(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ダイレクトティーチングを通してクローズドのロボット化されたシステムおよび関連の処理プラントを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519680
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2022059281
(87)【国際公開番号】W WO2023053051
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021000024899
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524120099
【氏名又は名称】ガイオット・オートメイション・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フェデリカ・フェラグーティ
(72)【発明者】
【氏名】マッティア・ベルトゥレッティ
(72)【発明者】
【氏名】マッティア・ガンバッツァ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ・ラガグリア
(72)【発明者】
【氏名】チェーザレ・ファントゥッツィ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707AS13
3C707BS10
3C707BS12
3C707DS01
3C707JT09
3C707KV01
3C707KW03
3C707KW05
3C707KX07
3C707LS02
3C707LS15
3C707LW12
(57)【要約】
クローズドのロボット化されたシステム(3)を制御するための方法であって、方法は、学習ステップおよび再現ステップを含み、学習ステップの間に、オペレーターは、力および/またはトルク(Fc)を駆動アッセンブリ(7)に働かせ、駆動アッセンブリ(7)のセンサー(10)は、印加された力および/またはトルク(Fext)を検出し、処理システム(11)は、センサー(10)によって検出されるデータに応じて、デカルト空間におけるロボットマニピュレーターのための移動のインディケーション(Xref、X*ref)を取得するアドミッタンス制御を実施し、処理システム(11)は、アドミッタンス制御に続いて、デカルト空間における移動のインディケーション(Xref、X*ref)を、ロボット化されたシステム(3)の軌道補間ユニットに送達し、補間を通して所望の軌道を発生させるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローズドのロボット化されたシステム(3)を制御するための方法であって、
- 学習ステップであって、前記学習ステップの間に、オペレーターは、力/トルクセンサー(10)を含む駆動アッセンブリ(7)によって、前記ロボット化されたシステム(3)のロボットマニピュレーターのエンドエフェクター(4)を移動させ、前記エンドエフェクター(4)によって行われた移動は、前記ロボット化されたシステム(3)のストレージユニット(8)の中に記憶される、学習ステップと、
- 再現ステップであって、前記学習ステップの後に行われ、前記再現ステップの間に、制御システム(6)は、前記ストレージユニット(8)の中に記憶された前記移動を前記エンドエフェクター(4)が実質的に繰り返すように、前記ロボットマニピュレーターを動作させる、再現ステップと
を含み、
前記学習ステップの間に、前記オペレーターは、力および/またはトルク(F
c)を前記駆動アッセンブリ(7)に働かせ、前記センサー(10)は、印加された力および/またはトルク(F
ext)を検出し、処理システム(11)は、前記センサー(10)によって検出されるデータに応じて、デカルト空間における前記ロボットマニピュレーターのための移動のインディケーション(X
ref、X*
ref)を取得するアドミッタンス制御を実施し、
前記処理システム(11)は、前記アドミッタンス制御に続いて、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(Xref、X*ref)を、前記ロボット化されたシステム(3)の軌道補間ユニットに送達し、補間を通して前記エンドエフェクター(4)の所望の軌道を発生させるようになっており、
前記方法は、
- 前記ロボットマニピュレーターのためのダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)、すなわち、少なくとも前記エンドエフェクター(4)がデカルト座標において従わなければならない自由度における時間的に変化するリファレンスシステムを定義するさらなるステップと、
- 前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の初期基準位置として前記エンドエフェクター(4)の位置を設定するさらなるステップと、
- 前記エンドエフェクター(4)の前記位置を前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の位置と同期させるさらなるステップと、
- 前記アドミッタンス制御の間に処理された移動の前記インディケーション(X
ref、X*
ref)に基づいて、前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の前記位置を変化させるさらなるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ロボット化されたシステム(3)の前記補間ユニットは、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(X
ref、X*
ref)を、ジョイント空間における移動のインディケーション(q
ref)に変換する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アドミッタンス制御に続いて、しかし、前記補間の前に、前記ロボットマニピュレーターの望ましくないおよび/または潜在的に危険な挙動を回避するように、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(Xref、X*ref)に対して特異点制御を実施するさらなるステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットマニピュレーターが所属する運動学的ファミリーに基づいて、前記特異点制御を変化させるさらなるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記運動学的ファミリーは、前記学習ステップを実施する前に、前記オペレーターによって選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記学習ステップの間に、前記処理システム(11)は、前記センサー(10)の上に装着されているものの(とりわけ、ハンドリングデバイス(9)の)ロードから結果として生じる固定成分および可変成分に応じて、非接触力およびトルク(F
nc)を推定し、また、検出された前記力およびトルク(F
s)ならびに推定された前記非接触力およびトルク(F
nc)に応じて、(とりわけ、前記オペレーターによって前記ハンドリングデバイス(9)に印加される)推定された力およびトルク(F*
c)を取得し、前記処理システム(11)は、前記処理システム(11)によって提供される推定された前記力およびトルク(F*
c)に応じて、前記ロボットマニピュレーターのための移動のインディケーション(Xref、X*ref)を提供し、とりわけ、推定された前記力およびトルク(F*
c)は、測定された前記力(F
ext)から前記非接触力およびトルク(F
c)を差し引くことによって推定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記処理システム(11)は、処理ユニット(14)を含み、前記処理ユニット(14)は、カルマンフィルターを含み、とりわけ、カルマンフィルターである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記学習ステップの間に、前記アドミッタンス制御は、検出された前記力およびトルク(F
s)に応じて変化され、とりわけ、前記アドミッタンス制御の慣性および減衰のパラメーターは、検出された前記力およびトルク(F
s)に応じて変化される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アドミッタンス制御は、前記オペレーターによる前記エンドエフェクター(4)の移動の間に、オンラインで変化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記駆動アッセンブリ(7)は、コマンドを含み、前記コマンドは、前記エンドエフェクター(4)の少なくとも1つの動作パラメーターを経時的に調節するために、前記オペレーターによって動作され、前記ストレージユニット(8)は、前記動作パラメーターの前記調節を記憶し、前記制御システム(6)は、ツールの活性化を調節し、前記動作パラメーターの前記調節が、前記ロボットマニピュレーターによって行われる移動と協調された様式で実質的に繰り返されるようになっている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
クローズドのロボット化されたシステム(3)を備える処理プラント(1)であって、
ロボット化されたシステム(3)であって、順次、エンドエフェクター(4)を含み、前記エンドエフェクター(4)は、生産されている物品を処理し、または生産されている物品と相互作用するように構成されている、ロボット化されたシステム(3)と、
ロボットマニピュレーターであって、少なくとも3自由度で可動であり、前記ロボットマニピュレーターの上に前記エンドエフェクター(4)が装着されている、ロボットマニピュレーターと、
ストレージユニット(8)を含み、前記空間において前記エンドエフェクター(4)を移動させるように前記ロボットマニピュレーターの移動を制御するように構成されている制御システム(6)と、
移動のインディケーション(Xref、X*ref)を前記ロボットマニピュレーターに伝達するように、オペレーターによって動作されるように構成されており、ハンドリングデバイス(9)を含み、使用時に、前記オペレーターが、前記ハンドリングデバイス(9)に力およびトルク(Fc)を働かせる駆動アッセンブリ(7)と、
前記エンドエフェクター(4)に接続されており、前記ハンドリングデバイス(9)に印加される力およびトルク(Fs)を検出するように設計されているセンサー(10)と、
前記センサー(10)によって検出される前記データに応じて、および、アドミッタンス制御に続いて、前記ロボットマニピュレーター(5)のためのデカルト移動インディケーション(Xref、X*ref)を提供するように設計されている処理システム(11)と
を含み、
前記ストレージユニット(8)は、前記エンドエフェクター(4)が前記駆動アッセンブリ(7)によって前記オペレーターによって移動される間に、前記ロボットマニピュレーターによって行われる移動を記憶するように設計されており、
前記制御システム(6)は、前記ストレージユニット(8)によって記憶された前記移動に基づいて、前記エンドエフェクター(4)の前記移動を制御するように設計されており、
前記プラント(1)は、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、処理プラント(1)。
【請求項12】
セラミック物品(2)の表面の少なくとも一部をカバーするように物質のジェットを放出するように構成されている噴霧ヘッドを含む、請求項11に記載のプラント(1)。
【請求項13】
クローズドのロボット化されたシステム(3)の制御をプログラミングするためのキットであって、
- ロボットマニピュレーターの上に据え付けられることが可能であり、ハンドリングデバイス(9)を含み、使用時に、前記オペレーターが、前記ハンドリングデバイス(9)に力およびトルク(Fc)を働かせる駆動アッセンブリ(7)と、
- 前記ロボット化されたシステム(3)のエンドエフェクター(4)に接続されることが可能であり、前記ハンドリングデバイス(9)に印加される力およびトルク(F
ext)を検出するように設計されているセンサー(10)と、
- 前記センサー(10)によって検出される前記データに応じて、および、アドミッタンス制御に続いて、前記ロボットマニピュレーター(5)のためのデカルト移動インディケーション(Xref、X*ref)を提供するように設計されている処理システム(11)と
を含み、
クローズドのロボット化されたシステム(3)の上に据え付けられており、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年9月29日に出願されたイタリア特許出願第102021000024899号からの優先権を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、とりわけ、ダイレクトティーチングを通して、クローズドのロボット化されたシステム(closed robotised system)(とりわけ、ロボットマニピュレーターを含む)を制御するための方法に関し、また、関連の処理プラントにも関する。
【0003】
本発明は、セラミックの分野において、より具体的には、セラミック物品の艶出しにおいて、有利であるが排他的ではない用途を見出し、以下の議論が、その一般性を失うことなく明示的にそれに言及することとなる。
【背景技術】
【0004】
セラミック物品を処理する分野において、表面を塗装および/または艶出しするために噴霧ヘッドを支持するロボット化されたデバイスを使用することが知られている。
【0005】
このタイプのアプローチは、溶接などのような他のエリアにおいても使用され、非常に汎用性が高くて効果的であり、生産速度の増加、ならびに、産業的プロセスの再現性および精度における改善につながっている。
【0006】
近年では、産業用マニピュレーター(以降では単にロボットとも称される)の使用は、根本的に変化しており、(物理的なバリアを通して取得される)作業空間の完全な分離の思想から、ロボットおよび人間のオペレーターが同じ作業空間を共有してさらに並んで共同作業するシナリオへ移動している。この文脈において、ロボットは、生産の競争力を高める上で重要な要素となっている。その理由は、物理的な人間-ロボットの相互作用(pHRI: physical human-robot interaction)が、急速に進化する製品に対処するための、より高い生産柔軟性を企業が実現することを確実に助けることが可能であるからである。しかしながら、ロボット化された技術の幅広い採用は、ロボットプログラミングの本質的に複雑で時間がかかる性質を含む、いくつかの周知の要因によって依然として損なわれている。
【0007】
同じロボットが異なる形状の物品を塗装および/または艶出しすることができるという事実を考慮すると、ロボットがどのように作動するかを「ティーチングされる」方式は、ますます重要な作業ステップになっており、可能な限り簡単で直感的であるべきである。
【0008】
プログラミング産業用マニピュレーターのための従来の方法は、典型的に、「ポイントツーポイント」プログラミング(PTP)のためのハンドヘルド(ティーチペンダント)を使用すること、または、「オフラインの」プログラミング環境の中でマニピュレーターの活動をシミュレートすることから構成される。
【0009】
前者のケースでは、オペレーターがティーチペンダントおよびロボットプログラミング言語を適切に使用することを学習しなければならないだけでなく、これらの装置の固有のポイントツーポイントプログラミングスタイルは、とりわけ簡単な移動に対してのみ効率的である。とりわけ、ロボット自身がロボットをプログラムするために使用されなければならず(すなわち、生産停止が発生する)、プログラミングはかなり複雑であり(経路のすべてのポイントにおいて、いわゆる「協調的な」低減された速度でロボットを移動させること、および、その位置を保存することが必要である)、結果の良好さを評価することができるようにするために、プログラムが完成されて、次いで実行されなければならず、結果が満足のいくものでない場合には、これらの動作が繰り返されなければならない。
【0010】
他方で、第2のケースでは(「オフライン」プログラミング)、プラットフォーム特有のプログラミング言語(および/または、専用のプログラミング環境、たとえば、3D CADプログラム)を知ることが絶対的に必要であり、したがって、マシンオペレーターのタスクに対して、人間のオペレーターからの特殊で通常は過大な知識を要求する。
【0011】
「オフライン」および「PTP」プログラミング方法は、複雑で手間がかかり、これは、小さなサイズのおよび中間サイズのバッチの生産にとって、それをとりわけ非効率的なものにする。
【0012】
これらの欠点を克服するために、「ウォークスルー」プログラミング(「リードスルー」または「マニュアルガイダンス」プログラミングとも称される)として一般的に定義されるダイレクトティーチングプログラミング戦略が開発されており、最も多様な実用的な用途(たとえば、噴霧または溶接など)を伴う。これらのプログラミング戦略は、特定のプログラミング言語の予備知識および/または特定のハンドヘルド(ティーチペンダント)によって提供される機能の予備知識なしに、オペレーターがマニピュレーターを把持し、所望の位置まで所望の経路の上でそれを手動で導くという事実によって特徴付けられる。学習ステップの間に、ロボットの制御ユニット(以降では、コントローラーとも呼ばれる)は、人間のオペレーターによって課される中間ポイントまたは軌道全体を記録し、マニピュレーター自身がその後にこの所望の移動を独立して再現することができるようになっている。
【0013】
一般に、ダイレクトティーチングプログラミングアーキテクチャーは、2つの重要な要素、すなわち、検出システム(センサー)と、制御ユニット(または、コントローラー)によって管理されるアドミッタンス(または、インピーダンス)制御アルゴリズムとに基づいている。検出システムは、マニピュレーターの上のオペレーターによって働かされる相互作用力/トルクを測定することに関与している。
【0014】
上述の目的は、主に2つの方式によって、すなわち、マニピュレーターのジョイントにおけるトルクの直接的な検出を活用することによって(しかし、それは、マニピュレーター製造業者によって顧客に利用可能にされていないことが多く、または、データの不十分な周波数および/または分解能によって影響を及ぼされることが多い)、または、マニピュレーターのエンドエフェクター(すなわち、部分/エレメント/エンドリンク、すなわち、最後のジョイントの後)の上に特別なセンサー(たとえば、専用のロードセル)を装着することによって、実現化されることが可能である。
【0015】
しかし、オペレーターが課すものを正確に検出する必要性は、コストとハードウェアロバスト性の両方の問題を必然的に伴う。実際に、オペレーターによって働かされる力/トルクを検出するためのシステムを本来的に備えるマニピュレーターは、一般的に、高いコストおよび限られたロードによっても特徴付けられる。
【0016】
産業用マニピュレーターの制御では、たとえば、PCT/IB2017/055972において、アドミッタンス制御アルゴリズムが知られており、それは、オペレーターによって特定のセンサーに付与される力/トルク測定値を、ジョイントの空間における(トルクセンサーがそれぞれのジョイントの上で利用可能であるケース)もしくはデカルト空間における(ロードセンサーが存在しているケース)、または、その両方における対応する変位に変換することに関与している。しかし、後者の2つのケースでは、デカルト基準は、逆運動学を通して、ジョイントの空間における対応する基準に即座に変換される。
【0017】
これらの基準を実装するために、アドミッタンス制御アルゴリズムがジョイントの位置およびそれぞれの速度基準を直接的に上書きすることを可能にする「オープン」制御アーキテクチャー(または、オープンシステム)が必要とされる。換言すれば、先行技術によれば、PCT/IB2017/055972に示されているように、ダイレクトティーチングは、一般的に、マニピュレーター自身の制御システムのリアルタイム周波数ストリーミングにおけるマニピュレーターのジョイントの位置基準、または、位置および速度基準をオープンシステムに提供することによって実施される。本質的には、アドミッタンス制御に続いて、制御ユニットは、逆運動学を通して、ロボットマニピュレーターのそれぞれのジョイントにおいて制御されるべき位置を即座に処理する。
【0018】
理論的には、低レベルリアルタイム制御と直接的に干渉する可能性は、特に、(上述のストリーミングを通して)連続的な高速軌道を記録するためにダイレクトティーチングが使用されるときに、オープン制御アーキテクチャーの解決策を好ましいものにする。しかし、このアプローチは、安全性の視点から重大な問題をもたらす。とりわけ、これらの理由のために、250mm/sのデカルト速度制限が、産業用マニピュレーターのダイレクトティーチングのための安全標準において規定されている。この制限は、中間ポイントのみが記憶されることを必要とするシナリオにとって適当である可能性があるが、高い速度において実施される連続的な軌道を記録することが必要であるときには、ダイレクトティーチングプログラミングの使用を妨げる可能性がある。たとえば、噴霧ロボットは、低いデカルト速度において手動でガイドされ得ない。その理由は、それらの移動が、滑らかでなければならず、噴霧システムのパラメーターと同期されていなければならず、そして、それは(オン/オフバルブも含むことが多い)、時間に対して運動学的に変調され得ないからである。また、他のタイプの用途(たとえば、溶接、研磨など)について、同じ観察がなされる可能性がある。
【0019】
また、産業用マニピュレーターのコントローラーの大半は、オープンアーキテクチャーを有していないということも留意されるべきである。これは、産業用マニピュレーターが購入されると、検出システムによって検出される力/トルクに応じて、ジョイントの位置および速度基準信号をそのコントローラーにリアルタイムで送信することによって、マニピュレーター自身が特定の軌道を辿るように強要することは可能でないということ意味している。実際に、「クローズド」システムという用語は、現在市販されている産業用マニピュレーターの大半を指し、そこでは、マニピュレーターのジョイントの位置、または、位置および速度を直接的に上書きすることが可能でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】「Resolved Motion Rate Control of Manipulators and Human Prostheses」、D. E. Whitney、IEEE Transactions on Man-Machine Systems (TMMS)、1969
【非特許文献2】「Using Genetic Algorithms for singularity Avoidance in Positioning Tasks of a Robotic Arm」、M. Nasrら、Information Models and Analyses、2018
【非特許文献3】「Prediction-Error Negativity to assess Singularity Avoidance Strategies in physical Human-Robot Collaboration」、S. Aldiniら、IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA)、2021
【非特許文献4】「Control Barrier Functions for Singularity Avoidance in Passivity-Based Manipulator Control」、V. Kurtzら、IEEE Conference on Decision and Control (CDC)、2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、とりわけ、ダイレクトティーチングを通して、公知の技術の欠点を少なくとも部分的に克服することを可能にし、同時に現実化することが容易で経済的である、クローズドのロボット化されたシステム、とりわけ、産業用マニピュレーターおよび関連の処理プラントを制御するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明によれば、とりわけ、ダイレクトティーチングを通して、とりわけ、以下の独立請求項において、および、好ましくは、独立請求項に直接的にまたは間接的に従属する請求項のいずれか1つにおいて特許請求されているロボットマニピュレーターおよび処理プラントを含むクローズドのロボット化されたシステムを制御するための方法が提供される。
【0024】
特許請求の範囲は、本開示の不可欠な部分を形成する本発明の好適な実施形態を記載している。
【0025】
このテキストにおいて、「トルク」は、「力のモーメント」を意味しており、または、任意のケースにおいて、力のモーメント(より正確には、その関数)を含有する別の量を意味している。「力のモーメント」(または、「機械的なモーメント」)は、その共通の意味として、これがその質量の中心に適用されないときに、(平面の中での)ポイントまたは(空間の中での)軸線の周りでリジッドの本体部に回転を付与する力の姿勢を有している。
【0026】
このテキストにおいて、「力」は、また、(この用語に通常与えられる意味に加えて、すなわち、適用の軸線に沿ってリジッドの本体部に並進を付与するという意味に加えて)力(より正確には、力の関数)を含有する別の量を意味している。いくつかの実施形態によれば、「力」は、その通常の意味による力を意味している。
【0027】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して説明されることとなり、添付の図面は、実施形態のいくつかの非限定的な例を示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるプラントの明確化のために詳細が除去された状態の斜視図である。
【
図2】第2の構成にある
図1の詳細の斜視拡大縮尺図である。
【
図3】
図1のプラントの制御システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1の態様によれば、
図1において、1は、とりわけ、それに限定されないが、物品2の処理のための、クローズドのロボット化されたシステム3のための処理プラントを全体として示している。プラント1は、ロボット化されたシステム3を含み、そして、ロボット化されたシステム3は、エンドエフェクター4を含み、エンドエフェクター4は、生産されている物品(たとえば、物品2)を処理し、またはそれと相互作用するように構成されている。
【0030】
図1および
図2の非限定的な実施形態において、エンドエフェクター4は、噴霧ヘッドであり、噴霧ヘッドは、物品2の表面の少なくとも一部をカバーするように物質のジェットを放出するように構成されている。他の非限定的で非例示的な実施形態では、エンドエフェクター4は、溶接ヘッド、グリッピングヘッド、グリッパー、または任意の他の機械加工ツールである。
【0031】
有利には、プラント1は、ロボットマニピュレーター5を含み、ロボットマニピュレーター5は、少なくとも3自由度(とりわけ、少なくとも4自由度、さらに、とりわけ、6自由度)で移動可能であり、エンドエフェクター4(たとえば、噴霧ヘッド)がその上に装着されている。また、プラントは、制御システム6(
図3)および駆動アッセンブリ7を含む。
【0032】
制御システム6は、ストレージユニット8を含み、エンドエフェクター4(すなわち、噴霧ヘッド)を移動させるように、ロボットマニピュレーター5の移動を制御するように構成されている。とりわけ、制御システム6は、また、エンドエフェクター4(たとえば、噴霧ヘッド)に搭載されて装着されているツールの動作を調節するように設計されている。
【0033】
駆動アッセンブリ7は、移動のインディケーションをロボットマニピュレーター5に伝達するように、オペレーター(図示せず)によって動作されるように構成されている。とりわけ、駆動アッセンブリ7は、また、動作インディケーションをエンドエフェクター4(たとえば、噴霧ヘッド)に伝達するように構成されている。
【0034】
とりわけ、ロボットマニピュレーター5(
図1および
図2)は、連続して互いに接続されている、いくつかのセクション(リンク)を含む。それぞれのセクションは、それぞれの回転軸線Aの周りに、以前のセクションに対して回転可能である。軸線Aのそれぞれの周りの回転は、ロボットマニピュレーター5の自由度を表す。示されている実施形態では、ロボットマニピュレーター5は、6自由度を有しており、より正確には、6つの回転軸線Aを有している。
【0035】
ロボットマニピュレーター5は、典型的には、擬人化された産業用タイプのロボットであり、たとえば、Gaiotto Automation SpA製のGA-OLロボットであってもよい。また、ロボットマニピュレーター5は、7つ以上の自由度(とりわけ、7つ以上の回転軸線A)を有することも可能である。いくつかの非限定的なケースでは、自由度は、5つの回転軸線、および、1つの並進(たとえば、水平方向または垂直方向の並進)であってもよい。
【0036】
図1および
図2の非限定的な実施形態では、駆動アッセンブリ7は、ハンドリングデバイス9であって、使用時に、オペレーターは、ハンドリングデバイス9に力およびトルクF
c(接触力とも呼ばれる-
図3)を働かせる、ハンドリングデバイス9と、エンドエフェクター4に接続されており、ハンドリングデバイス9に印加される力およびトルクF
sを検出するように設計されているセンサー10と、センサー10によって検出されるデータに応じて(より正確には、検出される力およびトルクF
sに応じて)、および、アドミッタンス(または、インピーダンス)制御ACに従って、ロボットマニピュレーター5にデカルト移動インディケーションを提供するように設計されている処理システム11とを含む。
【0037】
とりわけ、センサー10は、(少なくとも)3自由度(好ましくは、少なくとも4自由度、とりわけ、6自由度)を有しており、(デカルト基準システムにおいて)(少なくとも)3つの力および3つのトルクを測定することができる。センサー10は、上記に説明されている機能を果たすことができる任意の公知のデバイスであることが可能である。
【0038】
特定の非限定的な実施形態によれば、センサー10は、たとえば、FTSensであり、FTSensは、3つの力および3つのトルクを測定し、CANネットワークを介してそれらをデジタル的に送信することができる。FTSensは、ジェノバにあるIIT(イタリア技術研究所(Italian Institute of Technology))によって開発された。このケースでは、測定値は、センサーの本体部の内側に設置されている(電気的/抵抗タイプの)歪みゲージの変形に基づいて、歪みゲージ技術によって検出される。
【0039】
他の特定の非限定的な実施形態によれば、センサー10は、たとえば、ATI Automationによって開発されたFT Axiaセンサー80であり、それは、EtherCAT(登録商標)プロトコルを介してデータ交換を実施する。
【0040】
ストレージユニット8は、エンドエフェクター4(すなわち、噴霧ヘッド)が駆動アッセンブリ7によってオペレーターによって移動される間に、ロボットマニピュレーター5によって行われる移動qrobotを記憶するように設計されている。制御システム6は、ストレージユニット8によって記憶された移動qrobotに応じて、ロボットマニピュレーター5の移動を制御するように設計されている。とりわけ、制御システム6は、ロボットマニピュレーター5(および、噴霧ヘッド4)がストレージユニット8によって記憶された移動qrobotを実質的に繰り返すように、より具体的には、オペレーターがエンドエフェクター4を移動させる間に行われる移動をエンドエフェクター4(噴霧ヘッド)が実質的に繰り返すように、ロボットマニピュレーター5の移動を制御するように設計されている。
【0041】
とりわけ、1つまたは複数の「移動」は、このテキストにおいて、経路および経路に沿った速度を意味する。より正確には、ロボットマニピュレーター5の移動は、空間におけるロボットマニピュレーター5のそれぞれの可動パーツの空間における移動である。
【0042】
とりわけ、ハンドリングデバイス9は、ロボットマニピュレーター5の上に(より具体的には、センサー10の上に)装着されている。有利には、しかし必ずしも必要ではないが、ハンドリングデバイス9は、エンドエフェクター4において(すなわち、エンドエフェクター4に搭載されて)、とりわけ、ロボットマニピュレーター5の端部において、ロボットマニピュレーター5の上に装着されている。より正確には、ハンドリングデバイス9は、センサー10(それは、ハンドリングデバイス9を支持している)を通してロボットマニピュレーター5に接続されている。いくつかの実施形態によれば、センサー10は、ロボットマニピュレーター5の上に装着されている。
【0043】
とりわけ、ハンドリングデバイス9は、少なくとも1つのグリップ12を含み、少なくとも1つのグリップ12は、ロボットマニピュレーター5(ひいては、エンドエフェクター4)を移動させるためにオペレーターによって把持されるように設計されている。
【0044】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、ハンドリングデバイス9は、(少なくとも)2つのグリップ12を含み、2つのグリップ12は、ロボットマニピュレーター5(ひいては、噴霧ヘッド4)を移動させるように、オペレーターによって把持されるように設計されており、とりわけ、(ハンドリングデバイス9の)接続エレメントによって、互いに一体的に接続されている。より具体的には、接続エレメントは、グリップ12に対して横断方向のバーを含む(より正確には、バーである)。これらのケースでは、有利には、しかし必ずしも必要ではないが、クロスバーが、センサー10の上に装着されており、より正確には、クロスバーが、センサー10とグリップ12との間にある。
【0045】
とりわけ、エンドエフェクター4は、サポート4'によってロボットマニピュレーター5の上に装着されており、サポート4'は、ロボットマニピュレーター5から(とりわけ、ロボットマニピュレーター5の一方の端部から)突出している。
【0046】
いくつかの実施形態によれば(たとえば、
図1および
図2に示されているものなど)、サポート4'は、ロボットマニピュレーター5に接続されている第1の端部を有しており、センサー10を越えて(下向きに)延在しており、(第1の端部の反対側の第2の端部において)連結ゾーンを有しており、連結ゾーンにおいて、噴霧ヘッド4が接続されている。センサー10は、ハンドリングデバイス9と第1の端部との間に配置されている。いくつかの非限定的な実施形態によれば、サポート4'は、2つのグリップ12の間に延在している。これらのケースでは、エンドエフェクター4(たとえば、噴霧ヘッド)は、2つのグリップ12の間に配置されている。
【0047】
代替的な実施形態(たとえば、
図9のものなど)によれば、サポート4'は、ロボットマニピュレーター5から実質的に水平方向に延在している。
【0048】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、駆動アッセンブリ7(とりわけ、ハンドリングデバイス9)は、コマンド(たとえば、ボタン、レバーなど)を含み、コマンドは、エンドエフェクター4の少なくとも1つの動作パラメーターを経時的に調節するように、オペレーターによって動作されるように設計されている。ストレージユニット8は、動作パラメーター(および、その経時的な変化)の調節を記憶するように構成されている。制御システム6は、噴霧ヘッド4の活性化を調節するように設計されており、記憶された動作パラメーター(および、その経時的な変化)の調節が、とりわけ、ロボットマニピュレーター5によって行われる移動と協調された様式で、実質的に繰り返されるようになっている。
【0049】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、駆動アッセンブリ7は、動作パラメーター(および、その経時的な変化)に関するインディケーションを制御システム6に提供するように設計されており、制御システム6は、駆動アッセンブリ7から受信されるインディケーションに応じて、噴霧ヘッド4を活性化させるように設計されている。
【0050】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、動作パラメーターは、噴霧ヘッドから退出するカバー物質のフロー(単位時間における量)の調節、噴霧ヘッドから退出するカバー物質の噴霧程度の調節、噴霧ヘッドから退出するカバー物質のジェットの振幅の調節、噴霧ヘッドから退出するカバー物質のジェットの形状の調節、溶接の温度および/または持続期間、研磨の圧力および/または振幅(ならびに、それらの組み合わせ)からなる群から選択される。
【0051】
また、動作パラメーターは、単に、たとえば、ジェットの活性化(オン)および非活性化(オフ)であることが可能である。
【0052】
いくつかのケースでは(必ずしもそうではないが)、駆動アッセンブリ7(とりわけ、ハンドリングデバイス9)は、ロボットマニピュレーター5の移動を可能にするコマンドを含み(通常は、専門用語で「デッドマン」と呼ばれる)、緊急の場合にロボットマニピュレーター5を停止させることを可能にする。典型的には、このコマンドは、ロボットマニピュレーター5が移動することを可能にされるためにオペレーターによって押し続けられなければならないボタンを含む。使用時に、このボタンが解放されるかまたはあまりに長く押圧される場合には、制御システム6は、ロボットマニピュレーター5が移動する可能性を無効化する。
【0053】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、プラント1(とりわけ、ロボット化されたデバイス3)は、また、物品2の移動のためのデバイス13を含み、駆動アッセンブリ7(とりわけ、ハンドリングデバイス9)は、物品2の移動のためのデバイス13を制御するようにオペレーターによって動作されるように設計されているコマンド(たとえば、ボタンまたはレバー)を含む。これらのケースでは、ストレージユニット8は、オペレーター(および、その経時的な変化)によって設定される物品2の位置(配向)を記憶するように設計されている。制御システム6は、ストレージユニット8の中に記憶された物品2の位置(配向)(および、その経時的な変化)に基づいて、物品2の移動のためのデバイス13の動作を調節するように設計されている。より具体的には、制御システム6は、ストレージユニット8の中に記憶された物品2の位置(配向)(および、その経時的な変化)を繰り返すように、物品2の移動のためのデバイス13の活性化を調節するように設計されている。
【0054】
いくつかの非限定的な実施形態によれば(たとえば、示されているものなど)、デバイス13は、回転可能なプラットフォーム13'を含み、使用時に、物品2がプラットフォーム13'の上に配置されている。とりわけ、プラットフォーム13'は、垂直方向軸線(図示せず)の周りに回転可能である。
【0055】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、処理システム11は、センサー10(より正確には、センサー10の感応パーツ)の上に装着されている(より正確には、センサーによって支持されている)もののロード(とりわけ、ハンドリングデバイス9)から結果として生じる固定成分および可変成分に応じて、非接触力およびトルクFncを推定するように設計されており、また、検出された力およびトルクFext(FcおよびFncの総和)ならびに推定された非接触力およびトルクFncに応じて、(ハンドリングデバイス9に対してオペレーターによって印加されるものの)推定された力およびトルクF*cを取得するように設計されている。これらのケースでは、処理システム11は、処理システム11自身によって推定された力およびトルクF*cに応じて、ロボットマニピュレーター5のためのデカルト移動インディケーション(とりわけ、変位)を提供するように設計されている。とりわけ、力およびトルクF*cは、検出された力およびトルクFsから非接触力およびトルクFncを差し引くことによって推定される。
【0056】
とりわけ、上記に示されているすべての力およびトルク(Fnc、F*c、Fc、およびFext)は、デカルト空間の3つの次元に沿った成分(および、任意選択で、空間的配向の3つの角度、たとえば、オイラー角)を有するということが留意されるべきである。
【0057】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、ロードから結果として生じる固定成分および可変成分は、重力、慣性力、およびコリオリ力を含む。とりわけ、固定成分は、重力を含む。とりわけ、可変成分は、センサー10の上に装着されている(より正確には、センサー10によって支持されている)ものの(とりわけ、ハンドリングデバイス9の)角速度ω、角加速度α、直線加速度a、および慣性に応じて、(少なくとも部分的に)推定される。
【0058】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、処理システム11は、処理ユニット14を含み、処理ユニット14は、ロボットマニピュレーター5のそれぞれの回転軸線Aのためのコンフォメーションに応じて、角速度ω、角加速度α、および直線加速度aを推定する(計算する)ように設計されている。いくつかの特定の非限定的な実施形態によれば、処理ユニット14は、カルマンフィルターを含む(とりわけ、カルマンフィルターである)。
【0059】
これらのパラメーターは、ロボットマニピュレーターの上に存在するエンコーダーから直接的に取得されるか、または、ロボットマニピュレーター5の上に設置されている追加的な加速度計を通して取得されることが可能である。実験結果は、エンコーダーから導出された測定値がより正確であるということを示している。
【0060】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、処理システム11は、また、補償ユニット15を含み、補償ユニット15は、上記に説明されているように力およびトルクF*cを推定するように設計されている。とりわけ、補償ユニット15は、処理ユニット14に接続されており、角速度ω、角加速度α、および直線加速度aを処理ユニット14から受信するように設計されている。
【0061】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、処理システム11は、また、制御システム16を含み、制御システム16は、(補償ユニット15から受信される)力およびトルクF*cに応じて、基準位置Xref(ロボットマニピュレーター5(その端部の上に、とりわけ駆動アッセンブリ7が装着されている)の可動エンドエフェクター4の位置)を計算するように設計されている。
【0062】
いくつかの非限定的なケースでは、制御システム16は、アドミッタンス制御またはインピーダンス制御を含む(である)。有利には、しかし必ずしも必要ではないが、制御システム16は、アドミッタンス制御を含む(である)。アドミッタンス制御は、非接触タスクにおいて高レベルの精度を提供する。
【0063】
とりわけ、その特定の偏角(declination)において、アドミッタンス制御は、以下の式によって特徴付けられる減衰質量系に従って環境と相互作用するように、ロボットを導く。
【0064】
【0065】
ここで、MdおよびDdは、所望の慣性および減衰行列であり、
【0066】
【0067】
は、デカルト速度であり、
【0068】
【0069】
は、デカルト加速度である。
【0070】
しかし、ユーザーとの相互作用は、不安定性につながる可能性があるので、アドミッタンス制御のパラメーターは、有利には、しかし必ずしも必要ではないが、変化し、したがって、慣性および減衰は、経時的に可変であり、一定ではない。可変のアドミッタンスモデルは、いくつかの非限定的な実施形態によれば、以下の通りである。
【0071】
【0072】
とりわけ、プラント1(とりわけ、ロボット化されたデバイス3)は、パラメーター適合ユニットPAを含み、パラメーター適合ユニットPAは、駆動アッセンブリ7の上の人間のオペレーターの動的挙動に基づいて、行列M(t)の慣性パラメーターおよび行列D(t)の減衰パラメーター(
図3におけるMおよびDによってそれぞれ示されている)を適合させるように構成されている。とりわけ、ロボットがオペレーターと相互作用するので、オペレーターの動的挙動に応じて、制御回路の中の不安定性が起こる可能性がある。この理由のために、ロボットの挙動における振動の増加を検出するために、および、所望の安定した挙動を復元するようにアドミッタンス制御のパラメーターを適合させるために、戦略が実装された。パラメーター適合アルゴリズムは、アドミッタンスコントローラー自身によって計算される検出インデックスを通して、上向きの振動の検出に応じて、アドミッタンス制御の慣性パラメーターMおよび減衰パラメーターDを調節する。
【0073】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、制御システム6は、補間ユニット17を含み、補間ユニット17は、所望の軌道(移動)を発生させるように、基準位置Xrefを補間するように構成されている。
【0074】
とりわけ、制御システム6は、また、位置制御18を含み、位置制御18は、ロボットマニピュレーター5を所望の位置に移動させる(換言すれば、基準位置Xrefを再現する)ために作動トルクを提供するように設計されている。
【0075】
異なる実施形態によれば、処理ユニット14、補償ユニット15、制御システム16、制御システム6、および位置制御18は、物理的なデバイスとして理解されることが可能であり、または、上記に説明されているように動作するソフトウェアシステムの一部として理解されることが可能であるということが留意されるべきである。
【0076】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、プラント1(とりわけ、ロボット化されたデバイス3)は、特異点防止ユニット(anti-singularity unit)19をさらに含み、特異点防止ユニット19は、ロボットマニピュレーター5の望ましくないおよび/または潜在的に危険な挙動を回避するために、デカルト空間における移動のインディケーション(Xref)に対して特異点回避制御を実施するように構成されている。
【0077】
このシナリオでは、ロボットマニピュレーター5の制御システム6(または、より具体的には、軌道の補間ユニット17)は、デカルト空間の基準位置X
refを関節空間(articular space)の基準角度q
refに変換することとなり、これらの基準を低レベル位置コントローラーに渡すこととなり、低レベル位置コントローラーは、それぞれのジョイントにおいて独立して動作する。
図3に示されているように、特異点防止ブロックSAは、ロボット5が特異な構成に到達することを防止するために含まれており、特異な構成では、(ヤコビアン行列の特異点に起因して)補間ユニット17によって、または、(少なくとも1つのジョイントの速度制限の違反に起因して)相対的な安全コントローラーによって、エラーが、確実に発生することとなる。
【0078】
プラント1の動作のいくつかの態様は、下記に説明されている本発明の第2の態様を参照して、より詳細に説明されることとなる。
【0079】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、プラント1(とりわけ、ロボット化されたデバイス3)は、本発明の第2の態様に言及される方法を実装するように構成されている。
【0080】
本発明の第2の態様によれば、クローズドのロボット化されたシステム3(上記のクローズドシステムの定義を参照)を制御するための方法が提供され、クローズドのロボット化されたシステム3は、本発明の第1の態様の文脈において説明されているロボット化されたデバイス3と同じ機能を果たし、同じコンポーネントを含む。より正確には、ロボット化されたデバイス3は、本発明の第1の態様に従って説明されたものと同様である。とりわけ、ロボット化されたデバイス3は、本発明の第1の態様のプラント1の一部である。
【0081】
本方法は、学習ステップであって、学習ステップの間に、オペレーターは、力/トルクセンサー10を含む駆動アッセンブリ7によってロボットマニピュレーター5のエンドエフェクター4を移動させ、エンドエフェクター4によって行われた移動が、ストレージユニット8の中に記憶される、学習ステップと、再現ステップであって、学習ステップの後に行われ、再現ステップの間に、制御システム6は、ストレージユニット8の中に記憶された(とりわけ、学習ステップの間に行われた)移動をエンドエフェクター4が実質的に繰り返すように、ロボットマニピュレーター5を動作させる、再現ステップとを含む。とりわけ、学習ステップの間に、オペレーターは、ハンドリングデバイス9を把持する。
【0082】
学習ステップの間に、オペレーターが、ハンドリングデバイス9に力およびトルクFcを働かせ、センサー10が、ハンドリングデバイス9に印加される力およびトルクFextを検出し、処理システム11が、センサー10によって検出されるデータに応じて、デカルト空間におけるロボットマニピュレーター5のための移動のインディケーションを取得するアドミッタンス制御ACを実施する。とりわけ、処理システム11は、アドミッタンス制御ACに続いて、デカルト空間における移動のインディケーションXrefを、ロボット化されたシステム3の軌道補間ユニット17に送達し、補間を通して所望の軌道を発生させるようになっている。このように、逆運動学に従ったジョイントの空間におけるジョイントの位置および/または速度を必ずしも強制して上書きする必要なしに(その代わりに、ダイレクトティーチング方法に関係付けられる公知技術の解決策において、通常はそうであるように)、クローズドシステムの中にも存在する機能を使用することが可能である。
【0083】
いくつかの研究は、意図的な人間の入力は、0から5Hzの範囲にある支配的な周波数を有しているが、事故的な衝撃は、通常、高い周波数(10Hzよりも大きい)におけるピークによって表されるということを示している。好ましくは、軌道補間の周波数は、125Hz以上であり、とりわけ、250Hz以上である。これは、事故的な衝撃に関する周波数と比較して極端に低いレイテンシーによって、学習ステップの間にロボットマニピュレーター5の移動速度を増加させることを可能にする。
【0084】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、本方法は、ロボットマニピュレーター5のためのダイナミックターゲットリファレンスシステム(dynamic target reference system)(DTRF-それは、通常はクローズドシステムにおいても利用可能な機能である)を生成させるさらなるステップと、ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の初期基準位置としてエンドエフェクター4の位置を設定するさらなるステップとを含む。
【0085】
とりわけ、ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)という用語は、マニピュレーターがデカルト座標において従わなければならない少なくとも1つの自由度を有する時間的に変化するリファレンスシステムを指す。
【0086】
とりわけ、本方法は、エンドエフェクター4の位置をダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の位置と同期させるさらなるステップを含む。
【0087】
好ましくは、そのうえ、本方法は、アドミッタンス制御ACの間に処理された移動のインディケーションXrefに基づいて、ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の位置を変化させるさらなるステップを含む。
【0088】
いくつかの非限定的なケースでは、ロボット化されたシステム3の補間ユニット17は、デカルト空間における移動のインディケーションXrefを、ジョイント空間における移動のインディケーションqrefに変換する。
【0089】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、本方法は、アドミッタンス制御ACに続いて、しかし、ユニット17によって実施される補間の前に、ロボットマニピュレーター5の望ましくないおよび/または潜在的に危険な挙動を回避するように、デカルト空間における移動のインディケーションXrefに対して特異点制御SAを実施し、特異点防止インディケーションX*refを決定するさらなるステップを含む。
【0090】
図3の非限定的な実施形態では、本方法は、ロボットマニピュレーター5が所属する運動学的ファミリーCFに基づいて、特異点の制御SAを変化させるさらなるステップを含む。
【0091】
とりわけ、特異点制御は、たとえば、それに限定されないが、以下のタイプの「特異点回避」アルゴリズムを指す。
- たとえば、「Resolved Motion Rate Control of Manipulators and Human Prostheses」、D. E. Whitney、IEEE Transactions on Man-Machine Systems (TMMS)、1969に説明されている減衰最小二乗ヤコビアン(DLS: Damped-Least Squares Jacobian)、
- たとえば、「Using Genetic Algorithms for singularity Avoidance in Positioning Tasks of a Robotic Arm」、M. Nasrら、Information Models and Analyses、2018に説明されている遺伝的アルゴリズム、
- たとえば、「Prediction-Error Negativity to assess Singularity Avoidance Strategies in physical Human-Robot Collaboration」、S. Aldiniら、IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA)、2021に説明されている指数関数的DLS(Exponentially DLS)、
- たとえば、「Control Barrier Functions for Singularity Avoidance in Passivity-Based Manipulator Control」、V. Kurtzら、IEEE Conference on Decision and Control (CDC)、2021に説明されている制御バリア関数。
【0092】
いくつかの非限定的なケースでは、運動学的ファミリーCFは、学習ステップを実施する前に、オペレーターによって選択される。
【0093】
「運動学的ファミリーCF」という用語は、以下を含む類似した運動学的特質を有する1セットのマニピュレーターを意味する。
- ファミリーに所属するマニピュレーター(たとえば、同じタイプおよび/または数のジョイントを備えたマニピュレーター)を特徴付ける特異点の間に類似性が存在すること、および/または、
- ファミリーに所属するマニピュレーターに適用される逆運動学的問題の解決策が存在しないまたは多重であるという問題の発生における類似性。
【0094】
運動学的ファミリーの非限定的な例は、球形の手首を備えた6自由度マニピュレーター、オフセット手首を備えた6自由度マニピュレーター、および、球形の手首を備えた冗長なマニピュレーター(7自由度以上)である。
【0095】
好ましくは、それに限定されないが、運動学的ファミリーCFの幅は、生産または使用されるマニピュレーターのタイプにも依存して、実験的に定義される。
【0096】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、学習ステップの間に、処理システム11は、センサー10(より正確には、センサー10の感応パーツ)の上に装着されている(より正確には、センサー10によって支持されている)もののロード(とりわけ、ハンドリングデバイス)から結果として生じる固定成分および可変成分に応じて、非接触力およびトルクFncを推定し、また、検出された力およびトルクFextならびに推定された非接触力およびトルクFncに応じて、(ハンドリングデバイス9に対してオペレーターによって印加される)推定された力およびトルクF*cを取得する。これらのケースでは、処理システム11は、処理システム11によって推定および提供される力およびトルクF*cに応じて、ロボットマニピュレーター5のための移動のインディケーションXrefを提供する。とりわけ、力およびトルクF*cは、検出された力およびトルクFextから力および非接触トルクFncを差し引くことによって推定される。
【0097】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、ロードから結果として生じる固定成分および可変成分は、重力、慣性力、およびコリオリ力を含む。とりわけ、可変成分は、センサー10の上に(より正確には、センサー10の感応パーツの上に)装着されている(より正確には、センサー10によって支持されている)ものの角速度ω、角加速度α、直線加速度a、および慣性(慣性センサー)に応じて推定される。
【0098】
人間-ロボットの相互作用の間に、システムを安全にするために、および、オペレーターの肉体的な労力を最小化するために、安定性が確保されなければならない。アドミッタンス制御は、この目的のために使用され、相対パラメーターの選択が最も重要である。ここで提案されているものは、アドミッタンスで制御されるロボットの公称挙動からの偏差を識別することを可能にし、その受動性を保証するようにコントローラーのパラメーターを適合させる。
【0099】
パラメーターの選択は、ロボットがオペレーターと相互作用する方式に影響を及ぼす。たとえば、細かい移動を動作が必要とする場合には、慣性および減衰は、ロボットをより反応性の低いものにするために、および、より滑らかな移動を取得するために、高い値を有することとなる。逆に、高い速度および加速度を動作が必要とする場合には、パラメーターは、より低い値を有することとなる。加えて、ロボットとの相互作用の間にオペレーターが働かせるリジッド性も、システムの挙動に影響を及ぼす。とりわけ、オペレーターがリジッドであればあるほど、式(B)によって定義される理想的な挙動から離れるようにシステムが移動し、振動して相互作用を困難で安全でないものにする。この理由のために、理想的な挙動からの偏差が、最初に識別され、その後にキャンセルされ(または、低減され)、システムの安定性を復元しなければならない。
【0100】
好ましくは、アドミッタンス制御ACのパラメーター適合ユニットPAにおいて、アドミッタンス制御のパラメーターは、オンラインで、すなわち、オペレーターとロボットとの間の相互作用の間に調節される。最初に、公称挙動からのロボットの偏差を認識するために、ヒューリスティックが定義され、その後に、オペレーターの肉体的な労力を過度に増加させることなく、公称条件の復元を保証するパラメーターの適合のための方法が提示される。アドミッタンスで制御されるロボットの受動性、ひいては、安定性が保証される。仮想エネルギータンクの使用を想定する、より保守的でない解決策が提案され、仮想エネルギータンクは、システムによって消散されたエネルギーを、後で再使用することができるように貯蔵する。
【0101】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、以下の不等式が検証されないときに、慣性および減衰パラメーターが変化される(適合される)。
【0102】
【0103】
ここで、ε>0は、実験的に導出された最小閾値である。上記にすでに示されているように、MdおよびDdは、所望の慣性および減衰行列であり、
【0104】
【0105】
は、デカルト速度であり、
【0106】
【0107】
は、デカルト加速度である。
【0108】
アドミッタンス制御の動的挙動を考慮すると、ロボットの挙動は、不等式(14)が有効であるときに、「公称挙動」によって定義される。
【0109】
この式を使用して、公称挙動からの偏差の識別のためにヒューリスティックを定義することが可能であり、それは、たとえば、ロボットとの相互作用の間にオペレーターが自分の腕を硬直させるときに、見出されることが可能である。
【0110】
この偏差が識別されると、アドミッタンス制御のパラメーターは適合されなければならない。エネルギータンクの使用を通して、システムを公称条件に戻すために必要な慣性の増加を定義し、その受動性を保証することが可能である。
【0111】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが(学習ステップの間に)、(制御システム16の)アドミッタンス制御は、検出された力およびトルクFsに応じて変化される(適合される)。とりわけ、アドミッタンス制御のパラメーターが変化される(適合される)。より具体的には、アドミッタンス制御の慣性および減衰パラメーターが変化される(適合される)。
【0112】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、(制御システム16の)アドミッタンス制御は、アドミッタンス制御のパラメーターを修正する(適合する)ことによって変化される(適合される)。より具体的には、アドミッタンス制御の慣性および減衰パラメーターは変化される(適合される)。
【0113】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、減衰は、慣性と減衰との比を実質的に一定に維持するように変化される。これは、システムのダイナミクスを変動の前のものと同様に維持することを可能にし、それは、オペレーターにとってより直感的である。
【0114】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、学習ステップの間に、オペレーターは、エンドエフェクター4の少なくとも1つの動作パラメーターを経時的に調節し、適用された動作パラメーター(および、その経時的な変化)が、ストレージユニット8によって実質的に記憶される。これらのケースでは、再現ステップの間に、制御システム6が、噴霧ヘッド4の活性化を調節し、学習ステップの間に記憶された動作パラメーター(および、その経時的な変化)が実質的に繰り返されるようになっている。有利には、しかし必ずしも必要ではないが、再現ステップの間に、制御システム6は、エンドエフェクター4の活性化を調節し、学習ステップの間に記憶された動作パラメーター(および、その経時的な変化)が、とりわけ、エンドエフェクター4によって行われた移動と協調された様式で、実質的に繰り返されるようになっている。
【0115】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、動作パラメーターは、上記に説明されているように選ばれる。
【0116】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、学習ステップの間に、オペレーターが、物品2を移動させ(とりわけ、物品2の配向を経時的に調節する)、そのように取得される位置(とりわけ、取得される配向およびその経時的な変化)が、ストレージユニットによって記憶される。これらのケースでは、再現ステップの間に、制御システム6が、物品2の位置(配向)を調節し、学習ステップの間に記憶された物品2の位置(配向)(および、その経時的な変化)が、とりわけ、エンドエフェクター4によって行われた移動と協調された様式で、実質的に繰り返されるようになっている。
【0117】
いくつかの非限定的な実施形態によれば、学習ステップの間に、駆動アッセンブリ7が、移動のインディケーションを制御システム6に提供し、そして、制御システム6は、駆動アッセンブリ7から受信されたインディケーションに基づいて、ロボットマニピュレーター5を活性化させる。
【0118】
有利には、しかし必ずしも必要ではないが、ハンドリングデバイス9は、少なくとも1つのグリップ12を含み、少なくとも1つのグリップ12は、学習ステップの間に、噴霧ヘッド4を移動させるためにオペレーターによって把持される。
【0119】
とりわけ、ハンドリングデバイス9は、少なくとも2つのグリップ12を含み、少なくとも2つのグリップ12は、学習ステップの間に、噴霧ヘッド4を移動させるようにオペレーターによって把持され、とりわけ、ハンドリングデバイスの接続エレメントによって、一体的な様式で互いに接続されている。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、物品2は、セラミック物品であり、とりわけ、洗面台および/またはシンクおよび/またはコンソールおよび/またはシャワートレイなどのような、衛生物品である。
【0121】
本発明のさらなる態様によれば、既存のクローズドのロボット化されたシステムの制御をプログラミングするためのキットが提供される。キットは、
- ロボットマニピュレーター5の上に据え付けられる(および、除去される)ことが可能であり、ハンドリングデバイスを含み、使用時に、オペレーターが、ハンドリングデバイスに接触力およびトルクFcを働かせる駆動アッセンブリ7と、
- ロボット化されたシステム3のエンドエフェクター4に接続される(および、除去される)ことが可能であり、ハンドリングデバイス9に印加される力およびトルクFextを検出するように設計されているセンサー10と、
- センサー10によって検出されるデータに応じて、および、アドミッタンス制御に続いて、ロボットマニピュレーター5のためのデカルト移動インディケーションを提供するように設計されている処理システム11とを含む。とりわけ、キットは、既存のクローズドのロボット化されたシステム3の上に据え付けられ、以前に説明された方法を実施するように構成されている。
【0122】
上記に説明された発明は、実装形態の非常に正確な例を特に参照しているが、それは、実装形態のその例に限定されない。その理由は、たとえば、ロボットマニピュレーター5の異なる幾何学形状、エンドエフェクターの異なるタイプ、方法のステップの異なる細分化など、添付の特許請求の範囲によってカバーされるすべてのそれらの変形、修正、または簡単化が、その範囲の中に入るからである。
【0123】
上記に説明されているプラントおよび方法は、多数の利点を有している。
【0124】
第1に、そのようなアーキテクチャーは、ロボットマニピュレーター5が、標準的な(クローズド)制御システムの機能のみを活用することによって、かつ、強制的にオープンなコントローラーインターフェースを必要とすることなく、(力/トルクセンサーおよびアドミッタンス制御を通して)人間のオペレーターによって課される軌道に従うということを確実にする。
【0125】
加えて、これは、システムの安定性および人間のオペレーターの安全を確保しながら、ティーチングステップの間に高い速度を実現することを可能にする。これは、急速に進化する製品に対処するためのより大きな生産柔軟性を企業が実現することを助けることを可能にする。
【0126】
最後に、一般的なクローズドのロボット化されたシステムの簡単な統合を、上記に示されているキットを使用して現実化することが可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 プラント
2 物品
3 クローズドのロボット化されたシステム、ロボット化されたデバイス
4 エンドエフェクター、噴霧ヘッド
4' サポート
5 ロボットマニピュレーター、ロボット
6 制御システム
7 駆動アッセンブリ
8 ストレージユニット
9 ハンドリングデバイス
10 センサー
11 処理システム
12 グリップ
13 デバイス
13' プラットフォーム
14 処理ユニット
15 補償ユニット
16 制御システム
17 補間ユニット、軌道補間ユニット
18 位置制御
19 特異点防止ユニット
A 回転軸線
AC アドミッタンス制御
a 直線加速度
CF 運動学的ファミリー
D 減衰パラメーター
Fnc 非接触力およびトルク、力および非接触トルク
Fc 力およびトルク、接触力およびトルク
Fext 力およびトルク
F*c 力およびトルク
M 慣性パラメーター
PA パラメーター適合ユニット
qref 関節空間の基準角度、ジョイント空間における移動のインディケーション
SA 特異点防止ブロック、特異点制御
Xref 基準位置、デカルト空間における移動のインディケーション、デカルト空間の基準位置
X*ref 特異点防止インディケーション
α 角加速度
ω 角速度
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローズドのロボット化されたシステム(3)を制御するための方法であって、
- 学習ステップであって、前記学習ステップの間に、オペレーターは、力/トルクセンサー(10)を含む駆動アッセンブリ(7)によって、前記ロボット化されたシステム(3)のロボットマニピュレーターのエンドエフェクター(4)を移動させ、前記エンドエフェクター(4)によって行われた移動は、前記ロボット化されたシステム(3)のストレージユニット(8)の中に記憶される、学習ステップと、
- 再現ステップであって、前記学習ステップの後に行われ、前記再現ステップの間に、制御システム(6)は、前記ストレージユニット(8)の中に記憶された前記移動を前記エンドエフェクター(4)が実質的に繰り返すように、前記ロボットマニピュレーターを動作させる、再現ステップと
を含み、
前記学習ステップの間に、前記オペレーターは、力および/またはトルク(F
c)を前記駆動アッセンブリ(7)に働かせ、前記センサー(10)は、印加された力および/またはトルク(F
ext)を検出し、処理システム(11)は、前記センサー(10)によって検出されるデータに応じて、デカルト空間における前記ロボットマニピュレーターのための移動のインディケーション(X
ref、X*
ref)を取得するアドミッタンス制御を実施し、
前記処理システム(11)は、前記アドミッタンス制御に続いて、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(Xref、X*ref)を、前記ロボット化されたシステム(3)の軌道補間ユニットに送達し、補間を通して前記エンドエフェクター(4)の所望の軌道を発生させるようになっており、
前記方法は、
- 前記ロボットマニピュレーターのためのダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)、すなわち、少なくとも前記エンドエフェクター(4)がデカルト座標において従わなければならない自由度における時間的に変化するリファレンスシステムを定義するさらなるステップと、
- 前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の初期基準位置として前記エンドエフェクター(4)の位置を設定するさらなるステップと、
- 前記エンドエフェクター(4)の前記位置を前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の位置と同期させるさらなるステップと、
- 前記アドミッタンス制御の間に処理された移動の前記インディケーション(X
ref、X*
ref)に基づいて、前記ダイナミックターゲットリファレンスシステム(DTRF)の前記位置を変化させるさらなるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ロボット化されたシステム(3)の前記補間ユニットは、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(X
ref、X*
ref)を、ジョイント空間における移動のインディケーション(q
ref)に変換する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アドミッタンス制御に続いて、しかし、前記補間の前に、前記ロボットマニピュレーターの望ましくないおよび/または潜在的に危険な挙動を回避するように、前記デカルト空間における移動の前記インディケーション(Xref、X*ref)に対して特異点制御を実施す
る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットマニピュレーターが所属する運動学的ファミリーに基づいて、前記特異点制御を変化させるさらなるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記運動学的ファミリーは、前記学習ステップを実施する前に、前記オペレーターによって選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記学習ステップの間に、前記処理システム(11)は、前記センサー(10)の上に装着されているものの(とりわけ、ハンドリングデバイス(9)の)ロードから結果として生じる固定成分および可変成分に応じて、非接触力およびトルク(F
nc)を推定し、また、検出された前記力およびトルク(F
s)ならびに推定された前記非接触力およびトルク(F
nc)に応じて、(とりわけ、前記オペレーターによって前記ハンドリングデバイス(9)に印加される)推定された力およびトルク(F*
c)を取得し、前記処理システム(11)は、前記処理システム(11)によって提供される推定された前記力およびトルク(F*
c)に応じて、前記ロボットマニピュレーターのための移動のインディケーション(Xref、X*ref)を提供し、とりわけ、推定された前記力およびトルク(F*
c)は、測定された前記力(F
ext)から前記非接触力およびトルク(F
c)を差し引くことによって推定される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項7】
前記処理システム(11)は、処理ユニット(14)を含み、前記処理ユニット(14)は、カルマンフィルターを含み、とりわけ、カルマンフィルターである、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
前記学習ステップの間に、前記アドミッタンス制御は、検出された前記力およびトルク(F
s)に応じて変化され、とりわけ、前記アドミッタンス制御の慣性および減衰のパラメーターは、検出された前記力およびトルク(F
s)に応じて変化される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項9】
前記アドミッタンス制御は、前記オペレーターによる前記エンドエフェクター(4)の移動の間に、オンラインで変化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記駆動アッセンブリ(7)は、コマンドを含み、前記コマンドは、前記エンドエフェクター(4)の少なくとも1つの動作パラメーターを経時的に調節するために、前記オペレーターによって動作され、前記ストレージユニット(8)は、前記動作パラメーターの前記調節を記憶し、前記制御システム(6)は、ツールの活性化を調節し、前記動作パラメーターの前記調節が、前記ロボットマニピュレーターによって行われる移動と協調された様式で実質的に繰り返されるようになっている、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項11】
クローズドのロボット化されたシステム(3)を備える処理プラント(1)であって、
ロボット化されたシステム(3)であって、順次、エンドエフェクター(4)を含み、前記エンドエフェクター(4)は、生産されている物品を処理し、または生産されている物品と相互作用するように構成されている、ロボット化されたシステム(3)と、
ロボットマニピュレーターであって、少なくとも3自由度で可動であり、前記ロボットマニピュレーターの上に前記エンドエフェクター(4)が装着されている、ロボットマニピュレーターと、
ストレージユニット(8)を含み、前記空間において前記エンドエフェクター(4)を移動させるように前記ロボットマニピュレーターの移動を制御するように構成されている制御システム(6)と、
移動のインディケーション(Xref、X*ref)を前記ロボットマニピュレーターに伝達するように、オペレーターによって動作されるように構成されており、ハンドリングデバイス(9)を含み、使用時に、前記オペレーターが、前記ハンドリングデバイス(9)に力およびトルク(Fc)を働かせる駆動アッセンブリ(7)と、
前記エンドエフェクター(4)に接続されており、前記ハンドリングデバイス(9)に印加される力およびトルク(Fs)を検出するように設計されているセンサー(10)と、
前記センサー(10)によって検出される前記データに応じて、および、アドミッタンス制御に続いて、前記ロボットマニピュレーター(5)のためのデカルト移動インディケーション(Xref、X*ref)を提供するように設計されている処理システム(11)と
を含み、
前記ストレージユニット(8)は、前記エンドエフェクター(4)が前記駆動アッセンブリ(7)によって前記オペレーターによって移動される間に、前記ロボットマニピュレーターによって行われる移動を記憶するように設計されており、
前記制御システム(6)は、前記ストレージユニット(8)によって記憶された前記移動に基づいて、前記エンドエフェクター(4)の前記移動を制御するように設計されており、
前記プラント(1)は、請求項
1に記載の方法を実施するように構成されている、処理プラント(1)。
【請求項12】
セラミック物品(2)の表面の少なくとも一部をカバーするように物質のジェットを放出するように構成されている噴霧ヘッドを含む、請求項11に記載のプラント(1)。
【請求項13】
クローズドのロボット化されたシステム(3)の制御をプログラミングするためのキットであって、
- ロボットマニピュレーターの上に据え付けられることが可能であり、ハンドリングデバイス(9)を含み、使用時に、前記オペレーターが、前記ハンドリングデバイス(9)に力およびトルク(Fc)を働かせる駆動アッセンブリ(7)と、
- 前記ロボット化されたシステム(3)のエンドエフェクター(4)に接続されることが可能であり、前記ハンドリングデバイス(9)に印加される力およびトルク(F
ext)を検出するように設計されているセンサー(10)と、
- 前記センサー(10)によって検出される前記データに応じて、および、アドミッタンス制御に続いて、前記ロボットマニピュレーター(5)のためのデカルト移動インディケーション(Xref、X*ref)を提供するように設計されている処理システム(11)と
を含み、
クローズドのロボット化されたシステム(3)の上に据え付けられており、請求項
1に記載の方法を実施するように構成されている、キット。
【国際調査報告】