の過酸化水素溶液で20分間室温にて固定した。毛束を上記のプロトコルに従って染色した。染色した毛束に、シャンプー(販売名Goldwell Deep Cleansing Shampooで入手可能)を塗布し、ぬるま湯で30秒間泡立てた。次いで、毛束をすすぎ流した。これらのステップを20回繰り返した。処置後、毛束をブローして乾燥し、残っている色を測定した。染色直後の毛束と20回洗浄後の毛束の色差として、ΔΔEを計算した。
【0197】
結果
1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンスルフェートとp-フェニレンジアミンの質量濃度差は、等モル濃度(0.01mol)を使用しながらそれらのモル質量差のために生じた。その結果、1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼン(本発明実施例1および2)は、p-フェニレンジアミン(比較例1および2)と比べて、よりよい堅牢度を有した。
【0198】
【表2】
【0199】
組成物B
質量%
過酸化水素 4.5
モノエタノールアミンスルフェート 2.0
リン酸 pH2.0になるまで添加
水 100.0になるまで添加
【0200】
方法
組成物およびそれらの貯蔵
通常の混合方法によって、ボールミル中でアルミナセラミック粉砕ボール(Turbula、System Schatz、W.A.Bachofen AG社、Maschinenfabrik Schweiz)を用いて、表2の組成物を調製した。調製直後に、以下に詳述するように染色実験を実施した。
【0201】
染毛
表2の組成物Aのそれぞれと組成物Bを1:10の質量比で混合して、pH9.5~10.0を有する用時調製組成物を調製した。ヤギ毛毛束(10cm、1束当たり0.8g)を、以上からの用時調製の染色用組成物1.4gで、調製直後または25℃で30分貯蔵した後に40℃で30分間処置した。次いで、毛束をすすぎ流し、乾燥した。比色データは、色差計(Datacolor600)を用いてCIE表色系(L*,a*,b*)で得た。色差(ΔE)を次式によって計算した。
【0202】
【数2】
【0203】
結果
上記の組成物(本発明実施例3~5)は、用時調製混合物の調製直後および用時調製混合物の貯蔵30分後に、優れた染色性能を有した。
【0204】
【表3】
【0205】
組成物B
質量%
過酸化水素 3
モノエタノールアミン 2.5
10%硫酸 pH<3.0になるまで添加
水 100.0になるまで添加
【0206】
方法
組成物およびそれらの貯蔵
通常の混合方法によって、表3の組成物を調製した。調製直後に、染色実験を、以下に詳述するように実施した。
【0207】
染毛
表3の組成物Aのそれぞれと組成物Bを1:10の質量比で混合して、pH9.5~10.0を有する用時調製組成物を調製した。ヤギ毛毛束(21cm、1束当たり2g)を、以上からの用時調製の染色用組成物1.4gで、調製直後に40℃で30分間処理した。次いで、毛束をすすぎ流し、乾燥した。比色データは、色差計(Datacolor600)を用いてCIE表色系(L*,a*,b*)で得た。色差(ΔE)を次式によって計算した。
【0208】
【数3】
【0209】
洗毛堅牢度試験:
上記の方法で染色した乾燥ヤギ毛毛束(健常毛髪)の初期色は、色差計(Datacolor600)を用いて標準試料として測定される。翌日に、毛束を、後述する洗浄手順に従って洗浄した。色差計(Datacolor600)を用いて、これらの洗浄乾燥後の毛束を試験試料として、対応する標準試料と比べて測定した。ΔΔEは、標準試料と試験試料の色差として計算した。
【0210】
洗浄手順
洗浄溶液を以下の通り調製した。5%(w/w)のラウレス硫酸ナトリウム70%(原料)を脱塩水に溶解し、そのpHをクエン酸(2Lにつき約0.1g)で5.2±0.2に調整した。水浴を30℃に調整した。各毛束について、ガラス瓶を90mLの界面活性剤溶液で満たし、溶液を振盪浴中で30℃に約10分間平衡化した。平衡化後、準備した毛束をガラス瓶に入れ、毛束を水浴中100rpmで20分間インキュベートした。曝露時間が完了した後、毛束を、親指と人差し指で絶え間なく擦りながら水道水(約30℃)で約30秒間徹底的にすすいだ。濡れた毛束を櫛ですき、室温でおよそ一晩乾燥した。
【0211】
結果
組成物(本発明実施例6)は優れた染毛性を有し、染色した毛束は高い洗毛堅牢度を有した。比較例3は、高い洗毛堅牢度を示したが、それ自体では染毛性が劣っていた。比較例4は、洗毛堅牢度が劣っていた。
【0212】
以下の例は本発明の範囲内に入る。
【0213】
本発明実施例7
組成物A
質量%
1,4-ジアミノ-2-メトキシメチル-ベンゼンスルフェート 0.097
5-アミノ-6-クロロ-o-クレゾール 0.1
2-メチルレゾルシノール 0.1
HC青18 0.05
HC赤18 0.08
HC黄16 0.02
リン酸三ナトリウム 55.0
トウモロコシデンプン 100.0になるまで添加
【0214】
組成物Bは、表2に記載の通りである。組成物A:Bの混合質量比は1:10である。
【国際調査報告】