(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】透明な油中水型唇用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240905BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240905BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/06
A61Q1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519737
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 KR2022014106
(87)【国際公開番号】W WO2023054972
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129458
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ミ・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ・ファン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒ・カン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB332
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC372
4C083AC402
4C083AC442
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD262
4C083BB01
4C083BB21
4C083CC13
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、組成物の全体重量に対して精製水2~10重量%、グリセリン28~55重量%及び油相を含み、油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む透明な油中水型唇用化粧料組成物に関するもので、本発明の組成物は、外観が透明なので製品の審美的効果を付与すると同時に、唇に塗布するとき、光沢を付与することができ、水分供給を通じた保湿及び着色効果による持続力を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全体重量に対して精製水2~10重量%、グリセリン28~55重量%及び油相を含み、
油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含むことを特徴とする、透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項2】
前記油相の含量は、組成物の全体重量に対して30~70重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項3】
オクチルドデカノールの含量は、油相の全体重量に対して50重量%~90重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項4】
前記油相は、オクチルドデカノール以外にオイル、油相増粘剤、エモリエント及び乳化剤からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項5】
前記乳化剤は、組成物の全体重量に対して、シリコーン系乳化剤2~4重量%及びステアレート系乳化剤0.1~1重量%を含むことを特徴とする、請求項4に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項6】
色素0.1~1重量%を追加で含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項7】
組成物の剤型がリップグロスの形態であることを特徴とする、請求項1に記載の透明な油中水型唇用化粧料組成物。
【請求項8】
油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む油相を製造する段階;及び
油相に組成物の全体重量に対して、精製水2~10重量%及びグリセリン28~55重量%を混合する段階を含むことを特徴とする、透明な油中水型唇用組成物の製造方法。
【請求項9】
油相は、オイル、油相増粘剤、エモリエント及び乳化剤からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項8に記載の透明な油中水型唇用組成物の製造方法。
【請求項10】
前記乳化剤は、組成物全体重量に対して、シリコーン系乳化剤2~4重量%及びステアレート系乳化剤0.1~1重量%を含むことを特徴とする、請求項9に記載の透明な油中水型唇用組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な油中水型唇用化粧料組成物に関し、具体的に、精製水、グリセリン及びオクチルドデカノールを含む化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品を開発するにおいて、化粧料の質感や機能だけでなく審美性も非常に重要な要素のうち一つである。化粧品の美的要素を差別化するための例として外観が透明な化粧料がある。透明な外観は、製品に清くてきれいなイメージ又は高級で美しいイメージをも付与し、製品が有している固有の属性を引き立たせもする。
【0003】
一方、唇用化粧料を開発するにおいて、W/O(油中水型)乳化技術は、油相に高屈折率のオイルを用いて光沢感を与え、水分供給及びこれによる保湿感を付与することができるので、唇用化粧料、特に、リップグロスエマルジョンに多く用いられる。オイル中のオクチルドデカノールは、オイル中で1.453という高い屈折率を有するので、化粧料の光沢を高める原料として用いられることができ、類似した屈折率を有する他のオイルに比べてべたつきが少なく、増粘剤であるエチルセルロースの溶剤として適合し得る。
【0004】
しかし、一般的に製造されるW/Oリップグロスエマルジョンは、水相が油相内に小さい粒子で分散されて白濁現象が現われるので透明な外観を具現しにくい。
【0005】
透明な外観のW/Oエマルジョンを具現するための従来の技術としては、シリコーンオイルを用いて油相と水相の屈折率をマッチングする方法がある。しかし、シリコーンオイルは、水質汚染及び皮膚に有害であるという認識が高まるにつれて消費者の否定的な認識が高まっており、特有のシルキーで軽い使用感により光沢感のあるリップグロス剤型に用いるには不適合である。
【0006】
また他の方法として、マイクロエマルジョン方法が挙げられる。この方法を利用すると、乳化粒子が100nm以下で微細に割れて光が粒子により散乱しないので透明な外観を具現し得るが、高圧乳化機という特殊な装備を利用しなければならず、多量の乳化剤を用いて皮膚刺激を誘発し得るという短所がある。
【0007】
したがって、オクチルドデカノールを含んで光沢感が優秀であると共にシリコーンオイルと高圧乳化装備を使用せずに透明な外観を具現する油中水型唇用化粧料を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、外観が透明な油中水型唇用組成物を提供しつつ、唇の皮膚に向上した水分感と光沢感を付与し、着色持続力を示す組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、オクチルドデカノールを油相中に相当量で配合して精製水の含量を低めると共にグリセリン含量を高めて透明性を確保し得ることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
そこで、本発明は、組成物の全体重量に対して精製水2~10重量%、グリセリン28~55重量%及び油相を含み、油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む透明な油中水型唇用化粧料組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、流動性を有するリップグロス形態である透明な油中水型唇用化粧料組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む油相を製造する段階;及び油相に組成物の全体重量に対して精製水2~10重量%、及びグリセリン28~55重量%を混合する段階を含む透明な油中水型唇用組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明による組成物は、外観が透明なので製品の審美的効果を付与すると同時に唇に塗布するとき光沢を付与することができ、長期間保管しても剤型安定性に優れ、水分供給を通じた保湿及び着色効果による持続力を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実験例1によって4週経過した実施例1~4のサンプルの外観写真を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の実験例1によって4週経過した比較例1~9のサンプルの外観写真を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では添付した図面を参照して本発明を説明する。
【0016】
一方、本願で開示するそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用され得る。すなわち、本願で開示する多様な要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述する具体的な敍述によって本発明の範疇が制限されるものではない。
【0017】
ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0018】
本発明は、透明な油中水型唇用化粧料組成物であって、精製水及びグリセリンを含むと共に油相中のオクチルドデカノールの重量比が50重量%以上を含むことを特徴とする。
【0019】
具体的に、本発明は、全体組成物の重量に対して精製水2~10重量%、グリセリン28~55重量%及び油相を含み、油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む透明な油中水型唇用化粧料組成物を提供する。
【0020】
本発明において「透明」は、入射する光の一部又は全部を透過することを意味し、半透明のものも含む概念であって、当業者によって通常的に理解される意味と同一の意味で解釈され得る。より具体的に、「透明」は、透明容器に本発明の組成物を配置し、透明容器の断面よりサイズが小さい物質を容器に入れたときに該当物質が確認可能なことを意味する。
【0021】
本発明の組成物は、乳化剤形であっても外観が透明であるという特徴があり、唇に塗布したとき、光沢と水分供給を通じた保湿を付与することができ、唇の角質層に着色して色相を維持し得る。
【0022】
油相の含量は、組成物の全体重量に対して30~70重量%であってもよい。好ましくは、35~65重量%又は37~63重量%であってもよい。本発明は、油中水型化粧料組成物であって、油相を多量含有して形成され得る。オクチルドデカノールの含量は、前記油相を基準として定められており、油相成分うちオクチルドデカノールが50%以上を占めたとき、グリセリンと水の含量を調節して透明感を示すことができる。
【0023】
オクチルドデカノールの含量は、油相の全体重量に対して50重量%以上であってもよい。好ましくは、50重量%~90重量%であってもよく、より好ましくは、53~90重量%、50~85重量%又は53~85重量%であってもよい。このような範囲を有する場合、水とグリセリンの含量を調節して透明な形態を容易に示すことができ、油相の全体重量に対して50重量%未満である場合、透明性が低下し得る。
【0024】
本発明の一実施様態で、オクチルドデカノールの含量は、全体組成物の重量に対して20~50重量%であってもよい。好ましくは、25~50重量%又は25~45重量%であってもよい。
【0025】
本発明で精製水の含量は、組成物の全体重量に対して2重量%~10重量%であってもよい。好ましくは、2.5~10重量%、2~9.5重量%又は2.5~9.5重量%であってもよく、最も好ましくは、3~9重量%であってもよい。精製水の含量が2重量%未満である場合、染料及び塩を溶解させるのに制限があり製造がなされないか、唇用化粧料組成物が備えていなければならない本来機能である色相を付与する役目を喪失することがある。精製水の含量が10重量%を超過する場合、白濁が生じて透明な外観を具現しにくくなる。
【0026】
本発明で、グリセリンの含量は、全体組成物の重量に対して28~55重量%であってもよい。好ましくは、28~53重量%又は30~50重量%であってもよく、最も好ましくは、35~45重量%であってもよい。グリセリンの含量が28重量%未満である場合、透明性が低下するか水分供給力が低下し、乳化による増粘力が消えて密着感が低下し得、55重量%を超過する場合は、乳化がなされないか安定性が良くないため製品化が難しい。
【0027】
本発明の油相は、オクチルドデカノール以外にオイル、油相増粘剤、エモリエント及び乳化剤からなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに制限されず、当業界で油相として用いられる全ての成分を制限なしに使用可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施様態で、組成物の安定性を高めるために、油相は、乳化剤及び油相増粘剤を含むことができる。
【0029】
本発明の一実施様態で、オイルは、その種類が特別に限定されるものではなく、化粧料組成物に用いられる通常的なオイルを用いることができ、エステル系オイル、炭化水素系オイル、植物性オイル及びシリコーンオイルからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0030】
前記エステル系オイルとしては、ジイソステアリルマレート、セチルエチルヘキサノエート、イソセチルエチルヘキサノエート、イソセチルミリステート、イソプロピルミリステート、ネオペンチルグリコールジカプレート、ヘキシルラウレート、トリエチルヘキサノイン、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、エチルヘキシルパルミテート、イソノニルイソノナノエートなどを例示することができ、前記炭化水素系オイルとしては、流動パラフィン、ワセリン、イソパラフィン類などの石油系オイル、水添ポリデセン、合成スクアラン、ポリブテンなどの合成系オイル、植物性スクアレンなどの植物系オイルを例示することができ、前記植物性オイルとしては、オリーブオイル、メドウフォームオイル、ローズヒップオイル、アボカドオイル、椿オイル、マカダミアナッツオイル、ヒマシ油、ホホバオイルなどを例示することができ、前記シリコーンオイルとしては、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコンなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
前記オクチルドデカノール以外にオイルの含量は、組成物の全体重量に対して0.1~30重量%であってもよい。好ましくは、0.5~15重量%又は1~13重量%であってもよい。
【0032】
本発明の一実施様態で、本発明の組成物は、シリコーンオイルを実質的に含まなくてもよい。「実質的に含まない」とは、組成物の全体重量に対して0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.001重量%未満又は0.00001重量%未満であることを意味することができる。
【0033】
本発明の一実施様態で、乳化剤は、シリコーン系乳化剤、ステアレート系乳化剤及びソルビタン系乳化剤から選択される1種以上を含むことができるが、これに制限されない。
【0034】
前記シリコーン系乳化剤は、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG-10ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンからなる群より選択される1種以上を含むことができ、
【0035】
前記ソルビタン系乳化剤は、ソルビタンオリベート(Sorbitan Olivate)、ソルビタンステアレート(Sorbitan Stearate)、ソルビタンイソステアレート(Sorbitan Isostearate)、ソルビタントリステアレート(Sorbitan Tristearate)、ソルビタンセスキステアレート(Sorbitan Sesquistearate)、ソルビタンパルミテート(Sorbitan Palmitate)、ソルビタンラウレート(Sorbitan Laurate)、ソルビタンオリエート(Sorbitan Oleate)、ソルビタンセスキオリエート(Sorbitan Sesquioleate)、ソルビタントリオリエート(Sorbitan Trioleate)、ソルビタンステアレート/ソルビチルラウレート(Sorbitan Stearate and Sorbityl Laurate)、ポリソルベート20(Polysorbate 20)、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80及びポリソルベート85からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これに制限されない。
【0036】
ステアレート系乳化剤は、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、グリセリルステアレート、PEG-100ステアレート、トリイソステアレート及びポリオキシエチレンジイソステアレートからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これに制限されない。
【0037】
シリコーン系乳化剤は、組成物の全体重量に対して2~4重量%で含まれ得る。好ましくは、2~3.5重量%又は2.5~3.5重量%で含まれ得る。
【0038】
ステアレート系乳化剤は、組成物の全体重量に対して0.1~1重量%で含まれ得る。好ましくは、0.1~0.8重量%又は0.3~0.8重量%で含まれ得る。
【0039】
ソルビタン系乳化剤は、組成物の全体重量に対して0.1~3重量%で含まれ得る。好ましくは、0.5~2重量%又は0.8~1.5重量%で含まれ得る。
【0040】
本発明の一実施様態で、前記乳化剤は、組成物の全体重量に対してシリコーン系乳化剤2~4重量%及びステアレート系乳化剤0.1~1重量%を含むことができる。
【0041】
本発明の一実施様態で、油相増粘剤は、メチルセルロース、エチルセルロース、シクロメチルセルロース、シクロエチルセルロースを含むセルロース系増粘剤;デキストリンパルミテート/エチルヘキサノエート、デキストリンパルミテート、ステアロイルイヌリンのようなデキストリン系又はイヌリン系の増粘剤、VP/エイコセンコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマーのようなビニルピロリドン系ポリマー、エチレンジアミン/ステアリルダイマージリノリエートコポリマー、エチレンジアミン/水添ダイマージリノリエートコポリマービス-ジ-C14-18アルキルアミドのようなコポリマー類、シリカシリレート又はシリカジメチルシリレートのようなフュームドシリカ(Fumed silica)類からなる群より選択され得、増粘後に白濁現象が生じない油相増粘剤を用いることが好ましく、その例として、エチルセルロースがあるが、これに制限されない。
【0042】
前記油相増粘剤は、組成物の全体重量に対して0.5~3重量%で含まれ得る。好ましくは、1~2.5重量%又は1.5~2.5重量%で含まれ得る。
【0043】
本発明の組成物は、粘度調節剤、着色剤、保湿剤などを追加的に含むことができ、その種類に制限されない。
【0044】
本発明の組成物は、色素0.1~1重量%を追加で含むことができる。色素は、着色効果を付与するために用いられるものであって、透明な外観を具現するために染料を用いることが好ましい。前記色素の範囲が0.1重量%未満である場合、着色効果が些細であり、1重量%を超過すると、溶解性の問題が発生し得る。
【0045】
本発明の一具体実施様態で、本発明の組成物は、全体組の成物重量に対してシリコーン系乳化剤2~4重量%、ステアレート系乳化剤0.1~1重量%、色素0.1~1重量%及び油相増粘剤0.5~3重量%を含むことができる。
【0046】
本発明の一実施様態で、本発明の組成物は、流動性があり、組成物の粘度が3000~20000cps範囲であってもよい。前記粘度は、100mlの安定性容器に内容物を首線まで満たした後、25℃の恒温槽に1日保管した後の組成物に対して測定したものであってもよい。また、粘度の測定方法は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield rheometer)でスピンドルNo.4を利用して30rpm/minで測定することであってもよい。
【0047】
本発明の組成物は、常温で流動性を示し得るので液体形態を維持することができ、多様な形態の容器に保管され得る。
【0048】
本発明の唇用化粧料組成物は、液状組成物であってもよく、リップグロス、リップリキッドの剤型で製造され得る。好ましくは、リップグロスの剤型で製造され得る。
【0049】
本発明の化粧料組成物は、通常的な使用方法によって使用でき、使用者の皮膚状態又は好みによってその使用回数を異ならせることができる。
【0050】
本発明による化粧料組成物に含まれる前記言及された成分それぞれは、好ましくは、各国の政府によって規定された「化粧品使用許可」と係わる規定に明示された最大使用量を超過しない範囲内で本発明の化粧料組成物に含め得る。
【0051】
また、本発明は、化粧品の製造のための化粧料組成物の用途に関するものであってもよい。本発明の化粧品の製造のための化粧料組成物は、上記した化粧料に対する記載をそのまま準用し得る。
【0052】
また、本発明は、本発明による透明な油中水型唇用組成物の製造方法を提供する。
【0053】
本発明の製造方法は、油相の全体重量に対して50重量%以上のオクチルドデカノールを含む油相を製造する段階;及び
油相に組成物の全体重量に対して精製水2~10重量%及びグリセリン28~55重量%を混合する段階;を含むことができる。
【0054】
前記製造方法において、油相は、オイル、油相増粘剤、エモリエント及び乳化剤からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0055】
前記製造方法において、前記乳化剤は、組成物の全体重量に対してシリコーン系乳化剤2~4重量%及びステアレート系乳化剤0.1~1重量%を含むことができる。
【0056】
前記製造方法において、精製水及びグリセリンの混合段階は、油相に精製水を混合した後、順にグリセリンを混合させる段階であってもよい。
【0057】
前記油相、オクチルドデカノール、精製水、グリセリン及び化粧料組成物は、上記した化粧料組成物に対する記載をそのまま準用し得る。
【0058】
以下、本発明を下記実験例によって詳しく説明する。ただし、下記実験例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実験例によって制限されるものではない。また、これら実験例は、本発明に対する理解を助けるためのものであって、どのような意味でも本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【実施例】
【0059】
製造例1.組成物の製造
【0060】
下記成分1~6を常温で1番アジミキサーで混合した後、90度に加温してアジミキサーで撹拌した。成分7及び9乃至10を40度で他の2番アジミキサーで混合した後に撹拌し、ここに成分8を投入した後アジミキサーで撹拌した。前記2個のアジミキサーを60度で安定化させた後、1番アジミキサー内の混合物に2番アジミキサー内の混合物を投入した後にホモミキサーで10分間撹拌し、28度まで冷却させた。これによって、下記表1及び2に示した組成を含む実施例1~4及び比較例1~9の組成物を製造した。
【0061】
【0062】
【0063】
実験例1.透明性、安定性及び密着度評価
【0064】
前記製造例1によって製造された実施例1~4及び比較例1~9の組成物に対して下記実験によって透明性、安定性及び密着度を評価した。
【0065】
透明性は、組成物を製造した直後の肉眼観察結果によって評価し、安定性は、4週後常温分離有無によって評価した。密着程度は、20~30代女性10人にブラインドテストして品評した後の結果を総合した。
【0066】
【0067】
【0068】
◎:非常に良い
○:良い
△:普通
X:悪い
-:評価不可
【0069】
表3に示したように、オクチルドデカノール、水、グリセリンの含量が本発明の範囲内に入る実施例1~4は、全て透明性、安定性及び密着度において優秀であった。
【0070】
表4に示したように、精製水の含量がそれぞれ30重量%、30重量%及び20重量%である比較例1~3は、透明性が低下した。精製水の含量が1重量%である比較例6は、色素と塩がとけなくて油化物が製造されないため透明性及び密着度の評価が不可能であり、安定性も落ちた。オクチルドデカノールの全体油相含量に対して50重量%未満である比較例7は、透明性が低下すると同時に安定性が落ちた。比較例4、5及び8は、グリセリン含量がそれぞれ25重量%、10重量%、9重量%であり、これは水相含量が不十分であって乳化粒子が正しく形成されなくて安定性が落ち、密着度も下がることを確認することができる。また、比較例9は、グリセリン含量が60重量%であり、透明性と安定性が低下した。
【0071】
実験例2.保湿及び光沢評価
【0072】
前記製造例1によって製造された実施例4、比較例1及び8の組成物に対して水分供給による保湿及び光沢項目を評価した。
【0073】
水分供給による保湿項目は、皮膚水分含量測定機(Corneometer)を利用して測定し、塗布2時間以後に皮膚水分保有量が100%以上増加した場合、◎、30~100%増加した場合、○、0~30%増加した場合、△、減少した場合、Xで評価した。
【0074】
光沢項目は、黒紙に試料を0.3mmで塗布した後、glossmeterで測定(入射角:75度)して、光沢度が90以上である場合、◎、90未満70以上である場合、○、70未満50以上である場合、△で表記した。
【0075】
【0076】
【0077】
表5と6に示したように、実施例4の組成物は、皮膚水分保有量及び光沢を大きく向上させたが、比較例1及び8の組成物は、皮膚水分保有量の増加率が低く、比較例1は、光沢度が下がった。
【国際調査報告】