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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】直接熱交換フィル
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/00 20060101AFI20240905BHJP
   F28C 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F28F25/00
F28C1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519531
(86)(22)【出願日】2022-10-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022045531
(87)【国際公開番号】W WO2023056090
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/251,271
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/251,284
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/958,812
(32)【優先日】2022-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518276368
【氏名又は名称】エバプコ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Evapco, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ネビンズ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ハーウィグ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ママート,イライザ
(57)【要約】
フィルシート、及び、冷却塔内の冷却媒体を冷却するための複数のフィルシートから製造されるフィルパックであって、各フィルシートは、任意に微細構造を有し、前記フィルシートは、前記フィルパックを形成するために前記フィルシートが互いに積み重ねられるときにスペーサとして機能する一対の楕円形突起及び窪みを有する、及び/又は、前記フィルシートの縦軸に対して平行な連続波を画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却塔内の冷却媒体を冷却するためのフィルシートであって、
第1端部と、第2端部と、第1側部と、第2側部とを備え、
前記第2端部は、前記第1端部に対して実質的に平行に且つ水の移動に関する垂直軸に対して略垂直に延び、
前記第1端部及び前記第2端部は、前記フィルシートの横軸に実質的に平行に延び
前記第1側部及び前記第2側部は、前記第1側部に実質的に平行に且つ前記垂直軸に略平行に延び、
前記第1側部及び前記第2側部は、前記第1端部及び前記第2端部を接続し、
前記第1端部、前記第2端部、前記第1側部、及び前記第2側部は、第1面及び第2面を画定し、
前記第1面及び前記第2面は、互いに鏡像であり、
前記フィルシートの前記第1面は、前記フィルシートを横切って複数列に配列された複数の第1面楕円形突起及び第1面楕円形窪みを有し、
前記第1面楕円形突起の各々は、前記第2面上の第2面楕円形窪みに対応し、
前記第1面楕円形窪みの各々は、前記第2面上の第2面楕円形突起に対応する、
フィルシート。
【請求項2】
前記第1面楕円形突起及び窪みは、対をなして配置され、
前記対の各々は、単一の第1面楕円形突起と単一の第1面楕円形窪みとを有する、
請求項1に記載のフィルシート。
【請求項3】
前記第1面楕円形突起及び窪みの各々は、前記フィルシートを横切る空気の進行方向と平行な長軸を有する、請求項1に記載のフィルシート。
【請求項4】
前記第1面楕円形突起及び窪みの全てが、水平方向から+15度以下である同じ角度で整列された長軸を有する、請求項1に記載のフィルシート。
【請求項5】
前記第1面楕円形突起及び窪みの全てが、水平方向から-15度以下の同じ角度で整列された長軸を有する、請求項1に記載のフィルシート。
【請求項6】
前記第1面楕円形突起の各々は、その対をなす第1面楕円形窪み、及び、水平方向及び垂直方向に隣接する第1面楕円形突起の各々と比較して、水平方向に対して上下逆方向に向いている、請求項2に記載のフィルシート。
【請求項7】
前記第1面楕円形突起の全てが、水平方向から+15度以下と同じ角度で整列された長軸を有し、前記第1面楕円形窪みの全てが、水平方向からマイナス15度以下と同じ角度で整列された長軸を有する、請求項1に記載のフィルシート。
【請求項8】
パック内を実質的に水平方向に流れる気体で前記パック内を流れる流体を冷却するためのフィルパックアセンブリであって、請求項1~7のいずれか1つに記載の複数の同一のフィルシートを備え、前記複数のフィルシートは、隣接するシートの隣接する面の楕円形突起が互いに接触するように配置されている、フィルパックアセンブリ。
【請求項9】
冷却塔で冷却媒体を冷却するためのフィルシートであって、
第1端部と、第2端部と、第1側部と、第2側部とを備え、
前記第2端部は、前記第1端部に対して実質的に平行に且つ水の移動に関する垂直軸に対して略垂直に延び、
前記第1端部及び第2端部は、前記フィルシートの横軸に対して実質的に平行に延び、
前記第1側部及び前記第2側部は、前記第1側部に対して実質的に平行に且つ前記垂直軸に対して略平行に延び、
前記第1側部及び前記第2側部は、前記第1端部及び前記第2端部を接続し、
前記第1端部、前記第2端部、前記第1側部、及び前記第2側部は、第1面及び第2面を画定し、
前記第1面及び前記第2面は、互いに鏡像であり、
前記フィルシートは、空気の流れ方向に対して平行な方向に延びる連続波を更に画定する、フィルシート。
【請求項10】
前記連続波は、3インチ~6インチの周期及び0.05インチ~0.5インチの振幅を有する、請求項9に記載のフィルシート。
【請求項11】
前記連続波は、4インチ~5.5インチの周期及び0.1インチ~0.35インチの振幅を有する、請求項9に記載のフィルシート。
【請求項12】
前記連続波は、4.7インチの周期及び0.2インチの振幅を有する、請求項9に記載のフィルシート。
【請求項13】
表面に形成された楕円形のスペーサを有する、請求項9~12のいずれか1つに記載のフィルシート。
【請求項14】
パック内を実質的に水平方向に流れる気体で前記パック内を流れる流体を冷却するためのフィルパックであって、請求項9~13のいずれか1つに記載の複数の同一のフィルシートを備える、フィルパック。
【請求項15】
前記複数のフィルシートは、隣接するシートの隣接する面の楕円形突起が互いに接触するように配置されている、請求項14に記載のフィルパック。
【請求項16】
請求項1~7及び9~13のいずれか1つに記載の複数のフィルシートを備えるクロスフロー冷却塔であって、
前記複数のフィルシートは、直接熱交換部に個別に吊り下げられているか、フィルパックの形態で前記直接熱交換部に吊り下げられているか、又はフィルパックの形態で前記直接熱交換部に冷却塔構造体によって下方から支持されている、
クロスフロー冷却塔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接熱交換フィル及びフィルパックに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、産業界でよく知られており、ある媒体から別の媒体へ効率的に熱を伝達するようにデザインされている。多くの種類及びサイズの熱交換器が存在する。特定の種類の熱交換器は、冷凍、空調、化学プラント、石油精製、発電所などの用途に応じて通常選択される。
【0003】
冷却塔は、廃熱を大気中に移動させるために使用される。この冷却は、廃熱を除去するために水の蒸発を引き起こし、湿球空気温度近くまで水を冷却する。図1には、熱源から受け取った温水から廃熱を除去するために使用される冷却塔の一種が示されている。熱源からの温水は、塔の上部の配水システム(加圧式配水システム又は重力式配水システム)に送られる。水は、通常、大きなオリフィスノズルによって、水分散媒体又は「フィル(fill)」上に分散される。同時に、空気は、塔の側部にある吸気口ルーバーから吸引され、落下する水と共に、クロスフロー配置でフィル内を水平に移動する。暖かく湿った空気は、ファンによって冷却塔の上部に吸い上げられ、大気に排出される。冷却された水は、塔の底部の水槽に排出され、熱源に戻される。
【0004】
水分散媒体又は「フィル」は、典型的には、吊り下げ型のフィルとして個別に設置されるか、又は吊り下げフィルパック、又は下方から支持されるフィルパックを製造するために互いに接着される複数のシートを備える。吊り下げ型のフィルの場合、フィルシートの上部付近には、レールを受け入れるため、又は、レールに取り付けられるための穴が開けられ、フィルシートがレールの長さに沿って間隔を空けて配置される。これにより、個々のフィルシートは、穴の下方では引張荷重を受けるが、レールとシートとの界面では圧縮荷重を受ける。底部支持型のフィルの場合、複数のシートが、フィルの剛体ブロック(「フィルパック」)に一緒に固定され、塔内の支持構造物の上に置かれる。図1に示すタイプのクロスフロー冷却塔において、各フィルシートは、水と空気との混合を促進するために様々な種類の表面特徴を有する熱可塑性材料の概ね平坦なシートである。これらの熱交換シートは、真空下で熱可塑性材料のシートを熱成形することによって製造される。隣接するフィルシートは、一体的に形成されたコブ又は「スペーサ」によって、水及び空気の通路を形成するために互いに分離される。
【0005】
冷却塔の性能は、特定の周囲条件下で所定の運転温度まで冷却可能な水又は他の冷却流体の量によって特徴付けられる。この冷却を達成するために、水は、冷却塔のフィルに噴霧され、空気流に曝され、それによって水の小部分の空気中への蒸発が起こり、残りの水が冷却される。冷却塔内で発生する蒸発量を増加させることによって、冷却塔の全体的な性能も増加又は改善され得る。この蒸発の大部分はフィル内で発生するため、フィルのデザインの変更は、冷却塔が運転中に達成可能な冷却量に大きな影響を与え得る。具体的には、冷却塔のフィルの変更によって、所定の空気流量に対するフィル全体の圧力損失を低減するか又はフィルの熱性能を改善することにより、冷却塔の性能がより向上する。フィルを横切る圧力損失を減少させることによって、塔を通過する空気流に対する抵抗が減少し、同じファン出力でより多くの空気が水膜上を通過できるようになり、それにより蒸発量が増加する。フィルの熱性能を向上させるために、空気と水との混合を増加させ、空気と水との界面の状態を改善することによって、空気中への水の蒸発量を増加させることができる。しかしながら、空気の混合を生じさせるには、通常、フィル全体の圧力降下も増大させるフィルの変更が必要であり、混合への影響を最小限に抑えながら既存のデザインよりも圧力降下を低減できるフィルのデザイン、又は同等以下の圧力降下を必要とする混合方法の改善が必要である。
【0006】
クロスフロー塔で使用されるフィルムフィルの場合、全てのフィルが専用の熱伝達領域を含むが、フィルの排気口付近の一体型ドリフトエリミネータ及び/又はフィルの吸気口付近の一体型ルーバー部を含むものもある。フィルの伝熱面積は、フィル全体の圧力降下を低く維持しながら、フィルの表面に水が広がって空気との接触を増加させるために大きな表面積を提供し、フィルを通って流れるように空気を混合し、シート上を流れるように水膜を混合することによって、フィルの熱性能に対して責任を負う。
【0007】
バルク水の大部分は、フィルムフィルの表面に付着するが、水の一部は、ドリフトとして知られている小さな水滴を形成し、排気口を通じてフィルから流出する。ドリフトは、システムからの水又は他の冷却流体の損失を意味し、水又は他の冷却流体の損失には、それ自体及び冷却流体内に含まれる処理化学物質の両方の補充コストがかかるため、望ましくない。また、ドリフトは、循環水や流体に存在する化学物質、塩類、バクテリアなどを含んでいる可能性があるので、周囲の機器や環境にも悪影響を及ぼす可能性がある。クロスフロー塔のフィルムフィルの場合、ドリフト液滴を捕捉して冷却塔から流出することを抑えるために、シートの排気口側にドリフト除去機能が含まれることがある。これはドリフトエリミネータと呼ばれ、一体型ドリフトエリミネータ(「ID」)で構成されることがある。クロスフローフィルムフィルの場合、チューブドリフトエリミネータとブレードドリフトエリミネータとの2種類のドリフトエリミネータがある。一般に、チューブドリフトエリミネータは、隣接するシートのドリフト波形を合わせることによって、フィルのIDセクションに形成される角度のあるチューブである。水滴が気流に巻き込まれて当該チューブに入ると、水滴の勢いによって、気流がIDの角度のあるチューブに沿って方向を変えながらチューブ壁に衝突する。一体型チューブドリフトエリミネータの入口には、一体型ドリフトエリミネータの表面に溜まった水をフィルから下部の受け皿に排出させるとともに、底部支持型のフィルに対して垂直方向に構造的支持を提供するため、垂直溝が設けられるのが一般的である。一体型ブレードドリフトエリミネータのデザインは、フィルの排気口付近に垂直方向に大きなリッジを生成し、気流の方向を変えることによって、ドリフトの除去を達成する。一体型ドリフトエリミネータの入口において、水滴の勢いが、隆起壁に衝突し、気流からドリフトを除去する。エリミネータのリッジの前又は後には、リブやスペーサなどの他の構造的特徴が含まれ、運転中にシートが分離された状態を維持して、フィル及び/又はシート、並びに組み立てられたフィルパックを補強する。
【0008】
フィルの吸気口においては、水がフィルの前面から飛散するのを抑えるために、一体型ルーバーがフィルのデザインに含まれることがある。これらの一体型ルーバーは、通常、フィル内に突出するにつれて下方に角度をなす波形で構成され、水が流れ落ちる傾斜面を提供し、それによって水又は他の冷却流体がフィルの前面に到達するのを抑える。各シートの波形は、チューブを形成するように組み合わされてもよいし、デザインに付加されたシートスペーサ機能によって、隣接するシートの波形と平行のままであってもよい。
【発明の概要】
【0009】
本明細書においては、クロスフロー冷却塔における熱交換を改善するために、別々に又は互いに組み合わせて使用可能なクロスフローフィルに対する2つの発明的改良が提示されている。本明細書で提示される第1発明は、積層フィルシートを互いに分離するためにスペーサを使用する前述のフィル構造(その基本的な構造、製造、及び組立を組み込んでいる)に対する改良であるが、一体的に形成されるスペーサは、楕円形である。好適な実施形態によれば、楕円形のスペーサは、複数の対で配置され、当該複数の対は複数のスペーサ列でフィルシートを横切って間隔を空けて配置される。楕円形のスペーサの各対は、フィルシートの平面に対して垂直な一方向に形成された一方のスペーサと、フィルシートの平面に対して垂直な反対方向に形成された他方のスペーサとを含み、その結果、どのような視点からみても、一方のスペーサは、フィルシートに押し込まれた「雌スペーサ」となり、他方のスペーサはフィルシートからはみ出した「雄スペーサ」となる。
【0010】
シートが互いに積み重ねられると、隣接するシートの対向面の雄スペーサが互いに整列して接触し、2つの雄スペーサの高さに相当する空間がフィルシート間に形成されるように配置される。
【0011】
楕円形のスペーサの発明の様々な実施形態によれば、a)楕円形のスペーサの長軸は、全て水平に配置され、空気は、フィルシートを概ね真っ直ぐに通過し、b)フィルシートの一方の側にある楕円形のスペーサの長軸は、上方に傾く方向と下方に傾く方向に交互に配置され、フィルシートの一方の側の空気は、上方に強制され、次いで下方に強制され、次いで上方に強制され、次いで下方に強制されるなどし、同じフィルシートの反対側の空気は、下方に強制され、次いで上方に強制され、次いで下方に強制され、次いで上方に強制されるなどし、c)フィルシートの一方の側の楕円形のスペーサの長軸は、全て上方又は下方に傾き、d)空気はフィルシートを横切る際に連続的に上方に強制されるか、又はe)空気は、フィルシートを横切る際に連続的に下方に強制される。
【0012】
本明細書で提示される第2発明は、フィルシートが気流の方向に平行な下層の波を特徴とする前述のフィル構造に対する改良(しかしながら、その基本的な構造、製造、及びアセンブリを組み込んでいる改良)である。本発明の波状のフィルシートは、底部から支持されたときの機械的に接着されたパックの構造的性能を向上させる。平坦なシートにプレスされた微細特徴を特徴とするクロスフローフィルシートと比較して、本発明の波状のフィルシートは、フィルシートの曲げ剛性及び座屈荷重を高める。波状のシートは、先行技術のスペーサ又は本明細書における第1発明に係る楕円形のスペーサを介して隣接シート間の間隔を一定に維持するが、波状の形状は、乱流を誘発し、空気-水接触及び熱効率を高める。波状の周期及び振幅は、圧力損失の増加対熱効率の増加のバランスをとるように最適化することができる。好適な実施形態によれば、波形の周期は、4~5"、より好ましくは4.7 "であり、振幅は、0.1"~0.3"、より好ましくは0.2"である。
【0013】
従って、本発明によれば、冷却塔の冷却媒体を冷却するためのフィルパックに組み立てるためのフィルシートであって、第1端部と、第2端部と、第1側部と、第2側部とを備え、第2端部は、第1端部に対して実質的に平行に且つ水の移動に関する垂直軸に対して略垂直に延び、第1端部及び第2端部は、フィルシートの横軸に対して実質的に平行に延び、第1側部及び第2側部は、第1側部に対して実質的に平行に且つ垂直軸に略平行に延び、第1側部及び第2側部は、第1端部及び第2端部を接続し、第1端部、第2端部、第1側部、及び第2側部は、互いに鏡像である第1面及び第2面を画定し、フィルシートの第1面は、フィルシートを横切って複数の列に配置された複数の第1面楕円形突起及び第1面楕円形窪みを備え、第1面楕円形突起の各々は、第2面上の第2面楕円形窪みに対応し、第1面楕円形窪みの各々は、第2面上の第2面楕円形突起に対応する、フィルシートが提供される。
【0014】
本発明によれば、第1面楕円形突起及び窪みが対になって配置され、当該対の各々が単一の第1面楕円形突起及び単一の第1面楕円形窪みを有する、フィルシートが更に提供される。
【0015】
本発明によれば、第1面楕円形突起及び窪みの各々が、フィルシートを横切る空気の移動方向と平行な長軸を有する、フィルシートが更に提供される。
【0016】
本発明によれば、第1面楕円形突起及び窪みの全てが、水平方向から+15度以下と同じ角度で整列された長軸を有する、フィルシートが更に提供される。
【0017】
本発明によれば、第1面楕円形突起及び窪みの全てが、水平方向から-(マイナス)15度以下の同じ角度で整列された長軸を有する、フィルシートが更に提供される。
【0018】
本発明によれば、パック内を実質的に水平方向に流れる気体でパック内を流れる流体を冷却するためのフィルパックアセンブリであって、上記のいずれかの構成による複数の同一のフィルシートを備え、複数のフィルシートは、隣接するシートの隣接する面の楕円形突起が互いに接触するように配置されている、フィルパックアセンブリが更に提供される。
【0019】
本発明によれば、冷却塔の冷却媒体を冷却するためのフィルパックに組み立てるためのフィルシートであって、第1端部と、第2端部と、第1側部と、第2側部とを備え、第2端部は、第1端部に対して実質的に平行に且つ水の移動に関する垂直軸に対して略垂直に延び、第1端部及び第2端部は、フィルシートの横軸に対して実質的に平行に延び、第1側部及び第2側部は、第1側部に対して実質的に平行に且つ垂直軸に対して略平行に延び、第1側部及び第2側は、第1端部及び第2端部を接続し、第1端部、第2端部、第1側部、及び第2側部は、第1面及び第2面を画定し、第1面及び第2面は、互いに鏡像であり、フィルシートは、空気の流れ方向に対して平行な方向に延びる連続波を更に画定する、フィルシートが更に提供される。
【0020】
本発明によれば、連続波は、3インチ~6インチの周期及び0.05インチ~0.5インチの振幅を有する、フィルシートが更に提供される。
【0021】
本発明によれば、連続波は、4インチ~5.5インチの周期及び0.1インチ~0.35インチの振幅を有する、フィルシートが更に提供される
【0022】
本発明によれば、更に、前記連続波は、4.7インチの周期及び0.2インチの振幅を有する、フィルシートが提供される。
【0023】
本発明によれば、表面に形成された楕円形のスペーサを有する、フィルシートが更に提供される。
【0024】
本発明によれば、パック内を実質的に水平方向に流れる気体でパック内を流れる流体を冷却するためのフィルパックであって、上述の連続波を有する複数の同一のフィルシートを備える、フィルパックアセンブリが更に提供される。
【0025】
本発明によれば、複数のフィルシートは、隣接するシートの隣接する面の楕円形突起が互いに接触するように配置されている波を特徴とするフィルシートを備える、フィルパックアセンブリが更に提供される。
【0026】
本発明によれば、一体的に形成されたドリフトエリミネータ及び/又は一体的に形成された吸気口ルーバーを有する、本明細書に記載のフィルシートが更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】クロスフロー冷却塔の側面概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る単一のフィルシートの正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る単一のフィルシートの斜視図である。
図4図3の実施形態の拡大斜視図である。
図5図3の実施形態の更なる拡大斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るフィルシートのスタックの左上角部の斜視図である。
図7図6に示すフィルシートのスタックの右上角部の斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るフィルシートのスタックの斜視図である。
図9図8の実施形態の拡大斜視図である。
図10図8の実施形態の更なる拡大斜視図である。
図11】スペーサが全て水平で且つ空気流に対して平行に配向されている本発明の第1実施形態を表す概略図である。
図12】本発明の第2実施形態を表す概略図である。
図13】本発明の第3実施形態を表す概略図である。
図14】本発明の第4実施形態を表す概略図である。
図15】本発明の第5実施形態を表す概略図である。
図16】別の本発明に係る単一のフィルシートの正面図である。
図17図16の本発明に係る単一のフィルシートの左上角部の斜視図である。
図18図17の実施形態の側面図である。
図19図16の本発明に係るフィルシートのスタックの斜視図である。
図20図19の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
例えば図2図10を参照すると、本発明は、個別に吊り下げられたフィルシート202、又は、積層され且つ係合された同一で複数のフィルシート202で構成されたフィルパック200の形態のクロスフロー型水分散媒体に向けられている。各シート202は、概ね垂直に延びる垂直軸204と、フィルシート202に対して概ね水平に延びる水平軸206とを画定する。軸204,206に関する「垂直」及び「水平」という用語の使用は、本発明の構造の説明の目的のための恣意的なものであり、使用における本発明の方向を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。従って、本発明又はその使用を限定することなく、本発明のフィルパック200は、通常、垂直軸204が標準的なクロスフロー冷却塔における水の移動方向に対して平行であるとともに、水平軸が空気の移動方向に対して平行であるように、標準的なクロスフロー冷却塔に配向される。
【0029】
標準的なクロスフロー冷却塔の観点から本発明の説明を続けると、水は、シート202の第1端部208aと第2端部208bとの間の垂直軸204に概ね沿ってフィルパック200を通じて流れる。フィルシート202の第1端部208a及び第2端部208bは、第1側部208c及び第2側部208dによって結合されている。空気は、第1側部208cと第2側部208dとの間の水平軸206に概ね沿ってフィルパック200を通過する。第1端部208aは、第2端部208bに対して実質的に平行に延びるとともに縦軸204に対して概ね垂直に延びる。第1端部208a及び第2端部208bは、横軸206に対して実質的に平行に延びる。各フィルシートは、好ましくは熱可塑性材料、例えばPVC、CPVC、HPVC、又はポリプロピレンから製造され、好ましくは0.010~0.025インチ(10ミル~25ミル)、より好ましくは0.012~0.020インチ(12ミル~20ミル)の厚さを有する。
【0030】
フィルシートの表面は、平滑及び/又は特徴のないものであってもよいし、シートの表面を横切ってジグザグ(例えば、ヘリンボーン)パターンで延びる微小リッジ及び谷のような表面特徴210を有してもよい。非限定的な例として、図に示す実施形態は、シートの面を横断する交互の斜めの小さな波形の形態の微細構造を有する。本発明のフィルシートは、吸気口側に一体的に形成された吸気口ルーバー216及び/又は排気口側に一体的に形成されたドリフトエリミネータ218を含む。
【0031】
各フィルシート202は、その上に、シートの主面(第1端部208a、第2端部208b、第1側部208c、及び第2側部208dによって画定される平面)から延びる楕円形の突出部の形態で一体的に形成された複数のスペーサ212を有する。楕円形のスペーサは、好ましくは対で配置され、当該対はフィルシートを横切って複数の列で間隔を空けて配置される。楕円形のスペーサの各対は、フィルシートの平面に垂直な一方向に形成された一方のスペーサと、フィルシートの平面に垂直な反対方向に形成された他方のスペーサとを含み、その結果、どのような視点から見ても、一方のスペーサはフィルシートに押し込まれた「雌スペーサ」(212a)となり、他方のスペーサはフィルシートからはみ出した「雄スペーサ」(212b)となる。フィルシートの一方の側から見た各雄スペーサは、同じシートの反対側から見ると雌スペーサとなる。逆に、フィルシートの一方の側から見た各雌スペーサは、同じシートの反対側から見ると雄スペーサとなる。
【0032】
スペーサ212の楕円形の好ましいアスペクト比(短軸の長さに対する長軸の長さの比)は2:1であるが、4:1から1.5:1の間の任意のアスペクト比が同様の利点を提供すると理解され、従って本発明の範囲内であると考えられる。
【0033】
「A」及び「B」のフィルシート202が、それらの上部を合わせて互いに積み重ねられると、隣接する「A」及び「B」のシートの対向面の雄スペーサ212bが互いに整列して接触し、2つの雄スペーサの高さに相当する空間をフィルシート間に形成する。
【0034】
楕円形のスペーサの発明の様々な実施形態によれば、a)楕円形のスペーサの長軸は、全て水平に配置されてもよい。この場合、空気は、フィルシートを概ね真っ直ぐに通過する。例えば、単一のフィルシートの最初の3列のスペーサの2組が表されている図11を参照(図4の視野と同様)。図11だけでなく、図12図15においても、青い楕円は、フィルシートの一方の側の雄スペーサ(シートの平面から、読取装置に向かって延びている)を表し、赤い楕円は、雌スペーサ(すなわち、同じフィルシートの裏側の雄スペーサであり、フィルシートの平面内に向かって、読取装置から離れるように延びている)を表す。別の実施形態によれば、b)フィルシートの一方の側にある楕円形のスペーサの長軸は、上方に傾く方向と下方に傾く方向とに交互に配置されてもよい。例えば、図12を参照。この実施形態によれば、フィルシートの一方の側の空気は、上方に強制され、次いで下方に強制され、次いで上方に強制され、次いで下方に強制されるなどし、同じフィルシートの反対側の空気は、下方に強制され、次いで上方に強制され、次いで下方に強制され、次いで上方に強制されるなどする。更なる実施形態によれば、c)フィルシートの一方の側の楕円形の雄スペーサの長軸は、全て上方に傾いていてもよく、フィルシートの反対側の楕円形の雄スペーサの長軸は、全て下方に傾いていてもよい。例えば、図13を参照。青色の楕円は、フィルシートの一方の側の楕円形のスペーサを表し、赤色の楕円は、同じフィルシートの裏側の楕円形のスペーサを表す。更に別の実施形態によれば、d)フィルシートの両側の楕円形の雄スペーサの全ての長軸は、上方に傾いていてもよい。この場合、空気は、フィルシートを横切る際に連続的に上方に強制される。例えば、図14を参照。更に別の実施形態によれば、e)フィルシートの両側の楕円形の雄スペーサの全ての長軸は、下方に傾いていてもよい。この場合、空気は、フィルシートを横切る際に連続的に下方に強制される。例えば、図15を参照。
【0035】
上述した本発明によれば、楕円形のスペーサ212の空気力学的形状は、典型的な円形のスペーサと比較して抗力係数及び関連する圧力降下を低減する。低減された圧力降下は、より高い熱的能力をもたらす。
【0036】
楕円形のスペーサ212が全てフィルシートの水平軸に対して平行に整列される実施形態によれば、フィルパックは、冷却塔に設置されたときに楕円形のスペーサの長軸が気流に対して実質的に平行になるように整列され得る。フィルパックを通る気流の混合を向上させるために楕円形のスペーサが水平に対して角度をなして配置される他の実施形態によれば、抗力係数を最小にするために、スペーサの長軸が水平に対して15度を超えないように配置されることが好ましい。
【0037】
好適な実施形態によれば、隣接するシート上の対向する雄スペーサ212bは、種々の公知の方法、例えば、溶剤接着剤、超音波溶接等に従って互いに接着されてもよい。
【0038】
第1発明について上述したが、以下では本明細書に提示する第2発明について説明する。本明細書に提示される第2発明は、各フィルシート202が気流の方向に対して平行な波長を有する連続波214を画定する、フィルシート202及びフィルパック200である。例えば、図16~20を参照。フィルシート202は、本明細書の第1発明に関して説明したように、楕円形のスペーサ212を含んでもよい。フィルシート202は、円形のスペーサ、又は他の形状のスペーサを含んでもよい。いずれにせよ、スペーサは、上述したように、シートの平面に対して垂直な第1及び第2方向に押圧された対で形成され、当該対は、一連の列でシートを横切って下方へ配置されてもよい。
【0039】
本発明の波形のフィルシートは、底部から支持されたとき、機械的に接合されたパックの構造的性能を増大させる。平坦なシートから作成されたクロスフローフィルシートと比較して、本発明の波形のフィルシートは、フィルシートの曲げ剛性及び座屈荷重を向上させる。波形のシートは、スペーサ(従来技術のスペーサ又は本明細書の第1発明に係る楕円形のスペーサであってもよい)を介して隣接するシート間の間隔を一定に維持するが、波形状は、乱流を誘発し、空気と水との接触及び熱効率を高める。波形状の周期及び振幅は、圧力損失の増加対熱効率の増加のバランスをとるように最適化されてもよい。好適な実施形態によれば、波形の周期は、3インチ~6インチ、好ましくは4インチ~5.5インチ、より好ましくは4.7インチであり、振幅は、0.05インチ~0.5インチ、好ましくは0.1インチ~0.35インチ、より好ましくは0.2インチである。
【0040】
当業者には、その発明の概念から逸脱することなく、上述した好適な実施形態に変更を加え得ることが理解されるであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示に概説され、本明細書に照らして読まれる後続の特許請求の範囲の最も広い合理的な読解に従って定義される本発明の精神及び範囲内の変更をカバーすることが意図されることが理解される。
【符号の説明】
【0041】
添付図面中の特徴には、以下の参照数字が付されている。
【0042】
200 フィルパック
202 フィルシート
204 垂直軸
206 水平軸
208a 第1端部
208b 第2端部
208c 第1側部
208d 第2側部
210 表面特徴
212 スペーサ
212a 雌スペーサ
212b 雄スペーサ
214 波形状
216 吸気口ルーバー
218 ドリフトエリミネータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】