(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】気体排出アセンブリ、換気アセンブリ、フレームアセンブリ及びマスクシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519632
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2022123527
(87)【国際公開番号】W WO2023051819
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111165548.8
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286466
【氏名又は名称】北京怡和嘉▲業▼医▲療▼科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BMC MEDICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲亞▼杰
(72)【発明者】
【氏名】周 明▲チャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】庄 志
(57)【要約】
気体排出アセンブリ(60)、換気アセンブリ、フレームアセンブリ(50)及びマスクシステム(400)を提供する。マスクシステム(400)は、装着時、鼻部構造体(2)と口部構造体(3)がユーザーの鼻孔(N1)と口部をそれぞれ覆うことで、口呼吸の要件を満たすことができ、臨床的な血気パラメータが良好であるという利点を持ち、ユーザーの鼻孔(N1)を囲繞して密閉することで、ユーザーの鼻筋(N4)又は鼻翼(N2)の両側が圧迫されることを回避し、従って、構造がより小型化及び軽量化され、視界がより良くなるため、快適性が向上する。フルフェイスマスクと比較して、鼻マスクは閉所恐怖症を引き起こし難く、より優れた集団適応性を有する。マスクシステム(400)は治療効果及び治療コンプライアンスを向上させることができる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクシステム用の気体排出アセンブリであって、第1本体を含み、前記第1本体は吸気孔及び前記吸気孔の周方向に設けられる側壁を含み、前記側壁に気体排出孔が設けられ、前記吸気孔に入るガスは前記マスクシステムの装着者に搬送され、該装着者によって吐き出されるガスは前記気体排出孔から排出され、
前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁は角αをなすことを特徴とする気体排出アセンブリ。
【請求項2】
前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁との角αは10°~70°であることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項3】
前記気体排出孔の内側壁と前記法平面は角βをなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項4】
前記気体排出孔の内側壁と前記法平面との角βは80°~100°であることを特徴とする請求項3に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項5】
前記側壁の平均厚さは0.5mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項6】
前記気体排出孔は、前記ガスが前記気体排出孔に入る方向が前記気体排出孔から前記ガスが排出される方向と平行であり且つ同一直線上に位置しないように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項7】
前記気体排出孔の内孔径は前記気体排出孔の外孔径よりも小さいか、又はよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項8】
前記気体排出孔は前記吸気孔の周方向に沿って環状に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項9】
前記気体排出孔は前記吸気孔と同心の円又は楕円上に分布することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項10】
前記気体排出孔は上下型キスオフによって成形されることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項11】
前記第1本体は、前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項12】
前記気体排出孔は前記第1本体のエッジに近くに設けられ、放射状に配置され、各前記気体排出孔の周囲の隣接する気体排出孔の数は2つ以下であることを特徴とする請求項11に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項13】
前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリに構成され、それぞれ前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリと一体式構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項14】
前記第1本体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項15】
マスクシステム用の換気アセンブリであって、気体排出アセンブリ及び第2本体を含み、前記気体排出アセンブリは第1本体を含み、前記第2本体に安全部材が設けられ、前記安全部材は、前記マスクシステムにガスを注入する時、前記気体排出アセンブリの吸気孔がガス装置に連通し、前記マスクシステムにガスを注入しない時、前記マスクシステムが環境に連通するように構成されることを特徴とする換気アセンブリ。
【請求項16】
前記気体排出アセンブリは請求項1~14のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリであることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項17】
前記第2本体と前記気体排出アセンブリは別体式構造であり、前記気体排出アセンブリは前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は前記フレームアセンブリに接続される管体として構成されることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項18】
前記安全部材は安全弁孔及び安全弁板を含み、前記安全弁孔は前記吸気孔に接続され、前記安全弁板は、前記吸気孔と前記安全弁孔が同時に開閉しないように構成されることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項19】
前記安全弁板は前記吸気孔の内部に設けられ、前記吸気孔の内壁に回転可能に接続され、前記安全弁板が第1位置に回転すると、前記安全弁孔が閉鎖され、前記吸気孔が前記ガス装置に連通し、前記安全弁板が第2位置に回転すると、前記安全弁孔が開放され、前記吸気孔と前記ガス装置との連通が遮断されることを特徴とする請求項18に記載の換気アセンブリ。
【請求項20】
前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体全体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成されることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項21】
前記第1本体と前記第2本体は一体式構造であり、前記第1本体と前記第2本体全体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ又はライナーアセンブリに構成されることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項22】
前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は、前記フレームアセンブリに接続されるエルボとして構成されることを特徴とする請求項15に記載の換気アセンブリ。
【請求項23】
前記安全部材は安全弁孔及び安全弁板を含み、前記安全弁孔は前記エルボに接続され、前記安全弁板は、前記吸気孔と前記安全弁孔が同時に開閉しないように構成されることを特徴とする請求項22に記載の換気アセンブリ。
【請求項24】
前記安全弁板は前記エルボの内部に設けられ、前記エルボの内壁に回転可能に接続され、前記安全弁板が第1位置に回転すると、前記安全弁孔が閉鎖され、前記エルボが開放され、前記吸気孔が前記ガス装置に連通し、前記安全弁板が第2位置に回転すると、前記安全弁孔が開放され、前記エルボが閉鎖され、前記吸気孔と前記ガス装置との連通が遮断されることを特徴とする請求項22に記載の換気アセンブリ。
【請求項25】
フレームアセンブリであって、請求項1~14のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリ及び/又は請求項15~24のいずれか1項に記載の換気アセンブリが構成されるフレームを含むことを特徴とするフレームアセンブリ。
【請求項26】
前記フレームにライナー接続部が設けられ、前記ライナー接続部は前記マスクシステムの口鼻ライナーと嵌合接続又は接着を形成することを特徴とする請求項25に記載のフレームアセンブリ。
【請求項27】
前記ライナー接続部は、フレームの内側のボスとして構成され、前記ライナー接続部の上に係合部が設けられ、前記気体排出アセンブリの吸気口の内壁に密閉部が設けられ、前記ライナー接続部は前記密閉部に嵌合接続されることを特徴とする請求項26に記載のフレームアセンブリ。
【請求項28】
前記フレームの上部両側には斜め上方へ延びている第1延在体及び第2延在体をそれぞれ有し、前記第1延在体及び前記第2延在体は前記口鼻ライナーの外側の一部を覆うことを特徴とする請求項26に記載のフレームアセンブリ。
【請求項29】
前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1骨梁アームと第2骨梁アームが設けられ、前記第1骨梁アームと第2骨梁アームはそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続され、
前記第1骨梁アームと前記第2骨梁アームはそれぞれ前記第1延在体と前記第2延在体の延び方向に延びていることを特徴とする請求項28に記載のフレームアセンブリ。
【請求項30】
前記第1骨梁アーム、前記第2骨梁アーム及び前記フレームはそれぞれ形成されるか、又は
前記第1骨梁アーム、前記第2骨梁アーム及び前記フレームは一体に形成されることを特徴とする請求項29に記載のフレームアセンブリ。
【請求項31】
前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームの厚さはいずれも0.6mm~1.5mmであることを特徴とする請求項29に記載のフレームアセンブリ。
【請求項32】
前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームはPC、PP又はABS及びほかの熱可塑性材料からなることを特徴とする請求項29に記載のフレームアセンブリ。
【請求項33】
前記第1骨梁アームと前記第2骨梁アームにそれぞれ第1骨梁アーム接続孔と第2骨梁アーム接続孔が設けられ、前記第1骨梁アーム接続孔と前記第2骨梁アーム接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続されることを特徴とする請求項30に記載のフレームアセンブリ。
【請求項34】
前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1ヘッドストラップ接続孔と第2ヘッドストラップ接続孔が設けられ、前記第1ヘッドストラップ接続孔と前記第2ヘッドストラップ接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続されることを特徴とする請求項28に記載のフレームアセンブリ。
【請求項35】
前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1溝と第2溝が設けられ、前記第1溝と前記第2溝はそれぞれ前記第1延在体と前記第2延在体の延び方向に延びていることを特徴とする請求項34に記載のフレームアセンブリ。
【請求項36】
前記フレームの下部両側にそれぞれ第3ヘッドストラップ接続孔と第4ヘッドストラップ接続孔が設けられ、前記第3ヘッドストラップ接続孔と前記第4ヘッドストラップ接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの下部ヘッドストラップに接続されることを特徴とする請求項28に記載のフレームアセンブリ。
【請求項37】
前記第3ヘッドストラップ接続孔と第4ヘッドストラップ接続孔内にそれぞれ第1バックルと第2バックルが設けられ、前記下部ヘッドストラップは前記第1バックル及び第2バックルを介して前記第3ヘッドストラップ接続孔及び第4ヘッドストラップ接続孔に接続されることを特徴とする請求項36に記載のフレームアセンブリ。
【請求項38】
マスクシステムであって、ライナーアセンブリを含み、前記ライナーアセンブリは、鼻部構造体及び口部構造体を含む口鼻ライナーを含み、前記鼻部構造体及び前記口部構造体の内部には圧力ガスを受けることができる貫通するチャンバーが形成され、前記鼻部構造体はユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着して密閉し、前記口部構造体はユーザーの口部の周囲に適応的に密着して密閉し、
前記鼻部構造体は、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されることを特徴とするマスクシステム。
【請求項39】
請求項1~14のいずれか1項に記載の気体排出アセンブリ及び/又は請求項15~24のいずれか1項に記載の換気アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項38に記載のマスクシステム。
【請求項40】
請求項25~37のいずれか1項に記載のフレームアセンブリをさらに含み、前記フレームアセンブリは前記口鼻ライナーに着脱可能に接続されることを特徴とする請求項38に記載のマスクシステム。
【請求項41】
前記フレームアセンブリはエルボに直接接続され、前記エルボは空気搬送パイプに接続され、前記空気搬送パイプは圧力装置と接続することに用いられ、
前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであることを特徴とする請求項40に記載のマスクシステム。
【請求項42】
前記フレームはフレキシブルホースに直接接続され、前記フレキシブルホースは空気搬送パイプに接続され、前記空気搬送パイプは圧力装置と接続することに用いられ、前記フレキシブルホースの内径は12~15mmであり、前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであることを特徴とする請求項40に記載のマスクシステム。
【請求項43】
前記フレキシブルホースは、弾性を有する管であることを特徴とする請求項42に記載のマスクシステム。
【請求項44】
前記フレームにコネクタが設けられ、前記コネクタは前記フレキシブルホースに回転可能に接続されることを特徴とする請求項42に記載のマスクシステム。
【請求項45】
ヘッドストラップをさらに含み、前記ヘッドストラップはそれぞれ前記フレームの両側に接続され、前記ヘッドストラップは、前記マスクシステムがユーザーに装着されることに応答してユーザーの頭部を囲んで固定されるように構成されることを特徴とする請求項40に記載のマスクシステム。
【請求項46】
前記ヘッドストラップは、
それぞれ前記フレームアセンブリの第1ヘッドストラップ接続孔及び第2ヘッドストラップ接続孔に接続され、前記ヘッドストラップがユーザーに装着されることに応答してユーザーの頬で耳の上方へ延びていることで、ユーザーの鼻部に対する前記口鼻ライナーの圧力を調整するように構成される上部ヘッドストラップと、
それぞれ前記フレームアセンブリの第3ヘッドストラップ接続孔及び第4ヘッドストラップ接続孔に接続され、前記ヘッドストラップがユーザーに装着されることに応答してユーザーの顎部の両側に沿ってユーザーの後頭部へ延びているように構成される下部ヘッドストラップと、を含むことを特徴とする請求項45に記載のマスクシステム。
【請求項47】
前記上部ヘッドストラップと前記下部ヘッドストラップは装着者の後頭部で一体になることを特徴とする請求項46に記載のマスクシステム。
【請求項48】
前記ヘッドストラップは頭上ストラップをさらに含み、前記頭上ストラップはそれぞれ上部ヘッドストラップに接続される第1端部ストラップ及び第2端部ストラップを含み、前記第1端部ストラップ及び前記第2端部ストラップの一方には接続部材が設けられ、前記第1端部ストラップ及び前記第2端部ストラップの他方には嵌合部材が設けられ、前記嵌合部材が前記接続部材に接続されることで、前記第1端部ストラップと前記第2端部ストラップを装着者の頭頂部で接続することを特徴とする請求項47に記載のマスクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸関連疾患の治療の技術分野に関し、特に気体排出アセンブリ、換気アセンブリ、フレームアセンブリ及びマスクシステムに関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年9月30日に提出された中国特許出願CN 202111165548.8の優先権を主張し、上記出願の全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気流閉塞の特徴を伴う慢性気管支炎及び(又は)肺気腫であり、さらに肺心症や呼吸不全に発展し得る一般的な慢性疾患である。持続陽圧呼吸法(CPAP)治療、非侵襲的換気(Non invasive ventilation 、 NIV)は、上記呼吸器疾患の治療に一般的に使用されている。その原理として、治療装置によって持続的な気道陽圧を供給して気道を開け続け、上気道閉塞を防止する。それにもかかわらず、患者はこの治療装置に不快感を感じることや使い勝手が悪い感じをするなどのため、治療を拒否することがある。
【0004】
患者インターフェースは、換気治療中に患者の顔に装着するためのインターフェース装置であり、一般的に使用されている従来のインターフェース装置はマスクと呼ばれ、例えば、気道の入口に呼吸可能な空気を供給する。空気流はマスクを介して患者の鼻又は口に供給され、患者の気道に搬送され得る。治療の需要に応じて、患者インターフェースは密閉を形成でき、例えば、マスクは患者の顔の領域と密閉を形成することで、環境圧力から十分に変化する圧力、例えば、約12cmH2Oの陽圧でガスを搬送して治療を実現する。
【0005】
マスクシステムは、換気治療中にユーザーの顔に装着するためのインターフェース装置であり、空気流はマスクシステムを介してユーザーの鼻又は口に供給され、患者の気道に搬送され得る。治療の需要に応じて、マスクシステムは密閉を形成でき、例えば、フルフェイスマスクは、ユーザーの鼻部及び口部を覆い且つユーザーの顔の領域と密閉を形成することができ、従って、口呼吸の要件を満たすことができるとともに、その汎用性が高く、治療後の血気パラメータが良好である。
【0006】
しかし、フルフェイスマスクには明らかな欠陥もあり、即ち、フルフェイスマスク全体が重く、死腔が大きく、サリエンス効果が明らかであるため、装着時、ユーザーの視界が悪く、また、装着時、鼻筋を圧迫し、ユーザーが話したり咳をしたりできないため、快適性が悪い。また、閉所恐怖症を持つユーザーにとっては、病状を悪化させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記技術的問題を解決するために、気体排出アセンブリ、換気アセンブリ、フレームアセンブリ及びマスクシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1によれば、本発明は、マスクシステム用の気体排出アセンブリを提供し、第1本体を含み、前記第1本体は吸気孔及び前記吸気孔の周方向に設けられる側壁を含み、前記側壁に気体排出孔が設けられ、前記吸気孔に入るガスは前記マスクシステムの装着者に搬送され、該装着者によって吐き出されるガスは前記気体排出孔から排出され、
前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁は角αを有する。
【0009】
1つの実施形態では、前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁との角αは10°~70°である。
【0010】
1つの実施形態では、前記気体排出孔の内側壁と前記法平面は角βをなす。
【0011】
1つの実施形態では、前記気体排出孔の内側壁と前記法平面との角βは80°~100°である。
【0012】
1つの実施形態では、前記側壁の平均厚さは0.5mm~2.0mmである。
【0013】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は、前記ガスが前記気体排出孔に入る方向が前記気体排出孔から前記ガスが排出される方向と平行であり且つ同一直線上に位置しないように構成される。
【0014】
1つの実施形態では、前記気体排出孔の内孔径は前記気体排出孔の外孔径よりも小さいか、又はよりも大きい。
【0015】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は長尺状、円形、楕円形又は長楕円形である。
【0016】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は前記吸気孔の周方向に沿って環状に設けられる。
【0017】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は前記吸気孔と同心の円又は楕円上に分布する。
【0018】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は上下型キスオフによって成形される。
【0019】
1つの実施形態では、前記第1本体は、前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成する。
【0020】
1つの実施形態では、前記気体排出孔は前記第1本体のエッジに近くに設けられ、放射状に配置され、各前記気体排出孔の周囲の隣接する気体排出孔の数は2つ以下である。
【0021】
1つの実施形態では、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリに構成され、それぞれ前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリと一体式構造を形成する。
【0022】
1つの実施形態では、前記第1本体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成する。
【0023】
本発明の第2態様によれば、本発明はマスクシステム用の換気アセンブリを提供し、気体排出アセンブリ及び第2本体を含み、前記気体排出アセンブリは第1本体を含み、前記第2本体に安全部材が設けられ、前記安全部材は、前記マスクシステムにガスを注入する時、前記気体排出アセンブリの吸気孔がガス装置に連通し、前記マスクシステムにガスを注入しない時、前記マスクシステムが環境に連通するように構成される。
【0024】
1つの実施形態では、前記気体排出アセンブリは上記気体排出アセンブリである。
【0025】
1つの実施形態では、前記第2本体と前記気体排出アセンブリは別体式構造であり、前記気体排出アセンブリは前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は前記フレームアセンブリに接続される管体として構成される。
【0026】
1つの実施形態では、前記安全部材は安全弁孔及び安全弁板を含み、前記安全弁孔は前記吸気孔に接続され、前記安全弁板は、前記吸気孔と前記安全弁孔が同時に開閉しないように構成される。
【0027】
1つの実施形態では、前記安全弁板は前記吸気孔の内部に設けられ、前記吸気孔の内壁に回転可能に接続され、前記安全弁板が第1位置に回転すると、前記安全弁孔が閉鎖され、前記吸気孔が前記ガス装置に連通し、前記安全弁板が第2位置に回転すると、前記安全弁孔が開放され、前記吸気孔と前記ガス装置との連通が遮断される。
【0028】
1つの実施形態では、前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体全体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成される。
【0029】
1つの実施形態では、前記第1本体と前記第2本体は一体式構造であり、前記第1本体と前記第2本体全体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ又はライナーアセンブリに構成される。
【0030】
1つの実施形態では、前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は、前記フレームアセンブリに接続されるエルボとして構成される。
【0031】
1つの実施形態では、前記安全部材は安全弁孔及び安全弁板を含み、前記安全弁孔は前記エルボに接続され、前記安全弁板は、前記吸気孔と前記安全弁孔が同時に開閉しないように構成される。
【0032】
1つの実施形態では、前記安全弁板は前記エルボの内部に設けられ、前記エルボの内壁に回転可能に接続され、前記安全弁板が第1位置に回転すると、前記安全弁孔が閉鎖され、前記エルボが開放され、前記吸気孔が前記ガス装置に連通し、前記安全弁板が第2位置に回転すると、前記安全弁孔が開放され、前記エルボが閉鎖され、前記吸気孔と前記ガス装置との連通が遮断される。
【0033】
本発明の第3態様によれば、本発明は、フレームアセンブリを提供し、上記気体排出アセンブリ及び/又は上記換気アセンブリが構成されるフレームを含むことを特徴とする。
【0034】
1つの実施形態では、前記フレームにライナー接続部が設けられ、前記ライナー接続部は前記マスクシステムの口鼻ライナーと嵌合接続又は接着を形成する。
【0035】
1つの実施形態では、前記ライナー接続部は、フレームの内側のボスとして構成され、前記ライナー接続部の上に係合部が設けられ、前記気体排出アセンブリの吸気口の内壁に密閉部が設けられ、前記ライナー接続部は前記密閉部に嵌合接続される。
【0036】
1つの実施形態では、前記フレームの上部両側には斜め上方へ延びている第1延在体及び第2延在体をそれぞれ有し、前記第1延在体及び前記第2延在体は前記口鼻ライナーの外側の一部を覆う。
【0037】
1つの実施形態では、前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1骨梁アームと第2骨梁アームが設けられ、前記第1骨梁アームと第2骨梁アームはそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続され、
前記第1骨梁アームと前記第2骨梁アームはそれぞれ前記第1延在体と前記第2延在体の延び方向に延びている。
【0038】
1つの実施形態では、前記第1骨梁アーム、前記第2骨梁アーム及び前記フレームはそれぞれ形成されるか、又は
前記第1骨梁アーム、前記第2骨梁アーム及び前記フレームは一体に形成される。
【0039】
1つの実施形態では、前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームの厚さはいずれも0.6mm~1.5mmである。
【0040】
1つの実施形態では、前記第1骨梁アーム及び前記第2骨梁アームはPC、PP又はABS及びほかの熱可塑性材料からなる。
【0041】
1つの実施形態では、前記第1骨梁アームと前記第2骨梁アームにそれぞれ第1骨梁アーム接続孔と第2骨梁アーム接続孔が設けられ、前記第1骨梁アーム接続孔と前記第2骨梁アーム接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続される。
【0042】
1つの実施形態では、前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1ヘッドストラップ接続孔と第2ヘッドストラップ接続孔が設けられ、前記第1ヘッドストラップ接続孔と前記第2ヘッドストラップ接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの上部ヘッドストラップに接続される。
【0043】
1つの実施形態では、前記第1延在体と前記第2延在体にそれぞれ第1溝と第2溝が設けられ、前記第1溝と前記第2溝はそれぞれ前記第1延在体と前記第2延在体の延び方向に延びている。
【0044】
1つの実施形態では、前記フレームの下部両側にそれぞれ第3ヘッドストラップ接続孔と第4ヘッドストラップ接続孔が設けられ、前記第3ヘッドストラップ接続孔と前記第4ヘッドストラップ接続孔はそれぞれ前記マスクシステムのヘッドストラップの下部ヘッドストラップに接続される。
【0045】
1つの実施形態では、前記第3ヘッドストラップ接続孔と第4ヘッドストラップ接続孔内にそれぞれ第1バックルと第2バックルが設けられ、前記下部ヘッドストラップは前記第1バックル及び第2バックルを介して前記第3ヘッドストラップ接続孔及び第4ヘッドストラップ接続孔に接続される。
【0046】
本発明の第4態様によれば、本発明は、マスクシステムを提供し、ライナーアセンブリを含み、前記ライナーアセンブリは、鼻部構造体及び口部構造体を含む口鼻ライナーを含み、前記鼻部構造体及び前記口部構造体の内部には圧力ガスを受けることができる貫通するチャンバーが形成され、前記鼻部構造体はユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着して密閉し、前記口部構造体はユーザーの口部の周囲に適応的に密着して密閉し、
前記鼻部構造体は、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成される。
【0047】
1つの実施形態では、前記気体排出アセンブリ及び/又は前記換気アセンブリをさらに含む。
【0048】
1つの実施形態では、前記フレームアセンブリをさらに含み、前記フレームアセンブリは前記口鼻ライナーに着脱可能に接続される。
【0049】
1つの実施形態では、前記フレームアセンブリはエルボに直接接続され、前記エルボは空気搬送パイプに接続され、前記空気搬送パイプは圧力装置と接続することに用いられ、
【0050】
前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmである。
【0051】
1つの実施形態では、前記フレームはフレキシブルホースに直接接続され、前記フレキシブルホースは空気搬送パイプに接続され、前記空気搬送パイプは圧力装置と接続することに用いられ、前記フレキシブルホースの内径は12~15mmであり、前記空気搬送パイプの内径は15mm~22mmである。
【0052】
1つの実施形態では、前記フレキシブルホースは、弾性を有する管である。
【0053】
1つの実施形態では、前記フレームにコネクタが設けられ、前記コネクタは前記フレキシブルホースに回転可能に接続される。
【0054】
1つの実施形態では、ヘッドストラップをさらに含み、前記ヘッドストラップはそれぞれ前記フレームの両側に接続され、前記ヘッドストラップは、前記マスクシステムがユーザーに装着されることに応答してユーザーの頭部を囲んで固定されるように構成される。
【0055】
1つの実施形態では、前記ヘッドストラップは、
それぞれ前記フレームアセンブリの第1ヘッドストラップ接続孔及び第2ヘッドストラップ接続孔に接続され、前記ヘッドストラップがユーザーに装着されることに応答してユーザーの頬で耳の上方へ延びていることで、ユーザーの鼻部に対する前記口鼻ライナーの圧力を調整するように構成される上部ヘッドストラップと、
それぞれ前記フレームアセンブリの第3ヘッドストラップ接続孔及び第4ヘッドストラップ接続孔に接続され、前記ヘッドストラップがユーザーに装着されることに応答してユーザーの顎部の両側に沿ってユーザーの後頭部へ延びているように構成される下部ヘッドストラップと、を含む。
【0056】
1つの実施形態では、前記上部ヘッドストラップと前記下部ヘッドストラップは装着者の後頭部で一体になる。
【0057】
1つの実施形態では、前記ヘッドストラップは頭上ストラップをさらに含み、前記頭上ストラップはそれぞれ上部ヘッドストラップに接続される第1端部ストラップ及び第2端部ストラップを含み、前記第1端部ストラップ及び前記第2端部ストラップの一方には接続部材が設けられ、前記第1端部ストラップ及び前記第2端部ストラップの他方には嵌合部材が設けられ、前記嵌合部材が前記接続部材に接続されることで、前記第1端部ストラップと前記第2端部ストラップを装着者の頭頂部で接続する。
【発明の効果】
【0058】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を持つ。マスクシステムの装着時、鼻部構造体と口部構造体がユーザーの鼻孔と口部をそれぞれ覆うことで、口呼吸の要件を満たすことができ、臨床的な血気パラメータが良好であるという利点を持ち、また、ユーザーの鼻孔を囲繞して密閉することで、ユーザーの鼻筋又は鼻翼の両側が圧迫されることを回避し、従って、構造がより小型化及び軽量化され、視界がより良くなるため、快適性が向上し、フルフェイスマスクと比較して、本発明の鼻マスクは閉所恐怖症を引き起こし難く、より優れた集団適応性を有する。従って、本発明のマスクシステムは、従来のフルフェイスマスクが装着時に鼻筋を圧迫し易いため、快適性が悪く、集団適応性が悪いという欠点を克服できるだけでなく、フルフェイスマスクが口呼吸の要件を満たすことができ、臨床的な血気パラメータが良好であるという利点を維持でき、それによって治療効果及び治療コンプライアンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
以下、実施例に基づいて図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【
図2】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの斜視構造模式図(後側から見た)である。
【
図3】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの斜視構造模式図(前側から見た)である。
【
図4】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの正面図である。
【
図5a】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーとユーザーの鼻部との位置関係の模式図であり、太い破線は中間部が変形する時の位置を示し、図中における細い破線は中間部と鼻部両側部との境界線を示す。
【
図5b】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの装着模式図であり、中間部が膨張変形してユーザーの鼻孔の周囲に密着することを示し、図中における細い破線は中間部が変形していない時の位置を示す。
【
図6a】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの上面図であり、図中における破線は中間部と鼻部両側部との境界線を示す。
【
図7】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの断面図であり、図中における破線はユーザーの鼻部を示す。
【
図8】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの口鼻ライナーの上面図であり、図中における破線は中間部と鼻部両側部との境界線を示す。
【
図9】本発明の実施例1におけるマスクシステムの口鼻ライナーの正面図であり、顎部を示し、図中における破線は口部の両側部と顎部との境界線を示す。
【
図12】本発明の実施例2におけるマスクシステムの口鼻ライナーの斜視構造模式図(後側から見た)である。
【
図13】本発明の実施例2におけるマスクシステムの口鼻ライナーの斜視構造模式図(前側から見た)。
【
図14】本発明の実施例2におけるマスクシステムの口鼻ライナーの正面図(後側から見た)である。
【
図16】本発明の1つの実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図17】
図16に示すフレームアセンブリの斜視構造模式図である。
【
図19】
図17のF-F断面図であり、図中における矢印は吸気孔における圧力気流の吸気方向を示し、破線は吸気孔における圧力気流の吸気方向の法平面を示す。
【
図20】
図17に示すフレームの気体排出模式図であり、図中における矢印は気体排出孔からのガス流出を模式的に示す。
【
図21】
図17に示すフレームの側面図であり、図中における矢印は気体排出孔からのガス流出を模式的に示す。
【
図22】
図17に示すフレームの斜視構造模式図であり、図中における矢印は気体排出孔からのガス流出を模式的に示す。
【
図25】
図16に示すフレームアセンブリが換気管に接続される構造模式図である。
【
図26】本発明の別の実施例におけるフレームの斜視構造模式図である。
【
図27】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図28】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図29】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図30】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図31】本発明の別の実施例におけるマスクシステムの斜視構造模式図である。
【
図32】従来技術におけるフルフェイスマスクの装着模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0061】
図1に示すように、一般ユーザーの鼻部の特徴を示す。本発明のマスクシステムは、
図32に示す従来のフルフェイスマスクと比較して、ユーザーの鼻筋を覆わず、ユーザーの敏感な鼻筋領域を圧迫しないことで、快適性を大幅に向上させ、なお、その外形が小型化及び軽量化され、ユーザーの視界がより良くなり、より優れた集団適応性を有し、閉所恐怖症を引き起こし難く、装着がより快適になる。
【0062】
具体的には、本発明のマスクシステムは気体排出アセンブリ60、換気アセンブリ、ライナーアセンブリ、フレームアセンブリ50及びヘッドストラップ90を含む。ライナーアセンブリは口鼻ライナー1を含み、フレームアセンブリ50は口鼻ライナー1に着脱可能に接続される。ヘッドストラップ90はフレームアセンブリ50に接続され、ヘッドストラップ90は、マスクシステム400がユーザーに装着されることに応答してユーザーの頭部を囲んで固定されるように構成される。
【0063】
気体排出アセンブリ60と換気アセンブリは別体式構造として形成されてもよいし、一体式構造として形成されてもよい。なお、気体排出アセンブリ60と換気アセンブリのうちのいずれか一方又は両方はフレームアセンブリと一体に形成されてもよいか、又は気体排出アセンブリ60と換気アセンブリのうちのいずれか一方又は両方はライナーアセンブリと一体に形成されてもよい。従って、上記各部材が一体式構造として形成される場合、各部材は一部の構造を共有することができる。
【0064】
以下、
図2~
図15及び各実施例を参照して本発明の口鼻ライナー1を詳細に説明する。
【0065】
口鼻ライナー1は接続される鼻部構造体2及び口部構造体3を含み、鼻部構造体2及び口部構造体3の内部には貫通するチャンバー6が形成される。チャンバー6は圧力装置からの圧力ガスを受けることができ、圧力ガスを鼻部構造体2及び口部構造体3を介してユーザーの鼻部及び口部にそれぞれ搬送する。従って、チャンバー6が圧力ガスを受ける時、圧力の適用範囲は4~40hpaであり、それによって口部構造体3を設けてユーザーの口部を収容し顔面接触及び支持機能の一部を分担することは必要である。
【0066】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明の口鼻ライナー1を説明する。
【0067】
実施例1
図2に示すように、鼻部構造体2はチャンバー6に連通する鼻部開口部21及び鼻部開口部21を囲む鼻部パッド部22を含む。鼻部開口部21は、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答してユーザーの鼻孔の下側を囲み、鼻部パッド部22によってユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着して密閉するように構成される。
【0068】
具体的には、
図5に示すように、鼻部パッド部22は、鼻部開口部21を囲んで設けられる中間部23、及び中間部23の両側に設けられる鼻部両側部24を含み、中間部23は、チャンバー6内の圧力の増加に応答して変形してユーザーの鼻孔の周囲に密着する。中間部23の厚さは0.2~1.0mmであってもよく、即ち、中間部23の領域は薄膜領域であり、従って、圧力を受けると膨張変形してユーザーの鼻孔の周囲にしっかりと密着できるので、個々のユーザーの鼻の違いがあっても、中間部23の変形特性によって様々なユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着することを確保でき、それによってその適用範囲及び密閉安定性を向上させる。換言すれば、本発明の口鼻ライナー1は中間部23の膨張変形によってユーザーの鼻孔の周囲に密着するので、設計及び製造時、個々のユーザーの鼻の違いを考慮する必要がない。換言すれば、鼻部構造体2はユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着して密閉でき、鼻部構造体2は、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成される。従って、個々のユーザーの鼻の違いがあっても、薄膜の変形性によって中間部23がユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着することを確保でき、それによって口鼻ライナー1がユーザーの顔面に接触する密閉性及び接続安定性を向上させる。
【0069】
より具体的には、中間部23はチャンバー6の内部に向かって凹んでおり、即ち、中間部23は鼻部両側部24よりもやや低い(
図5a参照)。従って、中間部23がチャンバー6内の圧力を受けて膨張すると、
図5bに示すように、その高さは鼻部両側部24の高さに近くなる。中間体23が膨張した後、元の小さな円弧が大きな円弧になり、さらに中間部23が鼻部両側部24とほぼ同じ平面上にあり、それによって口鼻ライナー1のユーザーの顔面に接触する部位がユーザーの鼻翼の両側を包むのではなくユーザーの鼻部の下側で平らに支持されることを確保できる。従って、本発明の口鼻ライナー1はユーザーの鼻翼を挟むことで密閉安定性を確保する必要がなく、口鼻ライナー1はユーザーの鼻幅(両鼻翼間の距離、
図1参照)に厳密に適合する必要がなく、それによってその集団適応性を向上させることができる。
【0070】
図5aに示すように、中間部23は、変形していない時、鼻部両側部24よりもやや低く、膨張変形する時、
図5aにおける太い破線に示す位置にあり得る。
図5bから明らかなように、中間部23は変形すると上方へ膨出し、それによってユーザーの鼻翼N2及び鼻窩N5を覆うことなくユーザーの鼻孔N1を囲繞して密閉する。
【0071】
なお、本発明の口鼻ライナー1はユーザーの鼻翼に対して挟持作用がないため、ユーザーの鼻部との接触面積を低減させ、装着快適性を向上させることができる。
【0072】
好ましくは、中間部23の前端25はユーザーの鼻尖N3を超えず、このようにして、装着時、ユーザーの鼻筋N4を圧迫せず、さらに装着快適性を向上させるとともに、装着時にユーザーにより良い視界を与えることができる。
【0073】
鼻部両側部24は主に支持の役割を果たすため、受ける力は中間部23よりも大きく、従って、鼻部両側部24の厚さを中間部23の厚さよりも大きくしてもよい。例えば、鼻部両側部24の厚さは0.6mm~1.5mmであってもよく、好ましくは、0.8mm~1.2mmであり、その剛性を中間部23の剛性よりも大きくしてもよい。
【0074】
選択可能な実施形態では、鼻部両側部24はそれぞれ中間部23の両側に延びており、
図6a、
図6b及び
図6cに示すように、
図6aにおける破線は鼻部両側部24と中間部23との境界線を示し、即ち、鼻部両側部24の領域は顔面装着側に近い局所の小さな範囲のみに延びている。この実施形態では、口鼻ライナー1の装着時、鼻部両側部24のほうは先にユーザーの顔面に接触し、且つユーザーの頬Fの筋肉(
図5a及び
図5b参照)に近く、従って、ユーザーが鼻部両側部24から力を受ける感覚が明らかではなく、それによって鼻部両側部24が口鼻ライナー1の装着時における顔面の圧力を効果的に分配し、装着快適性を向上させることができる。なお、鼻部両側部24がユーザーの顔面の近くにあるため、このとき、口鼻ライナー1の鼻部密閉安定性は鼻部両側部24の支持力及び中間部23の膨張力に依存する。この実施形態では、両側部24の領域は顔面装着側に近い局所の小さな範囲のみに延びている。
【0075】
本実施例では、鼻部構造体2と口部構造体3の両側との間、及び鼻部構造体2と口部構造体3の前側との間にはそれぞれ口鼻接続部88が設けられ、
図3、
図6b、
図6c及び
図7に示すように、口鼻接続部88は厚さが可変である。具体的には、鼻部両側部24と口部構造体3との間の口鼻接続部88の厚さは一般的に、鼻部両側部24の口鼻接続部88の厚さ以上である。
【0076】
図6b及び
図7に示すように、中間部23は中間局所領域26を含み、中間局所領域26は基本的に鼻部構造体2に位置し、ユーザーの鼻部の接触し難いエッジゾーンに対応する。本実施例では、中間局所領域26の厚さは中間部23よりもやや大きく、例えば、0.2mm~1.2mmであってもよく、好ましくは、0.8mm~0.9mmであり、主な作用は、空気注入していない時、中間部23の薄膜領域の大まかな形状を維持することができる。
【0077】
なお、中間局所領域26は中間部23の厚さと同じであってもよく、使用に大きな影響がないことを確保できる。
【0078】
図6b及び
図7に示すように、鼻部構造体2の中間部23と口部構造体3との間における口鼻接続部88の移行厚さは薄膜厚さに設定されてもよい。口鼻接続部88の厚さは0.2mm~0.6mmに設定されてもよく、好ましくは0.3mm~0.5mmであり、それによって口鼻接続部88は空気注入時に鼻部領域をよりよく補充して密閉することができる。
【0079】
別の選択可能な実施形態では、鼻部両側部24は中間部23の両側で中間部23の外側前端まで延びることで支持領域の面積を増加させ、
図8に示すように、破線は鼻部両側部24と中間部23との境界線を示す。この実施形態では、鼻部両側部24の面積が大きいことで、より良い支持を提供でき、従って、このとき、口鼻ライナー1の鼻部密閉安定性は主に鼻部両側部24の支持力に依存する。この実施形態では、両側部24の領域は前側まで延びる大きな範囲となる。
【0080】
以上のように、中間部23の厚さは小さく、薄膜領域である。従って、選択可能に、中間部23は、厚さが均一な構造体として構成されてもよい。さらに選択可能に、中間部23は1つ又は複数の局所厚肉部25を有し、それによって局所領域を厚肉化する。
【0081】
鼻部開口部21の数は、需要に応じて設定でき、本実施例は、1つの鼻部開口部21を示すが、需要に応じて、複数の鼻部開口部21が設けられてもよく、例えば2つ設けられ、それぞれユーザーの2つの鼻孔に対応し、装着時、それぞれユーザーの対応する鼻孔の下側を囲む。
【0082】
口鼻ライナー1は、鼻部構造体2と口部構造体3との間に設けられ、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答してユーザーの唇上部領域に密着する口鼻移行部5をさらに含む。口鼻移行部5は、上唇方向から離れる凹形状に構成される。口鼻移行部5がユーザーの顔面の力感受性領域に対応するため、口鼻移行部5の厚さは中間部23の厚さと同じ又は近いように設定されてもよく、即ち、口鼻移行部5の領域も薄膜領域であり、それによって装着時、ユーザーの唇上部領域の圧迫力が十分に小さいことを確保し、装着快適性を向上させる。
【0083】
図5a及び
図5bに示す実施形態では、鼻部両側部24から口鼻移行部5への移行傾向は上唇方向から離れる凹形状であり、このように、装着時、鼻部両側部24のほうは先に顔面の鼻窩N5付近に接触するため、鼻部両側部24はマスクの装着時における顔Fの重要な支持点であり、受ける力は鼻の敏感な中間部23及び口鼻移行部5よりも大きく、また、鼻部両側部24は鼻窩N5付近で支持し、頬Fの筋肉(
図5、
図5-1参照)に近いため、力を受ける感覚が明らかではなく、顔面にライナーを装着する圧力を効果的に分配し、装着快適性を向上させることができる。
【0084】
以下、口部構造体3を詳細に説明する。
【0085】
図4に示すように、口部構造体3は、チャンバーに連通する口部開口部31、及び口部開口部31を囲んで設けられる口部パッド部32を含み、口部開口部31は、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答してユーザーの口部を収容するように構成され、口部パッド部32は、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答して、ユーザーの顔面に密着するように構成される。従って、口部構造体3全体は、口部開口部31が位置する中間部分がチャンバー6の内部に向かって凹んでおり、口部パッド部32が位置する両側部分が外側へ突出する傾向を示し、それによって口部パッド部32とユーザーの顔面とのより大きな接触面積を確保し、密閉効果を確保することができる。
【0086】
口部開口部31の径方向断面は略楕円形又は楕円形であり、装着時、口部パッド部32はユーザーの口部を密閉する。
【0087】
図9に示すように、口部パッド部32は口部両側部34及び顎部35を含み、破線は口部両側部34と顎部35との境界線を示す。口鼻移行部5及び顎部35はそれぞれ口部両側部34の上側及び下側に接続され、口部両側部34は、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答してユーザーの顔に密着するように構成され、顎部35は、口鼻ライナー1がユーザーに装着されることに応答してユーザーの顎部35に密着するように構成される。
【0088】
図10に示すように、口部両側部34は、口部開口部31を囲む顔接触領域341、顔接触領域341に滑らかに接続され、口部構造体3の前側へ延びている顔支持領域342、及び口部開口部31を囲む口部移行領域343を含み、口部移行領域343は顔接触領域341及び顔支持領域342に滑らかに接続される。
【0089】
好ましくは、口部移行領域343の厚さは顔支持領域342の厚さよりも小さく、顔接触領域341の厚さは顔支持領域342の厚さ以下である。顔支持領域342は口鼻ライナー1の装着時における主な力支持点であり、ユーザーの顔との密閉安定性を確保するため、一定の剛性を有する必要があり、従って、顔支持領域342の厚さは1.2~2.5mmであってもよく、好ましくは、1.5mm程度である。
【0090】
なお、顔接触領域341は患者の顔に近いため、顔支持領域342と同じ厚さを有してもよい。口部移行領域343は小さな厚さを使用してもよく、例えば0.3~0.6mmであり、その領域は1つの薄膜領域であってもよい。又は口部移行領域343は顔支持領域342よりも小さいほかの厚さを使用してもよい。
【0091】
顎部35は、口部開口部31を囲む顎部接触領域351、顎部接触領域351に滑らかに接続される顎部移行領域353、及び顎部移行領域353に滑らかに移行して接続される顎部支持領域352を含む。顎部支持領域352の面積はほぼ0になるほど非常に小さくてもよく、このとき、顎部移行領域353の面積は大きく、口鼻ライナー1の前側に直接延びてもよい。
【0092】
顎部接触領域351は小さな厚さを使用し、1つの薄膜領域を形成してもよい。例えば、その厚さは0.2mm~0.8mmであってもよく、好ましくは、0.2mm~0.5mmである。
【0093】
顎部移行領域353はユーザーの顎部(顎)に対応し、力感受性部位でもあるため、顎部移行領域353の厚さd4は顎部接触領域351の厚さd5と同じであるか又は近いことで、装着時にユーザーの顎部が受ける力を小さくし、装着快適性を向上させる。
【0094】
本実施例では、口鼻ライナー1は補強構造4をさらに含み、補強構造4は口部構造体3の前側に位置し、口部構造体3の口部パッド部32に接続され、補強構造4にはチャンバーに連通する吸気口41が設けられ、吸気口41に密閉部411が設けられ、吸気口41は密閉部411を介してフレームアセンブリ50に着脱可能に接続され、吸気口41を介してチャンバー内に圧力ガスを注入する。
【0095】
選択可能に、補強構造4と口部構造体3は一体に射出成形される。
【0096】
選択可能に、補強構造4と口部構造体3はそれぞれ異なる材料で形成され、補強構造4の接続部43を介して接続される。接続部43は、機械的接続部材又は化学接着剤層であってもよい。
【0097】
補強構造4の吸気口41と接続部43との間の部分は支持移行領域42であり、該支持移行領域42の厚さは、通常、0.8mm~2.5mmであり、好ましくは、1.2mm~1.8mmである。このように、補強構造4の強度を確保できるだけでなく、その軽便性を確保できる。
【0098】
補強構造4はPC又はPPなどの塑性材料からなってもよいし、高透明なアクリル、ABSなどのほかの熱可塑性材料からなってもよい。好ましくは、補強構造4は透明なPCからなる。
【0099】
鼻部構造体2及び口部構造体3はいずれもシリコーンゴムからなってもよいし、フォーム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性材料、フォーム、樹脂及び織物などの材料のうちの一種からなってもよい。
【0100】
鼻部構造体2及び口部構造体3がいずれもシリコーンゴムからなる場合、ショア硬度が30~40のシリコーンゴムは好ましい。
【0101】
実施例2
上記実施例1をもとに、本発明は、
図12~
図15に示すように、変形実施例である実施例2を提供する。以下、上記実施例との相違点のみを説明し、同じ部分について重複説明を省略する。
【0102】
本実施例と実施例1との相違点として、補強構造4と口部構造体3の材料は同じであり、一体に形成される。鼻部構造体2の材料は補強構造4及び口部構造体3の材料と同じであってもよく、即ち、口鼻ライナー1全体は同じ材料からなる。
【0103】
例えば、口鼻ライナー1の材料はシリコーンゴム、フォーム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性材料、フォーム、樹脂及び織物などの材料のうちの一種であってもよい。
【0104】
口鼻ライナー1の材料がシリコーンゴムである場合、ショア硬度が30~40のシリコーンゴムは好ましい。
【0105】
実施例3
上記各実施例をもとに、本発明は、変形実施例である実施例3を提供する。以下、上記実施例との相違点のみを説明し、同じ部分について重複説明を省略する。
【0106】
図27に示すように、本実施例と上記実施例との相違点として、口鼻ライナー1の前側の上部に気体排出アセンブリ60が構成される。気体排出アセンブリ60は第1本体(気体排出部)を含む。気体排出部は口鼻ライナー1に設けられる複数の気体排出孔61であってもよい。第1本体は口鼻ライナー1と一体に形成される。
【0107】
気体排出孔61は長尺状、長楕円形、円形、楕円形又は異形などである。より具体的には、気体排出孔61の法平面P1における投影は長尺状、長楕円形、円形、楕円形、矩形又は異形(例えば、少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造又は尖角を有する異形)である。
【0108】
なお、法平面P1は気体排出アセンブリ60の吸気孔62の吸気方向(
図19の矢印で示す方向)に垂直な平面である。従って、理解できるように、吸気孔62の吸気方向がその軸方向であると、法平面P1は吸気孔62の径方向である。
【0109】
好ましくは、気体排出孔61は長尺状であり、気体排出方向により狭い表面により大きな単孔面積を有してもよく、このように、総気体排出量が所望の固定値である場合、孔数を最小限にすることができるとともに、騒音や同居者への吹き出し効果を低減させることができる。
【0110】
複数の気体排出孔61は、円形配置、楕円形配置、アレイ状配置又は異形配置などとしてもよい。
【0111】
なお、気体排出孔61の内孔面積は気体排出孔61の外孔面積よりも大きいか又はよりも小さく、内外径が一致する気体排出孔は大きな騒音を引き起こすため、気体排出孔61の内径を気体排出孔61の外径と異なるように設定することで、気体排出騒音を大幅に低減させることができる。
【0112】
なお、気体排出孔61は放射状に配置され、気体排出孔61はできるだけ拡散して設けられ、各気体排出孔61に隣接する気体排出孔61の数は6つ以下である。
【0113】
図16に示すように、気体排出孔61は吸気口41の両側に吸気口41から離れて設けられる。
【0114】
実施例4
上記各実施例をもとに、本発明は、変形実施例である実施例4を提供する。以下、上記実施例との相違点のみを説明し、同じ部分について重複説明を省略する。
【0115】
図28に示すように、本実施例と上記実施例との相違点として、口鼻ライナー1に換気アセンブリが構成され、換気アセンブリは第2本体を含み、第2本体に安全部材70が設けられる。第2本体は口鼻ライナー1と一体に形成されてもよい。
【0116】
安全部材70は、口鼻ライナー1の前側上部に設けられる安全弁孔501及び安全弁板502を含む。圧力装置(図示せず)が吸気口41を介して口鼻ライナー1のチャンバー6内に圧力ガスを注入する時、安全弁板502が安全弁孔501を閉鎖し、それによって口鼻ライナー1を介して装着者に圧力ガスを供給することができる。一方、口鼻ライナー1に圧力ガスを注入しない時、安全弁板502が安全弁孔501を開放し、それによって口鼻ライナー1が安全弁孔を介して大気に連通し、この場合、装着者は安全弁孔501を介して口鼻ライナー1の外側の大気を呼吸でき、窒息の危険を回避する。
【0117】
安全弁板502が安全弁孔501を開放することについて、従来の安全弁板を使用して安全弁孔を開放してもよく、本発明では、これについて詳細説明を省略する。
【0118】
実施例5
図31に示すように、上記各実施例をもとに、本発明は、変形実施例である実施例5を提供する。以下、上記実施例との相違点のみを説明し、同じ部分について重複説明を省略する。
【0119】
図31に示すように、本実施例と上記各実施例との相違点として、口鼻ライナー1には気体排出アセンブリ60(気体排出孔61)が設けられるだけでなく、換気アセンブリ(安全部材70)が設けられる。
【0120】
気体排出孔61及び安全部材70の具体的な設置方法は、実施例3及び実施例4における設置方法を使用でき、ここでは重複説明を省略する。
【0121】
以下、
図16~
図30を参照してフレームアセンブリ50及びヘッドストラップ90の具体的な構造を詳細に説明する。上記各実施例における口鼻ライナー1はいずれも後述する各実施例におけるフレームアセンブリ50と組み合わせることができる。
【0122】
図16に示すように、1つの実施例では、フレームアセンブリ50はフレーム51を含み、気体排出アセンブリ60はフレーム51と一体に形成される。第2本体は管体として構成され、安全部材70はフレーム51に接続される。フレーム51は口鼻ライナー1に着脱可能に接続され、例えば、係止、螺合などによって接続される。気体排出アセンブリ60とフレーム51は係合によって接続されてもよく、超音波、化学接着などのほかの方法によって接続されてもよい。
【0123】
ヘッドストラップ90はそれぞれフレーム51の両側に接続され、ヘッドストラップ90とフレーム51との接続方法について、以下で詳細に説明する。
【0124】
図18に示すように、気体排出アセンブリ60はフレーム51に接続され、気体排出アセンブリ60にはチャンバー6に連通する吸気孔62が設けられ、吸気孔62は換気管80に接続され、吸気孔62はさらに口鼻ライナー1の吸気口41に連通し、従って、吸気孔62によってチャンバー6内に圧力ガスを注入することができる。
【0125】
マスクシステム400は気体排出部をさらに含む。いくつかの選択可能な実施形態では、気体排出部は、上記のように、口鼻ライナー1に設けられてもよい。
【0126】
いくつかの好ましい実施形態では、
図17~
図23に示すように、気体排出アセンブリ60はフレームアセンブリ50に構成される。
【0127】
さらに、気体排出アセンブリ60は傾斜した側壁63を有し、吸気孔62における圧力気流の吸気方向の法平面P1と気体排出アセンブリ60の外側壁との角αは10°~70°であり、好ましくは、45°~55°(
図19参照)である。気体排出部は該側壁63に設けられる。具体的には、気体排出部は気体排出アセンブリ60を貫通する複数の気体排出孔61を含み、気体排出孔61は、気体排出アセンブリ60の外側から内側への方向に面積が徐々に小さくなるように構成される。つまり、気体排出孔61において、気体排出アセンブリ60の内側に位置する孔内側56の面積は気体排出アセンブリ60の外側に位置する孔外側57の面積よりも小さく、このとき、側壁63の平均厚さは0.5mm~2.0mmであり、好ましくは、側壁63の平均厚さは0.9mm~1.2mmであり、理解できるように、側壁63の厚さは、通常、ほぼ同じ厚さであり、即ち、明らかな厚さ変化がない。
【0128】
法平面から見ると、上記気体排出孔61における気流の方向はX方向(
図20の矢印で示す方向)に互いに発散し、マスクシステムの鏡像平面から見ると、気体排出孔61における気流はY方向(
図21の矢印で示す方向)に発散し、従って、合力はZ方向(
図22の矢印で示す方向)に互いに発散する。このように配置することで、気流はよりよく発散でき、気体排出孔61から流出した後、迅速に減衰でき、各気体排出孔61における気流は互いに干渉し難く、従って、ユーザー側の騒音がより小さくなり、気流衝撃エネルギーがより低くなり、患者の同居者の体験を妨げない。
【0129】
気体排出孔61の側壁と吸気孔62における圧力気流の吸気方向の法平面との角βは鋭角である。好ましくは、89°~90°(
図19参照)である。
【0130】
Z方向の気体排出を実現するために、選択可能に、金型に対して複数回のスライド、又は後期のレーザー穿孔を行う方法によって実現されるが、これらの方法はコストが高いだけでなく、孔の品質を確保できず、騒音が大きい。
【0131】
好ましくは、気体排出孔61は金型の上下キスオフによって成形される。金型の上下キスオフによって成形された気体排出孔61は、プロセス成形性が高く、プロセスコストが低いとともに、孔の品質を確保でき、使用時の騒音がより低い。
【0132】
気体排出孔61は長尺状、円形、楕円形又は異形などである。より具体的には、気体排出孔61の法平面P1における投影は長尺状、長楕円形、円形、楕円形、矩形又は異形(例えば、少なくとも互いに平行な2本の直線と2本の直線を接続する少なくとも1本の弧線とからなる構造又は尖角を有する異形)である。
【0133】
好ましくは、気体排出孔61は長尺状であり、気体排出方向により狭い表面により大きな単孔面積を有してもよく、このように、総気体排出量が所望の固定値である場合、孔数を最小限にすることができるとともに、騒音や同居者への吹き出し効果を低減させることができる。
【0134】
気体排出孔61は吸気孔62の周方向に設けられてもよく、具体的には、吸気孔2と同心の円上に設けられてもよく、それによって最適な気流発散効果を得る。選択可能に、気体排出孔61はフレーム51のほかの部位に、楕円形、アレイ状又は異形などに配置されてもよい。理解できるように、本発明に記載される「楕円」は楕円に近い構造又は略楕円構造であり、必ず標準的な式、曲率に従って形成された楕円に限定されない。
【0135】
一方、気体排出孔61はさらに、気体排出アセンブリ60の内側から外側への方向に面積が徐々に小さくなるように構成されてもよい。つまり、気体排出孔61の気体排出アセンブリ60の外側に位置する面積は気体排出アセンブリ60の内側に位置する面積よりも小さい。
【0136】
本発明は、気体排出孔61の気体排出アセンブリ60の外側における面積が気体排出アセンブリ60の内側における面積と同じ又はほぼ同じである場合、大きな騒音が発生することを創造的に見出し、従って、本発明では、気体排出孔61は内側の面積と外側の面積が異なるように設けられることで、騒音を効果的に低減させるという技術的効果を得る。
【0137】
好ましくは、各気体排出孔61に隣接する気体排出孔の数は2つ以下であり、換言すれば、本発明における気体排出孔61は1周、1層、1行又は1列のみの分布構造とすることで、気体排出孔が集まり、騒音が大きくなることを回避する。
【0138】
以上のように、マスクシステムは換気アセンブリをさらに含む。換気アセンブリは第2本体を含み、第2本体に安全部材70が設けられる。安全部材70は、上記のように、口鼻ライナー1に構成されてもよいし、フレームアセンブリ50又は換気管のエルボ500に設けられてもよい。
【0139】
1つの好ましい実施形態では、
図24~
図26及び
図16に示すように、安全部材70はフレームアセンブリ50に構成され、気体排出アセンブリ60もフレームアセンブリ50に構成される。具体的には、安全部材70は、管体を含み、管体の側壁に設けられ管体を貫通する安全弁孔71、及び安全弁板72を含み、安全弁板72は、吸気孔62に圧力ガスを注入するか否かに応じて安全弁孔71を開閉するように構成される。
【0140】
本実施形態では、管体は、折り曲げられた管状構造として構成され、一端が吸気孔62に接続され、他端が管接続部73を介して換気管に接続される。本実施形態では、換気管はフレキシブルホース80を含み、第1接続端81はフレーム51の吸気孔62に接続され、第2接続端82はコネクタ83を介して圧力装置に接続される。
【0141】
安全弁板72は安全部材70の内部に設けられ、その内壁にヒンジ連結される。圧力ガスが換気管を介して安全部材70に導入される時、安全弁板72は気流により駆動されて上方へ回転して安全弁孔71を閉鎖し、このとき、換気管、安全部材70、吸気孔62及びチャンバー6は連通する通路を形成して加圧ガスをユーザーに導入する。
【0142】
ガスを注入しない時、安全弁板72は下方へ回転して安全弁孔71を開放し、このとき、安全弁孔71は大気に連通する。従って、マスクシステム400が換気しない時、又は圧力ガスを注入する圧力装置が誤って塞がれたり損傷して停止したりする時、安全弁板72は安全弁孔71を開放し、安全弁孔71は大気に連通し、ユーザーは安全弁孔71を介してマスクシステムの外側の大気を呼吸でき、窒息の危険を回避する。
【0143】
さらに、ガスを注入しない時、安全弁板72は下方へ回転して管接続部73の一端を覆い、それによって安全部材70は換気管から遮断される。従って、換気しない時、マスクシステム400が換気しないか、又は圧力装置が誤って塞がれたり損傷して停止したりするとしても、ユーザーが吐き出すCO2は管接続部73に入らず、それによって吸気孔62及びチャンバー6に入らず、それによってユーザーがCO2を再呼吸しない。
【0144】
本実施形態では、選択可能に、フレーム51、気体排出アセンブリ60及び安全部材70は単独な部品であり、機械的接続、化学接着剤又は一体モールドなどの方法によって一体に接続される。理解できるように、フレーム51、気体排出アセンブリ60及び安全部材70のうちの両者は一体モールドされるか、又は三者は一体モールドされてもよくこのとき、一体モールドされる部材同士は一部の構造を共有する。
【0145】
フレキシブルホース80の第2接続端82はコネクタ83に回転可能に接続され、従って、コネクタ83はフレキシブルホース80の周りに360°回転可能である。
【0146】
フレキシブルホース80は、通常、内径が12mm~15mmのパイプであり、例えばベローズなど弾性を有する管であってもよく、その長さは、一般的に、250~450mmである。フレキシブルホース80はさらに空気搬送パイプを介して圧力装置に接続される。空気搬送パイプの内径は15mm~22mmであってもよく、長さは1000mm~2000mmであってもよい。
【0147】
フレキシブルホース80の利点として、柔軟性は空気搬送パイプよりも優れ、身体の移動時における空気搬送パイプの引張り力を克服でき、それによってユーザーの顔面におけるマスクシステムの安定的な密閉を維持する。
【0148】
本実施形態では、好ましくは、フレーム51、気体排出アセンブリ60及び安全部材70は一体に形成される。
【0149】
フレーム51、気体排出アセンブリ60、安全部材70の材料は、それぞれPC、PP又はABSなどであってもよい。フレーム51、気体排出アセンブリ60、安全部材70の材料はさらにほかの熱可塑性プラスチックであってもよい。
【0150】
図27に示す実施例では、気体排出アセンブリ60はそれぞれフレーム51及び口鼻ライナー1に構成され、安全部材70はフレーム51に構成される。
図28に示す実施例では、気体排出アセンブリ60はフレーム51に構成され、安全部材70は口鼻ライナー1に構成される。気体排出アセンブリ60は上記各実施例における設置方法を使用できる。
【0151】
1つの好ましい実施形態では、換気管はフレーム51に回転可能に接続されるエルボ500、及びエルボ500に接続されるエルボコネクタ600を含み、エルボコネクタ600は圧力装置に接続される。従って、本実施形態と上記実施形態との相違点として、エルボ500はフレーム51に回転可能に接続されてもよい。
【0152】
本実施例では、
図29又は
図30に示すように、安全部材70はエルボ500に構成される。
図29に示す実施例では、気体排出アセンブリ60はフレーム51に構成され、安全部材70はエルボ500に構成される。
図30に示す実施例では、気体排出アセンブリ60は口鼻ライナー1に構成され、安全部材70はエルボ500に構成される。気体排出アセンブリ60は上記各実施例における設置方法を使用できる。
【0153】
具体的には、安全部材70は、エルボ500の側壁に設けられエルボ500を貫通する安全弁孔501及び安全弁板502を含み、安全弁板502は、エルボ500に圧力ガスを注入するか否かに応じて安全弁孔501を開閉するように構成される。
【0154】
安全弁板502はエルボ500の内部に設けられ、その内壁にヒンジ連結される。圧力ガスが換気管を介してエルボ500に導入される時、安全弁板502は気流により駆動されて上方へ回転して安全弁孔501を閉鎖し、このとき、換気管、エルボ500、吸気孔62及びチャンバー6は連通する通路を形成して加圧ガスをユーザーに導入する。
【0155】
ガスを注入しない時、安全弁板502は下方へ回転して安全弁孔501を開放し、このとき、安全弁孔501は大気に連通する。従って、マスクシステム400が換気しない時、又は圧力ガスを注入する圧力装置が誤って塞がれたり損傷して停止したりする時、安全弁板502は安全弁孔501を開放し、安全弁孔501は大気に連通し、ユーザーは安全弁孔501を介して外側の大気を呼吸でき、窒息の危険を回避する。
【0156】
さらに、ガスを注入しない時、安全弁板502は下方へ回転して径方向にエルボ500を完全に覆い、それによってエルボ500は換気管から遮断される。従って、換気しない時、マスクシステム400が換気しないか、又は圧力装置が誤って塞がれたり損傷して停止したりするとしても、ユーザーが吐き出すCO2はエルボ500に入らず、それによって吸気孔62及びチャンバー6に入らず、それによってユーザーがCO2を再呼吸しない。以下、フレームアセンブリ50と口鼻ライナー1との結合方法について、詳細に説明する。上記各実施例及び実施形態はいずれも後述する各実施例と組み合わせることができる。
【0157】
図23に示すように、フレーム51にライナー接続部58が設けられ、ライナー接続部58は口鼻ライナー1に密閉接続されてもよい。
【0158】
ライナー接続部58は、フレーム51の内側のボスとして構成され、ライナー接続部58の外壁に係合部が設けられ、ライナー接続部58は吸気口41に延在し、吸気口41の内壁における密閉部411(
図11参照)に嵌合接続(係合)される。
【0159】
理解できるように、ライナー接続部58はさらに化学接着剤によって口鼻ライナー1に接続されもよい。
【0160】
以上のように、本発明のマスクシステム400では、
図16、
図25及び
図26に示すように、気体排出孔61はフレーム51に設けられ、安全部材70はフレーム51に設けられるようにしてもよい。
【0161】
又は、
図27に示すように、気体排出孔61は口鼻ライナー1に設けられ、安全部材70はフレーム51に設けられるようにしてもよい。
【0162】
又は、
図28に示すように、気体排出孔61はフレーム51に設けられ、安全部材70(安全弁孔501及び安全弁板502)は口鼻ライナー1に設けられるようにしてもよい。
【0163】
又は、
図29に示すように、気体排出孔61はフレーム51に設けられ、安全部材70(安全弁孔501及び安全弁板502)はエルボ500に設けられるようにしてもよい。
【0164】
又は、
図30に示すように、気体排出孔61は口鼻ライナー1に設けられ、安全部材70(安全弁孔501及び安全弁板502)はエルボ500に設けられるようにしてもよい。
【0165】
又は、
図31に示すように、気体排出孔61及び安全部材70(安全弁孔501及び安全弁板502)はそれぞれ口鼻ライナー1の両側に設けられ、且つエルボ500に設けられるようにしてもよい。
【0166】
以上からわかるように、本発明の気体排出孔61及び安全部材70の設置位置は任意に組み合わせることができ、従って、任意のほかの可能な組み合わせが存在し、本発明はここで例示しない。
【0167】
以下、フレームアセンブリ50とヘッドストラップ90との結合方法について、詳細に説明する。上記各実施例及び実施形態はいずれも後述する各実施例と組み合わせることができる。
【0168】
図16に示すように、ヘッドストラップ90は上部ヘッドストラップ91、92、下部ヘッドストラップ94、95及び頭上ストラップ93を含む。上部ヘッドストラップ91、92及び下部ヘッドストラップ94、95はそれぞれ装着者の耳の上方及び下方に沿って後頭部まで延びており、頭上ストラップ94は装着時にユーザーの頭頂部に配置される。
【0169】
図16に示す実施例では、2本の上部ヘッドストラップ91、92はそれぞれ装着者の左耳及び右耳の上方から後頭部まで延びており、2本の下部ヘッドストラップ95、94はそれぞれ装着者の左耳及び右耳の下方から後頭部まで延びており、それによって後頭部被覆領域98を形成し、上部ヘッドストラップ91、92と下部ヘッドストラップ94、95を装着者の後頭部で接続し、ユーザーの頭部に対する上部ヘッドストラップ91、92及び下部ヘッドストラップ94、95の圧力を分担できる。
【0170】
なお、装着の快適性を向上させるために、上部ヘッドストラップ91、92及び下部ヘッドストラップ94、95は装着者の後頭部で一体になり、それによって接続部が装着者の頭部を圧迫することを回避する。
【0171】
さらに、頭上ストラップ93はそれぞれ上部ヘッドストラップ91、92に接続される第1端部ストラップ931及び第2端部ストラップ932を含み、第1端部ストラップ931及び第2端部ストラップ932の一方に接続部材が設けられ、他方には嵌合部材が設けられ、嵌合部材は接続部材に接続され、それによって第1端部ストラップ931と第2端部ストラップ932を装着者の頭頂部で接続する。
【0172】
図16に示す実施例では、第2端部ストラップ932には接続部材が設けられ、該接続部材はヘッドストラップバックル934であり、第1端部ストラップ931に嵌合部材が設けられ、該嵌合部材はマジックテープ(登録商標)933であり、マジックテープ(登録商標)933はヘッドストラップバックル934を通って折り返して自体の側部に貼り付けられる。従って、マジックテープ(登録商標)933の貼り付け位置を調整することで、頭上ストラップ93の使用長さを調整でき、即ち、上部ヘッドストラップ91、92の延び角度を調整でき、それによってその装着力を調整する。
【0173】
上記実施例におけるフレーム51はほぼ同じ全体構造を有する。
図17に示す実施例を例として、フレーム51の上部両側はそれぞれ斜め上方へ延びている第1延在体511及び第2延在体512を有し、第1延在体511及び第2延在体512は口鼻ライナー1の外側の一部を覆う。
【0174】
図27~
図31に示す実施例では、第1延在体511と第2延在体512にそれぞれ第1溝513と第2溝514が設けられ、第1溝513と第2溝514はそれぞれ第1延在体511の第2延在体512の延び方向に延びている。
【0175】
図27及び
図30に示す実施例では、第1溝513と第2溝514はそれぞれ口鼻ライナー1における一体式構造の気体排出アセンブリ60(気体排出アセンブリ60はそれぞれ吸気口41の両側に位置する)に対応し、それによって気体排出アセンブリ60を露出させ、気体排出を容易にするとともにフレーム51を軽量化することができる。
【0176】
図28に示す実施例では、鼻ライナー1には換気アセンブリ(安全部材70)及び/又は気体排出アセンブリ60が構成されていないため、第1溝513及び第2溝514はフレーム51の軽量化のみに使用される。
【0177】
図28に示す実施例では、第1溝513と第2溝514はそれぞれ口鼻ライナー1における一体式構造の換気アセンブリ(安全部材70)に対応し、換気アセンブリ(安全部材70)はそれぞれ吸気口41の両側に位置し、それによって換気アセンブリを露出させるとともに、フレーム51を軽量化することができる。
【0178】
図31に示す実施例では、第1溝513は、口鼻ライナー1における一体式構造の換気アセンブリ(安全部材70)に対応し、第2溝514は口鼻ライナー1における一体式構造の気体排出アセンブリ60に対応し、換気アセンブリ(安全部材70)及び気体排出アセンブリ60はそれぞれ吸気口41の両側に位置し、それによって換気アセンブリ及び気体排出アセンブリ60を露出させるとともに、フレーム51を軽量化することができる。
【0179】
図17に示すように、第1延在体511と第2延在体512にそれぞれ第1ヘッドストラップ吸気孔52と第2ヘッドストラップ吸気孔53が設けられ、フレーム51の下部両側にそれぞれ第3ヘッドストラップ接続孔54と第4ヘッドストラップ接続孔55が設けられる。上部ヘッドストラップ91、92はそれぞれ第1ヘッドストラップ接続孔52と第2ヘッドストラップ接続孔53に接続され、上部ヘッドストラップ91、92は、ヘッドストラップ90がユーザーに装着されることに応答してユーザーの頬で耳の上方へ延びていることで、ユーザーの鼻部に対する口鼻ライナーの圧力を調整するように構成される。下部ヘッドストラップ94、95はそれぞれ第3ヘッドストラップ接続孔54及び第4ヘッドストラップ接続孔55に接続され、下部ヘッドストラップ94、95は、ヘッドストラップ90がユーザーに装着されることに応答してユーザーの顎部の両側に沿ってユーザーの後頭部へ延びているように構成される。
【0180】
上部ヘッドストラップ91、92には例えばマジックテープ(登録商標)などの調整機構がそれぞれ設けられ、調整機構は、それぞれ第1ヘッドストラップ接続孔52及び第2ヘッドストラップ接続孔53を通って折り返して自体の側部に貼り付けられる。
【0181】
選択可能に、下部ヘッドストラップ94、95は上部ヘッドストラップ91、92と同じ接続方法で第3ヘッドストラップ接続孔54及び第4ヘッドストラップ接続孔55に接続されてもよい。
【0182】
好ましくは、第3ヘッドストラップ接続孔54と第4ヘッドストラップ接続孔55にそれぞれ第1バックル96と第2バックル97が設けられ、下部ヘッドストラップ94、95は第1バックル96及び第2バックル97を介して第3ヘッドストラップ接続孔54及び第4ヘッドストラップ接続孔55に接続される。第1バックル96と第2バックル97はフレーム51の構造を拡張できることで、ヘッドストラップ90とフレーム51との接続をより柔軟にするだけでなく、コストを削減することができる。
【0183】
いくつかの選択可能な実施形態では、
図26に示すように、フレーム51はさらに第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701を介してヘッドストラップ90に接続されてもよい。具体的には、フレーム51の上部両側の第1延在体511及び第2延在体512にそれぞれ第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701が設けられ、第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701はそれぞれ第1延在体511及び第2延在体512の延び方向に延びており、ヘッドストラップは上部ヘッドストラップ91、92及び下部ヘッドストラップ94、95を含み、上部ヘッドストラップ91、92はそれぞれ第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701に接続される。
【0184】
第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701はフレーム51の構造を拡張でき、フレーム51の安定性を向上させるとともに、コストを削減させることができる。
【0185】
第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701の端部にそれぞれ第1骨梁アーム接続孔702及び第2骨梁アーム接続孔704が設けられてもよく、上部ヘッドストラップ91、92はそれぞれ第1骨梁アーム接続孔702及び第2骨梁アーム接続孔704を通って折り返して自体の外側に貼り付けられる。
【0186】
下部ヘッドストラップ94、95及びフレーム51は上記2種の方法の一方によって構成されてもよく、即ち、第1延在体511及び第2延在体512のみが設けられるか、又は第1延在体511及び第2延在体512にそれぞれ第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701が設けられる。
【0187】
第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701の厚さはいずれも0.6~1.5mmであり、好ましくは、0.9~1.2mmである。
【0188】
第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701はいずれもPC、PP、ABSなどの材料からなってもよいし、ほかの熱可塑性材料からなってもよい。
【0189】
第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701はフレーム51と一体に射出成形されてもよい。又は、第1骨梁アーム700及び第2骨梁アーム701とフレーム51はそれぞれ形成された後、机械的係合接続又は化学接着剤で接続されてもよい。好ましい実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明の範囲を逸脱せずに、種々の改良を行ったりその中の部材を同等物で置き換えたりすることができる。特に、構造的な矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本発明は明細書に開示されている特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0190】
1-口鼻ライナー;
2-鼻部構造体;21-鼻部開口部;22-鼻部パッド部;23-中間部;24-鼻部両側部;25-局所厚肉部;
3-口部構造体;31-口部開口部;32-口部パッド部;
34-口部両側部;341-顔接触領域;342-顔支持領域;343-口部移行領域;
35-顎部;351-顎部接触領域;352-顎部支持領域;353-顎部移行領域;
4-補強構造;41-吸気口;42-支持移行領域;43-接続部;411-密閉部;
5-口鼻移行部;6-チャンバー;
N1-鼻孔;N2-鼻翼;N3-鼻尖;N4-鼻筋;N5-鼻窩;F-頬;
400-マスクシステム;
50-フレームアセンブリ;51-フレーム;52-第1ヘッドストラップ接続孔;53-第2ヘッドストラップ接続孔;54-第3ヘッドストラップ接続孔;55-第4ヘッドストラップ接続孔;56-孔内側;57-孔外側;
511-第1延在体;512-第2延在体;513-第1溝;514-第2溝;
500-エルボ;600-エルボコネクタ;
60-気体排出アセンブリ;61-気体排出孔;62-吸気孔;63-側壁;
70-安全部材;71、501-安全弁孔;72、502-安全弁板;73-管接続部;
90-ヘッドストラップ;91、92-上部ヘッドストラップ;94、95-下部ヘッドストラップ;93-頭上ストラップ;96-第1バックル;97-第2バックル;
80-フレキシブルホース;81-第1接続端;82-第2接続端;83-コネクタ;
700-第1骨梁アーム;701-第2骨梁アーム;703-第1骨梁アーム接続孔;704-第2骨梁アーム接続孔。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクシステム用の気体排出アセンブリであって、第1本体を含み、前記第1本体は吸気孔及び前記吸気孔の周方向に設けられる側壁を含み、前記側壁に気体排出孔が設けられ、前記吸気孔に入るガスは前記マスクシステムの装着者に搬送され、該装着者によって吐き出されるガスは前記気体排出孔から排出され、
前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁は角αをなすことを特徴とする気体排出アセンブリ。
【請求項2】
前記吸気孔における吸気方向の法平面と前記側壁との角αは10°~70°であることを特徴とする請求項1に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項3】
前記気体排出孔の内側壁と前記法平面は角βをなすことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項4】
前記気体排出孔の内側壁と前記法平面との角βは80°~100°であることを特徴とする請求項3に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項5】
前記側壁の平均厚さは0.5mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項6】
前記気体排出孔は、前記ガスが前記気体排出孔に入る方向が前記気体排出孔から前記ガスが排出される方向と平行であり且つ同一直線上に位置しないように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項7】
前記気体排出孔の内孔径は前記気体排出孔の外孔径よりも小さいか、又はよりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項8】
前記気体排出孔は前記吸気孔の周方向に沿って環状に設けられ
、又は、
前記気体排出孔は前記吸気孔と同心の円又は楕円上に分布し、又は、
前記気体排出孔は上下型キスオフによって成形されることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項9】
前記第1本体は、前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項10】
前記気体排出孔は前記第1本体のエッジに近くに設けられ、放射状に配置され、各前記気体排出孔の周囲の隣接する気体排出孔の数は2つ以下であることを特徴とする請求項
9に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項11】
前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリに構成され、それぞれ前記マスクシステムのフレームアセンブリ及びライナーアセンブリと一体式構造を形成
し、又は、
前記第1本体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成され、前記マスクシステムのフレームアセンブリと別体式構造又は一体式構造を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の気体排出アセンブリ。
【請求項12】
マスクシステム用の換気アセンブリであって、
請求項1に記載の気体排出アセンブリ
と、第2本体
とを含み、前記第2本体に安全部材が設けられ、前記安全部材は、前記マスクシステムにガスを注入する時、前記気体排出アセンブリの吸気孔がガス装置に連通し、前記マスクシステムにガスを注入しない時、前記マスクシステムが環境に連通するように構成されることを特徴とする換気アセンブリ。
【請求項13】
前記第2本体と前記気体排出アセンブリは別体式構造であり、前記気体排出アセンブリは前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は前記フレームアセンブリに接続される管体として構成されることを特徴とする請求項
12に記載の換気アセンブリ。
【請求項14】
前記安全部材は安全弁孔及び安全弁板を含み、前記安全弁孔は前記吸気孔に接続され、前記安全弁板は、前記吸気孔と前記安全弁孔が同時に開閉しないように構成されることを特徴とする請求項
12に記載の換気アセンブリ。
【請求項15】
前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は前記マスクシステムのライナーアセンブリに構成されることを特徴とする請求項
12に記載の換気アセンブリ。
【請求項16】
前記第1本体と前記第2本体は一体式構造であり、前記第1本体と前記第2本体全体は前記マスクシステムのフレームアセンブリ又はライナーアセンブリに構成され
、又は
前記第1本体と前記第2本体は別体式構造であり、前記第1本体は前記マスクシステムのフレームアセンブリに構成され、前記第2本体は、前記フレームアセンブリに接続されるエルボとして構成されることを特徴とする請求項
12に記載の換気アセンブリ。
【請求項17】
フレームアセンブリであって、請求項1
に記載の気体排出アセンブリ及び/又は請求項
12に記載の換気アセンブリが構成されるフレームを含むことを特徴とするフレームアセンブリ。
【請求項18】
マスクシステムであって、ライナーアセンブリを含み、前記ライナーアセンブリは、鼻部構造体及び口部構造体を含む口鼻ライナーを含み、前記鼻部構造体及び前記口部構造体の内部には圧力ガスを受けることができる貫通するチャンバーが形成され、前記鼻部構造体はユーザーの鼻孔の周囲に適応的に密着して密閉し、前記口部構造体はユーザーの口部の周囲に適応的に密着して密閉し、
前記鼻部構造体は、加圧ガスによって装着者の鼻底に当てて密閉される時、患者の鼻翼に対して挟持作用がないように構成されることを特徴とするマスクシステム。
【請求項19】
請求項1
に記載の気体排出アセンブリ及び/又は請求項
12に記載の換気アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項
18に記載のマスクシステム。
【請求項20】
請求項
17に記載のフレームアセンブリをさらに含み、前記フレームアセンブリは前記口鼻ライナーに着脱可能に接続されることを特徴とする請求項
18に記載のマスクシステム。
【国際調査報告】