(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】気体排出アセンブリ、フレームアセンブリ、ライナーアセンブリ及び患者インターフェース装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519548
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2022123528
(87)【国際公開番号】W WO2023051820
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111165590.X
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286466
【氏名又は名称】北京怡和嘉▲業▼医▲療▼科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BMC MEDICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲亞▼杰
(72)【発明者】
【氏名】周 明▲チャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】庄 志
(57)【要約】
気体排出アセンブリ、フレームアセンブリ、ライナーアセンブリ及び患者インターフェース装置を提供し、呼吸関連疾患の治療に関し、患者インターフェース装置の装着快適性を向上させる。鼻ライナー(100、200)が患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして、患者の鼻のみを覆うことで、患者インターフェース装置全体がより軽量化及び小型化され、目立たないとともに、患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉することで、患者の鼻の力感受性部位を圧迫せず、また、患者の鼻腔に挿入される鼻枕がないため、装着快適性をさらに向上させることができる。ヘッドストラップ(70)によって患者の頭部に固定されることで、その密閉の安定性をさらに向上させ、外力による密閉の破壊を回避することができる。
【選択図】
図20a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェース装置に設けられる気体排出アセンブリであって、本体を含み、前記本体は、
円錐ボスを含み、前記円錐ボスに第1気体排出孔が設けられ、前記第1気体排出孔は前記円錐ボスの周方向にアレイ状に配置され、前記第1気体排出孔は上型と下型とのキスオフによって成形され、
前記円錐ボスは、内壁、外壁及び内壁と外壁との間に設けられる斜壁を含み、前記第1気体排出孔は前記斜壁に設けられることを特徴とする気体排出アセンブリ。
【請求項2】
前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも小さいか、又はよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項3】
前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも大きく、前記斜壁の厚さは0.7mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項4】
前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも小さく、前記斜壁の厚さは0.7mm~1.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項5】
前記第1気体排出孔は、長楕円形、長方形、又は少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項6】
前記第1気体排出孔は放射状に配置され、各前記第1気体排出孔に隣接する第1気体排出孔の数は2つ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項7】
前記第1気体排出孔は円形孔であることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項8】
前記第1気体排出孔は円錐孔であることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項9】
気体排出アセンブリであって、本体、及び前記本体に設けられる第1気体排出孔を含み、前記第1気体排出孔は前記本体のエッジに近く設けられ、放射状に配置され、各前記第1気体排出孔の周囲の隣接する第1気体排出孔の数は2つ以下であることを特徴とする気体排出アセンブリ。
【請求項10】
前記本体は楕円形構造であることを特徴とする請求項9に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項11】
前記本体は患者側及び患者対向側を含み、前記患者側に円錐ボスが設けられ、前記第1気体排出孔は前記円錐ボスに設けられることを特徴とする請求項9又は10に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項12】
患者インターフェース装置用のフレームアセンブリであって、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続されるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置用のフレームアセンブリ。
【請求項13】
前記フレーム本体には、請求項1~8のいずれか1項又は請求項9~11のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリが設けられることを特徴とする請求項12に記載のフレームアセンブリ。
【請求項14】
前記気体排出アセンブリは前記フレーム本体と一体にモールド成形されることを特徴とする請求項13に記載のフレームアセンブリ。
【請求項15】
前記骨梁アームはPP材料からなることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載のフレームアセンブリ。
【請求項16】
前記骨梁アームは前記フレーム本体と一体にモールド成形されることを特徴とする請求項12~14のいずれか1項に記載のフレームアセンブリ。
【請求項17】
患者インターフェース装置用のフレームアセンブリであって、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続されるフレーム本体であって、前記ライナーアセンブリに第3気体排出孔が設けられ、前記フレーム本体には第3気体排出孔に対応する貫通孔が設けられるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2額アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置用のフレームアセンブリ。
【請求項18】
前記貫通孔は、前記フレーム本体に対をなして設けられ、フレーム本体の縦方向中心線に対して対称に設けられることを特徴とする請求項17に記載のフレームアセンブリ。
【請求項19】
患者インターフェース装置用のフレームアセンブリであって、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続され、前記吸気管に第2気体排出孔が設けられるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置用のフレームアセンブリ。
【請求項20】
患者インターフェース装置用のライナーアセンブリであって、前記ライナーアセンブリは、鼻ライナー、及び請求項1~8のいずれか1項又は請求項9~11のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリを含み、
前記鼻ライナーは、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されることを特徴とする患者インターフェース装置用のライナーアセンブリ。
【請求項21】
前記鼻ライナーは、上側部、前記上側部と対向する下側部、及び前記上側部と前記下側部との間に設けられる周側部を含み、前記周側部は前記上側部及び前記下側部を囲んでキャビティを形成し、前記上側部はユーザーの顔面に接触する顔面接触部を含み、
前記顔面接触部は、中間部、及び前記中間部の両側に位置する第1側部と第2側部を含み、前記第1側部及び前記第2側部はいずれも前記周側部に接続され、
前記中間部は、前記キャビティに連通する鼻部開孔、及び前記鼻部開孔を囲む周囲密閉部を含み、前記鼻部開孔は、前記鼻ライナーがユーザーに装着されることに応答してユーザーの鼻孔の下側を囲繞し、前記周囲密閉部によってユーザーの鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉するように構成されることを特徴とする請求項20に記載のライナーアセンブリ。
【請求項22】
患者インターフェース装置であって、
患者の顔面に接触するための鼻ライナーを含むライナーアセンブリであって、前記鼻ライナーは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットするように構成され、前記鼻ライナーは、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されるライナーアセンブリと、
両側が前記鼻ライナーと換気管にそれぞれ密閉接続されるフレームアセンブリと、
前記フレームに接続され、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の頭部を囲んで固定されるように構成されるヘッドストラップと、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置。
【請求項23】
前記ライナーアセンブリは請求項20又は21に記載のライナーアセンブリであることを特徴とする請求項22に記載の患者インターフェース装置。
【請求項24】
請求項1~8のいずれか1項又は請求項9~11のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載の患者インターフェース装置。
【請求項25】
前記フレームアセンブリは請求項12~16、請求項17~18又は請求項19のいずれか1項に記載のフレームアセンブリであることを特徴とする請求項22に記載の患者インターフェース装置。
【請求項26】
前記フレームは、フレーム本体、及び前記フレーム本体の外側に設けられる円錐ボスを含み、前記円錐ボスに前記円錐ボス及び前記フレーム本体を貫通する接続孔が設けられ、前記接続孔の両端は前記鼻ライナー及び前記換気管にそれぞれ密閉接続されることを特徴とする請求項25に記載の患者インターフェース装置。
【請求項27】
前記フレームは、フレーム本体、及び前記フレーム本体に回転可能に接続されるエルボを含み、前記エルボは前記換気管に密閉接続されることを特徴とする請求項26に記載の患者インターフェース装置。
【請求項28】
前記フレームはエルボに直接接続され、前記エルボは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、
前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであることを特徴とする請求項26に記載の患者インターフェース装置。
【請求項29】
前記フレームはフレキシブルホースに直接接続され、前記フレキシブルホースは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、前記フレキシブルホースの内径は12mm~15mmであり、前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであることを特徴とする請求項26に記載の患者インターフェース装置。
【請求項30】
前記フレキシブルホースは、弾性を有する管であることを特徴とする請求項29に記載の患者インターフェース装置。
【請求項31】
前記フレームにコネクタが設けられ、前記コネクタは前記フレキシブルホースに回転可能に接続されることを特徴とする請求項29に記載の患者インターフェース装置。
【請求項32】
前記鼻ライナーは、上側部、前記上側部と対向する下側部、及び前記上側部と前記下側部との間に設けられる周側部を含み、前記周側部は前記上側部及び前記下側部を囲んでキャビティを形成し、前記キャビティは前記換気管に連通することを特徴とする請求項27に記載の患者インターフェース装置。
【請求項33】
フレームの内側に接続体が設けられ、前記鼻ライナーは前記接続体を介して前記フレームに密閉接続されることを特徴とする請求項32に記載の患者インターフェース装置。
【請求項34】
前記鼻ライナーの下側にベースが設けられ、前記ベースに底部開口部が設けられ、
前記接続体は、前記フレームの内側から突出するボスとして構成され、前記ボスと前記フレームの内壁との間に凹部が形成され、前記鼻ライナーのベースは前記凹部内に設けられ、前記ボスは前記底部開口部内に延びていることを特徴とする請求項33に記載の患者インターフェース装置。
【請求項35】
前記フレームの両端にそれぞれ設けられる第1骨梁アーム及び第2骨梁アームをさらに含み、前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームは前記患者インターフェース装置が装着されることに応答してそれぞれ装着者の頬に沿って耳の上方に延びており、
前記ヘッドストラップは、前記第1骨梁アームに接続される第1サイドヘッドストラップ、前記第2骨梁アームに接続される第2サイドヘッドストラップ、前記第1サイドヘッドストラップと前記第2サイドヘッドストラップとの間に設けられる上部ヘッドストラップ及び後部ヘッドストラップを含み、
前記上部ヘッドストラップ及び前記後部ヘッドストラップは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して、それぞれ患者の後頭部及び患者の頭頂部を囲んで固定されるように構成されることを特徴とする請求項22~34のいずれか1項に記載の患者インターフェース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸関連疾患の治療の技術分野に関し、特に気体排出アセンブリ、フレームアセンブリ、ライナーアセンブリ及び患者インターフェース装置に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年9月30日に提出された中国特許出願CN 202111165590.Xの優先権を主張し、上記出願の全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
呼吸器関連疾患は、無呼吸、低呼吸及び過呼吸を特徴とする一連の呼吸障害を伴う。呼吸器疾患の例としては、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、呼吸不全、肥満、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患が挙げられる。持続陽圧呼吸法(CPAP)治療と非侵襲的換気(Non invasive ventilation,NIV)は、上記呼吸器疾患の治療に一般的に使用されている。治療時、外科手術でチューブを患者の気道に挿入する代わりに、治療装置(例えば、人工呼吸器)を使用してチューブを介して、患者に装着された患者インターフェース装置(又は、マスクともいう)を通じて患者の気道に持続的な圧力をかけて換気するか又は可変圧力をかけて換気することで、患者が部分的又は完全に呼吸して体内の十分な酸素レベルを維持するのを支援する。
【0004】
既存の患者インターフェース装置(又は、マスクともいう)は、一般的に、フルフェイスマスク(
図29参照)、鼻マスク(
図30参照)又は鼻枕マスクに分けられている。フルフェイスマスクは、快適性が低く、鼻枕マスクと比較して、コンパクトで軽量ではなく、鼻筋を圧迫し、視界が悪く、閉所恐怖症の患者に不利であり、顔の特徴がゴツゴツした高齢の患者などの場合に密閉性が低いという欠点がある。一方、鼻枕マスクは、鼻枕が鼻孔に侵入し、鼻枕が吸気する時に「空気噴射」効果があるため、圧力に耐えられず、長時間装着すると鼻孔の痛みや不快感が生じるなどの欠点がある。従って、ほとんどの睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者にとって、重症度の低い場合又は初めてマスクを装着して治療を行う場合、鼻マスクが一般的に使用される。
【0005】
しかしながら、従来の鼻マスクライナーは、患者を囲む鼻尖リングによって密閉されているため、患者の鼻筋を圧迫して不快感を引き起こし、また、患者の鼻との密閉安定性が低く、ひっくり返ったり、顔や口がうごめいたり、パイプを引きずったりするなどの外力によって破壊すると、密閉が破壊され易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記技術的問題を解決するために、気体排出アセンブリ、フレームアセンブリ、ライナーアセンブリ及び患者インターフェース装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、本発明は、患者インターフェース装置に設けられる気体排出アセンブリを提供し、本体を含み、前記本体は、
円錐ボスを含み、前記円錐ボスに第1気体排出孔が設けられ、前記第1気体排出孔は前記円錐ボスの周方向にアレイ状に配置され、前記第1気体排出孔は上型と下型とのキスオフによって成形され、
前記円錐ボスは、内壁、外壁及び内壁と外壁との間に設けられる斜壁を含み、前記第1気体排出孔は前記斜壁に設けられる。
【0008】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも小さいか、又はよりも大きい。
【0009】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも大きく、前記斜壁の厚さは0.7mm~2.0mmである。
【0010】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも小さく、前記斜壁の厚さは0.7mm~1.5mmである。
【0011】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔は、長楕円形、長方形、又は少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造である。
【0012】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔は放射状に配置され、各前記第1気体排出孔に隣接する第1気体排出孔の数は2つ以下である。
【0013】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔は円形孔である。
【0014】
1つの実施形態では、前記第1気体排出孔は円錐孔である。
【0015】
本発明の第2態様によれば、本発明は、気体排出アセンブリを提供し、本体、及び前記本体に設けられる第1気体排出孔を含み、前記第1気体排出孔は前記本体のエッジに近く設けられ、放射状に配置され、各前記第1気体排出孔の周囲の隣接する第1気体排出孔の数は2つ以下である。
【0016】
1つの実施形態では、前記本体は楕円形構造である。
【0017】
1つの実施形態では、前記本体は患者側及び患者対向側を含み、前記患者側に円錐ボスが設けられ、前記第1気体排出孔は前記円錐ボスに設けられる。
【0018】
本発明の第3態様によれば、本発明は、患者インターフェース装置用のフレームアセンブリを提供し、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続されるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含む。
【0019】
1つの実施形態では、前記フレーム本体に前記気体排出アセンブリが設けられる。
【0020】
1つの実施形態では、前記気体排出アセンブリは前記フレーム本体と一体にモールド成形される。
【0021】
1つの実施形態では、前記骨梁アームはPP材料からなる。
【0022】
1つの実施形態では、前記骨梁アームは前記フレーム本体と一体にモールド成形される。
【0023】
本発明の第4態様によれば、本発明は、患者インターフェース装置用のフレームアセンブリを提供し、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続されるフレーム本体であって、前記ライナーアセンブリに第3気体排出孔が設けられ、前記フレーム本体には第3気体排出孔に対応する貫通孔が設けられるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含む。
【0024】
1つの実施形態では、前記貫通孔は、前記フレーム本体に対をなして設けられ、フレーム本体の縦方向中心線に対して対称に設けられる。
【0025】
本発明の第5態様によれば、本発明は、患者インターフェース装置用のフレームアセンブリを提供し、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続され、前記吸気管に第2気体排出孔が設けられるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含む。
【0026】
1つの実施形態では、前記ライナーアセンブリは、鼻ライナー及び前記気体排出アセンブリを含み、
前記鼻ライナーは、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成される。
【0027】
1つの実施形態では、前記鼻ライナーは、上側部、前記上側部と対向する下側部、及び前記上側部と前記下側部との間に設けられる周側部を含み、前記周側部は前記上側部及び前記下側部を囲んでキャビティを形成し、前記上側部はユーザーの顔面に接触する顔面接触部を含み、
前記顔面接触部は、中間部、及び前記中間部の両側に位置する第1側部と第2側部を含み、前記第1側部及び前記第2側部はいずれも前記周側部に接続され、
前記中間部は、前記キャビティに連通する鼻部開孔、及び前記鼻部開孔を囲む周囲密閉部を含み、前記鼻部開孔は、前記鼻ライナーがユーザーに装着されることに応答してユーザーの鼻孔の下側を囲繞し、前記周囲密閉部によってユーザーの鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉するように構成される。
【0028】
本発明の第6態様によれば、本発明は、患者インターフェース装置を提供し、
患者の顔面に接触するための鼻ライナーを含むライナーアセンブリであって、前記鼻ライナーは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットするように構成され、前記鼻ライナーは、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されるライナーアセンブリと、
両側が前記鼻ライナーと換気管にそれぞれ密閉接続されるフレームアセンブリと、
前記フレームに接続され、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の頭部を囲んで固定されるように構成されるヘッドストラップと、を含む。
【0029】
1つの実施形態では、前記ライナーアセンブリは前記ライナーアセンブリである。
【0030】
1つの実施形態では、前記気体排出アセンブリをさらに含む。
【0031】
1つの実施形態では、前記フレームアセンブリは前記フレームアセンブリである。
【0032】
1つの実施形態では、前記フレームは、フレーム本体、及び前記フレーム本体の外側に設けられる円錐ボスを含み、前記円錐ボスに前記円錐ボス及び前記フレーム本体を貫通する接続孔が設けられ、前記接続孔の両端は前記鼻ライナー及び前記換気管にそれぞれ密閉接続される。
【0033】
1つの実施形態では、前記フレームは、フレーム本体、及び前記フレーム本体に回転可能に接続されるエルボを含み、前記エルボは前記換気管に密閉接続される。
【0034】
1つの実施形態では、前記フレームはエルボに直接接続され、前記エルボは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、
【0035】
前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmである。
【0036】
1つの実施形態では、前記フレームはフレキシブルホースに直接接続され、前記フレキシブルホースは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、前記フレキシブルホースの内径は12mm~15mmであり、前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmである。
【0037】
1つの実施形態では、前記フレキシブルホースは、弾性を有する管である。
【0038】
1つの実施形態では、前記フレームにコネクタが設けられ、前記コネクタは前記フレキシブルホースに回転可能に接続される。
【0039】
1つの実施形態では、前記鼻ライナーは、上側部、前記上側部と対向する下側部、及び前記上側部と前記下側部との間に設けられる周側部を含み、前記周側部は前記上側部及び前記下側部を囲んでキャビティを形成し、前記キャビティは前記換気管に連通する。
【0040】
1つの実施形態では、フレームの内側に接続体が設けられ、前記鼻ライナーは前記接続体を介して前記フレームに密閉接続される。
【0041】
1つの実施形態では、前記鼻ライナーの下側にベースが設けられ、前記ベースに底部開口部が設けられ、
前記接続体は、前記フレームの内側から突出するボスとして構成され、前記ボスと前記フレームの内壁との間に凹部が形成され、前記鼻ライナーのベースは前記凹部内に設けられ、前記ボスは前記底部開口部内に延びている。
【0042】
1つの実施形態では、前記フレームの両端にそれぞれ設けられる第1骨梁アーム及び第2骨梁アームをさらに含み、前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームは前記患者インターフェース装置が装着されることに応答してそれぞれ装着者の頬に沿って耳の上方に延びている。
【0043】
前記ヘッドストラップは、前記第1骨梁アームに接続される第1サイドヘッドストラップ、前記第2骨梁アームに接続される第2サイドヘッドストラップ、前記第1サイドヘッドストラップと前記第2サイドヘッドストラップとの間に設けられる上部ヘッドストラップ及び後部ヘッドストラップを含み、
前記上部ヘッドストラップ及び前記後部ヘッドストラップは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して、それぞれ患者の後頭部及び患者の頭頂部を囲んで固定されるように構成される。
【発明の効果】
【0044】
従来技術と比較して、本発明は、鼻ライナーが患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして、患者の鼻のみを覆うことで、患者インターフェース装置全体がより軽量化及び小型化され、目立たないとともに、患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉することで、患者の鼻の力感受性部位を圧迫せず、また、患者の鼻腔に挿入される鼻枕がないため、装着快適性をさらに向上させることができ、ヘッドストラップによって患者の頭部に固定されることで、その密閉の安定性をさらに向上させ、外力による密閉の破壊を回避することができるという利点を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0045】
以下、実施例に基づいて図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【
図1】本発明の実施例1における鼻ライナーの斜視構造模式図(前側から見た)である。
【
図2】本発明の実施例1における鼻ライナーの正面図(前側から見た)である。
【
図3】本発明の実施例1における鼻ライナーの上面図(上側から見た)である。
【
図4】本発明の実施例1における鼻ライナーの下面図(下側から見た)である。
【
図5】本発明の実施例1における鼻ライナーの背面図(後側から見た)である。
【
図6】本発明の実施例1における鼻ライナーの斜視構造模式図(左側から見た)である。
【
図9】本発明の実施例2における鼻ライナーの断面図である。
【
図10】本発明の実施例3及び実施例4における鼻ライナーの正面図(前側から見た)である。
【
図11】本発明の実施例3及び実施例4における鼻ライナーの斜視構造模式図(左側から見た)である。
【
図12】本発明の実施例5における鼻ライナーの斜視構造模式図(前側から見た)である。
【
図13】本発明の実施例5における鼻ライナーの斜視構造模式図(左側から見た)である。
【
図14】本発明の実施例6における鼻ライナーの上面図(上側から見た)である。
【
図15】本発明の実施例6における鼻ライナーの正面図(前側から見た)である。
【
図16】本発明の実施例6における鼻ライナーの斜視構造模式図(前側から見た)である。
【
図17】本発明の実施例6における鼻ライナーの下面図(下側から見た)である。
【
図18】本発明の実施例7における鼻ライナーの下面図(下側から見た)である。
【
図20a】本発明の1つの実施例における患者インターフェース装置の斜視構造模式図であり、患者インターフェース装置が患者に装着され、第1サイドヘッドストラップが係合されており、第2サイドヘッドストラップが係合されていない。
【
図20b】
図20aにおけるフレームが鼻ライナーに接続される斜視構造模式図である。
【
図20c】患者に装着されている
図20aに示す患者インターフェース装置を右側から見た構造模式図である。
【
図20d】
図20aに示す患者インターフェース装置が患者に装着されている時に鼻ライナーが密閉されていない時の構造模式図である。
【
図20e】
図20aに示す患者インターフェース装置が患者に装着されている時に鼻ライナーが密閉されている時の構造模式図であり、太線は周囲密閉部がキャビティ内の圧力の増加に応答して膨張変形することで患者の鼻孔の周囲にしっかりとフィットしていることを示す。
【
図21】
図20aに示す患者インターフェース装置のフレームの斜視構造模式図である。
【
図22】
図20aに示す患者インターフェース装置のフレームの正面図である。
【
図23】
図20aに示す患者インターフェース装置のフレームの断面図である。
【
図24a】
図20aに示す患者インターフェース装置のフレームの背面図である。
【
図24b】鼻ライナーに接続される
図20aに示すフレームの断面図である。
【
図25-26】
図20aに示す患者インターフェース装置のフレームにおける第1気体排出孔の異なる配置形態である。
【
図27a】本発明の別の実施例における患者インターフェース装置の斜視構造模式図である。
【
図27b-27c】
図27aに示すヘッドストラップの構造模式図である。
【
図28】本発明のさらに別の実施例における患者インターフェース装置の斜視構造模式図である。
【
図29-30】従来技術における患者インターフェース装置の装着の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0047】
図1~28に示すように、本発明は、患者インターフェース装置を提供し、気体排出アセンブリ(後述する気体排出部51)、ライナーアセンブリ(後述する鼻ライナー100、200)、フレームアセンブリ(後述するフレーム50)、ヘッドストラップアセンブリ(後述するヘッドストラップ70)及び換気管80を含む。
【0048】
フレーム50の両側は鼻ライナー100、200及び換気管80にそれぞれ密閉接続され、換気管80を介して加圧ガスを患者に供給する。ヘッドストラップ70は、フレーム50に接続され、患者インターフェース装置5が患者に装着されることに応答して患者の頭部を囲んで固定されるように構成される。気体排出部51はフレーム50又は鼻ライナー100、200に設けられ、患者インターフェース装置5の患者を向く側を外界に連通させて患者が吐き出す気流を排出する。
【0049】
以下、各要素をそれぞれ詳細に説明する。
【0050】
まず、本発明の鼻ライナー100、200を詳細に説明する。鼻ライナー100、200は患者の顔面に接触し、患者インターフェース装置5が患者に装着されることに応答して、患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットするように構成される。且つ、鼻ライナー100、200は、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成される。
【0051】
以上のように、鼻ライナー100、200は、患者インターフェース装置5のフレーム50に適応することに用いられ、患者の顔面に配置され、それによって加圧ガスを患者に供給して換気治療を行い、以下、各具体的な実施例を例示して本発明の鼻ライナー100、200を説明する。
【0052】
実施例1
【0053】
図4~11に示すように、本実施例における鼻ライナー100は、上側部110、上側部110と対向する下側部120、及び上側部110と下側部120との間に設けられる周側部を含み、周側部は上側部110及び下側部120を囲んでキャビティ150を形成し、加圧ガスを患者に供給する時、該キャビティ150は1つのバルーンチャンバーを形成できる。
【0054】
上側部110は患者の顔面に接触するための顔面接触部111aを含む。具体的には、顔面接触部111aは、中間部111、中間部111の両側に位置する第1側部112及び第2側部113を含み、第1側部112と第2側部113はいずれも周側部に接続される。理解できるように、製造の便宜上、第1側部112と第2側部113は同じ又は類似の構造を使用するか、又は第1側部112と第2側壁113は中間部111に対して対称に設けられる。
【0055】
中間部111は、キャビティ150に連通する鼻部開孔1111、及び鼻部開孔1111を囲む周囲密閉部1112を含む。鼻部開孔1111は、鼻ライナー100が患者に装着されることに応答して患者の鼻孔の下側を囲繞し、周囲密閉部1112によって患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉するように構成される。
【0056】
従って、本発明の鼻ライナー100は、患者の鼻孔の下側にフィットし鼻孔を囲んで密閉することで、患者インターフェース装置全体の体積を小さくすることができ、より軽量化及び小型化し、目立たないようにするとともに、患者に挿入される鼻枕がないため、その快適性をさらに向上させる。
【0057】
さらに、加圧ガスを患者に供給する時、該キャビティ150の内部に一定の圧力(例えば、圧力は4~25hpa)を有するため、周囲密閉部1112はキャビティ150内の圧力の増加に応答して膨張変形して患者の鼻孔の周囲にしっかりとフィットできる。従って、本発明の鼻ライナー100は周囲密閉部1112の膨張変形によって患者の鼻孔の周囲にフィットするので、設計及び製造時、個々の患者の鼻の違いを考慮する必要がない。従って、個々の患者の鼻の違いがあっても、薄膜の変形性によって周囲密閉部1112が患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットすることを確保でき、それによって鼻ライナー100が患者の顔面に接触する密閉性及び接続安定性を向上させる。
【0058】
選択可能に、周囲密閉部1112は下側部120に向かって凹んでいるので、周囲密閉部1112がキャビティ150内の圧力を受けて膨張すると、周囲密閉部1112は第1側部112及び第2側部113とほぼ同じ平面上にあり(
図7における破線に示すように、周囲密閉部1112の膨張後の位置である)、それによって顔面接触部111a(中間部111)が患者の鼻翼N2を包むのではなく患者の鼻の付け根で平らに支持されることを確保できる。従って、本発明の鼻ライナー100は患者の鼻翼の両側を挟むことによって密閉安定接続を実現するのではなく、周囲密閉部1112の膨張変形によって患者の鼻孔N1の周囲にしっかりとフィットするため、本発明の鼻ライナー100は患者の鼻幅(両鼻翼間の距離、
図19参照)に厳密に適合する必要がなく、それによって鼻ライナー100が適応できる集団を増加させ、その集団適応性を向上させることができる。また、鼻ライナー100が患者の鼻部を挟まないことで患者の鼻部との接触面積を小さくし、装着快適性をさらに向上させることができる。
【0059】
好ましくは、周囲密閉部1112の外側と鼻部開孔1111の中心との距離Lは患者の鼻中隔から鼻尖までの高さ(
図19参照)以下である。つまり、患者に鼻ライナー100が装着されるとき、周囲密閉部1112の最外縁が患者の鼻尖を超えず、従って、患者の鼻尖を圧迫して不快感を引き起こすことがないとともに、その体積を小さくすることができる。
【0060】
さらに選択可能に、周囲密閉部1112は凹まず、第1側部112及び第2側部113と直接同じ平面上にあってもよく、即ち、顔面接触部111aは平面構造として構成されてもよく、この設計によって、周囲密閉部1112の膨張密閉作用をより明らかにすることができる。
【0061】
なお、鼻部開孔1111は少なくとも1つの孔であってもよく、例えば、1つの孔、2つの孔又は複数の孔が設けられてもよく、需要に応じて選択して設けることができる。
【0062】
周側部は、後側部140、後側部140と対向設置される前側部130、後側部140と前側部130との間に位置する左側部及び右側部を含む。後側部140、前側部130、左側部及び右側部は一体構造であってもよい。
【0063】
後側部140は、鼻ライナー100が患者に装着されることに応答して患者の唇部を向くように構成され、後側部140は、患者の上唇に接触する上唇接触部141、及び上唇接触部141と下側部120とを接続する支持部142を含む。
【0064】
第1側部112の厚さd1、第2側部113の厚さd2、周囲密閉部1112の厚さd3、支持部142の厚さd4及び上唇接触部141の厚さd5は以下定義される式
d1=d2、及びd5=d3≦d1≦d4を満たす。
【0065】
即ち、第1側部112の厚さと第2側部113の厚さは同じであり、周囲密閉部1112の厚さよりも大きい。例えば、第1側部112の厚さd1と第2側部113の厚さd2はいずれも0.6~1.5mmであってもよく、好ましくは、0.8~1.2mmであってもよい。周囲密閉部1112の厚さd3は0.3~0.8mmであってもよく、好ましくは、0.3~0.5mmであってもよく、従って、本実施例では、周囲密閉部1112の厚さは最も小さく、薄膜領域である。
【0066】
鼻ライナー100を装着する時、第1側部112と第2側部113は周囲密閉部1112よりも先に患者の顔面に接触するため、第1側部112と第2側部113は装着時に顔の重要な支持点であり、受ける力は周囲密閉部1112の受ける力よりも大きく、また、第1側部112と第2側部113は患者の鼻翼の両側に位置するため、周囲密閉部1112よりも患者の頬の筋肉に近く、第1側部112と第2側部113の対応する位置で患者が力を受ける感覚は明らかではなく、従って、第1側部112と第2側部113の厚さを周囲密閉部1112よりも大きくすることで、両者の剛性を周囲密閉部1112の剛性よりも高くし、それによって顔面に鼻ライナー100を装着する圧力を効果的に分配し、装着快適性を向上させる。
【0067】
支持部142は周方向に延びてもよく、例えば、後側部140、左側部及び右側部の一部を形成してもよい。従って、支持部142はキャビティ150の全体的形状を維持する必要があり、低圧力の下で装着する場合や鼻ライナー100が圧力を受ける場合に崩れることなくその形状を維持する。従って、支持部142の厚さd4は最も大きく、例えば、0.9~2.0mmであってもよく、好ましくは0.9~1.5mmであってもよく、それによって一定の剛性を確保する。
【0068】
上唇接触部141は患者の顔面の力感受性領域に対応するため、厚さd5が周囲密閉部1112の厚さd3と同じであってもよく、従って、本実施例では、上唇接触部141も薄膜領域である。それによって装着時に患者の上唇の圧迫力が十分に小さいことを確保し、装着快適性を向上させることができる。
【0069】
前側部130及び後側部140の両方にトレンチ機構が設けられるか、又はトレンチ機構が設けられなくてもよく、その一方にトレンチ機構が設けられてもよい。
【0070】
例えば、本実施例では、前側部130には後側部140に向かって凹んでいる第1トレンチ機構131が設けられる。第1トレンチ機構131は、トレンチとして構成され、トレンチの2つの対向する内壁は鋭角夾角α1(例えば、20°~70°)をなし、第1トレンチ機構131の厚さは0.5~1.4mmであってもよい。従って、低圧力の作用下で、周囲密閉部1112の受圧膨張作用が明らかではないため患者の鼻部に効果的にフィットできない場合、該第1トレンチ機構131は患者の鼻尖付近の位置に一定の弾性的支持を提供でき、それによって密閉力を増大させる。また、該第1トレンチ機構131(即ち、その夾角α1を小さくする)を圧縮することで、様々な人の様々な鼻唇角に圧縮可能に適応してもよく、それによってより適切な装着状態に適応的に調整できる。
【0071】
下側部120はベース121を含み、ベース121には、キャビティに連通する底部開口部122が設けられ、底部開口部122内には、ベース121を患者インターフェース装置のフレームに密閉接続するための密閉構造が設けられる。
【0072】
底部開口部122は三角形、円形又は楕円形などの形状であってもよい。その中の密閉構造によってベース121と患者インターフェース装置のフレームとを回転不能に密閉接続する。密閉構造は底部開口部122の内壁における突起であってもよく、フレームとの締り嵌めによって密閉を実現する。
【0073】
選択可能に、密閉構造はプラスチック部材、又は硬度のより高いシリコーンゴムであってもよく、その弾性変形によってフレームとの密閉接続を実現する。
【0074】
鼻ライナー100は、好ましくは、シリコーンゴムからなり、フォーム、熱可塑性エラストマー、樹脂又は織物などの材料からなる。
【0075】
実施例2
上記実施例1をもとに、本発明は、
図12に示すように、変形実施例である実施例2をさらに提供する。以下、上記実施例1との相違点を中心に説明する。
【0076】
本実施例と上記実施例1との相違点として、第1側部112の厚さd1と第2側部113の厚さd2は同じであり、周囲密閉部1112の厚さd3に等しく、即ち、d1=d2=d3である。三者の厚さは、例えば、0.3~0.8mmであってもよく、このように、顔面接触部111a全体はバルーンとして形成でき、顔面接触部111a全体の受ける力を低減させ、それによって装着快適性を向上させる。従って、本実施例の鼻ライナー100は顔面奇形を有する人々の顔面特徴によりよくフィットできる。
【0077】
本実施例では、実施例1と同様に、支持部142は大きな厚さd4を選択してもよく、例えば、d4≧d3である。例えば、d4は0.9~2.0mmであってもよく、好ましくは、0.9~1.5mmであってもよく、それによって一定の剛性を確保する。
【0078】
本実施例の実施例1と同じ特徴及び構造について重複説明を省略する。
【0079】
実施例3
上記実施例1をもとに、本発明は、
図13及び14に示すように、変形実施例である実施例3をさらに提供する。以下、上記実施例1との相違点を中心に説明する。
【0080】
本実施例と上記実施例1との相違点として、前側部130には後側部140に向かって凹んでいる第1トレンチ機構131が設けられることに加えて、支持部142には前側部130に向かって凹んでいる第2トレンチ機構143がさらに設けられる。第2トレンチ機構143は、溝として構成されてもよく、溝の2つの対向する内壁は鋭角夾角α2(例えば、20°~70°)をなし、第2トレンチ機構143の厚さは0.5~1.4mmであってもよい。低圧力の下で、周囲密閉部1112の受圧膨張作用が明らかではないため患者の鼻部特徴に効果的にフィットできない場合、該溝は患者の上唇付近の位置に一定の弾性的支持を提供でき、それによって密閉力を増大させ、また、該第1トレンチ機構131(即ち、その夾角α1を小さくする)と第2トレンチ機構143(即ち、その夾角α2を小さくする)を圧縮することで、様々な人の様々な鼻唇角に圧縮可能に適応してもよく、それによってより適切な装着状態に適応的に調整できる。
【0081】
実施例4
上記実施例2をもとに、本発明は、
図13及び14に示すように、変形実施例である実施例4をさらに提供する。以下、上記実施例2との相違点を中心に説明する。
【0082】
本実施例と上記実施例2との相違点として、前側部130には後側部140に向かって凹んでいる第1トレンチ機構131が設けられることに加えて、支持部142には前側部130に向かって凹んでいる第2トレンチ機構143がさらに設けられる。第2トレンチ機構143は、溝として構成されてもよく、溝の2つの対向する内壁は鋭角夾角α2(例えば、20°~70°)をなし、第2トレンチ機構143の厚さは0.5~1.4mmであってもよい。低圧力の下で、周囲密閉部1112の受圧膨張作用が明らかではないため患者の鼻部特徴に効果的にフィットできない場合、該溝は患者の上唇付近の位置に一定の弾性的支持を提供でき、それによって密閉力を増大させ、また、該第1トレンチ機構131(即ち、その夾角α1を小さくする)と第2トレンチ機構143(即ち、その夾角α2を小さくする)を圧縮することで、様々な人の様々な鼻唇角に圧縮可能に適応してもよく、それによってより適切な装着状態に適応的に調整できる。
【0083】
実施例5
上記実施例1及び2をもとに、本発明は、
図15及び16に示すように、変形実施例である実施例5をさらに提供する。以下、上記実施例1及び2との相違点を中心に説明する。
【0084】
本実施例と上記実施例1及び2との相違点として、前側部130における第1トレンチ機構131が取り消されている。即ち、本実施例では、前側部130及び後側部140の両方に溝機構が設けられておらず、また、選択可能に、前側部130の厚さは0.3~0.8mmであってもよく、即ち、前側部130の厚さは周囲密閉部1112の厚さと同じであり、すべて薄膜領域である。
【0085】
選択可能に、前側部130の一部の厚さは周囲密閉部1112の厚さと同じであり、例えば、0.3~0.8mmであってもよい。一方、前側部130の残りの部分の厚さは支持部142の厚さと同じであり、例えば、0.9~2.0mmであってもよく、好ましくは、0.9~1.5mmであってもよく、それによって一定の剛性を確保する。
【0086】
実施例6
図17~20に示すように、本実施例における鼻ライナー200は、上側部210、上側部210と対向する下側部220、及び上側部210と下側部220との間に設けられる周側部を含み、周側部は上側部210及び下側部220を囲んでキャビティを形成し、加圧ガスを患者に供給する時、該キャビティ250は1つのバルーンチャンバーを形成できる。なお、上側部210は患者の顔面に接触するための顔面接触部を含む。
【0087】
顔面接触部211aは、中間部211、中間部211の両側に位置する第1側部212及び第2側部213を含み、第1側部212と第2側部213はいずれも周側部に接続される。理解できるように、製造の便宜上、第1側部212と第2側部213は同じ又は類似の構造を使用するか、又は第1側部212と第2側壁213は中間部211に対して対称に設けられる。
【0088】
中間部211は、キャビティ250に連通する鼻部開孔2111、及び鼻部開孔2111を囲む周囲密閉部2112を含み、鼻部開孔2111は、鼻ライナー200が患者に装着されることに応答して患者の鼻孔の下側を囲繞し、周囲密閉部2112によって患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉するように構成される。
【0089】
従って、本発明の鼻ライナー200は、患者の鼻孔の下側にフィットし鼻孔を囲んで密閉することで、患者インターフェース装置全体の体積を小さくすることができ、より軽量化及び小型化し、目立たないようにするとともに、患者に挿入される鼻枕を設けていないため、その快適性をさらに向上させる。
【0090】
さらに、加圧ガスを患者に供給する時、該キャビティ150の内部に一定の圧力(例えば、圧力は4~25hpa)を有するため、周囲密閉部2112はキャビティ250内の圧力の増加に応答して変形して患者の鼻孔の周囲にフィットできる。従って、本発明の鼻ライナー200は周囲密閉部2112の膨張変形によって患者の鼻孔の周囲にフィットするので、設計及び製造時、個々の患者の鼻の違いを考慮する必要がない。従って、個々の患者の鼻の違いがあっても、薄膜の変形性によって周囲密閉部2112が患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットすることを確保でき、それによって鼻ライナー200が患者の顔面に接触する密閉性及び接続安定性を向上させる。
【0091】
選択可能に、周囲密閉部2112は下側部220に向かって凹んでいるので、周囲密閉部2112がキャビティ250内の圧力を受けて膨張すると、周囲密閉部2112は第1側部212及び第2側部213とほぼ同じ平面上にあり(図中の破線に示すように、周囲密閉部2112の膨張後の位置である)、それによって顔面接触部211a(中間部211)が患者の鼻翼を包むのではなく患者の鼻の付け根で平らに支持されることを確保できる。従って、本発明の鼻ライナー200は、患者の鼻翼の両側を挟むことによって密閉安定接続を実現するのではなく、周囲密閉部2112の膨張変形によって患者の鼻孔の周囲にしっかりとフィットするため、本発明の鼻ライナー200は患者の鼻幅(両鼻翼間の距離W)に厳密に適合する必要がなく、それによって鼻ライナー200が適応できる集団を増加させ、その集団適応性を向上させることができる。また、鼻ライナー200が患者の鼻部を挟まないことで患者の鼻部との接触面積を小さくし、装着快適性をさらに向上させることができる。
【0092】
好ましくは、周囲密閉部2112の外側と鼻部開孔2111の中心との距離Lは患者の鼻中隔から鼻尖までの高さ以下である。つまり、患者に鼻ライナー200が装着されるとき、周囲密閉部2112の最外縁が患者の鼻尖を超えず、従って、患者の鼻尖を圧迫して不快感を引き起こすことがないとともに、その体積を小さくすることができる。
【0093】
さらに選択可能に、周囲密閉部2112は凹まず、第1側部212及び第2側部213と直接同じ平面上にあってもよく、即ち、顔面接触部211aは、平面構造として構成されてもよく、この設計によって、周囲密閉部2112の膨張密閉作用をより明らかにすることができる。
【0094】
なお、鼻部開孔2111は、少なくとも1つの孔であってもよく、例えば、1つの孔、2つの孔又は複数の孔が設けられてもよく、需要に応じて選択して設けることができる。
【0095】
周側部は、後側部240、後側部240と対向設置される前側部230、後側部240と前側部230との間に位置する左側部260及び右側部270を含む。本実施例と上記実施例1~5との重要な相違点として、本実施例における周囲密閉部2112はそれぞれ前方へ前側部230に延びており、後方へ後側部240に延びており、周囲密閉部2112と前側部230及び後側部240との接続部は連続する曲面であるか、又はその接続部は互いにずれている。
【0096】
好ましくは、周囲密閉部2112はそれぞれ前方へ前側部230に延びており、後方へ後側部240に延びており、前側部230及び後側部240と一体に形成され、即ち、中間部分となり、それによって該中間部分は均一な厚さを有する。即ち、周囲密閉部2112の厚さd3は前側部230及び後側部240の厚さと同じである。例えばd3、0.3~0.9mmであってもよく、好ましくは0.3~0.5mmであり、即ち、該中間部分は薄膜領域(図中の破線に示す領域)である。
【0097】
理解できるように、後側部240の対応する上唇接触部の厚さd5と支持部の厚さd4は同じであり、且つ周囲密閉部2112の厚さd3と同じであり、即ち、d3=d4=d5である。
【0098】
さらに、第1側部212は左側部260に延びており、第2側部213は右側部270に延びており、第1側部212と左側部260及び第2側部213と右側部270の接続部は連続する曲面であるか、又はその接続部は互いにずれている。
【0099】
好ましくは、第1側部212は左側部260に延びて一体となり、第2側部213は右側部270に延びて一体となり、即ち、周辺部分となり、該周辺部分は均一な厚さを有する。従って、第1側部212の厚さd1と左側部260の厚さ及び第2側部213の厚さd2と右側部270の厚さはいずれも同じであり、従って、形成された全体も均一な厚さを有し、該厚さは上記周囲密閉部2112の厚さd3よりも大きく、即ちd1≧d3である。例えば、d1及びd2はいずれも0.6~1.5mmであってもよく、好ましくは、0.8~1.2mmである。
【0100】
つまり、本実施例では、周辺部分(左側部260、右側部270、第1側部212及び第2側部213)の剛性は中間部分(周囲密閉部2112、前側部230及び後側部240)の剛性よりも大きい。その理由として、周辺部分は鼻ライナー200の装着時に患者の顔の重要な支持点であり、受ける力は患者の鼻部に対応する中間部分よりも大きく、且つ周辺部分は患者の頬の筋肉により近くいため、患者が力を受ける感覚は明らかではなく、従って、その剛性を中間部分の剛性よりも大きくすることで、顔面にライナーを装着する圧力を効果的に分配し、装着快適性を向上させることができる。
【0101】
下側部220はベース221を含み、ベース221には、キャビティに連通する底部開口部222が設けられ、底部開口部222内には、鼻ライナー200を患者インターフェース装置のフレームに密閉接続するための密閉構造が設けられる。
【0102】
底部開口部222は三角形、円形又は楕円形などの形状であってもよい。その中の密閉構造によってベース221と患者インターフェース装置のフレームとを回転不能に密閉接続する。密閉構造は底部開口部222の内壁における突起であってもよく、フレームとの締り嵌めによって密閉を実現する。
【0103】
選択可能に、密閉構造はプラスチック部材、又は硬度のより高いシリコーンゴムであってもよく、その弾性変形によってフレームとの密閉接続を実現する。
【0104】
鼻ライナー200は、好ましくは、シリコーンゴムからなり、フォーム、熱可塑性エラストマー、樹脂又は織物などの材料からなる。
【0105】
実施例7
上記各実施例をもとに、本発明は、
図18に示すように、変形実施例である実施例7をさらに提供する。本実施例と上記各実施例との相違点として、本実施例では、ベース121、221には気体排出部51である第3気体排出部が設けられる。
【0106】
第3気体排出部は、底部開口部122の両側に設けられる第3気体排出孔124であってもよい。第3気体排出孔124の配置方法及びサイズは、必要に応じて設定でき、本発明はこれを限定しない。
【0107】
なお、本実施例では、気体排出部51は鼻ライナー100、200に設けられるが、上記実施例1~6では、鼻ライナー100、200に気体排出部51が設けられていないため、後述するように、気体排出部51はフレーム50に設けられる。
【0108】
以下、本発明のフレーム50及び気体排出部51を詳細に説明し、理解できるように、下記フレーム50及び気体排出部51は上記実施例1~実施例7のいずれか1項における鼻ライナー100、200と組み合わせることができる。
【0109】
例えば、
図24aに示すように、フレーム50の内側に接続体55が設けられ、鼻ライナー100、200は接続体55を介してフレーム50に密閉接続されるようにしてもよい。接続体55は鼻ライナー100、200と密閉して閉接続を形成する。接続体55はフレーム50と一体に構成されてもよく、例えば、接着、係合などの方法によって一体化される。具体的には、接続体55は、フレーム50の内側から突出するボスとして構成され、ボスとフレーム50の内壁との間に凹部56が形成され、鼻ライナー100、200のベース121、122は凹部56内に設けられ、ボスは底部開口部122、222内に延びている。
【0110】
さらに、
図24b、
図24c、
図8及び
図17に示すように、接続体55の外壁に密閉リング551が設けられ、底部開口部122、222内の密閉構造123、223と嵌合することで、鼻ライナー100、200をフレーム50と密閉接続する。
【0111】
理解できるように、接続体55は、底部開口部122、222の形状に適合する構造体として構成されてもよい。
【0112】
1つの好ましい形態では、
図21に示すように、フレーム50はフレーム本体501、及びフレーム本体501の外側に設けられる円錐ボス502を含み、円錐ボス502は、フレーム本体501から離れる方向に沿って徐々に小さくなるように構成され、つまり、円錐ボス502のフレーム本体501から離れる端部はフレーム本体501に近い端部よりも小さく、それによって円錐ボス502の側壁を傾斜した壁として形成する。選択可能に、円錐ボス502は中実構造として構成される。
【0113】
さらに選択可能に、
図21に示すように、円錐ボス502は、内壁502a、外壁502b、及び内壁502aと外壁502bとの間に設けられる斜壁502cを含む。この選択可能な実施形態では、斜壁502cの厚さは0.7mm~2.0mmであり、好ましくは、0.7mm~1.5mmである。なお、斜壁502cは均一な厚さを有してもよいし、不均一な厚さを有してもよい。斜壁502cが不均一な厚さを有する場合、上記斜壁502cの厚さとは、斜壁502cの平均厚さが0.7mm~2.0mmであることを意味する。好ましくは、斜壁502cの平均厚さは0.7mm~1.5mmである。
【0114】
又は、内壁502aと外壁502bとの距離が0.7mm~2.0mmであると理解してもよく、好ましくは0.7mm~1.5mmである。理解できるように、内壁502aと外壁502bが非平行構造である場合、内壁502aと外壁502bとの距離とは、内壁502aと外壁502bとの平均距離を意味する。
【0115】
フレーム50が患者の顔面に装着されるものであるため、フレーム50は患者側及び患者対向側を含んでもよく、該円錐ボス502は患者側に設けられる。
【0116】
さらに、円錐ボス502には円錐ボス502及びフレーム本体501を貫通する貫通孔(接続孔52)が設けられ、接続孔52は鼻ライナー100、200及び換気管80にそれぞれ密閉連通する。接続孔52は円錐ボス502の中心位置に設けられ、フレーム本体501の縦方向中心線に対して対称に設けられてもよい。
【0117】
図21~23に示す実施形態に参照されるように、気体排出アセンブリはフレーム50と一体モールドされるため、理解できるように、気体排出アセンブリは本体及び気体排出部51を含み、本体は上記円錐ボス502を含み、気体排出部51は円錐ボス502に設けられる。気体排出部51は円錐ボス502の斜壁502cに設けられる第1気体排出部を含み、第1気体排出部は接続孔52の周方向に設けられる複数の第1気体排出孔511を含む。第1気体排出孔511が円錐ボス502の斜壁に設けられるため、円錐ボス502の径方向から見ると、第1気体排出孔511から排出される気流は円錐ボス502の径方向(X方向)に発散し、一方、円錐ボス502の軸方向(Y方向)から見ると、第1気体排出孔511から排出される気流は円錐ボス502の軸方向に発散し、従って、第1気体排出孔511から排出される気流の合力方向は円錐ボス502の軸方向及び円錐ボス502の径方向に直交する方向(Z方向)である。
【0118】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1気体排出孔511の内孔径はその外孔径よりも小さく、これらの実施例では、斜壁502cの厚さは0.7mm~1.5mmである。以上のように、該斜壁502cの厚さは均一であってもよいし、不均一であってもよい。斜壁502cが不均一な厚さを有する場合、上記斜壁502cの厚さとは、斜壁502cの平均厚さが0.7mm~1.5mmであることを意味する。
【0119】
別のいくつかの選択可能な実施形態では、第1気体排出孔511の内孔径はその外孔径よりも大きく、これらの実施例では、斜壁502cの厚さは0.7mm~2.0mmである。以上のように、該斜壁502cの厚さは均一であってもよいし、不均一であってもよい。斜壁502cが不均一な厚さを有する場合、上記斜壁502cの厚さとは、斜壁502cの平均厚さが0.7mm~2.0mmであることを意味する。
【0120】
好ましくは、第1気体排出孔511は、円錐ボス502の内側から外側への方向に沿って面積が徐々に大きくなる円錐孔として構成されてもよい。このように設けられる第1気体排出孔511は気流をよりよく発散させ、気流は第1気体排出孔511から流出した後、迅速に減衰でき、このとき、気流衝撃エネルギーが低くなり、患者の同居者を妨げない。また、各第1気体排出孔511の相互干渉が生じ難く、それによって使用中の騒音をさらに低減させることができる。
【0121】
選択可能に、第1気体排出孔511は、円錐ボス502の内側から外側への方向に沿って面積が徐々に小さくなる円錐孔として構成されてもよい。
【0122】
さらに、円錐ボス502の軸方向(Y方向)から見ると、第1気体排出孔511は金型成形法によって形成され、具体的には、上下型のキスオフによって成形される。従来技術において側面開孔を行う時に複数回のスライド、又は後期のレーザー穿孔によって形成される方法と比較して、本発明の第1気体排出孔511の形成方法はプロセス成形性が高く、コストが低いとともに、孔の品質を確保でき、使用時の騒音が低い。
【0123】
第1気体排出孔511は、長尺状、長楕円形(
図21参照)、円形又は楕円形であってもよい。第1気体排出孔511の径方向断面は、異形孔(例えば、少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造)として構成されてもよい。
【0124】
第1気体排出孔511は円錐ボス502の周方向にアレイ状に配置されてもよく、即ち、第1気体排出孔511はこの方向に一定のルールに従って配置される。例えば、複数の第1気体排出孔511は接続孔52と同心の同心円に均一に分布するか、又は複数の第1気体排出孔511は1つの楕円に分布してもよい。又は、複数の第1気体排出孔511の一部は1つの楕円に分布し、残りは該楕円と同心のもう1つの楕円に分布する。
【0125】
図21、
図24b及び
図26に示す実施形態に参照されるように、気体排出アセンブリの本体は楕円形構造である。第1気体排出孔511は円錐ボス502のエッジに近く設けられ、放射状に配置され、各第1気体排出孔511の周囲の隣接する気体排出孔の数は2つ以下である。換言すれば、第1気体排出孔511は円錐ボス502の幾何学的延び方向(例えば、円錐ボス502の軸方向)に1列に分布しており、それによって第1気体排出孔511は多くとも左右に隣接する2つの気体排出孔を有する。
【0126】
図25に示す実施形態に参照されるように、第1気体排出孔511は接続孔52の両側のみに設けられてもよく、第1気体排出孔511の周囲の隣接する気体排出孔の数量は3つ以上であってもよい。
【0127】
理解できるように、上記各実施形態のように、フレーム50にエルボ90が設けられていない場合、患者インターフェース装置5全体をさらに軽量化及び小型化でき、また、フレキシブルホース81の柔軟性によって圧力装置に接続される大きなパイプからの引張り力を克服することができる。これらの実施例では、気体排出部51はフレーム本体501に設けられる第1気体排出孔511であるか、又は気体排出部51は鼻ライナー100、200の下側部に設けられる第3気体排出孔123である。
【0128】
下記各実施形態では、気体排出部51(第2気体排出孔91)はフレーム本体501に回転可能に接続されるエルボ90に設けられる。
【0129】
具体的には、
図27に示すように、フレーム50は、フレーム本体501、及びフレーム本体501に回転可能に接続されるエルボ90を含み、フレーム本体501の中心位置にはその厚さ方向を貫通する接続孔52が設けられ、エルボ90は接続孔52及び換気管80にそれぞれ接続される。エルボ90が設けられることで、換気管80とフレーム本体501との相対回転を可能にし、患者の様々な状態に容易に適用できる。
【0130】
1つの実施例では、気体排出部51は、エルボ90の側壁に設けられる第2気体排出部を含む。第2気体排出部は、複数の第2気体排出孔91として構成されてもよく、具体的には、エルボ90の側壁には内へ凹んでいる凹み部が設けられ、第2気体排出孔91は該凹み部に集中的に設けられる。
【0131】
フレーム50にエルボ90が設けられている場合、エルボ90は第2接続端82と回転可能に接続でき、それによって使用の柔軟性を向上させる。これらの実施例では、気体排出部51は、エルボ90に設けられる第2気体排出孔91であるか、又は気体排出部51は鼻ライナー100、200の下側部に設けられる第3気体排出孔123である。
【0132】
さらに選択可能な形態では、
図21に示すように、フレーム50はフレーム本体501を含み、フレーム本体501の中心位置にはその厚さ方向を貫通する接続孔52が設けられ、換気管80は接続孔52に直接接続される。本実施形態では、気体排出部51は、上記実施例7に記載の構造のように、鼻ライナー100、200の下側部120、220に設けられるか、又は気体排出孔51は上記別の実施例に記載の構造のように設けられてもよい。
【0133】
換気管80はフレキシブルホース81として構成され、その内径は15~18mmであってもよく、好ましくは、内径は15mmである。具体的には、フレキシブルホース81は、接続孔52に接続される第1接続端84を含む。フレキシブルホース81は、剛性材料(例えば、PP、PCなどの熱可塑性プラスチック)から製造され得る第2接続端82をさらに含む。第2接続端82はパイプコネクタ83に回転可能に接続され、パイプコネクタ83は空気搬送パイプを介して圧力装置に連通する。空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであってもよく、長さは1000mm~2000mmであってもよい。フレキシブルホース80の利点として、その柔軟性が空気搬送パイプよりも優れるため、身体が移動する時に空気搬送パイプに生じる引張り力を克服することができ、それによってユーザーの顔面でマスクシステムの安定的な密閉を維持する。
【0134】
第2接続端82とパイプコネクタ83との相対回転によって、患者の様々な姿勢に適応することができる。以下、本発明のヘッドストラップ90を詳細に説明し、理解できるように、下記ヘッドストラップ90は上記好ましい又は選択可能なフレーム50のそれぞれ及び上記実施例1~実施例6におけるいずれか1つの鼻ライナー100、200と組み合わせることができる。
【0135】
図20a、
図20b、
図20c
図20d及び
図20eに示すように、フレーム500は、フレーム本体501、フレーム本体501の両端に設けられる第1接続ラグ53及び第2接続ラグ54を含む。第1接続ラグ53に第1骨梁アーム60aが接続され、第2接続ラグ54に第2骨梁アーム60bが接続される。装着時、第1接続ラグ53はフレーム本体501の左側から患者の頬に沿って左耳の上方へヘッドストラップ70に延び、第2接続ラグ54はフレーム本体501の右側から患者の頬に沿って右耳の上方へヘッドストラップ70に延びる。
【0136】
理解できるように、フレーム本体501は、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bと同じ材料で1回限りの一体式射出成形によって成形され、即ち、一体モールドされてもよい。又は、フレーム本体501は、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bと異なる材料で、例えば化学接着剤又は機械的手段などのほかの手段によって接続されてもよい。
【0137】
好ましくは、フレーム本体501はPCからなり、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bはいずれもPPからなる。なお、フレーム本体501はPP、ABSなどのほかの熱可塑性材料からなってもよく、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bはPC、ABSなどのほかの熱可塑性材料からなってもよい。
【0138】
第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bの柔軟性はフレーム本体501よりも優れており、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bの本体部分の厚さは0.6~1.8mmであってもよく、好ましくは、0.9~1.1mmである。この実施例の設置形態によって、第1骨梁アーム60aと第2骨梁アーム60bはより高い適合性を持ち、様々な患者の頬部位にフィットし、安定的な支持の役割を果たし、ヘッドストラップ70とともに鼻ライナー100、200を患者の顔面に安定的に固定する。
【0139】
ヘッドストラップ70は、第1骨梁アーム60aに接続される第1サイドヘッドストラップ71a、第2骨梁アーム60bに接続される第2サイドヘッドストラップ71b、第1サイドヘッドストラップ71aと第2サイドヘッドストラップ71bとの間に設けられる上部ヘッドストラップ72及び後部ヘッドストラップ73を含み、上部ヘッドストラップ72及び後部ヘッドストラップ73は、患者インターフェース装置5が患者に装着されることに応答して、それぞれ患者の後頭部及び患者の頭頂部を囲んで固定されるように構成される。
【0140】
装着時、第1サイドヘッドストラップ71aは第1骨梁アーム60aから患者の左耳の上方に沿って後方へ延び、第2サイドヘッドストラップ71bは第2骨梁アーム60bから患者の右耳の上方に沿って後方へ延びる。
【0141】
具体的には、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bの端部には、それぞれ第1紐通し孔61a及び第2紐通し孔61bが設けられ、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの端部には、それぞれ面ファスナー部が設けられ、面ファスナー部は第1紐通し孔61a及び第2紐通し孔61bをそれぞれ通って第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの外部に折り返して貼り付けられる又は係合されることで、第1サイドヘッドストラップ71aを第1骨梁アーム60aと接続し、第2サイドヘッドストラップ71bを第2骨梁アーム60bと接続する。係合又は貼り付け部位を調整することで第1サイドヘッドストラップ71aと第2サイドヘッドストラップ71bの装着張力を調整し、それによって様々な患者の頭部に適応し、例えば、患者の頭部のサイズが大きい場合、第1骨梁アーム60a及び第2骨梁アーム60bに近い係合又は貼り付け部位を選択でき、逆も同様である。
【0142】
図27a、
図27b、
図27c及び
図20cに示すように、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの延び方向はそれぞれ後部ヘッドストラップ73の対応する側の延び方向と同じ直線上にある。従って、ヘッドストラップ70の調整範囲を拡大することができる。具体的には、第1サイドヘッドストラップ71aの第1端に第1調整構造711が設けられ、第2サイドヘッドストラップ71bの第1端に第2調整構造712が設けられ、第1調整構造711及び第2調整構造712はそれぞれ第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの使用長さを調整することでユーザーインターフェース装置の固定力を調整する。
【0143】
第1調整構造711及び第2調整構造712がいずれもマジックテープ(登録商標)であることを例として、
図27b及び
図27cに示すように、第1調整構造711及び第2調整構造712は本体部100の対応する接続孔60をそれぞれ通った後、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの外側面に折り返して貼り付けられているため、第1サイドヘッドストラップ71aに第1逆折り部713が形成され、第2サイドヘッドストラップ71bに第2逆折り部714が形成される。第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの調整作用がユーザーインターフェース装置の装着において大きな役割を果たすので、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの逆折りの長さによって両者の使用長さを調整でき、それによってユーザーインターフェース装置の固定力を調整する。
【0144】
以上のように、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの延び方向はそれぞれ後部ヘッドストラップ73の両側の延び方向とほぼ同じ直線上にあることで、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bは従来の医療用ヘッドストラップの調整範囲D1よりも広く、即ち、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bの調整範囲はD1+D2(
図27b及び
図20c参照)である。換言すれば、後部ヘッドストラップ73も調整部分となる。従って、ヘッドストラップ70の調整能力は従来のY型ヘッドストラップの調整能力よりも遥かに優れる。
【0145】
さらに、D1の値の範囲は70mm~150mmであり、好ましくは、85mm~120mmである。理解できるように、該調整範囲D1は、第1サイドヘッドストラップ71aから後述する上部ヘッドストラップ72と後部ヘッドストラップ73との接続部までの距離、又は、第2サイドヘッドストラップ71bから後述する上部ヘッドストラップ72と後部ヘッドストラップ73との接続部までの距離である。換言すれば、該距離は、第1サイドヘッドストラップ71a又は第2サイドヘッドストラップ71bの延び方向において測定される。
【0146】
理解できるように、第1調整構造711及び第2調整構造712は、バックル、磁石、スナップファスナー及び止め金などのほかの接続構造であってもよい。
【0147】
第1サイドヘッドストラップ71aの幅Wは12mm~16mmであり、第2サイドヘッドストラップ71bの幅Wは12mm~16mmである。なお、前記「幅」は、
図27bに示すように、第1サイドヘッドストラップ71a又は第2サイドヘッドストラップ71bの延び方向と直交する方向のサイズである。幅が広すぎる又は狭すぎると、装着の不快感を引き起こし、例えば、幅が狭すぎると、ユーザーの顔面及び頭部に局所的な圧迫痕が生じる一方、幅が広すぎると、ユーザーの多すぎる皮膚を覆う。従って、上記幅の範囲にある第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bは、ユーザーインターフェース装置をユーザーの顔面にしっかりと固定することを確保した上で、ユーザーの装着快適性を向上させることができる。
【0148】
選択可能に、後部ヘッドストラップ73にはその使用長さを調整するための第3調整構造が設けられる。第3調整構造は、上記第1調整構造711及び第2調整構造712と同様に、例えば、マジックテープ(登録商標)、バックル、磁石、スナップファスナー及び止め金などのほかの接続構造であってもよく、それによってヘッドストラップ70の使用長さをさらに調整する。
【0149】
後部ヘッドストラップ73の長さは200mm~260mmであり、該長さの範囲にある後部ヘッドストラップ73は大多数の人の頭囲サイズ要件を満たすことができる。
【0150】
本発明のヘッドストラップ70は、
図27bに示すように、上部ヘッドストラップ72をさらに含み、上部ヘッドストラップ72の両端は後部ヘッドストラップ73の両側にそれぞれ接続され、上部ヘッドストラップ72と後部ヘッドストラップ73との夾角αは30°~150°であり、好ましくは、75°~85°であり、それによって後部ヘッドストラップ73と上部ヘッドストラップ72をユーザーの頭部に強固に組み合わせることができる。
【0151】
図27c及び
図20cに示すように、1つの選択可能な実施例では、上部ヘッドストラップ72は第1端部ストラップ721及び第2端部ストラップ722を含み、第1端部ストラップ721は第1サイドヘッドストラップ71aの第2端と後部ヘッドストラップ73の一方側との交差部から第2端部ストラップ722へ延び、第2端部ストラップ722は第2サイドヘッドストラップ71bの第2端と後部ヘッドストラップ73の他方側との交差部から第1端部ストラップ721へ延び、第1端部ストラップ721と第2端部ストラップ722は第4調整構造723を介して接続される。上部ヘッドストラップ72も調整補助の役割を果たすことができるため、第4調整構造723を設けることでその使用長さを調整する。
【0152】
第4調整構造723は、第1端部ストラップ721及び第2端部ストラップ722のうちの一方に設けられる接続部材と、他方に設けられる嵌合部材とを含み、該嵌合部材は接続部材と嵌合して接続される。
【0153】
例えば、接続部材及び嵌合部材は、マジックテープ(登録商標)、バックル、磁石、スナップファスナー及び止め金などのほかの接続構造であってもよい。
【0154】
1つの実施例では、接続部材は、第1端部ストラップ721に設けられるヘッドストラップバックル724であり、嵌合部材は、第2端部ストラップ722に設けられるマジックテープ(登録商標)であり、マジックテープ(登録商標)はヘッドストラップバックル724を通って第2端部ストラップ722の外側面に折り返して貼り付けられ、逆折りの長さによって上部ヘッドストラップ72の実際の固定力を調整できる。第4調整構造723は上記調整構造と同様に、上部ヘッドストラップ72の使用長さを調整可能にし、それによって様々な頭囲サイズのユーザーに適用できる。
【0155】
さらに、第4調整構造723が設けられている実施例では、上部ヘッドストラップ72の長さは190mm~310mmであり、好ましくは、230mm~270mmである。上部ヘッドストラップ72の長さは、第2端部ストラップ722のマジックテープ(登録商標)がヘッドストラップバックル724を通りその最も近い根元部で折り返して貼り付けられることで第1端部ストラップ721と第2端部ストラップ722とを接続する時の上部ヘッドストラップ72の両端と後部ヘッドストラップ73との交差部の展開長さ(又は、上部ヘッドストラップ72の両端間の円弧長として理解されてもよい)である。
【0156】
図28に示すように、別の選択可能な実施例では、上部ヘッドストラップ72に調整構造が設けられておらず、それによってコストを削減することができる。
【0157】
さらに、調整構造が設けられていないこの実施例では、上部ヘッドストラップ72の長さは190mm~310mmであり、好ましくは、230mm~270mmである。理解できるように、この実施例では、上部ヘッドストラップ72の長さはその両端と後部ヘッドストラップ73との交差部の展開長さ(又は、上部ヘッドストラップ72の両端間の円弧長として理解されてもよい)である。
【0158】
なお、上記好ましい又は選択可能な実施例では、調整の便宜上、第1端部ストラップ721の長さは第2端部ストラップ722の長さに等しくないように設定されてもよい。
図27cに示すように、マジックテープ(登録商標)が設けられる第1端部ストラップ721の長さを第2端部ストラップ722の長さよりも大きくしてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、後部ヘッドストラップ73、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bは全体として同じ織物から切り出し、その後、上部ヘッドストラップ72と接合してなり、
図27cに示す接合線701で接合される。
【0159】
いくつかの選択可能な実施形態では、上部ヘッドストラップ72、後部ヘッドストラップ73、第1サイドヘッドストラップ71a及び第2サイドヘッドストラップ71bは全体として同じ織物から切り出される。
【0160】
いくつかの選択可能な実施形態では、第1サイドヘッドストラップ71aと第2サイドヘッドストラップ71b、後部ヘッドストラップ73及び上部ヘッドストラップ72は3つの織物を接合してなるようにしてもよい。
【0161】
なお、第1サイドヘッドストラップ71a、第2サイドヘッドストラップ71b、上部ヘッドストラップ72、後部ヘッドストラップ73の材料はいずれもフォーム、シリコーンゴム、弾性織物又は通気性のある織物からなってもよい。
【0162】
ヘッドストラップ70は一体式構造であり、即ち、第1サイドヘッドストラップ71a、第2サイドヘッドストラップ71b、上部ヘッドストラップ72及び後部ヘッドストラップ73は一体に形成されるため、従来の4点式ヘッドストラップよりも狭い幅で構成できる。例えば、その幅は8~16mmであってもよく、それによって柔軟性を向上させる。また、装着時、ヘッドストラップ70が患者の耳の下方を通過しないため、患者は装着中にヘッドストラップ70を外す必要がなく、従って、非常に便利で使いやすく、ヘッドストラップ70の装着張力を一度に調整する限り、容易に着脱でき、着脱するたびにその装着張力を繰り返し調整する必要がない。
【0163】
好ましい実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱せずに、種々の改良を行ったりその中の部材を同等物で置き換えたりすることができる。特に、構造的な矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本発明は明細書に開示されている特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0164】
100、200-鼻ライナー;
110、210-上側部;111a、211a-顔面接触部;
120、220-下側部;130、230-前側部;140、240-後側部;150、250-キャビティ;
111、211-中間部;112、212-第1側部;113、213-第2側部;
1111、2111-鼻部開孔;1112、2112-周囲密閉部;
121、221-ベース;122、222-底部開口部;123、223-密閉構造;124-第3気体排出孔;
131-第1トレンチ機構;
141-上唇接触部;142-支持部;143-第2トレンチ機構;
5-患者インターフェース装置;
50-フレーム;501-フレーム本体;502-円錐ボス;502a-内壁、502b-外壁;502c-斜壁;52-接続孔;
51-気体排出部;511-第1気体排出孔;
53-第1接続ラグ;54-第2接続ラグ;55-接続体;56-凹部;
60a-第1骨梁アーム;60b-第2骨梁アーム;61a-第1紐通し孔;61b-第2紐通し孔;62-第1骨梁アーム接続部;63-第2骨梁アーム接続部;
70-ヘッドストラップ;71a-第1サイドヘッドストラップ;71b-第2サイドヘッドストラップ;72-上部ヘッドストラップ;73-後部ヘッドストラップ;
80-換気管;81-フレキシブルホース;82-第2接続端;83-パイプコネクタ;84-第1接続端;
90-エルボ;91-第2気体排出孔。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェース装置に設けられる気体排出アセンブリであって、本体を含み、前記本体は、
円錐ボスを含み、前記円錐ボスに第1気体排出孔が設けられ、前記第1気体排出孔は前記円錐ボスの周方向にアレイ状に配置され、前記第1気体排出孔は上型と下型とのキスオフによって成形され、
前記円錐ボスは、内壁、外壁及び内壁と外壁との間に設けられる斜壁を含み、前記第1気体排出孔は前記斜壁に設けられることを特徴とする気体排出アセンブリ。
【請求項2】
前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも大きく、前記斜壁の厚さは0.7mm~2.0mmであ
り、又は、
前記第1気体排出孔の内孔径は前記第1気体排出孔の外孔径よりも小さく、前記斜壁の厚さは0.7mm~1.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項3】
前記第1気体排出孔は、長楕円形、長方形、又は少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項4】
前記第1気体排出孔は放射状に配置され、各前記第1気体排出孔に隣接する第1気体排出孔の数は2つ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項5】
前記第1気体排出孔は円形孔
又は円錐孔であることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項6】
患者インターフェース装置用のフレームアセンブリであって、
一方側が吸気管に接続され、他方側がライナーアセンブリに接続されるフレーム本体と、
前記フレーム本体に対向設置される第1骨梁アーム及び第2骨梁アームを含む1対の骨梁アームと、
前記ライナーアセンブリと前記フレーム本体とを接続するための接続体であって、前記接続体は前記ライナーアセンブリと密閉して閉接続を形成し、前記接続体には前記フレーム本体の内側から突出するボスが設けられ、前記ボスと前記フレーム本体の内壁との間に前記ライナーアセンブリを収容するための凹部が形成され、前記ボスは前記ライナーアセンブリの底部内に延びている接続体と、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置用のフレームアセンブリ。
【請求項7】
前記フレーム本体には、請求項1~
5のいずれか1項
に記載の気体排出アセンブリが設けられることを特徴とする請求項
6に記載のフレームアセンブリ。
【請求項8】
前記気体排出アセンブリは前記フレーム本体と一体にモールド成形され
、前記骨梁アーム
は前記フレーム本体と一体にモールド成形されることを特徴とする請求項
7に記載のフレームアセンブリ。
【請求項9】
前記骨梁アームはPP材料からなることを特徴とする請求項
6~
8のいずれか1項に記載のフレームアセンブリ。
【請求項10】
患者インターフェース装置であって、
患者の顔面に接触するための鼻ライナーを含むライナーアセンブリであって、前記鼻ライナーは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の鼻孔の周囲に適応的にフィットするように構成され、前記鼻ライナーは、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されるライナーアセンブリと、
両側が前記鼻ライナーと換気管にそれぞれ密閉接続されるフレームアセンブリと、
前記フレームに接続され、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して患者の頭部を囲んで固定されるように構成されるヘッドストラップと、を含むことを特徴とする患者インターフェース装置。
【請求項11】
前記鼻ライナーは、上側部、前記上側部と対向する下側部、及び前記上側部と前記下側部との間に設けられる周側部を含み、前記周側部は前記上側部及び前記下側部を囲んでキャビティを形成し、前記上側部はユーザーの顔面に接触する顔面接触部を含み、
前記顔面接触部は、中間部、及び前記中間部の両側に位置する第1側部と第2側部を含み、前記第1側部及び前記第2側部はいずれも前記周側部に接続され、
前記中間部は、前記キャビティに連通する鼻部開孔、及び前記鼻部開孔を囲む周囲密閉部を含み、前記鼻部開孔は、前記鼻ライナーがユーザーに装着されることに応答してユーザーの鼻孔の下側を囲繞し、前記周囲密閉部によってユーザーの鼻孔の周囲に適応的にフィットして密閉するように構成されることを特徴とする請求項
10に記載の患者インターフェース装置。
【請求項12】
請求項1~
5のいずれか1項
に記載の気体排出アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項
11に記載の患者インターフェース装置。
【請求項13】
前記フレームアセンブリは請求項
6~
9のいずれか1項に記載のフレームアセンブリであることを特徴とする請求項
11に記載の患者インターフェース装置。
【請求項14】
前記フレーム
アセンブリは、フレーム本体、及び前記フレーム本体の外側に設けられる円錐ボスを含み、前記円錐ボスに前記円錐ボス及び前記フレーム本体を貫通する接続孔が設けられ、前記接続孔の両端は前記鼻ライナー及び前記換気管にそれぞれ密閉接続されることを特徴とする請求項
13に記載の患者インターフェース装置。
【請求項15】
前記フレーム
アセンブリは、フレーム本体、及び前記フレーム本体に回転可能に接続されるエルボを含み、前記エルボは前記換気管に密閉接続されることを特徴とする請求項
14に記載の患者インターフェース装置。
【請求項16】
前記フレーム
アセンブリはエルボに直接接続され、前記エルボは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、
前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであることを特徴とする請求項
14に記載の患者インターフェース装置。
【請求項17】
前記フレームはフレキシブルホースに直接接続され、前記フレキシブルホースは圧力装置と接続するための空気搬送パイプに接続され、前記フレキシブルホースの内径は12mm~15mmであり、前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであ
り、
前記フレキシブルホースは、弾性を有する管であることを特徴とする請求項
14に記載の患者インターフェース装置。
【請求項18】
前記フレームにコネクタが設けられ、前記コネクタは前記フレキシブルホースに回転可能に接続されることを特徴とする請求項
17に記載の患者インターフェース装置。
【請求項19】
フレームの内側に接続体が設けられ、前記鼻ライナーは前記接続体を介して前記フレームに密閉接続され
、
前記鼻ライナーの下側にベースが設けられ、前記ベースに底部開口部が設けられ、
前記接続体は、前記フレームの内側から突出するボスとして構成され、前記ボスと前記フレームの内壁との間に凹部が形成され、前記鼻ライナーのベースは前記凹部内に設けられ、前記ボスは前記底部開口部内に延びていることを特徴とする請求項
11に記載の患者インターフェース装置。
【請求項20】
前記フレームの両端にそれぞれ設けられる第1骨梁アーム及び第2骨梁アームをさらに含み、前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームは前記患者インターフェース装置が装着されることに応答してそれぞれ装着者の頬に沿って耳の上方に延びており、
前記ヘッドストラップは、前記第1骨梁アームに接続される第1サイドヘッドストラップ、前記第2骨梁アームに接続される第2サイドヘッドストラップ、前記第1サイドヘッドストラップと前記第2サイドヘッドストラップとの間に設けられる上部ヘッドストラップ及び後部ヘッドストラップを含み、
前記上部ヘッドストラップ及び前記後部ヘッドストラップは、前記患者インターフェース装置が患者に装着されることに応答して、それぞれ患者の後頭部及び患者の頭頂部を囲んで固定されるように構成されることを特徴とする請求項
10~
19のいずれか1項に記載の患者インターフェース装置。
【国際調査報告】