(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
H01L21/304 648F
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519620
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2022115058
(87)【国際公開番号】W WO2023051121
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111155163.3
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】フォン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユィチー
(72)【発明者】
【氏名】シュイ ロン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シァオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB11
5F157BB66
5F157CD33
5F157CE36
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157CF60
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB41
5F157DB47
5F157DC86
(57)【要約】
本発明の実施形態に開示される基板処理装置は、処理チャンバーと、液体供給タンクと、回収タンクとを備える。第一パイプラインは、液体供給タンクの第一液体吸込口と液体排出口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を循環させる。第二パイプラインは、第一パイプラインと処理チャンバーの液体吸込口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を処理チャンバーに送るように構成される。第三パイプラインは、第一パイプラインと回収タンクの第一液体吸込口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を回収タンクに送るように構成される。第四パイプラインは、処理チャンバーの液体排出口と回収タンクの第二液体吸込口とを接続し、処理チャンバー内の使用済みの薬液を回収タンクに戻すように構成される。第五パイプラインは、回収タンクの液体排出口と液体供給タンクの第二液体吸込口とを接続し、回収タンク内の薬液を液体供給タンクに戻すように構成される。第三パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の温度は、第四パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の温度よりも高い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吸込口と液体排出口とを有する処理チャンバーと、
第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを備える液体供給タンクと、
第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを備える回収タンクと、
液体供給タンクの第一液体吸込口と液体排出口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を循環させるように構成された第一パイプラインと、
前記第一パイプラインと前記処理チャンバーの前記液体吸込口とを接続し、前記液体供給タンク内の前記薬液を前記処理チャンバーに送るように構成された第二パイプラインと、
前記第一パイプラインと前記回収タンクの前記第一液体吸込口とを接続し、前記液体供給タンク内の前記薬液を前記回収タンクに送るように構成された第三パイプラインと、
前記処理チャンバーの前記液体排出口と前記回収タンクの前記第二液体吸込口とを接続し、前記処理チャンバー内の使用済みの前記薬液を前記回収タンクに戻すように構成された第四パイプラインと、
前記回収タンクの前記液体排出口と前記液体供給タンクの前記第二液体吸込口とを接続し、前記回収タンク内の前記薬液を前記液体供給タンクに戻すように構成された第五パイプラインと、を備え、
前記第三パイプラインを通じて前記回収タンクに送られる前記薬液の温度は、前記第四パイプラインを通じて前記回収タンクに送られる前記薬液の温度よりも高い、基板処理装置。
【請求項2】
前記第一パイプライン上に順次配置された、第一循環ポンプと、第一ヒーターと、第一温度コントローラとをさらに備え、
前記第一循環ポンプは、前記薬液を前記液体供給タンクから前記第一パイプラインを通じて前記液体供給タンクに戻すように構成されており、これによって前記薬液が前記液体供給タンクを循環し、
前記第一ヒーターは、前記第一パイプラインを通る前記薬液を加熱するように構成され、
前記第一温度コントローラは、前記薬液の温度を検出し、前記第一ヒーターの起動/停止を制御して、前記液体供給タンク内の前記薬液の温度を予め設定された温度に保つように構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第三パイプラインを通じて前記回収タンクに送られる前記薬液の流量は、前記第四パイプラインを通じて前記回収タンクに送られる前記薬液の流量以上である、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第四パイプラインの外側に配置された保温ジャケットをさらに備える、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記回収タンクに配置された第二ヒーターと、第二温度コントローラとをさらに備え、前記第二温度コントローラは、前記第二ヒーターの起動/停止を制御して、前記回収タンク内の前記薬液の温度が予め設定された温度を超えないようにする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記回収タンクの前記液体排出口が前記回収タンクの底部に配置される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記回収タンクに配置された液面コントローラと、前記第五パイプラインに配置された第二循環ポンプとをさらに備え、前記液面コントローラは、前記第二循環ポンプの起動/停止を制御して、前記回収タンク内の前記薬液の液面が予め設定された液面を超えないようにする、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記液面コントローラには、第一液面値と第二液面値が設定されており、前記液面コントローラが回収タンク内の薬液の液面が前記第一液面値を超えることを検出した場合、前記液面コントローラは、前記第二循環ポンプをオンにする命令を送信し、前記回収タンク内の前記薬液を前記液体供給タンクに戻し、
前記液面コントローラが前記回収タンク内の前記薬液の液面が前記第二液面値を下回ることを検出した場合、前記液面コントローラは、前記第二循環ポンプをオフにする命令を送信し、前記回収タンク内の前記薬液を前記液体供給タンクに戻すことを停止する、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第五パイプラインに設置された温度アラームをさらに備え、前記温度アラームは安全温度に設定され、前記温度アラームが前記第五パイプライン内の前記薬液の温度が前記安全温度を超えることを検出した場合、前記温度アラームは警報を発し、前記基板処理装置は運転を停止する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記安全温度には上限値と下限値が設定され、前記上限値は基板処理温度であり、前記下限値は前記薬液中で粒子凝固が起こる臨界温度であり、前記温度アラームが前記第五パイプライン内の前記薬液の温度が前記上限値より高いか前記下限値より低いことを検知すると、前記温度アラームは警報を発し、前記基板処理装置の運転を停止させる、請求項9に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造技術の分野一般に関し、より詳細には基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単一ウエハ洗浄装置では、基板を洗浄するために高温の薬液がよく使用される。一部の薬液(例えばST250)は、温度によって粘度が大きく変化する。温度が低い場合、薬液の粘度が増加し、薬液中の粒子が凝集体を形成することがある。これにより、基板の洗浄効果が低下することがある。上記の理由に基づいて、高温の薬液で基板を洗浄する際には、基板に供給される薬液の温度を予め設定された温度で維持することだけでなく、薬液の循環サイクル全体における温度変動がわずかであることも必要となる。これにより、より良い洗浄効果を得ることができる。
【0003】
図1は、液体供給タンク200’、洗浄チャンバー100’、および回収タンク300’を含む従来の基板洗浄装置を示している。液体供給タンク200’は、内部循環パイプラインL1’を通じて薬液の温度を調整し、洗浄チャンバー100’に一定温度の薬液を供給する。洗浄工程が完了した後、使用済みの薬液は回収タンク300’に戻り、その後回収タンク300’から液体供給タンク200’に戻ってリサイクルされる。しかし、洗浄チャンバー100’で基板を薬液で洗浄することと、薬液を回収タンク300’に一時的に保管することにより、薬液の温度が下がる可能性がある。温度の低下は、薬液中の粒子の凝集を引き起こすだけでなく、回収タンク300’内の薬液と液体供給タンク200’内の薬液との間に大きな温度差を生じさせる。この温度差は時には最大で摂氏20度にもなるので、これにより、液体供給タンク200’の温度制御の難しさが増し、洗浄チャンバー100’に供給される薬液の温度が予め設定された洗浄温度よりも低くなることがある。これら全てが最終的には基板の洗浄効果の低下につながり、製品の歩留まりに影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的の一つは、薬液の温度を効果的に制御し、製品の歩留まりを向上させることができる基板処理装置を提供することである。
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、以下の部材を備える基板処理装置を提供する。
・液体吸込口と液体排出口とを有する処理チャンバー
・第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを備える液体供給タンク
・第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを備える回収タンク
・液体供給タンクの第一液体吸込口と液体排出口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を循環させるように構成された第一パイプライン
・第一パイプラインと処理チャンバーの液体吸込口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を処理チャンバーに送るように構成された第二パイプライン
・第一パイプラインと回収タンクの第一液体吸込口とを接続し、液体供給タンク内の薬液を回収タンクに送るように構成された第三パイプライン
・処理チャンバーの液体排出口と回収タンクの第二液体吸込口とを接続し、処理チャンバー内の使用済みの薬液を回収タンクに戻すように構成された第四パイプライン
・回収タンクの液体排出口と液体供給タンクの第二液体吸込口とを接続し、回収タンク内の薬液を液体供給タンクに戻すように構成された第五パイプライン
【0006】
さらに、第三パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の温度は、第四パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の温度より高い。
【0007】
本発明の任意の実施形態において、第一循環ポンプと、第一ヒーターと、第一温度コントローラとが第一パイプライン上に順次配置されている。
【0008】
第一循環ポンプは薬液を液体供給タンクから第一パイプラインを通じて液体供給タンクに戻すように構成されており、これによって薬液が液体供給タンクを循環する。
【0009】
第一ヒーターは、第一パイプラインを通る薬液を加熱するように構成されている。
【0010】
第一温度コントローラは、薬液の温度を検出し、第一ヒーターの起動/停止を制御して、液体供給タンク内の薬液の温度を予め設定された温度に保つように構成されている。
【0011】
本発明の任意の実施形態として、第三パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の流量は、第四パイプラインを通じて回収タンクに送られる薬液の流量以上である。
【0012】
本発明の任意の実施形態として、第四パイプラインの外側に配置された保温ジャケットをさらに備える。
【0013】
本発明の任意の実施形態として、回収タンクに配置された第二ヒーターと、第二温度コントローラとをさらに備え、第二温度コントローラは、第二ヒーターの起動/停止を制御して、回収タンク内の薬液の温度が予め設定された温度を超えないようにする。
【0014】
本発明の任意の実施形態として、回収タンクの液体排出口は回収タンクの底部に配置される。
【0015】
本発明の任意の実施形態として、回収タンクに配置された液面コントローラと、第五パイプラインに配置された第二循環ポンプとをさらに備え、液面コントローラは、第二循環ポンプの起動/停止を制御して、回収タンク内の薬液の液面が予め設定された液面を超えないようにする。
【0016】
本発明の任意の実施形態として、液面コントローラには、第一液面値と第二液面値が設定されており、液面コントローラが回収タンク内の薬液の液面が第一液面値を超えることを検出した場合、液面コントローラは、第二循環ポンプをオンにする命令を送信し、回収タンク内の薬液を液体供給タンクに戻す。
【0017】
液面コントローラが回収タンク内の薬液の液面が第二液面値を下回ることを検出した場合、液面コントローラは、第二循環ポンプをオフにする命令を送信し、回収タンク内の薬液を液体供給タンクに戻すことを停止する。
【0018】
本発明の任意の実施形態として、第五パイプラインに設置された温度アラームをさらに備え、温度アラームは安全温度に設定され、温度アラームが第五パイプライン内の薬液の温度が安全温度を超えることを検出した場合、温度アラームは警報を発し、基板処理装置は運転を停止する。
【0019】
本発明の任意の実施形態として、安全温度には上限値と下限値が設定され、上限値は基板処理温度であり、下限値は薬液中で粒子凝固が起こる臨界温度であり、温度アラームが第五パイプライン内の薬液の温度が上限値より高いか下限値より低いことを検知すると、温度アラームは警報を発し、基板処理装置の運転を停止させる。
【0020】
本発明において、液体供給タンク内の温度の高い薬液の一部を回収タンクに還流させることで、回収タンク内の薬液全体の温度を向上し、リサイクル処理における薬液の温度のばらつきを減らし、回収タンクと液体供給タンクとの間の薬液の温度差を減らす。これらにより、液体供給タンクの温度管理の精度が向上するので、処理チャンバーに送られる薬液の温度を一定に保ち、洗浄効果を向上し、製品歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における基板処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術内容、構成的特徴、目的および効果を詳細に説明するため、以下に実施形態および図面を組み合わせながら詳細に説明する。
【0023】
図2に示すように、本発明の基板処理装置は、処理チャンバー100と、液体供給タンク200と、回収タンク300とを備える。処理チャンバー100は液体吸込口と液体排出口とを有し、基板に対して液体処理を行うように構成されている。特定の実施形態において、処理チャンバー100は、基板を保持するスピンチャック101と、基板表面に薬液を噴霧するノズル102と、薬液の飛散を防ぎ、薬液を回収するためのシュラウド103とを有する。処理チャンバー100の液体吸込口はノズル102に接続されており、処理チャンバー100の液体排出口は処理チャンバー100の底部に位置している。この実施形態では、処理チャンバー100は単一ウエハの洗浄チャンバーである。
【0024】
液体供給タンク200は、第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを有し、薬液を貯蔵し、処理チャンバー100に薬液を供給するように構成されている。液体供給タンク200の第一液体吸込口と液体排出口は、第一パイプラインL1によって接続され、薬液を液体供給タンク200で循環させる。第一循環ポンプ11と、第一ヒーター12と、第一温度コントローラ13とが、薬液の流れ方向に沿って第一パイプラインL1上に順次配置されている。第一循環ポンプ11は薬液を液体供給タンク200から第一パイプラインL1を通じて液体供給タンク200に戻すように構成されており、これによって薬液が液体供給タンク200を循環する。第一ヒーター12は、第一パイプラインL1を通る薬液を加熱するように構成されている。第一温度コントローラ13は、薬液の温度を検出し、第一ヒーター12の起動/停止を制御して、液体供給タンク200内の薬液の温度を予め設定された温度に保つように構成されている。本実施形態において、液体供給タンク200内の薬液は、基板の洗浄に用いられるST250であり、薬液の処理温度は摂氏40度のプラスマイナス0.1度に制御される。第一温度コントローラ13は処理温度を摂氏40度に設定する。第一温度コントローラ13が液体供給タンク200内の薬液の温度が摂氏40度未満であることを検知すると、第一温度コントローラ13は第一ヒーター12をオンにする命令を送信し、液体供給タンク200内の薬液の循環と加熱を行う。第一温度コントローラ13が、液体供給タンク200内の薬液の温度が摂氏40度を超えていることを検知すると、第一温度コントローラ13は、第一ヒーター12をオフにする命令を送信して、液体供給タンク200内の薬液の循環と加熱を停止する。
【0025】
第一パイプラインL1は、第二パイプラインL2を介して処理チャンバー100の液体吸込口に接続されており、液体供給タンク200内の薬液を処理チャンバー100に送る。処理チャンバー100はノズル102を通じて基板に薬液を噴霧して基板を処理する。実際の運用では、処理チャンバー100が複数存在することがある。これに応じて、第一パイプラインL1から複数の第二パイプラインL2が引かれ、各第二パイプラインL2は一つの処理チャンバー100に接続される。処理チャンバー100に供給された薬液が基板を処理した後、通常は摂氏26度の室温まで温度が下がる。
【0026】
回収タンク300は、第一液体吸込口と、第二液体吸込口と、液体排出口とを有する。液体供給タンク200内の薬液を回収タンク300に送るために、第一パイプラインL1は第三パイプラインL3を介して回収タンク300の第一液体吸込口に接続されている。処理チャンバー100内の使用済みの薬液を回収タンク300に戻すために、処理チャンバー100の液体排出口と回収タンク300の第二液体吸込口とは第四パイプラインL4を介して接続されている。本実施形態では、処理チャンバー100内の使用済みの薬液は、重力によって第四パイプラインL4を通じて回収タンク300に戻る。回収タンク300は、液体供給タンク200と処理チャンバー100とから同時に薬液の供給を受ける。液体供給タンク200からの薬液の温度は処理チャンバー100からの薬液の温度より高く、これら二つの薬液が混ざることにより、回収タンク300内の薬液全体の温度が上昇するので、回収タンク300内の薬液の温度低下による粒子凝集を避けることができる。
【0027】
第三パイプラインL3の構成により、処理チャンバー100が動作を停止しても、液体供給タンク200内の薬液は第三パイプラインL3を介し回収タンク300を通って液体供給タンク200に戻り続けるので、第四パイプラインL4を介して処理チャンバー100内の薬液が回収タンク300に戻るか否かに関わらず、回収タンク300は常に薬液の循環に寄与する。よって、回収タンク300内の薬液は常に流動状態にあるだけでなく、液体供給タンク200内の薬液の温度に近い温度を有する。
【0028】
一実施形態において、第三パイプラインL3を通じて回収タンク300に送られる薬液の流量は、第四パイプラインL4を通じて回収タンク300に送られる薬液の流量以上であり、回収タンク300に戻る熱い薬液の流量は冷たい薬液の流量より多い。そのため、液体供給タンク200内の熱い薬液を用いて、処理チャンバー100から供給される冷たい薬液をより効率的に加熱することができる。
【0029】
回収タンク300に回収された薬液の温度をさらに向上させるために、第四パイプラインL4の外側に保温ジャケット41を配置することができる。保温ジャケット41により、処理チャンバー100から回収タンク300に戻る際の薬液の温度損失を部分的に補償され、これにより、処理チャンバー100から回収タンク300に入る薬液の温度が向上する。この実施形態では、保温ジャケット41は摂氏50度から摂氏60度に設定されている。
【0030】
本実施形態では、回収タンク300は、第二ヒーター301と、第二温度コントローラ302と、液面コントローラ303とを備える。第二温度コントローラ302は、第二ヒーター301の起動/停止を制御することにより、回収タンク300内の薬液の温度が設定温度を超えないようにする。本実施形態では、第二温度コントローラ302は摂氏40度に設定されている。
【0031】
回収タンク300の液体排出口は、回収タンク300の底部に位置し、第五パイプラインL5を介して液体供給タンク200に接続されている。回収タンク300の液体排出口を回収タンク300の底部に配置することで、循環におけるデッドゾーンの発生を回避し、回収タンク300内の薬液の温度を均一にすることができる。第二循環ポンプ51は第五パイプラインL5に配置されている。液面コントローラ303は回収タンク300に設けられ、回収タンク300内の薬液の液面が予め設定された液面を超えないように、第二循環ポンプ51の起動/停止を制御する。具体的には、液面コントローラ303には、第一液面値と第二液面値とが設定されている。液面コントローラ300は、回収タンク300内の薬液の液面が第一液面値を超えると、第二循環ポンプ51をオンにする命令を送信し、回収タンク300内の薬液を液体供給タンク200に戻す。回収タンク300内の薬液の液面が第二液面値より低いとき、液面コントローラ303は第二循環ポンプ51をオフにする命令を送信し、回収タンク300内の薬液を液体供給タンク200に戻す動作を停止する。このときの回収タンク300は薬液を回収する処理を実行中である。
【0032】
さらに、第五パイプラインL5には温度アラーム52も設置されており、温度アラーム52は安全温度に設定されている。温度アラーム52が第五パイプラインL5内の薬液の温度が安全温度を超えたことを検知すると、温度アラーム52は警報を発し、基板処理装置が運転を停止する。安全温度には上限値と下限値とが設定されている。前記上限値は基板処理温度であり、前記下限値は薬液中で粒子凝集が発生する臨界温度である。温度アラーム52が、第五パイプラインL5内の薬液の温度が上限値を超えた、又は下限値を下回ったことを検知すると、温度アラーム52は警報を発し、基板処理装置の運転を停止させる。本実施形態では、安全温度は摂氏34度~摂氏40度である。
【0033】
本発明において、回収タンク300は処理チャンバー100から使用済みの薬液の供給を受けるだけでなく、液体供給タンク200から未使用の薬液の供給も受ける。これら二つを混ぜることで、回収タンク300内の薬液の温度が改善され、回収タンク300と液体供給タンク200との間の薬液の温度差を減らすことができる。処理チャンバー100の還流パイプラインの外側に保温ジャケットを取り付けることで、薬液の温度損失を減らすことができる。回収タンク300にヒーターを設置することで、回収タンク300内の薬液の温度をさらに向上させ、全サイクル中の薬液の温度変動を減らすことができる。これにより、液体供給タンク200の温度制御が容易になり、基板処理装置を連続的に運転することができ、よりよい洗浄効果を実現することができる。
【0034】
上述した通り、本発明の以上の説明は、例示および説明を目的として提示されたものである。本発明は、網羅的であること、または開示された正確な形態に限定することを意図したものではなく、明らかに多くの修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。当業者にとって明らかな修正および変更は、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】