(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】軌道のまくらぎの下側を突き固めるためのタンピング装置
(51)【国際特許分類】
E01B 27/16 20060101AFI20240905BHJP
E01B 29/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E01B27/16
E01B29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519629
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2022076991
(87)【国際公開番号】W WO2023052428
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ケップリンガー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB17
2D057AB22
2D057AB24
2D057BA18
(57)【要約】
本発明は、軌道のまくらぎ(7)の下側を突き固めるためのタンピングユニット(1)であって、高さ調整可能なツール支持体(5)に旋回可能に支持された、互いに対向したタンピングツール(9)を備えたタンピング装置(4)を備えており、各々のタンピングツール(9)は、伝達要素(17)を介して振動駆動装置(21)に連結されている、タンピングユニット(1)に関する。本発明では、各々の伝達要素(17)は、第1のジョイント(16)を介して、割り当てられたタンピングツール(9)に結合されていて、第2のジョイント(18)を介して、同じタンピングツール(9)に支持されたスクイーズ駆動装置(19)に結合されている。この構造によって、スクイーズ駆動装置(19)の省スペースの配置が可能となり、その結果、構造形態がコンパクトになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のまくらぎ(7)の下側を突き固めるためのタンピングユニット(1)であって、高さ調整可能なツール支持体(5)に旋回可能に支持された、互いに対向したタンピングツール(9)を備えたタンピング装置(4)を備えており、各々の前記タンピングツール(9)は、伝達要素(17)を介して振動駆動装置(21)に連結されている、タンピングユニット(1)において、
各々の前記伝達要素(17)は、第1のジョイント(16)を介して、割り当てられた前記タンピングツール(9)に結合されていて、第2のジョイント(18)を介して、同じ前記タンピングツール(9)に支持されたスクイーズ駆動装置(19)に結合されていることを特徴とする、タンピングユニット(1)。
【請求項2】
各々の前記伝達要素(17)は、第3のジョイント(20)を介して前記振動駆動装置(21)に枢着されていることを特徴とする、請求項1記載のタンピングユニット(1)。
【請求項3】
前記第3のジョイント(20)は、前記第1のジョイント(16)と前記第2のジョイント(18)との間に配置されていることを特徴とする、請求項2記載のタンピングユニット(1)。
【請求項4】
前記振動駆動装置(21)は偏心駆動装置として形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタンピングユニット(1)。
【請求項5】
各々の伝達要素(17)は、前記偏心駆動装置の偏心軸(24)の偏心した区分に支持された偏心アーム(25)に枢動自在に結合されていることを特徴とする、請求項4記載のタンピングユニット(1)。
【請求項6】
各々の前記スクイーズ駆動装置(19)は、ほぼ鉛直方向に向けられたシリンダ軸線(27)を有する液圧シリンダとして形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のタンピングユニット(1)。
【請求項7】
各々のスクイーズシリンダ(19)は、シリンダ側では、割り当てられた前記タンピングツール(9)に枢着されていて、ピストンロッド側では、割り当てられた前記伝達要素(17)に枢着されていることを特徴とする、請求項6記載のタンピングユニット(1)。
【請求項8】
スクイーズ動作中の各々の前記シリンダ軸線(27)と鉛直方向軸線(28)との間の角度(α)は、最大20°、特に最大10°であることを特徴とする、請求項6または7記載のタンピングユニット(1)。
【請求項9】
各々の前記タンピングツール(9)は、上側のレバーアーム(15)と下側のレバーアーム(11)とを有しており、前記下側のレバーアーム(11)は少なくとも1つのタンピングピッケル(14)を備えており、前記上側のレバーアーム(15)は、割り当てられた前記伝達要素(17)に結合されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のタンピングユニット(1)。
【請求項10】
少なくとも1つのタンピングピッケル(14)は、上向きに旋回可能なタンピングピッケル保持体(12,13)に配置されていることを特徴とする、請求項9記載のタンピングユニット(1)。
【請求項11】
各々の前記タンピング装置(4)は、前記軌道のただ1つのまくらぎ(7)の下側を突き固めるための2つのタンピングツール(9)しか備えていないことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のタンピングユニット(1)。
【請求項12】
前記軌道の互いに隣り合ったまくらぎ(7)の下側を同時に突き固めるための複数のタンピング装置(4)が相前後して配置されていることを特徴とする、請求項11記載のタンピングユニット(1)。
【請求項13】
相前後して配置された前記タンピング装置(4)は、1つの共通のユニットフレーム(2)に配置されており、各々のタンピング装置(4)は、割り当てられた高さ調整駆動装置(6)によって個別に高さ調整可能であることを特徴とする、請求項12記載のタンピングユニット。
【請求項14】
前記タンピング装置(4)の一部だけが、上向きに旋回可能なタンピングピッケル保持体(12,13)を有していることを特徴とする、請求項12または13記載のタンピングユニット(1)。
【請求項15】
少なくとも2つのタンピング装置(4)が同構造で形成されていることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載のタンピングユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道のまくらぎの下側を突き固めるためのタンピングユニットであって、高さ調整可能なツール支持体に旋回可能に支持された、互いに対向したタンピングツールを備えたタンピング装置を備えており、各々のタンピングツールは、伝達要素を介して振動駆動装置に連結されている、タンピングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オーストリア国特許発明第304606号明細書に基づき、冒頭に記載したタンピングユニットが公知である。各々のタンピング装置は、互いに隣り合った2つのまくらぎの下側を同時に突き固めるための4つのタンピングツールを備えている。この場合、それぞれ2つのタンピングツールは、旋回レバーとして形成された伝達要素を介して振動駆動装置に連結されている。個々のタンピングツールの個別の高さ調整は不可能である。
【0003】
個々のまくらぎの下側を突き固めるための、互いに独立して高さ調整可能なタンピング装置が、オーストリア国特許出願公開第520267号明細書に開示されている。同明細書では、交差して配置されたスクイーズシリンダが、コンソール状の伝達要素を介して振動駆動装置に接続されている。これにより達成される狭幅の構造形態によって、互いに隣り合った複数のまくらぎの下側を同時に突き固めることができる同時タンピングユニットを形成するための複数のタンピング装置の並置が可能となる。従来のタンピングユニットに比べて、スクイーズシリンダの交差した配置には、不利な負荷状態が回避されるように、更なる構造的な適合が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態のタンピングユニットを先行技術に比べて改良して、コンパクトな構造形態で、ユニット構成要素への少ない負荷と、良好な質量補償とが達成されるようにすることにある。
【0005】
本発明によれば、この課題は独立請求項1の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載してある。
【0006】
本発明では、各々の伝達要素は、第1のジョイントを介して、割り当てられたタンピングツールに結合されていて、第2のジョイントを介して、同じタンピングツールに支持されたスクイーズ駆動装置に結合されている。したがって、各々のタンピングツールは、割り当てられたスクイーズ駆動装置および割り当てられた伝達要素と共に、タンピングツールに配置されたタンピングピッケルのスクイーズ運動または戻り運動を行う運動系を形成している。この配置形態では、タンピングツールは、ツール支持体に直接支持されており、割り当てられた伝達要素は、振動駆動装置を介してツール支持体に支持されている。伝達要素は、スクイーズキネマティクスの要素として働くだけでなく、振動運動を、割り当てられたタンピングツールに伝達する働きもする。この構造によって、スクイーズ駆動装置の省スペースの配置が可能となり、その結果、タンピング装置の構造形態がコンパクトになる。さらに、駆動装置の交差も必要なくなる。力伝達用の全ての構成要素を1つの共通の平面内に配置することによって、負荷が少なくなり、運動させられる質量の補償が促進される。
【0007】
有利な改良形態では、各々の伝達要素は、第3のジョイントを介して振動駆動装置に枢着されている。この振動駆動装置への枢動自在の結合によって、各々の伝達要素を最適に位置決めするための付加的な自由度が生じる。より簡単な変化形態では、各々の伝達要素が振動駆動装置に剛結されている。このことは、例えば、各々のタンピングツールに固有の振動駆動装置が割り当てられている場合に有意であることがある。
【0008】
伝達要素が、割り当てられた振動駆動装置に枢動自在に結合されている場合、有利には、第3のジョイントは第1のジョイントと第2のジョイントとの間に配置されている。これにより達成されるてこ作用によって、タンピングツールに伝達される振動が増幅される。さらに、第1のジョイントと第2のジョイントとの間のより大きな距離によって、各々のスクイーズ駆動装置の構造的な配置が容易になる。さらに、各々のスクイーズ駆動装置の振動負荷が減少する。
【0009】
有利には、振動駆動装置は偏心駆動装置として形成されている。タンピングユニットでは、偏心駆動装置は、長年テストされてきた信頼のおける振動発生装置を成している。硬質のバラスト道床に起因して反力がより大きい場合でも、運転中、安定した振動振幅が維持され続ける。特に液圧式の起振機に比べて、偏心駆動装置は、有効な弾み質量体によって少ないエネルギー消費で効率のよい運転モードを提供する。
【0010】
この変化態様の好適な構成では、各々の伝達要素は、偏心駆動装置の偏心軸の偏心した区分に支持された偏心アームに枢動自在に結合されている。こうして、割り当てられた偏心駆動装置への各々の伝達要素の枢動自在の結合が簡単な手段で達成される。
【0011】
有利な改良形態では、各々のスクイーズ駆動装置は、ほぼ鉛直方向に向けられたシリンダ軸線を有する液圧シリンダとして形成されている。スクイーズ駆動装置のこの鉛直方向の向きによって、スクイーズ距離を制限することなしに、各々のタンピング装置の狭幅の構造形態が得られる。
【0012】
この場合、有意には、各々のスクイーズシリンダは、シリンダ側では、割り当てられたタンピングツールに枢着されていて、ピストンロッド側では、割り当てられた伝達要素に枢着されている。より狭幅のピストンロッドによって、伝達要素を配置するためのより大きなスペースが残される。さらに、この配置形態によって、系全体の振動負荷が最小限に抑えられる。なぜならば、スクイーズシリンダのより大きな質量部分が、割り当てられタンピングツールの旋回支持部の近傍に位置しているからである。作用する質量慣性モーメントは、支持箇所に僅かな機械的な負荷しかかけない。
【0013】
更なる改善形態では、スクイーズ動作中の各々のシリンダ軸線と鉛直方向軸線との間の角度は、最大20°、特に最大10°である。こうして、運転中でも、各々のタンピング装置のスリムな構造形態が維持され続ける。この場合、タンピングツールの支持箇所と、スクイーズシリンダの支持箇所と、伝達要素の支持箇所とは、スクイーズシリンダが作動中に僅かな旋回運動しか実施しないように互いに調整されている。
【0014】
有利には、各々のタンピングツールは、上側のレバーアームと下側のレバーアームとを有しており、下側のレバーアームは少なくとも1つのタンピングピッケルを備えており、上側のレバーアームは、割り当てられた伝達要素に結合されている。それぞれ互いに対向したタンピングツールは、最適な力伝達と効果的なスクイーズ運動とを確保するトング状のアセンブリを形成している。
【0015】
有利な改良形態では、少なくとも1つのタンピングピッケルは、上向きに旋回可能なタンピングピッケル保持体に配置されている。これによって、分岐器およびクロッシングの効果的な加工が可能となる。軌道突固め時にも、個々のタンピングピッケルの上方旋回によって、軌道に存在する支障物との衝突が阻止される。有意には、各々のタンピングツールは、選択的に単に一方のタンピングピッケルまたは両方のタンピングピッケルが上方旋回可能となるように、それぞれ1つのタンピングピッケル用の旋回可能な2つのタンピングピッケル保持体を備えている。
【0016】
本発明の改良形態では、各々のタンピング装置は、軌道のただ1つのまくらぎの下側を突き固めるための2つのタンピングツールしか備えていない。この場合、各々のタンピング装置は、1つのまくらぎの下側を突き固めるための最適な幾何学形状と寸法とを有している。例えば、全てのタンピングピッケルは、バラスト道床内への貫入動作中の少ない貫入抵抗のために、正確に鉛直方向に向けられている。また、スクイーズ駆動装置の寸法も、達成すべきスクイーズ距離とスクイーズ力とに合わせて最適に調整されている。
【0017】
有利には、一軌道区間での高い作業速度のために、互いに隣り合ったまくらぎの下側を同時に突き固めるための複数のこのようなタンピング装置が相前後して配置されている。個別のタンピング装置を配置することによって、このようなタンピングユニットを用いて、分岐器または軌道クロッシングでの効率的かつ定性的な加工も実施可能となる。
【0018】
好適には、相前後して配置されたタンピング装置は、1つの共通のユニットフレームに配置されており、各々のタンピング装置は、割り当てられた高さ調整駆動装置によって個別に高さ調整可能である。これによって、分岐器および軌道区間の加工時に高い柔軟性が達成される。例えば、分岐軌道線を加工するために、個々のタンピングユニットしか作動されない。
【0019】
軌道区間も分岐器も最適に加工することができるようにするために、一改良形態では、相前後して配置されたタンピング装置の一部だけが、上向きに旋回可能なタンピングピッケル保持体を有している。これらのタンピング装置は分岐器加工時に使用される。軌道区間を効率よく加工するためには、残りのタンピングユニットも作動させる。
【0020】
タンピングユニットの改善された構成は、同構造に形成された少なくとも2つのタンピング装置を備える。これによって、製造および保守の際に相乗効果が得られる。さらに、それぞれ異なる同時タンピングユニットの編成が簡単に実施可能となる。
【0021】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】タンピングユニット半体の概略的な正面図である。
【
図3】タンピング装置の運動モデルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示したタンピングユニット1は、詳しく説明しない軌道工事機械の機械フレーム3に対して側方に移動可能に支持された、複数のユニットフレーム2を備えている。各々のユニットフレーム2には、少なくとも1つのタンピング装置4が配置されている。各々のタンピング装置4は、割り当てられたユニットフレーム2の鉛直方向ガイドに高さ調整可能にガイドされたツール支持体5を備えている。この場合、昇降運動は、割り当てられた高さ調整駆動装置6によって行われる。
【0024】
作業中、軌道工事機械は、バラスト道床に支持されたまくらぎ7と、このまくらぎ7に締結されたレール8とを備えた軌道を走行する。この場合、まくらぎ7の下側がタンピングユニット1によって突き固められる。通常、各々のまくらぎ7の下側は、相並んで配置された複数のタンピング装置4によって突き固められる。これらの相並んで配置されたタンピング装置4は、有利にはヨー軸を中心として回動可能にかつ側方に移動可能に回動・移動装置に配置されており、これによって、分岐器の分岐レール線の上での位置決めが可能となる。互いに隣り合ったまくらぎ7の下側を同時に突き固めるためのタンピングユニット1では、複数のタンピング装置4が相前後して配置されている(
図4)。
【0025】
各々のタンピング装置4のツール支持体5には、下側が突き固められるまくらぎ7を基準として互いに対向した2つのタンピングツール9が旋回可能に支持されている。各々の旋回軸線10は、軌道横方向に向けられている。各々のタンピングツール9の下側のレバーアーム11では、タンピングピッケル保持体12,13に少なくとも1つのタンピングピッケル14が取り付けられている。突固め動作中には、各々の旋回軸線10を中心としたタンピングツール9の旋回運動によって、互いに対向したタンピングピッケル14がスクイーズ運動させられるかまたは戻り運動させられる。
【0026】
各々のタンピングツール9の上側のレバーアーム15は、伝達要素17の第1のジョイント16に結合されている。各々の伝達要素17は、第2のジョイント18を介して、割り当てられたスクイーズ駆動装置19に結合されている。さらに、伝達要素17は、第1のジョイント16と第2のジョイント18との間で、第3のジョイント20を介して振動駆動装置21に枢着されている(
図2)。より簡単な変化形態では、伝達要素17が振動駆動装置21の1つの要素に剛結されている。
【0027】
伝達要素17の図示の特徴では、3つのジョイント16,18,20の回動軸線が、側面図で見たとき、等脚三角形の角隅点に配置されている。各々のスクイーズ駆動装置19は、シリンダボディ22(シリンダ管およびカバー)と、上方に向けられたピストンロッド23とを備えた、ほぼ鉛直方向に向けられた液圧シリンダとして形成されている。各々のシリンダボディ22は、その下側の端部において、割り当てられたタンピングツール9に枢着されている。ピストンロッド23の端側には、滑り支持部を備えたピンが配置されている。これによって、第2のジョイント18を介して、割り当てられた伝達要素17との枢動自在の結合が行われている。
【0028】
各々の伝達要素17は、図示の特徴では、スクイーズ力を各々のスクイーズ駆動装置19から、割り当てられたタンピングツール9に伝達するためのレバーとして働く。この場合、第3のジョイント20は、割り当てられた振動駆動装置21に結合された中央のレバージョイントとして機能する。こうして、振動駆動装置21の作動時に、タンピングツール9と、スクイーズ駆動装置19と、伝達要素17とから成る運動系が振動させられる。例えば、電磁式のアクチュエータを備えた振動駆動装置21が配置されている。この場合、アーマチュアが電磁場または磁場の内部で所定の振動周波数によって往復運動させられる。
【0029】
図示の例では、振動駆動装置21は偏心駆動装置として形成されている。この偏心駆動装置では、偏心軸24の回転速度によって、振動周波数が決定される。各々の偏心軸24には、複数の偏心した区分が配置されている。例えば、2つの偏心軸支持部の中間に、第1の偏心率を有する第1の区分が位置している。この第1の区分の両側には、第2の偏心率を有する2つの分割区分が形成されている。偏心した第1の区分には、互いに対向したタンピングツール9のうちの一方のタンピングツールに連結された第1の偏心アーム25が支持されている。隣接した両方の偏心した分割区分には、フォーク状に配置された2つの支持部によって、第2の偏心アーム25が支持されている。この第2の偏心アーム25は、互いに対向した両方のタンピングツール9のうちの他方のタンピングツールに連結されている。
【0030】
両方の偏心アーム25の向きおよび偏心した区分相互の回転位置は、接続された伝達要素17の第3のジョイント20において、所望の振動振幅を有する正反対の振動運動が生じるように選択されている。各々のタンピングツール9の上側のレバーアーム15と下側のレバーアーム11との長さ比によって、てこの原理に従って、割り当てられたタンピングピッケル14の先端で有効な振動振幅が決定される。
【0031】
図3には、対応する伝達要素17と、スクイーズ駆動装置19と、振動駆動装置21とを備えたタンピングツール9の運動学的な配置形態が概略的に示してある。対向したタンピングツール9の配置形態は、対称軸線26に対して対称に構成されている。これによって、偏心軸24における同じ大きさの偏心率が、互いに対向したタンピングツール9の同じ大きさの振動振幅を生じさせる。
【0032】
スクイーズ駆動装置19のほぼ鉛直方向の向きによって、各々のタンピング装置4の特に狭幅の構造形態が可能となる。スクイーズ動作中、各々のスクイーズ駆動装置19は、僅かな旋回運動しか実施しない。この運動中、シリンダ軸線27と鉛直方向軸線28との間の角度αは、最大10°、特に最大5°の狭い範囲内にとどまっている。
【0033】
ピストンロッド23の進出によって、伝達要素17が第3のジョイント20を中心として傾倒運動させられる。これによって、第1のジョイント16が、旋回軸線10に対して外向きに変位する。相応の変位距離によって、てこの原理に従って、対応するタンピングピッケル14の先端でのスクイーズ距離が決定される。第3のジョイント16が存在していない場合には、振動駆動装置21の回動軸線を中心とした傾倒運動が行われる。
【0034】
有利には、各々のタンピングツール9の下側のレバーアーム11に、それぞれ1つのタンピングピッケル14を取り付けるための、内側のタンピングピッケル保持体12と外側のタンピングピッケル保持体13とが配置されている。内側のタンピングピッケル保持体12および外側のタンピングピッケル保持体13という呼称は、レール8の両側で降下可能な2つのタンピング装置4の位置を基準にしている(
図1)。内側のタンピングピッケル保持体12のタンピングピッケル14は、よりレール8の近くで降下させられる。
【0035】
各々のタンピングピッケル保持体12,13は、固有の旋回駆動装置29によって、レール長手方向に向けられた軸線を中心として旋回可能である。これによって、まくらぎ7同士の間およびレール8同士の間に貫入のためのスペースが存在していない場合に、各々のタンピングピッケル14を、タンピング装置4の下降に先だって、個別に上方旋回させることができる。これは、特に、分岐レール線または交差レール線ならびに作動装置が支障物を成す分岐器またはクロッシングの下側を突き固める際に行われる。
図1には、左側のタンピング装置4において、上方旋回されたタンピングピッケル14の位置が一点鎖線で記入してある。
【0036】
図4には、相前後して配置された3つのタンピング装置4を備えたユニットフレーム2が示してある。この同時ユニットによって、各々の突固め動作時に、直接的に相前後して位置する3つのまくらぎ7の下側を同時に突き固めることができる。共通のユニットフレーム2への個別の支持によって、タンピング装置4を個々に高さ変位させることもできる。この手段は、支障物との衝突を回避するか、または2丁突きまくらぎの下側を突き固めるために有意である。
【0037】
本発明は別のタンピングユニット1を包括している。この別のタンピングユニット1は、タンピング装置4の狭幅の構造形態によって簡単に組立て可能である。例えば、2つのタンピング装置4が相前後して各々のユニットフレーム2に配置される。この場合、それぞれ前方のタンピング装置4またはそれぞれ後方のタンピング装置4しか、上向きに旋回可能なタンピングピッケル保持体12,13を備えていない。これらのタンピング装置4は、特に分岐器において使用される。全てのタンピング装置4は一緒に、軌道区間の効率的な加工のために働く。この場合、各々の突固め動作時に、2つのまくらぎ7の下側が同時に突き固められる。
【0038】
同時ユニットの別の構成では、より大きなスクイーズ距離を実現するために、最前列または最後列に非対称のタンピング装置4が使用される。このような非対称のタンピング装置4では、互いに対向したタンピングツール9のうちの一方のタンピングツールだけが、スクイーズ駆動装置19および伝達要素17を含めて、狭幅の構造形態で形成されている。この構成では、シリンダ軸線27と鉛直方向軸線28との間の角度αは、例えば最大5°である。これは、同時ユニットの後方または前方のタンピング装置4に隣接する側に該当する。
【0039】
非対称のタンピング装置4の自由側では、スクイーズ駆動装置19の下側の支持部が外向きに押し動かされている。したがって、スクイーズ駆動装置19として、より大きなストロークを伴うより長い液圧シリンダが使用可能となる。こうして、割り当てられたタンピングツール9のスクイーズ距離が増加する。この場合、より長い液圧シリンダのシリンダ軸線27と鉛直方向軸線28との間の角度αは、20°よりも大きく、例えば40°である。
【国際調査報告】