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特表2024-533789ディスクホイールのためのホイールディスク、及びそれを有するディスクホイール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ディスクホイールのためのホイールディスク、及びそれを有するディスクホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/04 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B60B3/04 B
B60B3/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519538
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2022059156
(87)【国際公開番号】W WO2023052975
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021125383.7
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515210455
【氏名又は名称】マキシオン ホイールズ ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボース,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】モッタ,アレクサンドル アンドレ コスタ
(57)【要約】
本発明は、少なくとも本質的に半径方向に延在するハブ接続フランジ(11)と、ホイールリム(14)に接続することができる本質的に円筒形のディスクリム(13)と、ディスクリム(13)とハブ接続フランジ(11)との間で延在する移行領域(16)とを有する、ディスクホイールのための、特に、商用車用のディスクホイールのための、ホイールディスクに関する。一方では、ホイールの最小可能重量を実現することができるが、他方では、ホイールディスク又はそれに設けられるディスクホイールに設定される強度要件も確実に満たされるように、そのようなホイールディスク及びそれに設けられるディスクホイールを改善するために、本発明は、移行領域(16)に円周にわたって分布する通気孔(17)が設けられることを提案し、通気孔(17)は、接続フランジ(11)により近い位置に配置された第1の内側ピッチ円(18)から、ホイールディスクのディスクリム(13)により近い位置に配置された第2の外側ピッチ円(19)まで、半径方向に延在し、ハブ接続フランジ(11)と半径方向内側の第1のピッチ円(18)との間で延在する、第1のセクション領域(24)の径方向断面における移行領域(16)は、ハブ接続フランジ(11)の材料厚さ(DN)と比較して少なくとも30%減少された材料厚さ(DA)を有し、及び/又は、通気孔(17)は、半径方向内側の第1のピッチ円(18)から半径方向外側の第2のピッチ円(19)の方へディスクの周方向に増加する孔幅(b)を有する孔領域を有する。その特別な設計が精密な有限要素法によって開発された、本発明によるホイールディスクは、一方では、ディスク壁の特に有利な材料厚さ分布によって、及び、他方では、ハブ接続フランジとディスクリムとの間のホイールディスクの移行領域に設けられる通気孔の特別な設計及び配置によって、特徴づけられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも本質的に半径方向に延在するハブ接続フランジ(11)と、ホイールリム(14)に接続することができる本質的に円筒形のディスクリム(13)と、前記ディスクリム(13)と前記ハブ接続フランジ(11)との間で延在する移行領域(16)とを有する、ディスクホイールのための、特に、商用車用のディスクホイールのための、ホイールディスクにおいて、前記移行領域(16)に、円周にわたって分布する通気孔(17)が設けられ、前記通気孔(17)が、前記接続フランジ(11)により近い位置に配置された第1の内側ピッチ円(18)から、前記ディスクリム(13)により近い位置に配置された第2の外側ピッチ円(19)まで、半径方向に延在し、前記ハブ接続フランジ(11)と前記半径方向内側の第1のピッチ円(18)との間で延在する、第1のセクション領域(24)の径方向断面における前記移行領域(16)が、前記ハブ接続フランジ(11)の材料厚さ(DN)に対して少なくとも30%減少された材料厚さ(DA)を有し、及び/又は、前記通気孔(17)が、前記半径方向内側の第1のピッチ円(18)から前記半径方向外側の第2のピッチ円(19)の方へ増加する孔幅(b)を有する、ディスク円周方向における孔領域を有することを特徴とする、ホイールディスク。
【請求項2】
前記セクション領域(24)における前記材料厚さ(DA)と前記ハブ接続フランジ(11)の前記材料厚さ(DN)との比が、大きくとも0.6、好ましくは、0.5を超えない、特に、0.46より小さいことを特徴とする、請求項1に記載のホイールディスク。
【請求項3】
前記第1のピッチ円(18)における前記移行領域(16)の材料厚さ(D1)が、前記ハブ接続フランジ(11)の前記材料厚さ(DN)の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホイールディスク。
【請求項4】
前記第1のピッチ円(18)における前記材料厚さ(D1)と前記ハブ接続フランジ(11)における前記材料厚さ(DN)との比が、0.54より大きいことを特徴とする、請求項3に記載のホイールディスク。
【請求項5】
前記通気孔(17)の最大孔幅(bmax)が、半径方向に測定されるその孔高さ(h)の85%以下、好ましくは、80%以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のホイールディスク。
【請求項6】
前記通気孔(17)の前記最大孔幅(bmax)が、前記第1の内側ピッチ円(18)と前記第2の外側ピッチ円(19)との間の第3のピッチ円(22)上にあることを特徴とし、
前記第3のピッチ円(22)と前記第1のピッチ円(18)との間の距離(a)が、最大でも前記第2のピッチ円(19)と前記第3のピッチ円(22)との間の距離と同じ大きさであり、好ましくは、前記第2のピッチ円(19)と前記第3のピッチ円(22)との間の前記距離より小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載のホイールディスク。
【請求項7】
前記第1のピッチ円(18)と前記第3のピッチ円(22)との間の前記距離(a)と、前記通気孔(17)の前記孔高さ(h)との比が、0.48以下、特に、0.47以下であることを特徴とする、請求項6に記載のホイールディスク。
【請求項8】
前記通気孔(17)が、小さい曲率半径(rmin)を有する、前記第1の内側ピッチ円(18)の方へ指す孔先端(21)と、第2の曲率半径(R)を有する、前記第2の外側ピッチ円(19)の方に位置する平坦化部(23)とを有する、略滴形又は卵形の基本形状を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のホイールディスク。
【請求項9】
前記通気孔(17)が、前記孔高さ(h)を定義する半径方向平面(E)にそれぞれ軸対称であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のホイールディスク。
【請求項10】
前記通気孔(17)が、その孔先端(21)とその最大孔幅(bmax)との間に孔リム曲率(r)を有し、その曲率が、前記孔先端(21)の小さい曲率半径(rmin)から開始し、前記孔先端半径(rmin)の少なくとも6倍まで、好ましくは、8倍を超えるまで増加することを特徴とする、請求項8又は9に記載のホイールディスク。
【請求項11】
前記最大孔幅(bmax)への移行領域における孔リム曲率(r)が、前記孔先端(21)の前記小さい曲率半径(rmin)の約1.5~3倍、好ましくは、2倍より大きいことを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載のホイールディスク。
【請求項12】
ホイールリム(14)を有する、特に、商用車のための、ディスクホイールであって、前記ホイールリム(14)が、内側リムウェルベース(26)並びに前記リム(14)の外側リム及び内側リムにおいてこれらの境界を定めるリムフランジ(28)を有する2つの軸方向外側のリムショルダ(27)と、前記リムショルダ(27)の1つと前記リムウェルベース(26)との間に配置された本質的に円筒形の接続領域(15)とを有し、前記接続領域の内側に、請求項1~11のいずれか一項に記載のホイールディスクの前記ディスクリム(13)が接続される、特に、溶接される、ディスクホイール。
【請求項13】
周囲ハンプ(29)が、前記接続領域(15)と前記接続領域(15)に隣接するリムショルダ(27A)との間に配置されることを特徴とする、請求項12に記載のディスクホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも本質的に半径方向に延在するハブ接続フランジと、ホイールリムに接続することができる本質的に円筒形のディスクリムと、ディスクリムとハブ接続フランジとの間で延在する移行領域とを有する、ディスクホイールのための、特に、商用車用のディスクホイールのための、ホイールディスクに関する。本発明はさらに、そのようなホイールディスクを備える、ディスクホイール、特に、商用車用のディスクホイールを対象とする。
【背景技術】
【0002】
今日、主として商用車のために使用されるディスクホイールは、本質的に2つのスチール成形部品、すなわち、ホイールリム及びホイールディスクから構成され、ホイールディスクは、少なくとも本質的に半径方向に延在するハブ接続フランジによって車両のホイールハブにホイールボルト又はナットで固定することができる。ホイールディスクは、本質的に円筒形の周囲ディスクリムを備え、それによって、ホイールディスクは、ホイールリムの内周の接続領域に溶接される。ホイールディスクの製造は、通常、フローフォーミング成形チャックの端面とホールドダウン装置との間にハブ接続フランジの領域のスチール予備成形品をクランプすることによって、フローフォーミング成形又は剪断成形によってフローフォーミング成形装置上で行われる。その後、半径方向外向きにハブ接続フランジに隣接する、すでに予備成形されていてもよい材料が、移行領域及びその端部に形成されるディスクリムの所望の輪郭を得るために、フローフォーミング成形チャックに対して加圧され、予備成形品が回転する状態でスピニングローラによって伸張される。フローフォーミング成形又は剪断成形によって製造されたホイールディスクは、それらの内側及び外側に一様な表面及び良好な微細構造を有し、それによって、リムと車両ハブとの間で車両動作の間に適切に発生する負荷を伝達することができる。車両ホイールのためのホイールディスクの製造のためのフローフォーミング成形又は剪断成形のための方法及び装置は、たとえば、独国特許出願公開第2156551号明細書、独国特許出願公開第19615675A1号明細書、独国特許出願公開第19860732A1号明細書、又は、欧州特許第1473097B1号明細書に記載されたものが知られている。
【0003】
対応するディスクホイールのための一般的な種類のホイールディスクは、独国実用新案第202014104068U号明細書に記載されているものが知られており、それにおいては、中心ハブ接続フランジと半径方向外側のディスクリムとの間の移行領域が、互いに又はハブ接続フランジ若しくはディスクリムに結合する少なくとも5つのセクションにさらに分割される、セクションは、それらの外側端と内側端との間のそれらの長さの少なくとも部分的な領域上に湾曲を有し、互いに隣接するセクションの湾曲は、異なる湾曲の方向を有する。それによって、個々のセクションでは、それらの内側端におけるホイールディスクの回転軸からの半径方向距離が、それらの外側端における半径方向距離よりも大きいように配置され、ホイールディスクは、その移行領域で可変材料強度を有し、個々のセクションの材料強度の比は、互いに対してある一定の比で定義される。
【0004】
車両ホイールは、それらを備える車両の運転挙動に少なからず影響を与えるだけでなく、その燃料消費量及び実現可能な積載容量もかなりの程度まで決定する。それによって、可能な限り小さい個々のホイールの重量は、運転挙動及び消費に関して有利な影響をもたらす。しかしながら、重量の最小化は、通常、ホイールディスクの材料厚さの減少と関連付けられ、それによって、材料の応力は増加し、それは、次に、積載容量に対して有害な影響をもたらす可能性がある。知られているホイール及びその中で使用されているホイールディスクは、非常に成功していることが分かっているが、それらは依然として、その重量に関して改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ホイールディスク及びそれに設けられるディスクホイールをつくることであり、一方ではホイールの最小可能重量を実現することができ、他方では、ホイールディスク又はそれに設けられるディスクホイールに設定される強度要件は確実に満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、上記のタイプのホイールディスクを有する本発明によって解決され、本発明では、移行領域に、円周にわたって分布する通気孔が設けられ、通気孔は、接続フランジにより近い位置に配置された第1の内側ピッチ円から、リムエッジにより近い位置に配置された第2の外側ピッチ円まで、半径方向に延在し、ハブ接続フランジと半径方向内側の第1のピッチ円との間で延在する、第1のセクション領域の径方向断面における移行領域は、ホイール締結フランジの材料厚さに対して少なくとも30%減少された材料厚さを有し、及び/又は、通気孔は、半径方向内側の第1のピッチ円から半径方向外側の第2のピッチ円の方へ増加する孔幅(b)を有する孔領域を有する。本発明によるディスクホイールは、商用車に特に好適であり、内側リムウェルベース並びにリムの外側リム及び内側リムにおいてこれらの境界を定めるリムフランジを有する2つの軸方向外側のリムショルダと、リムショルダの1つとリムウェルベースとの間に配置された本質的に円筒形の接続領域とを有するホイールリムを有し、その接続領域の内側に、本発明によるホイールディスクのディスクリムは接続される、特に、溶接される。
【0007】
その特別な設計が精密な有限要素法によって開発された、本発明によるホイールディスクは、一方では、ディスク壁の特に有利な材料厚さ分布によって、及び、他方では、ハブ接続フランジとディスクリムとの間のホイールディスクの移行領域に設けられる通気孔の特別な設計及び配置によって、特徴づけられる。驚くべきことに、移行領域の半径方向内側部における、中心ホイール接続フランジの材料厚さと比較して、30%を超えるホイールディスク材料の材料厚さの大幅な減少が、特に、ディスクのこの領域における応力の大幅な減少をもたらし、それによって、必要な強度を保証しながら、構成要素重量の大幅な減少を実現することができることが示された。非常に良好な強度も保証しながらの、重量の大幅な減少は、通気孔の特別な形状によって実現され、その形状は、略滴形と言うことができる。接続フランジの方へ半径方向内向きを指す滴点、及び、内側ピッチ円から始まり半径方向外向きに広がる孔断面を有する通気孔の形状は、応力ピークがこれによって避けられ、高い積載能力を比較的小さい重量で実現することができるという点で、移行領域における、特に、隣接する孔の間に存在する材料ウェブ(スポーク)における応力経過に非常に有利であることがわかった。試験は、本発明による方策によって、同じ耐荷重能力を維持しながら、従来のデザインと比較して約15%ディスクホイールの質量を減少させることができ、それによって、そのようなホイールを備える車両の燃費の大幅な改善、並びに、より良好な運転挙動を可能にすることができることを示した。
【0008】
本発明の有利な構成において、第1のピッチ円の半径方向内側セクション領域における材料厚さとハブ接続フランジの材料厚さとの比は、大きくとも0.6、好ましくは、0.5を超えない、特に、0.46より小さいとすることができる。したがって、本発明の意味において、ホイールディスクの外側及び内側に対して垂直な寸法として定義される、半径方向内側セクション領域の材料厚さは、ハブ接続フランジにおける(通常の)厚さの半分より小さい可能性があり、それは、実際に、非常に大幅な軽量化をもたらす。
【0009】
本発明の有利な構造上のさらなる進展において、第1のピッチ円上の移行領域の材料厚さがハブ接続フランジの材料厚さの少なくとも50%であることを提供することができる。設計の有限要素法シミュレーションは、これが、第1のピッチ円上の通気孔にもかかわらず、考えられる荷重ケースにおいて、ホイールディスクの非常に良好な強度を保証することを示した。好ましくは、第1のピッチ円における材料厚さとハブ接続フランジにおける材料厚さとの比率は、0.54より大きいように選択される。
【0010】
通気孔の寸法を決めるとき、通気孔の最大孔幅は、半径方向に測定されるそれらの孔高さの85%以下、特に、80%以下であることが好ましいことが見出された。通気孔の最大孔幅は好ましくは、第1の内側ピッチ円と第2の外側ピッチ円との間に位置する第3のピッチ円上に位置させることができる。それによって、第3のピッチ円と第1のピッチ円との間の距離は、便宜上、最大でも第2のピッチ円と第3のピッチ円との間の距離と同じ大きさであり、好ましくは、第2のピッチ円と第3のピッチ円との間の距離より小さい。この特に好ましい設計において、通気孔の基本的な形状は、卵形と言うこともできる。
【0011】
第1のピッチ円と第3のピッチ円との間の距離と、通気孔の孔高さとの比は、0.48以下、特に、0.47以下であることが好ましい。
【0012】
すでに説明されたように、通気孔は、好ましくは小さい曲率半径を有する、第1の内側ピッチ円に向かう孔先端と、第2のより大きい曲率半径を有する、第2の外側ピッチ円の方に位置する平坦化部とを有する、略滴形又は卵形の基本形状を有することが好ましい。通気孔は、孔高さを定義する半径方向平面にそれぞれ軸対称であることが好ましい。
【0013】
通気孔の形状の有利なさらなる進展において、通気孔は、その孔先端とその最大孔幅との間に孔縁部曲率を有することができ、孔縁部曲率は、孔先端の小さい曲率半径から開始し、孔先端半径の少なくとも6倍まで、好ましくは、8倍を超えるまで増加する。最大孔幅への移行領域において、孔リム曲率は、孔先端の小さい曲率半径の約1.5~3倍、好ましくは、2倍より大きくすることができる。
【0014】
上で説明された種類のホイールディスクが設けられる、本発明によるディスクホイールにおいて、好ましい実施形態は、周囲ハンプが接続領域と接続領域に隣接するリムショルダとの間に配置されることであり、そのハンプは、大きな側方力が発生した場合に、ホイール上に取り付けられたタイヤのタイヤ末端部(tyre foot)がリムウェルベースに滑り込むことを確実に防止することができる。それによって、ハンプが、接続領域に向かう急勾配のフランクでその周囲の部分に高さを有する場合、そのフランクの高さ及び幅が、タイヤ膨張バルブのためのバルブホールの配置に適合されていることは特に有利である。これにより、ハンプの高さが比較的低いように選択され、よって、ディスクリムと反対側のリムショルダとの間の自由空間は比較的狭く、バルブへの制約のないアクセスが高さなしでは困難である又は不可能でさえある場合でも、外部からアクセス可能な膨張バルブを実現することができる。
【0015】
本発明のさらなる特性及び利点は、図面に表される本発明の好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】径方向断面における、本発明によるスチールディスクホイールのホイールディスクの上半分又は母線である。
図2】本発明によるホイールディスクの移行領域の通気孔の1つの表現である。
図3】ホイールの上半分の径方向断面表示における、本発明によるディスクホイールである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明によるホイールディスク10の上半分の径方向断面(母線)を示し、ホイールディスク10は、知られている方法で、いくつかのボルト孔12を有する半径方向に延在するハブ接続フランジ11を有し、それによって、ホイールディスク10が設けられたホイールは、商用車のホイールハブ(図示せず)に締結することができる。
【0018】
ホイールディスク10は、円筒形のディスクリム13をさらに有し、それによって、ホイールディスク10は、接続領域15においてホイールリム14(図3)に溶接され、ホイールリム14は、示される本発明によるホイールでは、以下に詳細に記載されるように、リムウェルベースに横方向に隣接して配置される。
【0019】
ディスクリム13とハブ接続フランジ11との間で、2つの部品11、13を接続する移行領域16が延在し、その移行領域の独自の設計が本発明の本質的特質である。
【0020】
図面から分かるように、いくつかの通気孔17が移行領域16に設けられ、その孔は、ディスクの周囲に均等に分布し、半径方向内側の第1のピッチ円18と第2の半径方向外側のピッチ円19との間で、ディスクリムの方にさらに外側に配置される移行領域16の半径方向外側セクションに延在する。ホイールの回転軸20の方へ半径方向内向きを指すそれらの内側端において、通気孔17は、比較的小さい孔先端半径rminを有する丸みのある孔先端21によって本質的に鋭くされる。第1の内側ピッチ円18から開始し、第2の外側ピッチ円19の方へ、通気孔の孔幅は、増加する、すなわち、第1のピッチ円18と第2のピッチ円19との間に位置する第3のピッチ円22上にある最大孔幅bmaxまで増加する。そのため、本発明の好ましい実施形態において、第1のピッチ円と第3のピッチ円との間の距離と、通気孔17の孔高さh、したがって、第1のピッチ円と第2のピッチ円との間の距離との比は、0.47以下である。したがって、通気孔17の最大幅bmaxは、第2のピッチ円より第1のピッチ円に近い。通気孔17のそれぞれの半径方向外側の領域において、通気孔には、第2のピッチ円19の方に位置する平坦化部23が設けられ、その平坦化部は、側方孔領域に外側曲率半径Rで結合する。
【0021】
通気孔は、孔高さhを定義する半径方向平面Eに軸対称である。孔先端21と第3のピッチ円22上の最大孔幅bmaxとの間の通気孔の半径方向により内側の孔領域において、孔リム曲率rは、その後、最大孔幅への移行領域において再び孔先端半径rminの約2.5倍に減少するために、小さい(最小)曲率半径rminからその約8倍まで増加する。よって、通気孔のより小さい半径方向内側部分において、二等辺三角形のような、略三角形の壁形状になる。通気孔の全体形状は、滴形又は卵形と言うことができる。
【0022】
通気孔の特別な形状に加えて、本発明によるホイールディスクの設計は、第1のピッチ円18の半径方向内向きにあるセクション領域24の材料厚さと、ハブ接続フランジ11の材料厚さとの特別な比によって特徴づけられ、下で説明されるこの材料厚さの比は、独自の発明上の特徴を有する。特に図1で分かるように、ハブ接続フランジの材料厚さDNは本質的に一定である。外側でハブ接続フランジ11に隣接するセクション領域24では、材料厚さDAは、ハブ接続フランジにおける材料厚さDNの0.46未満まで連続的に減少し、この最小材料厚さDAには、ハブ接続フランジ11から内側セクション領域24への移行部と第1のピッチ円18との間の略中間で到達する。そこから、厚さは、再び、値D1まで増加し、その値D1は、第1のピッチ円18において、ハブ接続フランジにおける材料厚さDNの少なくとも50%に達し、好ましくは、そこで、ハブ接続フランジの厚さDNの0.54倍より大きい。第1のピッチ円18の半径方向内向きにあるセクション領域24における材料厚さを、ハブ接続の厚さDNの半分まで、実際には46%未満まで減少させることによって、ホイールディスク10のこの部分の応力は最小化され、驚くべきことに、ホイールの特に良好な安定性が、知られているホイールと比較して減少された重量により達成される。知られているホイールの孔より大きい断面を有する、通気孔17の特別な設計は、ホイール又はそのホイールディスクの安定性に悪影響を与えることなく、軽量化にも非常に貢献する。
【0023】
図3は、上述のホイールディスク10が有利に備える車両ホイール25を示す。車両ホイール25で使用されるホイールリム14は、内側リムウェルベース26と、2つの軸方向外側のリムショルダ27と、リム14の外側リム及び内側リムにおいてこれらの境界を定めるリムフランジ28とを有する。ホイールディスクのディスクリム13のための接続領域15は、リムウェルベース26と外側リムショルダ27Aとの間に配置される。ディスクリム13は、その周囲にわたる接続領域の内側において、知られている方法でリムに溶接される。周囲の比較的低いハンプ29が、接続領域15と外側リムショルダ27Aとの間に形成され、そのハンプは、知られているように、たとえば、鋭いコーナリング中の、リム上に取り付けられたタイヤのリムウェルベースへの意図しない滑り込みを防ぐ。
図1
図2
図3
【国際調査報告】