(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】アナログデジタル変換方法、アナログデジタル変換器、基地局
(51)【国際特許分類】
H03M 1/14 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H03M1/14 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519776
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2022083291
(87)【国際公開番号】W WO2023065599
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】202111233825.4
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516010548
【氏名又は名称】セインチップス テクノロジー カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】郭安強
(72)【発明者】
【氏名】楊尚争
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA15
5J022BA05
5J022CD03
5J022CF01
5J022CF02
5J022CF08
(57)【要約】
本開示は、アナログデジタル変換器に適用されるアナログデジタル変換方法を提供する。当該アナログデジタル変換方法は、任意の1つのクロック周期に対して、段間利得増幅器により、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅し、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器により、増幅された第1の残差をサンプリングするステップと、1段目サブアナログデジタル変換器によりアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶するステップと、1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するステップと、を含み、任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。本開示はアナログデジタル変換器と基地局をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログデジタル変換器に適用されるアナログデジタル変換方法であって、前記アナログデジタル変換器は、1段目サブアナログデジタル変換器と、複数のサンプリング容量と、段間利得増幅器と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器とを備え、前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器の1つに対応し、前記アナログデジタル変換方法は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、
前記段間利得増幅器により、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅し、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により、増幅された第1の残差をサンプリングするステップと、
前記1段目サブアナログデジタル変換器によりアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶するステップと、
前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するステップと、を含み、
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
アナログデジタル変換方法。
【請求項2】
前記アナログデジタル変換器は、コンパレータをさらに備え、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、
第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により量子化を行い、量子化信号を取得するステップと、
前記コンパレータにより、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を生成するステップと、をさらに含み、
第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の1番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
請求項1に記載のアナログデジタル変換方法。
【請求項3】
前記アナログデジタル変換器は、セレクタをさらに備え、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、
前記セレクタにより、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号をエンコーダに出力するステップをさらに含み、
第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の2番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
請求項1又は2に記載のアナログデジタル変換方法。
【請求項4】
前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するステップは、
前記エンコーダにより、前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号と、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号とに基づいて、前記デジタル信号を生成するステップを含む
請求項3に記載のアナログデジタル変換方法。
【請求項5】
複数の前記アナログデジタル変換チャネルの数はNであり、任意の1つのクロック周期に対して、n番目のアナログデジタル変換チャネルは第1のアナログデジタル変換チャネルとされ、m番目のアナログデジタル変換チャネルは第2のアナログデジタル変換チャネルとされ、
【数1】
請求項1又は2に記載のアナログデジタル変換方法。
【請求項6】
1段目サブアナログデジタル変換器と、複数のサンプリング容量と、段間利得増幅器と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器とを備えるアナログデジタル変換器であって、前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器の1つに対応し、前記アナログデジタル変換器は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、
前記段間利得増幅器は、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅するように構成され、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器は、増幅された第1の残差をサンプリングするように構成され、
前記1段目サブアナログデジタル変換器は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶するように構成され、
前記アナログデジタル変換器は、前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたエンコーダをさらに備え、
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
アナログデジタル変換器。
【請求項7】
任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルは、1段目スイッチ、2段目スイッチ、3段目スイッチを含み、前記1段目サブアナログデジタル変換器は、前記1段目スイッチを介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に接続され、前記段間利得増幅器は、前記2段目スイッチを介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に接続され、前記段間利得増幅器は、前記3段目スイッチを介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器に接続され、
任意の1つのクロック周期に対して、
第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオフであり、2段目スイッチ及び3段目スイッチがオンであり、前記段間利得増幅器が前記第1の残差を増幅し、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により、増幅された第1の残差をサンプリングし、
第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオンであり、2段目スイッチ及び3段目スイッチがオフであり、前記1段目サブアナログデジタル変換器がアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた前記第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶する
請求項6に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項8】
任意の1つのクロック周期は、リセット段階、増幅段階、保持段階を順次に含み、
リセット段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ、2段目スイッチがオフであり、前記段間利得増幅器がリセットを行い、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオンであり、2段目スイッチがオフであり、前記1段目サブアナログデジタル変換器がアナログ信号をサンプリングして量子化し、
増幅段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオフであり、2段目スイッチがオンであり、前記段間利得増幅器が前記第1の残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオンであり、2段目スイッチがオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器がアナログ信号をサンプリングして量子化し、
保持段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチがオフであり、2段目スイッチがオンであり、前記段間利得増幅器が前記第1の残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ、2段目スイッチがオフであり、前記第2の残差が第2のアナログデジタル変換チャネルの対応するサンプリング容量に保持される
請求項7に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項9】
前記アナログデジタル変換器は、コンパレータをさらに備え、
任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルには、第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、任意の1つのクロック周期に対して、
第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器は量子化を行い、量子化信号を取得し、
前記コンパレータは、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を生成するように構成され、
第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の1番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
請求項6~8のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項10】
任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルは、4段目スイッチを含み、前記アナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器は、前記4段目スイッチを介して前記コンパレータに接続され、任意の1つのクロック周期に対して、
第3のアナログデジタル変換チャネルの4段目スイッチをオンすることにより、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器に量子化を行わせて、前記量子化信号を取得し、前記コンパレータに、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を生成させる
請求項9に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項11】
前記アナログデジタル変換器は、セレクタをさらに備え、
任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルには、第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、任意の1つのクロック周期に対して、
前記セレクタは、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を前記エンコーダに出力するように構成され、
第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の2番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
請求項6~8のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項12】
前記セレクタは、複数の前記アナログデジタル変換チャネルに一対一で対応する複数の5段目スイッチを含み、任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器が、前記5段目スイッチを介して前記エンコーダに接続され、任意の1つのクロック周期に対して、
第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記5段目スイッチをオンすることにより、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を前記エンコーダに出力させる
請求項11に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項13】
前記エンコーダは、前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号と、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号とに基づいて、前記デジタル信号を生成するように構成される
請求項11に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項14】
複数の前記アナログデジタル変換チャネルの数はNであり、任意の1つのクロック周期に対して、n番目のアナログデジタル変換チャネルは第1のアナログデジタル変換チャネルとされ、m番目のアナログデジタル変換チャネルは第2のアナログデジタル変換チャネルとされ、
【数2】
請求項6~8のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項15】
前記アナログ信号をバッファリングするように構成された入力バッファをさらに備える
請求項6~8のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器。
【請求項16】
請求項6~15のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器を備える
基地局。
【請求項17】
1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)と、
段間利得増幅器(G)と、
2段目サブアナログデジタル変換器と、
前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)の出力信号及び前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたエンコーダと、
第1の1段目スイッチ(clk1)、第1の2段目スイッチ(clk3)、第1のサンプリング容量(Cs1)を含む第1のアナログデジタル変換チャネルであって、前記第1の1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)は、前記第1の1段目スイッチ(clk1)を介して前記第1のサンプリング容量(Cs1)に接続され、前記段間利得増幅器(G)は、前記第1の2段目スイッチ(clk3)を介して前記第1のサンプリング容量(Cs1)に接続される、第1のアナログデジタル変換チャネルと、
第2の1段目スイッチ(clk2)、第2の2段目スイッチ(clk4)、第2のサンプリング容量(Cs2)を含む第2のアナログデジタル変換チャネルであって、前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)は、前記第2の1段目スイッチ(clk2)を介して前記第2のサンプリング容量(Cs2)に接続され、前記段間利得増幅器(G)は、前記第2の2段目スイッチ(clk4)を介して前記第2のサンプリング容量(Cs2)に接続される、第2のアナログデジタル変換チャネルと、を備え、
前記アナログデジタル変換器により実行されるアナログデジタル変換過程は、周期的に繰り返される複数のサイクル単位を含み、各サイクル単位は、
前記第1の1段目スイッチ(clk1)がオンであり、前記第2の1段目スイッチ(clk2)、前記第1の2段目スイッチ(clk3)及び前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオフである第1のリセット段階と、
前記第1の1段目スイッチ(clk1)及び前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオンであり、前記第2の1段目スイッチ(clk2)及び前記第1の2段目スイッチ(clk3)がオフである第1の増幅段階と、
前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオンであり、前記第2の1段目スイッチ(clk2)、前記第1の2段目スイッチ(clk3)及び前記第1の1段目スイッチ(clk1)がオフである第1の保持段階と、
前記第2の1段目スイッチ(clk2)がオンであり、前記第1の1段目スイッチ(clk1)、前記第1の2段目スイッチ(clk3)及び前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオフである第2のリセット段階と、
前記第2の1段目スイッチ(clk2)及び前記第1の2段目スイッチ(clk3)がオンであり、前記第1の1段目スイッチ(clk1)及び前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオフである第2の増幅段階と、
前記第1の2段目スイッチ(clk3)がオンであり、前記第1の1段目スイッチ(clk1)、前記第2の1段目スイッチ(clk2)及び前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオフである第2の保持段階、という順次に実行する6つの段階を含み、
前記第1の1段目スイッチ(clk1)がオンである場合、前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、前記第1のサンプリング容量(Cs1)は、前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)の量子化により生成された残差をサンプリングし、
前記第2の1段目スイッチ(clk2)がオンである場合、前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、前記第2のサンプリング容量(Cs2)は、前記1段目サブアナログデジタル変換器(ADC1)の量子化により生成された残差をサンプリングし、
前記第1の2段目スイッチ(clk3)がオンである場合、前記段間利得増幅器(G)は、前記第1のサンプリング容量(Cs1)により保持された残差を増幅し、前記2段目サブアナログデジタル変換器は、前記段間利得増幅器(G)により増幅された残差をサンプリングして量子化し、
前記第2の2段目スイッチ(clk4)がオンである場合、前記段間利得増幅器(G)は、前記第2のサンプリング容量(Cs2)により保持された残差を増幅し、前記2段目サブアナログデジタル変換器は、前記段間利得増幅器(G)により増幅された残差をサンプリングして量子化し、
前記第1の2段目スイッチ(clk3)と前記第2の2段目スイッチ(clk4)がいずれもオフである場合、前記段間利得増幅器(G)は、リセットを行う
アナログデジタル変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子、通信技術の分野に関し、特に、アナログデジタル変換方法、アナログデジタル変換器、基地局に関するものである。
本出願は、2021年10月22日に提出された中国特許出願No.202111233825.4の優先権を主張し、当該中国特許出願の内容を参照により本出願に援用する。
【背景技術】
【0002】
高精度で高速のアナログデジタル変換器(ADC:Analog to Digital Converter)は、通常、パイプライン(pipelined)アーキテクチャを採用し、そのうち、サブステージADCは、通常、逐次近似(SAR:Successive Approximation Register)ADCアーキテクチャを採用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、いくつかの関連技術では、パイプラインADCの速度が著しく制限され、ADCの速度に対する要求を満たすことができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、アナログデジタル変換方法、アナログデジタル変換器、基地局を提供する。
第1の態様において、本開示の実施例は、
アナログデジタル変換器に適用されるアナログデジタル変換方法であって、前記アナログデジタル変換器は、1段目サブアナログデジタル変換器と、複数のサンプリング容量と、段間利得増幅器と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器とを備え、前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器の1つに対応し、前記アナログデジタル変換方法は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、
前記段間利得増幅器により、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅し、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により、増幅された第1の残差をサンプリングするステップと、
前記1段目サブアナログデジタル変換器によりアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶するステップと、
前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するステップと、を含み、
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる
アナログデジタル変換方法を提供する。
【0005】
第2の態様において、本開示の実施例は、
1段目サブアナログデジタル変換器と、複数のサンプリング容量と、段間利得増幅器と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器とを備えるアナログデジタル変換器であって、前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器の1つに対応し、前記アナログデジタル変換器は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、
前記段間利得増幅器は、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅するように構成され、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器は、増幅された第1の残差をサンプリングするように構成され、
前記1段目サブアナログデジタル変換器は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶するように構成され、
前記アナログデジタル変換器は、前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたエンコーダをさらに備え、
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる、
アナログデジタル変換器を提供する。
【0006】
第3の態様において、本開示の実施例は、本開示の実施例の第2の態様のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器を備える基地局を提供する。
【0007】
第4の態様において、本開示の実施例は、
1段目サブアナログデジタル変換器と、
段間利得増幅器と、
2段目サブアナログデジタル変換器と、
前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するように構成されたエンコーダと、
第1の1段目スイッチ、第1の2段目スイッチ、第1のサンプリング容量を含む第1のアナログデジタル変換チャネルであって、前記第1の1段目サブアナログデジタル変換器は、前記第1の1段目スイッチを介して前記第1のサンプリング容量に接続され、前記段間利得増幅器は、前記第1の2段目スイッチを介して前記第1のサンプリング容量に接続される、第1のアナログデジタル変換チャネルと、
第2の1段目スイッチ、第2の2段目スイッチ、第2のサンプリング容量を含む第2のアナログデジタル変換チャネルであって、前記1段目サブアナログデジタル変換器は、前記第2の1段目スイッチを介して前記第2のサンプリング容量に接続され、前記段間利得増幅器は、前記第2の2段目スイッチを介して前記第2のサンプリング容量に接続される、第2のアナログデジタル変換チャネルと、を備え、
前記アナログデジタル変換器により実行されるアナログデジタル変換過程は、周期的に繰り返される複数のサイクル単位を含み、各サイクル単位は、
前記第1の1段目スイッチがオンであり、前記第1の2段目スイッチ、前記第2の1段目スイッチ及び前記第2の2段目スイッチがオフである第1のリセット段階と、
前記第1の1段目スイッチ及び前記第2の2段目スイッチがオンであり、前記第1の2段目スイッチ及び前記第2の1段目スイッチがオフである第1の増幅段階と、
前記第2の2段目スイッチがオンであり、前記第1の2段目スイッチ、前記第2の1段目スイッチ及び前記第1の1段目スイッチがオフである第1の保持段階と、
前記第1の2段目スイッチがオンであり、前記第1の1段目スイッチ、前記第2の1段目スイッチ及び前記第2の2段目スイッチがオフである第2のリセット段階と、
前記第1の2段目スイッチ及び前記第2の1段目スイッチがオンであり、前記第1の1段目スイッチ及び前記第2の2段目スイッチがオフである第2の増幅段階と、
前記第2の1段目スイッチがオンであり、前記第1の1段目スイッチ、前記第1の2段目スイッチ及び前記第2の2段目スイッチがオフである第2の保持段階、という順次に実行する6つの段階を含み、
前記第1の1段目スイッチがオンである場合、前記1段目サブアナログデジタル変換器は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、前記第1のサンプリング容量は、前記1段目サブアナログデジタル変換器の量子化により生成された残差をサンプリングし、
前記第1の2段目スイッチがオンである場合、前記1段目サブアナログデジタル変換器は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、前記第2のサンプリング容量は、前記1段目サブアナログデジタル変換器の量子化により生成された残差をサンプリングし、
前記第2の1段目スイッチがオンである場合、前記段間利得増幅器は、前記第1のサンプリング容量により保持された残差を増幅し、前記2段目サブアナログデジタル変換器は、前記段間利得増幅器により増幅された残差をサンプリングして量子化し、
前記第2の2段目スイッチがオンである場合、前記段間利得増幅器は、前記第2のサンプリング容量により保持された残差を増幅し、前記2段目サブアナログデジタル変換器は、前記段間利得増幅器により増幅された残差をサンプリングして量子化し、
前記第2の1段目スイッチと前記第2の2段目スイッチがいずれもオフである場合、前記段間利得増幅器は、リセットを行う、
アナログデジタル変換器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施例におけるアナログデジタル変換方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本開示の実施例における別のアナログデジタル変換方法における一部のステップのフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の実施例におけるまた別のアナログデジタル変換方法における一部のステップのフローチャートである。
【
図4】
図4は、本開示の実施例におけるさらに別のアナログデジタル変換方法における一部のステップのフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の実施例におけるアナログデジタル変換器の構造概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施例における基地局の構成ブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施例における別のアナログデジタル変換器の構造概略図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すアナログデジタル変換器のタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の実施例におけるまた別のアナログデジタル変換器の構造概略図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すアナログデジタル変換器のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者が本開示の技術案をよりよく理解するために、以下に図面を組み合わせて本開示によるアナログデジタル変換方法、アナログデジタル変換器、基地局を詳しく説明する。
【0010】
以下では図面を参照して例示的な実施例について十分に説明するが、前記例示的な実施例は異なる形式で体現されてもよく、本開示は、本明細書に説明する実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示を徹底して完全なものにするために提供され、当業者に本開示の範囲を十分に理解させるように提供される。
【0011】
本開示の各実施例及び実施例における各特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0012】
例えば本明細書で用いられる「及び/又は」という用語は、1つ又は複数の、関連する列挙された項目の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0013】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定することを意図しない。例えば本明細書で用いられる単数形の「1つ」及び「当該」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、本明細書で「含む」及び/又は「……からなる」という用語を用いるとき、前記特徴、全体、ステップ、操作、要素及び/又は構成要素の存在を指定しているが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことも理解されたい。
【0014】
特に限定されない限り、技術的及び科学的な用語を含む、本明細書で用いられる全ての用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術及び本開示の背景でのそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように限定されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味を有すると解釈されるべきではないことも理解されたい。
【0015】
本開示の発明者らの研究により、パイプラインADCの速度を制限する要因は、以下のものを含むことが見出された。
【0016】
(1)段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズの時間和の制限。段間利得増幅器は、動作中に、サンプリングフェーズと増幅フェーズとに分けられ、サンプリングフェーズにおいて、入力信号は1段目サブADCにサンプリングされ、1段目サブADCにおいて量子化が完了し、残差が得られ、この残差は、サンプリング容量に記憶され、増幅フェーズにおいて、サンプリング容量に記憶された残差が段間利得増幅器によって一定倍率で増幅されるとともに、増幅された残差が2段目サブADCにサンプリングされる。1段目サブADCがサンプリングし量子化して残差を得ることと、段間利得増幅器が残差を増幅することと、2段目サブADCが増幅された残差をサンプリングすることは、いずれもパイプラインADCの1クロック周期内で完了する必要がある。いくつかの関連技術において、パイプラインADCの速度を低下させることにより、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズの動作過程の両立を実現する。
【0017】
(2)パイプラインADCのサブADC量子化時間制限。1段目サブADCの動作中において、1段目サブADCの残差は、1段目サブADCの全ビット数が量子化を完了したときにしか得られず、段間利得増幅器は、残差を効率的に増幅する役割を果たし、残差の増幅に一定の時間を要する。2段目サブADCに対して、段間利得増幅器は、増幅された残差を2段目サブADCに効率的にサンプリングできるようにするために、2段目サブADCの全ビット量子化が完了するのを待つ必要がある。よって、1クロック周期内において、段間利得増幅器は、残差の増幅を行うために1段目サブADCの量子化が完了するのを待つ必要があると同時に、後段のサンプリングを行うために2段目サブADCの量子化が完了するのを待つ必要があり、段間利得増幅器の残差増幅の時間は、サブADCの量子化時間によって制限され、さらにパイプラインADCの速度を制限する。
【0018】
パイプラインADCの速度は、プロセスをアップグレードすることによりある程度向上させることができるが、コストが膨大であり、パイプラインADCの速度が制限されるという問題を根本的に解決することはできない。
【0019】
これに鑑みて、第1の態様において、
図1を参照して、本開示の実施例は、アナログデジタル変換器に適用されるアナログデジタル変換方法を提供し、前記アナログデジタル変換器は、1段目サブアナログデジタル変換器と、複数のサンプリング容量と、段間利得増幅器と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器とを備え、前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器の1つに対応し、前記アナログデジタル変換方法は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0020】
S1:前記段間利得増幅器により、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶された第1の残差を増幅し、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により、増幅された第1の残差をサンプリングする。
【0021】
S2:前記1段目サブアナログデジタル変換器によりアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量に記憶する。
【0022】
S3:前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号に基づいてデジタル信号を生成する。
【0023】
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0024】
本開示の実施例は、複数のアナログデジタル変換チャネルの数を特に限定しない。例えば、アナログデジタル変換器には、2つ以上のアナログデジタル変換チャネルを有してもよい。複数のアナログデジタル変換チャネルは1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とを共有し、複数のアナログデジタル変換チャネルがそれぞれ独立した1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とに対応することに起因するミスマッチの問題を回避することができる。
【0025】
本開示の実施例において、任意の2つの隣接するクロック周期の第1のアナログデジタル変換チャネルは、異なるアナログデジタル変換チャネルに対応し、任意の2つの隣接するクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは、異なるアナログデジタル変換チャネルに対応する。任意の2つの隣接するクロック周期において、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0026】
なお、現在のクロック周期の第1のアナログデジタル変換チャネルと、現在のクロック周期より前の1番目のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは同一のアナログデジタル変換チャネルに対応し、第1の残差は、現在のクロック周期より前の1番目のクロック周期において、当該アナログデジタル変換チャネルがアナログ信号をサンプリングして量子化し、当該アナログデジタル変換チャネルが対応するサンプリング容量に記憶されるものである。現在のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルと、現在のクロック周期に続く1番目のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは同一のアナログデジタル変換チャネルに対応し、第2の残差は、現在のクロック周期に続く1番目のクロック周期において段間利得増幅器により増幅される。
【0027】
本開示の実施例において、任意の1つのアナログデジタル変換チャネルに対して、サンプリングフェーズと増幅フェーズは、隣接する2つのクロック周期に対応し、1段目サブアナログデジタル変換チャネルは、1つの完全なクロック周期を有してサンプリングと量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、1つの完全なクロック周期を有して残差を増幅することができ、これにより、サンプリングフェーズと増幅フェーズの時間和制限を緩和することができ、アナログデジタル変換器の速度を低下させることによりサンプリングフェーズと増幅フェーズの動作過程を両立させる必要はない。任意の1つのアナログデジタル変換チャネルに対して、1段目サブアナログデジタル変換器は、隣接するクロック周期の前のクロック周期においてサンプリング、量子化を完了し、段間利得増幅器は、隣接するクロック周期の次のクロック周期において残差を増幅し、同一のクロック周期において、第1のアナログデジタル変換チャネルは残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルは1段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング、量子化を行い、サンプリングフェーズと増幅フェーズの周期的なインターリーブを実現するため、1つのクロック周期において段間利得増幅器は1段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がなく、アナログデジタル変換器の速度を高めるのに有利である。
【0028】
さらに、本開示の実施例において、各アナログデジタル変換チャネルは1つの2段目サブアナログデジタル変換器に対応し、任意の1つのアナログデジタル変換チャネルは段間利得増幅器により残差を増幅する時に、増幅された残差を当該アナログデジタル変換チャネルの2段目サブアナログデジタル変換器にサンプリングするため、2段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がなく、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行い、複数のアナログデジタル変換チャネルの2段目サブアナログデジタル変換器の分割タイムインターリーブ(divided time-interleaving)を実現し、アナログデジタル変換器の速度をさらに高めるのに有利である。
【0029】
本開示の実施例によるアナログデジタル変換方法において、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズを周期的にインターリーブし、複数の2段目サブアナログデジタル変換器を分割タイムインターリーブして、1段目サブアナログデジタル変換チャネルは、1つの完全なクロック周期を有してサンプリングと量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、1つの完全なクロック周期を有して残差を増幅することができ、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行うことができ、これにより、サンプリングフェーズと増幅フェーズの時間和制限を緩和することができ、アナログデジタル変換器の速度を低下させることによりサンプリングフェーズと増幅フェーズの動作過程、および1段目サブアナログデジタル変換器と2段目サブアナログデジタル変換器の動作過程を両立させる必要はなく、アナログデジタル変換器の速度を高めるのに有利である。また、アナログデジタル変換器を高速目標に到達させる時に、段間利得増幅器の利得帯域幅積、スルーレート等の指標要求を低減し、段間利得増幅器の性能と消費電力要求を低減し、アナログデジタル変換器の製造コストを低減することができる。複数のアナログデジタル変換チャネルは、1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とを共有することにより、ミスマッチの問題を回避することもできる。
【0030】
いくつかの実施例において、2段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング過程及び量子化過程は、それぞれ2つのクロック周期において完了し、複数のアナログデジタル変換チャネルは、コンパレータを共有する。
【0031】
それに対応して、いくつかの実施例において、
図2を参照し、前記アナログデジタル変換器は、コンパレータをさらに備え、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、以下のステップS41とS42をさらに含む。
【0032】
S41:第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器により量子化を行い、量子化信号を取得する。
【0033】
S42:前記コンパレータにより、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を生成する。
【0034】
第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の1番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0035】
本開示の実施例において、2段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング過程及び量子化過程は、それぞれ2つのクロック周期において完了することにより、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行う上、1つの完全なクロック周期を有して量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、残差を増幅する間に2段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がない。複数のアナログデジタル変換チャネルはコンパレータを共有するため、ミスマッチの問題をさらに回避することができる。
【0036】
本開示の実施例において、任意の1つのクロック周期に対して、第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。例えば、アナログデジタル変換チャネルの数が2である場合、任意の1つのクロック周期において第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、アナログデジタル変換チャネルの数が2よりも多い場合、任意の1つのクロック周期において第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。
【0037】
いくつかの実施例において、
図3を参照して、前記アナログデジタル変換器は、セレクタをさらに備え、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、前記アナログデジタル変換方法は、
【0038】
前記セレクタにより、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号をエンコーダに出力するステップS5をさらに含む。
【0039】
第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の2番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0040】
本開示の実施例において、任意の1つのクロック周期に対して、第4のアナログデジタル変換チャネルと第1のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。例えば、アナログデジタル変換チャネルの数が2又は3である場合、任意の1つのクロック周期において第4のアナログデジタル変換チャネルと第1のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、アナログデジタル変換チャネルの数が3よりも多い場合、任意の1つのクロック周期において第4のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。
【0041】
いくつかの実施例において、
図4を参照して、ステップS3は、
前記エンコーダにより、前記1段目サブアナログデジタル変換器の出力信号と、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号とに基づいて、前記デジタル信号を生成するステップS31を含む。
【0042】
本開示の実施例において、複数のアナログデジタル変換チャネルは、異なるクロック周期において周期的なインターリーブと分割タイムインターリーブを繰り返す。
【0043】
それに対応して、いくつかの実施例において、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの数はNであり、任意の1つのクロック周期に対して、n番目のアナログデジタル変換チャネルは第1のアナログデジタル変換チャネルとされ、m番目のアナログデジタル変換チャネルは第2のアナログデジタル変換チャネルとされ、
【0044】
【0045】
第2の態様において、
図5を参照して、本開示の実施例は、1段目サブアナログデジタル変換器1と、複数のサンプリング容量2と、段間利得増幅器3と、複数の2段目サブアナログデジタル変換器4とを備えるアナログデジタル変換器を提供する。前記アナログデジタル変換器は、複数のアナログデジタル変換チャネルを含み、各アナログデジタル変換チャネルは、前記サンプリング容量2の1つと、前記2段目サブアナログデジタル変換器4の1つに対応し、前記アナログデジタル変換器は、複数のクロック周期を含み、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第1のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルと、第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルとが含まれ、任意の1つのクロック周期に対して、
前記段間利得増幅器3は、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に記憶された第1の残差を増幅するのに用いられ、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器4は、増幅された第1の残差をサンプリングするのに用いられ、
前記1段目サブアナログデジタル変換器1は、アナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に記憶するのに用いられ、
前記アナログデジタル変換器は、前記1段目サブアナログデジタル変換器1の出力信号及び複数の前記2段目サブアナログデジタル変換器4の出力信号に基づいてデジタル信号を生成するのに用いられるコンパレータ5をさらに備え、
任意の2つの隣接するクロック周期に対して、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0046】
本開示の実施例は、複数のアナログデジタル変換チャネルの数を特に限定しない。例えば、アナログデジタル変換器には、2つ以上のアナログデジタル変換チャネルを有してもよい。複数のアナログデジタル変換チャネルは1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とを共有し、複数のアナログデジタル変換チャネルがそれぞれ独立した1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とに対応することに起因するミスマッチの問題を回避することができる。
【0047】
本開示の実施例において、任意の2つの隣接するクロック周期の第1のアナログデジタル変換チャネルは、異なるアナログデジタル変換チャネルに対応し、任意の2つの隣接するクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは、異なるアナログデジタル変換チャネルに対応する。任意の2つの隣接するクロック周期において、現在のクロック周期において第2のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、次のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0048】
なお、現在のクロック周期の第1のアナログデジタル変換チャネルと、現在のクロック周期より前の1番目のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは同一のアナログデジタル変換チャネルに対応し、第1の残差は、現在のクロック周期より前の1番目のクロック周期において、当該アナログデジタル変換チャネルがアナログ信号をサンプリングして量子化し、当該アナログデジタル変換チャネルが対応するサンプリング容量に記憶されるものである。現在のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルと、現在のクロック周期に続く1番目のクロック周期の第2のアナログデジタル変換チャネルは同一のアナログデジタル変換チャネルに対応し、第2の残差は、現在のクロック周期に続く1番目のクロック周期において段間利得増幅器により増幅される。
【0049】
本開示の実施例において、任意の1つのアナログデジタル変換チャネルに対して、サンプリングフェーズと増幅フェーズは、隣接する2つのクロック周期に対応し、1段目サブアナログデジタル変換チャネルは、1つの完全なクロック周期を有してサンプリングと量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、1つの完全なクロック周期を有して残差を増幅することができ、これにより、サンプリングフェーズと増幅フェーズの時間和制限を緩和することができ、アナログデジタル変換器の速度を低下させることによりサンプリングフェーズと増幅フェーズの動作過程を両立させる必要はない。任意の1つのアナログデジタル変換チャネルに対して、1段目サブアナログデジタル変換器は、隣接するクロック周期の前のクロック周期においてサンプリング、量子化を完了し、段間利得増幅器は、隣接するクロック周期の次のクロック周期において残差を増幅し、同一のクロック周期において、第1のアナログデジタル変換チャネルは残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルは1段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング、量子化を行い、サンプリングフェーズと増幅フェーズの周期的なインターリーブを実現するため、1つのクロック周期において段間利得増幅器は1段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がなく、アナログデジタル変換器の速度を高めるのに有利である。
【0050】
さらに、本開示の実施例において、各アナログデジタル変換チャネルは1つの2段目サブアナログデジタル変換器に対応し、任意の1つのアナログデジタル変換チャネルは段間利得増幅器により残差を増幅する時に、増幅された残差を当該アナログデジタル変換チャネルの2段目サブアナログデジタル変換器にサンプリングするため、2段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がなく、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行い、複数のアナログデジタル変換チャネルの2段目サブアナログデジタル変換器の分割タイムインターリーブを実現し、アナログデジタル変換器の速度をさらに高めるのに有利である。
【0051】
本開示の実施例によるアナログデジタル変換方法において、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズを周期的にインターリーブし、複数の2段目サブアナログデジタル変換器を分割タイムインターリーブして、1段目サブアナログデジタル変換チャネルは、1つの完全なクロック周期を有してサンプリングと量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、1つの完全なクロック周期を有して残差を増幅することができ、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行うことができ、これにより、サンプリングフェーズと増幅フェーズの時間和制限を緩和することができ、アナログデジタル変換器の速度を低下させることによりサンプリングフェーズと増幅フェーズの動作過程、および1段目サブアナログデジタル変換器と2段目サブアナログデジタル変換器の動作過程を両立させる必要はなく、アナログデジタル変換器の速度を高めるのに有利である。また、アナログデジタル変換器を高速目標に到達させる時に、段間利得増幅器の利得帯域幅積、スルーレート等の指標要求を低減し、段間利得増幅器の性能と消費電力要求を低減し、アナログデジタル変換器の製造コストを低減することができる。複数のアナログデジタル変換チャネルは、1段目アナログデジタル変換器と段間利得増幅器とを共有することにより、ミスマッチの問題を回避することもできる。
いくつかの実施例において、
図5を参照して、任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルは、1段目スイッチ61、2段目スイッチ62、3段目スイッチ63を含み、前記1段目サブアナログデジタル変換器1は、前記1段目スイッチ61を介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に接続され、前記段間利得増幅器3は、前記2段目スイッチ62を介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に接続され、前記段間利得増幅器3は、前記3段目スイッチ63を介して前記アナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器4に接続され、任意の1つのクロック周期に対して、
第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61をオフし、2段目スイッチ62及び3段目スイッチ63をオンすることにより、前記段間利得増幅器3が、第1のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に記憶された第1の残差を増幅し、前記第1のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器4により、増幅された第1の残差をサンプリングし、
第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61をオンし、2段目スイッチ62及び3段目スイッチ63をオフすることにより、前記1段目サブアナログデジタル変換器1がアナログ信号をサンプリングして量子化し、得られた第2の残差を第2のアナログデジタル変換チャネルに対応するサンプリング容量2に記憶する。
【0052】
いくつかの実施例において、任意の1つのクロック周期は、リセット段階、増幅段階、保持段階を順次に含む。
【0053】
リセット段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61、2段目スイッチ62がオフであり、前記段間利得増幅器3がリセットを行い、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61がオンであり、2段目スイッチ62がオフであり、前記1段目サブアナログデジタル変換器1がアナログ信号をサンプリングして量子化する。
【0054】
増幅段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61がオフであり、2段目スイッチ62がオンであり、前記段間利得増幅器3が前記第1の残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61がオンであり、2段目スイッチ62がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器1がアナログ信号をサンプリングして量子化する。
【0055】
保持段階において、第1のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61がオフであり、2段目スイッチ62がオンであり、前記段間利得増幅器3が前記第1の残差を増幅し、第2のアナログデジタル変換チャネルの1段目スイッチ61、2段目スイッチ62がオフであり、前記第2の残差が第2のアナログデジタル変換チャネルの対応するサンプリング容量2に保持される。
【0056】
いくつかの実施例において、2段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング過程及び量子化過程は、それぞれ2つのクロック周期において完了し、複数のアナログデジタル変換チャネルは、コンパレータを共有する。
【0057】
それに対応して、いくつかの実施例において、
図5を参照し、前記アナログデジタル変換器は、コンパレータ7をさらに備える。任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの中には、第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、任意の1つのクロック周期に対して、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器は量子化を行い、量子化信号を取得し、前記コンパレータ7は、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器4の出力信号を生成するように構成され、第3のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の1番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0058】
本開示の実施例において、2段目サブアナログデジタル変換器のサンプリング過程及び量子化過程は、それぞれ2つのクロック周期において完了することにより、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの完全なクロック周期を有してサンプリングを行う上、1つの完全なクロック周期を有して量子化を行うことができ、段間利得増幅器は、残差を増幅する間に2段目サブアナログデジタル変換器の量子化の完了を待つ必要がない。複数のアナログデジタル変換チャネルはコンパレータを共有するため、ミスマッチの問題をさらに回避することができる。
【0059】
本開示の実施例において、任意の1つのクロック周期に対して、第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。例えば、アナログデジタル変換チャネルの数が2である場合、任意の1つのクロック周期において第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、アナログデジタル変換チャネルの数が2よりも多い場合、任意の1つのクロック周期において第3のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。
【0060】
いくつかの実施例において、
図5を参照して、任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルは、4段目スイッチ64を含み、前記アナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器4は、前記4段目スイッチ64を介して前記コンパレータ7に接続される。
【0061】
任意の1つのクロック周期に対して、第3のアナログデジタル変換チャネルの4段目スイッチ64をオンすることにより、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器4に量子化を行わせて、前記量子化信号を取得し、前記コンパレータ7に、前記量子化信号に基づいて、第3のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記2段目サブアナログデジタル変換器の出力信号を生成させる。
【0062】
いくつかの実施例において、
図5を参照して、前記アナログデジタル変換器は、セレクタ8をさらに備え、任意の1つのクロック周期に対して、複数の前記アナログデジタル変換チャネルには、第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルがさらに含まれ、任意の1つのクロック周期に対して、前記セレクタ8は、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器4の出力信号を前記エンコーダ5に出力するように構成され、第4のアナログデジタル変換チャネルとしてのアナログデジタル変換チャネルは、現在のクロック周期の前の2番目のクロック周期において第1のアナログデジタル変換チャネルとされる。
【0063】
本開示の実施例において、任意の1つのクロック周期に対して、第4のアナログデジタル変換チャネルと第1のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。例えば、アナログデジタル変換チャネルの数が2又は3である場合、任意の1つのクロック周期において第4のアナログデジタル変換チャネルと第1のアナログデジタル変換チャネルは同じアナログデジタル変換チャネルであってもよく、アナログデジタル変換チャネルの数が3よりも多い場合、任意の1つのクロック周期において第4のアナログデジタル変換チャネルと第2のアナログデジタル変換チャネルは異なるアナログデジタル変換チャネルであってもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、前記セレクタ8は、複数の前記アナログデジタル変換チャネルに一対一で対応する複数の5段目スイッチ65を含み、任意の1つの前記アナログデジタル変換チャネルに対して、前記アナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器4が、前記5段目スイッチ65を介して前記エンコーダ5に接続され、任意の1つのクロック周期に対して、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する前記5段目スイッチ65をオンすることにより、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器4の出力信号を前記エンコーダ5に出力させる。
【0065】
いくつかの実施例において、前記エンコーダ5は、前記1段目サブアナログデジタル変換器1の出力信号と、第4のアナログデジタル変換チャネルに対応する2段目サブアナログデジタル変換器4の出力信号とに基づいて、前記デジタル信号を生成するように構成される。
【0066】
本開示の実施例において、複数のアナログデジタル変換チャネルは、異なるクロック周期において周期的なインターリーブと分割タイムインターリーブを繰り返す。
【0067】
いくつかの実施例において、複数の前記アナログデジタル変換チャネルの数はNであり、任意の1つのクロック周期に対して、n番目のアナログデジタル変換チャネルは第1のアナログデジタル変換チャネルとされ、m番目のアナログデジタル変換チャネルは第2のアナログデジタル変換チャネルとされ、
【0068】
【0069】
いくつかの実施例において、
図5を参照して、前記アナログデジタル変換器は、アナログ信号をバッファリングするように構成された入力バッファ9をさらに備える。
【0070】
第3の態様において、
図6を参照して、本開示の実施例は、本開示の実施例の第2の態様のいずれか一項に記載のアナログデジタル変換器を備える基地局を提供する。
【0071】
本開示の実施例による技術案を当業者がより明確に理解できるようにするために、以下では、具体的な実施例1~4を用いて、本開示の実施例による技術案について詳細に説明する。
【0072】
実施例1
本実施例は、2つのアナログデジタル変換チャネルを有するアナログデジタル変換器を例にして、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズの周期的なインターリーブについて説明する。本実施例におけるアナログデジタル変換器の構造は
図7に示すように、アナログデジタル変換器は、入力バッファ、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1、サンプリング容量Cs1、サンプリング容量Cs2、1段目スイッチclk1、1段目スイッチclk2、2段目スイッチclk3、2段目スイッチclk4、段間利得増幅器Gを備え、2段目サブアナログデジタル変換器は1つの容量負荷Cloadに簡略化されている。本実施例において、サンプリング容量Cs1、1段目スイッチclk1、2段目スイッチclk3は1つのアナログデジタル変換チャネルに対応しており、サンプリング容量Cs2、1段目スイッチclk2、2段目スイッチclk4は1つのアナログデジタル変換チャネルに対応している。
【0073】
図8は
図7に示すアナログデジタル変換器のタイミングチャートであり、T1、T2、T3は隣接する3つのクロック周期である。
図8に示すように、1段目スイッチclk1と1段目スイッチclk2は、それぞれ隣接するクロック周期においてオンであり、1段目スイッチclk1と2段目スイッチclk3は、それぞれ隣接するクロック周期においてオンであり、1段目スイッチclk2と2段目スイッチclk4は、それぞれ隣接するクロック周期においてオンであり、1段目スイッチclk1と2段目スイッチclk4は、一部のタイミングで同時にオンであり、1段目スイッチclk2と2段目スイッチclk3は、一部のタイミングで同時にオンである。これにより、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズの周期的なインターリーブを実現する。
【0074】
本実施例における上記タイミングの具体的な説明は、以下の実施例2を参照することができる。なお、1段目スイッチclk1又はclk2がオンである場合、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1はアナログ信号をサンプリングして量子化し、対応するサンプリング容量Cs1又はCs2は前記1段目サブアナログデジタル変換器ADC1の量子化により生成された残差をサンプリングし、2段目スイッチclk3又はclk4がオンである場合、段間利得増幅器Gは、対応するサンプリング容量Cs1又はCs2により保持された残差を増幅し、2段目アナログデジタル変換器は、段間利得増幅器Gにより増幅された残差をサンプリングして量子化する。2段目スイッチclk3又はclk4がいずれもオフである場合、段間利得増幅器Gは、リセットを行う。
【0075】
実施例2
本実施例は、2つのアナログデジタル変換チャネルを有するアナログデジタル変換器を例に説明する。本実施例におけるアナログデジタル変換器の構造は
図9に示すように、アナログデジタル変換器は、入力バッファ、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1、サンプリング容量Cs1、サンプリング容量Cs2、段間利得増幅器G、2段目サブアナログデジタル変換器ADC21及びADC22、コンパレータcomp、セレクタMUX、1段目スイッチclk1及びclk2、2段目スイッチclk3及びclk4、3段目スイッチclk5及びclk6、4段目スイッチclk7及びclk8、5段目スイッチclk9及びclk10、エンコーダencoderを備える。本実施例において、サンプリング容量Cs1、1段目スイッチclk1、2段目スイッチclk3、2段目サブアナログデジタル変換器ADC21、3段目スイッチclk5、4段目スイッチclk7、5段目スイッチclk9は1つのアナログデジタル変換チャネルに対応しており、サンプリング容量Cs2、1段目スイッチclk2、2段目スイッチclk4、2段目サブアナログデジタル変換器ADC22、3段目スイッチclk6、4段目スイッチclk8、5段目スイッチclk10は1つのアナログデジタル変換チャネルに対応している。
【0076】
図10は
図9に示すアナログデジタル変換器のタイミングチャートであり、T1、T2、T3は隣接する3つのクロック周期である。ここで、隣接する2つのクロック周期毎に1サイクル単位とし、周期的に繰り返している。例えば、
図10におけるクロック周期T1、T2を1サイクル単位とし、このサイクル単位は、以下の6つの段階に分けられる。
【0077】
第1の段階(リセット段階であり、
図10におけるクロック周期T1のスタート位置から開始する)において、スイッチclk1がオンであり、スイッチclk2、clk3、clk4がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1とサンプリング容量Cs1が同時に信号のサンプリングを行い、段間利得増幅器Gがリセットを行い、スイッチclk6、clk8、clk5、clk7がオフである。
【0078】
第2の段階(増幅段階)において、スイッチclk1とclk4がオンであり、スイッチclk2とclk3がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1とサンプリング容量Cs1が同時に信号の保持を完了し、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1は信号保持の過程で量子化を行い、スイッチclk6とclk7がオンであり、スイッチclk5とclk8がオフであり、残差は段間利得増幅器Gにより増幅されて2段目サブアナログデジタル変換器ADC22にサンプリングされ量子化される。
【0079】
第3の段階(保持段階)において、スイッチclk4がオンであり、スイッチclk2、clk3、clk1がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1は量子化が完了しサンプリング容量Cs1から切り離され、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1の残差がサンプリング容量Cs1に保持され、スイッチclk6とclk7がオンであり、スイッチclk5とclk8がオフであり、残差は段間利得増幅器Gにより増幅されて2段目サブアナログデジタル変換器ADC22にサンプリングされ量子化される。
【0080】
第4の段階(リセット段階であり、
図10におけるクロック周期T2のスタート位置から開始する)において、スイッチclk2がオンであり、スイッチclk1、clk3、clk4がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1とサンプリング容量Cs2が同時に信号のサンプリングを行い、段間利得増幅器Gがリセットを行い、スイッチclk6、clk8、clk5、clk7がオフである。
【0081】
第5の段階(増幅段階)において、スイッチclk2とclk3がオンであり、スイッチclk1とclk4がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1とサンプリング容量Cs2が同時に信号の保持を完了し、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1は信号保持の過程で量子化を行い、スイッチclk5とclk8がオンであり、スイッチclk6とclk7がオフであり、残差は段間利得増幅器Gにより増幅されて2段目サブアナログデジタル変換器ADC21にサンプリングされ量子化される。
【0082】
第6の段階(保持段階)において、スイッチclk3がオンであり、スイッチclk1、clk2、clk4がオフであり、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1は量子化が完了しサンプリング容量Cs2から切り離され、1段目サブアナログデジタル変換器ADC1の残差がサンプリング容量Cs2に保持され、スイッチclk5とclk8がオンであり、スイッチclk6とclk7がオフであり、残差は段間利得増幅器Gにより引き続き増幅されて2段目サブアナログデジタル変換器ADC21にサンプリングされ量子化される。
【0083】
この6つの段階は、段間利得増幅器のサンプリングフェーズと増幅フェーズの周期的なインターリーブ、および2段目サブアナログデジタル変換器のインターリーブ多重化を実現するように周期的に繰り返される。上記の6つの段階は周期的に繰り返されるため、上記のいずれかの段階をスタート段階としてもよいことが理解される。例えば、上記の段階2、段階3、段階4、段階5、段階6、段階1を順次行うことを1サイクル単位としてもよい。
【0084】
実施例3
本実施例において、アナログデジタル変換器はN個のアナログデジタル変換チャネルを有する。
【0085】
N個のアナログデジタル変換チャネルがフェーズインターリーブおよび分割タイムインターリーブを行う場合、1番目のクロック周期において、1番目のアナログデジタル変換チャネルの残差の増幅を行うと同時に、2番目のアナログデジタル変換チャネルのサンプリングおよび量子化を行い、2番目のクロック周期において、2番目のアナログデジタル変換チャネルの残差の増幅を行うと同時に、3番目のアナログデジタル変換チャネルのサンプリングおよび量子化を行い、N-1番目のクロック周期において、N-1番目のチャネルの残差の増幅を行うと同時に、N番目のチャネルのサンプリングおよび量子化を行い、このように繰り返す。
【0086】
実施例4
本実施例において、アナログデジタル変換器はN個のアナログデジタル変換チャネルを有する。
【0087】
N個のチャネルがフェーズインターリーブおよび分割タイムインターリーブを行う場合、1番目のクロック周期において、1番目のチャネルの残差の増幅を行うと同時に、l+1番目のチャネルのサンプリングおよび量子化を行い、2番目のクロック周期において、2番目のチャネルの残差の増幅を行うと同時に、l+2番目のチャネルのサンプリングおよび量子化を行い、N-1番目のクロック周期において、N-1番目のチャネルの残差の増幅を行うと同時に、l-1番目のチャネルのサンプリングおよび量子化を行い、このように繰り返す(ここで、lは0より大きくNより小さい整数である)。
【0088】
当業者は、上記に開示されている方法のステップの全て又はいくつかのステップ、システム、装置の機能モジュール/ユニットが、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実施され得ることを理解するであろう。ハードウェア実施形態において、上記の説明で言及された機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理的構成要素の区分に対応しない。例えば、1つの物理的構成要素は、複数の機能を有してもよく、或いは1つの機能又はステップは、いくつかの物理的構成要素によって協働して実行されてもよい。いくつかの物理的構成要素又は全ての物理的構成要素は、中央プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、若しくはマイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして実施されてもよく、又はハードウェアとして実施されてもよく、又は専用集積回路などの集積回路として実施されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含み得るコンピュータ可読媒体上に配置されてもよい。当業者によく知られているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実施される揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイス、又は所望の情報を記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。また、通信媒体は、一般に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波若しくは他の伝送機構などの変調データ信号内の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含み得ることが当業者に知られている。
【0089】
本明細書において例示的な実施例が開示されており、具体的な用語が用いられているが、それらは、一般的な例示的な意味でのみ用いられており、一般的な例示的な意味でのみ解釈されるべきであり、限定を目的としたものではない。いくつかの例では、特定の実施例に関連して説明される特徴、特性、及び/又は要素は、特に明記しない限り、単独で使用されてもよく、又は他の実施例に関連して説明される特徴、特性、及び/又は要素と組み合わせて用いられてもよいことは、当業者に明らかであろう。よって、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な形態及び詳細における変更が行われ得ることを当業者は理解するであろう。
【国際調査報告】