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特表2024-533821ウイルス感染を予防及び/又は減少するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ウイルス感染を予防及び/又は減少するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/15 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 36/03 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/537 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/67 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 36/9066 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240905BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20240905BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K36/15
A61K36/03
A61K36/185
A61K36/282
A61K36/537
A61K36/61
A61K36/67
A61K36/73
A61K36/82
A61K36/9066
A61P31/12
A61P31/14
C12Q1/06
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519788
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2022077624
(87)【国際公開番号】W WO2023057474
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/122538
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21207083.3
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チィ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ドン-ファン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ミン ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンタオ ウー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ズッカ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B063
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB00
4B018LE00
4B018MD48
4B018ME09
4B018MF01
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ10
4B063QQ20
4B063QR72
4B063QS40
4B063QX10
4C088AA13
4C088AB03
4C088AB12
4C088AB29
4C088AB36
4C088AB38
4C088AB45
4C088AB51
4C088AB57
4C088AB81
4C088AC03
4C088AC04
4C088AC05
4C088AC11
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA16
4C088MA17
4C088MA28
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA52
4C088MA56
4C088MA57
4C088MA59
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZB33
(57)【要約】
本発明は、ウイルス感染の予防又は治療において使用するための組成物であって、前記組成物が抽出物を含み、前記抽出物が、(i)植物抽出物であり、(ii)10ppm以下のIC50で、宿主細胞へのウイルス感染を減少させ、かつ(iii)10mV以下のゼータ電位を有する、前記組成物に関する。本発明の組成物を使用する消費者製品及びその方法も特許請求の範囲に記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染の予防又は治療において使用するための組成物であって、前記組成物が抽出物を含み、前記抽出物が、
(i) 植物抽出物であり、
(ii) 10ppm以下のIC50で、宿主細胞へのウイルス感染を減少させ、かつ
(iii) 10mV以下のゼータ電位を有する、
前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が、以下:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、キスツス・ラダニフェル亜種モーリティアヌス(Cistus ladanifer subsp. Mauritianus)、キスツス・ラダニフェル亜種スルカツス(Cistus ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、ラミナリア属(Laminaria)種(好ましくは、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、ラミナリア・ジャポニカ(Laminaria japonica)、及び/又はラミナリア・エフェメラ(Laminaria ephemera))、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(好ましくは、カメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica))、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくはアルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))の1種以上からの抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が-10mV以下のゼータ電位を有する抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、以下:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、キスツス・ラダニフェル亜種モーリティアヌス(Cistus ladanifer subsp. Mauritianus)、キスツス・ラダニフェル亜種スルカツス(Cistus ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)の1種以上からの抽出物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ウイルス感染がコロナウイルスによって引き起こされる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記コロナウイルスがSARS-CoV-2である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記抽出物の濃度が10ppm以上である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、以下の成分:抗ウイルス剤、抗菌剤、ミネラル、ミネラル塩、及び/又はビタミン、製剤学的に認容性の賦形剤の1種以上をさらに含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、液体、クリーム、ローション、リニメント、軟膏、ジェル、ペースト、トニック、チンキ剤、経口丸剤、錠剤、カプセル、リップバーム、口腔スプレー、鼻腔スプレー又は吸入剤又はそれらの組み合わせとして治療用の形で調製される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物を含む消費者製品。
【請求項11】
前記消費者製品が、布地用ケア製品、ボディケア製品、化粧品調製物、スキンケア製品、エアケア製品又はホームケア製品であるか、又は香料消費者製品が、ファインパヒューム、スプラッシュ又はオーデパヒューム、コロン、シェーブローション又はアフターシェーブローション、液体又は固形洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、シャンプー、ヘアシェーピング製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は発汗抑制剤、脱毛剤、日焼け用製品、爪用製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイル又はゲル、又はフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、ファーニッシャーケア、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品、又はフェイスマスクもしくは他の個人の保護用品に適用される製品(フェイスマスクエアフレッシュナー用の精油ディフューザークリップなど)を含む群から選択される、請求項10に記載の消費者製品。
【請求項12】
前記消費者製品が、アルコール飲料(ビール、サイダー、フレーバー付与したアルコール飲料、スピリット、ワインなど)、炭酸ソフトドリンク、他のソフトドリンク(ボトルウォーター、フレーバーウォーター、エナジードリンク、機能性ドリンク、スポーツドリンクなど)、レディートゥードリンク(ティー、コーヒーなど)、ホットドリンク(コーヒー、ティーなど)、ジュース及びネクター、粉末ソフトドリンク(フルーツ飲料、ティーなど)を含む飲料;並びにベーカリー(ビスケット、スナックなど)シリアル、菓子類(キャンディー、ゼリー、タブレット、ガム、チューイングガム、チョコレートなど)、乳製品(牛乳、ヨーグルト及びフルーツ調整品、乳飲料など)、デザート(アイスクリーム、フルーツ及びジャムなど)、食事及び栄養(食事代替品、プロテインバー、プロテインドリンクなど)を含む甘い製品;並びに練り歯磨き及びマウスウォッシュを含むオーラルケア製品;並びに代替プロテイン(チーズ類似品、植物性プロテイン製品など)、調理済みの食事(プロセスチーズ、レディミールなど)、スナック、肉たんぱく質(加工肉、ソーセージなど)、麺類及びスープを含む塩味の効いた製品を含む群からも選択される、請求項10に記載の消費者製品。
【請求項13】
ウイルス感染の治療又は予防の方法であって、該方法が、それを必要とする人の口腔及び/又は鼻腔に、請求項1から9までのいずれかに記載の組成物を適用することを含む、ウイルス感染の治療又は予防の方法。
【請求項14】
細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイを使用して抽出物が細胞へのウイルス侵入を減少させるかどうかをアッセイすることを含む、ウイルス感染の治療又は予防において使用するための抽出物を同定する方法。
【請求項15】
前記方法が抽出物のELISAアッセイ又はSPRアッセイをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
導入
近年、ヒト集団への新規のウイルス感染症の感染頻度が増加している。例えば、西ナイルウイルスの最初の大規模感染は2000年頃にアメリカで発生し、続いて2003年にアジアでSARS-CoV感染、2009年にH1N1「豚インフルエンザ」パンデミックインフルエンザ、2012年にアジア及びアメリカでMERS-CoV感染、2016年にアメリカ大陸でのジカウイルス感染、そして2019年に始まったSARS-CoV-2による最近の世界的パンデミックが発生した。
【0002】
集団でのウイルス感染は、いくつかの基本的な治療アプローチを使用して対処できる:(i) 社会的距離を取り、予防策、例えばフェイスマスク及び表面の消毒によってウイルスの感染率を減少させる、
(ii) 感染者の「ウイルス量」を減少させ、それにより新たな宿主への感染率を減少させる、
(iii) 感染を予防する、又はウイルス量を減少させるための大規模なワクチン接種。
【0003】
さらなるアプローチは、宿主細胞のウイルス感染率を防止又は減少させることによって宿主のウイルス感染を防止することである。
【0004】
ウイルスと受容体の相互作用は、ウイルスの宿主範囲、組織親和性、及びウイルスの病因において重要な制御的役割を果たす。ウイルスは、1つ又は複数の受容体に付着し、原形質膜の障壁を乗り越え、侵入し、必要な宿主細胞機構にアクセスするための見事な戦略を利用する。ウイルス付着タンパク質は、細胞表面の「鍵穴」(受容体)と相互作用することによって宿主細胞のロックを解除する「鍵」とみなすことができ、この鍵と鍵穴の相互作用は、ウイルスが宿主細胞への侵入を成功させるために不可欠である。
【0005】
ウイルスファミリー内及びウイルスファミリー間でのウイルス受容体利用において、多くの共通したテーマが浮上しており、これはウイルスがこれらの事象を媒介するためにしばしば特定のクラスの分子を標的にすることを示す。慣用的なウイルス受容体は、シアル化グリカン、細胞接着分子、例えば免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー及びインテグリン、及びホスファチジルセリン受容体を含む。受容体使用の重複は、ウイルスがその細胞機能を利用するために特定の受容体又は「共通の鍵穴」を標的にすることを示唆しており、進化的保存も示唆している。ウイルスの病因において宿主細胞との初期のウイルスの相互作用が重要であること、及びウイルス受容体の使用が冗長であるため、これらの戦略の活用は新たな抗ウイルス治療薬の魅力的な標的となるであろう。
【0006】
宿主細胞受容体とウイルスの相互作用を予防又は低減しようとする薬剤は、典型的に、新規化学物質(NCE)のような医薬品タイプの化合物、又はモノクローナル抗体のような生物学的部分を調節するものである。しかしながら、かかる化合物は、開発に長時間かかり、高価であり、環境に対して「自然」ではなく、消費者が採用をためらう可能性があるという欠点を抱えている。
【0007】
近年のSARS-CoV-2の世界的アウトブレイク、及びそれに伴う人間社会に対する壊滅的な影響により証明されるように、ウイルス感染を予防又は治療するだけでなく、天然由来の薬剤も特定することが急務である。
【0008】
この観点から、本発明者らは、細胞受容体へのウイルスの結合を減少させることができる組成物を同定するために、公知の食品及びフレーバーの植物抽出物をスクリーニングすることを選択した。
【0009】
発明の要旨
したがって、本発明の一態様は、ウイルス感染の予防又は治療において使用するための組成物であって、前記組成物が抽出物を含み、前記抽出物が、
(i) 植物抽出物であり、
(ii) 10ppm以下のIC50で、宿主細胞へのウイルス感染を減少させ、かつ
(iii) 10mV以下のゼータ電位を有する、
前記組成物を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態は、前記組成物が、以下の1種以上からの抽出物を含むことである:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、ラミナリア属(Laminaria)種(好ましくは、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、ラミナリア・ジャポニカ(Laminaria japonica)、及び/又はラミナリア・エフェメラ(Laminaria ephemera)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(好ましくは、カメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica))、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))。
【0011】
本発明の一実施形態は、前記組成物が0mV以下のゼータ電位を有する抽出物を含むことである。好ましくは、この実施形態において、抽出物は以下の1種以上を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))。
【0012】
本発明の他の実施形態は、前記組成物が-10mV以下のゼータ電位を有する抽出物を含むことである。好ましくは、この実施形態において、抽出物は以下の1種以上を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)。
【0013】
本発明の一実施形態は、ウイルス感染がコロナウイルスによって引き起こされる。好ましくは、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0014】
本発明の一実施形態は、抽出物の濃度が10ppm以上であることである。
【0015】
本発明の一実施形態は、前記組成物が、以下の成分:抗ウイルス剤、抗菌剤、ミネラル、ミネラル塩、及び/又はビタミン、製剤学的に認容性の賦形剤のうちの1つ以上をさらに含むことである。
【0016】
本発明の一実施形態は、前記組成物が液体、クリーム、ローション、リニメント、軟膏、ジェル、ペースト、トニック、チンキ剤、軟膏、局所用、経口丸剤、錠剤、カプセル、リップバーム、スプレー、又はそれらの組み合わせとして治療用の形で調製されることである。
【0017】
本発明の他の態様は、本発明による組成物を含む消費者製品を提供することである。
【0018】
本発明の実施形態は、消費者製品が、布地用ケア製品、ボディケア製品、化粧品調製物、スキンケア製品、エアケア製品又はホームケア製品であるか、又は香料消費者製品が、ファインパヒューム、スプラッシュ又はオーデパヒューム、コロン、シェーブローション又はアフターシェーブローション、液体又は固形洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、シャンプー、ヘアシェーピング製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は発汗抑制剤、脱毛剤、日焼け用製品、爪用製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイル又はゲル、又はフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、ファーニッシャーケア、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品、又はフェイスマスクもしくは他の個人の保護用品に適用される製品(フェイスマスクエアフレッシュナー用の精油ディフューザークリップなど)であることである。
【0019】
本発明の一実施形態は、消費者製品が、アルコール飲料(ビール、サイダー、FAB、スピリット、ワインなど)、炭酸ソフトドリンク、他のソフトドリンク(ボトルウォーター、フレーバーウォーター、エナジードリンク、機能性ドリンク、スポーツドリンクなど)、レディートゥードリンク(ティー、コーヒーなど)、ホットドリンク(コーヒー、ティーなど)、ジュース及びネクター、粉末ソフトドリンク(フルーツ飲料、ティーなど)を含む飲料;並びにベーカリー(ビスケット、スナックなど)シリアル、菓子類(キャンディー、ゼリー、タブレット、ガム、チューイングガム、チョコレートなど)、乳製品(牛乳、ヨーグルト及びフルーツ調整品、乳飲料など)、デザート(アイスクリーム、フルーツ及びジャムなど)、食事及び栄養(食事代替品、プロテインバー、プロテインドリンクなど)を含む甘い製品;並びに練り歯磨き及びマウスウォッシュを含むオーラルケア製品;並びに代替プロテイン(チーズ類似品、植物性プロテイン製品など)、調理済みの食事(プロセスチーズ、レディミールなど)、スナック、肉たんぱく質(加工肉、ソーセージなど)、麺類及びスープを含む塩味の効いた製品であることである。
【0020】
本発明のさらなる態様は、ウイルス感染の治療又は予防の方法であって、該方法が、それを必要とする人の口腔及び/又は鼻腔に、特許請求の範囲に記載の請求項のいずれかに記載の組成物を適用することを含む、ウイルス感染の治療又は予防の方法を提供する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、シュードウイルス侵入アッセイを使用して抽出物が細胞へのシュードウイルス侵入を減少させるかどうかをアッセイすることを含む、ウイルス感染の治療又は予防において使用する抽出物を同定する方法を提供する。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、前記方法が抽出物のELISAアッセイ又はSPRアッセイをさらに含むことである。
【0023】
発明の説明
本発明者らは、ヒト受容体ACE2へのSARS-CoV-2の結合を減少させる食品、フレーバー又は香料の植物抽出物を同定するアッセイを開発した。驚くべきことに、500超のかかる植物抽出物のスクリーニングから、宿主細胞のウイルス感染を調節する11の植物抽出物を同定した。
【0024】
これらの食品、フレーバー及び香料、並びに薬用植物抽出物は、一般に周知であり、公知の副作用の問題がないため、本発明は、ウイルス感染を予防又は低減するための組成物における植物抽出物の使用を主張する。
【0025】
したがって、本発明の一態様は、ウイルス感染の予防又は治療において使用するための組成物であって、前記組成物が抽出物を含み、前記抽出物が、
(i) 植物抽出物であり、
(ii) 10ppm以下のIC50で、宿主細胞へのウイルス感染を減少させ、かつ
(iii) 10mV以下のゼータ電位を有する、
前記組成物を提供する。
【0026】
組成物において使用される抽出物は植物抽出物である。植物抽出物は、食品、フレーバー、伝統薬、及び/又は香料の原料として一般的に使用され、したがって周知であり、消費者に許容されている。その結果、それらの多くは市場に対する規制上の障壁が多くの場合ほとんどない。したがって、それらはウイルス感染の予防又は治療に使用するために好ましい。
【0027】
本発明の一実施形態は、前記組成物が、以下の1種以上からの抽出物を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、ラミナリア属(Laminaria)種(好ましくは、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、ラミナリア・ジャポニカ(Laminaria japonica)、及び/又はラミナリア・エフェメラ(Laminaria ephemera)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(好ましくは、カメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica))、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))。
【0028】
植物抽出物は周知であり、容易に入手できる市販品である。「抽出物」とは、未加工の植物源材料を、例えば溶媒、超臨界CO2技術、マイクロ波、蒸気、及び他の同様の方法を使用して、所望の抽出物を調製するための公知の技術を使用して加工することを含む。
【0029】
本発明において使用されうる全ての抽出物の例は、Firmenich SA社(www.firmench.com)から入手できる。
【0030】
組成物中で使用される抽出物は、10ppm以下のIC50、好ましくは7ppm以下のIC50、より好ましくは4ppm以下のIC50で、宿主細胞へのウイルス感染を減少させる。
【0031】
本明細書において、宿主細胞へのウイルス感染の減少を測定できる方法が提供される。かかる方法の使用は、ウイルス学の分野で公知であり、当業者であれば、抽出物がウイルス感染を軽減するかどうか、したがって本発明の組成物に使用できる抽出物であるかどうかを判断するために容易に採用することができる。
【0032】
IC50測定は、特定の生物学的機能(この場合は宿主細胞へのウイルス感染)を阻害する物質の効力を示す周知の尺度である。これは、in vitroで所与の生物学的プロセスを50%阻害するために、特定の阻害物質(この場合は植物抽出物)がどのくらい必要であるかを示す定量的な尺度である。植物抽出物についてのIC50測定値の計算は、本明細書に開示され、かつ当該技術分野において公知の方法を使用して当業者によって容易に実施されうる。
【0033】
本発明者らは、何百もの食品、フレーバー及び香料の植物抽出物のIC50値を算出した。彼らは、10ppm以下のIC50値が「カットオフ」値であり、それより高い値は、アッセイした植物抽出物がウイルス感染を予防又は治療できないことを示すことを確認した。好ましくは、IC50値は7ppm以下、より好ましくは4ppm以下のIC50である。
【0034】
組成物中で使用される抽出物は、10mV以下のゼータ電位を有し、宿主細胞へのウイルス感染を減少させる。
【0035】
ゼータ電位は、物質にける固有の正味電荷を測定する。この電荷は物質の機械的又は機能的特性に影響を与えうるため重要である。電荷は、抽出物又は抽出液を水相(中性pH値下)に分散させることでZetasizerにより測定されるゼータ電位値によって測定できる。ゼータ電位値は、抽出物を含む組成物中で形成されるコロイドの安定性に影響を与えてよい。
【0036】
ウイルス感染を予防又は治療する可能性に関して、特定の科学的根拠に拘束されることは望ましくないが、本発明者らは、ウイルス感染を予防又は治療するための薬剤としての抽出物の有用性は、抽出物中の成分と宿主細胞への感染部位との間の電荷相互作用の関数でありうると推測している。したがって、低いゼータ電位は、感染を媒介するためにウイルス粒子によって標的とされる細胞表面上の受容体に結合又は受容体を遮蔽することにより、宿主細胞へのウイルス感染を減少させうる。
【0037】
本発明の一実施形態は、前記組成物が0mV未満のゼータ電位を有する抽出物を含む。好ましくは、この実施形態において、抽出物は以下の1種以上を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))。
【0038】
本発明の他の実施形態は、前記組成物が-10mV以下のゼータ電位を有する抽出物を含む。好ましくは、この実施形態において、抽出物は以下の1種以上を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)。
【0039】
本発明の第1の態様は、特許請求の範囲に記載の組成物がウイルス感染症の予防又は治療のために使用できることを述べている。
【0040】
「予防する」とは、特許請求の範囲に記載された組成物が、組成物を使用しない場合に、宿主細胞へのウイルス感染を少なくとも50%防げる、低減する、又は中断することを含む。「治療する」とは、特許請求の範囲に記載された組成物が、対象における二次宿主細胞へのウイルス感染、すなわち、最初の感染事象及び場所に続く宿主生物内での複製を防げる、低減する、又は中断することを含む。「治療する」は、特許請求の範囲に記載された組成物がウイルス感染の結果の重症度、例えばより多くの宿主細胞の破壊を低減することも含む。
【0041】
好ましくは、本発明の組成物は、宿主細胞へのウイルス感染を低減又は中断する。
【0042】
ウイルス感染
本発明は、ウイルス感染症の予防又は治療に使用するための組成物を提供する。
【0043】
「ウイルス感染」は、種々の分類のウイルス病原体によって引き起こされる感染を含む。本発明の組成物において使用される抽出物は、ヒト受容体ACE2へのウイルス結合の減少を測定するアッセイによって同定された。
【0044】
したがって、本発明の実施形態は、本発明の組成物を、ヒトACE2受容体へのウイルスの結合によって引き起こされるウイルス感染を予防又は治療するために使用することである。
【0045】
ウイルスがヒトACE2受容体に結合するかどうかを測定するアッセイは、当該技術分野において周知である。例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、生物層干渉法(BLI)、及びシュードウイルス侵入アッセイを、ウイルス細胞結合特性、ウイルス侵入プロセスの測定、並びにウイルス侵入阻害剤の研究及びスクリーニングのために採用している(Baoら、Nature, 2020, 583(7818):830-833; Walls, et al. Cell, 2020, 16, 181(2):281-292.e6;Shangら、PNAS, 2020, 26, 117(21):11727-11734;Wangら、Phytomedicine, 2020, 79, 153333)。
【0046】
さらに、出願人は、ウイルスがヒトACE2受容体に結合するかどうかを当業者が同定できるようにするアッセイの適用に関する添付の実施例セクションに情報を提供した。
【0047】
ACE2はウイルス侵入のホットスポットと考えられてる。ヒトACE2受容体に結合するNL63コロナウイルス(NL63-CoV)及びSARSコロナウイルス(SARS-CoV)は当該技術分野で周知である(Wuら、Journal of Virology 2011, 85(11): 5331-5337)。
【0048】
本発明の一実施形態は、前記組成物が、RNAウイルスのコロナウイルス群によって引き起こされるウイルス感染の予防又は治療のために使用することである。
【0049】
コロナウイルスは、少なくとも1920年代から周知のウイルス群である。それらは、特有の表面突起を有する大きくほぼ球形の粒子である。それらのサイズは、平均直径80~120nmであり非常にばらつきがある。極端なサイズは直径50~200nmであることが公知である。合計分子量は平均40000kDaである。それらは、多数のタンパク質分子が埋め込まれたエンベロープに包まれている。
【0050】
スパイクはコロナウイルスの最も際立った特徴であり、コロナ又はハロ状の表面の原因となる。平均してコロナウイルス粒子は74個の表面スパイクを有する。それぞれのスパイクの長さは約20nmであり、Sタンパク質の三量体から構成されている。Sタンパク質は受容体結合ドメイン(RBD)を有し、宿主細胞の表面上の受容体タンパク質への結合を介して、ウイルスが標的宿主細胞に侵入する重要なステップを媒介する。
【0051】
好ましくは、コロナウイルスは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、HCoV-NL63、MERS-CoV、HCoV-OC43、HCoV-HKU1、HCoV-229E、MERSスパイクである。好ましくは、SARS-CoV-2、SARS-CoV、HCoV-NL63、ジャコウネコSARS-CoV、及びBatSARS-CoVr-WIV1スパイクの受容体は、ACE2である。好ましくは、HCoV-229Eスパイクの受容体は、CD13又はhAPN(アミノペプチダーゼN)とも呼ばれるANPEP(アラニルアミノペプチダーゼ)である。好ましくは、MERSスパイクの受容体は、CD26とも呼ばれるDPP4(ジペプチジルペプチダーゼ4)である。好ましくは、HCoV-HK1H及びHCoV-OC43スパイクの受容体は、9-O-アセチル化シアログリカンによって修飾される(Milletら、FEMS Microbiology Reviews, 2021, 45(3), fuaa057)。
【0052】
好ましくは、ウイルス感染は、受容体としてACE2に適用するSARS-CoV-2、SARS-CoV、HCoV-NL63、ジャコウネコSARS-CoV、及びBatSARS-CoVr-WIV1によって引き起こされる。
【0053】
本発明者らは、このウイルスの病原性株が最初に同定されて以来出現したSARS-CoV-2の種々のバリアントも調べた。本発明者らは、特に、本発明の組成物において使用される抽出物が元のウイルスの予防に有効であることを示した。本発明の好ましい実施形態は、SARS-CoV-2がSARS-CoV-2デルタバリアントであることである。
【0054】
本発明の組成物において使用するための抽出物
本発明の一実施形態は、前記組成物が、以下の1種以上からの抽出物を含む:マツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)、及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))、ユーカリ属(Eucalyptus)種(好ましくは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ユーカリ・マイデニー(Eucalyptus maidenii,)、及び/又はユーカリ・スミシー(Eucalyptus smithii))、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)、キスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)、ラミナリア属(Laminaria)種(好ましくは、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、ラミナリア・ジャポニカ(Laminaria japonica)、及び/又はラミナリア・エフェメラ(Laminaria ephemera)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(好ましくは、カメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica))、アルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))、ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)、並びにサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))。本発明の一実施形態は、組成物がマツ属(Pinus)種(好ましくは、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、バージニアマツ(Pinus virginiana)及び/又はクロマツ(Pinus thunbergia))からの抽出物を含むものである。
【0055】
好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS8023-99-2で登録されたヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)からの植物抽出物の使用に関する。
【0056】
「ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、シス-アビエタール、ベータ-ピネン、アルファピネン、アビエチン酸などを含有する多くの化合物を含む複雑なアブソリュートである。それは松の葉(針葉)から調製される(最も関連性の高い種ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)は原産がアルバニア、アルタイ、アムール、オーストリア、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、ブリヤート、中央ヨーロッパのロシア、チタ、チェコスロバキア、東ヨーロッパのロシア、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャ、ハンガリー、内モンゴル、イルクーツク、イタリア、カザフスタン、ハバロフスク、クラスノヤルスク、クリム、満州、モンゴル、ニューヨーク、北コーカサス、北ヨーロッパロシア、北西ヨーロッパR、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スペイン、スウェーデン、スイス、トランスコーカシア、トルコ、トゥヴァ、ウクライナ、西シベリア、ヤクーツキー、ユーゴスラビアであり、デンマーク、アイスランド、イリノイ、アイルランド、韓国、オランダ、ポルトガル、ヨーロッパのトルコ、バーモント州にも導入されている)。アブソリュートは、慣用的にフレーバー及び香料目的で使用される。
【0057】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のマツ種抽出物(好ましくはヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris))の量は44ppm以上である。好ましくは、本発明の組成物中のマツ種抽出物(好ましくはヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris))の量は500000ppm未満である。
【0058】
本発明の一実施形態では、組成物がユーカリ属植物(好ましくはユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus))からの抽出物を含む。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS8000-48-4で登録されたユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)からの植物抽出物の使用に関する。
【0059】
「ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、ユーカリプトール、アロマデンドレン、グロブロール、ピノカルボンなどを含有する多くの化合物を含む複雑なアブソリュートである。これは、ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)の葉から調製される(ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)は、原産がニューサウスウェールズ州、タスマニア、ビクトリア、アルバニア、アゾレス諸島、バレアレス諸島、バングラデシュ、ボリビア、カリフォルニア、カナリア諸島、中国中南部、中国南東部、コスタリカ、東エーゲ諸島、イースター諸島、エクアドル、エルサルバドル、エリトリア、エチオピア、フランス、自由州、イギリス、グアテマラ、インド、アイルランド、イタリア、フアン フェルナンデス島、ケニア、リーワード島、レッサースンダ島、マデイラ島、メキシコ南東部、メキシコ南西部、モロッコ、ニュージーランド北部、ニュージーランド南部、パキスタン、パナマ、パラグアイ、ペルー、ポルトガル、ルワンダ、サルデーニャ、シチリア島、スペイン、セントヘレナ、タンザニア、トランスコーカサス、ウガンダ、ウィンドワード島、ジンバブエである)。アブソリュートは、慣用的にフレーバー及び香料目的で使用される。「ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)」は、多くの供給元から市販されているCAS8000-48-4で登録されている材料を含む。
【0060】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)抽出物の量は51ppm以上である。好ましくは、本発明の組成物中のユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)抽出物の量は640000ppm未満である。
【0061】
本発明の一実施形態は、組成物がリベス・ニグラム(Ribes nigrum)からの抽出物を含むことである。「リベス・ニグラム(Ribes nigrum)」は、多くの供給元から市販されている、CAS97676-19-2又は68606-81-5で登録されている材料を含む。
【0062】
「リベス・ニグラム(Ribes nigrum)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、ケルセチン、グリシテインなどを含有する多くの化合物を含む複雑なアブソリュートである。これは、リベス・ニグラム(Ribes nigrum)の蕾から調製される(リベス・ニグラム(Ribes nigrum)は、原産がアルタイ、バルト三国、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、ブリヤート、中央ヨーロッパロシア、チタ、チェコスロバキア、デンマーク、東ヨーロッパのロシア、フィンランド、フランス、ドイツ、イギリス、イルクーツク、カザフスタン、クラスノヤルスク、オランダ、北ヨーロッパロシア、北西ヨーロッパR、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデン、タジキスタン、トルクメニスタン、トゥヴァ、ウクライナ、西シベリア、ヤクーツク、ユーゴスラビア、及びオーストリア、コネチカット、フォークランド諸島、ハンガリー、イリノイ、内モンゴル、アイルランド、イタリア、韓国、マガダン、メイン、満州、メリーランド、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミネソタ州、ニューブランズウィック州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ニューファンドランド、ノバスコシア、オハイオ、オンタリオ、沿海州、プリンス・エドワードI、ケベック、スイス、トルコ、ウズベキスタン、バーモント州、西ヒマラヤ、ウィスコンシン、新疆である)。アブソリュートは、慣用的にフレーバー及び香料目的で使用される。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のリベス・ニグラム(Ribes nigrum)抽出物の量は37ppm以上である。
【0064】
本発明の一実施形態は、組成物がキスツス属(Cistus)種(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)、C.ラダニフェル亜種モーリティアヌス(C. ladanifer subsp. Mauritianus)、C.ラダニフェル亜種スルカツス(C. ladanifer subsp. sulcatus)、キスツス・パルヒンハ(Cistus palhinhae)、キスツス・クリティカス(Cistus criticus)、及び/又はキスツス・ラウリフォリウス(Cistus laurifolius))からの抽出物を含むものである。
【0065】
好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS8016-26-0で登録されたキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)からの植物抽出物の使用に関する。
【0066】
「キスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、アルファ-ピネン、トランスピノカルベオール、ベルベノン、酢酸ボルニル、ボルネオール、4-テルピネノールなどを含有する多くの化合物を含む複雑なアブソリュートである。これはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)の葉及び小枝から調製される(キスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)は、原産がフランス、モロッコ、ポルトガル、スペインであり、カリフォルニア、カナリア諸島、キプロス、マデイラ島、ニュージーランド南部に導入された)。アブソリュートは、慣用的に香料目的で使用される。「キスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer)」は、多くの供給元から市販されているCAS8016-26-0で登録されている材料を含む。
【0067】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のキスツス種抽出物(好ましくはキスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer))の量は26ppm以上である。好ましくは、本発明の組成物中のキスツス種抽出物(キスツス・ラダニフェル(Cistus ladanifer))の量は435000ppm未満である。
【0068】
本発明の一実施形態は、組成物がピペル・ニグラム(Piper nigrum)からの抽出物を含むことである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS8006-82-4又は84929-41-9で登録されたピペル・ニグラム(Piper nigrum)からの植物抽出物の使用に関する。
【0069】
「ピペル・ニグラム(Piper nigrum)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、リモネン、カレン、ベータピネン、アルファピネン、ピペリン、アルファコパエン、ピペラニンなどを含有する多くの化合物を含む複雑な油状物である。これは、ピペル・ニグラム(Piper nigrum)の乾燥したコショウの実から調製される(ピペル・ニグラム(Piper nigrum)はインド原産であり、アンダマン諸島、アッサム州、バングラデシュ、ベナン、カンボジア、カメルーン、中国中南部、中国南東部、クック諸島、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、東ヒマラヤ、仏領ギアナ、ギニア、ギニア湾、ハイチ、ホンジュラス、ラオス、リーワード島、モーリシャス、メキシコ湾、ニコバル諸島、フィリピン、プエルトリコ、レユニオン、セイシェル、スリランカ、タイ、トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、ベトナム、ウィンドワード島に導入された)。油状物は、慣用的にフレーバー及び香料目的で使用される。「ピペル・ニグラム(Piper nigrum)」は、多くの供給元から市販されている、CAS8006-82-4又は84929-41-9で登録されている材料を含む。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明の組成物中のピペル・ニグラム(Piper nigrum)抽出物の量は10ppm以上である。
【0071】
本発明の一実施形態は、組成物がラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)及びマクロシスチス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera)からの抽出物の混合物を含むことである。
【0072】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)及びマクロシスチス・ピリフェラ(Macrocystis pyrifera)からの抽出物の混合物は12ppm以上である。
【0073】
好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS1207666-16-7で登録されたラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)からの植物抽出物の使用に関する。
【0074】
「ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、これらに限定されないがL-ピログルタミン酸、プロリン、ニコチン酸、マンニトールなどを含有する多くの化合物を含む複雑な抽出物である。これは、グリーンランド南部からコッド岬までの北西大西洋、及びロシア北部及びアイスランド南部からフランまでの北東大西洋に生息する海藻種ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)から調製される。「ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)」は、多くの供給元から市販されているCAS1207666-16-7で登録されている材料を含む。
【0075】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)抽出物の量は12ppm以上である。
【0076】
本発明の一実施形態は、組成物がクルクマ・ロンガ(Curcuma longa)からの抽出物を含むことである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS8024-37-1又は84775-52-0で登録されたクルクマ・ロンガ(Curcuma longa)からの植物抽出物の使用に関する。
【0077】
「クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される材料である。これは、アルファ-クルクメン、ジンギベレン、トゥメロン、クルロン、Ar-トゥメロン、クルクミンなどを含有する多くの化合物を含む複合オレオレジンである。これは、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)の根から調製される(クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)はインド原産であり、アンダマン諸島、アッサム、バングラデシュ、ベリーズ、ボルネオ、カンボジア、キャロライン諸島、中国中南部、中国南東部、コンゴ、クック諸島、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、東ヒマラヤ、イースター島、フィジー、ギルバート島、ギニアビサウ、ギニア湾、ハイチ、ハワイ、コートジボワール、ジャワ、リーワード島、小スンダ島、マラヤ、モーリシャス、ミャンマー、ニューカレドニア、ニューギニア、ニコバル島、フィリピン、ピトケアン島、プエルトリコ、クイーンズランド州、レユニオン、サモア、ソサエティ諸島、スリランカ、スマトラ島、台湾、タイ、チベット、トンガ、トリニダード・トバゴ、ベトナム、ウィンドワード諸島に導入されている)。オレオジンは、慣用的にフレーバー目的で使用される。
【0078】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のクルクマ・ロンガ(Curcuma longa)抽出物の量は18ppm以上である。
【0079】
本発明の一実施形態は、組成物がカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)(好ましくは、カメリア・シネンシス変種アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica))からの抽出物を含むものである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS68916-73-4又は84650-60-2で登録されたカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)からの植物抽出物の使用に関する。
【0080】
「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」は、フレーバー及びフレグランス業界において使用される植物抽出物である。これは、カフェイン、ケンフェロール、ケルセチン、ミリセチン、エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、ケンフェロール-7-o-グルコシド、ケルセチン-3β-D-グルコシド、7-メチルキサンチン、テオブロミン、カフェイン、D-セリン、L-アスパラギン酸、ロイシン、DL-アルギニンなどを含有する多くの化合物を含む複合抽出物である。これは、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)の葉から調製される(カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)は原産が中国中南部、中国南東部、アンダマン諸島、アルゼンチン北東部、アッサム州、バングラデシュ、ボルネオ、カンボジア、中国北中部、東ヒマラヤ、エチオピア、ギニア湾、日本、韓国、ラオス、モーリシャス、ミャンマー、ネパール、レユニオン、セイシェル、スリランカ、チベット、トリニダード・トバゴ、トルコ、ベトナムである)。抽出物は、慣用的にフレーバー目的で使用される。「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」は、多くの供給元から市販されている、CAS68916-73-4又は84650-60-2で登録されている材料を含む。
【0081】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)抽出物の量は67ppm以上である。
【0082】
本発明の一実施形態は、組成物がアルテミシア属(Artemisia)種(好ましくは、アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)、アルテミシア・スコパリア(Artemisia scoparia)、アルテミシア・ドゥラクンクルス(Artemisia dracunculus)、アルテミシア・ナカイー(Artemisia nakaii)、及び/又はアルテミシア・プベセンス(Artemisia pubescens))からの抽出物を含むものである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS223747-93-1で登録されたアルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)からの植物抽出物の使用に関する。
【0083】
「アルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)」は、中国伝統医学において使用される材料である。これは、樟脳、α-ツジョン、β-ツジョン、サビネン、α-テルピネン、ユーカリプトール、6,7-ジメチルスクレチン、α-ピネン、キャピリン、キャピレン、キャピラノール、キャピラリシン、アゼライン酸、ケルセチン、3-キナ酸、ルテオリンなどを含有する多くの化合物を含む複雑な抽出物である。
【0084】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のアルテミシア・キャピラリス(Artemisia capillaris)抽出物の量は9ppm以上である。
【0085】
本発明の一実施形態は、組成物がゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)からの抽出物を含むことである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されているゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)からの植物抽出物の使用に関する。
【0086】
「ゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)」は、中国伝統医学において使用される材料である。これは、ポテングリロシドA、パルミチン酸、β-シトステロール、安息香酸、没食子酸、サリチル酸、バニリン、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸デヒドなどを含有する多くの化合物を含む複合抽出物である。
【0087】
好ましい実施形態では、本発明の組成物中のゲウム・アレピカム(Geum aleppicum)抽出物の量は22ppm以上である。
【0088】
本発明の一実施形態では、組成物がサルビア(Salvia)種(好ましくは、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza))からの抽出物を含む。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS90106-50-6で登録されたサルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)からの植物抽出物の使用に関する。
【0089】
「サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)」は、中国伝統医学において使用される材料である。これは、サルビアノール酸B、プロトカテクアルデヒド、カフェ酸、ロスマリン酸、タンシノン、タンシノンIIA、タンシノンIIB、クリプトタンシノン、タンシノンI、ヒドロキシタンシノン、3-ヒドロキシタンシノン、タンシノ酸メチル、タンシンアルデヒド、ジヒドロタンシノンI、イソタンシオンIIA、イソタンシオンIIB、タンシノールA、タンシノールB、フェルギノール、シビリキノンA、シビリキノンBなどを含有する多くの化合物を含む複合抽出物である。
【0090】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のサルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)抽出物の量は19ppm以上である。
【0091】
本発明の一実施形態は、組成物がサルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)からの抽出物を含むことである。好ましくは、本発明は、多くの供給元から市販されている、CAS92128-82-0で登録されたサルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)からの植物抽出物の使用に関する。
【0092】
サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)は東太平洋及び南半球で生じる。抽出物は、慣用的にフレーバー目的で使用される。
【0093】
好ましい実施形態において、本発明の組成物中のサルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza)抽出物の量は12ppm以上である。
【0094】
ウイルス感染の治療又は予防に使用するための抽出物を同定する方法
本発明のさらなる態様は、細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイを使用して抽出物が細胞へのウイルス侵入を減少させるかどうかをアッセイすることを含む、ウイルス感染の治療又は予防において使用するための抽出物を同定する方法を提供する。
【0095】
本明細書において、宿主細胞へのウイルス感染の減少を測定できる方法が提供される。かかる方法の使用は、ウイルス学の分野で公知であり、当業者であれば、抽出物がウイルス感染を軽減するかどうか、したがって本発明の組成物に使用できる抽出物であるかどうかを判断するために容易に採用することができる。
【0096】
本発明の一実施形態において、本発明の方法は、試験抽出物のIC50値を決定し、その値が7ppm以下である場合、抽出物はウイルス感染の治療又は予防において使用される抽出物であるとみなされる。
【0097】
植物抽出物についてのIC50測定値の計算は、本明細書に開示され、かつ当該技術分野において公知の方法を使用して当業者によって容易に実施されうる。
【0098】
本発明のさらなる実施形態は、前記方法が抽出物のELISAアッセイ又はSPRアッセイをさらに含むことである。
【0099】
本明細書において、ELISAアッセイ又はSPRアッセイを使用して、宿主細胞へのウイルス感染の減少を測定できる方法が提供される。かかるなアッセイを、細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイの前に、ウイルス感染阻害の可能性がある抽出物を同定するための「プレスクリーニング」として使用できる。
【0100】
本発明の組成物
本発明の一実施形態において、本発明の組成物は、以下の成分:抗ウイルス剤、抗菌剤、ミネラル、ミネラル塩、及び/又はビタミン、製剤学的に認容性の賦形剤のうちの1つ以上をさらに含んでよい。
【0101】
本発明の組成物は、1種以上の抗ウイルス剤も含んでよい。
【0102】
抗ウイルス剤は、例えばゲノムの複製の防止、宿主細胞への侵入の阻止、又はウイルスタンパク質の合成もしくはウイルス構築の阻害によってウイルスの蔓延を阻害する薬剤である。
【0103】
本発明の組成物において使用できるかかる薬剤の例は、アダマンタン系抗ウイルス剤、抗ウイルスブースター、抗ウイルス合剤、抗ウイルスインターフェロン、ケモカイン受容体拮抗薬、インテグラーゼ鎖転移阻害剤、各種抗ウイルス薬、ノイラミニダーゼ阻害剤、NNRTI、NS5A阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、プロテアーゼ阻害剤及びプリンヌクレオシドを含む。
【0104】
本発明の組成物は、1種以上の抗菌剤も含んでよい。適した抗菌剤は、エタノール、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン(CHX)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛(ZnCl2)を含む。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、ミネラル、ミネラル塩、又はそれらの組み合わせをさらに含んでよい。かかるミネラルは、限定されないが、セレン、硫黄、亜鉛、鉄、塩素、コバルト、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素を含みうる。
【0106】
局所製剤中のミネラル又はミネラル塩の量は、限定されないが、あらゆる治療有効量を含む。例えば、ミネラル又はミネラル塩は、組成物の合計量に対して約0.01質量%~約5質量%、組成物の合計量に対して約0.1質量%~約1質量%、又はこれらの範囲例に包含される任意の範囲もしくは個々の濃度を有してよい。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態において、組成物は、ビタミン又はビタミンの組み合わせをさらに含んでよい。ビタミンは有機分子であり、生物が適切な生物学的機能及び代謝を維持するために必要な必須栄養素である。本発明に包含されるビタミンは、限定されないが、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB4、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB8、ビタミンB9、ビタミンB10、ビタミンB11、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKであってよい。
【0108】
局所製剤中のビタミンの量は、限定されないが、あらゆる治療有効量であってよい。例えば、ビタミンは、組成物の合計量に対して約0.01質量%~約5質量%、組成物の合計量に対して約0.1質量%~約1質量%、又はこれらの範囲例に包含される任意の範囲もしくは個々の濃度を有してよい。
【0109】
本発明の組成物は、1種以上の製剤学的に認容性の賦形剤も含んでよい。
【0110】
製剤学的に認容性の賦形剤は、固体、半固体、ゼラチン状、液体、又はそれらの組み合わせの形であってよい。特定の実施形態において、前記組成物は、経口剤形、例えば固体、半固形、ゼラチン状、又は液体の経口剤形である。しかしながら、前記組成物は当該技術分野において公知の他の剤形であってもよいことを理解すべきである。
【0111】
液体剤形の場合、製剤学的に認容性のキャリヤーは、水、油、アルコール、又はそれらの組み合わせを含んでよい。経口剤形は、100ミリリットル未満の量で存在してよい。組成物及び成分の粉末/砕けやすい形は、例えば、混合物を飲むことによる経口投与のために、フルーツジュースのような食品由来の飲料と混合されてよいことを理解すべきである。
【0112】
固体剤形である場合、製剤学的に認容性のキャリヤーは、例えば、粉末混合物を圧縮することによって得られる圧縮剤形、例えば圧縮錠剤又はカプレットであってよい。粉末混合物は、当該技術分野において公知である、1種以上の活性植物抽出物、及び任意に1種以上の賦形剤、例えばバインダー、崩壊剤、滑沢剤、充填剤などを含んでよい。
【0113】
本発明の組成物の調製物及び配合物
本発明の組成物は、液体、クリーム、ローション、リニメント、軟膏、ジェル、ペースト、トニック、チンキ剤、経口丸剤、錠剤、カプセル、リップバーム、スプレー又は吸入剤又はそれらの組み合わせとして治療用の形で配合されてよい。
【0114】
かかる組成物は、吸入器、ネブライザー、アトマイザー、経口スプレー、鼻スプレー、又は点滴器のような、対象の上気道に送達するための適切な薬剤送達システムに包装されるか及び/又はそれを介して投与されてよい。
【0115】
かかる送達システムの使用を介することを含むこれらの製剤で投与する場合に、これらの組成物は、例えば治療される対象の呼吸上皮細胞、アデノイド上皮細胞又は気管支上皮細胞を含む上皮細胞に適用されてよい。代わりに、又はさらに、これらの組成物は、治療される対象の内皮細胞に適用されてよい。組成物は、予防又は治療が必要な場合、又は必要に応じて、1日1~4回以上投与してよい。
【0116】
一実施形態において、1種以上の組み合わせの成分が経口剤形として提供される。経口剤形は、錠剤(コーティング又はコーティングされていない)、カプセル(ハード又はソフトシェル)、カプレット、丸薬、トローチ、シロップ、溶液、粉末、顆粒、エリキシル剤及び懸濁液、舌下錠、ウエハース、又はパッチ、例えば頬パッチを含む。経口剤形は、サッシェ又はスティックパックも含んでよい。
【0117】
好ましくは、本発明の組成物は錠剤として提供される。
【0118】
したがって、本発明の一実施形態において、成分のうちの少なくとも1つ(好ましくは全ての成分)が錠剤中に提供される。一実施形態において、全ての成分が錠剤で提供され、特に全ての組み合わせの成分が同一の錠剤で提供され、すなわち組み合わせが単位用量又は固定用量で投与される。
【0119】
典型的に、錠剤は、1種以上の製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤を含む。製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤は、例えば、キャリヤー(例えば、固体、液体又は半固体のキャリヤー)、補助剤、希釈剤、充填剤又は増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、懸濁剤、増粘剤、香料、甘味料、味マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物もしくは栄養補助食品組成物において従来使用されている他の賦形剤から選択されうる。
【0120】
好ましくは、本発明の組成物は、製剤学的又は栄養補助食品として認容性の充填剤又は増量剤と共に配合される。
【0121】
クリームは、ほぼ同等の割合での油と水の半固体のエマルションをいう。これらは2つのタイプに分けられる:連続相に分散した小さな油滴から構成される水中油型(O/W)クリーム;連続油相に分散した小さな液滴から構成されている油中水型(W/O)クリーム。クリームは皮膚を保護するバリアを提供できる。これは、物理的バリア又はUV吸収化合物の場合と同様の化学的バリアであってよい。水分の保持を助けるために(特に油中水型クリーム)、クリームは、通常、クレンジング、エモリエント効果のために、及び原薬の媒体、例えば局所麻酔薬、抗炎症薬(NSAID又はコルチコステロイド)、ホルモン、抗生物質、抗真菌剤、又は抗刺激剤として、使用される。
【0122】
リニメント又はバームは、ローションと同様の粘度であり、軟膏又はクリームよりも粘度が低い局所用製剤である。リニメントは、一般的に、リニメントを皮膚に擦り込むことによって摩擦を加えて塗布される。リニメントは、典型的に、アルコール、アセトン、又は同様の急速に蒸発する溶媒から配合され、抗刺激性芳香族化合物、例えばサリチル酸メチル、ベンゾイン樹脂、又はカプサイシンを含んでよい。
【0123】
軟膏は、油と水が7:1~2:1、5:1~3:1、又は4:1の割合で提供される組成物である。軟膏は、一般的に、油、ワックス、水、アルコール、石油製品、水、及び他の薬剤を使用して配合して、種々の粘度及び溶媒特性の製剤を調製される。慣用的に使用される配合物は、油性基剤(白色軟膏)、吸収基剤、W/O乳化基剤(コールドクリーム型基剤)、O/W乳化基剤(親水性軟膏)、水溶性基剤などを含む。これらの調合物は、薬用又は化粧品として価値のある物質又は製品を溶解又は懸濁するために使用される。
【0124】
ローションは、低粘度から中粘度の局所用製剤である。ほとんどのローションは、これら2つの相の分離を防ぐために乳化剤、例えばセチルアルコールを含む水中油型エマルションである。ローションは、香料、グリセロール、ワセリン、染料、防腐剤、タンパク質、及び安定化剤を含みうる。
【0125】
いくつかの実施形態において、組成物はチンキの形であってよい。チンキは、治療が必要な対象にハーブ成分を経口投与するための方法を提供するハーブ抽出物である。チンキは、1種又は複数のハーブ又は成分及びその組み合わせを適した溶媒と混合することによって調製され、その際1種又は複数のハーブの成分又は複数のハーブの成分又はその組み合わせが、ハーブの1種又は複数の成分が適度に溶解する溶媒中に抽出される。本発明における適したチンキ溶媒は、製剤学的に認容性の溶媒、例えば有機溶媒、水系溶媒、アルコール、及び他の経口投与可能な溶媒、例えばこれらに制限されないが水、精製水、保存水、植物性グリセリン、炭酸プロピレン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB)、ポリエチレングリコール、グリセロール、米ぬか油及びそれらの組み合わせを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、組成物はトニックの形であってよい。トニックは、治療が必要な対象にハーブ成分を経口投与するための方法を提供する抽出物である。トニックは、1種又は複数のハーブの成分及びそれらの組み合わせを適した溶媒と混合することによって調製され、その際、1種又は複数のハーブの成分又はそれらの組み合わせは、加熱によって溶媒中に抽出され、多くの場合、溶媒がハーブの1種又は複数の成分が適度に溶解する沸点に達するのに必要な加熱が行われる。本発明における適したトニック溶媒は、製剤学的に認容性の溶媒、例えば有機溶媒、水系溶媒、アルコール、及び他の経口投与可能な溶媒、例えばこれらに制限されないが水、精製水、保存水、植物性グリセリン、炭酸プロピレン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(MMB)、ポリエチレングリコール、グリセロール、米ぬか油及びそれらの組み合わせを含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、組成物はカプセルの形であってよい。カプセルは、一般的に、ハードシェルカプセル又はソフトシェルカプセルのいずれかのクラスに分類されるが、いずれかのクラスに限定される必要はない。ハードシェルカプセルは、一般的に、必ずしも必要ではないが、乾燥、粉末、又は顆粒状の成分を含有し、一方で、ソフトシェルプセルは、主に、必ずしも必要ではないが、油、薬剤、又はそれらの組み合わせを含有する。
【0128】
一実施形態において、1種以上の組み合わせの成分が経口剤形として提供される。経口剤形は、錠剤(コーティング又はコーティングされていない)、カプセル(ハード又はソフトシェル)、カプレット、丸薬、トローチ、シロップ、溶液、粉末、顆粒、エリキシル剤及び懸濁液、舌下錠、ウエハース、又はパッチ、例えば頬パッチを含む。経口剤形は、サッシェ又はスティックパックも含んでよい。
【0129】
好ましくは、本発明の組成物は錠剤として提供される。
【0130】
したがって、本発明の一実施形態において、成分のうちの少なくとも1つ(好ましくは全ての成分)が錠剤中に提供される。一実施形態において、全ての成分が錠剤で提供され、特に全ての組み合わせの成分が同一の錠剤で提供され、すなわち組み合わせが単位用量又は固定用量で投与される。
【0131】
典型的に、錠剤は、1種以上の製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤を含む。製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤は、例えば、キャリヤー(例えば、固体、液体又は半固体のキャリヤー)、補助剤、希釈剤、充填剤又は増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、懸濁剤、増粘剤、香料、甘味料、味マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物もしくは栄養補助食品組成物において従来使用されている他の賦形剤から選択されうる。
【0132】
好ましくは、本発明の組成物は、製剤学的又は栄養補助食品として認容性の充填剤又は増量剤と共に配合される。
【0133】
賦形剤の例は、無水第二リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース及びマルトデキストリンを含む。
【0134】
好ましくは、本発明の組成物はカプセルで提供される。
【0135】
したがって、本発明の一実施形態において、成分のうちの少なくとも1つ(好ましくは全ての成分)がカプセル中に提供される。一実施形態において、全ての成分がカプセルで提供され、特に全ての組み合わせの成分が同一のカプセルで提供され、すなわち組み合わせが単位用量又は固定用量で投与される。
【0136】
典型的に、カプセルは、1種以上の製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤を含む。製剤学的又は栄養補助食品として認容性の賦形剤は、例えば、キャリヤー(例えば、固体、液体又は半固体のキャリヤー)、補助剤、希釈剤、充填剤又は増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、懸濁剤、増粘剤、香料、甘味料、味マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物もしくは栄養補助食品組成物において従来使用されている他の賦形剤から選択されうる。
【0137】
賦形剤の例は、無水第二リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン、及びヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0138】
好ましくは、本発明の組成物は顆粒として提供される。
【0139】
したがって、本発明の一実施形態において、成分のうちの少なくとも1つ(好ましくは全ての成分)が顆粒として提供される。一実施形態において、全ての成分が顆粒で提供され、特に全ての組み合わせの成分が単一の顆粒で提供され、すなわち組み合わせが単位用量又は固定用量で投与される。顆粒は、サッシェ又はスティックパックに包装されてよい。
【0140】
顆粒は、当該技術分野において公知の乾式又は湿式造粒技術によって調製されてよい。
【0141】
本発明の組成物は、オーラルケア製品として調製され提供されてもよい。
【0142】
本発明の一実施形態は、オーラルケア製品が、練り歯磨き、歯磨き粉、歯磨きジェル、歯洗浄液、歯洗浄フォーム、マウスウォッシュ、マウスリンス、マウススプレー、デンタルフロス、チューインガム、デンタルアライナー及びロゼンジからなる群から選択される。
【0143】
本明細書において使用される場合に、「オーラルケア製品」は、通常の使用過程において、特定の治療剤の全身投与の目的で意図的に飲み込まれないが、むしろ、口腔活性の目的のために実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織に接触するために十分な時間口腔内に保持される製品を意味する。オーラルヘルスケア組成物は、練り歯磨き、歯磨き剤、歯磨きジェル、歯肉縁下ジェル、マウスリンス、溶液、ムース、フォーム、義歯ケア製品、マウススプレー、ロゼンジ又はチュアブル錠を含む種々の形であってよい。オーラルヘルスケア組成物は、口腔表面に直接塗布又は付着するためにフロス、ストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよく、又はデバイス又はアプリケータ、例えば歯ブラシ、歯科用アライナー又はロールオンに統合されてもよい。かかるアプリケータは、単回使用又は複数回使用することができる。
【0144】
本明細書において使用される場合に、「歯磨き剤」という用語は、特に指定しない限り、ペースト、ゲル、又は液体製剤を含む。歯磨き剤組成物は、単相組成物であってよく、又は2つ以上の別個の歯磨き剤組成物の組み合わせであってよい。歯磨き剤組成物は、深い縞模様、表面縞模様、多層、ペーストの周囲にゲルを有する、又はそれらの任意の組み合わせなど、任意の所望の形であってよい。2つ以上の別個の歯磨き剤組成物を含む歯磨き剤中のそれぞれの歯磨き剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画に収容され、並べて分配されてよい。
【0145】
本明細書において使用される場合に、「ディスペンサー」という用語は、歯磨き剤のような組成物を分配するために適した任意のポンプ、チューブ、又は容器をいう。
【0146】
消費者製品
本発明の一態様は、特許請求の範囲のいずれかに記載した組成物を含む消費者製品を提供する。
【0147】
消費者製品は、医薬品小売店で公知の「店頭販売」製品であってよい。本明細書では、消費者製品が、当該技術分野において公知の風邪薬、リップクリーム、スプレー、軟膏、治療用トニック飲料、及び栄養補助食品である場合が含まれる。
【0148】
本発明の組成物を組み込む消費者製品の例は、食用ゲル混合物及び組成物、歯科用組成物、食品飲料及び飲料製品も含む。
【0149】
フレーバー付与した消費者製品の適した形の網羅的でないリストは、揚げ物、冷凍マリネしたもの、衣付けしたもの、冷蔵したもの、脱水したもの、粉末ブレンドしたもの、缶詰再構成したもの、レトルト、焼いたもの、調理したもの、発酵したもの、マイクロフィルター、低温殺菌したもの、ブレンドしたもの又は保存したものが含まれうる。したがって、本発明に従ってフレーバー付与した消費者製品は、本発明の組成物、及び所望の食用品の味覚及びフレーバープロフィールに対応する任意に有効物質、例えばクリームデザートを含む。
【0150】
かかる消費者製品は、消費者の体験を向上させるためのさらなる成分を含んでよい。
【0151】
消費者製品はさらに香料を含んでよい。適したフレーバー剤の例は、これらに制限されないが、アネトール、アニス油、ベンズアルデヒド、ブラックベリー、ブルーベリー、キャラウェイ、キャラウェイオイル、カルダモンオイル、カルダモンシード、チェリージュース、チェリーシロップ、シナモン、桂皮油、アルコール、桂皮水、クエン酸、クエン酸シロップ、クローブ油、ココア、コリアンダー油、ブドウ糖、エリオディクチオン、酢酸エチル、エチルバニリン、ウイキョウ油、ショウガ、ブドウ糖、グリセリン、カンゾウ、ブドウ、ハチミツ、ラベンダー油、レモン油、ライム、マンニトール、サリチル酸メチル、ミリスチカ油、オレンジ油オレンジピール、オレンジシロップ、ペパーミント、ペパーミント油、ペパーミント水、フェニルエチルアルコール、パイナップル、ラズベリージュース、ラズベリーシロップ、ローズマリー油、ローズ油、ローズ水、サルサパリラシロップ、ソルビトール、スペアミント、スペアミント油、イチゴ、スクロース、フルクトース、フルーツジュース、タイムオイル、トルバルサム、バニラ、バニリン、ワイルドチェリーシロップ、及びそれらの組み合わせを含む。
【0152】
消費者製品の一部であってよい他の成分は冷却剤であり、一般的に組成物の0.001%~0.8%の量で使用される。組成物に使用されてよい清涼剤の例は、メントール、p-メンタンカルボキサミド化合物、例えばN-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド、アルコール誘導体、例えば3-1-メントキシ-プロパン-1,2-ジオール、イソプレゴール、p-メンタン-3,8-ジオール;メントングリセロールアセタール;メンチルエステル類、例えば酢酸メンチル、アセト酢酸メンチル、乳酸メンチル、コハク酸モノメンチルを含む。
【0153】
消費者製品は、布地用ケア製品、ボディケア製品、化粧品調製物、スキンケア製品、エアケア製品又はホームケア製品であるか、又は香料消費者製品が、ファインパヒューム、スプラッシュ又はオーデパヒューム、コロン、シェーブローション又はアフターシェーブローション、液体又は固形洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、シャンプー、ヘアシェーピング製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は発汗抑制剤、脱毛剤、日焼け用製品、爪用製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイル又はゲル、又はフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、ファーニッシャーケア、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品、又はフェイスマスクもしくは他の個人の保護用品に適用される製品(フェイスマスクエアフレッシュナー用の精油ディフューザークリップなど)を含む群から選択される。
【0154】
消費者製品は、アルコール飲料(ビール、サイダー、フレーバー付与したアルコール飲料、スピリット、ワインなど)、炭酸ソフトドリンク、他のソフトドリンク(ボトルウォーター、フレーバーウォーター、エナジードリンク、機能性ドリンク、スポーツドリンクなど)、レディートゥードリンク(ティー、コーヒーなど)、ホットドリンク(コーヒー、ティーなど)、ジュース及びネクター、粉末ソフトドリンク(フルーツ飲料、ティーなど)を含む飲料;並びにベーカリー(ビスケット、スナックなど)シリアル、菓子類(キャンディー、ゼリー、タブレット、ガム、チューイングガム、チョコレートなど)、乳製品(牛乳、ヨーグルト及びフルーツ調整品、乳飲料など)、デザート(アイスクリーム、フルーツ及びジャムなど)、食事及び栄養(食事代替品、プロテインバー、プロテインドリンクなど)を含む甘い製品;並びに練り歯磨き及びマウスウォッシュを含むオーラルケア製品;並びに代替プロテイン(チーズ類似品、植物性プロテイン製品など)、調理済みの食事(プロセスチーズ、レディミールなど)、スナック、肉たんぱく質(加工肉、ソーセージなど)、麺類及びスープを含む塩味の効いた製品を含む群からも選択される。
【0155】
本発明は、本発明の利益及び利点を説明する次の実施例によってさらに詳細に記載される。
【0156】
実施例
実施例1:ウイルス活性に干渉する植物抽出物を同定するための細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイ
一般的に、シュードウイルス侵入アッセイを、SARS-CoV-2(2019-nCoV)スパイクシュードウイルス(PSV001、Sino Biological)を使用して、細胞表面上でhACE2を過剰発現しているヒト細胞293T-ACE2(OEC001、Sino Biological)に感染させることによって実施する。SARS-CoV-2スパイクシュードウイルス(1010ウイルスコピー/mL)を、HIV骨格に基づいて開発し、SARS-CoV-2スパイクS1サブユニット(860ng/mL)によってパッケージ化し、シュードウイルス内にルシフェラーゼ遺伝子を含んでいる。これは、SARS-CoV-2スパイクS1を介してヒト細胞293T-ACE2に結合し、細胞に侵入し、そしてそのルシフェラーゼ遺伝子が293T-ACE2によって発現されて、ウイルスの侵入を表すルシフェラーゼの相対光単位(RLU)(約106まで)を測定できる(このシュードウイルス侵入アッセイを、典型的に、血清試料中のSARS-CoV-2の中和抗体の存在を試験するために使用する)。全ての抽出物を使用前に2%のDMSOに溶解する。
【0157】
調製:
1. 植物抽出物試料をDMEM培地でそれぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、及び0.39ppmに希釈する。
2. 陽性対照であるSARS-CoV-2中和抗体を、DMEM培地でそれぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mLに希釈する。
【0158】
アッセイ手順:
1. 293T-ACE2細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM培地100μL中、3×104細胞/ウェルで96ウェルプレートにロードし、ウォータージャケット付きCO2インキュベーター内で37℃で5%CO2でインキュベートする。
2. SARS-CoV-2中和抗体希釈液50μL(それぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mL)又は植物抽出物試料の希釈液(それぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、及び0.39ppm)又は陰性対照DMEM培地を、50μLのシュードウイルス溶液(1010ウイルスコピー/mL)と予め混合する。
3. そしてその混合物を、293T-ACE2細胞で調製したプレートにロードし、ウォータージャケット付きCO2インキュベーター内で37℃、5%CO2で48時間インキュベートする。(したがって、植物抽出物試料の希釈の使用濃度は、それぞれ12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、0.39ppm、0.2ppm、0.1ppmである。)
4. それぞれウェルのRLUを、Centro LB 960 Microplate Luminometer(Berthold Technologies)で検出する。
a) 293T-ACE2細胞100μL及びDMEM培地100μLのみを添加したウェルのRLU値をRLU陰性対照として設定する。
b) 293T-ACE 細胞100μL、DMEM培地50μL、及びSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU陽性対照として設定する。
c) 293T-ACE2細胞100μL、植物抽出液希釈液50μL(それぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm及び0.39ppm)、及びSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU試料試験物として設定する。
d) 293T-ACE2細胞100μL、SARS-CoV-2中和抗体希釈液50μL(それぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mL)、SARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU抗体として設定する。
5. アッセイのデータ処理を以下の方程式のように算出する:
a) 植物抽出物試料希釈液の阻害率%=[1-(RLU試料試験物-RLU陰性対照)/(RLU陽性対照-RLU陰性対照)]×100%
b) 中和抗体希釈液の阻害率%=[1-(RLU抗体-RLU陰性対照)/(RLU陽性対照-RLU陰性対照)]×100%。
【0159】
IC50(ppm又はμg/mL)を、以下のReed-Muench法により算出する。そして、植物抽出物試料の異なるバッチのIC50に基づいて平均IC50を算出する。
【0160】
【表1】
【0161】
実施例2:受容体へのウイルススパイク結合に干渉する植物抽出物を同定するためのELISAスクリーニング
一般的に、干渉する植物抽出物のELISAスクリーニングを、SARS-CoV-2(2019-nCoV)阻害剤スクリーニングELISAキット(KIT001、Sino Biological)を使用することにより実施する。全ての植物抽出物を使用前に2%のDMSOに溶解する。
【0162】
試薬の調製:使用前に全ての溶液を室温でバランスをとる
1. 20×洗浄バッファー濃縮物20mLを蒸留水に添加して、400mLの1×洗浄バッファーを得る。
2. 20×希釈バッファー濃縮物5mLを蒸留水に添加して、100mLの1×希釈バッファーを得る。
3. SARS-CoV-2阻害剤を希釈バッファーで12μg/mL、4μg/mL、1.33μg/mL、0.44μg/mL、0.15μg/mL、0.05μg/mL、0.0165μg/mL、0.0055μg/mL、0.0018μg/mL、及び0.0006μg/mLに希釈する。
4. 植物抽出物試料を希釈バッファーで100ppm、50ppm、25ppm、12.5ppm、及び6.25ppmに希釈する。
5. hACE2(Hisタグ)組換えタンパク質を、希釈バッファー1mLをストック(2mg/mL)に添加することにより調製し、そして使用前に希釈バッファーで1:40に希釈する。
6. 抗HisタグAb(HRP)を、使用前に希釈バッファーで1:3000に希釈する。
7. 基質溶液を、使用後10分以内に光から保護し、発色試薬AとBを1:1で混合することによって調製する。得られた混合物は1ウェルあたり200μL必要である。
【0163】
アッセイ手順:
1. 洗浄バッファー300μLを使用してマイクロプレート(0.5μg/mLのSARS-CoV-2スパイクRBDでプレコートした)のウェルを洗浄し、そしてプレートをデカントしてきれいなペーパータオルに吸い取ることを3回繰り返して完全に除去する。
2. 100μLのSARS-CoV-2阻害剤希釈液(それぞれ12μg/mL、4μg/mL、1.33μg/mL、0.44μg/mL、0.15μg/mL、0.05μg/mL、0.0165μg/mL、0.0055μg/mL、0.0018μg/mL、及び0.0006μg/mL)又は植物抽出物試料希釈液(それぞれ100ppm、50ppm、25ppm、12.5ppm、及び6.25ppm)をウェルごとに添加し、そして100μLのhACE2(50ng/mL、Hisタグ)をそれぞれのウェルに添加する。マイクロプレートを密閉し、室温で1時間インキュベートする。(インキュベーションが抽出物試料希釈液とhACE2の1:1混合物であるため、データ処理ステップにおける植物抽出物試料希釈液の作業濃度をそれぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、及び3.13ppmに設定する。)
3. 洗浄バッファー300μLを使用してインキュベートしたマイクロプレートのウェルを洗浄し、そしてプレートをデカントしてきれいなペーパータオルに吸い取ることを3回繰り返して完全に除去する。
4. 使用濃度で抗Hisタグ抗体(HRP)100μLをそれぞれのウェルに添加する。マイクロプレートを密閉し、室温で1時間インキュベートする。
5. 洗浄バッファー300μLを使用してインキュベートしたマイクロプレートのウェルを洗浄し、そしてプレートをデカントしてきれいなペーパータオルに吸い取ることを3回繰り返して完全に除去する。
6. 基質溶液200μLをそれぞれのウェルに添加する。マイクロプレートを光から保護し、室温で15分間インキュベートする。
7. 停止液50μLをそれぞれのウェルに添加し、よく混合する。
8. それぞれのウェルの光学濃度を、450nmに設定したマイクロプレートリーダー(Multiskan MK3、Thermo)を使用して15分以内に検出する。
a) hACE2(Hisタグ)及び抗Hisタグ抗体(HRP)と連続してインキュベートしたウェルの光学密度をバックグラウンドOD450として設定する。
b) 植物抽出物試料希釈液(それぞれ100ppm、50ppm、25ppm、12.5ppm、及び6.25ppm)及びhACE2(Hisタグ)及び抗Hisタグ抗体(HRP)と連続してインキュベートしたウェルの光学密度を試料試験物OD450として設定する。
c) SARS-CoV-2阻害剤希釈液(それぞれ12μg/mL、4μg/mL、1.33μg/mL、0.44μg/mL、0.15μg/mL、0.05μg/mL、0.0165μg/mL、0.0055μg/mL、0.0018μg/mL、及び0.0006μg/mL)及びhACE2(Hisタグ)及び抗Hisタグ抗体(HRP)と連続してインキュベートしたウェルの光学密度を陽性対照OD450として設定する。
9. アッセイのデータ処理を以下の方程式のように計算する:
a) 植物抽出物試料希釈の結合率=試料試験物OD450/バックグラウンドOD450×100%
b) SARS-CoV-2阻害剤希釈の結合率=陽性対照OD450/バックグラウンドOD450×100%。
【0164】
したがって、それぞれの植物抽出物試料のIC50(ppm)を、用量(植物抽出物試料希釈)-応答(結合率)曲線を使用して計算する。
【0165】
【表2】
【0166】
実施例3:マツ種(ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris))からの植物抽出物のSPRアッセイ
植物抽出物のSPRアッセイを、Biacore T200(GE Healthcare)を使用して実施する。一般に、SARS-CoV-2スパイクRBD(1.78mg/mL、Sino Biological)を、GE Healthcare BiacoreTMセンサーチップCM5に固定する。hACE2タンパク質(0.26mg/mL、Sino Biological)を分析物として使用する。
【0167】
アッセイ手順:
1. EDC/NHSを使用して、5分間センサーチップCM5の平衡を保つ。
2. SARS-CoV-2RBDを10mM酢酸ナトリウム(pH4.5)を使用して5μg/mLに希釈し、そして合計量1200RUのSARS-CoV-2スパイクRBDをセンサーチップCM5に固定する。
3. 10mMのHEPES(pH8.0、150mM NaCl、0.05%P20)をランニングバッファーとして使用する。ベースライン信号をBiacore T200によって記録する。
4. 分析時に、分析物hACE2をランニングバッファーで濃度0μg/mL、1.625μg/mL、3.25μg/mL、6.5μg/mL、13、26μg/mL(0nM、19.1nM、38.2nM、76.4nM、153nM、306nMに相当)に希釈する。異なる濃度の分析物を、30μL/分で3分間ポンプで注入し、hACE2をCM5上のSARS-CoV-2スパイクRBDに結合させる。そして、ランニングバッファーを7分間注入して、hACE2とSARS-CoV-2スパイクRBDとの間の結合を解離する。シグナル曲線をBiacore T200によって記録し、制御データとしてkオン(1/Ms)、kオフ(1/s)、及びKD(M)を算出するために使用する。
5. スクリーニングにおいて、植物抽出物に検体をポンプで注入し、kオン(1/Ms)、kオフ(1/s)、及びKD(M)の変化を測定する。
【0168】
【表3】
【0169】
KDマツは、KD対照の2倍であり、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)抽出物がhACE2とSARS-CoV-2RBDの間の結合を干渉することを示す。
【0170】
実施例4:植物抽出物のゼータ電位
一般に、抽出物のゼータ電位を、Zetasizer Nano ZS(Malvern)を使用して試験する。全ての植物抽出物を使用前に2%のDMSOに溶解する。抽出物を、pH7.0±0.2の水相(脱イオン水)に希釈する。そして、希釈液を一定温度(25℃)下で測定用のセルに入れた。
【0171】
【表4】
【0172】
実施例5:植物抽出物を含むフレーバーの細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイ
ラミナリア属種とマクロシスチス属種からの混合抽出物、さらにカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)抽出物は、お茶配合物中の適した成分と考えられ、したがって、干渉効果をさらに試験するために単純なティーフレーバーとして配合する。ラミナリア属種とマクロシスチス属種からの混合抽出物を1.2ppmで使用し、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)抽出物を18ppmで使用する。
【0173】
シュードウイルス侵入アッセイを実施例1に記載したように実施する。アッセイにおけるラミナリア属種及びマクロシスチス属種の使用濃度が0.3ppmである一方で、アッセイにおけるカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)の使用濃度は4.5ppmである。アッセイのデータ処理を以下の方程式のように計算する:
フレーバーの阻害率%=[1-(RLUフレーバー-RLU陰性対照)/(RLU陽性対照-RLU陰性対照)]×100%。
【0174】
残りの結果は以下の表にある。フレーバーID1はウイルスの侵入を80%阻害した。
【0175】
【表5】
【0176】
実施例6:SARS-CoV-2デルタバリアントB.1.617.2のスパイクに対する植物抽出物の細胞ベースのシュードウイルス侵入アッセイ
一般的に、シュードウイルス侵入アッセイを、デルタバリアントB.1.617.2のSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス(PSV011、Sino Biological)を使用して、細胞表面上でhACE2を過剰発現しているヒト細胞293T-ACE2(OEC001、Sino Biological)に感染させることによって実施する。デルタバリアントB.1.617.2のSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス(1010ウイルスコピー/mL)を、デルタバリアントB.1.617.2のスパイクに基づいて開発し、シュードウイルス内にルシフェラーゼ遺伝子を含む。これは、デルタバリアントB.1.617.2のスパイクS1を介してヒト細胞293T-ACE2に結合し、細胞に侵入し、そしてそのルシフェラーゼ遺伝子が293T-ACE2によって発現されて、細胞侵入を表すルシフェラーゼの相対光単位(RLU)(約106まで)を測定できる。全ての植物抽出物を使用前に2%のDMSOに溶解する。
【0177】
調製:
1. 植物抽出物試料をDMEM培地でそれぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、及び0.39ppmに希釈する。
2. 陽性対照であるSARS-CoV-2中和抗体を、DMEM培地でそれぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mLに希釈する。
【0178】
アッセイ手順:
1. 293T-ACE2細胞を、10%FBSを含むDMEM培地100μL中、3×104細胞/ウェルで96ウェルプレートにロードし、水ジャケット付きCO2インキュベーター内で37℃で5%CO2でインキュベートする。
2. SARS-CoV-2中和抗体希釈液50μL(それぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mL)又は植物抽出物試料の希釈液(それぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、及び0.39ppm)又は陰性対照DMEM培地を、50μLのシュードウイルス溶液(1010ウイルスコピー/mL)と予め混合する。
3. そしてその混合物を、293T-ACE2細胞で調製したプレートにロードし、ウォータージャケット付きCO2インキュベーター内で37℃、5%CO2で48時間インキュベートする。(したがって、抽出物試料の希釈の使用濃度は、それぞれ12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm、0.39ppm、0.2ppm、0.1ppmである。)
4. それぞれウェルのRLUを、Centro LB 960 Microplate Luminometer(Berthold Technologies)で検出する。
a) 293T-ACE2細胞100μL及びDMEM培地100μLのみを添加したウェルのRLU値をRLU陰性対照として設定する。
b) 293T-ACE 細胞100μL、DMEM培地50μL、及びデルタバリアントB.1.617.2のSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU陽性対照として設定する。
c) 293T-ACE2細胞100μL、植物抽出液希釈液50μL(それぞれ50ppm、25ppm、12.5ppm、6.25ppm、3.13ppm、1.56ppm、0.78ppm及び0.39ppm)、及びデルタバリアントB.1.617.2のSARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU試験試料として設定する。
d) 293T-ACE2細胞100μL、デルタバリアントB.1.617.2のSARS-CoV-2中和抗体希釈液50μL(それぞれ100μg/mL、20μg/mL、4μg/mL、0.8μg/mL、0.16μg/mL、0.032μg/mL、0.0064μg/mL、及び0.00128μg/mL)、SARS-CoV-2スパイクシュードウイルス50μLを添加したウェルのRLU値をRLU抗体として設定する。
5. アッセイのデータ処理を以下の方程式のように計算する:
a) 植物抽出物試料希釈液の阻害率%=[1-(RLU試料試験物-RLU陰性対照)/(RLU陽性対照-RLU陰性対照)]×100%。
b) 中和抗体希釈液の阻害率%=[1-(RLU抗体-RLU陰性対照)/(RLU陽性対照-RLU陰性対照)]×100%。
【0179】
IC50(ppm又はμg/mL)を、以下のReed-Muench法により算出する。
【0180】
【表6】
【国際調査報告】