(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】非侵襲的プロセス流体温度アプリケーション用の熱流束温度センサープローブ
(51)【国際特許分類】
G01K 17/08 20060101AFI20240905BHJP
G01K 7/02 20210101ALI20240905BHJP
【FI】
G01K17/08
G01K7/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519566
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022044343
(87)【国際公開番号】W WO2023055640
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ロイヴァーズ,ジョン・エル
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056KC06
2F056KC08
2F056KC14
2F056YF00
(57)【要約】
熱流束温度センサープローブ(400)は、第一の無機絶縁ケーブル部(402)と第二の無機絶縁ケーブル部(404)とを含む。第一の無機絶縁ケーブル部(402)は、第一の金属シース(406)と、その内部に延伸する第一の複数の熱電対導体(408、410、411)とを有する。第二の金属絶縁ケーブル部(404)は、第二の金属シース(406)と、その内部に延伸する第二の複数の熱電対導体(407,409)を有する。第一の熱電対(412)は、第一の複数の熱電対導体(408、410、411)のうちの一つと、第二の無機絶縁ケーブル部(404)の第一の端部に近接する第二の複数の熱電対導体(407、409)のうちの一つと、の間に形成される。第二の熱電対(416)は、第二の無機絶縁ケーブル(402)の第二の端部に近接した第二の複数の熱電対導体(407,409)の少なくとも二つの間に形成される。シース(418)は、第一(402)、及び、第二(404)無機絶縁ケーブル部に動作可能に結合され、及び、接続されており、シース(418)の内部の一部は、非導電性材料で充填される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱流束温度センサープローブであって、
第一の金属シース、その内部に延伸する第一の複数の熱電対導体、及び、前記第一の複数の熱電対導体を互いに絶縁し、及び、前記第一の金属シースから絶縁する、無機絶縁材料を有する、第一の無機絶縁ケーブル部、
第二の金属シース、その内部に延伸する第二の複数の熱電対導体、及び、前記第二の複数の熱電対導体を互いに絶縁し、及び、前記第二の金属シースから絶縁する、無機絶縁材料を有する、第二の無機絶縁ケーブル部、
前記第二の無機絶縁ケーブル部の第一の端部に近接して、前記第一の複数の熱電対導体のうちの少なくとも一つと前記第二の複数の熱電対導体のうちの一つとの間に形成された、第一の熱電対、
前記第二の無機絶縁ケーブルの第二の端部に近接して、前記第二の複数の熱電対導体の少なくとも二つの間に形成された、第二の熱電対、及び、
前記第一、及び、第二の無機絶縁ケーブル部に動作可能に結合され、及び、接続されるシースであって、その内部の一部が非導電性材料で充填される、前記シース、
を含む、前記熱流束温度センサープローブ。
【請求項2】
前記第一の複数の熱電対導体から前記第二の複数の熱電対導体への、同一タイプの熱電対導体ワイヤーの少なくとも一つの結合部、をさらに含む、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項3】
前記無機絶縁材料は、酸化マグネシウム粉末である、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項4】
前記無機絶縁材料は、セラミックである、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項5】
前記シースは、金属で形成される、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項6】
前記シースは、前記第一、及び、第二の無機絶縁ケーブル部、の少なくとも一方、に溶接される、請求項5に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項7】
前記シースは、前記非導電性材料を、その内部に封止する、請求項1記載の熱流束温度プローブ。
【請求項8】
前記シースは、前記非導電性材料が供給され、その後、封止される開口部を含む、請求項7に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項9】
前記開口部は、溶接される、請求項8に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項10】
前記シースは、前記第二の無機絶縁ケーブル部の全長に亘り延伸される、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項11】
前記第二の熱電対は、前記第二の無機絶縁ケーブル部の前記第二の端部に近接して、前記シースに電気的に結合される、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項12】
前記第二の金属シースの前記第二の端部に近接して、前記シースに取り付けられたエンドキャップ、をさらに含む、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項13】
前記第一の複数の熱電対導体の数は、前記第二の複数の熱電対導体の数よりも多い、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項14】
前記無機絶縁材料は、空気である、請求項1に記載の熱流束温度プローブ。
【請求項15】
熱流束温度センサープローブであって、
金属シース、その内部を延伸する複数の熱電対導体、及び、前記複数の熱電対導体を互いに絶縁し且つ前記金属シースから絶縁する無機絶縁材料、を有する無機絶縁ケーブル、
前記無機絶縁ケーブルの前記金属シースが取り去られた接合位置において、前記複数の熱電対導体のうちの二つの間に形成された第一の熱電対、
前記無機絶縁ケーブルの端部に近接して、前記複数の熱電対導体の二つの間に形成された第二の熱電対、及び、
前記接合位置において、前記無機絶縁ケーブルに動作可能に結合されたシースであって、前記シースの前記内部の一部が、非導電性材料で充填される、前記シース、
を含む、前記熱流束温度センサープローブ。
【請求項16】
前記シースの前記内部は、ポッティング材料で充填される、請求項15に記載の熱流束温度センサープローブ。
【請求項17】
前記シースは、前記無機絶縁ケーブルに圧着される、請求項16に記載の熱流束温度センサープローブ。
【請求項18】
前記シースは、前記無機絶縁ケーブルに溶接される、請求項15に記載の熱流束温度センサープローブ。
【請求項19】
前記第二の熱電対は、前記無機絶縁ケーブルの端部において、前記無機絶縁ケーブルの前記金属シースに取り付けられる、請求項15に記載の熱流束温度センサープローブ。
【請求項20】
前記無機絶縁ケーブルの前記金属シースが取り去られ、及び、第二のシースで覆われた、第二の接合位置において、前記複数の熱電対導体のうちの二つの熱電対導体の間に、第三の熱電対が形成される、請求項15に記載の熱流束温度センサープローブ。
【請求項21】
プロセス流体用の温度測定アセンブリであって、
送信機の電子回路、
前記送信機の電子回路に結合された熱流束温度センサープローブであって、
第一の無機絶縁ケーブル部、
接合位置において、前記第一の無機絶縁ケーブル部に動作可能に結合された第二の絶縁ケーブル部、
前記接合位置において、熱電対導体から形成された第一の熱電対、
前記接合位置とは反対側の、前記第一、及び、第二の無機絶縁ケーブル部の一方の端部において、熱電対導体から形成された第二の熱電対、
を含む、前記熱流束温度センサープローブ、
を含み、及び、
前記第一、及び、第二の熱電対は、前記送信機の電子回路に動作可能に結合され、前記送信機の電子回路は、前記第一、及び、第二の熱電対の間の既知の熱インピーダンスに、少なくとも部分的に、基づいて熱流束計算を実行するように構成される、
前記プロセス流体用の温度測定アセンブリ。
【請求項22】
前記第一の無機絶縁ケーブル部、及び、第二の無機絶縁ケーブル部、の少なくとも一方を、空気が絶縁する、請求項21に記載の温度測定アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
多くの工業プロセスでは、プロセス流体をパイプ又は他の導管を通して搬送する。このようなプロセス流体には、液体、気体、及び場合によっては巻き込まれた固体、が含まれることがある。このようなプロセス流体の流れは、衛生的な食品及び飲料の製造、水処理、高純度医薬品の製造、化学処理、炭化水素の抽出及び処理、を含む炭化水素燃料産業、及び侵食性及び腐食性のスラリーを利用する水圧破砕技術、を含むが、これらに限定されない様々な産業のいずれかに見出すことができる。
【0002】
サーモウェル内には温度センサーを配置し、それを導管の開口部を介してプロセス流体の流れの中に挿入するのが一般的である。しかし、この方法は、プロセス流体が、非常に高温、非常に腐食性、又は、その両方、である可能性があるため、常に実用的であるとは限らない。さらに、サーモウェルは、一般的に、導管内に、ねじ付きポート、又は、他の堅牢な機械的取り付け部/封止部を必要とし、そのため、プロセス流体流システム内の定義された位置となるように設計されなければならない。従って、サーモウェルは、正確なプロセス流体温度を提供するために有用ではあるが、多くの制限を有している。プロセス流体温度は、最近では、パイプ等のプロセス流体導管の外部の温度を測定し、熱流計算を使用することによって推定される。この外部の方法は、導管内に定義された開口部又はポートを必要としないため、非侵襲的であると考えられる。従って、このような非侵襲的方法は、導管に沿った実質的に任意の位置に配置することができる。
【発明の概要】
【0003】
概要
熱流束温度センサープローブは、第一の無機絶縁ケーブル部及び第二の無機絶縁ケーブル部を含む。第一の無機絶縁ケーブル部は、第一の金属シースと、その内部に延伸する第一の複数の熱電対導体と、第一の複数の熱電対導体を互いに及び第一の金属シースから絶縁する無機絶縁材料と、を有する。第二の無機絶縁ケーブル部は、第二の金属シースと、その内部に延伸する第二の複数の熱電対導体と、第二の複数の熱電対導体を互いに及び第二の金属シースから絶縁する無機絶縁材料と、を有する。第一の熱電対は、第二の無機絶縁ケーブル部の第一の端部に近接して、第一の複数の熱電対導体のうちの少なくとも一つと、第二の複数の熱電対導体のうちの一つと、の間に形成される。第二の熱電対は、第二の無機絶縁ケーブルの第二の端部に近接して、第二の複数の熱電対導体の少なくとも二つの間に形成される。シースは、第一及び第二の無機絶縁ケーブル部に動作可能に結合され、及び接続されており、シースの内部の一部は、非導電性材料で充填される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の実施形態が特に有用である温度測定アセンブリの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態が特に有用であるパイプスキン測定アセンブリの概略図である。
【
図3】プロセス流体温度測定アセンブリのデバイス電子回路のブロック図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る、熱電対構成の変形例である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る、熱電対構成の変形例である。
【
図5C】本発明の実施形態に係る、熱電対構成の変形例である。
【
図5D】本発明の実施形態に係る、熱電対構成の変形例である。
【
図6A】本発明の別の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。
【
図6B】本発明の別の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、熱流束センサーの製造方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的実施形態の詳細な説明
熱流測定には、プロセス温度を測定するためのより良い方法を提供する多くのアプリケーションを有する。例えば、Emerson Automation Solutions社から入手可能なRosemount X-Well(登録商標)技術は、非侵入的に又は非侵襲的な方法で、プロセス温度を測定するために使用することができる。この技術は、パイプ表面(スキン)の温度測定、パイプ表面から離間した位置からの基準温度測定、及び、温度センサーの各位置間の既知の熱関係(例えば、長さ及び熱伝導率)、及び、熱流計算を使用して、プロセス流体導管の内部表面温度を推測し、及びそこから導管内のプロセス流体の温度を推測する。熱流束センサーは、基準温度センサーと同様にスキン温度センサーを提供することができるが、適切な性能を確保し、熱流を適切に理解するためには、素子の配置が重要である。
【0006】
図1は、本明細書に記載される実施形態が特に有用である温度測定アセンブリの概略図である。アセンブリ100は、プロセス容器壁110に結合されたセンサーアセンブリ130を含む。結合部は、
図1に示されるように、パイプクランプ120であることができる。センサーアセンブリ130は、送信機140に延伸される複数のリード線150を有し、送信機は、センサーアセンブリ130に局所的に接続されることもできるし、センサーアセンブリ130から遠隔的に接続されることもできる。送信機140は、熱流束計算を実行するように構成されたコントローラーを含む。
【0007】
図2は、本発明の実施形態が特に有用であるパイプスキン測定アセンブリの概略図である。システム200は、パイプクランプ212の使用を介して熱流束温度プローブ220に結合されたパイプ110を含む。熱流束温度プローブ220は、送信機222に直接結合される。送信機222は、熱流束温度プローブ220からの受信信号に基づいて熱流を計算するように構成されることができる。熱流束温度プローブ220は、バネ208によって、パイプ110の外径に対して付勢される。バネ208が図示されているが、当業者であれば、熱流束温度プローブ220をパイプ110と連続的に接触するように付勢するために、様々な技術を使用できることを理解するであろう。熱流束温度プローブ220は、熱電対等の複数の感温素子を含む。これらの熱電対は、ハウジング210内の送信回路に電気的に接続されており、この回路は、熱流束温度プローブ220から温度測定値を取得し、それに基づいてプロセス流体温度の推定値を計算するように構成される。
【0008】
一例としては、基本的な熱流計算は次のように単純化できる。
Tcorrected= Tskin + (Tskin - Treference) * (Rpipe/Rsensor)
【0009】
この式において、Tskinは、導管の外部表面の測定温度である。さらに、Treferenceは、Tskinを測定する温度センサーから一定の熱インピーダンス(Rsensor)を有する位置について得られる第二の温度である。Rpipeは、導管の熱インピーダンスであり、パイプの材料情報、パイプの肉厚情報を取得することによって、マニュアルで取得することができる。追加的に、又は代替的に、Rpipeに関連するパラメータを校正中に決定し、その後の使用のために保存することもできる。従って、上述したような適切な熱流束計算を使用して、ハウジング210内の回路は、プロセス流体温度(Tcorrected)の推定値を計算し、そのようなプロセス流体温度に関する指標を、適切な装置及び/又は制御室に伝えることができる。
【0010】
図3は、本発明の実施形態に係る、デバイス電子回路のブロック図である。電子回路300は、電子回路ハウジング210内に収容することができる。電子回路ハウジング210は、送信機、例えば、送信機222(
図2に示す)、と関連させることができる。さらに、電子回路300の少なくとも一部は、本明細書に記載されたセンサー等のセンサーアセンブリの一部を形成することができる。電子回路300は、一実施形態としては、プロセッサー350、一つ以上のアナログ/デジタル(AD)変換器354、及び、メモリ356を含む。プロセッサー350は、デジタルマイクロプロセッサーであることができる。メモリ356は、プロセッサー350に電子的に結合されたデジタルデータ記憶装置を含むことができる。電子回路300は、例えば、温度、又は、装置の状態を表示することができるローカルオペレーターインターフェース366を介してローカルにアクセスすることができる。
【0011】
プロセッサー350は、A/D変換器354及びもう一つのセンサーリード線342との間の結合によって、温度センサー、例えば、本明細書に記載されるセンサー、に接続される。
【0012】
一実施形態としては、電子回路300は、通信インターフェース358も含むことができる。通信インターフェース358は、電子回路300、及び、制御又は監視システム362、の間の通信を提供する。電子回路300は、プロセス内のプロセス流体の計算された温度を、制御システム362に送信することができる。温度測定アセンブリ300と制御システム362との間の通信は、任意の適切な無線接続、又は、配線による接続を介して行うことができる。例えば、通信は、4~20mAの範囲の二線式ループを介したアナログ電流によって表すことができる。あるいは、通信は、HART(登録商標)デジタルプロトコルを使用した二線式ループ、又は、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス、等のデジタルプロトコルを使用した通信バスを介して、デジタル形式で送信することができる。
【0013】
通信インターフェース358は、任意選択として、WirelessHART(IEC62591)等の無線プロトコルを使用した無線送信による通信のための無線通信回路364、を含むことができる。さらに、コントローラー監視システム362との通信は、直接、又は任意の数の中間デバイスのネットワーク、例えば、無線メッシュネットワーク(
図3には図示せず)を介して、行うことができる。通信インターフェース358は、温度測定アセンブリ300への、及び、からの通信の管理及び制御を支援することができる。例えば、制御又は測定システム362は、通信インターフェース358によって、基本構造のパラメータ、プロセス容器の壁のパラメータ、又は特定の用途のための熱伝達モデルの選択、の入力又は選択を含んだ、温度測定アセンブリ300の構成を提供することができる。
【0014】
本明細書に記載の実施形態によれば、簡略化された熱流束温度プローブが、プローブの製造方法と共に提供され、このプローブは、一般的に、製造の可能性を改善すると共に、製造コストを低減し、既存の製造プロセスを活用する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、MIMS(無機絶縁金属シース、mineral insulated metal sheath)ケーブルとしても知られる市販のMI(無機絶縁、mineral-insulated)ケーブルを活用する。MIケーブルは、一般的に、その内部を多数の導体が貫通する、概して円筒形の金属シースを備えている。この導体は、酸化マグネシウム(MgO)又はセラミック等の無機粉末によって、互いに、及び、金属シースから絶縁される。MIケーブルは、その内部を貫通する導体と同様に、金属シースについても、様々な異なる材料を指定することができる。さらに、導体は、熱電対の金属として指定することもできる。熱電対の金属の例には、Jタイプ熱電対(すなわち鉄-コンスタンタン)、Kタイプ熱電対、Nタイプ熱電対、Eタイプ熱電対、及び、Tタイプ熱電対(すなわち銅-コンスタンタン) 用の金属が含まれる。さらに、金属シースは、例えば、304ステンレス鋼、310ステンレス鋼、316ステンレス鋼、321ステンレス鋼、及び、インコネル、として指定することもできる。MIケーブルの商業サプライヤーとしては、コネチカット州ノーウォークのオメガエンジニアリングがある。
【0015】
図4A、及び、
図4Bは、本発明の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。熱流束センサー400は、一般的に、MIケーブル402、404の複数の部分から形成される。従って、各MIケーブル部は、無機粉末410によって、互いに及び金属シース406から、絶縁された、複数の熱電対導体408を含む、金属シース406を有する。上述したように、無機粉末410は、一般的に、酸化マグネシウム、又は、セラミックである。第一のMIケーブル部402は、三本の熱電対導体408、410、411を有するように図示される。三本のうち、導体408及び410は、第一のMIケーブル部402及び第二のMIケーブル部404の間に位置する低温端部の熱電対接合部412で、互いに接合される。さらに、第二のMIケーブル部404は、高温端部の熱電対接合部416を形成するセンサーエンドキャップ414で終端部する、複数の熱電対導体407、409を有する。
【0016】
図4A、及び、
図4Bに示されるように、第一のMIケーブル部の導体の一部は、溶接等によって、第二のMIケーブル部の導体に電気的に結合される。図示の例では、MIケーブル部402の導体411は、位置424において、第二のMIケーブル部404の導体407に溶接される。同様に、MIケーブル部402の導体408、及び、410は、位置426において、MIケーブル部404の導体409に溶接される。二つの導体を単に(すなわち、熱電対を作成しないで)結合させるために、一つのMIケーブル部内の熱電対導体ワイヤーを、別のケーブル内の熱電対導体ワイヤーに溶接する場合、二つの導体は互いに同じ金属でなければならない。
【0017】
図4A、及び、
図4Bは、また、支持管418が、第一のMIケーブル402の一部と同様に、第二のMIケーブル部404の全長に亘り、供給されることも示している。支持管418は、溶接等の適切なプロセスによって、第一のMIケーブル402の金属シース406に固定される。
【0018】
図4A、及び、
図4Bに示す設計では、市販で既製品の、MIケーブル、及び、MgO粉末を使用することができ、接合位置(すなわち、高温端部の接合熱電対416に対する低温端部の接合熱電対412の位置)を高精度にすることができる。好ましくは、第一のMIケーブル部402、及び、第二のMIケーブル部404は、熱電対接合部が形成された後、外側支持管418に溶接される。この支持管418は、熱電対接合部が形成された後、第一のMIケーブル部402と第二のMIケーブル部404との間の空洞422に、MgO又はセラミック等の適切な絶縁体が充填されること可能にする穴420(
図4Bに示す)を含む。空洞422が充填されたら、穴420を充填するための溶接部を形成することによって、穴420を封止することができる。金属側壁からの導体間隔によっては、絶縁材料410の代わりに、電気絶縁体として空気でも十分な場合がある。この場合、穴420は、必要ないようにできる。理解することができるように、MIケーブル部の導体の数を様々に指定することにより、本明細書に記載の実施形態に従って、様々な配線の組み合わせを使用することができる。
【0019】
図5A~5Dは、本発明の実施形態に係る、熱電対構成の変形例である。
図5Aは、二線式MIケーブルに接合された三線式MIケーブルを示す。
図5Bは、二線式MIケーブルに接合された四線式MIケーブルを示す。図示されるように、接合部412、及び、416は、一つの導体を共有し、一つのワイヤーは未使用のままである。
図5Cは、二線式MIケーブルに接合された四線式MIケーブルである第一のMIケーブルを示す図である。接合部412、416は、導体を共有していないことに留意されたい。
【0020】
図5Dでは、単一の四線式MIケーブルが使用され、材料は、第二の接合部で単に取り去られる。第二の接合部の後の二本の導体は、その後、使用されない。同様の構成は、一つの共有導体を有する単一の三線式MIケーブルを使用して行うこともできる。このような実施形態のいずれにおいても、MIケーブルの外側シース406、又は、その一部は、第二の接合部の位置で取り去られる。四線式MIケーブルの二本のワイヤーは、この位置で共に切断され、溶接され、それによって、低温端部の熱電対接合部412を形成する。その後、接合部は、スリーブ502(
図6Aに示す)等の適切なスリーブで覆われ、スリーブは、MIケーブルに溶接、又は、その他の方法で、接続される。スリーブ内の開口部は、必要に応じて、接合部を充填し、封止するために使用することができる。この特定の実施形態は、高温端部の熱電対接合部に対する第二の接合部熱電対のより高精度の位置決めを可能にする可能性を有する。上述したように、第二端部の熱電対接合部の位置決めは、これら二つの位置間の熱インピーダンスに依存するアルゴリズム又は処理技術を使用する場合に、より重要になる。この熱インピーダンスは、熱が流れる材料(例えば、一般的にMIケーブル)、及び、熱が流れなければならない長さに基づいている。
【0021】
図6A、及び、
図6Bは、本発明の別の実施形態に係る、非侵襲プロセス流体温度測定システム用の熱流束センサーの概略断面図である。熱流束センサー500は、熱流束センサー400といくつかの類似点を有し、同様の構成要素には同様の番号が付される。センサー400とセンサー500との間の一つの相違点は、支持管502が、MIケーブル部402、及び、404の一方の全長に亘り延伸されていないことである。その代わりに、支持管502は、低温熱電対接合部412に近接して、単に、MIケーブル402、及び、404のそれぞれの一部を覆うように延伸される。
図6Bに示すように、支持管502は、絶縁材料が供給される充填開口部420を含む。この実施形態では、絶縁材料は、MgO又はセラミック等の無機粉末であることができるが、環境封止を生成するために、エポキシ等のポッティング材料が、開口部420を通して導入されてもよいことも明示的に想定される。
【0022】
図6A、及び、
図6Bに示される実施形態において、支持管502は、それぞれの界面504、506において、第一のMIケーブル部402、及び、第二のMIケーブル部404のそれぞれに取り付けられる。溶接部を、これらの取り付け界面のそれぞれに設けることができる。しかしながら、インターフェース504を溶接する代わりに、支持管502を、第一のMI部402に圧着することも明示的に企図される。これは、環境封止を生成するためにポッティング材料が使用される場合に、特にそうである。
【0023】
センサー500とセンサー400との別の相違点は、センサー500が高温端部の熱電対416に結合されたエンドキャップを必要としないことである。その代わりに、高温端部の熱電対416は、位置508で、第二のMIケーブル404のシース406に接地される。しかし、別の実施形態では、高温端部の熱電対416は、第二のMIケーブル404の端部に、溶接、又は、その他の方法、で取り付けられたエンドキャップに接地することもできる。
【0024】
理解できるように、これまでに説明した実施形態は、一般的に、市販のMIケーブルを使用して、正確な距離だけ離間された一対の熱電対を提供するが、本明細書に記載された様々な技術に従って、単にMIケーブルの追加部を追加して結合することだけで、二つ以上の熱電対を、離間させて提供できることも明示的に企図される。従って、MIケーブルに沿って離間された三つ以上の熱電対を備え、それぞれが熱流束計算を使用する温度測定システムの測定回路に電気的に結合されたセンサーが、明示的に企図される。
【0025】
図7は、本発明の実施形態に係る、熱流束センサーの製造方法の流れ図である。方法600は、第一のMI熱電対ケーブル部が提供されるブロック602から始まる。このようなケーブルの一例は、
図4に参照数字402で示される。次に、ブロック604において、第二のMI熱電対ケーブルが提供される。第二のMI熱電対ケーブルの一例は、
図4Aに参照番号404で示される。次に、ブロック606において、第一及び第二のMI熱電対ケーブルの間に、第一の熱電対が作成される。この第一の熱電対は、低温端部の熱電対接合部とみなされる。次に、ブロック608において、第一の熱電対とは反対側の、第一、及び、第二のMI熱電対ケーブルの一方の端部に、第二の熱電対が形成される。この第二の熱電対の例は、
図4Aに参照番号416で示される。図示されたように、熱電対416は、低温端部の熱電対412に対して第二のMIケーブル404の反対側の端部にある。
【0026】
次に、ブロック610において、スリーブが第一の熱電対の上を摺動され、溶接、又は、圧着等によって、第一、及び、第二のMI熱電対ケーブルに結合される。このスリーブは、支持スリーブ418(
図4Aに示す)、又は、支持スリーブ502(
図6Aに示す)とすることができる。次に、ブロック612において、スリーブに絶縁材料が充填される。ステップ612では、側壁に対する導体間隔に応じて任意とすることができる。この絶縁材料は、MgO粉末614、セラミック粉末616、又は、ポッティング材料618であることができる。次に、ブロック620において、スリーブが封止される。MgO粉末614、又は、セラミック粉末616を使用する実施形態においては、粉末が導入された開口部を溶接することによって、スリーブが封止される。絶縁材料がポッティング618である実施形態においては、単にポッティング材料の硬化によって、スリーブされて封止される。
【国際調査報告】